JP6236822B2 - 吸着器 - Google Patents

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Description

本発明は、吸着器に関する。
従来より、作動流体(吸着質)の吸着及び脱着を行う吸着材を含む吸着器が知られている。吸着器は、例えば吸着式ヒートポンプの一部として用いられている。
一般的な吸着器では、脱着時に必要な脱着熱の供給及び吸着時に生じる吸着熱の除去を、吸着器内の吸着材と吸着器内に流通する液体(熱交換流体)との熱伝達(液単相熱伝達)によって行っている。そして、液体の流路を切り換えて吸着器内に低温の液体と高温の液体とを交互に流通させることにより、吸着材に作動流体を吸着させる吸着動作と吸着材から作動流体を脱着させる脱着動作とを交互に行っている(例えば、非特許文献1参照)。
一方、気液分離室の一部に液相出口管に向かう溝付き部を設け、気液分離室で気液二相流を気相と液相とに分離し、液相を上記溝付き部によって液相出口管に導くように構成された気液分離装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−170589号公報
「ユニオン産業の吸着式冷凍機 吸着式冷凍機の原理」、[online]、ユニオン産業株式会社、[平成24年11月22日検索]、インターネット<URL:http://www.union-reitouki.com/chiller/principle.html>
しかしながら、脱着熱の供給及び吸着熱の除去を液単相熱伝達によって行う従来の吸着器については、熱伝達の効率を更に向上させ、これにより吸着及び脱着の効率を更に向上させることが求められる。
更に、上記従来の吸着器では、吸着動作と脱着動作とを切り替える際の液体の顕熱ロスにより、吸着及び脱着の効率が低下する場合がある。
一方、上記特許文献1に記載の気液分離装置では、気液分離室の一部に溝付き部が設けられてはいるものの、かかる溝付き部は液相の流れを方向付けして排出するための手段であり、壁面に液体を保持する(留める)手段ではない。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、流体の吸着及び脱着の効率に優れた吸着器を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下のとおりである。
即ち、本発明の吸着器は、第1流体の吸着及び脱着を行う吸着材を含む吸着室と、蒸発するときに前記吸着材を冷却し凝縮するときに前記吸着材を加熱する第2流体を流通し、壁面で前記第2流体の蒸発及び凝縮を行うとともに、凝縮した前記第2流体を保持する保持構造を前記壁面に有する流路と、を備える。
本発明の吸着器では、以下の脱着動作及び吸着動作が行われる。
脱着動作では、流路の壁面で第2流体が凝縮し、この凝縮時の凝縮熱が壁面を通じて吸着材に伝達して吸着材が加熱され(以下、この凝縮熱による加熱を「潜熱加熱」ともいう)、吸着材から第1流体が脱着する。この脱着動作では、吸着材から第1流体が脱着するために必要な脱着熱が、上記潜熱加熱によって供給される。これにより、吸着材からの第1流体の脱着が促進される。流路の壁面で凝縮した第2流体は、この流路に設けられた保持構造によって液体状態で保持される。
一方、吸着動作では、上記保持構造に保持された液体状態の第2流体が蒸発し、この蒸発時の蒸発熱を供給するために吸着材から第2流体に熱が伝達して吸着材が冷却され(以下、この蒸発熱による冷却を「潜熱冷却」ともいう)、吸着材に第1流体が吸着する。この吸着動作では、吸着材に第1流体が吸着するときに生成する吸着熱が、上記潜熱冷却によって除去される。これにより、吸着材への第1流体の吸着が促進される。
このように、本発明の吸着器では、吸着材の冷却及び加熱を、液体の温度(顕熱)の伝達(液単相熱伝達)と比較して単位面積当たりの熱伝達率が大きい潜熱(蒸発熱及び凝縮熱)の伝達によって行うので、流体(第1流体)の吸着及び脱着の効率に優れる。
また、作動流体の吸着及び脱着を液単相熱伝達によって行う従来の吸着器では、吸着動作及び脱着動作を切り替える際に、液体の顕熱ロスが生じる。例えば、この従来の吸着器において、液体の流路を切り換えて吸着器内に低温の液体と高温の液体とを交互に流通させることによって吸着動作及び脱着動作を交互に行う場合、吸着器内に溜まっている液体の顕熱分のロスが生じる。
これに対し、本発明の吸着器では、吸着動作及び脱着動作を切り替える際の顕熱ロスも低減される。
本発明の吸着器では、流路の壁面に保持構造が設けられていることにより、第2流体の凝縮後、流路の壁面の少なくとも一部から体積力によって第2流体(液体)が脱離する現象が抑制されるので、上述した脱着動作及び吸着動作を交互に繰り返し行うことができる。
ここで、「体積力」としては、第2流体に働く重力や第2流体に働くことがある慣性力(例えば遠心力)が挙げられる。また、「流路の壁面の少なくとも一部から体積力によって第2流体(液体)が脱離する現象」の概念には、重力によって流路の壁面の少なくとも一部から第2流体(液体)が垂れ落ちる現象が含まれる。
更に、上記保持構造が設けられていることにより、第2流体の凝縮後における上記の現象が抑制されるので、第2流体を蒸発させるための有効伝熱面積が広く確保される(第2流体の蒸発の効率に優れる)。
以上により、本発明の吸着器によれば、従来の吸着器と比較して、流体(第1流体)の吸着及び脱着の効率が向上する。
なお、本明細書中において、蒸発熱、凝縮熱、吸着熱、及び脱着熱は、いずれも絶対値を指すものとする。
本発明の吸着器では、前記吸着室と前記流路とが、交互に配置されている態様が好ましい。この態様では、熱伝達の効率がより向上するので、第1流体の吸着及び脱着の効率がより向上する。
本発明の吸着器では、前記保持構造は、毛管現象を利用して前記第2流体を保持する態様が好ましい。
ここでいう「毛管現象」とは、液体状態の第2流体に対し流路の壁面の方向への引きつける力が働く現象を指す。ここでいう「毛管現象」の原理は、一般的な毛管現象(液体中に毛管を立てたときに、毛管内の液面が毛管外の液面よりも上がる現象)の原理と同様である。
この態様では、第2流体をより効果的に保持できる。
本発明の吸着器では、前記保持構造が、凹部又は複数の突起物である態様が好ましい。この態様では、第2流体をより効果的に保持できる。
ここで、凹部又は複数の突起物は、液体状態の第2流体に毛管現象を生じさせる凹部又は複数(好ましくは3つ以上、より好ましくは4つ以上)の突起物であることが好ましい。この場合、凹部、又は、突起物同士の間隙が、毛管現象を生じさせる「毛管」に相当する。
上記凹部の数については、毛管現象を生じさせる観点からは特に制限はなく、単数であっても複数であってもよい。但し、より多くの量の第2流体を保持する観点からは、凹部の数は複数であることが好ましい。
上記凹部の開口部の形状には特に制限はなく、例えば、多角形状、円形状、楕円形状、長尺形状等が挙げられる。
上記突起物の形状には特に制限はないが、少なくとも一部が、角柱形状、円柱形状、楕円柱形状、角錐形状、円錐形状、又は楕円錐状である形状が挙げられる。
なお、本発明における保持構造は、上記凹部や上記複数の突起物以外にも、金属繊維構造体や多孔体など、液体を保持し得るその他の構造も挙げられる。
