JP6045547B2 - 水酸化ナトリウムを含有する容器詰コーヒー飲料 - Google Patents

水酸化ナトリウムを含有する容器詰コーヒー飲料 Download PDF

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Description

本発明は、水酸化ナトリウムを添加することによって後味が改善された、乳化剤を含有
する容器詰コーヒー飲料に関する。
コーヒー分を原料として使用し、加熱殺菌工程を経て製造される容器詰コーヒー飲料が
、数多く開発されており、容器の形態で分類すると、缶入り、ペットボトル入り、紙パッ
ク入りなどが挙げられる。
これら容器詰コーヒー飲料のうち、特に乳成分を原料として用いた乳入りコーヒー飲料
においては、コーヒー抽出液の酸性のpHや加熱処理の影響により、調合工程や殺菌工程
において、乳分の凝集が発生して沈殿を引き起こすという問題があり、この沈殿防止ため
に、通常、乳化剤が添加されている(特許文献1)。また、缶入りコーヒー飲料のうち、
陽圧缶入り飲料は、缶容器が外圧によって変形することが少なく、缶容器として比較的軟
質な材料を用いることができるという利点がある一方で、消費者が開缶前に缶を振とうし
たり、自動販売機からの取り出し、車による運搬などの要因で振とうされた場合に、缶内
のヘッドスペースに相当量の泡が発生し、開缶と同時に泡が飛沫となり、開口部より周辺
に飛散して、消費者に不快感を与えるという問題がある。そのため、この問題の解決のた
めに、食品添加物として使用可能な界面活性剤を消泡剤として添加することが提案されて
いる(特許文献2、3)。
このように、容器詰コーヒー飲料における種々の問題の解決手段として、乳化剤(界面
活性剤)が添加されているが、乳化剤(界面活性剤)の添加は、コーヒー飲料自体の香味
を損なうことがある。そこで、例えば水酸化ナトリウム、または水酸化ナトリウムと水酸
化カリウムの両方が強塩基性物質として添加され、重曹の添加量が0.14重量%以下と
され、加熱殺菌後のpHが5.8〜7.0である、沈殿発生が抑制された、乳化剤不使用
の、乳入りコーヒー飲料も提案されている(特許文献4)。
一方、コーヒー飲料では、その酸度があまりに大きいとコーヒー飲料としては好ましく
ない酸味となり、酸度がほとんどないと単調(flat)な香味となるため、適当な酸度
バランスを維持することが重要であることが知られている。容器詰コーヒー飲料の製造で
は、その殺菌工程において、pH値の低下を引き起こし、その結果、当該飲料としては好
ましくない酸味を呈し、かつ、経時的な香味の劣化が著しくなる。そこで、通常、pH調
整剤として、重曹(炭酸水素ナトリウム)等のアルカリ強塩基が添加され、pH値の調整
が行われている。そして、pH調整剤として重曹やリン酸水素二ナトリウム等のナトリウ
ム塩を用いた場合は、コーヒー飲料に塩味、ぬめり、切れ味の悪さをもたらすとして、カ
リウム塩を有効成分とするpH調整剤及びこれを含有する飲料も開示されている(特許文
献5)。
特開平8−228686号公報 特開平2−127218号公報 特許第3417189号公報 特許第3702176号公報 特許第3476829号公報
近年になって、飲用しやすい容器形態として、再栓可能な蓋部を有する容器、具体的に
は、ペットボトルやボトル缶などの需要が高まっており、コーヒー飲料では、その芳香を
楽しむために、口径を大きくしたボトル缶が開発されている。ボトル缶飲料では、口径が
広く開栓部が広いために、陽圧缶の中でも特に、開栓時に飲料が噴出すということが問題
となっており、噴出しを防止するために、飲料に乳化剤(界面活性剤)が添加されている
。しかし、乳化剤の添加はコーヒー飲料自体の香味を損なうことがあるが、乳化剤を用い
たコーヒー飲料の香味を改善する方法が知られていないことから、乳化剤を添加したコー
ヒー飲料の香味を改善する方法の開発が望まれていた。また、乳化剤を添加したコーヒー
飲料であっても、開栓時の噴出しの防止が十分でなく、特にホットベンダー等で加温され
て販売される場合には、缶内圧が高まり、より一層、開栓時の噴出しが発生しやすくなる
