JP2006095643A - 磁気研磨装置及び磁気研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被研磨面をより平滑に仕上げることができるとともに、特に細い溝や小径の穴の側壁面のように極めて狭小な部分を研磨すること。
【解決手段】被研磨面Gxに対面して配置される研磨工具30と、研磨工具30に磁場を印加する磁場印加部40と、研磨工具30をZ方向に数mmの振幅で、数Hzで往復運動させるとともに、研磨工具30をX方向に0.1〜0.9mmの振幅で、数百Hzで往復運動させる油圧加振機20とを備えるようにした。
【選択図】 図2
【解決手段】被研磨面Gxに対面して配置される研磨工具30と、研磨工具30に磁場を印加する磁場印加部40と、研磨工具30をZ方向に数mmの振幅で、数Hzで往復運動させるとともに、研磨工具30をX方向に0.1〜0.9mmの振幅で、数百Hzで往復運動させる油圧加振機20とを備えるようにした。
【選択図】 図2
Description
本発明は、磁気研磨装置及び磁気研磨方法に関し、特に狭小な箇所を十分に研磨できるものに関する。
機械加工では困難な部品を研磨するための技術として磁気研磨方法が知られている。磁気研磨方法は、磁場を用いて被研磨物を研磨する研磨方法のことをいい、例えば、磁場を発生させる研磨工具と、この研磨工具に離間対向して配置される被研磨物との間に砥粒及び磁性粉を備える研磨材を存在させて被研磨物を研磨する方法である。この場合、研磨工具から発生する磁場に磁性粉はある程度拘束されるため、研磨工具と被研磨物とを相対移動させると、磁性粉の周囲に存在する砥粒が被研磨物と摺動し、被研磨物が研磨されることになる。
このような磁気研磨方法によれば、研磨工具を直接被研磨物に接触させて研磨を行う研磨方法と比較して被研磨物の研磨面をより平滑にすることが可能となる。また、研磨工具と被研磨物とを直接接触させる必要がないため、従来加工困難であった複雑な曲面の研磨や研磨工具が入り込めない狭小な箇所の研磨等を行うことが可能となる。
例えば、コンピュータHDDのアクセスアームの精密仕上げ方法について開示されている。すなわち、N極とS極間の領域に被研磨物(アクセスアーム)を挿入すれば、それまで数珠のようにつながれていた磁性粒子(研磨材)が分離されるが、磁場強度の高い場所に空間保持される。この状態でアクセスアームを振動させると、空間保持された磁性粒子とアクセスアームとが相対運動し、表面が研磨されるものである。
さらに、細長いクリーンパイプ(長さ数m、内径0.6mm程度)の内面研磨についても磁気研磨が適用でき、パイプ端から磁性砥粒を投入するとともにパイプ外側で磁極を回転させれば、磁極に追随して磁性砥粒が回転し、パイプ内面との間に相対運動が生じて研磨が行われる(非特許文献1参照)。
このように磁気研磨方法は従来困難であった加工を実現するものとして徐々に実用化されてきている技術である。そして、磁気研磨を行うためには被研磨物と砥粒とを相対運動させることが前提となる。例えば上述のアクセスアームの例の場合、磁性粒子(研磨材)を磁場を与えて静止させるとともにアクセスアームを振動させる必要がある。また、クリーンパイプの場合、パイプ外側で磁極を回転させることにより磁性砥粒を磁極に追随させる必要がある。また、円柱状の永久磁石からなる研磨工具を円柱の中心を軸として回転させて、円柱の底面と被研磨物との間隙に砥粒を配設させる方法も広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、電歪素子からなるアクチュエータで研磨面と平行な刈方向および研磨面と垂直なZ方向に微小振動させる磁気研磨方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
さらにまた、超音波振動を球状の研磨工具に電圧して相対運動する方法や、球状の研磨工具の周囲に電磁石を配設し、モータのように球状研磨工具を回転させて磁気研磨する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。以上のように相対運動のさせ方は、従来より種々の方法が知られている。
進村武雄,磁気研磨法による内面の平滑加工に関する研究,日本機械学会論文集C編,日本機械学会,1993年,第59巻560号,p.1261 特開平4−25369号公報