本発明の吸着器では、前記吸着材が吸着できる最大量の前記第1流体が前記吸着材から脱着するのに必要な単位面積当たりの脱着熱Q1と、前記保持構造が保持できる最大量の前記第2流体が凝縮したときに発生する単位面積当たりの凝縮熱Q2とが、脱着熱Q1≦凝縮熱Q2の関係を満たす態様が好ましい。
この態様では、第2流体の凝縮熱Q2によって第1流体の脱着熱Q1をより効果的に供給できる。
この態様において、上記脱着熱Q1と後述の吸着熱Q3とが、脱着熱Q1≧吸着熱Q3の関係を満たし、かつ、上記凝縮熱Q2と後述の蒸発熱Q4とが、凝縮熱Q2=蒸発熱Q4の関係を満たす場合には、第2流体の蒸発熱Q4によって第1流体の吸着熱Q3をより効果的に除去することもできる。
本発明の吸着器では、前記吸着材が吸着できる最大量の前記第1流体が前記吸着材に吸着したときに発生する単位面積当たりの吸着熱Q3と、前記保持構造が保持できる最大量の前記第2流体が蒸発するのに必要な単位面積当たりの蒸発熱Q4とが、吸着熱Q3≦蒸発熱Q4の関係を満たす態様が好ましい。
この態様では、第2流体の蒸発熱Q4によって第1流体の吸着熱Q3をより効果的に除去できる。
本発明の吸着器では、前記保持構造に保持される前記第2流体に働く毛管力が、該第2流体に働く体積力よりも大きい態様が好ましい。
これにより、体積力によって流路壁面の少なくとも一部から第2流体が脱離する現象がより抑制されるので、流路壁面の保持構造で第2流体をより効果的に保持できる。
ここでいう体積力の具体例については前述のとおりである。
「前記保持構造に保持される前記第2流体に働く毛管力が、該第2流体に働く体積力よりも大きい態様」の具体例として、前記保持構造が凹部であり、下記式(2)で表される関係を満たす例が挙げられる。
Lc・σcosθ > ρaV ・・・式(2)
〔式(2)において、Lcは、前記凹部の周長さ(m)を表し、σは、凝縮した前記第2流体の表面張力係数(N/m)を表し、θは、凝縮した前記第2流体と前記凹部の壁面との接触角(°)を表し、ρは、凝縮した前記第2流体の密度(kg/m)を表し、aは、凝縮した前記第2流体に働く加速度(m/s)を表し、Vは、前記凹部に保持される前記第2流体の体積(m)を表す。〕
上記式(2)において、左辺(Lc・σcosθ)は第2流体に働く毛管力を示し、右辺(ρaV)は第2流体に働く体積力を示している。
σ、θ、ρ、及びaが固定された条件下では、式(2)は、実質的にLcとVとの関係、即ち凹部の周長さと凹部の深さとの関係を示している。
本発明の吸着器では、前記保持構造は、開口部の内接円又は内接楕円の短軸長さが下記式(1)で定義される毛管長κ−1以下の凹部である態様が好ましい。これにより、毛管現象をより効果的に利用することができ、凹部(保持構造)で第2流体をより効果的に保持できる。
κ−1 = (σ/ρg)1/2 ・・・ 式(1)
〔式(1)において、κ−1は、毛管長(m)を表し、σは、凝縮した前記第2流体の表面張力係数(N/m)を表し、ρは、凝縮した前記第2流体の密度(kg/m)を表し、gは重力加速度(m/s)を表す。〕
ここで、開口部の内接円の短軸長さとは、内接円の直径を指す。
また、開口部の内接円又は内接楕円の短軸長さは、開口部が偶数角形状(例えば、矩形状又は六角形状)である場合には、開口部の対辺間距離の最小値に相当する(以下、同様である)。
また、開口部の内接円又は内接楕円の短軸長さは、開口部が長尺形状である場合にはこの長尺形状の幅方向長さに相当する(以下、同様である)。
また、開口部の内接円又は内接楕円の短軸長さは、開口部が円形状である場合にはこの円形状の直径を指し、開口部が楕円形状である場合にはこの楕円形状の短軸長さを指す(以下、同様である)。
また、重力加速度gは9.8(m/s)とする(以下、同様である)。
本発明の吸着器では、前記第2流体としては、水、アンモニア、メタノール、及びエタノールからなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
これにより、保持構造で第2流体をより効果的に保持できる。
本発明の吸着器では、前記第2流体が水であり、凝縮後の前記第2流体の温度が5℃以上90℃以下であり、前記保持構造は、開口部の内接円又は内接楕円の短軸長さが2.48×10−3m以下の凹部である態様が好ましい。
この態様では、開口部の内接円又は内接楕円の短軸長さが毛管長κ−1よりも小さくなるので、毛管現象をより効果的に利用することができ、凹部(保持構造)で第2流体をより効果的に保持できる。
本発明の吸着器では、前記保持構造は、開口部の内接円又は内接楕円における比率〔長軸長さ/短軸長さ〕が1.0以上3.0以下の凹部である態様が好ましい。
この態様では、上記比率〔長軸長さ/短軸長さ〕が3.0を超える場合と比較して、凹部の壁面(底面及び側壁面)と吸着材との間での熱伝達の効率が向上するので、第2流体の蒸発及び凝縮をより効率よく行うことができる。例えば、第2流体を蒸発させる際には、第2流体を取り囲む凹部の壁面(底面及び側壁面)全体を通じてこの第2流体を効率よく加熱することができるので、第2流体をより効率よく蒸発させることができる。
本発明の吸着器では、前記吸着材としては、例えば、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲル、及び粘土鉱物からなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
また、本発明の吸着器では、前記第1流体としては、例えば、水、アンモニア、メタノール、及びエタノールからなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
本発明によれば、流体の吸着及び脱着の効率に優れた吸着器を提供することができる。
第1実施形態に係る吸着器を示す概略斜視図である。 図1のA−A線概略断面図である。 図1のB−B線概略断面図である。 第1実施形態において、第1流体が凹部に保持されている様子を示す概略断面図である。 第2実施形態に係る吸着器の断面を示す概略断面図である。 第3実施形態に係る吸着器の断面を示す概略断面図である。 第4実施形態に係る吸着器の断面を示す概略断面図である。 第5実施形態に係る吸着器の断面を示す概略断面図である。 本実施形態に係る吸着式ヒートポンプの概略断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る吸着器、及び、この吸着器を用いた吸着式ヒートポンプについて、図面を参照しながら説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されることはない。なお、実質的に同一の機能を有する部材には全図面を通して同じ符合を付与し、その説明を省略する場合がある。また、図面では、同一形状の部材や空間が多数並んでいる場合には、一部の部材や空間のみに符号を付す場合がある。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る吸着器10の概略斜視図であり、図2は、この吸着器10を図1のA−A線及び第1流体F1の流通方向に沿って切断したときの概略断面図であり、図3は、吸着器10を図1のB−B線及び第1流体F1の流通方向に沿って切断したときの概略断面図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る吸着器10は、第1流体F1の吸着及び脱着を行う吸着材層22を含む複数の吸着室20と、第2流体F2が流通する複数の流路30と、を有する吸着器筐体12を備えている。
