JP6038991B2 - 建築物の外壁の湿気排出構造 - Google Patents

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本発明は、建築物の湿気排出構造に関する。
気泡コンクリートで形成されたコンクリートパネルは、主に、事務所ビルや工場といった建築物に用いられている。その中でも、ALC(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)パネルは、通常のコンクリートパネルに比べて軽量で断熱性にも優れていることから、事務所ビルや工場だけでなく、住宅にも採用されている。
従来、外壁の外装面材にALCパネルを用いた建築物の多くは、外壁に断熱材を設けない無断熱構造が主流であったが、今般の建築物では、ALCパネルの裏面側に断熱材を設け、断熱構造を採用する外壁が増えている。このような建築物において、ALCパネルの裏面に密着させた状態で断熱材が配置されるケースがある。その一方で、特開2010−77649号公報(特許文献1)に示されるように、ALCパネルなどの外装材と断熱材との間に通気層を設け、上下の開口部を通して外気と連通可能とする外壁構造も提案されている。
特開2010−77649号公報
ALCパネルは吸放湿性に優れており、製造直後のALCパネルは多くの水分を含んでいる。そのため、ALCパネルは十分に乾燥させた状態で建築物に用いることが推奨されている。しかし、ALCパネルが十分に乾燥されず、初期水分を含んだまま建築物の外壁が施工される場合がある。このような場合、ALCパネルの水分によって、外壁内部に結露が発生する可能性がある。
特許文献1の外壁構造では、ALCパネルの裏に通気層を設けることが開示されているが、家屋の外壁を対象としているため、家屋の基礎上の水切部分から外気を取り入れ、家屋の軒裏まで導いている。したがって、このような外壁構造を、事務所ビルなどの建築物に適用することは困難である。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、簡易な構造で外壁内部の結露を防止することのできる、建築物の湿気排出構造を提供することである。
この発明のある局面に従う建築物の湿気排出構造は、外壁外装面材と、外壁内装面材と、断熱材と、通気経路とを備える。外壁外装面材は、気泡コンクリートで形成されている。外壁内装面材は、屋内空間の床部および天井部に交差し、外壁外装面材に沿って配置される。断熱材は、外壁外装面材と外壁内装面材との間に配置される。通気経路は、外壁外装面材の裏面と断熱材との間に設けられ、天井裏空間につながっている。通気経路は、外壁内装面材の開口を介して屋内空間と連通している。
好ましくは、通気経路において、外壁内装面材の開口から屋内空間の空気が取り込まれることにより、外壁外装面材の裏面から放出される湿気が天井裏空間に導かれる。
好ましくは、通気経路を介した湿気排出の動力は、外壁外装面材への日射熱により生じる浮力である。
天井裏空間に配置された換気装置をさらに備えていてもよい。この場合、通気経路を介した湿気排出の動力は、換気装置であってもよい。
好ましくは、外壁内装面材の開口は、外壁内装面材に設けられたコンセントの差込孔、または、幅木に形成された隙間である。
天井裏空間に天井断熱材が配置されている。天井断熱材は、通気経路を上昇する空気が天井裏空間に流出可能となるように、外壁外装面材から離間して配置されていることが望ましい。
外壁外装面材と外壁内装面材との間には、外壁外装面材の裏面から離間し、かつ、外壁内装面材に当接した状態で、複数のスタッドが互いに間隔をあけて配置されている。断熱材は、隣り合うスタッド間に配置され、通気経路は、外壁外装面材と断熱材との間に設けられた空気層によって構成されることが望ましい。
あるいは、通気経路は、外壁外装面材と断熱材との間に部分的に設けられた空間によって構成されていてもよい。
外壁外装面材の表面に、防湿塗膜が設けられていてもよい。
本発明によれば、簡易な構造で外壁内部の結露を防止することができる。
