JP6040170B2 - オイルポンプ - Google Patents
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Description
この構成によれば、このオイルポンプが例えばエンジン(のオイルパン内に配置された状態)に適用された場合において、通常の運転条件下においては、オイル(潤滑油)は、インナーロータ及びアウターロータのポンプ作用により、ポンプ室に吸い込まれ、続いて、吸い込まれた空気混入のオイルは加圧され、続いて、空気混入のオイルの一部がパージ口からハウジングの外部(でオイルパン内)に排出され、続いて、残りのオイルが吐出口から吐出されて、種々の潤滑領域に向けて圧送される。
一方、エンジンの始動時にはオイルパン内の油面が高いため又高速回転時においては吸入行程の追従遅れにより、パージ口からオイルが吸い込まれる場合があり、この場合において、オイルはフィルタ部材を通してポンプ室に吸い込まれるため、異物等の混入によるスティック等を防止でき、それ故に所期のポンプ性能を保証でき、幅広いエンジン回転領域において、ポンプ性能の向上、耐久性の向上等を達成することができる。
この構成によれば、回転速度によっては、オイルが、吸入口を通してポンプ室に吸い込まれる際に、パージ口からも吸い込まれるため、空気の含有量が少ない回転領域や空気の排出を重視しない回転領域においても、オイルを吸入して吐出するポンプとして使用することが可能になる。
この構成によれば、ハウジングの外側からフィルタ部材を容易に取り付け又は取り外すことができ、それ故にハウジングを分解することなく、フィルタ部材の交換作業等も容易に行うことができる。
この構成によれば、上流側ロータ及び下流側ロータの二段のトロコイド式ポンプを採用するため、装置の外径寸法の小型化を達成しつつ、所望のポンプ特性を確保することができ、又、吸入口、パージ口、吐出口が上記のような配置構成となっているため、ポンプ効率を高めることができる。
この構成によれば、吸入口から吸い込まれたオイルを上流側ロータ内において確実に加圧し連通口を通して下流側ロータに送り出すことができ、全体としてのポンプ性能を向上させることができる。
この構成によれば、ポンプ室に対して吸入口とパージ口とが同時に連通する配置が成立し易い構成において、所望の吐出量を確保しつつ、ポンプ性能及び耐久性を向上させることができる。
この構成によれば、パージ口からの空気の排出を効率良く行うことができる。
この実施形態に係るオイルポンプは、図1及び図2に示すように、ハウジングをなすハウジング本体10及びハウジングカバー20、ハウジングにより軸線S回りに回転自在に支持された回転軸30、ハウジング内に組み込まれたロータケース40、ロータケース40の端面に当接するサイドプレート50、サイドプレート50を軸線Sの方向においてロータケース40側に付勢する付勢部材としてのOリング60、ロータケース40内に収容された第1インナーロータ71及び第1アウターロータ72からなる上流側ロータ70、軸線Sの方向において上流側ロータ70に隣接してロータケース40内に収容された第2インナーロータ81及び第2アウターロータ82からなる下流側ロータ80、ハウジングカバー20に取り付けられたフィルタ部材90等を備えている。
ここで、パージ口24は、図4A及び図9Aに示すように、軸線Sを通る径方向に伸長すると共にその径方向外側端において第1インナーロータ71及び第1アウターロータ72の回転方向(矢印方向)に伸長する略L字状に開口するように形成されている。これにより、パージ口24からの空気の排出を効率良く行うことができる。
尚、パージ口としては、上記の形態をなすパージ口24に限るものではなく、目標とするパージ排出量等に応じて適宜所望の形態を採用することができる。
そして、回転軸30は、エンジンの一部をなす回転部材等に連結されて回転駆動されるようになっている。
内周面42は、上流側ロータ70の第1アウターロータ72を軸線L1回りに回動(摺動)自在に内接させる寸法に形成されている。
内周面43は、下流側ロータ80の第2アウターロータ82を軸線L2回りに回動(摺動)自在に内接させる寸法に形成されている。
吸入口44bは、吸入通路14に連通すると共に、上流側ロータ70(のポンプ室P)に臨むように形成されている。
このように、吸入口44bは、上流側ロータ70と下流側ロータ80との間において、上流側ロータ70に臨むように設けられているため、吸入口44bから吸い込まれたオイルを上流側ロータ70内において確実に加圧し連通口44eを通して下流側ロータ80に送り出すことができ、全体としてのポンプ性能を向上させることができる。
連通口44eは、上流側ロータ吐出口44cと下流側ロータ吸入口44dとを連通させて、上流側ロータ70から吐出されたオイルを下流側ロータ80に導くように形成されている。
そして、ロータケース40は、回転軸30と共に内周面42に上流側ロータ70及び内周面43に下流側ロータ80を収容した状態で、端面13と協働して、Oリング60及びサイドプレート50を挟み込みつつ位置決め穴16に嵌合された位置決めピンを位置決め穴46aに嵌め込むようにして、ハウジング本体10の内周面12に組み付けられる(嵌め込まれる)ようになっている。
