JP2012024863A - 研削パッド、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】研削パッド10が上定盤50及び下定盤60に貼付される。被研削物としてのガラス基板Gが上定盤50及び下定盤60で狭持され、ガラス基板Gと上定盤50及び下定盤60とを相対的に移動させることでガラス基板Gが研削パッド10により研削加工される。研削パッド10は、円環形状の平板の樹脂成形部と、実質的に中心から前記円環形状の外縁に向かって延びる樹脂成形部の溝部に配置されている砥石と、を備える。
【選択図】図1
Description
磁気ディスクを組み込んだHDDは、中央部分をスピンドルモーターのスピンドルで押さえて磁気ディスクそのものを回転させる構造となっている。そのため、磁気ディスク用ガラス基板とスピンドル部分を構成するスピンドル材料の各々の熱膨張係数に大きな差があると、使用時に周囲の温度変化に対してスピンドルの熱膨張・熱収縮と磁気ディスク用ガラス基板の熱膨張・熱収縮にずれが生じてしまい、結果として磁気ディスクが変形してしまう現象が起きる。このような現象が生じると書き込んだ情報をヘッドが読み出せなくなってしまい、記録再生の信頼性を損なう原因となる。したがって磁気ディスクの信頼性を高めるには、ガラス基板には、スピンドル材料(例えばステンレスなど)と同程度の高い熱膨張係数を有することが求められる。
そこで、本発明は、ガラス基板を研削するときにガラス基板の切屑に起因する研削レートの低下を抑制するようにした研削パッド、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
この研削パッドは、
研削パッドの研削面に設けられ、ウレタン系、ポリビニルアルコール系、またはエポキシ系樹脂により成形される円環形状の平板の樹脂成形部であって、実質的に中心から前記円環形状の外縁に向かって延びる溝部が形成されている樹脂成形部と、
樹脂成形部の溝部に配置されている砥石と、
を備える。
この磁気ディスク用ガラス基板は、モル%表示にて、
SiO2を50〜75%、
Al2O3を0〜5%、
BaOを0〜2%、
Li2Oを0〜3%、
ZnOを0〜5%、
Na2OおよびK2Oを合計で3〜15%、
MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で14〜35%、
ZrO2、TiO2、La2O3、Y2O3、Yb2O3、Ta2O5、Nb2O5およびHfO2を合計で2〜9%、含み、
モル比[(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)]が0.85〜1の範囲であり、かつモル比[Al2O3/(MgO+CaO)]が0〜0.30の範囲であるガラスからなる。
本実施形態における磁気ディスク用ガラス基板の材料として、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラスなどを用いることができる。特に、化学強化を施すことができ、また主表面の平坦度及び基板の強度において優れた磁気ディスク用ガラス基板を作製することができるという点で、アルミノシリケートガラスを好適に用いることができる。
SiO2を50〜75%、
Al2O3を0〜5%、
BaOを0〜2%、
Li2Oを0〜3%、
ZnOを0〜5%、
Na2OおよびK2Oを合計で3〜15%、
MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で14〜35%、
ZrO2、TiO2、La2O3、Y2O3、Yb2O3、Ta2O5、Nb2O5およびHfO2を合計で2〜9%、含み、
モル比[(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)]が0.85〜1の範囲であり、かつモル比[Al2O3/(MgO+CaO)]が0〜0.30の範囲であるガラスである。
以下の説明では、このガラスの組成を「組成A」と表記する。
1.熱膨張係数
