JP6055930B2 - ドアシール付き車体構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車体のドア開口部にドアが開閉自在に支持され、ドアのドア幅方向端部に上下シール部材が取り付けられたドアシール付き車体構造に関する。
車体のドア開口部にドアの前端部が回動自在に取り付けられ、ドア開口部の上縁に上縁シール部材が取り付けられ、ドアの後端部に上下シール部材が取り付けられている。上下シール部材は、ドアが閉じられた状態において、上端部が上縁シール部材に対して所定間隔をおいて下方に配置される。よって、ドアを閉じた状態において上縁シール部材や上下シール部材のシール性が良好に確保される。
上下シール部材はドアの後上コーナ部から後端部に沿って下方に延在されている。ドアが閉じられた状態において上下シール部材がドアおよびドア開口部間に介在され、ドアおよびドア開口部間の隙間が上下シール部材で密閉される。
ここで、ドアが閉じられた状態において、上下シール部材の上端部が上縁シール部材に対して所定間隔をおいて下方に配置されている。このため、上縁シール部材および上下シール部材の上端部から上下シール部材の上端部側に水が入り込むことが考えられる。
入り込んだ水を捕獲する手段として、上下シール部材において、ドアの後上コーナ部に対応する部位に防水リップ部が設けられたものが知られている。上下シール部材に防水リップ部を設けることにより、ドアの後上コーナ部に流れ込んだ水を防水リップ部で受けることができる。
防水リップ部で水を受けることにより、流れ込んだ水が車体後方側に流れることを防水リップ部で遮る(すなわち、捕獲する)ことが可能である。防水リップ部で流れが遮られた水は上下シール部材に沿って下方に導かれる(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1の上下シール部材は、ドアの後上コーナ部に流れ込んだ水を防水リップ部で受けて水の流れを遮るように構成されている。しかし、防水リップ部で水の流れを遮る場合、防水リップ部に水の力がかかる。
このため、防水リップ部にかかる水の力で上下シール部材を安定させた状態に保つことが難しい。
特開2013−112066号公報
本発明は、ドア開口部およびドア間に流れ込んだ水を捕獲でき、かつ、上下シール部材を安定状態に保つことができるドアシール付き車体構造を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明によれば、車体のドア開口部にドアが開閉自在に支持されたドアシール付き車体構造において、前記ドア開口部の上縁に沿って前記車体に取り付けられる上縁シール部材と、前記上縁シール部材に対して上下方向で離間し、かつ、上下方向に延在し、前記ドアのドア幅方向端部に取り付けられる上下シール部材と、を備え、前記上下シール部材は、下方に向けて中空状に形成された中空部と、前記中空部の上方において上向きに開口された上端開口部と、前記上端開口部および前記中空部間に介在され、上端が開口され且つ拡大された拡大部と、を有するドアシール付き車体構造を提供する。
請求項2に係る発明では、好ましくは、前記ドアは、該ドアの一端を軸に回動可能に前記車体に支持され、前記上下シール部材は、前記ドアの他端に取り付けられる。
請求項3に係る発明では、好ましくは、前記ドアは、該ドアを前記車体に固定するためのドアロック機構を備え、該ドアロック機構は前記上下シール部材よりも前記一端側に位置し、前記上下シール部材は、上下方向において前記ドアロック機構より高い位置に設けられ、前記中空部を上下に分断する閉じ壁と、前記閉じ壁と同じ高さ位置に前記ドアのドア厚さ方向を向いて設けられ、かつ、前記上端開口部に連通する排水口と、を有する。
請求項4に係る発明では、好ましくは、前記閉じ壁は前記排水口に向けて傾斜している。
請求項5に係る発明では、好ましくは、前記上下シール部材は、前記中空部の成形の際に、該中空部のうちドア厚さ方向の部位に形成される穴部と、前記穴部および前記排水口間において上下方向に延在され、外方に向けて突出するリップ形状部と、を有する。
請求項6に係る発明では、好ましくは、前記リップ形状部は、前記排水口の近傍に位置している。
