JP2010054825A - アルカリ現像性ネガ型樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性、硬度、耐熱性等の被膜性能と感度、解像度等のレジスト性能との両立を図ることができるアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物を提供する。
【解決手段】アルカリ現像性ネガ型樹脂組成物は、下記の成分A、成分B、成分C及び成分Dを含有し、カルボキシル当量(g/モル)/エポキシ当量(g/モル)の比a/e=0.5〜1.5、(成分A+成分C)/成分Bの質量比=0.7〜5.6及び成分D/(成分A+成分B+成分C)の質量比=0.01〜0.12である。成分A:イタコン酸モノエステル由来の構成単位(a1)及びビニル単量体又はビニルエステル単量体由来の構成単位(a2)より構成され、質量平均分子量が3,000〜300,000及び酸価が50〜150mgKOH/gであるアルカリ可溶性共重合体。成分B:光重合性多官能(メタ)アクリレート。成分C:エポキシ樹脂。成分D:光重合開始剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えばプリント配線板、液晶ディスプレイ等のレジスト材料として使用され、イタコン酸モノエステル共重合体を含み、紫外線などの活性エネルギー線の照射により硬化するアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物に関する。
近年、フォトレジスト材(以下、単にレジスト材ともいう)は広く応用されており、パーソナルコンピュータ(パソコン)やテレビをはじめとする電子製品等の製造工程又は加工工程に不可欠な微細加工材料となっている。係るレジスト材はマスク(マスキング材)を用いた活性エネルギー線の照射により、露光部と未露光部のアルカリ溶液への溶解性の差を発現させることによってパターン化が行われ、アルカリ溶液で未露光部を溶解させ、さらに加熱による溶剤の除去及び硬化を行い所定形状のパターン形成が行われる。
活性エネルギー線照射部の溶解性が低下するレジスト材を特にネガ型レジスト材といい、活性エネルギー線による硬化に基づいて機械的強度等の向上が望めるため、プリント配線板材料のソルダーレジストや液晶ディスプレイのカラーフィルター用保護膜等の永久レジストとして応用されている。
これらレジスト材の要求性能としては大きく2つに分けられる。透明性、耐熱性、硬度、耐薬品性等の被膜性能と、感度、解像度等のレジスト性能である。近年では、電子製品の小型化、集積回路の微細化に伴い、優れた感度、解像度等のレジスト性能を有するレジスト材が一層強く望まれ、これら性能の両立が不可欠となっている。
これら被膜性能とレジスト性能の両立を達成すべく、これまでに多くの検討がなされてきた。上記課題を解決する一般的な手法として具体的には、アルカリ可溶性樹脂、二重結合を有する化合物、光重合開始剤、重合禁止剤及び溶媒を含有する光硬化性樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この光硬化性樹脂組成物では各成分の組成比や酸価等を調整することにより、前記両性能のバランス化が試みられてきた。しかし、この光硬化性樹脂組成物より得られるレジスト材では感度、解像度等のレジスト性能の向上は望めるが、アルカリ可溶性共重合体、二重結合を有する化合物等の成分の種類や組成に起因してレジスト膜の膜減り、耐熱性の低下等が問題となり、十分な性能の両立は達成できていなかった。
また、エポキシエステル化合物と多塩基性カルボン酸又はその無水物とを反応して得られるアルカリ可溶性樹脂及びそれを用いた感放射線性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。係る感放射線性樹脂組成物を用いて得られるレジスト材では、芳香環を多数有していることから硬度や耐熱性の向上は望めるが、感度が不十分であると共に、芳香環特有の紫外線吸収があるため、400nm以下の波長領域において透過率が著しく低下するという問題があった。
さらに、エポキシ樹脂に不飽和一塩基酸を付加させたエポキシ付加物に多塩基酸無水物及び多官能エポキシ化合物をエステル化させてなる反応生成物を含有するアルカリ現像性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献3を参照)。このアルカリ現像性樹脂組成物を用いたレジスト材では、カルボキシル基とエポキシ基の熱硬化反応を利用し、感度及び解像度を維持しながら硬度、耐熱性等の性能を向上させるようにしている。しかしながら、該感放射線性樹脂組成物では、条件によりカルボキシル基とエポキシ基との反応において未反応物が残存することから、反応物と未反応物との間に層分離が起こり、レジスト材の透明性が低下するという問題があった。
上記の通り、被膜性能とレジスト性能は二律背反とも言うべき性能であり、従来の技術ではこれら被膜性能とレジスト性能の両立は難しく、2つの性能の両立を可能にするアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物が求められているのである。
特開2004−77773号公報(第2頁、第3頁及び第16頁) 特開2006−241224号公報(第2頁、第3頁及び第18頁) 特開2007−34279号公報(第2頁、第3頁、第16頁及び第17頁)
そこで本発明の目的とするところは、透明性、硬度、耐熱性等の被膜性能と感度、解像度等のレジスト性能との両立を図ることができるアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物を提供することにある。
前記の目的を達成するために、本発明における第1の発明のアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物は、下記の成分A、成分B、成分C及び成分Dを含有し、カルボキシル当量(g/モル)/エポキシ当量(g/モル)の比a/e=0.5〜1.5、(成分A+成分C)/成分Bの質量比=0.7〜5.6及び成分D/(成分A+成分B+成分C)の質量比=0.01〜0.12であることを特徴とする。