磁気ディスクを構成するガラスとHDDのスピンドル材料(例えば、ステンレスなど)の熱膨張係数の差が大きいと、HDDの動作時における温度変化によって磁気ディスクが変形し、記録再生トラブルが起こるなど信頼性が低下することになってしまう。特に、高Ku磁性材料からなる磁気記録層を有する磁気ディスクは、記録密度が極めて高いため、磁気ディスクの僅かな変形によっても前記トラブルが起こりやすくなる。一般にHDDのスピンドル材料は、100〜300℃の温度範囲において70×10-7/℃以上の平均線膨張係数(熱膨張係数)を有するものであるところ、上述した組成Aを有する磁気ディスク基板用ガラスによれば、100〜300℃の温度範囲における平均線膨張係数を70×10-7/℃以上にすることができ、上記信頼性を向上することができ、高Ku磁性材料からなる磁気記録層を有する磁気ディスクに好適な基板を提供することができる。前記平均線膨張係数の好ましい範囲は72×10-7/℃以上、より好ましい範囲は74×10-7/℃以上、さらに好ましい範囲は75×10-7/℃以上、一層好ましい範囲は77×10-7/℃以上、より一層好ましい範囲は78×10-7/℃以上、さらに一層好ましい範囲は79×10-7/℃以上である。前記平均線膨張係数の上限は、スピンドル材料の熱膨張特性を考慮すると、例えば88×10-7/℃程度であることが好ましい。
前述のとおり、高Ku磁性材料の導入などによって磁気ディスクの高記録密度化を図る場合、磁性材料の高温処理などにおいて、磁気ディスク用ガラス基板は高温下に晒されることになる。その際、基板の極めて高い平坦性が損なわれないようにするため、磁気ディスク基板用ガラスには優れた耐熱性を有することが求められる。耐熱性の指標としてはガラス転移温度を用いることができ、上述した組成Aを有する磁気ディスク基板用ガラスによれば、ガラス転移温度を630℃以上にすることができ、高温処理後にも優れた平坦性を維持することができる。したがって、上述した組成Aを有するガラスによれば、高Ku磁性材料を備えた磁気ディスクの作製に好適な基板を提供することができる。
ガラス転移温度の好ましい範囲は640℃以上、より好ましい範囲は650℃以上、さらに好ましい範囲は655℃以上、一層好ましい範囲は660℃以上、より一層好ましい範囲は670℃以上、さらに一層好ましい範囲は675℃以上、なお一層好ましい範囲は680℃以上である。ガラス転移温度の上限は、例えば750℃程度であるが特に限定されるものではない。
磁気ディスクの変形としては、HDDの温度変化による変形の他、高速回転による変形がある。高速回転時の変形を抑制する上からは、磁気ディスク基板用ガラスのヤング率を高めることが望まれる。上述した組成Aの磁気ディスク基板用ガラスによれば、ヤング率を80GPa以上にすることができ、高速回転時の基板変形を抑制し、高Ku磁性材料を備えた高記録密度化された磁気ディスクにおいても、データの読み取り、書き込みを正確に行うことができる。
ヤング率の好ましい範囲は81GPa以上、より好ましい範囲は82GPa以上である。ヤング率の上限は、例えば95GPa程度であるが特に限定されるものではない。
以下、本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について、工程順に説明する。
本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては先ず、円板状の磁気ディスク用ガラス基板(以下、「板状ガラス素材」という。)を形成する。この板状ガラス素材は、例えば前述した組成Aを有することが好ましく、溶融させたガラス母材などから、プレス成形などにより形成する。なお、板状ガラス素材は、プレス成形に限らず、フロート法、ダウンドロー法、リドロー法、フュージョン法などの公知の製造方法を用いて製造することができる。
次に、板状ガラス素材の両主表面に対して、アルミナ系遊離砥粒を用いたラッピング加工を行う。具体的には、板状ガラス素材の両面に上下からラップ定盤を押圧させ、遊離砥粒を含む研削液(スラリー)を板状ガラス素材の主表面上に供給し、これらを相対的に移動させてラッピング加工を行う。
