図面を参照すると、数枚のビューを通じて同様の数字は同様の部品を示唆する。熱システムは概して20と示される。熱システム20は以下単にシステム20と称される。システム20は様々な種類の製品を成形するために使用され得る。システム20は複合材製品22、例えば炭素繊維強化プラスチック22又は炭素繊維複合材(CFC)製品22を成形するために有用である。CFC製品22は、多くの産業、例えば自動車、海洋、軍事防衛、航空、宇宙、及び医療機器の各産業において有用である。
システム20は、自動車プラットフォーム全体に渡る“クラスA”CFC車体パネル22の成形に特に有用である。車体パネル22及び関連する部品の例は、フード、フェンダー、ルーフ、ロッカー、スプリッター、ルーフボウ(垂木)、ダイブプレイン、ウィング、ミラーキャップ、ディフレクター等である。CFC製品22の更なる例は、デッキリッド、バッテリー用途、コントロールアーム、バンパー、クレードル/サブフレーム、及び他の構造的構成要素を含む。システム20は、如何なる特定の種類の複合材製品22、又はある特定の産業のための複合材製品22の成形にも限定されない。それら複合材製品22は、様々な寸法、形状、及び用途であり得る。複合材製品22については更に後述する。
システム20は、ツール26の型表面24を加熱及び冷却するために有用である。特に、システム20は、ツール26の型表面24を直接(又はほぼ直接)加熱及び冷却するために使用される流体を、加熱及び冷却するために有用である。システム20は、本発明の方法と組み合わせて使用することができ、本発明の方法と離れて使用することもできる。本発明の方法は更に後述される。また、本発明の方法はシステム20と組み合わせて使用することができ、システム20から離れて使用することもできる。
ツール26は型(例えばのツーピースの型)の一部分であり得る。ツール26が上側の型、他方のツールが下側の型であってよく、又はその反対でもよい。ツール26は典型的にはワンピースモールド26(例えば、オープンモールド)である。システム20は概して少なくとも1種類のツール26と関連するが、2つ又はそれ以上の異なる種類のツール26と関連してもよい。2つ又はそれ以上のツール26は互いに同一でもよく、互いに異なるものでもよい。ツール26は、システム20に通じるために変更される可能性があるものの、様々な種類のものであってよい。
ある実施形態において、ツール26は従来のオートクレーブに一般的に使用される種類(又は類似の種類)のものである。しかしながら、システム20は、典型的にはオートクレーブと関連していない。換言すれば、システム20には概してオートクレーブがなく、本発明の方法も同様である。一つの実施形態において、ツール26は真空モールディング(又は真空成形)に一般的に使用される種類のものである。他の実施形態において、ツール26は樹脂トランスファーモールディング(RTM)に一般的に使用される種類のものである。他の種類のツール26もまた使用できることが理解されるべきである。
型表面24及びツール26は、一体的、すなわち単体であってもよい。ある実施形態において、型表面24及びツール26は、例えば止め具や溶接等によってつなぎ合わされた別々の部品である。そのため、異なる型表面24が異なるツール26と共に使用されてもよく、又その逆も然りである。このことは、異なる種類の複合材製品22を成形するために、異なる型表面24及び/又は異なるツール26の間の交換を可能にするという効果を有する。
型表面24及びツール26は、様々な形状を持つように構成されてもよい。典型的には、型表面24は製造される特定の複合材製品22、例えばフード、フェンダー、スポイラー等、に対応する形状に形作られる。型表面24は如何なる特定の形状にも限定されない。
ツール26の型表面24は典型的に金属材料で形成される。金属材料は熱を伝達するために有益であり、例えばニッケル、鉄等が使用される。ある複数の実施形態において、型表面24はニッケル合金から成る。これらの実施形態において、型表面24は概して固く、柔軟でない(この点、ゴム又は“袋”タイプの型表面24と異なる)。金属性の型表面24は概して高い熱伝導性を有しており、その高い熱伝導性が型表面24の急速な加熱及び冷却を可能にする。このことは、特にシステム20と一緒に利用された場合に当てはまる。型表面24は様々な厚さのものであってよく、典型的には約5mmから約20mm、約7.5mmから約15mm、又は約10mmから約12.5mmである。適切な型表面24が、様々な業者から商業的に入手可能である。型表面24の具体的な例は、例えば、カナダ、オンタリオ州ミッドランドのWeber Manufacturing Teamから入手可能なニッケルシェルの型表面24、ミシガン州フレーザーのVisioneering Inc.及びミシガン州トロイのModels & Tools Inc.から入手可能な不変鋼(又は"64FeNi")から形成された型表面24のような、商業的に入手可能なものを含む。
図4を参照し、ツール26は典型的に流体を伝える管組織28を有する。管組織28は、流体を管組織28へ伝える少なくとも一つの入口30及び流体を環組織28から伝えるための少なくとも一つの出口32を有する。管組織28と型表面24との間の熱伝達を促進するため、管組織28は型表面24と連絡する又は直接に接触している。管組織28は、(間接的よりもむしろ)直接的な型表面24の加熱又は冷却に有用である。管組織28は、ツール26自体の内側に(ツール26に穴をあけることなどによって)形成される、または型表面24に近いツール26の内側に、ツール26に対して及び/又は型表面24に対して取り付けられる。管組織28は、(例えは型表面24に対して)様々な様式、例えば溶接、留め具によって取り付けられてもよい。
管組織28は、様々なやり方で配置されてよく、均一又は様々な直径のものであってもよい。例えば、型表面24が複雑な形状であれば、管組織28の割り当てを型表面24のより重要な領域に集中させて、それらの領域の適切な加熱及び冷却を確かにしてもよい。先に示唆されたように、型表面24は様々な形状であってよく、実質的に平面的、三次元的、又は複数の形状の組み合わせであってもよい。管組織28は、型表面24の直接的な加熱を提供するために、同様に形作られてもよい。ツール26は、ツール26に真空キャノピー36を取り付けるための一つ又はそれ以上の止め具34、例えばクランプ34を有してもよい。様々な種類の止め具34を用いることができる。真空キャノピー36は更に後述する。他の実施形態において、従来の真空バッグ(図示なし)が利用され得る。
ツール26の管組織28は、システム20の導管38に接続されている。導管38は、ツール26へ及びツール26から、そしてシステム20へ及びシステム20から、型表面24を加熱及び冷却するために流体を伝える。様々な種類の導管38を用いることができる。導管38は、システム20内に存在する温度及び圧力を取り扱うことが可能であることが好ましい。導管38は様々な直径、例えば、導管38は、外側の直径(OD)で、約0.5インチから約4インチ、約0.75インチから約3インチ、約1インチから約2インチ、又は約2インチ(すなわち約1.3cmから約10cm、1.9cmから約7.6cm、2.5cmから約5cm、又は約5cm)であってよい。
管組織28は、一つより多い入口30及び出口32を有してもよい。例えば、型表面24の加熱及び冷却のより良い制御のために、二つ又はそれ以上の別個の管組織28配列の組が、ツール26内に存在してもよい。適切なツール26は、様々な業者から商業的に入手可能である。ツール26の具体的な例は、ニッケルシェルツーリングのような、Weber Manufacturing Teamから商業的に入手可能なものを含む。
システム20内に運ばれる流体は、典型的には熱伝導流体である。熱伝導流体はまた熱流体とも呼ばれる。様々な種類の流体を用いることができる。典型的には、システム20内において到達する温度により、少なくともツール26内で使用される流体は(水よりもむしろ)油、例えばサーマルオイルである。水はシステム20内の他の場所で使用することができ、いくつかの実施形態において、サーマルオイルと水の組み合わせが使用され得る。適切な流体は様々な業者から商業的に入手可能である。流体の具体的な例は、DELF450及びDELF600を含む、ニューヨーク州バッファローのMokonから商業的に入手可能なものを含む。更なる流体の例は、PG-1及びIG-4を含むペンシルベニア州マルヴァーンのMultithermから商業的に入手可能なもの、NF及びHEを含むペンシルベニア州ウェストコンショホッケンのParatherm Corp.から商業的に入手可能なもの、Calflo(商標)G及びCalflo(商標)HTFを含むPetro-Canada Productから商業的に入手可能なもの、Therminol(登録商標)66を含むミズーリ州セントルイスのSolutia Inc.から商業的に入手可能なもの、及びDuratherm 450、Duratherm 600、及びDuratherm Lite(又はLT)を含むニューヨーク州ルイストンのDurathermから商業的に入手可能なもの、を含む。流体はシステム20の温度を取り扱うことが可能であるべきであり、また、二つ又はそれ以上の異なる流体の混合を含んでもよい。典型的にシステム20は閉ループであるが、しかしながら、折に触れてシステム20はいくらかの量の流体を追加されること又は取り去られることができる。
システム20の一つの実施形態を示す図1を参照すると、システム20は加熱器サブシステム40を有する。加熱器サブシステム40は、ツール26に流体連通する。加熱器サブシステム40はツール26の型表面24を加熱するために有用である。ある実施形態において、加熱器サブシステム40は、ツール26の型表面24の冷却にもまた使用することができる。
加熱器サブシステム40は加熱器42を有する。加熱器42はシステム20内の流体を加熱するために有用である。様々な種類の加熱器42を用いることができる。加熱器42は、少なくとも約3°F(約16°C)から約350°F(約77°C)、又は約600°F(約315°C)から約650°F(約343°C)以上、の温度まで加熱することが可能であることが好ましい。一般的に、ツール26内に流入する流体が熱いほど、型表面24が早く温度上昇する。加熱器42はまた、様々な流体の出力を供給することが可能であることが好ましい。適切な出力の例は、約10ガロン毎分(gpm)から約120gpm、約20gpmから約100gpm、約40gpmから約90gpm、又は約60gpm(すなわち、約38リットル毎分から約454リットル毎分、約76リットル毎分から約379リットル毎分、約151リットル毎分から約341リットル毎分、又は約227リットル毎分)である。適切な加熱器42は、様々な業者から商業的に入手可能である。加熱器42の具体的な例は、HTFシリーズ例えばHTF 500シリーズ、HTF 600シリーズ、HTF HF-2シリーズ及びSTシリーズの加熱器を含む、Mokonから商業的に入手可能なものを含む。例えばニューヨーク州プラスキのFulton Boiler Works, Inc. of Pulaskiから商業的に入手可能なもののような、ガス燃焼による加熱器もまた、使用され得る。例えば、Fulton FT-0320-C熱流体加熱器である。ここで使用されたように、例えば、US単位系からSI単位系への単位換算において、波型符号(〜)は近似を基礎としていることを意味する。
加熱器サブシステムはタンク44を更に有する。加熱器サブシステム40のタンク44は、大量の加熱された流体を収容するために有用である。加熱器サブシステム40のタンク44は、更に後述するように、システム20内における熱バッファー(一時的な蓄積装置)として働く。加熱器サブシステム40のタンク44は、加熱器42に流体連通している。様々な種類のタンクを加熱器サブシステム40のタンク44として用いることができる。加熱器サブシステム40のタンク44は、少なくとも約300°F(約157°C)から約350°F(約177°C)、及び約600°F(約315°C)以上から約650°F(約343°C)の温度で流体を保持可能であることが好ましい。典型的に、加熱器サブシステム40のタンク44は、加熱器42の最高温度出力以上に対応する等級であることが好ましい。ある実施形態において、加熱器サブシステム40は、二つ又はそれ以上のタンク(図示なし)を有している。例えば、一つのタンク44内に収容される流体の集合体(mass)は、もう一方のタンク44に収容される流体の集合体とは異なる温度であってもよい。このような構成は、異なる温度を有する複数の流体の集合体を用いてシステム20にバッファーする(熱を蓄える)ために有用である。タンク44は、典型的に加熱器42とは別個のものである。すなわち、加熱器42の“内部の”タンクが存在したとしても、タンク44はこれと区別可能である。
概して加熱器サブシステム40のタンク44は、内部の加熱された大量の(十分な量の)流体が周囲の環境によって冷却されることを防止するため、それ自体が及び/又は補助的な断熱層を用いて断熱されている。様々な種類の断熱手段が使用可能である。例えば、加熱器サブシステム40のタンク44は、断熱被覆によって包まれていてもよい。システム20の導管38、又はその一部もまた、断熱及び安全の目的で包まれる又は覆われていることが好ましい。例えば、加熱器サブシステム40からツール26へ続く導管38は、熱損失、焦げ、発火等を防止するために断熱されていてもよい。
