JP6051671B2 - 液体噴射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体収容部から供給される液体を噴射する液体噴射装置に関する。
従来から、液体噴射装置の一例として、液体であるインクを用紙などの媒体に対して噴射することで記録を行うインクジェット式プリンター(以下、単に「プリンター」という)が知られている。こうしたプリンターは、インクの供給源となるインクタンクを装着するためのホルダーを備えているのが一般的である。また、こうしたホルダーには、インクタンクに設けられた供給口に対して接続される供給管と、この供給管の周囲を囲むように配置されることで供給口と供給管との接続部分をシールする環状の弾性部材とを備えたものがある。
なお、このように液体流路の接続部分をシールする弾性部材の一例としては、断面形状が円形のOリングがある。しかし、Oリングは弾性変形する場合の反力が大きく、インクタンクの装着に要する力が大きくなってしまうという問題がある。
そこで、こうした問題を解決するべく、インクタンクに突起を設け、この突起をホルダー側に係止させた状態において、その突起を支点としてインクタンクを回動させつつ装着動作を行う構成が提案されている。また、こうした構成に加えて、弾性部材においてインクタンクに当接する部分に突縁部を設けることで、弾性部材が弾性変形する際の反力を低減させることが提案されている(例えば、特許文献1)。
特開平10−286972号公報
ところで、弾性部材が突縁部を介してインクタンクと当接する場合には、その当接面積が小さくなるのに伴ってシール性が低下してしまう。特に、装着時にインクタンクが回動されると、突縁部が回動方向に倒れることがあり、このような場合には、供給口側から供給管側に向かう直線的な動作で装着動作が行われる場合と比較して、十分なシール性が確保できない虞がある。
なお、こうした課題は、インクタンクを装着可能なホルダーを備えたプリンターに限らず、液体流路の接続部分をシールするための弾性部材を備えた液体噴射装置においては、概ね共通したものとなっている。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体流路を接続する場合に要する力を低減しつつ、液体流路の接続部分における十分なシール性を確保することができる液体噴射装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する液体噴射装置は、液体を噴射可能な液体噴射ヘッドと、下流端が前記液体噴射ヘッドに連通する下流側液体流路を有する装着機構と、該装着機構への装着時に前記下流側液体流路と連通可能に接続される上流側液体流路及び該上流側液体流路の下流端となる液体供給口の周囲を囲むように突設された環状突部を有し、回動されることで前記装着機構に装着される被装着体と、前記液体噴射ヘッド及び前記装着機構を搭載して移動領域内を移動するキャリッジと、前記移動領域の外側に配置された液体収容部と前記上流側液体流路との間を接続する液体供給チューブと、前記環状突部の外径よりも大きい外径及び前記環状突部の内径よりも小さい内径の環状をなして前記下流側液体流路の上流端となる液体導入口を囲むように配置され、かつ、第1方向における外縁と内縁との差である第1の幅が、第1方向と交差する第2方向における外縁と内縁との差である第2の幅よりも大きい当接部を有する弾性部材と、を備える。
この構成によれば、被装着体は回動されることで装着機構に装着されるので、上流側液体流路と下流側液体流路とを接続する場合に要する力を低減することができる。また、当接部の第1の幅は第2の幅よりも大きいので、被装着体の回動に伴って環状突部が第1方向にずれながら当接部に当接した場合にも、液体導入口の周囲をより確実にシールすることができる。したがって、液体流路を接続する場合に要する力を低減しつつ、液体流路の接続部分における十分なシール性を確保することができる。
上記液体噴射装置において、前記装着機構は前記第1方向に延びる係止部を有する一方、前記被装着体は前記係止部に係止される被係止部を有し、前記係止部に係止された前記被係止部を支点として回動されることで前記装着機構に装着される。
この構成によれば、被装着体は装着機構の係止部に係止された被係止部を支点として回動されることで装着機構に装着されるので、上流側液体流路と下流側液体流路とを接続する場合に要する力を低減することができる。
