JP2007021661A - 複雑形状体の鏡面研磨方法および鏡面研磨装置 - Google Patents

複雑形状体の鏡面研磨方法および鏡面研磨装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 研磨対象が溝など凹凸を有する複雑形状体であっても凹部の奥隅について応力なく研磨が行なえて、鏡面に仕上げることができる複雑形状体の鏡面研磨方法および鏡面研磨装置を提供すること
【解決手段】 流動槽2の底面に研磨対象(試料3)を固定し、試料3には研磨バイト4を対面させ、磁気研磨液1を入れて浸す。磁気研磨液1には非磁性の砥粒を混合し、αセルロースなどの増粘剤を混合する。研磨バイト4は試料3との対面に永久磁石41を設け、そして柔軟性を有した毛材42を複数植え立てて設けてブラシにする。駆動モータ11により研磨バイト4を回転させ、流動槽2は振動台8により適宜に振動させて研磨液をかき混ぜる。毛材42によるブラシが試料3の凹部内の研磨液を攪拌し、永久磁石41の磁場により生成した磁気クラスタが砥粒を押さえつけ、相対運動により研磨が行なえる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、精密機械部品や金型など複雑な凹凸形状を有する複雑形状体の鏡面研磨方法および鏡面研磨装置に関するもので、より具体的には、複雑形状体である研磨対象に対して研磨バイトを対面させるともに、これらの周辺に磁気研磨液を存在させて流体研磨を行なうことの改良に関する。
研磨対象の表面を鏡面に仕上げる技術としては、一般に、遊離砥粒を分散させた研磨剤を研磨対象とラップ定盤との間に介在させた状態で両者を擦り合わせる動作を行なうラッピングや、ラッピングよりも微細な砥粒を用い、ポリッシングパッドと呼ばれる柔らかい工具により研磨対象との擦り合わせ動作を行なうポリシングなどが行なわれている。
非接触の研磨技術にはフロートポリシングがあり、これは錫定盤と研磨対象を、微細な研磨剤を混濁したポリシング液中で同時に回転させることにより両者間に介在するポリシング液の流動圧で研磨対象をわずかに浮上させ、そのポリシング液中の研磨剤により加工を進めるような技術である。
本発明において想定する研磨対象とは、例えば超小型のフェライトコアなどであり、高さが数mm〜10mm程度、外形寸法も10mm程度であって溝など凹凸を有する複雑形状(複雑形状体)のものを想定している。
そうした面からはラッピングやポリシングは、研磨対象に工具を接触させて研磨するため、研磨対象が上記したような複雑形状体の場合には、その溝の底部など複雑な部位を研磨することができ無い。その結果、表面の全域を鏡面に仕上げることができず、部分的にムラができてしまうといった問題がある。このことは、上記したフロートポリシングでも同様である。すなわち、フロートポリシングは研磨対象を非接触に浮上させる研磨ではあるが、研磨対象に対して錫定盤の平面度を集積した形状に転写する点は接触研磨と変わりがなく、複雑形状体には対応できない。
また、ラッピングやポリシングは、研磨対象に対してラップ定盤,ポリッシングパッドなど工具を接触させて抑え力を加える加工方法であるため、研磨対象に大きな応力が生じる。このため、研磨対象の強度が弱い場合には、当該研磨対象に加工変質層を生じる問題がある。
一方、磁界を作用させることで研磨を行なう磁気研磨の技術もよく知られており、例えば特許文献1,2に見られるようなものがある。特許文献1には、磁気研磨液における分散粒子を調整することにより研磨液の性能を改善し、精密な研磨、仕上げ加工に適用し得るような技術が提案されている。特許文献2には、磁性砥粒からなる粒子ブラシと研磨対象との間で適正に相対運動を行なわせること、および磁性砥粒に非磁性層を被覆することにより研磨の挙動を改善し、精密な研磨、仕上げ加工に適用し得るような技術が提案されている。このような磁気研磨を用いた方式は、いわゆる非接触の研磨が行なえるため強度が弱い研磨対象でも応力なく研磨が行なえるメリットがあり、精密仕上げの用途に好まれている。
特開2002−170791号公報 特開2002−283216号公報
