JP6063277B2 - 油脂組成物 - Google Patents

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本発明は、焼菓子用、とりわけ複合菓子用として好適な油脂組成物に関する。
ビスケットやクッキー等の焼菓子とチョコレートとを張り合わせたり、焼菓子でチョコレートをサンドしたり、焼菓子をチョコレートでコーティングしたりして形成された複合菓子が市販されている。常温、10〜30℃においては、焼菓子に練りこまれているショートニング等の油脂組成物中の液油濃度は、チョコレート中の液油濃度よりも高い。したがって、保存中に焼菓子中からチョコレート側へと液油が移行するマイグレーションが生じる。このマイグレーションが起こると、焼菓子が白色化したりチョコレートが軟化する等して、複合菓子の品質が劣化する。
上記のマイグレーションを抑制するため、焼菓子に使用する油脂組成物の液油保持能を高める手法が開示されている。例えば、特許文献1には、トリグリセリドを構成する3個の脂肪酸残基のうち少なくとも1個が炭素数20〜24の飽和脂肪酸である二飽和一不飽和型混酸基トリグリセリドを特定量含有する焼菓子用油脂のマイグレーション抑制剤が記載されている。また、特許文献2には、炭素数20〜24の飽和脂肪酸及び炭素数8〜14の飽和脂肪酸を1分子中に各1個以上含むトリグリセリドを特定量含有する油脂組成物が記載されている。
また、油脂組成物中に親油性乳化剤を含有させ、油脂結晶の粗大化を防止する等して油脂の結晶状態を改善し、上記のマイグレーションを抑制することも開示されている。例えば、特許文献3には、構成脂肪酸の60%以上がパルミチン酸からなり、且つ平均置換度が4以上であるショ糖脂肪酸エステルを含有する油脂移行耐性油脂組成物が記載されている。また、特許文献4には、小麦デンプン吸着能を有する乳化剤を含有する焼菓子用油脂組成物が記載されている。
特開昭63-126457号公報 特開平4−71441号公報 特開2008−301731号公報 特開平4−173046号公報
しかし、上記手法では保存時の白色化抑制効果は未だ十分とはいえず、チョコレート比率の高い複合菓子では焼菓子の白色化を十分に抑制できない。
本発明は、焼菓子の原料として用いた場合に、外観、風味及び食感がいずれも良好な焼菓子に仕上げることができる油脂組成物でありながら、この焼菓子とチョコレートとを組み合わせて調製した複合菓子においては、焼菓子中からチョコレート側への液油のマイグレーションが抑えられ、焼菓子の白色化をより抑制できる油脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、特定構造のトリアシルグリセロールを特定量含有する油脂と、特定の乳化剤とを特定の比率で含有する油脂組成物を原料に用いて焼菓子を調製すると、外観、風味及び食感がいずれも良好な焼菓子に仕上げることができ、しかも、当該焼菓子とチョコレートとを組み合わせて調製した複合菓子では、焼菓子の白色化が生じにくいことを見い出した。本発明はこれらの知見に基づき完成させるに至ったものである。
本発明は、下記成分(A)100質量部に対して下記成分(B)を0.2〜3質量部含有する油脂組成物に関する:
(A)構成脂肪酸の炭素数の合計が48であるトリアシルグリセロールを11質量%以上、及び構成脂肪酸の炭素数の合計が58であるトリアシルグリセロールを2.5〜7.5質量%含有し、かつ、全構成脂肪酸中、炭素数12の飽和脂肪酸の割合が4〜8質量%、炭素数18の不飽和脂肪酸の割合が40〜50質量%、炭素数22の飽和脂肪酸の割合が3〜10質量%である油脂;
(B)有機酸モノグリセリド、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム及びHLBが12以上のノニオン性乳化剤から選ばれる1種又は2種以上の乳化剤。
本発明の油脂組成物は、焼菓子の原料に用いることで、外観、風味及び食感がいずれも良好な焼菓子を調製することができ、かつ、当該焼菓子とチョコレートを組み合わせた複合菓子においては、焼菓子の白色化が生じにくい。
本発明の油脂組成物について以下に詳細に説明する。
本発明の油脂組成物は、特定の油脂(成分(A))と、特定の乳化剤(成分(B))とを特定量含有する。
本発明に用いる上記成分(A)は、通常には、後述するようなエステル交換反応に付した食用油脂を用いて特定の成分組成に調整された油脂である。成分(A)の主成分はトリアシルグリセロール(グリセリンが有する3つのヒドロキシル基のすべてに脂肪酸が1分子づつエステル結合した構造の化合物である。以下、TAGともいう。)である。成分(A)中のトリアシルグリセロールの含有量は90質量%以上であることが好ましく、より好ましくは93質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。成分(A)中のトリアシルグリセロールの含有量は100質量%であってもよいが、食用油脂、エステル交換油脂等にはモノグリセリド、ジグリセリド、脂肪酸等の成分が混入しうるため、トリアシルグリセロールの含有量は通常は99質量%以下である。
成分(A)中のトリアシルグリセロールの含有量は、基準油脂分析試験法に記載されている2.4.6.1トリアシルグリセリン組成(ガスクロマトグラフ法)により測定された各トリアシルグリセロールを総和することにより求めることができる。
上記成分(A)は、構成脂肪酸の炭素数の合計が48のトリアシルグリセロール(以下、C48トリアシルグリセロールともいう。)と、構成脂肪酸の炭素数の合計が58のトリアシルグリセロール(以下、C58トリアシルグリセロールともいう。)とを特定量含有する。当該C48トリアシルグリセロールは主として、炭素数12の飽和脂肪酸残基1分子と炭素数18の不飽和脂肪酸残基2分子を有するトリアシルグリセロールからなることが好ましい。このC48トリアシルグリセロールとして例えば、グリセリンモノラウリルジオレエートが挙げられる。また、上記C58トリアシルグリセロールは主として、炭素数が22の飽和脂肪酸残基1分子と炭素数が18の不飽和脂肪酸残基2分子を有するトリアシルグリセロールからなることが好ましい。このC58トリアシルグリセロールとして例えば、グリセリンモノベヘニルジオレエートが挙げられる。
また、上記成分(A)は、構成脂肪酸の炭素数の合計が52のトリアシルグリセロール(以下、C52トリアシルグリセロールともいう。)を特定量含有することが好ましい。当該C52トリアシルグリセロールは主として、炭素数12の飽和脂肪酸残基1分子と炭素数22の飽和脂肪酸残基1分子と炭素数18の不飽和脂肪酸残基1分子を有するトリアシルグリセロールからなることが好ましい。このC52トリアシルグリセロールとして例えば、グリセリンモノラウリルベヘニルオレエートが挙げられる。
また、上記成分(A)は、構成脂肪酸の炭素数の合計が44のトリアシルグリセロール(以下、C44トリアシルグリセロールともいう。)と、構成脂肪酸の炭素数の合計が46のトリアシルグリセロール(以下、C46トリアシルグリセロールともいう。)と、構成脂肪酸の炭素数の合計が50のトリアシルグリセロール(以下、C50トリアシルグリセロールともいう。)と、構成脂肪酸の炭素数の合計が54のトリアシルグリセロール(以下、C54トリアシルグリセロールともいう。)を特定量含有することが好ましい。
本発明において、「構成脂肪酸」とは、トリアシルグリセロール、有機酸モノグリセリド(乳化剤)等の、脂肪酸がエステル結合した構造を有する化合物において、当該エステル結合を形成している脂肪酸を意味する。
ここで、成分(A)中のC44トリアシルグリセロール、C46トリアシルグリセロール、C48トリアシルグリセロール、C50トリアシルグリセロール、C52トリアシルグリセロール、C54トリアシルグリセロール及びC58トリアシルグリセロールの含有量は、基準油脂分析試験法に記載されている2.4.6.1トリアシルグリセリン組成(ガスクロマトグラフ法)に記載の方法により測定することができる。
