JP6059507B2 - 接着剤組成物及び接着フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、接着剤組成物及び接着フィルムに関する。
携帯電話、デジタルAV機器及びICカード等の高機能化に伴い、搭載される半導体シリコンチップ(以下、チップ)を小型化及び薄型化することによって、パッケージ内にシリコンを高集積化する要求が高まっている。例えば、CSP(chip size package)またはMCP(multi-chip package)に代表されるような複数のチップをワンパッケージ化する集積回路において、薄型化が求められている。パッケージ内のチップの高集積化を実現するためには、チップの厚さを25〜150μmの範囲にまで薄くする必要がある。
しかしながら、チップのベースになる半導体ウエハ(以下、ウエハ)は、研削することにより肉薄になるため、その強度は弱くなり、ウエハにクラックまたは反りが生じ易くなる。また、薄板化することによって強度が弱くなったウエハを自動搬送することは困難であるため、人手によって搬送しなければならず、その取り扱いが煩雑であった。
そのため、研削するウエハにサポートプレートと呼ばれる、ガラス、硬質プラスチック等からなるプレートを貼り合わせることによって、ウエハの強度を保持し、クラックの発生及びウエハの反りを防止するウエハハンドリングシステムが開発されている。ウエハハンドリングシステム(WHS)によりウエハの強度を維持することができるため、薄板化した半導体ウエハの搬送を自動化することができる。
ウエハハンドリングシステムにおいて、ウエハとサポートプレートとは粘着テープ、熱可塑性樹脂、接着剤等を用いて貼り合わせられる。そして、サポートプレートが貼り付けられたウエハを薄板化した後、ウエハをダイシングする前にサポートプレートを基板から剥離する。このウエハとサポートプレートとの貼り合わせに接着剤を用いた場合、接着剤を溶解してウエハをサポートプレートから剥離する。
ここで、近年、上記接着剤として、炭化水素系の接着剤が開発されている(特許文献1)。
特表2009−529065号公報(2009年8月13日公表)
しかしながら、従来技術に係る炭化水素系の接着剤を、WHSに使用する場合、レジスト剥離工程において、サポートプレートが貼り付けられたウエハをレジスト溶剤に浸漬することによって接着剤の膨潤が生じてしまい、サポートプレートの剥れが発生するという問題がある。
本発明に係る接着剤組成物及び接着フィルムは、上記課題に鑑みてなされたものであり、レジスト溶剤による膨潤及び支持体の剥れを低減することができる接着剤組成物及び接着フィルムを提供することを主たる目的としている。
本発明に係る接着剤組成物は、上記の課題を解決するために、主鎖の構成単位としてスチレン単位を含み当該スチレン単位の含有量が14重量%以上、50重量%以下であるエラストマーと、炭化水素樹脂とを含み、上記エラストマー及び上記炭化水素樹脂の総量に対して、上記エラストマーの含有率は、50重量%以上、99重量%以下の範囲であり、上記炭化水素樹脂の含有率は、1重量%以上、50重量%以下の範囲であることを特徴としている。
上記構成によれば、レジスト溶剤による膨潤及び支持体の剥れを低減することができる接着剤組成物を提供することができるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本発明の一実施形態に係る接着剤組成物は、主鎖の構成単位としてスチレン単位を含み当該スチレン単位の含有量が14重量%以上、50重量%以下であるエラストマーと、炭化水素樹脂とを含み、上記エラストマー及び上記炭化水素樹脂の総量に対して、上記エラストマーの含有率は、50重量%以上、99重量%以下の範囲であり、上記炭化水素樹脂の含有率は、1重量%以上、50重量%以下の範囲である。これにより、本発明に係る接着剤組成物は、レジスト溶剤による当該組成物の膨潤及び支持体の剥れを低減することができる。
また、本発明の一実施形態に係る接着剤組成物は、上記エラストマー及び上記炭化水素樹脂の総量に対して、上記エラストマーの含有率は、60重量%以上、95重量%以下の範囲であり、上記炭化水素樹脂の含有率は、5重量%以上、40重量%以下の範囲であることが好ましい。これにより、本発明に係る接着剤組成物は、レジスト溶剤による当該組成物の膨潤及び支持体の剥れをより好適に低減することができる。
〔エラストマー〕
本発明に係る接着剤組成物に含まれるエラストマーは、主鎖の構成単位としてスチレン単位を含んでおり、当該スチレン単位の含有量は、14重量%以上、50重量%以下である。
本明細書において「構成単位」とは、重合体を構成する構造において、一分子の単量体に起因する構造をいう。
本明細書において「スチレン単位」とは、スチレンまたはスチレン誘導体を重合した際に重合体に含まれる当該スチレン由来の構成単位であり、当該「スチレン単位」は置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルコキシアルキル基、アセトキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。
スチレン単位の含有量が14重量%以上であることにより、基板の貼付性または研削性を低下させることなく、薄化、実装等のプロセスに供することができる。スチレン単位の含有量が50重量%以下であることにより、本発明に係る接着剤組成物の薬品耐性を好適に維持することができる。
