JP6045413B2 - 吸着式ヒートポンプ - Google Patents
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Description
この吸着式ヒートポンプとして、例えば、容器内の上部に吸着器を、この容器内の下部に蒸発凝縮器を、それぞれ配置した構造の吸着式ヒートポンプが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この構造の吸着式ヒートポンプでは、吸着器と蒸発凝縮器との間に距離があるため、蒸気がこの間を移動する際に圧力損失が生じ、この圧力損失により作動性能が低下する場合がある。また、吸着器と蒸発凝縮器との間に距離があるため、吸着式ヒートポンプが大型化する傾向がある。
しかしこの手法の場合、蒸気(作動媒体)が反応室内を移動する際の圧力損失を低減させる観点から、反応室内に蒸気が流通されるための空間(隙間)を設ける必要があり、この空間の分、吸着器ひいては吸着式ヒートポンプが大型化する傾向がある。
即ち、本発明の吸着式ヒートポンプは、作動媒体の吸着及び脱着を行う第1吸着材を壁面の少なくとも一部に有する複数の反応室、及び、前記反応室間に配置され第1熱交換流体が流通する第1流路を含む吸着器と、前記複数の反応室内に挿入され前記作動媒体の保持及び脱離を行うとともに内部に第2熱交換流体が流通する第2流路を有する作動媒体保持部を含む熱交換器と、を備えて構成される。
この際、作動媒体保持部が反応室内に挿入されていることにより、上部に吸着器を、下部に蒸発凝縮器を備えた従来の吸着式ヒートポンプと比較して、作動媒体の移動距離を短くすることができるので、この移動時の作動媒体の圧力損失を低減することができる。
更に、反応室内に作動媒体保持部が挿入されていることにより、空間利用率が上がるので、吸着式ヒートポンプ全体の体積を小さくする(即ち、吸着式ヒートポンプを小型化する)ことができる。
以上のように、本発明によれば、作動媒体の圧力損失が低減され、小型化された吸着式ヒートポンプが提供される。
これにより、作動媒体の移動距離をより短くすることができるので、作動媒体の圧力損失をより低減できる。
これにより、これらの反応室を有する吸着器全体の体積を更に小さくすることができる。また、この態様では、作動媒体の移動距離をより短くすることができるので、作動媒体の圧力損失をより低減できる。
作動媒体の沸点が60℃以上であれば、吸着時及び脱着時の作動媒体の蒸気密度をある程度低くすることができるので、作動媒体の対流伝熱による作動性能の低下をより抑制できる。
また、作動媒体の沸点が160℃以下であれば、吸着時及び脱着時の作動媒体の蒸気密度をある程度高くすることができ、比較的高温が要求される脱着時の作動温度(即ち、第1熱交換流体の温度)をある程度低くすることができるので、輻射伝熱による作動性能の低下をより抑制できる。
これにより、対流伝熱や輻射伝熱による性能低下をより低減できる。
この態様は、作動媒体を保持した際のエネルギー密度の点で有利である。
この態様は、吸着による作動媒体の保持により、液(作動媒体)の突沸を抑制できる点で有利である。
前記第2吸着材としては、作動媒体の吸着及び脱着を行える吸着材であれば特に制限はないが、例えば、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲル、及び粘土鉱物からなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
この態様では、第1吸着材としてゼオライト及びシリカゲルの少なくとも一方を用い、第2吸着材として活性炭を用いた組み合わせが好ましい。この組み合わせは、活性炭が高相対圧域で吸脱着する事から、作動温度の点で有利である。
この態様は、蒸発潜熱より大きな化学反応熱を使うことから、熱の変換効率の点で有利である。
ここで、化学反応には、配位反応も含まれる。
前記化学蓄熱材としては、金属塩化物及び金属酸化物からなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
まず、本発明の第1実施形態について、図1〜図3を参照しながら説明する。
図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係る吸着式ヒートポンプ100を示す概略斜視図であり、図3は、吸着式ヒートポンプ100の断面の一部を示す概略断面図である。