。そのため、易泡性のコーヒー飲料において、開栓時の噴出しの問題が、陽圧缶(特にボ
トル缶)を採用する際の大きな障害となっていた。
本発明の目的は、乳化剤が添加されたコーヒー飲料で、その呈味が向上された容器詰コ
ーヒー飲料を提供することにある。また、本発明の目的は、開栓時の噴出しが防止された
、陽圧缶(特にボトル缶)入りのコーヒー飲料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、驚くべきことにナトリウ
ム塩がコーヒー飲料の後味を悪くするという知見(特許文献5)に反して、乳化剤を含有
するコーヒー飲料においては、水酸化ナトリウムを少量配合することで、乳化剤特有の香
味、特に後味に感じるぬめりや後味のキレの悪さ等に起因する不快な味を改善することが
できることを見出した。そして、さらに検討した結果、水酸化ナトリウムを配合したコー
ヒー飲料を陽圧缶に充填した場合、乳化剤の消泡作用が相加的又は相乗的に向上し、開栓
時の噴出しが抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
1.乳化剤と、水酸化ナトリウムとを含有する、容器詰コーヒー飲料、
2.水酸化ナトリウムの含有量が、乳化剤の含有量に対して、重量比で1〜5倍量である
、前記1に記載の容器詰コーヒー飲料、
3.さらに、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、リン酸三ナトリウム
及びリン酸三カリウムからなる群から選択される少なくとも一種のpH調整剤を含有し、
前記乳化剤の含有量が0.001〜0.05重量%であり、
pHが5.0〜7.0である、前記1又は2に記載の容器詰コーヒー飲料、
4.コーヒー固形分の含有量が0.9〜1.8重量%である、前記1〜3のいずれかに記
載の容器詰コーヒー飲料、
5.ブラックコーヒーである、前記1〜4のいずれかに記載の容器詰コーヒー飲料、
6.容器が陽圧缶である、前記1〜5のいずれかに記載の容器詰コーヒー飲料、
7.容器が、陽圧ボトル缶である、前記6に記載の容器詰コーヒー飲料、
8.内容量が、250mL以上である、前記1〜7のいずれかに記載の容器詰コーヒー飲
料、
9.
1)コーヒー分に乳化剤及び水酸化ナトリウムを添加して調合液を調製する工程、
2)前記調合液を加熱殺菌する工程、及び
3)容器に充填する工程、
を含むことを特徴とする、容器詰コーヒー飲料の製造方法。
本発明により、乳化剤特有の香味、特に後味に感じるぬめりや後味のキレの悪さ等に起
因する不快な味が改善された容器詰コーヒー飲料が提供される。また、本発明により、容
器開栓時の噴出しが抑制された容器詰コーヒー飲料が提供される。
本発明において、コーヒー飲料とは、コーヒー分を原料として使用し、加熱殺菌工程を
経て製造される飲料製品のことをいう。製品の種類は特に限定されないが、1977年に
認定された「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」の定義である「コーヒー」「
コーヒー飲料」「コーヒー入り清涼飲料」が主に挙げられる。また、コーヒー分を原料と
した飲料においても、乳固形分が3.0重量%以上のものは「飲用乳の表示に関する公正
競争規約」の適用を受け、「乳飲料」として取り扱われるが、これも、本発明における乳
入りコーヒー飲料として挙げられる。
コーヒー分とは、コーヒー豆由来の成分を含有する溶液のことをいい、例えば、コーヒ
ー抽出液、すなわち、焙煎、粉砕されたコーヒー豆を水や温水などを用いて抽出した溶液
が挙げられる。また、コーヒー抽出液を濃縮したコーヒーエキス、コーヒー抽出液を乾燥
したインスタントコーヒーなどを、水や温水などで適量に調整した溶液も、コーヒー分と
して挙げられる。
原料のコーヒー豆の栽培樹種は、特に限定されず、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ
種などが挙げられ、また、品種名も特に限定されず、モカ、ブラジル、コロンビア、グア