本発明に係る接着剤組成物に含まれるエラストマーは、重量平均分子量が20,000以上、200,000以下の範囲であることが好ましく、50,000以上、150,000以下であることがより好ましい。
スチレン単位の含有量が14重量%以上、50重量%以下の範囲であり、エラストマーの重量平均分子量が20,000以上、200,000以下の範囲であれば、後述する炭化水素系の溶剤に容易に溶解するので、より容易にかつ迅速に接着剤組成物を除去することができる。また、重量平均分子量が上記の範囲であることにより、ウエハがレジストリソグラフィー工程に供されるときに曝されるレジスト溶剤(例えば、PGMEA、PGME、NMP等)、酸(フッ化水素酸等)、アルカリ(TMAH等)に対して優れた耐性を発揮する。
スチレン単位の含有量は、17重量%以上、40重量%以下の範囲であることがより好ましい。
エラストマーとしては、スチレン単位の含有量が14重量%以上、50重量%以下の範囲であれば、種々のエラストマーを用いることができる。例えば、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロックコポリマー(SEP)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SBBS)、及び、これらの水添物、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー)(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEEPS)、スチレンブロックが反応架橋型のスチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SeptonV9461(株式会社クラレ製)、SeptonV9475(株式会社クラレ製))、スチレンブロックが反応架橋型のスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(反応性のポリスチレン系ハードブロックを有する、SeptonV9827(株式会社クラレ製))等であって、スチレン単位の含有量が上述の範囲であるものを用いることができる。
本発明に係る接着剤組成物に含まれるエラストマーは、主鎖の構成単位として含まれるスチレン単位の含有量が互いに異なる二種類以上のスチレン系エラストマーを含むことが好ましい。例えば、株式会社クラレ製のセプトン(商品名)のSepton8007L及びSepton2004などの、スチレン単位の含有量が異なるエラストマーを二種類含んでいてもよい。
つまり、本発明に係る接着剤組成物は複数の種類のエラストマーを含んでもよい。複数の種類のエラストマーのうち少なくとも一つが、主鎖の構成単位としてスチレン単位を含み、当該スチレン単位の含有量が14重量%以上、50重量%以下の範囲であれば、本発明の範疇である。また、本発明に係る接着剤組成物において、複数の種類のエラストマーを含む場合、混合した結果、スチレン単位の含有量が上記の範囲となるように調整してもよい。例えば、スチレン単位の含有量が30重量%である株式会社クラレ製のセプトン(商品名)のSepton4033と、スチレン単位の含有量が13重量%であるセプトン(商品名)のSepton2063とを重量比1対1で混合すると、接着剤組成物に含まれるエラストマー全体に対するスチレン含有量は21〜22重量%となり、14重量%以上となる。また、例えば、スチレン単位が10重量%のものと60重量%のものとを1対1で混合すると35重量%となり、上記の範囲内となる。本発明はこのような形態でもよい。また、本発明に係る接着剤組成物に含まれる複数の種類のエラストマーは、全て上記の範囲でスチレン単位を含んでいることがより好ましい。
スチレン単位の含有量が互いに異なるエラストマーを二種類含む場合、スチレン単位の含有量がより多いスチレン系エラストマーは、スチレン単位の含有量が20重量%以上、80重量%以下の範囲であることが好ましい。また、スチレン単位の含有量がより少ないスチレン系エラストマーは、スチレン単位の含有量が1重量%以上、30重量%以下の範囲であることが好ましい。スチレン単位の含有量がより多いスチレン系エラストマーを用いることにより、基板の貼付性または研削性を低下させることなく、薄化、実装等のプロセスに供することができる。スチレン単位の含有量がより少ないスチレン系エラストマーを用いることにより、本発明に係る接着剤組成物の薬品耐性を好適に維持することができる。
さらに、スチレン単位の含有量が互いに異なるエラストマーを二種類含む場合、スチレン系エラストマーの総量に対して、スチレン単位の含有量がより多いスチレン系エラストマーは、20重量%以上、80重量%以下の範囲であることが好ましい。
そして、エラストマーの中でも水添物がより好ましい。水添物であれば熱に対する安定性が一層向上し、分解や重合等の変質が起こりにくい。また、炭化水素系溶剤への溶解性及びレジスト溶剤への耐性の観点からもより好ましい。
また、エラストマーの中でも両端がスチレンのブロック重合体であるものがより好ましい。熱安定性の高いスチレンを両末端にブロックすることでより高い耐熱性を示すからである。
より具体的には、エラストマーは、スチレン及び共役ジエンのブロックコポリマーの水添物であることがより好ましい。これにより、熱に対する安定性が一層向上し、分解や重合等の変質が起こりにくい。また、熱安定性の高いスチレンを両末端にブロックすることでより高い耐熱性を示す。さらに、炭化水素系溶剤への溶解性及びレジスト溶剤への耐性の観点からもより好ましい。
