JP6052589B2 - 立体的に視認される画像が形成された積層体、および当該積層体を備えた容器 - Google Patents

立体的に視認される画像が形成された積層体、および当該積層体を備えた容器 Download PDF

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Description

本発明は、立体的に視認される画像が形成された積層体に関する。また本発明は、積層体を備える容器に関する。
従来、立体的に視認される画像を形成する様々な方法が提案されている。例えば特許文献1において、平面的な印刷層の上に、凹凸を有する透明インク層を形成する方法が提案されている。ここで印刷層は、実物の油絵などの立体的な対象物を平面的に再現したものであり、また透明インク層の凹凸は、立体的な対象物における凹凸、例えば油絵の絵の具の盛り上がりに起因する凹凸とほぼ相似するよう定められている。特許文献1に記載の方法によれば、透明インク層の凹凸における光の反射や屈折を利用することにより、印刷層に立体的な質感が付与され得る。
また特許文献2においては、印刷層の上に、平行に並べられた複数の凹凸模様要素を含む群を設ける方法が提案されている。この場合、凹凸模様要素が延びる方向が各群において異なっており、この結果、光の反射が各群において異なっている。これによって、特定の群における複数の凹凸模様要素が他の群の複数の凹凸模様要素に対して浮き上がって見えるようにすることができ、このことにより、立体的な質感が付与され得る。
特開2003−341216号公報 特開2008−260217号公報
従来の方法においては、観察者から視認される図柄などが形成された印刷層と、印刷層上に形成された凹凸を含む層とを組み合わせることによって、図柄の立体感が表現されている。従って従来の方法においては、印刷層および凹凸を含む層の両方を準備する必要があり、このため工程が煩雑になると考えられる。また、特に特許文献1に記載の方法においては、立体的な対象物における凹凸とほぼ相似する凹凸を透明インク層に形成する必要があり、この結果、製造工程がさらに煩雑になると考えられる。
また従来の方法は、凹凸の深さや方向に応じて特定の部分のみが浮き上がって見えるようにするためのものである。このため従来の方法においては、画像の一部分が断続的に浮き上がっているような立体感を実現することはできても、画像が所定の領域にわたって連続的に浮き上がっているような立体感を実現することはできないと考えられる。すなわち従来の方法においては、画像が全体として立体的に視認されるという効果を実現することが困難であると考えられる。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る積層体および容器を提供することを目的とする。
本発明は、観察側から立体的に視認される画像が形成された積層体であって、前記積層体は、観察側から順に配置された金属層および基材を少なくとも含み、前記画像は、観察側に向かって突出するとともに前記積層体の観察側の表面において線状に延び、かつ前記金属層を含む複数の線状凸部を有し、画像を観察側から見た場合に、前記画像が形成されている領域は、画像の内側から外側に向かって延びる複数の境界部によって、複数の単位画像領域に仮想的に区画されており、各単位画像領域において、各線状凸部は、一方の境界部から他方の境界部まで互いに交わらないよう延びており、1つの前記境界部を基準として、当該境界部に接する2つの単位画像領域のうちの一方を一側単位画像領域と称し、他方を他側単位画像領域と称し、一側単位画像領域に含まれる1つの前記線状凸部と前記境界部との交点を一側交点と称し、前記他側単位画像領域に含まれる複数の前記線状凸部と前記境界部との交点のうち前記一側交点に最も近接する交点を他側交点と称する場合、前記一側交点における前記一側単位画像領域の前記線状凸部の延びる方向と、前記他側交点における前記他側単位画像領域の前記線状凸部の延びる方向とが異なっている、積層体である。
本発明による積層体において、複数の前記境界部は各々、前記画像の内側から外側に向かって放射状に延びていてもよい。
本発明による積層体の各単位画像領域において、好ましくは、隣り合う2つの前記線状凸部の間の間隔が、0〜500μmの範囲内であり、前記線状凸部の幅が、50〜300μmの範囲内であり、前記線状凸部の高さが、10〜50μmの範囲内である。
本発明による積層体において、前記一側交点における前記一側単位画像領域の前記線状凸部の延びる方向と、前記他側交点における前記他側単位画像領域の前記線状凸部の延びる方向とが成す角が、好ましくは30〜150度の範囲内である。
本発明による積層体において、前記線状凸部の前記金属層は、互いに異なる法線方向を有する少なくとも2つの反射面を含んでいてもよい。
本発明による積層体において、複数の前記境界部は各々、画像の内側から外側に向かって直線状に延びていてもよい。
本発明による積層体において、各単位画像領域の複数の前記線状凸部は各々、隣り合う前記単位画像領域の前記線状凸部と前記境界部において接続されており、この結果、前記画像は、互いに接続された前記線状凸部から構成され、前記各境界部に角部が形成された複数のループ状凸部を含んでいてもよい。
本発明による積層体において、各ループ状凸部の形状が相似していてもよい。
本発明による積層体において、複数の前記境界部は各々、画像の内側から外側に向かって非直線状に延びていてもよい。
本発明は、内容物を収容する容器であって、前記容器の外側の表面を少なくとも部分的に構成するよう配置された積層体を備え、前記積層体が、上記記載の積層体からなる、容器である。
本発明による積層体において、前記積層体の前記基材が、前記容器の内容物を収容するための収容空間を画定するよう成形されていてもよい。
本発明によれば、立体的に視認される画像が形成された積層体を簡易に提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態において、積層体に形成された画像を示す平面図。 図2は、図1の積層体をII−II方向から見た縦断面図。 図3は、図1において符号IIIで示されている領域を拡大して示す平面図。 図4(a)〜(d)は、積層体を製造する方法を示す図。 図5は、積層体に形成された画像が立体的に視認される様子を示す斜視図。 図6は、画像が形成された積層体を用いて作製された容器を示す図。 図7は、積層体の金属層の変形例を示す断面図。 図8は、積層体の金属層の変形例を示す断面図。 図9Aは、積層体の金属層の変形例を示す断面図。 図9Bは、積層体の金属層の変形例を示す断面図。 図10は、積層体がさらに着色層を含む例を示す断面図。 図11は、積層体がさらに粘着層を含む例を示す断面図。 図12は、積層体がさらに熱可塑性樹脂層を含む例を示す平面図。 図13は、積層体の線状凸部の変形例を示す図。 図14は、積層体の境界部の変形例を示す図。 図15は、積層体の境界部の変形例を示す図。 図16は、線状凸部によって表現される画像の変形例を示す図。 図17は、線状凸部によって表現される画像の変形例を示す図。 図18は、線状凸部によって表現される画像の変形例を示す図。 図19は、隣り合う2つの線状凸部の間の間隔が、画像の外側に向かうにつれて変化する例を示す図。 図20は、線状凸部が曲線的に形成される例を示す図。 図21は、積層体の境界部が非直線状に延びる例を示す平面図。 図22は、積層体の境界部が非直線状に延びる例を示す平面図。 図23Aは、実施例1Aにおいて得られた画像を示す斜視図。 図23Bは、実施例1Bにおいて得られた画像を示す斜視図。 図23Cは、実施例1Cにおいて得られた画像を示す斜視図。 図23Dは、実施例1Dにおいて得られた画像を示す斜視図。 図23Eは、実施例1Eにおいて得られた画像を示す斜視図。 図23Fは、実施例1Fにおいて得られた画像を示す斜視図。 図23Gは、実施例1Gにおいて得られた画像を示す斜視図。 図23Hは、実施例1Hにおいて得られた画像を示す斜視図。 図23Iは、実施例1Iにおいて得られた画像を示す斜視図。 図23Jは、実施例1Jにおいて得られた画像を示す斜視図。 図23Kは、実施例1Kにおいて得られた画像を示す斜視図。 図23Lは、実施例1Lにおいて得られた画像を示す斜視図。 図23Mは、実施例1Mにおいて得られた画像を示す斜視図。 図23Nは、実施例1Nにおいて得られた画像を示す斜視図。 図23Oは、実施例1Oにおいて得られた画像を示す斜視図。 図23Pは、実施例1Pにおいて得られた画像を示す斜視図。 図23Qは、実施例1Qにおいて得られた画像を示す斜視図。 図23Rは、実施例1Rにおいて得られた画像を示す斜視図。 図24Aは、実施例2Aにおいて得られた画像を示す斜視図。 図25Aは、実施例3Aにおいて得られた画像を示す斜視図。 図25Bは、実施例3Bにおいて得られた画像を示す斜視図。 図26Aは、実施例4Aにおいて得られた画像を示す斜視図。 図26Bは、実施例4Bにおいて得られた画像を示す斜視図。 図27Aは、実施例5Aにおいて得られた画像を示す斜視図。 図27Bは、実施例5Bにおいて得られた画像を示す斜視図。 図27Cは、実施例5Cにおいて得られた画像を示す斜視図。 図28Aは、実施例6Aにおいて得られた画像を示す斜視図。 図28Bは、実施例6Bにおいて得られた画像を示す斜視図。 図28Cは、実施例6Cにおいて得られた画像を示す斜視図。 図29Aは、実施例7Aにおいて得られた画像を示す斜視図。 図29Bは、実施例7Bにおいて得られた画像を示す斜視図。 図30Aは、実施例8Aにおいて得られた画像を示す斜視図。
