JP2016071916A - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】均一な形状の磁気ディスク用ガラス基板を製造する。
【解決手段】ガラス基板の主表面に対して垂直な側壁面、および、前記主表面と前記側壁面とを接続する介在面を、第1の研磨液を用いて研磨する研磨処理を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。第1の研磨液は、第1の平均粒径を有する第1の砥粒群と、第1の平均粒径よりも大きい第2の平均粒径を有する第2の砥粒群とを含む。あらかじめ、第1の研磨液中に含まれる第1の砥粒群の質量M1に対する第2の砥粒群の質量M2の比M1/M2と、第1の研磨液を用いて端面研磨処理をしたときの側壁面と介在面との接続部の曲率半径との対応関係を求めておき、曲率半径が所望の値となるように第1の研磨液の比M1/M2を調整し、当該調整して得られた第1の研磨液を用いて研磨処理を行う。
【選択図】 図3

Description

本発明は、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法に関する。
今日、パーソナルコンピュータ、DVD(Digital Versatile Disc)記録装置等には、データ記録のためにハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)が内蔵されている。ハードディスク装置では、基板に磁性層が設けられた磁気ディスクが用いられ、磁気ディスクの面上を僅かに浮上させた磁気ヘッドで磁性層に磁気記録情報が記録され、あるいは読み取られる。この磁気ディスクの基板として、金属基板(アルミニウム基板)等に比べて塑性変形し難い性質を持つガラス基板が好適に用いられる。
ハードディスク装置において記憶容量を増大させるために、磁気記録の高密度化が図られている。例えば、磁性層における磁化方向を基板の面に対して垂直方向にする垂直磁気記録方式を用いて、磁気記録情報エリアの微細化が行われている。これにより、1枚のディスク基板における記憶容量を増大させることができる。このようなディスク基板においては、磁気ディスク用ガラス基板の表面凹凸を可能な限り小さくして磁性粒の成長方向を垂直方向に揃え、磁性層の磁化方向を基板面に対して略垂直方向に向かせることが好ましい。
さらに、記憶容量の一層の増大化のために、DFH(Dynamic Flying Height)機構を搭載した磁気ヘッドを用いて磁気記録面からの浮上距離を極めて短くすることにより、磁気ヘッドの記録再生素子と磁気ディスクの磁気記録層との間の磁気的スペーシングを低減して情報の記録再生の精度をより高める(S/N比を向上させる)ことも行われている。この場合においても、磁気ヘッドによる磁気記録情報の読み書きを長期に亘って安定して行うために、磁気ディスクの基板の表面凹凸を可能な限り小さくすることが求められる。
磁気ディスク用ガラス基板の表面凹凸を小さくするために、ガラス基板の研磨処理が行われる。ガラス基板を最終製品とするための精密な研磨に、酸化セリウムやコロイダルシリカ等の微細な研磨砥粒を含む研磨剤を用いる方法がある(例えば、特許文献1参照)。
一方、ガラス基板の主表面に垂直な側壁面、および、主表面と側壁面とを接続する介在面からなる端面においても、微小な傷があると、ガラス基板の割れの原因となる。また、微小な傷に砥粒等の異物が入り込み、入り込んだ異物がその後主表面に付着する等の問題が生じうる。このため、端面の微小な傷を除去するために、酸化セリウム砥粒を用いたブラシ研磨により端面の研磨処理を行うことも知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2010−59310号公報 特開2012−203922号公報
ところで、酸化セリウムを砥粒として用いて円板状のガラス基板の端面の研磨処理を継続して行うと、ガラス基板の側壁面と介在面との接続部の曲率半径が、徐々に変化してくることがわかった。この接続部は、磁性層の成膜時に磁気ディスク用基板を保持する保持具に接触する部分である。接続部の曲率半径が変化すると、保持具と接続部との接触領域が変化することで保持具に堆積していた磁性膜等が剥ぎ落とされ、異物として基板に付着する場合がある。
