JP6031593B2 - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法、並びに研磨パッド - Google Patents
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Description
従来のガラス基板の研磨方法は、酸化セリウムやコロイダルシリカ等の金属酸化物の研磨材を含有するスラリー(研磨液)を供給しながら、ポリウレタン等のポリシャの研磨パッドを用いて行っている。高い平滑性を有するガラス基板は、たとえば酸化セリウム系研磨材を用いて研磨した後、さらにコロイダルシリカ砥粒を用いた仕上げ研磨(鏡面研磨)によって得ることが可能である。
磁気ヘッドの浮上量(磁気ヘッドと媒体(磁気ディスク)表面との間隙)の大幅な低下(低浮上量化)が挙げられる。こうすることで、磁気ヘッドと媒体の磁性層との距離が近づくため、より小さい領域に信号を書き込むことや、より小さい磁性粒子の信号を拾うことができるようになり、高記録密度化を達成することができる。近年、DFH(Dynamic Flying Height)制御という機能が磁気ヘッドに搭載されている。これは、スライダーの浮上量を下げるのではなく、磁気ヘッドの記録再生素子部近傍に内蔵したヒーター等の加熱部の熱膨張を利用して、記録再生素子部のみを媒体表面方向に向けて突き出す(近づける)機能である。このような状況下で、磁気ヘッドの低浮上量化を実現するためには、ガラス基板表面の高平滑性だけでなく、阻害要因となるガラス基板表面のうねりや、スクラッチ等の表面欠陥についても低減する必要がある。
一方、特許文献2には、研磨パッドの表面を調整する特定のパッドドレッサーを用いることで、形状波長60〜160nmのうねりを低減できることが開示されている。
また、第2の目的は、上記の極めて微小なスクラッチのような表面欠陥を従来よりも更に低減させることができる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供することである。
また、第3の目的は、本発明によって得られる磁気ディスク用ガラス基板を利用した磁気ディスクの製造方法を提供することである。
また、第4の目的は、磁気ディスク用ガラス基板の研磨処理に用いられる研磨パッドを提供することである。
そこで、本発明者は、上記知見に基づき、以下の構成による発明によれば上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
(構成1)
ガラス基板の表面に、研磨砥粒を含む研磨液を供給するとともに、発泡樹脂層を備えた研磨パッドを圧接させてガラス基板表面を研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記研磨パッドとして、直径が50μmの円柱状圧子の円形部分を、研磨面である前記研磨パッドの表面から2.5mNの荷重で押し込んだ際の前記研磨パッドの沈み込み量を計測し、この沈み込み量を前記研磨パッド表面の50μm間隔で連続して12点取得し、取得された沈み込み量のうち、最大値と最小値を除く10点の沈み込み量のデータから標準偏差を取得したとき、この標準偏差が0.15μm以下である研磨パッドを使用することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成2)
前記研磨パッドにおける前記10点の沈み込み量の算術平均値が、5μm以上であることを特徴とする構成1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
ガラス基板の主表面と、発泡樹脂層を備えた研磨パッドとの間に研磨砥粒を含む研磨液を供給して、ガラス基板の主表面を研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記研磨パッドとして、直径が50μmの円柱状圧子の円形部分を、研磨面である前記研磨パッドの表面から2.5mNの荷重で押し込んだ際の前記研磨パッドの沈み込み量を計測し、この沈み込み量を前記研磨パッド表面の50μm間隔で連続して12点取得し、取得された沈み込み量のうち、最大値と最小値を除く10点の沈み込み量のデータから算術平均値を取得したとき、この算術平均値が5μm以上である研磨パッドを使用することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成4)
前記研磨パッドにおける前記10点の沈み込み量の算術平均値が、10μm以上であることを特徴とする構成3に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
