JP6059732B2 - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、具体的には、ガラス基板の端面を研磨する工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法に関する。
今日、パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、あるいはDVD(Digital Versatile Disc)記録装置等には、データ記録のためにハードディスク装置が内蔵されている。特に、ノート型パーソナルコンピュータ等の可搬性を前提とした機器に用いられるハードディスク装置では、磁気ディスク用ガラス基板に磁性層が設けられた磁気ディスクが用いられる。磁気ディスクの面上では、この面から僅かに浮上させた磁気ヘッド(DFH(Dynamic Flying Height)ヘッド)で磁気ディスクの磁性層に磁気記録情報が記録され、あるいは読み取られる。この磁気ディスクの基板には、金属基板等に比べて塑性変形をしにくい性質を持つことから、ガラス基板が好適に用いられている。
今日、ハードディスク装置における記憶容量の増大の要請を受けて、磁気記録の高密度化が図られている。これに伴って、磁気ヘッドの磁気記録面からの浮上距離を極めて短くして磁気記録情報エリアを微細化することが行われている。このような磁気ディスク用ガラス基板においては、基板の表面凹凸は可能な限り小さく作製されている。
ハードディスク装置に用いる磁気ヘッドにおいては、磁気ディスクの表面に微小な凹凸があると、公知のサーマルアスペリティ(Thermal Asperity)障害が生じ、再生に誤動作が生じたり、再生が不可能になる虞れがある。このサーマルアスペリティ障害の原因は、ガラス基板上の異物によって磁気ディスクの表面に形成された凸部が磁気ディスクの高速回転によりヘッドの近傍の空気の断熱圧縮及び断熱膨張を発生させ、磁気ヘッドが発熱することに起因する。すなわち、サーマルアスペリティ障害は、磁気ヘッドが磁気ディスクに接触しない場合においても発生し得る。
したがって、このサーマルアスペリティ障害を防止するためには、磁気ディスクの表面は、極めて平滑で、かつ、異物の無い高清浄化された面に仕上げておく必要がある。
磁気ディスク用ガラス基板の表面に異物が付着する原因としては、ガラス基板の表面形状のみならず、ガラス基板の端面の表面形状が考えられている。すなわち、磁気ディスク用ガラス基板の端面の表面形状が平滑でないと、この端面が樹脂製ケースの壁面などを擦過し、この擦過によって樹脂やガラスの微粒子(パーティクル)が発生する。そして、このような微粒子や雰囲気中の微粒子は、磁気ディスク用ガラス基板の端面に捕捉され蓄積されてしまう。磁気ディスク用ガラス基板の端面に蓄積された微粒子は、後工程において、あるいは、ハードディスク装置に搭載された後において、発塵源となり、ディスク基板の表面に異物が付着する原因となっている。さらに、磁気ディスク用ガラス基板の端面に蓄積された微粒子が磁気ヘッドの読み取り素子あるいは記録素子に付着して素子を損傷させる場合もある。特に、磁気ディスク用ガラス基板の内周側の端面は、外周側の端面に比較して表面形状が粗いので、微粒子を補足しやすく、磁気ディスク用ガラス基板の表面の高清浄化の障害になっていると考えられる。
下記特許文献1に示すように、磁気ディスク用ガラス基板の端面はブラシと研磨スラリを用いて研磨されることが一般的であるが、この研磨では、研磨力が小さく加工レートが遅く、磁気ディスク用ガラス基板を短時間に多数製造することは難しかった。
一方、フェライト系磁性粒子と研磨砥粒を含むスラリに磁場を加えることにより、磁気ディスク用ガラス基板を研磨する方法も知られている(特許文献2)。
具体的には、スラリに磁場を加えて研磨する方法では、磁気ディスク用ガラス基板の素材であるガラス基板の中心部の円孔の内周端面を研磨する工程において、円孔の内周側に磁場を形成し、この円孔内において磁場によりスラリを保持させ、磁場を円孔の内周側の端面に対して移動させることにより、研磨剤を円孔の内周側の端面に対して移動させて円孔の内周側の端面を磁気研磨法によって研磨する。
より具体的には、対となる磁石は、磁気ディスク用ガラス基板の外周側と、円孔の内周側とに設けるので、対となる磁石によって形成される磁力線は、磁気ディスク用ガラス基板の径方向に沿っている。
特開平11−28649号公報 特開2005−50501号公報
しかし、上述した磁気ディスク用ガラス基板の磁気研磨方法では、磁気ディスク用ガラス基板の円孔の内周側の他に外周側にも磁石を設けるため、研磨対象の内周側端面と外周側に設けた磁石との間の距離が大きくなる。このため、スラリが十分に保持できず、研磨の加工レートが小さく、研磨対象の内周側端面の表面粗さを効率よく小さくすることはできないという問題があった。さらに磁気研磨における装置構成も磁石の配置の点で煩雑であった。さらに、磁気ディスク用ガラス基板の外周側端面を、内周側端面と同時に磁気研磨をすることはできない。
そこで、本発明は、磁気ディスク用ガラス基板となるガラス基板を研磨する際、研磨の加工レートを従来よりも高くすることができ、効率よく研磨をすることができる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を含む。
本発明の一態様は、磁気ディスク用ガラス基板を製造する方法である。
[態様1]
当該方法は、
磁気ディスク用ガラス基板を製造する方法であって、
ガラス基板の端面に側壁面および面取り面を形成する工程、及びガラス基板の端面研磨を行う工程、を含み、前記端面研磨を行う工程では、
磁石の対をN極の面とS極の面が互いに対向するように離間した状態で配置した磁気発生手段を用いて前記ガラス基板の厚さ方向に進む磁力線を形成し、
前記磁力線に研磨砥粒と磁気機能性流体を含む磁性スラリを配することにより、前記磁性スラリを前記磁力線に沿って保持させ、前記磁性スラリの塊を形成し、
前記ガラス基板の端面を、前記磁力線と直交する方向で、前記磁力線によって保持された前記磁性スラリに押しつけて接触させた状態で相対移動させることにより、前記ガラス基板の前記側壁面および前記面取り面の両方を同時に研磨する。
[態様2]
前記ガラス基板の端面は、前記磁性スラリ内部の、前記N極と前記S極とを接続する磁力線に保持される部分と接触するように、前記磁性スラリの内部に押し付けられる、請求項1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
[態様3]
前記磁石の対の前記N極の面と前記S極の面との間には、非磁性体からなるスペーサが設けられている、態様1または2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
[態様4]
前記ガラス基板は、前記ガラス基板の中心に中心点を持つ円形状の貫通孔を有する円板形状であり、
前記磁気発生手段は、前記ガラス基板の前記貫通孔内に設けられて、前記貫通孔の側壁面である内周側端面の周りで、前記ガラス基板の厚さ方向に進む内周側磁力線を形成する内周側手段を有し、
前記ガラス基板の前記内周側端面を、前記内周側手段によって形成される前記内周側磁力線によって保持された前記磁性スラリと接触させた状態で相対移動させることにより、前記内周側端面を研磨する、態様1〜3のいずれか1つに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
[態様5]
前記磁性スラリは、中心軸を持ち前記中心軸の周りに回転可能な回転体の表面に円環形状に形成され、
