JPWO2015046528A1 - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法、並びに研削工具 - Google Patents
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Abstract
Description
上記特許文献2等に開示されているような固定砥粒による研削加工を行った場合、加工後の平坦度不良の発生率が高くなることがある。本発明者はその原因についても検討したところ、研削ムラ、つまり部分的な研削不良(ガラス基板表面の一部のみが研削されて残りは研削されていない状態)が発生していることを突き止めた。特に、フロート法等により作製した鏡面のガラス基板を加工する場合や、研削砥粒粒径を小さくした場合に、上述の不良が顕著に発生することも判明した。
従来、ダイヤモンド粒子等を含む固定砥粒(ダイヤモンドパッド)が研削面に配備された上下定盤の間にガラス基板を挟んでガラス基板の表面を研削加工する場合、上定盤と下定盤とでは実行圧力が異なり、通常は上定盤の方が下定盤よりも実行圧力が大きく、加工レートが高いことが知られている。
上記特許文献4には、上定盤側にガラス基板のうねりの大きい面を配置し、下定盤側にうねりの小さい面を配置して研削加工を行うことが開示されている。フロート法等により作製したガラス基板には、表裏で表面うねりに差が生じており、研削装置の上下定盤間にガラス基板を表裏関係なくランダムに配置し、そのまま実行圧力の異なる上下定盤で多数枚のガラス基板を研削加工すると、各ガラス基板で表面うねりの異なるガラス基板が多数生じてしまうことになる。そこで、特許文献4では、表面うねりの大きい面のみを、実行圧力の大きい上定盤によって加工することによって、多数枚のガラス基板を加工した場合でも表裏面のうねりが微小かつ均一なガラス基板を製造することができるとしている。
つまり、従来技術のような上下定盤で加工レートに差がある状態での加工は不安定であり、特許文献4の技術を適用しても、連続でバッチ加工した際に、ガラス基板の上定盤側は十分に研削されるものの、下定盤側の表面は全体あるいは一部が研削されないという不良が一定割合で発生した。フロート法により作製したガラス基板は通常、表面粗さRaが5nm以下の鏡面であるが、このような鏡面のガラス基板を加工する場合に、上述の不良が顕著に発生することも判明した。
研削加工は研削液とともに加工を行うが、加工中に研削液はどうしても下定盤側に集中してしまう。また、研削加工に伴い、研削くず(スラッジ)が発生する。前記ダイヤモンドパッドのような、複数のダイヤモンド砥粒を例えばガラス結合材で固めた固定砥粒(集結砥粒)を用いた場合、砥粒周辺にあるガラス結合材に、研削くずであり結合材と同じ材料であるガラスが付着しやすくなり、これが特に下定盤側で顕著に発生するものと考えられ、上述の不良が発生しやすくなる。
すなわち、上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
ガラス基板の主表面を研削する研削処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記研削処理では、複数の研削砥粒がガラス結合材で結合された集結砥粒と、複数の当該集結砥粒を結合している樹脂とを含む研削工具であって、前記研削工具の研削面における前記研削砥粒の周囲の樹脂からの突出し量が、前記研削面を触針式表面粗さ計を用いて測定された表面形状の最大高さよりも高い研削工具を用いて、ガラス基板主表面の研削を行うことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
研削工具のドレス処理とガラス基板の主表面を研削する研削処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、複数の研削砥粒がガラス結合材で結合された集結砥粒と、複数の当該集結砥粒を結合している樹脂とを含む研削工具であって、予め、前記研削工具の研削面における前記研削砥粒の周囲の樹脂からの突出し量が、前記研削面を触針式表面粗さ計を用いて測定された表面形状の最大高さよりも高くなるようにドレス処理を行い、該ドレス処理された研削工具を用いて、ガラス基板主表面の研削を行うことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
前記研削砥粒はダイヤモンド砥粒を含むことを特徴とする構成1又は2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成4)