上記液体噴射装置において、前記当接部は、前記第1方向における外径の幅寸法が前記第2方向における外径の幅寸法よりも大きいことが好ましい。
この構成によれば、当接部は第1方向における幅寸法が第2方向における幅寸法よりも大きいので、被装着体の回動に伴って環状突部が第1方向にずれながら当接部に当接した場合にも、液体導入口の周囲をより確実にシールすることができる。
上記液体噴射装置において、前記弾性部材は、前記当接部の内縁側及び外縁側から、前記第1方向及び前記第2方向の双方と交差する第3方向に沿って延びる一対の支持壁を有することが好ましい。
この構成によれば、環状突部が押しつけられた場合に当接部が第3方向に沿って撓み変形するので、当接部の弾性変形に伴う反力を抑制しつつ、液体導入口の周囲を確実にシールすることができる。また、当接部の撓み変形に伴って当接部及び支持壁によって囲み形成される空間から空気が押し出されると、該空間内が減圧される。これにより、弾性部材が装着機構に対して吸着されるので、被装着体の取り外しに伴う弾性部材の装着機構からの離脱を抑制することができる。
上記液体噴射装置においては、前記弾性部材において、前記当接部の前記第3方向に沿う長さは、前記支持壁の前記第3方向に沿う長さよりも短いことが好ましい。
この構成によれば、弾性部材において当接部の第3方向に沿う長さを短くすることによって、弾性変形に伴う反力を低減することができる。また、第3方向において、弾性部材の支持壁を当接部よりも長くすることで、当接部が第3方向に沿って撓み変形するための空間を確保することができる。
上記液体噴射装置において、前記弾性部材は、前記第1方向及び前記第2方向の双方と交差する第3方向側から見た場合に、前記第1方向おける中心位置と前記第2方向おける中心位置とが一致し、該中心位置を通って前記第1方向に延びる第1軸を中心とする線対称な形状を有するとともに、前記中心位置を通って前記第2方向に延びる第2軸を中心とする線対称な形状を有することが好ましい。
この構成によれば、弾性部材は第1方向及び第2方向において対称な形状を有しているため、装着機構に取り付ける場合に、第1方向及び第2方向における向きが限定されない。そのため、第1方向や第2方向において取り付ける向きが限定される場合と比較して、弾性部材の取り付け作業を容易に行うことができる。
一実施形態の液体噴射装置を備える複合機の斜視図。 複合機の断面図。 本体ケースの上面図。 被装着体が係止位置にあるときの装着機構を示す断面図。 図3における5−5線矢視断面図。 弾性部材の斜視図。 収容凹部に収容された弾性部材の断面図。 弾性部材の構成及び作用を説明するための断面図。 図4における一部拡大断面図。 図5における一部拡大断面図。
以下、液体噴射装置の一実施形態について、図を参照して説明する。
図1に示すように、複合機11は、液体噴射装置12と、液体噴射装置12の本体ケース13に対して反重力方向に連結して搭載された画像読取装置の一例であるスキャナーユニット14とを備えている。なお、以下の説明においては、重力方向を下方向、反重力方向を上方向として、第3方向を上下方向Zとして図示する。
スキャナーユニット14は、液体噴射装置12に対して連結されたスキャナー本体部15と、スキャナー本体部15の上方に配置された蓋部16とを備えている。スキャナーユニット14は、その一端側に設けられたヒンジなどの回転機構17を介して本体ケース13に対して開閉可能に取り付けられている。
なお、以下の説明においては、複合機11において回転機構17が設けられた側を後側というとともに、その反対側を前側という。そして、第1方向を前後方向Yとして図示する。さらに、前後方向Y及び上下方向Zの双方と交差(本実施形態では直交)する第2方向を主走査方向Xとして図示する。そして、スキャナー本体部15は、その前端側が上方に向けて回動することで、開状態となる。
本体ケース13の前面側には回動式の操作パネル部18が配置されている。操作パネル部18の外面側には、メニュー画面等を表示するための表示部(例えば液晶ディスプレイ)19や操作ボタン20が設けられている。
また、液体噴射装置12には、液体供給チューブ90を介して、本体ケース13の外側に配置された液体収容部91が接続されている。なお、液体供給チューブ90は、固定部材92によって本体ケース13の前後方向Y及び上下方向Zに沿う側壁13aに固定されている。また、本体ケース13とスキャナー本体部15との間には、液体供給チューブ90を挿通可能な隙間形成部材93が配置されている。