前記研磨処理を行う前のガラス基板は、表面粗さ(Ra)が3nm以下であることを特徴とする構成1乃至4のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
前記研磨パッドが定盤に貼り付けられた遊星歯車方式の研磨装置を用いて、前記ガラス基板の両主表面を同時に研磨する際、前記ガラス基板に対する前記研磨パッドの押圧力が、75〜150gf/cm2の範囲となるように前記研磨処理を行うことを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成7)
前記研磨砥粒はコロイダルシリカを含むことを特徴とする構成1乃至6のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
前記磁気ディスク用ガラス基板は、DFH型磁気ヘッドを備えるハードディスクドライブに搭載される磁気ディスクに用いられるガラス基板であることを特徴とする構成1乃至7のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成9)
構成1乃至8のいずれかに記載の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法である。
(構成10)
磁気ディスク用ガラス基板の主表面を研磨する研磨処理に用いられる研磨パッドであって、直径が50μmの円柱状圧子の円形部分を、研磨面である前記研磨パッドの表面から2.5mNの荷重で押し込んだ際の前記研磨パッドの沈み込み量を計測し、この沈み込み量を前記研磨パッド表面の50μm間隔で連続して12点取得し、取得された沈み込み量のうち、最大値と最小値を除く10点の沈み込み量のデータから標準偏差を取得したとき、この標準偏差が0.15μm以下であることを特徴とする研磨パッドである。
(構成11)
磁気ディスク用ガラス基板の主表面を研磨する研磨処理に用いられる研磨パッドであって、直径が50μmの円柱状圧子の円形部分を、研磨面である前記研磨パッドの表面から2.5mNの荷重で押し込んだ際の前記研磨パッドの沈み込み量を計測し、この沈み込み量を前記研磨パッド表面の50μm間隔で連続して12点取得し、取得された沈み込み量のうち、最大値と最小値を除く10点の沈み込み量のデータから算術平均値を取得したとき、この算術平均値が5μm以上であることを特徴とする研磨パッドである。
また、本発明の上記構成とすることで、磁気ヘッドの更なる低浮上量化を実現する上で阻害要因となるガラス基板表面の微小な傷欠陥を低減させることができる高品質のガラス基板を製造することが可能である。
また、本発明の上記構成とすることで、例えば750ギガバイトを超えるような今まで以上に高記録密度の磁気ディスクを製造するのに好適な高品質のガラス基板を製造することが可能である。
また、本発明の研磨パッドは、磁気ディスク用ガラス基板の研磨処理に好適である。
[第1の実施の形態]
磁気ディスク用ガラス基板は、通常、粗研削工程(粗ラッピング工程)、形状加工工程、精研削工程(精ラッピング工程)、端面研磨工程、主表面研磨工程(第1研磨工程、第2研磨工程)、化学強化工程、等を経て製造される。
この磁気ディスク用ガラス基板の製造は、まず、溶融ガラスからダイレクトプレスにより円盤状のガラス基板(ガラスディスク)を成型する。なお、このようなダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で製造された板ガラスから所定の大きさに切り出してガラス基板を得てもよい。次に、この成型したガラス基板の主表面に対して寸法精度及び形状精度を向上させるための研削(ラッピング)を行う。この研削工程は、通常両面ラッピング装置を用い、ダイヤモンド等の硬質砥粒を用いてガラス基板主表面の研削を行う。こうしてガラス基板主表面を研削することにより、所定の板厚、平坦度に加工するとともに、所定の表面粗さを得る。
つまり、研磨加工において、研磨パッドから荷重を受けた砥粒がガラス表面に接触してガラス表面を脆性破壊していくが、その際に砥粒に加わる荷重が不均一であると、ガラス表面での脆性破壊も不均一となり、研削量の差異が発生してガラス表面にうねりが生じる。
