JP5459681B2 - 有機薄膜太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は有機薄膜太陽電池に関する。
有機薄膜太陽電池は、有機薄膜半導体、例えば導電性ポリマーとフラーレンとの混合物を用いた太陽電池である。有機薄膜太陽電池には、シリコン、CIGSおよびCdTeなどの無機材料を使用した太陽電池と比較して、簡便な方法で生産でき、低コストであるという利点がある。その反面、有機薄膜太陽電池は、光電変換効率や寿命が、無機系太陽電池と比較して低いという問題を有している。これは、有機薄膜太陽電池に用いられる有機半導体の特性には、半導体材料の純度、分子量分布および配向性等の因子が影響を及ぼすけれども、これらの因子の制御が困難なためである。
このような状況のもと、有機薄膜太陽電池の光電変換効率を向上させるための種々の工夫がなされている。
特開平7−66439号公報
本発明の目的は、光電変換効率が向上した有機薄膜太陽電池を提供することにある。
実施形態に係る有機薄膜太陽電池は、透明基板の主面上に形成された、透明電極と、有機薄膜からなる光電変換層と、対向電極とを含む光電変換領域を複数有する。対をなす前記光電変換領域を有する前記透明基板の主面それぞれは、一方向に沿って正の傾きおよび負の傾きをもって傾斜し、前記主面の第1の辺同士が近接し、第2の辺同士が離間して配置され、隣り合う前記光電変換領域を有する前記主面の対同士は、第2の辺を近接させて配置されている。前記透明基板の前記第1の辺に隣接する側面は前記主面に対して傾斜し、前記透明基板は末端に向かって厚みが減少している。さらに、隣り合う前記透明基板の前記第1の辺に隣接する側面同士の間、および前記第2の辺に隣接する側面同士の間に透明媒質が設けられている。
第1の実施形態に係る有機薄膜太陽電池を構成する1つの太陽電池セルの断面図。 第1の実施形態に係る有機薄膜太陽電池を構成する1つの太陽電池セルの斜視図。 第1の実施形態に係る有機薄膜太陽電池の断面図。 第1の実施形態に対応する比較例の有機薄膜太陽電池の断面図。 第2の実施形態に係る有機薄膜太陽電池の断面図。 第3の実施形態に係る有機薄膜太陽電池の断面図。 第4の実施形態に係る有機薄膜太陽電池の断面図。 第4の実施形態に係る太陽電池セルの透明基板の加工方法を説明する断面図。 第4の実施形態に対応する比較例の有機薄膜太陽電池の断面図。 第5の実施形態に係る有機薄膜太陽電池の断面図である。 第6の実施形態に係る太陽電池セルの透明基板の加工方法を説明する断面図。
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。
図1は、第1の実施形態に係る有機薄膜太陽電池を構成する1つの太陽電池セルの断面図である。図1に示すように、太陽電池セル1は、透明基板10の裏面に積層された、透明電極(陽極)11と、有機薄膜からなる光電変換層12と、対向電極(陰極)13とを含み、互いに離間して形成された配置された透明電極11と対向電極13との間に光電変換層12が挟まれた構造を有する。太陽電池セル1は、透明電極11と対向電極13と光電変換層12とが積層された部分をいう。透明基板10上の透明基板10上の透明電極11と対向電極13と光電変換層12とが設けられた領域(太陽電池セル1)を光電変換領域100とする。1つの透明基板10の一主面上に複数の太陽電池セル1が複数設けられている場合には、複数の太陽電池セル1が設けられた領域を光電変換領域100とする。ショート防止のために、光電変換層12の端部に対応する透明電極11上には絶縁層14が設けられ、透明電極11と対向電極13との重なりが生じないようになっている。透明電極11の端部はたとえば陽極パッド15として利用される。対向電極13の端部はたとえば陰極パッド16として利用される。対向電極13の背面にはシール層17および封止基材18が形成されている。ただし、シール層17および封止基材18は必ずしも設ける必要はない。
なお、透明基板10や透明電極11の片面あるいは両面に、図示しない反射防止膜を設けてもよい。また、透明電極11と光電変換層12との間に図示しない正孔輸送層を設けてもよいし、光電変換層12と対向電極13との間に図示しない電子輸送層を設けてもよい。
図2は、第1の実施形態に係る有機薄膜太陽電池を構成する1つの太陽電池セルを表面(受光面)側から見た斜視図である。ガラスからなる透明基板10の第1の長辺E1(図では下方の長辺、第1の辺)に隣接する側面Sは主面Mに対して傾斜面をなし、透明基板10の下部は下方の末端に向かって厚みが減少している。同様に、透明基板10の第2の長辺E2(図では上方の長辺、第2の辺)に隣接する側面も主面Mに対して傾斜面をなし、透明基板10の上部は上方の末端に向かって厚みが減少している。
図3は、第1の実施形態に係る有機薄膜太陽電池の断面図である。図3に示すように、対をなす太陽電池セル1は、それらの透明基板10の主面が一方向(図3のx方向)に沿ってそれぞれ正の傾きおよび負の傾きをもって傾斜して対向し、それらの透明基板10の主面の第1の長辺(第1の辺)E1が近接し、第2の長辺(第2の辺)E2が離間して配置されている。こうして、有機薄膜太陽電池を横方向から見たときに、対をなす太陽電池セル1がV字をなすように支持部材30によって支持されている。また、隣り合うV字状の太陽電池セルの対どうしは、それらの透明基板の主面の第2の長辺E2が近接して配置されている。透明基板10の主面それぞれに太陽電池セル1が設けられている。すなわち、透明基板10の主面それぞれは、光電変換領域100を有する。