しかしながら、従来の鏡面研磨の技術では以下に示すような問題がある。磁気研磨の技術の場合、磁性砥粒(粒子ブラシ)つまり研削工具は磁界により活性化するため、研磨対象の研磨は磁場発生源の磁極が向き合う対面部位については良好に進む特性を持つが、対面部位であっても凹部の奥隅などは適正に仕上げることが難しく、ムラができてしまう問題がある。
つまり磁気研磨にあっては、図1に示すように、研磨バイト4は粒子ブラシを発生するための磁場発生源41を有し、これを研磨対象3に対して非接触に対面させて両者間には磁気研磨液1を充満させる。そして両者を相対的に運動動作させて磁気研磨液1を攪拌することになる。このとき、研磨対象3が複雑形状体では、対面部位であっても凹部の奥隅は磁気研磨液1の動きが不十分になることがあり、凹凸が不規則な複雑形状について適正に研磨仕上げすることができない問題が起きている。
この発明は上記した課題を解決するもので、その目的は、研磨対象が溝など凹凸を有する複雑形状体であっても凹部の奥隅について応力なく研磨が行なえて、鏡面に仕上げることができる複雑形状体の鏡面研磨方法および鏡面研磨装置を提供することにある。
上記した目的を達成するために、本発明に係る鏡面研磨方法は、複雑形状体である研磨対象に対して研磨バイトを対面させるともに、これらの周辺に磁気研磨液を存在させて流体研磨を行なう複雑形状体の鏡面研磨方法あって、研磨バイトは研磨対象との対面に磁場を発生する磁場発生源を設けるともに、柔軟性を有した毛材を複数植え立てて設け、研磨バイトと研磨対象との間に磁気研磨液を存在させて当該磁気研磨液には非磁性の砥粒を混合しておき、研磨バイトに連係した回転手段を起動して当該研磨バイトを回転動作するともに、磁場発生源により磁気研磨液に時間的に定常的あるいは変動的な磁場を加え、当該磁気研磨液を攪拌手段によりかき混ぜて流体研磨を行なう。
また、本発明に係る鏡面研磨装置は、磁気研磨液を入れる流動槽と、研磨対象との対面に磁場発生源を有するともに柔軟性を有した毛材を複数植え立てて設ける研磨バイトと、当該研磨バイトに連係してこれを回転する回転手段と、流動槽内の磁気研磨液をかき混ぜる攪拌手段とを備えて、研磨対象は流動槽の底面に固定し、当該研磨対象と研磨バイトとの対面する間に磁気研磨液を存在させて、当該磁気研磨液には非磁性の砥粒を混合しておき、回転手段を起動することにより研磨バイトを回転動作するともに、磁場発生源により磁気研磨液に時間的に定常的あるいは変動的な磁場を加え、そして攪拌手段を起動することにより磁気研磨液をかき混ぜる構成にする。
また、各発明に用いる磁気研磨液は、動粘度0.01〜100mm/s程度の水やケロシン等の分散媒中に、粒子径1〜80μmの強磁性粒子を10〜95wt%分散させた流体に対して、粒子径10〜50nmの球形マグネタイト粒子が、電気絶縁性を有する水やケロシン等の分散媒に一様に分散した流体を5〜90wt%混合した複合流体に、粒子径0.01〜100μmの非磁性の砥粒を混合し、さらに増粘剤としてαセルロースなどの繊維状物質あるいはポリビニルアルコール等の樹脂を5〜90wt%混合する構成のものが好ましい。
したがって本発明では、流動槽は外周および底裏に磁場発生源を有し、このため、流動槽内に位置させた研磨対象との間に磁場が作用し、磁気研磨液において磁気クラスタが生成する。具体的には請求項2,4に示す組成において、強磁性粒子(例えば鉄粒子),マグネタイト粒子が磁気吸引力により多数が凝集して磁気クラスタとなる。磁気クラスタは、磁束に沿うので研磨対象に対立して針状に多数が立ち並び、これにより磁気研磨液中に存在する砥粒が研磨対象の表面に抑えつけられる。また、磁気クラスタに絡み込まれた砥粒もあるので、それらも研磨対象の表面に抑えつけられる。
こうした状態で回転手段により研磨対象が回転動作することから、相対運動によって低粒は研磨対象の表面を接触しつつ運動する。このため、研磨対象の表面の凸部を砥粒が研削し、より平滑な表面が得られる。
