JP6044120B2 - 耐熱樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、フラットパネルディスプレイ用基板、レンズ、光ディスク、発光ダイオード(LED)用封止材などの光学用途に使用される、耐熱性に優れた透明な樹脂組成物に関する。
自動車、ディスプレイなどの電子機器、携帯電話などの通信機器、パーソナルコンピューター等に使われる透明基板は、従来ガラス基板が使用されていたが、軽量化や破損した際の安全性の観点からプラスチック基板の使用が進められている。特に近年では、耐熱性に対する期待は高まりつつあり、リフロー工程に使用可能な耐熱性を有する透明樹脂材料が求められている。
従来、光学用透明樹脂にはPMMA(ポリメチルメタクリレート)、PS(ポリスチレン)、PC(ポリカーボネート)などが用いられてきた。しかしこれらの熱可塑性樹脂は耐熱性が150℃以下と低く、使用できる範囲が限られている。耐熱性を向上させるためには、一般的に、芳香環骨格を導入することによって樹脂の耐熱性が向上することが知られているが、芳香環を含む樹脂は着色しやすく、また光学用途で使用すると光の吸収のため耐光性が劣るという欠点があるため、光学用途に使用する場合には、芳香環骨格を含まないことが望ましい。一方、エポキシ樹脂や硬化性(メタ)アクリレート樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることによってTgが250℃以上の透明な樹脂基板が得られることは既知である(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3など)。しかし、一般的なエポキシ樹脂や硬化性(メタ)アクリレート樹脂は硬化収縮が大きく成型に適していないことが挙げられる。また、リフロー工程では260℃以上の温度に曝されるため、これらの樹脂では耐熱性が不十分であることが懸念される。
耐熱性及び硬化収縮低減を狙い、脂環構造を導入した(メタ)アクリレートも開発されている。例えば、1−アダマンチル(メタ)アクリレートを含む重量平均分子量100万以上の重合体が報告されているが、ガラス転移温度は180℃程度と不十分である(特許文献4)。
特公平7−45555号公報 特開2002−356566号公報 特開2005−154543号公報 特開2011−202167号公報
本発明の目的は、上記課題を解決した、耐熱性、低収縮性を有した、透明な硬化性樹脂組成物及びその硬化物を提供することである。
本発明者らは、上記課題について鋭意研究を重ねた結果、アダマンタン骨格と(メタ)アクリロイルオキシ基を有する、式(1)で示される硬化性化合物及び式(2)で示される硬化性化合物を含む硬化性樹脂組成物から得られる透明な樹脂硬化物が、耐熱性、低収縮性に優れていることを見出した。
(1)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示す。R及びRは同一又は異なって水素原子、メチル基又はエチル基を示し、nは0又は1を示す。)
(2)
(式中、R及びRは同一又は異なって水素原子又はメチル基を示し、R及びRは同一又は異なって水素原子、メチル基又はエチル基を示し、n及びnは同一又は異なって0又は1を示す。)
本発明によれば、耐熱性、低収縮性を有した、透明な樹脂硬化物及びそれを製造するための硬化性樹脂組成物が得られる。該樹脂硬化物は耐熱性が高く耐熱分解性に優れるので、リフロー工程など高熱がかかるプロセスを経るような、フラットパネルディスプレイ用基板、レンズ、光ディスク、発光ダイオード(LED)用封止材などの光学用部材として好適に使用することができる。
本発明は式(1)で示される硬化性化合物及び式(2)で示される硬化性化合物を含んでなる硬化性樹脂組成物であり、これを硬化した透明な樹脂硬化物である。
本発明における、式(1)で示される硬化性化合物としては、1−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1−(メタ)アクリロイルオキシメチルアダマンタン、3,5−ジメチル−1−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、3,5−ジメチル−1−(メタ)アクリロイルオキシメチルアダマンタン、3−エチル−1−(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、3−エチル−1−(メタ)アクリロイルオキシメチルアダマンタンが挙げられる。
本発明における、式(2)で示される硬化性化合物としては1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルアダマンタン、5,7−ジメチル−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、5,7−ジメチル−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルアダマンタン、5−エチル−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、5−エチル−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルアダマンタンが挙げられる。