請求項7に係る発明では、好ましくは、前記上下シール部材は、上記上端開口部を部分的に閉鎖し、前記中空部の中央に向けて下方に傾斜する閉鎖部を有する。
請求項8に係る発明では、好ましくは、前記上下シール部材は、前記閉鎖部の下方において前記ドアにクリップで取り付けられる。
請求項1に係る発明では、上下シール部材に中空部を有し、中空部の上端に上端開口部を連通した。さらに、上端開口部および中空部間に拡大部を介在し、拡大部の上端を中空部より拡大させた。
よって、上端開口部を中空部より大きく開口させることができ、ドア開口部およびドア間に流れ込んだ水を上端開口部を経て中空部に導くことができる。これにより、ドア開口部およびドア間に流れ込んだ水を確実に捕獲することができる。
さらに、ドア開口部およびドア間に流れ込んだ水を上端開口部を経て中空部に導くことにより、流れ込んだ水の力が上下シール部材にかかることを防止できる。これにより、上下シール部材を安定状態に保つことができる。
請求項2に係る発明では、ドアの一端を軸にしてドアが車体に回動可能に支持される。このため、ドアを開閉する際に、ドアの他端の回動速度が速くなり、ドアの他端側に流れ込んだ水が飛び散ることが考えられる。
そこで、ドアの他端に上下シール部材を取り付けた。これにより、ドアの他端側に流れ込んだ水を上下シール部材で捕獲することができ、ドアの他端側に流れ込んだ水が飛び散ることを好適に抑えることができる。
請求項3に係る発明では、上下シール部材の中空部を閉じ壁で上下に分断し、閉じ壁と同じ高さ位置に排水口を設けた。
よって、ドア開口部およびドア間に流れ込んだ水を上端開口部を経て排水口に導き、導かれた水を排水口から排出させて上下シール部材に沿って下方に流すことができる。これにより、ドア開口部およびドア間に流れ込んだ水を確実に捕獲することができる。
加えて、閉じ壁をドアロック機構より高い位置に配置し、閉じ壁と同じ高さ位置の排水口をドア厚さ方向へ向けた。ドアロック機構は上下シール部材よりも一端側(すなわち、車体前後方向)に位置している。
よって、ドアロック機構に対して周方向に重ならない位置(すなわち、ずらした位置)に排水口を配置できる。これにより、排水口から排出する水をドアロック機構から離して下方に流すことができ、ドアロック機構に水がかかることを防ぐことができる。
請求項4に係る発明では、閉じ壁を排水口に向けて傾斜させた。よって、上端開口部に流れ込んだ水を閉じ壁を経て排水口に円滑に導くことができる。これにより、ドア開口部およびドア間に流れ込んだ水を一層好適に捕獲することができる。
請求項5に係る発明では、中空部のうちドア厚さ方向の部位に穴部を形成した。さらに、穴部および排水口間に上下方向に延びるリップ形状部を形成した。
これにより、排水口から排出された水が穴部やドアロック機構に流れることをリップ形状部で防ぐことができ、ドアロック機構に水がかかることを一層好適に防ぐことができる。
加えて、排水口から排出された水が、穴部から中空部内に流れ込むことを防ぐことができる。よって、排水口から排出された水を上下シール部材に沿って下方に円滑に導くことができる。これにより、ドア開口部およびドア間に流れ込んだ水を確実に捕獲することができる。
請求項6に係る発明では、リップ形状部を排水口の近傍に位置させた。
ここで、上下シール部材に排水口を設けることにより、上下シール部材の剛性を確保し難くなることが考えられる。そこで、リップ形状部を排水口の近傍に位置させた。
これにより、リップ形状部で上下シール部材の剛性を補うことができ、上下シール部材の剛性を確保できる。
請求項7に係る発明では、上端開口部に閉鎖部を有し、閉鎖部で上端開口部を部分的に閉鎖するようにした。上端開口部を閉鎖部で部分的に閉鎖することにより、上下シール部材(特に、上端開口部)の外観性を確保できる。
さらに、閉鎖部を中空部の中央に向けて下方に傾斜させた。よって、閉鎖部で受けた水を上端開口部に良好に導くことができる。
これにより、上下シール部材(特に、上端開口部)の外観性を確保し、かつ、水を案内する水路としての役割を両立させることができる。
請求項8に係る発明では、上下シール部材をドアに取り付けるクリップを閉鎖部の下方に取り付けた。これにより、クリップを閉鎖部で上方から覆うことができ、クリップを目視できないように閉鎖部で目隠しできる。