成分A:下記一般式(1)で表されるイタコン酸モノエステル由来の構成単位(a1)を13〜72質量%及び下記一般式(2)で表されるビニル単量体又はビニルエステル単量体由来の構成単位(a2)を28〜87質量%より構成され、質量平均分子量が3,000〜300,000及び酸価が50〜150mgKOH/gであるアルカリ可溶性共重合体。
Figure 2010054825
(R及びRは、水素、炭素数1〜8の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。但し、R及びRのいずれか1つは水素である。)
Figure 2010054825
〔一般式(2)中のXは、R又はOCORを表し、Rは炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。Rは炭素数1〜17の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。〕
成分B:光重合性多官能(メタ)アクリレート
成分C:エポキシ樹脂
成分D:光重合開始剤
第2の発明のアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物は、第1の発明において、前記成分Aのアルカリ可溶性共重合体が、前記一般式(1)で表されるイタコン酸モノエステル由来の構成単位(a1)を13〜72質量%と、前記一般式(2)で表されるビニル単量体又はビニルエステル単量体由来の構成単位(a2)を28〜87質量%と、下記一般式(3)で表される(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位(a3)を1〜25質量%とより構成され、前記構成単位(a1)及び構成単位(a2)の合計が75〜99質量%であることを特徴とする。
Figure 2010054825
(Rは水素又はメチル基である。Rは炭素数1〜8の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。)
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
第1の発明のアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物では、その被膜に活性エネルギー線を照射することにより、成分Aのアルカリ可溶性共重合体と成分Cのエポキシ樹脂との硬化反応が進行すると共に、成分Bの光重合性多官能(メタ)アクリレートが光重合することによって光架橋反応が進行する。これらの反応によって高度に架橋された架橋構造を有する硬化被膜が形成される。この場合、アルカリ現像性ネガ型樹脂組成物中におけるカルボキシル当量とエポキシ当量が1当量前後の範囲に特定されていることから、未反応物の生成を抑制することができる。
さらに、成分Bに対する成分A及び成分Cの合計量の質量比が0.7〜5.6に設定されていることから、現像時における膜減りを抑えてパターン形成を良好にできると共に、硬化反応を進行させて硬化被膜の硬度及び耐熱性を高めることができる。かつ、成分A、成分B及び成分Cの合計量に対する成分Dの質量比が0.01〜0.12に設定されていることから、光硬化反応を十分に進行させて現像時の膜減りを抑制してパターン形成を精度よく行うことができると共に、成分Dの光重合開始剤が析出して硬化被膜表面に荒れが生じることを防止することができる。
従って、アルカリ現像性ネガ型樹脂組成物では、硬化被膜の透明性、硬度、耐熱性等の被膜性能と、感度、解像度等のレジスト性能との両立を図ることができる。よって、このアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物をプリント配線板用のソルダーレジストやカラーフィルター用保護膜等の永久レジストとして好適に使用することができる。
第2の発明のアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物では、構成単位(a3)を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体が共重合性に優れている。このため、第1の発明の効果に加えて、成分Aのアルカリ可溶性共重合体における構成単位(a1)を形成するイタコン酸モノエステル単量体と、構成単位(a2)を形成するビニル単量体又はビニルエステル単量体との共重合性を向上させることができる。
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
本実施形態のアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物は、以下に示す成分A、成分B、成分C及び成分Dを含有する。
成分A:イタコン酸モノエステル由来の構成単位(a1)及びビニル単量体又はビニルエステル単量体由来の構成単位(a2)を含有するアルカリ可溶性共重合体。
成分B:光重合性多官能(メタ)アクリレート
成分C:エポキシ樹脂
成分D:光重合開始剤
このアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物では、カルボキシル当量(g/モル)/エポキシ当量(g/モル)の比a/e=0.5〜1.5、(成分A+成分C)/成分Bの質量比=0.7〜5.6及び成分D/(成分A+成分B+成分C)の質量比=0.01〜0.12である。
係るアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物によれば、該樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して形成される硬化物(以下、硬化被膜という。)について透明性、硬度、耐熱性等の被膜性能と、感度、解像度等のレジスト性能との両立を果たすことができる。以下に各成分の詳細について説明する。
〔成分Aのアルカリ可溶性共重合体〕