吸着室20と流路30とは隔壁を隔てて互いに分離されており、これにより、流路30の壁面と、吸着室20内の吸着材層22と、の間で熱伝達を行えるようになっている。そしてこの吸着器10では、吸着室20と流路30とが交互に配置されており、これにより、上記熱伝達を効率よく行えるようになっている。
また、この吸着器10では、吸着室20は、一端が扁平矩形状の開口端である四角柱状空間とされている。一方、流路30は、両端が扁平矩形状の開口端である四角柱状空間とされている。そして吸着器10は、吸着室20の開口方向(第1流体F1の流れ方向)と流路30の開口方向(第2流体F2の流れ方向)とが側面視で直交する、直交流型の熱交換器として構成されている。
直交流型の熱交換器の構成としては、例えば、特開2012−172902号公報や特開2012−163264公報に記載の熱交換型反応器の構成を参照することができる。
また、吸着室及び流路の数は、図1及び図2に示す数に限定されないことはもちろんであり、吸着室20内に吸着される第1流体F1の量や、流路30の壁面の保持構造(凹部34)に保持される第2流体F2の量、吸着器10に入出力される熱量等を考慮して適宜設定される。
各吸着室20内の相対する一対の壁面には、それぞれ吸着材層22が設けられている。
この一対の吸着材層22において、吸着材層22の表面と吸着材層22の表面との間には空間(隙間)が設けられている。これにより、吸着材層22の表面の全体(即ち、広い範囲)で、第1流体F1の吸着及び脱着を効率よく行えるようになっている。
この吸着室20には相対する壁面が二対存在し、面積が広い方の一対の壁面(吸着室20の空間の厚み方向に直交する一対の壁面)にのみ吸着材層22が設けられている。
しかし、吸着材層22は、面積が広い方の一対の壁面(吸着室20の空間の厚み方向に直交する一対の壁面)に加え、面積が狭い方の一対の壁面(第2流体F2の流通方向に直交する一対の壁面)にも設けられていてもよいし、更には、吸着室20内の壁面全面(五面)に設けられていてもよい。
吸着材層22は、第1流体F1の吸着及び脱着を行う吸着材(例えば、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲル、粘土鉱物等)を含む。
吸着材層22及び吸着材の好ましい範囲については後述する。
第1流体F1は、吸着器10において、作動流体(吸着質)として機能する。
作動流体F1としては、吸着器において通常用いられる作動流体を用いることができ、例えば、水、アンモニア、炭素数1〜4のアルコール等が挙げられる。第1流体F1は、単一物質を用いてもよいし、2種以上の混合物を用いてもよい。
このうち、吸着材層22に含まれる吸着材への吸脱着特性に優れる観点から、水、アンモニア、メタノール、エタノールが好適である。
また、吸着器10の各流路30は、上記吸着材層22を加熱し且つ冷却する第2流体F2を流通する流路である。
詳細には、この吸着器10では、第2流体F2が流路30の壁面で凝縮するときに、その凝縮熱によって吸着材層22が加熱される。更に、第2流体F2が流路30の壁面で蒸発するときに、その蒸発熱によって吸着材層22が冷却される。
第2流体F2は、従来の吸着器における熱交換流体に対応する流体である。
但し、この第2流体F2は、潜熱(凝縮熱及び蒸発熱)によって吸着材を加熱及び冷却する点で、顕熱(液体の温度)によって吸着材を加熱及び冷却する従来の熱交換流体(液体)と異なる。
第2流体F2としては特に制限はないが、凝縮時に後述の凹部34で保持しやすい点で、水、アンモニア、炭素数1〜4のアルコール等が好ましく、水、アンモニア、メタノール、エタノールがより好ましい。
第2流体F2は、単一物質を用いてもよいし、2種以上の混合物を用いてもよい。
各流路30の相対する一対の壁面には、図2及び図3に示すように、開口部が矩形状である凹部34(保持構造)が複数設けられている。詳細には、各凹部34は、一端に矩形状の開口部を有する四角柱状空間となっている。
本実施形態では、これらの凹部34(保持構造)によって、凝縮した第2流体F2(液体)が保持される。
本実施形態では、この凹部34を備えたことにより、流路30の壁面で第2流体F2の蒸発及び凝縮を繰り返し行うことができ、ひいては吸着室20内で第1流体F1の吸着及び脱着を繰り返し行うことができる。
図4は、凝縮した第2流体F2(液体)が凹部34に保持されている様子を示す概略断面図であり、図2の一部の拡大に相当する図である。
図4に示すように、本実施形態では、流路30内で凝縮した第2流体F2は、毛管現象により、凹部34内に液体状態で保持される。
また、図3に示すように、この吸着器10では、複数の凹部34は、流路の壁面(伝熱面)にマトリックス状に配列されている。この配列により、流路の壁面における複数の凹部34の配列密度が高くなっており、流路の壁面の単位面積当たりに保持できる液体状態の第2流体F2の量(以下、「単位面積当たりの液保持量」ともいう)が高くなっている。
なお、凹部34の数は、図3に示す数に限定されないことはもちろんであり、流路30内に保持される第2流体F2の体積や、吸着器10に入出力される熱量等を考慮して適宜設定される。
また、凹部34の壁面(側壁面及び底面)には、公知の方法により表面処理(例えば親水化処理)が施されていてもよい。
また、吸着器筐体12(流路30の壁面を含む)の材質としては、金属(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、等)等の、熱伝導性が高く、かつ、第1流体F1及び第2流体F2に対して耐食性を有する材質が好適である。
次に、吸着器10の脱着動作及び吸着動作について説明する。
脱着動作では、外部の熱源から流路30の一端を通じて気体状態の第2流体F2が供給され、供給された第2流体F2が流路30の壁面(凹部34の壁面を含む。以下同じ。)で凝縮する。この時の凝縮熱が流路30の壁面を通じて吸着材層22に伝達され、伝達された熱により吸着材層22が加熱される(潜熱加熱)。
この潜熱加熱により、吸着材層22に第1流体F1を脱着させるために必要な脱着熱が供給され、吸着材層22からの第1流体F1の脱着が促進される。脱着した第1流体F1は吸着室20端の開口部から排出される。一方、流路30の壁面で凝縮した第2流体F2は、凹部34内に保持される。
一方、吸着動作では、上記脱着動作において凹部34内に保持された第2流体(液体)が蒸発し、流路30の他端から排出される。この蒸発に必要な蒸発熱を供給するために、吸着材層22から凹部34内の第2流体F2(液体)に熱が伝達することにより、吸着材層22が冷却される(潜熱冷却)。
この潜熱冷却により、吸着材層22に、吸着室20端の開口部から供給された第1流体F1が吸着する。この時の吸着熱が上記潜熱冷却によって除去されるので、第1流体F1の吸着が促進される。
以上のように、吸着器10では、第1流体F1の吸着及び脱着を、液体の温度(顕熱)の伝達(液単相熱伝達)と比較して、単位面積当たりの熱伝達率が大きい潜熱(蒸発熱及び凝縮熱)の伝達によって行う。
従って、吸着及び脱着を液単相熱伝達によって行う従来の吸着器と比較して、流体(第1流体)の吸着及び脱着の効率に優れる。