以下、図1乃至図6を参照して、本発明の実施の形態について説明する。まず図2により、本実施の形態における積層体10の層構成について説明する。図2は、画像20が形成された積層体10を示す縦断面図である。
積層体
図2に示すように、積層体10は、観察側から順に配置された金属層13、接着層12および基材11を含んでいる。ここで「観察側」とは、積層体10に形成された画像20を視認する観察者が居る側のことである。例えば後述するように、容器の外側の表面が少なくとも部分的に積層体10によって構成される場合、観察側とは容器の外側のことである。図2においては、上側が観察側となっている。
金属層13は、金属光沢を呈するよう構成された層であり、金属材料を含んでいる。金属材料としては、例えばアルミニウムや銀が用いられ得る。金属層13の具体的な形態が特に限られることはない。例えば金属層13は、金属箔と称されるものであってもよく、若しくは金属蒸着膜と称されるものであってもよい。
金属層13を適切に支持することができる限りにおいて、基材11を構成する材料が特に限られることはない。例えば基材11として、紙を用いることができ、または、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルムを用いることもできる。
接着層12は、金属層13を基材11に対して接合するために必要に応じて設けられる層である。金属層13を基材11に対して適切に接合することができる限りにおいて、接着層12の材料が特に限られることはない。例えば接着層12として、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等のホットメルト樹脂や、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
画像
次に、積層体10に形成される画像20について、図1乃至図3を参照して説明する。図2に示すように、画像20は、観察側に向かって突出するとともに積層体10の観察側の表面において線状に延び、かつ金属層13を含む複数の線状凸部20aを有している。線状凸部20aによって表現される画像20が立体的に視認され得る限りにおいて、各線状凸部20aの具体的な形状が特に限られることはない。例えば図2に示す例において、各線状凸部20aは、湾曲した表面を有しており、より具体的には半楕円形の断面形状を有している。
図2に示すように、各線状凸部20aの表面には金属層13が配置されている。このため、線状凸部20aにおける光の反射特性は、主に、金属層13の観察側の表面の形状、および金属層13を構成する金属材料の光学特性によって決定される。なお、線状凸部20aの内部の構造が特に限られることはない。例えば図2に示すように、各線状凸部20aにおいて、金属層13の内側には接着層12および基材11が存在していてもよい。若しくは、後述するように、線状凸部20aの表面だけでなく線状凸部20aの内部も金属層13によって構成されていてもよい。なお以下の説明において、金属層13のうち線状凸部20aを構成する部分を凸部13aとも称し、また、2つの凸部13aの間に位置する部分を中間部13bとも称する。なお図2に示す例においては、中間部13bの表面が、基材11と平行に延びる平坦面として描かれているが、これに限られることはなく、中間部13bの表面が、凸部13aよりも小さい程度で起伏していてもよい。
好ましくは、各線状凸部20aの金属層13の観察側の表面は、互いに異なる法線方向を有する少なくとも2つの反射面を含むよう、構成されている。例えば図2に示す例において、金属層13の観察側の表面は湾曲した形状となっている。このため、線状凸部20aの金属層13の観察側の表面は様々な法線方向を有しており、例えば図2に示すように、互いに異なるn,n,nという法線方向を有している。
図2において、隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔が符号sで示されており、線状凸部20aの幅が符号wで示されており、線状凸部20aの高さが符号hで示されている。ここで線状凸部20aの幅とは、線状凸部20aが延びる方向に直交する方向における線状凸部20aの寸法のことであり、線幅と称されることもある。
次に図1を参照して、積層体10の画像20を観察側から見た場合の、画像20の各線状凸部20aの構造について説明する。ここでは、積層体10のうち画像20が形成されている領域を、画像20の内側、例えば画像20の中心Cまたは中心Cの近傍から外側に向かって放射状に延びる複数の境界部36によって複数の単位画像領域に仮想的に区画した上で、各線状凸部20aの構造について説明する。図1においては、各境界部36が点線によって描かれている。なお各境界部36は、印刷などによって積層体10に実際に示されているものであってもよく、若しくは、実際には積層体10に描かれていない、仮想的なものであってもよい。また境界部36は、有意な幅を有さない、いわゆる線として構成されていてもよく、若しくは、有意な幅を有する領域として構成されていてもよい。図1においては、各境界部36が線として構成される例が示されている。
なお各境界部36は、図1に示すように、画像20の内側から外側に向かって直線状に延びていてもよく、若しくは後述するように、画像20の内側から外側に向かって非直線状に延びていてもよい。好ましくは、図1に示すように、複数の境界部36は各々、最も内側に位置する線状凸部20aよりも内側にある領域において、例えば画像20の中心Cにおいて、互いに接続されている。
図1において、各境界部36によって区画された単位画像領域が、第1単位画像領域21、第2単位画像領域22、第3単位画像領域23および第4単位画像領域24として示されている。また図1において、各単位画像領域21〜24の線状凸部20aが、それぞれ第1線状凸部21a,第2線状凸部22a,第3線状凸部23aおよび第4線状凸部24aとして示されている。
各単位画像領域21〜24において、各線状凸部21a〜24aは、一方の境界部36から他方の境界部36まで互いに交わらないように延びている。例えば図1に示すように、第1単位画像領域21において、複数の第1線状凸部21aは、互いに交わらないように平行に延びている。その他の単位画像領域22〜24についても同様である。これによって、1つの単位画像領域において得られる線状凸部からの反射光の強度や角度を、当該単位画像領域の位置によらずほぼ均一にすることができる。すなわち、1つの単位画像領域が観察者によって視認される際の見え方を、ほぼ均一なものとすることができる。なお、単位画像領域21〜24がそれぞれ観察者によってほぼ均一なものとして視認される限りにおいて、各単位画像領域21〜24における複数の線状凸部が互いに平行になっていなくてもよい。
次に、線状凸部20aが延びる方向について、図3を参照してさらに説明する。図3は、図1において符号IIIで示されている領域を拡大して示す平面図である。本実施の形態においては、1つの境界部36を基準として、当該境界部36に接する2つの単位画像領域のうちの一方を一側単位画像領域と称し、他方を他側単位画像領域と称し、一側単位画像領域に含まれる1つの線状凸部20aと境界部36との交点を一側交点と称し、他側単位画像領域に含まれる複数の線状凸部20aと境界部36との交点のうち一側交点に最も近接する交点を他側交点と称する場合、一側交点における一側単位画像領域の線状凸部20aの延びる方向と、他側交点における他側単位画像領域の線状凸部20aの延びる方向とが異なるよう、画像20が構成されている。例えば、第1単位画像領域21と第2単位画像領域22との間の境界部36を基準とする場合、第1単位画像領域21が一側単位画像領域に相当し、第2単位画像領域22が他側単位画像領域に相当する。この場合、例えば図3に示す第1交点21bが一側交点に相当し、また第2交点22bが他側交点に相当する。そして図3に示すように、第1線状凸部21aおよび第2線状凸部22aは、第1交点21bにおける第1線状凸部21aの延びる方向Dと、第2交点22bにおける第2線状凸部22aの延びる方向Dとが異なるよう、構成されている。図3において、方向Dと方向Dとが成す角度が符号θで表されている。
このように本実施の形態においては、線状凸部が延びる方向が境界部36を境として不連続に変化するよう、各単位画像領域21〜24の各線状凸部21a〜24aが構成されている。また上述のように、各線状凸部20aの金属層13の観察側の表面は、互いに異なる法線方向を有する少なくとも2つの反射面を含むよう、構成されている。この結果、各線状凸部21a〜24aによって反射されて観察者に到達する光の強度や角度などを、境界部36を境として不連続に変化させることができる。これによって、1つの単位画像領域、例えば第1単位画像領域21が観察者によって視認される際の見え方と、第1単位画像領域21に隣り合う第2単位画像領域22および第4単位画像領域24が観察者によって視認される際の見え方とを異ならせることができる。例えば、第2単位画像領域22および第4単位画像領域24よりも第1単位画像領域21が明るく見えるようにすることができ、これによって、第1単位画像領域21を他の領域22,24に対して浮き上がらせ、画像20が立体的に視認されるようにすることができる。
