JP6041917B2 - 疾患を治療するための化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、βアミロイド形成及び/又は凝集(β-アミロイドーシス)に関連する疾患の予防、治療及び診断のためのミモトープの使用に関連する。
様々な変性疾患が、特定のタンパク質の異常なポリマー化及び凝集によって特徴づけられる。これらは、プロテイノパチーと呼ばれ、アルツハイマー病、パーキンソン病及びハンチントン病を含む神経変性疾患、並びにアミロイドーシスを含むさまざまな全身性疾患を含む。本発明は、β-アミロイドーシスという用語でまとめられるβ-アミロイドタンパク質に関連するプロテイノパチーの予防、治療及び診断に関する。β-アミロイドーシスの最も有名な形態は、アルツハイマー病(AD)である。以下に限られないが、他の例には、レビー小体型認知症及びダウン症を伴う認知症がある。
ADは、広く星状細胞増加症及びミクログリオーシス、並びにジストロフィー神経及び神経喪失に密接に関連する細胞外アミロイド斑の異常な凝集により特徴づけられる。これらのアミロイド斑は、主に、アミロイド前駆体タンパク質(APP)に由来するアミロイド-β(Aβ)ペプチドである、ペプチドAβ40及びAβ42からなり、ここでAPPは神経系の様々な細胞型において発現される。Aβペプチドは、直接ADの病原及び進行に関与していると考えられている。
APPは通常2つの開裂ステップを経てプロセシングを受け、既知のAβx-40/42/43を形成する。最初の開裂は、アミロイド前駆体タンパク質βサイト切断酵素1及び2(BACE1及びBACE2)により行われる;第2のタンパク分解ステップはγセクレターゼ複合体により行われる(総説:De Strooper et al. J Cell Sci 113 (2000): 1857-1870)。
BACEは、推定されるAβペプチドのN-末端部分の2つの部位を認識し、最初のBACEとAPPの相互作用によりAβペプチドのN末端の部分:DAEFR(Aβにおける1位)で切断し、Aβ1-Xを形成する。また別にBACEは、先の11位も切断でき、11-Xを形成する。それゆえ、BACE介在性APPプロセシングは、全長Aβ1-40/42を主要な産物とした様々な異なるAβ種を生じさせる。γセクレターゼ活性により、Aβ1-40/42/43の3つの主要な断片を生じる。一旦これらのペプチドが生産されると、それらは、さらにアミノペプチダーゼによってさらに修飾され、段階的に分解される。これらのさらなるステップは、他の形態、例えばAβ3-40/42を生成する。ヒトにおいては、アミロイド斑物質の平均60-85%が、N末端切断及びしばしば修飾されたAβ40/42誘導体により形成される。Aβレベル、変異及びBACE活性の観点からは、N-末端を切断したAβ種の相対的な量は様々である。
Aβの切断型において最も多く存在するのは、Aβ3-40/42及びAβ11-40/42である。両ペプチドは、N末端グルタミン酸残基を有しており、ここでこれはしばしば酵素的にピログルタミン酸に変換され、それぞれAβ3(pE)-40/42及びAβ11(pE)-40/42を形成する。Aβ3(pE)及び11(pE)ペプチドのアミノ末端は内部ラクタムによってブロックされているため、これらはピログルタミン酸特異的酵素以外のアミノペプチダーゼによるタンパク分解作用からは保護されており、それゆえ組織内において安定して存在する。
N末端切断修飾型アミロイドのもっとも顕著な形態は、全切断型の50%を構成すると考えられているペプチド3(pE)-40/42により形成される。これは、アイソフォームがAD脳の全アミロイドペプチド中の25-40%を構成することを意味する。他の顕著な形態は、切断型AβペプチドがAβ11-40/42: Naslundら及びHuseらは、AD患者並びに臨床外AD患者のヒトの脳においては、相当なレベルの切断型が検出されることを示した。さらに、これらのペプチドは、分子内脱水素化を受け、3(pE)-40/42で示されるのと類似の配列を有する安定型を形成する。
以前に、切断型及び修飾型ペプチドが、全長Aβよりも神経組織においては安定していることが示された。さらに、N末端切断型のAβは非修飾型よりもアミロイド原性を有するため、神経培養並びにインビボでの試験において、斑の形成を促進し、神経毒性を示す。ADの初期段階において、すでに切断型Aβの広範な凝集が検出されており、インビボにおける個別の種として作用して、初期の斑形成に関わっていると考えられている。
N-末端を切断したAβ種が重症及び若年性に関わっているという有力な証拠が、散発性及び家族性アルツハイマー病並びにダウン症の患者おいて見られた。これらのペプチドに、凝集効果と同時に安定性があることが、ADの進展において危険なプレーヤーとなる可能性をもたらしている。家族性AD又はダウン症の臨床外患者の分析によって、初期段階(「種」の段階(seed stages)とも呼ばれる)において、Aβ3(pE)-42が検出されることがはっきりと示された。この段階では、Aβ3(pE)-42ペプチド種を有する斑の蓄積が開始されるが、神経症状はないかわずかである。それゆえ、そのような患者からのデータは、切断型Aβ種の初期の形成と、疾患の発症並びに進展をリンクすることを示唆している。
これらの発見を考慮すると、AD患者においてこれらのペプチド種の量を減少させることが疾患の進行を変化させ、毒性及び付随する認知力の低下を軽減するために重要であるようである。それゆえ最適なADワクチンは、AD患者の脳において最も顕著なAβペプチドに対して免疫反応を示す必要がある。
全長Aβを標的とした有効で受動的な免疫付与戦略を用いる免疫療法は、Aβ斑の減少につながり、動物モデルにおける疾患の進行において有益な効果を与える。ADマウスモデルにおける受動免疫付与試験においては、Aβ40/42のN末端及びC末端に対して作成された特異的抗体は脳において斑の堆積を減少でき、また行動分析から判断し、処置動物において認知機能を改善する。同様のことが、全長Aβ40/42に対して異なるアプローチによって免疫反応を有効なワクチン接種試験をおこなったマウスにおいても見られた。天然のAβ配列を含む全長Aβ40/42又はその断片を用いたすべてのこれらのアプローチは、遺伝子組み換えマウスにおいて最もアミロイド堆積を減少させた。重要なことは、また、これらの動物は認知機能においても改善を示したことである。Lemereら(Am J Pathol 165 (2004): 283-297)は、非ヒト霊長類において、全長Aβによる活性なワクチン接種に応答して、明らかな斑の堆積及び関連する病態の減少を再現したことは、驚くべきである。しかし、最初の全長Aβ42を用いたAD患者における第IIa相臨床試験における自己反応性T細胞の脳浸潤を含む神経炎症性の副作用により中止した(Nicoll, J.A. et al. 2003 Nat Med 9:448-452; Bayer, A.J., et al. 2005 Neurology 64:94-101)。にもかかわらず、AN-1792の患者における臨床効果研究は、髄膜脳炎を起こしていないAβ42に対して抗体反応を示した患者は、非奏功者に比べて認知力の試験において良好な結果を示し、免疫療法がADにおける治療アプローチとして有効であり得ることを示した。
最も重要なことは、AN1792ワクチン接種を経た患者の検視から得られた近年の結果であるが、脳における全長Aβ種は消失したが、N-末端を切断したAβは残留した(Nicoll, J.A., et al. 2006 J Neuropathol Exp Neurol 65:1040-1048)。このことは、全長Aβ並びにこの分子のN-末端を切断した及び修飾型を標的として新規なワクチンの開発が必要であることを強調する。
ヒトAβ40/42ペプチドに対する免疫反応を誘導することにより、AD患者における認知力の低下を妨げることができるが、安全なアルツハイマー病ワクチンは自己反応性T細胞が形成されないものでなければならない。免疫反応がAβだけを排他的に標的としていないため、野生型Aβ40/42ペプチド又はその断片を用いたワクチン接種は、患者において自己免疫疾患を誘導する内因性のリスクがある。
本発明の目的は、アルツハイマー病を含むβアミロイドーシスの治療及び又は予防するために用いられ得る化合物及び治療薬を提供することにある。これらの化合物は、個体に投与された場合に、自己免疫疾患を誘導することが全くない又はリスクが顕著に減少されたものである。本発明の異なる目的としては、該化合物が、通常アミロイド沈着物の主な成分である切断及び/又は安定化したAβ形態を標的としたインビボにおいて抗体形成を誘導しうることである。