本発明に係る接着剤組成物に含まれるエラストマーとして用いられ得る市販品としては、例えば、株式会社クラレ製「セプトン(商品名)」、株式会社クラレ製「ハイブラー(商品名)」、旭化成株式会社製「タフテック(商品名)」、JSR株式会社製「ダイナロン(商品名)」等が挙げられる。
〔炭化水素樹脂〕
炭化水素樹脂は、炭化水素骨格を有し、単量体成分を重合してなる樹脂である。本実施形態に係る接着剤組成物に含まれる炭化水素樹脂としては、例えば、シクロオレフィンポリマー(以下、「樹脂A」ともいう)、ならびにテルペン系樹脂、ロジン系樹脂及び石油系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂(以下、「樹脂B」ともいう)が挙げられる。
シクロオレフィンポリマーは、単量体成分であるシクロオレフィンモノマーを重合してなる樹脂である。シクロオレフィンモノマーとしては、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエン等の二環体、ジシクロペンタジエン、ヒドロキシジシクロペンタジエン等の三環体、テトラシクロドデセン等の四環体、シクロペンタジエン三量体等の五環体、テトラシクロペンタジエン等の七環体、またはこれら多環体のアルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチル等)置換体、アルケニル(ビニル等)置換体、アルキリデン(エチリデン等)置換体、アリール(フェニル、トリル、ナフチル等)置換体等が挙げられる。樹脂(A)としては、これらシクロオレフィンモノマーのうち1種のみを重合させてなるものであってもよいし、2種以上を共重合させてなるものであってもよい。
また、樹脂(A)に含まれる単量体成分はシクロオレフィンモノマーに限定されるものではなく、当該シクロオレフィンモノマーと共重合可能な他のモノマーを含有していてもよい。他のモノマーとしては、例えば、直鎖状または分岐鎖状のアルケンモノマーが挙げられ、そのようなアルケンモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、及び1−ヘキセン等のα−オレフィンが挙げられる。なお、アルケンモノマーは1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂(A)の分子量は特に限定されないが、例えば、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として測定した重量平均分子量(Mw)が50,000〜200,000であり、より好ましくは50,000〜150,000である。樹脂(A)の重量平均分子量が上記範囲内であれば、成膜後にクラックが発生し難く、且つ特定の溶剤への溶解性を得ることができる。
また、樹脂(A)を構成する単量体成分は、その5モル%以上がシクロオレフィンモノマーであることが高耐熱性(低い熱分解性・熱重量減少性)の点から好ましく、10モル%以上がシクロオレフィンモノマーであることがより好ましく、20モル%以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、80モル%以下であることが溶解性及び溶液での経時安定性の点から好ましく、70モル%以下であることがさらに好ましい。他のモノマーとして、直鎖状または分岐鎖状のアルケンモノマーを含有する場合、樹脂(A)を構成する単量体成分全体に対して10〜90モル%であることが溶解性及び柔軟性の点から好ましく、20〜85モル%であることがさらに好ましく、30〜80モル%であることが特に好ましい。
単量体成分の重合方法及び重合条件は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いて行えばよい。
樹脂(A)として用いられ得る市販品としては、例えば、三井化学株式会社製の「APEL(商品名)」、ポリプラスチックス株式会社製の「TOPAS(商品名)」、日本ゼオン株式会社製の「ZEONOR(商品名)」及び「ZEONEX(商品名)」、ならびにJSR株式会社製の「ARTON(商品名)」が挙げられる。
樹脂(B)は、上述したようにテルペン系樹脂、ロジン系樹脂及び石油系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である。テルペン系樹脂としては、例えば、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂及び水添テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。ロジン系樹脂としては、例えば、ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル及び変性ロジン等が挙げられる。石油系樹脂としては、例えば、脂肪族または芳香族石油樹脂、水添石油樹脂、変性石油樹脂、脂環族石油樹脂及びマロン・インデン石油樹脂等が挙げられる。これらの中でも、特に、水添テルペン樹脂及び水添テルペンフェノール樹脂が好ましい。
樹脂(B)の分子量は特に限定されないが、例えば、GPCによるポリスチレン換算値として測定した重量平均分子量(Mw)が300〜10,000であり、より好ましくは500〜5,000である。樹脂(B)の重量平均分子量が上記範囲内であれば、成膜後にクラックが発生し難く、且つ高い耐熱性(熱分解性・昇華性への耐性)が得られる。