図1に示すように、境界部36を介して隣り合う2つの単位画像領域の各線状凸部20aは、境界部36に対して線対称となるよう配置されていてもよい。これによって、隣り合う2つの単位画像領域が視認される際の見え方の差を目立たせることができ、このことにより、画像20が立体的に視認される効果をさらに高めることができる。
隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔s、線状凸部20aの幅w、および線状凸部20aの高さhは、上述のように各単位画像領域21〜24の見え方を異ならせ、これによって画像20の立体感が実現されるよう、適切に設定される。例えば後に説明する実施例によって支持されるように、間隔sは0〜500μmの範囲内となっており、より好ましくは0〜400μmの範囲内となっている。また幅wは、例えば50〜300μmの範囲内となっており、より好ましくは100〜200μmの範囲内となっている。また高さhは、例えば10〜50μmの範囲内となっており、より好ましくは20〜50μmの範囲内となっている。
なお、隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sは、線状凸部20aの幅wと基準として相対的に設定されていてもよい。例えば間隔sは、幅wの2倍以下となるよう設定されていてもよい。また、隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sは、画像20内の一点からの距離に依らず一定となっていてもよく、若しくは、画像20内の一点からの距離に応じて異なっていてもよい。例えば、画像20の外側に向かうにつれて、間隔sが大きく、若しくは小さくなってもよい。
また、第1交点21bにおける第1線状凸部21aの延びる方向Dと、第2交点22bにおける第2線状凸部22aの延びる方向Dとが成す角度θも、画像20の立体感が実現されるよう、適切に設定されている。例えば角度θは、30〜150度の範囲内に設定される。なお角度θは、上述の間隔s、幅wまたは高さhに応じて設定されていてもよい。
ところで図1に示す例において、各単位画像領域21〜24の線状凸部21a〜24aは各々、隣り合う単位画像領域21〜24の線状凸部21a〜24aと境界部36において接続されている。例えば図3に示すように、第1線状凸部21aと第2線状凸部22aとが境界部36上において接続されている。この結果、互いに接続された各線状凸部21a〜24aによって、画像20内の一点、例えば中心Cのまわりを一周する複数のループ状凸部37が構成されている。ここで上述のように、各線状凸部21a〜24aは、線状凸部が延びる方向が境界部36を境として不連続に変化するよう、構成されている。このため、各ループ状凸部37は、境界部36と交わる位置において角部38を有することになる。従って図1に示す例において、境界部36は、画像20を構成する複数のループ状凸部37の角部38を通るよう画像20の内側から外側へ延びるものとしても定義され得る。
各ループ状凸部37は、四角形の形状を有する多角形状凸部37aであってもよい。多角形状凸部37aは、図1に示すように、正四角形などの正多角形の形状を有していてもよい。ここで、正多角形の多角形状凸部37aが同心状かつ平行に配置される場合、各境界部36は、多角形状凸部37aの中心から各多角形状凸部37aの角部38を通って外側へ延びる線となっている。なお正多角形とは、全ての辺の長さが等しく、全ての内角の大きさが等しい多角形のことである。また正多角形の多角形状凸部37aの中心とは、全ての角部38から等しい距離にある位置のことである。
好ましくは、画像20を構成する複数のループ状凸部37は各々、互いに相似した形状を有している。これによって、画像20が観察者によって視認される際の各単位画像領域21〜24の見え方を規則的に変化させることができ、このことにより、画像20が立体的に視認される効果をさらに高めることができる。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について説明する。ここでは、積層体10の製造方法について、図4(a)〜(d)を参照して説明する。図4(a)〜(d)は、ホットスタンプ法を用いて積層体10の画像20を作製する方法を示す図である。
はじめに図4(a)に示すように、基材11および転写シート40を準備する。基材11および転写シート40は、ロールトゥーロールで供給されてもよく、若しくは枚葉で供給されてもよい。転写シート40は、所望の形状に成形された金属層13を転写によって基材11上に設けるために用いられるものである。図4(a)に示すように、転写シート40は、基材11側から順に配置された接着層12、金属層13、離型層42および基材41を含んでいる。
基材41は、接着層12、金属層13および離型層42を適切に支持するとともに、後述する型50によって押圧される際に適切に変形することができるよう構成されている。例えば基材41として、ポリエステルフィルムが用いられる。離型層42は、ホットスタンプ工程の際に金属層13を基材41から剥離させるために金属層13と基材41との間に介在される層である。離型層42は、ワックスなどの離型性を呈する材料を含んでいる。
次に、図4(b)に示すように、線状凸部20aに対応した形状を有する凹部51と、凹部51間に形成された凸部52と、を含む型50を準備する。その後、加熱された状態の型50を転写シート40の基材41に押し当てるホットスタンプ工程を実施する。この結果、図4(c)に示すように、型50の凹部51に沿って変形された転写シート40が基材11に押し付けられる。この際、基材11が型50の凹部51に沿って変形してもよい。次に、型50を基材11から引き離す。この際、転写シート40の接着層12および金属層13が離型層42に沿って基材41から剥離され、この結果、図4(d)に示すように、基材11のうち転写シート40を介して型50によって押圧された部分の上に、型50の凹部51に沿って変形された接着層12および金属層13が残る。このようにして、観察側に向かって突出した金属層13の凸部13aを含む線状凸部20aを形成することができる。なお積層体10は、複数の線状凸部20aから構成された画像20が形成されている領域だけでなく、画像20が形成されていない領域20’を含んでいてもよい。以下の説明において、画像20が形成されていない領域20’を非画像領域20’とも称する。なお図4(d)に示す例においては、非画像領域20’には接着層12および金属層13が設けられていないが、これに限られることはない。非画像領域20’が少なくとも基材11を含む限りにおいて、非画像領域20’の層構成が特に限られることはない。
図5は、上述のホットスタンプ工程によって作製された画像20を示す斜視図である。上述のように、各線状凸部21a〜24aは、線状凸部が延びる方向が境界部36を境として不連続に変化するよう、構成されている。このため、各線状凸部21a〜24aによって反射されて観察者に到達する光の強度や角度などを、境界部36を境として不連続に変化させることができる。これによって、1つの単位画像領域、例えば第1単位画像領域21が観察者によって視認される際の見え方と、第1単位画像領域21に隣り合う第2単位画像領域22および第4単位画像領域24が観察者によって視認される際の見え方とを異ならせることができる。図5においては、このような見え方の相違を表現するため、便宜上、隣り合う各単位画像領域21〜24に、互いに異なる模様が付されている。図5に示すように、本実施の形態によれば、1つの単位画像領域を、隣り合う他の単位画像領域に対して浮き上がらせる、若しくは沈ませることができる。
ここで本実施の形態によれば、複数の境界部36が、画像20の内側から外側に向かって、例えば放射状に延びている。この結果、単位画像領域21〜24は各々、画像20の内側から外側に向かって連続的に広がっている。すなわち、観察者によってほぼ均一なものとして視認される領域が、画像20の内側から外側に向かって連続的に広がっている。また各単位画像領域21〜24は、画像20の中心Cを回転中心として円周状に順次並べられている。このため、画像20が観察者によって視認される際の見え方が、円周状に順次変化するようになっている。これらのことにより、画像20が全体として立体的に視認されるという効果を実現することができる。例えば図5に示すように、画像20が4つの境界部36によって4つの単位画像領域21〜24に区画されている場合、画像20は、中心Cを頂点とした四角錐のように視認されるようになる。
次に、立体的に視認される画像20が形成された積層体10の応用例について説明する。ここでは図6に示すように、積層体10を用いて、内容物を収容することができる容器1を作製する例について説明する。
図6に示す例において、容器1は、画像20が形成された領域と、非画像領域20’とを含む積層体10を成形することによって作製されている。具体的には、容器1において、積層体10の画像20は、容器1の外側の表面を部分的に構成するよう配置されている。また、非画像領域20’の基材11は、容器1の内容物を収容するための収容空間1Aを画定するよう成形されている。これによって、立体的に視認される画像20を備えた容器1を得ることができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成されている部分について、上述の実施の形態で用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
