以下、本発明の組成物、これを含有する接着剤、その硬化物およびその製造方法について詳細に説明する。
[1.組成物]
本発明の組成物は、エチレン性不飽和基を有する重合体(以下、「(A)成分」とも称する場合がある。)と、水酸基およびエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「(B)成分」とも称する場合がある。)と、を有する。そして、本発明の組成物においては、(A)成分が、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートに由来する構成単位(A1)と、エチレン性不飽和基を有する構成単位(A2)と、を有する重合体であり、(B)成分の含有量が、(A)成分と(B)成分と、の合計100質量部中に、5質量部以上90質量部以下である。以下、各成分について詳細に説明する。
<1-1.(A)成分>
本発明の組成物に係る(A)成分は、エチレン性不飽和基を有する重合体であり、本発明の組成物においては、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートに由来する構成単位(A1)と、エチレン性不飽和基を有する構成単位(A2)と、を有する重合体である。
構成単位(A1)を構成しうるアルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレート中のアルキル基としては、直鎖または分岐の鎖状アルキル基、脂肪族炭化水素環を有するアルキル基を用いることできる。本発明の組成物においては、なかでも、上記アルキル基が、直鎖または分岐の鎖状アルキル基であることが好ましい。なお、脂肪族炭化水素環を有するアルキル基としては、脂肪族炭化水素環のみ、脂肪族炭化水素環と鎖状アルキル基とを組み合わせた基を用いることができる。
構成単位(A1)を構成しうるアルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレート中のアルキル基の炭素原子数としては、所望の接着力を有する組成物を形成可能なものであれば特に制限はないが、例えば、1以上15以下であることが好ましく、なかでも、1以上12以下であることが好ましく、特に、1以上10以下であることが好ましく、なかでも特に、1以上5以下であることが好ましく、なかでも特に、1以上2以下であることが好ましい。炭素原子数がかかる範囲であることで、本発明の組成物は接着力に優れたものとなるからである。なお、エチルアクリレートおよびエチルメタクリレートのアルキル基の炭素原子数は、2である。また、イソボルニルアクリレートのアルキル基の炭素原子数は、10である。
このようなアルキルアクリレートとしては、より具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート等の直鎖または分岐の鎖状アルキル基を有するアクリレートが挙げられる。これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレートが好ましい。
また、アルキルメタクリレートについては、より具体的には、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート等の直鎖または分岐の鎖状アルキル基を有するメタクリレートが挙げられる。これらの中でも、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートが好ましい。
また、これら以外のアルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートとして、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、アダマンチルアクリレート、アダマンチルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、トリシクロデカンアクリレート、トリシクロデカンメタクリレート等の脂肪族炭化水素環を有するアルキル基を含むアクリレートまたはメタクリレートも挙げることができる。
構成単位(A1)は、これらを共重合させることで導入することができる。また、本発明の組成物においては、これらのうち一種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物においては、構成単位(A1)として、アルキルアクリレートに由来する構成単位と、アルキルメタクリレートに由来する構成単位と、の両者を含むことが好ましい。構成単位(A1)をこのようにすることで、本発明の組成物は、接着力に優れたものとなるからである。構成単位(A1)が、アルキルアクリレートに由来する構成単位と、アルキルメタクリレートに由来する構成単位と、の両者を含む場合、アルキルメタクリレートに由来する構成単位の含有量は、構成単位(A1)中に5モル%以上であることが好ましく、なかでも、10モル%以上99モル%以下であることが好ましく、特に、40モル%以上98モル%以下であることが好ましく、特に、70モル%以上97モル%以下であることが好ましく、90モル%以上95モル%以下であることが好ましい。アルキルメタクリレートに由来する構成単位の含有量が上述の範囲であることで、本発明の組成物は接着力に優れたものとなるからである。また、ガラス転移温度の高い硬化物が得られるからである。
(A)成分中におけるアルキルメタクリレートに由来する構成単位の含有量としては、5モル%以上95モル%以下であることが好ましく、なかでも、30モル%以上85モル%以下であることが好ましく、特に、50モル%以上80モル%以下であることが好ましく、60モル%以上75モル%以下であることが好ましい。アルキルメタクリレートに由来する構成単位の含有量が上述の範囲であることで、本発明の組成物は接着力に優れたものとなるからである。
本発明の組成物においては、構成単位(A1)の含有量は、(A)成分中に30モル%以上99モル%以下であることが好ましい。これにより、優れた接着性を得ることができる。好適には50モル%以上90モル%以下であり、より好適には70モル%以上85モル%以下である。
構成単位(A2)は、(A)成分中でエチレン性不飽和基を有する構成単位であり、(A)成分に重合性を付与するものである。このような構成単位(A2)としては、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を共重合して得られる重合体中のカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構成単位(A2-1)中のカルボキシル基に対して、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体中のエポキシ基を付加反応させたもの、またはエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体を共重合して得られる重合体中のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構成単位(A2-2)中のエポキシ基に対して、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体中のカルボキシル基を付加反応させて得られたものを好ましく用いることができる。
すなわち、(A)成分が、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートに由来する構成単位(A1)と、構成単位(A2)として、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構成単位と、を有する重合体のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体付加物、または、アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートに由来する構成単位と、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体に由来する構成単位と、を有する重合体のカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体付加物であることが好ましい。構成単位(A2)を有することで、本発明の組成物は接着力に優れたものとなるからである。また、(A)成分の合成、接着力の調整が容易だからである。