本発明の実施の形態に係る建築物の湿気排出構造を示す模式断面図である。 図1のII−II線に沿って切断した外壁内部の構造を示す模式断面図である。 本発明の実施の形態に係る建築物の湿気排出構造の妥当性の検証のため、自然換気の場合における換気量の計算結果を示す図であり、括弧内の数値は日射が当たらない条件下での計算結果である。 本発明の実施の形態に係る建築物の湿気排出構造の妥当性の検証のため、強制換気の場合の換気量の計算結果を示す図であり、括弧内の数値は日射が当たらない条件下での計算結果である。 (A),(B)は、本発明の実施の形態に係る建築物の湿気排出構造の妥当性の検証のための試験体を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態の変形例における外壁内部の構造を示す模式断面図である。 本発明の実施の形態の変形例における外壁内部の構造を示す模式断面図である。 本発明の実施の形態の変形例における外壁内部の構造を示す模式断面図である。 本発明の実施の形態の比較例における外壁内部の構造を示す模式断面図である。 一般的な建築物の構造を示す模式断面図である。 図10のIX−IX線に沿って切断した外壁内部の構造を示す模式断面図である。 一般的な建築物の外壁内部に結露が生じる様子を概念的に示す図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
本実施の形態に係る建築物は、オフィスビル、介護施設、および工場といった大型の建築系建物である。図1および図2を参照して、本実施の形態に係る建築物は、屋外空間と屋内空間61とを仕切る外壁1を備えている。外壁1は、外壁外装面材としてのALCパネル20と、屋内空間61に面する外壁内装面材(以下「内装面材」と略す)21と、これらの間に設けられた断熱材22とを含んでいる。
ALCパネル20は、軽量の気泡コンクリートであり、吸放湿性に優れている。ALCパネル20の屋外空間側の表面には防湿塗膜(図示せず)が設けられている。内装面材21は、屋内空間61の床部41および天井部42に交差している。天井部42の上方の天井裏空間62は、階間空間または小屋裏空間である。断熱材22は、たとえばグラスウールなどの断熱性材料と、断熱性材料を包む袋状の防湿フィルム220とを含む。外壁1内には、複数のスタッド24が、ALCパネル20の裏面(屋内空間61側の表面)から離間し、かつ、内装面材21に当接した状態で配置されている。複数のスタッド24は、外壁1の横幅方向に沿って互いに間隔をあけて配置されている。なお、図2には、外壁1の横幅方向を矢印A1で示し、外壁1の奥行き方向(厚み方向)を矢印A2で示している。
ここで、図10および図11を参照して、ALCパネル20を備えた一般的な建築物の外壁およびその周辺構造について、簡単に説明する。図10および図11に示されるように、一般的な建築物の外壁101では、断熱材22が、ALCパネル20の裏面全体に密着した状態で配置されている。このような外壁101では、スタッド24が、断熱材22と内装面材21とに挟まれている。そのため、外壁101内には、隣り合うスタッド24間に設けられた空気層123が含まれる。
また、内装面材21に直交する天井部42は、ALCパネル20の裏面から離れて配置されている。天井部42の上方の天井裏空間62には、天井部42に沿って天井断熱材43が配置されている。天井断熱材43は、外壁101内部の断熱材22に直交しているため、空気層123の上端は断熱材43によって塞がれている。
ALCパネル20は吸放湿性に優れており、製造直後のALCパネル20の含水率は40%を超える。ALCパネル20に含有される初期水分は徐々に放湿されるため、図10に示すような外壁構造とする場合、ALCパネル20は十分に乾燥させてから建築物に用いることが推奨されている。しかし、実際の現場では、高含水率状態のALCパネル20が外壁1に用いられることがある。このような場合、ALCパネル20の表面には防湿塗膜が設けられているため、ALCパネル20に含まれていた初期水分がALCパネル20の裏面から放出される。しかし、ALCパネル20の裏面は、断熱材22の防湿フィルム220が密着しているため、水分の逃げ場がない。