この場合、研磨バイトには柔軟性を有した毛材を複数植え立てて設けてブラシにしているので、研磨動作の際は毛材が研磨対象の凹部に入り込み、研磨バイトの回転動作に伴って動くことから、当該ブラシは凹部において磁気研磨液を掻き動かす攪拌動作を行なうことになる。その結果、凹部において砥粒が動き回って研削の作用を促進し、研磨対象の凹部の奥隅を十分に研磨することができる。毛材は柔軟性を有するものとし、これによるブラシは研磨作用を行なわない構成としているので、研磨対象には毛材が接触することにはなるが、実質的には非接触の研磨となる。
磁気クラスタは磁場発生源の磁場から飛び外れてしまうものもある。これらは磁気研磨液中に分散してやがて消失してしまうが、少しの間は形状を保持することから、磁気研磨液の流動運動のため研磨対象の側部など各部位に回り込むことになり、回り込んだ磁気クラスタが当該部位に当たり研削の作用をし、あるいは当該部位で近辺に存在した砥粒を動かす作用となり、その結果、回転軸と対面しない側部でも研磨が進むことになる。もちろん、この浮遊した磁気クラスタは、研磨対象の凹部でも動き回り研削の作用をし、研磨が進むことになる。
また、磁気研磨液にはαセルロース等の増粘剤を含むので、添加した増粘剤は磁気クラスタを保持するように作用し、その結果、多数の砥粒が研磨対象の表面に接触する状況を促進でき、研磨を高効率に行なえる。
本発明に係る複雑形状体の鏡面研磨では、研磨バイトには柔軟性を有した毛材を複数植え立てて設けてブラシにしているので、研磨動作の際は毛材が研磨対象の凹部に入り込み、当該ブラシは凹部において磁気研磨液を掻き動かす攪拌動作を行なうことになる。その結果、凹部において砥粒が動き回って研削の作用を促進し、研磨対象の凹部の奥隅を磁気クラスタにより十分に研磨することができる。
毛材は柔軟性を有するものとし、これによるブラシは研磨作用を行なわない構成としているので、研磨対象には毛材が接触することにはなるが、実質的には非接触の研磨となる。このため強度が弱い研磨対象でも応力なく研磨が行なえて、磁気研磨液を攪拌手段によりかき混ぜるので研磨の作用を促進できる。したがって、研磨対象が溝など凹凸を有する複雑形状体であっても凹部の奥隅について応力なく研磨が行なえて、鏡面に仕上げることができる。
図2は、本発明の好適な一実施の形態を示している。本形態において、鏡面研磨装置は、磁気研磨液1を入れる流動槽2を有し、その流動槽2の底面に研磨対象(試料3)固定し、そして試料3に対して研磨バイト4を上方から対面させて両者間に磁気研磨液1を充満させ、研磨バイト4には回転と磁場の発生とを行なわせ、流動槽2には適宜な振動を行なわせ、磁気研磨液1に生成した磁気クラスタにより流体研磨を行なう構成になっている。
磁気研磨液1は非磁性の砥粒を混合してある。具体的には、動粘度0.01〜100mm/s程度の水やケロシン等の分散媒中に、粒子径1〜80μmの強磁性粒子を10〜95wt%分散させた流体に対して、粒子径10〜50nmの球形マグネタイト粒子が、電気絶縁性を有する水やケロシン等の分散媒に一様に分散した流体を5〜90wt%混合した複合流体に、粒子径0.01〜100μmの非磁性の砥粒を混合し、さらに増粘剤としてαセルロースなどの繊維状物質あるいはポリビニルアルコール等の樹脂を5〜90wt%混合している。
流動槽2は、スプリングネジ5を介してトラバース装置6の基台7に組み付けし、トラバース装置6を振動台8に組み付ける構成になっており、スプリングネジ5の部位には接触式のロードセル9を配置している。つまり、トラバース装置6の基台7を動かすことで流動槽2の上下位置を初期設定し、振動台8により適宜な振動動作、例えば研磨バイト4の回転軸10との対立面において8の字を描くといった運動動作を与えるともに、その動作状況をロードセル9により検出するようになっている。
流動槽2に対しては上方から研磨バイト4を突き向けてあり、研磨バイト4は、これと連係した駆動モータ11により回転させるようになっている。この駆動モータ11には、例えばボール盤,旋盤,NC旋盤,フライス盤などの回転駆動機構を用いることができ、出力軸に連結したチャック部12に研磨バイト4の回転軸10を取り付けし、着脱が行なえる構成になっている。
研磨バイト4は図3に示すように、試料3(研磨対象)との対面に、非磁性体からなる円柱体40に同心に永久磁石41を埋め込むともに、柔軟性を有した毛材42を複数植え立てて設けてブラシにしている。永久磁石41は磁場を発生する磁場発生源であり、対面する試料3との間で磁気研磨液1に対して磁界を作用する。この磁場発生源としては、永久磁石41に限らず、例えば電磁石なども好ましく適用でき、磁気研磨液1に対して磁界を作用し得るものであればよい。