そこで、本発明は、均一な形状の磁気ディスク用ガラス基板を製造することができる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者が酸化セリウムを砥粒として含む研磨スラリを用いて円板状のガラス基板の研磨処理を継続して行い、研磨スラリ中の砥粒の粒度分布を分析したところ、研磨処理時間が長くなるほど粒径が大きい砥粒の割合が減少することがわかった。また、研磨処理により得られたガラス基板の接続部の曲率半径を計測したところ、長期間の研磨処理に用いられた研磨スラリを用いて研磨処理を行ったガラス基板ほど曲率半径が小さいことがわかった。
そこで、本発明者が検討したところ、研磨スラリ中の砥粒の粒度分布を所定の範囲に保つことで、研磨処理後のガラス基板における接続部の曲率半径を一定の範囲に保つことができることがわかった。
本発明の第一の態様は、ガラス基板の主表面に対して垂直な側壁面、および、前記主表面と前記側壁面とを接続する介在面を、第1の研磨液を供給しながら研磨ブラシを用いて研磨する研磨処理を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
前記第1の研磨液は、
第1の平均粒径を有する第1の砥粒群と、
前記第1の平均粒径よりも大きい第2の平均粒径を有する第2の砥粒群とを含み、
あらかじめ、前記第1の研磨液中に含まれる前記第1の砥粒群の質量M1に対する前記第2の砥粒群の質量M2の比M1/M2と、前記第1の研磨液を用いて前記端面研磨処理をしたときの前記側壁面と前記介在面との接続部の曲率半径との対応関係を求めておき、
前記曲率半径が所望の値となるように前記第1の研磨液の前記比M1/M2を調整し、当該調整して得られた前記第1の研磨液を用いて前記研磨処理を行う。
本発明の第1の態様によれば、曲率半径が所望の値となるように第1の砥粒群の質量M1に対する第2の砥粒群の質量M2の比M1/M2を調整した第1の研磨液を用いて研磨処理を行うことで、側壁面と介在面との接続部の曲率半径を所望の値にすることができる。
前記第1の研磨液を前記研磨処理に用いた後、得られた磁気ディスク用ガラス基板の接続部の曲率半径を計測し、
計測した曲率半径に対応する、第1の砥粒群の質量m1に対する第2の砥粒群の質量m2の比m1/m2を算出し、前記比m1/m2が前記比M1/M2となるように前記端面研磨処理に用いた後の第1の研磨液に追加する前記第1の砥粒群の追加量又は前記第2の砥粒群の追加量を決定し、
決定された追加量の前記第1の砥粒群又は前記第2の砥粒群を前記第1の研磨液に追加することが好ましい。
研磨処理後に得られた磁気ディスク用ガラス基板の接続部の曲率半径を計測し、計測した曲率半径に対応する比m1/m2に基づいて、追加後の前記比M1/M2が所望の値の曲率半径に対応する値となるように、端面研磨処理に用いた後の第1の研磨液に追加する前記第1の砥粒群の追加量又は前記第2の砥粒群の追加量を算出し、算出された追加量の前記第1の砥粒群又は前記第2の砥粒群を前記第1の研磨液に追加することで、追加後の第1の研磨液における前記質量比が所望の曲率半径と対応する値となるように調整することができる。
前記主表面と研磨パッドとの間に第2の研磨液を供給し、前記ガラス基板の主表面を研磨する主表面研磨処理をさらに有し、
前記第2の研磨液は、前記第1の平均粒径を有する第1の砥粒群を含み、
前記主表面研磨処理に用いられた前記第2の研磨液に含まれる砥粒を前記第1の研磨液に追加することで、前記第1の研磨液を調整する、ことが好ましい。
主表面研磨処理に用いる第2の研磨液に含まれる砥粒を第1の研磨液の調整に用いることで、第2の研磨液を再利用することができる。
前記端面研磨処理が所定期間行われる毎に、前記第1の研磨液に前記第2の砥粒群を添加する処理を含み、
前記第2の砥粒群の添加回数が増えるに連れて前記第2の砥粒群の添加量が減少するように前記第2の砥粒群の添加量を調整する、ことが好ましい。
前記第1の砥粒群は、体積分布の粒度分布にて、粒子径が小さい側から砥粒の相対頻度を累積した累積相対頻度が50%となる点の粒子径D50値が0.5μm〜1.5μmであり、
前記第2の砥粒群は、D50値が3μm〜6μmである、ことが好ましい。
前記砥粒は酸化セリウムである、ことが好ましい。
本発明によれば、端面研磨処理後のガラス基板における接続部の曲率半径を所望の値にし、均一な形状の磁気ディスク用ガラス基板を製造することができる。
本実施形態の磁気ディスク用基板の断面図である。 図1のII部の拡大図である。 研磨処理をしたときの側壁面と前記介在面との接続部の曲率半径Rと、研磨処理に用いた研磨液に含まれる第1の砥粒群の質量M1に対する第2の砥粒群の質量M2の比M1/M2との関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について詳細に説明する。なお、本発明は、公称2.5インチサイズ(直径65mm)、板厚0.635mmの磁気ディスク用ガラス基板の製造に好適である。