図3においては、透明基板10の第2の長辺E2に隣接する側面に、透明電極11の取り出し電極19が形成されている。なお、図3においては、透明基板10の裏面に形成されている膜として透明電極11のみを表示しているが、これは取り出し電極19と接続していることを明確にするためであり、図示していないが実際には透明電極11上に光電変換層や対向電極が形成されている。取り出し電極19の電気抵抗を低くするために、さらに取り出し電極19に図示しない金属ペーストや導電性高分子を塗布してもよい。図3に示した有機薄膜太陽電池は、いわゆる「マルチスロープ構造」を有する。
図3に示すように、有機薄膜太陽電池を構成する太陽電池セルの透明基板の主面は、光入射方向(図中z方向)と垂直な面に対して角度θだけ傾斜した状態で設置されている。太陽電池セルを傾斜させることにより、光が光電変換層を通過する際の光路が長くなり、光子の吸収効率が増加する。しかも、光路を長くするために光電変換層の厚みを増大させる必要がない。したがって、光路が長くなったことにより発生するエキシトンの量が増加するため電流が増加し、かつ膜厚が薄いままであるため膜抵抗が増加せず、発生したキャリアを失活させることなく効率よく電極へ輸送することができる。その結果として、光電変換効率が向上した太陽電池を得ることができる。
また、傾斜角度を±θとした対をなす太陽電池セルを互いに対向させて、V字をなすように配置しているので、セル表面で反射した光を集光させてセル内に閉じ込めることができる。その結果、利用できる光の量が増大し、光電変換効率が向上する。
太陽電池セルの傾斜角度θは45〜89°に設定され、55〜75°であることが好ましい。角度θが45°以上であると、光路長が長くなる効果と光閉じ込め効果により、光電変換効率の改善が見られる。角度θが89°を超えると、マルチスロープ構造を形成するのに必要な太陽電池セルの面積が大きくなりすぎ、コストアップにつながる。
太陽電池セル1を傾斜させて支持するために用いられる支持部材30は、太陽電池セル1の背面に接してその荷重を支え、太陽電池セル1を一定の傾斜角度で固定する機能を有する。支持部材30を太陽電池セル1の裏面全体を覆う構造とし、封止基板を兼ねるようにしてもよい。なお、支持部材30の形状は図3に示したものに限定されない。
図3に示したように、透明基板10は、第1の長辺E1に隣接する側面Sにおいて末端(支持部材30側すなわち第2の長辺E2に対向する側)に向かって厚みが減少している。第1の長辺E1に隣接する側面Sは、透明基板10の主面に対して傾斜する。このような透明基板10を有する、対をなす太陽電池セルを第1の長辺E1に隣接する側面Sで互いに突き合わせると、以下に説明するように開口率の低下の問題を避けることができる。
図1を参照して既述したように、透明基板10の裏面において、光電変換層12を挟む透明電極11と対向電極13は、ショートを防ぐために重なりが生じないように形成されている。両者の電極の重なりが生じない部分は、発電に寄与しない。
図4に比較例として厚みが一定の透明基板を用いて製造した有機薄膜太陽電池の断面図を示す。図4においても、対をなす太陽電池セル1は、透明基板10の主面の第1の長辺を近接させて配置されている。しかし、透明基板10の厚みが一定であるため、対をなす太陽電池セル1の中央に2枚の透明基板10の厚みに相当する幅の広い非発電部(N)が形成され、この非発電部が開口率を低下させる原因となる。
これに対して、図3に示した第1の実施形態に係る有機薄膜太陽電池では、透明基板10の下部は末端に向かって厚みが減少しているので、図4に示した2枚の透明基板10の厚みに相当する非発電部の幅が狭くなり、開口率の低下を避けることができる。
また、図3を参照して既述したように、透明基板10の第2の長辺E2(上方の長辺)に隣接する側面も主面Mに対して傾斜面をなし、透明基板10の上部は上方の末端に向かって厚みが減少している。そして、透明基板10の上部側面に透明電極11の取り出し電極19が形成された状態で互いに突き合わされている。取り出し電極19の材料にはMo/AlNd/Mo(MAM)などが用いられるために光反射性であるが、取り出し電極19は光入射方向と平行になっているので、開口率の低下を避けることができる。
図5に第2の実施形態に係る有機薄膜太陽電池の断面図を示す。図5においては、対をなす太陽電池セル1の透明基板10は、第1の長辺E1に隣接する側面に設けられた透明媒質20を介して互いに密着している。
上述したように傾斜角度を±θとした対をなす太陽電池セル1を互いに対向させて、V字をなすように配置することにより、セル表面で反射した光を集光させてセル内に閉じ込める。しかし、互いに突き合わされた第1の長辺E1に隣接する側面の間に空気がある場合、透明基板10の屈折率と空気の屈折率とが異なるため、この側面に到達した光を対向するセルに入射させることができない可能性が高くなる。
これに対して、一対の透明基板10の第1の長辺E1に隣接する側面に透明媒質20を設ければ、この側面に到達した光を対向するセルに無駄なく入射させることができる。透明媒質20の屈折率は、空気と比べて透明基板10に近く、透明基板10とほぼ一致することが好ましい。
透明媒質20は、屈折率を調整したマッチング液でもよいし、光学接着剤でもよい。透明基板10がガラスの場合には屈折率が1.5前後であるため、透明媒質20の屈折率は1.4から1.6であることが望ましく、1.45から1.55であることがより望ましい。
図6に第3の実施形態に係る有機薄膜太陽電池の断面図を示す。図6においては、互いに隣り合う透明基板10の第2の長辺E2に隣接する側面に形成された取り出し電極19の間に、絶縁フィルム21が挿入されている。
互いに隣り合う太陽電池セルの接続方法には並列接続と直列接続がある。単独の太陽電池セルから得られる電圧は小さいため、複数の太陽電池セルを直列接続してそれぞれの太陽電池セルの電圧を足し合わせることにより、損失を減らして取り出すことが出来る。このような場合に、隣り合う太陽電池セル1の取り出し電極19間に絶縁フィルム21を挿入することにより、2つの太陽電池セル1を直列接続すると、起電力を加算することができるという利点が得られる。