コアリング工程においては、例えば、円筒状のダイヤモンドドリルを用いて、このガラス基板の中心部に内孔を形成し、円環状のガラス基板とする。チャンファリング工程においては、内周端面及び外周端面をダイヤモンド砥石によって研削し、所定の面取り加工を施す。
固定砥粒による研削工程では、両面研削装置を用いて板状ガラス素材の主表面に対して研削加工を行う。研削による取り代は、例えば数μm〜100μm程度である。
下定盤60は、中心部に設けられる太陽歯車61と、外縁に設けられた内歯車62と、板状ガラス素材Gを1または複数個保持する円板状のキャリア30と、研削パッド10とを有している。太陽歯車61は、下定盤60の中心軸の回りを回転可能に取り付けられている。キャリア30は、外周部に設けられて太陽歯車61及び内歯車62に噛合する歯部31と、板状ガラス素材Gを収容し保持するための1または複数の孔部31とを有する。研削パッド10は、図1に示すように、全体として円環形状の平板のパッドであって、下定盤60の底部に取り付けられている。下定盤60では、キャリア30が遊星歯車として自転しながら公転し、板状ガラス素材Gと下定盤60とが相対的に移動させられる。例えば、太陽歯車61がCCW(反時計回り)の方向に回転すれば、キャリア30はCW(時計回り)の方向に回転し、内歯車62はCCWの方向に回転する。その結果、研削パッド10と板状ガラス素材Gの間に相対運動が生じ、板状ガラス素材Gの下定盤60側の主表面を研削することができる。
また、この両面研削装置では、板状ガラス素材Gに対する所望の研削負荷を設定する目的で、板状ガラス素材Gに与えられる上定盤50の荷重が調整されることが好ましい。
図2に示すように、研削パッド10は、定盤に取り付けられた状態において太陽歯車61などの他の構成部品と干渉しないように中央に孔部が設けられた、円環形状の平板のパッドである。図2に示すように、研削パッド10は平面視では、研削パッド10の研削面に設けられ、全体として円環形状の平板の樹脂成形部100を含む。この樹脂成形部100には、実質的に中心から前記円環形状の外縁に向かって(図2では放射状に)延びる溝部が形成されており、その溝部に砥石101が設置されている。図3に示すように、樹脂成形部100と砥石101の厚さは実質的に同一である。なお、研削パッド10では、砥石101が研削加工機能を備え、樹脂成形部100は研削加工機能を備えていない。
なお、樹脂成形部100と砥石101は、側面(研削面または非研削面と垂直な面)においては必ずしも互いに接着されていなくてもよい。
砥石101は、例えば、砥粒としてダイヤモンド、結合材として青銅または鋳鉄を含むメタルボンド砥石である。なお、砥石101は、メタルボンド砥石に限らず、樹脂を基礎とした結合材を含むレジンボンド砥石、セラミックス質(ガラス質)の結合材を含むビドリファイドボンド砥石、電解めっきを利用した電着ボンド砥石でもよい。
具体的な材料の観点から言えば、以下のとおりである。すなわち、樹脂成形部100として使用されうる材料であるウレタン系、ポリビニルアルコール系、またはエポキシ系樹脂の中で、ウレタン系樹脂はヤング率が概して低く、樹脂成形部100の材料として、より好ましい。また、砥石101として使用されうるメタルボンド砥石、レジンボンド砥石、ビドリファイドボンド砥石、電着ボンド砥石の中で、メタルボンド砥石は、概して硬度が高くヤング率が極めて高いため、より好ましい。
また、図4を参照して、下定盤60に配置された研削パッド10により板状ガラス素材Gを研削加工するときの作用原理についてのみ説明するが、上定盤50に配置された研削パッド10により板状ガラス素材Gを研削加工するときの作用原理についても同様である。
(a1)切屑が定盤の広範囲に亘って堆積することによる影響を回避するため、研削機能を備えた砥石を定盤上に局所的に配置し、砥石101と板状ガラス素材Gの間の相対運動による砥石101の運動転写性によって研削加工を行う。
(a2)研削によって生ずる板状ガラス素材Gの切屑を砥石101から除去し樹脂成形部100に堆積させることで、砥石101の砥粒の切れ刃の突出量を切屑によって低下させないようにする。