前記ガラス基板の前記内周側端面を研磨するとき、前記回転体の回転によって前記磁性スラリは回転し、かつ前記ガラス基板の前記内周側端面の全周と前記磁性スラリの全周とを接触させて、前記ガラス基板を、前記磁性スラリと逆回転方向に回転させる、態様4に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
[態様6]
前記磁気発生手段は、さらに、前記ガラス基板の外周側に設けられて、前記ガラス基板の外周側端面の周りで、前記ガラス基板の厚さ方向に進む外周側磁力線を形成する外周側手段、を有し、
前記ガラス基板の前記外周側端面を、前記外周側手段によって形成される前記外周側磁力線によって保持された前記磁性スラリと接触させた状態で相対移動させることにより、前記内周側端面及び前記外周側端面の両方を研磨する、態様4または5に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
[態様7]
複数の磁気ディスク用ガラス基板を製造する方法であって、
ガラス基板の端面に側壁面および面取り面を形成する工程、及び、複数のガラス基板を積層してガラス基板の積層体とし、前記積層体の状態で、それぞれのガラス基板の端面研磨を行う工程、を含み、前記端面研磨を行う工程では、
磁石の対をN極の面とS極の面が互いに対向するように離間した状態で配置した磁気発生手段を用いて、前記積層体の積層方向に進む磁力線を複数の位置に形成させ、
前記複数の位置に形成させた磁力線に研磨砥粒と磁気機能性流体を含む磁性スラリを配することにより、前記磁力線によって前記磁性スラリを保持させ、磁性スラリの塊を形成し、
前記積層体のそれぞれのガラス基板の端面を、磁力線と直交する方向で、前記磁力線によって保持された前記磁性スラリに押しつけて接触させた状態で相対移動させることにより、前記積層体のそれぞれのガラス基板の前記側壁面および前記面取り面の両方を同時に研磨する、ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
[態様8]
前記磁石の対のそれぞれのN極の面と前記S極の面との間には、非磁性体からなるスペーサが設けられている、態様7に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
[態様9]
前記磁気発生手段と前記積層体とは、研磨中、前記積層方向に対して相対的に揺動する、態様7または8に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
[態様10]
前記ガラス基板は、円形状の貫通孔を有する円板形状であり、
前記磁気発生手段は、前記積層体の前記ガラス基板の前記貫通孔内に設けられて、前記ガラス基板の前記貫通孔の側壁面である内周側端面の周りで、前記ガラス基板の厚さ方向に進む内周側磁力線を形成する内周側手段を有し、
前記ガラス基板の前記内周側端面を、前記内周側手段によって形成される前記内周側磁力線によって保持された前記磁性スラリと接触させた状態で相対移動させることにより、前記内周側端面を研磨する、態様7〜9のいずれか1つに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
[態様11]
側壁面および面取り面を端面に有するガラス基板を製造する方法であって、
前記ガラス基板の端面に前記側壁面および前記面取り面を形成する工程、及び前記ガラス基板の端面研磨を行う工程、を含み、
前記端面研磨を行う工程では、
前記ガラス基板の厚さ方向に、N極の面とS極の面が互いに対向するように離間した状態で配置された磁石の対を含む磁気発生手段により形成される磁力線によって研磨砥粒と磁気機能性流体、及び非極性又は極性のオイルを含む温度20℃における粘度が1000〜2000[mPa・秒]である磁性スラリを保持させ、磁性スラリの塊を形成し、
前記ガラス基板の端面を、磁力線と直交する方向で、前記磁力線によって保持された前記磁性スラリに押しつけて接触させた状態で相対移動させることにより、前記ガラス基板の前記側壁面および前記面取り面の両方を同時に研磨する、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
[態様12]
前記磁気発生手段は、0.3〜0.8[テスラ]の磁束密度を有する、態様1〜11のいずれか1つに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
[態様13]
前記磁性スラリの降伏応力は、0.4[テスラ]の磁場を印加した状態で30〜60kPaである、態様1〜12のいずれか1つに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
上述の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によれば、ガラス基板の端面を研磨する際、研磨の加工レートを従来よりも高くすることができ、効率よく研磨をすることができる。
(a)は、磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製される磁気ディスクの一例を示す概略構成図であり、(b)は、磁気ディスクの一例の断面図である。 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の一実施形態のフローを示す図である。 (a)〜(c)は、本実施形態の研磨方法を説明する図である。 本実施形態の研磨の状態を説明する図である。 (a),(b)は、本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の積層体を用いた研磨方法を説明する図である。 図5に示す実施形態における研磨方法の変形例を説明する図である。 本実施形態の他の変形例を説明する図である。
以下、本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について詳細に説明する。
なお、以下説明する明細書中でいう磁気粘性流体(MRF)は、磁気機能性流体の1つである。磁気機能性流体は、磁気粘性流体の他に、磁性流体(MF)及び磁気混合流体(MCF)を含む。明細書中で言う磁性スラリは、少なくとも研磨砥粒と磁気粘性流体を含む。
(磁気ディスクおよび磁気ディスク用ガラス基板)
まず、図1を参照して、磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製される磁気ディスクについて説明する。図1(a)は、磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製される磁気ディスクの一例を示す概略構成図である。図1(b)は、磁気ディスクの概略断面図である。
図1(a)に示されるように、磁気ディスク1は、円板の形状の中心部分が同心円形状にくり抜かれたリング状を成し、リングの中心を通る軸を回転軸として回転する。この磁気ディスク1は、例えば、2.5インチ型磁気ディスク、3.5インチ型磁気ディスクなどの所定の直径を有している。図1(b)に示されるように、磁気ディスク1は、ガラス基板2と、少なくとも磁性層3A,3Bと、を備える。なお、磁性層3A,3B以外には、例えば、図示されない付着層、軟磁性層、非磁性下地層、垂直磁気記録層、保護層および潤滑層等が成膜される。付着層には、例えばCr合金等が用いられる。付着層は、ガラス基板2との接着層として機能する。軟磁性層には、例えばCoTaZr合金等が用いられる。非磁性下地層には、例えばグラニュラー非磁性層等が用いられる。垂直磁気記録層には、例えばグラニュラー磁性層等が用いられる。保護層には、水素カーボンからなる材料が用いられる。潤滑層には、例えばフッ素系樹脂等が用いられる。