絶縁フィルム21の材料にはポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)などの樹脂を用い、厚みは0.01から0.3mmが好ましく、0.02から0.2mmがより好ましい。
図7に、第4の実施形態に係る有機薄膜太陽電池の断面図を示す。第4の実施形態では透明基板10の材料に樹脂を用いている。透明基板10が樹脂からなる場合、たとえば加熱しながら荷重をかけることによって、透明基板10の下部の厚みが末端(支持部材30側)に向かって減少するように加工することができる。
図8(a)〜8(d)は、樹脂からなる透明基板10の加工方法を説明する断面図である。透明基板10として、厚み1mmのポリエーテルスルホン(PES)のリボンを用意する(図8(a))。このリボンに250℃に加熱したローラーを押し当てながらリボンを移動させて、厚みが0.8mmから0.2mmの間で変化する透明基板10を作製する(図8(b))。この透明基板10の裏面にインジウム錫酸化物(ITO)を成膜して透明電極11を形成する(図8(c))。透明基板10の厚みが0.2mmとなっている部分で、透明電極11上にMAMを成膜して取り出し電極19を形成する(図8(d))。次に、取り出し電極19に隣接して、透明電極11上に光電変換層12を形成する。さらに、光電変換層12上に対向電極13を形成する。こうして、太陽電池セルを作製する。次いで、以下において説明するように、太陽電池セルに折り加工を施して、マルチスロープ構造の有機薄膜太陽電池を製造する。
透明基板10の厚みが0.2mmになっている部分の中央、および透明基板10の厚みが0.8mmになっている部分の中央において、電極に切れ目を入れる。透明基板10の厚みが0.2mmになっている部分では電極面が外側になるように折りたたみ、透明基板10の厚みが0.8mmになっている部分では電極面が内側になるように折りたたむ。次に、取り出し電極19部分を、コンタクトジグを内蔵した支持部材に固定する。
以上においては、取り出し電極19を形成する部分の透明基板10の厚みを0.2mmとして説明したが、この部分の厚みは0.01mmから0.6mmであることが好ましく、0.02mmから0.5mmであることがより好ましい。また、下部に位置する取り出し電極19を形成する部分と反対に、上部に位置する部分の透明基板10の厚みを0.8mmとして説明したが、この部分の厚みは0.3mmから2.5mmであることが好ましく、0.5mmから2mmであることがより好ましい。
図9に比較例として厚みが一定(たとえば0.5mm)の樹脂からなる透明基板を用いて製造した有機薄膜太陽電池の断面図を示す。図9に示すように、樹脂からなる透明基板を折り曲げて対をなす太陽電池セル1を形成した場合にも、図4で説明したガラスからなる透明基板を用いて製造した有機薄膜太陽電池と同様に、対をなす太陽電池セル1の中央に幅の広い非発電部(N)が形成され、この非発電部が開口率を低下させる原因となる。
図10に第5の実施形態に係る有機薄膜太陽電池の断面図を示す。第5の実施形態では、樹脂からなる透明基板10は、第2の長辺に隣接する端部が、一方向(x方向)に平行に切断されている。
太陽電池セルへの光は、透明基板10の傾斜面だけでなく、樹脂からなる透明基板10を折り曲げることによって形成される上面にも入射する。第4の実施形態で説明したように、透明基板10の上面は、電極に切り込みを入れた後に電極面が内側になるように折りたたむことによって形成されるので、折りたたんだままでは光学的に不均一になっている。図10に示すように、透明基板10の第2の長辺に隣接する端部を一方向(x方向)に平行に切断して透明基板10の上面が平面になるようにすると、光が散乱してセル内部に入射する光が低減することを防ぐことができる。
図11(a)〜11(d)は、第6の実施形態に係る、樹脂からなる透明基板10の加工方法を説明する断面図である。図11(a)〜11(d)において、図8(a)〜8(d)と異なる工程について説明する。
図11(c)に示すように、透明基板10の裏面にITOを成膜して透明電極11を形成する際に、透明基板10の厚みが0.2mmとなっている長さ8mmの部分のうち中央の1mmの部分と、透明基板10の厚みが0.8mmとなっている長さ2mmの部分のうち中央の1mmの部分にはITOが成膜されないようにする。
図11(d)に示すように、厚みが0.2mmである長さ8mmの部分のITOからなる透明電極11上に、MAMを成膜して取り出し電極19を形成する際に、透明電極11が成膜されていない中央の1mmの部分には取り出し電極19が形成されないようにする。
第4の実施形態に係る有機薄膜太陽電池では隣接する太陽電池セル1が並列接続されているのに対して、第6の実施形態に係る有機薄膜太陽電池では隣接する太陽電池セル1の間が絶縁されているので、太陽電池セル1を直列接続することができる。
以下、太陽電池モジュールの各構成部材について説明する。
(透明基板)
透明基板10の材料は、熱や有機溶剤によって変質しないものが好ましい。基板の材料としては、例えば、無アルカリガラス、石英ガラス等の無機材料、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、液晶ポリマー、シクロオレフィンポリマー等のプラスチック、高分子フィルム等が挙げられる。
(透明電極)