主表面が鏡面状態のガラス基板に対して前記研削処理を行うことを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
複数の研削砥粒がガラス結合材で結合された集結砥粒と、複数の当該集結砥粒を結合している樹脂とを含む、ガラス基板表面を研削する研削工具であって、前記集結砥粒から突出された前記研削砥粒の突出し量が、研削工具表面を触針式表面粗さ計を用いて測定された表面形状の最大高さよりも高いことを特徴とする研削工具。
複数の研削砥粒がガラス結合材を介して結合された固定砥粒砥石が研削面にそれぞれ配備された上定盤及び下定盤の間にガラス基板を挟んでガラス基板の主表面を研削する研削加工処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、上下定盤間での加工速度の差が小さくなるように、上定盤側の固定砥粒砥石と下定盤側の固定砥粒砥石の各々の表面に対して異なる条件でドレス処理を行うことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
複数の研削砥粒がガラス結合材を介して結合された固定砥粒砥石が研削面にそれぞれ配備された上定盤及び下定盤の間にガラス基板を挟んでガラス基板の主表面を研削する研削加工処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、スラッジが固着していない集結砥粒の割合が下定盤の方が多くなるように、上定盤側の固定砥粒砥石と下定盤側の固定砥粒砥石の各々の表面に対して異なる条件でドレス処理を行うことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
下定盤側の固定砥粒砥石と上定盤側の固定砥粒砥石とで、前記除去処理の時間及び/又は頻度を変更することを特徴とする構成6又は7に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成9)
前記ドレス処理は、砥石を用いて行うことを特徴とする構成6乃至8のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
前記固定砥粒砥石はダイヤモンド砥粒を含むことを特徴とする構成6乃至9のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
(構成11)
主表面が鏡面状態のガラス基板に対して前記研削加工処理を行うことを特徴とする構成6乃至10のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
構成1乃至4、6乃至11のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造された磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁気記録層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
また、本発明によれば、固定砥粒による研削処理において、研削処理時に上下定盤の間で実行圧力の差が存在する場合においても、安定した研削加工を行うことが可能である。これにより、高品質のガラス基板を製造することができる。またそれによって得られるガラス基板を利用した信頼性の高い磁気ディスクを製造することができる。
磁気ディスク用ガラス基板は、通常、形状加工、主表面研削、端面研磨、主表面研磨、化学強化、等を経て製造される。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、フロート法やダウンドロー法で製造されたシート状ガラスから所定の大きさに切り出してガラス基板を得る。また、これ以外に、溶融ガラスからプレスで作製したシート状板ガラスを用いてもよい。本発明は、研削加工開始時に主表面が鏡面状のガラス基板を使用する場合に好適である。
この研削加工は、通常両面研削装置を用い、ダイヤモンド等の硬質砥粒を用いてガラス基板主表面の研削を行う。こうしてガラス基板主表面を研削加工することにより、所定の板厚、平坦度に加工するとともに、所定の表面粗さを得る。
前にも説明したとおり、本発明者は、前述の従来技術において、部分的な研削不良が発生する理由について詳細に検討した結果、ダイヤモンド砥粒(集結砥粒)を備えたダイヤモンドパッドの表面には微小うねりが存在しており、砥粒がガラス表面に接触することが阻害され、ガラス表面に対して十分に作用できない砥粒が存在するため、上述の部分的な研削不良が発生することを突き止めた。そこで、本発明者は、集結砥粒から突出された研削砥粒の突出し量とダイヤモンドパッドの表面の微小うねりとの関係に着目して鋭意検討した結果、集結砥粒から突出された研削砥粒の突出し量が、ダイヤモンドパッドの表面の微小うねりよりも高いダイヤモンドパッド(研削工具)を用いて研削を行うことにより、安定した研削加工を行うことが可能であることを見出したわけである。