(a3)好ましくは、砥石101と樹脂成形部100との間のヤング率の差を大きく設定し、研削加工時に樹脂成形部100の研削面を相対的に低下させる(沈み込ませる)ことで、切屑の堆積に起因した、砥粒と板状ガラス素材Gの間に掛かる負荷の低下を抑制する。
研削パッド10では、図2に示したように、研削機能を備えた砥石101が定盤上に局所的に配置される。より具体的には、砥石101は、実質的に中心から前記円環形状の外縁に向かって(図2では放射状に)延びており、これによって、遊星歯車機構によって自転および公転するキャリア30に保持される板状ガラス素材Gは、細長い砥石101の長手方向と概ね直交する方向の相対運動により好適に研削加工されることになる。かかる研削パッド10における砥石101の配置によって、図4(a)に示すように砥石101の長手方向から見ると、板状ガラス素材Gの運動方向を基準として砥石101の前後の樹脂成形部100(図4(a)の砥石101の周縁E1、E2)に板状ガラス素材Gの切屑が堆積するようになる。発明者による確認結果によれば、樹脂成形部100の回転方向の逃げ側の周縁(図4(a)の砥石101の周縁E1)に特に目詰まり状態が観測された。
次に、板状ガラス素材Gの端面研磨が行われる。
端面研磨では、板状ガラス素材Gの内周側端面及び外周側端面をブラシ研磨により鏡面仕上げを行う。このとき、酸化セリウム等の微粒子を遊離砥粒として含むスラリーが用いられる。端面研磨を行うことにより、板状ガラス素材Gの端面での塵等が付着した汚染、ダメージあるいはキズ等の損傷の除去を行うことにより、サーマルアスペリティの発生の防止や、ナトリウムやカリウム等のコロージョンの原因となるイオン析出の発生を防止することができる。
次に、研削された板状ガラス素材Gの主表面に第1研磨が施される。第1研磨による取り代は、例えば数μm〜50μm程度である。第1研磨は、固定砥粒による研削により主表面に残留したキズ、歪みの除去を目的とする。第1研磨では例えば、固定砥粒による研削工程で用いた両面研削装置(図1参照)を用いる。このとき、固定砥粒による研削と異なる点は、研削パッド10の代わりにスラリーに混濁した遊離砥粒を用いることと、樹脂ポリッシャを用いることである。
第1研磨に用いる遊離砥粒として、例えば、スラリーに混濁させた酸化セリウム等の微粒子(粒子サイズ:直径1〜2μm程度)が用いられる。
次に、第1研磨後の板状ガラス素材Gは化学強化される。
化学強化液として、例えば硝酸カリウム(60重量%)と硫酸ナトリウム(40重量%)の混合液等を用いることができる。化学強化では、化学強化液が、例えば300℃〜400℃に加熱され、洗浄した板状ガラス素材Gが、例えば200℃〜300℃に予熱された後、板状ガラス素材Gが化学強化液中に、例えば3時間〜4時間浸漬される。この浸漬の際には、板状ガラス素材Gの両主表面全体が化学強化されるように、複数の板状ガラス素材Gが端面で保持されるように、ホルダに収納した状態で行うことが好ましい。
このように、板状ガラス素材Gを化学強化液に浸漬することによって、板状ガラス素材Gの表層のリチウムイオン及びナトリウムイオンが、化学強化液中のイオン半径が相対的に大きいナトリウムイオン及びカリウムイオンにそれぞれ置換され、板状ガラス素材Gが強化される。なお、化学強化処理された板状ガラス素材Gは洗浄される。例えば、硫酸で洗浄された後に、純水、IPA(イソプロピルアルコール)等で洗浄される。
次に、化学強化されて十分に洗浄された板状ガラス素材Gに第2研磨が施される。第2研磨による取り代は、例えば1μm程度である。第2研磨は、主表面の鏡面研磨を目的とする。第2研磨では例えば、固定砥粒による研削および第1研磨で用いた両面研削装置(図1参照)を用いる。このとき、第1研磨と異なる点は、遊離砥粒の種類及び粒子サイズが異なることと、樹脂ポリッシャの硬度が異なることである。
第2研磨に用いる遊離砥粒として、例えば、スラリーに混濁させたコロイダルシリカ等の微粒子(粒子サイズ:直径0.1μm程度)が用いられる。
研磨された板状ガラス素材Gは、中性洗剤、純水、IPA等を用いて洗浄されて、磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