透明電極(陽極)11は、透明で導電性を有する材料を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等で成膜することによって形成される。透明電極の材料としては、金属酸化物膜、金属薄膜等が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化錫、およびそれらの複合体であるインジウム錫酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、インジウム亜鉛酸化物等からなる導電性ガラスを用いて作製された膜(NESA等)や、金、白金、銀、銅等が用いられる。特に、ITOまたはFTOが好ましい。また、透明電極の材料として、有機系の導電性ポリマーであるポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体等を用いてもよい。透明電極11の膜厚は、ITOの場合、30〜300nmであることが好ましい。30nmより薄くすると、導電性が低下して抵抗が高くなり、光電変換効率低下の原因となる。300nmよりも厚くすると、光透過率が低くなり、可撓性がなくなって応力が作用するとひび割れが生じる。透明電極11のシート抵抗は可能な限り低いことが好ましく、10Ω/□以下であることが好ましい。透明電極11は、単層でもよいし、異なる仕事関数の材料で構成される層を積層したものでもよい。対向電極13との電気的短絡や電流リークを軽減するため、なるべく透明電極11の表面は平滑であることが好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、任意に、陽極としての透明電極11と光電変換層12との間に配置される。正孔輸送層の機能は、下部の電極の凹凸をレベリングして太陽電池セル1における電気的短絡を防ぐこと、正孔のみを効率的に輸送すること、透明電極11と正孔輸送層の界面近傍で発生したエキシトンの消滅を防ぐこと等である。正孔輸送層の材料としては、(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホネート)[PEDOT/PSS]等のポリチオフェン系ポリマー、ポリアニリン、ポリピロール等の有機導電性ポリマーを使用することができる。ポリチオフェン系ポリマーの代表的な製品としては、例えば、スタルク社のClevios PH500、Clevios PH、Clevios PV P Al 4083、Clevios HIL1.1が挙げられる。
正孔輸送層の材料としてClevios PH500を使用する場合、膜厚は20〜100nmであることが好ましい。薄すぎる場合は、透明電極の短絡を防止する作用がなくなり、ショートが発生してしまう。厚すぎる場合は、膜抵抗が大きくなり、発生した電流を制限してしまうため、光変換効率が低下する。
正孔輸送層の成膜方法は、薄膜を形成できる方法であれば特に限定されないが、例えばスリットコート法やメニスカスコート法等で塗布することが可能である。正孔輸送層の材料を所望の膜厚に塗布した後、ホットプレート等で加熱乾燥する。140〜200℃で数分〜10分間程度加熱乾燥することが好ましい。塗布する溶液は、予めフィルタでろ過したものを使用することが望ましい。
(光電変換層)
光電変換層12の材料を、バルクへテロ接合型の有機薄膜太陽電池を例にとって説明する。バルクヘテロ接合型の太陽電池は、p型半導体とn型半導体が光電変換層中で混合してミクロ層分離構造をとることが特徴である。バルクへテロ接合型は、混合されたp型半導体とn型半導体が光電変換層内でナノオーダーのサイズのpn接合を形成し、接合面において生じる光電荷分離を利用して電流を得る。p型半導体は、電子供与性の性質を有する材料で構成される。n型半導体は、電子受容性の性質を有する材料で構成される。
p型有機半導体としては、例えば、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、オリゴチオフェンおよびその誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体等を使用することができ、これらを併用してもよい。また、これらの共重合体を使用してもよく、例えば、チオフェン−フルオレン共重合体、フェニレンエチニレン−フェニレンビニレン共重合体等が挙げられる。
好ましいp型有機半導体は、π共役を有する導電性高分子であるポリチオフェンおよびその誘導体である。ポリチオフェンおよびその誘導体は、優れた立体規則性を確保することができ、溶媒への溶解性が比較的高い。ポリチオフェンおよびその誘導体は、チオフェン骨格を有する化合物であれば特に限定されない。ポリチオフェンおよびその誘導体の具体例としては、ポリ3−メチルチオフェン、ポリ3−ブチルチオフェン、ポリ3−ヘキシルチオフェン、ポリ3−オクチルチオフェン、ポリ3−デシルチオフェン、ポリ3−ドデシルチオフェン等のポリアルキルチオフェン;ポリ3−フェニルチオフェン、ポリ3−(p−アルキルフェニルチオフェン)等のポリアリールチオフェン;ポリ3−ブチルイソチオナフテン、ポリ3−ヘキシルイソチオナフテン、ポリ3−オクチルイソチオナフテン、ポリ3−デシルイソチオナフテン等のポリアルキルイソチオナフテン;ポリエチレンジオキシチオフェン等が挙げられる。
また、近年では、カルバゾール、ベンゾチアジアゾールおよびチオフェンからなる共重合体であるポリ[N−9”−ヘプタデカニル−2,7−カルバゾール−アルト−5,5−(4’,7’−ジ−2−チエニル−2’,1’,3’−ベンゾチアジアゾール)](PCDTBT)などの誘導体が、優れた光電変換効率を得られる化合物として知られている。
これらの導電性高分子は、溶媒に溶解させた溶液を塗布することにより成膜可能である。従って、大面積の有機薄膜太陽電池を、塗布法等により、安価な設備にて低コストで製造できるという利点がある。
n型有機半導体としては、フラーレンおよびその誘導体が好適に使用される。ここで使用されるフラーレン誘導体は、フラーレン骨格を有する誘導体であれば特に限定されない。具体的には、C60、C70、C76、C78、C84等を基本骨格として構成される誘導体が挙げられる。フラーレン誘導体は、フラーレン骨格における炭素原子が任意の官能基で修飾されていてもよく、この官能基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。フラーレン誘導体には、フラーレン結合ポリマーも含まれる。溶剤に親和性の高い官能基を有し、溶媒への可溶性が高いフラーレン誘導体が好ましい。