加熱器サブシステム40のタンク44は、様々な寸法及び形状であってよい。このことは、加熱器サブシステム40のタンク44の容積に対する表面積の比率(SA:V)を低減させて、熱損失を低減するために有用であり得る。しかしながら、これは必須ではない。加熱器サブシステム40のタンク44は、約50ガロンから約250ガロン、約100ガロンから約225ガロン、約100ガロンから約200ガロン、又は約100ガロンから約150ガロン、の流体(又は約189リットルから約946リットル、約378リットルから約852リットル、又は約378リットルから約568リットル、の流体)を保持する寸法であることが好ましい。一般的に、大きな寸法のタンク44ほど、システム20内の大きな熱バッファーを提供する。加熱器サブシステム40のタンク44に関連する大量の加熱された流体の集合体への言及は、所与の事例において、タンク44内に収容される加熱された流体の全体に対する一部分を指してもよい。本明細書において記述された、大量の流体の複数の集合体はまた、蓄積された(熱)エネルギーの複数の集合体として参照されてもよい。
加熱器サブシステム40は、加熱器サブシステム40のタンク44と加熱器42との間で流体連通する弁46を更に有する。様々な種類の弁46を用いることができる。典型的には、弁46は三方弁46である。加熱器サブシステム40の三方弁46は、加熱器サブシステム40のタンク44と加熱器42との間に流体を再循環させるために有用である。この配置は、加熱器サブシステム40のタンク44内の大量(十分な量)の加熱された流体を初期的に形成、維持、及び/又は再加熱するために有用である。例えば、加熱された十分な量の流体の一部分(又は全て)が一度ツール26に供給され、ツール26から戻った流体は、加熱された十分な量の流体を維持又は再加熱するために、加熱器42に、次いで加熱器サブシステム40のタンク44に供給されることができる。加熱された流体はその後、大量の加熱された流体の温度を更に上昇させる、又は維持するため、加熱器42と加熱器サブシステム40のタンク44との間の一つ又はそれ以上の通路内で保持、又は再循環されてもよい。この構成はまた、加熱器42がツール26及び/又はシステム20の要求に追随できない場合に有用である。この場合、大量の加熱された流体がバッファーとして働き、加熱器42が要求に追いつくか又は回復することができる。この構成はまた、加熱器サブシステム40内の流体を、定常状態に近い温度で維持して、ツール26及びシステム20の継続的な要求に応えるためにも有用である。
加熱器サブシステム40の三方弁46はまた、加熱器サブシステム40のタンク44とツール26との間で流体連通している。そのため、加熱器サブシステム40の三方弁46はまた、流体を加熱器サブシステム40のタンク44からツール26へ方向付けるために有用である。この構成は、更に後述するように、ツール26の型表面24を急速に加熱する場合に特に有用である。例えば、大量の加熱された流体の集合体(又はその一部分)は、ツール26に供給されて、型表面24を急速に加熱することができる。加熱器サブシステム40のタンク44から供給された、大量の加熱された流体は、加熱器42が要求に応じてのみそれ自身で加熱された流体を供給する場合に達成しうる温度の変化と比較して、急速な温度の変化を生じさせることができる。例えば、加熱器42は、型表面24の温度が上昇している間に負荷をかけられてもよく、回復に時間を要する。大量の加熱された流体は、加熱器42に全ての加熱負荷を加えることなく、非常に短い期間での劇的な温度変化、すなわち、型表面24における最大のΔΤ、を生じさせる。
図18を参照すると、システム20の他の実施形態が示されている。加熱器サブシステム40の三方弁46は、(i)タンク44と加熱器42との間で流体連通しており、第一熱流体をタンク44から加熱器42へ再循環させ、(ii)タンク44とツール26との間で流体連通しており、第一熱流体をタンク44からツール26へ方向付ける。任意的に、本実施形態又は他の実施形態において、加熱器サブシステム40はタンク迂回線39を含んでいてもよい。
図2を参照すると、システム20の関係する実施形態は、冷却器サブシステムを更に有する。そのため、ある実施形態において、システム20は加熱器サブシステム及び冷却器サブシステム40,48を有する。この実施形態において、冷却器サブシステム48はツール26に流体連通している。冷却器サブシステムはツール26の型表面24を冷却するために有用である。加熱器サブシステム40がツール26の型表面24の冷却に使用される複数の実施形態において、冷却器サブシステム48もまた更に型表面24を冷却するために使用し得る。他のある複数の実施形態において、加熱器サブシステム40は型表面24の加熱にのみ使用され、冷却器サブシステム48は型表面24の冷却にのみ使用される。冷却器サブシステム48がシステム20の他の場所において使用される、システム20の他の複数の実施形態は後述される。ある複数の実施形態において、複数のサブシステム40,48は、互いに分離している。しかしながら、他の複数の実施形態において、複数のサブシステム40,48は、互いに流体連通している。例えば、それらはシステム20の流体を共有している。
冷却サブシステム48は、冷却器50を有している。冷却器50はシステム20内部の流体を冷却するために有用である。様々な種類の冷却器50を用いることができる。冷却器50は、流体を、少なくとも約50°F(約10°C)から約80°F(約27°C)、及び約−10°F(約−23°C)以下から約20°F(約−7°C)の温度まで冷却可能であることが好ましい。冷却器50はまた様々な流体の出力、例えば、約10から約150、約20から約125、約39から約100、約40から約75、冷却トンを供給可能であることが好ましい(1冷却トンは時間当たり約12,000イギリス熱単位(BTUs)の冷却に当たる)。適切な冷却器50は様々な業者から商業的に入手可能である。具体的な冷却器50の例は、Icemanシリーズ、例えばIceman SCシリーズ、Iceman LTシリーズ、Iceman Dual Circuit、及びIceman Full Rangeを含む、Mokonから商業的に入手可能なものを含む。
冷却器サブシステム48はタンク52を更に有する。冷却器サブシステム48のタンク52は、大量の冷却された流体を収容するために有用である。冷却器サブシステム48のタンク52は、冷却器50に流体連通している。様々な種類のタンクを、冷却器サブシステム48のタンク52として用いることができる。冷却器サブシステム48のタンク52は、約−30°F(約−34°C)から約−10°F(約−23°C)、又は約20°F(約−7°C)以上から約50°F(約10°C)の温度で流体を保持可能であることが好ましい。典型的には、冷却器サブシステム48のタンク52は、冷却器50の最低温度出力よりも低い温度に対応する等級であることが好ましい。ある実施形態において、冷却器サブシステム48は、二つ又はそれ以上のタンク(図示なし)を有している。例えば、一つのタンク52内に収容された流体の集合体は、他のタンク52内に収容された流体の集合体とは異なる温度であってもよい。このような構成は、システム20を異なる温度を有する複数の流体の集合体を用いてバッファーするために有用であり得る。
概して、冷却器サブシステム48のタンク52は、内部の大量の冷却された流体が周囲の環境から熱を加えられることを防止するために、それ自体、及び/又は補助的な断熱層を用いて断熱されることが好ましい。加熱器サブシステム40のタンク44に関して前述したように、様々な種類の断熱手段を用いることができる。
冷却器サブシステム48のタンク52は、様々な寸法及び形状であり得る。このことは、冷却器サブシステム48のタンク52のSA:Vを低減し、熱の流入を低減するために有用である。しかしながら、これは必須ではない。冷却器サブシステム48のタンク52は、約50から約200、約75から約150、又は約100から約125ガロンの流体(すなわち約189から約946、約378から約852、約378から約757、又は378から約568、リットルの流体)を保持する寸法であることが好ましい。一般的に、大きな寸法のタンク52ほど、システム20内の大きな冷却バッファーを提供する。冷却器サブシステム48のタンク52に関連する大量の冷却された流体の集合体への言及は、所与の事例において、タンク52内に収容される冷却された流体の全体に対する一部分を指してもよい。タンク52は、典型的に冷却器50とは別個のものである。すなわち、冷却器50の“内部の”タンクが存在したとしても、タンク52はこれと区別可能である。
冷却器サブシステム48は、冷却器サブシステム48のタンク52と冷却器50との間で流体連通する弁54を更に有する。様々な種類の弁54を用いることができる。典型的には、弁54は三方弁54である。冷却器サブシステム48の三方弁54は、冷却器サブシステム48のタンク52と冷却器50との間に流体を再循環させるために有用である。この配置は、大量の冷却された流体を冷却器サブシステム48のタンク52内に初期的に形成、維持、及び/又は再冷却するために有用である。例えば、冷却された大量の(十分な量の)流体の集合体の一部分(又は全て)が一度ツール26に供給され、ツール26から戻った流体は、大量の(十分な量の)冷却された流体を維持又は再冷却するために、冷却器50に、次いで冷却器サブシステム48のタンク52内に供給されることができる。冷却された流体はその後、大量の(十分な量の)冷却された流体の温度を更に下降させる、又は維持するため、冷却器50と冷却器サブシステム48のタンク52との間の一つ又はそれ以上の通路内で、保持又は再循環されてもよい。この構成はまた、冷却器50がツール26及び/又はシステム20の要求に追随できない場合に有用である。この場合、大量の冷却された流体がバッファーとして働き、冷却器50が要求に追いつくか又は回復することができる。この構成はまた、冷却器サブシステム48内の流体を、定常状態に近い温度で維持して、ツール26及びシステム20の継続的な要求に応えるためにも有用である。
冷却器サブシステム48の三方弁54はまた、冷却器サブシステム48のタンク52とツール26との間で流体連通している。そのため、冷却器サブシステム48の三方弁54はまた、流体を冷却器サブシステム48のタンク52からツール26へ方向付けるために有用である。この構成は、更に後述するように、ツール26の型表面24を急速に冷却する場合に特に有用である。例えば、大量の冷却された流体の集合体(又はその一部分)は、ツール26に供給されて、型表面24を急速に冷却することができる。冷却器サブシステム48のタンク52から供給された、大量の冷却された流体は、冷却器50が要求に応じてのみそれ自身で冷却された流体を供給する場合に達成しうる温度の変化と比較して、急速な温度の変化を生じさせることができる。例えば、冷却器50は、型表面24の温度が下降している間に負荷をかけられてもよく、回復に時間を要する。大量の冷却された流体は、冷却器50に全ての冷却負荷を加えることなく、非常に短い期間での劇的な温度変化、すなわち、型表面24における最大のΔΤ、を生じさせる。
図18を参照すると、冷却器サブシステム48の三方弁54は、(i)タンク52と冷却器50との間で流体連通しており、第二熱流体をタンク52から冷却器50へ再循環させ、(ii)タンク52と交換器サブシステム49との間で流体連通しており、第二熱流体をタンク52から交換器51へ方向付ける。任意的に、本実施形態又は他の実施形態において、冷却器サブシステム48はタンク迂回線39を含んでいてもよい。
図18を参照すると、システム20は交換器サブシステム49を更に有する。交換器サブシステム49は、(熱)交換器51を有する。交換器51は、例えばシェル・アンド・チューブ式やシェル・アンド・プレート式等、様々な種類のものであってもよい。交換器サブシステム49は、弁53を更に有する。典型的には、弁53は三方弁53である。本実施形態において、システム20は典型的に少なくとも一つのポンプ55を含む。様々な種類のポンプを用いることができる。ポンプ55は、例えば再加熱及び再冷却の間のように、加熱器サブシステム40及び冷却器サブシステム48がツール26から隔離されている場合に、システム内部で流体を循環させるために有用である。ポンプ55を設けない場合は、概して加熱器42がシステム20の適切なポンプ機能を提供することができる。
交換器51及び交換器サブシステムの三方弁53は、間接的にツール26へ冷却された流体を導入するために有用である。本実施形態において、冷却された流体は直接ツール26には向かわず、交換器51に向かう。冷却された流体は、ツール26と直接的に接する加熱された流体の温度を低下させるために使用される。この構成では、冷却された流体をツール26に導入するために交換器51を用いる際に、より小さい閉ループを設置すればよく、その結果、ループ内の流体の温度フィードバック及び弁46,53,54の制御を介して、その閉ループを固定された温度に“設定する”ことを可能にする。例えば、ポンプ55を用いて、流体が逆止め弁57を通って、かつその小さな閉ループを周って流れるように、弁46,53,54を設定することができる。本実施形態の追加的な特徴については更に後述する。
図18に示されたように、三方弁53は、(i)交換器51と加熱器サブシステム40との間で流体連通しており、ツール26からの第一熱流体を加熱器サブシステム40に戻し、(ii)交換器51とツール26との間で流体連通しており、ツール26からの熱流体を交換器51へ方向付ける。
概して、第一熱流体は加熱器サブシステム40と交換器サブシステム49との間で共有され、第二熱流体は冷却器サブシステム48と交換器サブシステム49との間で共有される。第一熱流体は第二熱流体と隔離された状態に保たれる。典型的には、第一熱流体はサーマルオイルであり、第二熱流体は水である。すなわち、第一及び第二の熱流体は互いに異なる。
システム20は、典型的に制御部56に接続している。制御部56は、典型的に少なくとも一つのサブシステム40,48,49及びツール26に接続している。より典型的には、全てのサブシステム40,48,49及びツール26に接続している。様々な種類の制御部56を用いることができる。典型的には、制御部56はプログラマブル論理制御装置(PLC)56である。PLC56は、プログラマブル制御装置と呼ぶこともできる。制御部56は、有線、無線等の様々な方法によって、システム20の複数の構成要素に接続することができる。