具体的には、磁気ディスク用ガラス基板の研磨処理に用いられる研磨パッドは、通常、不織布やPET樹脂などの基材と、該基材上に形成された発泡樹脂層からなるナップ層とからなるものである。このように、実際の研磨パッドの内部にはポアと呼ばれる空隙部分が存在し、研磨パッド表面の弾性分布にばらつきが存在する。ポアによる空隙部分の研磨パッド表面は高弾性であり、荷重下において砥粒は研磨パッド内部に沈み込み、ガラスの脆性破壊量は低減して研削量は低下するため、その部分ではガラス表面は凸状となる。一方、ポアの存在しない壁部の研磨パッド表面は低弾性であり、荷重下において砥粒は研磨パッド内部に沈み込まず、ガラスの脆性破壊量は増加して研削量は増すため、その部分ではガラス表面は凹状となる。その結果、ガラス基板表面に研削量のばらつきによる凹凸部が発生し、うねりを生じる。
図1は、本発明における研磨パッドの沈み込み量の測定方法を説明するための図である。
図1に示すとおり、研磨処理に用いられる研磨パッド7は、不織布やPET樹脂などからなる基材7Aと、該基材7A上に形成された発泡樹脂層からなるナップ層7Bとを有してなるものである。
発泡樹脂層の内部には、ポア8と呼ばれる空隙部分と、それ以外の壁部9とが存在する。なお、図1では、図示の便宜上、研磨パッドの内部断面構造(特にナップ層)をあくまでもイメージとして描いたものであり、実際の内部構造を必ずしも正確に描いたものではない。
(1)図1に示すように、直径が50μmの円柱状圧子10の円形部分を、研磨面である研磨パッド7の表面から2.5mNの荷重で押し込み、その際の研磨パッド7の沈み込み量を計測する。
ここで、円柱状圧子10の直径を50μmとし、押し込み荷重を2.5mNとした理由は、後述する実施例でも説明するように、この条件で計測した研磨パッドの沈み込み量の標準偏差の値が、形状波長50〜150μmの範囲の微小うねりに対しては相関関係が見られるからである。
そして、この標準偏差が0.15μm以下である研磨パッドを使用してガラス基板の研磨処理を行うことにより、特に形状波長50〜150μmの範囲の微小うねりを低減させることができ、高品質のガラス基板を製造することが可能である。そのため、例えば750ギガバイトを超えるような今まで以上に高記録密度の磁気ディスクを製造する場合、今まで以上の低浮上量化を実現する上で、好適な高品質のガラス基板を製造することが可能である。
また、本実施の形態においては、研磨パッドの複数の位置で測定した標準偏差の値のばらつき(最大値−最小値)が、0.01μm以下であることがより好ましい。上記値とすることで、この研磨パッドを用いて研磨される、複数の磁気ディスク用ガラス基板の上記微少うねりのバッチ間(研磨装置を用いて1バッチで研磨される複数の磁気ディスク用ガラス基板間)のばらつきを小さくすることができる。
例えば図2は、ガラス基板の鏡面研磨工程に用いることができる遊星歯車方式の両面研磨装置の概略構成を示す縦断面図である。図2に示す両面研磨装置は、太陽歯車2と、その外方に同心円状に配置される内歯歯車3と、太陽歯車2及び内歯歯車3に噛み合い、太陽歯車2や内歯歯車3の回転に応じて公転及び自転するキャリア4と、このキャリア4に保持された被研磨加工物1を挟持可能な研磨パッド7がそれぞれ貼着された上定盤5及び下定盤6と、上定盤5と下定盤6との間に研磨液を供給する研磨液供給部(図示せず)とを備えている。
なお、加える荷重(加工面圧力)は、75gf/cm2以上150gf/cm2以下の範囲内が好適である。下限値のより好ましくは95gf/cm2以上である。また、上限値のより好ましくは135gf/cm2以下である。
上記荷重が、75gf/cm2よりも低いと、ガラス基板の加工性(研磨速度)が低下するために好ましくない。また、150gf/cm2よりも高い場合には、ガラス基板表面にスクラッチ等の傷が発生する場合があるため好ましくない。そして、本実施の形態にかかる研磨パッドを用い、かつ、上記範囲内の加工面圧力でガラス基板の主表面を研磨することで、形状波長50〜150μmの範囲内の微少うねりや、スクラッチ等の表面欠陥をより一層低減できる。
本発明の第2の実施の形態は、上記構成3にあるように、ガラス基板の表面に、研磨砥粒を含む研磨液を供給するとともに、発泡樹脂層を備えた研磨パッドを圧接させてガラス基板表面を研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記研磨パッドとして、直径が50μmの円柱状圧子の円形部分を、研磨面である前記研磨パッドの表面から2.5mNの荷重で押し込んだ際の前記研磨パッドの沈み込み量を計測し、この沈み込み量を前記研磨パッド表面の50μm間隔で連続して12点取得し、取得された沈み込み量のうち、最大値と最小値を除く10点の沈み込み量のデータから算術平均値を取得したとき、この算術平均値が5μm以上である研磨パッドを使用する構成としたものである。