上記成分(A)中のC48トリアシルグリセロールの含有量は、11質量%以上であるが、複合菓子における焼菓子の白色化をより抑える観点から、12質量%以上であることが好ましく、12.5質量%以上であることがより好ましい、また、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい、また、12〜20質量%であることがより好ましく、12.5〜15質量%であることがさらに好ましい。
上記成分(A)中のC58トリアシルグリセロールの含有量は、2.5〜7.5質量%であるが、複合菓子における焼菓子の白色化をより抑え、良好な食感を得る観点から、2.8質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、3.5質量%以上であることがさらに好ましい。また、同様の観点から上記成分(A)中のC58トリアシルグリセロールの含有量は、7質量%以下であることが好ましく、6.5質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。また、同様の観点から上記成分(A)中のC58トリアシルグリセロールの含有量は、2.8〜7質量%であることが好ましく、3〜7質量%であることがより好ましく、3〜6.5質量%であることがさらに好ましく、3.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
上記成分(A)中のC52トリアシルグリセロールの含有量は、複合菓子における焼菓子の白色化をより抑える観点及び良好な食感及び風味を得る観点から、18質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、同様の観点から上記成分(A)中のC52トリアシルグリセロールの含有量は、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。また、同様の観点から上記成分(A)中のC52トリアシルグリセロールの含有量は、18〜30質量%であることがより好ましく、20〜25質量%であることがさらに好ましい。
上記成分(A)中のC44トリアシルグリセロールの含有量は、複合菓子における焼菓子の白色化をより抑える観点及び良好な食感及び風味を得る観点から、2質量%以上が好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることがさらに好ましい。また、同様の観点から上記成分(A)中のC44トリアシルグリセロールの含有量は、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、7質量%以下であることがさらに好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。また、同様の観点から上記成分(A)中のC44トリアシルグリセロールの含有量は、2〜15質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることがより好ましく、4〜7質量%であることがさらに好ましく、4〜6質量%であることがさらに好ましく、4〜5質量%であることがさらに好ましい。
上記成分(A)中のC46トリアシルグリセロールの含有量は、複合菓子における焼菓子の白色化をより抑える観点及び良好な食感及び風味を得る観点から、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、6.5質量%以上であることがさらに好ましい。また、同様の観点から上記成分(A)中のC46トリアシルグリセロールの含有量は、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、8質量%以下であることがさらに好ましい。また、同様の観点から上記成分(A)中のC46トリアシルグリセロールの含有量は、3〜15質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがより好ましく、6.5〜8質量%であることがさらに好ましい。
上記成分(A)中のC50トリアシルグリセロールの含有量は、複合菓子における焼菓子の白色化をより抑える観点及び良好な食感及び風味を得る観点から、10質量%以上であることが好ましく、13質量%以上であることがより好ましく、16質量%以上であることがさらに好ましい。また、同様の観点から上記成分(A)中のC50トリアシルグリセロールの含有量は、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。また、同様の観点から上記成分(A)中のC50トリアシルグリセロールの含有量は、10〜25質量%であることが好ましく、13〜20質量%であることがより好ましく、16〜20質量%であることがさらに好ましい。
上記成分(A)中のC54トリアシルグリセロールの含有量は、複合菓子における焼菓子の白色化をより抑える観点及び良好な食感及び風味を得る観点から、12質量%以上であることが好ましく、13質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましい。また、同様の観点から上記成分(A)中のC54トリアシルグリセロールの含有量は、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。また、同様の観点から上記成分(A)中のC54トリアシルグリセロールの含有量は、12〜30質量%であることが好ましく、13〜25質量%であることがより好ましく、15〜20質量%であることがさらに好ましい。
成分(A)の油脂全体の全構成脂肪酸中、炭素数12の飽和脂肪酸の割合は、4〜8質量%であるが、焼菓子の外観、風味及び食感を良好とし、複合菓子における焼菓子の白色化をより抑える観点から、好ましくは4.5質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。また、同様の観点から、成分(A)の油脂全体の全構成脂肪酸中の炭素数12の飽和脂肪酸の割合は、好ましくは6.5質量%以下、より好ましくは6質量%以下である。また、同様の観点から、成分(A)の油脂全体の全構成脂肪酸中の炭素数12の飽和脂肪酸の割合は、好ましくは4.5〜6.5質量%、さらに好ましくは5〜6質量%である。
成分(A)の油脂全体の全構成脂肪酸中、炭素数18の不飽和脂肪酸の割合は、40〜50質量%であるが、焼菓子の外観、風味及び食感を良好とし、複合菓子における焼菓子の白色化をより抑える観点から、好ましくは42質量%以上、より好ましくは45質量%以上である。また、同様の観点から、成分(A)の油脂全体の全構成脂肪酸中の炭素数18の不飽和脂肪酸の割合は、好ましくは49質量%以下である。また、同様の観点から、成分(A)の油脂全体の全構成脂肪酸中の炭素数18の不飽和脂肪酸の割合は、好ましくは42〜50質量%、より好ましくは45〜49質量%である。
成分(A)の油脂全体の全構成脂肪酸中、炭素数22の飽和脂肪酸の割合は、3〜10質量%であるが、焼菓子の外観、風味及び食感を良好とし、複合菓子における焼菓子の白色化をより抑える観点から、好ましくは3.5質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上である。また、同様の観点から、成分(A)の油脂全体の全構成脂肪酸中の炭素数22の飽和脂肪酸の割合は、好ましくは8質量%以下、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。また、同様の観点から、成分(A)の油脂全体の全構成脂肪酸中の炭素数22の飽和脂肪酸の割合は、好ましくは3〜8質量%、より好ましくは3.5〜7質量%、さらに好ましくは3.5〜6質量%、さらに好ましくは4〜5質量%である。
成分(A)の油脂全体の全構成脂肪酸中、炭素数16の飽和脂肪酸の割合は、焼菓子の外観、風味及び食感を良好とし、複合菓子における焼菓子の白色化をより抑える観点から、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上である。また、同様の観点から、成分(A)の油脂全体の全構成脂肪酸中の炭素数16の飽和脂肪酸の割合は、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。また、同様の観点から、成分(A)の油脂全体の全構成脂肪酸中の炭素数16の飽和脂肪酸の割合は、好ましくは15〜35質量%、より好ましくは20〜30質量%、さらに好ましくは25〜30質量%である。
