JP2591210Y2 - オイルポンプ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、オイルポンプに関し、
詳しくは、自動車用内燃機関の潤滑系に使用される内接
歯車型のオイルポンプに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種のオイルポンプは一般にオ
イルパン内のオイルを各潤滑部に圧送する働きをするも
ので、内接歯車型のものにおいてはポンプケーシング内
でドライブギヤであるインナロータの外歯にドリブンギ
ヤとしてのアウタロータが偏心して組付けられており、
エンジンによって駆動されるインナロータによりアウタ
ロータとの間の歯形間に形成されるボリューム室に吸入
室側からオイルを導入し、吐出室側に排出するように構
成されている。なお、この種のオイルポンプとして特開
平２−１２６０８７号に開示されているものなどがあ
る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のオイルポンプにおいては、ロータの回転方向
に対し、特にその高回転時にオイルが粘性作用によって
ロータ近傍でつれ回る傾向があり、一方、噛み合い部よ
り下流側ではボリューム室が回転に伴って次第に増大さ
れるが噛み合い部直後のボリューム室に十分なオイルが
導かれないことのためにキャビテーションにより流量が
低下するという問題があった。

【０００４】本考案の目的は、かかる従来の問題に着目
し、噛み合い部直後のボリューム室に十分オイルが導か
れてキャビテーションの発生が防止されるようにしたオ
イルポンプを提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案のオイルポンプ
は、インナロータの外歯とアウタロータの内歯との噛み
合い部直後から閉じ込み部直前にかけてのボリューム室
内に、前記アウタロータの径方向外方に位置する吸入口
から吸入室を通してオイルを導入し、前記インナロータ
の外歯と前記アウタロータの内歯との間にて加圧された
オイルを吐出室を通して吐出するオイルポンプにおい
て、前記吸入室に、前記噛み合い部直後の近傍に位置す
る前記ボリューム室との対向位置から、前記アウタロー
タの径方向外方に延在する部位を形成し、前記アウタロ
ータの外側に、前記吸入室の部位と前記吸入口との間を
連通する吸入分岐通路を形成し、前記吸入分岐通路と前
記アウタロータの外周面との間に、それらの間を離隔す
る壁部を介在させたことを特徴とする。

【０００６】

【作用】本考案のオイルポンプは、吸入室に、噛み合い
部直後の近傍に位置するボリューム室との対向位置から
アウタロータの径方向外方に延在する部位を形成した
上、その吸入室の部位と吸入口との間を連通するための
吸入分岐通路をアウタロータの外側に形成し、さらに、
その吸入分岐通路とアウタロータの外周面との間を壁部
によって離隔したことにより、アウタロータの外周面と
の接触によるオイルのつれ回りを防止しつつ、吸入分岐
通路と吸入室を通して、吸入口からのオイルを噛み合い
部直後のボリューム室内にスムーズに導入して、その導
入量を充分かつ確実に確保する。

【０００７】

【実施例】以下に、図面を参照しつつ本考案の実施例を
具体的に説明する。

【０００８】図１は本考案の一実施例を示す。ここで、
１はケーシングであり、ケーシング１にはオイルの吸入
口２、吸入室３、吐出室４等の外にポンプ室５が形成さ
れていて、さらにこのポンプ室５の周りには本例の場合
アウタロータ６の歯幅に対応した幅を有するリング部材
７がケーシング１によって固定保持されるように嵌め込
まれている。８は駆動軸９によって駆動されるインナロ
ータであり、インナロータ８の外歯とアウタロータ６の
内歯とは噛み合い部１０で噛合し、アウタロータ６は上
記リング部材７の内周面に沿って回転自在に保持され
る。

【０００９】なお、インナロータ８とアウタロータ６と
は噛み合い部１０以外でもその歯先近傍同士が接し合う
ことによりその間にボリューム室１１が形成されるもの
で、１２は閉じ込み部である。また、本例においては、
吸入口２から噛み合い部１０直前までにわたって形成さ
れる吸入室３の一部がリング部材７の外側にまで回り込
む形でリング部材７に沿って設けられており、このリン
グ部材７により図２に示すようにアウタロータ６との間
が離隔された形で部材７の外側に吸入室３と連通する吸
入分岐通路３Ａが形成される。

【００１０】このように構成したオイルポンプにおいて
は、エンジンにより駆動軸９を介してインナロータ８が
矢印で示す反時計回りの方向に回転させられ、それに連
動してアウタロータ６がリング部材７の内周面に沿って
回転させられる。そして、これらの回転により噛み合い
部１０の下流側で回転に伴って拡大されるボリューム室
１１に吸入室３からオイルが導かれるが、本例によれ
ば、リング部材７より外側の吸入分岐通路３Ａではオイ
ルがアウタロータ６やインナロータ８の回転に伴うつれ
回りの影響を受けず、むしろ噛み合い部１０直後の吸入
室３側に生じる負圧に応じて矢印Ｆで示すように吸入分
岐通路３Ａによってオイルが導かれることになり、吸入
室３側で順調にオイルをボリューム室１１に導入するこ
とができる。

【００１１】なお、上記の実施例では、リング部材７を
アウタロータ６の幅に合わせた形状のものとしたが、吸
入室３側に延在させた幅広の環状体、またはボリューム
室１１へのオイルの流入を妨げない程度半径方向に所定
幅のフランジ部（不図示）を有する環状体等にしてもよ
いことはいうまでもない。

【００１２】

【考案の効果】以上説明したように、本考案のオイルポ
ンプは、吸入室に、噛み合い部直後の近傍に位置するボ
リューム室との対向位置からアウタロータの径方向外方
に延在する部位を形成した上、その吸入室の部位と吸入
口との間を連通する吸入分岐通路をアウタロータの外側
に形成し、さらに、その吸入分岐通路とアウタロータの
外周面との間を壁部によって離隔したことにより、アウ
タロータの外周面との接触によるオイルのつれ回りを防
止しつつ、吸入分岐通路と吸入室を通して、吸入口から
のオイルを噛み合い部直後のボリューム室内にスムーズ
に導入して、その導入量を充分かつ確実に確保すること
ができ、これらの結果、ポンプの高速回転時においても
噛み合い部直後のボリューム室内へのオイルの導入不足
を解消し、キャビテーションの発生を防止してオイルを
円滑に圧送することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案オイルポンプの構成の一例を示す断面図
である。

【図２】図１のＡ−Ａ′線断面図である。

【符号の説明】

１ ケーシング ３ 吸入室 ３Ａ 吸入分岐通路 ４ 吐出室 ５ ポンプ室 ６ アウタロータ ７ リング部材 ８ インナロータ ９ 駆動軸 １０ 噛み合い部 １１ ボリューム室 １２ 閉じ込み部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 インナロータの外歯とアウタロータの内
   歯との噛み合い部直後から閉じ込み部直前にかけてのボ
   リューム室内に、前記アウタロータの径方向外方に位置
   する吸入口から吸入室を通してオイルを導入し、前記イ
   ンナロータの外歯と前記アウタロータの内歯との間にて
   加圧されたオイルを吐出室を通して吐出するオイルポン
   プにおいて、前記吸入室に、前記噛み合い部直後の近傍に位置する前
   記ボリューム室との対向位置から、前記アウタロータの
   径方向外方に延在する部位を形成し、 前記アウタロータの外側に、前記吸入室の部位と前記吸
   入口との間を連通する吸入分岐通路を形成し、 前記吸入分岐通路と前記アウタロータの外周面との間
   に、それらの間を離隔する壁部を介在させたことを特徴
   とするオイルポンプ。