なお、樹脂(A)と樹脂(B)とを混合して使用してもよい。樹脂(A)の含有量は炭化水素樹脂全体の40重量部以上であることが好ましく、60重量部以上であることがより好ましい。樹脂(A)の含有量が炭化水素樹脂全体の40重量部以上である場合には、柔軟性とともに高い耐熱性(低い熱分解性)を発揮することができる。
(溶剤)
本発明に係る接着剤組成物に含まれる溶剤は、エラストマー及び炭化水素樹脂を溶解する機能を有するものであればよく、例えば、非極性の炭化水素系溶剤、極性及び無極性の石油系溶剤等を用いることができる。
好ましくは、溶剤は、縮合多環式炭化水素を含み得る。溶剤が縮合多環式炭化水素を含むことによって、接着剤組成物を液状形態で(特に低温にて)保存した際に生じ得る白濁化を避けることができ、製品安定性を向上させることができる。
炭化水素系溶剤としては、直鎖状、分岐状または環状の炭化水素が挙げられる。例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、メチルオクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン等の直鎖状の炭化水素、炭素数4から15の分岐状の炭化水素;p−メンタン、o−メンタン、m−メンタン、ジフェニルメンタン、1,4−テルピン、1,8−テルピン、ボルナン、ノルボルナン、ピナン、ツジャン、カラン、ロンギホレン等の飽和脂肪族炭化水素、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、α−ピネン、β−ピネン、α−ツジョン、β−ツジョン等が挙げられる。
また、石油系溶剤としては、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ナフタレン、デカヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレンなどが挙げられる。
また、縮合多環式炭化水素とは、2つ以上の単環がそれぞれの環の辺を互いに1つだけ供給してできる縮合環の炭化水素であり、2つの単環が縮合されてなる炭化水素を用いることが好ましい。
そのような炭化水素としては、5員環及び6員環の組み合わせ、または2つの6員環の組み合わせが挙げられる。5員環及び6員環を組み合わせた炭化水素としては、例えば、インデン、ペンタレン、インダン、テトラヒドロインデン等が挙げられ、2つの6員環を組み合わせた炭化水素としては、例えば、ナフタレン、テトラヒドロナフタリン(テトラリン)及びデカヒドロナフタリン(デカリン)等が挙げられる。
また、溶剤が上記縮合多環式炭化水素を含む場合、溶剤に含まれる成分は上記縮合多環式炭化水素のみであってもよいし、例えば、飽和脂肪族炭化水素等の他の成分を含有していてもよい。この場合、縮合多環式炭化水素の含有量が炭化水素系溶剤全体の40重量部以上であることが好ましく、60重量部以上であることがより好ましい。縮合多環式炭化水素の含有量が炭化水素系溶剤全体の40重量部以上である場合には、上記樹脂に対する高い溶解性を発揮することができる。縮合多環式炭化水素と飽和脂肪族炭化水素との混合比が上記範囲内であれば、縮合多環式炭化水素の臭気を緩和させることができる。
なお、本発明の接着剤組成物における溶剤の含有量としては、当該接着剤組成物を用いて成膜する接着層の厚さに応じて適宜調整すればよいが、例えば、接着剤組成物の全量を100重量部としたとき、20重量部以上、90重量部以下の範囲であることが好ましい。溶剤の含有量が上記範囲内であれば、粘度調整が容易となる。
(熱重合禁止剤)
本発明において、接着剤組成物は熱重合禁止剤を含有していてもよい。熱重合禁止剤は、熱によるラジカル重合反応を防止する機能を有する。具体的には、熱重合禁止剤はラジカルに対して高い反応性を示すため、モノマーよりも優先的に反応してモノマーの重合を禁止する。そのような熱重合禁止剤を含む接着剤組成物は、高温環境下(特に、250℃〜350℃)において重合反応が抑制される。
例えば半導体製造工程において、サポートプレート(支持体)が接着されたウエハを250℃で1時間加熱する高温プロセスがある。このとき、高温により接着剤組成物の重合が起こると高温プロセス後にウエハからサポートプレートを剥離する剥離液への溶解性が低下し、ウエハからサポートプレートを良好に剥離することができない。しかし、熱重合禁止剤を含有している本発明の接着剤組成物では熱による酸化及びそれに伴う重合反応が抑制されるため、高温プロセスを経たとしてもサポートプレートを容易に剥離することができ、残渣の発生を抑えることができる。
熱重合禁止剤としては、熱によるラジカル重合反応を防止するのに有効であれば特に限定されるものではないが、フェノールを有する熱重合禁止剤が好ましい。これにより、大気下での高温処理後にも良好な溶解性を確保することができる。