アミノ酸配列
X1RX2DX3(X4)n(X5)m(X6)o (式I)
(ここで、
X1は、イソロイシン(I)、又はバリン(V)、
X2は、トリプトファン(W)、又はチロシン(Y)、
X3は、スレオニン(T)、バリン(V)、アラニン(A)、メチオニン(M)、グルタミン(Q)、又はグリシン(G)、
X4は、プロリン(P)、アラニン(A)、チロシン(Y)、セリン(S)、システイン(C)、又はグリシン(G)、
X5は、プロリン(P)、ロイシン(L)、グリシン(G)、又はシステイン(C)、
X6は、システイン(C)、
n、m及びoは、それぞれ独立して0又は1であり、
該化合物は、β-アミロイドーシスの予防及び/又は治療のための薬剤を製造するための、アミノ酸配列EFRHDSGY及び/又はpEFRHDSGYを含むアミロイド-β-ペプチド(Aβ)のエピトープに特異的な抗体への結合能を有する)
を含む化合物の少なくとも1つの使用。
驚いたことに、式Iのアミノ酸配列を含む化合物は、Aβの切断型AβpE3-40/42及びAβ3-40/42に向けた抗体のインビボ形成をそれぞれ誘導することができることがわかった。形成された抗体は上にリスト化したAβ断片に結合する結果、Aβ斑の分解を生じた。
式I及びII及び本明細書中の全ての他のペプチド分子は、Aβペプチド及びその変異体Aβ1-40/42、AβpE3-40/42、Aβ3-40/42、及びAβ11-40/42、AβpE11-40/42及びAβ14-40/42を天然由来の化合物をミミックしており、それゆえアミノ酸配列を含む化合物は各抗体の形成を誘導することができる。
本明細書中に示される本発明は、天然のAβペプチド及び国際公開第2004/062556号パンフレットに記載されているようなミモトープにより検出されないネオエピトープの構造をミミックした配列を含まない抗体に関する。それゆえ、ミモトープベースのADワクチンは、APPのような親構造ではなく病原Aβ分子と排他的に反応する抗体反応を誘導する。さらにミモトープは潜在的T細胞自己エピトープを含まず、有害な自己反応性T細胞を含まない。
本明細書中「β-アミロイドーシス」は、プロテイノパチーと呼ばれる、特異的タンパク質による異常なポリマー化及び蓄積により特徴づけられる、様々な変性疾患をいう。本発明は、用語β-アミロイドーシスとしてまとめられるβ-アミロイドタンパク質に関連するプロテイノパチー予防、治療及び診断に関する。β-アミロイドーシスの最も顕著な形態は、アルツハイマー病(AD)である。他の実施例には、以下に限られないが、レビー小体型認知症(Dementia with Lewy bodies)及びダウン症を伴う認知症がある。さらなる例としては、レビー小体型認知症(Lewy body dementia)、筋炎、孤発性封入体筋炎,アミロイド症を随伴した遺伝性脳出血(オランダ型)、脳アミロイド血管症、Aβ関連血管炎がある。
本発明において特に好ましい態様は、「βアミロイドーシス」がアルツハイマー病である。
本発明の好ましい具体的態様としては、IRWDTP(C)、VRWDVYP(C)、IRYDAPL(C)、IRYDMAG(C)、IRWDTSL(C)、IRWDQP(C)、IRWDG(C)及びIRWDGG(C)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドを含む化合物からなる群から選択される。
本発明の特に好ましい化合物は、上に同定されたアミノ酸配列を含む(comprise)又はからなり(consist of)、ここで該ペプチドのC-末端はシステイン残基を含んでいても含んでいなくてもよく(()を使用して特定した)、それにより化合物が例えば担体分子に結合しうる。しかし、またシステインを介して該ペプチドのN-末端に結合することももちろん可能である。
本発明の特に好ましい態様としては、アミノ酸配列が、IRWDTP(C)、VRWDVYP(C)、IRYDAPL(C)又はIRYDMAG(C)である。
本発明の他の異なる態様としては、アミノ酸配列
EX1WHX2X3(X4)n(X5)m (式II)
(ここで、
X1は、バリン(V)、アルギニン(R)、又はロイシン(L)、
X2は、アルギニン(R)、又はグルタミン酸(E)、
X3は、アラニン(A)、ヒスチジン(H)、リジン(K)、ロイシン(L)、チロシン(Y)、又はグリシン(G)、
X4は、プロリン(P)、ヒスチジン(H)、フェニルアラニン(F)、又はグルタミン(Q)、又はシステイン、
X5は、システイン(C)、
m及びnは、それぞれ独立して0又は1であり、
該化合物は、β-アミロイドーシスの予防及び/又は治療のための薬剤を製造するための、アミノ酸配列EVHHQKLを含むアミロイド-β-ペプチド(Aβ)のエピトープに特異的な抗体への結合能を有する)
を含む化合物の少なくとも1つの使用。
式IIのアミノ酸を含む化合物の投与が、切断型Aβ形態Aβ11-40/42の免疫反応を引き起こす。
本発明の好ましい態様は、EVWHRHQ(C)、ERWHEKH(C)、EVWHRLQ(C)、ELWHRYP(C)、ELWHRAF(C)、ELWHRA(C)、EVWHRG(C)、EVWHRH(C)及びERWHEK(C)、好ましくはEVWHRHQ(C)、ERWHEKH(C)、EVWHRLQ(C)、ELWHRYP(C)及びELWHRAF(C)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドを含む化合物である。
本発明の他の異なる態様としては、QDFRHY(C)、SEFKHG(C)、TSFRHG(C)、TSVFRH(C)、TPFRHT(C)、SQFRHY(C)、LMFRHN(C)、SAFRHH(C)、LPFRHG(C)、SHFRHG(C)、ILFRHG(C)、QFKHDL(C)、NWFPHP(C)、EEFKYS(C)、NELRHST(C)、GEMRHQP(C)、DTYFPRS(C)、VELRHSR(C)、YSMRHDA(C)、AANYFPR(C)、SPNQFRH(C)、SSSFFPR(C)、EDWFFWH(C)、SAGSFRH(C)、QVMRHHA(C)、SEFSHSS(C)、QPNLFYH(C)、ELFKHHL(C)、TLHEFRH(C)、ATFRHSP(C)、APMYFPH(C)、TYFSHSL(C)、HEPLFSH(C)、SLMRHSS(C)、EFLRHTL(C)、ATPLFRH(C)、QELKRYY(C)、THTDFRH(C)、LHIPFRH(C)、NELFKHF(C)、SQYFPRP(C)、DEHPFRH(C)、MLPFRHG(C)、SAMRHSL(C)、TPLMFWH(C)、LQFKHST(C)、ATFRHST(C)、TGLMFKH(C)、AEFSHWH(C)、QSEFKHW(C)、AEFMHSV(C)、ADHDFRH(C)、DGLLFKH(C)、IGFRHDS(C)、SNSEFRR(C)、SELRHST(C)、THMEFRR(C)、EELRHSV(C)、QLFKHSP(C)、YE-FRHAQ(C)、SNFRHSV(C)、APIQFRH(C)、AYFPHTS(C)、NSSELRH(C)、TEFRHKA(C)、TSTEMWH(C)、SQSYFKH(C),(C)SEFKH、SEFKH(C)、(C)HEFRH及びHEFRH(C)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むβアミロイドーシスの予防及び/又は治療のための薬剤を製造するための化合物の少なくとも1つの使用に関する。
本発明の各化合物は、Aβ1-40/42、AβpE3-40/42、及びAβ3-40/42は、インビボにおいて抗体形成を誘導することができる。それゆえこれらの化合物は、該化合物の少なくとも1つを投与することにより、3つの主要なAβ型、例えばAβ1-40/42、AβpE3-40/42及びAβ3-40/42を認識することができる抗体を形成するので、ADのようなβアミロイドーシスの治療及び/又は予防に適している。
本発明の好ましい態様としては、QDFRHY(C)、SEFKHG(C)、TSFRHG(C)、TSVFRH(C)、TPFRHT(C)、SQFRHY(C)、LMFRHN(C)、SAFRHH(C)、LPFRHG(C)、SHFRHG(C)、ILFRHG(C)、QFKHDL(C)、NWFPHP(C)、EEFKYS(C)、SPNQFRH(C)、TLHEFRH(C)、THTDFRH(C)、DEHPFRH(C)、QSEFKHW(C)、ADHDFRH(C)、DGLLFKH(C)、EELRHSV(C)、TEFRHKA(C)、(C)SEFKH、SEFKH(C),(C)HEFRH及びHEFRH(C)、好ましくはSEFKHG(C)、TSVFRH(C)、SQFRHY(C)、LMFRHN(C)、ILFRHG(C)、SPNQFRH(C)、ELFKHHL(C)、TLHEFRH(C)、THTDFRH(C)、DEHPFRH(C)、QSEFKHW(C)、ADHDFRH(C)、YEFRHAQ(C)、TEFRHKA(C)を含む、又はからなる群から選択されるアミノ酸配列を有する化合物に関する。