磁気ディスク1について、より具体的な例を用いて説明する。本実施形態では、インライン型スパッタリング装置を用いて、ガラス基板2の両主表面に、CrTiの付着層、CoTaZr/Ru/CoTaZrの軟磁性層、CoCrSiOの非磁性グラニュラー下地層、CoCrPt−SiO・TiOのグラニュラー磁性層、水素化カーボン保護膜を順次成膜される。さらに、成膜された最上層にディップ法によりパーフルオロポリエーテル潤滑層が成膜される。
本実施形態における磁気ディスク用ガラス基板の材料として、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラスなどを用いることができる。特に、化学強化を施すことができ、また主表面の平面度及び基板の強度において優れた磁気ディスク用ガラス基板を作製することができるという点で、アルミノシリケートガラスを好適に用いることができる。
本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の組成を限定するものではないが、アルミノシリケートガラスとして、酸化物基準に換算した際に、モル%表示で、SiOを50〜75%、Alを1〜15%、LiO、NaO及びKOから選択される少なくとも1種の成分を合計で12〜35%、MgO、CaO、SrO、BaO及びZnOから選択される少なくとも1種の成分を合計で0〜20%、及び、ZrO、TiO、La、Y、Ta、Nb及びHfOから選択される少なくとも1種の成分を合計で0〜10%、有する組成からなるアルミノシリケートガラスを用いることが好ましい。
次に、図2を参照して、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法のフローを説明する。図2は、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の一実施形態のフローを示す図である。
図2に示すように、先ず、一対の主表面を有する板状のガラスブランクを成形する(ステップS10)。次に、成形されたガラスブランクをスクライブして、円環状のガラス基板を作製する(ステップS20)。これにより、ガラス基板の中心に中心点を持つ円孔の貫通孔を有する磁気ディスク用ガラス基板(以降単にガラス基板という)が得られる。次に、スクライブされたガラス基板に対して形状加工(チャンファリング加工)を行う(ステップS30)。次に、ガラス基板に対して研削を施す(ステップS40)。次に、ガラス基板の端面研磨を行う(ステップS50)。次に、ガラス基板の主表面に第1研磨を施す(ステップS60)。次に、ガラス基板に対して第2研磨を施す(ステップS70)。以上の工程を経て、要求された表面凹凸を満足する磁気ディスク用ガラス基板が得られる。なお、ガラスブランク成形工程(ステップS10)から形状加工工程(ステップS30)までの工程により、ガラスブランクから円形状のガラス基板が作製される。これらの各工程は常に必要であるわけでなく、適宜省略することもできる。また、各工程の順番を適宜変更することもできる。以下、各工程について、詳細に説明する。
(a)ガラスブランク成形工程(ステップS10)
ガラスブランクの成形では、例えばフロート法が用いられる。ガラスブランクの成形工程では先ず、錫などの溶融金属の満たされた浴槽内に、溶融ガラスを連続的に流し入れることで例えば上述した組成の板状ガラスを得る。溶融ガラスは厳密な温度操作が施された浴槽内で進行方向に沿って流れ、最終的に所望の厚さ、幅に調整された板状ガラスが形成される。この板状ガラスから、磁気ディスク用ガラス基板の元となる所定形状(例えば平面視四角形状)の板状のガラスブランクが切り出される。浴槽内の溶融錫の表面は水平であるために、フロート法により得られる板状のガラスブランクは、その表面の平坦度が十分に高いものとなる。
また、板状のガラスブランクの成形は、フロート法の他に、例えばプレス成形法を用いることもできる。プレス成形による板状のガラスブランクの成形では、受けゴブ形成型である下型上に、溶融ガラスからなるガラスゴブ(ガラス塊)が供給され、下型と対向ゴブ形成型である上型を使用してガラスゴブがプレス成形される。これにより、磁気ディスク用ガラス基板の元となる円板状のガラスブランクが作製される。
なお、板状のガラスブランクは、上述した方法に限らず、ダウンドロー法、リドロー法、フュージョン法などの公知の製造方法を用いて製造することができる。フロート法やダウンドロー法、リドロー法、フュージョン法などの公知の製造方法で作られた板状ガラスから、後述するスクライブ工程を経て磁気ディスク用ガラス基板の元となる円板状のガラスブランクが切り出される。
(b)スクライブ工程(ステップS20)
次に、スクライブ工程について説明する。ガラスブランク成形工程の後、スクライブ工程では、成形されたガラスブランクに対してスクライブが行われる。
ここでスクライブとは、成形されたガラスブランクを所定のサイズのリング形状のガラス基板とするために、ガラスブランクの表面にスクライバにより2つの同心円(内周側同心円および外周側同心円)状の切断線(線状のキズ)を設けることをいう。2つの同心円の形状にスクライブされたガラスブランクは、部分的に加熱され、ガラスブランクの熱膨張の差異により、外周側同心円の外側部分および内周側同心円の内側部分が除去される。これにより、円形状の貫通孔があいたリング状のガラス基板が得られる。なお、ガラスブランクに対してコアドリル等を用いて円孔を形成することにより円形状の貫通孔があいたディスク状のガラス基板を得ることもできる。
(c)形状加工工程(ステップS30)
次に、形状加工工程について説明する。形状加工工程では、スクライブ工程後のガラス基板の端部に対するチャンファリング加工(外周側端面および内周側端面の面取り加工)を含む。チャンファリング加工は、スクライブ工程後のガラス基板の外周側端面および内周側端面において面取りを施す形状加工である。面取りの傾斜角度は、主表面に対して例えば40〜50度であり、略45度であることが好ましい。この形状加工によって、所定の断面形状をしたガラス基板が作製される。
(d)研削工程(ステップS40)
研削工程では、上定盤、下定盤、インターナルギヤ、キャリヤ、太陽ギヤを備えた公知の遊星歯車機構を持った両面研削装置を用いて、ガラス基板の主表面に対して研削加工を行う。具体的には、ガラス基板の外周側端面が、両面研削装置の保持部材に設けられた保持孔内に保持されながらガラス基板の両側の主表面の研削が行われる。両面研削装置は、上下一対の定盤(上定盤および下定盤)を有しており、上定盤および下定盤の間にガラス基板が狭持される。ガラス基板の挟持は、円板状のキャリヤに設けられた保持孔にガラス基板が保持された状態で、キャリヤが上定盤および下定盤の間に挟まれる。そして、上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動操作させることで、ガラス基板と各定盤とを相対的に移動させることにより、ガラス基板の両主表面を研削することができる。
なお、研削では、定盤に設けられた固定砥粒、あるいは遊離砥粒を含んだ研磨スラリーを用いることができる。
(e)端面研磨工程(ステップS50)
