JP6062542B2 - ブロック共重合体を含有する粘着剤 - Google Patents

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Description

本発明は粘着剤に関する。詳細には、本発明は特定のグラジェント共重合体ブロックを有するブロック共重合体を含有する粘着剤に関する。本発明の粘着剤は、溶融加工性に優れ、保持力が高く、タックや濡れ性も良好であるため、特にホットメルト型粘着剤としての使用に好適である。
アクリル系粘着剤は、ゴム系粘着剤に比べ、その化学構造に由来する優れた耐候性や透明性の特徴を活かして、光学フィルム、プロテクトフィルム、ラベル、医療用テープ、工業用テープ等の粘着製品に広く用いられている。一般にアクリル系粘着剤は、その形態に基づき、主として溶液型粘着剤、エマルジョン型粘着剤、およびホットメルト型粘着剤に分類される。また、近年、塗工後にUVを照射して反応させるUV硬化型粘着剤も開発されている。
本明細書では「粘着剤」とは「感圧接着剤(pressure−sensitive adhesive)」を意味する。ここで、「感圧接着剤」とは、高粘度・低弾性率の半固体であり、接合後も状態の変化がなく、再剥離及び再接着が可能なものをいう。「感圧接着剤」は、一般的に界面剥離を起こし、さらに初期タックが強いものである。
溶液型粘接着剤は粘接着剤成分を有機溶剤に溶解してなり、基材に塗布し有機溶剤を蒸発させることによって基材上に粘接着剤層を設けるため、使用される有機溶剤の環境への影響が問題とされている。エマルジョン型粘接着剤は粘接着剤成分を水に微小粒子状態で分散してなり、基材に塗布し水を蒸発させることによって基材上に粘接着剤層を設けるため、排水処理や乾燥エネルギーが大きいことが問題とされている。UV硬化型粘接着剤は、例えば、オリゴマー、モノマーおよび光重合開始剤を調合した液を基材に塗布し、それにUVを照射してモノマーを重合させて粘接着剤層を設けるが、一部のモノマーが残存して臭気や毒性が問題となることがある。一方、ホットメルト型粘接着剤は、粘着剤成分そのものを熱溶融状態で基材に塗布し基材上に粘接着剤層を設けるため、有機溶剤や水の乾燥工程を必要としないため、粘着製品の生産性が高いうえ、環境負荷が小さく、安全性に優れる。しかしながら、ホットメルト型粘接着剤は、温度をかけると溶融するので、高温下や長時間の荷重負荷に対する保持力が低い欠点がある。
保持力が低い欠点を改善しうるアクリル系ホットメルト型粘着剤を得るための過去の検討としては、例えば、以下のような報告がある。
特許文献1では、アクリル系トリブロック共重合体を用いたホットメルト型粘着剤(感圧接着剤組成物)の報告がなされている。この報告の中で、テーパー構造を有さないことで、ホットメルト型粘着剤の配合自由度が妨げられず、凝集強さが減少しないことが記載されている。しかし、ホットメルト加工性、粘着剤性能になお問題がある場合があった。
特許文献2では、特定のアクリル系ジブロック共重合体を含むホットメルト型粘着剤の報告がなされている。この報告の中で、特定のアクリル系ジブロック共重合体をアクリル系トリブロック共重合体と組み合わせることによって、保持力の低下を抑えつつ、ホットメルト加工性を高められることが記載されている。しかし、ホットメルト加工性を優先する場合、特に低温かつ高速でのホットメルト塗工を行う場合、保持力などに改善の余地があった。
一方、特許文献3では、イソシアネートとアクリル系ブロック共重合体を含む反応性ホットメルト型接着剤の報告がなされている。この報告の中で、ブロック間にグラジェント構造をもつと、グリーン強度が低下し、オープンタイムが長くなることが記載されている。しかし、この接着剤は反応型であるため、被着体に貼付後反応して被着体と接着し、反応後には粘着性を失ってしまい、テープやラベルなど再剥離される粘着製品の用途(粘着剤としての用途)には使用することはできないものであった。
なお、本明細書において「接着剤」とは、被着体の接合後に固化の工程が必要で、その後に高い接着性を発現し、再剥離が困難なものを意味し、上記「粘着剤」とは明確に区別される。「接着剤」としては、「感熱接着剤」や反応性・UV硬化型接着剤などが含まれ、剥離時に凝集破壊を起こすものがよいとされている。「接着剤」と「粘着剤」とは用いられる用途が根本的に異なり、「接着剤」を「粘着剤」の用途に用いることは適切でない。
特表2002−533556号公報 特開2004−2736号公報 特開2006−117932号公報 特開平06−93060号公報 特表平05−507737号公報 特開平11−335432号公報 米国特許5403658号明細書
Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry、2005年、43巻、p.1100〜1118 Macromolecular Chemistry and Physics、2000年、201巻、p.1108〜1114
しかして、本発明の目的は、溶融加工性と保持力を両立でき、比較的低い温度で高速に塗布するホットメルト塗工方式への適用に好適であり、透明性と耐候性とに優れ、さらに低温での粘着性にも優れるアクリル系ホットメルト型粘着剤、および前記粘着剤に好適に用いるブロック共重合体を提供することである。
本発明によれば、上記目的は、
[1]下記の一般式(I);
−[A1]−[B/A2]− (I)
(式(I)中、[A1]はメタクリル酸エステル(A1)に由来する構造単位からなる重合体ブロックを示し、[B/A2]はアクリル酸エステル(B)に由来する構造単位とメタクリル酸エステル(A2)に由来する構造単位からなる共重合体ブロックを示し、かつ、共重合体ブロック[B/A2]は重合体ブロック[A1]との結合部からメタクリル酸エステル(A2)の共重合比率が連続して増加するグラジェント共重合体ブロック部分を有する。)
で表される構造を少なくとも1つ有し、メタクリル酸エステル(A1)およびメタクリル酸エステル(A2)由来の構造単位の合計の含有量が5〜60質量%であり、重量平均分子量(Mw)が30,000〜300,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜1.5であるブロック共重合体を含有する粘着剤、
[2]前記ブロック共重合体が、下記の一般式(II);
[A1]−[B/A2] (II)
で表されるブロック共重合体である[1]の粘着剤、
[3]前記ブロック共重合体における、下記の一般式(III);
AAB/(AAB+BAB) (III)
(式中、AABは、ブロック共重合体中のメタクリル酸エステル(A)−メタクリル酸エステル(A)−アクリル酸エステル(B)の三連子モノマー連鎖の割合を示し、BABは、ブロック共重合体中のアクリル酸エステル(B)−メタクリル酸エステル(A)−アクリル酸エステル(B)の三連子モノマー連鎖の割合を示す。)
で表されるモノマー連鎖分布の割合が0.10〜0.70であることを特徴とする[1]または[2]の粘着剤、
[4]前記ブロック共重合体がミクロ相分離構造を形成することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の粘着剤、
[5]重合体ブロック[A1]が100℃以上のガラス転移温度を有し、共重合体ブロック[B/A2]が10℃以下のガラス転移温度を有する前記ブロック共重合体を含有する、[1]〜[4]のいずれかの粘着剤、
[6]メタクリル酸エステル(A1)およびメタクリル酸エステル(A2)由来の構造単位の合計の含有量が5〜32質量%である前記ブロック共重合体を含有する、[1]〜[5]のいずれかの粘着剤、
[7]分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜1.3である前記ブロック共重合体を含有する、[1]〜[6]のいずれかの粘着剤、
[8]メタクリル酸エステル(A1)とメタクリル酸エステル(A2)がメタクリル酸メチルである前記ブロック共重合体を含有する、[1]〜[7]のいずれかに記載の粘着剤、
[9]アクリル酸エステル(B)が、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸n−オクチル、およびこれらの混合物からなる群より選ばれるモノマーである前記ブロック共重合体を含有する、[1]〜[8]のいずれかの粘着剤、
[10]アクリル酸エステル(B)が、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、およびアクリル酸n−オクチルからなる群より選ばれる2つ以上の混合モノマーである前記ブロック共重合体を含有する、[9]の粘着剤、
[11]重合体ブロック[A1]の三連子シンジオタクティシティ(rr)が65%以上である前記ブロック共重合体を含有する、[1]〜[10]のいずれかの粘着剤、
[12]有機アルミニウム化合物存在下におけるアニオン重合により得られる前記ブロック共重合体を含有する、[1]〜[11]のいずれかの粘着剤、
[13][1]〜[12]のいずれかの粘着剤が含有するブロック共重合体;
を提供することにより達成される。
本発明の粘着剤は、溶融加工性と保持力を両立でき、耐候性、耐熱性、低温での粘着性、および透明性に優れる。本発明により、粘着加工方法として、有機溶剤や水の乾燥工程を必要とせず、省エネルギーや省資源の観点で利点を有するホットメルト塗工方法を採用でき、紫外線に晒される環境下や低温の使用環境条件下においても、長期にわたり優れた粘着性能を有する粘着剤および粘着製品を提供できる。
メタクリル酸メチルおよびアクリル酸n−ブチルの各時間の重合転化率を示した図である。 合成例1で得られたブロック共重合体(I−1)の13C−NMRスペクトルを示した図である。 合成例10で得られたブロック共重合体(C−5)の13C−NMRスペクトルを示した図である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸エステル」は、「メタクリル酸エステル」と「アクリル酸エステル」との総称であり、また「(メタ)アクリル」は、「メタクリル」と「アクリル」との総称である。
本発明において用いるブロック共重合体は、下記の一般式(I);
−[A1]−[B/A2]− (I)
(式(I)中、[A1]はメタクリル酸エステル(A1)に由来する構造単位からなる重合体ブロックを示し、[B/A2]はアクリル酸エステル(B)に由来する構造単位とメタクリル酸エステル(A2)に由来する構造単位からなる共重合体ブロックを示し、かつ、共重合体ブロック[B/A2]は重合体ブロック[A1]との結合部からメタクリル酸エステル(A2)の共重合比率が連続して増加するグラジェント共重合体ブロック部分を有する。)
で表される構造を少なくとも1つ有し、メタクリル酸エステル(A1)およびメタクリル酸エステル(A2)由来の構造単位の合計の含有量が5〜60質量%であり、重量平均分子量(Mw)が30,000〜300,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜1.5である。
なお、本明細書中では、メタクリル酸エステル(A1)とメタクリル酸エステル(A2)を総称して、メタクリル酸エステル(A)と称する場合がある。
重合体ブロック[A1]は、メタクリル酸エステル(A1)に由来する構造単位からなり、メタクリル酸エステル(A1)を重合して得られる重合体ブロックである。メタクリル酸エステル(A1)としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジルなどの、官能基を有さないメタクリル酸エステル;メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−アミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリルなどの、官能基を有するメタクリル酸エステルなどが挙げられる。
これらの中でも、粘着剤を溶融する際に分解やゲル化が少ない観点から、官能基を有さないメタクリル酸エステルが好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピルがより好ましい。重合体ブロック[A1]と共重合体ブロック[B/A2]のミクロ相分離が明瞭となり、粘着剤としたときに高い保持力を発現する点で、メタクリル酸メチルがさらに好ましい。重合体ブロック[A1]は、これらメタクリル酸エステル(A1)の1種から形成されていても、2種以上から形成されていてもよい。
また、重合体ブロック[A1]中に含まれるメタクリル酸エステル(A1)単位の割合は、重合体ブロック[A1]中60質量%以上100質量%以下が好ましく、80質量%以上100質量%以下がより好ましく、90質量%以上100質量%以下がさらに好ましい。
上記共重合体ブロック[B/A2]はアクリル酸エステル(B)に由来する構造単位とメタクリル酸エステル(A2)に由来する構造単位からなり、アクリル酸エステル(B)およびメタクリル酸エステル(A2)を共重合して得られる共重合体ブロックである。
アクリル酸エステル(B)としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジルなどの官能基を有さないアクリル酸エステル;アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−アミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸テトラヒドロフルフリルなどの、官能基を有するアクリル酸エステルなどが挙げられる。
