JP6038133B2 - ニトリルゴムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はニトリルゴムの製造方法に関する。
より詳細には、本発明は、ニトリルゴムの製造方法であって、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリルと、少なくとも1種の共役ジエンと、さらに任意で1又は2種以上の共重合可能なモノマーとを乳化重合してラテックスを得る工程と、前記ラテックスを、少なくとも1種の金属硫酸塩の存在下で凝固させて凝固ニトリルゴムを得る工程と、前記凝固ニトリルゴムを、少なくとも1種の無機塩の存在下で、水で洗浄する工程、を有する上記ニトリルゴムの製造方法である。
また、本発明は、上記のようにして得られたニトリルゴムを少なくとも1種有する、加硫性エラストマー組成物に関する。
上記のようにして得られたニトリルゴムにより、加硫速度が速く、加硫度(vulcanization yield)に優れた加硫性エラストマー組成物を得ることができる。さらに、この加硫性エラストマーは、金型の付着汚れ(ファウリング)を起こしにくいため、射出成形に好適に用いることができる。
ニトリルゴム、特にアクリロニトリルブタジエンゴム(NBRとしても知られる)は、射出成形に広く用いられていることが知られている。
一般に、射出成形に用いるニトリルゴムは、そのエラストマー組成物が、特に高温での高い流動性及び高い架橋効率(即ち、速い加硫速度)、そして短い加硫時間となるものでなければならない。
加硫速度の速いエラストマー組成物を得ることのできるニトリルゴムの製法としては、例えば、カルボキシル基やアミノ基等の官能基を導入する方法、適当な加硫促進剤を加える方法、最小限の乳化剤及び凝固剤を用いて乳化重合を行い、得られるニトリルゴム中の残留触媒量を最小限とする方法など、種々の方法が提案されている。
また、ニトリルゴムを有するエラストマー組成物の射出成形では、加硫化を高温で行うと、金型の汚染が顕著であった。実際に、成形を何サイクルも繰り返すと、原料の残渣が徐々に金型に付着し、結果として得られる成形品を汚染したり、その表面を劣化させたりする。よって、金型を定期的に洗浄しなければならず、時間のロスや高生産コスト、生産性の低下を招いている。
従来、上記の欠点を克服するための試みがなされている。
例えば、ヨーロッパ特許出願EP692496には、ムーニー粘度が15から65の範囲であり、少なくとも3つの3級炭素原子及び当該3級炭素原子のうちの1つと結合した硫黄を有する炭素原子数12〜16のアルキルチオ基を、分子を構成するモノマー単位100モルに対して少なくとも0.03モル含む、不飽和ニトリル−共役ジエンコポリマーが記載されている。また、この特許出願には、少なくとも3つの3級炭素原子及び当該3級炭素原子のうちの1つ結合した硫黄を有する炭素原子数12〜16のアルキルチオールを分子量調整剤として用いて、フリーラジカル開始剤の存在下に、不飽和ニトリルと共役ジエンとを共重合させることを特徴とする、前記コポリマーの製造方法が記載されている。前記コポリマーにより、高温、短時間での加硫化において速い加硫速度が得られると共に、金型のファウリングの問題が実質的に解消されたエラストマー組成物を得ることができるとされている。その結果、上記コポリマーにより、特に射出成形に適したエラストマー組成物を構成することができるとされている。
ヨーロッパ特許出願EP779300には、少なくとも3つの3級炭素原子及び当該3級炭素原子のうちの1つと結合した硫黄を有する炭素原子数12〜16のアルキルチオ基を、分子を構成するモノマー単位100モルに対して少なくとも0.03モル含む、不飽和ニトリル−共役ジエンコポリマーであって、ムーニー粘度が15から150の範囲であり、不飽和ニトリル含有量が10重量%から60重量%であり、当該コポリマー中における不飽和ニトリルの成分分布幅(ΔAN)が3から20の範囲であるコポリマーが記載されている。また、この特許出願には、分子量調整剤及びフリーラジカル開始剤の存在下で、不飽和ニトリルと共役ジエンとを重合させる前記コポリマーの製造方法であって、前記分子量調整剤が、少なくとも3つの3級炭素原子及び当該3級炭素原子のうちの1つと結合した硫黄を有する炭素原子数12〜16のアルキルチオールであり、モノマー全量の30重量%から80重量%の範囲の量で共重合を開始し、ポリマー変換率が20%から70%の範囲に達した時点で、残りのモノマーを重合混合物に加えることを特徴とする製造方法も記載されている。前記コポリマーにより、高温、短時間での加硫化において速い加硫速度が得られると共に、金型のファウリングの問題が実質的に解消されたエラストマー組成物を得ることができるとされている。その結果、上記コポリマーにより、特に射出成形に適したエラストマー組成物を得ることができるとされている。