また、ALCパネル20の裏面には、一体化された複数の断熱材22が敷き詰められる。この場合、図12に示されるように、断熱材22の継ぎ目に生じた欠損部221から、ALCパネル20の初期水分が空気層123内に放湿される。しかし、図10に示されるように空気層123の上部は断熱材43で塞がれている。そのため、ALCパネル20の裏面から放出された湿気は空気層123内に留まり続け、やがて、内装面材21やスタッド24に、カビの原因となる結露80が生じることが分かった。
そこで、本実施の形態では、外壁1内部の湿気を排出可能とするために、ALCパネル20の裏面と断熱材22との間に、天井裏空間62につながる通気経路30を設けることとしている。本実施の形態に係る建築物の湿気排出構造10について、以下に説明する。
(湿気排出構造について)
図1および図2に示されるように、本実施の形態では、外壁1内の断熱材22が、ALCパネル20から離れて配置されている。断熱材22は、内装面材21に当接し、隣り合うスタッド24間にのみ配置されている。つまり、本実施の形態では、ALCパネル20の裏面に沿って、通気経路30を構成する空気層23が設けられている。空気層23の奥行き寸法は、ALCパネル20とスタッド24との間隔L1とほぼ等しく、その値はたとえば30mm程度である。
本実施の形態では、天井断熱材43が、図10に示す一般的な建築物の天井断熱材43よりも後退した位置に設けられている。そのため、ALCパネル20と天井断熱材43との間に開口32ができ、空気層23の上部が開放される。これにより、空気層23と天井裏空間62とが連通するため、空気層23内を上昇する空気が開口32を介して天井裏空間62に流出可能となる。
ここで、図1に示されるように、空気層23(通気経路30)は、内装面材21の開口31を介して屋内空間61と連通している。内装面材21の開口31は、内装面材21の下部に通常設けられている微小な孔であってよい。具体的には、コンセントの差込孔であってもよいし、幅木に形成された隙間であってもよい。なお、断熱材22は、開口31の位置を塞がないように、たとえば開口31の高さよりも上にのみ配置されていてもよい。
このように、本実施の形態によれば、内装面材21に特別な加工をしなくても、屋内空間61からの空気を空気層23に取り入れることができる。したがって、簡易な構成で空気層23の換気を行うことができる。その結果、簡易な構成で外壁1内部の結露を防止することができる。本実施の形態に係る湿気排出構造10は、空気層23よりも屋内空間61の絶対湿度が低い環境条件の場合に有用である。
外壁1内の空気層23の換気の動力、すなわち湿気排出の動力は、日射熱で空気層23が暖まることにより発生する浮力である。つまり、空気層23は自然換気される。この場合、長期間かけて空気層23内の湿気を排湿し、ALCパネル20を徐々に乾燥させることができる。
あるいは、天井裏空間62に換気装置50を設けて、空気層23内の空気を強制換気してもよい。具体的には、図1に示されるように、換気装置50は、外壁1側に向いて配置された吸込みノズル51と、その反対側に配置された吐出しノズル52とを有している。これにより、換気装置50を運転させることで、吸込みノズル51によって空気層23内の空気が強制的に吸い込まれ、吐出しノズル52によって屋外空間に排出される。このような強制換気は、既に外壁1に結露被害が発生している場合、日射が見込めない立地条件の場合など、急速な排湿が必要な場合に有効である。
なお、換気装置50は、湿気排出のための専用装置でなくてもよい。たとえば、屋内空間61に含まれる複数の個室(トイレ、廊下など)内の換気のために設けられた親子換気扇を利用してもよい。この場合、親子換気扇に吸込みノズル51を追加すればよい。
上述のように、本実施の形態に係る建築物の湿気排出構造10では、ALCパネル20の裏面に隣接する空気層23を設け、自然換気または強制換気によって屋内空間61の空気を空気層23に取り込んで流動させることで、空気層23内の湿気を天井裏空間62に排出することができる。このような構造の妥当性について検証する。