そのような熱重合禁止剤としては、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤を用いることが可能であり、例えば、ピロガロール、ベンゾキノン、ヒドロキノン、メチレンブルー、tert−ブチルカテコール、モノベンジルエーテル、メチルヒドロキノン、アミルキノン、アミロキシヒドロキノン、n−ブチルフェノール、フェノール、ヒドロキノンモノプロピルエーテル、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス(2−メチルフェノール)、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−[1−〔4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル〕エチリデン]ビスフェノール、4,4’,4”−エチリデントリス(2−メチルフェノール)、4,4’,4”−エチリデントリスフェノール、1,1,3−トリス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルプロパン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[2−(3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、n−オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名IRGANOX1010、BASF社製)、トリス(3,5−ジ−tert−ブチルヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が挙げられる。熱重合禁止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱重合禁止剤の含有量は、エラストマーの種類、炭化水素樹脂の種類、並びに接着剤組成物の用途及び使用環境に応じて適宜決定すればよいが、例えば、エラストマーと、炭化水素系樹脂とを合わせた樹脂の量を100重量部としたとき、0.1重量部以上、10重量部以下であることが好ましい。熱重合禁止剤の含有量が上記範囲内であれば、熱による重合を抑える効果が良好に発揮され、高温プロセス後において、接着剤組成物の剥離液に対する溶解性の低下をさらに抑えることができる。
(添加溶剤)
また、本発明に係る接着剤組成物は、熱重合禁止剤を溶解し、エラストマー及び炭化水素樹脂を溶解するための溶剤とは異なる組成からなる添加溶剤を含有する構成であってもよい。添加溶剤としては、特に限定されないが、接着剤組成物に含まれる成分を溶解する有機溶剤を用いることができる。
有機溶剤としては、例えば、接着剤組成物の各成分を溶解し、均一な溶液にすることができればよく、任意の1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機溶剤の具体例としては、例えば、極性基として酸素原子、カルボニル基またはアセトキシ基等を有するテルペン溶剤が挙げられ、例えば、ゲラニオール、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール、イソメントール、ネオメントール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、テルピネン−1−オール、テルピネン−4−オール、ジヒドロターピニルアセテート、1,4−シネオール、1,8−シネオール、ボルネオール、カルボン、ヨノン、ツヨン、カンファーが挙げられる。また、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン(CH)、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、上記多価アルコール類または上記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体(これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい);ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル等の芳香族系有機溶剤等を挙げることができる。
添加溶剤の含有量は、熱重合禁止剤の種類等に応じて適宜決定すればよいが、例えば、エラストマー及び炭化水素系樹脂を溶解する溶剤(主溶剤)と熱重合禁止剤を溶解する溶剤(添加溶剤)との合計を100重量部としたとき、1重量部以上、50重量部以下であることが好ましく、1重量部以上、30重量部以下であることがさらに好ましい。添加溶剤の含有量が上記範囲内であれば、熱重合禁止剤を十分に溶解することができる。
(その他の成分)
接着剤組成物には、本発明における本質的な特性を損なわない範囲において、混和性のある他の物質をさらに含んでいてもよい。例えば、接着剤の性能を改良するための付加的樹脂、可塑剤、接着補助剤、安定剤、着色剤及び界面活性剤等、慣用されている各種添加剤をさらに用いることができる。
(接着剤組成物の調製方法)
本実施形態に係る接着剤組成物の調製方法は特に限定されず、公知の方法を用いればよいが、例えば、エラストマーと、炭化水素樹脂とを溶剤に溶解させ、既存の攪拌装置を用いて、各組成を攪拌することにより、本実施形態に係る接着剤組成物を得ることができる。
また、本実施形態に係る接着剤組成物に熱重合禁止剤を添加する場合には、熱重合禁止剤を、予め熱重合禁止剤を溶解させるための添加溶剤に溶解させたものを添加することが好ましい。
(本実施形態に係る接着剤組成物の用途)
本実施形態に係る接着剤組成物は、ウエハ(基板)と当該ウエハの支持体とを接着するために用いられる。
支持体は、例えば、ウエハを薄化する工程で当該ウエハを支持する役割を果たす部材であり、本実施形態に係る接着剤組成物によってウエハに接着される。一実施形態において、支持体は、例えば、その膜厚が500〜1000μmであるガラスまたはシリコンで形成されている。
なお、一実施形態において、支持体には、支持体を厚さ方向に貫通する孔が設けられている。この孔を介して接着剤組成物を溶解する溶剤を支持体とウエハとの間に流し込むことによって、支持体とウエハとを容易に分離することができる。