次に、端面研磨工程を説明する。端面研磨では、研磨砥粒と磁気粘性流体を含む磁性スラリを磁力線に保持させることにより、磁性スラリが硬くなった磁性スラリの塊を形成させ、この塊と内周側端面、外周側端面とをそれぞれ接触させて相対移動させることにより、ガラス基板の内周側端面、外周側端面の研磨を行う。磁性スラリには、研磨砥粒として、例えば、酸化セリウムや酸化ジルコニウム等の微粒子が用いられる。また、端面研磨による取り代は、10μm以下であり、より好ましくは5μm以下である。端面研磨を行うことにより、ガラス基板の端面での塵埃等が付着した汚染、傷等の損傷の除去を行うことにより、サーマルアスペリティ障害の発生を防止することができる。さらに、ナトリウムやカリウム等のコロージョンの原因となるイオン析出の発生を防止することができる。本実施形態の端面研磨は、従来の端面研磨の方式、例えばブラシを用いて研磨スラリでガラス基板の端面を研磨する方式、さらには、従来の磁気研磨の方式に比べて短時間に研磨することができ、極めて生産効率がよい。端面研磨については後述する。
(f)第1研磨工程(ステップS60)
次に、研削のガラス基板の主表面に第1研磨が施される。具体的には、ガラス基板の外周側端面を、両面研磨装置の保持部材に設けられた保持孔内に保持しながらガラス基板の両側の主表面の研磨が行われる。
第1研磨工程では、研削(ステップS40)に用いる両面研削装置と同様の構成を備えた公知の両面研磨装置を用いて、研磨スラリを与えながらガラス基板が研磨される。第1研磨工程では、遊離砥粒を含んだ研磨スラリが用いられる。第1研磨に用いる遊離砥粒として、例えば、酸化セリウム砥粒、あるいはジルコニア砥粒などが用いられる。両面研磨装置も、両面研削装置と同様に、上下一対の定盤の間にガラス基板が狭持される。下定盤の上面及び上定盤のガラス基板と対向する面には、全体として円環形状の平板の研磨パッド(例えば、樹脂ポリッシャ)が取り付けられている。そして、上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動操作させることで、ガラス基板と各定盤とを相対的に移動させることにより、ガラス基板の両主表面を研磨する。
(g)第2研磨(最終研磨)工程(ステップS70)
次に、ガラス基板に第2研磨が施される。第2研磨においても、第1研磨に用いる両面研磨装置と同様の構成を有する両面研磨装置が用いられる。第2研磨は、遊離砥粒の種類及び粒子サイズが適宜調整され、樹脂ポリッシャの硬度が適宜調整されて行われる。
第2研磨工程に用いる遊離砥粒として、例えば、スラリに混濁させたコロイダルシリカ等の微粒子が用いられる。研磨されたガラス基板を洗浄することで、磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
第2研磨工程は、必ずしも必須な工程ではないが、ガラス基板の主表面の表面凹凸のレベルをさらに良好なものとすることができる点で実施することが好ましい。第2研磨工程を実施することで、主表面の粗さ(Ra)を0.1nm以下かつ上記主表面のマイクロウェービネス(MW−Rq)を0.1nm以下とすることができる。
このようにして、第2研磨されたガラス基板は要求された表面凹凸を満足する磁気ディスク用ガラス基板となる。なお、上記研磨工程の前、後、第1研磨と第2研磨との間に、必要に応じてイオン交換による化学強化処理を行ってもよい。例えば、前記(e)端面研磨工程(ステップS50)の前にガラス基板に対して化学強化処理を行い、化学強化されたガラス基板の端面に対して前記(e)端面研磨工程(ステップS50)を行ってもよい。この場合には、化学強化処理の際にガラス基板表面に付着した異物を除去できるため好ましい。化学強化処理として、公知の方法を用いればよい。
(端面研磨)
ステップS50で行う端面研磨についてより詳細に説明する。図3(a)〜(c)及び図4は、本実施形態の端面研磨の研磨方法を説明する図であり、わかり易く説明した図である。
端面研磨を行う装置10は、磁気発生手段と磁性スラリを用いてガラス基板の端面の研磨を行う。装置10では、まず、磁気発生手段である磁石12と磁石14を用いてガラス基板11の厚さ方向に進む磁力線を形成し、この磁力線に磁性スラリを配することにより磁性スラリの塊20をつくり、この磁力線により、磁性スラリの塊20を磁力線に沿って保持させる。そして、ガラス基板11の端面を、磁力線によって保持された磁性スラリの塊20と接触させた状態でガラス基板11と塊20とを相対移動させることにより、ガラス基板11の端面を研磨する。
図3(a)〜(c)及び図4は、ガラス基板の内周側端面の研磨を説明している。端面研磨を行う装置10の概要を説明すると、図3(a)に示すように、装置10は、永久磁石である一対の磁石12,14と、スペーサ16と、非磁性体、例えばステンレスからなる中空の円柱形状の外装部材18と、を含む。外装部材18内に、磁石12,14及びスペーサ16が内蔵されている。端面研磨を行うガラス基板11は、図示されない保持具によって把持されている。保持具に把持されたガラス基板11を、円形状の貫通孔11aに外装部材18を貫通させ、後述する磁性スラリの塊20(図3(c),図4参照)とガラス基板11の内周側端面とを接触させる。装置10の外装部材18及びガラス基板11を保持する図示されない保持具は、図示されない駆動モータと機械的に接続されている。外装部材18と保持具が回転してガラス基板11の端面と塊20とを相対的に移動させることにより、ガラス基板11の内周側端面を研磨することができる。例えば、外装部材18とガラス基板11を保持する保持具との回転方向を互いに逆向きに回転させ、外装部材18と保持具との周速度の相対速度を50〜300m/分として回転させることが好ましく、より好ましくは、上記相対速度は40〜100m/分である。すなわち、磁性スラリは、中心軸を持ち中心軸の周りに回転可能な外装部材18(回転体)の表面に円環形状に形成される。ガラス基板11の内周側端面を研磨するとき、外装部材18の回転によって磁性スラリは回転する。ガラス基板11の内周側端面の全周と磁性スラリの全周とを接触させて、ガラス基板11を、磁性スラリと逆回転方向に回転させることが好ましい。磁性スラリは、円環形状に形成されているので、ガラス基板11の円形の貫通孔の内壁面である内周側端面を、円孔の形状を変形させないように研磨することができる。この場合、ガラス基板11の回転数は例えば500〜4000rpmとし、磁性スラリの回転数は例えば50〜300rpmとする。なお、後述するように、ガラス基板11の外周側端面を研磨する場合も、ガラス基板11の回転数は例えば500〜4000rpmとし、磁性スラリの回転数は例えば50〜300rpmとすることが好ましい。
なお、ガラス基板11の端面と塊20とを相対的に移動させることができれば、ガラス基板11の端面と塊20とのいずれか一方を固定し他方を回転させてもよい。しかし、磁性スラリとガラス基板11の回転方向を同じ回転方向にした場合、研磨の加工レートはばらつき易く、磁性スラリの温度が過度に高くなり磁性スラリの寿命が低下する。この点で、ガラス基板11と磁性スラリの回転方向を互いに逆向きに回転させることが好ましい。
