JP6040904B2 - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体装置に関する。
従来、半導体装置として、半導体基板上に、アルミニウム(Al)層、バリアメタル層、が順に積層されており、バリアメタル層上には電極層として金(Au)が積層されている構造が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載された技術において、各層はスパッタリングにより形成されている。
特開2006−173386号公報
しかし、スパッタ装置により層を形成する場合、製造された半導体装置がプラズマダメージを受けている場合があるという課題がある。一方、蒸着装置により層を形成する場合、窒化チタンなどの化合物により層を形成する際に成分比の制御が困難であるという課題がある。
また、蒸着装置からスパッタ装置へ酸素雰囲気下において移動させる場合、金属層などの層の酸化が起こり、各層の密着性が低下するという課題がある。一方、スパッタ装置と蒸着装置とを組み合わせて層を形成する場合であって、全ての層を非酸素雰囲気下で形成する場合、製造コストが嵩むという課題がある。そのほか、従来の半導体装置においては、その低抵抗化や、小型化、省資源化、製造の容易化、製造の精確さ、作業性の向上等が望まれていた。
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することができる。
本発明の一形態によれば、
半導体装置の製造方法であって、
(i)半導体層の少なくとも一部を覆うように、チタン、バナジウムからなる群の少なくとも一種により形成される第1の層を積層する工程と、
(ii)前記第1の層に対して前記半導体層とは反対側に、アルミニウムを主成分とするアルミニウム層を積層する工程と、
(iii)前記アルミニウム層が酸化する工程と、
(iv)前記アルミニウム層に対して前記第1の層とは反対側に、チタンにより形成されるチタン層を積層する工程と、
(v)前記チタン層に対して前記アルミニウム層とは反対側に、窒化チタンにより形成される窒化チタン層を積層する工程と、
(vi)前記窒化チタン層に対して前記チタン層とは反対側に、電極層を積層する工程と、を備え、
前記工程(i)及び(ii)は、第1の装置により行い、
前記工程(iv)、(v)及び(vi)は、前記第1の装置とは異なる第2の装置により行い、
前記工程(iii)は、前記第1の装置から前記第2の装置へ前記半導体装置を移動させる際に生じ、
前記第1の装置は、蒸着装置であり、前記第2の装置は、スパッタ装置である、半導体装置の製造方法が提供される。また、本発明は以下の形態として実現することもできる。
(1)本発明の一形態によれば、半導体装置の製造方法が提供される。この半導体装置の製造方法は、(i)半導体層の少なくとも一部を覆うように、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、バナジウム(V)からなる群の少なくとも一種により形成される第1の層を積層する工程と、(ii)前記第1の層に対して前記半導体層とは反対側に、アルミニウムを主成分とするアルミニウム層を積層する工程と、(iii)前記アルミニウム層が酸化する工程と、(iv)前記アルミニウム層に対して前記第1の層とは反対側に、チタンにより形成されるチタン層を積層する工程と、(v)前記チタン層に対して前記アルミニウム層とは反対側に、窒化チタンにより形成される窒化チタン層を積層する工程と、(vi)前記窒化チタン層に対して前記チタン層とは反対側に、電極層を積層する工程と、を備える。この形態の半導体装置の製造方法によれば、密着性の高い半導体装置を製造することができる。
(2)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記工程(ii)は、第1の装置により行い、前記工程(v)は、前記第1の装置とは異なる第2の装置により行い、前記工程(iii)は、前記第1の装置から前記第2の装置へ前記半導体装置を移動させる際に生じるとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、半導体装置を酸素雰囲気中において第1の装置から第2の装置へ移動させることができる。