また、吸着及び脱着を液単相熱伝達によって行う従来の吸着器では、吸着動作及び脱着動作を切り替える際に、液体の顕熱ロスが生じる。例えば、この従来の吸着器において、液体の流路を切り換えて吸着器内に低温の液体と高温の液体とを交互に流通させることによって吸着動作及び脱着動作を交互に行う場合、吸着器内に溜まっている液体の顕熱分のロスが生じる。
これに対し、吸着器10では、吸着動作及び脱着動作を切り替える際の顕熱ロスも低減される。更に、吸着器内に溜まっている液体を入れ替える際のロスが低減されるので、熱交換流体として機能する流体(本実施形態では第2流体F2)の量を低減することができる。
また、吸着器10では、流路30の壁面に凹部34が設けられているため、上記脱着動作及び吸着動作を交互に繰り返し行うことができる。
即ち、脱着動作において、凝縮した第2流体F2を凹部34内に保持できるために、その後の吸着動作(第2流体F2の蒸発を伴う動作)を行うことができる。更に、吸着動作により凹部34内の第2流体F2が蒸発し、凹部34内が空になるために、その後の脱着動作(第2流体F2の凝縮及び保持を伴う動作)を行うことができる。
より詳細には、凹部34が設けられていることにより、第2流体F2の凝縮後、流路30の壁面の少なくとも一部から体積力によって第2流体F2(液体)が脱離する現象(例えば、重力によって流路30の壁面の少なくとも一部から第2流体F2(液体)が垂れ落ちる現象)が抑制されるので、上述した脱着動作及び吸着動作を交互に繰り返し行うことができる。
更に、第2流体F2の凝縮後における上記の現象が抑制されるので、凝縮した第2流体F2が流路30の壁面の広い範囲に渡って保持される。このため、第2流体F2を蒸発させるための有効伝熱面積が広く確保され、第2流体F2の蒸発を効率よく行うことができる。
また、吸着器10によれば、流路30の壁面(伝熱面)に凹部34を設けたことにより、第2流体F2を凝縮させた際、流路30の壁面の方向(例えば重力方向に対する方向)に依らず、即ち、吸着器の姿勢に依らず、液体状態の第2流体F2を伝熱面で保持できる。このため、吸着器の姿勢に依らず第2流体F2の蒸発及び凝縮を行うことができ、これにより第1流体F1の吸着及び脱着を行うことができる。
吸着器10の姿勢の一例としては、第2流体F2の流通方向を重力方向と直交させた例が挙げられる。
本実施形態における吸着器10の作動温度は、凝縮後の第2流体F2の温度である。
吸着器10の作動温度(即ち、凝縮後の第2流体F2の温度)には特に制限はないが、5℃以上90℃以下が好ましく、5℃以上80℃以下がより好ましく、5℃以上70℃以下が更に好ましく、5℃以上50℃以下が特に好ましい。
吸着器10では、全ての吸着材層22が吸着できる最大量の第1流体F1が全ての吸着材層22から脱着するのに必要な単位面積当たりの脱着熱Q1と、全ての凹部34が保持できる最大量の第2流体F2が凝縮したときに発生する単位面積当たりの凝縮熱Q2とが、脱着熱Q1≦凝縮熱Q2の関係を満たす態様が好ましい。
これにより、第2流体F2の凝縮熱Q2によって第1流体F1の脱着熱Q1をより効果的に供給できる。
この態様において、上記脱着熱Q1と後述の吸着熱Q3とが、脱着熱Q1≧吸着熱Q3の関係を満たし、かつ、上記凝縮熱Q2と後述の蒸発熱Q4とが、凝縮熱Q2=蒸発熱Q4の関係を満たす場合には、第2流体F2の蒸発熱Q4によって第1流体F1の吸着熱Q3をより効果的に除去することもできる。
また、吸着器10では、全ての吸着材層22が吸着できる最大量の第1流体F1が全ての吸着材層22に吸着したときに発生する単位面積当たりの吸着熱Q3と、全ての凹部34が保持できる最大量の第2流体F2が蒸発するのに必要な単位面積当たりの蒸発熱Q4とが、吸着熱Q3≦蒸発熱Q4の関係を満たす態様が好ましい。
これにより、第2流体F2の蒸発熱Q4によって第1流体F1の吸着熱Q3をより効果的に除去できる。
また、凹部34の開口部の幅方向長さW(より好ましくは、幅方向長さW及び長手方向長さLの両方。以下同じ。)は、下記式(1)で定義される毛管長κ−1以下であることが好ましい。これにより、凹部34で第2流体F2をより効果的に保持できる。
なお、凹部34の開口部の幅方向長さWは、凹部34の開口部の内接楕円の短軸長さに相当する。
κ−1 = (σ/ρg)1/2 ・・・ 式(1)
〔式(1)において、κ−1は、毛管長(m)を表し、σは、凝縮した第2流体の表面張力係数(N/m)を表し、ρは、凝縮した第2流体の密度(kg/m)を表し、gは重力加速度(m/s)を表す。〕
例えば、第2流体F2が、水、アンモニア、メタノール、又はエタノールである場合、ρ、σ及びκ−1は、それぞれ下記表1〜表4に示すとおりである。
下記表1〜表4において、「温度」は、凝縮後の(即ち液体状態の)第2流体の温度を示している。
上記表1〜表4より、吸着器10の作動温度(即ち、凝縮後の第2流体F2の温度)が5℃以上90℃以下(好ましくは5℃以上80℃以下、より好ましくは5℃以上70℃以下、特に好ましくは5℃以上50℃以下)である場合であって、第2流体F2が水、アンモニア、メタノール、又はエタノールであるときには、凹部34の開口部の幅方向長さWを毛管長κ−1以下とすることが容易であることがわかる。例えば、加工性に優れた幅方向長さWの範囲内(例えば、幅方向長さWが0.01×10−3m以上の範囲内)に、この幅方向長さWを毛管長κ−1以下にできる範囲が存在することがわかる。
凹部34の開口部の幅方向長さWの上限値の好ましい範囲は、表1〜表4に示すように、第2流体F2の種類によって異なる。
例えば、凝縮後の第2流体F2の温度(吸着器10の作動温度)が5℃以上90℃以下である場合であって、第2流体F2が水であるときは、幅方向長さWは、2.48×10−3m以下(より好ましくは0.01×10−3m以上2.48×10−3m以下)であることが好ましい(表1参照)。また、凝縮後の第2流体F2の温度(吸着器10の作動温度)が5℃以上80℃以下である場合であって、第2流体F2が水であるときは、幅方向長さWは、2.55×10−3m以下(より好ましくは0.01×10−3m以上2.55×10−3m以下)であることが好ましい(表1参照)。
また、凝縮後の第2流体F2の温度が5℃以上90℃以下である場合であって、第2流体F2がアンモニアであるときは、幅方向長さWは、0.96×10−3m以下(より好ましくは0.01×10−3m以上0.96×10−3m以下)であることが好ましい(表2参照)。また、凝縮後の第2流体F2の温度が5℃以上80℃以下である場合であって、第2流体F2がアンモニアであるときは、幅方向長さWは、1.26×10−3m以下(より好ましくは0.01×10−3m以上1.26×10−3m以下)であることが好ましい(表2参照)。
また、凝縮後の第2流体F2の温度が5℃以上90℃以下である場合であって、第2流体F2がメタノールであるときは、幅方向長さWは、1.47×10−3m以下(より好ましくは0.01×10−3m以上1.47×10−3m以下)であることが好ましい(表3参照)。また、凝縮後の第2流体F2の温度が5℃以上80℃以下である場合であって、第2流体F2がメタノールであるときは、幅方向長さWは、1.53×10−3m以下(より好ましくは0.01×10−3m以上1.53×10−3m以下)であることが好ましい(表3参照)。