構成単位(A2)における、構成単位(A2-1)になり得るまたは構成単位(A2-2)のエポキシ基に反応し得るカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、カルボキシル基を有するアクリレートまたはメタクリレートを好ましく用いることができる。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体中のカルボキシル基の数としては1以上であればよいが、1以上5以下であることが好ましく、なかでも、1以上3以下であることが好ましく、特に、1以上2以下であることが好ましく、なかでも特に、1であることが好ましい。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体中のカルボキシル基の数が上記範囲であることで、本発明の組成物は接着力に優れたものとなるからである。
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体の分子量としては、60以上500以下であることが好ましく、なかでも、70以上400以下であることが好ましく、特に、70以上300以下であることが好ましい。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体の分子量が上記範囲であることで、本発明の組成物は接着力に優れたものとなるからである。
このようなカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、α-(ヒドロキシメチル)アクリル酸、α-(ヒドロキシメチル)メタクリル酸、p-ビニル安息香酸、2-アクリロイロキシエチルコハク酸、2-メタクリロイロキシエチルコハク酸、2-アクリロイロキシエチルフタル酸、2-メタクリロイロキシエチルフタル酸、2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。中でも反応性の点および接着力に優れた(A)成分が得られるとの点からアクリル酸やメタクリル酸が好ましい。
構成単位(A2)における、構成単位(A2-2)になり得るまたは構成単位(A2-1)のカルボキシル基に反応し得るエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体としては、エポキシ基を有するアクリレートまたはメタクリレートを好ましく用いることができる。
本発明の組成物においては、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体中のエポキシ基の数としては1以上であればよいが、1以上5以下であることが好ましく、1以上2以下であることが好ましく、なかでも、1であることが好ましい。エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体中のエポキシ基の数が上記範囲であることで、本発明の組成物は接着力に優れたものとなるからである。
エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体の分子量としては、100以上500以下であることが好ましく、なかでも、110以上300以下であることが好ましく、特に、120以上200以下であることが好ましい。エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体の分子量が上記範囲であることで、本発明の組成物は接着力に優れたものとなるからである。
このようなエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、4-ヒドロキシブチルメタクリレートグリシジルエーテル、3,4-エポキシブチルアクリレート、3,4-エポキシブチルメタクリレート、3-メチル-3,4-エポキシブチルアクリレート、3-メチル-3,4-エポキシブチルメタクリレート、3-エチル-3,4-エポキシブチルアクリレート、3-エチル-3,4-エポキシブチルメタクリレート、4-メチル-4,5-エポキシペンチルアクリレート、4-メチル-4,5-エポキシペンチルメタクリレート、5-メチル-5,6-エポキシヘキシルアクリレート、5-メチル-5,6-エポキシヘキシルメタクリレート、α-エチルアクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、クロトニルグリシジルエール、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルアクリレート、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルメタクリレート、N-(3,5-ジメチル-4-グリシジル)ベンジルアクリルアミド、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3-ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,4-ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,5-ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,6-ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,4-トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,5-トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,6-トリグリシジルオキシメチルスチレン、3,4,5-トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,4,6-トリグリシジルオキシメチルスチレン等が挙げられる。好ましくは、工業品の入手の容易さという点および接着力に優れた(A)成分が得られるとの点から、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルアクリレート、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルメタクリレートが挙げられる。これらの中でも、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタクリレートが好ましい。
構成単位(A2-1)は、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を共重合することにより導入することができる。さらに、構成単位(A2-2)は、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体を共重合することにより、導入することができる。なお、本発明の組成物においては、構成単位(A2-1)、(A2-2)においても、各構成単位になり得る化合物を、一種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明の組成物においては、構成単位(A2-1)、(A2-2)のカルボキシル基およびエポキシ基に反応させ、構成単位(A2)を形成するために用いる、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体の種類としては、それぞれ、一種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物においては、(A)成分が、構成単位(A2)を有している。この場合、エチレン性不飽和基を有する構成単位(A2)の含有量が、(A)成分中に1モル%以上70モル%以下であることが好ましい。これにより、優れた接着性を得ることができる。好適には5モル%以上50モル%以下であり、より好適には、10モル%以上40モル%以下であり、より好適には、15モル%以上30モル%以下である。エチレン性不飽和基を有する構成単位(A2)の含有量が上記範囲であることで、本発明の組成物は接着力に優れたものとなるからである。
また、本発明の組成物においては、(A)成分は、構成単位(A1)と構成単位(A2)とを必須成分としているが、他の単量体に由来する構成単位を含んでもよい。この場合、構成単位(A1)と構成単位(A2)との合計の含有量は、(A)成分中に50モル%以上であることが好ましい。より好ましくは70モル%以上であり、さらに好ましくは90モル%以上である。かかる範囲を満足することで、本発明の効果を良好に得ることができる。
また、他の単量体に由来する構成単位を形成可能な他の単量体としては、上述のアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート以外のものであり、(A)成分が所望の接着力を発揮可能なものであればよく、公知のアクリレート化合物またはメタクリレート化合物を用いることができる。他の単量体としては、例えば、特開2016-176009号公報に記載のラジカル重合性化合物、特許第5996176号公報に記載のラジカル硬化性樹脂等のなかから、選択することができる。