図2に示すように、本体ケース13の内底部には、媒体の一例としての用紙Pを複数収容可能な用紙カセット21が着脱可能に装着される。また、本体ケース13内には、用紙Pを搬送するための搬送機構22と、搬送機構22によって搬送される用紙Pに記録を行う記録部23とが収容されている。
搬送機構22は、用紙カセット21に収容された用紙Pを1枚ずつ記録部23に向けて給送する給送機構24を備えている。給送機構24は、給送駆動ローラー25と、給送駆動ローラー25との間に用紙Pを挟持して従動回転する給送従動ローラー26と、分離ローラー27と、ピックアップローラー28とを有している。
また、搬送機構22は、給送機構24から給送された用紙Pを記録部23に向けて搬送するための搬送ローラー対29と、記録部23において記録が行われた用紙Pを排出するための排出ローラー対30とを備えている。さらに、用紙Pの搬送方向に沿う前後方向Yにおいて搬送ローラー対29と排出ローラー対30との間には、用紙Pを支持するための支持部材31が配置されている。
本体ケース13内において支持部材31の上方には、記録部23を構成するキャリッジ32が主走査方向Xに沿って往復移動可能な状態で保持されている。キャリッジ32の下部には、液体の一例としてのインクを噴射可能な液体噴射ヘッド33が搭載されている。そして、搬送機構22によって支持部材31上に搬送された用紙Pに対して液体噴射ヘッド33からインク滴が噴射されることで、記録が行われる。
本体ケース13の上壁34には、キャリッジ32の主走査方向Xに沿う移動領域の上方に、この移動領域と対応した形状の開口部35が形成されている。そして、スキャナーユニット14が開状態となった場合には、本体ケース13の上壁34に形成された開口部35を通じて、キャリッジ32の上部が露出する。
図3に示すように、キャリッジ32の上部には、被装着体36を装着可能な装着機構37が搭載されている。装着機構37は、被装着体36を収容可能な収容部38を備えている。なお、収容部38は、複数(本実施形態では6つ)の被装着体36を主走査方向Xに並ぶように収容することが可能となっている。
収容部38には、上方に向けて開口する装着口39が設けられている。なお、装着機構37には装着口39を覆蓋する部材が備えられていない。そのため、キャリッジ32の上面側が露出することで、装着口39を通じて被装着体36を収容部38内に挿入することが可能となる。
ただし、開口部35において主走査方向Xに延びる前側の端部には、一方側寄り(図3では左方寄り)となる位置に切欠部40が形成されている。そして、この切欠部40が形成された位置が、被装着体36の着脱操作を行う場合にキャリッジ32が配置される着脱位置となっている。
また、液体供給チューブ90は、上壁34に形成された開口部35を通じて本体ケース13の外側から本体ケース13の内側に導入されている。すなわち、被装着体36は、外部タンクである液体収容部91に収容されたインクを液体噴射ヘッド33に供給するための中継アダプターとして機能する。
隙間形成部材93に挿通された液体供給チューブ90は、上壁34の上面側において開口部35の前側から開口部35内に向けて引き回された後に、被装着体36に対して接続されている。すなわち、液体供給チューブ90は、キャリッジ32の移動領域の外側に配置された液体収容部91と上流側液体流路95との間を接続している。なお、液体供給チューブ90は、固定部材92によって上壁34に対して固定されている。また、液体供給チューブ90及び液体収容部91は、被装着体36の数に応じて複数設けられている。
次に、装着機構37の構成について詳述する。
装着機構37は、収容部38に収容された被装着体36を収容部38内に保持するための保持機構42を備えている。
保持機構42は、収容部38の前側となる位置に回動可能な状態で取り付けられた操作レバー43を有している。操作レバー43には、回動中心より上側となる位置に外部からの操作力を受ける操作部43aが設けられるとともに、回動中心よりも下側となる位置に被装着体36に係合可能な係合部43bが設けられている。