フラーレン誘導体における官能基としては、例えば、水素原子;水酸基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基、チエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基等が挙げられる。具体的には、C60H36、C70H36等の水素化フラーレン、C60、C70等のオキサイドフラーレン、フラーレン金属錯体等が挙げられる。
上述した中でも、フラーレン誘導体として、60PCBM([6,6]-フェニルC61酪酸メチルエステル)または70PCBM([6,6]-フェニルC71酪酸メチルエステル)を使用することが特に好ましい。
未修飾のフラーレンを使用する場合、C70を使用することが好ましい。フラーレンC70は、光キャリアの発生効率が高く、有機薄膜太陽電池に使用するのに適している。
光電変換層におけるn型有機半導体とp型有機半導体の混合比率は、p型半導体がP3HT系の場合、およそn:p=1:1とすることが好ましく、p型半導体がPCDTBT系の場合、およそn:p=4:1とすることが好ましい。
有機半導体を塗布するためには、溶媒に溶解する必要があるが、それに用いる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、テトラリン、デカリン、メシチレン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン等の不飽和炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、ブロモブタン、クロロペンタン、クロロヘキサン、ブロモヘキサン、クロロシクロヘキサン等のハロゲン化飽和炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエーテル類が挙げられる。特に、ハロゲン系の芳香族溶剤が好ましい。これらの溶剤は、単独でまたは混合して使用することが可能である。
溶液を塗布し成膜する方法としては、スピンコート法、ディップコート法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、スプレー法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、ディスペンサー塗布法、ノズルコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法等が挙げられ、これらの塗布法は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。
光電変換層12の光透過率は、例えば3%以上、好ましくは10%以上である。透過率が3%未満の場合、角度θを大きくしても光電変換効率の向上は僅かである。透過率が3%以上であると、角度θの増大に伴い、光電変換効率が向上する。これは、吸収率が大きな光電変換層は、入射光の伝播方向に拘らず十分な光子を吸収することができるが、現存する有機半導体から得られる光電変換層の吸収率は、膜厚が100nm程度の場合、数十%程度に過ぎないからである。
(電子輸送層)
電子輸送層は、任意に、光電変換層12と対向電極13との間に配置される。電子輸送層は、正孔をブロックして電子のみを効率的に輸送する機能、および対向電極13と電子輸送層との界面で生じたエキシトンの消滅を防ぐ機能を有する。
電子輸送層の材料としては、金属酸化物、例えばゾルゲル法にてチタンアルコキシドを加水分解して得たアモルファス性の酸化チタンなどが挙げられる。成膜方法は、薄膜を形成できる方法であれば特に限定されないが、例えば、スリットコート法やメニスカスコート法が挙げられる。電子輸送層の材料として酸化チタンを使用する場合、膜厚は5〜20nmの厚さに成膜する事が望ましい。膜厚が上記範囲より薄い場合は、正孔ブロック効果が減少してしまうため、発生したエキシトンが電子と正孔に解離する前に失活してしまい、効率的に電流を取り出すことができない。膜厚が厚すぎる場合は、膜抵抗が大きくなり、発生した電流を制限してしまうため光変換効率が低下する。塗布溶液は、予めフィルタで濾過したものを使用することが望ましい。規定の膜厚に塗布した後、ホットプレートなどを用いて加熱乾燥する。50℃〜100℃で数分〜10分間程度、空気中にて加水分解を促進しながら加熱乾燥する。
(対向電極)
対向電極(陰極)13は、導電性を有する材料を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等で成膜することにより形成される。対向電極の材料としては、導電性の金属薄膜、金属酸化物膜等が挙げられる。これらの微粒子がバインダー中に分散された導電ペーストでもよい。有機系の導電性ポリマーであるポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体等を用いてもよい。透明電極11を仕事関数の高い材料を用いて形成した場合、対向電極13には仕事関数の低い材料を用いることが好ましい。仕事関数の低い材料としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が挙げられる。具体的には、Li、In、Al、Ca、Mg、Sm、Tb、Yb、Zr、Na、K、Rb、Cs、Ba、およびこれらの合金を挙げることができる。
対向電極13は、単層でもよいし、異なる仕事関数の材料で構成される層を積層したものでもよい。また、仕事関数の低い材料のうちの1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫などとの合金でもよい。合金の例としては、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
