JP2015011743A - 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】内周端面及び外周端面が好適に研磨された情報記録媒体用ガラス基板を得ることができる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】内周端面121及び外周端面122の少なくとも一方の、厚み方向中央部に、径方向に突出する凸部123,124を有するスペーサ12を用い、この凸部123,124で、スペーサ12の位置を規制することにより、ガラス素板11の内周側稜線118及び外周側稜線119が、それぞれスペーサ12に非接触な開放された状態での研磨する情報記録媒体用ガラス基板の製造方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法に関する。
磁気、光及び光磁気等を利用することによって、情報を情報記録媒体に記録する情報記録装置が知られている。このような情報記録装置としては、代表的なものとして、例えば、ハードディスクドライブ装置等が挙げられる。ハードディスクドライブ装置は、基板上に記録層を形成した情報記録媒体としての磁気ディスク(ハードディスク)に、磁気ヘッドによって磁気的に情報を記録し(書き込み)、記録した情報を再生する(読み出す)装置である。このような情報記録媒体の基材、いわゆるサブストレートとしては、ガラス基板やアルミニウム基板等が挙げられる。そして、この情報記録媒体の基材としては、平滑性及び耐衝撃性に優れる点から、ガラス基板が好適に用いられている。
また、ハードディスクドライブ装置は、磁気ディスクに情報を記録したり、読み出したりする際、磁気ヘッドを、磁気ディスクに接触させるのではなく、磁気ディスクに対し浮上させておくものである。そして、磁気ヘッドの浮上量を低減させることによって、記録密度の向上が図れることが知られている。近年は、磁気ヘッドの浮上量を、数nm程度にまで減少させて、磁気ディスクの記録密度の高密度化を図ることによって、磁気ディスクの記憶容量を高めている。これらのことから、磁気ヘッドの浮上量をより低減させて、記録密度をより高めるために、情報記録媒体用ガラス基板の平滑性や清浄度等が高いことが求められている。
このような情報記録媒体用ガラス基板は、例えば、溶融ガラスから得られたガラス素板(ガラスブランクス)を切削加工した後、研磨加工を施すこと等によって、製造させる。また、ガラス素板を製造する際の研磨加工としては、ガラス素板の主表面を研磨する主表面研磨加工だけではなく、ガラス素板の外周端面及び内周端面を研磨する端面研磨加工等も施している。このような各研磨加工を、適宜複数回にわたって施すことによって、平滑性や清浄度等の高い情報記録媒体用ガラス基板を得ていた。
上記のような端面研磨加工を施す情報記録媒体ガラス基板の製造方法としては、特許文献1に記載の方法が挙げられる。
特許文献1には、中心に内孔が形成された円盤状のガラス基板(ガラス素板)を複数枚積層した円筒状の被研磨体の内周端面を研磨する方法が記載されている。
特開2008−105171号公報
また、磁気ディスクの記憶容量を高めるという要求をさらに満たすために、記録面となる主表面の平滑性や清浄度等をさらに高めて、記録密度を高めることが求められている。さらに、前記要求をさらに満たすために、記録密度を高めるだけではなく、磁気ディスクの端部付近まで、磁気ヘッドを通過するようにして、磁気ディスクの端部付近まで、情報を記録できるようにすることも検討されている。
これらのことから、記録面となる主表面の平滑性や清浄度等を高めるだけではなく、ガラス素板の端面が好適に研磨されていることも求められるようになってきた。ガラス素板の端面が、好適に研磨できず、例えば、端面表面に研磨材等が残っていると、その研磨材が、情報記録媒体用ガラス基板の主表面、例えば、端部付近等の平滑性や清浄度等に影響を与えることも考えられる。
また、情報記録装置は、ノート型パーソナルコンピュータ、車載機器、及びゲーム機器等の強度信頼性が求められる用途での使用機会が増えている。よって、情報記録媒体用ガラス基板としては、平滑性や清浄度等が高いことに加え、耐衝撃性により優れていることも求められている。この点からも、情報記録媒体用ガラス基板の端面には、小さな欠け、すなわち、チッピングの少ないことが求められる。情報記録媒体用ガラス基板を製造する際、ガラス素板の端面を好適に研磨できることが求められている。
特許文献1には、ガラス素板の内周端面及び外周端面の面取部(面取面)の研磨ブラシによる研磨残りを確実に防止するために、ガラス素板同士は、スペーサを介して積層されていることが記載されている。このようなスペーサとしては、内周端面及び外周端面の面取部の研磨ブラシによる研磨残りを確実に防止するためには、スペーサの内孔の直径(内径)が、ガラス素板の内径より大きく、スペーサの外径が、ガラス素板の外径より小さいものを用いると考えられる。上記のようなスペーサを用いた場合、スペーサの中心位置と、ガラス素板の中心位置とが一致していれば、研磨ブラシによる研磨残りを防止することができると考えられる。
しかしながら、上記のようなスペーサを用いて、内周端面及び外周端面を研磨しても、ガラス素板の内周端面や外周端面、例えば、面取面等を好適に研磨できない場合があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、内周端面及び外周端面が好適に研磨された情報記録媒体用ガラス基板を得ることができる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者の検討によれば、特許文献1において用いられていると考えられるスペーサを用いて、端面研磨した場合に、面取面等を好適に研磨できない場合がある理由は、以下のことによるものと推察した。まず、ガラス素板の積層時等に、スペーサの中心位置が、ガラス素板の中心位置から径方向にずれることが考えられる。このようなずれが大きく発生した場合、ガラス素板の主表面と面取面との間の稜線に、スペーサが接触した状態になると考えられる。このように、前記稜線がスペーサと接触した状態で、端面を研磨しても、稜線付近が好適に研磨できないと考えられる。具体的には、このような端面研磨として、研磨材を含む研磨液を用いて、ブラシ等で研磨する場合、まず、そのブラシが、稜線付近に到達しにくく、好適に研磨できないことが考えられる。また、研磨材が、稜線付近で、ガラス素板とスペーサとの間に入り込み、ガラス素板に付着する、いわゆる、研磨材残りが発生することも考えられる。
そこで、本発明者は、端面研磨の際に、ガラス素板の主表面と面取面との間の稜線が、スペーサの主表面に非接触な開放された状態で研磨するように構成した、以下のような本発明に想到するに到った。
本発明の一態様に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、中央部に配置される第1貫通孔を形成する第1内周端面、外形を規定する第1外周端面、及び互いに対向する一対の第1主表面を有する複数のガラス素板と、中央部に配置される第2貫通孔を形成する第2内周端面、外形を規定する第2外周端面、及び互いに対向する一対の第2主表面を有する複数のスペーサとを、交互に積層する積層工程と、積層されたガラス素板の第1内周端面を研磨する内周端面研磨工程と、積層されたガラス素板の第1外周端面を研磨する外周端面研磨工程とを備え、前記ガラス素板は、前記第1主表面の内周縁及び外周縁に、内周側面取面及び外周側面取面をそれぞれ有し、前記スペーサは、前記第2内周端面及び前記第2外周端面の少なくとも一方の、厚み方向中央部に、前記スペーサの径方向に突出する凸部を有し、前記内周端面研磨工程及び前記外周端面研磨工程は、前記凸部で前記スペーサの位置を規制することにより、前記第1主表面と前記内周側面取面との間の内周側稜線及び前記第1主表面と前記外周側面取面との間の外周側稜線が、それぞれ前記スペーサの第2主表面に非接触な開放された状態で研磨することを特徴とする。
このような構成によれば、内周端面及び外周端面が好適に研磨された情報記録媒体用ガラス基板を得ることができる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することができる。