式(1)及び式(2)で示される硬化性化合物の合成法としては、対応するアダマンタノール類と、(メタ)アクリル酸化合物とのエステル化反応で合成される。式(1)の硬化性化合物に対応するアダマンタノール類としては、1−ヒドロキシアダマンタン、1−ヒドロキシメチルアダマンタン、3,5−ジメチル−1−ヒドロキシアダマンタン、3,5−ジメチル−1−ヒドロキシメチルアダマンタン、3−エチル−1−ヒドロキシアダマンタン、3−エチル−1−ヒドロキシメチルアダマンタンが挙げられる。また、式(2)の硬化性化合物に対応するアダマンタノール類としては、1,3−ジヒドロキシアダマンタン、1,3−ジヒドロキシメチルアダマンタン、5,7−ジメチル−1,3−ジヒドロキシアダマンタン、5,7−ジメチル−1,3−ジヒドロキシメチルアダマンタン、5−エチル−1,3−ジヒドロキシアダマンタン、5−エチル−1,3−ジヒドロキシメチルアダマンタンが挙げられる。
アダマンタノール類の水酸基を、リチウムやナトリウムなどのアルカリ金属など、ブチルリチウムなどのアルキルリチウム、臭化エチルマグネシウムなどのグリニヤール試薬などにより、アルコラート状態にした後にエステル化反応を行っても良い。すなわち、水酸基であるOH基をOX基(XはLi、Na、MgBr、MgClなど)に変換した後にエステル化しても良い。
本発明のエステル化での反応時間として、0.5〜100時間、好ましくは1〜10時間必要である。反応時間は反応温度、エステル化の方法などに依存し、所望の収率などに応じて決定されるので、上記の範囲に限定されるものではない。
(メタ)アクリル酸化合物の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸、アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリドなどの(メタ)アクリル酸ハライド、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸t−ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、などの(メタ)アクリル酸塩類、無水アクリル酸、無水メタクリル酸などの無水(メタ)アクリル酸が挙げられる。
アダマンタノール類と(メタ)アクリル酸化合物とのエステル化反応においては、(メタ)アクリル酸化合物の使用量は、用いるアダマンタノール類の水酸基に対して1〜100当量(必要なアクリルロイルオキシ基分を1当量とする)、好ましくは1〜10当量である。それより少ないと収率が低下し、それより多いと経済的ではない。エステル化反応は通常溶媒溶液中で行う。その際、触媒や添加剤を用いるのが好ましい。反応温度を含め、これら反応条件は、用いる(メタ)アクリル酸化合物の種類によって適宜選択する。例えば、触媒としては、用いる(メタ)アクリル酸化合物が(メタ)アクリル酸や酸無水物の場合、酸触媒を用い、(メタ)アクリル酸エステルの場合、金属又は金属誘導体を用いる。添加剤としては、(メタ)アクリル酸化合物が酸ハライドの場合、塩基化合物を添加し、(メタ)アクリル酸の場合、脱水剤を添加する事があるが、水を共沸で除去しやすい溶媒を選択する方法もある。また、(メタ)アクリル酸化合物の種類によらず、添加剤として重合禁止剤を加えることもある。
(メタ)アクリル酸化合物として、(メタ)アクリル酸ハライドを使用する場合、アダマンタノール類と速やかに高収率で反応させるには、添加剤として塩基化合物が存在することが望ましい。塩基化合物を共存させると複製するハロゲン化水素をキャッチするために反応が速やかに進行し、目的物質が高収率で得られる。塩基化合物として、有機塩基が挙げられるが、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジフェニルアミン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,5−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−5、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどのアミン類、同じく有機アミンであるアニリン、メチルアニリン、ジメチルアニリン、トルイジン、アニシジン、クロロアニリン、ブロモアニリン、ニトロアニリン、アミノ安息香酸などのアニリン類、ピリジン、ジメチルアミノピリジンなどのピリジン類、ピロール類、キノリン類、ピペリジン類などの含窒素複素環式化合物類が挙げられる。ナトリウムメトキシド、リチウムメトキシドなどの金属アルコキシド類、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化トリメチル−n−プロピルアンモニウムなどの水酸化第四アンモニウム類、硫酸エチルアンモニウム、硝酸トリメチルアンモニウム、塩化アニリニウムなどのアミンの硫酸塩、硝酸塩、塩化物など、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基、臭化エチルマグネシウムなどのグリニヤール試薬が反応溶液中に存在していてもよい。
