JP6058524B2 - 塗布フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、長尺の基材の上に塗膜が設けられた塗布フィルムの製造方法に関する。
光学素子、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置、半導体装置、薄膜太陽電池など、各種の装置に、ガスバリアフィルム、保護フィルム、光学補償フィルムや反射防止フィルム等として、連続搬送される基材の上に塗膜の形成された光学フィルムが利用されている。
搬送される基材の上に塗膜を形成する塗布装置には、バー塗布装置、リバースロール塗布装置機、グラビアロール塗布装置機、スロットダイ塗布装置機等がある。一般的に、塗布装置の上流側及び下流側に基材の搬送を支持するバックアップローラや、基材に搬送力を付与するフィードローラ等のローラが配置される。これらの塗布装置を含む製造設備において、薄膜で且つ塗布ムラがない面質の良好な高精度の塗布が要求されている。
ところで、バー塗布装置で基材に塗布液を塗布する際に、塗工用バーの回転による固有振動数と、バー塗布装置の上流、及び/又は下流に配置されたバックアップローラの回転による固有振動数とが共振して塗布ムラが発生することがある。また、塗工用バーの径や回転数を変えた場合も、塗工用バーとバックアップローラとが共振して塗布ムラが発生することがある。
特許文献1は、複数のバックアップローラのうち、少なくとも塗工用バー装置に最も近いバックアップローラが、固有振動数を可変可能な固有振動数可変手段を備えていることを記述する。特許文献1によれば、塗工用バー装置に最も近いバックアップローラの固有振動数を調整することにより、塗布機の振動とバックアップローラの振動とによる共振を回避した状態で塗布するようにしたので、塗布ムラの発生を効果的に抑制することができる。
特開2007−296462号公報
近年、偏光板の視野角による色味変化を低減する目的でより高いレターデーションを有する光学フィルムが求められている。しかしながら、例えば、光学フィルムが50nm以上の面内レターデーションを有する場合、光学フィルムの面上の塗布ムラが視認されやすくなる。
特許文献1の開示によれば、塗布ムラの発生がある程度抑えることができるが、50nm以上の高レターデーションのフィルムでは、塗布ムラが確認されてしまう。
本発明者は、その原因を探ったところ、バックアップローラが玉軸受で支持されているため、回転時に軸受内部で玉が転がることに起因した振動が発生し、その振動によって塗布ムラが発生することが分かった。
さらに、特許文献1では、バックアップローラのシャフトが駆動手段(モータやカップリング等)に接続されているため、駆動手段からバックアップローラに振動が伝達し塗布ムラを発生してしまうことも判明した。
特に、基材の厚さが80μm未満になれば、基材は振動によりバタツキやすくなり、塗布ムラが発生しやすくなることが分かった。また、塗布液の粘度が3mPas以下になると、振動により、バー塗布装置と基材との間に形成される塗布液のビードが形状不安定となり、塗布ムラが発生しやすくなることが分かった。
ここで、駆動手段を無くすことで振動を排除しようとすると、バックアップローラに駆動力が付与されなくなる。その場合、バックアップローラは搬送される基材に追従して回転する。しかしながら、バックアップローラを支持する玉軸受のメカニカルロス、又はバックアップローラの慣性モーメントにより、バックアップローラが基材の速度に追従できなくなる場合があり、その結果、基材がバックアップローラの上でスリップしてしまい基材に傷がつくことが分かった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、バックアップローラの駆動振動、及び軸受振動による塗布ムラと、バックアップローラと基材とのスリップによる傷の発生とを抑制できる塗布フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本実施の形態の塗布フィルムの製造方法は、第一の面と第二の面とを有する長尺の基材を、塗工用バーを有するバー塗布装置に向けて搬送する搬送工程と、塗工用バーの上流と下流とに配置された二つのバックアップローラにより基材の第一の面を支持して基材を搬送しながら、塗工用バーにより基材の第二の面に塗布液を塗布し、塗膜を形成する塗布工程と、を少なくとも有し、二つのバックアップローラの中で、少なくとも、一つのバックアップローラは、両端部を静圧軸受により支持されたフリーローラである。