本発明は以下の図及び実施例によりさらに説明されるが、それに限定されるものではない。
図1はモノクローナル抗体MV-001の特異的ペプチド及び遺伝子組換えタンパク質への結合を示す; 図2はモノクローナル抗体MV-003の特異的ペプチド及び遺伝子組換えタンパク質への結合を示す; 図3はモノクローナル抗体MV-004の特異的ペプチド及び遺伝子組換えタンパク質への結合を示す; 図4は、β-アミロイド及びN-末端を切断した及び/又は翻訳後修飾されたβ-アミロイド断片のミモトープとの典型的な結合アッセイを示す; 図5は、β-アミロイド及びN-末端を切断した及び/又は翻訳後修飾されたβ-アミロイド断片のミモトープとの典型的な結合アッセイを示す; 図6は、ミモトープのワクチン接種によって生じた免疫反応のインビボにおける特徴付けの例を示す(注入ペプチド/無関係なペプチド); 図7は、アミロイドβ断片及びsAPPαに対するミモトープのワクチン接種により生じた免疫反応のインビボにおける特徴付けの例を示す; 図8は、全長Aβ40/42に対するミモトープのワクチン接種により生じた免疫反応のインビボにおける特徴付けの例を示す。 図9は、アミロイド斑により占められた面積を示す。水酸化アルミニウムでアジュバント化したミモトープワクチンとともにTg2576を皮下に1ヶ月ごとに6回注入した。コントロールのマウスはPBS-アラムのみを投与した。アミロイド斑により占められた面積は、コントロール群に対して示した。グループ1:コントロール群;グループ2:p4381を投与;グループ3:p4390を投与;グループ4:p4715を投与。 図10は、アミロイド斑により占められた面積を示す。水酸化アルミニウムでアジュバント化したミモトープワクチンとともにTg2576を皮下に1ヶ月ごとに6回注入した。コントロールのマウスはPBS-アラムのみを投与した。アミロイド斑により占められた面積は、コントロール群に対して示した。グループ1:コントロール群;グループ2:p4395を投与。
本明細書中に開示されるアミノ酸配列は、アミノ酸配列EFRHDSGY、pEFRHDSGY又はEVHHQKLを含むAβのエピトープであると考えられる。本発明において、用語「ミモトープ」は、エピトープの形態学上の等価性を有するコンホメーションを持つ分子である模倣体を言う。ミモトープは、抗体において、望ましい抗原の免疫特異的結合である抗原結合領域と同一の部位に結合する。ミモトープは、宿主において、抗原の模倣体として反応し免疫反応を示す。またミモトープは、エピトープ及び該エピトープに結合する抗体の関与するインビトロ阻害アッセイ(例えば、ELISAによる阻害アッセイ)においてエピトープの模倣体として競合基質として作用する。しかし、本発明のミモトープは、インビトロ阻害アッセイにおいて、エピトープの模倣体であるので、必ずしも阻害又は競合しなくてもよいが、ホ乳類に投与した場合、特異的免疫反応を誘導できるものである。
本明細書中、用語「エピトープ」は、特定の抗体分子によって認識される抗原の免疫原性領域を言う。一般に、抗原は1つ以上のエピトープを有し、それぞれが、特定のエピトープを認識する抗体を結合することができる。
本発明のミモトープは、単離されたペプチド又は他のペプチド又はポリペプチドの一部としてのいずれかとして、当該分野においてよく知られた化学合成法により合成して生産しうる。あるいは、ペプチドミモトープは、ペプチドミモトープを産生する微生物中でも生産され得、必要であればその後単離され、さらに精製される。ペプチドミモトープは、例えばバクテリア、酵母又は菌類、例えば哺乳類又は昆虫細胞の真核細胞、又は遺伝子組換えウイルスベクター、例えばアデノウイルス、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、セムリキ森林ウイルス、バキュロウイルス、バクテリオファージ、シンドビスウイルス又はセンダイウイルスにおいても生産しうる。ペプチドミモトープを生産するのに適切なバクテリアには、大腸菌、枯草菌又は、例えばペプチドミモトープを発現するペプチドなど、他のあらゆるバクテリアが含まれる。適切な酵母の型には、サッカロマイセス・セレヴィシエ、シゾサッカロミセス・ポンベ、カンジダ、メタノール資化酵母又はペプチドを発現できる他のあらゆる酵母が含まれる。対応する方法は当業者に知られている。また遺伝子組換えにより生産されたペプチドを単離及び精製する方法も当該分野においてよく知られており、それには例えば、ゲル濾過、アフィニティクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等が含まれる。
ペプチドミモトープの単離を促進するため、アフィニティクロマトグラフィーによる単離が可能な異種のポリペプチドペプチドに、ペプチドミモトープが翻訳により融合(共有結合)できるような融合ポリペプチドが作製される。典型的な異種のポリペプチドは、His-Tag(例えば、His6; 6つのヒスチジン残基)、GST-Tag(グルタチオン-S-トランスフェラーゼ)等がある。融合ポリペプチドは、ミモトープの精製を促進するだけでなく、精製の間、ミモトープポリペプチドを分解から保護する。精製後、異種のポリペプチドを除去したい場合、融合ポリペプチドは、ペプチドミモトープと異種のポリペプチドの接合は開裂部位を含んでいてもよい。開裂部位は、当該部位のアミノ酸配列(例えば、プロテアーゼ)に、酵素特異的に開裂されるアミノ酸配列からなる。
また、本発明のミモトープは、それにより該部位にシステイン残基が結合できるように、N及び/又はC末端又はその付近で修飾されていてもよい。好ましい態様としては、末端部位に位置する(ペプチドのN及びC末端に位置する)システイン残基が、ジスルフィド結合によりペプチドを環化するために用いられることである。システイン残基もまた、さらに該ペプチド/化合物に結合しうる(例えば、担体として)。
また、本発明のミモトープは、特に免疫アッセイ及びキットといった様々なアッセイ及びキットに用いられ得る。それゆえ、ミモトープは他のペプチド又はポリペプチドの一部であることが特に好ましく、特に免疫アッセイにおいてレポーターとして用いられる酵素であることである。そのようなレポーター酵素は、例えば、アルカリホスファターゼ又は西洋ワサビペルオキシダーゼを含む。
本発明のミモトープは、好ましくはアミノ酸配列がAβ又はAβ断片のアミノ酸配列が変化している抗原性ポリペプチドである。この観点から、1つ以上の天然由来のアミノ酸残基のアミノ酸置換体だけでなく、1つ以上の非天然のアミノ酸(すなわち、20の「典型」アミノ酸でない)、又はそのような完全に非天然のアミノ酸から集められたものであるものを含みうる。さらに、Aβ1-40/42、AβpE3-40/42、Aβ3-40/42、Aβ11-40/42、AβpE11-40/42及びAβ14-40/42(及び、アミノ酸第2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12及び13位においてN-末端を切断した他の形態のAβ)の抗体を誘導し、結合する独創的な抗原は、D-又はL-アミノ酸又はDL-アミノ酸の組み合わせを集めたものであり及び、任意に、さらに修飾、閉環反応又は誘導体化により変更されていてもよい。適切な抗体-誘導抗原は、市販のペプチドライブラリーから入手可能である。好ましくは、これらのペプチドは少なくとも7アミノ酸であり、好ましい長さは16までであり、好ましくは、14又は20アミノ酸残基である(例えば、5ないし16アミノ酸残基)。しかし本発明によると、長いペプチドも、よく抗体-誘導抗原として用いられる。さらに本発明のミモトープも、また本発明のミモトープもポリペプチドの一部をなし得、従ってN-及び/又はC末端に少なくとも1つのさらなるアミノ酸残基を含み得る。
α-シヌクレインミモトープ(すなわち、抗体-誘導抗原)の生産には、もちろんファージライブラリー、ペプチドライブラリーも適切であり、例えば、最も種々の構造をとる部分はコンビナトリアルケミストリーの手法によって生産され、又はハイスループットスクリーニング技術により得られる(Display: A Laboratory Manual by Carlos F. Barbas (Editor), et al.; Willats WG Phage display: practicalities and prospects. Plant Mol. Biol. 2002 Dec.; 50(6):837-54)。