本発明に係る実施例1のドアシール付き車体構造から前サイドドアを分解した状態を示す側面図である。 図1の前サイドドアを示す側面図である。 図2の3部拡大図である。 図3の4−4線断面図である。 図3の前サイドドアから上下シール部材を分解した状態を示す側面図である。 図3の6−6線断面図である。 図3の上下シール部材を破断した状態を示す断面図である。 図3の8−8線断面図である。 図3の9矢視図である。 (a)は実施例1に係る上下シール部材で水を捕獲する例を説明する図、(b)は実施例1に係る前サイドドアの後端部側に流れ込んだ水の飛散を抑える例を説明する図である。 本発明に係る実施例2のドアシール付き車体構造を示す側面図である。 図11の12矢視図である。 実施例2のドアシール付き車体構造から上下シール部材を分解した状態を示す分解斜視図である。 図11の14−14線断面図である。 実施例2に係る上下シール部材で水を捕獲する例を説明する図である。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前(Fr)」、「後(Rr)」、「左(L)」、「右(R)」は運転者から見た方向にしたがう。
実施例1に係るドアシール付き車体構造10について説明する。
図1に示すように、ドアシール付き車体構造10は、車体Veの前側部に形成された前ドア開口部12と、前ドア開口部12に開閉自在に支持された前サイドドア13と、車体Veの後側部に形成された後ドア開口部15と、後ドア開口部15に開閉自在に支持された後サイドドア16とを備えている。
さらに、ドアシール付き車体構造10は、前ドア開口部12の上縁12cおよび後ドア開口部15の上縁15aに沿って設けられる上縁シール部材18と、上縁シール部材18の下方に離間された状態で前サイドドア13に取り付けられた上下シール部材21とを備えている。
前ドア開口部12および後ドア開口部15の各上縁12c,15aは車体Veの一部を形成する部位である。
前ドア開口部12は、フロントピラーに沿って略鉛直に延出された前壁12aと、センターピラーに沿って略鉛直に延出された後壁12bと、前壁12aの上端および後壁12bの上端を連結する上縁12cと、前壁12aの下端および後壁12bの下端を連結する下縁12dとを有する。
前壁12a、後壁12b、上縁12cおよび下縁12dで前ドア開口部12が略矩形状に開口されている。前ドア開口部12に前サイドドア13が開閉自在に支持される。
後壁12bにストライカ14(図4も参照)が取り付けられている。
図2に示すように、前サイドドア13は、前ドア開口部12を閉塞可能なドア本体24と、ドア本体24の前端部31に設けられたヒンジ部25と、ドア本体24の後端部32に設けられたドアロック機構26とを備えている。
前サイドドア13のドア幅方向を矢印Aで示し、前サイドドア13のドア厚さ方向を矢印B(図4参照)で示す。
ヒンジ部25がボルト28で前ドア開口部12の前壁12a(図1参照)に取り付けられる。これにより、ドア本体24の前端部31近傍(すなわち、ヒンジ部25の支持軸29)を軸にして前サイドドア13が前壁12aに回動可能に支持されている。
ドア本体24は、前端部31、後端部32、上端部33および下端部34で略矩形状に形成され、後端部32および上端部33の交差部に後交差部35が形成されている。
図3、図4に示すように、ドア本体24の後端部32は、ドア厚さ方向(矢印B方向)に向けて配置された第1壁36と、第1壁36の外端36aからドア本体24の後方に向けて配置された第2壁37とを有する。
第1壁36および第2壁37に上下シール部材21が取り付けられる。
図5に示すように、ドア本体24の後交差部35は、第1交差壁38および第2交差壁39を有する。第1交差壁38は、第1壁36の上端36bから上端部33および車体前方に向けて湾曲状に延出されている。第2交差壁39は、第2壁37の上端37aから上端部33に向けて延出されている。
図2に戻って、ドアロック機構26は、ドア本体24の後端部32に上下シール部材21に隣接して設けられ、さらに、上下シール部材21よりもドア本体24の前端部31側寄りに位置している。ドアロック機構26は、ストライカ14(図4参照)を受け入れ可能な開口27を有する。