端面研磨をより具体的に説明すると、磁石12と磁石14は、互いに近接して、磁気発生手段として機能し、図3(b)に示すような磁力線19を形成する。この磁力線19は、磁石12,14の中心から外側に向けて突出するように進み、かつ、ガラス基板11の厚さ方向に進む。図3(b)に示す例では、ガラス基板11の厚さ方向に、N極の面とS極の面が互いに対向するように離間した状態で配置された磁石の対が磁気発生手段として用いられる。面が互いに対向するとは、面と面が平行に向き合うこと、すなわち正対することをいう。磁石12,14との間には、磁石12のN極の端面と磁石14のS極の端面との間の離間距離を予め定めた距離とするために、非磁性体からなるスペーサ16が設けられる。磁石12のN極の端面と磁石14のS極の端面との間の離間距離を予め定めた距離とするのは、磁力線19が図3(b)に示すように外側に突出させることにより、図3(c)に示すような磁性スラリの塊20を外装部材18の外周につくるためである。塊20は、ガラス基板11の端面と接触し、この端面との間で相対運動する部分であるため、塊20の剛性を確保する点から、磁力はある程度強いことが望まれる。このため、磁石12のN極の端面と磁石14のS極の端面との間の離間距離は短いことが好ましいが、過度に離間距離が短い場合、磁力線が外側に突出しにくくなり、塊20を十分に形成することができなくなる。このため、磁石12のN極の端面と磁石14のS極の端面との間の離間距離はある所定の範囲に定められる。
本実施形態のガラス基板の端面研磨は、ガラス基板11の端面は塊20の内部に磁力線と直交する方向に押し付けられて行われることが、研磨の加工レートを高める点で好ましい。磁力線と直交する方向に押し付けることで、ガラス基板11の端面は塊20から大きな抗力を受けるので、研磨が促進される。
また、ガラス基板11の端面は、一般的に、ガラス基板11の両側のガラス主表面に直交する方向に延びる側壁面と、この側壁面と両側のガラス主表面とを接続する、ガラス主表面に対して傾斜した面取り面とを、を有する。このガラス基板11の端面を研磨するとき、側壁面と面取り面が同時に研磨されることが好ましい。本実施形態のガラス基板では、側壁面と面取り面の端面研磨を同時にしかも高い研磨レートで行えるので効率の良い端面研磨を行うことができる。
本実施形態のガラス基板11の端面は、磁性スラリの塊20内部の、磁石12のN極と磁石14のS極とを接続する磁力線、すなわち、磁力線がN極からあるいはS極から延びてS極あるいはN極で終了する閉じた磁力線に保持される部分と接触するように、塊20の内部に押し付けられる、ことが好ましい。磁石12のN極と磁石14のS極とを接続する磁力線に沿って保持される磁性スラリの部分は、磁力線が磁石の極で終了しない部分に比べて剛性が高まり高い研磨の加工レートを実現する。
なお、上述したように側壁面と面取り面が同時に研磨されるように、ガラス基板11を塊20の内部に押し込むが、このとき、ガラス基板の主表面のうち塊20に接触する部分は実質的に研磨されない。ガラス基板の主表面の近傍では、磁力線はガラス基板に遮断されてN曲とS曲との間で閉じた磁力線が切れるので磁気スラリの塊の硬さは低下し易い。このため、ガラス基板の主表面の研磨の加工レートはきわめて低くなり、ガラス基板の端面の研磨中、主表面の研磨は実質的に研磨されない。
また、本実施形態の研磨対象である磁気ディスク用ガラス基板は、薄板状であることが好ましく、その板厚が1mm以下であることがより好ましい。そして、本発明は、薄板状のガラス基板の端面を研磨することがより好ましい。
なお、図3(a)〜(c)及び図4に示す例では、磁気発生手段として永久磁石を用いたが、後述するように、電磁石を用いることもできる。また、磁石12のN極の端面と磁石14のS極の端面との間の離間距離を一定の距離に確保するために、スペーサ16を用いたが、スペーサ16を用いず、外装部材18に磁石12,14が固定されて、磁石12のN極の端面と磁石14のS極の端面との間の離間距離を一定に確保することもできる。
端面研磨に用いる磁性スラリの磁気粘性流体として、例えば、0.1〜10μmのFeからなる磁性体微粒子を3〜5g/cm3含む非極性オイル、及び界面活性剤を含んだ流体が用いられる。非極性オイルあるいは極性オイルは、例えば、室温(20℃)において100〜1000(mPa・秒)の粘度を有する。
磁性スラリにより形成される塊20は、磁性体微粒子を含む磁気粘性流体が磁力線上に塊として形成されるとき、磁性体粒子と同様に研磨砥粒も塊20に含まれる。磁気粘性流体中の研磨砥粒は、磁気浮揚効果により磁力勾配の低い部分に押し出されるため、ガラス基板の研磨しようとする端面近傍に偏って存在する。しかも、磁力線により比較的高い弾性特性を有する塊となるので、ガラス基板の端面を塊20に押圧することにより効率よく研磨することができる。すなわち、加工レートを従来よりも高くすることができ、効率よく研磨をすることができる。
磁性スラリに含まれる研磨砥粒として、酸化セリウム、コロイダルシリカ、酸化ジルコニア、アルミナ砥粒、ダイヤモンド砥粒等の公知のガラス基板の研磨砥粒を用いることができる。研磨砥粒の粒径については、例えば0.5〜3μmである。この範囲の研磨砥粒を用いることにより、ガラス基板の内周側端面を良好に研磨することができる。研磨砥粒は、磁性スラリ中に、例えば3〜15Vol%含まれる。
磁性スラリの粘度は、磁気粘性流体の濃度調整により、室温(20℃)で1000〜2000[mPa・秒]であることが、磁性スラリの塊20を形成させ、端面研磨を効率よく行う点で好ましい。粘度が低い(磁気粘性流体の濃度が低い)と塊20を形成し難くなり、ガラス基板11の端面に押圧された状態で相対運動させて研磨することは難しい。一方、磁性スラリの粘度が過度に高い場合、塊20が研磨中ガラス基板11の端部形状に沿って形成され均一な押圧状態が形成し難い。また、磁気発生手段における磁束密度は、磁性スラリの塊20を形成させ、端面研磨を効率よく行う点で、0.3〜0.8[テスラ]であることが好ましい。また、磁気粘性流体の降伏応力は、0.4[テスラ]の磁場を印加した状態で30kPa以上であることが好ましく、30〜60kPaであることがより好ましい。
ここで、磁気粘性流体の降伏応力(降伏せん断応力)は、 例えば次の方法により求めることができる。
回転粘度計に、0.4[テスラ]の磁場を印加可能な磁場印加手段(永久磁石、電磁石等)を組込んだ装置を用いて、磁気粘性流体のせん断速度とせん断応力の関係を求め、得られたせん断速度とせん断応力の関係を公知のCassonの式を用いて近似することよって、磁気粘性流体の降伏応力を求めることができる。
上記降伏応力は、磁場によって保持された磁性スラリとガラス基板の外周側端面とが相対移動する際に、ガラス基板が磁性スラリから受ける圧力、即ちせん断応力に影響を与える。したがって、磁性スラリの降伏応力が高い程(磁性スラリ流動時のせん断応力が高い程)、研磨砥粒とガラス基板との接触による研磨が効率的に行われ、端面研磨の加工レートを向上させることができる。
このように、磁性スラリは、中心軸を持ち中心軸の周りに回転可能な回転体である外装部材18の表面に円環形状に形成されている。このとき、ガラス基板11の内周側端面を研磨するとき、この回転体の回転によって磁性スラリは回転し、かつガラス基板11の内周側端面の全周と磁性スラリの全周とを接触させて、ガラス基板11を、磁性スラリと逆回転方向に回転させることが、内周側端面の研磨の加工レート向上の点で好ましい。
なお、回転体である外装部材18の表面は、一定の曲率半径を有する円筒表面であってもよいし、回転体の表面の周上に一周する溝が設けられてもよい。この溝に磁性スラリを配することができる。
(変形例1)
図3(a)〜(c)及び図4は、ガラス基板11の内周側端面の研磨について説明したが、ガラス基板の外周側端面についても、同様の方法により研磨することができる。変形例1(図示されない)は、ガラス基板11の内周側端面の研磨と同時に外周側端面の研磨を行う例である。
