JP6046014B2 - 太陽電池及び太陽電池モジュール - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、太陽電池及び太陽電池モジュールに関する。
導電性ポリマーやフラーレンなどを組み合わせた有機半導体を含む太陽電池がある。複数の太陽電池を含む太陽電池モジュールがある。有機半導体を含む太陽電池では、塗布法や印刷法などの簡便な方法で光電変換膜を形成できる。有機半導体を含む太陽電池及び太陽電池モジュールにおいて、光電変換効率の向上が望まれる。
特開2010−232351号公報
本発明の実施形態は、高光電変換効率の太陽電池及び太陽電池モジュールを提供する。
本発明の実施形態によれば、基板と、積層体と、光学層と、を備えた太陽電池が提供される。前記基板は、光透過性である。前記積層体は、前記基板に設けられる。前記積層体は、第1電極と、有機半導体を含む光電変換膜と、光透過性の第2電極と、を含む。前記光学層は、前記基板に設けられる。前記光学層は、半球状の複数のレンズを有する。前記レンズの焦点距離は、前記レンズと前記積層体との間の距離の0.5倍よりも短い。前記光電変換膜は、前記積層体の積層方向である第1方向において前記複数のレンズの前記1つと重なる第1の部分と、前記複数のレンズの別の1つと前記複数のレンズの前記1つとの間の間隙部分と前記第1方向において重なる第2の部分と、を含む。前記複数のレンズの前記1つに入射した光は、前記第1の部分と前記第2の部分とに前記複数のレンズの前記1つのレンズ効果により入射する。
本発明の別の実施形態によれば、光透過性の基板と、前記基板に設けられる複数の積層体であって、第1電極と、光電変換膜と、光透過性の第2電極と、を含む複数の積層体と、前記基板に設けられる光学層と、を含む太陽電池モジュールが提供される。前記複数の積層体は、互いに電気的に接続される。前記光学層は、半球状の複数のレンズを有する。前記レンズの焦点距離は、前記レンズと前記積層体との間の距離の0.5倍よりも短い。 前記光電変換膜は、前記積層体の積層方向である第1方向において前記複数のレンズの前記1つと重なる第1の部分と、前記複数のレンズの別の1つと前記複数のレンズの前記1つとの間の間隙部分と前記第1方向において重なる第2の部分と、を含む。前記複数のレンズの前記1つに入射した光は、前記第1の部分と前記第2の部分とに前記複数のレンズの前記1つのレンズ効果により入射する。
図1(a)及び図1(b)は、第1の実施形態に係る太陽電池を模式的に表す断面図である。 第1の実施形態に係る太陽電池を模式的に表す断面図である。 第1の実施形態に係る別の太陽電池を模式的に表す断面図である。 図4(a)及び図4(b)は、第2の実施形態に係る太陽電池モジュールを表す模式図である。 第2の実施形態に係る太陽電池モジュールの一部を拡大して模式的に表す部分断面図である。 図6(a)及び図6(b)は、第2の実施形態に係る別の太陽電池モジュールの一部を模式的に表す部分断面図である。 図7(a)及び図7(b)は、第3の実施形態に係る太陽電池モジュールの一部を模式的に表す部分断面図である。 太陽電池の特性の測定結果の一例を表すグラフ図である。 第4の実施形態に係る太陽光発電パネルを模式的に表す平面図である。
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1(a)及び図1(b)は、第1の実施形態に係る太陽電池を表す模式図である。
図1(a)は、太陽電池の模式的断面図であり、図1(b)は、太陽電池の一部を表す模式的平面図である。
図1(a)に表したように、太陽電池110は、基板5と、積層体SBと、光学層40と、を備える。
基板5は、光透過性を有する。基板5は、例えば、透明である。基板5は、第1面5aと、第2面5bと、を有する。第2面5bは、第1面5aに対して反対側の面である。この例では、第2面5bが、第1面5aに対して実質的に平行である。第2面5bは、第1面5aに対して非平行でもよい。
ここで、第1面5aに対して垂直な方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向とX軸方向とに対して垂直な方向をY軸方向とする。
積層体SBは、Z軸方向(第1方向)において基板5と並ぶ。積層体SBは、例えば、第1面5aと対向して設けられる。積層体SBは、例えば、基板5の第1面5aの上に設けられる。
積層体SBは、第1電極11と、第2電極12と、光電変換膜30と、を含む。光電変換膜30は、基板5と第1電極11との間に設けられる。第2電極12は、基板5と光電変換膜30との間に設けられる。第2電極12は、光透過性を有する。第2電極12は、例えば、透明である。第2電極12は、例えば、透明電極である。
この例では、積層体SBが、第1中間層21と、第2中間層22と、をさらに含む。第1中間層21は、第1電極11と光電変換膜30との間に設けられる。第2中間層22は、光電変換膜30と第2電極12との間に設けられる。すなわち、この例では、第1電極11の上に第1中間層21が設けられ、第1中間層21の上に光電変換膜30が設けられ、光電変換膜30の上に第2中間層22が設けられ、第2中間層22の上に第2電極12が設けられる。換言すれば、第1電極11と第1中間層21と光電変換膜30と第2中間層22と第2電極12とが、この順に積層されている。
光学層40は、第2面5bと対向して設けられる。光学層40は、基板5の積層体SBと反対側に設けられる。すなわち、基板5は、光学層40と積層体SBとの間に配置される。換言すれば、積層体SBの上に基板5が設けられ、基板5の上に光学層40が設けられる。
光学層40は、入射した光の進行方向を変化させる。光学層40は、例えば、光拡散性を有し、入射した光を拡散させる。光学層40は、例えば、光拡散部材である。
光学層40は、複数のレンズ40aと、支持体40bと、を有する。複数のレンズ40aは、Z軸方向に対して垂直な方向に並ぶ。複数のレンズ40aは、例えば、第2面5bと平行な面内に沿って並ぶ。光学層40は、複数のレンズ40aによって、入射した光の進行方向を変化させる。光学層40は、例えば、マイクロレンズアレイである。
支持体40bは、複数のレンズ40aのそれぞれと基板5との間に設けられる。支持体40bは、光透過性を有する。支持体40bは、例えば、透明である。支持体40bは、例えば、複数のレンズ40aのそれぞれと同じ材料を含む。支持体40bは、例えば、複数のレンズ40aと一体に形成される。支持体40bの材料は、複数のレンズ40aの材料と異なってもよい。光学層40において、支持体40bは、必要に応じて適宜設けられ、省略可能である。すなわち、第2面5bの上に複数のレンズ40aを直接設けて光学層40としてもよい。
図1(a)及び図1(b)に表したように、複数のレンズ40aは、例えば、半球状である。この例では、半球状の複数のレンズ40aが、X軸方向及びY軸方向に並べられている。複数のレンズ40aの形状は、例えば、円筒状などでもよい。例えば、Y軸方向に延びる複数の円筒状のレンズ40aをX軸方向に並べて設けてもよい。すなわち、光学層40は、レンチキュラレンズシートでもよい。複数のレンズ40aの形状は、半球状や円筒状に限ることなく、入射する光の進行方向を変化させることができる任意の形状でよい。また、図1(a)及び図1(b)において、レンズを最密に配置した場合を示したが、レンズとレンズの間に間隙を設けても良い。
複数のレンズ40aの焦点距離fは、複数のレンズ40aと積層体SBとの間のZ軸方向の距離dの0.5倍よりも短い。すなわち、焦点距離fは、以下の(1)式を満たす。 f<d/2 ・・・ (1)
支持体40bの厚さ(Z軸方向の長さ)をd1、基板5の厚さをd2とするとき、距離dは、例えば、d1+d2である。