(妥当性について)
表1に示す計算条件に基づいて、自然換気および強制換気それぞれの場合の空気層23内の換気量の計算を行った。換気量の計算は、「換気回路網計算シミュレーション Ventsim 2.1.6」((独)建築研究所)を用いて行った。
Figure 0006038991
なお、表1において「室内」は屋内空間61に対応しており、「階間」は天井裏空間62に対応している。隙間面積は、建築物の境界部の隙間(開口)a〜eの面積が示されている。また、各隙間の高さ位置が、床面高さ(FL)を基準として示されている。隙間aは、内装面材21の開口31に対応し、隙間bは、空気層23上の開口32に対応している。隙間cは、天井部42に設けられたダウンライトの隙間や天井点検口に対応している。隙間d,eは、いずれも屋外空間と繋がる通気開口である。
自然換気の場合における各部の換気量の計算結果が図3に示されている。強制換気の場合における各部の換気量の計算結果が図4に示されている。なお、いずれの図においても、日射ありの換気量の下に、日射なしの場合の換気量が括弧内に示されている。
図3を参照して、日射なしの条件で自然換気の場合の換気量(m/h)は、屋外空間から屋内空間61への隙間dにおいて0.68、屋内空間61から空気層23への隙間aにおいて0.37、空気層23から天井裏空間62への隙間bにおいて0.37、屋内空間61から天井裏空間62への隙間cにおいて0.31、天井裏空間62から屋外空間への隙間eにおいて0.68となった。
これに対し、日射あり条件で自然換気の場合の換気量は、隙間dにおいて1.09、隙間aにおいて0.77、隙間bにおいて0.77、隙間cにおいて0.32、隙間eにおいて1.09となった。
このように、空気層23内の換気量は、日射がある場合で0.77m/h、日射がなくても0.37m/hである。したがって、計算上、換気装置50を用いなくても空気層23内の換気が可能であることが分かった。
図4を参照して、日射なし条件で強制換気の場合の換気量は、隙間dにおいて1.20、隙間aにおいて0.53、隙間bにおいて0.53、隙間cにおいて0.67、隙間eにおいて1.20となった。また、日射あり条件で強制換気の場合の換気量は、隙間dにおいて1.20、隙間aにおいて0.79、隙間bにおいて0.79、隙間cにおいて0.41、隙間eにおいて1.20となった。
図3および図4を比較すると、換気装置50により1.2m/hの強制換気を行った場合、空気層23の換気量が自然換気に比べて上昇することが分かる。特に、日射なし条件では、強制換気の場合の空気層23の換気量は、自然換気の場合と比べて1.43倍近く上昇している。一方で、日射あり条件では、強制換気の場合の空気層23の換気量は、自然換気の場合と比べて1.03倍程度であり、それほど変わらない。
このことから、外壁1への日射が見込める場合や結露被害が生じていない場合には、自然換気を採用する方が、省エネルギーおよびコストの観点から望ましい。また、結露被害が生じていたとしても、天井部42の隙間面積が大きい場合に換気装置50を換気の動力とすると、空気層23よりも天井部42の隙間c(図4)から吸い込む量が増加する。そのため、天井部42のダウンライトや点検口等の箇所が多い場合には、自然換気を採用することが望ましい。具体的には、天井部42の隙間cの開口面積が、内装面材21の隙間aの開口面積の4倍以上である場合には、自然換気とすることが望ましい。逆に、標準的な設計プランに従い天井部42の隙間cの開口面積が、内装面材21の隙間aの開口面積の2倍以下であれば、強制換気の効果が期待できる。
さらに、空気層23が換気されることにより、空気層23内の湿気が適切に排出できるかについて検証試験を行った。図5(A),(B)に試験体91,92を示す。試験体91は、ALCパネル920と内装面材921との間に30mm程度の空気層923を有している。これに対し、試験体92では、ALCパネル920と内装面材921との間に断熱材922が充填されており、空気層923が実質0mmとなっている。なお、内装面材921として、湿気を通さない防湿面材が用いられている。