なお、開口部35に形成された切欠部40は、主走査方向において被装着体36の着脱を行うための着脱位置にて、外部からの操作力を受けるために装着機構37に設けられた操作部43aを露出させる。一方、着脱位置以外の位置では、本体ケース13が操作部43aを覆蓋する態様となる。そのため、操作レバー43の操作部43aは、キャリッジ32が図3に実線で示すように着脱位置に配置された場合に、切欠部40を通じて露出して、操作可能な状態となる。一方、図3に二点鎖線で示すようにキャリッジ32が着脱位置に配置されていない場合には、操作レバー43の操作部43aは本体ケース13の上壁34に覆蓋されて、操作不能な状態となる。
図4に示すように、操作レバー43の下端側には、収容部38内側となる後側(図4では右側)に係合部43bが形成されている一方、前側(図4では左側)にはばね係止部43cが形成されている。また、操作レバー43の収容部38内側となる部分には、回動中心側から係合部43b側に向かうにつれて収容部38内に向かうように傾斜する傾斜部43dが形成されている。
収容部38の前側に位置する内側壁である前側壁38aには、上下方向において装着口39側となる位置からばね掛け部44が斜め下方に向けて突設されている。さらに、ばね掛け部44と操作レバー43のばね係止部43cとの間には、操作レバー43の下端側を収容部38内に向かう方向に付勢するコイルばね45が介装されている。
収容部38の内底部38bにおいて前側寄りとなる位置には、規制ピン46が上方に向けて突設されている。また、収容部38の内底部38bにおいて後側寄りとなる位置には、収容部38に収容された被装着体36に対して接続される液体導入部47が設けられている。
液体導入部47には、下流端が液体噴射ヘッド33に連通する下流側液体流路48の上流端である液体導入口49が上方向に向けて開口している。また、液体導入部47には、下流側フィルター50が液体導入口49を覆蓋するように取り付けられている。
液体導入部47には、液体導入口49の周囲を囲むように環状の収容凹部52が形成されている。また、収容凹部52内には、環状の弾性部材53が液体導入口49の周囲を囲むように収容されている。そして、収容部38の後側に位置する内側壁である後側壁38cにおいて上下方向Zにおける中心付近には、係止部54が後方に向けて延びるように凹設されている。
ここで、被装着体36の構成について説明する。
被装着体36内には、上流端が液体供給チューブ90の下流端と接続される液体供給路94が形成されている。
被装着体36は略直方体状をなして、装着機構37に装着された場合に前後方向Yに沿う方向が長手方向となる。また、被装着体36が収容部38に収容された場合に前側壁38aと対向する面を前面36a、内底部38bと対向する面を底面36b、後側壁38cと対向する面を後面36cとすると、被装着体36において前面36aと底面36bとの間には、斜面部36dが形成されている。
被装着体36の後面36cからは、係止部54に係合可能な被係止部55が突設されている。また、被装着体36の底面36bにおいて後側寄りとなる位置には、液体供給部56が設けられている。
液体供給部56には、開口部が液体供給口57となっている供給凹部56aと、液体供給口57の周囲を囲むように被装着体36の底面36bから突設された環状突部58とが設けられている。また、液体供給部56には、供給凹部56a内と液体供給路94の下流端とを連通させるための連通孔56bが形成されている。そして、液体供給路94、連通孔56b及び供給凹部56aは上流側液体流路95を構成している。また、液体供給口57は、上流側液体流路95の下流端となっている。
供給凹部56a内には、連通孔56b側にばね部材59が収容されている一方、液体供給口57側に多孔部材60が収容されている。なお、多孔部材60には、インクが流通可能な細孔が多数形成されている。また、液体供給部56には、液体供給口57を覆蓋するように上流側フィルター61が取り付けられている。
被装着体36の斜面部36dにおいて底面36b側となる位置には、規制ピン46が挿通可能な位置決め穴62が形成されている。また、被装着体36の斜面部36dにおいて前面36a側となる位置には、係合突部63が操作レバー43側となる前方に向けて突設されている。
次に、装着機構37に対する被装着体36の着脱方法について説明する。
まず、装着機構37に対して被装着体36を装着する場合には、キャリッジ32を着脱位置に配置する。これにより、開口部35の切欠部40を通じて、装着機構37に設けられた操作レバー43の操作部43aが露出する。