図1及び図2に示すように、吸着式ヒートポンプ100は、吸着器10と熱交換器50とを含んで構成されている。
図1では、吸着式ヒートポンプ100の構成をわかり易くするために、吸着器10と熱交換器50との距離を離して表しているが、実際には、図2に示すように、吸着式ヒートポンプ100は、吸着器10と熱交換器50とが組み合わさった構成となっている。詳細には、この吸着式ヒートポンプ100は、熱交換器50の一部である作動媒体保持部60が、吸着器10の反応室20内(詳細には、吸着材層22と吸着材層22との間)に挿入された構成となっている。
また、図2は、吸着式ヒートポンプ100を、第1熱交換流体F1の流通方向に対し直交する平面(反応室20の奥行き方向及び反応室20の厚み方向に平行な平面)で切断したときの断面を含んだ概略斜視図となっている。
図3は、図2における断面の一部を拡大して表した概略断面図である。
具体的には、作動時において、吸着材層22に含まれる第1吸着材から作動媒体W1が脱着し、脱着した作動媒体W1が作動媒体保持部60の外壁面で凝縮し、作動媒体保持部60の外壁面に液滴として保持される。更に、作動媒体保持部60の外壁面に液滴として保持されていた作動媒体W1が蒸発することによりこの外壁面から脱離し、脱離した作動媒体W1が、吸着材層22に含まれる第1吸着材に吸着する。
本実施形態では、作動媒体保持部60が反応室20内に挿入されていることにより、作動媒体W1が、吸着器10(詳細には吸着材層22)と熱交換器50(詳細には作動媒体保持部60)との間を移動する際の移動距離が短くなっているので、この移動時の作動媒体W1の圧力損失が低減される。
吸着式ヒートポンプ100の更に詳細な作動モードの一例については後述する。
この第1実施形態は、作動媒体を保持した際のエネルギー密度の点で有利である。
作動時の対流伝熱及び輻射伝熱をより抑制する観点からは、作動媒体W1の沸点は、60℃〜160℃が好ましく、70℃〜130℃がより好ましい。ここでいう沸点は、1気圧(101.33kPa)下での沸点を指す。
一般論としては、作動媒体W1の移動距離が短くなるに従い、輻射伝熱や作動媒体W1の対流伝熱が大きくなる傾向となり、この輻射伝熱や対流伝熱により、吸着式ヒートポンプの作動性能が低下する傾向となる。
しかし、作動媒体W1の沸点が60℃以上であれば、吸着時及び脱着時の作動媒体の蒸気密度をある程度低くすることができるので、作動媒体W1の対流伝熱をより低減できる。
また、作動媒体W1の沸点が160℃以下であれば、吸着時及び脱着時の作動媒体の蒸気密度をある程度高くすることができ、これにより、比較的高温が要求される脱着時の作動温度(第1熱交換流体F1の温度)をある程度低くすることができるので、輻射伝熱をより抑制できる。
作動媒体W1としては、単一物質を用いてもよいし、2種以上の混合物を用いてもよい。
例えば、作動媒体W1が水である場合、吸着時における蒸気の圧力を0.5kPa〜2kPa程度、脱着時における蒸気の圧力を4kPa〜10kPa程度と、ある程度低くすることができるので、対流伝熱をより抑制できる。
また、作動媒体W1が水である場合、脱着時における作動温度を80℃程度と、ある程度低くすることができるので、輻射伝熱をより抑制できる。
図1及び図2に示すように、吸着器10は、3つの反応室20と4つの第1流路14とが設けられた吸着器筐体12を有して構成されている。ここでは、説明の便宜上、反応室20の数を3つ、第1流路14の数を4つとしているが、反応室20及び第1流路14の数には特に限定はなく、吸着器10に出入りする熱量や、吸着材層22の伝熱面の面積(反応室内壁との接触面積)等を考慮して適宜設定される。
反応室20は、一端として開口端を有する扁平形状の空間となっている。そして、複数の反応室20の配置は、この空間の厚み方向に並ぶ配置となっている。なお、後述の作動媒体保持部60は、この開口端から反応室20内に挿入されている。
第1流路14は、両端として開口端を有する扁平形状の空間となっており、一端から供給された第1熱交換流体F1を他端から排出できるようになっている。
この一対の吸着材層22において、吸着材層22の表面と吸着材層22の表面との間には空間(隙間)が設けられている。これにより、各吸着材層22の表面の全体(即ち、広い範囲)で、作動媒体W1の吸着及び脱着を効率よく行えるようになっている。
後述の作動媒体保持部60は、この一対の壁面に設けられた吸着材層22と吸着材層22との間に挿入される。