研削加工実施前の上下それぞれの定盤の研削工具(通常、円盤状に形成されている)に対して、内周から外周までの距離を100%としたとき、内周から10%、50%、90%の位置から、それぞれ2.5mm×2.5mmの大きさの合計6サンプル(パッド片)を切り出す。この6サンプルのそれぞれについて、例えばレーザー顕微鏡を用いて得られた観察画像(表面形状データ)から任意に選んだ集結砥粒5個(測定サンプルが多い方が突出し量の測定精度は向上するが、非常に多くの工数がかかり現実的でない。一方、サンプル数が5個より少ない場合、突出し量の測定精度が大幅に悪くなり管理上問題となる。このため、生産性と品質安定化を両立出来る測定個数として5個が適切である。)に対し、断面形状解析等により、集結砥粒とその集結砥粒周辺の樹脂部との最大高低差を測定し、全集結砥粒の高低差の平均値をもってその定盤の研削工具の研削砥粒の突出し量と定義する。なお、突出し量は上下の定盤でほぼ同等となるように調整されている。
一方、研削工具表面の微小うねりの最大高さは、ドレス処理に用いる砥石表面の微小うねりの最大高さを適宜変更することで調節することができる。ドレス処理用砥石表面の微小うねりの最大高さが小さいほど、ドレス処理後の研削工具表面の微小うねりの最大高さが小さくなる。具体的には、研削工具表面における微小うねりの最大高さの狙い値よりも小さい値を持つドレス処理用砥石を用いて処理すればよい。
ダイヤモンド砥粒の平均粒子径が上記の範囲を下回ると鏡面状ガラス基板に対する切り込みが浅くなりガラス基板への食い込みが進行し難くなる。一方、ダイヤモンド砥粒の平均粒子径が上記の範囲を上回ると仕上りの粗さが粗くなるため後工程の取り代負荷が大きくなるおそれがある。
また、集結砥粒の平均粒径は15〜50μmであることが好ましい。上記範囲より小さいと、特に鏡面ガラス基板の表面に対して加工初期に砥粒を食い込ませ難くなり、研削レートが悪化する場合がある。また、上記範囲より大きいと、研削後の表面粗さが高くなりすぎる場合がある。
本発明における研削加工処理の第2の実施の形態は、複数の研削砥粒がガラス結合材を介して結合された固定砥粒砥石が研削面にそれぞれ配備された上定盤及び下定盤の間にガラス基板を挟んでガラス基板の主表面を研削する研削加工処理において、加工速度の差が上下定盤間で小さくなるように、上定盤側の固定砥粒砥石と下定盤側の固定砥粒砥石の各々の表面に対して異なる条件でドレス処理を行うことを特徴とするものである。
また、上記のドレス処理時間としては例えば5〜120秒程度の範囲が適当であるが、上下定盤でドレス処理時間の条件を変更する場合、下定盤の処理時間を上定盤の処理時間よりも長く設定する。例えば、上定盤の処理時間を5〜60秒の範囲で設定し、下定盤の処理時間を20〜120秒の範囲で設定することができる。この場合、上下定盤の処理時間比は、上定盤:下定盤=4:5〜1:2とすることが好ましい。
なお、ドレス処理時の定盤回転数、処理時間、処理回数(頻度)等の条件を上下定盤ですべて変更しなくてもよい。少なくともいずれか1つの条件を変更するようにしてもよい。
加工速度の差が上下定盤間で小さくなるように、たとえばドレス処理後の有効砥粒割合(顕微鏡で確認できる)が、上下で適切な比率になるようにドレス処理条件を設定することができる。
また、本発明においては、研削処理終了後のガラス基板の表面粗さが、Raで0.080〜0.130μmの範囲に仕上がることが好ましい。このように仕上がりの粗さを低く抑えることで、後の工程の加工負荷を減らすことができる。
また、SiO2を56〜75モル%、Al2O3を1〜9モル%、Li2O、Na2OおよびK2Oからなる群から選ばれるアルカリ金属酸化物を合計で6〜15モル%、MgO、CaOおよびSrOからなる群から選ばれるアルカリ土類金属酸化物を合計で10〜30モル%、ZrO2、TiO2、Y2O3、La2O3、Gd2O3、Nb2O5およびTa2O5からなる群から選ばれる酸化物を合計で0%超かつ10モル%以下、含むガラスであってもよい。
本発明において、ガラス組成におけるAl2O3の含有量が15重量%以下であると好ましい。さらには、Al2O3の含有量が5モル%以下であるとなお好ましい。
また、本発明において表面粗さ(上記算術平均粗さRa)は、原子間力顕微鏡(AFM)で5μm四方を分解能256x256で測定したときに得られる表面形状の表面粗さとすることが実用上好ましい。