ある実施形態において、システム20はサブシステム40,48,49のバルブ46,53,54に加えて弁58を更に有する。様々な種類の弁58を用いることができる。典型的には、弁58は三方弁58である。図2を参照すると、システム20の三方弁58は、ツール26とサブシステム40,48の両方との間で流体連通している。三方弁58はまた、制御部56と接続する。本実施形態において、システム20の三方弁58は、流体がツール26から戻った後に、流体を加熱器サブシステム40又は冷却器サブシステム48に方向付けるために有用である。換言すれば、制御部56は、それぞれのサブシステム40,48の三方弁46,54と共にシステム20の三方弁58を制御することによって、流体をツール26からサブシステム40,48のそれぞれへ方向付けることができる。図18を参照すると、三方弁58は任意的に、すなわち、例えば逆止め弁57の代わりに補助弁58として、利用されてもよい。
本明細書において、複数の“三方”弁46,53,54,58が概して参照されたが、同一の流れ制御が、三方弁を“模倣する”異なる種類の弁及び導管38配列の組み合わせによって達成されることが理解されるべきである。例えば、二方弁及び導管38の組み合わせが、三方弁によって達成される流れ制御と同一の流れ制御を達成するために利用されてもよい。その他の例として、三方弁の代わりに一方向が閉塞された四方弁が利用されてもよい。そのような、同一(又は類似の)流れ制御を達成するための代替的な配列は、本明細書において記述された三方弁46,53,54,58と機能において均等であると考えられる。
制御部56はまた、システム20内の流体の流れを制御するのに有用である。
例えば、制御部56はシステム20の弁58、サブシステム40,48,49の弁46,53,54、加熱器42、冷却器50、及び/又は熱交換器49の組み合わせを制御して、種々の温度で流体をツール26へ、及びツール26から、方向付けることができる。
制御部56は、サブシステム40,48のそれぞれからの、大量の加熱された流体及び大量の冷却された流体を方向付けるために特に有用である。具体的に、制御部56は、大量の加熱された流体を、加熱器サブシステム40のタンク44から、ツール26の型表面24を急速に加熱するために方向付けるために有用である。制御部56はまた、大量の冷却された流体を冷却器サブシステム48のタンク52から方向付けて、ツール26の型表面24を急速に冷却するために有用である。これは、図2に示されるようにツール26へ直接行われてもよく、又は、図18に示されるように交換器サブシステム49を介して間接的に行われてもよい。
ある実施形態において、制御部56は三方弁46,53,54,58を制御し、流体をタンク44,52の少なくとも一つからツール26へ、ツール26の型表面24を加熱又は冷却するために方向付ける。更なる実施形態において、制御部56は三方弁46,53,54,58を制御し、流体を他のサブシステム40,48内で再循環させ、大量の加熱又は冷却された流体を、当該他のサブシステム40,48のタンク44,52内に維持する。サブシステム40,48内の流体の再循環は、他のサブシステム40,48による型表面24の加熱又は冷却の前、後、又はその間に開始することができる。前述のとおり、制御部56はまた交換器サブシステム49内の流体を制御するために使用されてもよい。制御部56は、三方弁46,53,54,58を特定の順序及び/又は特定の時期に開閉することで、システム20内の流体を方向付けることができる。三方弁46,53,54,58は、同時にかつ/或いは同方向に、開くかつ/或いは閉じるようにしてもよい。図示されていないが、制御部56はまた、流体の流れを制御するためにシステム20内の他の弁に接続していてもよい。
これから、続く数段落に渡って、具体的な実施形態が記述される。図18を参照すると、制御部56は、様々な方法でサブシステム40,48,49を操作するようにプログラムされ得る。本実施形態において、制御部56は概して第一熱流体が加熱器42とタンク44との間を再循環し、ツール26を迂回して、加熱器サブシステム40内の大量の加熱された第一熱流体を維持するように、加熱器サブシステム40の三方弁46に特定の時期に指示を与えるようプログラムされる。またある時には、制御部56は概して、第一熱流体が加熱器サブシステム40から、そしてツール26へ方向付けられて、ツール26の型表面24を加熱するように、加熱器サブシステム40の三方弁46に指示を与えるようプログラムされる。
加えて、制御部56は概して、ある時には、第二熱流体が冷却器50とタンク52との間で再循環しかつ交換器サブシステム49を迂回して、冷却器サブシステム48内に大量の冷却された第二の熱流体を維持するように、冷却器サブシステム48の三方弁54に指示を与えるようプログラムされる。またある時には、制御部56は概して、第二熱流体が冷却器サブシステム48から交換器サブシステム49へ方向付けられて、ツール26から戻って交換器サブシステム49に入る第一熱流体を冷却するように、冷却器サブシステム48の三方弁54に指示を与えるようプログラムされる。
加えて、制御部56は概して、ある時には、ツール26から戻った第一熱流体が加熱器サブシステム40へ方向付けられ、交換器サブシステム49を迂回して、加熱器サブシステム40内で第一熱流体を再加熱するように、に交換器サブシステム49の三方弁53に指示を与えるようプログラムされる。またある時には、制御部56は概して、ツール26から戻った第一熱流体が交換器サブシステムへ方向付けられて、冷却器サブシステム48からの第二熱流体を介して第一熱流体を冷却するように、に交換器サブシステム49の三方弁53に指示を与えるようプログラムされる。
ある実施形態において、流体は、型表面24の最も冷たい領域又は最も熱い領域に対して、対向流方式でツール26内へ方向付けられてもよい。例えば、型表面24のある領域が初期的に型表面24の他の領域と比較して最も冷たく、ツール26が加熱されようとしている場合に、制御部56は加熱された流体をこの領域に方向付け、大きな初期的温度勾配に基づいて、この領域における温度変化を促進してもよい。例えば、型表面24に渡って温度勾配を保つために、平行な流れ配列が有用であり得る場合、又は、対向流配列及び平行流配列の組み合わせが使用され得る場合もあることが理解されるべきである。典型的には、型表面24と管組織28内の流体との間の大きな熱伝達を推進するため、ツール26の管組織28内の流れは乱流である。乱流は、様々な原因、例えば、らせん状に皺をつけた導管38及び/又は管組織28によって、引き起こされ得る。
図示されていないが、システム20は、一つ又はそれ以上の追加的な様々な種類の、システム20内で流体の流れを制御するための弁を含んでもよい。例えば、一つ又はそれ以上の、システム20の一部分における流体の流れを停止又は開始するためのボール弁が存在してもよい。その他の例として、一つ又はそれ以上の仕切り弁及び/又は逆止め弁が、システム20の一部分における流体の逆流を防止するために存在してもよい。その他の例として、一つ又はそれ以上のグローブ弁が、システム20の一部分における流体の流量を調節するために存在してもよい。追加的な弁を用いる場合は、その追加的な弁はシステム20の様々な位置に配置されてもよい。システム20の弁は、三方弁46,53,54,58を含め、例えば空気式、手動式、電気的、磁気的等の様々な方法で操作せれてもよい。ある実施形態において、電気的制御、空気的制御、又はそれらの組み合わせによる制御が用いられる。
システム20は、逃し弁60を更に有してもよい。逃し弁60はまた、圧力逃し弁60、圧力安全弁60、又は安全弁60とも呼ばれる。様々な種類の逃し弁60(及びそれらに関するシステム)を用いることができる。逃し弁60は、典型的にサブシステム40,48,49とツール26との間で流体連通している。逃し弁60は、システム20内の流体の圧力を逃がす(軽減する)ために有用である。例えば、システム20内の異常が、安全でない又は望ましくない水準まで流体の圧力を上昇させる恐れがある。そのため、逃し弁60は、システム20内の流体の一部分を放出して、流体の圧力を安全又は望ましい水準まで戻すことによって、そのような事態を補償することができる。制御部56は、逃し弁60に接続して、逃し弁60が起動した場合には、システム20、プレス64等の損傷を防止するために、システム20を停止するようにしてもよい。
システム20は、濾過器(図示なし)を更に有してもよい。様々な種類の濾過器を用いることができる。濾過器は、流体を濾過して詰まり又は他のシステム20内の継時的な問題を防止するために有用である。濾過器はまた、流体の乱流を与える及び/又は維持するためにも有用である。
前述の通り、システム20は、一つ又はそれ以上のポンプ55を更に有してもよい。様々な種類のポンプ、例えば熱伝達流体を移動させるために一般的に使用されるポンプを用いることができる。ある実施形態、例えば交換器サブユニット51を欠く実施形態においては、加熱器42及び冷却器50が概して十分な流体のポンプ機能を提供する。
システム20を利用して、ツール26の型表面24は様々な速度で加熱されることができる。加熱の速度は、線形又は曲線形であり得る。例えば、加熱の速度は、徐々に減少する比率で増大、又は徐々に増大する比率で増大してもよく、又は実質的に不変、又はそれらの組み合わせであり得る。典型的に、型表面24は、約60°F毎分以上、70°F毎分以上、80°F毎分以上、90°F毎分以上、又は100°F毎分以上(すなわち約33°C毎分以上、約39°C毎分以上、約44°C毎分以上、約50°C毎分以上、又は約56°C毎分以上)の速度で温度上昇する。ある実施形態において、型表面24は、約300°F毎分以上、約250°F毎分、約225°F毎分、又は約200°F毎分(約167°C毎分、約139°C毎分、約125°C毎分、又は約111°C毎分)の速度で加熱され得る。
システム20を利用して、ツール26の型表面24は様々な速度で冷却されることができる。冷却の速度は、線形又は曲線形であり得る。例えば、冷却の速度は、徐々に減少する比率で増大、又は徐々に増大する比率で増大してもよく、又は実質的に不変、又はそれらの組み合わせであり得る。典型的に、型表面24は、約40°F毎分以上、50°F毎分以上、60°F毎分以上、70°F毎分以上、80°F毎分以上、90°F毎分以上、又は100°F毎分以上(すなわち約22°C毎分以上、約28°C毎分以上、約33°C毎分以上、約39°C毎分以上、約44°C毎分以上、約50°C毎分以上、又は約56°C毎分以上)の速度で温度低下する。ある実施形態において、型表面24は、約200°F毎分以上、約175°F毎分、又は約150°F毎分(約111°C毎分、約97°C毎分、又は約83°C毎分)の速度で冷却され得る。
本発明は更に、ある方法を提供する。本実施形態に係る方法は、ツール26の型表面24を加熱及び冷却するために有用である。当該方法は、加熱器サブシステム40を提供するステップを有する。ある実施形態において、当該方法は、冷却器サブシステム48を提供するステップを更に有する。様々な実施形態において、当該方法は、交換器サブシステムを提供するステップを更に有する。様々な実施形態において、当該方法は、制御部56を提供するステップを更に有する。典型的には、当該方法は、ツール26を提供するステップを更に有する。ツール26は、手作業で又は自動的に設置され得る。例えば、ツール26は技術者によって、又はロボット(図示なし)によって設置され得る。ツール26及びサブシステム40,48,49は、前述のものと同様のものでもよい。
本実施形態に係る方法は、大量の(十分な量の)加熱された流体(mass of heated fluid)を、加熱器サブシステム40のタンク44からツール26へ方向付けるステップを有する。大量の加熱された流体は、前述のように、サブシステム40,48,49及びシステム20の三方弁58に接続された制御部56によって方向付けられてもよい。
大量の加熱された流体は、ツール26の型表面24を、第一の温度(T1)から第二の温度(T2)まで、第一の期間(Tt1)内で加熱する。T1は様々な温度であり得る。例えば、T1は起動時の型表面24の温度であってもよい。すなわち、T1は周囲の温度(すなわち室温)であってもよい。代替的に、T1は、先行する加熱及び冷却の周期の後の、型表面24の温度であってもよい。そのため、型表面24は、周囲温度よりも熱く(又は冷たく)てもよい。典型的には、T1は、約50°Fから約125°F、約75°Fから約125°F、約90°Fから約125°F、又は約100°Fから約120°F(約10°Cから約52°C、約24°Cから約52°C、約32°Cから約52°C、又は約38°Cから約49°C)である。
Tt1は様々な長さの期間であり得る。典型的には、Tt1は続く加熱及び冷却の期間と比較して短い。しかしながら、Tt1は、続く加熱及び冷却の期間の一つ又はそれ以上の長さよりも長いか、又は同等の長さであってもよい。典型的には、Tt1は、約1分から約25分、約1分から約20分、約1分から約15分、約1分から約10分、約2.5分から約10分、約2.5分から約7.5分、又は約4分から約6分である。
T2は様々な温度であり得る。例えば、T2は加熱の間に到達する型表面24の最高温度であってもよい。典型的には、T2は、約250°Fから約400°F、約250°Fから約375°F、約275°Fから約375°F、約300°Fから約375°F、又は約325°Fから約350°F(約121°Cから約204°C、約121°Cから約191°C、約135°Cから約191°C、又は約163°Cから約177°C)である。