また、芳香族アクリレートまたはメタクリレート、カルボキシル基含有単量体およびエポキシ基含有単量体も含むことができる。なお、カルボキシル基含有単量体およびエポキシ基含有単量体を他の単量体として含むとは、例えば、カルボキシル基含有単量体およびエポキシ基含有単量体に由来する構成単位のうち、それぞれエポキシ基含有単量体およびカルボキシル基含有単量体と反応しなかった構成単位を、他の単量体に由来する構成単位として含むことを示す。
なお、本発明の組成物においては、(A)成分は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が1000以上であるものを好ましく用いることができ、なかでも、2,000以上200,000以下であることが好ましく、より好ましくは3,000以上150,000以下であり、さらに好ましくは4,000以上120,000以下であり、さらに好ましくは、10,000以上120,000以下である。かかる範囲とすることで、接着剤として用いた場合の接着性と塗布性とを高度にバランスすることができる。
ここで、重量平均分子量Mwは、例えば、日本分光(株)製のGPC(LC-2000plusシリーズ)を用い、溶出溶剤をテトラヒドロフランとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw1110000、707000、397000、189000、98900、37200、13700、9490、5430、3120、1010、589(東ソー(株)社製 TSKgel標準ポリスチレン)とし、測定カラムをKF-804、KF-803、KF-802(昭和電工(株)製)として測定して得ることができる。また、測定温度は40℃とすることができ、流速は1.0mL/分とすることができる。
(A)成分の含有量としては、所望の接着力が得られるものであればよいが、本発明の組成物100質量部中に、1質量部以上80質量部以下であることが好ましく、なかでも、3質量部以上60質量部以下であることが好ましく、特に、5質量部以上40質量部以下であることが好ましく、特に、8質量部以上30質量部以下であることが好ましい。(A)成分の含有量が上記範囲であることで、本発明の組成物は接着力に優れたものとなるからである。
<1-2.(B)成分>
(B)成分は、水酸基およびエチレン性不飽和基を有する化合物である。
(B)成分中の水酸基の数としては、1以上であり、所望の接着力を得られるものであればよいが、1以上5以下であることが好ましく、1以上2以下であることが好ましく、なかでも、1であることが好ましい。(B)成分中の水酸基の数が上記範囲であることで、本発明の組成物は接着力に優れたものとなるからである。また、本発明の組成物は、保存安定性に優れたものとなるからである。
(B)成分中のエチレン性不飽和基の数としては、所望の接着力を得られるものであればよいが、1以上5以下であることが好ましく、なかでも、1以上3以下であることが好ましく、特に、1以上2以下であることが好ましく、なかでも特に、1であることが好ましい。(B)成分中のエチレン性不飽和基の数が上記範囲であることで、本発明の組成物は接着力に優れたものとなるからである。
水酸基およびエチレン性不飽和基を有する化合物の分子量としては、1000未満であることが好ましく、なかでも、100以上500以下であることが好ましく、特に、110以上200以下であることが好ましく、なかでも特に、120以上180以下であることが好ましい。水酸基およびエチレン性不飽和基を有する化合物の分子量が上記範囲であることで、本発明の組成物は接着力に優れたものとなるからである。
本発明の組成物においては、水酸基およびエチレン性不飽和基を有する化合物(B)が、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。上記(B)成分が、下記構造を有することで、本発明の組成物は接着力に優れたものとなるからである。
ここで、一般式(1)中、R1は、水素原子またはメチル基を表し、m1は、1~10の整数を表し、m2は、1~20の整数を表し、m3は、1~20の整数を表し、m4は、0~20の整数を表す。
より好ましくは、R1は、水素原子、すなわち、アクリレート化合物が好ましい。(B)成分としてアクリレート化合物を用いた組成物は、硬化速度に優れているからである。また、(B)成分が、アクリレート化合物であることで、本発明の組成物を硬化物とした際に、柔軟性に優れたものとすることができ、さらにその結果、接着力に優れたものとなるからである。
m1としては、1~8の整数であることが好ましく、なかでも、2~7の整数であることが好ましく、特に、3~6の整数であることが好ましく、なかでも特に、4~5の整数であることが好ましい。本発明の組成物は接着力に優れたものとなるからである。
m2としては、1~10の整数であることが好ましく、なかでも、1~3の整数であることが好ましく、特に、1~2の整数であることが好ましく、なかでも特に1であることが好ましい。本発明の組成物は接着力に優れたものとなるからである。
m3としては、1~10の整数であることが好ましく、なかでも、1~3の整数であることが好ましく、特に、1~2の整数であることが好ましく、なかでも特に1の整数であることが好ましい。接着力に優れると共に、エチレン性不飽和基と水酸基との距離の調整が容易だからである。
m4としては、接着力により優れたものとするとの観点からは、0~10の整数であることが好ましく、なかでも、0~3の整数であることが好ましく、特に、0~2の整数であることが好ましく、なかでも特に0であることが好ましい。
本発明の組成物においては、また、m1が3~6の整数であり、m2が1であり、m4が0であるものが好ましい。このような化合物を用いることにより、より優れた接着性を得ることができる。
(B)成分としては、例えば、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、3-ヒドロキシ-n-プロピルアクリレート、3-ヒドロキシ-n-プロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-n-プロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-n-プロピルメタクリレート、2-ヒドロキシイソプロピルアクリレート、2-ヒドロキシイソプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシ-n-ブチルアクリレート、4-ヒドロキシ-n-ブチルメタクリレート、2-ヒドロキシ-n-ブチルアクリレート、3-ヒドロキシ-n-ブチルアクリレート、5-ヒドロキシ-n-ペンチルアクリレート、5-ヒドロキシ-n-ペンチルメタクリレート、2-ヒドロキシ-n-ペンチルアクリレート、2-ヒドロキシ-n-ペンチルメタクリレート、3-ヒドロキシ-n-ペンチルアクリレート、3-ヒドロキシ-n-ペンチルメタクリレート、4-ヒドロキシ-n-ペンチルアクリレート、4-ヒドロキシ-n-ペンチルメタクリレート、2-ヒドロキシシクロプロピルアクリレート、2-ヒドロキシシクロプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシシクロペンチルアクリレート、3-ヒドロキシシクロペンチルメタクリレート、4-ヒドロキシシクロヘキシルアクリレート、4-ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート等が挙げられる。
本発明の組成物においては、なかでも、水酸基およびエチレン性不飽和基を有する化合物が、3-ヒドロキシ-n-プロピルアクリレート、3-ヒドロキシ-n-プロピルメタクリレート、4-ヒドロキシ-n-ブチルアクリレート、4-ヒドロキシ-n-ブチルメタクリレート、5-ヒドロキシ-n-ペンチルアクリレート、5-ヒドロキシ-n-ペンチルメタクリレートであることが好ましく、特に、4-ヒドロキシ-n-ブチルアクリレート、4-ヒドロキシ-n-ブチルメタクリレート、5-ヒドロキシ-n-ペンチルアクリレート、5-ヒドロキシ-n-ペンチルメタクリレートであることが好ましく、なかでも特に、3-ヒドロキシ-n-プロピルアクリレート、4-ヒドロキシ-n-ブチルアクリレート、5-ヒドロキシ-n-ペンチルアクリレートであることが好ましく、なかでも特に、4-ヒドロキシ-n-ブチルアクリレート、5-ヒドロキシ-n-ペンチルアクリレートであることが好ましく、なかでも特に、4-ヒドロキシ-n-ブチルアクリレートであることが好ましい。上記(B)成分が、これらの成分を有することで、本発明の組成物は接着力に優れたものとなるからである。