そして、サイドプレート50は、ハウジング本体10の位置決め穴16に嵌合された位置決めピンを位置決め孔53に通して、端面13との間にOリング60を挟み込むようにしてハウジング本体10に組み付けられるようになっている。
第1インナーロータ71は、回転軸30の軸部33を嵌合させる嵌合孔71aを有すると共にその外周に4つの山及び谷(凹み)をもつ外歯車として形成されている。
第1アウターロータ72は、ロータケース40の内周面42に摺動自在に嵌合される外周面72aを有すると共にその内周において第1インナーロータ71の4つの山(外歯)及び谷(凹み)と噛み合う5つの山(内歯)及び谷(凹み)をもつ内歯車として形成されている。
すなわち、上流側ロータ70(第1インナーロータ71及び第1アウターロータ72)は、4葉5節のトロコイドポンプを構成するものである。
また、図10に示すように、パージ口24は、第1インナーロータ71及び第1アウターロータ72により画定されるポンプ室Pに対して、吸入口44bと同時に連通し得る領域に配置されている。したがって、エンジン始動時のオイルパン内の油面が高い時又は高速回転時において吸入行程の追従遅れを生じるような場合に、パージ口24からポンプ室Pにオイルが吸い込まれ得るようになっている。
すなわち、回転速度によっては、オイルが、吸入口44bを通してポンプ室Pに吸い込まれる際に、パージ口24からも吸い込まれるため、空気の含有量が少ない回転領域や空気の排出を重視しない回転領域においても、オイルを吸入して吐出するポンプとして使用することが可能になる。
第2インナーロータ81は、回転軸30の軸部34を嵌合させる嵌合孔81aを有すると共に外周に4つの山及び谷(凹み)をもつ外歯車として形成されている。
第2アウターロータ82は、ロータケース40の内周面43に摺動自在に嵌合される外周面82aを有すると共に内周において第2インナーロータ81の4つの山(外歯)及び谷(凹み)と噛み合う5つの山(内歯)及び谷(凹み)をもつ内歯車として形成されている。
すなわち、下流側ロータ80(第2インナーロータ81及び第2アウターロータ82)は、4葉5節のトロコイドポンプを構成するものである。
また、ロータケース40及びサイドプレート50は、ハウジング(ハウジング本体10及びハウジングカバー20)の内側においてさらに上流側ロータ70及び下流側ロータ80を収容する第2のハウジングを構成するものである。
そして、ロータケース40及びサイドプレート50は、上流側ロータ70及び下流側ロータ80と同一の材料(鋼又は焼結鋼等)により形成されているため、アルミニウム材料により形成されたハウジング(ハウジング本体10及びハウジングカバー20)が熱膨張して、軸線S方向にクリアランスを生じるような場合があっても、Oリング60の付勢力により、ロータケース40及びサイドプレート50が軸線S方向の一方側に付勢されるため、上流側ロータ70の両側面及び下流側ロータ80の両側面において隙間を生じることはなく、所期のポンプ性能(吐出特性)を確保することができる。
そして、フィルタ部材90は、ハウジングカバー20のパージ口24を覆うべく、座ぐり部28に嵌め込まれ、その上から環状の固定リング91が嵌め込まれることで、ハウジングカバー20に対して外側から取り付けられるようになっている。
このように、ハウジング(ハウジング本体10及びハウジングカバー20)の外側からフィルタ部材90を容易に取り付け又は取り外すことができ、それ故にハウジング(ハウジング本体10及びハウジングカバー20)を分解することなく、フィルタ部材90の交換作業等も容易に行うことができる。
尚、フィルタ部材としては、上術の如く半円球に形成された網目状のフィルタ部材90及びそれを固定する固定リング91に限るものではなく、その他の構成及び形態をなすフィルタ部材及び固定手法を採用することができる。
例えば、図11に示すように、固定リング91に換えてC状のスナップリング91´を採用し、又、ハウジングカバー20の座ぐり部28の内周面に環状溝28´を設けた構成を採用してもよい。
これによれば、フィルタ部材90は、ハウジングカバー20のパージ口24を覆うべく、座ぐり部28に嵌め込まれ、その上からC状のスナップリング91´が環状溝28´に嵌め込まれることで、ハウジングカバー20に対して外側から取り付けられるようになっている。
この場合も同様に、ハウジング(ハウジング本体10及びハウジングカバー20)の外側からフィルタ部材90を容易に取り付け又は取り外すことができ、それ故にハウジング(ハウジング本体10及びハウジングカバー20)を分解することなく、フィルタ部材90の交換作業等も容易に行うことができる。
先ず、エンジンが通常の回転領域にある場合(オイルがパージ口24から吸い込まれない場合)においては、上流側ロータ70(第1インナーロータ71及び第1アウターロータ72)が、図9Aにおいて反時計回りに回転することにより、オイルが、吸入通路14→吸入口44bを経て、上流側ロータ70のポンプ室P内に吸い込まれる。
そして、下流側ロータ80の連続的な回転により、ポンプ室Pに吸入されたオイルは加圧され、吐出口52→吐出通路15を経て、外部の潤滑領域に供給される。