成分(A)の油脂全体の全構成脂肪酸組成は、成分(A)自体を試料として用いて、日本油化学会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの調製法(2.4.1.−1996)」に従って脂肪酸メチルエステルを調製し、得られたサンプルを用いて、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f−96(GLC法)により測定することができる。
上記成分(A)として用いる油脂の調製方法に特に制限はないが、ナタネ油、ハイエルシンナタネ油、大豆油、米油、コーン油、綿実油、ゴマ油、サフラワー油、ひまわり油、オリーブ油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、カラシ油、米糠油、小麦麦芽油、ひまわり油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、前記各油脂の硬化油、分別油等の食用油脂を適宜に組み合わせてエステル交換反応に付することで得ることができる。また、当該エステル交換油と食用油脂を混合して得ることもできるし、用いた油脂の組み合わせが異なるエステル交換油を適宜に組み合わせて得ることもできる。エステル交換反応は通常の条件下で行うことができ、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、金属ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属を含む塩基性触媒又はリパーゼ等の酵素の存在下で行うことができる。
本発明に用いる上記成分(B)の乳化剤は、有機酸モノグリセリド、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム及びHLBが12以上のノニオン性乳化剤から選ばれる1種又は2種以上である。
本発明において、当該HLBは下記の数式で表されるGriffin法(W.C.Griffin,J.Soc.Cosmetic.Chemists.,1,311(1949))により計算した値である。

HLB=20×(親水基部分の分子量)/(乳化剤の分子量)

本発明の成分(B)として用いうる、HLBが12以上のノニオン性乳化剤としては、例えば、HLBが12以上のポリグリセリン脂肪酸エステル、HLBが12以上のショ糖脂肪酸エステル、及びHLBが12以上のポリソルベートから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
本発明の成分(B)として用いうるHLBが12以上のノニオン性乳化剤は通常にはHLBが18以下であり、好ましくは16以下である。また、本発明の成分(B)として用いうるノニオン性乳化剤のHLBは、好ましくは13以上、さらに好ましくは14以上、さらに好ましくは14.5以上である。
本発明において有機酸モノグリセリドとは、有機酸モノアシルグリセロール又はグリセリン有機酸脂肪酸エステルとも呼ばれ、グリセリンが有するヒドロキシル基に、有機酸及び脂肪酸がそれぞれ1つエステル結合した化合物である。本発明に用いる有機酸モノグリセリドは、グリセリンが有する1位及び2位のヒドロキシル基のいずれか1つに脂肪酸がエステル結合し、3位のヒドロキシル基に有機酸がカルボキシル基を介してエステル結合した構造を有する化合物であることが好ましい。
本発明の成分(B)として用いうる上記有機酸モノグリセリドを構成する有機酸は、分子内にカルボキシル基を少なくとも2つ有するポリカルボン酸であることが好ましく、より好ましくはジカルボン酸である。当該ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアシル酒石酸が挙げられる。本発明に用いる有機酸モノグリセリドとしては、コハク酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、酒石酸モノグリセリド、ジアシル酒石酸モノグリセリド等から選ばれる1種又は2種以上を挙げることができるが、なかでもコハク酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリドを好適に用いることができる。
本発明に用いる有機酸モノグリセリドには、塩の形態のものも含まれる。
本発明に用いる有機酸モノグリセリドの構成脂肪酸は、風味の点から、炭素数12以上であることが好ましく、より好ましくは炭素数14以上、さらに好ましくは炭素数16以上である。また、本発明に用いる有機酸モノグリセリドの構成脂肪酸は、炭素数22以下であることが好ましく、20以下であることが好ましい。本発明に用いる有機酸モノグリセリドの構成脂肪酸は炭素数12〜22であることがより好ましく、14〜22であることがさらに好ましく、16〜20であることがさらに好ましい。
また、本発明に用いる有機酸モノグリセリドの構成脂肪酸は、風味の点から、飽和脂肪酸を含むことが好ましい。本発明に用いる有機酸モノグリセリドの全構成脂肪酸に占める飽和脂肪酸の割合は50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。また、本発明に用いる有機酸モノグリセリドの全構成脂肪酸のすべてが飽和脂肪酸であってもよい。本発明に用いる有機酸モノグリセリドは、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸を構成脂肪酸とすることができ、なかでもステアリン酸を構成脂肪酸とする有機酸モノグリセリドを好適に用いることができる。
本発明に用いうるステアロイル乳酸カルシウム(式(1))及びステアロイル乳酸ナトリウム(式(2))の構造を下記に示す。下記式中、乳酸単位の数を示すnは2〜5の整数であることが好ましい。
Figure 0006063277
成分(B)を構成する各種乳化剤は、通常の方法で合成することができる。また市販品を用いてもよい。
上記成分(B)として用いうるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、サンソフトQ12S、サンソフトQ17S(商品名、いずれも太陽化学社製)、SYグリスターMO−7S、SYグリスターML−750(商品名、いずれも阪本薬品工業社製) リョートポリグリエステルDL15、リョートポリグリエステルDO13(商品名、いずれも三菱化学フーズ社製)が挙げられる。
上記成分(B)として用いうるショ糖脂肪酸エステルとしては、例えば、リョートシュガーエステルS−1670、リョートシュガーエステルO−1570(商品名、いずれも三菱化学フーズ社製)、DKエステルF−140、DKエステルF−160(商品名、いずれも第一工業製薬社製)が挙げられる。
上記成分(B)として用いうるポリソルベートとしては、例えば、エマゾールS−120V、エマゾールO−120V、エマゾールL−120V(商品名 いずれも花王社製)が挙げられる。
本発明の油脂組成物は、上記成分(A)100質量部に対して、成分(B)を0.2〜3質量部含有する。複合菓子における焼菓子の白色化をより抑える観点から、成分(B)の含有量は成分(A)100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましく、0.6質量部以上であることがより好ましく、0.8質量部以上であることがさらに好ましい。また、良好な食感及び風味の観点から、成分(B)の含有量は成分(A)100質量部に対して2.6質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましく、1.5質量部以下であることがさらに好ましい。また、複合菓子における焼菓子の白色化をより抑える観点及び良好な食感及び風味の観点から、成分(B)の含有量は成分(A)100質量部に対して0.5〜2.6質量部であることが好ましく、0.6〜2.6質量部であることが好ましく、0.6〜2質量部であることがより好ましく、0.8〜1.5質量部であることがさらに好ましい。