なお、被装着体36が装着されていない場合には、操作レバー43はコイルばね45の付勢力によって下端側が収容部38内に突出した状態となる。そして、被装着体36を収容部38に挿入して、被装着体36の後面36cから突設された被係止部55を係止部54に係合させると、被装着体36は自重によって被係止部55を中心として前端側が回動する結果、係合突部63が操作レバー43の係合部43bに当接する。このとき、被装着体36は、図4に示すように前側上部が装着口39から露出した係止位置に配置される。
続いて、装着口39から露出した被装着体36の前側上部を下方に押し込むと、被装着体36は係止部54に係止された被係止部55を支点として、図4における反時計方向に回動される。すると、被装着体36の係合突部63が操作レバー43の斜面部36dを押圧して、操作レバー43がコイルばね45の付勢力に抗して図4における時計方向に回動する。
また、回動される被装着体36は、弾性変形する弾性部材53の復元力である反力を受ける。さらに、被装着体36の位置決め穴62に規制ピン46が挿通されると、被装着体36の主走査方向Xにおける移動が規制される。
そして、被装着体36が弾性部材53の反力に抗して収容部38内に収容されると、被装着体36の係合突部63が操作レバー43の下方に移動する。すると、操作レバー43はコイルばね45の付勢力によって元の位置に戻り、図5に示すように、被装着体36の係合突部63が操作レバー43の係合部43bによって係止された状態となる。
以上のように被装着体36が収容部38に収容されると、上流側液体流路95が装着機構37側に設けられた下流側液体流路48と連通可能に接続されて、装着機構37に対する被装着体36の装着が完了する。なお、以下の説明において、図5に示すように装着機構37に対する装着が完了した被装着体36の位置を装着位置という。
次に、弾性部材53及び液体供給部56の構成について詳述する。
図6に示すように、弾性部材53は、環状の当接部64と、当接部64の内縁側及び外縁側から上下方向Zに沿って延びる一対の支持壁65,66とを有している。また、当接部64の内縁側から延びる支持壁65の下端側には、圧接部67が突設されている。
なお、弾性部材53の当接部64は、前後方向Yにおける外縁と内縁との差である第1の幅W1が、主走査方向Xにおける外縁と内縁との差である第2の幅W2よりも大きくなっている(W1>W2)。また、当接部64は、前後方向Yにおける外径の幅寸法D1が主走査方向Xにおける外径の幅寸法D2よりも大きくなっている(D1>D2)。
図7に示すように、弾性部材53において、当接部64の上下方向Zに沿う長さL1は、支持壁65,66の上下方向Zに沿う長さL2よりも短くなっている(L1<L2)。そして、弾性部材53が収容凹部52内に収容された場合には、圧接部67及び支持壁65が弾性変形して、圧接部67が収容凹部52の内側壁に圧接される。
図8に示すように、弾性部材53の当接部64は、環状突部58の外径よりも大きい外径及び環状突部58の内径よりも小さい内径の環状をなして液体導入口49を囲むように配置されている。また、弾性部材53の当接部64は、上側から見た場合に、前後方向Yおける中心位置と主走査方向Xにおける中心位置とが一致する。そして、弾性部材53は、この前後方向Y及び主走査方向Xの双方における中心位置C1を通って前後方向Yに延びる第1軸AX1を中心とする線対称な形状を有するとともに、中心位置C1を通って主走査方向Xに延びる第2軸AX2を中心とする線対称な形状を有する。
一方、液体導入部47に設けられた液体導入口49は、前後方向Yにおける外径の幅寸法が主走査方向Xにおける外径の幅寸法よりも大きく形成されているとともに、上側から見た場合に、前後方向Yおける中心位置と主走査方向Xにおける中心位置とが一致する。そして、液体導入口49は、この前後方向Y及び主走査方向Xの双方における中心位置C2を通って前後方向Yに延びる第1軸AX1を中心とする線対称な形状を有するとともに、中心位置C2を通って主走査方向Xに延びる第3軸AX3を中心とする線対称な形状を有する。ただし、液体導入部47の中心位置C2は、弾性部材53の中心位置C1よりも前側に位置している。
図9に示すように、液体供給部56に設けられたばね部材59は、多孔部材60に当接する板状の受圧部68と、供給凹部56aの内底部に当接する板ばね部69とを有している。また、受圧部68には、複数の貫通孔70が形成されている。
被装着体36が係止位置にあるとき、環状突部58は、図9に示すように前後方向Yにおける一端側(図9における右端側)が弾性部材53の当接部64に当接している。このとき、環状突部58の前後方向Yにおける他端側(図9における左端側)は弾性部材53の当接部64から離間している。