これらの中でも、アクリル酸エステル(B)としては、粘着剤を溶融する際に分解やゲル化が少ない観点から、官能基を有さないアクリル酸エステルが好ましく、得られる粘着剤の柔軟性、耐寒性を向上させる観点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸n−オクチルがより好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、得られる粘着剤の低温(10℃〜−40℃)での粘着特性(タック、接着力等)が優れ、高い接着力を発現する点から、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸n−オクチルの中から選ばれる2つ以上を併用することがさらに好ましい。中でも、アクリル酸n−ブチルとアクリル酸2−エチルヘキシルを併用する場合は、粘着力が高く、また、重合体ブロック[A1]と共重合体ブロック[B/A2]のミクロ相分離が明瞭となるため、粘着剤としたときに高い保持力を発現する点でさらに好ましい。
メタクリル酸エステル(A2)としては、前記メタクリル酸エステル(A1)と同様のメタクリル酸エステルが挙げられる。
中でも、粘着剤を溶融する際に分解やゲル化が少ない観点から、官能基を有さないメタクリル酸エステルが好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピルがより好ましい。メタクリル酸エステル(A2)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、メタクリル酸エステル(A2)はメタクリル酸エステル(A1)と同じであっても異なっていてもよいが、同じであると、得られる粘着剤のホットメルト塗工性と保持力を両立できる。特に、メタクリル酸エステル(A1)とメタクリル酸エステル(A2)が共にメタクリル酸メチルの場合は、保持力をより高めることができる点で好ましい。
また、上記共重合体ブロック[B/A2]中のアクリル酸エステル(B)単位とメタクリル酸エステル(A2)単位との合計の割合は、共重合体ブロック[B/A2]中60質量%以上100質量%以下が好ましく、80質量%以上100質量%以下がより好ましく、90質量%以上100質量%以下がさらに好ましい。
共重合体ブロック[B/A2]は重合体ブロック[A1]との結合部からメタクリル酸エステル(A2)の共重合比率が連続して増加するグラジェント共重合体ブロック部分を有している。すなわち、共重合体ブロック[B/A2]中、重合体ブロック[A1]との結合部付近の部分では、メタクリル酸エステル(A2)の共重合比率が低く、アクリル酸エステル(B)の共重合比率が高い構造であり、結合部から離れた部分では、メタクリル酸エステル(A2)の共重合比率が高く、アクリル酸エステル(B)の共重合比率が低い構造となっている共重合体部分を有している。共重合体ブロック[B/A2]は、このグラジェント共重合体ブロックのみからなっていてもよく、このグラジェント共重合体ブロック部分に続いて、さらにメタクリル酸エステル(A2)のみに由来する重合体部分が結合していてもよい。また、共重合体ブロック[B/A2]中のメタクリル酸エステル(A2)の共重合比率は、[A1]の結合部付近から結合部から離れた末端まで重合度が増加するにつれて直線的に増加してもよいし、初めは急激に増加してその後緩やかに増加してもよいし、初めは緩やかに増加してその後急激に増加してもよい。
本発明で用いるブロック共重合体としては、下記の一般式(II)で表されるブロック共重合体であることが、溶融加工性と保持力とのバランスの観点から好ましい。
[A1]−[B/A2] (II)
また、本発明で用いるブロック共重合体は、上述のグラジェント共重合体ブロック部分を有することから、その分子構造中に、メタクリル酸エステル(A)−メタクリル酸エステル(A)−アクリル酸エステル(B)の三連子モノマー連鎖「AAB」及びアクリル酸エステル(B)−メタクリル酸エステル(A)−アクリル酸エステル(B)の三連子モノマー連鎖「BAB」を有する。本発明で用いるブロック共重合体においては、ホットメルト塗工性と保持力を両立できる観点から、
下記の一般式(III);
AAB/(AAB+BAB) (III)
(式中、AABは、ブロック共重合体中のメタクリル酸エステル(A)−メタクリル酸エステル(A)−アクリル酸エステル(B)の三連子モノマー連鎖の割合を示し、BABは、ブロック共重合体中のアクリル酸エステル(B)−メタクリル酸エステル(A)−アクリル酸エステル(B)の三連子モノマー連鎖の割合を示す。)
で表されるモノマー連鎖分布の割合が0.10〜0.70であることが好ましく、0.13〜0.50であることがより好ましく、0.15〜0.45であることがさらに好ましい。
上記のモノマー連鎖分布は、ブロック共重合体の核磁気共鳴(NMR)スペクトルにみられるモノマー連鎖構造由来のシグナルの積分値から求めることができる。例えば、非特許文献1に記載のシグナルの帰属に基づいて、後述の実施例に記載の方法により求められる。
また、共重合体ブロック[B/A2]中のメタクリル酸エステル(A2)単位の含有量は特に限定されないが、通常1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましく、10〜15質量%であることがさらに好ましい。1質量%よりも少ないと粘着剤としての保持力が低下し、また、30質量%よりも多いと低温での粘着性が低下する。さらに、共重合体ブロック[B/A2]中のアクリル酸エステル(B)単位の含有量は特に限定されないが、通常99〜70質量%であることが好ましく、95〜80質量%であることがより好ましく、90〜85質量%であることがさらに好ましい。
上記一般式(I)において、メタクリル酸エステル(A1)およびメタクリル酸エステル(A2)由来の構造単位の合計の含有量は5〜60質量%であり、アクリル酸エステル(B)由来の構造単位の合計の含有量は95〜40質量%である。優れた粘着性を有し、また、取り扱いが容易な形態(例えばペレット状等)でブロック共重合体やそれを用いた粘着剤の供給が可能となる観点から、メタクリル酸エステル(A1)およびメタクリル酸エステル(A2)由来の構造単位の合計の含有量は5〜32質量%であり、アクリル酸エステル(B)由来の構造単位の合計の含有量は95〜68質量%であることが好ましく、メタクリル酸エステル(A1)およびメタクリル酸エステル(A2)由来の構造単位の合計の含有量は12〜18質量%であり、アクリル酸エステル(B)由来の構造単位の合計の含有量は88〜82質量%であることがより好ましい。
本発明に用いるブロック共重合体の全体の重量平均分子量(Mw)は、30,000〜300,000である。中でも、粘着剤の製造の観点から40,000〜200,000が好ましく、50,000〜180,000がより好ましく、60,000〜150,000がさらに好ましく、90,000〜130,000が特に好ましい。ホットメルト塗工法、Tダイ法、インフレーション法、カレンダー成形法、ラミネーション法など、加熱溶融して本発明の粘着剤を用いる場合には、塗工やフィルム加工の生産性の観点から、前記重量平均分子量(Mw)は30,000〜150,000が好ましく、35,000〜120,000がより好ましい。さらに、押出しなどの粘度挙動の安定性および塗工性の観点からは、重量平均分子量(Mw)が40,000〜100,000であることが特に好ましい。
本発明に用いる上記ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で示される分子量分布(Mw/Mn)は1.0〜1.5である。粘着剤とした際に高温での保持力が高い観点から、1.0〜1.4であることが好ましく、1.0〜1.3であることがより好ましい。
重合体ブロック[A1]の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、通常1,000〜50,000が好ましく、4,000〜20,000がより好ましい。重合体ブロック[A1]の重量平均分子量(Mw)がこの範囲より小さい場合には、得られる粘着剤の保持力が不足する傾向がある。また、重合体ブロック[A1]の重量平均分子量(Mw)がこの範囲より大きい場合には、得られる粘着剤の溶融粘度が高くなり、ホットメルト
加工性が低下する傾向がある。
共重合体ブロック[B/A2]の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、通常10,000〜250,000が好ましく、30,000〜150,000がより好ましい。共重合体ブロックの重量平均分子量(Mw)がこの範囲より小さい場合には、得られる粘着剤の保持力が不足し、粘着力が低下する傾向となる。また、共重合体ブロックの重量平均分子量(Mw)がこの範囲より大きい場合には、得られる粘着剤の溶融粘度が高くなり、ホットメルト加工性が低下する傾向がある。
上記重合体ブロック[A1]および共重合体ブロック[B/A2]には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて他の単量体に由来する構造単位を含有してもよい。かかる他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリルアミド等のカルボキシル基を有するビニル系単量体;(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の官能基を有するビニル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系単量体;エチレン、プロピレン、イソブテン、オクテン等のオレフィン系単量体;ε−カプロラクトン、バレロラクトン等のラクトン系単量体等が挙げられる。これら他の単量体を用いる場合は、通常少量で使用され、各重合体ブロックに使用する単量体の全質量に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下の量で使用される。
本発明に使用するブロック共重合体は、ミクロ相分離構造を形成することが好ましい。ミクロ相分離構造を形成することで、ガラス転移温度の高い成分からなる硬質相は物理的な擬似架橋を形成して優れた保持力を発現し、ガラス転移温度の低い成分からなる軟質相は優れた粘着性を発現する。ミクロ相分離構造は、各重合体ブロックの質量比、体積比率、重合度などに応じて、球構造、シリンダー構造、ラメラ構造を形成する。中でも、硬質相が球構造もしくはシリンダー構造をとる場合に、優れた保持力と粘着性を発現する。
上記重合体ブロック[A1]は、100℃以上のガラス転移温度を有することが好ましい。重合体ブロック[A1]のガラス転移温度が100℃以上であると、ミクロ相分離構造を形成する際に硬質相となって物理的な擬似架橋点として作用すると推測され、優れた保持力が発揮される。ホットメルト塗工性と保持力の両立の観点から、重合体ブロック[A1]のガラス転移温度は、100℃〜200℃がより好ましく、100℃〜150℃が特に好ましい。
また、上記共重合体ブロック[B/A2]は、10℃以下のガラス転移温度を有することが好ましい。共重合体ブロック[B/A2]のガラス転移温度が10℃以下であると、ミクロ相分離構造を形成する際に軟質相となって優れた柔軟性と濡れ性が付与され、粘着性が発現される。低温条件下でのタックに優れる観点から、共重合体ブロック[B/A2]のガラス転移温度は、−30℃以下がより好ましく、−40℃〜−80℃が特に好ましい。
共重合体ブロック[B/A2]中、グラジェント共重合体ブロック部分に続いて、メタクリル酸エステル(A2)のみに由来する重合体部分が結合している場合には、この重合体部分のガラス転移温度は、100℃以上のガラス転移温度を有することが好ましい。ガラス転移温度が100℃以上であると、ミクロ相分離構造を形成する際に硬質相となって物理的な擬似架橋点として作用すると推測され、優れた保持力が発揮される。ホットメルト塗工性と保持力の両立の観点から、メタクリル酸エステル(A2)のみに由来する重合体部分のガラス転移温度は、100℃〜200℃がより好ましく、100℃〜150℃が特に好ましい。なお、メタクリル酸エステル(A2)のみに由来する重合体部分のガラス転移温度は重合体ブロック[A1]のガラス転移温度とはガラス転移温度の通常の測定方法においては区別できない。
本発明者らの検討で、従来のグラジェント共重合体部分(テーパー構造)を有さないアクリル系トリブロック共重合体は、ホットメルト加工性を高めるために例えば粘着付与樹脂などを配合する必要があり、粘着剤としての保持力が低下してしまう場合があることが判明した。今回、本発明に使用されるブロック共重合体中の共重合体ブロック[B/A2]が重合体ブロック[A1]との結合部からメタクリル酸エステル(A2)の共重合比率が連続して増加するグラジェント共重合体ブロック部分を有する場合に、ホットメルトや溶融押出の加工性に優れ、保持力が高く、タックや濡れ性も良好な粘着剤を製造できることを見出した。
本発明の粘着剤がホットメルトや溶融押出の加工性に優れる理由は不明であるが、上記グラジェント共重合体ブロック部分の存在により、通常のブロック共重合体に比べて秩序−無秩転移温度(order−disorder transition temperature、ODTT)が低いためと推測される。特に、ODTT以上の温度で、本発明の粘着剤は高速で且つ平滑にホットメルト塗工できる。一方、従来のアクリル系ジブロック共重合体を含むホットメルト粘着剤では、ODTTが比較的高く、低温かつ高速でホットメルト塗工した場合には、保持力が充分ではない場合がある。
また、本発明の粘着剤が保持力に優れる理由としては以下が考えられる。すなわち、粘着剤としたときの使用温度条件下(例えば、室温)において、共重合体ブロック[B/A2]のうち、重合体ブロック[A1]との結合部から近い部分ではアクリル酸エステル(B)に由来する構造単位が主であり、重合体ブロック[A1]から明確にアクリル酸エステル(B)に由来する構造単位を主とする部分に切り替わるため、重合体ブロック[A1]と共重合体ブロック[B/A2]とは比較的明瞭にミクロ相分離すると推定される。このため、保持力がより高くなるものと考えられる。