好ましくは、フリーローラは、100以上500kg・以下の慣性モーメントを有する。
好ましくは、基材が80μm未満の厚さを有し、かつ塗布液が3mPas以下の粘度を有する。
好ましくは、塗布液が重合性液晶化合物を含み、基材の上に形成された塗膜を乾燥する乾燥工程と、乾燥された塗膜に活性線を照射し、重合性液晶化合物を重合させる照射工程を含み、製造される塗布フィルムの面内レターデーションが50nm以上である。
好ましくは、基材の搬送速度が10以上100m/分以下であり、かつ基材に加えられる張力が100以上500N以下である。
好ましくは、0°より大きいラップ角度で基材を二つのバックアップローラで支持する。
好ましくは、二つのバックアップローラの中で、バー塗布装置の下流に配置されたバックアップローラが、両端部を静圧軸受により支持されたフリーローラである。
本発明の光学フィルムの製造方法によれば、バックアップローラの駆動振動、及び軸受振動による塗布ムラと、バックアップローラと基材とのスリップによる傷の発生とを抑制できる。
塗布設備の一部を示す概略構成図 バックアップローラと静圧軸受とを説明するための概略図 ラップ角度を説明するための概略図 塗布設備の全体を示す概略構成図
以下、添付図面にしたがって本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明される。本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
ここで、図中、同一の記号で示される部分は、同様の機能を有する同様の要素である。また、本明細書中で、数値範囲を“ 〜 ”を用いて表す場合は、“ 〜 ”で示される上限、下限の数値も数値範囲に含むものとする。
本実施の形態を、図1〜3を参照して、以下に説明する。図1は、本実施の形態の塗布フィルムの製造方法に用いられる、バー塗布装置を含む塗布設備1の一例を示す概略構成図である。図2はバックアップローラと静圧軸受とを説明するための概略図である。図3はバックアップローラに対する基材のラップ角度を説明するための説明図である。
バー塗布装置10とは、棒状の塗工用バー12を用いて塗布液30を塗布する装置をいう。塗工用バー12として、平滑なバー、外周面にワイヤーを巻いたバー、又は外周面に溝の形成されたバーが用途により使用される。塗工用バー12の外周面の塗布液30を基材Wに接触させるか、又は基材Wと塗工用バー12の間に塗布液30のビードを形成することで、塗布液30を基材Wに塗布する。これにより基材Wの上に塗膜32が形成され、塗布フィルムが製造される。基材Wの上に予め別の塗膜(不図示)を形成し、別の塗膜の上に塗工用バー12で塗布液を塗布し、塗膜32を形成しても良い。塗布フィルムとは、フィルム状の基材Wの上に塗膜32を少なくとも一層を形成したものをいい、塗膜32を形成した直後のもの、塗膜32に処理(乾燥、活性線照射、硬化等の少なくとも一つ)を施したものを含む。
本実施形態のバー塗布装置10は、図1に示すように、塗工用バー12と、塗工用バー12を支持する支持台14と、支持台14の上流に配置されたコーターブロック16と下流に配置されたコーターブロック18とを備える。塗工用バー12の外周面には、例えば、ワイヤーが巻かれている。ワイヤーにより形成された空間に塗布液を充填することで、目的の塗布量を得る。空間に充填された塗布液30が基材Wに塗布される。なお、「上流」、「下流」とは、基材Wの搬送方向に対して用いられる。ある基準に対して基材Wの搬送方向側に位置する場合を「下流」、基材の搬送方向と反対側に位置する場合を「上流」と定義される。
コーターブロック16と支持部材14との間にスリット20が形成されている。コーターブロック16は走行方向の上流側に堰22を備えている。液溜部24が、支持台14及び塗工用バー12、並びに堰22により構成される。スリット20には、塗布液30の供給ライン(不図示)が接続される。供給ラインから供給された塗布液30が、スリット20を介して液溜部24に供給される。回転する塗工用バー12により、液溜部24の塗布液30を連続走行する基材Wに塗布し、塗膜32を基材Wの第一の面上に形成する。