概して、加熱器サブシステム40のタンク44内の大量の加熱された流体は、およそT2の温度か、それよりも高温である。大量の加熱された流体が、T2よりも少なくとも50°F(10°C)高い温度である場合、そしてより典型的にはT2よりはるかに高い温度である場合が、流体とツール26の型表面24との間の熱伝達を容易にするために有益である。ある実施形態において、加熱器サブシステム40のタンク44内の大量の加熱された流体は、約250°Fから約600°F、約300°Fから約550°F、約350°Fから約500°F、又は約400°Fから約450°F(約121°Cから約316°C、約149°Cから約288°C、約177°Cから約260°C、又は約204°Cから約232°C)の温度である。大量の加熱された流体によって、システム20は、ツール26型表面24を前述のように急速に加熱することができる。
本実施形態に係る方法は、流体を加熱器サブシステム40からツール26の型表面24へ方向付けるステップを有する。流体は、システム20のサブシステム40.48及び三方弁に接続する制御部56によって方向付けられることができる。流体は、第二の期間(Tt2)の間、型表面24をおよそT2の温度で保持する。型表面24は、T2で又は容認可能な許容範囲、例えばT2±15°F(±約9°C)で保持されることができる。型表面24をおよそT2でTt2の間保持することは、複合材製品22の樹脂を硬化させるために有益である。それはまた、複合材製品22の表面特性を向上させるために有益であると考えられる。許容範囲内にとどまるために、サーモスタットによる調節が使用され得る。
Tt2は様々な長さの期間であり得る。典型的には、Tt2はTt1よりも短い。しかしながら、Tt2はまた、Tt1又は続く期間よりも長いか、又は同等の長さであってもよい。典型的には、Tt2は、約1分から約25分、約1分から約20分、約1分から約15分、約1分から約10分、約1分から約7.5分、約1分から約5分、又は約1分から約2.5分である。
ある実施形態において、本実施形態に係る方法は、ツール26の型表面24を、T1及びT2の間の中間温度(T1‐2)で保持するステップを更に有する。典型的には、このステップはツール26の型表面24をT2まで加熱する前に現れる。T1‐2は、大量の加熱された流体の一部分のみを、型表面24に供給すること、及び/又は加熱器サブシステム40の全体としての温度を制御することによって、維持され得る。
流体は、Tt1の一部分(Tt<1)の間、型表面24をおよそT1‐2で保持する。流体は、システム20の、サブシステム40,48及び三方弁58に接続された制御部56によって方向付けられることができる。型表面24は、T1‐2で又は容認可能な許容範囲、例えばT1‐2±15°F(±約9°C)で保持されることができる。型表面24をおよそT1‐2でTt<1の間保持することは、複合材製品22を強固にするために有益であると考えられる。例えば、複合材製品22の樹脂は、その最小の粘性度及び/又は薄さに到達し、複合材製品22の炭素繊維マットに、より容易に流入する。そのような強固化は、複合材製品22のボディパネルの、機械的な特性及び改良されたクラスA表面を達成するために有益であると考えられる。許容範囲内にとどまるために、サーモスタットによる調節が使用され得る。
T1‐2は様々な温度であり得る。例えば、T1‐2は、T1及びT2の中央の温度、T1により近い温度、又はT2により近い温度であり得る。典型的には、T1‐2は、約100°Fから約350°F、約150°Fから約325°F、約200°Fから約300°F、約225°Fから約275°F、又は約235°Fから約265°F(約38°Cから約177°C、約66°Cから約163°C、約93°Cから約149°C、約107°Cから約135°C、又は約113°Cから約129°C)である。
Tt<1は、Tt1よりも短い期間であることを条件として、様々な長さの期間であり得る。典型的には、Tt<1は、Tt2よりも長い。しかしながら、Tt<1はまた、Tt2又は続く期間よりも短いか、又は同等の長さであってもよい。典型的には、Tt<1は、約1分から約25分以下、約1分から約20分、約1分から約15分、約1分から約10分、約1分から約7.5分、約1分から約5分、又は約1分から約2.5分である。ある実施形態において、Tt<1は、1分から10分以下である。
ある実施形態において、図2の実施形態のように、本実施形態に係る方法は、大量の冷却された流体を冷却器サブシステム48のタンク52からツール26へ方向付けて、ツール26の型表面24をおよそT2の温度から第三の温度(T3)まで、第三の期間(Tt3)内に冷却するステップを更に有する。他の実施形態において、加熱器サブシステム40が、型表面24を同様の方式で冷却するために使用される。典型的に、これらのステップのいずれか一つが、ツール26の型表面24がT2でTt2の間保持された後に出現する。大量の冷却された流体が、システム20のサブシステム40,48及び三方弁58に接続する制御部56によって方向付けられることができる。他の実施形態において、図18の実施形態のように、方法は、大量の冷却された第二熱流体を冷却器サブシステム48のタンク52から交換器サブシステム49へ、制御部56によって方向付けて、ツール26の型表面24をT2からT3へTt3の期間内に冷却するステップを更に有する。
T3は様々な温度であり得る。例えば、T3は起動時の型表面24の温度であってもよい。すなわち、T3は周囲の温度(すなわち室温)であってもよい。T3は、概して周囲の温度よりも高い温度である。典型的には、T3は、約75°Fから約150°F、約85°Fから約140°F、約90°Fから約130°F、又は約100°Fから約120°F(約24°Cから約66°C、約29°Cから約60°C、約32°Cから約54°C、又は約38°Cから約49°C)である。
Tt3は様々な長さの期間であり得る。典型的には、Tt3は先行する加熱の期間と比較して長い。しかしながら、Tt3は、先行する加熱の期間の一つ又はそれ以上の長さよりも短いか、又は同等の長さであってもよい。典型的には、Tt3は、約1分から約25分、約1分から約20分、約1分から約15分、約1分から約10分、約2.5分から約10分、約2.5分から約7.5分、又は約4分から約6分である。
概して、冷却器サブシステム48のタンク52内の大量の冷却された流体は、およそT3の温度か、それよりも低温である。大量の冷却された流体が、T3よりも少なくとも50°F低い温度である場合が、ツール26の型表面24と流体との間の熱伝達を容易にするために有益である。ある実施形態において、冷却器サブシステム48のタンク52内の大量の冷却された流体は、約35°Fから約70°F、約40°Fから約60°F、約45°Fから約55°F、又は約55°F(約1.7°Cから約21°C、約4.4°Cから約16°C、約7°Cから約13°C、又は約10°C)の温度である。そのため、システム20は、ツール26の型表面24を、大量の冷却された流体によって急速に冷却することができる。
前述のように、本実施形態に係る方法は、ツール26の型表面24を加熱するために有益である。典型的には、ツール26の型表面24は、約60°F毎分、約70°F毎分、約80°F毎分、約90°F毎分、約100°F毎分、約110°F毎分、約120°F毎分、約130°F毎分、約140°F毎分、約150°F毎分、約160°F毎分、約170°F毎分、又は約180°F毎分、よりも大きな速度(約33°C毎分以上、約39°C毎分以上、約44°C毎分以上、約50°C毎分以上、約56°C毎分以上、約61°C毎分以上、約67°C毎分以上、約72°C毎分以上、約78°C毎分以上、約83°C毎分以上、約89°C毎分以上、約94°C毎分以上、又は約100°C毎分以上)で温度上昇する。
また前述のように、本実施形態に係る方法は、ツール26の型表面24を冷却するために有益である。典型的には、ツール26の型表面24は、約40°F毎分、約50°F毎分、約60°F毎分、約70°F毎分、約80°F毎分、約90°F毎分、約100°F毎分、約110°F毎分、約120°F毎分、約130°F毎分、約140°F毎分、約150°F毎分、約160°F毎分、約170°F毎分、又は約180°F毎分、よりも大きな速度(約33°C毎分以上、約39°C毎分以上、約44°C毎分以上、約50°C毎分以上、約56°C毎分以上、約61°C毎分以上、約67°C毎分以上、約72°C毎分以上、約78°C毎分以上、約83°C毎分以上、約89°C毎分以上、約94°C毎分以上、又は約100°C毎分以上)で温度低下する。
前述のように、制御部56は様々な制御スキームをもってプログラムされて、システム20のサブシステム40,48,49及び利用される場合には三方弁58を用いて、型表面24を加熱及び冷却することができる。例えば、制御部56は、ある期間及び/又は型表面24のある温度において、複数の三方弁46,53,54,58の一つ又はそれ以上を開く又は閉じるようにプログラムされ得る。そのような制御手法は、前述のように、流体をツール26へ方向付けるステップため及び/又は流体を再循環させるために有用である。出発点として、制御部56の制御スキームは、一般的にオートクレーブに使用される制御スキームを基にして具現化されてもよい。
ある実施形態において、制御部56は、Tt1≦Tt2又はTt1≧Tt1となる様にプログラムされる。更なる実施形態において、制御部56は、Tt1≧Tt3又はTt1≦Tt3となる様にプログラムされる。典型的に、Tt1+Tt2+Tt3は、約30分、約25分、約20分、約19分、約18分、約17.5分、約17分、約15分、約14分、約13.5分、約13分、約12.5分、約12分、約11分、約10分、約7.5分、約5分、約2.5分、約2分、以下である。ある実施形態において、Tt1+Tt2+Tt3は20分間以下、19分間以下、18分間以下、又は17分間以下であり、また約15分間以下、約10分間、又は約5分間であり得る。システム20を用いたツール26の型表面24の直接的な加熱及び冷却のため、複合材製品22を製造するためのサイクル時間は、例えばオートクレーブのような従来の方法に比較して、大幅に減少された。
制御部56は典型的に、型表面24の基部に配置された一つ又はそれ以上の抵抗温度装置(RTD)(図示なし)からのフィードバックによって型表面24の温度を測定する。制御部56はまた、導管38の内部又は基部の一つ又はそれ以上の位置に配置された一つ又はそれ以上のRTD、及び/又はサブシステム40,48,49の内部又は基部に配置された一つ又はそれ以上のRTDによって、流体の温度を測定することができる。様々な種類のRTDを用いることができる。
本発明は、複合材製品22を成形する方法を更に提供する。当該製品は、ツール26を提供するステップを有する。ツール26は、前述したようなものでよい。当該方法は、プリフォーム62を提供するステップを有する。プリフォーム62は手動で、又は自動的に提供されることができる。
プリフォーム62は、炭素繊維マット及び樹脂を有する。例えば連続的な繊維マットのような、様々な種類のプリフォームを用いることができる。炭素繊維マットはまた、ファブリック又はブレイズとも呼ばれる。炭素繊維マットは、一つ又はそれ以上の繊維の層、典型的には少なくとも二枚の繊維の層を含んでもよい。炭素繊維は、例えば標準弾性率、中弾性率、高弾性率、又は高強度の炭素繊維のように、様々な種類のものであってもよい。ある実施形態において、炭素繊維は単一指向性である。
炭素繊維マットは、実質的にドライであり、かつ/或いはプリプレグ(未硬化の樹脂が浸透した原料)である。ある実施形態において、炭素繊維マットは炭素繊維プリプレグである。炭素繊維プリプレグはプリプレグとも呼ばれることがある。適切な炭素繊維マットは、様々な業者から商業的に入手可能である。具体的な炭素繊維マットの例は、TORAYCA(登録商標)シリーズ、例えばTORAYCA(登録商標)T700Sを含むテキサス州フラワーマウンドのToray Carbon Fibers America, Inc.及びワシントン州タコマのToray Composites (America), Inc.から商業的に入手可能なものを含む。更なる具体的な炭素繊維マットの例は、GRAFILシリーズ及びPYROFIL(商標)シリーズ例えばPYROFIL(商標)TR30Sを含むオクラホマ州タルサのAdvanced Composites Group及びカリフォルニア州サクラメントのGrafil, Inc.から商業的に入手可能なものを含む。
熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂を含む、様々な種類の樹脂を用いることができる。典型的には、樹脂は熱硬化性の樹脂である。適切な熱硬化性樹脂の例は、エポキシ樹脂を含む。樹脂は、樹脂の硬化を促進するための一種又はそれ以上の硬化剤を含んで(すなわちこれと混合されて)いてもよい。様々な種類の硬化剤を用いることができる。樹脂は、システム20によって提供される急速な加熱及び冷却を活用するために、前述した期間で硬化可能であることが好ましい。適切な樹脂が、様々な業者から商業的に入手可能である。具体的な樹脂の例は、G83プリプレグ樹脂を含むユタ州ソルトレイクシティのHuntsman International LLC、Toray Carbon Fibers America, Inc.及びToray Composites (America), Inc.から商業的に入手可能なもの、及びMTM57プリプレグ樹脂を含むAdvanced Composites Groupから商業的に入手可能なものを含む。
前述のように、複合材製品22はプリプレグから成形されることができる。プリプレグは、事前に樹脂を浸透させた炭素繊維マットであり、ウェット又はドライのいずれか、典型的にはかすかにウェットである。プリプレグを用いる場合には、複合材製品22を成形するために、プリプレグの樹脂と同一又は異なる追加的樹脂を使用し得ることが理解されるべきである。代替的に、プリプレグと共に提供された樹脂だけを、樹脂として用いることができる。様々な種類のプリプレグを用いることができる。具体的なプリプレグ又はプリプレグシステムの例は、PC7831-190-1000のような、Toray Composites (America), Inc.から商業的に入手可能なもの、及びMTM57/CF3238のようなAdvanced Composites Groupから商業的に入手可能なものを含む。