(3)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記第1の装置は、蒸着装置であり、前記第2の装置は、スパッタ装置であるとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、プラズマダメージの発生を抑制できる。
(4)上記形態の半導体装置の製造方法において、前記半導体層は、III族窒化物のn型半導体により形成されており、
前記電極層は、金、銀(Ag)、銅(Cu)からなる群の少なくとも一種により形成されているとしてもよい。この形態の半導体装置の製造方法によれば、良好なオーミック接触の半導体装置を得ることができる。
上述した本発明の各形態の有する複数の構成要素はすべてが必須のものではなく、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな他の構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、上述した本発明の一形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部を上述した本発明の他の形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。
本発明は、半導体装置の製造方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、半導体装置や、半導体装置を備える電力変換装置等の形態で実現することができる。
本発明によれば、密着性の高い半導体装置を製造することができる。
第1実施形態における半導体装置100の構成を模式的に示す断面図。 第1実施形態における半導体装置100の製造方法を示すフローチャート。 本実施形態の半導体装置の性能を評価するために用いた試作例の構成を示す図。 各試作例のマイクロスクラッチ試験の結果。 試作例2の各層をTEM(Transmission Electron Microscope)により撮影した画像。 試作例3の各層をTEMにより撮影した画像。
A.第1実施形態:
A1.半導体装置100の構成:
図1は、第1実施形態における半導体装置100の構成を模式的に示す断面図である。図1には、本実施形態における半導体装置100の断面の一部を示している。なお、図1は、半導体装置100の技術的特徴をわかりやすく示すための図であり、各層の厚さを正確に示すものではない。また、図1には、説明を容易にするために、相互に直行するXYZ軸が図示されている。以降の図についても同様である。なお、本明細書において、層の厚さとは、X軸方向の寸法をいう。
本実施形態における半導体装置100は、SBD(Schottky Barrier Diode)である。半導体装置100は、半導体層10と、第1の層20と、アルミニウム層30と、チタン層40と、窒化チタン層50と、電極層60とを備える。
半導体層10は、III族窒化物のn型半導体により形成されている。「III族窒化物」とは、III−V族化合物のうち、V族元素として窒素を用いたものをいう。III族窒化物としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化インジウムが挙げられる。「n型半導体」とは、III族窒化物の場合は、ドナー不純物として、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などを添加した半導体をいう。本実施形態においては、半導体として、窒化ガリウム(GaN)を用いた。なお、本明細書において半導体層10を半導体基板10とも呼ぶ。
窒化ガリウムは、他の半導体と比較して、(i)熱伝導率が大きいため放熱性に優れている点、(ii)高温においても作動する点、(iii)電子の飽和速度が大きい点、(iv)絶縁破壊電圧が高い点で好ましい。
第1の層20は、半導体層10の一方の面を覆うように形成されている。本実施形態において、第1の層20は、チタンを主成分とする層である。本実施形態において、第1の層20の厚さは17.5nmとする。以下、「第1の層20」を「チタン層20」とも呼ぶ。なお、第1の層20としては、チタンではなく、窒化チタン(TiN)や、バナジウム(V)を用いてもよい。後に詳述するように、本実施形態において、第1の層20は、蒸着装置により形成される。窒化チタンを第1の層20に用いると、窒素とチタンの組成比を制御することが困難であるため、第1の層20は、チタンもしくはバナジウムを用いることが好ましい。