一方、共重合体ブロック[B/A2]がアクリル酸エステル(B)とメタクリル酸エステル(A2)からなるランダム共重合体である場合には、共重合体ブロック[B/A2]のガラス転移温度が高くなり低温でのタックが低下する。また、共重合体ブロック[B/A2]が重合体ブロック[A1]との結合部からメタクリル酸エステル(A2)の共重合比率が連続して減少するグラジェント共重合体ブロックである場合、言い換えれば、共重合体ブロック[B/A2]のうち、重合体ブロック[A1]との結合部から近い部分ではメタクリル酸エステル(A2)に由来する構造単位が主であり、重合体ブロック[A1]との結合部から離れた部分ではアクリル酸エステル(B)に由来する構造単位が主である構造(一般式 −[B/A2]−[A1]− (I’) で表される構造)である場合には、重合体ブロック[A1]からアクリル酸エステル(B)に由来する構造単位を主とする部分に明確に切り替わる構造を有さないため、ミクロ相分離構造が不明瞭になり、相対的に保持力が低下する傾向がある。
上記重合体ブロック[A1]の立体規則性は特に制限はないが、三連子シンジオタクティシティ(rr)が65%以上であることが好ましく、70〜95%であることがより好ましい。重合体ブロック[A1]のシンジオタクティシティが65%以上であると、粘着剤の保持力が良好になる。また、三連子アイソタクティシティ(mm)は0〜3%であることが好ましく、0〜2%であることがより好ましい。三連子ヘテロタクティシティ(mr)は2〜35%であることが好ましく、3〜30%であることがより好ましい。
本発明に用いる上記ブロック共重合体の製造方法は、化学構造に関する本発明の条件を満足する重合体が得られる限りにおいて特に限定されることなく、公知の手法に準じた方法を採用することができる。一般に、分子量分布の狭いブロック共重合体を得る方法としては、構成単位である単量体をリビング重合する方法が採用される。このようなリビング重合の手法としては、例えば、有機希土類金属錯体を重合開始剤としてリビング重合する方法(特許文献4参照)、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩などの鉱酸塩の存在下でリビングアニオン重合する方法(特許文献5参照)、有機アルミニウム化合物の存在下で、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としリビングアニオン重合する方法(特許文献6参照)、原子移動ラジカル重合法(ATRP)(非特許文献2参照)などが挙げられる。
上記製造方法のうち、有機アルミニウム化合物の存在下で有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としてリビングアニオン重合する方法は、得られるブロック共重合体の透明性が高いものとなり、残存単量体が少なく臭気が抑えられ、また、粘着剤組成物として用いる際、貼り合わせ後の気泡の発生を抑制できるため好ましい。さらに、メタクリル酸エステル重合体ブロックの分子構造が高シンジオタクティックとなり、粘着剤組成物の耐熱性を高める効果がある点、比較的温和な温度条件下でリビング重合が可能で工業的に生産する場合に環境負荷(主に重合温度を制御するための冷凍機にかかる電力)が小さい点でも好ましい。
上記有機アルミニウム化合物としては、例えば下記一般式(IV)
AlR123 (IV)
(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基又はN,N−二置換アミノ基を表すか、或いはR1が上記したいずれかの基であり、R2及びR3が一緒になって置換基を有していてもよいアリーレンジオキシ基を形成している。)
で表される有機アルミニウム化合物が挙げられる。
上記一般式(IV)で表される有機アルミニウム化合物としては、重合のリビング性の高さや取り扱いの容易さなどの点から、イソブチルビス(2,6−ジtert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジtert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル〔2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウムなどが好ましく挙げられる。
上記有機アルカリ金属化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、テトラメチレンジリチウム等のアルキルリチウムおよびアルキルジリチウム;フェニルリチウム、p−トリルリチウム、リチウムナフタレン等のアリールリチウムおよびアリールジリチウム;ベンジルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムの反応により生成するジリチウム等のアラルキルリチウムおよびアラルキルジリチウム;リチウムジメチルアミド等のリチウムアミド;メトキシリチウム、エトキシリチウム等のリチウムアルコキシドなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、重合開始効率が高いことから、アルキルリチウムが好ましく、中でもtert−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムがより好ましく、sec−ブチルリチウムがさらに好ましい。
上記リビングアニオン重合は、必要に応じて、反応系内にジメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、12−クラウン−4などのエーテル化合物;トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ピリジン、2,2’−ジピリジルなどの含窒素化合物をさらに添加することができる。これらの化合物を添加すると、重合速度とリビング重合性が高まり、より分子量分布の小さい、高分子量のブロック共重合体を得ることができる。
また、上記リビングアニオン重合は、通常、重合反応に不活性な溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物などが挙げられる。
本発明に用いるブロック共重合体は、例えば、メタクリル酸エステル(A1)を重合して得た所望のリビングポリマー(重合体ブロック[A1])末端に、共重合体ブロック[B/A2]を形成させ、別の所望の重合体ブロックを形成する工程を所望の回数繰り返した後、重合反応を停止させることにより製造できる。重合体ブロック[A1]を形成させる前に、所望の重合体ブロックを形成する工程を含んでいてもよい。具体的には、例えば有機アルミニウム化合物の存在下、有機アルカリ金属化合物からなる重合開始剤により、第1の重合体ブロック[A1]を形成する単量体を重合する第1工程、第2の共重合体ブロック[B/A2]を形成する単量体を重合する第2工程、および、必要に応じて第3の重合体ブロックを形成する単量体を重合する第3工程を含む複数段階の重合工程を経て、得られた重合体の活性末端をアルコールなどと反応させ、重合反応を停止させることにより、ブロック共重合体を製造できる。
本発明に用いるブロック共重合体は、[B/A2]共重合体ブロック部分に、グラジェント共重合体ブロック部分を有する。一般にグラジェント共重合体ブロック部分を有する共重合体ブロックは、上記のリビング重合方法において、共重合反応性比の異なる2つ以上のモノマーを混合して共重合させることによって形成できる。例えば、リビング重合末端に対して、共重合反応性比の異なる2つのモノマー(XとY)を混合して反応系内に添加すると、まず、共重合反応性比の大きいモノマー(以下、X)の重合が優先して進む。次第に系内のXの濃度が低くなると、共重合反応性比の小さいモノマー(以下、Y)のXに対する相対濃度が高くなっていき、Yの重合が進むようになる。その結果、分子鎖に沿ってXとYの共重合比率が連続して変化するグラジェント共重合体ブロック部分を有する共重合体ブロックを形成できる。例えば、特許文献7では、共重合反応性比の異なるスチレンとブタジエンを共重合することにより、グラジェント共重合体が得られることが開示されている。
上記の方法によれば、本発明に用いるブロック共重合体中[B/A2]共重合体ブロックの重合は、共重合反応性比の異なるアクリル酸エステル(B)とメタクリル酸エステル(A2)を混合して共重合させることにより形成できる。例えば、アクリル酸エステル(B)は、メタクリル酸エステル(A)と比較して、アニオン重合における反応性比が大きい(特許文献6参照)ため、これらを混合して共重合させると、アクリル酸エステル(B)の重合が優先して進み、その後、メタクリル酸エステル(A)のアクリル酸エステル(B)に対する相対濃度が高くなっていき、メタクリル酸エステル(A)の重合が進むようになる。
また、上記のリビング重合する方法において、モノマーXおよびモノマーYの混合物を複数回に分割して添加する方法でもグラジェント共重合体ブロック部分を有する共重合体ブロックを形成できる。その場合、添加方法としては、共重合反応性比の大きいモノマーXが消費され、共重合反応性比の小さいモノマーYがまだ残存するタイミングで、該モノマー混合物を添加することにより、分割添加の後半になるに伴って、YのXに対する相対濃度が高まり、より分子量の大きいグラジェント共重合体ブロックを形成できる。混合モノマーを複数回に分割して添加する場合の添加回数に厳密な意味での制限はないが、通常3回以上であり、連続的なグラジェント共重合体ブロック部分を有する共重合体ブロックが容易に形成できる観点から、5回以上が好ましく、10回以上がより好ましい。また、混合モノマーを複数回に分割して添加する場合の各回の添加量は、連続的なグラジェント共重合体ブロック部分を有する共重合体ブロックが容易に形成できる観点から、各回とも等しい量にするか、あるいは、後の回ほど少ない量になるよう傾斜をかけることが好ましい。
重合温度としては、メタクリル酸エステル(A)を重合する際は0℃〜100℃、アクリル酸エステル(B)あるいはアクリル酸エステル(B)とメタクリル酸エステル(A)の混合モノマーを重合する際は−50℃〜50℃が好ましい。上記範囲より重合温度が低い場合には、反応の進行が遅くなり、反応を完結させるのに長時間必要となる。一方、上記範囲より重合温度が高い場合には、リビングポリマー末端の失活が増え、分子量分布が広くなったり、所望のブロック共重合体が得られなくなったりする。
本発明の粘着剤に含有されるブロック共重合体は、本発明の粘着剤中、保持力および耐熱性の観点から、10質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましく、72質量%以上が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。
本発明の粘着剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の重合体、粘着付与樹脂、軟化剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤、着色剤、染色剤、屈折率調整剤、フィラー、硬化剤などの添加剤を1種または2種以上含有していてもよい。
上記他の重合体としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルおよび本発明で用いるブロック共重合体以外の(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂;ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリノルボルネン等のオレフィン系樹脂;エチレン系アイオノマー;ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ハイインパクトポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、MBS樹脂等のスチレン系樹脂;スチレン−メタクリル酸メチル共重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ポリアミドエラストマー等のポリアミド;ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリビニルアルコール;エチレン−ビニルアルコール共重合体;ポリアセタール;ポリフッ化ビニリデン;ポリウレタン;変性ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンスルフィド;シリコーンゴム変性樹脂;アクリル系ゴム;シリコーン系ゴム;SEPS、SEBS、SIS等のスチレン系熱可塑性エラストマー;IR、EPR、EPDM等のオレフィン系ゴムなどが挙げられる。これらの中でも、本発明の粘着剤を構成するアクリル系ブロック共重合体との相溶性の観点から、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、AS樹脂、ポリ乳酸、ポリフッ化ビニリデンが好ましく、本発明で用いるブロック共重合体以外の(メタ)アクリル酸エステル共重合体がより好ましい。
上記本発明に用いられるブロック共重合体以外の(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、メタクリル酸エステル単位からなる少なくとも1個の重合体ブロックと、アクリル酸エステル単位からなる少なくとも1個の重合体ブロックからなるグラジェント構造を有しないジブロック共重合体、およびグラジェント構造を有しないトリブロック共重合体が好ましい。
本発明の粘着剤が含有していてもよい粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等の天然樹脂;石油樹脂、水素添加(以下、「水添」ということがある)石油樹脂、スチレン系樹脂、クマロン−インデン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂等の合成樹脂などが挙げられる。また、粘着付与樹脂を含有させる場合、その含有量としては、溶融加工性、接着力と耐久性の観点から、本発明で用いるブロック共重合体100質量部に対し1〜200質量部であることが好ましく、1〜100質量部であることが次に好ましく、3〜70質量部であることがより好ましく、5〜50質量部であることがさらに好ましく、5〜40質量部であることが特に好ましく、5〜35質量部であることが最も好ましい。