具体的には、磁気ディスク用ガラス基板の研磨処理に用いられる研磨パッドは、通常、不織布やPET樹脂などの基材と、該基材上に形成された発泡樹脂層からなるナップ層とからなるものである。このように、実際の研磨パッドの内部にはポアと呼ばれる空隙部分が存在し、研磨パッド表面の弾性分布にばらつきが存在する。ポアによる空隙部分の研磨パッド表面は高弾性であり、荷重下において砥粒は研磨パッド内部に沈み込み、ガラスの脆性破壊量は低減して研削量は低下する。一方、ポアの存在しない壁部の研磨パッド表面は低弾性であり、荷重下において砥粒は研磨パッド内部に沈み込まず、ガラスの脆性破壊量は増加して研削量は増す。その結果、ガラス基板表面に研削量のばらつきによる凹凸部が発生し、微小領域においてはスクラッチ等のキズ欠陥を生じることがある。
(1)上述の第1の実施の形態の場合と同様に、図1に示すように、直径が50μmの円柱状圧子10の円形部分を、研磨面である研磨パッド7の表面から2.5mNの荷重で押し込み、その際の研磨パッド7の沈み込み量を計測する。
ここで、円柱状圧子10の直径を50μmとし、押し込み荷重を2.5mNとした理由は、後述する実施例でも説明するように、この条件で計測した研磨パッドの沈み込み量の算術平均値が、微小なスクラッチ等の傷欠陥の発生数に対しては相関関係が見られるからである。
そして、この算術平均値が5μm以上である研磨パッドを使用してガラス基板の研磨処理を行うことにより、特に長さ50nm以下、深さ5nm以下程度のサイズの極めて微小なスクラッチ等の傷欠陥を低減させることができ、高品質のガラス基板を製造することが可能である。そのため、例えば750ギガバイトを超えるような今まで以上に高記録密度の磁気ディスクを製造する場合、今まで以上の低浮上量化を実現する上で、好適な高品質のガラス基板を製造することが可能である。
また、上述の算術平均値が10μm以上である研磨パッドを使用してガラス基板の研磨処理を行うことにより、上述の微小なスクラッチ等の傷欠陥をさらに低減させることが可能になる。
また、鏡面研磨工程は、前記のようにラッピング工程で残留した傷や歪みを除去するための第1研磨工程と、この第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、ガラス基板主表面の表面粗さを平滑な鏡面に仕上げる第2研磨工程の2段階を経て行われることが一般的である(但し、3段階以上の多段階研磨を行うこともある)が、この場合、少なくとも後段の第2研磨工程は、上述の沈み込み量の算術平均値が5μm以上である研磨パッドを適用することが好適である。
なお、本実施の形態における研磨処理の研磨方法、加える荷重(加工面圧力)等については上述の第1の実施の形態と同様であるので、ここでは重複説明は省略する。
また、上記ガラスは、結晶化ガラスであってもよく、アモルファスガラスであってもよい。アモルファスガラスとすることで、ガラス基板としたときの主表面の表面粗さをより一層下げることができる。
このようなアルミノシリケートガラスとしては、SiO2が58重量%以上75重量%以下、Al2O3が5重量%以上23重量%以下、Li2Oが3重量%以上10重量%以下、Na2Oが4重量%以上13重量%以下を主成分として含有するアルミノシリケートガラス(ただし、リン酸化物を含まないアルミノシリケートガラス)を用いることができる。さらに、例えば、アルカリ土類金属の酸化物が5重量%以上であって、SiO2 を62重量%以上75重量%以下、Al2O3 を5重量%以上15重量%以下、Li2Oを4重量%以上10重量%以下、Na2 Oを4重量%以上12重量%以下、ZrO2 を5.5重量%以上15重量%以下、主成分として含有するとともに、Na2O/ZrO2の重量比が0.5以上2.0以下、Al2 O3 /ZrO2 の重量比が0.4以上2.5以下であるリン酸化物を含まないアモルファスのアルミノシリケートガラスとすることができる。
また、本発明において表面粗さ(例えば、最大粗さRmax、算術平均粗さRa)は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて1μm×1μmの範囲を256×256ピクセルの解像度で測定したときに得られる表面形状の表面粗さとすることが実用上好ましい。
本発明によって得られるガラス基板を利用することにより、DFHヘッドによる記録再生を行っても、記録再生エラーやヘッドクラッシュ等の問題が起こらず、信頼性の高い磁気ディスクを得ることができる。それゆえ、例えば500ギガバイトを超えるような今まで以上に高記録密度の磁気ディスクを製造するのに好適である。
以下の実施例1〜11は、上述の第1の実施の形態に対応する実施例である。
(実施例1〜4、比較例1〜3)