本発明の組成物においては、(A)成分と(B)成分と、の合計100質量部中に、(B)成分の含有量は、所望の接着力が得られるものであればよいが、5質量部以上90質量部以下が好ましい。(B)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分と、の合計100質量部中に、好ましくは、30質量部以上85質量部以下、より好ましくは、60質量部以上80質量部以下である。かかる範囲とすることで、優れた接着性を得ることができる。
本発明の組成物においては、固形分全量100質量部中における、(B)成分の含有量は、所望の接着力が得られるものであればよいが、5質量部以上90質量部以下が好ましい。(B)成分の含有量は、好ましくは、30質量部以上80質量部以下、より好ましくは、40質量部以上70質量部以下、より好ましくは、45質量部以上65質量部以下である。かかる範囲とすることで、優れた接着性を得ることができる。なお、固形分全量とは、組成物に含まれる溶剤以外の全ての成分をいうものである。
(B)成分の含有量は、本発明の組成物100質量部中に、10質量部以上85質量部以下であることが好ましく、なかでも、30質量部以上80質量部以下であることが好ましく、特に、40質量部以上70質量部以下であることが好ましく、なかでも特に、45質量部以上65質量部以下であることが好ましい。(B)成分の含有量が上述の範囲であることで、本発明の組成物は接着力に優れたものとなるからである。
<1-3.環構造およびエチレン性不飽和基を有する化合物>
本発明の組成物においては、ラジカル重合性化合物としての(A)成分および(B)成分以外のラジカル重合性化合物として、環構造およびエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「(C)成分」とも称する場合がある。)を含むことが好ましい。
(C)成分のエチレン性不飽和基としては、アクリル基、メタクリル基、ビニル基等が挙げられる。エチレン性不飽和基の数は、一分子内に1つ、すなわち、(C)成分は単官能化合物であってもよく、一分子内に2つ以上、すなわち、多官能化合物であってもよい。
本発明の組成物においては、(C)成分一分子中の環構造の数としては、1以上であればよく、1以上10以下が好ましく、なかでも、1以上3以下が好ましい。(C)成分一分子中の環構造の数がかかる範囲であることで、本発明の組成物は、接着力に優れたものとなるからである。
また、環構造がナフタレン環等の縮合環を含む構造、ノルボルナン環等の架橋縮合環を含む構造またはジシクロペンタニル基等の縮合環および架橋縮合環の両者を含む構造等の縮合環構造である場合、縮合環構造全体を1つの環構造とする。したがって、ジシクロペンタニルアクリレートは、環構造の数が1つ環構造化合物の例を表すものである。
(C)成分の環構造として、芳香族炭化水素環、脂肪族炭化水素環等の炭化水素環、芳香族複素環、脂肪族複素環等の複素環を挙げることができる。なお、(C)成分は、炭化水素環と複素環との両者を含む場合には、複素環化合物に該当するものとする。また、(C)成分は、芳香族環と炭化水素環または脂肪族複素環とを含む場合には、芳香族環化合物に該当するものとする。したがって、一分子中に環構造として芳香族炭化水素環と脂肪族炭化水素環とを有する場合、芳香族炭化水素環化合物に含まれるものとする。また、一分子中に環構造として芳香族炭化水素環と芳香族複素環とを有する場合は、芳香族複素環化合物に含まれるものとする。
本発明の組成物においては、組成物を接着力に優れたものとする観点からは、(C)成分の環構造が、炭化水素環および複素環のいずれも好ましく用いることができる。本発明においては、(C)成分が、環構造が脂肪族炭化水素環である脂肪族炭化水素環化合物および環構造が脂肪族複素環である脂肪族複素環化合物の少なくとも1種を含むことが好ましく、特に、脂肪族炭化水素環であることが好ましい。また、本発明において、ガラス転移温度の高い硬化物を得るとの観点からは、(C)成分が、環構造が脂肪族複素環である脂肪族複素環化合物であることが好ましい。
環構造およびエチレン性不飽和基を有する化合物の分子量としては、所望の接着力を得られるものであればよいが、1,000未満であることが好ましく、なかでも、100以上500以下であることが好ましい。環構造およびエチレン性不飽和基を有する化合物の分子量が上記範囲内であることで、本発明の組成物は、接着力および塗布性のバランスに優れたものとなるからである。
(1)芳香族炭化水素環化合物
環構造が芳香族炭化水素環である芳香族炭化水素環化合物(以下「(c-1)成分」とも称する場合がある。)に用いられる芳香族炭化水素環としては、環形成原子が炭素原子のみであり、芳香族性を有するものであればよく、ベンゼン環、ナフタレン環等を挙げることができる。
芳香族炭化水素環の炭素原子数としては、接着力に優れたものとする観点からは、炭素原子数は6以上15以下が好ましく、特に、炭素原子数は6以上12以下が好ましい。
(c-1)成分としては、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノールアルキレンオキサイド変性アクリレート、フェノールアルキレンオキサイド変性メタクリレート、アルキルフェノールアルキレンオキサイド変性アクリレート、アルキルフェノールアルキレンオキサイド変性メタクリレート、p-クミルフェノールアルキレンオキサイド変性アクリレート、p-クミルフェノールアルキレンオキサイド変性アクリレート、o-フェニルフェノールアルキレンオキサイド変性メタクリレート、o-フェニルフェノールアルキレンオキサイド変性アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシエチルメタクリレート等を挙げることができる。
(c-1)成分としては、1つ以上のエポキシ基と芳香族炭化水素環を併有する芳香族エポキシ化合物に、不飽和カルボン酸を付加させた芳香族エポキシアクリレートも用いることができる。
芳香族エポキシ化合物としては、芳香族炭化水素環とエポキシ基とを含む化合物であればよく、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、カテコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル等のフェニルジグリシジルエーテル;ビスフェノール-A型エポキシ化合物、ビスフェノール-F型エポキシ化合物、ビスフェノール-S型エポキシ化合物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンのエポキシ化合物等のビスフェノール型エポキシ化合物;臭素化ビスフェノール-A型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノール-F型エポキシ化合物等のハロゲノ化ビスフェノール型エポキシ化合物;フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、ビスフェノール-Aノボラック型エポキシ化合物、ナフタレン骨格含有エポキシ化合物等を挙げることができる。
不飽和カルボン酸としては、カルボキシ基とエチレン性不飽和基とを有する化合物であればよく、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、アクリル酸またはメタクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸、2-アクリロイロキシエチルコハク酸、2-メタクリロイロキシエチルコハク酸、2-アクリロイロキシエチルアジピン酸、2-メタクリロイロキシエチルアジピン酸、2-アクリロイロキシエチルフタル酸、2-メタクリロイロキシエチルフタル酸、2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-アクリロイロキシエチルマレイン酸、2-メタクリロイロキシエチルマレイン酸、2-アクリロイロキシプロピルコハク酸、2-メタクリロイロキシプロピルコハク酸、2-アクリロイロキシプロピルアジピン酸、2-メタクリロイロキシプロピルアジピン酸、2-アクリロイロキシプロピルテトラヒドロフタル酸、2-メタクリロイロキシプロピルテトラヒドロフタル酸、2-アクリロイロキシプロピルフタル酸、2-メタクリロイロキシプロピルフタル酸、2-アクリロイロキシプロピルマレイン酸、2-メタクリロイロキシプロピルマレイン酸、2-アクリロイロキシブチルコハク酸、2-メタクリロイロキシブチルコハク酸、2-アクリロイロキシブチルアジピン酸、2-メタクリロイロキシブチルアジピン酸、2-アクリロイロキシブチルヒドロフタル酸、2-メタクリロイロキシブチルヒドロフタル酸、2-アクリロイロキシブチルフタル酸、2-メタクリロイロキシブチルフタル酸、2-アクリロイロキシブチルマレイン酸、2-メタクリロイロキシブチルマレイン酸、アクリル酸またはメタクリル酸にε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン等のラクトン類を付加させたものである単量体、或いはヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレートに(無水)コハク酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸等の酸(無水物)を付加させた単量体、アクリル酸ダイマーやメタクリル酸ダイマー等が挙げられる。