基板5の厚さd2は、例えば、1mm程度である。これに対して、第2電極12の厚さと第2中間層22の厚さとの合計の厚さは、例えば、200nm程度であり、3桁〜4桁程度薄い。このため、光電変換膜30に入射する光の面積は、第2電極12に入射する光の面積と実質的に同じである。このため、本願明細書においては、光電変換膜30に入射する光の面積を、第2電極12に入射する光の面積と同様として取り扱う。
例えば、複数のレンズ40aが、半径r1の半球状である場合、複数のレンズ40aの焦点距離fは、例えば、以下の(2)式で表すことができる。
f=r1/(n−1) ・・・ (2)
(2)式において、nは、基板5の屈折率である。屈折率には、波長依存性がある。本願明細書において、屈折率には、太陽光における強度の大きい500nm付近の屈折率を代表値として用いることとする。屈折率nは、例えば、1.2以上2.2以下である。
上記の(1)式及び(2)式から、半球状のレンズ40aにおいて、(1)式を満たす半径r1は、以下の(3)式で表すことができる。
r1<d(n−1)/2 ・・・ (3)
すなわち、(3)式を満たす半径r1のレンズ40aを設ける。これにより、レンズ40aにおいて、(1)式を満たすことができる。
太陽電池110は、入射した光の光量に応じた電圧及び電流を第1電極11と第2電極12との間に生じさせる光電変換装置である。光電変換膜30は、有機半導体を含む。太陽電池110は、例えば、有機薄膜太陽電池である。なお、太陽電池110の発電に寄与する光は、太陽光に限らない。太陽電池110は、例えば、電球などの光源から発せられる光でも発電する。
この例では、基板5及び第2電極12が、光透過性を有する。この例では、第2面5b側から入射した光が、基板5及び第2電極12を透過して光電変換膜30に入射する。ここで、光透過性とは、例えば、光電変換膜30が吸収することによってエキシトンを生じ得る、例えば波長500nmの光を50%以上の透過率で透過させる性質である。
基板5、積層体SB及び光学層40は、例えば、Y軸方向に延在する。太陽電池110は、例えば、第1面5aに対して平行な平面(X−Y平面)に投影したとき(Z軸方向に見たとき)に、矩形状である。太陽電池110のX−Y平面に投影した形状は、矩形状に限ることなく、任意の形状でよい。
光学層40は、例えば、複数のレンズ40aによって入射光の入射角度を変化させる。光学層40は、例えば、入射光の少なくとも一部を光電変換膜30の膜面に対して斜めに入射させる。これにより、例えば、光電変換膜30における実効的な光路長を長くすることができる。例えば、光電変換膜30における光吸収量を向上させることができる。なお、入射角とは、例えば、光電変換膜30の膜面に対する法線(例えばZ軸方向)と、入射光と、のなす角度θである。
なお、光学層40、基板5、第2電極12、第2中間層22及び光電変換膜30などの各層の屈折率は異なる。このため、太陽電池110に入射した光は、例えば、各層の界面において屈折する。図1では、こうした屈折現象の図示を便宜的に省略している。
ところで、レンズ40aの焦点距離fと距離dとの関係が、d<2fとなると、例えば、光電変換膜30の一部に光が集光されるという現象が生じる。
シリコンやアモルファスシリコンといった無機半導体を用いた太陽電池において、光拡散と光閉じ込めとを意図して、半導体層自体に数10nm〜数100nmの凹凸を設けることが成されている。そのため、例えば、レンズ機能を持つ光学層を無機半導体太陽電池と組み合わせた場合、光学層により半導体層の一部に集光される条件においても、半導体層の凹凸によりさらに光拡散が生じ、また半導体層の厚みも約500nm以上と厚いため、結果として集光が緩和される。
一方、有機薄膜太陽電池の光電変換膜では、光電変換膜におけるキャリアの移動度が、無機半導体太陽電池の光電変換膜に比べて小さい。このため、有機薄膜太陽電池では、光電変換膜の厚さを、例えば、50nm〜200nm程度と、無機半導体太陽電池に比べて薄くする必要がある。そして、これにともない、有機薄膜太陽電池では、光電変換膜自体に光拡散を目的とした凹凸構造を設けることが困難である。
このため、光学層により集光される条件においては、光電変換膜内の一部に光が集光されてしまう。有機半導体はキャリア移動度が小さいため、集光により単位面積当たりのキャリア生成量が増えてしまうと、キャリアが蓄積され取り出せる光電流が制限されてしまう。すなわち、光電変換効率が低下してしまう。
これに対して、本実施形態に係る太陽電池110では、複数のレンズ40aのそれぞれの焦点距離fを、距離dの0.5倍よりも短くしている。これにより、太陽電池110では、各レンズ40aにより、光電変換膜30の一部分に、光が集光されることを抑制することができる。例えば、X−Y平面に投影したときの1つのレンズ40aの面積をS1、1つのレンズ40aを透過し積層体SB(光電変換膜30)に入射する入射光の積層体SBの膜面における面積をS2とするとき、S1<S2とすることができる。これにより、集光することなく実効的な光路長を長くすることができ、光電変換効率を向上させることができる。レンズ40aの面積S1は、換言すれば、1つのレンズ40aに入射する光の面積である。例えば、半球状のレンズ40aである場合、面積S1及び面積S2は、S1=πr1、S2=πr2で求めることができる。
このように、本願発明者等は、有機薄膜太陽電池では、単純に複数のレンズ含む光学層を設けただけでは、光電変換効率が向上しないことを見出した。そして、本願発明者等は、複数のレンズ40aのそれぞれの焦点距離fを、距離dの0.5倍よりも短くすることにより、光電変換効率が向上することを見出した。
例えば、レンズ40aの形状のバラツキなどにより、光電変換膜30に入射する光強度の面内分布が不均一になる場合がある。光強度の面内分布の不均一を防ぐために、光電変換膜30に入射する光は、なるべく広く拡散させた状態で光電変換膜30に照射する。これにより、光電変換膜30に入射する光が平均化され、光強度の面内分布の均一性を向上させることができる。
例えば、焦点距離fに対する距離dを、なるべく大きくする。例えば、f<d/5にする。これにより、光強度の面内分布の均一性を向上させることができる。さらに、f<d/10にする。これにより、光強度の面内分布の均一性をより向上させることができる。
例えば、半球状のレンズ40aである場合には、以下の(4)式を満たすようにする。 r1<d(n−1)/5 ・・・ (4)
これにより、光強度の面内分布の均一性を向上させることができる。さらには、以下の(5)式を満たすようにする。
r1<d(n−1)/10 ・・・ (5)
これにより、光強度の面内分布の均一性をより向上させることができる。
光学層40の屈折率と基板5の屈折率とは、例えば、実質的に同じであることが好ましい。例えば、光学層40の屈折率と基板5の屈折率との差の絶対値は、0.5以下であることが好ましい。これにより、光学層40と基板5との界面における光の反射を抑制することができる。
また、距離dは、例えば、50μm以上10mm以下であることが好ましい。これにより、例えば、太陽電池110の機械的強度を保ちつつ、太陽電池110の重量を抑えることができる。例えば、距離dを、500μm以上5mm以下にする。これにより、太陽電池110の機械的強度と重量とのバランスをより適切に設定することができる。
例えば、距離dが1mmで、基板5の屈折率nを1.5とした場合、(3)式を満たすr1は、250μm以下である。(4)式を満たすr1は、100μm以下である。(5)式を満たすr1は、50μm以下である。これにより、太陽電池110の光電変換効率を向上させることができる。