本発明において磁気ディスクは、本発明による磁気ディスク用ガラス基板の上に少なくとも磁気記録層(磁性層)を形成して製造される。磁性層の材料としては、異方性磁界の大きな六方晶系であるCoCrPt系やCoPt系強磁性合金を用いることができる。磁性層の形成方法としてはスパッタリング法、例えばDCマグネトロンスパッタリング法によりガラス基板の上に磁性層を成膜する方法を用いることが好適である。
本発明によって得られる磁気ディスク用ガラス基板を利用することにより、信頼性の高い磁気ディスクを得ることができる。
(実施例1−1)
以下の(1)基板準備、(2)形状加工、(3)端面研磨、(4)主表面研削加工、(5)主表面研磨(第1研磨)、(6)化学強化、(7)主表面研磨(第2研磨)、を経て本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
フロート法により製造された厚さ1mmのアルミノシリケートガラスからなる大板ガラスを準備し、70mm×70mmの正方形の小片にダイヤモンドカッターを用いて裁断した。次いで、ダイヤモンドカッターを用いて、外径65mm、内径20mmの円盤形状に加工した。このアルミノシリケートガラスとしては、SiO2:62〜75重量%、ZrO2:5.5〜15重量%、Al2O3:5〜15重量%、Li2O:4〜10重量%、Na2O:4〜12重量%を含有する化学強化可能なアモルファスのガラスを使用した。
得られた基板の表面は、表面粗さRaが5nm以下の鏡面であった。
次に、ダイヤモンド砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔を空けると共に、外周端面および内周端面に所定の面取り加工を施した。
(3)端面研磨
次いで、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながらガラス基板の端面(内周、外周)を研磨した。
この主表面研削加工は両面研削装置を用い、複数のダイヤモンド砥粒をガラス結合材で固めた集結砥粒と、複数の当該集結砥粒を結合している樹脂とを備えた固定砥粒砥石(ダイヤモンドパッド)が貼り付けられた上下定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板をセットして行なった。ダイヤモンドパッドは、ダイヤモンド砥粒の平均粒径(D50)が約3.0μm、集結砥粒の平均粒径(D50)が30μmのダイヤモンドパッドを使用した。また、潤滑液を使用しながら行った。また、定盤の回転数、ガラス基板への荷重は、適宜調整して行った。
また、研削加工の前にアルミナ砥石を用いてドレス処理を行った。本実施例で使用した上記ダイヤモンドパッドにおける研削砥粒の突出し量及び表面形状の最大高さ(微小うねり)を前述の方法で測定した結果、研削砥粒の突出し量は2μm、表面形状の最大高さは0.5μmであった。
次に、上述した研削加工で残留した傷や歪みを除去するための第1研磨を両面研磨装置を用いて行なった。両面研磨装置においては、研磨パッドが貼り付けられた上下研磨定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させ、このキャリアを太陽歯車(サンギア)と内歯歯車(インターナルギア)とに噛合させ、上記ガラス基板を上下定盤によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラス基板の研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラス基板が定盤上で自転しながら公転して両面を同時に研磨加工するものである。具体的には、ポリシャとして硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、第1研磨を実施した。研磨液としては酸化セリウムを研磨剤として分散した純水とし、荷重、研磨時間は適宜設定した。上記第1研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
次に、上記洗浄を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合した化学強化液を用意し、この化学強化溶液を380℃に加熱し、上記洗浄・乾燥済みのガラス基板を約4時間浸漬して化学強化処理を行なった。
次いで上記の第1研磨で使用したものと同じ両面研磨装置を用い、ポリシャを軟質ポリシャ(スウェード)の研磨パッド(発泡ポリウレタン製)に替えて第2研磨を実施した。この第2研磨は、上述した第1研磨で得られた平坦な表面を維持しつつ、例えばガラス基板主表面の表面粗さをRaで0.2nm程度以下の平滑な鏡面に仕上げるための鏡面研磨加工である。研磨液としてはコロイダルシリカを分散した純水とし、荷重、研磨時間は適宜設定した。上記第2研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