上記ロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等のロジン;水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等の変性ロジン;これらロジン、変性ロジンのグリセリンエステル、ペンタエリスリトールエステル等のロジンエステル等が挙げられる。上記ロジン類の具体例としては、パインクリスタルKE−100、パインクリスタルKE−311、パインクリスタルKE−359、パインクリスタルKE−604、パインクリスタルD−6250、ペンセルD125、ペンセルD165(いずれも荒川化学工業株式会社製);Foral85、Foral105(Pinova社製)が挙げられる。
上記テルペン系樹脂としては、例えば、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン等を主体とするテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。上記テルペン系樹脂の具体例としては、タマノル901(荒川化学工業株式会社製);YSポリスターT100、YSポリスターT115、YSポリスターT130(ヤスハラケミカル株式会社製)が挙げられる。
上記(水添)石油樹脂等としては、例えば、(水添)脂肪族系(C5系)石油樹脂、(水添)芳香族系(C9系)石油樹脂、(水添)共重合系(C5/C9系)石油樹脂、(水添)ジシクロペンタジエン系石油樹脂、脂環式飽和炭化水素樹脂等が挙げられる。具体例としては、アルコンM90、アルコンM100(荒川化学工業株式会社製)が挙げられる。
上記スチレン系樹脂としては、例えば、ポリα−メチルスチレン、α−メチルスチレン/スチレン共重合体、スチレン/脂肪族系単量体共重合体、スチレン/α−メチルスチレン/脂肪族系単量体共重合体、スチレン系単量体共重合体、スチレン/芳香族系単量体共重合体等が挙げられる。上記スチレン系樹脂の具体例としては、FTR6000シリーズ、FTR7000シリーズ(三井化学株式会社製)が挙げられる。
上記粘着付与樹脂の中でも、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、(水添)石油樹脂およびスチレン系樹脂が好ましく、耐光劣化や着色、不純物による気泡の発生を抑える観点から、蒸留、再結晶、抽出等の操作により精製処理された不均化または水素化ロジン類がより好ましい。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、上記粘着付与樹脂の軟化点については、高い接着力を発現する点から、50℃〜150℃のものが好ましい。
上記可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジn−オクチルフタレート、ビス−2−エチルヘキシルフタレート、ジn−デシルフタレート、ジイソデシルフタレートなどのフタル酸エステル類、ビス−2−エチルヘキシルセバケート、ジn−ブチルセバケートなどのセバシン酸エステル類、ビス−2−エチルヘキシルアゼレートなどのアゼライン酸エステル類、ビス−2−エチルヘキシルアジペート、ジn−オクチルアジペートなどのアジピン酸エステル類などの脂肪酸エステル類;塩素化パラフィンなどのパラフィン類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などのエポキシ系高分子可塑剤;トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェートなどのリン酸エステル類;トリフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類;ポリ(メタ)アクリル酸n−ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル系オリゴマー;ポリブテン;ポリイソブチレン;ポリイソプレン;プロセスオイル;ナフテン系オイルなどが挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、可塑剤を含有させる場合、その含有量としては、溶融加工性、接着力と耐久性の観点から、本発明で用いるブロック共重合体100質量部に対し1〜1000質量部であることが好ましく、2〜500質量部であることがより好ましく、3〜180質量部であることがさらに好ましく、3〜80質量部であることがいっそう好ましく、4〜40質量部であることが特に好ましく、5〜15質量部であることが最も好ましい。
上記フィラーとしては、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維などの無機繊維、および有機繊維;炭酸カルシウム、タルク、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウムなどの無機充填剤などが挙げられる。無機繊維、有機繊維が含まれていると、得られる粘着剤に耐久性が付与される。無機充填剤が含まれていると、得られる粘着剤に耐熱性、耐候性が付与される。
本発明の粘着剤が硬化剤をさらに含有する場合、ホットメルト塗工した後に架橋して用いる硬化型のホットメルト粘着剤として好適に使用できる。硬化剤としては、UV硬化剤などの光硬化剤、熱硬化剤などが挙げられ、例えば、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アントラキノン類、ベンジル類、アセトフェノン類、ジアセチル類などが挙げられる。具体的には、ベンゾイン、α−メチロールベンゾイン、α−t−ブチルベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、α−メチロールベンゾインメチルエーテル、α−メトキシベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾフェノン、9,10−アントラキノン、2−エチル−9,10−アントラキノン、ベンジル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)、ジアセチルなどが挙げられる。硬化剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記硬化剤の効果を高める観点から、例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−ハロゲン化アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸などのα、β−不飽和カルボン酸;アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、クロトン酸エステル、マレイン酸エステルなどのα、β−不飽和カルボン酸エステル;アクリルアミド;メタクリルアミド;N−メチロールアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−(ジヒドロキシエチル)アクリルアミドなどのアクリルアミド誘導体;N−メチロールメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N,N−(ジヒドロキシエチル)メタクリルアミドなどのメタクリルアミド誘導体;ビニルエステル;ビニルエーテル;モノ−N−ビニル誘導体;スチレン誘導体などの単量体;および前記単量体を構成成分として含むオリゴマーなどをさらに添加してもよい。耐久性を高める観点からは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、クロトン酸エステル、マレイン酸エステルなどのα、β−不飽和カルボン酸エステル;ビニルエーテル;スチレン誘導体;および前記単量体を構成成分として含むオリゴマーが好ましい。また、これらの単量体またはオリゴマーの他に、さらに2官能以上の単量体またはオリゴマーからなる架橋剤を加えてもよい。
本発明の粘着剤の製造方法は特に制限されず、例えば、各成分を、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー等の既知の混合装置または混練装置を使用して、通常100℃〜250℃の範囲内の温度で混合することにより製造できる。また、各成分を有機溶媒に溶解して混合した後、該有機溶媒を留去することによって製造してもよい。得られた粘着剤は、加熱溶融して使用可能であり、あるいは溶媒に溶解させて溶液型粘着剤として使用してもよい。溶媒としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、エチルベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、トルエン−エタノール混合溶媒等が挙げられる。なかでもトルエン、エチルベンゼン、酢酸エチル、メチルエチルケトンが好ましい。
本発明の粘着剤を加熱溶融して使用する場合は、加工性・取扱性の観点から、溶融粘度が低いことが好ましく、例えば、ホットメルト加工を行う場合には、200℃での溶融粘度が50,000mPa・s以下であることが好ましく、30,000mPa・s以下であることがより好ましい。さらに低温で高速にホットメルト塗工する場合は、180℃での溶融粘度が30,000mPa・s以下であることが好ましく、10,000mPa・s以下であることがより好ましい。
本発明の粘着剤は、該粘着剤からなる粘着層や、該粘着層を含む積層体などの形態での粘着製品に好適に用いられる。
上記粘着層を形成するには、本発明の粘着剤を加熱溶融して用いる場合、例えば、ホットメルト塗工法、Tダイ法、インフレーション法、カレンダー成形法、ラミネーション法などを用いてシート状やフィルム状などの形状に形成できる。また、本発明の粘着剤を溶媒に溶解して用いる場合、例えば、支持体としてポリエチレンテレフタレート等の耐熱材料やスチールベルト等の平板またはロールを用い、これらの上に、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、コンマコーター等を用いて本発明の粘着剤を溶媒に溶解させた溶液を塗工し、乾燥により溶媒を除去する方法を用いて粘着層を形成することができる。
乾燥により溶媒を除去する方法は、特に制限されず、従来公知の方法を用いることができるが、複数の段階に分けて乾燥を行うことが好ましい。複数の段階に分けて乾燥を行う場合には、1段階目の乾燥は、溶媒の急激な揮発による発泡を抑制するために、比較的低い温度で行い、2段階目以降の乾燥は、十分に溶媒を除去するために、高温で乾燥を行う方法がより好ましい。
上記溶液中の粘着剤の濃度は、粘着剤の溶媒に対する溶解度、得られる溶液の粘度等を考慮して適宜決定されるが、好ましい下限値が5質量%、好ましい上限値が80質量%である。また、本発明の粘着剤を溶液型粘着剤として用いる場合には、従来の溶液型粘着剤に比べて溶液粘度が低く、粘着剤の濃度を60質量%以上に高めて塗工することもでき、有機溶媒の使用量を削減することができる。
上記積層体は、本発明の粘着剤からなる粘着層と、紙、セロハン、プラスチック材料、布、木材、および金属などの種々の基材を積層することにより得られる。透明な材料からなる基材層であると、本発明の粘着剤は透明性や耐候性に優れることから、透明な積層体が得られるため好適である。透明な材料からなる基材層としては、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、シクロオレフィン系樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの重合体、これら重合体の2種以上の混合物、およびガラスなどからなる基材層が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記積層体の構成としては、例えば、本発明の粘着剤からなる粘着層と基材層との2層構成、基材層2層と本発明の粘着剤からなる粘着層との3層構成(基材層/粘着層/基材層)、基材層2層と本発明の粘着剤からなる異なる2層の粘着層(a)および粘着層(b)との4層構成(基材層/粘着層(a)/粘着層(b)/基材層)、基材層2層と本発明の粘着剤からなる粘着層(a)と他の材料からなる粘着層(c)との4層構成(基材層/粘着層(a)/粘着層(c)/基材層)、基材層3層と本発明の粘着剤からなる粘着層2層との5層構成(基材層/粘着層/基材層/粘着層/基材層)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記積層体の厚み比としては特に制限されないが、得られる粘着製品の粘着性、耐久性、取り扱い性から、基材層/粘着層=1/1000〜1000/1の範囲であることが好ましく、1/200〜200/1の範囲であることがより好ましい。
上記積層体を製造する際は、粘着層と基材層をそれぞれ形成したのちラミネーション法などによりそれらを貼り合わせてもよいし、基材層上に直接粘着層を形成してもよいし、粘着層と基材層を共押出することにより層構造を一度に形成してもよい。
本発明の積層体においては、基材層と粘着層との密着力を高めるために、基材層の表面にコロナ放電処理やプラズマ放電処理などの表面処理を予め施してもよい。また、上記粘着層および基材層の少なくとも一方の表面に、接着性を有する樹脂などを用いてアンカー層を形成してもよい。
かかるアンカー層に用いる樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、ブロック共重合体(例えば、SIS、SBSなどのスチレン系トリブロック共重合体、およびジブロック共重合体など)、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体などが挙げられる。上記アンカー層は一層であってもよく、二層以上であってもよい。