この場合、パージ口24にはフィルタ部材90が設けられているため、オイルパン内に溜まった異物等がポンプPに吸い込まれるのを防止でき、それ故に、上流側ロータ70及び下流側ロータ80のスティック等を防止でき、所期のポンプ性能を保証でき、幅広いエンジン回転領域において、ポンプ性能の向上、耐久性の向上等を達成することができる。
上記実施形態においては、上流側ロータ70(第1インナーロータ71及び第1アウターロータ72)及び下流側ロータ80(第2インナーロータ81及び第2アウターロータ82)を備えた二段のトロコイド式ポンプにおいて、本発明を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、一組のインナーロータ及びアウターロータを備えた構成において、本発明を適用してもよい。
上記実施形態においては、オイルポンプとして、トロコイドポンプを示したが、これに限定されるものではなく、内接ギヤ式のオイルポンプあるいは外接ギヤ式のオイルポンプ等において、本発明を採用してもよい。
11 軸受孔
12 内周面
13 端面
14 吸入通路
15 吐出通路
16 位置決め穴
17 接合面
18 ネジ穴
19 位置決め穴
20 ハウジングカバー(ハウジング)
21 軸受孔
22 凹部
23 凹部
24 パージ口
25 円孔
26 位置決め穴
27 位置決め穴
28 座ぐり部
28´ 環状溝
30 回転軸
S 軸線
31 一端部
32 他端部
33,34,35 軸部
40 ロータケース
41 円筒部
42 内周面
43 内周面
44 中間壁部(スペーサ部材)
44a 軸受孔
44b 吸入口
44c 上流側ロータ吐出口
44d 下流側ロータ吸入口
44e 連通口
45 端面
45a 位置決め穴
46 端面
46a 位置決め穴
50 サイドプレート
51 円孔
52 吐出口
53 位置決め孔
54 凹部
60 Oリング
70 上流側ロータ
P ポンプ室
71 第1インナーロータ
71a 嵌合孔
72 第1アウターロータ
L1 軸線
72a 外周面
80 下流側ロータ
P ポンプ室
81 第2インナーロータ
81a 嵌合孔
82 第2アウターロータ
L2 軸線
82a 外周面
90 フィルタ部材
91 固定リング
91´ スナップリング
Claims (7)
- オイルを吸入する吸入口,オイルを吐出する吐出口,空気が混入した空気混入オイルを排出するパージ口を有するハウジングと、
前記ハウジング内において所定の軸線回りに回転自在に配置されたインナーロータと、
前記ハウジング内において前記インナーロータに連動して回転するべく配置されたアウターロータと、
を備えたオイルポンプであって、
前記ハウジングには、その外側から前記パージ口を通して異物が侵入するのを防止するフィルタ部材が設けられている、
ことを特徴とするオイルポンプ。 - 前記パージ口は、前記インナーロータ及びアウターロータにより画定されるポンプ室に対して、前記吸入口と同時に連通し得る領域に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のオイルポンプ。 - 前記ハウジングは、前記インナーロータ及びアウターロータを収容する凹部を有するハウジング本体と、前記ハウジング本体の開口を閉鎖するべく連結されるハウジングカバーとを含み、
前記ハウジングカバーには、前記パージ口が形成され、
前記フィルタ部材は、前記ハウジングカバーに対して外側から取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のオイルポンプ。 - 前記インナーロータ及びアウターロータは、前記軸線の方向において隣接して配置された,第1インナーロータ及び第1アウターロータからなる上流側ロータと、第2インナーロータ及び第2アウターロータからなる下流側ロータを含み、
前記ハウジングは、前記上流側ロータと前記下流側ロータとの間に介在するスペーサ部材を含み、
前記吸入口は、前記上流側ロータに臨むように設けられ、
前記吐出口は、前記下流側ロータに臨むように設けられ、
前記パージ口は、前記上流側ロータに臨むように設けられ、
前記スペーサ部材には、前記上流側ロータから吐出されたオイルを前記下流側ロータに導く連通口が設けられている、
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一つに記載のオイルポンプ。 - 前記吸入口は、前記上流側ロータと前記下流側ロータとの間において、前記上流側ロータに臨むように前記スペーサ部材に設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載のオイルポンプ。 - 前記インナーロータ及びアウターロータは、4葉5節からなる、
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか一つに記載のオイルポンプ。 - 前記パージ口は、前記軸線を通る径方向に伸長すると共にその径方向外側端において前記インナーロータ及びアウターロータの回転方向に伸長する略L字状に開口するように形成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか一つに記載のオイルポンプ。
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