実施例1−1の主表面研削加工において、ダイヤモンド砥粒の平均粒径が約9.0μm、研削砥粒の突出し量が7μm、表面形状の最大高さが5μmの状態のダイヤモンドパッドを使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして研削加工を行い、磁気ディスク用ガラス基板を作製した。
(実施例1−3)
実施例1−1の主表面研削加工において、ダイヤモンド砥粒の平均粒径が約1.5μm、研削砥粒の突出し量が3μm、表面形状の最大高さが1μmの状態のダイヤモンドパッドを使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして研削加工を行い、磁気ディスク用ガラス基板を作製した。
実施例1−1の主表面研削加工において、ダイヤモンド砥粒の平均粒径が約1.5μm、研削砥粒の突出し量が2μm、表面形状の最大高さが0.5μmの状態のダイヤモンドパッドを使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして研削加工を行い、磁気ディスク用ガラス基板を作製した。
(実施例1−5)
実施例1−1の主表面研削加工において、ダイヤモンド砥粒の平均粒径が約12μm、研削砥粒の突出し量が9μm、表面形状の最大高さが6μmの状態のダイヤモンドパッドを使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして研削加工を行い、磁気ディスク用ガラス基板を作製した。
実施例1−1の主表面研削加工において、ダイヤモンド砥粒の平均粒径が約3.0μm、研削砥粒の突出し量が2μm、表面形状の最大高さが2μmの状態のダイヤモンドパッドを使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして研削加工を行い、磁気ディスク用ガラス基板を作製した。
(比較例1−2)
実施例1−1の主表面研削加工において、ダイヤモンド砥粒の平均粒径が約3.0μm、研削砥粒の突出し量が2μm、表面形状の最大高さが3μmの状態のダイヤモンドパッドを使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして研削加工を行い、磁気ディスク用ガラス基板を作製した。
実施例1−1の主表面研削加工において、ダイヤモンド砥粒の平均粒径が約3.0μm、研削砥粒の突出し量が2μm、表面形状の最大高さが5μmの状態のダイヤモンドパッドを使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして研削加工を行い、磁気ディスク用ガラス基板を作製した。
(比較例1−4)
実施例1−1の主表面研削加工において、ダイヤモンド砥粒の平均粒径が約9.0μm、研削砥粒の突出し量が7μm、表面形状の最大高さが7μmの状態のダイヤモンドパッドを使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして研削加工を行い、磁気ディスク用ガラス基板を作製した。
実施例1−1の主表面研削加工において、ダイヤモンド砥粒の平均粒径が約9.0μm、研削砥粒の突出し量が7μm、表面形状の最大高さが8μmの状態のダイヤモンドパッドを使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして研削加工を行い、磁気ディスク用ガラス基板を作製した。
(比較例1−6)
実施例1−1の主表面研削加工において、ダイヤモンド砥粒の平均粒径が約9.0μm、研削砥粒の突出し量が7μm、表面形状の最大高さが10μmの状態のダイヤモンドパッドを使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして研削加工を行い、磁気ディスク用ガラス基板を作製した。
実施例1−1の主表面研削加工において、ダイヤモンド砥粒の平均粒径が約1.5μm、研削砥粒の突出し量が2μm、表面形状の最大高さが2μmの状態のダイヤモンドパッドを使用したこと以外は、実施例1−1と同様にして研削加工を行い、磁気ディスク用ガラス基板を作製した。
上記各実施例において、研削加工後のガラス基板について、フラットネステスターを用いて、1バッチあたり20枚の平坦度の測定を行い、所定の基準(3μm以下)を良品とし、この基準を満たさないガラス基板の発生率(平坦度不良発生率)を算出し、結果を表1に示した。また、研削加工後のガラス基板について、AFMにて測定した表面粗さ(Ra)の結果を、実施例1の値を基準としたときの比率で表2に示した。