前サイドドア13が閉じられた状態において、ドアロック機構26の開口27を介してストライカ14(図4参照)がドアロック機構26の内部に入り込む。内部に入り込んだストライカ14にドアロック機構26のラッチが係止することにより、前サイドドア13が前ドア開口部12(図1参照)に保持(固定)される。
図1、図6に示すように、上縁シール部材18は、前ドア開口部12の上縁12cの外面および後ドア開口部15の上縁15aの外面に沿うように各上縁12c,15aに取り付けられている。
前ドア開口部12の上縁12cの外面および後ドア開口部15の上縁15aの外面は車外42に臨む面である。
上下シール部材21は、ドア本体24の後端部32に取り付けられ、後端部32に沿って上下方向に延在されている。
上下シール部材21は、上端部21a(すなわち、上端開口部46)が上縁シール部材18に対して上下方向下側に所定間隔S1をおいて離間され、かつ、下端部21b(図2も参照)がドアロック機構26より下方まで延ばされている。
前サイドドア13が閉じられた状態において、上下シール部材21の上端部21aが上縁シール部材18に対して下方に所定間隔S1をおいて好適に離間される。よって、前サイドドア13が閉じられた状態において、上縁シール部材18に上下シール部材21が重ならないようにでき、上縁シール部材18および上下シール部材21のシール性が良好に確保される。
図5、図7に示すように、上下シール部材21は、上端21aから下端21b(図2参照)まで下方に向けて中空状に形成された中空部45と、中空部45の上端45aに連通されて上向きに開口された上端開口部46と、上端開口部46および中空部45間に介在された拡大部47と、上端開口部46を部分的に閉鎖する閉鎖部48とを有する。
図4、図6に示すように、中空部45は、後端部32の第1壁36に対向する第1取付部(ドア厚さ方向(矢印B方向)の部位)51と、後端部32の第2壁37に対向する第2取付部(ドア幅方向(矢印A方向)の部位)52と、第1取付部51および第2取付部52に連結されたシール壁53とを有する。
第1取付部51はドア厚さ方向(矢印B方向)に向けて配置されている。また、第2取付部52はドア幅方向(矢印A方向)向けて配置されている。
シール壁53は、第1取付部51の車幅方向内側端からドア幅方向(矢印A)に張り出された内側シール壁53aと、内側シール壁53aから第2取付部52に向けてドア厚さ方向(矢印B方向)に張り出された外側シール壁53bとを有する。
第1取付部51、第2取付部52およびシール壁53で中空部45の内部に内部空間54が形成される。すなわち、中空部45は内部空間54を有する中空状のシール部位である。
この中空部45は、第1取付部51に形成された複数の穴部56と、第1取付部51のうち穴部56を避けた部位に設けられた複数の第1取付孔57とを有する。
複数の穴部56は、中空部45を射出成形する際に形成される。すなわち、複数の穴部56は、中空部45の内部空間54を成形するために用いた中子を、内部空間54から中空部45の外部に取り出すための穴である。
第1取付孔57に第1クリップ58の頭部58aが取り付けられる。第1クリップ58の係止部58bが第1壁36の係止孔61に係止されることにより、第1壁36に第1取付部51が第1クリップ58で取り付けられる。
図7、図8に示すように、上端開口部46は、上下シール部材21の上端部21aを形成する部位であり、上向きに開口された水受入口63を有する。水受入口63は、拡大部を介して中空部45の上端45aに連通されている。
上端開口部46は、ドア本体24の第2交差壁39に沿って延びる外開口辺46aと、ドア本体24の第1交差壁38に沿って延びる前開口辺46bと、外開口辺46aおよび前開口辺46bを連結する内開口辺46cとを有する。
外開口辺46a、前開口辺46bおよび内開口辺46cで上端開口部46が平面視略三角形状に形成されている。すなわち、上端開口部46は、外開口辺46aおよび内開口辺46cの間隔が後端46dから前開口辺46bに向けて徐々に大きくなるように形成されている。
上端開口部46および中空部45間に拡大部47が介在されている。