(金属層の変形例)
本実施の形態において、各線状凸部20aにおいて、金属層13の内側に接着層12および基材11が存在している例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図7に示すように、線状凸部20aの表面だけでなく線状凸部20aの内部も金属層13によって構成されていてもよい。
また本実施の形態において、金属層13が、線状凸部20aを構成する凸部13aと、凸部13aの間に位置する中間部13bと、を含む例を示した。すなわち、画像20において金属層13が基材11上で連続的に構成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図8に示すように、凸部13aの間に中間部13bが設けられていなくてもよい。すなわち、画像20において金属層13が基材11上で不連続に配置されていてもよい。
また本実施の形態において、線状凸部20aおよび金属層13の観察側の表面が湾曲した形状を有する例を示した。しかしながら、境界部36を境として線状凸部20aによって反射される光の強度や角度などが変化する限りにおいて、線状凸部20aおよび金属層13の観察側の表面の形状が特に限られることはない。例えば図9Aに示すように、線状凸部20aおよび金属層13は、観察側に向かって突出した三角形の断面形状を有していてもよい。図9Aに示す例においても、各線状凸部20aの金属層13の観察側の表面は、互いに異なるn,nという法線方向を有している。
また図9Bに示すように、線状凸部20aに含まれる金属層13の凸部13aの表面は、基材11と平行に延びていてもよい。この場合であっても、境界部36を境として線状凸部20aが延びる方向を不連続に変化させることにより、画像20が全体として立体的に視認されるという効果を実現することができる。
(積層体の層構成の変形例)
図10に示すように、積層体10は、金属層13よりも観察側に配置された着色層14をさらに含んでいてもよい。着色層14としては、例えば、金属層13上に積層された印刷用のインキなどが用いられ得る。このような着色層14を設けることにより、画像20の色を調整することができ、これによって画像20の意匠性を高めることができる。また意匠性を高めるため、図示はしないが、積層体10は、所定の模様が形成された印刷層をさらに含んでいてもよい。印刷層は、例えば、非画像領域20’において基材11と接着層12との間に設けられる。
また図11に示すように、積層体10は、観察側の反対側の表面を構成するよう設けられた粘着層15をさらに含んでいてもよい。粘着層15は、画像が形成された積層体10を、積層体10とは別個に作製された部材60に貼りつけるために設けられる層である。このような粘着層15を設けることにより、画像20が形成された積層体10を、例えば単体のラベルとして取引し使用することができる。
また図12に示すように、積層体10は、基材11を挟むよう設けられた第1熱可塑性樹脂層16および第2熱可塑性樹脂層17をさらに含んでいてもよい。ここで、第1熱可塑性樹脂層16は、基材11と接着層12および金属層13との間に設けられている。第1熱可塑性樹脂層16および第2熱可塑性樹脂層17はいずれも、熱によって溶融するよう構成された、いわゆるヒートシール性を有する層である。また第1熱可塑性樹脂層16および第2熱可塑性樹脂層17はいずれも、少なくとも部分的に積層体10の表面を構成するよう、配置されている。このため、基材11を折り曲げなどによって成形し、その後、第1熱可塑性樹脂層16同士、第2熱可塑性樹脂層17同士または第1熱可塑性樹脂層16と第2熱可塑性樹脂層17とをヒートシールによって接合することによって、画像20が形成された容器1を容易に作製することができる。
(線状凸部の変形例)
また本実施の形態において、一の単位画像領域の線状凸部20aが、隣り合う単位画像領域の線状凸部20aと境界部36において接続されている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、線状凸部20aが境界部36において接続されていなくてもよい。例えば図13に示すように、第1単位画像領域21の第1線状凸部21aと境界部36とが交わる第1交点21bの位置と、第2単位画像領域22の第2線状凸部22aと境界部36とが交わる第2交点22bとが異なっていてもよい。図13に示す例においても、第1線状凸部21aおよび第2線状凸部22aは、第1交点21bにおける第1線状凸部21aの延びる方向Dと、第2交点22bにおける第2線状凸部22aの延びる方向Dとが異なるよう、構成されている。このため、各線状凸部21a〜24aによって反射されて観察者に到達する光の強度や角度などを、境界部36を境として不連続に変化させることができる。これによって、一の単位画像領域の見え方と、隣り合う他の単位画像領域の見え方とを異ならせることができ、このことにより、画像20が立体的に視認されるようにすることができる。
また本実施の形態において、各境界部36が線として構成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図14に示すように、各境界部36は、有意な幅を有する領域であってもよい。例えば、第1単位画像領域21の各第1線状凸部21aは、第1単位画像領域21と隣り合う第2単位画像領域22または第4単位画像領域24に達するよりも前に終端されていてもよい。この場合であっても、線状凸部が延びる方向が境界部36を境として不連続に変化するよう、各単位画像領域21〜24の各線状凸部21a〜24aが構成されている。これによって、一の単位画像領域の見え方と、隣り合う他の単位画像領域の見え方とを異ならせることができ、このことにより、画像20が立体的に視認されるようにすることができる。
また本実施の形態において、複数の境界部36が画像20の中心Cまたは中心Cの近傍から外側に向かって放射状に延びている例を示した。すなわち、各境界部36が、画像20内の一点において互いに接続されている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図15に示すように、各境界部36が画像20内の一点において互いに接続されていなくてもよい。図15に示す例においても、単位画像領域21〜24は各々、画像20の内側から外側に向かって連続的に広がっている。すなわち、観察者によってほぼ均一なものとして視認される領域が、画像20の内側から外側に向かって連続的に広がっている。また各単位画像領域21〜24は、円周状に順次並べられている。このため、画像20が観察者によって視認される際の見え方が、円周状に順次変化するようになっている。これらのことにより、画像20が全体として立体的に視認されるという効果を実現することができる。
(線状凸部によって表現される画像の変形例)
また本実施の形態において、画像20が四角形状の輪郭を有する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、線状凸部20aを用いることにより、様々な画像20を表現することができる。例えば図16に示すように、三角形状の輪郭を有する画像20を表現することができる。図16に示す例において、画像20は、画像20の内側から外側に向かって延びる3個の境界部36によって、第1〜第3単位画像領域21〜23に区画されている。第1〜第3単位画像領域21〜23はそれぞれ、一方の境界部36から他方の境界部36まで互いに交わらないように延びる線状凸部21a〜23aを含んでいる。また各線状凸部21a〜23aが延びる方向は、境界部36を境として不連続に変化している。このため、図16に示す画像20も立体的に視認され、例えば三角錐のように視認される。なお図16に示す例においては、境界部36において互いに接続された各線状凸部21a〜23aによって、三角形状に配置され、3個の角部38を有する一連の多角形状凸部37aが構成されている。
また図17に示すように、五芒星形状などの星形多角形の輪郭を有する画像20を表現することもできる。図17に示す例において、画像20は、画像20の内側から外側に向かって延びる10個の境界部36によって、第1〜第10単位画像領域21〜30に区画されている。第1〜第10単位画像領域21〜30はそれぞれ、一方の境界部36から他方の境界部36まで互いに交わらないように延びる線状凸部21a〜30aを含んでいる。また各線状凸部21a〜30aが延びる方向は、境界部36を境として不連続に変化している。このため、図17に示す画像20も立体的に視認され得る。なお図17に示す例においては、境界部36において互いに接続された各線状凸部21a〜30aによって、星形多角形状に配置され、10個の角部38を有する一連の星形の多角形状凸部37aが構成されている。
また図18に示すように、十字形状の輪郭を有する画像20を表現することもできる。図18に示す例において、画像20は、画像20の内側から外側に向かって延びる12個の境界部36によって、第1〜第12単位画像領域21〜32に区画されている。第1〜第12単位画像領域21〜32はそれぞれ、一方の境界部36から他方の境界部36まで互いに交わらないように延びる線状凸部を含んでいる。また各線状凸部が延びる方向は、境界部36を境として不連続に変化している。このため、図18に示す画像20も立体的に視認され得る。なお図18に示す例においては、境界部36において互いに接続された各線状凸部によって、十字形状に配置され、12個の角部38を有する一連の多角形状凸部37aが構成されている。