変形例1では、図3(a)〜(c)に示す磁石12,14及びスペーサ16を内蔵した外装部材18を、ガラス基板11の外周側端面の近傍に配置し、磁石12,14によって外装部材18の外周側に形成される磁力線によって磁力線に沿って磁性スラリを保持させることにより磁性スラリの塊20を形成させる。この塊20とガラス基板の外周側端面を接触させた状態で相対的に移動させることにより、ガラス基板11の外周側端面の研磨が行われる。
すなわち、変形例1では、磁気発生手段として、図3(a)〜(c)に示す磁石12,14をガラス基板11の貫通孔11a内に設け磁力線を形成する内周側手段と、図3(a)〜(c)に示す磁石12,14と同様に磁石12,14をガラス基板11の外周側に設け磁力線を形成する外周側手段と、を含む。内周側手段は、貫通孔11aを取り巻くガラス基板11の内周側端面の周りで、ガラス基板11の厚さ方向に進む内周側磁力線を形成する。外周側手段は、ガラス基板11の外周側端面の周りで、ガラス基板11の厚さ方向に進む外周側磁力線を形成する。端面の研磨は、ガラス基板11の内周側端面及び外周側端面を、上記内周側手段及び上記外周側手段のそれぞれによって形成される磁性スラリの塊20と接触させた状態で相対移動させることにより、内周側端面及び外周側端面の両方を研磨する。したがって、変形例1では、図3(a)〜(c)及び図4に示すガラス基板11の内周側端面の研磨を行うと同時に、外周側端面の研磨を行うことができ、効率のよい端面研磨を実現する。すなわち、加工レートを従来よりも高くすることができ、効率よく研磨をすることができる。
(変形例2)
図5(a),(b)は、端面研磨の変形例2を示す図である。
変形例2では、一枚のガラス基板ではなく、複数のガラス基板の内周側端面を纏めて研磨する例である。
変形例2では、複数の磁石の対を用いて、ガラス基板の積層体の積層方向に進む磁力線を複数の位置に形成させ、磁性スラリを複数の位置に配することにより、磁力線によって磁性スラリを保持させて磁性スラリの塊を複数の位置につくり、この複数の位置のそれぞれの位置で、ガラス基板の積層体のそれぞれのガラス基板の端面を磁力線によって保持された塊と接触させた状態で相対移動させることにより、それぞれのガラス基板の端面を研磨する。これにより、複数のガラス基板の端面研磨を短時間に行うことができる。
図5(a)に示す装置30は、外装部材18と、磁石12,14,32,34,36と、スペーサ16,38,40,42と、を含む。外装部材18、磁石12,14、スペーサ16は、いずれも、図3(a)に示す外装部材18、磁石12,14、スペーサ16と同じ構成のものである。また、磁石32,34,36は、磁石12,14と同じ構成のものであり、スペーサ38,40,42もスペーサ16と同じ構成のものである。したがって、外装部材18と、磁石12,14,32,34,36と、スペーサ16,38,40,42との説明は省略する。
外装部材18には、磁石のN極の端面と隣り合うS極の端面とが一定距離離間して対向するように段重ねになって内蔵されている。したがって、このような外装部材18によって、外装部材18の外側に形成される磁力線に沿って、磁性スラリの塊20,52,54,56が外装部材18の長手方向に沿って複数個所(4箇所)形成される。塊20,52,54,56が形成された外装部材18を、束になったガラス基板11,44,46,48(各ガラス基板の端面は面取りされている)の中心に中心点を持つように設けられた円形状の貫通孔に貫通させ、磁性スラリの塊20,52,54,56とガラス基板11,44,46,48の内周側端面とを接触させる。したがって、塊20,52,54,56とガラス基板11,44,46,48の内周側端面との間で相対移動させることにより、ガラス基板11,44,46,48の内周側端面を同時に研磨することができる。ガラス基板11,44,46,48は接着剤等により積層体として一体化されている。ここで、積層体にするために用いる接着剤として、ガラス基板11,44,46,48の各主表面同士を接着または剥離可能であればいかなるものでも構わない.例えば、紫外線硬化樹脂接着剤は,所定の波長の紫外線の照射で容易に固化するため接着作業が容易である。また、紫外線硬化樹脂として,温水あるいは有機溶媒により接着したガラス基板11,44,46,48を容易に剥離させることができるものが好ましい.接着剤としては紫外線硬化樹脂接着剤のほか,ワックス,光硬化樹脂,可視光線硬化樹脂等も使用することができる。ワックスは,所定の温度で軟化して液状になり常温で固形状となるので,ガラス基板11,44,46,48の接着、剥離作業が容易である。接着剤の代わりにスペーサを挟み貼付してもよい。接着剤の代わりにスペーサをガラス基板11,44,46,48間に貼付する場合には,樹脂材料、繊維材料、ゴム材料、金属材料,セラミック材料等の薄厚のスペーサを使用することができる。ガラス基板11,44,46,48の束は、図示されない保持具で把持される。
すなわち、端面研磨を行う工程では、磁石12,14,32,34,36を磁気発生手段として用いて、ガラス基板11,44,46,48の束である積層体の積層方向に進むような磁力線を複数の位置に形成し、磁性スラリを複数の位置で磁力線に沿って保持させることにより、ガラス基板の端面の周りに磁性スラリの塊20,52,54,56を複数の位置でそれぞれ形成させる。ガラス基板11,44,46,48の内周側端面を磁性スラリの塊20,52,54,56のそれぞれと接触させた状態で相対移動させることにより、ガラス基板を研磨する。したがって、複数のガラス基板の内周側端面を同時に研磨することができるので、効率のよい端面研磨を実現する。すなわち、加工レートを従来よりも高くすることができ、効率よく研磨をすることができる。
なお、ガラス基板11,44,46,48の間隔と、塊20,52,54,56の間隔は一致し、ガラス基板11,44,46,48の内周側端面が、塊20,52,54,56のそれぞれと同時に接触するように磁石間に設けるスペーサを調整することにより、塊20,52,54,56の形成位置を調整しておくことが好ましい。ガラス基板11,44,46,48の内周側端面が、塊20,52,54,56のそれぞれと同時に接触しない場合を考慮して、磁気発生手段である磁石12,14,32,34,36と積層体であるガラス基板11,44,46,48の束とは、研磨中、積層体の積層方向(外装部材18の延在方向)に対して相対的に揺動することが好ましい。揺動させることにより、塊20,52,54,56のそれぞれと研磨中、偏り無く接触し、ガラス基板11,44,46,48の内周側端面の研磨を均一に行うことができる。例えば、接着剤を用いて束にしたガラス基板の積層体の場合、例えば0.1〜20mm程度のストロークを例えば24〜600[mm/分]の速度で揺動させる。これにより、側端面の研磨を均一に行うことができる。この揺動は、変形例2のガラス基板の積層体の端面研磨のみに用いられるわけではなく、図4に示すような一枚のガラス基板の端面を研磨する場合にも適用できる。この場合、ガラス基板の厚みの半分程度を揺動の範囲とするとよい。
(変形例3)
図6は、端面研磨の変形例3を示す図である。変形例3では、変形例2と同様に、複数のガラス基板11,44,46,48を接着剤で接着しガラス基板の束となった積層体の各ガラス基板の内周側端面を研磨するとともに、各ガラス基板の外周側端面を研磨する。すなわち、塊20,52,54,56が形成された外装部材18を、接着剤で主表面を接合して束になったガラス基板11,44,46,48の中心に設けられた円形状の貫通孔に貫通させ、磁性スラリの塊20,52,54,56とガラス基板11,44,46,48の内周側端面とを接触させる。