基板5は、他の構成部材を支持する。基板5には、例えば、第2電極12などの形成にともなう熱や有機溶剤などにより、実質的に変質しない材料が用いられる。基板5の材料には、例えば、無アルカリガラスや石英ガラスなどの無機材料が用いられる。基板5の材料は、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、液晶ポリマー、または、シクロオレフィンポリマーなどの樹脂材料や高分子フィルムでもよい。基板5には、光透過性を有する材料が用いられる。基板5の厚さ(Z軸方向に沿う長さ)は、特に限定されない。基板5の厚さは、その他の構成部材の支持に必要な強度を基板5に持たせることが可能な任意の厚さでよい。
基板5と積層体SBとの間や、基板5と光学層40との間などに、入射光の反射を抑える反射防止層を設けてもよい。反射防止層には、例えば、反射防止コーティング、反射防止フィルムまたは反射防止シートなどを用いることができる。反射防止層の材料には、例えば、酸化チタンなどの無機材料が用いられる。反射防止層の材料は、例えば、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの有機材料でもよい。
この例において、第1電極11は、例えば、陰極である。第1電極11の形成では、例えば、導電性を有する材料を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、または、塗布法などで成膜する。第1電極11の材料としては、例えば、導電性の金属薄膜、または、金属酸化物膜などが挙げられる。
第2電極12に仕事関数の高い材料を用いた場合、第1電極11には仕事関数の低い材料を用いることが好ましい。仕事関数の低い材料としては、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属などが挙げられる。具体的には、Li、In、Al、Ca、Mg、Sm、Tb、Yb、Zr、Na、K、Rb、Cs、及び、Baの少なくともいずれか、及び、これらの合金を挙げることができる。
第1電極11は、単層でもよいし、異なる仕事関数の材料で構成される層を積層させた積層体でもよい。また、第1電極11の材料は、例えば、前記仕事関数の低い材料のうちの1つ以上と、他の金属材料との合金でもよい。添加する他の金属材料としては、例えば、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、または、錫などが挙げられる。合金の例としては、例えば、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、または、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。
第1電極11の厚さは、例えば、10nm〜300nmである。膜厚が上記範囲より薄い場合は、抵抗が大きくなりすぎ、発生した電荷を外部回路へ伝達することが難しくなる。膜厚が厚い場合には、第1電極11の成膜に長時間を要するため材料温度が上昇し、光電変換膜30(有機層)にダメージを与えて性能が劣化してしまう場合がある。さらに、材料を大量に使用するため、成膜装置の占有時間が長くなり、コストアップに繋がる。
この例において、第2電極12は、例えば、陽極である。なお、第1電極11を陽極とし、第2電極12を陰極としてもよい。第2電極12には、光透過性と導電性とを有する材料が用いられる。第2電極12には、例えば、導電性の金属酸化物膜や半透明の金属薄膜などが用いられる。金属酸化物膜には、例えば、インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、または、インジウム・亜鉛・オキサイドなどからなる導電性ガラスを用いて作製された膜(NESAなど)などが挙げられる。ITOは、酸化インジウム、酸化亜鉛及び酸化スズを含む化合物である。金属薄膜の材料には、例えば、金、白金、銀、または、銅などが挙げられる。第2電極12の材料は、ITOまたはFTOが特に好ましい。第2電極12の材料には、有機系の導電性ポリマーであるポリアニリン及びその誘導体や、ポリチオフェン及びその誘導体などを用いてもよい。
第2電極12にITOを用いた場合、第2電極12の厚さは、30nm〜400nmであることが好ましい。30nmよりも薄くすると、導電性が低下して抵抗が高くなり、光電変換効率の低下の原因となる。400nmよりも厚くすると、ITOの可撓性が低下し、応力が作用した際にひび割れ易くなってしまう。第2電極12のシート抵抗は、可能な限り低いことが好ましい。第2電極12のシート抵抗は、例えば、20Ω/square以下であることが好ましい。
第2電極12は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法または塗布法などで上記の材料を成膜することにより、形成することができる。第2電極12は、単層でもよいし、異なる仕事関数の材料で構成される層を積層させた積層体でもよい。
第1中間層21は、例えば、第1の電荷輸送層である。この例において、第1中間層21は、電子輸送層である。第1中間層21は、例えば、正孔をブロッキングし、電子を効率的に輸送する。また、第1中間層21は、例えば、光電変換膜30と第1中間層21との界面近傍で生じたエキシトンの消滅を抑制する。
第1中間層21の材料には、例えば、金属酸化物が用いられる。金属酸化物としては、例えば、ゾルゲル法にてチタンアルコキシドを加水分解して得たアモルファス性の酸化チタンなどが挙げられる。第1中間層21の成膜方法は、薄膜を形成できる方法であれば特に限定されないが、例えば、スピンコート法が挙げられる。第1中間層21の材料として酸化チタンを使用する場合、第1中間層21の厚さは、例えば、1nm〜20nmの厚さに成膜することが望ましい。膜厚が上記範囲より薄い場合は、ホールブロック効果が減少してしまうため、発生したエキシトンが電子とホールに解離する前に失活してしまい、効率的に電流を取り出すことが難しくなってしまう。膜厚が厚すぎる場合は、膜抵抗が大きくなり、発生した電流を制限してしまうため光変換効率が低下する。塗布溶液は、あらかじめフィルターで濾過したものを使用することが望ましい。規定の膜厚に塗布した後、ホットプレートなどを用いて加熱乾燥する。50℃〜100℃で数分〜10分間程度、空気中にて加水分解を促進させながら加熱乾燥する。また、無機物では金属カルシウムなどが好適な材料であり、真空蒸着法などで形成してもよい。
第2中間層22は、例えば、第2の電荷輸送層である。この例において、第2中間層22は、正孔輸送層である。第2中間層22は、例えば、正孔を効率的に輸送し、電子をブロッキングする。第2中間層22は、例えば、光電変換膜30の界面近傍で発生した励起子の消滅を抑制する。また、第2中間層22は、例えば、第2電極12の凹凸をレベリング(平滑化)して太陽電池110の短絡を防ぐ。なお、第1中間層21を正孔輸送層とし、第2中間層22を電子輸送層としてもよい。
第2中間層22には、例えば、ポリチオフェン系ポリマー、ポリアニリンまたはポリピロールなどの有機導電性ポリマーが用いられる。ポリチオフェン系ポリマーには、例えば、PEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホネート))などが用いられる。ポリチオフェン系ポリマーの代表的な製品としては、例えば、スタルク社のClevios PH500(登録商標)、CleviosPH、CleviosPV P Al 4083、及び、CleviosHIL1.1などが挙げられる。無機物では、酸化モリブテン、酸化ニッケル、酸化タングステンなどの金属酸化物が好適な材料である。
第2中間層22の材料としてClevios PH500を用いる場合、第2中間層22の厚さは、例えば、20nm〜100nmであることが好ましい。薄すぎる場合は、第2電極12の短絡を防止する作用が低下し、ショートが発生し易くなってしまう。厚すぎる場合は、膜抵抗が大きくなり、光電変換膜30で発生した電流を制限してしまうため、光電変換効率が低下する。