特許2682260号公報
特開2003−48152号公報
進村武雄,磁気研磨法による内面の平滑加工に関する研究,日本機械学会論文集C編,日本機械学会,1993年,第59巻560号,p.1261
上述した磁気研磨装置であると次のような問題があった。すなわち、例えば金型のように、極めて平滑な面を形成させる必要がある場合は、従来の研磨方法では十分に研磨することができなかった。また、金型の一部をなしている幅1mm以下の開口溝の側面のように、極めて細い溝の側壁面を研磨する場合も、従来の研磨方法では不十分であった。すなわち、特許文献2に記載された方法では、研磨工具先端に球状の研磨部を備えるものであるが、かかる球状の研磨部を細い溝に挿入することが困難であると考えられる。また、特許文献3に記載された方法の場合も研磨工具を細溝に挿入することや、細溝の周囲に電磁石を配設すること等は困難であったと考えられる。
そこで本発明は、被研磨面をより平滑に仕上げることができるとともに、特に細い溝や小径の穴の側壁面のように極めて狭小な部分を研磨することが可能な磁気研磨装置及び磁気研磨方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決し目的を達成するために、本発明の磁気研磨装置及び磁気研磨方法は次のように構成されている。
(1)磁性砥粒を用いて被研磨材の被研磨面を研磨する磁気研磨装置において、上記被研磨面に対面して配置される研磨工具と、この研磨工具に磁場を印加する磁場印加部と、上記研磨工具を第1の方向に第1の振幅で第1の周期で往復運動させるとともに、上記研磨工具を第2の方向に上記第1の振幅より小さい第2の振幅で、かつ、上記第1の周期よりも短い第2の周期で往復運動させるアクチュエータとを備えていることを特徴とする磁気研磨装置。
(2)上記(1)に記載された磁気研磨装置であって、上記第1の方向と上記第2の方向とは、直交していることを特徴とする。
(3)上記(1)に記載された磁気研磨装置であって、上記被研磨面は、開口部が長方形状に形成された溝の上記開口部の長辺側の内壁面であり、上記研磨工具は上記溝に対応した板状に形成され、上記第1の方向は、上記溝の深さ方向に平行であり、上記第2の方向は、上記長辺方向に平行であることを特徴とする。
(4)磁性砥粒を用いて被研磨材の被研磨面を研磨する磁気研磨装置において、上記被研磨面に対面して配置される円柱状の研磨工具と、この研磨工具に磁場を印加する磁場印加部と、上記研磨工具を第1の方向に往復運動させるとともに、上記研磨工具をその中心軸廻りに回転させるアクチュエータと、上記研磨工具を被研磨面に沿って移動させる位置決め機構とを備えていることを特徴とする。
(5)上記(4)に記載された磁気研磨装置であって、上記研磨工具は、その外周面に上記磁性砥粒が係合する凹凸部が形成されている。
(6)被研磨面と研磨工具とを離間対向させて、間隙に磁性砥粒を介在させて相対運動させることにより上記被研磨面を研磨する磁気研磨方法において、上記研磨工具に磁場を印加する磁場印加工程と、上記研磨工具を上記被研磨面に対してほぼ平行な第1の方向に第1の振幅で第1の周期で往復運動させる第1往復動工程と、この第1往復動工程と同時に、上記研磨工具を上記被研磨面に対してほぼ平行な第2の方向に、第1の振幅より小さい第2の振幅で、第1の周期より短い第2の周期で往復運動させる第2往復動工程とを備えていることを特徴とする。
(7)上記(6)に記載された磁気研磨方法であって、上記第1の方向と上記第2の方向とは、直交していることを特徴とする。
(8)上記(6)に記載された磁気研磨方法であって、上記被研磨面は、開口部が長方形状に形成された溝の上記開口部の長辺側の内壁面であり、上記第1の方向は、上記溝の深さ方向に平行であり、上記第2の方向は、上記長辺方向に平行であることを特徴とする。