接着剤組成物によるウエハと支持体との接着は、例えば、ウエハ上に接着剤組成物を塗布し、加温することによって接着層を形成し、当該接着層を介してウエハに支持体を貼付すればよい。接着層の膜厚は、特に限定されないが、例えば、5μm以上、200μm以下の範囲とすることができる。また、加温の条件は、用いる接着剤組成物に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないものの、例えば、50℃以上、250℃以下の範囲で、温度を上げながら段階的にベークすることにより、効率的に接着層を成膜することができる。
また、ウエハへの支持体の貼付は、例えば、ウエハにおける接着層が成膜されている側に、支持体を重ね、高温(例えば、215℃)下、真空中において加圧することにより、ウエハに支持体を貼付することができる。ただし、貼付の手法は、基板の状態(表面の凹凸、強度など)、接着剤組成物の組成及び支持体の材料などに応じて、従来公知の種々の手法から好適なものを適宜選択すればよい。
また、他の実施形態において、支持体とウエハとの間には、接着層の他に反応層が介在していてもよい。反応層は、支持体を介して照射される光を吸収することによって変質するようになっており、反応層に光等を照射して反応層を変質させることによって、支持体とウエハとを容易に分離することができる。この場合、支持体は厚さ方向に貫通する孔が設けられていない支持体を用いることが好ましい。
反応層に照射する光としては、反応層が吸収可能な波長に応じて、例えば、YAGレーザ、リビーレーザ、ガラスレーザ、YVOレーザ、LDレーザー、ファイバーレーザー等の固体レーザ、色素レーザ等の液体レーザ、COレーザ、エキシマレーザ、Arレーザ、He−Neレーザ等の気体レーザ、半導体レーザ、自由電子レーザ等のレーザ光、または、非レーザ光を適宜用いればよい。反応層に吸収されるべき光の波長としては、これに限定されるものではないが、例えば、600nm以下の波長の光であり得る。
反応層は、例えば光等によって分解される光吸収剤を含んでいてもよい。光吸収剤としては、例えば、グラファイト粉、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、亜鉛、テルルなどの微粒子金属粉末、黒色酸化チタンなどの金属酸化物粉末、カーボンブラック、または芳香族ジアミノ系金属錯体、脂肪族ジアミン系金属錯体、芳香族ジチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、スクアリリウム系化合物、シアニン系色素、メチン系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの染料もしくは顔料を用いることができる。このような反応層は、例えば、バインダー樹脂と混合して、支持体上に塗布することによって形成することができる。また、光吸収基を有する樹脂を用いることもできる。
また、反応層として、プラズマCVD法により形成した無機膜または有機膜を用いてもよい。無機膜としては、例えば、金属膜を用いることができる。また、有機膜としては、フルオロカーボン膜を用いることができる。このような反応膜は、例えば、支持体上にプラズマCVD法により形成することができる。
また、本実施形態に係る接着剤組成物は、支持体と接着した後に薄化工程に供されるウエハと当該支持体との接着に好適に用いられる。上述のように、この支持体はウエハを薄化する際に当該ウエハの強度を保持する。本実施形態に係る接着剤組成物はこのようなウエハと支持体との接着に好適に用いられる。
すなわち、本実施形態に係る接着剤組成物は、基板上に、当該接着剤組成物からなる接着層を介して支持体を貼付する工程を包含する基板の処理方法に用いることができる。当該基板の処理方法は、さらに、支持体が貼付された基板を、100℃以上、400℃以下で熱処理する工程、を含んでいてもよい。
特に、本実施形態に係る接着剤組成物は、優れた耐熱性を有しているので、支持体と接着した後に150℃以上の環境下に曝されるウエハと当該支持体との接着に好適に用いられる。具体的には180℃以上、さらには220℃以上の環境下にも好適に用いることができる。
なお、本実施形態に係る接着剤組成物を用いてウエハと支持体とを220℃以下で接着する積層体の製造方法、当該積層体のウエハを薄化するウエハの薄化方法、当該積層体を220℃以上の温度で加熱する方法も本実施形態の範疇である。
(接着剤組成物により形成された接着剤層の除去)
本実施形態に係る接着剤組成物によって接着されたウエハと支持体とを、上記の反応層を変質すること等によって分離した後に、接着剤層を除去する場合、上述の溶剤を用いれば容易に溶解して除去することができる。また、上記の反応層等を用いずに、ウエハと支持体とを接着した状態で接着剤層に直接、溶剤を供給することによって、容易に接着剤層が溶解して当該接着剤層が除去され、ウエハと支持体とを分離することができる。この場合、接着剤層への溶剤の供給効率を上げるため、支持体には貫通した孔が設けられていることがより好ましい。
このように、本実施形態に係る基板の処理方法は、さらに、接着層を溶剤に溶解することにより、基板と支持体とを分離する工程を含んでいてもよい。
〔接着フィルム〕
本発明に係る接着剤組成物は、用途に応じて様々な利用形態を採用することができる。例えば、液状のまま、半導体ウエハなどの被加工体の上に塗布して接着剤層を形成する方法を用いてもよいし、本発明に係る接着フィルム、すなわち、予め可撓性フィルムなどのフィルム上に上記何れかの接着剤組成物を含む接着剤層を形成した後、乾燥させておき、このフィルム(接着フィルム)を、被加工体に貼り付けて使用する方法(接着フィルム法)を用いてもよい。