具体的には、以下のことによると考えられる。まず、ガラス素板の第1内周端面及び第1外周端面を、内周側面取面及び外周側面取面を含めて、全て開放された状態で研磨することができる。また、この研磨の際、スペーサの径方向に突出する凸部でスペーサの位置を規制することにより、ガラス素板の第1主表面と内周側面取面との間の内周側稜線及びガラス素板の第1主表面と外周側面取面との間の外周側稜線をも、スペーサの第2主表面に非接触な開放された状態で研磨することができる。これらのことから、上記情報記録媒体用ガラス基板の製造方法によれば、内周端面及び外周端面を好適に研磨することができる。
さらに、スペーサの径方向に突出する凸部でスペーサの位置を規制するので、ガラス素板の積層を行なう操作者の違いによる影響が少ない。すなわち、操作者にかかわらず、内周端面及び外周端面を好適に研磨することができる。
また、このような内周端面及び外周端面を研磨する端面研磨として、研磨材を含む研磨液を用いて、ブラシ等で研磨する場合であっても、まず、そのブラシの、内周側稜線や外周側稜線までの到達を容易にし、好適に研磨することができる。また、研磨材の端面表面での残存の発生を、内周側稜線や外周側稜線の近傍であっても充分に抑制できる。
また、上記情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における、内周端面研磨工程及び外周端面研磨工程は、上述したように、内周側稜線及び外周側稜線がともに開放された状態の研磨である。このことから、内周端面研磨工程及び外周端面研磨工程を同時に又は連続して行うこともできる。
また、前記情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記スペーサは、前記第2内周端面及び前記第2外周端面の厚み方向中央部にそれぞれ前記凸部を有し、前記スペーサの外径は、前記ガラス素板の外径以下であり、前記スペーサの第2貫通孔の直径は、前記ガラス素板の第1貫通孔の直径以上であり、前記内周端面研磨工程及び前記外周端面研磨工程は、前記第2内周端面に有する凸部及び前記第2外周端面に有する凸部の少なくとも一方で、前記スペーサの位置を規制することが好ましい。
このような構成によれば、上記のような、内周端面研磨工程及び外周端面研磨工程における、内周側稜線及び外周側稜線がともに開放された状態の研磨を実現できる。よって、内周端面及び外周端面がより好適に研磨された情報記録媒体用ガラス基板を得ることができる。
また、前記情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記スペーサは、前記第2外周端面のみの厚み方向中央部に前記凸部を有し、前記スペーサの第2貫通孔の直径は、前記ガラス素板の内周側稜線の直径以上であることが好ましい。
このような構成によれば、上記のような、内周端面研磨工程及び外周端面研磨工程における、内周側稜線及び外周側稜線がともに開放された状態の研磨を実現できる。よって、内周端面及び外周端面がより好適に研磨された情報記録媒体用ガラス基板を得ることができる。
また、前記情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記スペーサは、前記第2内周端面のみの厚み方向中央部に前記凸部を有し、前記スペーサの外径は、前記ガラス素板の外周側稜線の直径以下であることが好ましい。
このような構成によれば、上記のような、内周端面研磨工程及び外周端面研磨工程における、内周側稜線及び外周側稜線がともに開放された状態の研磨を実現できる。よって、内周端面及び外周端面がより好適に研磨された情報記録媒体用ガラス基板を得ることができる。
また、前記情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記スペーサの径方向における前記凸部の長さが、前記スペーサの径方向における前記内周側面取面及び前記外周側面取面の幅以上であることが好ましい。
このような構成によれば、内周端面研磨工程及び外周端面研磨工程における、内周側稜線及び外周側稜線がともに開放された状態の研磨をより容易に実現できる。よって、内周端面及び外周端面をより好適に研磨することができる。
また、前記情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記凸部は、前記ガラス素板の径方向に延びる互いに対向する一対の凸部主面と、前記凸部主面間を連結する第1連結面と、前記ガラス素板の一対の第1主表面それぞれから前記一対の凸部主面それぞれに延びる一対の第2連結面とを有することが好ましい。
このような構成によれば、内周端面研磨工程及び外周端面研磨工程における、内周側稜線及び外周側稜線がともに開放された状態の研磨をより容易に実現できる。よって、内周端面及び外周端面をより好適に研磨することができる。
また、前記情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記内周端面研磨工程は、前記ガラス素板の第1内周端面と第1ブラシとの間に、研磨材を含む研磨液を介在させた状態で、前記第1ブラシを用いて研磨する工程であり、前記外周端面研磨工程は、前記ガラス素板の第1外周端面と第2ブラシとの間に、前記研磨液を介在させた状態で、前記第2ブラシを用いて研磨する工程であることが好ましい。
このような構成によれば、ガラス素板の内周端面及び外周端面をより好適に研磨することができる。また、本発明の一態様に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法であれば、上述したように、研磨材を含む研磨液を用いて、ブラシ等で研磨する場合に発生しやすい、いわゆる研磨材残りの発生等も充分に抑制できる。また、ブラシも、内周側稜線や外周側稜線付近まで容易に到達でき、内周側稜線や外周側稜線付近まで好適に研磨できる。
また、前記情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記内周端面研磨工程及び前記外周端面研磨工程は、それぞれの工程における、前記ガラス素板と前記スペーサとの径方向の位置関係を維持することが好ましい。
このような構成によれば、スペーサの位置を変更することなく、内周側稜線及び外周側稜線がともに開放された状態の研磨であることから、内周端面研磨工程及び外周端面研磨工程を同時に又は連続して行うことができる。よって、ガラス素板の内周端面及び外周端面を効率的に研磨することができる。
本発明によれば、内周端面及び外周端面が好適に研磨された情報記録媒体用ガラス基板を得ることができる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における、ガラス素板の積層状態の一例を示す図である。 図1に示すガラス素板の積層状態の一部を拡大した図である。 本発明の実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における内周端面研磨工程及び外周端面研磨工程で用いる研磨装置の一例を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における、ガラス素板の積層状態の具体例を示す断面図である。 本発明の実施形態と比較するための態様について説明するための図である。 本発明の実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法で用いられるガラス素板を示す上面図である。 本発明の実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板を用いた情報記録媒体の一例である磁気ディスクを示す一部断面斜視図である。
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、以下のような、積層工程と、内周端面研磨工程と、外周端面研磨工程とを備える。すなわち、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、これらの工程を備えていれば、特に限定されない。
まず、積層工程は、複数のガラス素板と複数のスペーサとを交互に積層する。積層工程としては、例えば、図1及び図2に示すように、複数のガラス素板11と複数のスペーサ12とを交互に積層して、被研磨対象物である積層体10とする工程等が挙げられる。なお、図1は、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における、ガラス素板の積層状態の一例を示す図である。図2は、図1に示すガラス素板の積層状態の一部を拡大した図である。なお、図1及び図2は、積層した複数のガラス素板の各中心線を通る面で切断して示す断面図である。