(9)被研磨面と円柱状の研磨工具とを離間対向させて、間隙に磁性砥粒を介在させて相対運動させることにより上記被研磨面を研磨する磁気研磨方法において、上記研磨工具に磁場を印加する磁場印加工程と、上記研磨工具を上記被研磨面に対してほぼ平行な第1の方向に往復運動させる往復動工程と、この往復動工程と同時に、上記研磨工具をその中心軸廻りに回転させる回動工程とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、被研磨面をより平滑に仕上げることができるとともに、特に細い溝や小径の穴の側壁面のように極めて狭小な部分を研磨することが可能となる。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る磁気研磨装置10を示す斜視図、図2は同磁気研磨装置10の要部を示す平面図、図3は同磁気研磨装置10の要部を示す縦断面図である。なお、図中矢印XYZは互いに直交する三方向を示しており、特に矢印XYは水平方向、矢印Zは鉛直方向を示している。
磁気研磨装置10は、油圧加振機(アクチュエータ)20と、この油圧加振機20によって駆動される研磨工具30と、この研磨工具30に磁場を印加する磁場印加部40とを備えている。
油圧加振機20は、床面に固定されるベース21と、このベース21に対して図1中矢印X方向に直線ガイドに沿って往復動するスライダ22と、このスライダ22に対して図1中矢印Z方向に直線ガイドに沿って往復動するスライダ23とを備えている。スライダ23の下部には、板状の研磨工具30が取り付けられている。
スライダ23の下方には、被研磨物Wが配置されており、この被研磨物Wに形成された溝Gに、研磨工具30が挿入されている。研磨工具30と溝Gの内壁面(被研磨面)Gxとは、図2に示すように僅かな隙間を持って対向配置されている。
なお、図2及び図3中Pは磁性砥粒を示している。磁性砥粒Pは、例えば磁性粉に砥粒を接着剤で付着させたものであり、磁力によって引き付けられる特性を有している。
このように構成された磁気研磨装置10では、次のようにして溝Gの内壁面Gxの研磨を行う。すなわち、被研磨物Wの溝G内に研磨工具30を挿入する。次に、磁場印加部40により、研磨工具30に磁場を発生させる。そして、磁性砥粒Pを供給する。なお、被研磨面Gxと研磨工具30との間隙は、磁性砥粒Pの直径の1〜1.5倍程度が望ましい。
研磨工具30は、スライダ22及びスライダ23の往復動により研磨が行われる。こののとき、スライダ23のZ方向(第1の方向)の往復動は、数mm程度のストローク(第1の振幅)で周期は数Hz程度であり、スライダ22のX方向(第2の方向)の往復動は0.1〜0.9mm程度のストローク(第2の振幅)で周期は数百Hz程度である。
この2方向の往復運動を同時に行うことにより、被研磨面Gxに図4に示すような網目状の加工痕が形成され、平滑な研磨面を得ることができる。一般に、超仕上げ加工などでは網目状の加工痕は表面粗さや加工レートの向上に有利である。なお、スライダ22の往復動は超音波発振器等を用いてもよい。
上述したように本第1の実施の形態に係る磁気研磨装置10によれば、被研磨面Gxをより平滑に仕上げることができるとともに、特に細い溝や小径の穴の側壁面のように極めて狭小な部分を研磨することが可能となる。
図5及び図6は、本発明の第2の実施の形態に係る磁気研磨装置11の要部を示す図であって、図5は平面図、図6は縦断面図である。なお、これらの図において図1〜図3と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
磁気研磨装置11では、溝Gの代わりに溝Hの曲面状の内壁面Hxを研磨するものである。研磨工具30の代わりに溝Hの形状に合せた研磨工具31が用いられる。
このように構成された磁気研磨装置11においても上述した磁気研磨装置10と同様に研磨工具31をZ方向及びX方向の2方向の往復運動を行うことで、被研磨面Hxに網目状の加工痕を形成することができる。
図7及び図8は、本発明の第3の実施の形態に係る磁気研磨装置12を示す図であって、図7は平面図、図8は縦断面図である。なお、これらの図において図1〜図3と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
なお、スライダ23の下面には矢印Y方向に直線ガイドに沿って往復動するスライダ24が設けられ、さらに、このスライダ24には回転駆動部25が設けられている。回転駆動部25には、円柱状の研磨工具32が取り付けられている。研磨工具32は回転駆動部25によりその中心軸廻りに図8中矢印R方向に回転駆動される。なお、研磨工具32表面には磁性砥粒Pが係合する凹凸部33が形成されている。