(磁気ディスク用ガラス基板)
まず、磁気ディスク用ガラス基板について説明する。磁気ディスク用ガラス基板は、円板形状であって、外周と同心の円形の中心孔がくり抜かれたリング状である。磁気ディスク用ガラス基板の両面の円環状領域に磁性層(記録領域)が形成されることで、磁気ディスクが形成される。
磁気ディスク用ガラスブランク(以降、単にガラスブランクという)は、プレス成形により作製される円形状のガラス板であって、中心孔がくり抜かれる前の形態である。ガラスブランクの材料として、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラスなどを用いることができる。特に、化学強化を施すことができ、また主表面の平面度及び基板の強度において優れた磁気ディスク用ガラス基板を作製することができるという点で、アルミノシリケートガラスを好適に用いることができる。
図1は本発明の実施形態に係る基板の断面図であり、図2は図1のII部の拡大図である。
本実施形態の基板1は、主表面10と、外側端面20と、内側端面30とを有する。
外側端面20は、主表面に対して垂直な外側壁面21、および、主表面10と外側壁面21とを接続する介在面22が含まれる。介在面22は、主表面10および外側壁面21に対して傾斜しており、外側壁面21と介在面22とは、所定の曲率半径Rを有する接続部23により接続されている。
内側端面30は、主表面10に対して垂直な内側壁面31、および、主表面10と内側壁面31とを接続する介在面32が含まれる。介在面32は、主表面10および内側壁面31に対して傾斜しており、内側壁面31と介在面32とは、所定の曲率半径Rを有する接続部33により接続されている。
(磁気ディスク用ガラス基板の製造方法)
次に、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を説明する。先ず、一対の主表面を有する板状の磁気ディスク用ガラス基板の素材となるガラスブランクをプレス成形により作製する(プレス成形処理)。次に、作製されたガラスブランクの中心部分に円孔を形成しリング形状(円環状)のガラス基板とする(円孔形成処理)。次に、円孔を形成したガラス基板に対して形状加工を行う(形状加工処理)。これにより、ガラス基板が生成される。次に、形状加工されたガラス基板に対して端面研磨を行う(端面研磨処理)。端面研磨の行われたガラス基板に、平坦度を改善するための精密研削を行う(精密研削処理)。次に、ガラス基板の主表面に第1研磨を行う(第1研磨処理)。次に、ガラス基板に対して化学強化を行う(化学強化処理)。次に、化学強化されたガラス基板に対して第2研磨を行う(第2研磨処理)。以上の処理を経て、磁気ディスク用ガラス基板が得られる。以下、各処理について、詳細に説明する。
(a)プレス成形処理
熔融ガラス流の先端部を切断器により切断し、切断された熔融ガラス塊を一対の金型のプレス成形面の間に挟みこみ、プレスしてガラスブランクを成形する。
(b)円孔形成処理
ガラスブランクに対してドリル等を用いて円孔を形成することにより円形状の孔があいたディスク状のガラス基板を得ることもできる。
(c)形状加工処理
形状加工処理では、円孔形成処理後のガラス基板の端部に対する面取り加工を行う。
(d)端面研磨処理
端面研磨処理では、ガラス基板の外側端面および内側端面に対して、ブラシ研磨により鏡面仕上げを行う。ここで、端面は、ガラス基板の主表面に対して垂直な側壁面、および、前記主表面と前記側壁面とを接続する介在面からなる。
端面研磨処理では、複数のガラス素板を主表面同士の間にスペーサを挟んで積層する。この積層体を回転させながら、ガラス基板の外側端面および内側端面に研磨ブラシを当てて研磨を行う。
端面研磨処理を行うことにより、ガラス基板の端面に付着した塵等の異物や、傷等の損傷の除去を行うことができる。
端面研磨処理の際、酸化セリウム等の微粒子を遊離砥粒として含む第1の研磨液が研磨ブラシに供給される。第1の研磨液については、後述する。
(e)精密研削処理
精密研削処理では、遊星歯車機構を備えた両面研削装置を用いて、ガラス基板の主表面に対して研削加工を行う。具体的には、ガラスブランクから生成されたガラス基板の外周側端面を、両面研削装置の保持部材に設けられた保持孔内に保持しながらガラス基板の両側の主表面の研削を行う。両面研削装置は、上下一対の定盤(上定盤および下定盤)を有しており、上定盤および下定盤の間にガラス基板が狭持される。そして、上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動操作させ、ガラス基板と各定盤とを相対的に移動させることにより、ガラス基板の両主表面を研削することができる。