拡大部47は、下端47aが中空部45の上端45aに連通され、上端47bが上端開口部46に連通されている。拡大部47は、下端47aおよび上端47bが開口され、内部空間65を有する中空状に形成されている。この拡大部47は、内部空間65が中空部45の上端45aから上端開口部46に向けて横方向(矢印A方向や矢印B方向)に拡大されるように形成されている。
拡大部47の上端47bが中空部45より拡大されることにより上端開口部46の水受入口63が中空部45より横方向に大きく拡大されている。
この拡大部47は、第1交差壁38に沿って湾曲状に形成された第1拡大壁66と、第2交差壁39に沿って形成された第2拡大壁67とを有する。すなわち、第1拡大壁66が第1交差壁38に支えられ、第2拡大壁67が第2交差壁39に支えられる。
第2拡大壁67に第2取付孔71を有する。第2取付孔71に第2クリップ72の頭部72aが取り付けられる。第2クリップ72の係止部72bが第2交差壁39の係止孔74に係止されることにより、第2交差壁39に第2拡大壁67が第2クリップ72で取り付けられる。
第1拡大壁66を第1交差壁38で支え、第2拡大壁67を第2交差壁39で支えた状態で、第2交差壁39に第2拡大壁67が第2クリップ72で取り付けられる。これにより、上端開口部46が拡大部47とともに後交差部35(すなわち、第1交差壁38、第2交差壁39)に安定的に保持される。
図7、図9に示すように、上端開口部46の外開口辺46aおよび内開口辺46cに閉鎖部48が一体に形成されている。
具体的には、閉鎖部48は、外開口辺46aのうち前部46dを除いた部位46eと、内開口辺46cの前部46fを除いた部位46gとに連結され、平面視略三角形状や平面視略半楕円形状に形成されている。さらに、閉鎖部48は、後端48aから中空部45の中央に向けて下方に傾斜するように傾斜状に形成されている。
上端開口部46の略後半部が閉鎖部48で部分的に閉鎖され、上端開口部46の略前半部46hが開口された状態に保たれる。上端開口部46は中空部45より大きく形成されている。よって、上端開口部46に設けられた閉鎖部48は大きく形成されている。さらに、上端開口部46の略前半部46hは大きく開口されている。
閉鎖部48で上端開口部46の略後半部を部分的に閉鎖することにより、上下シール部材21(特に、上端開口部46)の外観性を確保できる。さらに、閉鎖部48を中空部45の中央に向けて下向きに傾斜させることにより、閉鎖部48で受けた水を上端開口部46の略前半部46hの開口に良好に導くことができる。
これにより、上下シール部材21(特に、上端開口部46)の外観性を確保し、かつ、水を案内する水路としての役割を両立させることができる。
また、閉鎖部48の下方に第2クリップ72が設けられている。これにより、第2クリップ72を閉鎖部48で上方から覆うことができ、第2クリップ72を目視できないように閉鎖部48で目隠しできる。
つぎに、前ドア開口部12の上縁12c(図1参照)および前サイドドア13の後交差部35間から流れ込んだ水を上下シール部材21で捕獲する例を図10に基づいて説明する。
図10(a)に示すように、前ドア開口部12の上縁12cおよび前サイドドア13の後交差部35間から車室側、すなわち上下シール部材21の閉鎖部48の上方側に水が矢印Cの如く流れ込む。
ここで、閉鎖部48が大きく形成され、上端開口部46の略前半部46hが大きく開口されている。よって、閉鎖部48の上方側に流れ込んだ水を閉鎖部48で効率よく受けることができる。閉鎖部48で受けた水が上端開口部46の略前半部46hの開口に向けて矢印Dの如く導かれ、開口を経て拡大部47の内部空間65に矢印Eの如く導かれる。
あるいは、閉鎖部48の上方側に流れ込んだ水の一部が上端開口部46の略前半部46hの開口に直接導かれ、開口を経て拡大部47の内部空間65に矢印Eの如く導かれる。
拡大部47の内部空間65に導かれた水が中空部45の内部空間54に矢印Fの如く導かれる。これにより、前ドア開口部12の上縁12c(図1参照)および前サイドドア13の後交差部35間に流れ込んだ水を上下シール部材21で確実に捕獲することができる。
さらに、前ドア開口部12の上縁12c(図1参照)および前サイドドア13の後交差部35間に流れ込んだ水を閉鎖部48で受けて上端開口部46の略前半部46hの開口に導くようにした。