このように、本発明に係る接着フィルムは、フィルム上に、上記何れかの接着剤組成物を含有する接着剤層を備える。
接着フィルムは、接着剤層にさらに保護フィルムを被覆して用いてもよい。この場合には、接着剤層上の保護フィルムを剥離し、被加工体の上に露出した接着剤層を重ねた後、接着剤層から上記フィルムを剥離することによって被加工体上に接着剤層を容易に設けることができる。
したがって、この接着フィルムを用いれば、被加工体の上に直接、接着剤組成物を塗布して接着剤層を形成する場合と比較して、膜厚均一性及び表面平滑性の良好な接着剤層を形成することができる。
接着フィルムの製造に使用する上記フィルムとしては、フィルム上に製膜された接着剤層を当該フィルムから剥離することができ、接着剤層を保護基板やウエハなどの被処理面上に転写できる離型フィルムであればよく、特に限定されるものではない。例えば、膜厚15〜125μmのポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、及びポリ塩化ビニルなどの合成樹脂フィルムからなる可撓性フィルムが挙げられる。上記フィルムには、必要に応じて、転写が容易となるように離型処理が施されていることが好ましい。
上記フィルム上に接着剤層を形成する方法としては、所望する接着剤層の膜厚や均一性に応じて適宜、公知の方法を用いて、フィルム上に接着剤層の乾燥膜厚が10〜1000μmとなるように、本発明に係る接着剤組成物を塗布する方法が挙げられる。
また、保護フィルムを用いる場合、保護フィルムとしては、接着剤層から剥離することができる限り限定されるものではないが、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、及びポリエチレンフィルムが好ましい。また、各保護フィルムは、シリコンをコーティングまたは焼き付けしてあることが好ましい。接着剤層からの剥離が容易となるからである。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、15〜125μmが好ましい。保護フィルムを備えた接着フィルムの柔軟性を確保できるからである。
接着フィルムの使用方法は、特に限定されるものではないが、例えば、保護フィルムを用いた場合には、これを剥離した上で、被加工体の上に露出した接着剤層を重ねて、フィルム上(接着剤層の形成された面の裏面)から加熱ローラを移動させることにより、接着剤層を被加工体の表面に熱圧着させる方法が挙げられる。このとき、接着フィルムから剥離した保護フィルムは、順次巻き取りローラなどのローラでロール状に巻き取れば、保存し再利用することが可能である。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
〔接着剤組成物の調製〕
まず、実施例1及び実施例2として接着剤組成物を調製した。実施例1及び実施例2において使用したエラストマー、炭化水素樹脂、重合禁止剤、主溶剤及び添加溶剤の組成を、以下の表1に示す。なお、表1中の「部」は全て重量部である。また、表1において、エラストマー及び炭化水素樹脂は、これらの総量に対するそれぞれの割合を表している。重合禁止剤は、エラストマー及び炭化水素樹脂の合計を100部としたときの量を表し、添加溶剤は、主溶剤100部に対する量である。
例えば、実施例1にて、水添スチレン系エラストマーSepton8007L(株式会社クラレ製)60部に対し、Septon2004(株式会社クラレ製)10部、TOPAS TM(ポリプラスチック株式会社製)30部をデカヒドロナフタリンに25%濃度で溶解させ、重合禁止剤であるIRGANOX1010及び添加溶剤である酢酸ブチルを添加して接着剤組成物とした。
実施例1及び実施例2におけるエラストマーとして、株式会社クラレ製のセプトン(商品名)のSepton8007L(SEP:ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロックコポリマー;スチレン含有量30%、Mw=80,000)及び株式会社クラレ製のセプトン(商品名)のSepton2004(SEP:ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロックコポリマー;スチレン含有量18重量%、Mw=90,000)を用いた。
また、実施例1及び実施例2における炭化水素樹脂として、ポリプラスチック株式会社製のTOPAS(商品名)TM(シクロオレフィンコポリマー;エチレン−ノルボルネンのコポリマー、Mw=10,000、Mw/Mn=2.08、ノルボルネン:エチレン=50:50(重量比))を用いた。
また、熱重合禁止剤としては、BASF社製の「IRGANOX(商品名)1010」を用いた。また、主溶剤としては、下記化学式(I)に示すデカヒドロナフタレンを用いた。また、添加溶剤として、酢酸ブチルを用いた。
Figure 0006059507
比較例1及び比較例2として、接着剤組成物を調製した。比較例1及び比較例2において使用した樹脂、重合禁止剤、主溶剤及び添加溶剤の組成を、以下の表2に示す。
比較例1において、樹脂成分として株式会社クラレ製のセプトン(商品名)のSepton8007L(SEP:ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロックコポリマー;スチレン含有量30%、Mw=80,000)のみを用い、比較例2において、樹脂成分として旭化成株式会社製のタフテック(商品名)H1051(SEBS;水添スチレン系熱可塑性エラストマー;スチレン含有量42%、Mw=78,000)のみを用いた。