(f)第1研磨処理
第1研磨処理は、主表面研磨処理であり、例えば固定砥粒による研削を行った場合に主表面に残留したキズや歪みの除去、あるいは微小な表面凹凸(マイクロウェービネス、粗さ)の調整を目的とする。具体的には、両面研磨装置の研磨用キャリアに設けられた保持孔内にガラス基板の外周側端面を保持しながら、ガラス基板の両側の主表面の研磨が行われる。
第1研磨処理では、固定砥粒による研削処理に用いる両面研削装置と同様の構成を備えた両面研磨装置を用いて、両面研磨装置に第2の研磨液を供給しながらガラス基板の主表面を研磨する。第1研磨処理には、酸化セリウム等の微粒子を遊離砥粒として含む第2の研磨液が用いられる。
両面研磨装置は、両面研削装置と同様に、上下一対の定盤(上定盤および下定盤)を有しており、上定盤および下定盤の間にガラス基板が狭持される。下定盤の上面及び上定盤の底面には、全体として円環形状の平板の研磨パッド(例えば、樹脂ポリッシャ)が取り付けられている。上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動操作させることで、ガラス基板と各定盤とを相対的に移動させることにより、ガラス基板の両主表面が研磨される。
(g)化学強化処理
化学強化処理では、ガラス基板を化学強化液中に浸漬することで、ガラス基板を化学強化する。化学強化液として、例えば硝酸カリウムと硫酸ナトリウムの混合熔融液等を用いることができる。
(h)第2研磨(最終研磨)処理
第2研磨処理は、主表面の鏡面研磨を目的とする。第2研磨においても、第1研磨に用いる両面研磨装置と同様の構成を有する両面研磨装置が用いられる。具体的には、ガラス基板の外周側端面を、両面研磨装置の研磨用キャリアに設けられた保持孔内に保持しながらガラス基板の両側の主表面の研磨が行われる。第2研磨による取り代は、例えば1〜10nm程度である。第2研磨処理が第1研磨処理と異なる点は、遊離砥粒の種類及び粒子サイズが異なることと、樹脂ポリッシャの硬度が異なることである。具体的には、粒径5〜100nm程度のコロイダルシリカを遊離砥粒として含む研磨液が両面研磨装置の研磨パッドとガラス基板の主表面との間に供給され、ガラス基板の主表面が研磨される。研磨されたガラス基板を中性洗剤、純水、イソプロピルアルコール等を用いて洗浄することで、磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
第2研磨処理を実施することで、主表面の粗さ(Ra)を0.1nm以下かつ主表面のマイクロウェービネスを0.1nm以下とすることができる。このようにして、第2研磨の施されたガラス基板は、適宜洗浄・乾燥されて磁気ディスク用ガラス基板となる。
次に、端面研磨処理に用いる第1の研磨液、および、第1研磨処理に用いる第2の研磨液に付いて説明する。
第1の研磨液は、第1の平均粒径を有する第1の砥粒群と、第1の平均粒径よりも大きい第2の平均粒径を有する第2の砥粒群とを含む。
一方、第2の研磨液は、第1の平均粒径を有する第1の砥粒群を含む。
第1の砥粒群は、例えば体積分布の粒度分布にて、粒子径が小さい側から砥粒の相対頻度を累積した累積相対頻度が50%となる点の粒子径D50値が0.5μm〜1.5μmである。
また、第2の砥粒群は、例えばD50値が3μm〜6μmである。
第1の砥粒群、第2の砥粒群として、例えば、酸化セリウム砥粒、水酸化セリウム砥粒、を用いることができる。特に、研磨レートを良好にするために、酸化セリウム砥粒を用いることが好ましい。
本実施形態においては、あらかじめ、第1の研磨液中に含まれる第1の砥粒群の質量M1に対する第2の砥粒群の質量M2の比M1/M2と、第一の研磨液を用いて端面研磨処理をしたときの側壁面と介在面との接続部の曲率半径との対応関係を求めておき、曲率半径が所望の値となるように第1の研磨液の比M1/M2を調整し、当該調整して得られた第1の研磨液を用いて端面研磨処理を行う。
なお、砥粒全体の平均粒径が大きいほど、接続部23の曲率半径が大きくなることが分かっている。すなわち、比M1/M2が小さいほど、曲率半径Rが大きくなることが分かっている。このため、本実施形態においては、所望の値の曲率半径Rと対応するように比M1/M2を調整した第1の研磨液を用いて端面研磨処理を行うことで、接続部の曲率半径を所望の値にすることができる。