また、上記各比較例において、上記実施例と同様に、研削加工後のガラス基板について、フラットネステスターを用いて、1バッチあたり20枚の平坦度の測定を行い、所定の基準(3μm以下)を超えるガラス基板の発生率(平坦度不良発生率)を算出し、結果を表1に示した。
なお、表1において研削砥粒粒径とは、集結砥粒の中に含まれるダイヤモンド微粒子の平均粒径(D50)であり、砥粒突出し量とは、集結砥粒がその周囲の樹脂部分からなる平面から突き出した距離である。
1.研削砥粒粒径が3.0μmの場合、研削砥粒の突出し量が表面形状の最大高さよりも低い固定砥粒砥石を用いた比較例では、ガラス表面に対する研削砥粒の作用が弱く、平坦度不良は100%の発生率であった。また、研削砥粒の突出し量を表面形状の最大高さと同等にした比較例では、平坦度不良の発生率が20%に低減するが、ガラス表面に十分に作用できない砥粒が存在するため、一部で研削ムラが発生している。これに対して、研削砥粒の突出し量が表面形状の最大高さよりも高い固定砥粒砥石を用いた実施例1−1では、ガラス表面に研削砥粒が安定的に作用するようになり、平坦度不良発生率は0%となり、研削ムラのない安定した研削加工を行える。
2.また、研削砥粒粒径が9.0μmの場合においても、最大高さが5μmで、研削砥粒の突出し量を7μmとすることにより、研削砥粒の突出し量が表面形状の最大高さよりも高い固定砥粒砥石を用いた実施例1−2では、ガラス表面に研削砥粒が安定的に作用するようになり、平坦度不良発生率は0%となる。但し、この場合、加工後の基板の表面粗さが実施例1−1と比べると上昇する(表2参照)。砥粒粒径が大きいため、ガラス表面に作用する研削力が大きいことによるものと考えられる。一方、研削砥粒粒径が9.0μmで、研削砥粒の突出し量が表面形状の最大高さよりも低い固定砥粒砥石を用いた比較例1−5、1−6においても、ガラス表面に対する研削砥粒の作用が弱く、平坦度不良は80%の発生率であった。
3.砥粒突出し量をA、研削面における微小うねりの最大高さをBとしたとき、A−Bで得られる値が同じ例同士を比較すると、研削砥粒(ダイヤモンド微粒子)の粒径が3μm以下になると不良率が悪化しやすい。すなわち、研削砥粒(ダイヤモンド微粒子)の粒径が3μm以下の場合に特に本発明が有効であることがわかる。
上記実施例1−1と同様の工程を経て以下の実施例の磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
(1)基板準備
フロート法により製造された厚さ1mmのアモルファスのアルミノシリケートガラスからなる大板ガラスを準備し、70mm×70mmの正方形の小片にダイヤモンドカッターを用いて裁断した。次いで、ダイヤモンドカッターを用いて、外径65mm、内径20mmの円盤形状に加工した。このアルミノシリケートガラスとしては、SiO2:62〜75重量%、ZrO2:5.5〜15重量%、Al2O3:5〜15重量%、Li2O:4〜10重量%、Na2O:4〜12重量%を含有する化学強化可能なガラスを使用した。
次に、ダイヤモンド砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔を空けると共に、外周端面および内周端面に所定の面取り加工を施した。
(3)端面研磨
次いで、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながらガラス基板の端面(内周、外周)を研磨した。
この主表面研削加工は両面研削装置を用い、複数のダイヤモンド粒子をガラス結合材で固めた凝集体砥粒を含む固定砥粒砥石(ダイヤモンドパッド)が貼り付けられた上下定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板をセットして行なった。ダイヤモンドパッドは、ダイヤモンド砥粒の平均粒径(D50)が約2.5μm、集結砥粒の平均粒径(D50)が25μmと定義したダイヤモンドパッドを使用した。また、潤滑液を使用しながら行った。また、定盤の回転数、ガラス基板への荷重は、適宜調整して行った。
具体的には、まず、固定砥粒表面に付着している研削液やスラッジを除去するために、ブラッシングを行った。次に、固定砥粒表面に#1000のアルミナ砥石を接触させ、上記両面研削装置の上下定盤を回転させた状態でドレス処理を行った。ドレス処理時の定盤回転数、処理時間、処理回数(頻度)はそれぞれ以下のように設定した。
定盤回転数:20rpm(上下定盤同一)
処理時間(1回):上定盤60秒、下定盤120秒