ヨーロッパ特許出願EP779301には、少なくとも3つの3級炭素原子及び当該3級炭素原子のうちの1つと結合した硫黄を有する炭素原子数12〜16のアルキルチオ基を、分子を構成するモノマー単位100モルに対して少なくとも0.03モル含む、不飽和ニトリル−共役ジエンコポリマーであって、ムーニー粘度が15から150の範囲であり、数平均分子量が35000以下の低分子量成分を3重量%から20重量%含むコポリマーが記載されている。また、この特許出願には、分子量調整剤及びフリーラジカル開始剤の存在下で、不飽和ニトリルと共役ジエンとを共重合させる前記コポリマーの製造方法であって、前記分子量調整剤が、少なくとも3つの3級炭素原子及び当該3級炭素原子のうちの1つと結合した硫黄を有する炭素原子数12〜16のアルキルチオールであり、また、前記分子量調整剤の全量の10重量%から95重量%を共重合の開始前にモノマー混合物に加え、重合変換率が20%から70%の範囲に達した時点で、残りの分子量調整剤を重合混合物に加えることを特徴とする製造方法も記載されている。前記コポリマーにより、高温、短時間での加硫化において速い加硫速度が得られると共に、金型のファウリングの問題が実質的に解消されたエラストマー組成物を得ることができるとされている。その結果、上記コポリマーにより、特に射出成形に適したエラストマー組成物を得ることができるとされている。
上記の文献では、前記ニトリルゴムを含むエラストマー組成物が速い加硫速度を有する証明として、加硫開始時間(スコーチ時間)が短いことが示されている。しかしながら、短い加硫開始時間(スコーチ時間)は、特にエラストマー組成物を射出成形に用いる場合には、様々な欠点となる。
従来、上記の欠点を克服するための試みがなされている。
例えば、アメリカ特許出願US2008/02893868には、繰り返し単位として少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、少なくとも1種の共役ジエン、及びさらに任意で1又は2種以上の共重合可能なモノマーとを有し、以下の一般式(I)で表されるイオン指数(II)が0ppmxg/モルから60ppmxg/モルの範囲であるニトリルゴムが記載されている。
Figure 0006038133
(式中、c(Ca2+)、c(Mg2+)、c(Na)及びc(K)はそれぞれニトリルゴム中におけるカルシウム、マグネシウム、ナトリウム及びカリウムイオンの濃度(ppm)を表し、マグネシウムイオン濃度[c(Mg2+)]は50ppmから250ppmの範囲である。)この特許出願には、前記ニトリルゴムの製造方法であって、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリルと、少なくとも1種の共役ジエンと、さらに任意で1又は2種以上の共重合可能なモノマーとを乳化重合する工程を有し、重合により得られ、ニトリルゴムを含むラテックスを凝固させ、次に得られた凝固ニトリルゴムを洗浄する上記製造方法であって、
(i)前記乳化重合を、少なくとも3つの3級炭素原子及び当該3級炭素原子のうちの1つと結合した硫黄を有する炭素原子数12〜16のアルキルチオールの少なくとも1種の存在下で行い、
(ii)前記乳化重合により得られるラテックスのpHを、凝固前に少なくとも6に調整し、また、当該ラテックスの温度を、マグネシウム塩の添加前に45℃未満とする、ことを特徴とする製造方法が記載されている。
上記ニトリルゴムにより、加硫速度の速い加硫性エラストマー組成物を得ることができるとされている。
アメリカ特許出願US2008/0293889には、繰り返し単位として、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、少なくとも1種の共役ジエン、及びさらに任意で1又は2種以上の共重合可能なモノマーを有するニトリルゴムであって、
(i)前記ニトリルゴムに対するカルシウムイオンの含有量が、少なくとも150ppmであり、前記ニトリルゴムに対する塩素イオンの含有量が、少なくとも40ppmであり、
(ii)以下の末端基:2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール及び/又は2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−2−チオール及び/又は2,3,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−2−チオール及び/又は2,3,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−3−チオールを含む、ニトリルゴムが記載されている。