しかし、吸着材層22は、面積が広い方の一対の壁面(反応室20の空間の厚み方向に直交する一対の壁面)に加え、面積が狭い方の一対の壁面(第1熱交換流体F1の流通方向に直交する一対の壁面)にも設けられていてもよいし、更には、反応室20内の壁面全面(五面)に設けられていてもよい。
しかし一方で、反応室内に空間を設けた場合には、この空間の分だけ吸着器全体の体積が増大するので、吸着式ヒートポンプが大型化する傾向となる。
この点に鑑み、本実施形態では、反応室内の空間に熱交換器の作動媒体保持部が挿入され、空間利用率が上がるので、吸着式ヒートポンプの大型化が抑制される。
本実施形態では、熱源から第1熱交換流体F1を媒体として高温(例えば80℃)の熱が供給されたときに、この熱が吸着材層22に伝わり、吸着材層22に含まれる第1吸着材(以下、便宜上、「吸着材層22」ともいう)から作動媒体W1が脱着する(吸熱反応)。脱着した作動媒体W1は、作動媒体保持部60の外壁面で凝縮し、この外壁面に保持される。
更に、本実施形態では、熱源から第1熱交換流体F1を媒体として中温(例えば30℃)の熱が供給されたときに、吸着材層22に作動媒体W1が吸着する(発熱反応)。この作動媒体W1は、作動媒体保持部60の外壁面で蒸発し、この外壁面から脱離することにより供給される。
第1吸着材及び吸着材層22の好ましい範囲については後述する。
本実施形態における吸着材層22は、吸着質としての作動媒体W1の吸着及び脱着を行う第1吸着材を少なくとも1種含有する。
前記第1吸着材の具体例としては、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲル、粘土鉱物等が挙げられる。
このうち、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲルが好ましく、活性炭、ゼオライト、シリカゲルが更に好ましく、ゼオライト、シリカゲルが特に好ましい。
作動媒体W1として水を用いる場合には、第1吸着材としては、ゼオライト、シリカゲルが特に好ましく、ゼオライトが最も好ましい。
前記メソポーラスシリカとしては、BET法による比表面積が500m2/g以上1500m2/g以下(より好ましくは、700m2/g以上1300m2/g以下)であるメソポーラスシリカが好ましい。
前記ゼオライトとしては、BET法による比表面積が50m2/g以上1000m2/g以下(より好ましくは、100m2/g以上1000m2/g以下)であるゼオライトが好ましい。
前記シリカゲルとしては、BET法による比表面積が100m2/g以上1500m2/g以下(より好ましくは、300m2/g以上1000m2/g以下)であるシリカゲルが好ましい。
前記粘土鉱物としては、非架橋の粘土鉱物であっても、架橋された粘土鉱物(架橋粘土鉱物)であってもよい。前記粘土鉱物としては、セピオライト、スメクタイト系粘土(サポナイト、モンホリロナイト、ヘクトライト、等)、4−珪素雲母、雲母、バーミキュライト等が挙げられる。中でも、セピオライトが好ましい。
繊維状の熱伝導性材料は、伝熱面(反応室20の壁面)に対して交差する方向に含有されることが好ましい。
前記繊維状の熱伝導性材料としては、無機材料が好ましく、金属繊維及び炭素繊維(カーボンファイバー(Carbon Fiber);CF)からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。前記金属繊維としては、アルミニウム繊維、銅繊維、等が挙げられる。
前記繊維状の熱伝導性材料としては、炭素繊維が特に好ましい。
前記炭素繊維の中でも、特に好ましくは、アスペクト比が10〜500で、繊維長が10μm〜500μm(より好ましくは100μm〜300μm)の炭素繊維である。
前記繊維状の熱伝導性材料の軸心の方向の熱伝導率は、前記吸着材の熱伝導率よりも高ければ特に制限はないが、例えば、1.0W(m・K)以上とすることができ、2.0W/(m・K)以上が好ましい。
その他の成分としては、例えば、バインダー、造孔材、等が挙げられる。
前記バインダーとしては、水溶性バインダーの少なくとも1種であることが好ましい。
前記水溶性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、トリメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。中でも、トリメチルセルロースが好ましい。