アルミニウム層30は、第1の層20に対して半導体層10とは反対側(−X軸方向側)に形成されている。アルミニウム層30は、アルミニウムを主成分とする層である。本実施形態において、アルミニウム層30はアルミニウムのみからなる単層であり、その厚さは200nmである。なお、アルミニウム層は、アルミニウムを90%以上含有する化合物(合金)であれば良く、その様な化合物であれば、アルミニウムの単層と同等の効果が得られる。化合物(合金)の例としてはAl−SiやAl−Cuなどが挙げられる。
チタン層40は、アルミニウム層30に対して第1の層20とは反対側(−X軸方向側)に形成されている。チタン層40は、チタンを主成分とする層である。本実施形態において、チタン層40の厚さは10nmとする。
窒化チタン層50は、チタン層40に対してアルミニウム層30とは反対側(−X軸方向側)に形成されている。窒化チタン層50は、窒化チタンを主成分とする層である。本実施形態において、窒化チタン層50の厚さは100nmとする。
電極層60は、窒化チタン層50に対してチタン層40とは反対側(−X軸方向側)に形成されている。電極層60は、銀(Ag)を主成分とする層である。本実施形態において、電極層60の厚さは100nmとする。
A2.半導体装置100の製造方法:
図2は、第1実施形態における半導体装置100の製造方法を示すフローチャートである。ステップS100では、半導体基板10を用意する。半導体基板10の第1の層20が形成される面には、予めエッチングが施されている。エッチングには、ドライエッチングやウェットエッチングがあるが、本実施形態においては、ドライエッチングを用いる。エッチングを施すことにより、接触抵抗率を下げることができる。また、半導体基板10は、第1の層20が形成される面とは反対側(+X軸方向側)の面に予め加工処理が施されている。
予め施されている加工処理は、(i)半導体基板10への凹凸形状の形成、(ii)ソース電極の形成、(iii)絶縁膜の形成、(iv)ドライエッチング、(v)ドレイン電極の形成、(vi)ゲート電極の形成、および(vii)熱処理を含む。
次に、ステップS110では、半導体基板10の加工処理が施されていない側(―X軸方向側)の面に、半導体層10の少なくとも一部を覆うように第1の層20を積層する。本実施形態において、第1の層20の形成は蒸着装置により行い、蒸着装置としてEB(Electron Beam)蒸着装置を用いる。蒸着装置を用いることにより、プラズマダメージを回避できる。なお、プラズマダメージとは、プラズマにより結晶が部分的に破損することをいう。プラズマダメージにより、結晶の破損した部分にキャリアがトラップされるため、接触抵抗が高くなる。
ステップS120では、第1の層20に対して半導体層10とは反対側に、アルミニウムを主成分とするアルミニウム層30を積層する。つまり、第1の層20の表面(−X軸方向側の面)にアルミニウム層30を形成する。アルミニウム層30の形成についても、EB蒸着装置を用いる。
ステップS130では、EB装置からスパッタ装置へ半導体装置100を移動させる。この際、半導体装置100のアルミニウム層30が酸化する。この酸化は、表面の少なくとも一部において起こる。
ステップS140では、アルミニウム層30に対して第1の層20とは反対側に、チタンにより形成されるチタン層40を積層する。つまり、アルミニウム層30の表面(−X軸方向側の面)にチタン層40を形成する。チタン層40の形成は、スパッタ装置により行う。具体的には、まず、非酸素雰囲気のチャンバー内にアルゴンを導入した後、そのチャンバー内に半導体層10を設置する。次に、プラズマ化させたアルゴン(Ar)の原子核を、ターゲットに当てる。その後、アルゴンの原子核があたった部分のターゲット原子が飛び、半導体基板10の予め加工処理が施されている面とは反対側(−X方向側)の面に付着する。なお、ターゲットは、チタンを放出するターゲットを用いる。スパッタ装置を用いることにより、予め加工処理が施されている面とは反対側(−X方向側)の面全体を、短時間で均一に成膜することができる。なお、スパッタリング時のRF(Radio Frequency)パワーなどの条件は使用する機器により異なるため、適宜最適な条件に設定する。「非酸素雰囲気」とは、酸素の分圧が、大気における酸素の分圧の1%未満である雰囲気をいう。