検証試験は、自然換気を想定し、日射あり、日射なしの2条件で行った。具体的な試験条件としては、室内温度を27℃、ALCパネル920の裏面温度を45℃(日射あり条件)、ALCパネル920の裏面温度を30℃(日射なし条件)とした。これらの条件下での、図5(A)の試験体91と図5(B)の試験体92とのそれぞれにおける、空気層23内の温度(℃)、相対湿度(%)、および絶対湿度(kg/kg(DA))の測定結果を表2に示す。
Figure 0006038991
表2に示されるように、日射の有無に関わらず、空気層923を設けた試験体91の方が、絶対湿度が低下している。また、日射なし条件の相対湿度においては、空気層923が0mmの試験体92では100%となる場合があるのに対し、空気層923がある試験体91では90%以下に低下しいている。日射あり条件の相対湿度においては、試験体91の方が試験体92よりも大幅に低下している。
以上より、本実施の形態に係る建築物の湿気排出構造10によれば、屋内空間61の空気を空気層23に取り込んで換気することで、空気層23内に放出されたALCパネル20の湿気を適切に排出することができる。したがって、ALCパネル20が高含水率の初期水分を含んでいたとしても、外壁1内に結露が生じるリスクを低減できる。その結果、カビの発生を抑制でき、建築物の耐久性が向上する。
また、空気層23への空気の取込み口(開口31)が内装面材21に設けられるため、ALCパネル20側に開口を設けるよりも簡易な構造で、外壁1内部の湿気を排出することができる。また、外装面材に開口を設ける必要がないため、建築物の意匠性を向上させることもできる。さらに、本実施の形態では、内装面材21に元々存在する隙間を利用するため、内装面材21に開口31を設けるための特別な施工が必要ない。したがって、低コストで外壁1の結露対策が可能となる。
また、図10に示した一般的な建築物の構成から、外壁1内の断熱材22の位置を変え、天井断熱材43の端部をALCパネル20から遠ざけるだけでよいため、既存の建築物への事後対策も可能である。
なお、本実施の形態では、断熱材22がスタッド24間にのみ設けられていたが、この場合スタッド24が熱橋になるおそれがあるため、外壁1の断熱性の観点からすれば、ALCパネル20とスタッド24との間にも部分的に断熱材22を設けてもよい。つまり、ALCパネル20と断熱材22との間に通気経路30となる空間さえ確保できれば、図2に示すような構成でなくてもよい。他の外壁の構成例について、本実施の形態の変形例として、以下に説明する。
(変形例について)
図6に示す外壁1Aでは、スタッド24間に配置された断熱材22に加え、ALCパネル20とスタッド24との間の隙間に、横幅の小さい断熱材22aが充填されている。この場合、隣り合う断熱材22a間に、通気経路30が形成される。
図7に示す外壁1Bでは、横幅方向に長さを有する断熱材22が蛇行状態で配置されている。すなわち、断熱材22は、スタッド24間においては内装面材21に接しつつ、ALCパネル20とスタッド24との間の隙間にも挟み込まれている。この場合、断熱材22がALCパネル20から離れている空間に通気経路30が形成される。この構成によれば、図10に示した一般的な外壁101の構成から僅かな材料費のアップで実施可能である。なお、図2に示した外壁1の構成の方が、図7に示した外壁1Bに比べて通気経路30における放湿性は向上すると考えらえる。
図8に示す外壁1Cでは、空気層23の位置を図10に示した一般的な外壁101と同じとしながら、複数のチャンネル材25がALCパネル20と断熱材22との間に介入されている。チャンネル材25は、略U字状断面を有しており、開口がALCパネル20に向くように配置されている。チャンネル材25は、上下方向に延在し、外壁1Cの横幅方向に沿って互いに間隔をあけて配置されている。なお、チャンネル材25は、床面から浮いた状態で配置されており、天井裏空間62にまで延びているものとする。この場合、チャンネル材25の内部の空間が通気経路30となる。