同時に、積層体の各ガラス基板の外周側に設けられた外装部材18と同様の構成の外装部材60の表面に、磁性スラリの塊62,64,66,68を形成させる。外装部材60は、塊62,64,66,68がガラス基板11,44,46,48と接触するように位置決めされている。外装部材60は、外装部材18と同様に図示されない駆動モータと機械的に接続されており、回転可能になっている。したがって、外装部材18、外装部材60を、ガラス基板11,44,46,48と異なる方向に回転させることにより、ガラス基板11,44,46,48の内周側端面及び外周側端面を同時に研磨することができ、効率のよい端面研磨を実現する。
すなわち、端面研磨を行う工程では、磁気発生手段として、積層体を構成するガラス基板11,44,46,48の円形状の貫通孔内に設けられた磁力線を形成する内周側手段と、積層体を構成するガラス基板11,44,46,48の外周側に設けられた磁力線を形成する外周側手段とを用いる。内周側手段は、ガラス基板11,44,46,48の円形状の貫通孔を取り巻くガラス基板の内周側端面の周りで、ガラス基板11,44,46,48の厚さ方向に進む内周側磁力線を形成する。外周側手段は、ガラス基板11,44,46,48の外周側端面の周りで、ガラス基板11,44,46,48の厚さ方向に進む外周側磁力線を形成する。そして、ガラス基板11,44,46,48の内周側端面及び外周側端面を、内周側手段及び外周側手段のそれぞれによって複数の位置に形成される磁性スラリの塊20,52,54,56,62,64,66,68と接触させた状態で相対移動させることにより、内周側端面及び外周側端面を同時に研磨する。したがって、複数のガラス基板の内周側端面を同時に研磨することができるので、効率のよい端面研磨を実現する。すなわち、加工レートを従来よりも高くすることができ、効率よく研磨をすることができる。
(変形例4)
図7は、端面研磨の変形例4を示す図である。変形例4では、図3(a)〜(c),図4に示すような永久磁石である磁石12,14を用いる代わりに電磁石を用いる。すなわち、外装部材18内に、2つの電磁石70,72と、電磁石70と電磁石72との間の離間距離を維持するようにスペーサ74とが内蔵され、電磁石70,72の対向する端面がS極及びN極になるように、電流源76,78に接続されている。したがって、電磁石70,72に電流が流れることにより、電磁石70,72との間に磁力線82が形成される。したがって、図3(a)〜(c),図4に示す場合と同様に、磁性スラリを磁力線に沿って保持させることにより、磁力線に沿って磁性スラリの塊が形成される。従って、この塊とガラス基板とを接触させて相対移動させることにより、ガラス基板を研磨することができる。すなわち、実施形態及び変形例1〜3と同様に、加工レートを従来よりも高くすることができ、効率よく研磨をすることができる。
電流源76,78から電磁石70,72に流れる電流のオン、オフ及び、電流の量は、電流制御部80により制御される。例えば、研磨スラリの塊を外装部材18から除去するには、電磁石70,72に流れる電流をオフにすればよい。また、塊中の研磨スラリの研磨能力が低下した場合、研磨能力を維持するために、研磨スラリの塊の剛性を高くして、塊がガラス基板の端面を押圧する圧力を高くすることもできる。このように、電磁石70,72を用いる変形例4は、永久磁石を用いる実施形態及び変形例1〜3では発揮しない効果を有する。
なお、本実施形態及び変形例1〜4はいずれも、磁力線が外装部材の外側方向に向かって盛り上がり、それによって磁性スラリの塊が外装部材から隆起した形態であるが、必ずしも塊は隆起する必要はない。磁力線に沿って磁性スラリを保持させることにより形成される磁性スラリの塊であれば、どのようなものであってもよい。
[実験例]
本発明の効果を確かめるために、作製したガラス基板の端面研磨を行った。
作製したガラス基板の外径は65mmであり、厚さは0.8mmであり、形状加工工程で、ガラス基板の厚さ方向で0.25mmの面取りを主表面に対して45度の傾斜角度で施した。
(実施例)
図5(b)に示すように、複数の磁石を内臓した円柱形状の外装部材を配置した研磨用装置に、2.5インチ型磁気ディスク用のガラス基板を接着剤により積層して一体化した積層体を挿入した。内蔵された磁石の寸法は直径19mm、厚さ15mmとした。また、磁石間にはステンレス製のスペーサが挿入された。これにより、磁石間の吸引が制限された状態となっている。そして、外装部材の表面に沿う様に磁性スラリを与え、外装部材の表面から隆起した磁性スラリの塊を複数の位置に形成させた。また磁性スラリ中の研磨砥粒は磁気浮揚効果により磁力勾配の低い箇所に押し出されるため,塊の表面近傍に偏って存在する。積層体の各ガラス基板の端面と外装部材の回転数はそれぞれ700rpm(周速度の相対速度87m/分)として、回転方向は互いに逆向きで研磨を行った.加工時間は3分間とした。実施例における積層体のガラス基板間の間隔と磁性スラリの塊の形成される間隔との間では、相違があるため、200mm/分のストローク速度で20mmのストローク長で揺動させた。
ガラス基板の端面の研磨のために用いる研磨スラリは、2μmの平均粒子サイズのFeの微粒子を、非磁性オイル(シリコンオイル)に、3[g/cm3]分散させた磁気粘性流体に、平均粒子径が2μmの酸化セリウムを分散させたものを用いた。磁性スラリ中の酸化セリウムの濃度は5vol%となるように含ませた。実施例で用いた磁石は、いずれも0.5[テスラ]の磁束密度を有する永久磁石を用いた。
(従来例1,2)
また、従来より行われているブラシを用いた内周側端面研磨を行った(従来例1)。ブラシを用いた内周側端面研磨は、特開平11−28649号公報に記載されている方法を用いた。さらに、特開2005−50501号公報の図4に示されている磁性スラリを用いた磁気研磨を行った(従来例2)。従来例2で用いた磁石は、いずれも0.5[テスラ]の磁束密度を有する永久磁石を用いた。
研磨開始から所定の間隔毎にガラス基板を取り出して、研磨した端面の表面粗さを測定した。表面粗さの測定はレーザー顕微鏡を用いた。具体的には、従来例と実施例のガラス基板の端面を含む端部を、上記レーザー顕微鏡を用いて150倍に拡大し、その内の50μm角の領域について表面粗さを計測した。そして、測定領域における最も高い点と最も低い点の距離である最大高さ粗さRz(JIS B0601:2001規定)を求めた。
実施例では、加工時間3分で、研磨した表面の最大高さ粗さRzは、0.15μmであった。従来例1では、加工時間30分で、研磨した表面の最大高さ粗さRzは、0.20μmであった。従来例2では、加工時間60分で、研磨した表面の最大高さ粗さRzは、0.30μmであった。これに加えて、従来例1のようなブラシ研磨では、端面を所望の表面状態とするための研磨の取り代が20μm以上必要であった。これに対して、実施例では、端面を所望の表面状態とするための研磨の取り代が10μm以下で十分であることが確認された。これより、実施例は、短時間の端面研磨で、従来例1,2と同等またはそれより良好な表面粗さを有することがわかる。特に実施例は、従来例1と比較した場合、約10分の1の研磨時間で同等以上の良好な研磨ができることがわかった。すなわち、本発明の製造方法では、ガラス基板の端面を研磨する際、研磨の加工レートを従来よりも高くすることができ、効率よく研磨をすることができることがわかる。
以上、本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
例えば、実施の形態における外装部材18,60を省略し、磁石及びスペーサに磁性スラリを接触させてもよい。また、例えば、実施の形態におけるスペーサ16,38,40,42,74の径を磁石12,14,32,34,36の径と一致させてもよい。