(2)脂肪族炭化水素環化合物
環構造が脂肪族炭化水素環である脂肪族炭化水素環化合物(以下「(c-2)成分」とも称する場合がある。)に用いられる脂肪族炭化水素環としては、環形成原子が炭素原子のみであり、かつ、芳香族性を有しないものであればよく、シクロヘキサン環、イソボルニル環、アダマンタン環、ジシクロペンテン環、ジシクロペンタン環、トリシクロデカン環、ノルボルネン環、ノルボルナン環等が挙げられる。
脂肪族炭化水素環の炭素原子数としては、接着力に優れたものとする観点からは、炭素原子数は6以上15以下が好ましく、特に、炭素原子数は6以上12以下が好ましい。
(c-2)成分としては、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、アダマンチルアクリレート、アダマンチルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、トリシクロデカンアクリレート、トリシクロデカンメタクリレート等を挙げることができる。好ましくは、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレートである。(c-2)成分が上述の化合物であることで、本発明の組成物は接着力に優れたものとなるからである。
(c-2)成分中のエチレン性不飽和基の数としては、1以上5以下が好ましく、1以上3以下がより好ましく、特に、1以上2以下が好ましく、なかでも特に、1であることが好ましい。エチレン性不飽和基の数がかかる範囲であることで、接着力に優れたものとなるからである。また、保存安定性に優れたものとなるからである。
(c-2)成分としては、上記芳香族エポキシ化合物の水添物のエポキシ基に不飽和カルボン酸を付加させた化合物も用いることができる。
(c-2)成分を含有する場合、(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して、30質量部以下が好ましく、1質量部以上30質量部以下がより好ましく、3質量部以上25質量部以下がさらに好ましく、5質量部以上20質量部以下がさらに好ましく、10質量部以上20質量部以下であることがさらに好ましい。(c-2)成分をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、接着力に優れたものとなるからである。
(c-2)成分を含有する場合、固形分全量100質量部に対して、30質量部以下が好ましく、3質量部以上25質量部以下がより好ましく、5質量部以上20質量部以下がさらに好ましく、5質量部以上15質量部以下であることがさらに好ましい。(c-2)成分をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、接着力に優れたものとなるからである。
(c-2)成分を含有する場合、本発明の組成物100質量部に対して、30質量部以下が好ましく、3質量部以上25質量部以下がより好ましく、5質量部以上20質量部以下がさらに好ましく、5質量部以上15質量部以下であることがさらに好ましい。(c-2)成分をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、接着力に優れたものとなるからである。
(3)芳香族複素環化合物
環構造が芳香族複素環である芳香族複素環化合物(以下「(c-3)成分」とも称する場合がある。)に用いられる芳香族複素環としては、環形成原子が炭素原子以外の原子を含み、芳香族性を有するものであればよく、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、シンノリン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チオフェン環、フラン環、チアゾール環、オキサゾール環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンズトリアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、プリン環、カルバゾール環等を挙げることができる。
(c-3)成分としては、2-アクリロイロキシエチル-N-カルバゾールまたは2-メタアクリロイロキシエチル-N-カルバゾール等を挙げることができる。
(4)脂肪族複素環化合物
環構造が脂肪族複素環である脂肪族複素環化合物(以下「(c-4)成分」とも称する場合がある。)に用いられる脂肪族複素環としては、環形成原子が炭素原子以外の原子を含み、芳香族性を有しないものであればよく、例えば、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、ホモピペリジン環、ホモピペラジン環、テトラヒドロピリジン環、テトラヒドロキノリン環、テトラヒドロイソキノリン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、ジヒドロベンゾフラン環、テトラヒドロカルバゾール環、カプロラクタム環、イソシアヌル環、ヒダントイン環等を挙げることができる。
脂肪族複素環としては、接着力に優れたものとする観点からは、炭素原子数が3以上10以下の複素環が好ましく、炭素原子数が3以上6以下の複素環がより好ましい。
(c-4)成分としては、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、N-メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等が挙げられる。
また、(c-4)成分として、アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリン、アクリロイルピペリジン、メタクリロイルピペリジン、アクリロイルピロリジン、メタクリロイルピロリジン、1,4-ジアクリロイルピペラジン、1,4-ジメタクリロイルピペラジン等のアクリルアミド構造を有する化合物も挙げられる。
さらに、(c-4)成分として、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、モノアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノプロピルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、ジアリルモノベンジルイソシアヌレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリメタクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌル環含有化合物も用いることができる。
また、本発明の組成物においては、(c-4)成分は、ガラス転移温度が高く、接着力に優れた硬化物を容易に得られるとの観点からは、アクリロイルモルホリンまたはメタクリロイルモルホリン等のアクリルアミド構造を有する化合物であることが好ましい。
本発明の組成物においては、(c-4)成分の含有量は、接着力および塗布性等のバランスの観点からは、(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下がより好ましく、3質量部以上25質量部以下がさらに好ましく、5質量部以上20質量部以下がさらに好ましい。
本発明の組成物においては、(c-4)成分の含有量は、接着力および塗布性等のバランスの観点からは、固形分全量100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下がより好ましく、3質量部以上25質量部以下がさらに好ましく、5質量部以上20質量部以下がさらに好ましい。
本発明の組成物においては、(c-4)成分としてのアクリルアミド構造を有する化合物の含有量は、接着力により優れたものとするとの観点からは、(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下がより好ましく、3質量部以上25質量部以下がさらに好ましく、5質量部以上20質量部以下がさらに好ましい。