各ガラス素板11は、図1及び図2に示すように、中央部に配置される第1貫通孔11aを形成する第1内周端面111と、外形を規定する第1外周端面112と、互いに対向する一対の第1主表面113とを有する。そして、各ガラス素板11は、図1及び図2に示すように、第1主表面113の内周縁に、内周側面取面114を有し、第1主表面113の外周縁に、外周側面取面115を有する。すなわち、各ガラス素板11は、第1内周端面111に、内周側面取面114を有し、第1外周端面112に、外周側面取面115を有していればよく、その他の面を有していてもよい。具体的には、第1内周端面111は、内周側面取面114のみであってもよいし、図1及び図2に示すように、内周側側壁部116を有していてもよい。また、第1外周端面112は、外周側面取面115のみであってもよいし、図1及び図2に示すように、外周側側壁部117を有していてもよい。また、各ガラス素板11は、第1主表面113と内周側面取面114との間に、内周側稜線118を形成し、第1主表面113と外周側面取面115との間に、外周側稜線119を形成するものである。
また、各スペーサ12は、図1及び図2に示すように、中央部に配置される第2貫通孔12aを形成する第2内周端面121と、外形を規定する第2外周端面122と、互いに対向する一対の第2主表面125とを有する。そして、各スペーサ12は、第2内周端面121及び第2外周端面122の厚み方向中央部に、スペーサ12の径方向に突出する凸部を有する。凸部は、第2内周端面121及び第2外周端面122の少なくとも一方に有していればよい。図1及び図2では、第2内周端面121及び第2外周端面122の両方に凸部123,124を有するスペーサが例示されているが、これには、限定されない。スペーサ12の具体的な形状については、後述する。
次に、内周端面研磨工程は、積層されたガラス素板11の第1内周端面111を研磨する工程である。また、外周端面研磨工程は、積層されたガラス素板11の第1外周端面112を研磨する工程である。そして、これらの内周端面研磨工程及び外周端面研磨工程は、各スペーサ12の、第2内周端面121及び第2外周端面122の少なくとも一方に有する凸部で、各スペーサ12の位置を規制した状態で、第1内周端面111や第1外周端面112を研磨する工程である。その際、各スペーサ12の位置を規制することによって、内周側稜線118及び外周側稜線119が、それぞれスペーサ12の第2主表面125に非接触な開放された状態で研磨する。
このような各工程を備える、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法によれば、上述したように、内周側稜線118及び外周側稜線119が開放された状態で研磨することができるので、第1内周端面111及び第1外周端面112を好適に研磨することができる。よって、内周端面(第1内周端面111)及び外周端面(第1外周端面112)が好適に研磨された情報記録媒体用ガラス基板を得ることができる。
さらに、スペーサ12の径方向に突出する凸部でスペーサ12の位置を規制するので、ガラス素板の積層を行なう操作者の違いによる影響が少ない。すなわち、操作者にかかわらず、内周端面及び外周端面を好適に研磨することができる。
また、上記情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における、内周端面研磨工程及び外周端面研磨工程は、上述したように、内周側稜線及び外周側稜線がともに開放された状態の研磨である。このことから、内周端面研磨工程及び外周端面研磨工程の、それぞれの工程において、ガラス素板とスペーサとの径方向の位置関係を維持することによって、内周端面研磨工程及び外周端面研磨工程を同時に研磨することができる。また、前記位置関係を維持することによって、内周端面研磨工程と外周端面研磨工程とを同時に行わない場合であって、例えば、連続して行なうことができる。このことから、前記位置関係を維持することは、ガラス素板の内周端面及び外周端面の研磨を効率的に行なう点から、好ましい。
また、内周端面研磨工程及び外周端面研磨工程は、上記のように、内周側稜線及び外周側稜線を開放した状態で研磨することができれば、その研磨方法等については、特に限定されない。内周端面研磨工程としては、具体的には、ガラス素板の第1内周端面と第1ブラシとの間に、研磨材を含む研磨液を介在させた状態で、第1ブラシを用いて研磨する工程が挙げられる。また、外周端面研磨工程としては、具体的には、ガラス素板の第1外周端面と第2ブラシとの間に、研磨材を含む研磨液を介在させた状態で、第2ブラシを用いて研磨する工程が挙げられる。このような研磨液とブラシとを用いた研磨方法は、端面研磨に好適であり、ガラス素板の内周端面及び外周端面をより好適に研磨することができる。また、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法であれば、内周側稜線及び外周側稜線が開放された状態での研磨であるので、ガラス素板の内周側面取面や外周側面取面と、スペーサとの間に、研磨材が残存する、いわゆる研磨材残りの発生等も充分に抑制できる。また、ブラシも、内周側稜線や外周側稜線付近まで容易に到達でき、内周側稜線や外周側稜線付近まで好適に研磨できる。
また、第1ブラシ及び第2ブラシは、ガラス素板の端面研磨に用いられるものであれば、特に限定されない。第1ブラシ及び第2ブラシとなるブラシとしては、例えば、棒状の支持部と、その支持部の表面に起毛されたブラシ毛とを備えるブラシ等が挙げられる。また、ブラシ毛としては、例えば、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、及びポリカーボネート等の樹脂製のものが挙げられる。また、第1ブラシと第2ブラシとは、同じ素材のブラシであってもよいし、異なる素材のブラシであってもよい。また、第1ブラシ及び第2ブラシにおけるブラシ毛の直径は、ブラシ毛の素材等にもよっても異なるが、例えば、0.1〜0.3mmであることが好ましい。
また、研磨材を含む研磨液は、ガラス素板の端面研磨に用いられるものであれば、特に限定されない。すなわち、研磨材を含む研磨液は、研磨材を含むスラリー等が挙げられる。また、研磨材も、ガラス素板の端面研磨に用いられるものであれば、特に限定されない。研磨材としては、例えば、酸化セリウム、炭化ケイ素、シリカ、ジルコニア、アルミナ等が挙げられる。この中でも、酸化セリウムが好ましく用いられる。また、研磨材の平均粒子径は、研磨材の種類等によってもことなるが、例えば、1〜3μmであることが好ましい。
内周端面研磨工程及び外周端面研磨工程における端面研磨方法は、上述したように、特に限定されないが、例えば、図3に示す研磨装置を用いた研磨方法等が挙げられる。なお、図3は、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における内周端面研磨工程及び外周端面研磨工程で用いる研磨装置の一例を示す断面図である。この研磨装置20は、研磨液槽21と、保持具23と、第1ブラシ31と、第2ブラシ32,33とを備える。また、研磨液槽21は、研磨液22を貯留する。保持具23は、研磨液槽21内で、複数のガラス素板と複数のスペーサとを交互に積層した積層体10を保持する。この保持具23で、積層体10を保持することによって、この積層体10は、研磨液槽21内の研磨液22に浸漬した状態で保持されることになる。また、第1ブラシ31は、ガラス素板の第1貫通孔内に位置して、ガラス素板の内周端面を研磨する。第2ブラシ32,33は、ガラス素板の外周端面に接触又は近接して位置して、ガラス素板の外周端面を研磨する。また、第1ブラシ31、及び第2ブラシ32,33には、それぞれ、各ブラシを回転させるための駆動部34,35,36が備えられている。このような研磨装置20は、第1ブラシ31を回転させることによって、研磨液22に浸漬された積層体10を構成するガラス素板の内周端面を研磨する。また、このような研磨装置20は、第2ブラシ32,33を回転させることによって、研磨液22に浸漬された積層体10を構成するガラス素板の外周端面を研磨する。また、この研磨装置20は、ガラス素板の内周端面及び外周端面を同時に研磨することができる。