そして、被装着体36が装着位置に向けて回動されると、図10に示すように液体供給部56側の上流側フィルター61の下面側と液体導入部47側の下流側フィルター50の上面側とが接触する。また、環状突部58の他端側(図10における左端側)が弾性部材53の当接部64に当接すると、環状突部58に押圧された当接部64が弾性変形するとともに下方に撓み変形する。これにより、上流側液体流路95と下流側液体流路48との接続部分の周囲がシールされる。
また、被装着体36の回動に伴ってばね部材59の板ばね部69が圧縮されると、多孔部材60がばね部材59の付勢力を受けて、連通孔56bを通じて供給されたインクを上流側フィルター61側に向けて面状に拡散させて供給する。すると、上流側フィルター61及び下流側フィルター50を通過したインクが下流側液体流路48側に向けて供給される。
次に、以上のように構成された液体噴射装置12の作用について説明する。
図4に示すように、装着機構37は、下流端が液体噴射ヘッド33に連通する下流側液体流路48と前後方向Yに延びる係止部54とを有している。これに対して、被装着体36は、装着機構37への装着時に下流側液体流路48と連通可能に接続される上流側液体流路95と、係止部54に係止される被係止部55と、液体供給口57の周囲を囲むように突設された環状突部58とを有している。そして、被装着体36は、装着機構37の係止部54に係止された被係止部55を支点として回動されることで、図5に示すように装着機構37に装着される。
そのため、被装着体36は、係止位置においては図8に二点鎖線で示す位置にあった環状突部58が、被装着体36の回動に伴って図8に実線で示す位置まで前後方向Yに位置ずれしつつ、弾性部材53の当接部64に当接する。
ここで、弾性部材53の当接部64は、前後方向Yにおける第1の幅W1が主走査方向Xにおける第2の幅W2よりも大きく、かつ、前後方向Yにおける幅寸法D1が主走査方向Xにおける幅寸法D2よりも大きい。そのため、環状突部58が前後方向Yに位置ずれしても、当接部64は環状突部58に当接した状態が維持される。これにより、被装着体36が回動によって装着される場合にも、上流側液体流路95と下流側液体流路48との接続部分が弾性部材53によって確実にシールされる。
特に、液体噴射装置12は、外部タンクである液体収容部91からインクの供給を受けることで、より大量の記録処理を連続的に行うことが可能となっているので、被装着体36は着脱されることなく、装着機構37に長時間装着されたままになることがある。その結果、上流側液体流路95と下流側液体流路48との接続部分におけるシールが不十分であった場合には、より多くのインクが継続的に漏出してしまう虞がある。その点、本実施形態の液体噴射装置12は、弾性部材53によって接続部分をより確実にシールすることができるので、記録処理を連続的に行う場合にも、インクの漏出が抑制される。
なお、弾性部材53は、当接部64の主走査方向Xにおける幅寸法D2を小さくすることで、主走査方向Xにおける長さが短い被装着体36にも対応することが可能となる。
また、被装着体36が係止位置から装着位置に向けて回動されると、環状突部58が下方に押し込まれるのに伴って、当接部64が図10に示すように下方に撓み変形する。また、当接部64の撓み変形に伴って、当接部64、支持壁65,66及び収容凹部52によって囲み形成される空間Rから空気が押し出され、空間R内が減圧される。これにより、弾性部材53が装着機構37に対して吸着される。
ここで、被装着体36が装着機構37に長時間装着された状態で保持されると、弾性部材53が環状突部58に対して貼り付いてしまい、被装着体36を取り外す際に弾性部材53が装着機構37から外れてしまうことがある。これに対して、本実施形態では弾性部材53が装着機構37に対して吸着されることで、被装着体36の取り外しに伴う弾性部材53の装着機構37からの離脱が抑制される。