さらに本発明には、核酸(「アプタマー」)に基づく抗-Aβ1-40/42-、-AβpE3-40/42-、-Aβ3-40/42-、及び-Aβ11-40/42-の抗体-誘導抗原が用いられ得、これらも種々の(オリゴヌクレオチド)ライブラリー(例えば、2-180核酸部分)により得られる(例えば、Burgstaller et al., Curr. Opin. Drug Discov. Dev. 5(5) (2002), 690-700; Famulok et al., Acc. Chem. Res. 33 (2000), 591-599; Mayer et al., PNAS 98 (2001), 4961-4965、等がある)。核酸に基づく抗体-誘導抗原においては、核酸骨格は、例えば、ホスホジエステル又はホスホロチオエート化合物により、又は本発明においては塩基としては、主としてU、T、A、C、G、H及びmCが用いられうるが、その組み合わせ又は化学種(例えば、PNA)によって提供される。本発明において好ましいヌクレオチドの2’-残基は、H、OH、F、Cl、NH2、O-メチル、O-エチル、O-プロピル又はO-ブチルが用いられ得、ここで核酸は、また異なって修飾されていてもよく、すなわち、オリゴヌクレオチド合成には通常用いられるように、例えば保護基によって修飾されていてもよい。それゆえ、アプタマーベースの抗体-誘導抗原は、また本発明の範囲に含まれる好ましい抗体-誘導抗原である。
本発明の好ましい態様としては、化合物は医薬的に許容される担体と結合していることであり、好ましくはKLH(キーホールリンペットヘモシアニン)、破傷風トキソイド、アルブミン-結合タンパク質、ウシ血清アルブミン、デンドリマー(MAP; Biol. Chem. 358: 581)、ペプチドリンカー(又は隣接領域)、並びに、Singh et al. Nat. Biotech. 17 (1999), 1075-1081 (特にその文献の表1)、及びO’Hagan et al., Nature Reviews, Drug Discovery 2 (9) (2003), 727-735(特にその中に記載されている内因性免疫賦活物質及び送達システム)に記載されているアジュバント物質、及び他の物質又はそれらの混合物である。この文脈において結合化学(例えば、ヘテロ二官能性化合物、例えばGMBS、及び「Bioconjugate Techniques」, Greg T. Hermansonに記載されているその他も当然に含み、それらを介して)は、当該分野における熟練者に知られている反応から選択され得る。さらに、ワクチン組成物はアジュバントとともに製剤化され得、好ましくは、低溶解性アルミニウム組成物、特に水酸化アルミニウムである。また、もちろん、MF59リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-12、GM-CSF)、サポニン(例えば、QS21)、MDP誘導体、CpGオリゴヌクレオチド、LPS、MPL、ポリホスファゼン、乳剤(例えば、フロイント(Freund’s)、SAF)、リポソーム、ビロソーム、免疫刺激複合体、コクリエート、PLG微粒子、ポロキサマー粒子、ウイルス様粒子、易熱性エンテロトキシン(LT)、コレラ毒素(CT)、変異毒素(mutant toxins)(例えば、LTK63、及びLTR72)、微小粒子及び/又は重合リポソームのようなアジュバントも用いられ得る。
本発明の化合物は、好ましくは、リンカーを介して担体又はアジュバントに結合することであり、ここで該リンカーは、NHS-ポリ(エチレンオキシド)(PEO)(例えば、NHS-PEO4-マレイミド)からなる群から選択される。
本発明の化合物(ミモトープ)及び医薬的に許容される担体を含むワクチンは、例えば、皮内、静注、腹腔内、筋肉内、鼻腔内、経口、皮下等のあらゆる適切な投与様式、及びあらゆる適切な送達装置(O’Hagan et al., Nature Reviews, Drug Discovery 2 (9), (2003), 727-735)により投与されうる。本発明の化合物は、好ましくは、静脈内、皮下、皮内、又は筋肉内投与(例えば「Handbook of Pharmaceutical Manufacturing Formulations」, Sarfaraz Niazi, CRC Press Inc, 2004参照)として製剤化される。
本発明の薬剤(ワクチン)は、0.1ngないし10mg、好ましくは、10ngないし1mg、特に100ngないし100μg、又はあるいは、例えば100fmolないし10μmol、好ましくは、10pmolないし1μmol、特に100pmolないし100nmolで本発明の化合物を含んでいてもよい。また、典型的には、ワクチンは、例えば緩衝剤、安定剤等の補助物質を含んでいてもよい。
異なる態様として、本発明は、シヌクレイノパチーに関連する症状の治療及び/又は緩和のための、上に定義する化合物の使用に関する。
驚いたことに、本発明の化合物はシヌクレイノパチーの症状を治療及び緩和することにも用いることができることが分かった。
アミロイドーシス及びシヌクレイノパチーは、それぞれβ-アミロイド及びα-シヌクレインが脳に蓄積することと関連がある。ある患者は、両方の疾患の臨床的及び病理的特徴を示し、病理経路の重複の可能性を上昇させる。またこれらの患者は、レビー小体型認知症又は痴呆を伴うパーキンソン病(DLB/PDD)として新しく特定された疾患に罹患していると分類される。近年のDLB/PDDの遺伝子組み換え動物モデルにより、マウスにおける、α-シヌクレイン及びアミロイド前駆体タンパク質(hAPP)の両方の過剰発現は、コリン性神経喪失及びシナプス小胞の減少、広範なアミロイド斑の形成、及びhaSYN-免疫反応性神経線維封入体(immunoreactive intraneuronal fibrillar inclusions)に伴う認知及び運動性の変化の進行をもたらすことがわかった。これらの特徴は全てDLB/PDD症にも見られる。近年、両分子はインビトロにおいて、相互作用をし、ハイブリッドオリゴマーを形成する可能性があることが述べられている。また、APPの過剰発現が、α-シヌクレインの過剰発現の病理効果を悪化させうることも示された。対照に、α-シヌクレインは、アミロイドβペプチドの分泌及び毒性を促進し、それゆえβ-アミロイドの効果を増強させ、このことが神経変性プロセスの病理経路の重複という概念をサポートしている。
両プロテイノパチーにおいて、進行性のペプチドオリゴマーの蓄積が起こることが特定され、典型的にはシヌクレイノパチー又はアミロイドーシスのいずれかにおいて中枢への毒性のある現象の1つとして、様々な変化をもたらす。発症機序の類似性にもかかわらず、α-シヌクレイン及びAβは脳の完全性及び機能性においては異なった、並びに収斂性の病理効果があることが仮定されている。シヌクレインは認知機能よりも運動機能においてより深刻な影響を与えると考えられているのに対し、アミロイドβペプチドは逆の効果があると記載されている。相違の違いの理由は現在のところ知られていないが、両分子の相互依存及び効果の明確な記載はなされていない。
本発明の治療アプローチは、主として細胞外アミロイドを除去するためのAβを標的とした免疫療法である。それゆえ、斑の沈着から神経細胞死並びに記憶障害及び認知力の低下におけるアミロイド関連性の変性を緩和すると考えられている。しかし、シヌクレインの細胞内局在は、これらの細胞内タンパク質は主としてシナプス、特にシナプス小胞に限定して働くことを示唆している。また興味深いことに、病理的にシヌクレイノパチーに統一された顕著な特徴であるシヌクレインの蓄積は主に細胞内で検出される。加えて、シヌクレイノパチーの根本的な病理メカニズムは、ミトコンドリアの機能不全、タンパク質の異常な折りたたみの蓄積、ユビキチン化又はホスホリル化並びにαシヌクレインの蓄積のような神経内変化に起因すると考えられている。これらの変化は結果的にシナプス機能の変化、シナプス機能障害及びドパミン作動性ニューロンの喪失、及びシヌクレイノパチーの古典的な臨床的兆候をもたらす。対照的にAβは主として神経細胞外において見られ、アミロイド斑並びに原線維、前原線維及びβアミロイドのオリゴマーは、細胞外又は脳内に適用された場合には、神経毒機能を発揮する。それゆえ、細胞外アミロイドを主として標的として、PDのようなシヌクレイノパチーの症状を軽減させようとするアプローチは、主として以下に記載する典型的な症状を導く細胞内プロセスに影響を与えることは専門家にとって驚きである。さらに驚いたことに、主として細胞内で起こる重複する両分子の効果は、2つのタンパク質により直接の相互作用に起因していると、現在のところ信じられている。本発明において用語「シヌクレイノパチー」とは、病的なシヌクレイン凝集体によって特徴づけられる全ての神経変性疾患を含む。複数の神経変性疾患には、パーキンソン病(PD)、レビー小体病(LBD)、広範性レビー小体病(DLBD)、レビー小体型認知症(DLB)、痴呆を伴うパーキンソン病(PDD)、多系統萎縮症(MSA)、及び脳内の鉄蓄積を伴うI型神経変性(I型NBIA)からなる群から選択される、まとめてシヌクレイノパチーとしてグループ化される。