これらの添加剤の使用量は、原料に対して10当量以下が好ましい。それ以上多くとも収率向上効果はない。塩基化合物の添加方法としては、特に制限はない。(メタ)アクリル酸化合物を添加する前に予め仕込んでおいてもよいし、また(メタ)アクリル酸化合物を仕込んだ後に加えてもよいし、アクリル酸化合物と同時に滴下しながら加えても良い。その際、反応温度が異常昇温しないように制御すると副反応の進行が抑えられるので望ましい。
溶媒として、原料及び目的物質の溶解性が高いものが望ましい。そのような溶媒として、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、プロビルエーテル、メチルt−ブチルエーテルなどのエーテル化合物、へキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の炭素数6〜10の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の炭素数6〜10の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリアルキルベンゼン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素が挙げられる。反応温度としては−70〜200℃、好ましくは−50〜80℃が良い。−70℃より低いと反応速度が低下し、200℃より高いと反応の制御が困難になることや副反応が進行して収率が低下する。
(メタ)アクリル酸化合物として、アクリル酸やメタクリル酸を使用する場合には、酸触媒を用い共沸や脱水剤により反応中に副生する水を除去することによる製造方法が望ましい。共沸による水の除去にはDean−Stark水分離器等を用いることが出来る。また、無水(メタ)アクリル酸を使用する場合も、酸触媒の存在下で反応させる製造方法が望ましい。酸触媒としては、無機酸として硫酸などが、有機酸としてはベンゼンスルホン酸やp−トルエンスルホン酸などが好ましい。脱水剤としては、公知のものが利用できるが、濃硫酸、三フッ化ホウ素エーテラート、無水トリフルオロ酢酸、ジシクロヘキシルカルボジイミド、2−ハロベンゾチアゾリウムフルオロボレート、2−ハロゲン化ピリジニウム塩、トリフェニルホスフィン、塩化チオニル/塩基化合物などが好ましい。
溶媒としては、生成する水を共沸により除去する場合、水との相溶性が低く、目的物質の溶解性が高く、本発明の反応に対し不活性な溶媒を選択する。また、反応中に副生する水を除去するため、水と共沸する溶媒を用いることが好ましい。そのような有機溶媒の例としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の炭素数6〜10の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の炭素数6〜10の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、トリアルキルベンゼン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
脱水剤を使用する場合の溶媒は、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、へキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の炭素数6〜10の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の炭素数6〜10の脂環族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化合物、酢酸エチルなどのエステル類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類など挙げられる。
これらの溶媒は単独でも2種以上の溶媒を混合した系でも使用できる。溶媒は、原料1重量部に対して、0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部の割合で使用する。本発明における反応温度は、共沸脱水する場合、使用する有機溶媒と水との共沸温度である。(無水)メタアクリル酸との反応や、脱水剤を使用する場合はこれに限らず、反応温度は0〜150℃、好ましくは20〜120℃で行う。反応温度が0℃よりも低い場合は反応速度が著しく低下し、150℃より高い場合は、目的物質の選択率が低下する。