本発明の油脂組成物中、成分(A)の含有量は97〜99.8質量%であることが好ましく、97.4〜99.5質量%であることがより好ましく、98〜99.4質量%であることがより好ましく、98.5〜99.2質量%であることがさらに好ましい。
本発明の油脂組成物中、成分(B)の含有量は0.2〜3質量%であることが好ましく、0.5〜2.6質量%であることがより好ましく、0.6〜2質量%であることがより好ましく、0.8〜1.5質量%であることがさらに好ましい。
本発明の油脂組成物の融点は、32〜40℃であることが好ましい。融点が低すぎると、サクサクした食感が失われたり、白色化抑制効果が低下することがあり、融点が高すぎると、硬い食感になり、口溶け感が低下することがある。
本発明において油脂の融点とは上昇融点のことであり、日本油化学会編「基準油脂分析試験法」中の上昇融点の測定法に準じ測定した値である。
本発明の油脂組成物の融点は、白色化抑制および食感の点から、35〜38℃であることがさらに好ましい。
本発明の油脂組成物は、上記成分(A)及び成分(B)から構成されていてもよい。また、本発明の油脂組成物において、上記成分(A)及び(B)の含有量の合計は必ずしも100質量%でなくてもよく、その場合には、上記成分(A)及び(B)を除いた残部に、着色料、酸化防止剤、乳化剤、強化剤等が含有されうる。
本発明の油脂組成物は、成分(A)の油脂と成分(B)の乳化剤とを、本発明で規定する含有量になるように混合し、均質化することで得られる。本発明の油脂組成物はショートニングであることが好ましい。当該ショートニングは、例えば、成分(A)の油脂と成分(B)の乳化剤とを55〜65℃で均一に混合した後、急冷捏和処理することで得ることができる。
続いて、本発明の焼菓子及び複合菓子の調製について説明する。
本発明の焼菓子は、少なくとも本発明の油脂組成物、小麦粉、及び水を原料として調製される。より具体的には、少なくとも本発明の油脂組成物、小麦粉、及び水を混合して生地を調製し、当該生地を焼成することで得られる。
本発明において「焼菓子」とは、製菓事典(渡辺長男、鈴木繁男、岩尾裕之、小原哲二郎著)、初版第1刷、朝倉書店発行、1981年10月30日、)第204頁記載のビスケット、クッキー、クラッカー、乾パン、プレッツェル、パイ、カットパン、ショートブレッド等を意味し、好ましくは、公正競争規約(昭和46年)に定められたビスケット、クッキー、クラッカー、乾パン、プレッツェル、パイ、カットパン等であり、より好ましくはビスケット又はクッキーである。
上記生地中の本発明の油脂組成物の含有量は、白色化抑制および食感の点から、5〜30質量%であることが好ましく、10〜25質量%であることがより好ましい。
上記小麦粉は小麦の胚乳を製粉したものであれば特に制限はなく、例えば、強力粉、中力粉、薄力粉、又はこれらの混合物等が挙げられるが、中力粉及び薄力粉から選ばれる1種又は2種であることが好ましく、薄力粉であることがより好ましい。前記小麦粉として市販品を用いることができる。
上記生地中の小麦粉の含有量は、成形性と食感の点から、30〜70質量%であることが好ましく、40〜65質量%であることがより好ましい。
本発明の焼菓子において、生地中に含まれる水の含有量は、2〜10質量%であることが好ましく、3〜7質量%であることがより好ましい。
本発明の焼菓子において、原料として糖類や甘味料を配合することができる。糖類や甘味料として、単糖類、二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、六糖類や澱粉加水分解物、又はこれらを還元した糖アルコール等が挙げられる。例えば、グルコース、マルトース、フルクトース、シュークロース、ラクトース、トレハロース、マルトトリオース、マルトテトラオース、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、水飴、異性化糖、転化糖、シクロデキストリン、デキストリン、分岐シクロデキストリン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記生地中の糖類及び/又は甘味料の含有量は、風味及び食品の保存性の観点から、5〜30質量%であることが好ましく、10〜25質量%であることがより好ましい。
本発明の焼菓子には、その原料として卵を配合することができる。当該卵に特に制限はないが、鶏卵、ダチョウ卵、アヒル卵等を用いることができ、中でも鶏卵が好適に用いられる。上記卵は、卵白及び/又は卵黄を意味する。
使用する卵の加工形態に特に制限はなく、生卵、凍結卵、粉末卵、加糖卵、殺菌卵等を用いることができるが、中でも殺菌卵が好適に用いられる。
上記生地中の卵の含有量は、風味の点から、1〜10質量%であることが好ましく、2〜5質量%であることがより好ましい。
本発明の焼菓子は、その原料として粉乳を配合することができる。当該粉乳は好ましくは脱脂粉乳である。
上記生地中の粉乳の含有量は、風味の点から、0.2〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがより好ましい。
また、本発明の焼菓子は、その原料として牛乳、ココナッツミルク、メープルシロップ、アーモンドパウダー、食塩、各種調味料、各種甘味料、膨張剤、pH調整剤、酸化防止剤、香料、水等を配合してもよい。これらの配合量は通常の焼菓子の調製における配合量の範囲内であることが好ましい。
上記の生地の調製には、シュガーバッター法、フラワーバッター法等の通常の方法を採用することができる。また、カッチングハードビスケット、カッチングソフトビスケット(エンボス)、ロータリービスケット、ワイヤーカットビスケット、ルートプレスビスケット、デポジットビスケット(ドロップ)、ハンドメイドビスケット等の方法を採用することもできる。
上記で調製した生地の焼成条件に特に制限はなく、焼菓子の種類に応じて適宜決定することができる。
本発明の複合菓子は、本発明の焼菓子とチョコレートとを組み合わせてなる焼菓子である。本発明の複合菓子の形態は特に制限はなく、例えば、焼菓子とチョコレートとを張り合わせた形態、焼菓子でチョコレートをサンドした形態、焼菓子をチョコレートでコーティングした形態が挙げられる。本発明の複合菓子に用いるチョコレートに特に制限はなく、ビターチョコレート、スイートチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート等のいずれであってもよい。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の油脂組成物、焼菓子あるいは複合菓子を開示する。
<1>
下記成分(A)100質量部に対して下記成分(B)を0.2〜3質量部含有する油脂組成物:
(A)構成脂肪酸の炭素数の合計が48であるトリアシルグリセロールを11質量%以上、及び構成脂肪酸の炭素数の合計が58であるトリアシルグリセロールを2.5〜7.5質量%含有し、かつ、全構成脂肪酸中、炭素数12の飽和脂肪酸の割合が4〜8質量%、炭素数18の不飽和脂肪酸の割合が40〜50質量%、炭素数22の飽和脂肪酸の割合が3〜10質量%である油脂;
(B)有機酸モノグリセリド、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム及びHLBが12以上のノニオン性乳化剤から選ばれる1種又は2種以上の乳化剤。
<2>
前記成分(A)の油脂中、構成脂肪酸の炭素数の合計が48であるトリアシルグリセロールの含有量が、好ましくは12質量%以上であり、より好ましくは12.5質量%以上である、前記<1>に記載の油脂組成物。
<3>
前記成分(A)の油脂中、構成脂肪酸の炭素数の合計が48であるトリアシルグリセロールの含有量が、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下である、前記<1>又は<2>に記載の油脂組成物。
<4>