磁気ディスクは、磁気ディスク用ガラス基板(以下、基板)を用いて以下のようにして得られる。
磁気ディスクは、例えば基板の主表面上に、主表面に近いほうから順に、少なくとも付着層、下地層、磁性層(磁気記録層)、保護層、潤滑層が積層された構成になっている。
例えば基板を真空引きを行った成膜装置内に導入し、DCマグネトロンスパッタリング法にてAr雰囲気中で、基板主表面上に付着層から磁性層まで順次成膜する。付着層としては例えばCrTi、下地層としては例えばCrRuを用いることができる。上記成膜後、例えばCVD法によりC2H4を用いて保護層を成膜し、同一チャンバ内で、表面に窒素を導入する窒化処理を行うことにより、磁気記録媒体を形成することができる。その後、例えばPFPE(ポリフルオロポリエーテル)をディップコート法により保護層上に塗布することにより、潤滑層を形成することができる。
以下に、本発明を実施例によりさらに説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
以下の組成のガラスが得られるように酸化物、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物などの原料を秤量し、混合して調合原料とした。この原料を熔融容器に投入して1400〜1600℃の範囲で6時間、加熱、熔融し、清澄、攪拌して泡、未熔解物を含まない均質な熔融ガラスを作製した。得られたガラス中には泡や未熔解物、結晶の析出、熔融容器を構成する耐火物や白金の混入物は認められなかった。
[ガラスの組成]
SiO2を50〜75%、
Al2O3を0〜5%、
BaOを0〜2%、
Li2Oを0〜3%、
ZnOを0〜5%、
Na2OおよびK2Oを合計で3〜15%、
MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で14〜35%、
ZrO2、TiO2、La2O3、Y2O3、Yb2O3、Ta2O5、Nb2O5およびHfO2を合計で2〜9%、含み、
モル比[(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)]が0.85〜1の範囲であり、かつモル比[Al2O3/(MgO+CaO)]が0〜0.30の範囲であるガラスである。
次に、下記方法M1またはM2により、円盤状の板状ガラス素材を作製した。
(方法M1)
清澄、均質化した上記熔融ガラスをパイプから一定流量で流出するとともにプレス成形用の下型で受け、下型上に所定量の熔融ガラス塊が得られるよう流出した熔融ガラスを切断刃で切断した。そして熔融ガラス塊を載せた下型をパイプ下方から直ちに搬出し、下型と対向する上型および胴型を用いて、直径66mm、厚さ1.2mmの薄肉円盤状にプレス成形した。プレス成形品を変形しない温度にまで冷却した後、型から取り出してアニールする。その後、ラッピング加工、スクライブ、チャンファリングによる加工を行って板状ガラス素材を得た。なお、ラッピング加工では、図1に示したような遊星歯車機構を用い、遊離砥粒としてアルミナ砥粒(粒径:30μm〜40μm)を用いた。
(方法M2)
清澄、均質化した上記熔融ガラスを円筒状の貫通孔が設けられた耐熱性鋳型の貫通孔に上部から連続的に鋳込み、円柱状に成形して貫通孔の下側から取り出した。取り出したガラスをアニールした後、マルチワイヤーソーを用いて円柱軸に垂直な方向に一定間隔でガラスをスライス加工する。その後、ラッピング加工、スクライブ、チャンファリングによる加工を行って板状ガラス素材を得た。なお、ラッピング加工では、図1に示したような遊星歯車機構を用い、遊離砥粒としてアルミナ砥粒(粒径:30μm〜40μm)を用いた。
得られた板状ガラス素材に対して、図1に示した両面研削装置を用いた研削加工を行い、研削性の評価を行った。このとき、両面研削装置の太陽歯車の回転数を10rpm、内歯車の回転数を35rpmとした。後述する比較例および実施例に基づく研削性の評価は、初期の研削レートを基準としたときの10分後の研削レートの低下率とした。
[研削パッドの樹脂成形部]