第2中間層22の形成方法は、薄膜を形成できる方法であれば特に限定されない。第2中間層22は、例えば、スピンコート法などで塗布することができる。第2中間層22の材料を所望の厚さに塗布した後、ホットプレートなどで加熱乾燥する。例えば、140℃〜200℃で、数分〜10分間程度加熱乾燥することが好ましい。塗布する溶液は、予めフィルターでろ過したものを使用することが望ましい。
光学層40の屈折率は、例えば、1.2以上2.2以下である。また、光学層40には、可視光領域において耐光性を有する材料が用いられる。高分子材料では、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、または、シリコーン系樹脂などが用いられる。無機材料では、例えば、無アルカリの光学用ガラスなどが用いられる。加工性を考慮すれば、注型成型が可能であり、かつ材料コストが安いアクリル系樹脂が好適である。光学層40は、例えば、接着によって基板5の第2面5bに貼り付けられる。基板5と光学層40との接着面には、例えば、接着剤兼屈折率調整剤が用いられる。具体的には、各種の透明ポッティング剤、各種のシリコーンゲル、各種のシリコーンゾル、各種のガラス・アクリル接着剤(例えばサンライズMSI社製フォトボンド(登録商標)など)などが用いられる。
図2は、第1の実施形態に係る太陽電池を模式的に表す断面図である。図2に表したように、光電変換膜30は、第1導電形の第1半導体層30nと、第2導電形の第2半導体層30pと、を含む。第2半導体層30pは、例えば、第2中間層22と第1半導体層30nとの間に設けられる。すなわち、例えば、第2中間層22の上に第2半導体層30pが設けられ、第2半導体層30pの上に第1半導体層30nが設けられ、第1半導体層30nの上に第1中間層21が設けられる。例えば、第1導電形はn形であり、第2導電形はp形である。第1導電形がp形であり、第2導電形がn形でもよい。以下では、第1導電形がn形、第2導電形がp形である場合として説明を行う。
光電変換膜30は、例えば、第1半導体層30nと第2半導体層30pとがバルクヘテロ接合した構造の薄膜である。バルクへテロ接合型の光電変換膜30の特徴は、第1半導体層30n(n形半導体)と第2半導体層30p(p形半導体)とがブレンドされ、ナノオーダーのpn接合が光電変換膜30の全体に広がっていることである。この構造は、例えば、ミクロ層分離構造と呼ばれる。
バルクへテロ接合型の光電変換膜30では、混合されたp形半導体とn形半導体との接合面において生じる光電荷分離を利用して電流を得る。そして、バルクへテロ接合型の光電変換膜30では、従来の積層型有機薄膜太陽電池よりもpn接合領域が広く、実際に発電に寄与する領域も光電変換膜30の全体に広がっている。従って、バルクへテロ接合型有機薄膜太陽電池における発電に寄与する領域は、積層型有機薄膜太陽電池と比べて厚くなる。これにより、光子の吸収効率も向上し、取り出せる電流も増加する。
第1半導体層30nには、例えば、電子受容性の性質を有する材料が用いられる。第2半導体層30pには、例えば、電子供与性の性質を有する材料が用いられる。本実施形態に係る光電変換膜30においては、第1半導体層30n及び第2半導体層30pの少なくとも一方に有機半導体が用いられる。なお、光電変換膜30は、例えば、平面ヘテロ接合型などでもよい。
光電変換膜30では、例えば、第1半導体層30nまたは第2半導体層30pが光Linを吸収することにより、エキシトンEXが発生する。この発生効率をη1とする。発生したエキシトンEXは、pn接合面30f(第1半導体層30nと第2半導体層30pとの接合面)へ拡散により移動する。この拡散効率をη2とする。エキシトンEXには寿命があるため、拡散長程度しか移動できない。pn接合面30fに到達したエキシトンEXは、電子Ceと正孔Chとに分離される。このエキシトンEXの分離の効率をη3とする。正孔Chは、第2電極12に輸送される。電子Ceは、第1電極11に輸送される。これにより、電子Ce及び正孔Ch(光キャリア)が、外部に取り出される。この光キャリアの輸送効率をη4とする。
照射された光子に対する発生した光キャリアの外部取り出し効率ηEQEは、次の式で表すことができる。この値が太陽電池110の外部量子効率に相当する。
ηEQE=η1・η2・η3・η4
第1半導体層30nには、例えば、n形有機半導体が用いられる。第2半導体層30pには、例えば、p形有機半導体が用いられる。
p形有機半導体としては、例えば、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、オリゴチオフェンおよびその誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、または、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体などを使用することができる。これらを併用してもよい。また、これらの共重合体を使用してもよい。共重合体としては、例えば、チオフェン−フルオレン共重合体や、フェニレンエチニレン−フェニレンビニレン共重合体などが挙げられる。
好ましいp形有機半導体は、π共役を有する導電性高分子であるポリチオフェンおよびその誘導体である。ポリチオフェンおよびその誘導体は、優れた立体規則性を確保することができ、溶媒への溶解性が比較的高い。ポリチオフェンおよびその誘導体は、チオフェン骨格を有する化合物であれば特に限定されない。ポリチオフェンおよびその誘導体の具体例としては、例えば、ポリアルキルチオフェン、ポリアリールチオフェン、ポリアルキルイソチオナフテン、及び、ポリエチレンジオキシチオフェンなどが挙げられる。ポリアルキルチオフェンとしては、例えば、ポリ3−メチルチオフェン、ポリ3−ブチルチオフェン、ポリ3−ヘキシルチオフェン、ポリ3−オクチルチオフェン、ポリ3−デシルチオフェン、及び、ポリ3−ドデシルチオフェンなどが挙げられる。ポリアリールチオフェンとしては、例えば、ポリ3−フェニルチオフェンや、ポリ3−(p−アルキルフェニルチオフェン)などが挙げられる。ポリアルキルイソチオナフテンとしては、例えば、ポリ3−ブチルイソチオナフテン、ポリ3−ヘキシルイソチオナフテン、ポリ3−オクチルイソチオナフテン、及び、ポリ3−デシルイソチオナフテンなどが挙げられる。
また近年では、カルバゾール、ベンゾチアジアゾールおよびチオフェンからなる共重合体であるPCDTBT(ポリ[N−9"−ヘプタ−デカニル−2,7−カルバゾール−アルト−5,5−(4',7'−ジ−2−チエニル−2',1',3'−ベンゾチアジアゾール)])などの誘導体が、優れた光電変換効率を得られる化合物として知られている。
これらの導電性高分子は、溶媒に溶解させた溶液を塗布することにより成膜可能である。従って、大面積の有機薄膜太陽電池を、印刷法などにより、安価な設備にて低コストで製造できるという利点がある。
n形有機半導体としては、フラーレンおよびその誘導体が好適に使用される。ここで、使用されるフラーレン誘導体は、フラーレン骨格を有する誘導体であれば特に限定されない。具体的には、C60、C70、C76、C78、及び、C84などを基本骨格として構成される誘導体が挙げられる。フラーレン誘導体は、フラーレン骨格における炭素原子が任意の官能基で修飾されていてもよく、この官能基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。フラーレン誘導体には、フラーレン結合ポリマーも含まれる。また、フラーレン誘導体は、例えば、溶剤に親和性の高い官能基を有し、溶媒への可溶性が高いことが好ましい。