以下の(1)粗ラッピング工程(粗研削工程)、(2)形状加工工程、(3)精ラッピング工程(精研削工程)、(4)端面研磨工程、(5)主表面研磨工程(第1研磨工程)、(6)化学強化工程、(7)主表面研磨工程(第2研磨工程)を経て磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
まず、溶融ガラスから上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスにより直径66mmφ、厚さ1.0mmの円盤状のアルミノシリゲートガラスからなるガラス基板を得た。なお、このようなダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で製造された板ガラスから所定の大きさに切り出してガラス基板を得てもよい。
(2)形状加工工程
次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔を空けると共に、外周端面の研削をして直径を65mmφとした後、外周端面および内周端面に所定の面取り加工を施した。
(3)精ラッピング工程
この精ラッピング工程は両面ラッピング装置を用いた。
次いで、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながらガラス基板の端面(内周、外周)を研磨した。そして、上記端面研磨を終えたガラス基板の表面を洗浄した。
次に、第1研磨工程を両面研磨装置を用いて行なった。両面研磨装置においては、研磨パッドが貼り付けられた上下研磨定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させ、このキャリアを太陽歯車(サンギア)と内歯歯車(インターナルギア)とに噛合させ、上記ガラス基板を上下定盤によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラス基板の研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラス基板が定盤上で自転しながら公転して両面を同時に研磨加工するものである。具体的には、ポリシャとして硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、第1研磨工程を実施した。研磨液としては酸化セリウムを研磨剤として分散したものとした。上記第1研磨工程を終えたガラス基板を、洗浄し、乾燥した。
次に、上記洗浄を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合した化学強化液を用意し、この化学強化溶液を380℃に加熱し、上記洗浄・乾燥済みのガラス基板を約4時間浸漬して化学強化処理を行なった。
次いで上記の第1研磨工程で使用したものと同じ両面研磨装置を用い、ポリシャを軟質ポリシャ(スウェード)の研磨パッド(発泡ポリウレタン)に替えて第2研磨工程を実施した。この第2研磨工程は、上述した第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、例えばガラス基板主表面の表面粗さをRaで0.2nm程度以下の平滑な鏡面に仕上げるための鏡面研磨加工である。研磨液としてはコロイダルシリカを水に分散させたもの、酸性に調整した。上記第2研磨工程を終えたガラス基板を、洗浄し、乾燥した。
また、そのガラス基板表面における形状波長50〜150μmの微少うねりの算術平均粗さを光学式表面検査装置(レーザ式表面形状測定装置)で測定し、その結果を表1に示した。
また、得られたガラス基板の外径は65mm、内径は20mm、板厚は0.635mmであった。
従って、上記の理由から、研磨パッドの沈み込み量を測定する際の圧子の押し込み条件としては、圧子の直径は50μmとし、押し込み荷重は2.5mNとすることが最適である。
前述の方法に従って、円柱状の圧子を押し込んだ際の沈み込み量を12点計測し、このうち最大値と最小値を除く10点の沈み込み量の算術平均値を求め、この求めた算術平均値の異なる7種類の研磨パッドを用意し、これらの各研磨パッドを使用して前述の第2研磨工程を行ったこと以外は上記実施例1と同様にして、ガラス基板を作製した。なお、上記7種類の研磨パッドは、上記10点の沈み込み量の標準偏差はいずれも0.13〜0.14μmの範囲であった。
得られたガラス基板(実施例5〜11)について、そのガラス基板の表面を目視及び光学式表面分析装置で測定し、見つかった欠陥をSEM及びAFMで分析し、傷等の表面欠陥(長さ50nm以下、深さ5nm以下程度の微小なスクラッチ)の数をカウントした。結果を表4に示した。
(実施例12〜17、比較例4)