次に、スペーサの形状について、図4を用いて、説明する。図4は、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における、ガラス素板の積層状態の具体例を示す断面図である。なお、図4(a)は、図1及び図2に示すものと同様である。また、スペーサの形状は、下記具体例に限定されるものではない。
また、図4は、積層状態の一部を示すものであり、ガラス素板とスペーサとが交互に積層されていれば、それらの枚数は限定されない。ガラス素板の積層枚数は、例えば、50〜300枚であることが好ましく、例えば、100枚程度等が挙げられる。このような枚数であれば、ガラス素板の端面研磨を効率的に行なうことができる。
また、スペーサ12の第1具体例としては、図4(a)に示すように、第2内周端面121及び第2外周端面122の厚み方向中央部に、それぞれ内周側凸部123及び外周側凸部124を有するものが挙げられる。このような場合、スペーサ12の外径R1は、ガラス素板11の外径R2以下である。また、スペーサ12の内径(第2貫通孔の直径)R3は、ガラス素板11の内径(第1貫通孔の直径)R4以上である。このようなスペーサを用いれば、図4(a)に示すように、内周端面工程及び外周端面工程で、内周側凸部123及び外周側凸部124の少なくとも一方で、スペーサ12の位置を規制することによって、ガラス素板11の内周側稜線118や外周側稜線119が開放された研磨を実現できる。なお、図4(a)においては、R1とR2とが同等であり、R3とR4とが同等であるスペーサを例示している。このような場合であれば、内周端面工程及び外周端面工程で、内周側凸部123及び外周側凸部124の少なくとも一方で、スペーサ12の位置を規制することによって、内周側稜線118や外周側稜線119が開放された研磨が実現される。
なお、スペーサの内径や外径は、凸部を有している場合は、それをも含めた内径や外径である。例えば、スペーサ12の外径R1は、外周側凸部124を有する場合、外周側凸部間の距離であり、スペーサ12の内径R3は、内周側凸部123を有する場合、内周側凸部間の距離である。
次に、スペーサ12の第2具体例としては、図4(b)に示すように、第2外周端面122のみの厚み方向中央部に凸部(外周側凸部)124を有するものが挙げられる。このような場合、スペーサ12の内径R3が、ガラス素板11の内周側稜線の直径R5以上である。また、スペーサ12の外径R1は、外周側凸部124で規制することで、スペーサ12の位置決めができる程度の大きさであればよい。具体的には、スペーサ12の外径R1は、ガラス素板11の外径R2と略同一である場合等が挙げられる。このようなスペーサを用いれば、内周端面工程及び外周端面工程で、外周側凸部124で、スペーサ12の位置を規制することによって、内周側稜線118や外周側稜線119が開放された研磨を実現できる。
次に、スペーサ12の第3具体例としては、図4(c)に示すように、第2内周端面121のみの厚み方向中央部に凸部(内周側凸部)123を有するものが挙げられる。このような場合、スペーサ12の外径R1が、ガラス素板11の外周側稜線の直径R6以下である。また、スペーサ12の内径R3は、内周側凸部123で規制することで、スペーサ12の位置決めができる程度の大きさであればよい。具体的には、スペーサ12の内径R3は、ガラス素板11の内径R4と略同一である場合等が挙げられる。このようなスペーサを用いれば、内周端面工程及び外周端面工程で、内周側凸部123で、スペーサ12の位置を規制することによって、内周側稜線118や外周側稜線119が開放された研磨を実現できる。
次に、内周側凸部123及び外周側凸部124の形状について説明する。
これらの凸部123,124の形状は、内周側凸部123及び外周側凸部124で、スペーサの位置を規制した際、ガラス素板11の内周側稜線118や外周側稜線119が開放される形状であれば、特に限定されない。凸部の形状としては、例えば、図2に示す凸部123,124のような形状等が挙げられる。具体的には、外周側凸部124を例に挙げて説明すると、一対の凸部主面124aと、第1連結面124bと、一対の第2連結面124cとを有する凸部等が挙げられる。また、一対の凸部主面124aは、ガラス素板11の径方向に延びる互いに対向してなる一対の面である。第1連結面124bは、凸部主面124a間を連結する面である。一対の第2連結面124cは、ガラス素板11の一対の第1主表面113それぞれから一対の凸部主面124aそれぞれに延びる一対の面である。このような外周側凸部124は、ガラス素板11の第1主表面113から離れた凸部であるので、内周側稜線118や外周側稜線119が開放された研磨をより容易に実現できる。なお、内周側凸部123も、外周側凸部124と同様の形状であることが好ましい。よって、この点から、凸部123,124の形状は、上記形状であることが好ましい。
また、凸部123,124の長さは、内周側凸部123及び外周側凸部124で、スペーサの位置を規制した際、ガラス素板11の内周側稜線118や外周側稜線119が開放される長さであれば、特に限定されない。具体的には、スペーサ12の径方向における外周側凸部124の長さLが、図2に示すように、スペーサ12の径方向における外周側面取面115の幅以上であることが好ましい。また、内周側凸部123の長さLが、スペーサ12の径方向における内周側面取面114の幅以上であることが好ましい。このような凸部であれば、内周側稜線118や外周側稜線119が開放された研磨をより容易に実現できる。
また、凸部123,124による、スペーサ12の位置を規制する方法としては、スペーサ12の径方向における凸部123,124の先端位置と、ガラス素板11の第1内周端面111や第1外周端面112との位置とを、スペーサ12の径方向において、同等の位置にすることができる方法であれば、特に限定されない。具体的には、内周側凸部123で規制する場合、積層工程時に、ガラス素板11の内径と同等か、わずかに細い棒状の支持体に、ガラス素板11とスペーサ12とを交互に通過させて、規制してもよい。また、外周側凸部124で規制する場合、積層工程時に、ガラス素板11の外径と同等か、わずかに大きい内径の容器に、ガラス素板11とスペーサ12とを交互に収納して、規制してもよい。また、内径研磨工程や外径研磨工程のときに、ブラシ等を用いて、規制してもよい。
また、スペーサ12は、上記形状になっていること以外、ガラス素板の端面研磨に用いられるスペーサと同様のものを用いることができる。例えば、スペーサ12の素材は、ガラス素板の端面研磨に用いられるスペーサと同様の素材のものであれば、特に限定されない。スペーサ12の素材としては、具体的には、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂や、ガラス繊維に硬化性樹脂を浸漬させたもの等が挙げられる。
なお、スペーサ12の凸部123、124の大きさは、特に限定はされない。凸部123,124の長さ(主表面方向の幅)Lは、1〜25mm程度とすることが好ましく、1.5〜10mmとすることが特に好ましい。また、スペーサ12の厚みは、材質により異なるが、必要な強度を得る観点から、0.1〜2mmであることが好ましく、0.2〜1mmであることがより好ましい。また、凸部の厚さ(一対の凸部主面124a間の距離)は、スペーサの厚みの1/5〜2/3の範囲とすることが好ましい。
また、スペーサ12の製造方法は、上記形状のスペーサを製造することができる方法であれば、特に限定されない。例えば、通常の方法で、スペーサを作製した後、切削加工等で、上記形状にする方法等が挙げられる。
本発明の実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法に対して、スペーサの内径が、ガラス素板の内径より大きく、スペーサの外径が、ガラス素板の外径より小さいスペーサを用いて、内周端面や外周端面を研磨した場合は、内周側面取面や外周側面取面を好適に研磨できない場合があった。このことは、以下のことによると考えられる。図5を用いて説明する。なお、図5は、本実施形態と比較するための態様について説明するための図である。
まず、図5(a)に示すように、ガラス素板41の中心位置と、スペーサ42の中心位置とが略一致していれば、ガラス素板41の内周側稜線43や外周側稜線44が開放された研磨が実現できる。このため、好適な端面研磨ができ、例えば、研磨材残り等の発生を抑制できる。