フラーレン誘導体における官能基としては、例えば、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、シアノ基、アルコキシ基、及び、芳香族複素環基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子や塩素原子などが挙げられる。アルキル基としは、例えば、メチル基やエチル基などが挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基などが挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基やエトキシ基などが挙げられる。芳香族複素環基としては、例えば、芳香族炭化水素基、チエニル基、及び、ピリジル基などが挙げられる。また、芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基やナフチル基などが挙げられる。
より具体的には、水素化フラーレン、オキサイドフラーレン、及び、フラーレン金属錯体などが挙げられる。水素化フラーレンとしては、例えば、C60H36やC70H36などが挙げられる。オキサイドフラーレンとしては、例えば、C60やC70などが挙げられる。
上述した中でも、フラーレン誘導体として、60PCBM([6,6]-フェニルC61酪酸メチルエステル)または70PCBM([6,6]-フェニルC71酪酸メチルエステル)を使用することが特に好ましい。
未修飾のフラーレンを使用する場合、C70を使用することが好ましい。フラーレンC70は、光キャリアの発生効率が高く、有機薄膜太陽電池に使用するのに適している。
p形半導体がP3HT系である場合、光電変換膜30におけるn形有機半導体とp形有機半導体との混合比率は、およそn:p=1:1とすることが好ましい。また、p形半導体がPCDTBT系である場合、混合比率は、およそn:p=4:1とすることが好ましい。
有機半導体を塗布するためには、溶媒に溶解する必要がある。塗布に用いる溶媒としては、例えば、不飽和炭化水素系溶媒、ハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン化飽和炭化水素系溶媒、及び、エーテル類などが挙げられる。不飽和炭化水素系溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、テトラリン、デカリン、メシチレン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、及び、tert−ブチルベンゼンなどが挙げられる。ハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒としては、例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、及び、トリクロロベンゼンなどが挙げられる。ハロゲン化飽和炭化水素系溶媒としては、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、及び、クロロシクロヘキサンなどが挙げられる。エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフランやテトラヒドロピランなどが挙げられる。特に、ハロゲン系の芳香族溶剤が好ましい。これらの溶剤を単独、もしくは混合して使用してもよい。
溶液を塗布し成膜する方法としては、例えば、スピンコート法、ディップコート法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、スプレー法、スクリーン印刷、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、グラビア・オフセット印刷、ディスペンサー塗布、ノズルコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、及び、メニスカス塗布法などが挙げられる。これらの塗布法を単独、もしくは組み合わせて用いてもよい。
図3は、第1の実施形態に係る別の太陽電池を模式的に表す断面図である。
図3に表したように、太陽電池112は、封止膜50をさらに備えている。封止膜50は、積層体SBの基板5と反対側に設けられる。太陽電池112では、封止膜50の上に積層体SBが設けられ、積層体SBの上に基板5が設けられ、基板5の上に光学層40が設けられる。すなわち、太陽電池112では、基板5と封止膜50との間に積層体SBが配置される。封止膜50は、例えば、熱硬化型や紫外線硬化型のエポキシ樹脂などによって、積層体SBに貼り付けられる。また、封止膜50には、例えば、SiOxやTiOxなどの酸化膜が用いられる。封止膜50は、例えば、酸素や水分などから光電変換膜30などを保護する。封止膜50を設けることにより、例えば、太陽電池112の耐久性を向上させることができる。
封止膜50には、例えば、金属板または樹脂フィルムの表面に無機物または金属からなる層を設けてなるフィルムを使用することができる。樹脂フィルムとしては、例えば、PET、PEN、PI、EVOH、CO、EVA、PC若しくはPESからなるフィルム、または、それらの2つ以上を含んだ多層フィルムを使用することができる。無機物または金属としては、例えば、シリカ、チタニア、ジルコニア、窒化珪素、窒化ホウ素及びAlの少なくともいずれかを使用することができる。例えば、乾燥剤や酸素吸収剤などを封止膜50にさらに含めてもよい。これにより、例えば、太陽電池112の耐久性をさらに向上させることができる。また、図示しないが、封止フィルムとの間に空隙があっても良い。
(第2の実施形態)
図4(a)及び図4(b)は、第2の実施形態に係る太陽電池モジュールを表す模式図である。
図4(a)は、太陽電池モジュールを模式的に表す平面図であり、図4(b)は、太陽電池モジュールの一部を模式的に表す部分断面図である。図4(b)は、図4(a)のA1−A2線断面を模式的に表す。
図4(a)及び図4(b)に表したように、太陽電池モジュール210は、基板5と、複数の太陽電池120(いわゆるセル)と、光学層40と、反射部材42と、を備える。基板5は、第1面5aと第2面5bとを有する。基板5のX−Y平面に投影した形状は、例えば、矩形状である。
複数の太陽電池120は、第1面5aの上に並べて設けられる。この例において、太陽電池120のX−Y平面に投影した形状は、Y軸方向に延びる長方形状である。そして、この例では、複数の太陽電池120が、所定の間隔を空けてX軸方向に並べられている。太陽電池120のX軸方向の幅(X軸方向の長さ)は、例えば、10mm〜15mm程度である。基板5の一辺の長さは、例えば、30cmである。この場合、例えば、20個程度の太陽電池120が、X軸方向に並べて設けられる。
複数の太陽電池120は、例えば、直列に接続される。上記第1の実施形態で説明しているように、太陽電池には、透明電極が用いられる。透明電極に用いられる材料の抵抗値は、金属などと比較すると高い。太陽電池モジュール210では、複数の太陽電池120を設け、それらを直列に接続する。これにより、例えば、透明電極の面積の増大にともなう透明電極の抵抗値の増加を抑えることができる。太陽電池モジュール210では、太陽電池120に透明電極を用いる場合、一般的に、10cm〜20cmの大きさの基板5に対して、10個〜15個ほどの太陽電池120を直列に接続している。
基板5の形状は、矩形状に限らず、任意の形状でよい。太陽電池120の形状及び配列は、上記に限らない。太陽電池120の形状及び配列は、例えば、基板5の形状などに合わせて適宜設定すればよい。太陽電池120の数は、例えば、基板5のサイズなどに応じた任意の数でよい。複数の太陽電池120の一部は、並列に接続してもよい。例えば、20個の太陽電池120を含む場合、10個ずつ直列に接続し、それらを並列に接続してもよい。太陽電池モジュール210は、直列に接続された少なくとも2つの太陽電池120を有していればよい。