ステップS150では、チタン層40に対してアルミニウム層30とは反対側に、窒化チタンにより形成される窒化チタン層50を積層する。つまり、チタン層40の表面(−X軸方向側の面)に窒化チタン層50を形成する。チタン層40の形成は、スパッタ装置により行う。なお、ターゲットは、チタンを放出するターゲットを用いる。また、スパッタリングを行う際、チャンバー内に、アルゴンと共に窒素ガスも導入する。この条件でスパッタリングを行うことにより、アルミニウム層30の表面(−X軸方向側の面)に窒化チタン層50を形成できる。
ステップS160では、窒化チタン層50に対してチタン層40とは反対側に、電極層60を積層する。つまり、窒化チタン層50の表面(−X軸方向側の面)に電極層60を形成する。電極層60の形成についても、スパッタリングを用いる。なお、ターゲットは、銀を放出するターゲットを用いる。
ステップS170では、熱処理を行う。本実施形態における「熱処理」とは、半導体層10と電極層60との接触をオーミック接触とするための熱処理をいう。本実施形態において、熱処理は400度で30分間行う。以上の処理により、本実施形態における半導体装置100が製造される。
この形態の半導体装置の製造方法によれば、ステップS120まで蒸着装置を用いるため、プラズマダメージを受ける機会を低減できる。このため、半導体装置100の接触抵抗が高くなることを抑制できる。また、窒化チタン層50をスパッタ装置により形成するため、蒸着装置により形成する場合と比較して、組成の制御が容易となる。
また、本実施形態において、半導体基板10の予め加工処理が施されている面とは反対側(−X方向側)の面全体に各層(20、30、40、50)を堆積している。このため、電極層60はこの面(−X方向側の面)全体に堆積できるため、半導体装置100を他のデバイスに実装する際に、電極間の抵抗を低くできる。また、半導体装置100を他のデバイスに実装する際の密着性を向上できる。
B.性能評価:
各層の形成完了前に、非酸素条件下より取り出して酸素条件下に置くことは、一般的に好ましくない。この理由としては、形成済みの層の表面に酸化膜が生じ、酸化膜に起因してその上に形成される層との密着性が低下するためである。本実施形態の半導体装置100において、密着性の性能評価を行った。密着性の評価方法として、JIS R−3255に準拠したマイクロスクラッチ試験方法を採用した。
図3は、本実施形態の半導体装置の性能を評価するために用いた試作例の構成を示す図である。試作例において、半導体基板はシリコン基板を用い、電極として銀(Ag)を用いた。電極層の成膜後、全ての試作例において400度30分の熱処理を行なった。各試作例において、シリコン基板上に各層が以下の順番および厚みで積層されている。
[試作例1]
シリコン基板/窒化チタン層(層厚:35nm)/アルミニウム層(層厚:300nm)/窒化チタン層(層厚:50nm)/チタン層(層厚:5nm)/電極層60(層厚:100nm)
[試作例2]
シリコン基板/窒化チタン層(層厚:35nm)/アルミニウム層(層厚:300nm)/窒化チタン層(層厚:50nm)/チタン層(層厚:5nm)/電極層60(層厚:100nm)
[試作例3]
シリコン基板/窒化チタン層(層厚:35nm)/アルミニウム層(層厚:300nm)/チタン層(層厚:10nm)/窒化チタン層(層厚:50nm)/チタン層(層厚:5nm)/電極層60(層厚:100nm)
全ての試作例において、スパッタ装置により非酸素雰囲気下において金属層を形成した。試作例1は、非酸素雰囲気下において連続成膜した。一方、試作例2および試作例3は、アルミニウム層の成膜後、半導体装置を酸素雰囲気に曝し、その後、続きの成膜を行なった。試作例3は、試作例1および試作例2と比較して、アルミニウム層の成膜後、窒化チタン層の成膜前にチタン層を成膜する点が異なる。上記2点以外は、試作例の試作方法は同じである。
図4は、各試作例のマイクロスクラッチ試験の結果である。縦軸はセンサーアウトプットを示し、横軸は荷重(mN)を示す。膜の剥がれ始める荷重の値が大きいほど、密着性が高いことを示す。上段の図は、試作例1の結果を示し、中段の図は、試作例2の結果を示し、下段の図は、試作例3の結果を示す。