本発明の組成物においては、(c-4)成分としてのアクリルアミド構造を有する化合物の含有量は、接着力により優れたものとするとの観点からは、固形分全量100質量部に対して、30質量部以下が好ましく、3質量部以上25質量部以下がより好ましく、5質量部以上20質量部以下がさらに好ましい。
本発明の組成物においては、(c-4)成分中のエチレン性不飽和基の数としては、1以上5以下が好ましく、1以上3以下がより好ましく、1以上2以下がさらに好ましい。エチレン性不飽和基の数がかかる範囲であることで、硬化収縮が少ないものとなる結果、接着力に優れたものとなるからである。
(5)その他
(C)成分の含有量としては、(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して、30質量部以下が好ましく、なかでも、5質量部以上30質量部以下が好ましく、特に、10質量部以上25質量部以下が好ましく、なかでも特に、10質量部以上20質量部以下がさらに好い。(C)成分をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、接着力に優れたものとなるからである。
(C)成分の含有量としては、本発明の組成物100質量部に対して、30質量部以下が好ましく、なかでも、5質量部以上25質量部以下が好ましく、特に、8質量部以上25質量部以下が好ましく、なかでも特に、10質量部以上20質量部以下がさらに好い。(C)成分をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、接着力に優れたものとなるからである。
<1-4.ラジカル重合開始剤>
本発明の組成物は、(A)成分および(B)成分を含むものであるが、ラジカル重合開始剤(以下「(D)成分」とも称する場合がある。)を含むことが好ましい。(A)成分および(B)成分の重合が容易となるからである。ラジカル重合開始剤としては、ラジカルを発生し、(A)成分および(B)成分を重合可能なものである。このようなラジカル重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤および熱ラジカル重合開始剤のいずれも用いることができるが、硬化速度等に優れる等の観点からは、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンジルジメチルケタール等のベンジルケタール類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ベンジル-1-ジメチルアミノ-1-(4’-モルホリノベンゾイル)プロパン、2-モルホリル-2-(4’-メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-ヒドロキシ-1-ベンゾイルシクロヘキサン、2-ヒドロキシ-2-ベンゾイルプロパン、2-ヒドロキシ-2-(4’-イソプロピル)ベンゾイルプロパン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、4-ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4-フェノキシベンゾイルジクロロメタン等のアセトフェノン類;2-メチルアントラキノン、1-クロロアントラキノンおよび2-アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントンおよび2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトンおよび4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド等のオキサイド類;3-(2-メチル-2-モルホリノプロピオニル)-9-メチルカルバゾール等のカルバゾール類;ベンジル、ベンゾイル蟻酸メチル等のα-ジカルボニル類;特開2000-80068号公報、特開2001-233842号公報、特開2005-97141号公報、特表2006-516246号公報、特許第3860170号公報、特許第3798008号公報、WO2006/018973号公報、特開2011-132215号公報、WO2015/152153号公報に記載の化合物等のオキシムエステル類;p-メトキシフェニル-2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ナフチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-ブトキシスチリル)-s-トリアジン等のトリアジン類;過酸化ベンゾイル、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、エチルアントラキノン、1,7-ビス(9’-アクリジニル)ヘプタン、チオキサントン、1-クロル-4-プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、2-(p-ブトキシスチリル)-5-トリクロロメチル-1,3,4-オキサジアゾール、9-フェニルアクリジン、9,10-ジメチルベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール、チオキサントン/アミン等が挙げられる。
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブチルバレレート、ジクミルパーオキサイド等の過酸化物類;2,2’-アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物類;テトラメチルチラウムジスルフィド等が挙げられる。
これらラジカル重合開始剤の含有量としては、接着力に優れた組成物を得られるものであればよい。例えば、(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下が好ましく、0.1質量部以上15質量部以下がより好ましく、1質量部以上10質量部以下がさらに好ましく、3質量部以上8質量部以下が特に好ましい。ラジカル重合開始剤の含有量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、接着力に優れたものとなるからである。
これらラジカル重合開始剤の含有量としては、接着力に優れた組成物を得られるものであればよい。例えば、固形分全量100質量部に対して、0.01質量部以上25質量部以下が好ましく、0.1質量部以上20質量部以下がより好ましく、1質量部以上15質量部以下がさらに好ましく、3質量部以上10質量部以下が特に好ましい。ラジカル重合開始剤の含有量をかかる範囲とすることで、本発明の組成物は、接着力に優れたものとなるからである。
<1-5.溶剤>
本発明の組成物は、必要に応じて、上記各成分を溶解または分散可能な溶剤(以下「(E)成分」とも称する場合がある。)を含んでもよい。溶剤としては、25℃、大気圧下で液状であり、組成物の各成分を分散または溶解可能なものである。また、溶剤は、(A)成分、(B)成分等と反応しないものである。したがって、例えば、水酸基およびエチレン性不飽和基を有する化合物に分類されるものは、25℃、大気圧下で液状であっても、本発明の組成物においては、溶剤に該当しないものである。
このような溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、クロロホルム、塩化メチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、メタノール、エタノールおよびイソプロパノール等を挙げることができる。
本発明の組成物においては、溶剤の含有量としては、本発明の組成物を接着剤として使用容易とする観点からは、本発明の組成物100質量部中、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、1質量部以下がさらに好ましく、0質量部が最も好ましい。
<1-6.その他の成分>
本発明の組成物は、(A)成分と(B)成分とを必須成分とし、必要に応じて上述の(C)成分、(D)成分、(E)成分を有するものであるが、さらに必要に応じて(A)~(E)成分以外のその他の成分を含むものであってもよい。
その他の成分としては、例えば、必要に応じて、チオール化合物、無機フィラー、有機フィラー、顔料、シランカップリング剤、染料等の着色剤、光増感剤、消泡剤、増粘剤、チクソ剤、界面活性剤、レベリング剤、難燃剤、可塑剤、安定剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、静電防止剤、流動調整剤および接着促進剤等の各種樹脂添加物等を含むことができる。