(メタ)アクリル酸化合物として、アクリル酸メチルやメタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類を使用する場合には、エステル交換反応によって複製したアルコールを蒸留などの公知の方法で反応系外へ除去し、目的物質を得る。金属及びその誘導体を触媒として用いることができ、錫、チタン、ゲルマニウム、亜鉛、鉛、コバルト、鉄、ジルコニウム、マンガン、アンチモン、カリウム等の金属及びその誘導体があげられる。誘導体としてはハロゲン化合物、酸化物、炭酸塩、金属アルコキシド、カルボン酸塩等などが好ましい。反応温度は、0〜150℃、好ましくは50〜100℃で行う。0℃より低いと反応速度が低下し、150℃より高いと副反応が進行して収率が低下する。副生したアルコールを蒸留により反応系外へ除去する場合には、副生したアルコールの沸点近くで反応させる方法が挙げられる。溶媒として、原料及び目的物質の溶解性が高く、反応に不活性なものが望ましい。そのようなものとして、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化合物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテルなどのエーテル化合物、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素化合物、アセトニトリルなどのニトリル化合物が挙げられる。
エステル化反応の際、重合禁止剤を添加しても良い。重合禁止剤としては一般的なものならば特に規定はなく、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩、N−ニトロソ−N−(1−ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソ−N−メチルアニリン、ニトロソナフトール、p−ニトロソフェノール、N,N’−ジメチル−p−ニトロソアニリンなどのニトロソ化合物、フェノチアジン、メチレンブルー、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどの含硫黄化合物、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、4−ヒドロキシジフェニルアミン、アミノフェノールなどのアミン類、ヒドロキシキノリン、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、p−ベンゾキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテルなどのキノン類、メトキシフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、カテコール、3−s−ブチルカテコール、2,2−メチレンビス−(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)などのフェノール類、N−ヒドロキシフタルイミドなどのイミド類、シクロヘキサンオキシム、p−キノンジオキシムなどのオキシム類、ジアルキルチオジプロピネートなどが挙げられる。添加量としては、アクリル酸化合物に対して、0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%である。
エステル化反応終了後においては、反応液を水洗処理することにより、過剰の(メタ)アクリル酸化合物、酸や塩基などの添加物や触媒などを除去する。このとき、洗浄水中に塩化ナトリウムや炭酸水素ナトリウム等、適当な無機塩が含まれていてもよい。また、未反応の(メタ)アクリル酸化合物を除去するために、アルカリ洗浄を併用する事もできる。アルカリ洗浄には、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、アンモニア水などが挙げられるが、用いるアルカリ成分に特に規定はない。また、金属不純物を除去するために、酸洗浄しても良い。酸洗浄には、塩酸水溶液、硫酸水溶液、リン酸水溶液などの無機酸及びシュウ酸水溶液などの有機酸が挙げられる。また、洗浄に際し、原料であるアダマンタノール類や、生成物である式(1)及び式(2)で表される化合物の物性に応じて、洗浄液に有機溶媒を添加してもよい。添加する有機溶媒は、反応時と同一のものを使用することもできるし、異なったものを使用することもできるが、通常、水との分離がよい極性の小さい溶媒を用いることが望ましい。
本発明でのエステル化反応工程は、常圧、減圧又は加圧下で行なうことができる。また、反応は、回分式、半回分式、連続式などの慣用の方法により行なうことができる。反応終了後、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー、活性炭による精製などの分離手段や、これらを組合せた分離手段により、容易に分離精製できる。
本発明の硬化性樹脂組成物において、式(1)の硬化性化合物及び式(2)の硬化性化合物の配合比は、式(1)の硬化性化合物/式(2)の硬化性化合物の重量比で50/50〜90/10が好ましい。さらに好ましくは、50/50〜80/20、さらに好ましくは60/40〜80/20重量部で混合する。また、式(1)及び式(2)の硬化性化合物はそれぞれ単独もしくは複数の構造の化合物を使用することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、式(1)及び式(2)の硬化性化合物を硬化反応させるために、硬化剤を含有する。硬化剤としては、熱硬化剤及び光硬化剤を使用することができる。硬化剤の含有量は、式(1)及び式(2)の硬化性化合物の合計量100重量部に対して0.001重量部〜0.2重量部、好ましくは0.005重量部〜0.1重量部、より好ましくは0.01〜0.05重量部である。この範囲で使用すると、架橋密度が高くなるため好ましい。