よって、流れ込んだ水の力が上下シール部材21(特に、上端21a)にかかることを防止できる。これにより、上下シール部材21を流れ込んだ水の力に影響されることなく安定状態に保つことができる。
図10(b)に示すように、前サイドドア13のドア本体24の前端部31近傍(すなわち、ヒンジ部25の支持軸29)を軸にして前サイドドア13が矢印Gの如く車幅方向に開閉される。
このため、ドア本体24の後端部32の回動速度が速くなり、ドア本体24の後端部32側に流れ込んだ水が飛び散ることが考えられる。
そこで、ドア本体24の後端部32に上下シール部材21を取り付けた。よって、ドア本体24の後交差部35側に流れ込んだ水を、上下シール部材21の上端開口部46から中空部45に導いて上下シール部材21で捕獲できる。
これにより、ドア本体24の後端部32側に流れ込んだ水が飛び散ることを好適に抑えることができる。
実施例2に係るドアシール付き車体構造80について説明する。
図11に示すように、ドアシール付き車体構造80は、実施例1の上下シール部材21(図5参照)に代えて上下シール部材81を備えたもので、その他の構成は実施例1のドアシール付き車体構造10と同様である。
図12、図13に示すように、上下シール部材81は、上下シール部材21の閉鎖部48(図9参照)に代えて閉じ壁82、排水口83およびリップ形状部84を有するもので、その他の構成は実施例1の上下シール部材21と同様である。
拡大部47の下方に隣接して閉じ壁82が設けられ、閉じ壁82に臨むように排水口83が形成されている。さらに、排水口83に隣接してリップ形状部84が形成されている。
図14に示すように、閉じ壁82は、中空部45の上部45bに設けられ、拡大部47の下方に隣接して形成されている。中空部45の上部45bは、上端45aおよび下側部45c間の部位である。
すなわち、閉じ壁82は、中空部45のシール壁53の内側シール壁53aから、中空部45の第2取付部52に向けて下り勾配に傾斜状に形成されている。
具体的には、シール壁53の内側シール壁53aにおいて、閉じ壁82の上端82aが排水口83の上端83aと略同じ高さ位置に配置されている。さらに、第2取付部52において、閉じ壁82の下端82bが排水口83の下端83bと略同じ高さ位置に配置される。
よって、閉じ壁82は排水口83の下端83bに向けて下り勾配に傾斜されている。この閉じ壁82は、上下方向においてドアロック機構26(図2参照)より高い位置に設けられている。
中空部45の上部45bに閉じ壁82が形成されることにより、中空部45の上部45bが上下に分断される。
排水口83は、中空部45の第2取付部52のうち、閉じ壁82と同じ高さ位置にドア厚さ方向(矢印B方向)を向いて開口されている。排水口83は、上端83a、下端83b、前辺83cおよび後辺83dで略矩形状に形成されている(図12、図13参照)。
この排水口83は、拡大部47の内部空間65を経て上端開口部46に連通するように形成されている。
よって、前ドア開口部12の上縁12cおよび前サイドドア13の後交差部35間に流れ込んだ水を上端開口部46を経て排水口83に導き、導かれた水を排水口83から排出させて上下シール部材81の第2取付部52に沿って下方に流すことができる。
また、閉じ壁82がドアロック機構26(図2参照)より高い位置に配置され、閉じ壁82と同じ高さ位置の排水口83がドア厚さ方向(矢印B方向)へ向けられて開口されている。さらに、ドアロック機構26が上下シール部材81よりもドア本体24の前端部31側(すなわち、ドア幅方向(矢印A))に位置している。
よって、ドアロック機構26に対して周方向に重ならない位置(すなわち、ずらした位置)に排水口83が配置される。これにより、排水口83から排出する水をドアロック機構26から離して下方に流すことができる。
さらに、閉じ壁82が排水口83に向けて下り勾配に傾斜されている。よって、上端開口部46に流れ込んだ水を閉じ壁82を経て排水口83に円滑に導くことができる。これにより、前ドア開口部12の上縁12cおよび前サイドドア13の後交差部35間に流れ込んだ水を一層好適に捕獲することができる。
図13に戻って、拡大部47の第2拡大壁67において第2クリップ72に沿ってクリップリブ86が外方に向けて突出するようにリング状に設けられている。クリップリブ86の一端86aから下方に向けてリップ形状部84が延在されている。