ここで、比M1/M2と曲率半径Rとの関係を図3に示す。第1の砥粒群のみを用いて端面研磨処理を行ったときの曲率半径をR1、第2の砥粒群のみを用いて端面研磨処理を行ったときの曲率半径をR2(R1<R2)とすると、比M1/M2を変化させたときの曲率半径RはR1とR2の間で変動し、M1の割合が大きくなるほど(M1/M2が大きくなるほど)RはR2からR1に近づく。すなわち、図3における直線R=R1は、RとM1/M2の関数のグラフの漸近線である。一方、M1/M2=0(M1=0)のときR=R2である。
第1の研磨液を用いて継続して端面研磨処理を行うと、第1の砥粒群の質量と第2の砥粒群の質量との比が変化する。この変化の理由として、小さい粒径の砥粒が凝集して大きい粒径の砥粒となることや、大きい粒径の砥粒が砕けて小さい粒径の砥粒となることが考えられる。いずれの場合も、第1の砥粒群の質量の変化量と第2の砥粒群の質量の変化量とは、その絶対値が等しく符号が異なると考えられる。
この場合、上記の曲率半径Rと比M1/M2との関係を用いて、端面研磨処理後の接続部の曲率半径が所望の値となるように第1の研磨液を調整することができる。
例えば、継続して端面研磨処理を行った後のある時点の第1の研磨液に含まれる第1の砥粒群の質量をm1、第2の砥粒群の質量をm2とすると、この時点の第1の研磨液を用いて端面研磨処理を行って得られた磁気ディスク用ガラス基板の接続部の曲率半径rを計測することで、比m1/m2を算出することができる。継続して端面研磨処理を行ったことによる第2の砥粒群の質量の変化量と第1の砥粒群の質量の変化量の絶対値が等しく符号が異なるとすると、m1+m2の初期値がわかれば、m1およびm2を求めることができる。
その後、求めたm1、m2を用いて、端面研磨処理後の接続部の曲率半径が所望の値となるように第1の研磨液を調整することができる。
例えば、所望の曲率半径Rに対応する比がM1/M2であれば、第1の研磨液に第1の砥粒群を追加する場合、その追加量をΔm1とすれば、
(m1+Δm1)/m2=M1/M2
を満たすΔm1を決定することができる。
同様に、第1の研磨液に第2の砥粒群を追加する場合、その追加量をΔm2とすれば、
m1/(m2+Δm2)=M1/M2
を満たすΔm2を決定することができる。
決定した追加量の第1の砥粒群又は第2の砥粒群を第1の研磨液に追加することで、その後の端面研磨処理において、接続部の曲率半径が所望の値となる基板を得ることができる。
なお、第1研磨処理に用いる第2の研磨液に含まれる砥粒として、第1の砥粒群と同一種類かつ同一の粒度分布を有する砥粒を用いることができる。この場合において、第1の研磨液の調整に用いる第1砥粒群として、第1研磨処理に用いられた第2の研磨液に含まれる砥粒を用いてもよい。端面研磨処理において研磨するガラス基板の外側端面および内側端面には、主表面ほどの精密は要求されないため、主表面研磨処理に用いた研磨液を端面研磨処理に再利用しても、問題はない。第1研磨処理に用いられた第2の研磨液を第1の研磨液の調整に用いることで、第2の研磨液を再利用し、研磨液の廃棄量を低減することができる。
なお、第2の砥粒群を第1の研磨液に添加する処理を行う場合、この処理は、第1の研磨液を用いた研磨処理が所定期間行われる毎に行うことが好ましい。この場合において、第2の砥粒群の添加回数が増えるに連れて第2の砥粒群の添加量が減少するように添加することが好ましい。第2の砥粒群の砥粒の質量が徐々に減少するような条件で研磨処理を行いながら第2の砥粒群の添加を繰り返すと、第1の砥粒群よりも粒径が大きく第2の砥粒群よりも粒径が小さい粒径の砥粒の割合が増加し、粒度分布のばらつきが大きくなってしまうためである。第2の砥粒群の添加回数の増加に伴い第2の砥粒群の添加量を減少させることで、第1の研磨液を好適に調整することができる。
以上、本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例について説明する。
D50値が1μmの酸化セリウムの遊離砥粒を第1の遊離砥粒群とした。添加する質量をM1とする。
D50値が4μmの粒度分布を有する酸化セリウムの遊離砥粒を第2の遊離砥粒群とした。添加する質量をM2とする。
初期の質量比をM1:M2=4:1として、10wt%の酸化セリウムの研磨液を用意した。50枚(1バッチ)のガラス基板をスペーサを挟んで重ね、ガラス基板の外周端部に対して研磨ブラシを用いて端面研磨処理を行なった。1バッチ目の研磨処理後の外周端部の接続部の曲率半径を計測したところ、曲率半径の平均値は400μmであった。