一方で、スペーサの内径が、ガラス素板の内径より大きく、スペーサの外径が、ガラス素板の外径より小さいスペーサを用いた場合、本発明の実施形態とは異なり、スペーサの位置を規制していない。このため、図5(b)に示すような、ガラス素板41の中心位置と、スペーサ42の中心位置とが大きくずれるということが起こりうる。すなわち、スペーサ42の位置ずれが発生しうる。このような場合、ガラス素板41の内周側稜線43や外周側稜線44が開放された研磨が実現できず、ガラス素板の内周端面や外周端面を好適に研磨することができない。具体的には、図5(c)に示すように、ガラス素板41の外周側稜線44がスペーサ42に接触した状態となる。このような場合に、例えば、研磨液を用いたブラシでの研磨で、ガラス素板41の外周側面取面45を、外周側稜線44付近まで、好適に研磨しようとすると、ブラシの毛が、外周側稜線44付近まで到達する必要がある。ブラシで研磨する以上、ブラシの毛の太さに起因して、外周側稜線44付近までブラシの毛が到達することは困難である。また、研磨液に含まれる研磨材が、ガラス素板41の外周側面取面45とスペーサ42とが接触する外周側稜線44付近に押し込まれることになる。このため、研磨後であっても、ガラス素板41の外周側稜線44付近に研磨材が残存する、いわゆる研磨材残りが発生することもある。このような研磨材残りが発生すると、端面研磨の後のいずれかの段階で、研磨材が離脱し、この離脱した研磨材が、情報記録媒体用ガラス基板の平滑性や清浄度等に悪影響を与えることも考えられる。なお、図5(a)は、スペーサの位置ずれが発生していない場合を示し、図5(b)は、スペーサの位置ずれが発生している場合を示す。また、図5(c)は、図5(b)におけるガラス素板の外周側稜線付近を拡大して示す図である。
以上のことからも、スペーサの位置を規制した本発明の実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、ガラス素板の内周端面及び外周端面を好適に研磨することができることがわかる。
また、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、上述したように、端面研磨にかかわる各工程である、積層工程、内周端面研磨工程、及び外周端面研磨工程として、上記のような各工程を備えていれば、その他の工程を備えていてもよい。具体的には、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、例えば、円盤加工工程、熱処理工程(アニール工程)、研削工程(ラッピング工程)、化学処理工程、内外研削工程、端面研磨工程、研磨工程(ポリッシング工程)、化学強化工程、及び洗浄工程(研磨後洗浄工程)等を備える方法が挙げられる。そして、前記各工程を、この順番で行うものであってもよいし、順番を入れ替えたものであってもよい。また、これらの工程の全てを行わなくてもよいし、これら以外の工程を備える方法であってもよい。例えば、研磨工程の前に化学強化工程を行う方法であってもよい。また、研磨工程の途中で、化学強化工程を行ってもよい。具体的には、研磨工程として、粗研磨工程と、精密研磨工程とを備える場合、粗研磨工程と精密研磨工程との間に、化学強化工程を行ってもよい。また、端面研磨工程は、端面研磨にかかわる上記各工程を備える工程である。
前記円盤加工工程は、原料ガラスを、図6に示すような、内周及び外周が同心円となるように、中心部に貫通孔(第1貫通孔)11aが形成された円盤状のガラス素板11に加工する工程である。具体的には、原料ガラスを、溶融炉で溶融して、溶融ガラスとするガラス溶融工程と、溶融ガラスを円盤状のガラス素板に形成する成形工程と、形成された円盤状のガラス素板の中心部に貫通孔11aを形成するコアリング加工を施し、図6に示すような、円盤状のガラス素板11に加工するコアリング加工工程等を備える。なお、図6は、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法で用いられるガラス素板を示す上面図である。
前記ガラス溶融工程は、原料ガラスを、溶融炉で溶融して、溶融ガラスとすることができれば、特に限定されない。原料ガラスとしては、特に限定されず、例えば、SiO、NaO、及びCaOを主成分とするソーダライムガラス、SiO、Al、及びR O(式中、Rは、K、Na、又はLiを示す。)で表される酸化物を主成分とするアルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、LiO−SiO系ガラス、LiO−Al−SiO系ガラス、RO−Al−SiO系ガラス(式中、Rは、Mg、Ca、Sr、又はBaを示す。)等が挙げられる。より具体的には、例えば、ガラス組成が、SiOが55〜75質量%、Alが5〜18質量%、LiOが1〜10質量%、NaOが3〜15質量%、KOが0.1〜5質量%、MgOが0.1〜5質量%、CaOが0.1〜5質量%であるもの等が挙げられる。これらの中でも、アルミノシリケートガラス、及びボロシリケートガラスが、耐衝撃性や耐振動性に優れる点で好ましい。また、原料ガラスの溶融方法としては、特に限定されず、通常は上記ガラス素材を公知の温度、時間にて高温で溶融する方法を採用することができる。
前記成形工程は、溶融ガラスを円盤状のガラス素板に形成することができれば、特に限定されない。具体的には、溶融ガラスをプレス成形により、円盤状のガラス素板を形成するプレス工程等が挙げられる。また、前記成形工程は、プレス工程に限らず、例えば、ダウンドロー法やフロート法等で形成したシートガラスを研削砥石で切り出して、円盤状のガラス素板を作製する工程であってもよい。なお、フロート法とは、例えば、ガラス素材を溶融させた溶融液を、溶融したスズの上に流し、そのまま固化させる方法である。得られたガラス素板は、一方の面がガラスの自由表面であり、他方の面が、ガラスとスズとの界面であるため、平滑性の高い、例えば、算術平均粗さRaが0.001μm以下の鏡面を備えたものとなる。また、ガラス素板の厚みとしては、例えば、0.95mmのものが挙げられる。なお、ガラス素板やガラス基板の表面粗さ、例えばRaやRmaxは、一般的な表面粗さ測定機を用いて測定することができる。
また、前記コアリング加工工程は、前記成形工程で形成された円盤状のガラス素板の中心部に貫通孔11aを形成するコアリング加工を施す工程である。そうすることによって、図6に示すような、中心部に貫通孔11aが形成された円盤状のガラス素板11が得られる。コアリング加工は、ガラス素板の中心部に貫通孔を形成する穴あけ加工であれば、特に限定されない。例えば、カッター部にダイヤモンド砥石等を備えたコアドリルや、円筒状のダイヤモンドドリル等で研削することで、ガラス素板の中心部に貫通孔を形成させる方法等が挙げられる。そうすることで、ガラス素板の中心部に貫通孔を形成され、平面視で円環状のガラス素板が得られる。
前記円盤加工工程によって、例えば、外径r1が2.5インチ(約64mm)、1.8インチ(約46mm)、1インチ(約25mm)、0.8インチ(約20mm)、3.5インチ(約89mm)等で、厚みが2mm、1mm、0.63mm等の円盤状のガラス素板が得られる。また、外径r1が2.5インチ(約64mm)のときは、例えば、内径r2が0.8インチ(約20mm)等に加工される。なお、その後の内外研削工程等で多少異なることもあるが、ここでの外径r1は、上記外径R2に相当し、内径r2は、上記内径R4に相当する。また、円盤状のガラス素板の厚みは、本実施形態に係る製造方法により得られるガラス基板の基板厚みが0.3〜2.2mmとなる厚みであることが好ましい。このような厚みであれば、落下衝撃による割れの発生を抑制することができる。なお、基板厚みは、基板上の点対称となる任意の数箇所で測定した厚みの平均値である。
前記熱処理工程(アニール工程)は、前記ガラス素板の形状を整えるための工程である。具体的には、ガラス基板熱処理用セッタに、ガラス素板を載置した状態で、加熱炉に収納し、前記ガラス素板を熱処理する工程等が挙げられる。