処理頻度:上定盤は連続20バッチ(1バッチは100枚)加工毎、下定盤についても連続20バッチ加工毎
次に、上述した研削加工で残留した傷や歪みを除去するための第1研磨を実施例1−1と同様にして行なった。
(6)化学強化
次に、上記洗浄を終えたガラス基板に実施例1−1と同様にして化学強化を施した。
(7)主表面研磨(第2研磨)
次いで上記実施例1−1と同様にして第2研磨を実施した。
実施例2−1の主表面研削加工において、ドレス処理時の定盤回転数、処理時間、処理回数(頻度)はそれぞれ以下のように設定した。
定盤回転数:20rpm(上下定盤同一)
処理時間(1回):上定盤10秒、下定盤20秒
処理頻度:上定盤は連続40バッチ加工毎、下定盤は連続20バッチ加工毎
これ以外は、実施例2−1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を作製した。
実施例2−1の主表面研削加工において、ドレス処理時の定盤回転数、処理時間、処理回数(頻度)はそれぞれ以下のように設定した。
定盤回転数:20rpm(上下定盤同一)
処理時間(1回):上定盤10秒、下定盤20秒
処理頻度:上定盤は連続100バッチ加工毎、下定盤は連続50バッチ加工毎
これ以外は、実施例2−1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を作製した。
実施例2−1の主表面研削加工において、ドレス処理時の定盤回転数、処理時間、処理回数(頻度)はそれぞれ以下のように設定した。
定盤回転数:20rpm(上下定盤同一)
処理時間(1回):上定盤10秒、下定盤10秒(上下定盤同一)
処理頻度:上定盤は連続50バッチ加工毎、下定盤は連続50バッチ加工毎(上下定盤同一)
これ以外は、実施例2−1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を作製した。
なお、この有効固定砥粒の割合は、ダイヤモンドパッド表面を顕微鏡観察し、一定数(上、下各100個)の固定砥粒を観察することで確認した。
また、201バッチ目の上下定盤の加工速度の比(下定盤加工速度/上定盤加工速度)を表3に示す。加工速度の比は1に近いほどよいが、1.05〜0.95であると上下定盤の加工バランスがよくなり、安定した加工が継続してできるようになる。
不良であるか否かは、ガラス基板の主表面を集光ランプを用いて目視で観察し、鏡面が残っているか否かで判断することができる。本発明の固定砥粒による研削加工がきちんと行われた場合、基板表面は白く濁ったようになり鏡面ではなくなる。しかし、研削加工が行われなかった場合、その部分は鏡面のままであり、白濁が観察されない。
1.上定盤側の固定砥粒砥石と下定盤側の固定砥粒砥石の各々の表面に対して異なる条件でドレス処理を行い、下定盤側に配備された固定砥粒砥石表面から研削くずを除去する量を、上定盤側に配備された固定砥粒砥石と比べて多くする除去処理を行った実施例2−1〜2−3においては、結果的に加工速度の差が上下定盤間で小さくなり、不良の発生頻度を著しく低下させることができ、これによって固定砥粒を用いた研削加工において安定した加工を行うことができる。また、下定盤側の有効固定砥粒の割合(%)が高い方がよい。また、上下定盤の差が20%以内であると好ましく、より好ましくは10%以下(実施例2−1)である。また、上下定盤の有効砥粒割合の差は、下定盤の方が上定盤よりも5%超ある方が加工のバランスが取れて不良バッチ率が改善する。
2.一方、上定盤側の固定砥粒砥石と下定盤側の固定砥粒砥石の各々の表面に対して同じ条件でドレス処理を行った比較例2−1においては、実行圧力の小さい下定盤側の有効固定砥粒の割合が上定盤側の有効固定砥粒の割合よりも低下してしまい、これが原因で上下定盤における加工のバランスが悪くなり、不良の発生頻度が高くなってしまう。
上記実施例1−1および2−1で得られた磁気ディスク用ガラス基板に以下の成膜工程を施して、垂直磁気記録用磁気ディスクを得た。
すなわち、上記ガラス基板上に、Ti系合金薄膜からなる付着層、CoTaZr合金薄膜からなる軟磁性層、Ru薄膜からなる下地層、CoCrPt合金からなる垂直磁気記録層、保護層、潤滑層を順次成膜した。保護層は、水素化カーボン層を成膜した。また、潤滑層は、アルコール変性パーフルオロポリエーテルの液体潤滑剤をディップ法により形成した。
得られた磁気ディスクについて、DFHヘッドを備えたHDDに組み込み、80℃かつ80%RHの高温高湿環境下においてDFH機能を作動させつつ1ヶ月間のロードアンロード耐久性試験を行ったところ、特に障害も無く、良好な結果が得られた。
2 シート
3 集結砥粒
4 ペレット
5 ダイヤモンド粒子