コーターブロック18と支持台14との間にはスリット26が形成される。スリット26には、塗布液30の供給ライン(不図示)が接続される。塗工用バー12の下流側での乾きに起因する塗布故障を防止するため、供給ラインから供給された塗布液30が塗工用バー12の下流側に供給される。その結果、塗工用バー12と基材Wとの間に形成される塗布液のビードを安定させることができる。塗布液30の一部は、コーターブロック18をオーバーフローして、傾斜面18Aを流れ落ちる。
基材Wは、対向する第一の面と第二の面とを有し、長尺の形状を有している。基材Wの厚さ、幅、及び長さに関して、特に限定されない。但し、基材Wの厚さが80μm未満の場合、本実施の形態を適用することが好ましい。基材Wの厚さが80μm未満の場合、搬送中にバックアップローラからの駆動振動、及び軸受振動の影響により基材Wがバタツキやすくなり、結果として塗布ムラが発生しやすくなるからである。したがって、基材Wの厚さが80μm未満の場合、バックアップローラ40、50からの駆動振動、及び軸受振動を抑制することが、塗布ムラを抑制することになる。基材Wの厚さは80μm未満、好ましくは40μm以下、さらに好ましくは25μm以下である。なお、基材Wの厚さは1μm以上であり、好ましくは15μm以上であり、さらに好ましくは20μm以上であることが好ましい。基材Wは、例えば、100mm以上2500mm以下の幅を有する。また、基材Wは、例えば、1000m以上の長さを有する。基材Wは、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、トリアセチルセルロース(TAC)、環状オレフィンポリマー(COP)、又は環状オレフィンコポリマー(COC)等の樹脂で構成される。基材Wの特性を改善する目的で、基材Wは上述の樹脂に加えて、他の組成物を含んでも良い。基材Wは、基材ロールWRの形態で準備される。基材ロールWRが送出機60にセットされ、基材ロールWRから巻き戻された基材Wがバー塗布装置10に向けて搬送される。
塗工用バー12の上流と下流とにバックアップローラ40、50が配置されている。二つのバックアップローラ40、50が、塗膜32の形成される基材Wの第一の面と反対面である第二の面を、基材Wを搬送している間、支持している。バックアップローラ40、50は、塗工用バー12に対して、それぞれ距離L1、L2を離して配置される。ここで、塗工用バー12とバックアップローラ40、50との距離L1、L2は、塗工用バー12の中心軸、及びバックアップローラ40、50の中心軸を通る垂線間の距離を意味する。また、距離L1、L2の長さは、限定されないが、おおよそ100〜200mmの範囲に設定される。距離L1、L2は、同じ長さであっても、又異なる長さであっても良い。
バックアップローラ40、円柱状の形状の本体42と、本体42の両端部に設けられた回転軸44を備えている。バックアップローラ40の本体42は、例えば、300mm以上3000mm以下の幅方向の長さを有している。また、バックアップローラ40の本体42は50mm以上150mm以下の直径を有している。バックアップローラ40の本体42は、例えば、アルミニウム合金、ステンレスまたはCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)で構成されている。バックアップローラ40の回転軸44は、25mm以上40mm以下の直径を有している。
バックアップローラ50は、バックアップローラ40と同様に、円柱状の形状の本体52と、本体52の両端部に設けられた回転軸54を備えている。本体52の大きさ、及び回転軸54の直径は、バックアップローラ40と同様である。バックアップローラ40とバックアップローラ50とは、同じ大きさであっても、異なる大きさであっても良い。
本実施の形態では、二つのバックアップローラ40、50は、その両端部である回転軸44、54を静圧軸受70により回転自在に支持されたフリーローラで構成される。なお、フリーローラとは、モータ等の駆動手段が取り付けられていないローラのことを意味する。