対向電極13の膜厚は、1nm〜1000nm、好ましくは10nm〜500nmである。膜厚が上記範囲より薄い場合は、抵抗が大きくなりすぎ、発生した電荷を十分に外部回路へ伝達できない。膜厚が厚い場合には、材料を大量に使用するため、成膜装置の占有時間が長くなり、コストアップに繋がってしまう。
(シール層17および封止基板18)
シール層17および封止基板18は、太陽電池セルを酸素および水分から保護する役割を果たす。シール層17の材料としては、例えば、熱硬化型や紫外線硬化型のエポキシ樹脂を使用することができる。封止基板18としては、例えば、金属板、または、樹脂フィルムの表面に無機物若しくは金属からなる層を設けてなるフィルムを使用することができる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、CO、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリカーボネート(PC)若しくはポリエーテルスルホン(PES)からなるフィルム、または、それらの2つ以上を含んだ多層フィルムを使用することができる。無機物または金属としては、例えば、シリカ、チタニア、ジルコニア、窒化珪素、窒化ホウ素またはAlを使用することができる。シール層17および封止基板18シールの少なくとも一方は、乾燥剤または酸素吸収剤を更に含んでいてもよい。シール層17および封止基板18は、省略することができる。
太陽電池セル1は、透明基板10の表面、透明基板10と透明電極11との間、またはそれらの双方の位置に、反射防止層を更に含んでいてもよい。反射防止層としては、例えば、反射防止コーティングまたはフィルム若しくはシート状の反射防止層を使用することが可能である。反射防止層の材料としては、例えば、酸化チタンなどの無機材料、並びに、アクリル樹脂およびポリカーボネート樹脂などの有機材料が挙げられる。反射防止層としては、モスアイ型の微細な突起構造を有しているものが望ましい。そのような突起構造を持ったフィルムは、厚さ方向の屈折率が連続的に変化するため、フィルムに当たる光は殆ど反射せず、大部分の光を透過させることが可能である。モスアイ型の突起構造を有しているフィルムは、例えば、微細な凹凸を有する金型を作り、この金型のレリーフ構造を、樹脂シートまたは無機SOG若しくは有機SOG膜に転写することで得られる。また、酸化チタンの自己組織化等を利用して、モスアイ構造と同様な原理で反射を防止し得る塗料など作製し、これを塗布してもよい。
光反射層と無反射層を作製したフィルムを光入射面に付加する構造も有効である。例えば、モスアイフィルムを代表とする無反射フィルム上に、蒸着(またはスパッタリング)により銀またはアルミニウムの薄膜を形成したフィルムを、光反射層が取り出し電極部に重なるようセル上端に合わせて貼り付けてもよい。
太陽電池セル1は、太陽光の短波長成分を長波長成分へと変換する層を更に含んでいてもよい。このような層を設けると、光電変換効率を更に向上させることができる。例えば、透明基板1の表面にユーロピウム錯体をコーティングすると、光電変換効率を向上させることができる。
或いは、太陽電池セル1は、太陽光の長波長成分を短波長成分へと変換するアップコンバージョン型の蛍光・燐光層を更に含んでいてもよい。このような層を設けた場合も、光電変換効率を更に向上させることができる。
[実施例1]
以下のようにして、複数の傾斜面に太陽電池セルが形成されたマルチスロープ構造の有機薄膜太陽電池を作製した。
太陽電池セル用の透明基板として幅22mm、長さ15.4mm、厚さ1.1mmの光学ガラスを用意した。ここで、「長さ」とは、最終的な太陽電池モジュールにおける透明基板の傾斜方向の寸法である。この光学ガラスの主面の表面粗さは2nmであった。この光学ガラスの第1および第2の長辺をそれぞれ斜め方向に切り落として、第1の長辺に隣接する側面および第2の長辺に隣接する側面がそれぞれ主面に対して傾斜面をなすようにした。その後、切断面を光学研磨した。研磨後の光学ガラスの側面の表面粗さは5nmであった。切断面の傾斜角度は以下のように設定した。すなわち、対をなす2つの太陽電池セルを、透明基板の第1の長辺に隣接する側面が鉛直面(光入射方向に平行)になるように突き合せて両者をV字型に配置したときに、2つの透明基板の主面が光入射方向に直交する平面から75°の角度をもって傾斜するように、切断面の傾斜角度を設定した。
この透明基板の裏面の長さ15.4mmのうち、セルを形成する部分の長さを11mmに設定した。透明基板の裏面のセルを形成する部分から第2の長辺に隣接する側面まで、透明電極として厚さ150nmのITOをスパッタリングにより成膜した。ショート防止のために、透明基板裏面の主面と側面との間の屈曲部から2mmのマージンを取って、側面の透明電極上にMAMを成膜して取り出し電極を形成した。
ITOからなる透明電極の表面をUV洗浄機で予めUV洗浄して、異物を除去するとともに親水性を向上させた。次に、ITOからなる透明電極上に、正孔輸送層、有機薄膜からなる光電変換層、電子輸送層を順次スピンコート法で塗布することにより形成した。使用した材料は以下のとおりである。
正孔輸送層となるポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホネート)水溶液(PEDOT/PSS、スタルク社製、商品名Clevios PH500)を60nmの厚さに塗布した。温風ブロアーを用いて110℃で乾燥し、正孔輸送層を形成した。