アンカー層を形成させる場合、その方法は特に制限されず、例えば、基材層に上記樹脂を含む溶液を塗工してアンカー層を形成させる方法、アンカー層となる上記樹脂などを含む組成物を加熱溶融してTダイなどにより基材層表面にアンカー層を形成させる方法などが挙げられる。
また、アンカー層を形成させる場合、アンカー層となる上記樹脂と本発明の粘着剤とを共押出して基材層表面にアンカー層と粘着層とを一体積層してもよく、基材層表面にアンカー層となる樹脂と粘着剤とを順次積層してもよく、さらに、基材層がプラスチック材料である場合には、基材層となるプラスチック材料、アンカー層となる樹脂、および粘着剤を同時に共押出してもよい。
本発明の粘着剤は、種々の用途に使用できる。また該粘着剤からなる粘着層は、単体で粘着シートとして使用できるし、該粘着層を含む積層体も種々の用途に適用できる。例えば、表面保護用、マスキング用、結束用、包装用、事務用、ラベル用、装飾・表示用、接合用、ダイシングテープ用、シーリング用、防食・防水用、医療・衛生用、ガラス飛散防止用、電気絶縁用、電子機器保持固定用、半導体製造用、光学表示フィルム用、粘着型光学フィルム用、電磁波シールド用、または電気・電子部品の封止材用の、粘着剤、粘着テープやフィルム等が挙げられる。以下、具体例を挙げる。
表面保護用の粘着剤、粘着テープまたはフィルム等は、金属、プラスチック、ゴム、木材など種々の材料に使用でき、具体的には塗料面、金属の塑性加工や深絞り加工時、自動車部材、光学部材の表面保護のために使用できる。該自動車部材としては、塗装外板、ホイール、ミラー、ウィンドウ、ライト、ライトカバーなどが挙げられる。該光学部材としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の各種画像表示装置;偏光フィルム、偏光板、位相差板、導光板、拡散板、DVD等の光ディスク構成フィルム;電子・光学用途向け精密ファインコート面板などが挙げられる。
マスキング用の粘着剤、テープやフィルム等の用途としては、プリント基板やフレキシブルプリント基板の製造時のマスキング;電子機器でのメッキやハンダ処理時のマスキング;自動車等車両の製造、車両・建築物の塗装、捺染、土木工事見切り時のマスキングなどが挙げられる。
結束用途としては、ワイヤーハーネス、電線、ケーブル、ファイバー、パイプ、コイル、巻線、鋼材、ダクト、ポリ袋、食品、野菜、花卉などが挙げられる。
包装用途としては、重量物梱包、輸出梱包、段ボール箱の封緘、缶シールなどが挙げられる。
事務用途としては、事務汎用、封緘、書籍の補修、製図、メモ用などが挙げられる。
ラベル用途としては、価格、商品表示、荷札、POP、ステッカー、ストライプ、ネームプレート、装飾、広告用などが挙げられる。
上記ラベルとしては、紙、加工紙(アルミ蒸着加工、アルミラミネート加工、ニス加工、樹脂加工等を施された紙)、合成紙等の紙類;セロハン、プラスチック材料、布、木材および金属製のフィルム等を基材とするラベルが挙げられる。基材の具体例としては、例えば、上質紙、アート紙、キャスト紙、サーマル紙、ホイル紙;ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、OPPフィルム、ポリ乳酸フィルム、合成紙、合成紙サーマル、オーバーラミフィルムなどが挙げられる。中でも、本発明の粘着剤は、透明性・耐候性に優れる点で、透明な材料からなる基材を用いたラベルに好適に用いることができる。また、本発明の粘着剤は、経時的な変色が少ないため、サーマル紙や合成紙サーマルを基材とするサーマルラベルに好適に用いることができる。
上記ラベルの被着体としては、プラスチックボトル、発泡プラスチック製ケースなどのプラスチック製品;ダンボール箱などの紙製・ダンボール製品;ガラス瓶などのガラス製品;金属製品;セラミックスなどその他の無機材料製品などが挙げられる。
本発明の粘着剤からなる粘着層を含む積層体からなるラベルは、使用後に糊残りなく剥がすことができる。しかも低温(−40℃〜+10℃)でも被着体に貼合でき、低温(−40℃〜+10℃)で保管しても剥がれることがなく、冷蔵食品や冷凍食品などのラベルに好適に使用できる。
装飾・表示用途としては、危険表示シール、ラインテープ、配線マーキング、蓄光テープ、反射シート等が挙げられる。
粘着型光学フィルム用途としては、例えば偏光フィルム、偏光板、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム、反射防止フィルム、アンチグレアフィルム、カラーフィルター、導光板、拡散フィルム、プリズムシート、電磁波シールドフィルム、近赤外線吸収フィルム、機能性複合光学フィルム、ITO貼合用フィルム、耐衝撃性付与フィルム、視認性向上フィルムなどの片面若しくは両面の少なくとも一部または全部に粘着層を形成した光学フィルムなどが挙げられる。かかる粘着型光学フィルムは、上記光学フィルムの表面保護のために用いられる保護フィルムに本発明の粘着剤からなる粘着層を形成させたフィルムを含む。粘着型光学フィルムは、液晶表示装置、PDP、有機EL表示装置、電子ペーパー、ゲーム機、モバイル端末などの各種画像表示装置に好適に用いられる。
電気絶縁用途としては、コイルの保護被覆または絶縁、モータ・トランスなどの層間絶縁などが挙げられる。
電子機器保持固定用途としては、キャリアテープ、パッケージング、ブラウン管の固定、スプライシング、リブ補強などが挙げられる。
半導体製造用としては、シリコーンウエハーの保護用等が挙げられる。
接合用途としては、各種粘接着分野、自動車、電車、電気機器、印刷版固定、建築、銘板固定、一般家庭用、粗面、凹凸面、曲面への粘接着用などが挙げられる。
シーリング用途としては、断熱、防振、防水、防湿、防音または防塵用のシーリングなどが挙げられる。
防食・防水用途としては、ガス、水道管の防食、大口径管の防食、土木建築物の防食などが挙げられる。
医療・衛生用途としては、鎮痛消炎剤(プラスター、パップ)、虚血性心疾患治療剤、女性ホルモン補充剤、気管支拡張剤、癌性疼痛緩和剤、禁煙補助剤、感冒用貼付剤、鎮痒パッチ、角質軟化剤などの経皮吸収薬用途;救急絆創膏(殺菌剤入り)、サージカルドレッシング・サージカルテープ、絆創膏、止血絆、ヒト排泄物処理装着具用テープ(人工肛門固定テープ)、縫合用テープ、抗菌テープ、固定テーピング、自着性包帯、口腔粘膜貼付テープ、スポーツ用テープ、脱毛用テープなど種々のテープ用途;フェイスパック、目元潤いシート、角質剥離パック等の美容用途;冷却シート、温熱カイロ、防塵、防水、害虫捕獲用などが挙げられる。
電子・電気部品の封止材用途としては、液晶モニター、太陽電池等が挙げられる。
以下に、実施例などに基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例の各種物性は以下の方法により測定又は評価した。
(1)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略記する)により標準ポリスチレン換算の分子量として求めた。
・装置:東ソー株式会社製GPC装置「HLC−8020」
・分離カラム:東ソー株式会社製「TSKgel GMHXL」、「G4000HXL」
および「G5000HXL」を直列に連結
・溶離剤:テトラヒドロフラン
・溶離剤流量:1.0ml/分
・カラム温度:40℃
・検出方法:示差屈折率(RI)
・検量線:標準ポリスチレンを用いて作成
(2)共重合体における各共重合成分の含有量の測定
1H−NMR測定によって求めた。
・装置:日本電子株式会社製核磁気共鳴装置(JNM−ECX400)
・溶媒:重水素化クロロホルム
1H−NMRスペクトルにおいて、3.6ppm、および、3.8〜4.1ppm付近のシグナルは、それぞれ、メタクリル酸メチル単位のエステル基(−O−C 3)、および、アクリル酸エステル単位のエステル基(−O−C 2−CH2−CH2−CH3または−O−C 2−CH(−CH2−CH3)−CH2−CH2−CH2−CH3)に帰属され、それらの積分値の比によって各共重合成分の含有量を求めた。
(3)ブロック共重合体中の三連子モノマー連鎖およびメタクリル酸エステル(A)およびアクリル酸エステル(B)の共重合構造有無の分析
13C−NMR測定によって求めた。各シグナルの帰属は非特許文献1に従った。
・装置:日本電子株式会社製核磁気共鳴装置(JNM−ECX400)
・溶媒:重水素化クロロホルム
メタクリル酸エステル(A)がメタクリル酸メチル、アクリル酸エステル(B)がアクリル酸n−ブチルまたはアクリル酸2−エチルヘキシルの場合、下記の一般式(III);
AAB/(AAB+BAB) (III)
(式中、AABは、ブロック共重合体中のメタクリル酸エステル(A)−メタクリル酸エステル(A)−アクリル酸エステル(B)の三連子モノマー連鎖の割合を示し、BABは、ブロック共重合体中のアクリル酸エステル(B)−メタクリル酸エステル(A)−アクリル酸エステル(B)の三連子モノマー連鎖の割合を示す。)
で表されるモノマー連鎖分布の割合は、ブロック共重合体の13C−NMRスペクトルにおいて、AABの三連子モノマー連鎖のメタクリル酸エステル(A)のα−メチル基の炭素に帰属される18.0ppm付近のシグナルとBABの三連子モノマー連鎖のメタクリル酸エステル(A)のα−メチル基の炭素に帰属される20.0ppm付近のシグナルの、積分値の比によって求めた。なお、表1には、メタクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルの共重合体の13C−NMRスペクトルにおける三連子モノマー連鎖のα−メチル基の炭素の帰属を示す。なお、18.0ppm付近および20.0ppm付近にシグナルが明確に確認された場合は、メタクリル酸エステル(A)とアクリル酸エステル(B)の共重合構造が存在することになる。
Figure 0006062542
メタクリル酸メチル(A)とアクリル酸n−ブチル(B)の共重合体の13C−NMRスペクトルにおける三連子モノマー連鎖の帰属
(4)重合体ブロック[A1]の三連子シンジオタクティシティ(rr)の分析:
1H−NMR法によって分析した。
すなわち、1H−NMRスペクトルにおいて、0.85ppm、1.02ppm、および、1.22ppm付近のシグナルは、メタクリル酸メチル重合体のα−C 3に帰属され、それぞれ、三連子シンジオタクティック、ヘテロタクティック、およびアイソタクティックの構造に対応し、その積分値の比から三連子シンジオタクティシティ(rr)を求めた。なお、三連子シンジオタクティシティは13C−NMR法によっても分析することができる。その場合は、13C−NMRスペクトルにおいて、44.5ppm、44.8ppm、および、45.5ppm付近のシグナルは、メタクリル酸メチル重合体ブロックの四級炭素に帰属され、それぞれ、三連子シンジオタクティック、ヘテロタクティック、およびアイソタクティックの構造に対応し、その積分値の比から三連子シンジオタクティシティ(rr)を求める。装置としては以下を用いた。
・装置:日本電子株式会社製核磁気共鳴装置(JNM−ECX400)
・溶媒:重水素化クロロホルム
(5)メタクリル酸メチル、および、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルの仕込みモノマーの転化率(重合転化率)の測定
以下の条件によりガスクロマトグラフィー(以下GCと略記する)を用いて測定を行い、重合転化率を求めた。
・機器:島津製作所製ガスクロマトグラフ GC−14A
・カラム:GL Sciences Inc.製「INERT CAP 1」(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m)
・分析条件:injection150℃、detecter250℃、70℃(5分保持)→10℃/分で昇温→250℃(2分保持)
(6)180°剥離接着力(ステンレス及びポリエチレン)
JIS Z0237に準拠して測定した。すなわち、実施例1〜8及び比較例1〜8で作製した厚さ25μmの粘着テープを幅25mm×長さ100mmとして、ステンレス(SUS304)板(ブライトアニール処理(以下BA処理と称する)品)に貼り付け、サンプルを室温にて24時間保管後、23℃において300mm/分の速度で180°の方向に剥離して測定した。また、剥離後のサンプルについて、糊残りの有無を目視にて判定した。
また、実施例1〜4,8及び比較例5で作製した厚さ25μmの粘着テープを幅25mm×長さ100mmとして、ポリエチレン(PE)板(乳色、アズワン製)に貼り付け、サンプルを室温にて24時間保管後、23℃において300mm/分の速度で180°の方向に剥離して測定した。
(7)保持力
JIS Z0237に準拠して測定した。すなわち、作製した厚さ25μmの粘着テープをステンレス(SUS304)板(BA処理品)に幅25mm×長さ25mmで貼り付け、温度90℃で荷重1kgを吊り下げ、落下時間または落下しなかった場合は1000分後のズレ距離を求めた。
(8)SAFT(耐熱性)
ASTM D4498に準拠して測定した。すなわち、作製した厚さ25μmの粘着テープをステンレス(SUS304)板(BA処理品)に幅25mm×長さ25mmで貼り付け、荷重500gを吊り下げ、40℃から205℃まで0.5℃/分の速度で昇温し、落下時の温度を求めた。
(9)ボールタック
JIS Z0237に準拠して測定した。すなわち、傾斜角度30°になるよう設置した厚さ25μmの粘着テープ上に、ボールタック法に準拠したボールを転がし、粘着テープ上で停止する最大のボールのナンバーを求めた。
(10)複素粘度およびtanδが1になるときの温度
表3記載の配合にて、30質量%濃度のトルエン溶液を作製し、溶液キャスト法により1mm厚の粘着シートを得た。これを以下の条件にて、ねじり振動での動的粘弾性を測定し、各温度(160℃、180℃、200℃)における複素粘度、および、50℃以上の温度条件にてtanδ(損失せん断弾性率/貯蔵せん断弾性率)が1になるときの温度を求めた。
・ 装置:Rhemetric Scientific社製「Advanced Rheometric Expansion System」