前記バインダーの含有量は、前記吸着材層22の全量に対し、1〜5体積%であることが好ましく、1〜2体積%であることがより好ましい。
図3に示すように、この熱交換器50は、作動媒体保持部60の外壁面の少なくとも一部で、作動媒体W1の蒸発及び凝縮を行う蒸発凝縮器として機能する。
ここでは、説明の便宜上、作動媒体保持部60の数を3つとしているが、作動媒体保持部60の数には特に限定はなく、熱交換器50に対し入出力する熱量や、作動媒体保持部60において蒸発及び凝縮を行う面の総面積等を考慮し、適宜設定される。
また、ベース部52と作動媒体保持部60とは一体に成形されていてもよい。
なお、第2流路54の形状(経路)については特に制限はなく、ベース部52の内部及び各作動媒体保持部60の内部を含めた全体に第2熱交換流体F2が効率よく流通し得る形状(経路)を適宜選択できる。
そして作動媒体保持部60は、反応室20内の相対する壁面に設けられた吸着材層22と吸着材層22との間に配置される。
また、この実施形態では、作動媒体保持部60と吸着材層22とが接触しないようになっている。これにより、作動媒体保持部60と吸着材層22との間での伝熱がより抑制され、この伝熱による性能低下がより抑制される。
例えば、作動媒体保持部60の外壁面は、少なくとも一部に溝部(例えば、溝や窪み状のグルーブ(groove)構造や、網細現象を持つ例えばメッシュ状等のウィック構造)を有していることが好ましい。作動媒体保持部60の外壁面が上記溝部を有することにより、表面張力によって作動媒体W1が外壁面に容易に保持される。
ベース部52の好適な材料についても、作動媒体保持部60の好適な材料と同様である。
公知の手段としては、吸着器10及び熱交換器50をヒートポンプ筐体(不図示)に収容する手段や、吸着器10の吸着器筐体12と熱交換器50のベース部52とを熱伝導性が低い部材を介して接着する手段、等が挙げられる。
この一例では、吸着材層22における第1吸着材としてゼオライトを用い、作動媒体W1として水を用いている。
図4は、第1実施形態における吸着材再生モードを示す概念図であり、図5は、第1実施形態における冷熱生成モードを示す概念図である。
図4及び図5では、便宜上、吸着器10と熱交換器50とを分離して示している。
図1〜図4に示すように、吸着材再生モードでは、熱源から熱を得た高温(80℃)の第1熱交換流体F1を、吸着器10の第1流路14に供給する。更に、中温(30℃)の第2熱交換流体F2を、熱交換器50の第2流路54に供給する。これにより、反応室20内の吸着材層22が加熱され、吸着材層22に含まれる第1吸着材から作動媒体W1が脱着する。脱着された作動媒体W1は、熱交換器50の作動媒体保持部60で凝縮し、作動媒体保持部60の外壁面に保持される。
以上により、第1吸着材が再生される(即ち、第1吸着材から作動媒体W1が脱着する)。
図4に示すように、吸着器10内の第1流路14では、作動媒体W1の脱着(吸熱過程)により、第1熱交換流体F1の温度が70℃に低下する。この70℃の第1熱交換流体F1が吸着器10外に排出される。
また、図4に示すように、熱交換器50内の第2流路54では、作動媒体W1の凝縮(発熱過程)により、第2熱交換流体F2の温度が40℃に上昇する。この40℃の第2熱交換流体F2が熱交換器50外に排出される。排出された第2熱交換流体F2は、室外機等によって30℃に冷却され、再度熱交換器50に供給される。または、この40℃の第2熱交換流体F2を温熱利用に供してもよい。
冷熱生成モードが実行される前の第1吸着材は、上記吸着材再生モードによって再生されているものとする。
図1〜図3及び図5に示すように、冷熱生成モードでは、中温(30℃)の第1熱交換流体F1を、吸着器10の第1流路14に供給する。更に、低温(20℃)の第2熱交換流体F2を、熱交換器50の第2流路54に供給する。
これにより、反応室20内の吸着材層22が、吸着材再生モード終了時点での70℃から30℃に冷却され、吸着材層22に含まれる第1吸着材に作動媒体W1が吸着する。この吸着により、熱交換器50の作動媒体保持部60の外壁面での作動媒体W1の蒸発が促進される。
図5に示すように、熱交換器50内の第2流路54では、作動媒体W1の蒸発(吸熱過程)により、第2熱交換流体F2の温度が15℃に低下する(即ち、冷熱が生成される)。この15℃の第2熱交換流体F2が熱交換器50外に排出され、冷熱利用(例えば、冷房)に供される。