成分Aのアルカリ可溶性共重合体はアルカリ溶液への溶解性を付与し、感度及び解像度の向上に寄与する成分であり、かつ硬化反応による硬化被膜の硬度及び耐熱性を付与する成分である。このアルカリ可溶性共重合体は、下記一般式(1)で表されるイタコン酸モノエステル由来の構成単位(a1)を13〜72質量%、好ましくは19〜58質量%含有する。さらに、下記一般式(2)で表されるビニル単量体由来の構成単位又はビニルエステル単量体由来の構成単位(a2)を28〜87質量%、好ましくは42〜81質量%含有する。そして、酸価が50〜150mgKOH/g、好ましくは70〜120mgKOH/gである。加えて、質量平均分子量が3,000〜300,000、好ましくは5,000〜50,000である。
該アルカリ可溶性共重合体としては、共重合性向上の観点から下記一般式(3)で表される(メタ)アクリル酸由来の構成単位(a3)を含んでいることが好ましい。その場合構成単位(a3)の含有量は、好ましくは1〜25質量%、より好ましくは1〜20質量%である。但し、前記構成単位(a1)及び構成単位(a2)の合計が好ましくは75〜99質量%、より好ましくは80〜99質量%である。
Figure 2010054825
一般式(1)中のR又はRは、水素(水素原子を意味する。以下同様である。)、炭素数1〜8の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。但し、R及びRはいずれか1つが水素である。
Figure 2010054825
一般式(2)中のXは、R又はOCORを表し、Rはそれぞれ炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。Rは炭素数1〜17の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。
Figure 2010054825
一般式(3)中のRは水素又はメチル基である。Rは炭素数1〜8の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。
アルカリ可溶性共重合体中の構成単位(a1)が13質量%よりも少ない場合には、硬化被膜の耐熱性及び硬度が低下し、十分な性能が得られない。その一方、72質量%よりも多い場合には、アルカリ溶液への溶解性が高くなり過ぎるため、現像時に膜減り(膜厚減少)が大きくなって十分な解像度が得られない。
アルカリ可溶性共重合体中の構成単位(a3)が1質量%より少ないと、一般式(3)で表される構成単位(a3)を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体による効果を十分に発揮することができなくなる。一方、構成単位(a3)が25質量%より多いと、他の成分との共重合性がかえって悪化し未反応物が多くなるため、層分離が起こり硬化被膜の透明性が低下する。
また、アルカリ可溶性共重合体の質量平均分子量が3,000より低い場合には硬化被膜の耐熱性及び硬度が低下し、質量平均分子量が300,000より高い場合には、アルカリ溶液への溶解性が低下するため、感度及び解像度が低下し、十分なレジスト性能が得られなくなる。
アルカリ可溶性共重合体は、前記構成単位(a1)を形成するイタコン酸モノエステル単量体、構成単位(a2)を形成するビニル単量体又はビニルエステル単量体及び必要により構成単位(a3)を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体を、重合開始剤を用いて共重合することにより得られる。その際に用いられる重合開始剤としては、一般的にラジカル重合開始剤として知られているものを使用することができる。その具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のニトリル系アゾ化合物、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等の非ニトリル系アゾ化合物、t−ヘキシルペルオキシピバレート等の有機過酸化物及び過酸化水素が挙げられる。ラジカル重合開始剤として過酸化物を使用する場合には、これと還元剤とを組み合わせてレドックス型重合開始剤として使用してもよい。
アルカリ可溶性共重合体はアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物中に15〜70質量%含まれ、15〜50質量%含まれることが好ましい。アルカリ可溶性共重合体の含有量が15質量%未満の場合には硬化被膜の硬度及び耐熱性が低下し、70質量%を超える場合にはアルカリ溶液への溶解性が高くなり過ぎて現像時に膜減りが起こる。
<イタコン酸モノエステル由来の構成単位(a1)>
係るイタコン酸モノエステル由来の構成単位(a1)は前記一般式(1)で表され、主として硬化被膜の被膜性能である耐熱性及び硬度の付与、並びにレジスト性能である感度及び解像度に寄与する成分である。該構成単位(a1)内のカルボキシル基は硬化条件下(通常180〜250℃、20〜90分)において、下記反応式(i)に示す脱アルコール反応による5〜7員環の無水物の生成反応と、下記反応式(ii)に示すエポキシ樹脂との硬化反応とを同時に起こす。
脱アルコール反応による無水物の生成反応とは、構成単位(a1)内のアルコキシ基の脱離と同時にカルボキシル基の水素を引き抜いてアルコールとして脱離し、無水環を生成させる反応である。反応式(i)では例として6及び7員環の無水物の生成反応を示す。エポキシ樹脂との硬化反応とは、構成単位(a1)を形成するイタコン酸モノエステル単量体のカルボキシル基とエポキシ樹脂内のエポキシ基との反応である。
生成した5〜7員環の無水物はエポキシ樹脂内の2級水酸基又は反応式(ii)により生成した2級水酸基と下記反応式(iii)に示すように硬化反応を起こし、カルボン酸を再生する。反応式(iii)に示す反応は1例であり、反応式(i)により生成した5〜7員環の無水物全てに同様の反応が起こる。再生したカルボン酸は反応式(ii)と同様にエポキシ樹脂と硬化反応し、結果としてカルボン酸及びエポキシ樹脂単体は反応系中には残らず、高い透明性を維持しながら高度に架橋された硬化被膜が形成され、優れた耐熱性及び硬度を有する硬化被膜を提供することができる。