光電変換層となる有機半導体の固形分を以下のように調製した。p型有機半導体であるポリ[N−9”−ヘプタデカニル−2,7−カルバゾール−アルト−5,5−(4’,7’−ジ−2−チエニル−2’,1’,3’−ベンゾチアジアゾール)](PCDTBT、1−マティリアル社製)10重量部と、n型有機半導体である[6,6]−フェニルC71酪酸メチルエステル(70PCBM、SOLENNE社製)40重量部とを混合した。次に、サンプル瓶で、溶媒であるオルトジクロロベンゼン1mlに対して、前記固形分30mgを加え、超音波洗浄機(井内盛栄堂(株)製US−2)を用いて50℃で2時間超音波を照射することにより固形分を溶媒に溶解させ、光電変換層の塗布溶液を得た。この塗布溶液を膜厚90nmになるように正孔輸送層上に塗布した。温風ブロアーを用いて70℃で乾燥し、光電変換層を形成した。
電子輸送層としてのアモルファス酸化チタン層を以下のようにゾルゲル法によって形成した。チタニウムイソプロポキシド5ml、2−メトキシエタノール25ml、およびエタノールアミン2.5mlを、窒素置換した50mlの3口フラスコ(攪拌機構、還流装置、および温度調整機構を備えている)中で、80℃にて2時間、さらに120℃で1時間還流した。得られた酸化チタンの前駆体溶液を、イソプロピルアルコール(IPA)で150倍に希釈した。この溶液を光電変換層上に膜厚20nmとなるように塗布した。温風ブロアーを用いて70℃で乾燥し、電子輸送層を形成した。
次いで、対向電極(陰極)を蒸着法により成膜した。真空蒸着装置でAl線材を抵抗加熱し、Al膜を80nmの厚さに蒸着させた。蒸着はマスクを介して行い、ショート防止のため両端からそれぞれ0.3mmのマージンを取った領域に対向電極を形成した。
図3に示す支持部材を、アルミニウムを加工することによって形成した。図3に示すように、対をなす支持部材は一方向(x方向)に沿ってそれぞれ正の傾きおよび負の傾きをもってV字型をなすように傾斜した傾斜面を有する。これらの傾斜面の傾斜角度は、光入射方向に垂直な面にから±75°である。
太陽電池セルの対向電極の電気抵抗を低減するために、対向電極の中央部に銀ペーストを塗布した。一方、銀ペーストが支持部材に接触しないように、支持部材の銀ペーストに対応する位置に溝を設けた。対をなす支持部材の傾斜面に、太陽電池セルの裏面を接着することによって裏面を封止した。
また、MAMからなる取り出し電極の中央部に銀ペーストを塗布して電気抵抗を低減した状態で、支持部材に支持された隣り合う太陽電池セルの対どうしの取り出し電極を接合した。
このようにして複数の太陽電池セルを取り付けた支持部材を、下部の固定板に固定して、マルチスロープ構造の有機薄膜太陽電池モジュールを製造した。
得られた有機薄膜太陽電池モジュール上に、厚さ0.1mmのつや消し黒塗装ステンレス板の中央に20mm角の開口を設けたマスクを設置した。マスクの高さで1Sunの光強度となる擬似太陽光源(朝日分光、HAL−320)から光を照射して、発電効率を測定した。その結果、4.8%の発電効率が得られた。
[比較例1]
太陽電池セル用の透明基板として幅30mm、長さ11mm、厚さ1.1mmの光学ガラスを用意した。この光学ガラスは、第1および第2の長辺をそれぞれ斜め方向に切り落とす加工を行っていない。
この透明基板の裏面の全面に透明電極として厚さ150nmのITOを成膜した。この透明基板の透明電極上に、第1および第2の長辺からそれぞれ5mmずつMAMを成膜して取り出し電極を形成した。
次に、ITOからなる透明電極上に、正孔輸送層、有機薄膜からなる光電変換層、電子輸送層を順次スピンコート法で塗布することにより形成した。各層の材料および塗布条件は実施例1と同様とした。各層を形成した後、取り出し電極の上に重なった部分を剥離した。次いで、
対向電極(陰極)は真空蒸着装置でAl線材を抵抗加熱し、Al膜を80nmの厚さに蒸着することにより形成した。蒸着はマスクを介して行い、ショート防止のため両端からそれぞれ0.3mmのマージンを取った領域に対向電極を形成した。
実施例1と同様に、対をなす支持部材の傾斜面に、太陽電池セルの裏面を接着することによって裏面を封止した。このとき、図4に示すように、対をなす太陽電池セルの中央には、図3と比較して広い非発電領域(N)が形成される。また、実施例1と同様に、支持部材に支持された隣り合う太陽電池セルの対どうしの取り出し電極を接合した。このようにして複数の太陽電池セルを取り付けた支持部材を、下部の固定板に固定して、マルチスロープ構造の有機薄膜太陽電池モジュールを製造した。
得られた有機薄膜太陽電池モジュールについて、実施例1と同様な方法で発電効率を測定したところ、4.2%であった。
以上のように、実施例1の有機薄膜太陽電池モジュールは、比較例1のものよりも性能が向上していることが確認された。
[実施例2]
透明基板として樹脂を用い、図11(a)〜11(d)に示した方法、およびその後の折り加工により有機薄膜太陽電池モジュールを作製した。
太陽電池セル用の透明基板として、幅28mm、長さ150mm、厚さ1mmのポリエーテルスルホン(PES)のリボンを用意した。ここで、「長さ」とは、最終的な太陽電池モジュールにおける透明基板の傾斜方向の寸法に相当する。このリボンに250℃に加熱したローラーを押し当てながらリボンを移動させて、厚みが0.8mmから0.2mmの間で変化する透明基板を作製した。各厚みに対応する部分の長さは以下のとおりである。すなわち、厚みが0.2mmである部分の長さは8mm、厚みが0.2mmから0.8mmの間で連続的に変化する部分の長さは10mm、厚みが0.8mmである部分の長さは2mmである。これらの厚みが薄い部分、厚みが変化する部分、厚みが厚い部分、および厚みが変化する部分が周期的に並んでいる。