・ 平行プレート:直径8mm
・ 振動モード:ねじり振動
・ 振動数:6.28rad/秒
・ 測定温度範囲:−50℃〜250℃
・ 昇温速度:3℃/分
・ 歪:0.05%(−50℃〜−37℃)、1.0%(−37℃〜−15℃)、5.0%(−15℃〜250℃)
(11)ホットメルト塗工性
表3に示す質量比で溶融混練により作製した粘着剤を、180℃の温度でコーターを用いて厚さ100μmのポリエステルフイルム上に40μmの厚みで塗工してシートを作製した。得られたシートを目視観察し、塗工表面の荒れ具合を、「極めて良好(塗工表面が鏡面状である)」(◎)、「良好(塗工表面にブツが少しある又は若干塗工ムラがある)」(〇)、「不良(塗工表面にブツが多い又ははっきりとした塗工ムラが確認できる)」(△)の3ランクに分けて判定した。
また、実施例で用いたメタクリル酸メチルおよびアクリル酸n−ブチルの共重合反応性比の大小を、以下の方法により評価した。
<メタクリル酸メチルの重合転化率>
(1)500mLのシュレンクに三方コックを付け内部を窒素で置換した後、室温にてトルエン199g、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(以下、HMTETAと称する。)0.148g、およびイソブチルビス(2,6−ジt−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム(以下、IBTと称する。)1.35mmolを含有するトルエン溶液2.68gを加え、さらにsec−ブチルリチウム(以下、s−BuLiと称する。)0.586mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液0.344gを加えた。
(2)内部を窒素で置換した5つの100mLの三口フラスコに、室温にて(1)の溶液25.4gを加えた。続いて、重合液を冷却し、内部温度−14℃〜−11℃にて、メタクリル酸メチル(以下、MMAと称する)0.529gをそれぞれに添加した。滴下終了後、それぞれ40秒後、10分後、30分後、1時間後、2.5時間後に、メタノール0.145gを加えて反応を停止させた。得られた溶液について、上記の方法にて重合転化率を求めた。各時間に対する重合転化率をプロットして得られたグラフを図1(a)に示す。
<アクリル酸n−ブチルの重合転化率>
(1)500mLのシュレンクに三方コックを付け内部を窒素で置換した後、室温にてトルエン199g、HMTETA0.148g、およびIBT1.35mmolを含有するトルエン溶液2.68gを加え、さらにs−BuLi0.586mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液0.344gを加えた。
(2)内部を窒素で置換した4つの100mLの三口フラスコに、室温にて(1)の溶液25.4gを加えた。続いて、重合液を冷却し、内部温度−14℃〜−11℃にて、アクリル酸n−ブチル(以下、n−BAと称する)0.459gをそれぞれに添加した。滴下終了後、それぞれ2秒後、5秒後、8秒後、40秒後に、メタノール0.145gを加えて反応を停止させた。得られた溶液について、上記の方法にて重合転化率を求めた。各時間に対する重合転化率をプロットして得られたグラフを図1(b)に示す。
図1より、メタクリル酸メチルの重合転化率が100%近くに到達するまでの時間(分)と、アクリル酸n−ブチルの重合転化率が100%近くに到達するまでの時間(秒)は大きく異なっていることがわかる。このことより、メタクリル酸メチルの反応性比と、アクリル酸n−ブチルの反応性比が大きく異なることが示されている。よって、これらと同様のメタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルの混合物を重合した場合、グラジェント構造が形成されることが示唆される。
《合成例1》[ブロック共重合体(I−1)の合成]
(1)100mLのシュレンクに三方コックを付け内部を窒素で置換した後、室温にてトルエン32.0g、HMTETA0.239g、およびIBT2.28mmolを含有するトルエン溶液4.52gを加え、さらにs−BuLi0.989mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液0.580gを加えた。続いて、重合液を冷却し、内部温度が+10℃〜+30℃になるようにMMA6.94gを滴下した。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このときのMMAの重合転化率は99.9%以上であった。
(2)内部を窒素で置換した100mLの三口フラスコに、室温にてトルエン40.8g、(1)の溶液6.08gを加えた。続いて、重合液を冷却し、内部温度−14℃〜−11℃にて、<MMA/n−BA=13.3/86.7(重量比)>の混合モノマーを0.477gずつ20秒間隔で15回(計7.15g)添加した。添加終了後、−15℃にて3分間攪拌した。このときのMMAの重合転化率は20.7%であった。これを+40℃に昇温し、2時間30分撹拌後、メタノ−ル0.526gを添加して重合反応を停止した。このときのn−BAおよびMMAの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を1Lのメタノール中に注ぎ、白色沈澱物を析出させた。その後、濾過により白色沈殿物を回収し、乾燥させることにより、ブロック共重合体[以下、これを「ブロック共重合体(I−1)」と称する]6.0gを得た。
(3)上記(2)で得られたブロック共重合体(I−1)について、1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は78,400、数平均分子量(Mn)は67,600であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.16であった。また、ブロック共重合体(I−1)の各共重合成分の含有量は、MMAが19.9質量%、n−BAが80.1質量%であった。なお、上述の通りMMAおよびn−BAを混合して同時に添加することにより、MMAの重合速度に対してn−BAの重合速度が大きいため、以下のような構造を有するブロック共重合体が形成される。
(MMAに由来する構造単位からなる重合体ブロック)−(MMAとn−BAに由来する共重合体ブロックであり、かつMMAの共重合比率が連続して増加するグラジェント共重合体ブロック)−(MMAに由来する構造単位からなる重合体ブロック)
下記表2では、このような重合方法によって得られるブロック共重合体の構造を[A1]−[B/A2]と略記する。図2に示したとおり、得られたブロック共重合体の13C−NMR分析において、18.0ppm付近および20.0ppm付近に明確な共重合のピークが確認された。これにより、グラジェント構造が形成されていることが確認された。
《合成例2》[ブロック共重合体(I−2)の合成]
(1)100mLのシュレンクに三方コックを付け内部を窒素で置換した後、室温にてトルエン30.3g、HMTETA0.219g、およびIBT3.17mmolを含有するトルエン溶液6.31gを加え、さらにs−BuLi0.906mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液0.532gを加えた。続いて、重合液を冷却し、内部温度が+10℃〜+30℃になるようにMMA6.25gを滴下した。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このときのMMAの重合転化率は99.9%以上であった。
(2)内部を窒素で置換した100mLの三口フラスコに、室温にてトルエン41.8g、(1)の溶液4.81gを加えた。続いて、重合液を冷却し、内部温度−12℃〜−5℃にて、<MMA/n−BA=15.2/84.8(重量比)>の混合モノマーを0.494gずつ20秒間隔で15回(計7.41g)添加した。添加終了後、−15℃にて3分間攪拌した。これを+40℃に昇温し、4時間30分撹拌後、メタノ−ル0.502gを添加して重合反応を停止した。このときのn−BAおよびMMAの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を1Lのメタノール中に注ぎ、白色沈澱物を析出させた。その後、濾過により白色沈殿物を回収し、乾燥させることにより、ブロック共重合体[以下、これを「ブロック共重合体(I−2)」と称する]6.5gを得た。
(3)上記(2)で得られたブロック共重合体(I−2)について、1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は150,000、数平均分子量(Mn)は116,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.29であった。また、ブロック共重合体(I−2)の各共重合成分の含有量は、MMAが21.3質量%、n−BAが78.7質量%であった。得られたブロック共重合体の13C−NMR分析において、18.0ppm付近および20.0ppm付近に明確な共重合のピークが確認された。これにより、合成例1と同様に、グラジェント構造を有する以下のようなブロック共重合体が形成されていることが確認された。
(MMAに由来する構造単位からなる重合体ブロック)−(MMAとn−BAに由来する共重合体ブロックであり、かつMMAの共重合比率が連続して増加するグラジェント共重合体ブロック)−(MMAに由来する構造単位からなる重合体ブロック)
下記表2では、このような重合方法によって得られるブロック共重合体の構造を[A1]−[B/A2]と略記する。
《合成例3》[ブロック共重合体(I−3)の合成]
(1)内部を窒素で置換した100mLのシュレンクに、室温にてトルエン30.2g、HMTETA0.299g、およびIBT3.09mmolを含有するトルエン溶液6.15gを加え、さらにs−BuLi1.24mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液0.726gを加えた。続いて、重合液を冷却し、内部温度が+10℃〜+30℃になるようにMMA6.16gを滴下した。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このときのMMAの重合転化率は99.9%以上であった。
(2)内部を窒素で置換した100mLの三口フラスコに、室温にてトルエン40.2g、(1)の溶液6.68gを加えた。続いて、重合液を冷却し、内部温度−12℃〜−8℃にて、<MMA/n−BA/アクリル酸2−エチルヘキシル(以下2EHAと称する。)=12.3/42.4/45.3(重量比)>の混合モノマーを0.477gずつ20秒間隔で15回(計7.16g)添加した。滴下終了後、−15℃にて3分間攪拌した。これを+40℃に昇温し、2時間30分撹拌後、メタノ−ル0.772gを添加して重合反応を停止した。このときのn−BA、2EHAおよびMMAの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を1Lのメタノール中に注ぎ、白色沈澱物を析出させた。その後、濾過により白色沈殿物を回収し、乾燥させることにより、ブロック共重合体[以下、これを「ブロック共重合体(I−3)」と称する]6.7gを得た。
(3)上記(2)で得られたブロック共重合体(I−3)について、1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は53,800、数平均分子量(Mn)は48,400であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.11であった。また、ブロック共重合体(I−3)の各共重合成分の含有量は、MMAが21.2質量%、n−BAと2EHAの合計が78.8質量%であった。なお、上述の通りMMA、n−BAおよび2EHAを混合して同時に添加することにより、MMAの重合速度に対してn−BAおよび2EHAの重合速度が大きいため、以下のような構造を有するブロック共重合体が形成される。
(MMAに由来する構造単位からなる重合体ブロック)−(MMAとn−BAと2EHAに由来する共重合体ブロックであり、かつMMAの共重合比率が連続して増加するグラジェント共重合体ブロック)−(MMAに由来する構造単位からなる重合体ブロック)
下記表2では、このような重合方法によって得られるブロック共重合体の構造を[A1]−[B/A2]と略記する。得られたブロック共重合体の13C−NMR分析において、18.0ppm付近および20.0ppm付近に明確な共重合のピークが確認された。これにより、グラジェント構造が形成されていることが確認された。
《合成例4》[ブロック共重合体(I−4)の合成]
(1)内部を窒素で置換した100mLのシュレンクに、室温にてトルエン28.5g、HMTETA0.219g、およびIBT4.08mmolを含有するトルエン溶液8.11gを加え、さらにs−BuLi0.906mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液0.532gを加えた。続いて、重合液を冷却し、内部温度が+10℃〜+30℃になるようにMMA6.51gを滴下した。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このときのMMAの重合転化率は99.9%以上であった。
(2)内部を窒素で置換した100mLの三口フラスコに、室温にてトルエン41.8g、(1)の溶液4.81gを加えた。続いて、重合液を冷却し、内部温度−13℃〜−10℃にて、<MMA/n−BA/2EHA=14.7/41.3/44.1(重量比)>の混合モノマーを0.493gずつ20秒間隔で15回(計7.39g)添加した。添加終了後、−15℃にて3分間攪拌した。これを+40℃に昇温し、4時間30分撹拌後、メタノール0.595gを添加して重合反応を停止した。このときのn−BA、2EHAおよびMMAの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を1Lのメタノール中に注ぎ、白色沈澱物を析出させた。その後、濾過により白色沈殿物を回収し、乾燥させることにより、ブロック共重合体[以下、これを「ブロック共重合体(I−4)」と称する]6.4gを得た。