本明細書中「シヌクレイノパチーの症状」とは、シヌクレイノパチー、特にパーキンソン病の症状であり、該疾患に罹患している患者の運動性及び非運動性の行動を言う。「運動症状」は、静止時振戦、動作緩慢、硬直、姿勢の不安定、前屈姿勢、ジストニア、倦怠感、細かい動きの機敏さ及び運動協調性の障害、粗大運動協調性の障害、動きの欠如(腕の振りの減少)、静座不能、会話障害、筋肉の制御の欠如による声の柔らかさの欠如又は不明瞭な発語、顔の表情の欠如、又は「マスキング(masking)」、小字症、嚥下困難、性機能障害、涎等を含む。「非運動」症状は、疼痛、認知症又は錯乱、睡眠障害、便秘、皮膚障害、鬱、恐怖又は不安、記憶困難及び思考力の低下、尿障害、疲労及び痛み、活力の喪失、強迫行動、けいれん等を含む。
本発明の好ましい態様としては、シヌクレイノパチーは、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、及び脳への鉄蓄積を伴う神経変性からなる群から選択される。特に好ましい態様としてはパーキンソン病がある。
本発明の他の態様としては、IRWDTP(C)、VRWDVYP(C)、IRYDAPL(C)、IRYDMAG(C)、IRWDTSL(C)、IRWDQP(C)、IRWDG(C)、IRWDGG(C)、EVWHRHQ(C)、ERWHEKH(C)、EVWHRLQ(C)、ELWHRYP(C)、ELWHRAF(C)、ELWHRA(C)、EVWHRG(C)、EVWHRH(C)、ERWHEK(C)、QDFRHY(C)、SEFKHG(C)、TSFRHG(C)、TSVFRH(C)、TPFRHT(C)、SQFRHY(C)、LMFRHN(C)、SAFRHH(C)、LPFRHG(C)、SHFRHG(C)、ILFRHG(C)、QFKHDL(C)、NWFPHP(C)、EEFKYS(C)、NELRHST(C)、GEMRHQP(C)、DTYFPRS(C)、VELRHSR(C)、YSMRHDA(C)、AANYFPR(C)、SPNQFRH(C)、SSSFFPR(C)、EDWFFWH(C)、SAGSFRH(C)、QVMRHHA(C)、SEFSHSS(C)、QPNLFYH(C)、ELFKHHL(C)、TLHEFRH(C)、ATFRHSP(C)、APMYFPH(C)、TYFSHSL(C)、HEPLFSH(C)、SLMRHSS(C)、EFLRHTL(C)、ATPLFRH(C)、QELKRYY(C)、THTDFRH(C)、LHIPFRH(C)、NELFKHF(C)、SQYFPRP(C)、DEHPFRH(C)、MLPFRHG(C)、SAMRHSL(C)、TPLMFWH(C)、LQFKHST(C)、ATFRHST(C)、TGLMFKH(C)、AEFSHWH(C)、QSEFKHW(C)、AEFMHSV(C)、ADHDFRH(C)、DGLLFKH(C)、IGFRHDS(C)、SNSEFRR(C)、SELRHST(C)、THMEFRR(C)、EELRHSV(C)、QLFKHSP(C)、YE-FRHAQ(C)、SNFRHSV(C)、APIQFRH(C)、AYFPHTS(C)、NSSELRH(C)、TEFRHKA(C)、TSTEMWH(C)、SQSYFKH(C)、(C)SEFKH、SEFKH(C)、(C)HEFRH及びHEFRH(C)からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドに関する。括弧書を用いて示したとおり、本発明のペプチドはC-又はN-末端においてシステイン残基を含んでいても含んでいなくてもよい。また、結果的に本発明は、以下のアミノ酸配列まで包含する:IRWDTP、VRWDVYP、IRYDAPL、IRYDMAG、IRWDTSL、IRWDQP、IRWDG、IRWDGG、EVWHRHQ、ERWHEKH、EVWHRLQ、ELWHRYP、ELWHRAF、ELWHRA、EVWHRG、EVWHRH、ERWHEK、QDFRHY、SEFKHG、TSFRHG、TSVFRH、TPFRHT、SQFRHY、LMFRHN、SAFRHH、LPFRHG、SHFRHG、ILFRHG、QFKHDL、NWFPHP、EEFKYS、NELRHST、GEMRHQP、DTYFPRS、VELRHSR、YSMRHDA、AANYFPR、SPNQFRH、SSSFFPR、EDWFFWH、SAGSFRH、QVMRHHA、SEFSHSS、QPNLFYH、ELFKHHL、TLHEFRH、ATFRHSP、APMYFPH、TYFSHSL、HEPLFSH、SLMRHSS、EFLRHTL、ATPLFRH、QELKRYY、THTDFRH、LHIPFRH、NELFKHF、SQYFPRP、DEHPFRH、MLPFRHG、SAMRHSL、TPLMFWH、LQFKHST、ATFRHST、TGLMFKH、AEFSHWH、QSEFKHW、AEFMHSV、ADHDFRH、DGLLFKH、IGFRHDS、SNSEFRR、SELRHST、THMEFRR、EELRHSV、QLFKHSP、YEFRHAQ、SNFRHSV、APIQFRH、AYFPHTS、NSSELRH、TEFRHKA、TSTEMWH、SQSYFKH、(C)SEFKH、SEFKH、HEFRH及びHEFRH。
本発明の好ましい態様としては、本発明のペプチドは医薬的に許容される担体、好ましくはKLH(キーホールリンペットヘモシアニン)と結合していることである。
さらに本発明の他の態様としては、本発明の少なくとも1つのペプチドを含む製剤、好ましくはワクチンに関する。該医薬製剤は、アルツハイマー病を含むβアミロイドーシスに罹患した個体の治療又は個体におけるAβ斑の形成を妨げアルツハイマー病を含むβアミロイドーシスとなることを防ぐために用いられ得る。
方法
本発明のミモトープの同定のために用いた抗体は、Aβから得られたアミノ酸配列を検出するが、全長ヒトAPPは結合しない。検出された配列は、EFRHDS(=Aβの原エピトープアミノ酸配列の3-8位)、p(E)FRHDS(修飾されたAβ原エピトープのアミノ酸配列3-8位)、EVHHQK(=Aβの原エピトープアミノ酸配列の11-16位)を含む。抗体は、モノクローナル又はポリクローナル抗体製剤、又はそれらのいかなる抗体の部分であってもよいが唯一の必要条件としては、上述したエピトープ(ヒト由来のAβ)の少なくとも1つの抗体分子を特異的に認識するが、全長ヒトAPPには結合しないことである。
ミモトープは、同定され、及びさらに、モノクローナル抗体及びペプチドライブラリーによって特徴づけられる。
[実施例1]: β-アミロイド及びN-末端を切断した及び/又は翻訳後修飾されたβ-アミロイド断片を特異的に検出するモノクローナル抗体の産生。
[実施例1a]:モノクローナル抗体MV-001の産生
Alz-5の融合試験から誘導されたモノクローナル抗体:C57/Bl6マウスを、KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)に結合した原AβエピトープDAEFRHDSGYC及びアジュバントとしてのアラム(水酸化アルミニウム)を用いて繰り返し免疫化した:p4371ペプチド特異的、抗体産生ハイブリドーマをELISA(p1253-及びp4371-ペプチドコートしたELISAプレート)によって検出した。ヒトAβ40/42(遺伝子組換えタンパク質)をポジティブ・コントロール・ペプチドとして用いた:それらは、ペプチド及び全長α-シヌクレインの両方に特異的に結合するため、ELISAプレートに固定された遺伝子組換えタンパク質を認識するハイブリドーマが含まれる。p1454(ヒトAβ33-40)は、ネガティブコントロールペプチドとして用いた。さらにハイブリドーマをp4373に対して試験した。さらなる抗体産生には、p4373とは結合しない又は限定的な結合しないハイブリドーマをさらなる抗体産生には用いた。