複数の太陽電池120のそれぞれは、積層体SBを含む。すなわち、太陽電池モジュール210は、複数の積層体SBを含む。積層体SBは、例えば、第1電極11と、第2電極12と、光電変換膜30と、第1中間層21と、第2中間層22と、を含む。積層体SBは、上記第1の実施形態で示している太陽電池110の積層体SBと実質的に同じである。積層体SBの各部の機能や材料などは、第1の実施形態に関して説明している積層体SBと実質的に同じとすることができる。従って、これらについての詳細な説明は省略する。複数の積層体SBは、基板5と積層体SBとの積層方向に対して垂直な第2方向に並ぶ。この例では、複数の積層体SBが、X軸方向に並ぶ。
ここで、複数の太陽電池120のうちの1つを第1太陽電池121とする。複数の太陽電池120のうちの別の1つを第2太陽電池122とする。第2太陽電池122は、第1太陽電池121と隣り合っている。第2太陽電池122の第1電極11は、第1太陽電池121の第2電極12の上に延在している。例えば、第2太陽電池122の第1電極11が、第1太陽電池121の第2電極12に接している。これにより、第2太陽電池122の第1電極11が、第1太陽電池121の第2電極12と電気的に接続される。すなわち、第2太陽電池122が、第1太陽電池121と直列に接続される。第1太陽電池121と第2太陽電池122との電気的な接続は、他の導電部材(接続電極)を介して行ってもよい。
基板5は、複数の第1部分P1と、複数の第2部分P2と、を含む。複数の第1部分P1のそれぞれは、X−Y平面に投影したときに、複数の太陽電池120のそれぞれの光電変換膜30と重なる。複数の第2部分P2のそれぞれは、X−Y平面に投影したときに、複数の太陽電池120のそれぞれの光電変換膜30と重ならない。換言すれば、複数の第2部分P2のそれぞれは、X−Y平面に投影したときに、複数の太陽電池120の間と重なる部分である。例えば、各第1部分P1は、X−Y平面に投影したときに、発電に寄与する領域と重なる部分であり、各第2部分P2は、X−Y平面に投影したときに、発電に寄与しない領域と重なる部分であると言うこともできる。各第2部分P2は、X−Y平面に投影したときに、いわゆるセル間ギャップと重なる部分である。
光学層40及び反射部材42は、基板5の第2面5bの上に設けられる。この例において、太陽電池モジュール210は、複数の光学層40及び複数の反射部材42を含む。複数の光学層40のそれぞれは、基板5の第2面5bにおいて複数の第1部分P1のそれぞれの上に設けられる。複数の光学層40のそれぞれは、上記第1の実施形態で示している太陽電池110の光学層40と実質的に同じである。この例においても、光学層40は、複数のレンズ40aを含む。そして、複数のレンズ40aのそれぞれが、上記の(1)式を満たす。
複数の反射部材42のそれぞれは、基板5の第2面5bにおいて複数の第2部分P2のそれぞれの上に設けられる。各反射部材42のX軸方向の幅は、第1面5aから第2面5bに向かう方向において連続的に減少する。各反射部材42のそれぞれのX−Z平面における断面形状は、三角形状または台形状である。この例において、各反射部材42のそれぞれの断面形状は、二等辺三角形状である。各反射部材42は、例えば、Y軸方向に延びる三角柱状または台形柱状である。
各反射部材42のそれぞれは、第2面5b(X−Y平面)に対して交差する一対の側面42sを有する。側面42sと第2面5bとの成す角度α1は、例えば、50°以上85°以下である。
図5は、第2の実施形態に係る太陽電池モジュールの一部を拡大して模式的に表す部分断面図である。
図5に表したように、反射部材42は、例えば、基材42aと、反射膜42bと、を含む。基材42aの断面形状は、反射部材42の断面形状と実質的に同じである。反射部材42は、例えば、三角形状の断面のアクリルの基材42aに、150nm程度のAlを反射膜42bとして被覆したものである。基材42aには、アクリル系樹脂の他に、例えば、ポリカーボネート系樹脂やシリコーン系樹脂などを用いることができる。また、ガラスやSUSなどの金属および合金を用いてもよい。基材42aは、例えば、基板5と一体化していてもよい。
反射膜42bの反射率は、高い方が好ましい。反射膜42bには、例えば、Alの他に、Ag、Au、Crなどの各種金属、酸化物薄膜の積層構造を用いてもよい。その他、例えば、3M社製の反射フィルムであるビキュイティESR(登録商標)や麗光社のルイルミラー(登録商標)などを用いてもよい。これにより、例えば、反射膜42bの反射率を80%以上にすることができる。
反射部材42は、第2面5bの側から第2部分P2に向かう光を側面42sで反射させ、第1部分P1に入射させる。反射部材42は、例えば、セル間ギャップ部に向かう光をセル部に導く。反射部材42は、例えば、光ガイドである。これにより、例えば、太陽電池モジュール210の開口率を向上させることができる。例えば、反射部材42を設けない場合に比べて、80%〜100%程度まで改善することができる。
反射部材42は、例えば、各種の接着剤によって基板5に接着される。反射部材42は、基材42aと反射膜42bとを含むものに限ることなく、例えば、反射率の高い金属を三角柱状や台形柱状に形成したものでもよい。
第2部分P2と、第2部分P2に最も近いレンズ40aと、の間のX軸方向の距離をL1とする。距離L1は、換言すれば、反射部材42とレンズ40aとをX−Y平面に投影したときの、レンズ40aのX軸方向(第2方向)の端部と、反射部材42のX軸方向の端部と、の間の距離である。太陽電池モジュール210の光学層40では、L1>d(n−1)−2r1の関係式を満たすように、各レンズ40aを配置する。ここで、dは、前述のように、複数のレンズ40aのそれぞれと積層体SBとの間のZ軸方向の距離である。nは、基板5の屈折率である。屈折率nは、例えば、1.2以上2.2以下である。r1は、半球状のレンズ40aの半径である。
光学層40に入射した光は、各レンズ40aにより拡散される。半球状のレンズ40aの焦点距離fは、f=r/(n−1)の近似式で表すことができる。また、半球状のレンズ40aのX−Y平面と平行な方向の端部を端部ed1とし、そのレンズ40aにより基板5の第1面5a(積層体SB)に拡散された光の第1面5a上におけるX−Y平面と平行な方向の端部を端部ed2とするとき、端部ed1と端部ed2との間のX軸方向の距離L2は、L2=d(n-1)-2r1で表すことができる。
例えば、距離L1が距離L2よりも短い場合には、各レンズ40aによって拡散された光が、第2部分P2に入射してしまう。すなわち、入射光の一部が、各太陽電池120のセル間ギャップ部に入射してしまう。セル間ギャップ部に入射した光は、発電に寄与しない。このため、L1<L2とした場合には、光の利用効率が低下してしまう。例えば、光学層40による光電変換効率の向上の効果が低下してしまう。
これに対して、本実施形態に係る太陽電池モジュール210では、距離L1が、距離L2以上離れるようにしている。これにより、光学層40を設けた場合にも、セル間ギャップ部に入射する光を抑制し、光を有効利用することができる。従って、太陽電池モジュール210の光電変換効率を向上させることができる。
この例では、距離L1が、距離L2と実質的に同じである。距離L1は、距離L2と実質的に同じであることが好ましい。距離L1は、例えば、L1<10L2であることが好ましい。これにより、例えば、光電変換膜30の端部まで適切に光を入射させることができる。例えば、光電変換膜30に入射する光の光強度の面内分布の均一性を向上させることができる。
図6(a)及び図6(b)は、第2の実施形態に係る別の太陽電池モジュールの一部を模式的に表す部分断面図である。