(3)上記(2)で得られたブロック共重合体(I−4)について、1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は128,000、数平均分子量(Mn)は104,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.23であった。また、ブロック共重合体(I−4)の各共重合成分の含有量は、MMAが20.0質量%、n−BAと2EHAの合計が80.0質量%であった。得られたブロック共重合体の13C−NMR分析において、18.0ppm付近および20.0ppm付近に明確な共重合のピークが確認された。これにより、合成例3と同様に、グラジェント構造を有する以下のようなブロック共重合体が形成されていることが確認された。
(MMAに由来する構造単位からなる重合体ブロック)−(MMAとn−BAと2EHAに由来する共重合体ブロックであり、かつMMAの共重合比率が連続して増加するグラジェント共重合体ブロック)−(MMAに由来する構造単位からなる重合体ブロック)
下記表2では、このような重合方法によって得られるブロック共重合体の構造を[A1]−[B/A2]と略記する。
《合成例5》[ブロック共重合体(I−5)の合成]
(1)100mLのシュレンクに三方コックを付け内部を窒素で置換した後、室温にてトルエン32.4g、HMTETA0.196g、およびIBT3.24mmolを含有するトルエン溶液6.45gを加え、さらにs−BuLi0.810mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液0.476gを加えた。続いて、重合液を冷却し、内部温度が+10℃〜+30℃になるようにMMA3.59gを滴下した。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このときのMMAの重合転化率は99.9%以上であった。
(2)内部を窒素で置換した100mLの三口フラスコに、室温にてトルエン38.5g、(1)の溶液6.45gを加えた。続いて、重合液を冷却し、内部温度−16℃〜−13℃にて、<MMA/2EHA=8.5/91.5(重量比)>の混合モノマーを40秒間隔で14回に分けて添加した。このとき、1〜5回目は0.665gずつ、6〜9回目は0.478gずつ、10〜12回目は0.349gずつ、13〜14回目は0.206gずつ(計6.70g)添加した。添加終了後、−15℃にて3分間攪拌した。これを+40℃に昇温し、2時間撹拌後、メタノ−ル0.641gを添加して重合反応を停止した。このときの2EHAおよびMMAの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を1Lのメタノール中に注ぎ、白色沈澱物を析出させた。その後、濾過により白色沈殿物を回収し、乾燥させることにより、ブロック共重合体[以下、これを「ブロック共重合体(I−5)」と称する]7.3gを得た。
(3)上記(2)で得られたブロック共重合体(I−5)について、1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は74,100、数平均分子量(Mn)は61,400であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.21であった。また、ブロック共重合体(I−5)の各共重合成分の含有量は、MMAが22.1質量%、2EHAが77.9質量%であった。なお、上述の通りMMAおよび2EHAを混合して同時に添加することにより、MMAの重合速度に対して2EHAの重合速度が大きいため、以下のような構造を有するブロック共重合体が形成される。
(MMAに由来する構造単位からなる重合体ブロック)−(MMAと2EHAに由来する共重合体ブロックであり、かつMMAの共重合比率が連続して増加するグラジェント共重合体ブロック)−(MMAに由来する構造単位からなる重合体ブロック)
下記表2では、このような重合方法によって得られるブロック共重合体の構造を[A1]−[B/A2]と略記する。得られたブロック共重合体の13C−NMR分析において、18.0ppm付近および20.0ppm付近に明確な共重合のピークが確認された。これにより、グラジェント構造が形成されていることが確認された。
《合成例6》[ブロック共重合体(C−1)の合成]
(1)2Lの三口フラスコの内部を窒素置換した後、室温にてトルエン949g、1,2−ジメトキシエタン43.9gを加え、次いでIBT10.6mmolを含有するトルエン溶液21.2gを加え、さらに、s−BuLi5.06mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液2.97gを加えた。続いて、この混合液にMMA68.9gを加えた。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間撹拌後には無色となった。このとき、MMAの重合転化率は99.9%以上であった。次に反応混合液を−30℃に冷却し、n−BA260gを2時間かけて滴下し、滴下終了後−30℃にて5分間撹拌した後、メタノール9.49gを添加して重合反応を停止した。このときのn−BAの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、白色沈殿物を析出させた。白色沈殿物を濾過により回収し、乾燥させることにより、ブロック共重合体[以下、これを「ブロック共重合体(C−1)」と称する]310gを得た。
(2)得られたブロック共重合体(C−1)について、1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は75,000、数平均分子量(Mn)は67,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.12であった。また、アクリル系ブロック共重合体(C−1)の各共重合成分の含有量は、MMAが19.9質量%、n−BAが80.1質量%であった。
《合成例7》[ブロック共重合体(C−2)の合成]
(1)2Lの三口フラスコの内部を窒素置換した後、室温にてトルエン840g、1,2−ジメトキシエタン49.2gを加え、次いでIBT45.4mmolを含有するトルエン溶液90.2gを加え、さらに、s−BuLi5.67mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液3.33gを加えた。続いて、この混合液にMMA47.5gを加えた。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間撹拌後には無色となった。このとき、MMAの重合転化率は99.9%以上であった。次に反応混合液を0℃に冷却し、<MMA/n−BA=8.8/91.2(重量比)>の混合モノマー319gを少量ずつ20時間かけて滴下した。添加終了後、0℃にて5分間撹拌した後、メタノール10.4gを添加して重合反応を停止した。このときのn−BAおよびMMAの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、白色沈殿物を析出させた。白色沈殿物を濾過により回収し、乾燥させることにより、ブロック共重合体[以下、これを「ブロック共重合体(C−2)」と称する]345gを得た。
(2)得られたブロック共重合体(C−2)について、1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は76,000、数平均分子量(Mn)は50,300であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.51であった。また、アクリル系ブロック共重合体(C−2)の各共重合成分の含有量は、MMAが19.9質量%、n−BAが80.1質量%であった。なお、MMAとn−BAとの混合モノマーは、両モノマーの重合速度に対して十分遅い速度で少量ずつ滴下して重合しているため、MMAおよびn−BAの共重合反応性比に関わらず、以下のような構造を有するブロック共重合体が形成される。
(MMAに由来する構造単位からなる重合体ブロック)−(MMAとn−BAに由来する共重合体ブロックであり、かつMMAとn−BAとがランダム共重合しているランダム共重合体ブロック)
下記表2では、このような重合方法によって得られるブロック共重合体の構造を[A1]−[B−r−A2]と略記する。
《合成例8》[ブロック共重合体(C−3)の合成]
(1)2Lの三口フラスコの内部を窒素置換した後、室温にてトルエン938g、HMTETA1.33gを加え、次いでIBT15.8mmolを含有するトルエン溶液31.4gを加え、さらに、s−BuLi5.26mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液3.09gを加えた。続いて、反応混合液を冷却し、内部温度−15℃〜−10℃にて、<MMA/n−BA=8.8/91.2(重量比)>の混合モノマーを19.0gずつ20秒間隔で15回(計285g)添加した。添加終了後、−15℃にて3分間攪拌した。これを+40℃に昇温し、3時間撹拌した。このときのn−BAおよびMMAの重合転化率は99.9%以上であった。次にこの混合液にMMA39.9gを加えた。反応液は当初、黄色に着色していたが、+40℃にて5時間撹拌後には無色となった。ここにメタノール12.1gを添加して重合反応を停止した。このとき、MMAの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、白色沈殿物を析出させた。白色沈殿物を濾過により回収し、乾燥させることにより、ブロック共重合体[以下、これを「ブロック共重合体(C−3)」と称する]410gを得た。
(2)得られたブロック共重合体(C−3)について、1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は75,500、数平均分子量(Mn)は53,200であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.42であった。また、アクリル系ブロック共重合体(C−3)の各共重合成分の含有量は、MMAが19.9質量%、n−BAが80.1質量%であった。なお、MMAの重合速度に対してn−BAの重合速度が大きいため、このような重合を行うことにより、以下のような構造を有するブロック共重合体が形成される。
(MMAとn−BAに由来する共重合体ブロックであり、かつMMAの共重合比率が連続して増加するグラジェント共重合体ブロック)−(MMAに由来する構造単位からなる重合体ブロック)
下記表2では、このような重合方法によって得られるブロック共重合体の構造を[B/A2]−[A1]と略記する。
《合成例9》[ブロック共重合体(C−4)の合成]
(1)2Lの三口フラスコの内部を窒素置換した後、室温にてトルエン840g、1,2−ジメトキシエタン49.2gを加え、次いでIBT45.4mmolを含有するトルエン溶液90.2gを加え、さらに、s−BuLi5.67mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液3.33gを加えた。続いて、この混合液にMMA47.5gを加えた。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間撹拌後には無色となった。このとき、MMAの重合転化率は99.9%以上であった。次に反応混合液を0℃に冷却し、MMAおよびn−BAの混合モノマーを、初めはMMA/n−BA=100/0の比率で滴下し、徐々にn−BAの比率を上げ、中盤ではMMA/n−BA=0/100となるようにし、終盤にかけて再びMMAの比率を上げ、最後には再びMMA/n−BA=100/0となるようにして、混合モノマー319gを20時間かけて滴下した。混合モノマーのトータルの仕込み比は<MMA/n−BA=8.8/91.2(重量比)>とした。滴下終了後、0℃にて5分間撹拌した後、メタノール10.4gを添加して重合反応を停止した。このときのn−BAおよびMMAの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、白色沈殿物を析出させた。白色沈殿物を濾過により回収し、乾燥させることにより、ブロック共重合体[以下、これを「ブロック共重合体(C−4)」と称する]335gを得た。
(2)得られたブロック共重合体(C−4)について、1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は76,500、数平均分子量(Mn)は48,400であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.58であった。また、アクリル系ブロック共重合体(C−4)の各共重合成分の含有量は、MMAが19.9質量%、n−BAが80.1質量%であった。なお、MMAおよびn−BAの混合モノマーを、モノマー比を変えながら長時間かけて重合しているので、以下のような構造を有するブロック共重合体が形成される。
(MMAに由来する構造単位からなる重合体ブロック)−(MMAとn−BAに由来する共重合体ブロックであり、かつn−BAの共重合比率が連続して増加するグラジェント共重合体ブロック)−(n−BAに由来する共重合体ブロック)−(MMAとn−BAに由来する共重合体ブロックであり、かつMMAの共重合比率が連続して増加するグラジェント共重合体ブロック)