ハイブリドーマクローンMV-001(内部名824; IgG1)を、それぞれp1253、p4371、p4373、p1454及びAβの特異的検出のために精製し分析した。MV-001はELISAにおいて注入エピトープ(p1253)並びに特異的エピトープ(p4371)及び全長Aβタンパク質(遺伝子組換えタンパク質; Bachem AGより入手, Bubendorf, Switzerland)を認識した。しかし、ELISAにおいて、Aβ3-10のピログルタミン酸バージョンであるペプチドをコードするp4373を検出しなかったは検出しなかった(原エピトープよりも30倍弱い抗体力価であった)。
[実施例1b]:モノクローナル抗体MV-003の産生
Alz-16の融合試験から誘導されたモノクローナル抗体:BalbCマウスを、KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)に結合した原Aβエピトープp(E)FRHDSC (p4373)及びアジュバントとしてのアラム(水酸化アルミニウム)を用いて繰り返し免疫化した。p4373ペプチド特異的抗体産生ハイブリドーマをELISA(p4373-ペプチドコートしたELISAプレート)によって検出した。p1253、p1454及びヒトAβ40/42(遺伝子組換えタンパク質)をネガティブ・コントロール・ペプチドとして用いた。さらにハイブリドーマはp4373に対して試験した。2つの異なるシヌクレイン・タンパク質を区別しないため、ELISAプレートに固定された遺伝子組換えタンパク質を認識するハイブリドーマは含まれない。さらなる抗体産生には、ピログルタミン酸特異性を保証するため、p4376及びp4378とは結合しない又は限定的な結合しかしないハイブリドーマを用いた。
ハイブリドーマクローンMV-003(内部名D129; IgG1)を、それぞれp4372、p4376、p4378、p1454及びAβの特異的検出のために精製し分析した。MV-003はELISAにおいて注入エピトープp4373を認識した。しかし、ELISAにおいてp1454、p1253又は全長Aβタンパク質(遺伝子組換えタンパク質; Bachem AGより入手, Bubendorf, Switzerland)は検出しなかった。さらに、MV-003抗体は、Aβ3-10の通常バージョンであるp4371を検出しなかった(原エピトープよりも15倍抗体力価が低かった)。
[実施例1c]:モノクローナル抗体MV-004の産生
Alz-15の融合試験から誘導されたモノクローナル抗体:BalbCマウスを、KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)に結合したAβエピトープEVHHQKC (p4372)及びアジュバントとしてのアラム(水酸化アルミニウム)を用いて繰り返し免疫化した:p4372ペプチド特異的抗体産生ハイブリドーマをELISA(p4372-ペプチドコートしたELISAプレート)によって検出した。P4376、p4378、p1454及びAβ40/42をネガティブ・コントロール・ペプチドとして用いた。さらなる抗体産生には、切断型Aβの11位におけるN末端フリーの特異性を保証するため、p4371とは結合しない又は限定的な結合しかしないハイブリドーマを用いた。
ハイブリドーマクローンMV-004(内部名B204; IgG1)を、それぞれp1323、p4374、p4377、p1454、及びAβの特異的検出のために精製し分析した。MV-004はELISAにおいて注入ペプチド(p4372)を認識した。しかし、p1454、p4376及びp4378並びにAβタンパク質(遺伝子組換えタンパク質; Bachem AGより入手, Bubendorf, Switzerland)を検出しなかった。p4376、p4378を検出しなかったことは、切断Aβにおいて11位がフリーのN末端における特異性を示している。
[実施例2]: ELISAによるファージディスプレイを用いたインビトロにおける結合及び阻害アッセイ
この実施例において用いたファージディスプレーライブラリーは、Ph.D. 7: New England BioLabs E8102L(直線7量体ライブラリー)である。ファージ提示法は、製造者のプロトコール(www.neb.com)に従い行った。
2又は3の連続のピックアップにより、1つのファージクローンを選択し、及びファージ上清を、ピックアップ過程において用いた抗体でコーティングしたプレートで、ELISAにかけた。このELISAにおいて陽性であったファージクローン(標的には強いシグナルを示したが、非特異的コントロールにはシグナルを示さなかったもの)の配列を決定した。DNA配列から、ペプチド配列を推定した。ペプチドを合成し、及びELISAにより結合性及び阻害性により特徴づけた。いくつかのペプチドには追加のアミノ酸がC末端に結合している。加えて、スクリーニングにおいて同定したミモトープの結合配列情報から、いくつかの新規なミモトープを作製し、ミモトープのワクチン化のためのコンセンサス配列の同定のサポートとして用いた。
1. インビトロにおける結合アッセイ(ELISA)
ファージ提示法並びにそれらのC末端延長変異体から誘導されたペプチドをBSAに結合し、ELISAプレート(それぞれの図に示す通り1μM)に結合させ、続いて、同定されたペプチドの結合能の分析のためのスクリーニングプロセスに用いたモノクローナル抗体中で培養した。
2. インビトロにおける結合阻害アッセイ(ELISA)
スクリーニングプロセスにおいて用いたモノクローナル抗体とともに、ファージディスプレーから得られた量の異なるペプチド(それぞれ図に示す通り、濃度範囲10μgないし0.08μg(段階希釈))を培養した。その後、結合する抗体の量を減少させるペプチドを、このアッセイにおいて阻害することであるとする。
[実施例3]:インビボにおけるミモトープの試験:免疫原性及び交差反応性の分析
1. インビボにおけるミモトープの試験
阻害並びに非阻害性ペプチドをKLHに結合させ、適切なアジュバント(水酸化アルミニウム)とともにマウス(野生型C57/Bl6マウス;脇腹への皮下注射)に注入した。動物は、隔週の間隔で3-6回ワクチン接種し、血清も隔週採取した。各血清について、注入ペプチド並びに無関係なペプチドの抗体力価を決定した。さらに、ELISAプレートに固定した遺伝子組換えヒトAβタンパク質及び原ペプチドについて、それぞれに対する抗体力価を決定した。一般に血清は、ウシ血清アルブミン及び遺伝子組換え全長タンパク質に反応させて抗ペプチド反応により分析される。抗体力価は、抗マウスIgG特異的抗体を用いて決定した。結果の詳細は図6、7及び図8に示す。
2. 結果
2.1. N-末端切断型、及び修飾型Aβ特異的モノクローナル抗体の同定:
図1は、Alz-5試験において得られた、全長Aβ及びE3において切断されたAβ断片から得られた特異的なモノクローナル抗体MV-001(内部名D129; IgG124)の特徴を示す。
図2は、Alz-16試験において得られた、切断されたAβ断片及びp(E)3において修飾されたAβ断片に特異的なモノクローナル抗体MV-002(内部名D129; IgG1の特徴を示す。
図3は、Alz-15試験において得られた、E11において切断されたAβ断片に特異的なモノクローナル抗体MV-004(内部名B204; IgG1)の特徴を示す。
2.2. AβのN末端切断型及び修飾型を標的とした特異的mABによるスクリーニング:
2.2.1. ファージディスプレーライブラリーPh.D.7
2.2.1.1. p4373に対するモノクローナル抗体のスクリーニング
PhD7ファージディスプレーライブラリーをスクリーニングし、このスクリーニングにより、8配列が同定された:表1Aは、ペプチドの同定及び原エピトープと比較したそれらの結合能の概略を示す。
2.2.1.2. p4372を標的としたモノクローナル抗体のスクリーニング
PhD7ファージディスプレーライブラリーをスクリーニングし、このスクリーニングにより、9配列が同定された:表1Bは、ペプチドの同定及び原エピトープと比較したそれらの結合能の概略を示す。
2.2.1.3. モノクローナル抗体を用いたp4371を標的倒したスクリーニング
PhD7及びPhD12ファージディスプレーライブラリーをスクリーニングし、このスクリーニングにより、71配列が同定された:表1Cは、ペプチドの同定及び原エピトープと比較したそれらの結合能の概略を示す。
Figure 0006041917