発泡性ウレタン樹脂、発泡性ポリビニルアルコール樹脂、または発泡性エポキシ系樹脂をベースとして成形し、アルミナに含浸させて作製した。外径はφ300mm、内径はφ140mm、とした。放射状に均等に12分割するようにして、砥石を収容するための溝切り加工(幅2mm)を行った。樹脂成形部の高さは4mmとした。
[研削パッドの砥石]
砥粒として粒度#1500〜3000(粒径4〜15μm)のダイヤモンド砥粒を用いて、結合方法の違いにより、メタルボンド砥石(結合材:青銅または鋳鉄)、レジンボンド砥石(結合材:フェノール系樹脂またはポリイミド系樹脂)、ビドリファイドボンド砥石、電着ボンド砥石、を作製した。樹脂成形部の溝部形状に合わせて、砥石の厚さは2mm、高さは4mmとした。
研削パッドとして使用される樹脂成形部および砥石のヤング率を曲げ強度試験の方法で測定した結果、以下のとおりであった。
・発泡性ウレタン樹脂製の樹脂成形部:1〜2MPa
・発泡性ポリビニルアルコール樹脂製の樹脂成形部:1〜2MPa
・発泡性エポキシ系樹脂製の樹脂成形部:8〜10MPa
・メタルボンド砥石(結合材:青銅):300〜450MPa
・メタルボンド砥石(結合材:鋳鉄):400〜500MPa
・レジンボンド砥石(結合材:フェノール系樹脂):10〜20MPa
・レジンボンド砥石(結合材:ポリイミド系樹脂):20〜40MPa
・ビドリファイドボンド砥石:200〜300MPa
・電着ボンド砥石:500〜600MPa(金属ベース部)
100…樹脂成形部
101…砥石
102…基材
30…キャリア
31…歯部
32…孔部
50…上定盤
60…下定盤
61…太陽歯車
62…内歯車
Claims (6)
- 上定盤及び下定盤に貼付されるとともに被研削物としてのガラス基板を上定盤及び下定盤で狭持し、前記ガラス基板と前記上定盤及び前記下定盤とを相対的に移動させることで前記ガラス基板を研削するための研削パッドであって、
前記研削パッドの研削面に設けられ、ウレタン系、ポリビニルアルコール系、又はエポキシ系樹脂により成形される円環形状の平板の樹脂成形部であって、実質的に中心から前記円環形状の外縁に向かって延びる溝部が形成されている樹脂成形部と、
前記樹脂成形部の前記溝部に配置されている砥石と、
を備えた、研削パッド。 - 前記研削パッドの非研削面に配置される基材をさらに備え、
前記樹脂成形部および砥石が前記基材にそれぞれ接着されていることを特徴とする、
請求項1に記載された研削パッド。 - 前記樹脂成形部のヤング率は1〜10MPaの範囲であり、前記砥石のヤング率は300〜500MPaの範囲であることを特徴とする、
請求項1又は2に記載された研削パッド。 - 前記樹脂成形部は、発泡性ウレタン樹脂を用いてなることを特徴とする、
請求項1〜3のいずれかに記載された研削パッド。 - 前記砥石は、砥粒としてダイヤモンド、結合材として青銅又は鋳鉄を含むメタルボンド砥石であることを特徴とする、
請求項1〜4のいずれかに記載された研削パッド。 - 請求項1〜5のいずれかの研削パッドを用いてガラス基板の主表面を研削する工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
前記磁気ディスク用ガラス基板は、モル%表示にて、
SiO2を50〜75%、
Al2O3を0〜5%、
BaOを0〜2%、
Li2Oを0〜3%、
ZnOを0〜5%、
Na2OおよびK2Oを合計で3〜15%、
MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で14〜35%、
ZrO2、TiO2、La2O3、Y2O3、Yb2O3、Ta2O5、Nb2O5およびHfO2を合計で2〜9%、含み、
モル比[(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)]が0.85〜1の範囲であり、かつモル比[Al2O3/(MgO+CaO)]が0〜0.30の範囲であるガラスからなることを特徴とする、
磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
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