図6(a)及び図6(b)に表したように、太陽電池モジュール212、214では、反射部材42が省略されている。このように、反射部材42を省略し、光学層40のみを設けてもよい。この場合にも、上記の(1)式を満たす各レンズ40aを設ける。これにより、太陽電池モジュール212、214においても、光電変換効率を向上させることができる。
反射部材42を省略する場合、例えば、太陽電池モジュール212のように、複数の光学層40のそれぞれを、基板5の第2面5bにおいて複数の第1部分P1のそれぞれの上に設けてもよいし、太陽電池モジュール214のように、複数の第1部分P1のそれぞれに対向する1つの光学層40を第2面5bの上に設けてもよい。
図7(a)及び図7(b)は、第3の実施形態に係る太陽電池モジュールの一部を模式的に表す部分断面図である。
図7(a)に表したように、太陽電池モジュール216は、基板5と、複数の太陽電池120と、光学層40と、反射部材44と、を含む。反射部材44は、基板5と光学層40との間に設けられる。光学層40は、反射部材44の上に積層される。この例においても、各レンズ40aは、上記の(1)式を満たす。すなわち、レンズ40aの焦点距離は、レンズ40aと積層体SBとの間の距離dの0.5倍より小さい。そして、反射部材44が、複数の反射部46を含む。複数の反射部46は、セル間ギャップ、すなわち、基板5の複数の第2部分P2の位置に設けられている。
図7(b)に表したように、各反射部46は、例えば、溝部46aを有する凹状である。各反射部46のX軸方向の幅は、第1面5aから第2面5bに向かう方向において連続的に減少する。各反射部46のX−Z平面における断面形状は、例えば、三角形状または台形状である。この例において、各反射部46の断面形状は、二等辺三角形状である。溝部46aは、第1面5aと交差する一対の側面46sを有する。側面46sとX−Y平面との成す角度α2は、例えば、50°以上85°以下である。各反射部46は、例えば、Y軸方向に延びる。
各反射部46は、反射膜46bを有する。反射膜46bは、一対の側面46sの上に設けられる。換言すれば、反射膜46bは、一対の側面46sを被覆する。反射膜46bは、光反射性材料を含む。反射膜46bには、例えば、Alなどの高反射率の材料が用いられる。反射膜46bには、Alの他に、AgやAuなどの各種金属、酸化物の積層膜、3M社製の反射フィルムであるビキュイティESRや麗光社のルイルミラーなどを用いてもよい。このように、反射部46は、光反射性材料で被覆される。
光学層40と反射膜46bを有しない反射部46とを設けた場合、各レンズ40aで拡散した光の一部が、側面46sとの界面において全反射条件を満たさなくなってしまう。このため、反射部46において反射膜46bが設けられていない場合には、光の一部が反射部46を透過し、セル間ギャップ部に入射してしまう。このため、光の利用効率が低下し、光電変換効率が低下してしまう。
これに対して、太陽電池モジュール216では、反射部46に反射膜46bを設けている。これにより、全反射条件を満たさない光も、反射膜46bで反射し、太陽電池120のセル部に導かれる。従って、太陽電池モジュール216では、光の利用効率を向上させ、光電変換効率を向上させることができる。また、太陽電池モジュール216では、開口率を向上させることもできる。例えば、開口率を80%〜100%程度にすることができる。
この例では、反射膜46bを反射部46に設けているが、これに限ることなく、例えば、溝部46a内に光反射性材料を充填して反射部46としてもよい。すなわち、反射部46は、空隙の部分を含まなくてもよい。
(第1の実施例)
太陽電池110において、無アルカリガラス(厚さd2=0.7mm、屈折率約1.5)を基板5として用いる。スパッタ法により150nmのITO透明電極を第2電極12として形成する。そしてPEDOT:PSS(型AI4083)をスピンコート(回転数5000rpm、30秒間)し、空気中で140℃、10分間のアニールを行い、膜厚約50nmの正孔輸送層を第2中間層22として形成する。次に、Nガスでパージされたグローブボックス中に試料を移動し、p形半導体としてPCDTBT、n形半導体としてPC[70]BMをジクロロベンゼンで溶解した溶液をPEDOT:PSS上にスピンコート(回転数2000rpm、60秒間)し、70℃、10分間のアニールを行い、膜厚約75nmの光電変換膜30を形成する。なおPCDTBTとPC[70]BMの比は1:4とする。次に試料をグローブボックスから取り出し、空気中でTi酸化物の前駆体をスピンコート(回転数5000rpm、30秒間)し、空気中にて70℃、10分間のアニールを行い膜厚約5nmのTiOxの電子輸送層を第1中間層21として形成する。次に、真空蒸着法によりAlを約100nm蒸着し、第1電極11を形成する。そして、N雰囲気中で封止ガラスにより前述の積層構造の部分を封止し、太陽電池110とする。なお図1では封止ガラスの図示は省略している。
この太陽電池110の基板5であるガラス基板に屈折率マッチング材を介して半球形状のマイクロレンズアレイシート(d1=100μm程度)を密着させ、光学層40とする。半球レンズの半径は約15μmであり、(5)式のd(n-1)/10=40μmより小さい条件を満たしている。
図8は、太陽電池の特性の測定結果の一例を表すグラフ図である。
図8は、AM1.5相当の擬似太陽光を照射した場合の太陽電池特性の測定結果の一例を表す。図8において、特性CT1は、光学層40を設けた場合の特性の測定結果の一例である。特性CT2は、光学層40を設けていない場合の特性の測定結果の一例である。
図8に表したように、光学層40を設けることにより、光電流が増加する。光学層40がない場合、短絡電流密度は、9.6mA/cmであり、変換効率は、4.9%である。これに対して、光学層40を設けている場合、短絡電流密度は、10.4mA/cmであり、変換効率は、5.3%であり、約1.08倍に向上できる。
光学層40の各レンズ40aは、半球状の凸構造のみならず、半球状の凹構造、シリンドリカル形状の凸構造や凹構造などを適用してもよい。各形状において、光電変換膜30内で集光しないように形状を決定する。これにより、光電変換効率を向上できる。
(比較例)
第1の実施例と同様の太陽電池セルに半径350μmの半球レンズを複数持つ光学層を屈折率マッチング材を介して密着させる。ここで光学層の支持体の厚さは約0.3mmである。表1に光学層がある場合と、ない場合の変換効率を示すように、光学層がない場合の5%に比べて、光学層があると4.4%とむしろ変換効率が低下する。光学層や基板の厚さと半球レンズの焦点距離の関係が、2f<dを満たさず、光電変換膜内で集光されてしまうため、変換効率が低下すると考えられる。
Figure 0006046014
(第2の実施例)
次に、太陽電池モジュール210の実施例について説明する。
本実施例で用いた光学層40および太陽電池120の積層体SBは第1の実施例と同様であるが、成膜方法が異なる。すなわち、第2の実施例では、基板5とアプリケータの間隙にインクを供給し、基板5もしくはアプリケータを移動させることにより短冊形状のコーティングを行うメニスカス塗布法により各種中間層21、22、光電変換膜30を形成する。
基板5の第2面5bにおいて複数の第2部分P2のそれぞれの上に、三角形状の断面の反射部材42を設ける。反射部材42は、アクリルやポリカーボネートといった基材にAlなどの金属膜を設けたものである。これにより第2面5b側から入射された光はセル部に導かれ、実質的な開口率が向上する。ここで、セル部の幅(第1部分P1の幅)は14mm、セル間ギャップ領域の幅(第2領域P2の幅)は1mmである。