表1Aの凡例:結合能は以下の結合コードで表した: 1:Xは、親抗体の希釈因子を示す
Figure 0006041917
Figure 0006041917
表1Bの凡例:結合能は以下の結合コードで表した: 1:Xは、親抗体の希釈因子を示す。
Figure 0006041917
Figure 0006041917
Figure 0006041917
表1-C、1-Dの凡例:結合能は以下の結合コードで表した: 1:Xは、親抗体の希釈因子を示す。
Figure 0006041917
2.3. インビトロにおける、Aβに対するモノクローナル抗体のファージディスプレーライブラリーにおけるスクリーニングによって同定されたミモトープの特徴:
図4及び5は、インビトロにおける結合及び阻害アッセイによる代表例を示す。得られたデータは、それぞれ表1及び2に概説する。
MV-003ミモトープ:インビトロにおける競合阻害試験において、8配列のうち6配列がp(E)3-7Aβ特異的抗体の結合を阻害した。残りの2配列はインビトロにおける競合阻害試験において、モノクローナル抗体の結合を阻害しなかったが、なお、親抗体に対する結合能は保っていた(表2A)。
MV-004ミモトープ:インビトロにおける競合阻害試験において、9配列すべてが、E11におけるN末端切断型モノクローナル抗体の結合を阻害した(表2B)。
MV-001ミモトープ:インビトロにおける競合阻害試験において、71配列のうち27配列がE3におけるN末端切断型モノクローナル抗体の結合を阻害した。残りの44配列はインビトロにおける競合阻害試験において、モノクローナル抗体の結合を阻害しなかったが、なお、親抗体に対する結合能は保っていた(表2C)。
表2:本発明において同定されたミモトープは阻害アッセイにおいてよい結果を示した。
Figure 0006041917
表2Aの説明:阻害能は以下の配列によってコードされている:
弱い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープよりも多くのペプチドが必要であることを意味する;強い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープと近い量のペプチドが必要であることを意味する。原ペプチドを標準としてミモトープと比較した。アッセイにおいて用いた10μgのペプチドによるODを、原ペプチドと比較して競合阻害能を計算するのに用いた。
Figure 0006041917
Figure 0006041917
表2Bの説明:阻害能は以下の配列によってコードされている:
弱い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープよりも多くのペプチドが必要であることを意味する;強い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープと近い量のペプチドが必要であることを意味する。原ペプチドを標準としてミモトープと比較した。アッセイにおいて用いた10μgのペプチドによるODを、原ペプチドと比較して競合阻害能を計算するのに用いた。
Figure 0006041917
Figure 0006041917
表2Cの説明:阻害能は以下の配列によってコードされている:
弱い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープよりも多くのペプチドが必要であることを意味する;強い阻害は、AB結合を低下させるのに、原エピトープと近い量のペプチドが必要であることを意味する。原ペプチドを標準としてミモトープと比較した。アッセイにおいて用いた10μgのペプチドによるODを、原ペプチドと比較して競合阻害能を計算するのに用いた。
Figure 0006041917
Figure 0006041917
2.4. インビボにおける、アミロイドβのN末端切断型及び修飾型に対するモノクローナル抗体のファージディスプレーライブラリーにおけるスクリーニングによって同定されたミモトープの特徴付け:
雌C57/Bl6マウス各群5-6匹を、KLHに結合させたペプチド30μgで皮下注射により免疫化した。コントロール群には原エピトープ-KLH結合体を投与した。アジュバントとしてはアラムを用いた(全て1mg/マウス)。投与したペプチドは、全て、モノクローナル抗体に特異的に結合したが、いくつかのペプチドは、その親抗体の原エピトープへの結合をインビトロで阻害しなかった(インビトロ結合阻害アッセイ)。インビトロのELISAアッセイによる抗体力価の決定は、単独のマウスの血清(それぞれ図6及び7参照)により、ワクチン接種を2週間間隔で行った(図6及び7をそれぞれ参照)。抗体力価は、全ての図においてOD半値(OD最大/2)として計算した。ELISAプレートのウェルは、ミモトープ-BSA結合体及び無関係なペプチド-BSA結合体(ネガティブコントロール)によりコーティングした。ポジティブコントロールは、親抗体をミモトープ-BSA結合体と反応させて行った。検出は、抗マウスIgGで行った。さらに、遺伝子組換えタンパク質をELISAプレートに固定し、血清を反応させた。図6-8は、インビボにおけるミモトープの特徴付けに用いられたアッセイの代表例を示す。
図6は、インビボにおけるミモトープのワクチン接種により誘導された免疫反応を、注入ペプチド及び関係のない配列を含む無関係なペプチドに対する免疫反応を分析することによって特徴付けた例である。示した3つのペプチド(原エピトープ及びミモトープ)は全て、注入ペプチドに対して免疫反応を誘導したが、無関係な配列(p1454)に対する関連する免疫反応は誘導しなかった。
MV-003ミモトープの例として、原エピトープp4373及びミモトープp4395、p4396、p4397、及びp4399を図6Aに示す。全てのワクチンがそれぞれのミモトープに対して同様の免疫反応を示した。原エピトープp4373ワクチン処置又はp4395、p4396、p4397又はp4399ワクチン処置した動物は、無関係なペプチドp1454に対してはいずれも免疫反応を示さなかった(11倍-25倍注入ペプチドよりも低い)。
MV-004ミモトープの例として、原エピトープp4372及びミモトープp4417、p4418、p4419、及びp4420を図6Bに示す。全てのワクチンがそれぞれのミモトープに対して同様の免疫反応を示した。原エピトープp4372ワクチン処置又はp4417、p4418、p4419、及びp4420ワクチン処置した動物は、無関係なペプチドp1454に対してはいずれも免疫反応を示さなかった(20-80倍注入ペプチドよりも低い)。
MV-001ミモトープの例として、原エピトープp4371及びミモトープp4381、p4382、及びp4390を図6Cに示す。全てのワクチンがそれぞれのミモトープに対して同様の免疫反応を示した。原エピトープp4371ワクチン処置又はp4381、p4382、及びp4390ワクチン処置した動物は、無関係なペプチドp1454に対してはいずれも免疫反応を示さなかった(>10倍注入ペプチドよりも低い)。
図7は、親抗体の原エピトープ並びにAβの切断型以外の形態から得られたミモトープワクチン接種により引き起こされたインビボにおける免疫反応の特徴である。
MV-003ミモトープの例として、原エピトープp4373及びミモトープp4395、p4396、p4397、及びp4399を図7Aに示す。原エピトープp4373に対しては4つのうち3つのミモトープワクチンが免疫反応を示した。類似の現象が、非修飾型p4371に対する交差反応性の分析から検出された。原エピトープp4373ワクチン及び4つのうち2つのミモトープワクチンが、p4371に対するのと同様の抗体力価を示した。驚いたことに、p4373に選択的に結合するMV-003により選択したミモトープも、非修飾型の原エピトープに対して免疫応答性交差反応を示した。
MV-004ミモトープの例として、原エピトープp4372及びミモトープp4417、p4418、p4419、及びp4420を図7Bに示す。4つのうち3つのミモトープワクチンは原エピトープp4372に対して検出可能な免疫反応を示した。
MV-001ミモトープの例として、原エピトープp4371及びミモトープp4381、p4382、及びp4390を図7Cに示す。全てのミモトープワクチンは原エピトープp4371に対して検出可能な免疫反応を示した。類似の現象がピログルタミン酸修飾型p4373に対して交差反応性の分析から検出された。原エピトープp4371ワクチン及び全てのミモトープワクチンがp4373に対して相当な抗体力価を示した。驚いたことに、p4371に特異的に結合するMV-001により選択したミモトープは、原エピトープ誘導性免疫反応又は親抗体よりも修飾型原エピトープに対して交差反応を誘導した。それゆえこれらのミモトープは、驚くべきことに広い免疫反応を必ずしも導くのではなく、Aβのより広い標的として用いられる。