また、研磨バイト4は、図4(a),(b)に示すように、非磁性体からなる円柱体40には環状の永久磁石41を同心に複数を埋め込み、磁性部位と非磁性部位とが同心に交互に繰り返す構成とし、間の部位に、柔軟性を有した毛材42を複数植え立てて設けるようにすることもよい。
毛材42を植え立てたブラシは、攪拌作用を行なわせるものであり、研磨作用を行なわせるものではないので毛材42は柔軟性を有した材料、例えばポリエチレンなどの細糸から形成する。そして、毛材42は、植え立てを緻密ではなく適度に粗密に植え立てる設定が好ましく、長さも適度に短くすることが好ましい。
また、毛材42は図5に示すように、板厚が薄い基板43に複数植え立てて設け、その基板43を円柱体40に組み付ける構成とし、永久磁石41の部分を覆うような構成にすることもよい。この場合、基板43は非磁性部材から形成して、永久磁石41による磁場の発生を阻害しないようにする。
振動台8は図示しない駆動源を有し、研磨バイト4の回転軸10との対立面において運動動作(振動)する構成であり、その運動動作には複数の振動モードを設定してある。つまり、振動台8による振動動作は、研磨バイト4の回転軸10との対立面において、定点を中心とする単純な回転動作、あるいは8の字を描く回動動作、または定方向で往復する振動動作など、複数の振動モードがあり、研磨作業の際はこれらを適宜に選択あるいは組み合わせることになる。なお、振動台8は、研磨バイト4の軸方向に向かう縦振動を含む運動動作を行なうように構成することもよい。
試料3の研磨においては、まず流動槽2の底面に試料3を固定し、上方の研磨バイト4に対して試料3の位置関係を初期設定し、試料3が磁気研磨液1中に浸漬する状態にする。そして、駆動モータ11および振動台8を起動して、試料3を回転動作させるともに流動槽2は振動動作させ、磁気研磨液1には磁場発生源(永久磁石41)により磁場を作用させる。
このような構成によれば、試料3と研磨バイト4との間では、図6に示すように、磁束が生じて磁気研磨液1において磁気クラスタ13が生成する。つまり、研磨バイト4には永久磁石41を埋め込んであるので磁場が作用し、永久磁石41と試料3との間で磁束が生じ、強磁性粒子(例えば鉄粒子),マグネタイト粒子が磁気吸引力により多数が凝集して磁気クラスタ13となる。磁気クラスタ13は、磁束に沿うので試料3に対立して針状に多数が立ち並ぶことになる。
このとき、磁気研磨液1においては、増粘剤として加えたαセルロース14が磁気クラスタ13の相互間に織り込み状態に位置を占め、さらに非磁性の砥粒15を加えてあるので、これは磁気クラスタ13に絡み込まれるものもあるが、当該液が攪拌状態にあるため多くは試料3の表面に存在することになる。したがって、針状に立ち並ぶ磁気クラスタ13および織り込み状態のαセルロース14とによって、磁気研磨液1の中に存在する砥粒15が試料3の表面に押さえつけられる。また、磁気クラスタ13およびαセルロース14に絡み込まれた砥粒15もあるので、それらも試料3の表面に抑えつけられる。
こうした状態で研磨バイト4(永久磁石41)が回転動作することから、相対運動によって砥粒15は試料3の表面を接触しつつ運動する。このため、試料3の表面の凸部を砥粒15が研削し、より平滑な表面が得られる。つまり、鏡面研磨が行なえる。
磁場が定常的では、磁気クラスタ13は磁束に沿って整列して立ち並び、磁力により整列状態が保持されるので砥粒15が試料3の表面(研磨面)に適度に当たって研磨が行なえる。また、磁場が変動的では、磁気クラスタ13は動揺し、このときも砥粒15が研磨面に適度に当たり研磨が行なえる。このように、研磨バイト4は、試料3に対して見かけ上は有効な研削刃を持たないものの、磁気クラスタ13およびαセルロース14の押さえ作用により研磨することができ、流体研磨が行なえる。