なお、反応式(i)及び(iii)を利用した硬化システムを他の共重合体、例えば(メタ)アクリル酸等の一塩基酸と(メタ)アクリル酸メチル等の汎用性単量体の共重合体を用いた場合、硬化条件下において解重合が起こるため、上記反応式(i)及び(iii)に示す反応は起こらない。従って、その場合には高度に架橋された硬化被膜は得られず、十分な硬度及び耐熱性を得ることは難しい。
Figure 2010054825
Figure 2010054825
Figure 2010054825
一般式(1)で表されるイタコン酸モノエステル由来の構成単位(a1)を成分Aのアルカリ可溶性共重合体に導入するために用いられる単量体としては、下記一般式(4)で表されるイタコン酸モノエステル単量体を使用することができる。
Figure 2010054825
上記一般式(4)中のR、Rは炭素数1〜8の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基又は6〜12の芳香族炭化水素基である。但し、R及びRのいずれか1つは水素である。この場合、炭素数が8を超える直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基又は炭素数12を超える芳香族炭化水素基を用いると、前記反応式(i)が起こる温度が250℃以上となるため、反応式(ii)による硬化反応が起こらず、硬化被膜の十分な硬度及び耐熱性を得ることができなくなる。
<ビニル単量体又はビニルエステル単量体由来の構成単位(a2)>
係るビニル単量体由来の構成単位又はビニルエステル単量体由来の構成単位(a2)は前記一般式(2)で表され、硬化被膜の透明性並びに感度及び解像度を制御する成分である。該構成単位(a2)をアルカリ可溶性共重合体に導入するために使用される単量体としては、下記式(5)及び(6)で表されるビニル単量体及びビニルエステル単量体が挙げられる。
Figure 2010054825
上記一般式(5)中のRは炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。ここで、炭素数が6を超える直鎖又は分岐アルキル基、炭素数が8を超えるシクロアルキル基又は炭素数が12を超える芳香族炭化水素基を用いると、アルカリ溶液へのアルカリ可溶性共重合体の溶解性が低下し、十分な感度及び解像度が得られなくなる。一般式(5)中のRとしては、感度及び解像度と耐熱性との両立の観点からシクロヘキシル基又はフェニル基が好ましい。
Figure 2010054825
上記一般式(6)中のRは炭素数1〜17の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。ここで、炭素数が17を超える直鎖又は分岐アルキル基、炭素数が8を超えるシクロアルキル基又は炭素数が12を超える芳香族炭化水素基を用いると、アルカリ溶液へのアルカリ可溶性共重合体の溶解性が低下し、十分な感度及び解像度が得られない。感度及び解像度と耐熱性との両立の観点からシクロヘキシル基又はフェニル基が好ましい。
<(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位(a3)>
係る(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位(a3)は前記一般式(3)で表され、前記イタコン酸モノエステルとビニル単量体又はビニルエステル単量体との共重合性を向上させる観点から用いられる。(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位(a3)を成分Aのアルカリ可溶性共重合体に導入するために用いられる単量体としては、下記式(7)で表される共重合性に優れた(メタ)アクリル酸エステル単量体が挙げられる。
Figure 2010054825
一般式(7)中のRは水素又はメチル基である。Rは炭素数1〜8の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。
〔成分Bの光重合性多官能(メタ)アクリレート〕
マスクを介する活性エネルギー線の照射により、活性エネルギー線の照射部(露光部)では成分Bの光重合性多官能(メタ)アクリレートが光架橋反応を起こし、アルカリ溶液に対して不溶化する。一方、活性エネルギー線の非照射部(未露光部)では光架橋反応を起こさず、アルカリ溶液に対して溶解する。その結果、活性エネルギー線の照射部と非照射部とでアルカリ溶液への溶解性に差を発現させ、係る溶解性の差に基づいてパターンを形成することができる。
光重合性多官能(メタ)アクリレートは、好ましくは2〜6個のエチレン性不飽和結合を有する多官能光重合性化合物であり、具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの光重合性多官能(メタ)アクリレートは、単独で又は2種以上を適宜組合せて使用してもよい。
1分子中におけるエチレン性不飽和結合の数は3個以上が好ましく、架橋密度を向上させ、硬化被膜に硬度及び耐熱性を付与するという観点では5〜6個がより好ましい。エチレン性不飽和結合の数が7個以上になると硬化被膜の可撓性が低下し、1個では硬化被膜の架橋密度が著しく不足するため十分な硬度及び耐熱性が得られなくなる。
アルカリ現像性ネガ型樹脂組成物中における成分Bの光重合性多官能(メタ)アクリレートの含有量は15〜50質量%であり、好ましくは20〜40質量%である。該光重合性多官能(メタ)アクリレートの含有量が15質量%を下回ると光架橋が不十分となり、硬化被膜についての硬度、耐熱性等の被膜性能が不足し、50質量%を上回ると形成される硬化被膜の可撓性が悪化する。
〔成分Cのエポキシ樹脂〕
成分Cのエポキシ樹脂は耐溶剤性の付与及び上述した反応式(ii)に示す硬化反応により第2級水酸基を生成し、生成した第2級水酸基及びエポキシ樹脂内の第2級水酸基はさらに上述した反応式(iii)に示す硬化反応を起こすことにより、硬化被膜に硬度及び耐熱性を付与する役割を果たす。