すなわち、リップ形状部84は、第2拡大壁67および第2取付部52に延在されている。
特に、リップ形状部84は、第2取付部52のうち、第1取付部51および第2取付部52の取付交差部55に沿って上下方向に延在されている。このリップ形状部84は、排水口83の前辺83c近傍に位置し、かつ、穴部56および前辺83c間に配置されている。
さらに、リップ形状部84は、第1取付部51の外面から車幅方向外方に向けて突出されている。
ここで、上下シール部材81の第2取付部52に排水口83が設けられることにより、上下シール部材81の剛性を確保し難くなることが考えられる。そこで、リップ形状部84を排水口83の近傍に位置させた。
これにより、リップ形状部84で上下シール部材81の剛性を補うことができ、上下シール部材81の剛性を確保できる。
また、穴部56は第1取付部51(すなわち、中空部45のうちドアロック機構26(図2参照)に対向する部位)に形成されている。さらに、穴部56および排水口83間に上下方向に延びるリップ形状部84が形成されている。
よって、排水口83から排出された水が穴部56やドアロック機構26に流れることをリップ形状部84で防ぐことができる。
つぎに、前ドア開口部12の上縁12cおよび前サイドドア13の後交差部35間から流れ込んだ水を上下シール部材81で捕獲する例を図15に基づいて説明する。
図15(a),(b)に示すように、前ドア開口部12の上縁12cおよび前サイドドア13の後交差部35間から車室側、すなわち上下シール部材81の上端開口部46の上方側に水が矢印Hの如く流れ込む。
ここで、上端開口部46の水受入口63が大きく開口されている。よって、上端開口部46の上方側に流れ込んだ水を水受入口63で効率よく受けることができる。水受入口63で受けた水が水受入口63を経て拡大部47の内部空間65に矢印Iの如く導かれる。
拡大部47に導かれた水が閉じ壁82に向けて矢印Jの如く導かれる。
閉じ壁82に導かれた水が閉じ壁82を経て排水口83から矢印Kの如く排出させて上下シール部材81に沿って下方に流すことができる。これにより、前ドア開口部12の上縁12cおよび前サイドドア13の後交差部35間に流れ込んだ水を確実に捕獲することができる。
また、前ドア開口部12の上縁12cおよび前サイドドア13の後交差部35間に流れ込んだ水を上端開口部46の水受入口63に導くようにした。
よって、流れ込んだ水の力が上下シール部材81(特に、上端81a(実施例1の上端21aに相当する部位))にかかることを防止できる。これにより、上下シール部材81を流れ込んだ水の力に影響されることなく安定状態に保つことができる。
さらに、ドアロック機構26(図2参照)より高い位置に排水口83が配置され、ドアロック機構26に対して周方向に重ならない位置(すなわち、ずらした位置)に排水口83が配置される。
これにより、排水口83から排出する水をドアロック機構26から離して下方に流すことができ、ドアロック機構26に水がかかることを防ぐことができる。
加えて、穴部56および排水口83間に上下方向に延びるリップ形状部84が形成されている。これにより、排水口83から排出された水が穴部56やドアロック機構26(図2参照)に流れることをリップ形状部84で防ぐことができ、ドアロック機構26に水がかかることを一層好適に防ぐことができる。
また、排水口83から排出された水が、穴部56から中空部45内に流れ込むことをリップ形状部84で防ぐことができる。よって、排水口83から排出された水を上下シール部材81に沿って下方に円滑に導くことができる。
これにより、前ドア開口部12の上縁12cおよび前サイドドア13の後交差部35間に流れ込んだ水を一層確実に捕獲することができる。
なお、本発明に係るドアシール付き車体構造は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例2では、上下シール部材81の上端開口部46に閉鎖部48を設けない構成について説明したが、これに限らないで、実施例1の上下シール部材21と同様に上端開口部46に閉鎖部48を設けることも可能である。