静圧軸受70とは、回転軸44、54と外筒との間に圧力のかかっている流体72を供給することにより、回転軸44、54を支える軸受をいう。流体72としては気体又は液体が使用される。流体72として、油、ヘリウムガス、空気等が使用される。なお、流体72が油である場合、循環系設備が必要である、又流体72がヘリウムガスである場合、排気の処理設備が必要であるのに対し、流体72が空気である場合、排気は放出するのみで取り扱いが簡便である。また流体72が油の場合、漏れ出した場合に塗布前の基材Wに付着し、それに塗布すると塗布液がはじいてしまう懸念がある。流体72が空気である場合、特にその懸念がない等の観点から空気(エア)を使用することが好ましい。バックアップローラ40、50には、駆動手段が取り付けられていない。そのため、バックアップローラ40、50は、搬送される基材Wにより従動回転する。
図1に示すように、本実施の形態の塗布フィルムの製造方法は、第一の面と第二の面とを有する長尺の基材Wを、塗工用バー12を有するバー塗布装置10に向けて搬送する搬送工程を有している。送出機60にセットされた基材ロールWRから基材Wがバー塗布装置10に向けて搬送される。次に、塗工用バー12の上流と下流とに配置された二つのバックアップローラ40、50により基材Wの第一の面を支持して基材Wを搬送しながら、塗工用バー12により基材Wの第二の面に塗布液30を塗布し、塗膜32を形成する塗布工程を有している。
本実施の形態の塗布フィルムの製造方法では、バックアップローラ40、50を支持する軸受を静圧軸受70とすることで軸受振動を抑制し、かつ駆動手段を持たないフリーローラとすることで駆動振動を抑制する。軸受振動、及び駆動振動を抑制することにより塗布ムラを抑制することができる。また、静圧軸受70によって軸受のメカニカルロスを小さくでき、駆動手段が接続されていなくてもバックアップローラ40、50が基材Wに従動回転する。基材Wとバックアップローラ40、50とのスリップを抑制することができる。更には静圧軸受70とすることによって、バックアップローラ40、50が低速回転時(例えば、1000rpm以下)でも軸受内部の損傷を防止することができる。
送出機60にセットされた基材ロールWRから、10m/分以上100m/分以下の搬送速度で基材Wが、バー塗布装置10に向けて搬送される。基材Wには100N以上500N以下の張力が加えられる。特に、搬送速度が速くなるほど、張力を大きくすることが好ましい。基材Wとバックアップローラ40、50との間でのスリップを抑制することができるからである。搬送速度が40m/分以上の場合、張力は250N以上であることが好ましい。基材Wの搬送速度はフィードローラ等により所定の範囲に調整され、基材Wへの張力はテンションローラ等により調整される。
バックアップローラ40、50は、100kg・以上500kg・以下の慣性モーメントを有することが好ましく、100kg・以上300kg・以下の慣性モーメントを有することがより好ましい。バックアップローラ40、50の慣性モーメントを上記の範囲とすることにより、搬送される基材Wに対する従動性が改善されるので好ましい。従動性を向上させることにより、バックアップローラ40、50と基材Wとのスリップが抑制され、結果として基材Wへの傷が発生するのを抑制できる。なお、バックアップローラ40、50の回転軸回りの慣性モーメントは、以下により求めることができる。本体42、52の質量m(kg)、本体42、52の直径R(m)とした場合、慣性モーメントM=1/8×m×Rで求められる。バックアップローラ40、50の慣性モーメントの値が小さいほど、バックアップローラ40、50と基材Wとのスリップは発生しにくくなる。
本実施の形態では、二つのバックアップローラ40、50のいずれも、両端部を静圧軸受70により支持されたフリーローラにしたが、二つのバックアップローラ40、50の中で、少なくとも、一つのバックアップローラ40又は50を、両端部を静圧軸受70により支持されたフリーローラとしても良い。
塗工用バー12の下流側に位置する塗布液のメニスカスは、近くのバックアップローラ50からの軸受振動、及び駆動振動の影響を受ける。そこで、バックアップローラ50を、両端部を静圧軸受70により支持されたフリーローラとするのが好ましい。