この特許出願には、前記ニトリルゴムの製造方法であって、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリルと、少なくとも1種の共役ジエンと、さらに任意で1又は2種以上の共重合可能なモノマーとを乳化重合する工程を有し、重合により得られ、ニトリルゴムを含むラテックスを凝固させ、次に得られた凝固ニトリルゴムを洗浄する上記製造方法であって、
(i)前記乳化重合を、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール、2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−2−チオール、2,3,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−2−チオール及び2,3,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−3−チオールを含む混合物の存在下で行い、
(ii)前記ニトリルゴムを含むラテックスを、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム及びリチウムの塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩を用いて凝固させ、
(iii)前記凝固の際には水溶性のカルシウム塩が存在し、及び/又は凝固した前記ニトリルゴムの洗浄をカルシウムイオンを含む水を用いて行い、
(iv)前記乳化重合又は前記凝固又はそれに続く凝固した前記ニトリルゴムの洗浄の何れかの際に塩素系の塩が存在する、ことを特徴とする製造方法が記載されている。
上記のニトリルゴムにより、貯蔵安定性に優れると同時に、加工特性が変化しない、つまり硫化プロファイルに優れたエラストマー組成物を得ることができるとされている。
アメリカ特許出願US2008/02893869には、繰り返し単位として、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリル、少なくとも1種の共役ジエン、及びさらに任意で1又は2種以上の共重合可能なモノマーを有し、以下の一般式(I)で表されるイオン指数(II)が7ppmxg/モルから26ppmxg/モルの範囲であるニトリルゴムが記載されている。
Figure 0006038133
(式中、c(Ca2+)、c(Na)及びc(K)はそれぞれニトリルゴム中におけるカルシウム、ナトリウム及びカリウムイオンの濃度(ppm)を表す。)この特許出願には、前記ニトリルゴムの製造方法であって、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリルと、少なくとも1種の共役ジエンと、さらに任意で1又は2種以上の共重合可能なモノマーとを乳化重合する工程を有し、重合により得られ、ニトリルゴムを含むラテックスを凝固させ、次に得られた凝固ニトリルゴムを洗浄する上記製造方法であって、
(i)前記乳化重合を、少なくとも3つの3級炭素原子及び当該3級炭素原子のうちの1つと結合した硫黄を有する炭素原子数12〜16のアルキルチオールの少なくとも1種の存在下で行い、
(ii)得られたラテックスのpHを、凝固前に少なくとも6に調整し、次いで当該ラテックスを、少なくとも1種の1価の金属塩と、凝固に用いる塩の全量に対して5重量%以下の2価の金属塩とを用いて凝固させ、
(iii)前記凝固及びその後の前記洗浄における温度をいずれも少なくとも50℃とする、ことを特徴とする製造方法も記載されている。
上記ニトリルゴムにより、加硫速度の速い加硫性エラストマー組成物を得ることができるとされている。
加硫速度が速く、加硫度に優れ、金型のファウリングを起こしにくい加硫性エラストマー組成物、特に射出成形に好適に用いることのできる加硫性エラストマー組成物を得ることのできるニトリルゴムの製造方法の研究は、今でも高い関心を集めている。
そこで本出願人は、加硫速度が速く、加硫度に優れ、金型のファウリングを起こしにくい加硫性エラストマー組成物、特に射出成形に好適に用いることのできる加硫性エラストマー組成物を得ることのできるニトリルゴムの製造方法を見出すべく検討を行なった。