エポキシ樹脂とは、エポキシ基を分子内に2個以上有する化合物をいう。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂等の2官能性エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂、さらに脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、下記一般式(8)〜(11)に示す分子内に第2級水酸基を含有するエポキシ樹脂が硬化被膜の架橋密度を高めることができるという観点から好ましい。
Figure 2010054825
Figure 2010054825
Figure 2010054825
Figure 2010054825
一般式(8)〜(11)中のn1、n2、m1、及びm2は0.1〜5、好ましくは1〜5である。このnが5を超えると、エポキシ樹脂とアルカリ可溶性共重合体との相溶性が悪くなり、硬化被膜に白化が生じるため好ましくない。
アルカリ現像性ネガ型樹脂組成物中におけるエポキシ樹脂の含有量は10〜50質量%であり、好ましくは10〜40質量%である。エポキシ樹脂の含有量が10質量%より少ない場合、前記反応式(ii)及び(iii)に示す硬化反応による架橋が進行せず、硬化被膜の硬度及び耐熱性が悪化する。その一方、エポキシ樹脂の含有量が50質量%より多い場合、エポキシ基の濃度が高くなり過ぎ、アルカリ現像性ネガ型樹脂組成物の保存安定性や現像適性が得られなくなる。
〔成分Dの光重合開始剤〕
成分Dの光重合開始剤(ラジカル重合開始剤)とは、活性エネルギー線の照射、特に波長365nm以下の活性エネルギー線で活性化し得るラジカル重合開始剤をいう。光重合開始剤として具体的には、ベンゾイン、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体又はそれらのエステルなどの誘導体;キサントン及びチオキサントン誘導体;クロロスルフォニル、クロロメチル多核芳香族化合物、クロロメチル複素環式化合物、クロロメチルベンゾフェノン類等の含ハロゲン化合物;トリアジン類;フルオレノン類;ハロアルカン類;アクリジン類;光還元性色素と還元剤とのレドックスカップル類;有機硫黄化合物;過酸化物等が挙げられる。
これらの中でも、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4−モルフォリノブチルフェノン、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノ−プロピオフェノン、1,7−(9−アクリジニル)ヘプタン、及び2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールが光硬化反応の効率が良好であるため好ましい。これらの光重合開始剤は、1種のみ又は2種以上を適宜組合せて用いることができる。2種以上を併用する場合には、吸収分光特性を阻害しないように選択することが望ましい。
アルカリ現像性ネガ型樹脂組成物中における光重合開始剤の含有量は1〜10質量%であり、好ましくは1〜7質量%である。光重合開始剤の含有量が1質量%未満になると光硬化反応が進行せず、現像時におけるレジスト膜(硬化被膜)の膜減り、パターン形成不良等が問題となる。それに対して、その含有量が10質量%を超えるとベース樹脂への溶解度が飽和に達し、スピンコーティング時や被膜レベリング時に光重合開始剤の結晶が析出し、被膜面の均質性が保持できなくなり、被膜表面の荒れ等が問題となる。
なお、アルカリ現像性ネガ型樹脂組成物を調製するにあたって、光重合開始剤はアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物に最初から添加しておいてもよいが、比較的長期間保存する場合には、使用直前に光重合開始剤をアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物中に分散或いは溶解することが好ましい。
アルカリ現像性ネガ型樹脂組成物には、塗料化及び塗布適性を考慮して通常、成分Aのアルカリ可溶性共重合体、成分Bの光重合性多官能(メタ)アクリレート、成分Cのエポキシ樹脂及び成分Dの光重合開始剤等に対する溶解性の良好な溶剤が含まれる。使用可能な溶剤としては、例えばアルコール系溶剤、カルビトール系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、ラクトン系溶剤、不飽和炭化水素系溶剤、セロソルブアセテート系溶剤、カルビトールアセテート系溶剤やプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。これらの溶剤を用いることにより、アルカリ現像性ネガ型樹脂組成物中の固形分濃度を5〜50質量%に調整することができる。
アルカリ現像性ネガ型樹脂組成物を調製する場合には、収容容器内に成分Aのアルカリ可溶性共重合体、成分Bの光重合性多官能(メタ)アクリレート、成分Cのエポキシ樹脂、成分Dの光重合開始剤及び適切な溶剤を投入し、ペイントシェーカー、ビーズミル、サンドグラインドミル、ボールミル、アトライターミル、2本ロールミル、3本ロールミルなどを用い、常法に従って溶解又は分散させればよい。なお、アルカリ可溶性共重合体としては、合成反応後に有効成分であるアルカリ可溶性共重合体を単離精製したものを用いることができるほか、合成反応により得られた反応溶液、その乾燥物などをそのまま用いることもできる。
<各成分の比率>
前記各成分を混合してアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物を調製する際には、アルカリ現像性ネガ型樹脂組成物中におけるカルボキシル基とエポキシ基の当量比は、カルボキシル当量(g/モル)/エポキシ当量(g/モル)の比a/e=0.5〜1.5に設定される。このa/eが0.5を下回る場合には、前記硬化反応が十分に進行せず、硬化被膜の硬度及び耐熱性が不足するという結果を招く。その一方、1.5を上回る場合には、成分Aのアルカリ可溶性共重合体の含有量が多くなるためアルカリ溶液への溶解性が高くなり過ぎ、現像時における膜減りによるパターン形成が不良となる。