なお図18に示す例において、第2単位画像領域22、第5単位画像領域25、第8単位画像領域28および第11単位画像領域31における、隣り合う2つの線状凸部の間の間隔は、第1単位画像領域21、第3単位画像領域23、第4単位画像領域24、第6単位画像領域26、第7単位画像領域27、第9単位画像領域29、第10単位画像領域30および第12単位画像領域32における、隣り合う2つの線状凸部の間の間隔よりも大きくなっている。このため、単位画像領域22,25,28,31は、単位画像領域21,23,24,26,27,29,30,32に比べて浮き上がって見えるようになる。このように図18に示す例によれば、隣り合う2つの線状凸部の間の間隔を単位画像領域ごとに異ならせることにより、画像20が立体的に視認される効果をさらに高めることができる。
(線状凸部の配置の変形例)
また本実施の形態において、一の単位画像領域内において隣り合う2つの線状凸部の間の間隔が、当該単位画像領域内において一定になっている例を示したが、これに限られることはない。例えば図19に示すように、一の単位画像領域内において隣り合う2つの線状凸部の間の間隔sが、画像20内の一点からの距離が大きくなるにつれて大きくなっていてもよい。このように2つの線状凸部の間の間隔sが、画像20内の一点、例えば中心Cからの距離に応じて変化する場合、画像20の外側の領域が、画像20の内側の領域に比べて浮き上がって見える、若しくは沈んで見える、という視覚的効果がさらにもたらされる。このことにより、画像20が立体的に視認される効果をさらに高めることができる。
また本実施の形態において、線状凸部20aが直線状に延びる例を示した。しかしながら、単位画像領域内において複数の線状凸部20aが一方の境界部36から他方の境界部36まで互いに交わらないよう線状凸部20aが構成される限りにおいて、線状凸部20aが曲線状に延びていてもよい。図20に、曲線状に延びる線状凸部20aによって構成された、花びらのような輪郭を有する画像20の例を示す。図20に示す例において、画像20は、画像20の内側から外側に向かって延びる6個の境界部36によって、第1〜第6単位画像領域21〜26に区画されている。第1〜第6単位画像領域21〜26はそれぞれ、一方の境界部36から他方の境界部36まで互いに交わらないように曲線状に延びる線状凸部21a〜26aを含んでいる。また各線状凸部21a〜26aが延びる方向は、境界部36を境として不連続に変化している。例えば図20に示すように、第1交点21bにおける第1線状凸部21aの延びる方向Dと、第2交点22bにおける第2線状凸部22aの延びる方向Dとが異なっている。このため、図20に示す画像20も立体的に視認される。なお図16に示す例においては、境界部36において互いに接続された各線状凸部21a〜26aによって、花びら形状に配置され、6個の角部38を有する一連のループ状凸部37が構成されている。
また本実施の形態において、境界部36が画像20の内側から外側に向かって直線状に延びるよう、線状凸部20aが構成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図21および図22に示すように、境界部36が、画像20の内側から外側に向かって非直線状に延びるよう、線状凸部20aが構成されていてもよい。例えば図21および図22に示す例において、画像20は、同心状に配置された複数の多角形状凸部37aを含んでいる。また複数の多角形状凸部37aのうち少なくとも2つの多角形状凸部37aは、互いに非平行になるよう配置されている。このため、各多角形状凸部37aの角部38を通るよう画像20の内側から外側へ延びる境界部36は、図21および図22に示すように、一本の直線ではなく、隣接する2つの多角形状凸部37aの角部38の間を延びる線分の集合となっている。
図21および図22に示す例においても、第1〜第4単位画像領域21〜24はそれぞれ、一方の境界部36から他方の境界部36まで互いに交わらないように延びる線状凸部21a〜24aを含んでいる。また各線状凸部21a〜24aが延びる方向は、境界部36を境として不連続に変化している。このため、図21および図22に示す画像20も立体的に視認される。また図21および図22に示す例によれば、観察者によって視認される際の見え方が変化する境となる境界部36が、非直線状に延びており、このため境界部36をより目立たせることができる。すなわち、単位画像領域ごとに見え方が異なるということを、観察者に対してより強調することができる。このことにより、画像20が立体的に視認される効果がさらに高まることが期待される。
ところで、図21に示す例において、境界部36の各線分が延びる方向は、画像20の内側から外側に向かうにつれて一方向に変化している。具体的には、図21に示す例における境界部36は、各線分が延びる方向が、画像20の内側から外側に向かうにつれて反時計回りに変化するよう、構成されている。このため、図21の境界部36は、なだらかに曲線的に変化しているように視認される。一方、図22に示す例において、各線分が延びる方向は、画像20の内側から外側に向かうにつれてランダムに変化している。このため、図22の境界部36は、ジグザグ状のものとして視認される。この場合、ジグザグ状の境界部36が目立ってしまうことによって、立体感に関する視覚的効果が低減される可能性がある。従って、好ましくは、境界部36は、各線分が延びる方向が画像20の内側から外側に向かうにつれて一方向に変化するよう、構成される。
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1A)
ホットスタンプ法を用いて、図17に示す五芒星形状の輪郭を有する画像20が形成された積層体10を作製した。積層体10の画像20は、観察側から順に配置された着色層14、金属層13、接着層12および基材11を含んでいた。基材11としては、235g/mの坪量を有するコートボール紙を用いた。接着層12としては、2μmの厚みを有するエチレン−アクリル酸共重合体を用いた。金属層13としては、50nmの厚みを有するアルミ蒸着膜を用いた。着色層14としては、1μmの厚みを有する黄色の印刷用インキを用いた。
画像20の線状凸部20aを、10個の角部38を有する一連の星形の多角形状凸部37aを含むよう構成した。隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sは200μmであり、線状凸部20aの幅wは200μmであり、線状凸部20aの高さhは20μmであった。
作製した積層体10の画像20を観察した。結果、画像20が立体的に視認されることを確認した。また、本実施例による画像20に光を照射した場合に画像20の各単位画像領域に陰影が形成される様子を、シミュレーションにより算出した。図23Aに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。立体的に視認される程度を、立体感が高い順にレベル1,2,3,4で表す場合、本実施例において得られた画像20の立体感のレベルは1である。
(実施例1B)
隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sを100μmとしたこと以外は、実施例1Aと同様にして、画像20を作製し、かつシミュレーションを実施した。図23Bに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。本実施例において得られた画像20の立体感のレベルは1であった。
(実施例1C)
隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sを0μmとしたこと以外は、実施例1Aと同様にして、画像20を作製し、かつシミュレーションを実施した。図23Cに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。本実施例において得られた画像20の立体感のレベルは1であった。
(実施例1D)
隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sを400μmとしたこと以外は、実施例1Aと同様にして、画像20を作製し、かつシミュレーションを実施した。図23Dに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。本実施例において得られた画像20の立体感のレベルは2であった。
(実施例1E)
隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sを500μmとしたこと以外は、実施例1Aと同様にして、画像20を作製し、かつシミュレーションを実施した。図23Eに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。本実施例において得られた画像20の立体感のレベルは3であった。
(実施例1F)
隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sを600μmとしたこと以外は、実施例1Aと同様にして、画像20を作製し、かつシミュレーションを実施した。図23Fに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。本実施例において得られた画像20の立体感のレベルは4であった。