さらに、弾性部材53は、圧接部67が収容凹部52の内側壁に圧接されているため、被装着体36の取り外しに伴う弾性部材53の装着機構37からの離脱がより抑制される構成となっている。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)被装着体36は装着機構37の係止部54に係止された被係止部55を支点として回動されることで装着機構37に装着されるので、上流側液体流路95と下流側液体流路48とを接続する場合に要する力を低減することができる。また、当接部64の第1の幅W1は第2の幅W2よりも大きいので、被装着体36の回動に伴って環状突部58が前後方向Yにずれながら当接部64に当接した場合にも、液体導入口49の周囲をより確実にシールすることができる。したがって、液体流路を接続する場合に要する力を低減しつつ、液体流路の接続部分における十分なシール性を確保することができる。
(2)当接部64は前後方向Yにおける外径の幅寸法D1が主走査方向Xにおける外径の幅寸法D2よりも大きいので、被装着体36の回動に伴って環状突部58が前後方向Yにずれながら当接部64に当接した場合にも、液体導入口49の周囲をより確実にシールすることができる。
(3)環状突部58が押しつけられた場合に当接部64が下方に撓み変形するので、当接部64の弾性変形に伴う反力を抑制しつつ、環状突部58の周囲を確実にシールすることができる。また、当接部64の撓み変形に伴って当接部64及び支持壁65,66によって囲み形成される空間Rから空気が押し出されると、空間R内が減圧される。これにより、弾性部材53が装着機構37に対して吸着されるので、被装着体36の取り外しに伴う弾性部材53の装着機構37からの離脱を抑制することができる。
(4)弾性部材53において当接部64の上下方向Zに沿う長さL1を短くすることによって、弾性変形に伴う反力を低減することができる。また、上下方向Zにおいて、弾性部材53の支持壁65,66の長さL2を当接部64の長さL1よりも長くすることで、当接部64が下方に撓み変形するための空間Rを確保することができる。
(5)弾性部材53は前後方向Y及び主走査方向Xの双方において対称な形状を有しているため、装着機構37に取り付ける場合に、前後方向Y及び主走査方向Xにおける向きが限定されない。そのため、前後方向Yや主走査方向Xにおいて取り付ける向きが限定される場合と比較して、弾性部材53の取り付け作業を容易に行うことができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・装着機構37の係止部54を凸部とするとともに被装着体36の被係止部55を凹部としてもよい。あるいは、装着機構37の係止部54を凸部とするとともに被装着体36の被係止部55を凸部としてもよい。
・液体導入口49や環状突部58の形状に応じて、弾性部材53の形状や大きさを変更してもよい。例えば、弾性部材53において、当接部64の前後方向Yにおける外径の幅寸法D1が主走査方向Xにおける外径の幅寸法D2と等しくてもよいし、幅寸法D1が幅寸法D2よりも小さくてもよい。さらに、弾性部材53が前後方向Y及び主走査方向Xにおいて対称な形状でなくてもよい。
・弾性部材53において、当接部64の上下方向Zに沿う長さL1が支持壁65,66の上下方向Zに沿う長さL2と等しくてもよいし、当接部64の長さL1が支持壁65,66の長さL2より長くてもよい。
・弾性部材53において、当接部64の下方に当接部64と同等の第1の幅W1及び第2の幅W2を有する帯状の支持部を配置してもよい。この場合にも、支持部を当接部64よりも弾性変形しやすい材料で構成することで、当接部64を撓み変形させることができる。
・固定部材92及び隙間形成部材93の形状や配置、設置数などは任意に変更することができる。また、固定部材92及び隙間形成部材93のうち何れか一方を備えない構成としてもよい。あるいは、固定部材92及び隙間形成部材93の両方を備えない構成としてもよい。
・本体ケース13の側壁13aに切欠部を設け、この切欠部を通じて液体供給チューブ90を本体ケース13内に導入するようにしてもよい。
・液体供給チューブ90の引き回し位置は任意に変更することができる。例えば、上壁34上において、開口部35の後方側に液体供給チューブ90を引き回すようにしてもよい。
・媒体は用紙に限らず、樹脂フィルムや金属板、布帛などでもよい。
・上記実施形態において、液体噴射装置は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置であってもよい。なお、液体噴射装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体は、液体噴射装置から噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体を含むものとする。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置がある。また、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置であってもよい。また、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置であってもよい。