また、成分Bに対する成分A及び成分Cの合計量の質量比は、(成分A+成分C)/成分Bの質量比=0.7〜5.6に設定される。この質量比が0.7より小さい場合には、得られる硬化被膜の可撓性が悪化する。一方、5.6より大きい場合には、活性エネルギー線によるアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物の架橋が不十分となり、硬化被膜の硬度及び耐熱性が不足する。
さらに、成分A、成分B及び成分Cの合計量に対する成分Dの質量比は、成分D/(成分A+成分B+成分C)の質量比=0.01〜0.12に設定される。この質量比が0.01より小さい場合には、活性エネルギー線によるアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物の硬化反応が進行せず、現像時における膜減りによるパターン形成不良を招く。一方、0.12より大きい場合には、成分Dの成分Aへの溶解度が飽和に達し、スピンコーティング時や被膜レベリング時に成分Dが析出し、被膜の均質性が保持できなくなり、膜荒れ等の問題が生ずる。
〔硬化被膜の形成方法〕
上記のようにして得られるアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物を何らかの支持体に塗布して被膜(乾燥被膜)を形成し、該乾燥被膜に活性エネルギー線を照射すると、照射部では光重合性多官能(メタ)アクリレートが架橋結合を形成して一次硬化する。このとき、活性エネルギー線を照射する前に80〜150℃、2〜15分程度の前処理を行ってもよい。その後通常180〜250℃、20〜90分の条件下で硬化して硬化被膜を形成する。硬化中に前述した2種類の反応式(ii)及び(iii)に示す硬化反応が進行し、高度に架橋された硬化被膜が形成される。得られる硬化被膜は、耐熱性及び硬度に優れており、変色や透明性の低下が起き難い。
〔パターン形成方法〕
上記のようにして得られるアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物を何らかの支持体に塗布し乾燥して乾燥被膜を形成し、該乾燥被膜にマスクを介して活性エネルギー線を照射すると、照射部では光重合性多官能(メタ)アクリレートが架橋結合を形成して一次硬化する。その後、非照射部はアルカリ溶液により現像除去され、パターン化された被膜が得られる。その後、該被膜を通常180〜250℃、20〜90分の条件下で硬化し、硬化被膜を形成する。このようにして、硬化被膜に基づく所望のパターンが形成される。
〔実施形態によって発揮される効果のまとめ〕
・ 本実施形態のアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物では、その被膜に活性エネルギー線を照射することにより、成分Aのアルカリ可溶性共重合体と成分Cのエポキシ樹脂とよって前記反応式(ii)及び反応式(iii)に基づく硬化反応が進行する。同時に、成分Bの光重合性多官能(メタ)アクリレートが光重合することによって光架橋反応が進行する。これらの反応によって高度に架橋された架橋構造を有する硬化被膜が形成される。この場合、アルカリ現像性ネガ型樹脂組成物中におけるカルボキシル当量とエポキシ当量が1当量前後の範囲に特定されていることから、未反応物の生成を抑制することができる。
さらに、成分Bに対する成分A及び成分Cの合計量の質量比が0.7〜5.6に設定されていることから、現像時における膜減りを抑えてパターン形成を良好にできると共に、硬化反応を進行させて硬化被膜の硬度及び耐熱性を高めることができる。加えて、成分A、成分B及び成分Cの合計量に対する成分Dの質量比が0.01〜0.12に設定されていることから、光硬化反応を十分に進行させて現像時の膜減りを抑制してパターン形成を精度よく行うことができると共に、成分Dの光重合開始剤が析出して硬化被膜表面に荒れ生じることを防止することができる。
従って、アルカリ現像性ネガ型樹脂組成物では、硬化被膜の透明性、硬度、耐熱性等の被膜性能と、感度、解像度等のレジスト性能との両立を図ることができる。よって、このアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物をプリント配線板用のソルダーレジストやカラーフィルター用保護膜等の永久レジストとして好適に使用することができる。
・ また、成分Aのアルカリ可溶性共重合体が、前記構成単位(a1)を13〜72質量%と、構成単位(a2)を28〜87質量%と、構成単位(a3)を1〜25質量%とより構成され、構成単位(a1)及び構成単位(a2)の合計が75〜99質量%に設定される。この場合、構成単位(a3)を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体の共重合性が良好であることから、構成単位(a1)を形成するイタコン酸モノエステル単量体と、構成単位(a2)を形成するビニル単量体又はビニルエステル単量体との共重合性を向上させることができる。
以下に、合成例、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
以下の実施例における試験方法について説明する。
<酸価>
酸価は、JIS K0070:1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」に準じて、テトラヒドロフラン(THF)溶液に、一定量の樹脂を溶解させ、フェノールフタレインを指示薬としてKOH/エタノール溶液にて滴定し、測定を行った。
<質量平均分子量>
質量平均分子量(Mw)は、東ソー(株)製ゲルパミエーションクロマトグラフィー装置HLC−8220GPCを用い、カラムとして昭和電工(株)製SHODEX K−801を用い、THFを溶離液とし、RI検出器により測定してポリスチレン換算により求めた。
硬化被膜についての試験方法は以下の通りである。
<波長380nmの光線透過率>
硬化被膜形成方法に示した工程により得られたガラス基板上の硬化被膜について光(波長380nm)の透過率を、ガラス基板をリファレンスとし、吸光計〔島津(株)製、UV−3100PC〕を用いて測定し、以下の基準で評価した。
波長380nmの光線透過率が99%以上:実用上非常に好ましい。
波長380nmの光線透過率が96%以上、99%未満:実用上好ましい。
波長380nmの光線透過率が94%以上、96%未満:実用可能である。