また、凝縮後の第2流体F2の温度が5℃以上90℃以下である場合であって、第2流体F2がエタノールであるときは、幅方向長さWは、1.46×10−3m以下(より好ましくは0.01×10−3m以上1.46×10−3m以下)であることが好ましい(表4参照)。また、凝縮後の第2流体F2の温度が5℃以上80℃以下である場合であって、第2流体F2がエタノールであるときは、幅方向長さWは、1.53×10−3m以下(より好ましくは0.01×10−3m以上1.53×10−3m以下)であることが好ましい(表4参照)。
また、吸着器10では、凹部34に保持された第2流体F2に働く毛管力は、この第2流体F2に働く体積力よりも大きいことが好ましい。これにより、体積力によって流路30の壁面の少なくとも一部から第2流体F2が脱離する現象がより抑制されるので、凹部34で第2流体F2をより効果的に保持できる。
なお、ここでいう体積力としては、重力以外にも、慣性力(例えば遠心力)等の、流路30の壁面の少なくとも一部から第2流体F2を脱離させる方向の力も挙げられる。
より具体的には、吸着器10では、下記式(2)で表される関係が満たされることが好ましい。
Lc・σcosθ > ρaV ・・・式(2)
〔式(2)において、Lcは、凹部の周長さ(m)を表し、σは、凝縮した第2流体の表面張力係数(N/m)を表し、θは、凝縮した第2流体と凹部の壁面との接触角(°)を表し、ρは、凝縮した第2流体の密度(kg/m)を表し、aは、凝縮した第2流体に働く加速度(m/s)を表し、Vは、前記凹部に保持される第2流体の体積(m)を表す。〕
上記式(2)において、左辺(Lc・σcosθ)は、凹部に保持された第2流体に働く毛管力を示し、右辺(ρaV)は、凹部に保持された第2流体に働く体積力を示している。
ここでいう体積力が重力である場合、aで表される加速度は、重力加速度gである。
上記式(2)において、第2流体の種類が特定されれば、σ及びρが特定される。
また、第2流体と、凹部の側壁の材質及び凹部の側壁の表面性状と、が特定されれば、θが特定される。
また、吸着器に慣性力が加わらない条件下では、aは重力加速度gと定まる。
以上の点を考慮すると、σ、θ、ρ、及びaが特定された条件下では、式(2)は、実質的にはLcとVとの関係、即ち凹部34の周長さ(2×幅方向長さW+2×長手方向長さL)と凹部34の深さDとの関係を示している。
この吸着器10では、凹部34の開口部の形状が矩形状であるが、凹部の開口部の形状は矩形状以外の形状であってもよい。
矩形状以外の形状としては、矩形状以外の四角形状(矩形状以外の平行四辺形状、台形状など)を含む多角形状、円形状、楕円形状、長尺形状等が挙げられる。
開口部の形状としては、流路壁面に凹部を配列させる際の配列密度(即ち、流路壁面の単位面積当たりの液保持量)や加工性等の観点から、平行四辺形状(例えば図3参照)、台形状、又は六角形状(例えば図5参照)が好ましい。
また、凹部の開口部の内接円及び内接楕円における比率〔長軸長さ(ここでは長手方向長さL)/短軸長さ(ここでは幅方向長さW)〕は、1.0以上3.0以下であることが好ましい。これにより、第2流体F2を取り囲む凹部34の壁面全体(底面及び4つの側壁面)を通じてこの第2流体F2を効率よく加熱し、蒸発させることができる。
次に、本実施形態における吸着材層22の好ましい態様について説明する。
本実施形態における吸着材層22は、第1流体F1の吸着及び脱着を行う吸着材を少なくとも1種含有する。
前記吸着材の具体例としては、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲル、粘土鉱物等が挙げられる。
このうち、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲルが好ましく、活性炭、ゼオライト、シリカゲルが更に好ましく、ゼオライト、シリカゲルが特に好ましい。
第1流体F1として水を用いる場合には、吸着材としては、ゼオライト、シリカゲルが特に好ましく、ゼオライトが最も好ましい。
前記活性炭としては、BET法による比表面積が800m/g以上4000m/g以下(より好ましくは、1000m/g以上2000m/g以下)である活性炭が好ましい。
前記メソポーラスシリカとしては、BET法による比表面積が500m/g以上1500m/g以下(より好ましくは、700m/g以上1300m/g以下)であるメソポーラスシリカが好ましい。
前記ゼオライトとしては、BET法による比表面積が50m/g以上1000m/g以下(より好ましくは、100m/g以上1000m/g以下)であるゼオライトが好ましい。
前記シリカゲルとしては、BET法による比表面積が100m/g以上1500m/g以下(より好ましくは、300m/g以上1000m/g以下)であるシリカゲルが好ましい。
前記粘土鉱物としては、非架橋の粘土鉱物であっても、架橋された粘土鉱物(架橋粘土鉱物)であってもよい。前記粘土鉱物としては、セピオライト、スメクタイト系粘土(サポナイト、モンホリロナイト、ヘクトライト、等)、4−珪素雲母、雲母、バーミキュライト等が挙げられる。中でも、セピオライトが好ましい。
吸着材層22中における吸着材の充填密度は、0.10g/mL〜0.80g/mLが好ましい。充填密度が0.10g/mL以上であると、吸脱着反応に関与する第1流体F1の量をより多くすることができる。充填密度が0.80g/mL以下であると吸着材層22中における第1流体F1の移動抵抗をより低減できる。
吸着材層22中における吸着材の含有量は、吸脱着反応の反応性向上の観点より、吸着材層22の全量に対し、50体積%以上であることが好ましく、60体積%以上であることがより好ましく、70体積%以上であることが特に好ましい。
吸着材層22は、繊維状の熱伝導性材料を少なくとも1種含有していてもよい。
繊維状の熱伝導性材料は、その軸心の方向が伝熱面(吸着室20の壁面)に対して交差する方向となるように含有されることが好ましい。
前記繊維状の熱伝導性材料としては、無機材料が好ましく、金属繊維及び炭素繊維(カーボンファイバー(Carbon Fiber);CF)からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。前記金属繊維としては、アルミニウム繊維、銅繊維、等が挙げられる。
前記繊維状の熱伝導性材料としては、炭素繊維が特に好ましい。
前記炭素繊維の中でも、特に好ましくは、アスペクト比が10〜500で、繊維長が10μm〜500μm(より好ましくは100μm〜300μm)の炭素繊維である。
前記繊維状の熱伝導性材料の軸心の方向の熱伝導率は、前記吸着材の熱伝導率よりも高ければ特に制限はないが、例えば、1.0W(m・K)以上とすることができ、2.0W/(m・K)以上が好ましい。
吸着材層22中における前記熱伝導性材料の量は、前記吸着材層22の全量に対し、1体積%〜30体積%が好ましく、1体積%〜20体積%がより好ましく、5体積%〜20体積%が特に好ましい。
吸着材層22は、上記以外のその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば、バインダー、造孔材、等が挙げられる。
前記バインダーとしては、水溶性バインダーの少なくとも1種であることが好ましい。
前記水溶性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、トリメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。中でも、トリメチルセルロースが好ましい。