本実施形態に係る方法は、ツール26の型表面24上にプリフォーム62を配置するステップを有する。プリフォーム62は手動で又は自動的に配置され得る。当該方法は、ツール26の型表面24を、T1からT2へ、Tt1の期間内に加熱するステップを更に有する。T1、T2及びTt1は、前述のものとすることができる。型表面24を加熱することは、プリフォーム62の樹脂を薄くするために有用である。そのため、樹脂は炭素繊維マットの周りを、その内部へ、及びその内部において、より円滑に流れる。型表面24、従ってプリフォーム62は、前述のようにシステム20によって加熱され得る。
本実施形態に係る方法は、プリフォーム62に圧力を加えるステップを更に有する。圧力は、様々な手段によって加えられ得る。典型的には、更に後述するように圧力はプレス64によって加えられる。圧力は、第一の圧力(P1)から第二の圧力(P2)まで加えられる。
圧力は様々な度合いで加えられる。加圧の度合いは、線形又は曲線形であり得る。例えば、加圧の度合いは、徐々に減少する比率で増大、又は徐々に増大する比率で増大してもよく、又は実質的に不変、又はそれらの組み合わせであり得る。典型的に、加圧は、約0.1以上、約0.2以上、約0.3以上、約0.4以上、約0.5以上、約0.6以上、約0.7以上、約0.8以上、約0.9以上、約1以上、約1.1以上、約1.2以上、約1.3以上、約1.4以上、約1.5以上、又は約2以上、ポンド毎平方インチ(psi)毎秒(sec)の比率で行われる(1psi/secは、約2.07kPa/secに相当する)。
P1は様々な圧力であり得る。例えば、P1は標準大気圧(約14.7psi)であり得る。典型的には、P1は、約0から約5、約0から約1、約0から約0.5、約0から約0.25、又は約0から約0.1、ポンド毎平方インチのゲージ圧(大気圧を0とする圧力)(psig)である(1psigは約2.07kPaのゲージ圧に当たる)。
P2は様々な圧力であり得る。例えば、P2は加圧工程の間に到達する最大圧力であってもよい。典型的には、P2は、約50psigから約150psig、約60psigから約140psig、約70psigから約130psig、約80psigから約120psig、約90psigから約110psig、又は約100psigである。
圧力は、第一の期間(Pt1)内に加えられる。圧力を加えることは、特に、熱を加えることで樹脂が薄くされた後に、プリフォーム62を強固にするために有益である。Pt1は様々な期間であり得る。典型的には、Pt1は、続く加圧及び減圧の期間と比較して短い。しかしながら、Pt1は、続く加圧及び減圧の期間の一つ又はそれ以上の長さよりも長いか、又は同等の長さであってもよい。典型的には、Pt1は、約1分から約25分、約1分から約20分、約1分から約15分、約1分から約10分、約2.5分から約10分、約2.5分から約7.5分、又は約4分から約6分である。
本実施形態に係る方法は、第二の期間(Pt2)の間、圧力をおよそP2に維持するステップを有する。圧力は、P2で又は容認可能な許容範囲、例えばP2±10psi(1psiは約2.07kPaに当たる)で維持されることができる。圧力をおよそP2でPt2の間維持することは、複合材製品22の樹脂を更に強固にし、硬化させるために有用である。許容範囲内にとどまるために、調節が用いられ得る。
Pt2は様々な長さの期間であり得る。典型的には、Pt2はPt1よりも短い。しかしながら、Pt2はまた、Pt1又は続く期間よりも長いか、又は同等の長さであってもよい。典型的には、Pt2は、約1分から約25分、約1分から約20分、約1分から約15分、約1分から約10分、約1分から約7.5分、約1分から約5分、又は約1分から約2.5分である。
ある実施形態において、本実施形態に係る方法は、圧力を、P1及びP2の間の中間圧力(P1−2)で、Pt2に先行するPt1の一部分(Pt<1)の間、維持するステップを更に有する。典型的には、このステップはP2まで加圧する前に現れる。圧力は、P1−2で又は容認可能な許容範囲、例えばP1−2±10psiで維持されることができる。圧力をおよそP1−2でPt<1の間維持することは、複合材製品22を強固にするために有益であると考えられる。例えば、樹脂は、その最小の粘性度又は薄さとなり、プリフォーム62の炭素繊維マットに、より容易に流入する。許容範囲内にとどまるために、調節が使用され得る。
P1−2は様々な圧力であり得る。例えば、P1−2は、P1及びP2の中央の圧力、P1により近い圧力、又はP2により近い圧力であり得る。典型的には、P1−2は、約25psigから約125psig、約35psigから約115psig、約45psigから約105psig、約50psigから約100psig、約55psigから約95psig、約65psigから約85psig、又は約75psigである。
Pt<1は、Pt1よりも短い期間であることを条件として、様々な長さの期間であり得る。典型的には、Pt<1は、Pt2よりも長い。しかしながら、Pt<1はまた、Pt2又は続く期間よりも短いか、又は同等の長さであってもよい。典型的には、Pt<1は、約1分から約25分以下、約1分から約20分、約1分から約15分、約1分から約10分、約1分から約7.5分、約1分から約5分、又は約1分から約2.5分である。
本実施形態に係る方法は、複合材製品22にかかる圧力を低下させるステップを更に有する。本実施形態に係る方法は、ツール26の型表面24を冷却して、型表面24の温度をおよそT2からT3の温度まで、第三の期間(Tt3)内に落とすステップを更に有する。ツール26の型表面24は、前述のようにシステム20によって冷却されることができる。本実施形態に係る方法は、ツール26の型表面24から、複合材製品22を取り出すステップを更に有する。複合材製品22は、手動で、又は自動的に取り出されることができる。
前述のように、システム20はツール26の型表面24を加熱及び冷却するために使用されることができる。制御部56は、システム20のサブシステム40,48,49及び利用される場合には三方弁58を用いて型表面24を加熱及び冷却するための様々な制御スキームをプログラムされ得る。制御部56はまた、様々な期間において及び/又は様々な温度で複合材製品22へ圧力を加え、また、加圧を解除するようにプログラムされ得る。
先に示唆されたように、圧力は様々な手段によって加えられ得る。ある実施形態において、更に後述されるように、複合材製品22に圧力を加えるために、圧力タンク66がプレス64と一緒に使用される。本明細書において、複合材製品22への言及は、その成形の程度に依存してプリフォーム62をも指し得ることが理解されるべきである。
ある実施形態において、制御部56は、Tt1≦Tt2又はTt1≧Tt2となるようにプログラムされる。更なる実施形態において、制御部56はTt1≦Tt3又はTt1≧Tt3となるようにプログラムされる。Tt1、Tt2及びTt3の合計(Tt1+Tt2+Tt3)は、前述の通りである。ある実施形態において、制御部56はPt1≦Pt2又はPt1≧Pt2となるようにプログラムされる。更なる実施形態において、制御部56はPt1≦Tt1又はPt1≧Tt1となるようにプログラムされる。その上に更なる実施形態において、制御部56はPt2≦Tt1又はPt2≧Tt1となるようにプログラムされる。典型的には、下記数式1を満たすものとする。換言すれば、加熱及び冷却のための合計時間は、概して複合材製品22の成形の全体のサイクル時間を規定する。
(数1)(Pt1+Pt2)≦(Tt1+Tt2+Tt3)
複合材製品22の表面特性及び/又は機械的特性を改変するために、温度及び圧力の期間のそれぞれのタイミングを変えることができる。異なる複数の種類の複合材製品22を製造するための具体的な加熱、冷却、加圧、及び減圧のプロファイルは、日常の実験を通じて定められ得る。具体的なプロファイルの例は、図11、図12及び図13に示されている。これらについては後述する。前述のとおり、システム20によって型表面24を直接加熱及び冷却するため、オートクレーブ等の従来の方法と比較して、複合材製品22製造のサイクル時間を大幅に削減することができる。
本発明は、その他の方法を提供する。当該方法は、複合材製品22を成形するために有用である。当該方法は、ツール26及びプリフォーム62を提供するステップを有する。ツール26及びプリフォーム62は前述したようなものであってもよい。
当該方法は、プレス64を提供するステップを更に有する。プレス64は、システム20、圧力タンク66、及び/又は制御部56のそれぞれの基部側又は先端側に設置され得る。システム20のサブシステム40,48,49は、互いの基部側又は先端側に設置されることができる。利用される場合、交換器サブシステム49は、典型的にプレス64の基部側に設置される。制御部56は、サブシステム40,48,49及び圧力タンク66のそれぞれの基部側又は先端側に設置されることができる。そのため、システム20は、その構成要素それぞれをレイアウトする際に柔軟性を提供する。
図5乃至7を参照すると、プレス64は、プラットフォーム68と、プラットフォーム68に向き合うカバー70を有する。プレス64のプラットフォーム68は、ツール26を支持するために有用である。本実施形態に係る方法は、プラットフォーム68をカバー70に接触させて(又は接続させて)、プラットフォーム68とカバー70との間に空洞72を画成するステップを更に有する。空洞72は、プレナムとも呼ばれ得る。典型的には、カバー70及び/又はプラットフォーム68は、外縁シール74を含む。外縁シール74は、例えば外縁ガスケット74のようなものであり、空洞72を気密状態にする。このような方法で、空洞72はツール26の加圧状態及び/又は温度が制御された状態を維持することができる。様々な種類のシール74を用いることができる。これらの実施形態において、カバー70は概して固く、柔軟性がない(これはゴム製又は“袋”タイプの型表面とは異なる)。様々な種類のプレス64を用いることができる。プレス64は、本明細書に記載された圧力を取り扱うことが可能であることが好ましい。適切なプレス64は、様々な業者から商業的に入手可能である。プレス64の具体的な例は、ワシントン州タコマのGlobe Machine Manufacturing Companyから商業的に入手可能なものを含む。
図3を参照すると、本実施形態に係る方法は、プリフォーム62を型表面24上に配置するステップを更に有する。本実施形態に係る方法は、真空キャノピー36をツール26上に配置して、真空キャノピー36をツール26の型表面24との間にエンベロープ(図示なし)を画成するステップを更に有する。プリフォーム62及び真空キャノピー36は、手動で又は自動的に配置され得る。
真空キャノピー36は、バッグ36又はシート36とも呼ばれ得る。真空キャノピー36は、例えばシリコン等の高分子材料のような、様々な材料で成形されることができる。真空キャノピー36は、例えば外縁ガスケット78のような、エンベロープの成形に助力する外縁シール78を含む。追加的に又は代替的に、パテ78を用いることができる。様々な種類のシール78及び/又はパテ78を用いることができる。典型的には、エンベロープは気密である。真空キャノピー36は、固さを増して真空キャノピー36の取り扱いを容易にするための外縁フレーム80を含んでいてもよい。真空キャノピー36を動かすために、外縁フレーム80に複数の取手(図示なし)が取り付けられていてもよい。ツール26の止め具34と相互作用するために、止め金82もまた外縁フレーム80に取り付けられていてもよい。止め金82及び止め具34は、ツール26上の真空キャノピー36の方向を維持するために有用である。
貼り付きを防止するため、真空キャノピー36とプリフォーム62との間にリリースシート(図示なし)が配置されてもよい。リリースシート又は被膜(図示なし)は、複合材製品22の張り付きを防止するために、型表面24にもまた適用することができる。リリースシートは、例えば高分子フィルムのような、様々材料から成形することができる。
本実施形態に係る方法は、プレス64の空洞72が確立するときにその内部に位置するように、ツール26をカバー70の下に配置するステップを更に有する。ツール26は、概して、空洞72を確立するためにカバー70をプラットフォーム68に接触させる前に、プレス64のカバー70の下に配置される。ツール26は、概して、空洞72内部に配置されたときに、空洞72の全体の容積の少なくとも約33%、少なくとも約50%、少なくとも約66%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、又は少なくとも約90%、を占める。そのため、ツール26が存在するとき、空洞72の残りの容積は全体の容積と比較して典型的に小さい。望まれるときは、空洞内の追加的な容積を占めるために、挿入物、仕切り又はブロック(図示なし)を使用することができる。
図5及び6を参照すると、支持台84がプレス64の隣に配置されている。支持台84は、ツール26を保持、積み込み、積み出しするために有用である。プレス64の反対側に、積み出しのために他の支持台84を用いることもでき、また、単一の支持台84を用いることもできる。
運搬装置86は、プラットフォーム68の近傍に配置されている。運搬装置86は、概してチェーン軌道上にあり、ツール26と係合するための少なくとも一つのフック90を有する。そして、運搬装置86は、典型的にツール26のそれぞれの側面に接続するための少なくとも一つのフック90を有する。運搬装置86は、ツール26を支持台84からプレス64のプラットフォーム68上かつプレス64のカバーの下に引っ張るために有用である。