図4の結果より、試作例2は、約20mNの荷重により膜が剥がれ始めたのに対し、試作例1および試作例3は、約25mNの荷重により膜が剥がれ始めた。この結果は、(i)成膜時に半導体装置を酸素雰囲気に曝した場合の密着性は、非酸素雰囲気において連続成膜した場合の密着性と比べて低いこと、(ii)アルミニウム層の成膜後、窒化チタン層の成膜前にチタン層を成膜することにより、チタン層を成膜しない場合と比べて密着性が向上することを示している。
図5は、試作例2の各層をTEM(Transmission Electron Microscope)により撮影した画像である。画像における最下層は、アルミニウム(Al)層であり、その上に、窒化チタン(TiN)層、チタン(Ti)層、電極(Ag)層が積層された状態が撮影されている。この画像から、窒化チタン層の膜厚は約23nmであり、チタン層の膜厚は約17nmであり、電極層の膜厚は約98nmであることがわかる。なお、この画像から、アルミニウム層と窒化チタン層との間に、膜Fがあることが視認できる。膜Fは、アルミニウムが酸化した膜と推測される。膜Fを除く各層の境界はあいまいであるのに対し、膜Fの境界は明確であることから、この膜が他の層と密着性が低いことを示すと推測される。
図6は、試作例3の各層をTEMにより撮影した画像である。画像における最下層は、アルミニウム(Al)層であり、その上に、チタン(Ti)層、窒化チタン(TiN)層、チタン(Ti)層、電極(Ag)層が積層された状態が撮影されている。この画像から、アルミニウム層と接するチタン層の膜厚は約10nmであり、窒化チタン層の膜厚は約40nmであり、チタン層の膜厚は約29nmであり、電極層の膜厚は約82nmであることがわかる。なお、図6において、窒化チタン層の膜厚は、40nmと39nmの2箇所の測定値から、窒化チタン層の膜厚は、約40nmであることがわかる。同様に、アルミニウム層と接するチタン層の膜厚は、12nmと9nmの2箇所の測定値から、チタン層の膜厚は、約10nmであることがわかる。
図5により視認できたアルミニウムが酸化したと推測される膜Fは、図6では視認できない。膜Fが試作例3には視認できない理由としては、アルミニウム層の上にチタン層を設けることにより、チタンとアルミニウム酸化膜が反応してアモルファスとなったのではないかと推測される。一方、試作例2において膜Fが残存する理由としては、膜Fと窒化チタンとは反応しないからではないかと推測される。
以上の結果から、アルミニウム層を形成した後に、酸素雰囲気に曝したとしても、チタン層をアルミニウム層の上に形成することにより、各層の密着性が向上することがわかる。また、アルミニウム層の形成後に、半導体装置100を酸素雰囲気中においても移動させることができるため、アルミニウム層を形成する第1の装置と、窒化チタン層を形成する第2の装置とを異なる装置とすることができる。このため、全ての層を非酸素雰囲気下で形成するような設備を設ける必要が無くなり、製造コストを抑えることができる。
アルミニウム層を形成する第1の装置として、蒸着装置を用いることにより、製造された半導体装置へのプラズマダメージを受ける機会を低減することができる。また、窒化チタン層を形成する第2の装置として、スパッタ装置を用いることにより、成分比の制御の困難性を克服できる。
また、半導体として、III族窒化物のn型半導体装置を用い、電極を、金、銀、銅からなる群の少なくとも一種により形成することにより、良好なオーミック接触を得ることができる。
C.変形例:
この発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
C1.変形例1:
本実施形態において、ステップS100において半導体層10は予め用意されている。しかし、本発明はこれに限られない。つまり、ステップS110の直前に半導体基板10を形成してもよい。具体的には、有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)により、半導体層10を形成することができる。
C2.変形例2:
本実施形態において、金属層の形成は蒸着装置により形成後、スパッタ装置により形成される。しかし、本発明はこれに限られない。金属層の形成は、蒸着装置を用いてもよく、スパッタ装置を用いてもよく、スパッタ装置を用いた後に蒸着装置を用いてもよい。また、金属層の形成方法として、例えば、液相成膜法や、化学的気相法を用いてもよい。なお、蒸着法は、薄膜の均一成膜に適している。