以下の(1)粗ラッピング工程(粗研削工程)、(2)形状加工工程、(3)精ラッピング工程(精研削工程)、(4)端面研磨工程、(5)主表面研磨工程(第1研磨工程)、(6)化学強化工程、(7)主表面研磨工程(第2研磨工程)を経て磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
まず、溶融ガラスから上型、下型、胴型を用いたダイレクトプレスにより直径66mmφ、厚さ1.0mmの円盤状のアルミノシリゲートガラスからなるガラス基板を得た。なお、このようなダイレクトプレス以外に、ダウンドロー法やフロート法で製造された板ガラスから所定の大きさに切り出してガラス基板を得てもよい。
(2)形状加工工程
次に、円筒状の砥石を用いてガラス基板の中央部分に孔を空けると共に、外周端面の研削をして直径を65mmφとした後、外周端面および内周端面に所定の面取り加工を施した。
(3)精ラッピング工程
この精ラッピング工程は両面ラッピング装置を用いた。
次いで、ブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながらガラス基板の端面(内周、外周)を研磨した。そして、上記端面研磨を終えたガラス基板の表面を洗浄した。
次に、第1研磨工程を両面研磨装置を用いて行なった。両面研磨装置においては、研磨パッドが貼り付けられた上下研磨定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させ、このキャリアを太陽歯車(サンギア)と内歯歯車(インターナルギア)とに噛合させ、上記ガラス基板を上下定盤によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラス基板の研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラス基板が定盤上で自転しながら公転して両面を同時に研磨加工するものである。具体的には、ポリシャとして硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、第1研磨工程を実施した。研磨液としては酸化セリウムを研磨剤として分散したものとした。上記第1研磨工程を終えたガラス基板を、洗浄し、乾燥した。
次に、上記洗浄を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合した化学強化液を用意し、この化学強化溶液を380℃に加熱し、上記洗浄・乾燥済みのガラス基板を約4時間浸漬して化学強化処理を行なった。
次いで上記の第1研磨工程で使用したものと同じ両面研磨装置を用い、ポリシャを軟質ポリシャ(スウェード)の研磨パッド(発泡ポリウレタン)に替えて第2研磨工程を実施した。この第2研磨工程は、上述した第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、例えばガラス基板主表面の表面粗さをRaで0.2nm程度以下の平滑な鏡面に仕上げるための鏡面研磨加工である。研磨液としてはコロイダルシリカを水に分散させたもの、酸性に調整した。上記第2研磨工程を終えたガラス基板を、洗浄し、乾燥した。
また、得られた上記各ガラス基板について、そのガラス基板の表面を目視及び光学式表面分析装置で測定し、見つかった欠陥をSEM及びAFMで分析し、傷等の表面欠陥(長さ50nm以下、深さ5nm以下程度の微小なスクラッチ)の数をカウントした。結果を表5に示した。
また、得られたガラス基板の外径は65mm、内径は20mm、板厚は0.635mmであった。
従って、上記の理由から、研磨パッドの沈み込み量を測定する際の圧子の押し込み条件としては、圧子の直径は50μmとし、押し込み荷重は2.5mNとすることが最適である。
上記実施例1で得られた各磁気ディスク用ガラス基板にそれぞれ以下の成膜工程を施して、垂直磁気記録用磁気ディスクを得た。
すなわち、上記ガラス基板上に、Ti系合金薄膜からなる付着層、CoTaZr合金薄膜からなる軟磁性層、Ru薄膜からなる下地層、CoCrPt合金からなる垂直磁気記録層、カーボン保護層、潤滑層を順次成膜した。保護層は、磁気記録層が磁気ヘッドとの接触によって劣化することを防止するためのもので、水素化カーボンからなり、耐磨耗性が得られる。また、潤滑層は、アルコール変性パーフルオロポリエーテルの液体潤滑剤をディップ法により形成した。
また、上記実施例12で得られた各磁気ディスク用ガラス基板にそれぞれ上記の成膜工程を施して、垂直磁気記録用磁気ディスクを得た。
得られた磁気ディスクについて、DFHヘッドを用いて、所定のオーバーライト特性試験を行ったが、オーバーライト障害も無く、良好な結果が得られた。