また、図5に示すように、吸着器10内の第1流路14では、作動媒体W1の吸着(発熱過程)により、第1熱交換流体F1の温度が40℃に上昇する。この40℃の第1熱交換流体F1が吸着器10外に排出される。排出された第1熱交換流体F1は、室外機等によって30℃に冷却され、再度吸着器10に供給される。または、この40℃の第1熱交換流体F1を温熱利用に供してもよい。
吸着材再生モードと冷熱生成モードとの切り替えは、第1流路14への第1熱交換流体F1の供給経路及び第2流路54への第2熱交換流体F2の供給経路をそれぞれ切り替えることにより行う。供給経路の切り替えは、バルブ操作等の公知の手段によって行われる。
また、上記の動作の一例では、「中温」として30℃を挙げたが、「中温」はこの温度に限定されることはなく、作動媒体W1の種類や第1吸着材の種類等に応じて適宜設定される。「中温」は、例えば20℃〜60℃、好ましくは20℃〜40℃である。
また、上記の動作の一例では、「低温」として20℃を挙げたが、「低温」はこの温度に限定されることはなく、作動媒体W1の種類や第1吸着材の種類等に応じて適宜設定される。「低温」は、例えば5℃〜30℃、好ましくは5℃〜20℃、更に好ましくは5℃〜15℃とすることができる。
また、第1吸着材の種類や作動媒体W1の種類等のその他の条件についても適宜設定でき、これらの好ましい範囲は前述のとおりである。
次に、比較用吸着式ヒートポンプについて、図6及び図7を参照しながら説明する。
図6は、比較用吸着式ヒートポンプ300を示す概略斜視図である。
図6は、図2と同様に、第1熱交換流体F1の流通方向に対し直交する平面で切断した切断面を含んだ斜視図となっている。
図7は、図6における切断面の一部を拡大して表した断面図である。
ここで、比較用吸着式ヒートポンプ300の吸着器310の構成は、その反応室内に熱交換器350の作動媒体保持部が挿入されていないことを除き、第1実施形態の吸着器10の構成と同様である。
また、熱交換器350の構造は、その作動媒体保持部が吸着器310の反応室内に挿入されていないこと及び作動媒体保持部の数が6つであることを除き、第1実施形態の熱交換器50の構成と同様である。なお、作動媒体保持部の数は本質的な相違点ではなく、この数は任意に設定される。
また、比較用吸着式ヒートポンプ300において、吸着器310及び熱交換器350は、不図示の筐体内に配置されている。
従って本発明では、第1吸着材として、吸脱着性能が高いゼオライト及びシリカゲルの少なくとも一方(特に、シリカゲル)を、作動媒体W1として沸点が160℃以下の作動媒体(特に、水)を、それぞれ用いた場合に、本発明による圧力損失低減の効果が特に顕著に奏される。
次に、本発明の第2実施形態について、図8を参照しながら説明する。
図8は、本発明の第2実施形態に係る吸着式ヒートポンプ200を概念的に示す斜視図である。
図8は、図1と同様に、吸着式ヒートポンプ200の構成をわかり易くするために、吸着器10と熱交換器250との距離を離して表しているが、実際には、熱交換器250の作動媒体保持部260が、吸着器10の反応室20内(詳細には、吸着材層22と吸着材層22との間)に挿入された構成となっている。
第2実施形態に係る吸着式ヒートポンプ200の熱交換器250の構成は、各作動媒体保持部260の一対の外壁面(詳しくは、作動媒体保持部260の厚み方向に直交する一対の外壁面)に、第2吸着材を含む吸着材層262が設けられていること以外は、第1実施形態における熱交換器50の構成と同様であり、好ましい形態も同様である。
第2実施形態における熱交換器250は、吸着器として機能する。
この第2実施形態は、吸着材の再生時の高温熱源温度の低下、及び、液の飛散防止の点で有利である。
また、吸着材層262の好ましい範囲も、上述の吸着材層22の好ましい範囲と同様である。
その他、吸着式ヒートポンプ200の好ましい形態は、吸着式ヒートポンプ100の好ましい形態と同様である。
その理由は、水に対する吸着等温線において、活性炭は、ゼオライトやシリカゲルと比べて、高相対圧域で吸脱着することに起因する。
本発明の第3実施形態は、上記第2実施形態における第2吸着材を、化学反応によって作動媒体の固定化及び脱離を行う化学蓄熱材に置き換えた形態である。この点以外は、第2実施形態と同様であり、好ましい範囲も同様である。