テマラ、ブルーマウンテン、コナ、マンデリン、キリマンジャロなどが挙げられる。焙煎
の度合い(浅煎り、中煎り、深煎りの順に基本的に3段階で表現される)についても特に
限定されず、また、コーヒーの生豆も用いることができる。さらに、複数品種のコーヒー
豆をブレンドして用いることもできる。
焙煎されたコーヒー豆の粉砕度合い(粗挽き、中挽き、細挽きなどに分類される)につ
いても特に限定されず、各種の粒度分布の粉砕豆を用いることができ、水や温水などを用
いて、各種コーヒー抽出装置(ドリップ式、サイフォン式、ボイリング式、ジェット式、
連続式など)で抽出することができる。また、コーヒー焙煎豆の抽出温度やコーヒー分の
抽出度合いが高いほど加熱殺菌後の沈殿物が発生し易い傾向にあるが、温度条件や抽出度
合いは特に限定されない。
本発明のコーヒー飲料におけるコーヒー分の含有量は、特に限定されないが、コーヒー
固形分換算で0.5〜2重量%程度である。近年、容器詰コーヒー飲料として、コーヒー
本来の風味を楽しむことを目的に、コーヒー固形分が比較的高いものが多く流通されてい
る。このようなコーヒー固形分が多いコーヒー飲料は、殺菌時や保存時における沈殿防止
のために乳化剤が添加されるが、乳化剤特有の香味がコーヒー本来の風味を低下させると
いう問題を有している。特に、乳分や甘味成分などコーヒー分以外の成分を含まないブラ
ックコーヒーでは、より顕著に乳化剤特有の香味を感じることになる。本発明の水酸化ナ
トリウムを含有するコーヒー飲料は、このようなコーヒー固形分が比較的高いコーヒー飲
料(特にブラックコーヒー)においても、乳化剤に起因する風味低下を抑制でき、コーヒ
ー飲料の香味を改善することができる。つまり、このようなコーヒー固形分が高いコーヒ
ー飲料、具体的には、コーヒー固形分の含有量が0.9〜1.8重量%(好ましくは0.
9〜1.6重量%)程度であるコーヒー飲料(特にブラックコーヒー)は、本発明のコー
ヒー飲料の好ましい態様の一例である。なお、コーヒー固形分とは、コーヒー分を一般的
な乾燥法(凍結乾燥、蒸発乾固など)を用いて乾燥させ水分を除いた後の、乾固物の重量
のことをいう。
本発明は、水酸化ナトリウムを添加することにより、乳化剤を含有するコーヒーにおけ
る香味の問題、具体的には乳化剤特有の雑味をマスキングし、後味に感じるぬめり(後味
のキレの悪さ)等を改善することを特徴とするものである。
ここで、乳化剤とは、乳化の効果を持つ添加物のことをいい、広義の界面活性剤の一種
である。例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂
肪酸エステルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、コーヒー飲料の製
造時の加熱殺菌工程およびその後の流通、貯蔵もしくは自動販売機の加温時に生じうる沈
殿や、陽圧缶における噴出しを防止するために一般的に使用されるものを全て含む。
本発明のコーヒー飲料における乳化剤の量は、使用する乳化剤の種類や目的によって選
択されるものであるが、陽圧缶における噴出しを防止するための消泡剤として使用する場
合には、通常、飲料全体に対し、0.001〜0.05重量%程度である。乳化剤の含有
量が0.001重量%程度より少ないと消泡作用が十分ではない。一方、一定量以上の乳
化剤を添加してもその効果は増大されないため経済的に不利であり、コーヒー飲料の風味
を大きく損なうことがある。そのため、乳化剤含有量の上限は、0.05重量%、好まし
くは0.015重量%程度である。
本発明で使用する水酸化ナトリウムは食品添加物であり、固形物や水溶液の状態で、市
販品として入手できる。純度は、食用に適する限り特に限定されないが、例えば、水酸化
ナトリウムの結晶物では70.0〜75.0重量%、水酸化ナトリウムの無水物では95
.0重量%以上のものなどがある。結晶物の性状は、粉末状、粒状、小球状、片状、棒状
などがあり、特に限定されない。
水酸化ナトリウムは、コーヒー分を抽出した後でコーヒー分に添加することが好ましい
が、コーヒー分を抽出する工程にて、使用する水や温水などに事前に添加しておいてもよ