(実施例1G)
隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sを100μmとし、線状凸部20aの幅wを100μmとしたこと以外は、実施例1Aと同様にして、画像20を作製し、かつシミュレーションを実施した。図23Gに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。本実施例において得られた画像20の立体感のレベルは1であった。
(実施例1H)
隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sを200μmとしたこと以外は、実施例1Gと同様にして、画像20を作製し、かつシミュレーションを実施した。図23Hに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。本実施例において得られた画像20の立体感のレベルは1であった。
(実施例1I)
隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sを300μmとしたこと以外は、実施例1Gと同様にして、画像20を作製し、かつシミュレーションを実施した。図23Iに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。本実施例において得られた画像20の立体感のレベルは2であった。
(実施例1J)
隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sを100μmとし、線状凸部20aの幅wを50μmとしたこと以外は、実施例1Aと同様にして、画像20を作製し、かつシミュレーションを実施した。図23Jに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。本実施例において得られた画像20の立体感のレベルは3であった。
(実施例1K)
線状凸部20aの高さhを50μmとしたこと以外は、実施例1Aと同様にして、画像20を作製し、かつシミュレーションを実施した。図23Kに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。本実施例において得られた画像20の立体感のレベルは1であった。
(実施例1L)
線状凸部20aの高さhを10μmとしたこと以外は、実施例1Kと同様にして、画像20を作製し、かつシミュレーションを実施した。図23Lに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。本実施例において得られた画像20の立体感のレベルはであった。
(実施例1M)
隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sを100μmとしたこと以外は、実施例1Kと同様にして、画像20を作製し、かつシミュレーションを実施した。図23Mに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。本実施例において得られた画像20の立体感のレベルは1であった。
(実施例1N)
隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sを400μmとしたこと以外は、実施例1Kと同様にして、画像20を作製し、かつシミュレーションを実施した。図23Nに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。本実施例において得られた画像20の立体感のレベルは2であった。
(実施例1O)
隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sを、画像20の内側から外側に向かうにつれて20μmずつ大きくしたこと以外は、実施例1Aと同様にして、画像20を作製し、かつシミュレーションを実施した。最も内側に位置する線状凸部20aと、最も内側の線状凸部20aと隣り合う線状凸部20aとの間の間隔sは20μmとした。図23Oに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。本実施例において得られた画像20の立体感のレベルは1であった。
(実施例1P)
隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sを、画像20の内側から外側に向かうにつれて50μmずつ大きくし、また、最も内側に位置する線状凸部20aと、最も内側の線状凸部20aと隣り合う線状凸部20aとの間の間隔sを50μmとしたこと以外は、実施例1Oと同様にして、画像20を作製し、かつシミュレーションを実施した。図23Pに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。本実施例において得られた画像20の立体感のレベルは3であった。
(実施例1Q)
隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sを300μmとし、線状凸部20aの幅wを300μmとしたこと以外は、実施例1Aと同様にして、画像20を作製し、かつシミュレーションを実施した。図23Qに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。本実施例において得られた画像20の立体感のレベルは2であった。
(実施例1R)
隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sを600μmとし、線状凸部20aの幅wを300μmとしたこと以外は、実施例1Aと同様にして、画像20を作製し、かつシミュレーションを実施した。図23Rに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。本実施例において得られた画像20の立体感のレベルは4であった。
実施例1A〜1Rの各画像20の作製条件、および、各画像20における立体感のレベルを表1に示す。
実施例1A〜1Fから分かるように、幅wが200μmであり高さhが20μmである場合、間隔sを0〜500μmの範囲内とすることにより、画像20の立体感のレベルを1〜3とすることができた。また、間隔sを0〜400μmの範囲内とすることにより、画像20の立体感のレベルを1または2とすることができた。さらに、間隔sを0〜200μmの範囲内とすることにより、画像20の立体感のレベルを1とすることができた。なお実施例1Fだけでなく実施例1Rからも分かるように、間隔sが600μmである場合、画像20の立体感のレベルが4となっていた。間隔sは500μm以下であることが好ましいと言える。
実施例1G〜1Iから分かるように、幅wが100μmであり高さhが20μmである場合、間隔sを100〜300μmの範囲内とすることにより、画像20の立体感のレベルを1または2とすることができた。さらに、間隔sを100〜200μmの範囲内とすることにより、画像20の立体感のレベルを1とすることができた。
実施例1B,1G,1Jから分かるように、間隔sが200μmであり高さhが20μmである場合、間隔wを50〜200μmの範囲内とすることにより、画像20の立体感のレベルを1〜3とすることができた。さらに、間隔wを100μm〜200μmの範囲内とすることにより、画像20の立体感のレベルを1とすることができた。
実施例1A,1K,1Lから分かるように、間隔sが200μmであり幅wが200μmである場合、高さhを10〜50μmの範囲内とすることにより、画像20の立体感のレベルを1〜とすることができた。さらに、高さhを20〜50μmの範囲内とすることにより、画像20の立体感のレベルを1とすることができた。
実施例1K,1M,1Nから分かるように、幅wが200μmであり高さhが50μmである場合、間隔sを100〜400μmの範囲内とすることにより、画像20の立体感のレベルを1または2とすることができた。さらに、間隔sを100〜200μmの範囲内とすることにより、画像20の立体感のレベルを1とすることができた。
実施例1O,1Pから分かるように、隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sを、画像20の内側から外側に向かうにつれて次第に大きくした場合にも、画像20の立体感のレベルを1〜3とすることができた。なお実施例1Oにおいて、画像20の最も外側では、間隔sが340μmとなっている。また実施例1Pにおいて、画像20の最も外側では、間隔sが620μmとなっている。
実施例1A〜1F,1K〜1N,1Q,1Rから分かるように、幅wが200μm〜300μmの範囲内である場合、間隔sを0〜400μmの範囲内とすることにより、画像20の立体感のレベルを1または2とすることができた。
また、間隔sを幅wの2倍よりも小さくすることにより、画像20の立体感のレベルを向上させることができる、という傾向も見られた。例えば、実施例1A〜1Fの比較や、実施例1Q,1Rの比較から、そのような傾向が見られる。
(実施例2A)