前記研削工程(ラッピング工程)は、前記ガラス素板を所定の板厚に加工する工程である。具体的には、例えば、ガラス素板の両面を研削(ラッピング)加工する工程等が挙げられる。そうすることによって、ガラス素板の平行度、平坦度及び厚みを調整する。また、このラッピング工程は、1回であってもよいし、2回以上であってもよい。例えば、2回行う場合、1回目のラッピング工程(第1ラッピング工程)で、ガラス素板の平行度、平坦度及び厚みを予備調整し、2回目のラッピング工程(第2ラッピング工程)で、ガラス素板の平行度、平坦度及び厚みを微調整する。また、研削工程を2回行う場合、第1ラッピング工程と第2ラッピング工程とを連続で行ってもよいが、これらの工程の間に、後述する、内外研削工程等を行ってもよい。
また、研削工程で用いる研削装置は、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における研削工程で用いる研削装置として用いることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、前記研磨工程で用いる研磨装置と同様のものであって、研磨パッドの代わりに、固定砥粒としてダイヤモンドを使用した樹脂シート(研削シート)を用いたものが挙げられる。
また、前記第1ラッピング工程としては、ガラス素板の表面全体が略均一の表面粗さとなるようにした工程等が挙げられる。また、第1ラッピング工程で用いる研削シートとしては、例えば、固定砥粒の平均粒子径が、6〜12μmのものを用いることが好ましい。また、前記第1ラッピング工程は、ガラス素板の算術平均粗さRaを複数個所測定した際に、得られたRaの最小値と最大値との差が、0.01〜0.4μm程度にすることが好ましい。
また、前記第2ラッピング工程としては、大きなうねり、欠け、ひび等の欠陥を除去したガラス素板が得られるようにした工程等が挙げられる。また、第2ラッピング工程で用いる研削シートとしては、例えば、固定砥粒の平均粒子径が、0.5〜4μmのものを用いることが好ましく、1〜2μmのものを用いることが好ましい。また、前記第2ラッピング工程は、得られたガラス素板のRmaxが、0.5〜2μmにすることが好ましい。また、Raが、0.1〜0.5μmにすることが好ましい。前記第2ラッピング工程後のガラス素板の表面が荒れすぎていると、研磨工程を施しても、平滑性が充分に高いガラス基板が得られにくい傾向がある。また、前記第2ラッピング工程後のガラス素板は、表面が平滑であればあるほど、つまり、Raが小さいほど好ましいが、ラッピング工程では、0.01μm程度が限界であり、この0.01μmが前記第2ラッピング工程後のガラス素板の算術平均粗さRaの下限値になると考えられる。
前記化学処理工程は、ガラス素板に対して、表面に存在する欠陥やクラックを低減する化学処理を施す工程である。化学処理工程としては、例えば、フッ酸による化学処理等が挙げられる。具体的には、フッ化水素と水との混合液からなるエッチング液に、ガラス素板を浸漬させる方法等が挙げられる。そうすることで、ガラス素板の表面をエッチングすることができ、ガラス素板の表面に存在する欠陥やクラックを低減することができる。例えば、ラッピング工程でガラス素板の表面に発生した欠陥やクラックを低減することができる。前記エッチング液には、フッ化水素以外に、NHFやNaFなどを含んでいてもよい。また、前記エッチング液は、硫酸や硝酸等の酸と併用してもよい。
前記内外研削工程は、ガラス素板の外周端面及び内周端面を研削する工程である。具体的には、鼓状のダイヤモンド砥石等の研削砥石により、ガラス素板の外周端面および内周端面を研削する工程等が挙げられる。
前記研磨工程(ポリッシング工程)は、ガラス素板の主表面を研磨する工程である。研磨工程としては、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における研磨工程として用いられている工程等が挙げられる。また、前記研磨工程は、1回研磨であってもよいが、例えば、粗研磨工程と精密研磨工程との複数回の工程を行うものであってもよい。また、精密研磨工程も、1回であってもよいが、2回以上行ってもよい。具体的には、例えば、以下のような研磨工程が挙げられる。
前記粗研磨工程(1次研磨工程)は、ガラス素板の表面に粗研磨を施す工程である。例えば、後述するラッピング工程が施されたガラス素板や、成形により得られたガラス素板の表面に粗研磨を施す工程である。この粗研磨は、傷や歪みの除去を目的とするもので、後述する研磨装置を用いて実施する。なお、前記粗研磨工程で研磨する表面は、ガラス素板の面方向に平行な面、すなわち主表面である。また、粗研磨工程は、例えば、研磨液を用いた研磨パッドによる研磨方法等が挙げられる。具体的には、ガラス素板の主表面上に研磨パッドをあて、ガラス素板上に研磨液を供給した状態で、ガラス素板と研磨パッドとを相対的に移動させることにより、ガラス素板の主表面を研磨する方法等が挙げられる。
ここで用いる研磨パッドとしては、粗研磨工程に用いることができる研磨パッドであれば、特に限定されない。具体的には、硬質研磨パッド等が挙げられる。
また、ここで用いる研磨液は、研磨剤を水に分散させた状態の液体、すなわち、スラリー液である。そして、この研磨剤としては、例えば、CeOを含有する研磨剤等が挙げられる。
次に、精密研磨工程について説明する。
前記精密研磨工程は、前記粗研磨工程で得られた平坦平滑な主表面を維持しつつ、例え
ば、主表面の表面粗さ(Rmax)が0.3nm程度以下である平滑な鏡面に仕上げる鏡面研磨処理である。
この精密研磨工程は、例えば、上記粗研磨工程と同様の研磨方法において、研磨パッドを硬質研磨パッドから軟質研磨パッドに取り替えて行われる。なお、前記精密研磨工程で研磨する表面は、前記粗研磨工程で研磨する表面と同様、主表面である。
また、軟質研磨パッドとしては、例えば、スエードパッド等が挙げられる。スエードパッドとは、表面部(研磨層)が、軟質発泡ポリウレタン等の軟質発泡樹脂で構成されるスエードタイプの軟質発泡樹脂パッドである。また、スエードパッドは、気泡が表面(パッド面)に開放されており、気泡を仕切る壁が軟らかいものが相対的に多い研磨パッドである。
また、精密研磨工程で用いる研磨剤としては、粗研磨工程で用いた研磨剤より、研磨性が低くても、傷の発生がより少なくなる研磨剤が用いられる。具体的には、例えば、粗研磨工程で用いた研磨剤より、粒子径が低いシリカ系の砥粒(コロイダルシリカ)を含む研磨剤等が挙げられる。このシリカ系の砥粒の平均粒子径としては、20nm程度であることが好ましい。
そして、前記研磨剤を含む研磨液(スラリー液)をガラス素板に供給し、研磨パッドとガラス素板とを相対的に摺動させて、ガラス素板の表面を鏡面研磨する。
前記化学強化工程は、特に限定されず、具体的には、ガラス素板を化学強化液(強化処理液)に浸漬して、ガラス素板に化学強化層を形成する工程等が挙げられる。このような工程を施すことによって、ガラス素板の表面、例えば、ガラス素板表面から5μmの領域に化学強化層を形成することができる。そして、化学強化層を形成することで耐衝撃性、耐振動性及び耐熱性等を向上させることができる。
より詳しくは、化学強化工程は、加熱された化学強化処理液にガラス素板を浸漬させることによって、ガラス素板に含まれるリチウムイオンやナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンをそれよりイオン半径の大きなカリウムイオン等のアルカリ金属イオンに置換するイオン交換法によって行われる。イオン半径の違いによって生じる歪みにより、イオン交換された領域に圧縮応力が発生し、ガラス素板の表面が強化される。すなわち、この化学強化工程により、ガラス素板に強化層が好適に形成されると考えられる。
化学強化処理液としては、磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における化学強化工程で用いられる化学強化処理液であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、カリウムイオンを含む溶融液、及びカリウムイオンやナトリウムイオンを含む溶融液等が挙げられる。
これらの溶融液としては、例えば、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び炭酸ナトリウム等を溶融させて得られた溶融液等が挙げられる。この中でも、硝酸カリウムを溶融させて得られた溶融液と硝酸ナトリウムを溶融させて得られた溶融液とを組み合わせて用いることが、融点が低く、ガラス素板の変形を防止する観点から好ましい。その際、硝酸カリウムを溶融させて得られた溶融液と硝酸ナトリウムを溶融させて得られた溶融液とを、ほぼ同量ずつの混合させた混合液であることが好ましい。