前記成分(A)の油脂中、構成脂肪酸の炭素数の合計が48であるトリアシルグリセロールの含有量が、好ましくは11〜20質量%であり、より好ましくは12〜20質量%であり、さらに好ましくは12〜15質量%であり、さらに好ましくは12.5〜15質量%である、前記<1>に記載の油脂組成物。
<5>
前記成分(A)の油脂中、構成脂肪酸の炭素数の合計が58であるトリアシルグリセロールの含有量が、好ましくは2.8質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上であり、さらに好ましくは3.5質量%以上である、前記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<6>
前記成分(A)の油脂中、構成脂肪酸の炭素数の合計が58であるトリアシルグリセロールの含有量が、好ましくは7質量%以下であり、より好ましくは6.5質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である、前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<7>
前記成分(A)の油脂中、構成脂肪酸の炭素数の合計が58であるトリアシルグリセロールの含有量が、好ましくは2.8〜7質量%であり、より好ましくは3〜7質量%であり、さらに好ましくは3〜6.5質量%であり、さらに好ましくは3.5〜5質量%である、前記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<8>
前記の構成脂肪酸の炭素数の合計が48であるトリアシルグリセロールが、炭素数12の飽和脂肪酸1分子と、炭素数18の不飽和脂肪酸2分子とを構成脂肪酸とするトリアシルグリセロールを含む、前記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<9>
前記の構成脂肪酸の炭素数の合計が48であるトリアシルグリセロールが、グリセリンモノラウリルジオレエートを含む、前記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<10>
前記の構成脂肪酸の炭素数の合計が58であるトリアシルグリセロールが、炭素数18の不飽和脂肪酸2分子と、炭素数22の飽和脂肪酸1分子とを構成脂肪酸とするトリアシルグリセロールを含む、前記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<11>
前記の構成脂肪酸の炭素数の合計が58であるトリアシルグリセロールが、グリセリンモノベヘニルジオレエートを含む、前記<1>〜<10>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<12>
前記成分(A)の油脂の全構成脂肪酸中、炭素数12の飽和脂肪酸の割合が、好ましくは4.5質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上である、前記<1>〜<11>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<13>
前記成分(A)の油脂の全構成脂肪酸中、炭素数12の飽和脂肪酸の割合が、好ましくは6.5質量%以下であり、より好ましくは6質量%以下である、前記<1>〜<12>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<14>
前記成分(A)の油脂の全構成脂肪酸中、炭素数12の飽和脂肪酸の割合が、好ましくは4.5〜6.5質量%であり、より好ましくは5〜6質量%である、前記<1>〜<11>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<15>
前記成分(A)の油脂の全構成脂肪酸中、炭素数18の不飽和脂肪酸の割合が、好ましくは42質量%以上であり、より好ましくは45質量%以上である、前記<1>〜<14>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<16>
前記成分(A)の油脂の全構成脂肪酸中、炭素数18の不飽和脂肪酸の割合が、好ましくは49質量%以下である、前記<1>〜<15>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<17>
前記成分(A)の油脂の全構成脂肪酸中、炭素数18の不飽和脂肪酸の割合が、好ましくは42〜50質量%であり、より好ましくは45〜49質量%である、前記<1>〜<14>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<18>
前記成分(A)の油脂の全構成脂肪酸中、炭素数22の飽和脂肪酸の割合が、好ましくは3.5質量%以上であり、より好ましくは4質量%以上である、前記<1>〜<17>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<19>
前記成分(A)の油脂の全構成脂肪酸中、炭素数22の飽和脂肪酸の割合が、好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは7質量%以下であり、さらに好ましくは6質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である、前記<1>〜<18>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<20>
前記成分(A)の油脂の全構成脂肪酸中、炭素数22の飽和脂肪酸の割合が、好ましくは3〜8質量%であり、より好ましくは3.5〜7質量%であり、さらに好ましくは3.5〜6質量%であり、さらに好ましくは4〜5質量%である、前記<1>〜<17>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<21>
前記有機酸モノグリセリドを構成する有機酸が、好ましくはポリカルボン酸であり、より好ましくはジカルボン酸である、前記<1>〜<20>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<22>
前記有機酸モノグリセリドが、好ましくはコハク酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、酒石酸モノグリセリド及びジアシル酒石酸モノグリセリドから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはコハク酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド及びジアセチル酒石酸モノグリセリドから選ばれる1種又は2種以上である、前記<1>〜<21>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<23>
油脂組成物中の有機酸モノグリセリドの全構成脂肪酸に占める飽和脂肪酸の割合が、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%である、前記<1>〜<22>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<24>
油脂組成物中の有機酸モノグリセリドの構成脂肪酸が、好ましくはミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸及びベヘン酸から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはステアリン酸である、前記<1>〜<23>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<25>
前記のHLBが12以上のノニオン性乳化剤が、好ましくはポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びポリソルベートから選ばれる1種又は2種以上である、前記<1>〜<24>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<26>