本実施の形態では、ラップ角度は0°より大きいことが好ましく、2°以上がより好ましく、6°以上がさらに好ましい。ラップ角度を0°より大きくすることで、バックアップローラ40、50が基材Wに追従して回転しやすくなる。バックアップローラ40、50の基材Wに対する従動性が改善される。ラップ角度は、図3に示す方法で決定される。バックアップローラ40、50の中心Pから、基材Wがバックアップローラ40、50に接触を開始する点A、及び接触を終える点Bに直線PA、PBを引く。バックアップローラ40、50の中心Pから、直線AP、直線BPの成す角度を1/2にする直線ACを引く。Cを通る接線と直線ACとの成す角θ1、及びCを通る接線と直線BCとの成す角θ2が求められる。バックアップローラ40の2つの角度θ1及びθ2、並びにバックアップローラ50の2つの角度θ1及びθ2を求める。これらの4つ角度の中の最大角度と最少角度の平均値がラップ角度として求められる。
上流側のバックアップローラ40のラップ角は、45°以下が好ましく、22.5°以下がより好ましく、11.25°以下がさらに好ましい。ラップ角度を45°以下にした場合、堰22の上方で基材Wが塗布液30から離れないため、基材Wと塗布液30の間により多くの空気の侵入を防止することで、気液界面が乱れるのを抑止しやすい。また、下流側のバックアップローラ50のラップ角度は、45°以下が好ましく、22.5°以下がより好ましく、11.25°以下がさらに好ましい。ラップ角を45°以下にした場合、未乾燥の塗布液が重力によって基材Wに沿って流動することを防止できる。その結果ムラとなることを抑止することができる。
本実施の形態において、使用される塗布液は、特に限定されない。なお、塗布液が3mPas以下の粘度を有する場合、本実施の形態を適用することが好ましい。塗布液の粘度が3mPas以下である場合には軸受振動、及び駆動振動による塗布ムラを生じやすいので、本実施の形態を適用することにより、塗布ムラを抑制することができる。塗布スジを発生させない観点から0.5mPas以上3mPas以下の粘度を有する塗布液が使用することが好ましい。なお、塗布液の粘度は、JIS Z 8803に示される方法で測定することができ、例えば毛細管粘度計により測定することができる。
50nm以上の面内レターデーションを有する塗布フィルムを製造する場合、本実施の形態を適用するのが好ましい。50nm以上の面内レターデーションを有する塗布フィルムでは、面上の塗布ムラが視認されやすくなるからである。したがって、本実施の形態を適用することにより、軸受振動、及び駆動振動による塗布ムラが抑制されるので、視認されやすい50nm以上の面内レターデーションを有する塗布フィルムであっても、塗布ムラが視認されにくくなる。視野角による色味変化をより低減する観点から、塗布フィルムには、50nm以上の面内レターデーションが求められ、好ましくは135nm以上の面内レターデーションが求められ、より好ましくは275nm以上の面内レターデーションが求められる。一方、レターデーションが大きすぎると視野角特性が悪化する場合があり550nm以下が好ましい。
50nm以上の面内レターデーションを発現させる塗布液としては、重合性液晶化合物を含む塗布液が使用される。重合性液晶化合物とは、基材Wに塗布し、配向させたのち、活性線を照射することにより重合させ、配向状態を固化することができる液晶化合物を意味する。液晶化合物として棒状液晶化合物、又は円盤状液晶化合物等を使用することができる。より具体的には、塗布液としては、棒状液晶化合物、円盤状液晶化合物を含む有機溶剤系塗布液があげられる。
レターデーションを発現する塗膜は、重合性液晶化合物を含む塗膜に活性線を照射することにより重合性液晶化合物を重合させることにより形成される。重合性液晶化合物は液晶化合物自体が重合性基を有する場合、あるいは液晶化合物と共に重合性モノマーを有する場合等が包含される。重合性液晶化合物は活性線を照射することで液晶化合物が重合性基により重合するものであればよい。