波長380nmの光線透過率が94%未満:実用不可である。
<鉛筆硬度>
JIS K5600−5−4:1999「塗料一般試験方法−第5部:被膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」のうち、手掻き法により硬化被膜の表面硬度を以下の基準で評価した。
5H以上:実用上非常に好ましい。4H:実用上好ましい。3H:実用可能である。2H以下:実用不可である。
<耐熱性試験(1)>
硬化被膜形成方法に示した工程により得られた硬化被膜を削り取り、空気中で10℃/分の昇温設定にてTG−DTA測定〔セイコーインスツルメンツ(株)製、TG/DTA220U〕を行い、5%質量減少温度を確認し、以下の基準で評価した。
5%質量減少温度が350℃以上:実用上非常に好ましい。5%質量減少温度が320℃以上、350℃未満:実用上好ましい。5%質量減少温度が300℃以上、320℃未満:実用可能である。5%質量減少温度が300℃未満:実用不可である。
<耐熱性試験(2)>
パターン形成方法で示した工程により得られた線幅20〜30μmのパターンを280℃で1時間加熱した後、パターン観察を行い、レジストの耐熱性を下記の基準で評価した。
熱ダレ等の形状変化が観られないものは実用上好ましく、◎と判定した。
熱ダレ等の形状変化が観られるものは実用不可であり、△と判定した。
パターンの形成が不可能であるものは評価不能であり、×と判定した。
<密着性試験(1)>
保護膜を設けたガラス基板を80℃の純水に1時間浸漬後に、JIS K5600−5−6:1999「塗料一般試験方法−第5部:被膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」の試験を行い、下記の基準で評価した。
膜残存率が100%:実用上好ましい。膜残存率が99%以上、100%未満:実用可能である。膜残存率が99%未満:実用不可である。
<密着性試験(2)>
アルカリ現像後の線幅20〜30μmのパターン観察を行い、密着性を下記の基準で評価した。
パターンの剥がれや膨潤が観られないものは実用上好ましく、◎と判定した。パターンの剥がれや膨潤が観られるものは実用不可であり、△と判定した。パターンの形成が不可能であるものは評価不能であり、×と判定した。
<感度>
線幅20μmのパターンを良好に形成するのに最低必要な露光量により、レジスト感度を下記の基準で評価した。
必要な露光量が100mJ/cm以上、150mJ/cm未満:実用上非常に好ましい。必要な露光量が150mJ/cm以上、250mJ/cm未満:実用上好ましい。必要な露光量が250mJ/cm以上、350mJ/cm未満:実用可能である。必要な露光量が350mJ/cm以上:実用不可である。
<解像度>
線幅20〜30μmのパターン形状を観察し、解像度の評価を下記の基準で行った。
線幅20μmのパターンをスカムなく良好にパターン形成できるものは実用上好ましく◎と判定した。線幅30μmのパターンまでスカムなく良好にパターン形成できるものは実用可能であり、○と判定した。線幅30μm以下のパターン形成が困難なものは実用不可であり、×と判定した。
(合成例1、アルカリ可溶性共重合体a−1の合成)
単量体として、イタコン酸モノメチル231.3g及びスチレン626.3gをパーブチルPV〔商品名、日油(株)製の有機過酸化物〕42.9gと共に、210gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解した溶液を、90℃に温度調整した1889.5gのPGMEAを入れた窒素バブリング条件下の重合槽中に2時間かけて滴下した。その後同温度で6時間熟成し、さらに2時間100℃で過酸化物の加熱処理を行い、アルカリ可溶性共重合体a−1を得た。
合成例1と同様の方法で合成例2〜7及び比較合成例1〜6を合成し、共重合体a−2〜a−7、a’−1〜a’−6を得た。配合割合と合成結果を表1及び表2に示した。なお、表1及び表2では、アルカリ可溶性共重合体の合計量が100gとなるように計算をして記載した。
Figure 2010054825
表1中の略号は以下の通りである。
MMI:イタコン酸モノメチル、MBI:イタコン酸モノブチル、MOI:イタコン酸モノオクチル、McHI:イタコン酸モノシクロヘキシル、MBeI:イタコン酸モノベンジル、St:スチレン、VC:ビニルシクロヘキシル、VcHC:シクロヘキサンカルボン酸ビニル、VB:安息香酸ビニル、MMA:メタクリル酸メチル、パーブチルPV:商品名、日油(株)製の有機過酸化物、パーヘキシルPV:商品名、日油(株)製の有機過酸化物、PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート。
Figure 2010054825
表2中の略号は以下の通りである。
MDI:イタコン酸モノデシル、MAA:メタクリル酸、VD:ビニルドデシル、VODC:イコサン酸ビニル、BVE:ブチルビニルエーテル。
(実施例1〜13)
表3に示す配合割合でPGMEAに溶解混合したアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物の溶液を、孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過した後、縦、横10cmのガラス基板上にスピンコート法により塗布した。それをクリーンオーブンにて90℃、2分間乾燥後、超高圧水銀ランプを搭載したプロキシミティー露光機にて、マスクを介して、又は介さずに100〜150mJ/cmの強度で紫外線を照射した。照射後、マスクを介して照射した被膜は0.4質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド溶液に60秒間浸漬し、30秒間水洗し、クリーンオーブンにより、230℃で1時間硬化した。マスクを介さずに照射した被膜は、そのままクリーンオーブンにより、230℃で1時間硬化し、膜厚2.0μmの硬化被膜を得た。得られた硬化被膜について、光の波長380nmにおける光線透過率、鉛筆硬度、耐熱性、密着性、感度及び解像度の評価を前述の方法にて行った。
得られた実施例1〜13の結果を表3に示す。