い。
水酸化ナトリウムは、乳化剤特有の味(雑味)をマスキングでき、後味に感じるぬめり
(後味のキレの悪さ)を改善できる程度の量を添加する。使用する乳化剤の種類や量によ
り、水酸化ナトリウムの添加量は適宜、調節することができる。通常、乳化剤に対し、1
〜5倍量(重量比)程度、好ましくは2.5〜3.5倍量程度の水酸化ナトリウムが添加
される。
本発明のコーヒー飲料は、上記のとおり、乳化剤に起因する風味低下を抑制できるもの
であり、特に、後味に感じるぬめり(後味のキレの悪さ)を改善できるものである。した
がって、後味のさっぱり感がより要求される比較的大容量の飲料、具体的には内容量が2
50mL以上、好ましくは300mL以上の容器詰飲料は、本発明の好ましい態様の一例
である。
さらに、上記のとおり、コーヒー固形分含有量が0.9〜1.8重量%のコーヒー飲料
(特にブラックコーヒー)が本発明の好ましい態様の一つであるが、本発明のコーヒー飲
料には、所望する嗜好や設計に応じて、適宜、乳分や甘味成分及びpH調整剤等の成分を
添加してもよい。
ここで、乳分とは、コーヒー飲料にミルク風味やミルク感を付与するために添加する成
分を指し、主に乳、牛乳及び乳製品のことをいう。例えば、生乳、牛乳、特別牛乳、部分
脱脂乳、脱脂乳、加工乳、乳飲料などが挙げられ、乳製品としては、クリーム、濃縮ホエ
イ、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、加糖脱脂れん乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパ
ウダー、ホエイパウダー、バターミルクパウダー、調整粉乳などが挙げられる。風味の面
から、牛乳を用いることが望ましい。また、発酵乳や乳酸菌飲料も、乳分として挙げられ
る。
甘味成分とは、甘味を呈する成分のことをいう。例えば、ショ糖、異性化糖、ブドウ糖
、果糖、乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖、フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、
イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、カップリングシュガー、パラチノース、マルチ
トール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、ラクチトール、パラチニット、
還元デンプン糖化物、ステビア、グリチルリチン、タウマチン、モネリン、アスパルテー
ム、アリテーム、サッカリン、アセスルファムK、スクラロース、ズルチンなどが挙げら
れる。
pH調整剤とは、殺菌時におけるpH低下を緩和しうる成分で、水に溶解した時にアル
カリ性を示す物質を指す。具体的には、重曹(炭酸水素ナトリウム)、炭酸カリウム、水
酸化カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウムなどが挙げられる。pH調整剤と
して重曹を用いる場合には、その添加量は、飲料全体に対し0.1重量%以下、好ましく
は0.05重量%以下がよい。0.1重量%を超えると、陽圧缶入りコーヒー飲料におい
て、開栓時の噴出し頻度および噴出し量が多くなる傾向にある。
本発明は、水酸化ナトリウムをコーヒー飲料の香味改善剤として使用するものであるが
、上記pH調整剤の一部又は全部として用いることもできる。本発明のコーヒー飲料にお
いては、水酸化ナトリウム及び/又は上記に例示したpH調整剤を用い、殺菌後の製品の
pH値が5.0〜7.0、好ましくは5.3〜6.5となるように調整する。
また、本発明のコーヒー飲料には、上記成分の他、酸化防止剤(エリソルビン酸ナトリ
ウムなど)、及び香料(コーヒーフレーバー、ミルクフレーバーなど)など、コーヒー飲
料に通常用いられる成分を添加してもよい。
本発明の容器詰コーヒー飲料は、水酸化ナトリウム及び乳化剤を含有するコーヒー分を
殺菌し容器に充填して製造する。より具体的には、コーヒー分に乳化剤及び水酸化ナトリ