C3.変形例3:
本実施形態において、半導体層10には下記の順に金属層が配置されている。
第1の層20/アルミニウム層30/チタン層40/窒化チタン層50/電極層60
上記各層は、互いに接触して配置されている。しかし、本発明はこれに限らない。金属層の配置としては、例えば、バリアメタルにより形成される層をアルミニウム層30とチタン層40との間を除く各層の間のうちの少なくとも一箇所に積層してもよい。また、各層において、不純物などの他の成分が混入されていてもよい。
C4.変形例4:
本実施形態において、熱処理は400度30分行っている。しかし、本発明はこれに限らない。熱処理を行う場合、半導体と電極との接触がオーミック接触となる温度および時間であればよく、例えば、450度30分や、500度5分としてもよい。
C5.変形例5:
本実施形態において、半導体装置はSBDとしている。しかし、本発明はこれに限らない。半導体装置としては、例えば、FET(Field Effect Transistor)としてもよい。
C6.変形例6:
本実施形態において、半導体はIII族窒化物である窒化ガリウムを用いている。しかし、本発明はこれに限らない。半導体としては、例えば、窒化アルミニウムや窒化インジウムなどのIII族窒化物を用いてもよく、シリコンや、ガリウムヒ素や、シリコンカーバイドなどを用いてもよい。
C7.変形例7:
本実施形態においては、第1の層20などを積層する面とは反対側の面に予め加工処理が施された半導体基板10を用いている。しかし、本発明は、これに限られない。電極層60などを半導体層10に形成した後に、電極層60とは反対側の半導体層10の面に加工処理を施してもよい。
C8.変形例8:
本実施形態において、半導体基板10の予め加工処理が施されている面とは反対側(−X方向側)の面全体に各層(20、30、40、50、60)を堆積している。しかし、本発明はこれに限られない。半導体基板10の予め加工処理が施されている面とは反対側(−X方向側)の面全体ではなく、面の一部に各層(20、30、40、50、60)を堆積してもよい。
C9.変形例9:
本実施形態において、半導体装置100の各層の膜厚を規定している。しかし、本発明はこれに限られない。半導体装置100の各層の膜厚は、適宜変更してもよい。
本発明は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…半導体層
20…第1の層
30…アルミニウム層
40…チタン層
50…窒化チタン層
60…電極層
100…半導体装置

Claims (2)

  1. 半導体装置の製造方法であって、
    (i)半導体層の少なくとも一部を覆うように、チタン、バナジウムからなる群の少なくとも一種により形成される第1の層を積層する工程と、
    (ii)前記第1の層に対して前記半導体層とは反対側に、アルミニウムを主成分とするアルミニウム層を積層する工程と、
    (iii)前記アルミニウム層が酸化する工程と、
    (iv)前記アルミニウム層に対して前記第1の層とは反対側に、チタンにより形成されるチタン層を積層する工程と、
    (v)前記チタン層に対して前記アルミニウム層とは反対側に、窒化チタンにより形成される窒化チタン層を積層する工程と、
    (vi)前記窒化チタン層に対して前記チタン層とは反対側に、電極層を積層する工程と、を備え
    前記工程(i)及び(ii)は、第1の装置により行い、
    前記工程(iv)、(v)及び(vi)は、前記第1の装置とは異なる第2の装置により行い、
    前記工程(iii)は、前記第1の装置から前記第2の装置へ前記半導体装置を移動させる際に生じ
    前記第1の装置は、蒸着装置であり、前記第2の装置は、スパッタ装置である、半導体装置の製造方法。
  2. 請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
    前記半導体層は、III族窒化物のn型半導体により形成されており、
    前記電極層は、金、銀、銅からなる群の少なくとも一種により形成されている、半導体装置の製造方法。
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