また、基板5の第2面5bにおいて複数の第1部分P1のそれぞれの上に、光学層40が設けられる。光学層40には、半球形状の複数のレンズ40aが設けられる。前述のように、第2部分P2と、第2部分P2に最も近いレンズ40aと、の間のX軸方向の距離をL1が、L1>d(n−1)−2r1の関係式を満たすように、各レンズ40aが配置される。これにより、セル間ギャップ部に拡散光が入射してしまうことを抑制できる。ここで、d(n-1)−2r1=0.37mmとなり、L1の長さが0.37mm以上となるような位置にレンズ40aの端部が配置されるように光学層40を設ける。
表2にL1の長さが0の場合と、L1の長さが0.4mmの場合の短絡電流密度と変換効率を示す。表2より分かるようにL1の長さを0.4mmとすることにより、短絡電流密度および変換効率を向上させることができる。
Figure 0006046014
(第3の実施例)
次に、太陽電池モジュール216の実施例について説明する。
第1の実施例と同様の太陽電池の積層体SBをメニスカス塗布法により作製する。太陽電池モジュール216では、セル間ギャップ部の上方に三角形状の反射部46が設けられている。反射部46はアクリルやポリカーボネートといった基板5に三角形状の溝部46aを設け、その溝部46aの側面46sをAl薄膜で被覆したものである。ここで、反射膜46bの厚みは5mm、溝部46aの底辺の長さは1mm、高さは0.6mmである。また、基板5の第2面5bの上に、光学層40が設けられる。第2面5b側から反射部46に入射した光は、反射膜46bで反射され、セル部に導かれる。これにより、実質的な開口率が向上する。ここで、第2の実施例と同様にセル部の幅は14mm、セル間ギャップ領域の幅は1mmである。
表3に反射部46にAlの反射膜46bがない場合とある場合の短絡電流密度と変換効率を示すように、反射膜46bを設けることにより、短絡電流密度と変換効率を向上させることができる。
Figure 0006046014
(第4の実施形態)
図9は、第4の実施形態に係る太陽光発電パネルを模式的に表す平面図である。
図9に表したように、太陽光発電パネル310は、複数の太陽電池モジュール210を有する。この例において、太陽光発電パネル310は、X軸方向に3個ずつ、Y軸方向に4個ずつ並べられた計12個の太陽電池モジュール210を有する。太陽電池モジュール210の一辺の長さは、30cm程度である。太陽光発電パネル310の大きさは、例えば、1m×1.2m程度である。複数の太陽電池モジュール210は、直列または並列に接続される。これにより、太陽光発電パネル310が、所定の電圧及び電流を出力する。このように、太陽電池モジュール210は、複数の太陽電池モジュール210を電気的に接続した太陽光発電パネル310として用いてもよい。太陽光発電パネル310に含まれる太陽電池モジュール210の数及び配列は、任意に設定すればよい。
実施形態によれば、高光電変換効率の太陽電池及び太陽電池モジュールが提供される。
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。本願明細書において、「上に設けられる」状態は、直接接して設けられる状態の他に、間に他の要素が挿入されて設けられる状態も含む。「積層される」状態は、互いに接して重ねられる状態の他に、間に他の要素が挿入されて重ねられる状態も含む。「対向する」状態は、直接的に面する状態の他に、間に別の要素が挿入されて面する状態も含む。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。
しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、太陽電池及び太陽電池モジュールに含まれる、基板、積層体、第1電極、第2電極、光電変換膜、光学層、レンズ、反射部材及び反射部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
その他、本発明の実施の形態として上述した太陽電池及び太陽電池モジュールを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての太陽電池及び太陽電池モジュールも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
5…基板、 5a…第1面、 5b…第2面、 11…第1電極、 12…第2電極、 21…第1中間層、 22…第2中間層、 30…光電変換膜、 30f…pn接合面、 30n…第1半導体層、 30p…第2半導体層、 40…光学層、 40a…レンズ、 40b…支持体、 42…反射部材、 42a…基材、 42b…反射膜、 44…反射部材、 46…反射部、 46a…溝、 46b…反射膜、 50…封止膜、 110、112、120…太陽電池、 210、212、214、216…太陽電池モジュール、 310…太陽光発電パネル、 Ce…電子、 Ch…正孔、 EX…エキシトン、 Lin…光、 SB…積層体

Claims (5)

  1. 光透過性の基板と、
    前記基板に設けられる積層体であって、第1電極と、光電変換膜と、光透過性の第2電極と、を含む積層体と、
    前記基板に設けられる光学層と、
    を備え、
    前記光学層は、半球状の複数のレンズを有し、
    前記レンズの焦点距離は、前記レンズと前記積層体との間の距離の0.5倍よりも短く、
    前記光電変換膜は、前記積層体の積層方向である第1方向において前記複数のレンズの前記1つと重なる第1の部分と、前記複数のレンズの別の1つと前記複数のレンズの前記1つとの間の間隙部分と前記第1方向において重なる第2の部分と、を含み、
    前記複数のレンズの前記1つに入射した光は、前記第1の部分と前記第2の部分とに前記複数のレンズの前記1つのレンズ効果により入射する、太陽電池。
  2. 記レンズの半径をr1とし、
    前記レンズと前記積層体との間の距離をdとし、
    前記基板の屈折率をnとするとき、
    前記半径r1は、r1<d(n−1)/2の関係を満たす請求項1記載の太陽電池。
  3. 光透過性の基板と、
    前記基板に設けられる複数の積層体であって、第1電極と、光電変換膜と、光透過性の第2電極と、を含む複数の積層体と、
    前記基板に設けられる光学層と、
    を備え、
    前記複数の積層体は、互いに電気的に接続され、
    前記光学層は、半球状の複数のレンズを有し、
    前記レンズの焦点距離は、前記レンズと前記積層体との間の距離の0.5倍よりも短く、
    前記光電変換膜は、前記積層体の積層方向である第1方向において前記複数のレンズの前記1つと重なる第1の部分と、前記複数のレンズの別の1つと前記複数のレンズの前記1つとの間の間隙部分と前記第1方向において重なる第2の部分と、を含み、
    前記複数のレンズの前記1つに入射した光は、前記第1の部分と前記第2の部分とに前記複数のレンズの前記1つのレンズ効果により入射する、太陽電池モジュール。
  4. 複数の反射部材をさらに備え、
    前記光学層は、複数設けられ
    記第1方向に対して垂直な方向を第2方向とするとき、
    前記複数の積層体は、前記第2方向に並び、
    前記反射部材と前記レンズを前記第1方向に対して垂直な平面に投影したときの、前記レンズの前記第2方向の端部と、前記反射部材の第2方向の端部と、の間の距離をL1とし、
    前記レンズの半径をr1とし、
    前記レンズと前記積層体との間の前記第1方向の距離をdとし、
    前記基板の屈折率をnとするとき、
    前記複数の光学層は、L1>d(n−1)−2r1の関係式を満たす請求項3記載の太陽電池モジュール。
  5. 前記基板と前記光学層との間に設けられた反射部材をさらに備え、
    前記反射部材は、溝部を有する複数の反射部を有し、
    前記反射部は、光反射性材料で被覆されている請求項3記載の太陽電池モジュール。
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