2 太陽歯車
3 内歯歯車
4 キャリア
5 上定盤
6 下定盤
7 研磨パッド
10 円柱状圧子
Claims (11)
- ガラス基板の主表面と、発泡樹脂層を備えた研磨パッドとの間に研磨砥粒を含む研磨液を供給して、ガラス基板の主表面を研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
前記研磨パッドとして、
直径が50μmの円柱状圧子の円形部分を、研磨面である前記研磨パッドの表面から2.5mNの荷重で押し込んだ際の前記研磨パッドの沈み込み量を計測し、この沈み込み量を前記研磨パッド表面の50μm間隔で連続して12点取得し、取得された沈み込み量のうち、最大値と最小値を除く10点の沈み込み量のデータから標準偏差を取得したとき、この標準偏差が0.15μm以下である研磨パッドを使用することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記研磨パッドにおける前記10点の沈み込み量の算術平均値が、5μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- ガラス基板の主表面と、発泡樹脂層を備えた研磨パッドとの間に研磨砥粒を含む研磨液を供給して、ガラス基板の主表面を研磨する研磨処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
前記研磨パッドとして、
直径が50μmの円柱状圧子の円形部分を、研磨面である前記研磨パッドの表面から2.5mNの荷重で押し込んだ際の前記研磨パッドの沈み込み量を計測し、この沈み込み量を前記研磨パッド表面の50μm間隔で連続して12点取得し、取得された沈み込み量のうち、最大値と最小値を除く10点の沈み込み量のデータから算術平均値を取得したとき、この算術平均値が5μm以上である研磨パッドを使用することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記研磨パッドにおける前記10点の沈み込み量の算術平均値が、10μm以上であることを特徴とする請求項3に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 前記研磨処理を行う前のガラス基板は、表面粗さ(Ra)が3nm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 前記研磨パッドが定盤に貼り付けられた遊星歯車方式の研磨装置を用いて、前記ガラス基板の両主表面を同時に研磨する際、前記ガラス基板に対する前記研磨パッドの押圧力が、75〜150gf/cm2の範囲となるように前記研磨処理を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 前記研磨砥粒はコロイダルシリカを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 前記磁気ディスク用ガラス基板は、DFH型磁気ヘッドを備えるハードディスクドライブに搭載される磁気ディスクに用いられるガラス基板であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 請求項1乃至8のいずれかに記載の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
- 磁気ディスク用ガラス基板の主表面を研磨する研磨処理に用いられる研磨パッドであって、
直径が50μmの円柱状圧子の円形部分を、研磨面である前記研磨パッドの表面から2.5mNの荷重で押し込んだ際の前記研磨パッドの沈み込み量を計測し、この沈み込み量を前記研磨パッド表面の50μm間隔で連続して12点取得し、取得された沈み込み量のうち、最大値と最小値を除く10点の沈み込み量のデータから標準偏差を取得したとき、この標準偏差が0.15μm以下であることを特徴とする研磨パッド。 - 磁気ディスク用ガラス基板の主表面を研磨する研磨処理に用いられる研磨パッドであって、
直径が50μmの円柱状圧子の円形部分を、研磨面である前記研磨パッドの表面から2.5mNの荷重で押し込んだ際の前記研磨パッドの沈み込み量を計測し、この沈み込み量を前記研磨パッド表面の50μm間隔で連続して12点取得し、取得された沈み込み量のうち、最大値と最小値を除く10点の沈み込み量のデータから算術平均値を取得したとき、この算術平均値が5μm以上であることを特徴とする研磨パッド。
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