上記の第1の研磨液を循環させながら、ガラス基板の端面研磨処理を100バッチ行った。ガラス基板は毎回新しいものに交換した。100バッチ目のガラス基板の接続部の曲率半径を計測したところ、曲率半径は200μmに低下した。あらかじめ求めておいた、第1の砥粒群の質量M1に対する第2の砥粒群の質量M2の比M1/M2と曲率半径Rとの対応関係から、100バッチ分の端面研磨処理の終了後における第1の遊離砥粒群の質量(m1)と第2の遊離砥粒群の質量(m2)との質量比(m1/m2)は2と算出した。
次に、第1の研磨液に第2の砥粒群を適宜追加し、攪拌することで、質量比を4に調整した。調整後の第1の研磨液を用いてガラス基板の端面研磨処理を1バッチ行い、処理後のガラス基板の接続部の曲率半径を計測したところ、曲率半径は400μmに戻った。
このように、本実施形態によれば、継続して端面研磨処理を行うことで研磨液に含まれる砥粒の粒度分布が変化した場合でも、研磨液の粒度分布を調整し、端面研磨処理後のガラス基板における接続部の曲率半径を所望の値にすることができる。
1 ガラス基板
10 主表面
20 外側端面
21 外側壁面
22 介在面
23 接続部
30 内側端面
31 内側壁面
32 介在面
33 接続部

Claims (6)

  1. ガラス基板の主表面に対して垂直な側壁面、および、前記主表面と前記側壁面とを接続する介在面からなる端面を、第1の研磨液を供給しながら研磨ブラシを用いて研磨する端面研磨処理を有する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
    前記第1の研磨液は、
    第1の平均粒径を有する第1の砥粒群と、
    前記第1の平均粒径よりも大きい第2の平均粒径を有する第2の砥粒群とを含み、
    あらかじめ、前記第1の研磨液中に含まれる前記第1の砥粒群の質量M1に対する前記第2の砥粒群の質量M2の比M1/M2と、前記第1の研磨液を用いて端面研磨処理をしたときの前記側壁面と前記介在面との接続部の曲率半径との対応関係を求めておき、
    前記曲率半径が所望の値となるように前記第1の研磨液の前記比M1/M2を調整し、
    当該調整して得られた前記第1の研磨液を用いて前記端面研磨処理を行う、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記第1の研磨液を前記端面研磨処理に用いた後、得られた磁気ディスク用ガラス基板の接続部の曲率半径を計測し、
    計測した曲率半径に対応する、第1の砥粒群の質量m1に対する第2の砥粒群の質量m2の比m1/m2を算出し、
    前記比m1/m2が前記比M1/M2となるように前記端面研磨処理に用いた後の第1の研磨液に追加する前記第1の砥粒群の追加量又は前記第2の砥粒群の追加量を決定し、
    決定された追加量の前記第1の砥粒群又は前記第2の砥粒群を前記第1の研磨液に追加する、請求項1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記主表面と研磨パッドとの間に第2の研磨液を供給し、前記ガラス基板の主表面を研磨する主表面研磨処理をさらに有し、
    前記第2の研磨液は、前記第1の平均粒径を有する第1の砥粒群を含み、
    前記主表面研磨処理に用いられた前記第2の研磨液に含まれる砥粒を前記第1の研磨液に追加することで、前記第1の研磨液を調整する、請求項1又は2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記端面研磨処理が所定期間行われる毎に、前記第1の研磨液に前記第2の砥粒群を添加する処理を含み、
    前記第2の砥粒群を添加する処理の回数が増えるに連れて前記第2の砥粒群の添加量が減少するように前記第2の砥粒群の添加量を調整する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  5. 前記第1の砥粒群は、体積分布の粒度分布にて、粒子径が小さい側から砥粒の相対頻度を累積した累積相対頻度が50%となる点の粒子径D50値が0.5μm〜1.5μmであり、
    前記第2の砥粒群は、D50値が3μm〜6μmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  6. 前記砥粒は酸化セリウムである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
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