重合性液晶化合物を含む塗布液が使用される場合、図4に示すように、塗布設備が用いられる。バー塗布装置10により塗布液30を基材Wに塗布し、塗膜32を形成する塗布工程の後、塗膜32を乾燥装置80内で乾燥させる乾燥工程に基材Wを、パスローラ64,64を介して搬送することが好ましい。乾燥工程に用いる乾燥装置80としては、一般的な乾燥装置を限定なく使用することもできる。例えば、熱風による対流乾燥方式、赤外線などの輻射熱による輻射乾燥方式などの乾燥装置を用いることができる。熱風を用いる場合には、熱風の温度及び風速を調整して塗膜32の乾燥を制御する。また熱風を塗膜32に吹き付ける方法として、スリットノズル(帯状の支持体の幅方向にスリット状の開口形状を持つノズル)やパンチングノズル(多孔式の平板ノズル)など用いることができる。
また乾燥工程の後は、活性線照射装置90により活性線を塗膜32に照射する照射工程に基材Wを搬送することが好ましい。ここで、活性線とは、紫外線、電子線、放射線(α線、β線、γ線など)など重合性液晶化合物を重合させる電磁波を意味する。活性線として紫外線が好ましい。紫外線を発生する光源として、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が用いられる。
照射工程の後は、基材Wは巻取機100により基材ロールWRの形態に巻き取られる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
60μmの厚さを有するトリアセチルセルロースの基材を使用した(フジタック、富士フィルム(株)製)。基材の上に長鎖アルキル変性ポバールの2質量%溶液を1m当たり25mlになるように塗布し、次いで60℃で1分間乾燥させて配向膜用樹脂層を形成した。基材を送出機からラビング処理装置に送り出し、ラビング処理装置より配向膜用樹脂層の表面にラビング処理を施して、配向膜を形成した。配向膜を有する基材に、塗工用バーを有するバー塗布装置を使用して塗布液を塗布し、配向膜の上に塗膜を形成した。塗工用バーの上流と下流とにバックアップローラが配置され、二つのバックアップローラは、両端部の回転軸を静圧軸受により支持されたフリーローラであった。バックアップローラの慣性モーメントは650Kg・であった。基材のバックアップローラに対するラップ角度は2°であった。
塗布液は、下記に示すディスコティック化合物TE−8のR(1)とR(2)の重量比で4:1の混合物に対し、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V♯360、大阪有機科学(株)製)を10質量%、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)を0.6質量%、光重合開始剤(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)を3質量%、増感剤(カヤキュアーDET−X、日本化薬(株)製)を1質量%、添加し、最終的にその混合物の32質量%メチルエチルケトン溶液とした。塗布液の粘度は1mPasであった。配向膜の上に塗膜を形成した基材を、乾燥装置に搬送して塗膜を乾燥した。次いで基材を活性線照射装置に搬送し紫外線を照射し、塗膜を重合させた。面内のレターデーションは275nmであった。
Figure 0006058524
(実施例2)
面内レターデーションを50nmとした以外は、実施例1と同様にした。
(実施例3)
塗布液の粘度を0.5mPasとした以外は、実施例1と同様にした。
(実施例4)
バックアップローラの慣性モーメントを500Kg・とした以外は、実施例1と同様にした。
(実施例5)
基材の厚さを40μmとした以外は、実施例1と同様にした。
(実施例6)
基材の厚さを25μmとし、塗布液の粘度を0.5mPasとした以外は、実施例1と同様にした。
(実施例7)
上流に配置されたバックアップローラの回転軸を玉軸受で支持し、上流に配置されたバックアップローラの回転軸に駆動手段を接続した以外は、実施例1と同様にした。
(実施例8)
下流に配置されたバックアップローラの回転軸を玉軸受で支持し、下流に配置されたバックアップローラの回転軸の駆動手段を接続した以外は、実施例1と同様にした。
(比較例1)
上流と下流に配置されたバックアップローラの回転軸を玉軸受で支持し、上流と下流に配置されたバックアップローラの回転軸を接続した以外は、実施例1と同様にした。
(比較例2)
上流と下流のバックアップローラの回転軸を接続し、バックアップローラの慣性モーメントを500Kg・とした以外は、実施例1と同様にした。
(比較例3)