ウムを添加して、必要に応じて上記各種成分(乳分、甘味成分、pH調整剤など)を添加
して調合液を得、この調合液を容器に充填して加熱殺菌するか、又は調合液を加熱殺菌し
た後に容器に充填して、製造する。
加熱殺菌及び充填方法は、レトルト殺菌、ホットパック、無菌充填などを用いることが
でき、特に限定されず、内容物の性状や容器等によって殺菌条件を適宜設定すればよい。
調合液が充填される容器の形態も、特に限定されず、缶、ペットボトル、ガラス瓶、紙容
器などを用いることができる。特に、本発明のコーヒー飲料は、陽圧缶における噴出しを
防止するという効果を有するので、陽圧缶の形態、特に口径を大きくしたボトル缶入り飲
料の形態は、本発明の好ましい態様である。本発明によると、缶内圧0.04〜2.5k
g/cm、好ましくは0.06〜1.0kg/cm程度の陽圧缶入りコーヒー飲料に
おいて、開栓時の噴出しを抑制することができる。
従来、噴出し防止の観点から、陽圧缶入り飲料においてヘッドスペースを大きくする方
法がとられることもあったが、本発明のコーヒー飲料では、缶内のヘッドスペース率が2
7%以下(例えば、25%以下や16%以下)となる容器詰コーヒー飲料として提供する
ことができる。ここで、ヘッドスペース率とは、コーヒー飲料の容量に対するヘッドスペ
ースの割合(ヘッドスペース率=(ヘッドスペース容量)/(コーヒー飲料容量)×10
0)として算出される値である。また、本発明のコーヒー飲料は、広口(口径がΦ28〜
38mm)のボトル缶に充填しても、開栓時の噴出しを抑制することができる。
以下、実験例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるもので
はない。
実施例1.香味改善作用(1)
コーヒー原料として、インスタントコーヒーを用いた。インスタントコーヒーに適量の
温水を添加してコーヒー飲料(コーヒー固形分:1.3重量%)を得、これに乳化剤(消
泡剤)としてアワブレークG109(太陽化学株式会社製)を飲料全体に対し0.008
重量%添加した。さらに、pH調整剤として、表1に示す配合の水酸化ナトリウム(Na
OH)(本発明1)又は重曹(比較例1)を添加して、pH6.0のコーヒー飲料を得た
。また、比較例2として、乳化剤を使用せず、pH調整剤として重曹を用いたコーヒー飲
料を調製した。
これらのコーヒー飲料について専門パネラー3名により、官能評価を行った。評価項目
は、後味のキレ(5点:大変良い、4点:やや良い、3点:良くも悪くもない、2点:や
や悪い、1点:大変悪い)、コク(5点:大変ある、4点:ややある、3点:可も不可も
ない、2点:ややない、1点:大変ない)、コーヒー感(5点:大変ある、4点:ややあ
る、3点:可も不可もない、2点:ややない、1点:大変ない)、クリア感(5点:雑味
(乳化剤由来の異味等)を全く感じない、4点:雑味をほとんど感じない、3点:雑味を
わずかに感じる、2点:雑味をやや感じられる、1点:雑味を大変感じる)で評価した。
結果を表1に示す。乳化剤の使用により、後味のキレが悪くなり、コーヒー感が若干低
下し、クリア感が低下し、コーヒー飲料の香味を低下させた(比較例1と比較例2)。一
方、NaOHを使用すると、重曹を用いた場合と比較して後味のキレは向上した。その効
果は、驚くべきことに、乳化剤を使用していない比較例2と比較しても大きく、NaOH
によりコーヒー飲料の後味が大きく改善されることが示唆された。また、コク、コーヒー
感、クリア感は、比較例2と変わらず、比較例1と比べるといずれも良い評価であり、乳
化剤を用いたコーヒー飲料にNaOHを使用することで、香味が向上すること、特に後味
のキレが向上することが示唆された。
Figure 0006045547
実施例2.香味改善作用(2)
焙煎コーヒー豆を適温にて抽出したコーヒー抽出物に、各成分の含有量が以下の表2に
示す値となるように乳化剤(製品名アワブレークG109、太陽化学株式会社製)、水酸
化ナトリウム(NaOH)(純度95%、関東化学株式会社製)及び/又は重曹を添加し
、pHが6.5〜7.2、コーヒー固形分が1.3重量%である4種の調合液(比較例3