ホットスタンプ法を用いて、略正方形の輪郭を有する画像20が形成された積層体10を作製した。積層体10の層構成は、実施例1Aの場合と同一である。なお本実施例においては、図13に示すように、一の単位画像領域の線状凸部20aが、隣り合う単位画像領域の線状凸部20aと境界部36において接続されないよう、線状凸部20aを形成した。積層体10の層構成は、実施例1Aの場合と同一である。隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sは200μmであり、線状凸部20aの幅wは200μmであり、線状凸部20aの高さhは20μmであった。
実施例1Aの場合と同様にして、本実施例による画像20に光を照射した場合に画像20の各単位画像領域に陰影が形成される様子を、シミュレーションにより算出した。図24Aに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。図24Aに示すように、隣り合う単位画像領域の線状凸部20a同士が境界部36において接続されない場合であっても、画像20の立体感を表現することができた。
(実施例3A)
ホットスタンプ法を用いて、四角形の輪郭を有する画像20が形成された積層体10を作製した。積層体10の層構成は、実施例1Aの場合と同一である。画像20を構成する線状凸部20aとしては、4個の角部38を有する一連の多角形状凸部37aを用いた。隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sは200μmであり、線状凸部20aの幅wは200μmであり、線状凸部20aの高さhは20μmであった。
実施例1Aの場合と同様にして、本実施例による画像20に光を照射した場合に画像20の各単位画像領域に陰影が形成される様子を、シミュレーションにより算出した。図25Aに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。図25Aに示すように、画像20の立体感を表現することができた。
(実施例3B)
ホットスタンプ法を用いて、四角形の輪郭を有する画像20が形成された積層体10を作製した。積層体10の層構成は、実施例1Aの場合と同一である。なお本実施例においては、図15に示すように、境界部36が画像20内の一点においては互いに接続されていない画像20を作製した。隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sは200μm前後であった。その他の条件は、実施例3Aの場合と同様である。
実施例1Aの場合と同様にして、本実施例による画像20に光を照射した場合に画像20の各単位画像領域に陰影が形成される様子を、シミュレーションにより算出した。図25Bに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。図25Bに示すように、境界部が画像20内の一点において互いに接続されていない場合であっても、画像20の立体感を表現することができた。
(実施例4A)
ホットスタンプ法を用いて、四角形の輪郭を有する画像20が形成された積層体10を作製した。積層体10の層構成は、実施例1Aの場合と同一である。なお本実施例においては、図21に示すように、境界部36が画像20の内側から外側に向かって非直線状に延びるよう、画像20を作製した。画像20を構成する線状凸部20aとしては、4個の角部38を有する一連の正方形の多角形状凸部37aを用いた。線状凸部20aの幅wは200μmであり、線状凸部20aの高さhは20μmであった。
実施例1Aの場合と同様にして、本実施例による画像20に光を照射した場合に画像20の各単位画像領域に陰影が形成される様子を、シミュレーションにより算出した。図26Aに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。図26Aに示すように、境界部36が画像20の内側から外側に向かって非直線状に延びる場合であっても、画像20の立体感を表現することができた。
(実施例4B)
画像20の外側に向かうにつれて境界部が延びる方向が変化する程度を、実施例4Aの場合よりも大きくしたこと以外は、実施例4Aと同様にして、画像20を作製し、かつシミュレーションを実施した。図26Bに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。図26Bに示すように、画像20の外側に向かうにつれて境界部が延びる方向が変化する程度を大きくすることにより、隣り合う2つの単位画像領域の間における陰影の差を大きくすることができた。
(実施例5A)
ホットスタンプ法を用いて、正八角形の輪郭を有する画像20が形成された積層体10を作製した。積層体10の層構成は、実施例1Aの場合と同一である。画像20を構成する線状凸部20aとしては、8個の角部38を有する一連の正八角の多角形状凸部37aを用いた。隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sは200μmであり、線状凸部20aの幅wは200μmであり、線状凸部20aの高さhは20μmであった。
実施例1Aの場合と同様にして、本実施例による画像20に光を照射した場合に画像20の各単位画像領域に陰影が形成される様子を、シミュレーションにより算出した。図27Aに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。図27Aに示すように、線状凸部20aが正八角形の多角形状凸部37aから構成されている場合に、画像20の立体感を表現することができた。なお線状凸部20aが正八角形の多角形状凸部37aから構成されている場合、隣り合う単位画像領域の線状凸部20aの間に成される上述の角度θは145度となっている。
(実施例5B)
ホットスタンプ法を用いて、正十二角形の輪郭を有する画像20が形成された積層体10を作製した。積層体10の層構成は、実施例1Aの場合と同一である。画像20を構成する線状凸部20aとしては、12個の角部38を有する一連の正十二角形の多角形状凸部37aを用いた。隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sは200μmであり、線状凸部20aの幅wは200μmであり、線状凸部20aの高さhは20μmであった。
実施例1Aの場合と同様にして、本実施例による画像20に光を照射した場合に画像20の各単位画像領域に陰影が形成される様子を、シミュレーションにより算出した。図27Bに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。図27Bに示すように、線状凸部20aが正十二角形の多角形状凸部37aから構成されている場合に、画像20の立体感を表現することができた。なお線状凸部20aが正十二角形の多角形状凸部37aから構成されている場合、隣り合う単位画像領域の線状凸部20aの間に成される上述の角度θは150度となっている。
(実施例5C)
ホットスタンプ法を用いて、正二十四角形の輪郭を有する画像20が形成された積層体10を作製した。積層体10の層構成は、実施例1Aの場合と同一である。画像20を構成する線状凸部20aとしては、24個の角部38を有する一連の正二十四角形の多角形状凸部37aを用いた。隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sは200μmであり、線状凸部20aの幅wは200μmであり、線状凸部20aの高さhは20μmであった。
実施例1Aの場合と同様にして、本実施例による画像20に光を照射した場合に画像20の各単位画像領域に陰影が形成される様子を、シミュレーションにより算出した。図27Cに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。図27Cに示すように、線状凸部20aが正二十四角形の多角形状凸部37aから構成されている場合、画像20の立体感は、上述の実施例5A,5Bの場合に比べて乏しかった。
線状凸部20aが正二十四角形の多角形状凸部37aから構成されている場合、隣り合う単位画像領域の線状凸部20aの間に成される上述の角度θは165度となっている。角度θが165度であるということは、線状凸部20aが延びる方向が、境界部36を境として15度変化することを意味している。実施例5A〜5Cを考慮すると、線状凸部20aが延びる方向が、境界部36を境として30度以上変化することが好ましいと言える。すなわち、上述の角度θが30〜150度の範囲内であることが好ましいと言える。
(実施例6A)
ホットスタンプ法を用いて、正三角形の輪郭を有する画像20が形成された積層体10を作製した。積層体10の層構成は、実施例1Aの場合と同一である。画像20を構成する線状凸部20aとしては、3個の角部38を有する一連の正三角形の多角形状凸部37aを用いた。隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sは200μmであり、線状凸部20aの幅wは200μmであり、線状凸部20aの高さhは20μmであった。
実施例1Aの場合と同様にして、本実施例による画像20に光を照射した場合に画像20の各単位画像領域に陰影が形成される様子を、シミュレーションにより算出した。図28Aに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。図28Aに示すように、線状凸部20aが正三角形の多角形状凸部37aから構成されている場合に、画像20の立体感を表現することができた。
(実施例6B)