チオール化合物としては、例えば、特開2016-102185号公報に記載のチオール化合物を用いることができる。
紫外線吸収剤および酸化防止剤としては、フェノール性水酸基が保護基で保護され、加熱等により保護基を脱離することで、紫外線吸収剤または酸化防止剤としての機能が発現する潜在性添加剤も用いることができる。このような潜在性添加剤としては、例えば、国際公報WO2017/170465号に記載の潜在性添加剤を挙げることができる。
これらのその他の成分の合計の含有量は、(A)成分および(B)成分の合計100質量部に対して、30質量部以下とすることができる。
<1-7.組成物の製造方法>
本発明の組成物の製造方法としては、各成分を均一に混合できる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、公知の混合方法を用いることができる。混合方法については、公知の混合装置を用いる方法を採用でき、例えば、3本ロール、サンドミル、ボールミル等を用いる方法を用いることができる。
<1-8.用途>
本発明の組成物の用途としては、高い接着力が要求される硬化物を形成して使用する用途であれば特に限定されるものではなく、接着剤、プリント配線基板のレジスト材料の他、レジストインキ、カーフィルター用顔料レジストインキ、半導体封止剤、インキ、プラスチック塗料、紙印刷、フィルムコーティング、ガラスコーティング、飛散防止塗料、家具塗装等の種々のコーティング分野、FRP、ライニング、さらにはエレクトロニクス分野における絶縁ワニス、絶縁シート、積層版、プラズマディスプレイパネル、ディスプレイ素子等の表示媒体や、位相差板、偏光板、光偏光プリズム、各種光フィルター等の光学異方体、接着剤、絶縁材、構造材、光導波路クラッド等を挙げることができる。なかでも本発明の組成物においては、様々な有機材料に対して優れた接着力を発揮できるとの効果をより効果的に発揮できる観点から、例えば、位相差板、偏光板、光偏光プリズム、各種光学用途のフィルム(光学フィルム)の接着剤用であることが好ましい。
[2.接着剤]
次に、本発明の接着剤について説明する。
本発明の接着剤は、本発明の組成物を含むものである。本発明の接着剤は、本発明の組成物のみからなるものであってもよく、本発明の組成物と、接着剤を製造する際に用いられることが知られている各種の添加剤等を公知の混合装置を用いて混合することで製造することができる。
本発明の接着剤の対象としては、有機材料、無機材料のいずれであってもよい。
有機材料としては、例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド、ポリイミド;ポリウレタン;エポキシ樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン-1,2-ジフェノキシエタン-4,4’-ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリテトラフルオロエチレン、シクロオレフィンポリマー等のポリオレフィン;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂;液晶材料等の高分子材料が挙げられる。
無機材料としては、例えば、ソーダガラスおよび石英ガラス等のガラス、鉄、銅、アルミニウム、ステンレス等の金属、その酸化物(金属酸化物)等を挙げることができる。
[3.硬化物]
本発明の硬化物は、本発明の組成物からなるものであり、(A)成分と(B)成分とに由来する構造単位を含む重合体を有するものである。本発明の硬化物の形状については、用途等に応じて適宜設定することができる。
本発明の硬化物の製造方法としては、上述の本発明の組成物を用いる方法であればよく、後述する[4.硬化物の製造方法]の項に記載の方法を用いることができる。本発明の硬化物の用途については、上記[1.組成物]の項に記載の内容と同様とすることができる。
[4.硬化物の製造方法]
次に、本発明の硬化物の製造方法について説明する。
本発明の硬化物の製造方法は、本発明の組成物を硬化する硬化工程を有する。本発明の硬化物の製造方法によれば、本発明の組成物が上述の成分を含むものであるため、接着力に優れた硬化物を容易に得ることができる。以下、本発明の硬化物の製造方法に含まれる各工程について説明する。
<4-1.硬化工程>
本発明の硬化物の製造方法に含まれる硬化工程は、本発明の組成物を硬化する工程である。本工程における本発明の組成物を硬化する方法としては、(A)成分に由来する構造単位および(B)成分に由来する構造単位を含む重合体を形成できる方法であればよい。
このような方法としては、例えば、本発明の組成物として、(A)成分および(B)成分と共にラジカル重合開始剤を含むものを用い、ラジカル重合開始剤により重合する方法を挙げることができる。
ラジカル重合開始剤を用いることで、(A)成分及び(B)成分を容易に重合することができ、(A)成分に由来する構造単位および(B)成分に由来する構造単位を含む重合体の形成が容易だからである。
また、重合方法は、ラジカル重合開始剤の種類に応じて異なる。例えば、本発明の組成物が、ラジカル重合開始剤として光ラジカル重合開始剤を含む場合には、本発明の組成物に対して光照射を行う方法を用いることができる。本発明の組成物に照射される光としては、波長300nm~450nmの光を含むものとすることができる。本発明の硬化物の製造方法においては、光照射の光源としては、例えば、超高圧水銀、水銀蒸気アーク、カーボンアーク、キセノンアーク等を挙げることができる。照射される光としては、レーザー光を用いてもよい。レーザー光としては、波長340~430nmの光を含むものを用いることができる。
レーザー光の光源としては、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムネオンレーザー、YAGレーザー、および半導体レーザー等の可視から赤外領域の光を発するものも用いることができる。なお、これらのレーザーを使用する場合には、本発明の組成物は、可視から赤外の当該領域を吸収する増感色素を含むことができる。
また、本発明の組成物が、ラジカル重合開始剤として熱ラジカル重合開始剤を含む場合には、本発明の組成物に対して加熱処理を行う方法を用いることができる。加熱温度としては、本発明の組成物を安定的に硬化できるものであればよく、60℃以上、好ましくは100℃以上300℃以下とすることができる。加熱時間としては、10秒~3時間程度とすることができる。
本発明の硬化物の製造方法においては、重合方法の種類は、1種類のみを含むものであってもよく、2種類以上を含むものであってもよい。
<4-2.その他の工程>
本発明の硬化物の製造方法は、必要に応じてその他の工程を有するものであってもよい。このような工程としては、硬化工程後に、硬化物を加熱処理するポストベーク工程、硬化工程前に、本発明の組成物を加熱処理して、本発明の組成物中の溶剤を除去するプリベーク工程、硬化工程前に、本発明の組成物の塗膜を形成する塗膜形成工程等を挙げることができる。
プリベーク工程における加熱条件としては、本発明の組成物中の溶剤を除去できるものであればよく、例えば、70℃以上150℃以下で30秒~300秒間とすることができる。
塗膜形成工程で、本発明の組成物を塗布する方法としては、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の方法を用いることができる。なお、塗膜は、基材上に形成することができる。
基材としては、硬化物の用途等に応じて適宜設定することができ、上記[1.組成物]の項に記載の硬化物が形成される対象等を挙げることができる。また、本発明の硬化物は、基材上で形成された後、基材から剥離して用いても、基材から他の被着体に転写して用いてもよい。
ポストベーク工程における加熱条件としては、硬化工程により得られた硬化物の強度等を向上できるものであればよく、例えば、200℃以上250℃以下で20分間~90分間とすることができる。本発明の組成物の硬化物は、接着力により優れたものとなるからである。
本発明の組成物、その硬化物および硬化物の製造方法は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、合成例中の配合量を表す「部」および表中の数値は、質量部を表すものである。
<合成例1:重合体1の合成>
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応装置に、水1,000部、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、「PVA-117」)1部、エチルアクリレート25部、メチルメタクリレート350部、グリシジルメタクリレート150部、アゾビスイソブチロニトリル5部、ドデシルメルカプタン5部を仕込み、80℃の窒素ガス気流下で8時間、懸濁重合法により重合反応を行った。固液分離後、減圧下で乾燥し、合成樹脂A’を得た。