Figure 2010054825
表3中の略号は以下の通りである。
PE−4A:ペンタエリスリトールテトラアクリレート、共栄社化学(株)製の4官能アクリレート「ライトアクリレートPE−4A」、商品名
DPE−6A:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、共栄社化学(株)製の6官能アクリレート「ライトアクリレートDPE−6A」、商品名
Ep−834:ジャパンエポキシレジン(株)製のビスフェノールA型エポキシ樹脂「jER−834」、商品名、下記式(12)で表される構造を有する。
Figure 2010054825
EHPE−3150:2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物、ダイセル化学工業(株)製のエポキシ樹脂
イルガキュア907:2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の光重合開始剤
イルガキュア369:(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の光重合開始剤
(比較例1〜11)
表4に示す配合割合で実施例1〜13と同様の方法にて硬化被膜及びパターンを作製し、同様の評価を行った。
得られた比較例1〜11の結果を表4に示す。
Figure 2010054825
表3及び表4に示した結果より、実施例1〜13のアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物を用いた場合、感度及び解像度が良好であると共に、光線透過率が高く、鉛筆硬度が十分で、耐熱性に優れていた。従って、実施例1〜13のアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物は、透明性、硬度、耐熱性等の被膜性能と、感度、解像度等のレジスト性能との両立を図ることができた。
一方、比較例1及び2では、イタコン酸モノエステル由来の構成単位(a1)を含まないため、前述の反応式(i)及び(iii)が起こらず、硬化被膜は十分な硬度及び耐熱性を発揮することができなかった。比較例3及び4では、ビニル単量体又はビニルエステル由来の構成単位(a2)を含まないため、アルカリ溶液への溶解性が低下し、感度及び解像度が不足する結果となった。比較例5及び6では、イタコン酸モノエステル由来の構成単位(a1)中のR及びRの直鎖炭素数が8を超えるため、前記反応式(i)の起こる温度が硬化温度である250℃を超えた。従って、反応式(i)及び(iii)による硬化反応が起こらず、硬化被膜の硬度及び耐熱性が不足する結果であった。
比較例7及び8では、ビニル単量体由来の構成単位(a2)中におけるRの直鎖炭素数が6を超えるため、アルカリ溶液への溶解性が低下し、感度及び解像度が悪化した。比較例9及び10では、ビニルエステル由来の構成単位(a2)中のRの直鎖炭素数が17を超えるため、アルカリ溶液への溶解性が低下し、感度及び解像度が不足した。比較例11では、その他の成分として(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位(a3)ではない構成単位を含むため、イタコン酸モノエステルと、ビニル単量体又はビニルエステル単量体との共重合性が低下し、未反応物が多くなるため被膜中で層分離を起こし、透明性が不足すると共に、解像度も悪化した。

Claims (2)

  1. 下記の成分A、成分B、成分C及び成分Dを含有し、カルボキシル当量(g/モル)/エポキシ当量(g/モル)の比a/e=0.5〜1.5、(成分A+成分C)/成分Bの質量比=0.7〜5.6及び成分D/(成分A+成分B+成分C)の質量比=0.01〜0.12であることを特徴とするアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物。
    成分A:下記一般式(1)で表されるイタコン酸モノエステル由来の構成単位(a1)を13〜72質量%及び下記一般式(2)で表されるビニル単量体又はビニルエステル単量体由来の構成単位(a2)を28〜87質量%より構成され、質量平均分子量が3,000〜300,000及び酸価が50〜150mgKOH/gであるアルカリ可溶性共重合体。
    Figure 2010054825
    (R及びRは、水素、炭素数1〜8の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。但し、R及びRのいずれか1つは水素である。)
    Figure 2010054825
    〔一般式(2)中のXは、R又はOCORを表し、Rは炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。Rは炭素数1〜17の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。〕
    成分B:光重合性多官能(メタ)アクリレート
    成分C:エポキシ樹脂
    成分D:光重合開始剤
  2. 前記成分Aのアルカリ可溶性共重合体が、前記一般式(1)で表されるイタコン酸モノエステル由来の構成単位(a1)を13〜72質量%と、前記一般式(2)で表されるビニル単量体又はビニルエステル単量体由来の構成単位(a2)を28〜87質量%と、下記一般式(3)で表される(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位(a3)を1〜25質量%とより構成され、前記構成単位(a1)及び構成単位(a2)の合計が75〜99質量%であることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ現像性ネガ型樹脂組成物。
    Figure 2010054825
    (Rは水素又はメチル基である。Rは炭素数1〜8の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。)
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