ホットスタンプ法を用いて、四角形、より具体的にはひし形の輪郭を有する画像20が形成された積層体10を作製した。積層体10の層構成は、実施例1Aの場合と同一である。画像20を構成する線状凸部20aとしては、4個の角部38を有する一連のひし形の多角形状凸部37aを用いた。隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sは200μmであり、線状凸部20aの幅wは200μmであり、線状凸部20aの高さhは20μmであった。また、多角形状凸部37aの内角はそれぞれ60度および120度であった。
実施例1Aの場合と同様にして、本実施例による画像20に光を照射した場合に画像20の各単位画像領域に陰影が形成される様子を、シミュレーションにより算出した。図28Bに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。図28Bに示すように、線状凸部20aがひし形の多角形状凸部37aから構成されている場合に、画像20の立体感を表現することができた。
(実施例6C)
ホットスタンプ法を用いて、図18に示す十字形状の輪郭を有する画像20が形成された積層体10を作製した。積層体10の層構成は、実施例1Aの場合と同一である。画像20を構成する線状凸部20aとしては、十字形状に配置され、12個の角部38を有する一連の多角形状凸部37aを用いた。隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sは200μmであり、線状凸部20aの幅wは200μmであり、線状凸部20aの高さhは20μmであった。
実施例1Aの場合と同様にして、本実施例による画像20に光を照射した場合に画像20の各単位画像領域に陰影が形成される様子を、シミュレーションにより算出した。図28Cに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。図28Cに示すように、線状凸部20aが十字形状の多角形状凸部37aから構成されている場合に、画像20の立体感を表現することができた。
(実施例7A)
ホットスタンプ法を用いて、図20に示す花びら状の輪郭を有する画像20が形成された積層体10を作製した。積層体10の層構成は、実施例1Aの場合と同一である。画像20を構成する線状凸部20aとしては、花びら形状に配置され、6個の角部38を有する一連のループ状凸部37を用いた。線状凸部20aの高さhは20μmであった。隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sは、境界部36近傍であって境界部36に平行な方向において、すなわち最も狭い部分で0.6mmであった。また、この部分における線状凸部20aの幅wは0.6mmであった。一方、2つの境界部36の二等分線に沿った方向において、すなわち最も広い部分において、隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sは0.94mmであった。また、この部分における線状凸部20aの幅wは0.94mmであった。
実施例1Aの場合と同様にして、本実施例による画像20に光を照射した場合に画像20の各単位画像領域に陰影が形成される様子を、シミュレーションにより算出した。図29Aに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。図29Aに示すように、線状凸部20aが花びら形状のループ状凸部37から構成されている場合に、画像20の立体感を表現することができた。
(実施例7B)
境界部36近傍であって境界部36に平行な方向における、隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sを0.4mmとし、線状凸部20aの幅wを0.4mmとし、2つの境界部36の二等分線に沿った方向における、隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sを0.4mとし、線状凸部20aの幅wを0.4mmとしたこと以外は、実施例7Aと同様にして、画像20を作製し、かつシミュレーションを実施した。図29Bに、シミュレーションにより算出された陰影が施された画像20の斜視図を示す。図29Bに示すように、隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sを小さくすることにより、隣り合う2つの単位画像領域の間における陰影の差を大きし、これによって立体感をさらに高めることができた。
(実施例8A)
ホットスタンプ法を用いて、四角形状の輪郭を有する画像20が形成された積層体10を作製した。積層体10の層構成としては、図9Bに示すような、線状凸部20aに含まれる金属層13の凸部13aの表面が、基材11と平行に延びていている、という層構成を採用した。実施例1Aの場合と同一である。画像20を構成する線状凸部20aとしては、四角形状に配置され、4個の角部38を有する一連の多角形状凸部37aを用いた。隣り合う2つの線状凸部20aの間の間隔sは200μmであり、線状凸部20aの幅wは200μmであり、線状凸部20aの高さhは20μmであった。
図30Aに、作製された、画像20を含む積層体10を示す。図30Aに示すように、線状凸部20aに含まれる金属層13の凸部13aの表面が、基材11と平行に延びていている場合であっても、画像20の立体感を表現することができた。
1 容器
10 積層体
11 基材
12 接着層
13 金属層
20 画像
20a 線状凸部
21〜24 第1〜第4単位画像領域
36 境界部

Claims (11)

  1. 観察側から立体的に視認される画像が形成された積層体であって、
    前記積層体は、観察側から順に配置された金属層および基材を少なくとも含み、
    前記画像は、観察側に向かって突出するとともに前記積層体の観察側の表面において線状に延び、かつ前記金属層を含む複数の線状凸部と、隣り合う2つの前記線状凸部の間に位置し、前記金属層を含む平坦面と、を有し、
    画像を観察側から見た場合に、前記画像が形成されている領域は、画像の内側から外側に向かって延びる複数の境界部によって、複数の単位画像領域に仮想的に区画されており、
    各単位画像領域において、各線状凸部は、一方の境界部から他方の境界部まで互いに交わらないよう延びており、
    1つの前記境界部を基準として、当該境界部に接する2つの単位画像領域のうちの一方を一側単位画像領域と称し、他方を他側単位画像領域と称し、一側単位画像領域に含まれる1つの前記線状凸部と前記境界部との交点を一側交点と称し、前記他側単位画像領域に含まれる複数の前記線状凸部と前記境界部との交点のうち前記一側交点に最も近接する交点を他側交点と称する場合、前記一側交点における前記一側単位画像領域の前記線状凸部の延びる方向と、前記他側交点における前記他側単位画像領域の前記線状凸部の延びる方向とが異なっている、積層体。
  2. 複数の前記境界部は各々、前記画像の内側から外側に向かって放射状に延びている、請求項1に記載の積層体。
  3. 各単位画像領域において、隣り合う2つの前記線状凸部の間の間隔が、100μm以上且つ前記線状凸部の幅の2倍以下であり、前記線状凸部の幅が、50〜300μmの範囲内であり、前記線状凸部の高さが、10〜50μmの範囲内である、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記一側交点における前記一側単位画像領域の前記線状凸部の延びる方向と、前記他側交点における前記他側単位画像領域の前記線状凸部の延びる方向とが成す角が、30〜150度の範囲内である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 前記線状凸部の前記金属層は、互いに異なる法線方向を有する少なくとも2つの反射面を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 複数の前記境界部は各々、画像の内側から外側に向かって直線状に延びている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 各単位画像領域の複数の前記線状凸部は各々、隣り合う前記単位画像領域の前記線状凸部と前記境界部において接続されており、この結果、前記画像は、互いに接続された前記線状凸部から構成され、前記各境界部に角部が形成された複数のループ状凸部を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の積層体。
  8. 各ループ状凸部の形状が相似している、請求項7に記載の積層体。
  9. 複数の前記境界部は各々、画像の内側から外側に向かって非直線状に延びている、請求項8に記載の積層体。
  10. 内容物を収容する容器であって、
    前記容器の外側の表面を少なくとも部分的に構成するよう配置された積層体を備え、
    前記積層体が、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の積層体からなる、容器。
  11. 前記積層体の前記基材が、前記容器の内容物を収容するための収容空間を画定するよう成形されている、請求項10に記載の容器。
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