運搬装置86がカバー70の下の通路の大部分に渡ってツール26を動かした後に、運搬装置86はカバー70の通路の外に出る。カバー70は、その後プラットフォーム68上に下降して、プラットフォーム68と係合し(又は連結し)、空洞72を画成する。プレス64のカバー70を上下に所定位置に動かすために、ピストン92及び/又はギア94を用いることができる。
ひとたびカバー70がプラットフォーム68に接触すると、カバー70上に配置された複数のラム96が、カバー70及び空洞72の内部に伸びる。ラム96はツール26上の受容部98に係合してツール26を更にプラットフォーム68上に押し、ツール26を実質的に空洞72内の中心に置く。この位置において、ツール26は、概してツール26がシステム20と流体接続するように配列される。そのような、ツール26からシステム20への流体連通は、カバー70を通って及び/又はプレス64のプラットフォーム68を通って経路を定められている。プレス64は、カバー70の下降の前に及び/又は型表面24の加熱の前に、ツール26の適切な位置を確かめるために、一つ又はそれ以上のセンサー(図示なし)を有していてもよい。
ある実施形態において、システム20は自動的にプレス64とツール26を連結するための接続システムを有する。接続システムは、ツール26へ及びツール26から、システム20を介して熱流体を伝えるために有用である。図15を参照すると、ツール26のためのツール接続システム200が示されている。ツール接続システム200は、例えば流体の供給、流体の戻り及びセンサーのような、様々な要素をツール26に接続するための複数の接続部を有している。換言すれば、ツール接続システム200は、様々な機能をツール26に、及び任意的にプレス64の空洞72に提供する。概して、これら複数の要素は機能及びツール26との連通を提供する。これらの複数の要素は、概してツール26と連通又は接続(communication)している。例えば、これらはツール26の管組織28に流体連通している。
ツール接続システム200は、ツール26の温度監視及び反応のための熱抵抗装置(RTD)オス接続子202を有する。ツール接続システム200はまた、第一整列ブッシング204、熱流体を入口30からツール26へ供給するための熱流体取入口バルブ206、オス止めピン208、ツール26から出口32へ熱流体が戻るための熱流体排出口バルブ210、第二整列ブッシング212、及び真空接続部214及びツール26の圧力監視のための静的接続部216を有する。RTDに加えて、又はRTDに替えて、例えば熱電対(サーモカップル)のような、他の形式のツール26の温度測定を利用することができる。これらの形式には、熱電対、光高温計及び他の類似のシステムを含む。ある複数の実施形態では、実際の温度又は温度の変化率を測定することができる。
図16を参照すると、プレス64のためのプレス接続システム218が示されている。プレス接続システム218は、例えば流体の供給、流体の戻り及びセンサーのような、様々な要素をプレス64に接続するための複数の接続部を有している。これらの複数の要素は、概してシステム20と連通している。例えば、これらはシステム20の導管38に流体連通している。プレス接続システム218は、ツール26の温度監視及び反応のためのRTDメス接続子220を有する。プレス接続システム218はまた、入口30からツール26へ熱流体を供給するための熱流体排出口バルブ222、ツール26から出口32へ熱流体を戻すための熱流体取入口バルブ224、第一整列ピン226、真空接続部228及びツール26の圧力監視のための静的接続部230、油圧アクチュエータによって操作されるメス止め輪2230、及び第二整列ピン232を有する。
図17を参照すると、複合材製品22を成形するための加圧サイクルの間の、プレス64が示されている。プレス64及びツール26は、システム20と組み合わせたプレス接続システム218及びツール接続システム200によって部分的に付与される圧力及び温度のプロファイルを有する。典型的には、ツール26とプレス64のカバー70との間の接続は、カバー70が閉じた後に自動的になされる。具体的には、ツール接続システム200及びプレス接続システム218は、ツール26がプレス64内に入った後に互いに連結及び係合する。典型的には、図17に示されるように、二つの接続システム200,218を押し付けるために複数のラム96が用いられる。運搬装置86は、後に二つの接続システム200,218を引き離すために用いられ得る。ひとたび連結されると、ツール26及びプレス64は、互いに流体連通し(かつ、典型的には、電気的に接続する)、制御部56に接続する。
ある実施形態において、ツール接続システム200は、ツール26に動作的に接続しており、プレス接続システム218は加熱器サブシステム40及び交換器サブシステム49に流体連通している。前述のとおり、二つの接続システム200,218は、ツール26へ及びツール26から、第一熱流体を供給及び受容するために互いに結び付いている。プレス接続システム218は、第一熱流体を用いて型表面24を加熱及び冷却するために、ツール26の管組織28に動作的に接続されている。プレス接続システム218は、ツール接続システム200との連結のために、カバー70及び/又はプレス64のプラットフォーム68を通じて空洞72内に動作的に接続されている。一方、ツール26は第一熱流体を用いて型表面24を加熱及び冷却するために、プレス64の空洞72内に配置されている。
そのような“迅速接続/切断”構成は、例えば、利用される複数のツール26のバリエーションを、それに由来する長時間の変更作業を伴わずに可能にするなど、組立ての多様性を提供する。例えば、様々なツール26の構成が、二つの接続システム200,218を介して、利用される、又は、単にプレス64に“差し込まれる”ことができる。この構成はまた、システム20内の複数のツール26の迅速な交換を可能にする。ツール26の交換は5分間の時間枠内で、2分間の早さで、及び10分間の長さで起こることができる。比較のために、繊維強化プラスチック部品の加圧モールディングにおける典型的なツール交換は、4時間を要する。
前述のように、ツール26の位置及び加えられる温度及び圧力を含むシステム20内の動作は、概して、制御部56によって監視され、制御される。制御部56は、共有された処理装置及び/又は独立した処理装置を用いて実装され得る。処理装置には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号処理機、マイクロコンピュータ、中央処理ユニット、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、プログラマブル論理装置、状態機械、論理回路、アナログ回路、デジタル回路、及び/又は動作上の指示に基づく如何なる信号を操作する装置(アナログ及び/又はデジタル)を含む。メモリは、単一のメモリ装置又は複数のメモリ装置であってよい。そのようなメモリ装置は、リード・オンリー・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、スタティックメモリ、ダイナミックメモリ、フラッシュメモリ、及び/又はデジタル情報を保存する如何なる装置であってよい。ここで留意すべきは、ベースバンド処理モジュールが一つ又はそれ以上の機能を、状態機械、アナログ回路、デジタル回路、及び/又は論理回路を介して実装するとき、対応する動作上の指示を保存するメモリは、その状態機械、アナログ回路、デジタル回路、及び/又は論理回路を有する回路上に組み込み込まれることである。
方法に戻り、本実施形態に係る方法は、真空キャノピー36に真空を適用して、エンベロープを空にして、プリフォーム62をツール26の型表面24の近傍に保持するステップを更に有する。このステップは、加熱及び冷却のためにプリフォーム62を型表面24に接触した状態のままにするために有用である。真空は、様々な方法で適用することができる。例えば、真空ポンプ(図示なし)が、型表面24から空気を引き出すツール26に接続することができる。典型的には、ツール26上の真空キャノピーの適切なシールを確認するために、ツール26を空洞72内に配置する前に、真空が試験される。前述のとおり、止め具34及びクランプ82は、ツール26上の真空キャノピーを整列させるために有用である。真空ポンプは、プレス64のカバー70を通じて及び/又はプレス64のプラットフォーム68を通じてツールと流体連通していてもよい。真空は、例えば約10Hgから約35Hg、又は約12.5Hgから約32.5Hg、又は約15Hgから約30Hgのように、様々な圧力で適用されてもよい。
本実施形態に係る方法は、ツール26の型表面24を、T1からT2まで、Tt1内で加熱するステップを更に有する。このステップは、プリフォーム62の樹脂を薄くするために有用である。T1、T2及びTt1は、前述と同様でよい。システム20は、型表面24を加熱するために用いられ得る。
本実施形態に係る方法は、P1からP2まで、Pt1内でプレス64の空洞72を加圧するステップを更に有する。このステップは、プリフォーム62を強固にするために有用である。P1、P2及びPt1は、前述と同様でよい。典型的には、本実施形態に係る方法は、圧力タンク66を提供するステップを更に有する。圧力タンク66は、プレス64の空洞72を加圧及び/又は減圧するために、プレス64の空洞72に流体連通している。そのような流体連通は、プレス64のカバー70を通じて及び/又はプレス64のプラットフォーム68を通じていてもよい。
ある実施手形態において、ガスは、使用後に空洞72から再利用される。他の実施形態において、ガスは、使用後に再利用されずに空洞72から排出される。圧力タンク66は様々な圧縮されたガスを収容することができる。典型的には、圧力タンク66は、プレス64の空洞72が空気で加圧されるように、圧縮空気を収容する。ある実施形態において、圧力タンク66は、圧縮された窒素ガス(N2)を含まない。空気は78%ものN2を含みうることが理解されるべきである。空気は典型的に空洞72を加圧するために使用されるが、他の種類のガスも使用され得る。
圧力タンク66は、圧縮されたガスを収容した独立型のタンクでもよく、または、空気圧縮機の一部であってもよい。圧力タンク66は及び/又は空気圧縮機は、様々な種類のものであり得る。圧力タンク66は及び/又は空気圧縮機は、プレス64の空洞72に適用される圧力を扱い、供給することが可能であることが望ましい。例えば、圧力タンク66は、プレス64の空洞72を、少なくとも150psigまで、120秒以内に加圧できることが望ましい。適切な圧力タンク66及び空気圧縮機は、様々な業者から商業的に入手可能である。空気圧縮機の具体的な例は、Sullair(登録商標)Stationary Air Power Systems例えばSullair(登録商標)2200、the Sullair(登録商標)3700、Sullair(登録商標)4500、及びSullair(登録商標)7500を含む、ミシガンシティのSullair(登録商標)から商業的に入手可能なものを含む。
圧力タンク66は、乾燥機(図示なし)と流体連通していてもよい。乾燥機はプレス64の空洞72へ送られる、又は、空洞72から戻った圧縮ガスから水分を取り除くために有用である。乾燥機は、様々な種類のものであってよい。適切な乾燥機は、様々な業者から商業的に入手可能である。乾燥機の具体的な例は、Drypoint(登録商標)シリーズ例えばDrypoint(登録商標)RAを含む、ジョージア州アトランタのBEKO Technologies Corp.から商業的に入手可能なものを含む。
典型的には、本実施形態に係る方法は、システム20を提供し、ツール26の型表面24を加熱及び冷却するため、及び空洞72を加圧及び減圧するために、制御部56を提供するステップを更に有する。例えば、制御部56は、圧力タンク66及びプレス64と接続して、制御部56が圧力タンク66及び/又はプレス64を制御して空洞72を加圧又は減圧するようにしてもよい。制御部56は、典型的には、空洞72内部に配置された一つ又はそれ以上の圧力センサー(図示なし)からの反応によって空洞72の圧力を測定する。制御部56は、典型的には、ある圧力をある時間及び/又は温度で設定するようにプログラムされる。
本実施形態に係る方法は、ツール26の型表面24を、およそT2の温度でTt2の間保持するステップを更に有する。このステップは、樹脂を硬化させるために有用である。本実施形態に係る方法は、ツール26の型表面24をT2まで加熱する前に、ツール26の型表面24をT1−2の温度でTt<1の間保持するステップを更に有する。
本実施形態に係る方法は、プレス64の空洞72を、およそP2の圧力でPt2の間保持するステップを更に有する。このステップは、複合材製品22を更に強固にするため及び硬化させるために有用である。本実施形態に係る方法は、ツール26の型表面24を冷却して、型表面24の温度をT2からT3まで、Tt3の間に落とすステップを更に有する。制御部56、システム20、及び圧力タンク66はこれらのステップのために使用され得る。
本実施形態に係る方法は、プレス64の空洞72を減圧するステップを更に有する。典型的には、空洞72は、第三の期間(P1)の間に、Pt3に戻るまで減圧される。プレス64の空洞72は、様々な速度で減圧され得る。減圧の速度は、線形又は曲線形であり得る。例えば、減圧の速度は、徐々に減少する比率で増大、又は徐々に増大する比率で増大してもよく、又は実質的に不変、又はそれらの組み合わせであり得る。典型的に、減圧は、約0.1以上、約0.2以上、約0.3以上、約0.4以上、約0.5以上、約0.6以上、約0.7以上、約0.8以上、約0.9以上、約1以上、約1.1以上、約1.2以上、約1.3以上、約1.4以上、又は約1.5以上、psi毎秒の比率で行われる。ある実施形態において、空洞72は、約100以上、約75、約50、約25、又は約10、psi毎秒の比率で減圧される。