図8は、全長Aβに対するミモトープワクチン接種により示された免疫反応のインビボでの特徴付けの例を示す。驚いたことに、MV-001及びMV-003を用いて選択したミモトープは、切断型又は修飾型の短いエピトープを用いた抗体との交差反応を示しただけでなく、全長、非修飾型のAβ並びに原配列と同等の、さらにp4371/p4373よりも効果的に交差反応性を示した。MV-002原エピトープ並びに同定されたミモトープについて、フリーであるN末端非修飾型Aβ11-40/42に対しては、抗体の特異性の移転によっても、そのような交差反応は見られなかった。それゆえ、本発明のミモトープは、AD患者の脳において見られる天然のAβペプチドの広いスペクトルの標的としての最適なワクチンの候補を構成する。そのような形態にはAβ1-40/42に限らず、Aβ3-40/42、Aβ(pE)3-40/42のようなN末端切断型、及び非修飾型Aβ11-40/42が含まれる。
表4及び5は、MV-001及びMV-003により得られたミモトープを用いた全長Aβに対するミモトープワクチンにより引き起こされた免疫反応の例を示す。
Figure 0006041917
表4に示した全てのペプチドは、全長及び/又は切断型及び修飾型Aβ又はその断片に対して特異的免疫反応を示した。
Figure 0006041917
表5に示した全てのペプチドは、全長及び/又は切断型及び修飾型Aβ又はその断片に対して特異的免疫反応を示した。
2.5:インビボにおける、遺伝子組み換え動物における、AD様疾患の減少効果におけるミモトープの特徴づけ
Tg2576 ADマウスモデルを、ミモトープワクチンの前臨床での有効性を試験するために用いた。この遺伝子組み換え体は、ハムスタープリオンタンパク質(PrP)プロモーターによる制御のもと、タンパク質の過剰発現を生じる、アミノ酸670/671位においてスウェーデン型二重変異を有するヒトAPPを発現する。これは、現在AD研究において最も広く用いられている方法の1つである。Tg2576モデルは、疾患特異的である、アミロイド斑蓄積及び星状細胞増加を含む、AD病理の様々な特徴を有している。現在ある全ての他のADモデル系と同様、ADの全ての主要な神経病理学的特徴を反映しているわけではない。
ミモトープ処置により脳内Aβ蓄積を予防することができるかを評価するため、ペプチド-KLH複合体をアラム(アジュバント:水酸化アルミニウム)に吸着させた、又はPBSをアラム(PBS又はコントロールと呼ぶ)に吸着させたものを単独でTg2576マウスに毎月皮下注射を行い、投与した。最後の免疫化の8週間後までに、動物を安楽死させ、脳を収穫しAβ沈着(AD様病変)を分析した。マウスは深い麻酔のもとで安楽死させた。続いて、脳を単離し、4%PFA中で固定し、エタノールで段階的に脱水し、キシレン中で培養しパラフィン包埋した。パラフィン包埋した脳は、7μMにおいて切断ミクロトームを用いてスライスし、スライドガラスに乗せた。
Tg2576動物においてAD様病変であるかを評価する方法としては、動物の脳内においてアミロイド沈着により占有された相対領域を分析した。この分析は、自動化された面積認識プログラムを用いて行った。斑であるかを特定するため、スライス断片を(Aβ40/42特異的)モノクローナル抗体(mAb) 3A5で染色した。ミモトープ処置動物をコントロール動物と比較した。動物はすべて13.5-14ヶ月で安楽死させた。この分析のため、大脳皮質及び海馬をカバーしている3スライド/動物を選択し、ミラックスシステム(Mirax-system)(ツァイス(Zeiss))を用いて文書で記録した。アミロイド斑により占められた面積の計算には、得られた画像を調べ、我々は各スライドにつき、4つまでの個別のセクションを分析し、
不自然で異常な染色強度を有する部分を排除した。
MV001のミモトープについては、1つの例示的な候補について面積の分析をした:分析は、ペプチド-KLH複合体ワクチンを用いて、以下の繰り返しのワクチン接種により行われた。ミモトープ処置動物がそれぞれ0.11%、0.14%及び0.22%であったのに対し、コントロール群の平均占有率は0.35%であった。これはミモトープ処置群のグループ2が67%、グループ3が60%、グループ4が36%の減少を生じたことと対応する(図9参照)。
類似の図がMV003誘導性ミモトープの群において検出される。ここではp4395の例について示す。MV001誘導性ミモトープについて示すように、ペプチド複合体ワクチン接種に続きアミロイド斑により占められた領域の分析を行った。コントロール群は、平均の占有率が0.35%であったのに対し、ミモトープ処置動物はそれぞれ0.21%であった。これは、グループ2におけるミモトープ処置における減少が38%であったのに対応する(図10参照)。
それゆえ、このデータのセットは、ミモトープワクチン処置が遺伝子組み換え動物におけるAD様病変において有益であることを明らかに示している。

Claims (13)

  1. βアミロイドーシスの予防及び/又は治療のための薬剤の製造のための、SEFKHG(C)、TLHEFRH(C)、ILFRHG(C)、TSVFRH(C)、SQFRHY(C)、LMFRHN(C)、SPNQFRH(C)、ELFKHHL(C)、THTDFRH(C)、DEHPFRH(C)、QSEFKHW(C)、ADHDFRH(C)、YEFRHAQ(C)及びTEFRHKA(C)からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチドを含む化合物の、少なくとも1つの使用(ここで、(C)は、ペプチドのC末端のシステイン残基が存在するか、または存在しないことを表す)。
  2. 化合物が医薬的に許容される担体に結合していることにより特徴づけられる請求項1に記載の使用。
  3. 医薬的に許容される担体が、KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)である請求項1または2に記載の使用。
  4. 静脈内、皮下、皮内、又は筋肉内投与用に製剤化されていることにより特徴づけられる請求項1ないし3のいずれか1つに記載の使用。
  5. 水酸化アルミニウムであるアジュバントとともに製剤されている化合物であることにより特徴づけられる請求項1ないし4のいずれか1つに記載の使用。
  6. 化合物が薬剤中に、0.1ngないし10mg、または10ngないし1mg、または100ngないし10μg含まれることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の使用。
  7. シヌクレイノパチーの症状を治療及び/又は緩和する請求項1ないし6のいずれか1つに定義されている化合物の使用。
  8. シヌクレイノパチーが、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、及び脳への鉄蓄積を伴う神経変性からなる群から選択されることにより特徴づけられる請求項7記載の使用。
  9. SEFKHG(C)、TSVFRH(C)、SQFRHY(C)、LMFRHN(C)、ILFRHG(C)、SPNQFRH(C)、ELFKHHL(C)、TLHEFRH(C)、ATFRHSP(C)、APMYFPH(C)、TYFSHSL(C)、HEPLFSH(C)、SLMRHSS(C)、EFLRHTL(C)、DEHPFRH(C)、QSEFKHW(C)、ADHDFRH(C)、YEFRHAQ(C)及びTEFRHKA(C)からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるペプチド(ここで、(C)は、ペプチドのC末端のシステイン残基が存在するか、または存在しないことを表す)。
  10. ペプチドが医薬的に許容される担体に結合していることにより特徴づけられる請求項9に記載のペプチド。
  11. 医薬的に許容される担体が、KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)である請求項9または10に記載のペプチド
  12. 少なくとも1つの、請求項9〜11のいずれか1つに記載のペプチドを含む医薬製剤。
  13. ワクチンである請求項12に記載の医薬製剤。
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