なお、図9には比較例としての外壁1Xの内部構造が示されている。外壁1Xでは、空気層23の位置を図10に示した一般的な外壁101と同じとしながら、防湿フィルム220を剥がした剥き出しの断熱材122が、ALCパネル20の裏面全体に密着されている。この場合、防湿フィルム220がない分、図10の構成よりは、ALCパネル20の裏面に水分が滞留する可能性が減るかもしれないが、その排湿効果は期待できない。また、グラスウール等の断熱材料が剥き出しのため、作業性に劣る。
したがって、以上説明したように、ALCパネル20の裏面全体または部分的に接する空間を設けて、当該空間を、ALCパネル20の裏面から放出される湿気を天井裏空間62に導く通気経路30とすることが有効である。
なお、通気経路30の奥行き寸法は、理想的には30mm以上であるが、10mm以上あればよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,1A,1B,1C,1X,101 外壁、10 湿気排出構造、20,920 ALCパネル(外壁外装面材)、21,921 (外壁)内装面材、22,22a,122,922 断熱材、23,123,923 空気層、24 スタッド、25 チャンネル材、30 通気経路、31,32 開口、41 床部、42 天井部、43 天井断熱材、50 換気装置、51 吸込みノズル,52 吐出しノズル、61 屋内空間、62 天井裏空間、80 結露、91,92 試験体、220 防湿フィルム、221 欠損部。

Claims (8)

  1. 建築物の外壁の湿気排出構造であって、
    気泡コンクリートで形成された外壁外装面材と、
    屋内空間の床部および天井部に交差し、前記外壁外装面材に沿って配置される外壁内装面材と、
    前記外壁外装面材と前記外壁内装面材との間に配置される断熱材と、
    前記外壁外装面材の裏面と前記断熱材との間に設けられ、その下端が屋外に対して閉鎖された通気経路と
    前記屋内空間の前記天井部の上に位置し、前記通気経路と連通する天井裏空間とを備え、
    前記通気経路は、前記外壁内装面材の開口を介して前記屋内空間と連通し
    前記外壁内装面材の開口から前記通気経路に取り入れられた空気が前記天井裏空間から排気されることによって、前記外壁外装面材の裏面から前記通気経路に放出される湿気を排出する、建築物の外壁の湿気排出構造。
  2. 前記通気経路を介した湿気排出の動力は、前記外壁外装面材への日射熱により生じる浮力である、請求項に記載の建築物の外壁の湿気排出構造。
  3. 前記天井裏空間に配置された換気装置をさらに備え、
    前記通気経路を介した湿気排出の動力は、前記換気装置である、請求項に記載の建築物の外壁の湿気排出構造。
  4. 前記外壁内装面材の開口は、前記外壁内装面材に設けられたコンセントの差込孔、または、幅木に形成された隙間である、請求項1〜のいずれかに記載の建築物の外壁の湿気排出構造。
  5. 前記天井裏空間に天井断熱材が配置されており、
    前記天井断熱材は、前記通気経路を上昇する空気が前記天井裏空間に流出可能となるように、前記外壁外装面材から離間して配置されている、請求項1〜のいずれかに記載の建築物の外壁の湿気排出構造。
  6. 前記外壁外装面材と前記外壁内装面材との間には、前記外壁外装面材の裏面から離間し、かつ、前記外壁内装面材に当接した状態で、複数のスタッドが互いに間隔をあけて配置され、
    前記断熱材は、隣り合う前記スタッド間に配置されており、
    前記通気経路は、前記外壁外装面材と前記断熱材との間に設けられた空気層によって構成される、請求項1〜のいずれかに記載の建築物の外壁の湿気排出構造。
  7. 前記通気経路は、前記外壁外装面材と前記断熱材との間に部分的に設けられた空間によって構成されている、請求項1〜のいずれかに記載の建築物の外壁の湿気排出構造。
  8. 前記外壁外装面材の表面に、防湿塗膜が設けられている、請求項1〜のいずれかに記載の建築物の外壁の湿気排出構造。
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