〔接着層の形成〕
半導体ウエハ基板(12インチ、シリコン)に接着剤組成物をスピン塗布し、100℃、160℃、220℃の温度で各5分間ベークし、膜厚50μmの接着層を形成した。
〔貼付〕
真空下、215℃、4000kgの条件で5分間、532nmのレーザ吸収を示す反応層であるフルオロカーボン層(厚さ0.5μm)を兼ね備えたベアのガラス支持体(12インチ)とウエハとの貼り合わせを行い積層体とした。その際、その後の薄化工程及び熱工程でウエハの破損またはウエハの面内均一性の低下につながる貼り付け不良(未接着部分)が無いことを確認した。なお、当該反応層は、流量400sccm、圧力700mTorr、高周波電力2800W及び成膜温度240℃の条件下において、反応ガスとしてCを使用したCVD法により形成した。
次に、ウエハ裏面をDISCO社製バックグラインド装置にて薄化(50μm)処理した後、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)に浸漬し、接着剤組成物の膨潤または支持体の剥れが生じているか否かを確認した。
〔剥離〕
ウエハに対し、ガラス面から532nmのレーザ照射を行い、ガラス支持体と接着層との間で分離した。ガラス支持体を取り除いたウエハは、p−メンタンでスピン洗浄することで接着層を残渣なく除去することができた。実施例1及び比較例2の結果を表1に示し、比較例1及び比較例2の結果を表2に示す。
Figure 0006059507
Figure 0006059507
成膜性の可否は、実施例または比較例に係る接着剤組成物において、ウエハ基板上に15μm以上の塗布が可能であるか否かにより判断し、塗布が可能であった場合を「○」とし、塗布が不可能であった場合を「×」とした。
耐熱性の可否は、実施例または比較例に係る接着剤組成物を用いて形成した積層体を、減圧環境下(10Pa)において、220℃で1時間加熱した。これにより接着剤組成物の耐熱性を評価した。耐熱性の評価はウエハ及び支持体の間での発泡または剥れがなければ「○」、あれば「×」とした。
耐薬品性の可否は、実施例または比較例に係る接着剤組成物をNMPに浸漬した後に、膨潤するか否かにより判断し、膨潤しなかった場合を「○」とし、膨潤した場合を「×」とした。
実施例1及び実施例2に係る接着剤組成物では、NMPに浸漬しても接着剤組成物の膨潤は生じず、その結果、ガラス支持体からの接着剤組成物の剥れは生じていなかった。一方、比較例1及び比較例2に係る接着剤組成物では、NMPに浸漬することにより接着剤組成物の膨潤が生じ、その結果、ガラス支持体からの接着剤組成物の剥れが生じた。よって、実施例1及び実施例2に係る接着剤組成物より形成した積層体をNMPに浸漬しても、接着剤組成物の膨潤が生じず、ガラス支持体からの接着剤組成物の剥れも生じないことが示された。
本発明に係る接着剤組成物及び接着フィルムは、例えば、微細化された半導体装置の製造工程において好適に利用することができる。

Claims (9)

  1. 主鎖の構成単位としてスチレン単位を含み当該スチレン単位の含有量が14重量%以上、50重量%以下であるエラストマーと、
    シクロオレフィンポリマーとを含み、
    上記エラストマー及び上記シクロオレフィンポリマーの総量に対して、
    上記エラストマーの含有率は、50重量%以上、99重量%以下の範囲であり、
    上記シクロオレフィンポリマーの含有率は、1重量%以上、50重量%以下の範囲であることを特徴とする接着剤組成物。
  2. 縮合多環式炭化水素を含む溶剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. 上記エラストマーの主鎖の構成単位として含まれるスチレン単位の含有量が、17重量%以上、40重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の接着剤組成物。
  4. 上記エラストマーは、主鎖の構成単位として含まれるスチレン単位の含有量が互いに異なる二種類以上のスチレン系エラストマーを含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の接着剤組成物。
  5. 上記エラストマーの重量平均分子量が20,000以上、200,000以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の接着剤組成物。
  6. 上記エラストマーが水添物であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の接着剤組成物。
  7. 上記エラストマーの両末端がスチレンのブロック重合体であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の接着剤組成物。
  8. 上記エラストマーは、スチレン及び共役ジエンのブロックコポリマーの水添物であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の接着剤組成物。
  9. フィルム上に、請求項1〜8の何れか一項に記載の接着剤組成物からなる接着層が形成されていることを特徴とする接着フィルム。
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