前記バインダーの含有量は、前記吸着材層22の全量に対し、1〜5体積%であることが好ましく、1〜2体積%であることがより好ましい。
本実施形態において、吸着室20の壁面に吸着材層22を形成する方法には特に制限はないが、例えば、少なくとも吸着材を含む塗布液を用いて塗布形成する方法や、少なくとも吸着材を含む吸着材成形体を作製し、この吸着材成形体を吸着材層22として壁面に接着する方法等が挙げられる。
以上で説明した第1実施形態に係る吸着器10は、上述した構成以外のその他の構成を備えていてもよい。
例えば、流路30の両端側には、第2流体F2用の配管等との接続部が設けられていてもよい。また、吸着室20の開口部側には、他の熱交換器や第1流体F1用の蒸気管等との接続部(例えば、後述の接続部16)が設けられていてもよい。また、これらの接続部は、吸着器筐体12と一体となっていてもよい。
(第1実施形態の具体例)
以下、第1実施形態に係る吸着器10の具体例(試算例)について説明する。
この具体例では、複数の凹部34が全て同じサイズであり、かつ、複数の凹部34が縦方向及び横方向とも同じ間隔(以下、この間隔をWc(m)とする)で、マトリクス状に配列されているものとする。また、凹部34の開口部の幅方向長さをW(m)、凹部34の開口部の長手方向長さをL(m)、凹部34の深さをD(m)とする。
この場合、凹部34ひとつの容積はW×L×D(m)であり、流路30壁面の単位面積当たりの容積は(W×L×D)/((W+Wc)×(L+Wc))(m/m)となる。
また、この具体例では、第1流体F1を水とし、第2流体F2を水とし、吸着材層22に含まれる吸着材をゼオライトとする。
また、この具体例では、全ての吸着材層22が吸着できる最大量の第1流体F1が全ての吸着材層22から脱着するのに必要な単位面積当たりの脱着熱Q1A(J/m)と、全ての凹部34が保持できる最大量の第2流体F2が凝縮したときに発生する単位面積当たりの凝縮熱Q2A(J/m)とが、脱着熱Q1A≦凝縮熱Q2Aの関係を満たすものとする。
ここで、水の凝縮熱(=蒸発熱)をLh(J/kg)、水の密度をρ(kg/m)、流路30壁面の単位面積当たりの最大液保持量をV(m/m)とすると、脱着熱Q1A≦凝縮熱Q2Aの関係より、以下の式(a)の関係が導かれる。
1A(J/m) ≦ Q2A(J/m) = Lh×ρ×V = Lh×ρ×(W×L×D)/((W+Wc)×(L+Wc)) … 式(a)
また、この具体例では、第2流体F2(水)の凝縮後の温度を26.85℃とする。
この条件では、表1より、密度ρは997(kg/m)であり、表面張力係数σは72×10−3(N/m)であり、毛管長κ−1は2.71×10−3(m)である。
よって、重力より毛管力が十分大きくなるように(即ち、幅方向長さW及び長手方向長さLが毛管長κ−1以下となるように)、この具体例では、W=1.00×10−3(m)、L=2.00×10−3(m)、Wc=1.00×10−3(m)と設定する。
また、Q1A=0.05×10(J/m)とし、Lh=2.45×10(J/kg)とすると、凹部34の深さDの好ましい範囲として、上記式(a)を変形することにより、以下の範囲が導かれる。
D(m) ≧ Q1A((W+Wc)×(L+Wc))/(Lh×ρ×W×L) =0.05×10×((1.00×10−3+1.00×10−3)×(2.00×10−3+1.00×10−3))/(2.45×10×997×1.00×10−3×2.00×10−3) = 0.061×10−3(m)
以上のDの好ましい範囲より、本具体例では、D=0.10×10−3(m)と設定する。
以上の前提条件の下、以下、ひとつの凹部34に保持された第2流体F2(水)に働く、毛管力及び重力について計算する。
前述の式(2)における接触角θを60°とすると、毛管力(前述の式(2)の左辺;Lc・σcosθ)は、以下のように計算される。
Lc・σcosθ = (2×W+2×L)・σcosθ = (2×1.00×10−3+2×2.00×10−3)×72×10−3×cos60° = 2.16×10−4(N)
一方、重力(前述の式(2)の右辺;ρaV(ここではρgV))は、以下のように計算される。なお、前述のとおり、重力加速度gは9.8(m/s)とする。
ρgV = ρg(W×L×D) = 997×9.8×(1.00×10−3×2.00×10−3×0.10×10−3) = 0.02×10−4(N)
以上により、この具体例(試算例)では、保持構造としての凹部に保持された第2流体に働く毛管力が、この第2流体に働く重力よりも十分に大きいことがわかる。従って、凹部で第2流体(水)を効果的に保持できるので、第1流体(水)の吸着及び脱着を効率よく行うことができる。
次に、本発明における保持構造のバリエーションの実施形態として、第2実施形態〜第5実施形態について説明する。
〔第2実施形態〕
図5は、第2実施形態に係る吸着器の断面を示す概略断面図であり、吸着器10のB−B線断面図(図3)に対応する図である。
図5に示すように、第2実施形態に係る吸着器の構成は、保持構造としての凹部を、開口部が矩形状である凹部34から、開口部が正六角形状である凹部44に変更したこと以外は第1実施形態に係る吸着器10の構成と基本的に同様であり、好ましい態様や変形例も同様である。詳細には、各凹部44は、一端に正六角形状の開口部を有する正六角柱状空間となっている。
凹部44によっても凹部34と同様にして第2流体F2を保持することができる。このため、第2実施形態に係る吸着器によれば、第1実施形態に係る吸着器10と同様の効果が奏される。
特に、この第2実施形態の凹部44は、開口部が正六角形状であるため、第2流体F2を取り囲む凹部44の壁面全体(底面及び6つの側壁面)を通じてこの第2流体F2を効率よく加熱し、蒸発させることができる。
また、この第2実施形態では、複数の凹部44の配列は、ハニカム状の配列となっている。これにより、第1実施形態(マトリックス状の配列)と同様に、流路の壁面における複数の凹部44の配列密度が高く、即ち、伝熱面の単位面積当たりの液保持量が高くなっている。
第2実施形態において、凹部44の開口部の対辺距離Lb(即ち、凹部44の開口部の内接円の直径)の好ましい範囲は、第1実施形態における凹部34の開口部の幅方向長さWの好ましい範囲と同様である。
〔第3実施形態〕
図6は、第3実施形態に係る吸着器の断面を示す概略断面図であり、吸着器10のB−B線断面図(図3)に対応する図である。
図6に示すように、第3実施形態に係る吸着器の構成は、保持構造としての凹部を、開口部が矩形状である凹部34から、開口部が長尺形状である凹部54に変更したこと以外は第1実施形態に係る吸着器10の構成と基本的に同様であり、好ましい態様や変形例も同様である。
ここで、開口部が長尺形状である凹部とは、溝(groove)状の凹部を指す。
凹部54(溝状の凹部)によっても凹部34と同様にして第2流体F2を保持することができる。このため、第2実施形態に係る吸着器によれば、第1実施形態に係る吸着器10と同様の効果が奏される。
特に、凹部54の開口部(長尺形状)の長手方向を、重力方向に対して交差(好ましくは直交)させた場合には、伝熱面の少なくとも一部から第2流体F2が垂れ落ちる現象をより抑制できる。