Pt3は様々な長さの期間であり得る。典型的には、Pt3は先行する複数の加圧の期間よりも短い。しかしながら、Pt3はまた、先行する複数の加圧の期間の一つ又はそれ以上よりも長いか、又は同等の長さであってもよい。典型的には、Pt3は、約1分から約25分、約1分から約20分、約1分から約15分、約1分から約12.5分、約1分から約10分、約1分から約7.5分、約1分から約5分、又は約1分から約2分である。典型的には、下記数式2を満たすものとする。
(数2)(Pt1+Pt2+Pt3)≦(Tt1+Tt2+Tt3)
本実施形態に係る方法は、プレス64の空洞72をP2まで加圧する前に、プレス64の空洞72を、およそP1−2の圧力でPt<1の間保持するステップを更に有する。本実施形態に係る方法は、プレス64のカバー70とプラットフォーム68とを分離するステップを更に有する。典型的には、外縁シール74及び/又は複合材製品22への損傷を防止するため、カバー70とプラットフォーム68とを分離する前に空洞72内部の圧力は減圧されている。先に示唆されたように、圧力タンク66は空洞72を減圧するために使用し得る。追加的に又は代替的に、急速又は制御された方法で、プレス64が圧縮ガスを大気へ放出してもよい。本実施形態に係る方法は、真空キャノピー36の維持するステップを更に有する。このステップは、典型的にプレス64の空洞72が加圧されている間に行われる。
本実施形態に係る方法は、プレス64からツール26を取り出すステップを更に有する。運搬装置86は、ツール26を、支持台84に戻すように又は他の支持台84へ、押す又は引くように使用され得る。図8を参照すると、プレス64の他の実施形態が示されている。一つの支持台84は、積み込みのために使用されることができ、もう一つの支持台は積み出しのために使用されることができる。この配置構成においては、先に積み出されたツール26ではなく、異なる複数のツール26が、プレス64に積み込むために使用され得る。ただし、これは、先に積み出されたツール26が後にプレス64内に積み込むことができないことを意味しない。
本実施形態に係る方法は、ツール26から真空キャノピー36を取り外すステップを更に有する。真空キャノピー36は、手動で、又は自動的に取り外すことができる。本実施形態に係る方法は、ツール26の型表面24から複合材製品22を取り外すステップを更に有する。複合材製品22は、手動で、又は自動的に取り外すことができる。典型的には、複合材製品22は手袋をした手で(又は素手で)取り扱うことが可能な温度である。Tt1+Tt2+Tt3の合計については、前述のとおりである。
本発明はまた、プリフォーム62を成形する方法を提供する。本実施形態に係る方法は、レイアップ(又はレイ‐アップ)法と呼ばれる。プリフォーム62は、システム20及び/又は複合材製品22を成形するための、前述した本発明に係る方法と共に用いることができる。
図9を参照すると、本実施形態に係る方法は、マンドレル表面102を有するマンドレル100を提供するステップを有する。様々な種類のマンドレル100を用いることができる。適切なマンドレル100は、様々な業者から商業的に入手可能である。具体的なマンドレル100の例は、Models & Tools Inc.から商業的に入手可能なものを含む。
典型的には、マンドレル100のマンドレル表面102は、ツール26の型表面24と相補的である。例えば、二つの表面24,102は、メス/オス構造の関係であてもよい。マンドレル100は、ツール26に類似していてもよい。例えば、マンドレルは流体を運ぶための管組織104を有してもよい。
管組織104は、管組織104へ流体を伝える少なくとも一つの入口106及び管組織104から流体を伝える少なくとも一つの出口108を有する。管組織104は、熱伝達を早めるためにマンドレル表面102の近傍又は直接接する位置にある。管組織104は、マンドレル表面102の(間接的よりはむしろ)直接的な加熱又は冷却に有用である。管組織104は、マンドレル100自体の内側に(例えば穴をあけることなどによって)形成されてもよく、またはマンドレル表面102に近いマンドレル100の内側に、マンドレル100に対して及び/又はマンドレル表面102に対して取り付けられてもよい。管組織104は、ツール26について前述したと同様に、様々なやり方で配置されてよく、均一又は様々な直径のものであってもよい。
マンドレル100の管組織104は、導管(図示なし)に接続されている。導管は、マンドレル100へ及びマンドレル100から、流体を伝える。マンドレル100は、マンドレル表面102を加熱及び冷却するために、システム20に流体連通していてもよい。代替的に、マンドレル100は他の種類のシステム(図示なし)に流体連通していてもよい。他の種類のシステムとは、例えば従来のオイル又は水ベースの加熱及び/又は冷却システム、典型的には水ベースのシステムである。
本実施形態に係る方法は、複数のピースの炭素繊維シート110を供給し、樹脂を提供するステップを有する。複数のピースの炭素繊維シート110は、例えば前述のプリプレグ及び/又は炭素繊維マットからなる複数のピース110のように、様々な種類のものであってよい。樹脂は、例えば前述のエポキシなど、様々な種類のものであってよい。樹脂は、“粘着(tack)”温度を有する。これについては後述する。
本実施形態に係る方法は、マンドレル表面102を第一の温度まで加熱するステップを更に有する。第一の温度は、プリフォーム62の作製(preparation)の間に樹脂のマンドレル表面102への接着を促進する。第一の温度は、概して樹脂の粘着温度に対応する。タック温度において、樹脂は、マンドレル表面102に接着し、また、複数のピース層の間の接着のように樹脂自体に接着する。
粘着温度は、試験で測定することができ、又はMSDS又は技術データシートなどの樹脂に関する技術的文献を参照することによっても確かめられる。粘着を測定するための典型的な試験は、手袋をした指又は工具を樹脂の層の上に置くこと及びその指又は工具を引き去り、どの温度点において引き去った際に樹脂が指又は工具に接着したか測定することを含む。第一の温度は、典型的には約100°Fから約175°F、約110°Fから約155°F、又は約125°Fから約140°F(約38°Cから約79°C、約43°Cから約68°C、約52°Cから約60°C)である。
本実施形態に係る方法は、典型的に、樹脂層(図示なし)を形成するためにマンドレル100のマンドレル表面102に樹脂を加えるステップを有する。樹脂は、様々な方法によって加えられてもよい。例えば、樹脂は、手で又は機械的なスプレー塗布、刷毛塗り、流し込み、その他によって加えられ得る。プリフォーム62の張り付きを防止するため、樹脂を加える前に、リリースライナー又は被膜が、マンドレル表面102に適用されてもよい。
本実施形態に係る方法は、炭素繊維マットを成形するために、樹脂層上に複数のピース110を配置するステップを更に有する。複数のピース110は、単一の層として横たえてもよく、かつ/或いは互いに重ねてもよい。炭素繊維マットの厚みを作り上げるためにピース110の複数の層が配列されてもよい。また、任意的に、追加的な樹脂がピース110の複数の層の間に加えられてもよい。本実施形態に係る方法は、典型的に、追加的な樹脂を炭素繊維マットの一番上に加えるステップを有する。
本実施形態に係る方法は、真空シート112とマンドレル100のマンドレル表面102との間にエンベロープ(図示なし)を画成するために、マンドレル100上に真空シート112を配置するステップを更に有する。典型的に、エンベロープを気密にするために、マンドレル100の外縁にパテ114が加えられる。パテ114は、例えば手作業、ロボットディスペンサー等の、様々な方法によって加えられる。張り付きを防止するため、リリースライナー又は被膜が真空シート112とプリフォーム62との間に加えられる。パテ114を使用するかわりに、真空シート112を、ツール26と共に前述した真空キャノピー36と類似又は同一に構成することもできる。換言すれば、真空シート112は外縁シール(図示なし)を有してもよい。
本実施形態に係る方法は、真空シート112に真空を適用して、それによりエンベロープ内を空にし、プリフォーム62をマンドレル100のマンドレル表面102に隣接した状態に保持するステップを更に有する。このステップは、複数のピース110を強固にし、更にプリフォーム2を成形するために有用である。このステップはまた、加熱及び冷却の間、プリフォーム62をマンドレル表面102に接触した状態に保つために有用である。真空は、例えば約10Hgから約35Hg、約12.5Hgから約32.5Hg、又は約15Hgから約30Hgのように、様々な圧力で適用されることができる。
本実施形態に係る発明は、マンドレル表面102を第二の温度まで冷却するステップを更に有する。第二の温度は、プリフォーム62をマンドレル表面102から離すことを可能にする。第二の温度は、典型的に第一の温度よりも低く、概して、樹脂の非粘着(non-tack)又は粘着性が低い(less tacky)温度のいずれかに対応する。第二の温度は、典型的には約35°Fから約100°F、約40°Fから約75°F、又は約40°Fから約50°F(約1.7°Cから約38°C、約4°Cから約24°C、約4°Cから約10°C)である。マンドレル表面102の加熱及び冷却は、手動で、又は他の制御部(図示なし)による等、自動的に制御することができる。本実施形態に係る方法は、真空シート112をマンドレル100から取り外すステップ、及びプリフォーム62をマンドレル表面から取り外すステップを更に有する。これらのステップは、手動又は自動で行われることができる。
ある実施形態において、マンドレル100は、手動、又はロボットのアーム(図示なし)に取り付けられることができ、マンドレル100は作製位置からモールディング位置まで移動可能にすることができる。例えば、作製位置において、マンドレル表面102は適当な位置に置かれたプリフォーム62を第一の温度に保持するように設定され、プリフォーム62はマンドレル100上で成形される。プリフォーム62が成形された後に、マンドレル100は次にモールディング位置に移動することができる。モールディング位置において、マンドレル表面102の温度は第二の温度に設定され、そのためプリフォーム62をマンドレル表面102から離すことを可能にする。プリフォーム62はその後、更なる工程のために、直接的に移動する又はプリフォーム62をマンドレル100から型表面24の上に落とすことによって、ツール26の型表面24上に配置されることができる。代替的に、プレフォーム62は、同一又は異なる場所のいずれかでの後の使用のために、貯蔵又は配列されてもよい。
図10を参照すると、様々なステップ(又は工程)がプレス64内での複合材製品22の成形の前及び/又は後に実行され得る。これらのステップは、様々な順番及び組み合わせで使用され得る。これらの追加的なステップは、単なる例示であり、本発明の限定であると解釈されるべきではない。
プリフォーム62のための複数のピース110は、“キットカット”工程によって提供されることができる。例えば、プリプレグシートは、コンピュータ駆動の切断台を用いて切断され、複数のピース110となる。その切断台は、コンピュータを利用した製図(CAD)システムから及び/又はデジタル化されたパターン及び図面からのデータを使用する。正確な切断のために、キットカット構成は、コンピュータ数値制御(CNC)作業セルを利用してもよい。CNC作業セルは、一連のCNC及びマシニングツールを含む。型紙及び型は施設内で製造されてもよいが、必要があれば第三者によって供給されてもよい。他の原材料と同様に、レイアップ工程に先立ってピース110を保存するために、ピース110は冷凍庫内で低温貯蔵され得る。
複数のピース110は、前述のように、マンドレル100を用いてプリフォーム62を成形するために使用され得る。自動化が可能であるが、手作業のレイアップの使用は概して、それぞれのマンドレル100に特有の複数のピース110の組を横たえることによって、複合材製品22に渡って異なる強度要求で複合材製品22をデザインすることを可能にする。加えて、手作業のレイアップは、不必要な追加の樹脂積層をなくすことによって、材料コストを低減することができる。
プレス64を用いた複合材製品22の成形の後、及びツール26からの取り外しの後、複合材製品22はトリム工程に供される。複合材製品22は、ロボット外形加工機によって機械的にトリム及び/又は穿孔をされてもよい。ロボット外形加工機の使用は、一貫した精密度及び適時な転回を容易にする。複合材製品22は、次に部分組立て及びボンディング工程に提供される。ボンディングを要求し得る複合材製品22は、トリム工程に続いて準備され、それらかCNCボンドされるボンディングセルに配置される。ロボットのボンディングセルの使用は、ボンドの正確さのための一貫した接着経路及び迅速な転回を提供する。
複合材22は、次に仕上げ工程に供される。ここで、複合材製品22は、ロボットで又は手で研磨される。自動化された技術は仕上げ工程を能率的にする一方で、クラスA表面の品質が望まれる場合は、手作業による研磨を用いることは、これを確保することを助けると考えられる。複合材製品22の表面に小さな傷があれば、技術者はこれを発見し、修理する。複合材製品22は、次に、下塗工程に供される。複合材製品22は、大量低圧(HVLP)下塗剤(又は透明塗料)の塗装を受けるために塗装ラインシステムに入ってもよい。複合材製品22は、汚れを防止するために先に洗浄される。露出した炭素繊維の織物(weave)を有する複合材製品22は、透明に塗装されて直接消費者に出荷されてもよい。一方、色を必要とする複合材製品22は、下塗りをされて、消費者に届く前に塗装を受けるために、第三者例えばOEM認可された供給者へ出荷されてもよい。複合材製品22は、次に最終検査工程に供される。複合材製品22は、寸法上の品質を確かめるために測定及び視覚的検査がなされる。透明塗装がなされた複合材製品22はフィネスステージに供され、消費者への出荷に先立つ最終視覚的検査の前に宝石のように磨かれる。