下記表2では、このような重合方法によって得られるブロック共重合体の構造を[A1/B]−[B]−[B/A2]と略記する。ここで[A1/B]−[B]が表す意味は、メタクリル酸エステル(A1)のみに由来する重合体部分から、徐々にアクリル酸エステル(B)の共重合比率が連続して増加するグラジェント共重合体部分を有し、それに続いてアクリル酸エステル(B)に由来する重合体ブロック[B]があることを意味する。これを重合体ブロック[B]との結合部から見ると、[A1/B]は、結合部から遠ざかる方に向けてメタクリル酸エステル(A1)の共重合比率が連続して増加するグラジェント共重合体部分を有する重合体ブロックである。また、[B/A2]は、重合体ブロック[B]との結合部からメタクリル酸エステル(A2)の共重合比率が連続して増加するグラジェント共重合体部分を有する重合体ブロックである。
《合成例10》[ブロック共重合体(C−5)の合成]
(1)2Lの三口フラスコの内部を窒素置換した後、室温にてトルエン868g、1,2−ジメトキシエタン43.4gを加え、次いでIBT40.2mmolを含有するトルエン溶液60.0gを加え、さらに、s−BuLi5.00mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液2.89gを加えた。続いて、この混合液にMMA35.9gを加えた。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間撹拌後には無色となった。このとき、MMAの重合転化率は99.9%以上であった。次に反応混合液を−30℃に冷却し、n−BA240gを2時間かけて滴下し、滴下終了後−30℃にて5分間撹拌した。このときのn−BAの重合転化率は99.9%以上であった。続いて、この反応混合液にMMA35.9gを加え、一晩室温にて撹拌後、メタノール3.50gを添加して重合反応を停止した。このときのMMAの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、白色沈殿物を析出させた。白色沈殿物を濾過により回収し、乾燥させることにより、ブロック共重合体[以下、これを「ブロック共重合体(C−5)」と称する]255gを得た。
(2)得られたブロック共重合体(C−5)について、1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は78,400、数平均分子量(Mn)は72,600であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.08であった。また、ブロック共重合体(C−5)の各共重合成分の含有量は、MMAが23.5質量%、n−BAが76.5質量%であった。
《合成例11》[ブロック共重合体(C−6)の合成]
(1)2Lの三口フラスコの内部を窒素置換した後、室温にてトルエン868g、1,2−ジメトキシエタン43.4gを加え、次いでIBT40.2mmolを含有するトルエン溶液60.0gを加え、さらに、s−BuLi3.54mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液2.07gを加えた。続いて、この混合液にMMA36.6gを加えた。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間撹拌後には無色となった。このとき、MMAの重合転化率は99.9%以上であった。次に反応混合液を−30℃に冷却し、n−BA251.9gを2時間かけて滴下し、滴下終了後−30℃にて5分間撹拌した。このときのn−BAの重合転化率は99.9%以上であった。続いて、この反応混合液にMMA36.6gを加え、一晩室温にて撹拌後、メタノール3.50gを添加して重合反応を停止した。このときのMMAの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、白色沈殿物を析出させた。白色沈殿物を濾過により回収し、乾燥させることにより、ブロック共重合体[以下、これを「ブロック共重合体(C−6)」と称する]310gを得た。
(2)得られたブロック共重合体(C−6)について、1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は109,000、数平均分子量(Mn)は84,500であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.29であった。また、ブロック共重合体(C−6)の各共重合成分の含有量は、MMAが22.5質量%、n−BAが77.5質量%であった。
《合成例12》[ブロック共重合体(C−7)の合成]
(1)2Lの三口フラスコの内部を窒素置換した後、室温にてトルエン1046g、1,2−ジメトキシエタン37.8gを加え、次いでIBT15.7mmolを含有するトルエン溶液31.2gを加え、さらに、s−BuLi3.08mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液1.81gを加えた。続いて、この混合液にMMA31.4gを加えた。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間撹拌後には無色となった。このとき、MMAの重合転化率は99.9%以上であった。次に反応混合液を−30℃に冷却し、<n−BA/2EHA=38.7/41.3(重量比)>の混合モノマー168gを2時間かけて滴下し、滴下終了後−30℃にて5分間撹拌した。このときのn−BAおよび2EHAの重合転化率は99.9%以上であった。続いて、この反応混合液にMMA36.9gを加え、一晩室温にて撹拌後、メタノール10.2gを添加して重合反応を停止した。このときのMMAの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、白色沈殿物を析出させた。白色沈殿物を濾過により回収し、乾燥させることにより、ブロック共重合体[以下、これを「ブロック共重合体(C−7)」と称する]175gを得た。
(2)得られたブロック共重合体(C−7)について、1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は115,000、数平均分子量(Mn)は105,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.09であった。また、ブロック共重合体(C−7)の各共重合成分の含有量は、MMAが20.0質量%、n−BAと2EHAの合計が80.0質量%であった。
上記の合成例1〜12で得られたブロック共重合体(I−1)〜(I−5)、および(C−1)〜(C−7)について以下の表2にまとめる。また、上記合成例1および10で得られたブロック共重合体(I−1)および(C−5)の13C−NMRスペクトルを、以下の図2および図3に示す。
Figure 0006062542
《実施例1〜8、比較例1〜8》
上記の合成例1〜12で合成したブロック共重合体(I−1)〜(I−5)および(C−1)〜(C−7)、ならびに粘着付与樹脂(荒川化学工業株式会社製、パインクリスタルKE−311)および可塑剤(東亜合成株式会社製、アルフォンUP1000)を以下の表3に示す質量比でトルエンに溶解し、35質量%のトルエン溶液を作製した。これをコーターによってポリエチレンテレフタレート製フィルム(東洋紡エステルフィルムE5000、厚さ50μm)上に乾燥後の粘着層の厚さが25μmになるようにコーティングを行った後、該フィルムを60℃、30分で乾燥・熱処理して粘着テープを作製した。作製した粘着テープの評価において、被着体に貼り付ける必要がある場合には、2kgのローラーを10mm/秒の速度で2往復させて貼り付け、評価を行った。
得られた粘着テープにつき、上記した方法にて、各種物性を評価したところ、下記の表3に示す通りであった。
Figure 0006062542
表3より、比較例1および2の粘着剤は、グラジェント共重合体ブロック部分を有さないブロック共重合体を用いているため、ステンレス被着体に対する180度剥離接着力が低く、剥離後の糊残りがあり、また保持力も低い。
比較例3の粘着剤は、本発明とは異なる向きのグラジェント共重合体ブロック部分を有するブロック共重合体を用いているため、ステンレス被着体に対する180度剥離接着力が低く、剥離後の糊残りがあり、また保持力も低い。同じく比較例4の粘着剤も、本発明とは異なる構造のグラジェント共重合体ブロック部分を有するブロック共重合体を用いているため、剥離後の糊残りがあり、また保持力も低い。
一方、比較例5,6,8の粘着剤は、グラジェント共重合体ブロック部分を有さないトリブロック共重合体を用いており、剥離後の糊残りも見られず、保持力も高い。しかし、同程度の重量平均分子量でありグラジェント共重合体ブロック部分を有するブロック共重合体を用いた実施例1,2,4と比較すると、ステンレス被着体に対する180度剥離接着力が低く、複素粘度が高いため取り扱い性に劣る。また、比較例7の粘着剤は、粘着付与樹脂及び可塑剤を添加することで粘着剤としての性能が大幅に低下したのに対し、実施例7の粘着剤は、粘着付与樹脂及び可塑剤を添加しても粘着剤として優れた性能を保持した。
さらに、実施例1〜4,8の粘着剤は比較例5の粘着剤と比べて、極性の低い被着体であるポリエチレンに対しても優れた剥離接着力を示した。中でも、アクリル酸エステル(B)として2EHAモノマーを有するブロック共重合体を用いた実施例4および8の粘着剤は、ポリエチレンに対して特に優れた剥離接着力を示した。
本発明の粘着剤は、溶融加工性と保持力を両立でき、耐候性、耐熱性、低温での粘着性、および透明性に優れる。本発明により、粘着加工方法として、有機溶剤や水の乾燥工程を必要とせず、省エネルギーや省資源の観点で利点を有するホットメルト塗工方法を採用でき、紫外線に晒される環境下や低温の使用環境条件下においても、長期にわたり優れた粘着性能を有する粘着剤および粘着製品を提供できる。

Claims (11)

  1. 下記の一般式(II);
    [A1]−[B/A2] (II)
    (式(II)中、[A1]はメタクリル酸エステル(A1)に由来する構造単位からなる重合体ブロックを示し、[B/A2]はアクリル酸エステル(B)に由来する構造単位とメタクリル酸エステル(A2)に由来する構造単位からなる共重合体ブロックを示し、かつ、共重合体ブロック[B/A2]は重合体ブロック[A1]との結合部からメタクリル酸エステル(A2)の共重合比率が連続して増加するグラジェント共重合体ブロック部分を有する。)
    で表され、メタクリル酸エステル(A1)およびメタクリル酸エステル(A2)由来の構造単位の合計の含有量が5〜60質量%であり、重量平均分子量(Mw)が30,000〜300,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜1.5であるブロック共重合体を含有する粘着剤。
  2. 前記ブロック共重合体における、下記の一般式(III);
    AAB/(AAB+BAB) (III)
    (式中、AABは、ブロック共重合体中のメタクリル酸エステル(A)−メタクリル酸エステル(A)−アクリル酸エステル(B)の三連子モノマー連鎖の割合を示し、BABは、ブロック共重合体中のアクリル酸エステル(B)−メタクリル酸エステル(A)−アクリル酸エステル(B)の三連子モノマー連鎖の割合を示す。)
    で表されるモノマー連鎖分布の割合が0.10〜0.70であることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤。
  3. 前記ブロック共重合体がミクロ相分離構造を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の粘着剤。
  4. 重合体ブロック[A1]が100℃以上のガラス転移温度を有し、共重合体ブロック[B/A2]が10℃以下のガラス転移温度を有する前記ブロック共重合体を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着剤。
  5. メタクリル酸エステル(A1)およびメタクリル酸エステル(A2)由来の構造単位の合計の含有量が5〜32質量%である前記ブロック共重合体を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着剤。
  6. 分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜1.3である前記ブロック共重合体を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着剤。
  7. メタクリル酸エステル(A1)およびメタクリル酸エステル(A2)がメタクリル酸メチルである前記ブロック共重合体を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粘着剤。
  8. アクリル酸エステル(B)が、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸n−オクチル、およびこれらの混合物からなる群より選ばれるモノマーである前記ブロック共重合体を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の粘着剤。
  9. アクリル酸エステル(B)が、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、およびアクリル酸n−オクチルからなる群より選ばれる2つ以上の混合モノマーである前記ブロック共重合体を含有する、請求項8に記載の粘着剤。
  10. 重合体ブロック[A1]の三連子シンジオタクティシティ(rr)が65%以上である前記ブロック共重合体を含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の粘着剤。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の粘着剤が含有するブロック共重合体。
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