10 ガラス基板
Claims (12)
- ガラス基板の主表面を研削する研削処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
前記研削処理では、複数の研削砥粒がガラス結合材で結合された集結砥粒と、複数の当該集結砥粒を結合している樹脂とを含む研削工具であって、前記研削工具の研削面における前記研削砥粒の周囲の樹脂からの突出し量が、前記研削面を触針式表面粗さ計を用いて測定された表面形状の最大高さよりも高い研削工具を用いて、ガラス基板主表面の研削を行うことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 研削工具のドレス処理とガラス基板の主表面を研削する研削処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
複数の研削砥粒がガラス結合材で結合された集結砥粒と、複数の当該集結砥粒を結合している樹脂とを含む研削工具であって、予め、前記研削工具の研削面における前記研削砥粒の周囲の樹脂からの突出し量が、前記研削面を触針式表面粗さ計を用いて測定された表面形状の最大高さよりも高くなるようにドレス処理を行い、該ドレス処理された研削工具を用いて、ガラス基板主表面の研削を行うことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記研削砥粒はダイヤモンド砥粒を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 主表面が鏡面状態のガラス基板に対して前記研削処理を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 複数の研削砥粒がガラス結合材で結合された集結砥粒と、複数の当該集結砥粒を結合している樹脂とを含む、ガラス基板表面を研削する研削工具であって、
前記集結砥粒から突出された前記研削砥粒の突出し量が、研削工具表面を触針式表面粗さ計を用いて測定された表面形状の最大高さよりも高いことを特徴とする研削工具。 - 複数の研削砥粒がガラス結合材を介して結合された固定砥粒砥石が研削面にそれぞれ配備された上定盤及び下定盤の間にガラス基板を挟んでガラス基板の主表面を研削する研削加工処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
上下定盤間での加工速度の差が小さくなるように、上定盤側の固定砥粒砥石と下定盤側の固定砥粒砥石の各々の表面に対して異なる条件でドレス処理を行うことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 複数の研削砥粒がガラス結合材を介して結合された固定砥粒砥石が研削面にそれぞれ配備された上定盤及び下定盤の間にガラス基板を挟んでガラス基板の主表面を研削する研削加工処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
スラッジが固着していない集結砥粒の割合が下定盤の方が多くなるように、上定盤側の固定砥粒砥石と下定盤側の固定砥粒砥石の各々の表面に対して異なる条件でドレス処理を行うことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 下定盤側の固定砥粒砥石と上定盤側の固定砥粒砥石とで、前記除去処理の時間及び/又は頻度を変更することを特徴とする請求項6又は7に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 前記ドレス処理は、砥石を用いて行うことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 前記固定砥粒砥石はダイヤモンド砥粒を含むことを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 主表面が鏡面状態のガラス基板に対して前記研削加工処理を行うことを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 請求項1乃至4、6乃至11のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造された磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁気記録層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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