上流と下流のバックアップローラの回転軸を玉軸受で支持した以外は、実施例1と同様にした。
(比較例4)
上流と下流のバックアップローラの回転軸を玉軸受で支持し、上流と下流のバックアップローラの回転軸を接続し、塗布液の粘度を3mPas、面内レターデーションを50nmとした以外は、実施例1と同様にした。
[評価方法]
スリップは、塗布フィルムに対してライトを照射しキズ部の光の乱反射によって目視で視認し評価した。塗布ムラは、クロスニコル配置した偏光板の間に塗布フィルムを挟み、ライト(シャーカステン)上で観察することでムラを目視で評価した。いずれも目視で視認できた場合、不可(NG)と、目視できない場合は良(G)と、さらに優れている場合は優(Ex)と判定した。
実施例1〜8、及び比較例1〜4の条件及び評価結果を表1に示す。
表1の実施例1〜8によれば、上流と下流に配置されたバックアップローラの中で、少なくとも、一つのバックアップローラを、両端部の回転軸を静圧軸受により支持されたフリーローラとすることで、スリップと塗布ムラを改善できることが理解できる。また、バックアップローラの慣性モーメントを小さくすることで、スリップの発生がより効果的に抑制されることが理解できる(実施例4)。
一方、比較例1では駆動手段を有しているので、スリップの発生が抑制されている。一方で、バックアップローラの回転軸を玉軸受で支持し、さらに駆動手段が接続されているので塗布ムラが発生した。比較例2では、バックアップローラの回転軸を静圧軸受で支持しているが、駆動手段が接続されている。その結果、塗布ムラが発生した。比較例3では、バックアップローラの回転軸を玉軸受で支持し、駆動手段を接続しなかった。その結果、スリップと塗布ムラとが発生した。比較例4では、塗布ムラを抑制するため面内レターデーションを低く、塗布液の粘度を高くした。しかしながら、バックアップローラの回転軸を玉軸受で支持し、さらに駆動手段が接続されているので塗布ムラが発生した。
Figure 0006058524
1…塗布設備、10…バー塗布装置、12…塗工用バー、14…支持台、16、18…コーターブロック、30…塗布液、32…塗膜、40、50…バックアップローラ、42、52…本体、44、54…回転軸、60…送出機、64…パスローラ、70…静圧軸受、80…乾燥装置、90…活性線照射装置、100…巻取機

Claims (6)

  1. 第一の面と第二の面とを有する長尺の基材を、塗工用バーを有するバー塗布装置に向けて搬送する搬送工程と、
    前記塗工用バーの上流と下流とに配置された二つのバックアップローラにより前記基材の前記第一の面を支持して前記基材を搬送しながら、前記塗工用バーにより前記基材の前記第二の面に塗布液を塗布し、塗膜を形成する塗布工程と、を少なくとも有し、
    前記二つのバックアップローラの中で、少なくとも、一つのバックアップローラは、両端部を静圧軸受により支持されたフリーローラである塗布フィルムの製造方法であって、
    前記フリーローラは、100以上500kg・cm 以下の慣性モーメントを有する塗布フィルムの製造方法。
  2. 前記基材が80μm未満の厚さを有し、かつ前記塗布液が3mPas以下の粘度を有する請求項1記載の塗布フィルムの製造方法。
  3. 前記塗布液が重合性液晶化合物を含み、前記基材の上に形成された前記塗膜を乾燥する乾燥工程と、乾燥された前記塗膜に活性線を照射し、前記重合性液晶化合物を重合させる照射工程を含む請求項1又は2に記載の塗布フィルムの製造方法であって、製造される塗布フィルムの面内レターデーションが50nm以上である塗布フィルムの製造方法。
  4. 前記基材の搬送速度が10以上100m/分以下であり、かつ前記基材に加えられる張力が100以上500N以下である請求項1からのいずれか1記載の塗布フィルムの製造方法。
  5. 0°より大きいラップ角度で前記基材を前記二つのバックアップローラで支持する請求項1からのいずれか1記載の塗布フィルムの製造方法。
  6. 前記二つのバックアップローラの中で、前記バー塗布装置の下流に配置されたバックアップローラが、両端部を静圧軸受により支持されたフリーローラである請求項1からのいずれか1記載の塗布フィルムの製造方法。
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