この場合、研磨バイト4には柔軟性を有した毛材42を複数植え立てて設けてブラシにしているので、研磨動作の際は図7に示すように、毛材42が試料3の凹部に入り込み、研磨バイト4の回転動作に伴って動くことから、毛材42からなるブラシは当該凹部において磁気研磨液1を掻き動かす攪拌動作を行なうことになる。その結果、凹部において砥粒15が動き回って研削の作用を促進し、試料3の凹部の奥隅を十分に研磨することができる。毛材42は柔軟性を有するものとし、これによるブラシは研磨作用を行なわない構成としているので、試料3に対して毛材42が接触することにはなるが、実質的には非接触の研磨となる。
また、磁気研磨液1にはケロシンや灯油など揮発性の溶媒を含み、このため研磨を進めるに連れて磁気研磨液1が減っていく傾向にあるが、本発明では毛材42がブラシとなるので、毛材42の相互間にある液には毛細管現象により保持力が作用し、磁気研磨液1の揮発を防止することができる。
ところで、磁気クラスタ13は、永久磁石41の磁場から飛び外れてしまうものもある。これらは磁気研磨液1の中に分散してやがて消失してしまうが、少しの間は形状を保持することから、磁気研磨液1の流動運動のため試料3の側部など各部位に回り込むことになり、入り込んだ磁気クラスタ13が当該部位に当たり研削の作用をし、あるいは当該部位で近辺に存在した砥粒15を動かす作用となる。その結果、研磨バイト4と対面しない側部でも研磨が進むことになる。もちろん、この浮遊した磁気クラスタ13は、試料3の凹部でも動き回り研削の作用をし、研磨が進むことになる。その結果、試料3の表面全域はもちろん研磨が進み、複雑形状をなす凹部の奥底でも研磨が進むことになる。
また、磁気研磨液1には増粘剤としてαセルロース14を含むので、添加した増粘剤は磁気クラスタ13を保持するように作用し、その結果、多数の砥粒15が試料3の表面に接触する状況を促進でき、研磨を高効率に行なえる。
したがって、本発明に係る鏡面研磨によれば、磁気研磨液1において生成した磁気クラスタ13により、試料3(研磨対象)に対して流体研磨を行なうことができる。この流体研磨は、毛材42を柔軟性のものとするので実質的には非接触の流体研磨となり、そして磁気研磨液1を攪拌手段によりかき混ぜるので研磨の作用を促進でき、さらに毛材42が凹部において攪拌動作を行なうことから、研磨対象が溝など凹凸を有する複雑形状体であっても凹部の奥隅について応力なく研磨が行なえて、鏡面に仕上げることができる。
研磨対象としては、図8に示すように溝(凹部)を持つ部品などがあり、そうした複雑形状を有する部品を研磨でき、鏡面仕上げが行なえる。
図2に示す鏡面研磨装置を用いて試料の研磨を行なった。つまり、本発明の効果を実証するため、研磨の条件を替えて所定の試料を研磨し、その試料について表面粗さRa(算術平均粗さ)を評価した。磁気研磨液としては表1に示す組成とし、評価試験には図8(a),(b)に示す形状寸法の試料を用いた。
Figure 2007021661
つまり、磁気研磨液はその組成に、非磁性の砥粒として粒子径0.05μmのアルミナを含み、さらに増粘剤としてαセルロースを含むものとする。そして、評価試験では、試料は図8(a),(b)に示すように、外径12mm,厚さ5mmの円板形状で同心に溝(凹部)を有し、表2に示す諸条件により研磨を行なっており、その結果、同表に合わせて示すような表面粗さRaが得られた。
Figure 2007021661
試料の材質は真鍮である。そして、研磨バイトは図3に示したものであって、毛材はポリエチレン製の細糸からなり、線径20μm,長さ10mmのものとした。研磨バイト4の回転数は800rpm、研磨時間は1時間、振動台8は研磨バイト4の回転軸10との対立面において逆方向に回転動作を行ない、その振幅は10mmで毎分30回の振動とした。
その結果、表面粗さRaは、溝部(凹部)では15nm、そして表面(凸部)でも同等に13nmを得ることができた。試料にあっては、凹部の奥隅も鏡面仕上げが良好に行なえることを確認した。
すなわち、本発明に係る鏡面研磨によれば、充分な表面粗さに鏡面研磨が行なえるものであり、これは複雑形状について表面全域を研磨することができ、もちろん凹部の奥隅も適正に研磨でき、本発明の有用性が確認できた。