12…液体噴射装置、32…キャリッジ、33…液体噴射ヘッド、36…被装着体、37…装着機構、48…下流側液体流路、49…液体導入口、53…弾性部材、54…係止部、55…被係止部、57…液体供給口、58…環状突部、64…当接部、65,66…支持壁、90…液体供給チューブ、91…液体収容部、95…上流側液体流路、AX1…第1軸、AX2…第2軸、C1…中心位置、D1…第1方向における外径の幅寸法、D2…第2方向における外径の幅寸法、L1…当接部の第3方向に沿う長さ、L2…支持壁の第3方向に沿う長さ、W1…第1の幅、W2…第2の幅、X…第2方向としての主走査方向、Y…第1方向としての前後方向、Z…第3方向としての上下方向。

Claims (6)

  1. 液体を噴射可能な液体噴射ヘッドと、
    下流端が前記液体噴射ヘッドに連通する下流側液体流路を有する装着機構と、
    該装着機構への装着時に前記下流側液体流路と連通可能に接続される上流側液体流路及
    び該上流側液体流路の下流端となる液体供給口の周囲を囲むように突設された環状突部を
    有し、回動されることで前記装着機構に装着される被装着体と、
    前記液体噴射ヘッド及び前記装着機構を搭載して移動領域内を移動するキャリッジと、
    前記移動領域の外側に配置された液体収容部と前記上流側液体流路との間を接続する液
    体供給チューブと、
    前記環状突部の外径よりも大きい外径及び前記環状突部の内径よりも小さい内径の環状
    をなして前記下流側液体流路の上流端となる液体導入口を囲むように配置され、かつ、第
    1方向における外縁と内縁との差である第1の幅が、第1方向と交差する第2方向におけ
    る外縁と内縁との差である第2の幅よりも大きい当接部を有する弾性部材と、
    を備え、
    前記被装着体には、前面、底面、および前記前面および前記底面の間に形成される傾斜
    部が設けられ、
    前記装着機構には、規制部が形成され、
    前記傾斜部には、前記規制部が挿入可能な穴部が形成されていることを特徴とする液体
    噴射装置。
  2. 前記装着機構は前記第1方向に延びる係止部を有する一方、前記被装着体は前記係止部に
    係止される被係止部を有し、前記係止部に係止された前記被係止部を支点として回動され
    ることで前記装着機構に装着されることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
  3. 前記当接部は、前記第1方向における外径の幅寸法が前記第2方向における外径の幅寸法
    よりも大きいことを特徴とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体噴
    射装置。
  4. 前記弾性部材は、前記当接部の内縁側及び外縁側から、前記第1方向及び前記第2方向の
    双方と交差する第3方向に沿って延びる一対の支持壁を有することを特徴とする請求項1
    〜請求項3のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
  5. 前記弾性部材において、前記当接部の前記第3方向に沿う長さは、前記支持壁の前記第3
    方向に沿う長さよりも短いことを特徴とする請求項4に記載の液体噴射装置。
  6. 前記弾性部材は、前記第1方向及び前記第2方向の双方と交差する第3方向側から見た場
    合に、前記第1方向おける中心位置と前記第2方向おける中心位置とが一致し、該中心位
    置を通って前記第1方向に延びる第1軸を中心とする線対称な形状を有するとともに、前
    記中心位置を通って前記第2方向に延びる第2軸を中心とする線対称な形状を有すること
    を特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。
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