本発明に係る方法によって成形された複合材製品22は、素晴らしい機械的な特性及び/又は表面特性を有する。例えば、複合材製品22は、従来のオートクレーブ法を用いて成形された複合材製品と比較して、傷がごく少数か、全く無い、クラスAに近い表面を有する。複合材製品22の更なる仕様は、すぐ後の実施例に記載されている。
本発明の追加的な実施形態、特徴、及び利点は、以下の開示を参照して理解され得る。米国特許仮出願番号No.61/410,753, 発明の名称“METHOD OF MAKING COMPOSITE PARTS BY USING MEMBRANE PRESS”、米国特許仮出願番号No.61/495,661, 発明の名称“RAPID CURE SYSTEM FOR THE MANUFACTURE OF COMPOSITE PARTS”、米国特許仮出願番号No.61/418,521, 発明の名称“SYSTEMS AND METHODS FOR FORMING COMPOSITE COMPONENTS"”、国際特許出願番号No.PCT/US2011/059434, 発明の名称“THERMAL PROCESSING AND CONSOLIDATION SYSTEM AND METHOD”、及び国際特許出願番号No. PCT/US2011/062836, 発明の名称“METHOD AND SYSTEM FOR FORMING COMPOSIIE ARTICLES”。これらの全ては、その全体において参照されることによって、それらが本発明の一般的範囲に抵触しない限りにおいて本出願に取り込まれる。
本発明の複合材システム20、方法及び複合材製品22を例示する以下の複数の実施例は、例示を意図しており、発明を限定するものではない。
複合材製品の比較例は、従来のオートクレーブ及びオートクレーブ法を用いて製造された。複合材製品の本発明の例は、本発明のシステム及び方法を用いて製造された。これらの例に関する追加的な情報は、以下の表1及び後続の記述に提供された。
プリフォームは従来のレイ−アップ法によって成形された。プリフォームは自動車のフードの形状に成形された。炭素繊維マットは、織物が露出したプリプレグであり、樹脂は“高速硬化”エポキシ樹脂である。これらは両方ともワシントン州タコマのToray Composites (America), Inc.から商業的に入手可能である。
プリフォームは、ツール内に積み込まれ、真空シートで覆われる。ツールは構成及び材質において同一である。真空は確立されかつ確認される。ツールは、オートクレーブ又はプレス内にそれぞれ配置される。オートクレーブは閉じられ、起動される。プレスは閉じられ、起動される。プレスは本発明のシステムに流体連通している。
図14を参照すると、オートクレーブにおける温度及び圧力の傾斜及び保圧を含む具体的なパラメータがより良く理解できる。図14における複数のTCのそれぞれは、ツールの型表面上の具体的な位置の温度を参照する。よく理解されるように、オートクレーブは型表面を均一に一貫した温度で加熱することができていない。この均一な加熱処理(heat soaking)の欠乏は、オートクレーブによって成形された複合材製品に、例えば表面の傷のような様々な問題点を与えると考えられる。図11を参照すると、プレスにおける温度及び圧力の傾斜及び保持を含む具体的なパラメータがより良く理解できる。
図12は、第2の本発明の実施例(上記の表1に示されていない)を示している。図13は、第3の本発明の実施例(同様に、上記の表1に示されていない)を示している。図12及び図13を参照してよく理解されるように、本発明のシステムは、型表面を、短い期間で急速に加熱することができる。加えて、ピーク温度に到達するために保圧が必要とされない。それどころか、本発明のシステムの急速加熱能力に基づいて、ピーク温度は非常に短い期間の初期時間で、迅速にピーク温度に到達することができる。
図11を参照すると、ツールの型表面の温度は、加熱器サブシステム及び制御部を用いて、T1からT1−2まで傾斜を成している。具体的には、制御部は、T1−2に到達するまで、バルブを用いて大量の加熱された熱流体の一部分を加熱器サブシステムのタンクからツールへ向かわせる。
T1−2に到達すると、制御部はバルブを使用することによってタンクからの流れを停止させ、加熱器サブシステムは大量の加熱された流体を再加熱するために再循環を開始する。制御部がツールへの追加的な大量の加熱された流体の流れを必要な程度に調節することによって、T1−2は、容認可能な許容範囲で維持される。Tt<1の間、樹脂はその最も低い又はそれに近い粘度であると考えられる。樹脂をそのような粘度にすることで、如何なる閉じ込められた空気又は樹脂の硬化の間に生成した樹脂の副生成物(例えば蒸気)も、複合材製品から排出されることが可能になる。
ツールがT1−2の温度に加熱されている間、プレスの空洞はP1−2で加圧されている。具体的には、制御部は、空洞へ圧縮空気を供給するよう圧力タンクに指示する。P1−2に到達すると、制御部はタンクからの流れを停止させる。制御部が空洞への追加的な圧縮空気の流れを必要な程度に調節することによって、P1−2は、容認可能な許容範囲で維持される。
Tt<1が経過すると、制御部は、型表面がT2に到達するまで、大量の加熱された流体の他の一部分(又は全て)をツールに向かわせる。T2に到達すると、制御部はバルブを使用することによってタンクからの流れを停止させ、加熱器サブシステムは大量の加熱された流体を再加熱するために再循環を開始する。制御部がツールへの追加的な大量の加熱された流体の流れを必要な程度に調節することによって、T2は、容認可能な許容範囲で維持される。T2の間、樹脂は硬化温度又はそれに近い温度にあると考えられる。樹脂をそのような温度にすることで、複合材製品に素晴らしい表面特性及び機械的特性を与えられると考えられる。この温度は、試験を介して測定することができ、又はMSDS又は技術データシートのような樹脂に関する技術文献を参照することで、決定することができる。
ツールがT2の温度に加熱されている間、プレスの空洞はP2で加圧されている。具体的には、制御部は、空洞へ圧縮空気を供給するよう圧力タンクに指示する。圧力が加えられている間、真空が維持されている。P2に到達すると、制御部はタンクからの流れを停止させる。制御部が空洞への追加的な圧縮空気の流れを必要な程度に調節することによって、P2は、容認可能な許容範囲で維持される。Pt2が経過すると、制御部は、プレスに減圧を指示する。具体的には、プレスは、Pt3の間に渡る圧縮空気の大気への放出を開始する。プレスは、完全な空気の“ダンプ”をしてもよい。すなわち、空気は制御された比率で開放される必要がない。
図2に記載されたようなシステムを利用するある実施形態において、Tt2が経過すると、制御部は、T3に到達するまで、バルブを用いて大量の冷却された流体の一部分を冷却器サブシステムのタンクからツールへ向かわせる。加熱器サブシステムが先に使用される以前又は使用されている間に、制御部は、冷却器サブシステムに対して、バルブ、タンク及び冷却器を用いて大量の冷却された流体を形成及び維持するよう指示する。冷却器サブシステムが使用されている間、制御部は、加熱器サブシステムに対して、バルブ、タンク及び加熱器を用いて、大量の加熱された流体を再加熱及び維持するよう指示する。そのため、システムは、短い期間の後直ぐに、後続のサイクルのための準備ができる。
図18に記載されたようなシステムを利用した他の実施形態において、Tt2が経過すると、制御部は、T3に到達するまで、バルブを用いて大量の冷却された流体の一部分を冷却器サブシステムのタンクから交換器サブシステムへ向かわせる。加熱器サブシステムが先に使用される以前又は使用されている間に、制御部は、冷却器サブシステムに対して、バルブ、タンク及び冷却器を用いて大量の冷却された流体を形成及び維持するよう指示する。冷却器サブシステムが使用されている間、制御部は、加熱器サブシステムに対して、バルブ、タンク及び加熱器を用いて、大量の加熱された流体を再加熱及び維持するよう指示する。そのため、システムは、短い期間の後直ぐに、後続のサイクルのための準備ができる。
それぞれのサイクルが完了した後に、ツールは、オートクレーブ及びプレスから取り外される。各サイクルの出来栄えは、各方法を用いて成形された複合材製品の外観に基づいて評価される。具体的には、複合材製品はツールから取り外され、その表面は表面の傷を目立たせるために白タルク粉を用いて拭かれる。複合材製品の表面に存在する穴(Pits)及び/又は線(dry-lines)は、白タルク粉によって強調される。具体的には、それらの不具合は白い点(穴)又は白い筋(線)として見える。穴又は線は、サイクル中に樹脂が適切に流れず、それにより空隙が残された部分である。
本発明のシステム及び方法によって製造された複合材製品は、オートクレーブによって製造されたものと比較して、素晴らしい表面特性を有する。具体的には、本発明のシステム及び方法を用いて成形された複合材製品は、オートクレーブで成形されたものと比較して、穴及び線の量について約85%から90%の減少を有する。加えて、本発明のシステム及び方法を用いて成形された複合材製品は、オートクレーブで成形されたものと比較して、穴及び線の程度(深さ/幅)について約85%から90%の減少を有する。それらの不具合は、複合材製品の表面がクラスA表面と認められるためには、修理(充填及び研磨)されなければならない。
上記の表1に戻って参照すると、本発明のシステム及び方法はまた、オートクレーブ工程と比較して、サイクル時間について約80%以上の削減を有する(13分対72分)。加えて、プレスから取り出された後のツールは、オートクレーブから取り出されたものと比較して、30%以上低い温度である(約120°F(約49°C)対約180°F(約82°C))。そのため、本発明のシステム及び方法は、オートクレーブを用いて成形されたものと比較して、より高い品質の複合材製品を提供しつつ、サイクル時間及び全体の製造時間について有意な削減を可能にする。
添付の特許請求の範囲の各請求項は、発明の詳細な説明に記述された特定及び個別の化合物、構成、又は方法に限定されないことが理解されるべきである。これらは、添付の特許請求の範囲の各請求項の範囲に含まれる複数の個別の実施形態の間で、多様なものであり得る。本明細書及び特許請求の範囲において様々な実施形態の個別の特徴又は性状を記述するために利用された、如何なるマーカッシュ形式のグループに関しても、全ての他のマーカッシュ形式のメンバーから独立した、それぞれのマーカッシュ形式のグループの各メンバーから、異なる、特別な、かつ/或いは予想外の効果が得られ得ることが理解されるべきである。マーカッシュ形式のグループの各メンバーは、独立して及び/又は組み合わされて利用(rely upon)されることができ、また、添付の特許請求の範囲の各請求項の範囲に含まれる具体的な実施形態に、適正なサポートを提供する。
本発明の様々な実施形態を記述するために利用された如何なる範囲及び部分的な範囲も、独立に又は集合的に添付の特許請求の範囲の各請求項の範囲に含まれることもまた理解されるべきである。また、本発明の様々な実施形態を記述するために利用された如何なる範囲及び部分的な範囲も、たとえその値が明細書等に明示的に記載されていなくとも、その中の全ての値及び/又は小数点以下の値を含む全ての範囲を記述し、考慮すると理解される。当業者は、列挙された範囲及び部分的な範囲は、本発明の様々な実施形態を十分に記述し、可能にすることを容易に認識する。そして、当業者は、それらの範囲及び部分的な範囲は、更に、関連する2分の1の範囲、三分の1の範囲、四分の1の範囲、五分の1の範囲、等に分けて描写され得ることを容易に認識する。ほんの一例として、“0.1から0.9の”という範囲は、更に下方の三分の1すなわち0.1から0.3、中央の三分の1即ち0.4から0.6、及び上方の三分の1すなわち0.7から0.9分けられることができ、それらは独立に及び集合的に添付の特許請求の範囲の各請求項の範囲に含まれ、そして、それらは、独立に及び/又は集合的に利用されることができ、添付の特許請求の範囲の各請求項の範囲に含まれる具体的な実施形態の適正なサポートを提供する。加えて、例えば“少なくとも”、“以上”、“より少ない”、“以下”及び類似のもののような範囲を規定又は修正する用語に関して、そのような用語は部分的な範囲及び/又は上限又は下限を含むことが理解されるべきである。他の例として、“少なくとも10”の範囲は、10から35の部分的な部分、10から25の部分的な部分、25から35の部分的な部分等を本質的に含み、それぞれの部分的な部分は、独立に及び/又は集合的に利用されることができ、そして、添付の特許請求の範囲の各請求項の範囲に含まれる具体的な実施形態の適切なサポートを提供する。最後に、開示された範囲内の個々の数値は、利用されることができ、そして、添付の特許請求の範囲の各請求項の範囲に含まれる具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。例えば、“1から9”の範囲は、例えば3などの様々な個々の整数及び、例えば4.1などの小数点を有する個々の数値(又は分数)を含む。これらの数値は、利用されることができ、そして、添付の特許請求の範囲の各請求項の範囲に含まれる具体的な実施形態に適切なサポートを提供する。
本発明は、例示的に本明細書に記述されており、使用された用語は限定ではなく説明の用語の性質であることを意図することが理解されるべきである。本発明の多くの修正及び変形が上記の教示に照らして可能である。本発明は、具体的に添付の特許請求の範囲の各請求項の範囲内に記述された以外の方法で実施されてもよい。独立請求項および従属請求項の全ての組み合わせの対象物は、単独従属及び多項従属の両方が、本明細書に明示的に考慮されている。