この透明基板の裏面に、透明電極として厚さ150nmのITOをスパッタリングにより成膜した。ITOを成膜する際にマスクを設けて、厚みが0.2mmである長さ8mmの部分のうち中央の1mmの部分および厚みが0.8mmである長さ2mmの部分のうち中央の1mmの部分にはITOが成膜されないようにした。続いて、厚みが0.2mmである長さ8mmの部分のITOからなる透明電極11上に、MAMを成膜して取り出し電極19を形成する際に、透明電極11が成膜されていない中央の1mmの部分には取り出し電極19が形成されていない構造にした。
ITOからなる透明電極の表面をUV洗浄機で予めUV洗浄して、異物を除去するとともに親水性を向上させた。次に、リボン状の透明基板を連続的に塗布装置へ供給しながら、幅22mm、長さ149mmの領域に、正孔輸送層、光電変換層、電子輸送層を順次塗布した。各層の塗布条件は実施例1と同様とした。
次に、対向電極(陰極)を蒸着法により成膜した。真空蒸着装置でAl線材を抵抗加熱し、Al膜を80nmの厚さに蒸着させた。蒸着はマスクを介して行い、ショート防止のために、ITOからなる透明電極が露出している部分に蒸着させないように、幅21mm、長さ148mmの領域に対向電極を形成した。
次いで、封止基材として幅24mm、長さ150mmのPEN基板を用意し、このPEN基板の全面にシール層となるエポキシ接着剤を塗布し、陽極パッドと陰極パッドが露出するようにしながら封止した。陽極パッドおよび陰極パッドの幅はどちらも3mmで、両者の間隔は2mmであり、ショートさせずにコンタクトを取るのに十分な寸法である。
図10に示すように折り加工を行うために、ITOが成膜されていない部分の中央位置で、裏表の透明基板およびPEN基板にあらかじめカッターで浅く溝を入れた。30mmピッチで谷折りおよび山折りを交互に行い、透明基板の傾斜面の傾斜角度が光入射方向に垂直な面にから±70°傾斜するようにした。この結果、対をなす太陽電池セルが一方向に沿ってV字型に配置され、V字が5列並ぶマルチスロープ構造の有機薄膜太陽電池モジュールを製造した。得られた有機薄膜太陽電池モジュールを図7に示すような支持部材に取り付けた。電極コンタクト冶具には銅の板バネを用いた。
得られた有機薄膜太陽電池モジュールについて、実施例1と同様な方法で発電効率を測定したところ、3.6%であった。
[比較例2]
太陽電池セル用の透明基板として、幅28mm、長さ150mm、厚さ0.7mmのポリエーテルスルホン(PES)のリボンを用意した。実施例2と異なり、厚みを変化させる工程を行うことなく、この透明基板を一定の厚みで用いた。
その後、実施例2と同様の材料およびプロセスを用い、対をなす太陽電池セルが一方向に沿ってV字型に配置され、V字が5列並ぶマルチスロープ構造の有機薄膜太陽電池モジュールを製造した。得られた有機薄膜太陽電池モジュールを支持部材に取り付けた。
得られた有機薄膜太陽電池モジュールについて、実施例1と同様な方法で発電効率を測定したところ、3.3%であった。
以上のように、実施例2の有機薄膜太陽電池モジュールは、比較例2のものよりも性能が向上していることが確認された。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

Claims (9)

  1. 透明基板の主面上に形成された、透明電極と、有機薄膜からなる光電変換層と、対向電極とを含む光電変換領域を複数有し、
    対をなす前記光電変換領域を有する前記透明基板の主面それぞれは、一方向に沿って正の傾きおよび負の傾きをもって傾斜し、前記主面の第1の辺同士が近接し、第2の辺同士が離間して配置され、
    隣り合う前記光電変換領域を有する前記主面の対同士は、第2の辺を近接させて配置されており、
    前記透明基板の前記第1の辺に隣接する側面は前記主面に対して傾斜し、前記透明基板は末端に向かって厚みが減少しており、
    隣り合う前記透明基板の前記第1の辺に隣接する側面同士の間、および前記第2の辺に隣接する側面同士の間に設けられた透明媒質を更に有する有機薄膜太陽電池。
  2. 前記透明基板は複数設けられ、前記透明基板それぞれが1つの前記光電変換領域を有し、
    前記透明基板の前記第2の辺に隣接する側面は前記主面に対して傾斜し、前記透明基板は末端に向かって厚みが減少している請求項1に記載の有機薄膜太陽電池。
  3. 前記透明基板の前記第2の辺に隣接する側面に、前記透明電極の取り出し電極が形成されている請求項2に記載の有機薄膜太陽電池。
  4. 互いに隣り合う前記透明基板の前記取り出し電極の間に設けられた絶縁フィルムを更に有する、請求項3に記載の有機薄膜太陽電池。
  5. 前記絶縁フィルムはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホンおよびポリカーボネートからなる群より選択され、その厚みが0.02mm以上0.2mm以下の範囲にある請求項4に記載の有機薄膜太陽電池。
  6. 前記透明基板は樹脂からなり、複数の主面と前記主面の間に設けられた厚みが厚い部分と前記主面の間に設けられた厚みが薄い部分とを有し、前記主面それぞれに光電変換領域が設けられ、前記透明基板の前記第1の辺に隣接して厚みが薄い部分に、前記透明電極の取り出し電極が形成されている請求項1に記載の有機薄膜太陽電池。
  7. 前記透明基板は、厚みが薄い部分の厚みが0.02mmから0.5mmの範囲であり、厚みが厚い部分の厚みが0.5mmから2mmの範囲である請求項5に記載の有機薄膜太陽電池。
  8. 前記透明基板は、前記第2の辺に隣接する端部が、前記一方向に平行に切断されている請求項5または6に記載の有機薄膜太陽電池。
  9. 前記透明基板の厚みが薄い部分において前記透明電極上に取り出し電極が形成され、前記取り出し電極に隣接して前記透明電極上に有機薄膜からなる光電変換層が形成されている請求項5ないし7のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
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