ついで、撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび空気の液中導入管を備えた反応装置に、得られた合成樹脂A’100部を投入し、これに希釈剤を添加して希釈し、さらに、アクリル酸50部を加えてから、110℃の空気バブリング下で8時間加熱し、エチレン性不飽和基を有する重合体(重合体1)を得た。得られた重合体1の重量平均分子量は、標準ポリスチレン換算で、Mw85,000であった。
なお、実施例1~13、実施例19~実施例20、参考例1および比較例6では、合成樹脂A’の希釈に用いる希釈剤として、後述する表1~5に記載の(B)成分および(C)成分を用いた。例えば、実施例1で用いる重合体1では、得られる重合体(重合体1)20質量部に対して、FA2Dを50質量部、4HBAを15質量部、IXBAを15質量部となるように合成樹脂A’に対して添加した。
また、実施例14~16および比較例2~3では、合成樹脂A’の希釈に用いる希釈剤として、合成樹脂A’100質量部に対して、トルエン200質量部を用い、重合体1の製造後に、トルエンを後述する表1~5に記載の(B)成分及び(C)成分に置換した。例えば、実施例14では、重合体1の製造後に、希釈剤としてのトルエンを、得られた重合体(重合体1)50質量部に対して、4HBAを35質量部、IXBAを15質量部に置換した。
<合成例2:重合体2の合成>
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応装置に、水1,000部、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、「PVA-117」)1部、メチルメタクリレート25部、イソボルニルアクリレート350部、グリシジルメタクリレート150部、アゾビスイソブチロニトリル5部、ドデシルメルカプタン5部を仕込み、80℃の窒素ガス気流下で8時間、懸濁重合法により重合反応を行った。固液分離後、減圧下で乾燥し、合成樹脂A’を得た。
ついで、撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび空気の液中導入管を備えた反応装置に、得られた合成樹脂A’100部を投入し、これに希釈剤を添加して希釈し、さらに、アクリル酸50部を加えてから、110℃の空気バブリング下で8時間加熱し、エチレン性不飽和基を有する重合体(重合体2)を得た。得られた重合体2の重量平均分子量は、標準ポリスチレン換算で、Mw95,000であった。
なお、実施例17では、合成樹脂A’の希釈に用いる希釈剤として、後述する表1~5に記載の(B)成分及び(C)成分を用いた。例えば、実施例17で用いる重合体2では、得られる重合体(重合体2)20質量部に対して、4HBAを65質量部、IXBAを15質量部となるように合成樹脂A’に対して添加した。
<合成例3:重合体3の合成>
撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えた反応装置に、水1,000部、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、「PVA-117」)1部、アクリル酸50部、イソボルニルアクリレート350部、メチルメタクリレート125部、アゾビスイソブチロニトリル5部、ドデシルメルカプタン5部を仕込み、80℃の窒素ガス気流下で8時間、懸濁重合法により重合反応を行った。固液分離後、減圧下で乾燥し、合成樹脂A’を得た。
ついで、撹拌装置、冷却管、滴下ロートおよび空気の液中導入管を備えた反応装置に、得られた合成樹脂A’100部を投入し、これに希釈剤を添加して希釈し、さらに、グリシジルメタクリレート50部を加えてから、110℃の空気バブリング下で8時間加熱し、エチレン性不飽和基を有する重合体(重合体3)を得た。得られた重合体3の重量平均分子量は、標準ポリスチレン換算で、Mw120,000であった。
なお、実施例18では、合成樹脂A’の希釈に用いる希釈剤として、後述する表1~5に記載の(B)成分および(C)成分を用いた。例えば、実施例18で用いる重合体3では、得られる重合体(重合体3)20質量部に対して、4HBAを65質量部、IXBAを15質量部となるように合成樹脂A’に対して添加した。
<実施例、参考例および比較例>
下記表1~5の記載の配合に基づいて、各組成物を得た。ここで、表中の各成分の値の単位は質量部である。また、得られた各組成物につき、下記の手順に従って、接着性および塗布性の評価を行った。
<1.接着性>
実施例、参考例および比較例で得られた組成物を用いて下記の方法により評価用サンプルを得た。次いで、得られた評価用サンプルを、60℃90%RH1時間静置した後、90°ピール試験(剥離強度測定 N/10cm)を行い、以下の基準で判断した。結果を下記表1~5に示す。
なお、評価用サンプルは、実施例、参考例および比較例で得られた組成物を、バーコーターで硬化後の厚みが3μmとなるように、基材に塗布した後、下記表1~5に示す組合せの基材とラミネーターを用いて貼り合わせ、無電極紫外光ランプを用いて1,000mJ/cm2に相当する光を基材越しに照射し、組成物を硬化し、次いで、2.5cm幅に切り出して評価用サンプルを得た。なお、2N/10cm以上であると接着力が良好であると判断できる。
<2.塗布性>
実施例、参考例および比較例で得られた組成物を、それぞれを、25℃においてE型粘度計(東機産業社製のE型粘度計TVE-25L)で粘度を測定し、以下の基準で判断した。結果を下記表1~5に示す。
++:300mPa・s未満
+:300mPa・s以上1500mPa・s未満
-:1500mPa・s以上
なお、「++」「+」であると塗布性が良好であると判断できる。
(接着性評価で用いた基材)
COP:(日本ゼオン製:品番ゼオノアフィルム14-060)
TACフィルム:(富士フィルム:品番FT-TD60ULP)
PMMAフィルム:(住友化学製テクノロイ125S001)
ポリイミドフィルム:(SKCKOLON社製)
ポリエチレンテレフタレート:(東洋紡社製A-4300、膜厚100μm)
PC:(三菱エンジニアリングプラスチック製 ユーピロンFE-2000)
※1 :東亞合成社製 ポリエステルアクリレート((A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する重合体)
※2 :東亞合成社製 ウレタアクリレート((A)成分以外のエチレン性不飽和基を有する重合体)
※3 :ダイセル社製 プラクセル FA2D(不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトン、(B)成分)
※4 :ダイセル社製 プラクセル FA5(不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトン、(B)成分)
※5 :日油社製 ブレンマーAE-200(ポリエチレングリコール-モノアクリレート、(B)成分)
※6 :日油社製 ブレンマーAE-400(ポリエチレングリコール-モノアクリレート、(B)成分)
※7 :日油社製 ブレンマーAP-200(ポリプロピレングリコール-モノアクリレート、(B)成分)
※8 :日油社製 ブレンマーAP-400(ポリプロピレングリコール-モノアクリレート、(B)成分)
※9 :ブレンマーAP-800(ポリプロピレングリコール-モノアクリレート、(B)成分)
※10:日油社製 4-ヒドロキシブチルアクリレート((B)成分、一般式(1)のm1が3~6、m2が1、m4が0の例)
※11:大阪有機化学工業社製 IXBA(イソボルニルアクリレート、(C)成分、環構造が脂肪族炭化水素環)
※12:アクリロイルモルフォリン((C)成分、環構造が脂肪族複素環)
※13:ADEKA社製 SP-246((D)成分、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤)
※14:東レダウコーニング社製SH-29Paint additive((A)~(E)以外のその他の成分、レベリング剤)
※15:BASFジャパン社製 イルガキュア819((D)成分、ホスフィンオキサイド系光重合開始剤)
表1から表5より、実施例の組成物は、いずれの樹脂基材との接着力も2N/10cm以上であり、高い接着力を有することが確認できた。この結果から、様々な光学フィルム向けの接着剤として優れた接着力を発揮できることが確認できた。また、実施例の組成物は、塗布性の評価が「++」または「+」であり、塗布性も良好であった。この結果より、実施例の組成物は、優れた接着力を発揮すると共に、優れた塗布性を発揮することが確認できた。