1 磁気ディスク
2,11 ,44,46,48 ガラス基板
3A,3B 磁性層
10,30 装置
12,14,32,34,36 磁石
16,38,40,42,74 スペーサ
18,60 外装部材
20,52,54,56,62,64,66,68 塊
30 装置
70,72 電磁石
76,78 電流源
80 電流制御部

Claims (13)

  1. 磁気ディスク用ガラス基板を製造する方法であって、
    ガラス基板の端面に側壁面および面取り面を形成する工程、及びガラス基板の端面研磨を行う工程、を含み、前記端面研磨を行う工程では、
    磁石の対をN極の面とS極の面が互いに対向するように離間した状態で配置した磁気発生手段を用いて前記ガラス基板の厚さ方向に進む磁力線を形成し、
    前記磁力線に研磨砥粒と磁気機能性流体を含む磁性スラリを配することにより、前記磁性スラリを前記磁力線に沿って保持させ、前記磁性スラリの塊を形成し、
    前記ガラス基板の端面を、前記磁力線と直交する方向で、前記磁力線によって保持された前記磁性スラリに押しつけて接触させた状態で相対移動させることにより、前記ガラス基板の前記側壁面および前記面取り面の両方を同時に研磨する、ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記ガラス基板の端面は、前記磁性スラリ内部の、前記N極と前記S極とを接続する磁力線に保持される部分と接触するように、前記磁性スラリの内部に押し付けられる、請求項1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記磁石の対の前記N極の面と前記S極の面との間には、非磁性体からなるスペーサが設けられている、請求項1または2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記ガラス基板は、前記ガラス基板の中心に中心点を持つ円形状の貫通孔を有する円板形状であり、
    前記磁気発生手段は、前記ガラス基板の前記貫通孔内に設けられて、前記貫通孔の側壁面である内周側端面の周りで、前記ガラス基板の厚さ方向に進む内周側磁力線を形成する内周側手段を有し、
    前記ガラス基板の前記内周側端面を、前記内周側手段によって形成される前記内周側磁力線によって保持された前記磁性スラリと接触させた状態で相対移動させることにより、前記内周側端面を研磨する、請求項1〜のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  5. 前記磁性スラリは、中心軸を持ち前記中心軸の周りに回転可能な回転体の表面に円環形状に形成され、
    前記ガラス基板の前記内周側端面を研磨するとき、前記回転体の回転によって前記磁性スラリは回転し、かつ前記ガラス基板の前記内周側端面の全周と前記磁性スラリの全周とを接触させて、前記ガラス基板を、前記磁性スラリと逆回転方向に回転させる、請求項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  6. 前記磁気発生手段は、さらに、前記ガラス基板の外周側に設けられて、前記ガラス基板の外周側端面の周りで、前記ガラス基板の厚さ方向に進む外周側磁力線を形成する外周側手段、を有し、
    前記ガラス基板の前記外周側端面を、前記外周側手段によって形成される前記外周側磁力線によって保持された前記磁性スラリと接触させた状態で相対移動させることにより、前記内周側端面及び前記外周側端面の両方を研磨する、請求項4または5に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  7. 複数の磁気ディスク用ガラス基板を製造する方法であって、
    ガラス基板の端面に側壁面および面取り面を形成する工程、及び、複数のガラス基板を積層してガラス基板の積層体とし、前記積層体の状態で、それぞれのガラス基板の端面研磨を行う工程、を含み、前記端面研磨を行う工程では、
    磁石の対をN極の面とS極の面が互いに対向するように離間した状態で配置した磁気発生手段を用いて、前記積層体の積層方向に進む磁力線を複数の位置に形成させ、
    前記複数の位置に形成させた磁力線に研磨砥粒と磁気機能性流体を含む磁性スラリを配することにより、前記磁力線によって前記磁性スラリを保持させ、磁性スラリの塊を形成し、
    前記積層体のそれぞれのガラス基板の端面を、磁力線と直交する方向で、前記磁力線によって保持された前記磁性スラリに押しつけて接触させた状態で相対移動させることにより、前記積層体のそれぞれのガラス基板の前記側壁面および前記面取り面の両方を同時に研磨する、ことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  8. 前記磁石の対のそれぞれのN極の面と前記S極の面との間には、非磁性体からなるスペーサが設けられている、請求項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  9. 前記磁気発生手段と前記積層体とは、研磨中、前記積層方向に対して相対的に揺動する、請求項7または8に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  10. 前記ガラス基板は、円形状の貫通孔を有する円板形状であり、
    前記磁気発生手段は、前記積層体の前記ガラス基板の前記貫通孔内に設けられて、前記ガラス基板の前記貫通孔の側壁面である内周側端面の周りで、前記ガラス基板の厚さ方向に進む内周側磁力線を形成する内周側手段を有し、
    前記ガラス基板の前記内周側端面を、前記内周側手段によって形成される前記内周側磁力線によって保持された前記磁性スラリと接触させた状態で相対移動させることにより、前記内周側端面を研磨する、請求項7〜9のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  11. 側壁面および面取り面を端面に有するガラス基板を製造する方法であって、
    前記ガラス基板の端面に前記側壁面および前記面取り面を形成する工程、及び前記ガラス基板の端面研磨を行う工程、を含み、
    前記端面研磨を行う工程では、
    前記ガラス基板の厚さ方向に、N極の面とS極の面が互いに対向するように離間した状態で配置された磁石の対を含む磁気発生手段により形成される磁力線によって研磨砥粒と磁気機能性流体、及び非極性又は極性のオイルを含む温度20℃における粘度が1000〜2000[mPa・秒]である磁性スラリを保持させ、磁性スラリの塊を形成し、
    前記ガラス基板の端面を、磁力線と直交する方向で、前記磁力線によって保持された前記磁性スラリに押しつけて接触させた状態で相対移動させることにより、前記ガラス基板の前記側壁面および前記面取り面の両方を同時に研磨する、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
  12. 前記磁気発生手段は、0.3〜0.8[テスラ]の磁束密度を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  13. 前記磁性スラリの降伏応力は、0.4[テスラ]の磁場を印加した状態で30〜60kPaである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
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