、本発明2〜4)を得た。なお、表2におけるNaOH量は、添加量に純度(95%)を
乗じた数値である。この各調合液300gを、それぞれ広口ボトル缶(ボトル容量343
mL、口径(内径)Φ31mm)に缶内圧が0.09kg/cm、ヘッドスペース率が
約13%となるように充填し、レトルト加熱殺菌(120〜125℃、5〜15分)して
、容器詰コーヒー飲料を得た(殺菌後における容器詰コーヒー飲料のpH値を表2に示す
)。
得られた4種類の容器詰コーヒー飲料について、実施例1と同様に、専門パネラー3名
で香味を評価した。
結果を表3に示す。pH調整剤として重曹を用いた場合には、乳化剤に起因する後味の
キレの悪さ、雑味が感じられ、クリア感を損なったが、NaOHを飲料全体に対し0.0
095重量%(乳化剤に対する比率として約1.2倍)添加することで、後味の悪さが大
きく改善された。NaOHを飲料全体に対し0.237重量%(乳化剤に対する比率とし
て約3倍)添加した場合には、乳化剤に起因する後味のキレの悪さや雑味を感じることが
なく、コーヒー飲料として大変好ましいものとなった。NaOHを飲料全体に対して0.
265重量%(乳化剤に対する比率として約3.3倍)添加した場合も同様の傾向であり
、乳化剤に起因する風味低下を防止できた。
Figure 0006045547
Figure 0006045547
実施例3.噴出し防止作用
実施例2で製造した比較例3及び本発明4の広口ボトル缶入りコーヒー飲料について、
それぞれ無作為に24缶を選択し、上下に9回振って開栓したときの噴出し量(g)を測
定した。噴出し量は、開栓前の全量(容器を含む重量)から開栓後の全量を除した値とし
て求めた。
比較例3のサンプルでは、噴出し量の平均値が0.17gであり、噴出し量が0.1g
を超えたものが10本(24本中の10本:割合では、41.7%)存在した。なかでも
、明らかに顕著な噴出しと感じる0.5g程度の噴出しがあるもの(四捨五入して0.5
以上となるもの)は、3本(割合として12.5%)存在した。
一方、本発明4のサンプルでは、噴出し量の平均値は、0.06gであり、0.1gを
超えるものは存在しなかった。
これより、乳化剤が添加されたコーヒー飲料において、重曹量を減らしてNaOHを添
加したコーヒー飲料は、開栓時の噴出しが大きく抑制できることが明らかとなった。

Claims (7)

  1. 乳化剤と水酸化ナトリウムとを含有する容器詰ブラックコーヒー飲料であって、ここで、水酸化ナトリウムの含有量が乳化剤の含有量に対して重量比で1〜5倍量であり、乳化剤がグリセリン脂肪酸エステルを含むものである、前記容器詰ブラックコーヒー飲料。
  2. さらに、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、リン酸三ナトリウム及びリン酸三カリウムからなる群から選択される少なくとも一種のpH調整剤を含有し、
    前記乳化剤の含有量が0.001〜0.05重量%であり、
    pHが5.0〜7.0である、請求項1に記載の容器詰ブラックコーヒー飲料。
  3. コーヒー固形分の含有量が0.9〜1.8重量%である、請求項1または2に記載の容器詰ブラックコーヒー飲料。
  4. 容器が陽圧缶である、請求項1〜3のいずれかに記載の容器詰ブラックコーヒー飲料。
  5. 容器が、陽圧ボトル缶である、請求項4に記載の容器詰ブラックコーヒー飲料。
  6. 内容量が、250mL以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の容器詰ブラックコーヒー飲料。
  7. 1)コーヒー分に乳化剤及び水酸化ナトリウムを添加して調合液を調製する工程、
    2)前記調合液を加熱殺菌する工程、及び
    3)容器に充填する工程、
    を含むことを特徴とする、容器詰ブラックコーヒー飲料の製造方法であって、
    乳化剤がグリセリン脂肪酸エステルを含むものである、前記製造方法。
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