第3実施形態は、蒸発潜熱に比べて反応熱が大きいことから、COP(Coefficient Of Performance)が向上する点で有利である。
前記化学蓄熱材としては、金属塩化物及び金属酸化物からなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。このうち配位反応の場合には金属塩化物を用いることが好ましい。
前記金属塩化物としては、アルカリ金属の塩化物、アルカリ土類金属の塩化物、遷移金属の塩化物が挙げられ、より具体的には、LiCl、MgCl2、CaCl2、SrCl2、BaCl2、MnCl2、CoCl2、NiCl2が挙げられる。
前記金属酸化物としては、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、遷移金属の酸化物が挙げられ、より具体的には、Li2O、MgO、CaO、SrO、BaO、MnO、CoO、NiOが挙げられる。
12 吸着器筐体
14 第1流路
20 反応室
22、262 吸着材層
50、250、350 熱交換器
52 ベース部
54 第2流路
60 作動媒体保持部
100、200 吸着式ヒートポンプ
300 比較用吸着式ヒートポンプ
F1 第1熱交換流体
L2 第2熱交換流体
W1 作動媒体
Claims (11)
- 作動媒体の吸着及び脱着を行う第1吸着材を壁面の少なくとも一部に有する複数の反応室、及び、前記反応室間に配置され第1熱交換流体が流通する第1流路を含む吸着器と、
前記複数の反応室内に挿入され前記作動媒体の保持及び脱離を行うとともに内部に第2熱交換流体が流通する第2流路を有する作動媒体保持部を含む熱交換器と、
を備え、
前記吸着器の前記第1吸着材と、前記熱交換器の前記作動媒体保持部と、の間で前記作動媒体の授受を行うことにより作動する吸着式ヒートポンプ。 - 前記反応室が、前記第1吸着材を含む吸着材層を相対する壁面に有し、
前記作動媒体保持部が、前記吸着材層間に挿入されている請求項1に記載の吸着式ヒートポンプ。 - 前記複数の反応室が、扁平形状の空間であり、該空間の厚さ方向に配置されている請求項1又は請求項2に記載の吸着式ヒートポンプ。
- 前記作動媒体の沸点が、60℃〜160℃である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の吸着式ヒートポンプ。
- 前記作動媒体が、水及び炭素数1〜4のアルコールからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の吸着式ヒートポンプ。
- 前記作動媒体保持部が、前記作動媒体の保持及び脱離を、前記作動媒体の凝縮及び蒸発によって行う請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の吸着式ヒートポンプ。
- 前記作動媒体保持部が、前記作動媒体の吸着及び脱着を行う第2吸着材を有し、前記作動媒体の保持及び脱離を、前記第2吸着材への前記作動媒体の吸着及び前記第2吸着材からの前記作動媒体の脱着によって行う請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の吸着式ヒートポンプ。
- 前記作動媒体保持部が、化学反応によって前記作動媒体の固定化及び脱離を行う化学蓄熱材を有し、前記作動媒体の保持及び脱離を、前記化学蓄熱材への前記作動媒体の固定化及び前記化学蓄熱材からの前記作動媒体の脱離によって行う請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の吸着式ヒートポンプ。
- 前記第1吸着材が、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲル、及び粘土鉱物からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の吸着式ヒートポンプ。
- 前記第2吸着材が、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲル、及び粘土鉱物からなる群から選択される少なくとも1種である請求項7に記載の吸着式ヒートポンプ。
- 前記化学蓄熱材が、金属塩化物及び金属酸化物からなる群から選択される少なくとも1種である請求項8に記載の吸着式ヒートポンプ。
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