前記成分(A)の含有量100質量部に対して、前記成分(B)の含有量が、好ましくは0.5質量部以上であり、より好ましくは0.6質量部以上であり、さらに好ましくは0.8質量部以上である、前記<1>〜<25>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<27>
前記成分(A)の含有量100質量部に対して、前記成分(B)の含有量が、好ましくは2.6質量部以下であり、より好ましくは2質量部以下であり、さらに好ましくは1.5質量部以下である、前記<1>〜<26>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<28>
前記成分(A)の含有量100質量部に対して、前記成分(B)の含有量が、好ましくは0.5〜2.6質量部であり、より好ましくは0.6〜2.6質量部であり、さらに好ましくは0.6〜2質量部であり、さらに好ましくは0.8〜1.5質量部である、前記<1>〜<25>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<29>
油脂組成物の融点が、好ましくは32〜40℃であり、より好ましくは35〜38℃である、前記<1>〜<28>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<30>
前記成分(A)の油脂が、構成脂肪酸の炭素数の合計が52であるトリアシルグリセロールを、好ましくは18質量%以上、より好ましくは20質量%以上含有する、前記<1>〜<29>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<31>
前記成分(A)の油脂中、構成脂肪酸の炭素数の合計が52であるトリアシルグリセロールの含有量が、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下である、前記<1>〜<30>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<32>
前記成分(A)の油脂中、構成脂肪酸の炭素数の合計が52であるトリアシルグリセロールの含有量が、好ましくは18〜30質量%であり、より好ましくは20〜25質量%である、前記<1>〜<29>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<33>
前記の構成脂肪酸の炭素数の合計が52であるトリアシルグリセロールが、炭素数12の飽和脂肪酸1分子と、炭素数18の不飽和脂肪酸1分子と、炭素数22の飽和脂肪酸1分子とを構成脂肪酸とするトリアシルグリセロールからなる、前記<30>〜<32>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<34>
前記の構成脂肪酸の炭素数の合計が52であるトリアシルグリセロールが、グリセリンモノラウリルベヘニルオレエートを含む、前記<30>〜<33>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<35>
前記成分(A)の油脂が、構成脂肪酸の炭素数の合計が44であるトリアシルグリセロールを、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上含有する、前記<1>〜<34>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<36>
前記成分(A)の油脂中、構成脂肪酸の炭素数の合計が44であるトリアシルグリセロールの含有量が、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは7質量%以下であり、さらに好ましくは6質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である、前記<1>〜<35>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<37>
前記成分(A)の油脂中、構成脂肪酸の炭素数の合計が44であるトリアシルグリセロールの含有量が、好ましくは2〜15質量%であり、より好ましくは3〜10質量%であり、さらに好ましくは4〜7質量%であり、さらに好ましくは4〜6質量%であり、さらに好ましくは4〜5質量%である、前記<1>〜<34>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<38>
前記成分(A)の油脂が、構成脂肪酸の炭素数の合計が46であるトリアシルグリセロールを、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは6.5質量%以上含有する、前記<1>〜<37>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<39>
前記成分(A)の油脂中、構成脂肪酸の炭素数の合計が46であるトリアシルグリセロールの含有量が、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下であり、さらに好ましくは8質量%以下である、前記<1>〜<38>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<40>
前記成分(A)の油脂中、構成脂肪酸の炭素数の合計が46であるトリアシルグリセロールの含有量が、好ましくは3〜15質量%であり、より好ましくは5〜10質量%であり、さらに好ましくは6.5〜8質量%である、前記<1>〜<37>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<41>
前記成分(A)の油脂が、構成脂肪酸の炭素数の合計が50であるトリアシルグリセロールを、好ましくは10質量%以上、より好ましくは13質量%以上、さらに好ましくは16質量%以上含有する、前記<1>〜<40>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<42>
前記成分(A)の油脂中、構成脂肪酸の炭素数の合計が50であるトリアシルグリセロールの含有量が、好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下である、前記<1>〜<41>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<43>
前記成分(A)の油脂中、構成脂肪酸の炭素数の合計が50であるトリアシルグリセロールの含有量が、好ましくは10〜25質量%であり、より好ましくは13〜20質量%であり、さらに好ましくは16〜20質量%である、前記<1>〜<40>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<44>
前記成分(A)の油脂が、構成脂肪酸の炭素数の合計が54であるトリアシルグリセロールを、好ましくは12質量%以上、より好ましくは13質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上含有する、前記<1>〜<43>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<45>
前記成分(A)の油脂中、構成脂肪酸の炭素数の合計が54であるトリアシルグリセロールの含有量が、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%である、前記<1>〜<44>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<46>
前記成分(A)の油脂中、構成脂肪酸の炭素数の合計が54であるトリアシルグリセロールの含有量が、好ましくは12〜30質量%であり、より好ましくは13〜25質量%であり、さらに好ましくは15〜20質量%である、前記<1>〜<43>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<47>