このように構成された磁気研磨装置12では、研磨工具32をZ方向の往復動させるとともに、R方向への回転運動を行わせる。さらに、スライダ22及びスライダ24を駆動することにより図7中二点鎖線Qに示すように移動させることで、溝Jの内壁面である被研磨面Jxを研磨することができる。したがって、任意の形状の溝Jの内壁面に対しても上述した溝Gや溝Hと同様の研磨を行うことが可能となる。なお、円柱状の研磨工具32を用いた場合には、溝の形状に合せた研磨工具を準備する必要がなく、様々な加工形状に対応可能である。
なお、上述した例では、往復運動させるアクチュエータとして、油圧加振機を例示したが、例えば、モータを駆動源として回転運動を往復運動に変換するカムやリンク機構を利用する方法等でもよい。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
10,11,12…磁気研磨装置、20…油圧加振機(アクチュエータ)、30,31,32…研磨工具、40…磁場印加部、W…被研磨物、G,H,J…溝、P…磁性砥粒。
Claims (9)
- 磁性砥粒を用いて被研磨材の被研磨面を研磨する磁気研磨装置において、
上記被研磨面に対面して配置される研磨工具と、
この研磨工具に磁場を印加する磁場印加部と、
上記研磨工具を第1の方向に第1の振幅で第1の周期で往復運動させるとともに、上記研磨工具を第2の方向に上記第1の振幅より小さい第2の振幅で、かつ、上記第1の周期よりも短い第2の周期で往復運動させるアクチュエータとを備えていることを特徴とする磁気研磨装置。 - 上記第1の方向と上記第2の方向とは、直交していることを特徴とする請求項1に記載の磁気研磨装置。
- 上記被研磨面は、開口部が長方形状に形成された溝の上記開口部の長辺側の内壁面であり、
上記研磨工具は上記溝に対応した板状に形成され、上記第1の方向は、上記溝の深さ方向に平行であり、上記第2の方向は、上記長辺方向に平行であることを特徴とする請求項1記載の磁気研磨装置。 - 磁性砥粒を用いて被研磨材の被研磨面を研磨する磁気研磨装置において、
上記被研磨面に対面して配置される円柱状の研磨工具と、
この研磨工具に磁場を印加する磁場印加部と、
上記研磨工具を第1の方向に往復運動させるとともに、上記研磨工具をその中心軸廻りに回転させるアクチュエータと、
上記研磨工具を被研磨面に沿って移動させる位置決め機構とを備えていることを特徴とする磁気研磨装置。 - 上記研磨工具は、その外周面に上記磁性砥粒が係合する凹凸部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の磁気研磨装置。
- 被研磨面と研磨工具とを離間対向させて、間隙に磁性砥粒を介在させて相対運動させることにより上記被研磨面を研磨する磁気研磨方法において、
上記研磨工具に磁場を印加する磁場印加工程と、
上記研磨工具を上記被研磨面に対してほぼ平行な第1の方向に第1の振幅で第1の周期で往復運動させる第1往復動工程と、
この第1往復動工程と同時に、上記研磨工具を上記被研磨面に対してほぼ平行な第2の方向に、第1の振幅より小さい第2の振幅で、第1の周期より短い第2の周期で往復運動させる第2往復動工程とを備えていることを特徴とする磁気研磨方法。 - 上記第1の方向と上記第2の方向とは、直交していることを特徴とする請求項6に記載の磁気研磨方法。
- 上記被研磨面は、開口部が長方形状に形成された溝の上記開口部の長辺側の内壁面であり、
上記第1の方向は、上記溝の深さ方向に平行であり、上記第2の方向は、上記長辺方向に平行であることを特徴とする請求項6記載の磁気研磨方法。 - 被研磨面と円柱状の研磨工具とを離間対向させて、間隙に磁性砥粒を介在させて相対運動させることにより上記被研磨面を研磨する磁気研磨方法において、
上記研磨工具に磁場を印加する磁場印加工程と、
上記研磨工具を上記被研磨面に対してほぼ平行な第1の方向に往復運動させる往復動工程と、
この往復動工程と同時に、上記研磨工具をその中心軸廻りに回転させる回動工程とを備えていることを特徴とする磁気研磨方法。
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2004
- 2004-09-29 JP JP2004284920A patent/JP2006095643A/ja active Pending
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