硬化剤としては、光硬化剤及び熱硬化剤が使用できる。硬化剤は一般に知られているものが使用でき、例えば、光硬化剤として、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア127、イルガキュア907、イルガキュア369、ダロキュア1173、イルガキュア819、ルシリンTPO(以上、チバスペシャリティケミカルズ社製)、熱硬化剤として、アゾイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、市販のものでは、V−70、V−65、V−601、V−59、V−40、VF−096、V−30、VAm−110、VAm−111(以上、和光純薬社製)、ナイパーBW、ナイパーBMT、パーロイルTCP、パーロイルL、パーロイル355、パーロイルSA、パーヘキサHC、パーブチル355、パーブチルD、パーブチルL、パーブチルND、パーオクタO、パーヘキシルD、パーヘキシルO、パーヘキシルPV(以上、日油製)、トリゴノックス36−C75、ラウロックス、パーカドックスL−W75、パーカドックスCH−50L、トリゴノックスTMBH、カヤクメンH、カヤブチルH−70、パーカドックスBC−FF、カヤヘキサAD、パーカドックス14、カヤブチルC、カヤブチルD、パーカドックス12−XL25、トリゴノックス22−N70(22−70E)、トリゴノックスD−T50、トリゴノックス423−C70、カヤエステルCND−C70、トリゴノックス23−C70、トリゴノックス257−C70、カヤエステルP−70、カヤエステルTMPO−70、トリゴノックス121、カヤエステルO、カヤエステルHTP−65W、カヤエステルAN、トリゴノックス42、トリゴノックスF−C50、カヤブチルB、カヤカルボンEH、カヤカルボンI−20、カヤカルボンBIC−75、トリゴノックス117、カヤレン6−70(以上、化薬アクゾ社製)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの硬化剤は、1種あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、用途や必要とする物性に応じて、他の硬化性化合物を含有することができる。その際の硬化剤の含有量は、式(1)の硬化性化合物、式(2)の硬化性化合物及び他の硬化性化合物、すなわち系内のすべての硬化性化合物の合計量100重量部に対して0.001重量部〜0.2重量部、好ましくは0.005重量部〜0.1重量部、より好ましくは0.01〜0.05重量部である。この範囲で使用すると、架橋密度が高くなるため好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物が含有することができる他の硬化性化合物は、公知のアクリル酸化合物が挙げられる。例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールA(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ−ト、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレ−ト、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレ−ト、ベンジル(メタ)アクリレ−ト、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ペンタエリストリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これらに限ったものではない。
さらに本発明の硬化性樹脂組成物を製造する際には、必要に応じて、熱可塑性樹脂、着色顔料、消泡剤、表面調整剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、流動調整剤等の公知の添加剤を添加することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は金型やガラスモールドに注入して、加熱のみ、光照射のみ、又は光照射と加熱の組み合わせによって硬化させることにより樹脂硬化物とすることができる。樹脂硬化物は、硬化性樹脂組成物を溶融又は溶媒に溶解させた後、型内に流し込み、溶媒など低沸成分を適宜除去して、通常の条件で硬化させることにより得ることができる。
加熱のみで硬化する場合は30℃〜300℃、好ましくは50℃〜260℃の温度範囲で硬化させる。硬化温度が低すぎると樹脂硬化物の耐熱性が低くなり、高すぎるとクラックや着色が生じる。硬化時間は1〜100時間、好ましくは2〜50時間かけて硬化させる。硬化時間が短すぎると硬化不十分やクラックが発生するため、長すぎると生産性の低下をまねくため好ましくない。