また、上述した各実施の形態の研磨バイト4は、永久磁石41の下面(露出面)と、円柱体40の下面とが面位置の状態となっているが、本発明はこれに限ることはなく、例えば図9に示すように、永久磁石41を円柱体40の外側に突出させるようにしても良い。もちろん、図示省略するが、これとは逆に、円柱体40の表面よりも奥側に下げた位置に設置しても良い。
さらに本発明の他の実施の形態を示している。
粒子ブラシによる研磨での問題点を説明する断面図である。 本発明に係る鏡面研磨装置の好適な一実施の形態を示す構成図である。 研磨バイトの好適な例1を示す断面図である。 研磨バイトの好適な例2を示し、(a)が断面図、(b)がそのバイト面を示す平面図である。 研磨バイトの好適な例3を示す断面図である。 磁気クラスタによる流体研磨を示す説明図である。 毛材によるブラシの作用を説明する断面図である。 研磨試験の試料とした複雑形状体の形状寸法を示す斜視図(a)および断面図(b)である。 研磨バイトの好適な変形例を示す断面図である。
符号の説明
1 磁気研磨液
2 流動槽
3 試料(研磨対象)
4 研磨バイト
5 スプリングネジ
6 トラバース装置
7 基台
8 振動台
9 ロードセル
10 回転軸
11 駆動モータ
12 チャック部
13 磁気クラスタ
14 αセルロース
15 砥粒
40 円柱体
41 永久磁石(磁場発生源)
42 毛材
43 基板

Claims (4)

  1. 複雑形状体である研磨対象に対して研磨バイトを対面させるともに、これらの周辺に磁気研磨液を存在させて流体研磨を行なう複雑形状体の鏡面研磨方法あって、
    前記研磨バイトは前記研磨対象との対面に磁場を発生する磁場発生源を設けるともに、柔軟性を有した毛材を複数植え立てて設け、前記研磨バイトと前記研磨対象との間に前記磁気研磨液を存在させて当該磁気研磨液には非磁性の砥粒を混合しておき、
    前記研磨バイトに連係した回転手段を起動して当該研磨バイトを回転動作するともに、前記磁場発生源により前記磁気研磨液に時間的に定常的あるいは変動的な磁場を加え、当該磁気研磨液を攪拌手段によりかき混ぜて流体研磨を行なうことを特徴とする複雑形状体の鏡面研磨方法。
  2. 前記磁気研磨液は、
    動粘度0.01〜100mm/s程度の水やケロシン等の分散媒中に、粒子径1〜80μmの強磁性粒子を10〜95wt%分散させた流体に対して、粒子径10〜50nmの球形マグネタイト粒子が、電気絶縁性を有する水やケロシン等の分散媒に一様に分散した流体を5〜90wt%混合した複合流体に、粒子径0.01〜100μmの非磁性の砥粒を混合し、さらに増粘剤としてαセルロースなどの繊維状物質あるいはポリビニルアルコール等の樹脂を5〜90wt%混合することを特徴とする請求項1に記載の複雑形状体の鏡面研磨方法。
  3. 磁気研磨液を入れる流動槽と、研磨対象との対面に磁場発生源を有するともに柔軟性を有した毛材を複数植え立てて設ける研磨バイトと、当該研磨バイトに連係してこれを回転する回転手段と、前記流動槽内の磁気研磨液をかき混ぜる攪拌手段とを備え、
    前記研磨対象は前記流動槽の底面に固定し、当該研磨対象と前記研磨バイトとの対面する間に前記磁気研磨液を存在させて、当該磁気研磨液には非磁性の砥粒を混合しておき、前記回転手段を起動することにより前記研磨バイトを回転動作するともに、前記磁場発生源により前記磁気研磨液に時間的に定常的あるいは変動的な磁場を加え、前記攪拌手段を起動することにより前記磁気研磨液をかき混ぜることを特徴とする複雑形状体の鏡面研磨装置。
  4. 前記磁気研磨液は、
    動粘度0.01〜100mm/s程度の水やケロシン等の分散媒中に、粒子径1〜80μmの強磁性粒子を10〜95wt%分散させた流体に対して、粒子径10〜50nmの球形マグネタイト粒子が、電気絶縁性を有する水やケロシン等の分散媒に一様に分散した流体を5〜90wt%混合した複合流体に、粒子径0.01〜100μmの非磁性の砥粒を混合し、さらに増粘剤としてαセルロースなどの繊維状物質あるいはポリビニルアルコール等の樹脂を5〜90wt%混合することを特徴とする請求項3に記載の複雑形状体の鏡面研磨装置。
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