第3実施形態において、凹部54の開口部の幅方向長さLcの好ましい範囲は、第1実施形態における凹部34の開口部の幅方向長さWの好ましい範囲と同様である。
〔第4実施形態〕
図7は、第4実施形態に係る吸着器の断面を示す概略断面図であり、吸着器10のB−B線断面図(図3)に対応する図である。
図7に示すように、第3実施形態に係る吸着器の構成は、保持構造としての凹部34を、保持構造としての複数の突起物(ピン64)に変更したこと以外は第1実施形態に係る吸着器10の構成と基本的に同様であり、好ましい態様や変形例も同様である。
複数のピン64によっても凹部34と同様にして第2流体F2を保持することができる。このため、第4実施形態に係る吸着器によれば、第1実施形態に係る吸着器10と同様の効果が奏される。第4実施形態では、液体状態の第2流体F2が、ピン64同士の間隙に、毛管現象によって保持される。
複数のピン64が設けられた流路の壁面の構成については、公知のピンフィンの構成を適宜参照することができる。
第4実施形態では、毛管現象をより効果的に生じさせる観点から、ピン64とピン64との最近接距離が、前記式(1)で定義される毛管長κ−1以下であることが好ましい。
ピン64とピン64との最近接距離の好ましい範囲は、第1実施形態における凹部34の開口部の幅方向長さWの好ましい範囲と同様である。
また、ピン64の材質の好ましい範囲は、第1実施形態における吸着器筐体12の材質の好ましい範囲と同様である。
また、第4実施形態において、ピン64の形状としては、各種の柱形状(例えば、円柱形状、楕円柱形状、角柱形状等)が挙げられる。
また、ピン64は、柱形状以外の部分を有していてもよく、例えば、頭部と柱形状の胴部とからなる釘形状等であってもよい。
また、保持構造としての突起物の形状は、柱形状以外にも、錐形状(例えば、角錐形状、円錐形状、楕円錐形状等)や、後述する第5実施形態における十字型突起物のようなその他の形状の突起物が挙げられる。
また、第4実施形態でも、第1実施形態と同様に、ピン64とピン64との間隙に保持された第2流体に働く毛管力が、この第2流体に働く体積力(例えば重力)よりも大きいことが好ましい。
この第4実施形態のように、保持構造として複数の突起物を備えた態様の吸着器でも、毛管力と体積力との関係について、近似的に、第1実施形態で説明した式(2)を適用することができる。
より具体的には、保持構造として複数の突起物を備えた態様の吸着器では、下記式(3)で表される関係が満たされることが好ましい。
Lc・σcosθ > ρaV ・・・式(3)
〔式(3)において、Lcは、4つの突起物から構成される最小面積の格子(図7中の最小面積の格子66)の周長さ(m)を表し、σは、凝縮した第2流体の表面張力係数(N/m)を表し、θは、凝縮した第2流体と突起物の表面との接触角(°)を表し、ρは、凝縮した第2流体の密度(kg/m)を表し、aは、凝縮した第2流体に働く加速度(m/s)を表し、Vは、前記最小面積の格子に保持された第2流体の体積(m)を表す。〕
〔第5実施形態〕
図8は、第5実施形態に係る吸着器の断面を示す概略断面図であり、吸着器10のB−B線断面図(図3)に対応する図である。
図8に示すように、第3実施形態に係る吸着器の構成は、保持構造としての凹部34を、保持構造としての複数の十字型突起物74に変更したこと以外は第1実施形態に係る吸着器10の構成と基本的に同様であり、好ましい態様や変形例も同様である。
ここで、複数の十字型突起物74全体の形状は、第1の実施形態に係る吸着器10において、複数の凹部34を確定する隔壁の一部(詳細には、凹部34の四辺に相当する位置)に切れ込みが設けられた形状に相当する。
この第5実施形態でも、第1実施形態と同様の効果が奏され、しかも、切れ込みを設けた分、吸着器の軽量化が図られる。
以上、本発明の吸着器の第1〜第5の実施形態について説明したが、本発明の吸着器はこれらの実施形態に限定されないことはもちろんである。
例えば第1〜第5の実施形態以外にも、第2流体の流路の壁面に、保持構造として金属繊維構造体(例えばナスロン(登録商標)など)や多孔体などを貼り付けた形態も挙げられる。
また、本発明の吸着器は、必要に応じその他の熱交換器と組み合わせ、通常の用途に用いることができる。本発明の吸着器とその他の熱交換器とを組み合わせた好適な例として、本発明の吸着器と、蒸発凝縮器と、を組み合わせた吸着式ヒートポンプが挙げられる。
以下、吸着式ヒートポンプについて説明する。
〔吸着式ヒートポンプ〕
本実施形態の吸着器を備えた吸着式ヒートポンプの一例は、本発明の吸着器と、前記第1流体の蒸発及び凝縮を行う蒸発凝縮器と、を備え、前記吸着器と前記蒸発凝縮器との間で前記第1流体の授受を行うことにより作動する。
蒸発凝縮器としては公知の蒸発凝縮器を用いることができるが、例えば、特開2009−228951号公報に記載の蒸発凝縮器や、特開2012−163264公報に記載の反応器の構成などを適宜参照することができる。
図9は、本実施形態の吸着器を備えた吸着式ヒートポンプの一例に係る吸着式ヒートポンプ100の概略断面図である。
図9に示すように、吸着式ヒートポンプ100は、上記第1実施形態に係る吸着器10、第1流体F1の蒸発及び凝縮を行う蒸発凝縮室120を含む蒸発凝縮器110、並びに、吸着器10と蒸発凝縮器110とを接続する接続部16及び接続部116を備えて構成されている。
この実施形態では、蒸発凝縮器110も、吸着器10と同様の直交流型の熱交換器となっており、熱交換流体(不図示)が流通する流路130及び第1流体F1の蒸発及び凝縮を行う蒸発凝縮室120を備えている。流路130及び蒸発凝縮室120は、交互に配置されている。
蒸発凝縮器110の蒸発凝縮室120の構成は、吸着器10の吸着室20において、吸着材層22が設けられていないこと以外は吸着器10の吸着室20の構成と基本的に同様である。
また、蒸発凝縮器110の流路130の構成は、凹部34が設けられていないこと以外は吸着器10の流路30の構成と基本的に同様である。
吸着式ヒートポンプ100では、吸着器10の吸着室20の開口部と、蒸発凝縮器110の蒸発凝縮室120の開口部と、が対向しており、かつ、吸着器10と蒸発凝縮器110とが接続部16及び116により接続されている。これにより、吸着器10の吸着室20と蒸発凝縮器110の蒸発凝縮室120とが気密状態で連通されている。かかる構成により、吸着器10の吸着室20と蒸発凝縮器110の蒸発凝縮室120との間で、第1流体F1を流通できるようになっている。
蒸発凝縮器110の流路130を流通する熱交換流体(不図示)は、流路130と蒸発凝縮室120との間で熱交換を行うための流体である。この熱交換により、蒸発凝縮室120内で第1流体F1の蒸発及び凝縮が行われる。
熱交換流体としては、エタノール等のアルコール、水、油類、これらの混合物等、熱交換流体として通常用いられる流体(好ましくは液体)を用いることができる。熱交換流体としては、単一物質を用いてもよいし、2種以上の混合物を用いてもよい。
また、吸着器10と蒸発凝縮器110とを接続する接続部16及び接続部116としては、それぞれ、フランジ部材等の吸着器10と蒸発凝縮器110とを気密状態で接続し得る部材を用いることができる。また、吸着器10及び接続部16、蒸発凝縮器110及び接続部116、並びに、接続部16及び接続部116のうちの少なくとも一つは、一体に成形されていてもよい。