光硬化の場合、太陽光のほかに、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、発光ダイオード、レーザーなど一般的な光源や電子線、放射線を使用することができる。照射量は1〜100000mJ/cm、好ましくは50〜20000mJ/cmである。照射量が少なすぎると硬化不十分となり、多すぎると生産性が低下する。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
実施例1
1−メタクリロイルオキシアダマンタン(ADM)を9.0g、1,3−ジアクリロイルオキシアダマンタン(ADDA)を1.0g、イルガキュア184(IRG184)を0.1g秤量して混合し、均一に溶解させたのち真空ポンプで脱気して硬化性樹脂組成物を調製した。厚さ3mmのガラス板2枚の間に、太さ2.4mmのバイトンO−リング(バイトン:デュポンの商標)を挟み、ガラス板の間に注射器を用いて硬化性樹脂組成物を注入した。アイグラフィックス社製照射機アイキュアライト(メタルハライドランプ1.5kW)で樹脂組成物をガラスの両面からそれぞれ10.5J/cm照射したのち、オーブンに入れて150℃で24時間加熱し、樹脂硬化物を得た。樹脂硬化物の物性を測定したところ、硬化収縮は7.9%、1%重量減少温度362℃、5%重量減少温度372℃、鉛筆硬度2Hであった。
実施例2〜4
1−メタクリロイルオキシアダマンタン(ADM)及び1,3−ジアクリロイルオキシアダマンタン(ADDA)の仕込み比を変えて硬化性樹脂組成物を調整した以外は、実施例1と同様に実施した。得られた樹脂硬化物の物性の評価結果を表1に示す。
比較例1〜12
1−メタクリロイルオキシアダマンタンの(ADM)代わりに、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPM)やメタクリル酸メチル(MMA)を、また1,3−ジアクリロイルオキシアダマンタン(ADDA)の代わりに、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(TCDDMDM:新中村化学工業社製DCP)又はトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(TCDDMDA:新中村化学工業社製DCP−A)を仕込んだ以外は、実施例1〜4と同様に実施した。得られた樹脂硬化物の物性の評価結果を表1に示す。
以下、物性値測定の方法を説明する。
・硬化収縮:(1−(硬化前の樹脂密度)/(硬化後の樹脂組成物密度))×100で算出。
・1%、5%重量減少温度:セイコーインスツルメンツ社製TG/DTA6200を使用。窒素雰囲気下、10℃/分で昇温してそれぞれの重量減少を示す温度を測定。
・鉛筆硬度:JIS K5400に準拠し、ヨシミツ精機社製試験機で測定。
・樹脂密度:エー・アンド・デイ比重測定キットAD−1653及び精密天秤で測定。
実施例1〜4はアダマンタン骨格を有した(メタ)アクリレートの硬化樹脂に対し、比較例1〜8は、アダマンタン骨格をトリシクロデカン骨格に変えた硬化樹脂である。実施例1〜4では、高い重量減少温度を示した。また、同一組成比で比較すると(例えば、実施例2と、比較例1、3、5、7の比較や、実施例4と比較例2、4、6、8の比較)、実施例のほうが、重量減少温度が高く、また硬化収縮も低く、鉛筆硬度も硬く、全体的に高性能であることが分かる。比較例9〜10は1−アダマンチルメタクリレートをメタクリル酸メチルに変更した樹脂だが、実施例1〜4のほうが硬化収縮及び耐熱性で大幅に優位であることがわかる。比較例11は1−メタクリロイルオキシアダマンタン(ADM)単独での硬化樹脂だが、重量減少温度が低いことが分かる。比較例12は、1,3−ジアクリロイルオキシアダマンタン(ADDA)単独での硬化だが、固体のため硬化できなかった。
本発明によると、耐熱性、低収縮性を有した透明樹脂組成物を提供することができる。

Claims (3)

  1. 式(1)で表される硬化性化合物式(2)で表される硬化性化合物及び硬化剤から成り、式(1)で示される硬化性化合物及び式(2)で表される硬化性化合物の組成比が、60/40〜90/10である硬化性樹脂組成物。
    (式中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2及びR3は同一又は異なって水素原子、メチル基、エチル基を示し、n1は0を示す。)
    (式中、R4及びR5は同一又は異なって水素原子、メチル基を示し、R6及びR7は同一又は異なって水素原子、メチル基、エチル基を示し、n2及びn3は0を示す。)
  2. 硬化性化合物の合計100重量部に対して硬化剤を0.001〜0.2重量部含有する請求項に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1又はに記載の硬化性樹脂組成物を硬化した樹脂硬化物。
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