また、化学強化工程の具体例には、例えば、硝酸カリウム70質量%と硝酸ナトリウム30質量%とを混合し、300℃に加熱した混合溶融液に、ガラス素板を30分浸漬させる工程等が挙げられる。
前記洗浄工程は、ガラス素板を洗浄する工程である。洗浄工程は、各工程の後に適宜行うことが好ましい。また、前記洗浄工程のうち、前記研磨工程により研磨されたガラス基板を洗浄する最終洗浄工程としては、例えば、スクラブ洗浄が挙げられる。スクラブ洗浄とは、湿式の物理洗浄方法であり、ガラス基板の表面に洗浄液を供給しながら、スクラブ部材をガラス基板に押圧した状態で、スクラブ部材とガラス基板とを相対的に移動させる方法である。そうすることで、ガラス基板の表面上の汚れをこすり取ることができる。また、このスクラブ洗浄を行う装置(スクラブ洗浄装置)としては、情報記録媒体用ガラス基板をスクラブ洗浄できる装置であれば、特に限定されない。具体的には、スクラブ部材が円筒形のロールスクラブであるロールスクラブ洗浄装置や、スクラブ部材がカップ型のカップスクラブ洗浄装置等が挙げられる。
また、この最終洗浄工程等の洗浄工程を施す前のガラス素板やガラス基板は、表面への異物が付着されることを防止するために、ガラス素板やガラス基板を液体と接触させておくことが好ましい。
また、最終洗浄工程としては、スクラブ洗浄をした後、超音波による洗浄を行うことが好ましい。
また、最終洗浄後は、ガラス基板を乾燥させる。その乾燥方法としては、例えば、IPA蒸気による乾燥、スピン乾燥、及び温水乾燥等が挙げられる。
次に、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板を用いた磁気記録媒体について説明する。
図7は、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板を用いた磁気記録媒体の一例である磁気ディスクを示す一部断面斜視図(概念図)である。この磁気ディスクDは、円形の情報記録媒体用ガラス基板101の主表面に形成された磁性膜102を備えている。磁性膜102の形成には、公知の常套手段による形成方法が用いられる。例えば、磁性粒子を分散させた熱硬化性樹脂を情報記録媒体用ガラス基板101上にスピンコートすることによって磁性膜102を形成する形成方法(スピンコート法)や、情報記録媒体用ガラス基板101上にスパッタリングによって磁性膜102を形成する形成方法(スパッタリング法)や、情報記録媒体用ガラス基板101上に無電解めっきによって磁性膜102を形成する形成方法(無電解めっき法)等が挙げられる。磁性膜102の膜厚は、スピンコート法による場合では、約0.3〜1.2μm程度であり、スパッタリング法による場合では、約0.04〜0.08μm程度であり、無電解めっき法による場合では、約0.05〜0.1μm程度である。薄膜化および高密度化の観点から、スパッタリング法による膜形成が好ましく、また、無電解めっき法による膜形成が好ましい。
磁性膜102に用いる磁性材料は、公知の任意の材料を用いることができ、特に限定されない。磁性材料は、例えば、高い保持力を得るために結晶異方性の高いCoを基本とし、残留磁束密度を調整する目的でNiやCrを加えたCo系合金等が好ましい。より具体的には、Coを主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCr、CoNiPt、CoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrPtTa、CoCrPtB、CoCrPtSiO等が挙げられる。磁性膜102は、ノイズの低減を図るために、非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、CrV等)で分割された多層構成(例えば、CoPtCr/CrMo/CoPtCr、CoCrPtTa/CrMo/CoCrPtTa等)であってもよい。磁性膜102に用いる磁性材料は、上記磁性材料の他、フェライト系や鉄−希土類系であってもよく、また、SiO、BN等からなる非磁性膜中にFe、Co、FeCo、CoNiPt等の磁性粒子を分散した構造のグラニュラー等であってもよい。また、磁性膜102への記録には、内面型および垂直型のいずれかの記録形式が用いられてよい。
また、磁気ヘッドの滑りをよくするために、磁性膜102の表面には、潤滑剤が薄くコーティングされてもよい。潤滑剤として、例えば液体潤滑剤であるパーフロロポリエーテル(PFPE)をフレオン系などの溶媒で希釈したものが挙げられる。
さらに必要により磁性膜102に対し下地層や保護層が設けられてもよい。磁気ディスクDにおける下地層は、磁性膜102に応じて適宜に選択される。下地層の材料として、例えば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、Al、Ni等の非磁性金属から選ばれる少なくとも一種以上の材料が挙げられる。例えば、Coを主成分とする磁性膜102の場合には、下地層の材料は、磁気特性向上等の観点からCr単体やCr合金であることが好ましい。また、下地層は、単層とは限らず、同一または異種の層を積層した複数層構造であってもよい。このような複数層構造の下地層は、例えば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、NiAl/Cr、NiAl/CrMo、NiAl/CrV等の多層下地層が挙げられる。磁性膜102の摩耗や腐食を防止する保護層として、例えば、Cr層、Cr合金層、カーボン層、水素化カーボン層、ジルコニア層、シリカ層等が挙げられる。これら保護層は、下地層および磁性膜102と共にインライン型スパッタ装置で連続して形成することができる。また、これら保護層は、単層としてもよく、あるいは、同一または異種の層からなる複数層構成であってもよい。なお、上記保護層上に、あるいは、上記保護層に代えて、他の保護層が形成されてもよい。例えば、上記保護層に代えて、Cr層の上にSiO層が形成されてもよい。このようなSiO層は、Cr層の上にテトラアルコキシシランをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成することによって形成される。
このような本実施形態における情報記録媒体用ガラス基板101を基体とした磁気記録媒体は、情報記録媒体用ガラス基板101が上述した組成により形成されるので、情報の記録再生を長期に亘り高い信頼性で行うことができる。
なお、上述では、本実施形態における情報記録媒体用ガラス基板101を磁気記録媒体(磁気ディスク)に用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、本実施形態における情報記録媒体用ガラス基板101は、光磁気ディスクや光ディスク等にも用いることが可能である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
まず、原料ガラスとして、SiO、Al、RO(R=K、Na、Li)を主成分としたアルミノシリケートガラスを用いて、円盤加工工程を行った。具体的には、原料ガラスを、公知の方法により、溶融し、得られた溶融ガラスをプレス成形して、外径が67mmの円盤状のガラス素板を得た。また、このガラス素板の厚みが、1.0mmとなるように成形した。その後、研削加工を施したガラス素板に、コアリング工程を施し、ガラス素板の中心部に貫通孔を形成した。具体的には、研削加工を施したガラス素板の中心部に、円筒状のダイヤモンド砥石を備えたコアドリルを用いて、直径が約19.6mmの円形の中心孔(貫通孔)を開けた。
その後、ガラス素板に対して、端面研磨工程を施した。具体的には、ガラス素板を100枚重ねた状態で、そのガラス素板の外周端面および内周端面を、端面研磨機を用いて研磨加工した。その際、ガラス素板の積層状態は、内周端面及び外周端面の両方に、凸部を有するスペーサを用い、図4(a)に示す状態にした。研磨機のブラシ毛として、直径が0.2mmのナイロン繊維を用いた。研磨液は、平均一次粒子径が3μmの酸化セリウムを砥粒(研磨材)として含有するスラリーを用いた。なお、スペーサは、熱硬化性エポキシ樹脂を用いて、貫通孔の直径と外径がガラス素板と同じであり、1.0mmの厚みとなるように成形した後、切削することで内径端部及び外径端部に厚さ0.4mm、幅1mmの凸部を形成させたものを用いた(すなわち、スペーサの主平面の内径、外径はガラス基板の内径、外径に対してそれぞれ2mm小さい)。