前記成分(A)の油脂の全構成脂肪酸中、炭素数16の飽和脂肪酸の割合が、好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、さらに好ましくは25質量%以上である、前記<1>〜<46>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<48>
前記成分(A)の油脂の全構成脂肪酸中、炭素数16の飽和脂肪酸の割合が、好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である、前記<1>〜<47>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<49>
前記成分(A)の油脂の全構成脂肪酸中、炭素数16の飽和脂肪酸の割合が、好ましくは15〜35質量%であり、より好ましくは20〜30質量%であり、さらに好ましくは25〜30質量%である、前記<1>〜<46>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<50>
HLBが12以上のノニオン性乳化剤のHLBが、好ましくは13以上であり、より好ましくは14以上であり、さらに好ましくは14.5以上である、前記<1>〜<49>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<51>
HLBが12以上のノニオン性乳化剤のHLBが、好ましくは18以下であり、より好ましくは16以上である、前記<1>〜<50>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<52>
HLBが12以上のノニオン性乳化剤のHLBが、好ましくは12〜18であり、より好ましくは13〜18であり、さらに好ましくは14〜18であり、さらに好ましくは14.5〜16である、前記<1>〜<49>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<53>
油脂組成物中の成分(A)の含有量が、好ましくは97質量%以上であり、より好ましくは97.4質量%以上であり、さらに好ましくは98質量%以上であり、さらに好ましくは98.5質量%以上である、前記<1>〜<52>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<54>
油脂組成物中の成分(A)の含有量が、好ましくは99.8質量%以下であり、より好ましくは99.5質量%以下であり、さらに好ましくは99.4質量%以下であり、さらに好ましくは99.2質量%以下である、前記<1>〜<53>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<55>
油脂組成物中の成分(A)の含有量が、好ましくは97〜99.8質量%であり、より好ましくは97.4〜99.5質量%であり、さらに好ましくは98〜99.4質量%であり、さらに好ましくは98.5〜99.2質量%である、前記<1>〜<52>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<56>
油脂組成物中の成分(B)の含有量が、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは0.6質量%以上であり、さらに好ましくは0.8質量%以上である、前記<1>〜<55>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<57>
油脂組成物中の成分(B)の含有量が、好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは2.6質量%以下であり、さらに好ましくは2質量%以下であり、さらに好ましくは1.5質量%以下である、前記<1>〜<56>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<58>
油脂組成物中の成分(B)の含有量が、好ましくは0.2〜3質量%であり、より好ましくは0.5〜2.6質量%であり、さらに好ましくは0.6〜2質量%であり、さらに好ましくは0.8〜1.5質量%である、前記<1>〜<55>のいずれか1つに記載の油脂組成物。
<59>
少なくとも前記<1>〜<58>のいずれか1つに記載の油脂組成物、小麦粉、糖類又は甘味料、及び水を原料として製造される焼菓子。
<60>
少なくとも前記<1>〜<58>のいずれか1つに記載の油脂組成物、小麦粉、糖類、及び水を混合して生地を調製し、当該生地を焼成することで得られる焼菓子。
<61>
前記生地中、前記<1>〜<58>のいずれか1つに記載の油脂組成物の含有量が、好ましくは5〜30質量%であり、より好ましくは10〜25質量%である、前記<51>に記載の焼菓子。
<62>
前記生地中、小麦粉の含有量が、好ましくは30〜70質量%であり、より好ましくは40〜65質量%である、前記<60>又は<61>に記載の焼菓子。
<63>
前記生地の含水量が、好ましくは2〜10質量%であり、より好ましくは3〜7質量%である、前記<60>〜<62>のいずれか1つに記載の焼菓子。
<64>
前記生地中、糖類又は甘味料の含有量が、好ましくは5〜30質量%であり、より好ましくは10〜25質量%である、前記<60>〜<63>のいずれか1つに記載の焼菓子。
<65>
前記生地が卵を含む、前記<60>〜<64>のいずれか1つに記載の焼菓子。
<66>
前記生地中、前記卵の含有量が、好ましくは1〜10質量%であり、より好ましくは2〜5質量%である、前記<65>に記載の焼菓子。
<67>
前記生地が粉乳を含む、前記<60>〜<66>のいずれか1つに記載の焼菓子。
<68>
前記生地中、前記粉乳の含有量が、好ましくは0.2〜5質量%であり、より好ましくは0.5〜3質量%である、前記<67>に記載の焼菓子。
<69>
前記焼菓子が、ビスケット、クッキー、クラッカー、乾パン、プレッツェル、パイ、カットパン及びショートブレッドから選ばれ、好ましくはビスケット又はクッキーである、前記<59>〜<68>のいずれか1つに記載の焼菓子。
<70>
前記<59>〜<69>のいずれか1つに記載の焼菓子とチョコレートとを組み合わせてなる複合菓子。
<71>
前記複合菓子が、前記<59>〜<69>のいずれか1つに記載の焼菓子とチョコレートとを貼り合わせた複合菓子、前記<59>〜<69>のいずれか1つに記載の焼菓子でチョコレートをサンドした複合菓子、又は、前記<59>〜<69>のいずれか1つに記載の焼菓子をチョコレートでコーティングした複合菓子である、前記<70>に記載の複合菓子。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[分析方法]
構成脂肪酸組成:
日本油化学会編「基準油脂分析試験法」中の「脂肪酸メチルエステルの調製法(2.4.1.−1996)」に従って脂肪酸メチルエステルを調製し、得られたサンプルを、American Oil Chemists. Society Official Method Ce 1f−96(GLC法)により測定した。
トリアシルグリセロール組成:
基準油脂分析試験法に記載されている2.4.6.1トリアシルグリセリン組成(ガスクロマトグラフ法)に記載の方法により測定した。
[調製例1] エステル交換油の調製
下記表1に記載の割合(単位:質量%)で各油脂を混合し、対混合油脂0.1質量%のナトリウムメチラートを触媒として、80℃、30分間反応を行い、ランダムエステル交換油を得た。このものを通常の方法により、水洗・脱色・脱臭を行い、油脂1〜4を得た。
得られた油脂1〜4、並びに、エステル交換の原料に用いたナタネ白絞油及びパームオレイン中のトリアシルグリセロールの含有量(単位:質量%)、各油脂の全構成脂肪酸に占める各構成脂肪酸の割合(構成脂肪酸組成、単位:質量%)、各油脂中の各種トリアシルグリセロールの含有量(トリアシルグリセロール組成、単位:質量%)を下記表2に示す。
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Figure 0006063277