上端開口部46に閉鎖部48を設けることにより、実施例1と同様に、閉鎖部48で第2クリップ72を上方から覆うことができ、第2クリップ72を目視できないように目隠しできる。
また、前記実施例1および前記実施例2では、前サイドドア13の後端部32に上下シール部材21,81を取り付けた例について説明したが、これに限らないで、前サイドドア13の前端部31に上下シール部材21,81を取り付けることも可能である。
さらに、後サイドドア16の前端部や後端部に上下シール部材21,81を取り付けることも可能である。加えて、後部ドアの左側部や右側部に上下シール部材21,81を取り付けることも可能である。
さらに、前記実施例1および前記実施例2で示した車体、ドアシール付き車体構造、前ドア開口部、前サイドドア、上縁シール部材、上下シール部材、ドア本体、ドアロック機構、中空部、上端開口部、拡大部、閉鎖部、第1取付部、穴部、第2クリップ、閉じ壁、排水口およびリップ形状部などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
本発明は、車体のドア開口部にドアが開閉自在に支持され、ドアに上下シール部材が取り付けられたドアシール付き車体構造を備えた自動車への適用に好適である。
10,80…ドアシール付き車体構造、12…前ドア開口部(ドア開口部)、12c…前ドア開口部の上縁、13…前サイドドア(ドア)、18…上縁シール部材、21,81…上下シール部材、24…ドア本体、26…ドアロック機構、31…ドア本体の前端部(ドアの一端)、32…ドア本体の後端部(ドアの他端、ドア幅方向端部)、45…中空部、45a…中空部の上端、46…上端開口部、47…拡大部、47b…拡大部の上端、48…閉鎖部、51…第1取付部(中空部のうちドア厚さ方向の部位)、56…穴部、72…第2クリップ(クリップ)、82…閉じ壁、83…排水口、84…リップ形状部、Ve…車体。

Claims (7)

  1. 車体のドア開口部にドアが開閉自在に支持されたドアシール付き車体構造において、
    前記ドア開口部の上縁に沿って前記車体に取り付けられる上縁シール部材と、
    前記上縁シール部材に対して上下方向で離間し、かつ、上下方向に延在し、前記ドアのドア幅方向端部に取り付けられる上下シール部材と、を備え、
    前記上下シール部材は、
    下方に向けて中空状に形成された中空部と、
    前記中空部の上方において上向きに開口された上端開口部と、
    前記上端開口部および前記中空部間に介在し、上端が開口され且つ拡大された拡大部と、を有し、
    前記ドアは、該ドアの一端を軸に回動可能に前記車体に支持され、
    前記ドアは、
    該ドアを前記車体に固定するためのドアロック機構を備え、該ドアロック機構は前記上下シール部材よりも前記一端側に位置し、
    前記上下シール部材は、
    上下方向において前記ドアロック機構より高い位置に設けられ、前記中空部を上下に分断する閉じ壁と、
    前記閉じ壁と同じ高さ位置に前記ドアのドア厚さ方向を向いて設けられ、かつ、前記上端開口部に連通する排水口と、
    を有することを特徴とするドアシール付き車体構造。
  2. 前記上下シール部材は、前記ドアの他端に取り付けられた、請求項1記載のドアシール付き車体構造。
  3. 前記閉じ壁は前記排水口に向けて傾斜している、請求項1記載のドアシール付き車体構造。
  4. 前記上下シール部材は、
    前記中空部の成形の際に、該中空部のうちドア厚さ方向の部位に形成される穴部と、
    前記穴部および前記排水口間において上下方向に延在され、外方に向けて突出するリップ形状部と、
    を有する、請求項1または請求項4記載のドアシール付き車体構造。
  5. 前記リップ形状部は、前記排水口の近傍に位置している、請求項5記載のドアシール付き車体構造。
  6. 前記上下シール部材は、
    上記上端開口部を部分的に閉鎖し、前記中空部の中央に向けて下方に傾斜する閉鎖部を有する、請求項1または請求項2記載のドアシール付き車体構造。
  7. 前記上下シール部材は、前記閉鎖部の下方において前記ドアにクリップで取り付けられる、請求項7記載のドアシール付き車体構造。
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