その後、端面研磨工程を施したガラス素板に対して、主表面を研磨する研磨工程を施した。具体的には、酸化セリウムを砥粒(研磨材)として含有するスラリーを研磨液として用いた粗研磨工程と、コロイダルシリカを砥粒(研磨材)として含有するスラリーを研磨液として用いた精密研磨工程とを行った。
その後、精密研磨工程を施したガラス素板に対して、化学強化工程を施した。具体的には、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムとを含む混合溶融液に、ガラス素板を浸漬させた。
この化学強化工程を施したガラス素板に対して、最終洗浄工程を施した。
このようにして、100枚の情報記録媒体用ガラス基板が得られた。
(評価)
この得られた情報記録媒体用ガラス基板の表面上に、公知の方法により磁性膜を形成することによって磁気ディスクを製造した。そして、その磁気ディスクを備えたハードディスクドライブ装置(HDD)を製造した。
そして、得られたHDDに対して1000Gの衝撃が与えられるように、前記HDDを落下させた。その際、HDDに備えられた磁気ディスクが割れたか否かを目視で確認した。なお、1Gは、約9.80665m/sである。
この落下試験で割れの発生しなかったHDDの個数の、全試験個数に対する割合(パス率:%)で評価した。なお、100枚の情報記録媒体用ガラス基板を得る方法を、30回行い、その全て(3000枚)に対して、上記落下試験を行い、パス率を測定した。
この結果、パス率は、96.0%であった。
[実施例2]
端面研磨工程において、ガラス素板の積層状態を、外周端面のみに、実施例1と同様の凸部を設け、内周側の端部を1mmの幅で切り取った形状を有する(貫通孔の直径を2mm大きくした)スペーサを用い、図4(b)に示す状態にした以外、実施例1と同様にして行なった。
そして、得られた情報記録媒体用ガラス基板を用いて、実施例1と同様の評価を行なった結果、パス率は、98.0%であった。
[実施例3]
端面研磨工程において、ガラス素板の積層状態を、内周端面のみに、実施例1と同様の凸部を設け、外周側の端部を1mmの幅で切り取った形状を有する(外径を2mm小さくした)スペーサを用い、図4(c)に示す状態にした以外、実施例1と同様にして行なった。
そして、得られた情報記録媒体用ガラス基板を用いて、実施例1と同様の評価を行なった結果、パス率は、96.3%であった。
[比較例]
端面研磨工程において、スペーサとして、図5(a)に示すような、スペーサの内径が、ガラス素板の内径より大きく、スペーサの外径が、ガラス素板の外径より小さいスペーサを用いたこと以外、実施例1と同様にして行なった。
そして、得られた情報記録媒体用ガラス基板を用いて、実施例1と同様の評価を行なった結果、パス率は、86.7%であった。
以上のことから、ガラス素板の内周側稜線及び外周側稜線を開放した状態で研磨できるように、スペーサの位置を規制した場合(実施例1〜3)は、そうでない場合(比較例)と比較して、パス率が高いことがわかった。すなわち、耐衝撃性に高い情報記録媒体用ガラス基板が得られることがわかった。このことから、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法によれば、内周端面及び外周端面が好適に研磨された情報記録媒体用ガラス基板が得られることがわかった。また、スペーサの内径が、ガラス素板の内径より大きく、スペーサの外径が、ガラス素板の外径より小さいスペーサを用いた場合(比較例)は、ガラス素板の積層状態が、図5(b)に示すような、スペーサずれの発生した状態になることにより、ガラス素板の内周端面や外周端面を好適に研磨できない場合がある。このことにより、パス率が低下したと考えられる。
10 積層体
11 ガラス素板
12 スペーサ
111 第1内周端面
112 第1外周端面
113 第1主表面
114 内周側面取面
115 外周側面取面
116 内周側側壁部
117 外周側側壁部
118 内周側稜線
119 外周側稜線
121 第2内周端面
122 第2外周端面
123 内周側凸部
124 外周側凸部
124a 凸部主面
124b 第1連結面
124c 第2連結面
125 第2主表面

Claims (8)

  1. 中央部に配置される第1貫通孔を形成する第1内周端面、外形を規定する第1外周端面、及び互いに対向する一対の第1主表面を有する複数のガラス素板と、中央部に配置される第2貫通孔を形成する第2内周端面、外形を規定する第2外周端面、及び互いに対向する一対の第2主表面を有する複数のスペーサとを、交互に積層する積層工程と、
    積層されたガラス素板の第1内周端面を研磨する内周端面研磨工程と、
    積層されたガラス素板の第1外周端面を研磨する外周端面研磨工程とを備え、
    前記ガラス素板は、前記第1主表面の内周縁及び外周縁に、内周側面取面及び外周側面取面をそれぞれ有し、
    前記スペーサは、前記第2内周端面及び前記第2外周端面の少なくとも一方の、厚み方向中央部に、前記スペーサの径方向に突出する凸部を有し、
    前記内周端面研磨工程及び前記外周端面研磨工程は、前記凸部で前記スペーサの位置を規制することにより、前記第1主表面と前記内周側面取面との間の内周側稜線及び前記第1主表面と前記外周側面取面との間の外周側稜線が、それぞれ前記スペーサの第2主表面に非接触な開放された状態で研磨することを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記スペーサは、前記第2内周端面及び前記第2外周端面の厚み方向中央部にそれぞれ前記凸部を有し、
    前記スペーサの外径は、前記ガラス素板の外径以下であり、
    前記スペーサの第2貫通孔の直径は、前記ガラス素板の第1貫通孔の直径以上であり、
    前記内周端面研磨工程及び前記外周端面研磨工程は、前記第2内周端面に有する凸部及び前記第2外周端面に有する凸部の少なくとも一方で、前記スペーサの位置を規制する請求項1に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記スペーサは、前記第2外周端面のみの厚み方向中央部に前記凸部を有し、
    前記スペーサの第2貫通孔の直径は、前記ガラス素板の内周側稜線の直径以上である請求項1に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記スペーサは、前記第2内周端面のみの厚み方向中央部に前記凸部を有し、
    前記スペーサの外径は、前記ガラス素板の外周側稜線の直径以下である請求項1に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  5. 前記スペーサの径方向における前記凸部の長さが、前記スペーサの径方向における前記内周側面取面及び前記外周側面取面の幅以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  6. 前記凸部は、前記ガラス素板の径方向に延びる互いに対向する一対の凸部主面と、前記凸部主面間を連結する第1連結面と、前記ガラス素板の一対の第1主表面それぞれから前記一対の凸部主面それぞれに延びる一対の第2連結面とを有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  7. 前記内周端面研磨工程は、前記ガラス素板の第1内周端面と第1ブラシとの間に、研磨材を含む研磨液を介在させた状態で、前記第1ブラシを用いて研磨する工程であり、
    前記外周端面研磨工程は、前記ガラス素板の第1外周端面と第2ブラシとの間に、前記研磨液を介在させた状態で、前記第2ブラシを用いて研磨する工程である請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  8. 前記内周端面研磨工程及び前記外周端面研磨工程は、それぞれの工程における、前記ガラス素板と前記スペーサとの径方向の位置関係を維持する請求項1〜7のいずれか1項に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
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