[調製例2] 油脂組成物の調製
上記調製例1で得られた油脂1〜4、並びに、エステル交換の原料に用いたナタネ白絞油及びパームオレインと、各種乳化剤とを下記表3及び4に記載の割合(単位:質量部)で、60℃で均一に混合した後、急冷捏和処理して各種油脂組成物(実施例1〜24、比較例1〜17)を得た。なお、表4中、サンソフトNo.818SK、日清レシチンデラックスはいずれもHLBが12未満である。
得られた各種油脂組成物が有する油脂の全構成脂肪酸に占める各構成脂肪酸の割合(単位:質量%)、及び各種油脂組成物が有する油脂中の各種トリアシルグリセロールの含有量(トリアシルグリセロール組成、単位:質量%)を併せて下記表3及び4に示す。
また、融点(℃)についても、日本油化学会編「基準油脂分析試験法」中の上昇融点の測定法に準じて測定し、結果を下記表3及び4に示した。
Figure 0006063277
Figure 0006063277
[調製例3] 焼菓子の調製
実施例1〜24及び比較例1〜17の油脂組成物を用いて下記の配合組成でビスケット用の生地を調製した。
<ビスケット生地の配合組成>
小麦粉 200g
調製例2の油脂組成物 60g
砂糖 60g
食塩 2g
脱脂粉乳 4g
水飴 4g
全卵 10g
炭酸水素アンモニウム 1g
炭酸水素ナトリウム 1g
水 20g
<ビスケットの調製法>
砂糖、食塩、脱脂粉乳をよく混合した後、油脂組成物、水あめを添加し、ホバートミキサーを用いて比重0.73〜0.77まで撹拌混合した。次に、予め全卵、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム及び水を均一に混合したものをホバートミキサーで撹拌しながら加え1分混合した。最後に小麦粉を入れ、均一にまとまるまで撹拌混合し生地を得た。生地は厚さ3mmまで延ばし直径32mmの円形に型抜きした。型抜きした生地をオーブンで上火200℃、下火180℃で8分焼成してビスケットを得た。(上記実施例1〜24の油脂組成物を用いたものをそれぞれ実施例1’〜24’とし、上記比較例1〜17の油脂組成物を用いたものを比較例1’〜17’とした。)
[試験例1] 焼菓子の評価
上記調製例3で得られたビスケットを室温まで冷却した後、外観、風味及び食感について5名の専門パネルの各々が、後述の評価基準に従って点数を付け、その合計点に基づき評価した。結果を下記表5に示す。
<外観>
2点:適度な焼色がつき、色ムラが観察されない。
1点:若干の色ムラが観察される。
0点:色ムラが観察される。
<風味>
2点:乳化剤の異味を感じない。
1点:若干の乳化剤の異味を感じる。
0点:乳化剤の異味を感じる。
<食感>
2点:適度な硬さで口中でのこなれが良い
1点:若干硬く、口中でのこなれがやや悪い
0点:硬く、口中でのこなれが悪い
[調製例4]複合菓子の調製
チョコレート(商品名:クリオロショコラスイート、大東カカオ社製)を60℃で融解した後、32℃まで冷却しチョコシードA(不二製油社製)を0.1%添加した。
これを、底辺が直径40mmの円筒状のプラスチックカップに10g入れた後、調製例3で得られたビスケットを1枚上から投下した。5℃で25分冷却後、15℃で10分静置し、ビスケットとチョコレートが張り合わされた複合菓子を形成させ、これをプラスチックカップから取り出し、複合菓子を得た。(上記実施例1’〜24’のビスケットを用いたものをそれぞれ実施例1’’〜24’’とし、上記比較例1’〜17’のビスケットを用いたものを比較例1’’〜17’’とした。)
[試験例2] 複合菓子の評価
上記調製例4で得られた複合菓子を白色化度の評価に供した。
製造した複合菓子を30℃で1日間保存した後、続けて20℃で2日間保存し、保存の前後で複合菓子中のビスケット部の色測定を行い、色の変化を色差として求め、白色化度の指標とした。各複合菓子について、それぞれ1個当たり3点で色測定を行って下記式に当てはめて色差を求め、2個の色差の平均値で評価した。上記の3点の色測定は、具体的には、ビスケットの直径に沿って簡易型分光色差計NF333(日本電色社製)によりビスケットのL、a、bを測定した。色差は下記の式で求めた。色差が小さいほど色変化が小さく、白色化していないことを示す。
Figure 0006063277
結果を下記表5に示す。
Figure 0006063277
表5に示されるように、乳化剤を含まない油脂組成物を用いて製造した焼菓子は食感に劣るものであった(比較例1’)。また、乳化剤としてHLBが12未満のノニオン性乳化剤を含む油脂組成物を用いて製造した焼菓子は、食感に劣る傾向が認められた(比較例2’、4’、5’、8’、9’)。
また、HLB12未満のポリグリセリン脂肪酸エステル又はポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを含む油脂組成物を用いて製造した焼菓子は、外観に劣る結果となった(比較例2’、8’)。
また、本発明で規定する乳化剤であっても、油脂組成物中の当該乳化剤の含有量が本発明で規定するよりも高いと、焼菓子の風味と食感に劣る結果となった(比較例11’)。
また、本発明で規定する成分(A)中のC48トリアシルグリセロール又はC58トリアシルグリセロールの含有量が本発明で規定する範囲外であると、食感に劣る傾向があった(比較例12’、13’、14’、15’)。
さらに、比較例1〜17の油脂組成物を用いて製造した焼菓子とチョコレートとを組み合わせた複合菓子のほぼ全てが白色化度5.5以上となり、品質が劣化しやすいものであった(比較例1’’〜12’’、比較例14’’〜17’’)。
これに対し、本発明で規定する油脂組成物を用いて製造した焼菓子は、外観、風味、食感のいずれも良好であり、当該焼菓子とチョコレートとを組み合わせた複合菓子では、白色化度が5.2以下に抑えられ、品質劣化がより抑えられていた。

Claims (8)

  1. 下記成分(A)100質量部に対して下記成分(B)を0.2〜3質量部含有する油脂組成物:
    (A)構成脂肪酸の炭素数の合計が48であるトリアシルグリセロールを11質量%以上、及び構成脂肪酸の炭素数の合計が58であるトリアシルグリセロールを2.5〜7.5質量%含有し、かつ、全構成脂肪酸中、炭素数12の飽和脂肪酸の割合が4〜8質量%、炭素数18の不飽和脂肪酸の割合が40〜50質量%、炭素数22の飽和脂肪酸の割合が3〜10質量%である油脂;
    (B)有機酸モノグリセリド、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム及びHLBが12以上のノニオン性乳化剤から選ばれる1種又は2種以上の乳化剤。
  2. 成分(A)の油脂が、構成脂肪酸の炭素数の合計が52であるトリアシルグリセロールを18質量%以上含有する、請求項1に記載の油脂組成物。
  3. HLBが12以上のノニオン性乳化剤がポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びポリソルベートから選ばれる1種又は2種以上である、請求項1又は2記載の油脂組成物。
  4. 有機酸モノグリセリドがクエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド及びジアセチル酒石酸モノグリセリドから選ばれる1種又は2種以上である、請求項1〜3のいずれか1項記載の油脂組成物。
  5. 少なくとも請求項1〜4のいずれか1項記載の油脂組成物、小麦粉、糖類又は甘味料とを構成成分として含有する焼菓子。
  6. 請求項5に記載の焼菓子とチョコレートとを組み合わせてなる複合菓子。
  7. 少なくとも請求項1〜4のいずれか1項記載の油脂組成物と、小麦粉と、糖類又は甘味料と、水とを混合して生地を調製し、該生地を焼成することを含む焼菓子の製造方法。
  8. 少なくとも請求項1〜4のいずれか1項記載の油脂組成物と、小麦粉と、糖類又は甘味料と、水とを混合して生地を調製し、該生地を焼成して焼菓子を得る工程と、得られた焼菓子とチョコレートとを組み合せて複合菓子を得る工程とを含む、複合菓子の製造方法。

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