次に、吸着式ヒートポンプ100の動作(脱着モード及び吸着モード)の一例について説明する。
脱着モードでは、吸着器10の脱着動作として既に説明したとおり、吸着器10の外部の熱源から流路30に気体状態の第2流体F2が供給され、供給された第2流体F2が流路30の壁面で凝縮することによって吸着材層22が加熱され(潜熱加熱)、吸着材層22から第1流体F1が脱着する。脱着した第1流体F1は蒸発凝縮室120に輸送され、蒸発凝縮室120内で凝縮し、凝縮熱により流路130内の熱交換流体が加熱される。凝縮した第2流体F2は流路30の壁面の凹部34に液体状態で保持される。
一方、吸着モードでは、吸着器10の吸着動作として既に説明したとおり、凹部34内に保持された第2流体(液体)が蒸発することにより吸着材層22が冷却され(潜熱冷却)、吸着材層22に、吸着室20端の開口部から供給された第1流体F1が吸着する。この吸着により、蒸発凝縮室120内で第1流体F1の蒸発が促進される。第1流体F1の蒸発により、流路130内の熱交換流体が冷却される。
吸着式ヒートポンプ100では、上述の吸着モード及び脱着モードにより、吸着器10−蒸発凝縮器110間で第1流体F1の授受が行われ、これにより、両者の間で熱の授受が行われる。
その他、吸着式ヒートポンプの作動原理の詳細については、例えば、「伝熱 Journal of the Heat Transfer Society of Japan Vol.45,No.192」(社団法人日本伝熱学会、2006年7月)の第20ページ〜第21ページを参照することができる。
この実施形態に係る吸着式ヒートポンプ100は、吸着器10を備えており第1流体の吸着及び脱着の効率に優れるため、熱の利用効率に優れる。
以上の吸着式ヒートポンプ100は、第1の実施形態に係る吸着器10を備えているが、この吸着器10を、吸着器10以外の本発明の吸着器(例えば、第2〜第5の実施形態に係る吸着器)に変更した吸着式ヒートポンプによっても、吸着式ヒートポンプ100と同様の効果が得られることはもちろんである。
また、この吸着式ヒートポンプ100(又はその変形例)を2つ含んだ吸着式ヒートポンプシステムを構成し、一方で脱着モードを実行し他方で吸着モードを実行する過程と、一方で吸着モードを実行し他方で脱着モードを実行する過程と、を交互に繰り返すことで、2つのモードを同時に実行することも可能である。
10 吸着器
12 吸着器筐体
16、116 接続部
20 吸着室
34、44、54 凹部
30、130 流路
64 ピン(突起物)
74 十字型突起物
66 最小面積の格子
100 吸着式ヒートポンプ
110 蒸発凝縮器
F1 第1流体
F2 第2流体
W 幅方向長さ
L 長手方向長さ
Lb 対辺距離
Lc 幅方向長さ

Claims (14)

  1. 第1流体の吸着及び脱着を行う吸着材を含む吸着室と、
    蒸発するときに前記吸着材を冷却し凝縮するときに前記吸着材を加熱する第2流体を流通し、壁面で前記第2流体の蒸発及び凝縮を行うとともに、凝縮した前記第2流体を保持する保持構造を前記壁面に有する流路と、
    を備えた吸着器。
  2. 前記吸着室と前記流路とが、交互に配置されている請求項1に記載の吸着器。
  3. 前記保持構造は、毛管現象を利用して前記第2流体を保持する請求項1又は請求項2に記載の吸着器。
  4. 前記保持構造が、凹部又は複数の突起物である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の吸着器。
  5. 前記吸着材が吸着できる最大量の前記第1流体が前記吸着材から脱着するのに必要な単位面積当たりの脱着熱Q1と、前記保持構造が保持できる最大量の前記第2流体が凝縮したときに発生する単位面積当たりの凝縮熱Q2とが、脱着熱Q1≦凝縮熱Q2の関係を満たす請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の吸着器。
  6. 前記吸着材が吸着できる最大量の前記第1流体が前記吸着材に吸着したときに発生する単位面積当たりの吸着熱Q3と、前記保持構造が保持できる最大量の前記第2流体が蒸発するのに必要な単位面積当たりの蒸発熱Q4とが、吸着熱Q3≦蒸発熱Q4の関係を満たす請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の吸着器。
  7. 前記保持構造に保持される前記第2流体に働く毛管力が、該第2流体に働く体積力よりも大きい請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の吸着器。
  8. 前記保持構造は、開口部の内接円又は内接楕円の短軸長さが下記式(1)で定義される毛管長κ−1以下の凹部である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の吸着器。
    κ−1 = (σ/ρg)1/2 ・・・ 式(1)
    〔式(1)において、κ−1は、毛管長(m)を表し、σは、凝縮した前記第2流体の表面張力係数(N/m)を表し、ρは、凝縮した前記第2流体の密度(kg/m)を表し、gは重力加速度(m/s)を表す。〕
  9. 前記第2流体が、水、アンモニア、メタノール、及びエタノールからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の吸着器。
  10. 前記第2流体が水であり、
    凝縮後の前記第2流体の温度が5℃以上90℃以下であり、
    前記保持構造は、開口部の内接円又は内接楕円の短軸長さが2.48×10−3m以下の凹部である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の吸着器。
  11. 前記保持構造が凹部であり、下記式(2)で表される関係を満たす請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の吸着器。
    Lc・σcosθ > ρaV ・・・式(2)
    〔式(2)において、Lcは、前記凹部の周長さ(m)を表し、σは、凝縮した前記第2流体の表面張力係数(N/m)を表し、θは、凝縮した前記第2流体と前記凹部の壁面との接触角(°)を表し、ρは、凝縮した前記第2流体の密度(kg/m)を表し、aは、凝縮した前記第2流体に働く加速度(m/s)を表し、Vは、前記凹部に保持される前記第2流体の体積(m)を表す。〕
  12. 前記保持構造は、開口部の内接円又は内接楕円における比率〔長軸長さ/短軸長さ〕が1.0以上3.0以下の凹部である請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の吸着器。
  13. 前記吸着材が、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト、シリカゲル、及び粘土鉱物からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の吸着器。
  14. 前記第1流体が、水、アンモニア、メタノール、及びエタノールからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の吸着器。
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