そうして本出願人は、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリルと、少なくとも1種の共役ジエンと、さらに任意で1又は2種以上の共重合可能なモノマーとを乳化重合して得たラテックスを、少なくとも1種の金属硫酸塩の存在下で凝固させて凝固ニトリルゴムとして、当該凝固ニトリルゴムを少なくとも1種の無機塩の存在下において水で洗浄することにより、上記特性を有する加硫性エラストマー組成物を得ることのできるニトリルゴムを好適に製造できることを見出した。このようにして得られたニトリルゴムは、加硫速度の速い加硫性エラストマー組成物を構成することができるが、ここで加硫速度とは、加硫が90%に達するまでの時間(T90)と、加硫開始までのスコーチ時間(TS2)との差として表される。このエラストマー組成物は、加硫度にも優れるが、これは測定される最大トルクと最小トルクとの差(MH−ML)として表される。また、このエラストマー組成物は、金型のファウリングも起こしにくいので、射出成形に好適に用いることができる。
よって、本発明の目的は、ニトリルゴムの製造方法であって、
− 少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリルと、少なくとも1種の共役ジエンと、さらに任意で1又は2種以上の共重合可能なモノマーとを、少なくとも3つの3級炭素原子及び当該3級炭素原子のうちの1つと結合した硫黄を有する炭素原子数12〜16のアルキルチオールの少なくとも1種の存在下で、pHが7から10、好ましくは8から9の範囲で乳化重合させてラテックスを得る工程と、
− 前記ラテックスを、マグネシウムの金属硫酸塩の存在下で、30℃以上、好ましくは40℃から60℃の範囲の温度で凝固させて凝固ニトリルゴムを得る工程と、
− 前記凝固ニトリルゴムを、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化リチウムから選択される少なくとも1種の無機塩、好ましくは水酸化カリウムの存在下で、pH10以上、好ましくはpH11から12の範囲で、水により洗浄する工程、を有する上記製造方法に関する。
本明細書及びクレームにおける数値範囲の限定は、別段の定めのない限り常に極限値を含むものとする。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記α,β−不飽和ニトリルは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等の、炭素原子数3〜5のα,β−不飽和ニトリル、又はそれらの混合物から選択することができる。アクリロニトリルが好ましい。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記共役ジエンは、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、ピペリレン、1,3−ペンタジエン等の炭素原子数4〜6の共役ジエン、又はそれらの混合物から選択することができる。1,3−ブタジエンが好ましい。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ニトリルゴムは、アクリロニトリル−ブタジエン(NBR)コポリマーである。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記1又は2種以上の共重合可能なモノマーは、例えば、α,β−不飽和モノ若しくはジカルボン酸、それらのエステル若しくはアミド、又はそれらの混合物から選択することができる。このような共重合可能なモノマーを含むニトリルゴムは、一般にカルボキシル化ニトリルゴム(XNBRとしても知られている)と呼ばれる。
本発明に用いることのできるα,β−不飽和モノ又はジカルボン酸は、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びイタコン酸である。
本発明に用いることのできるα,β−不飽和モノ又はジカルボン酸のエステルは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキルエステル類;若しくはそれらの混合物;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル−n−エステル類;若しくはそれらの混合物;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルエステル類;若しくはそれらの混合物;又はそれらの混合物である。
さらに、本発明に用いることのできるα,β−不飽和モノ又はジカルボン酸のエステルは、その他にも、例えばポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、又はそれらの混合物がある。
さらに、本発明に用いることのできる1又は2種以上の共重合可能なモノマーは、その他にも、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジン等のビニル芳香族モノマー類又はそれらの混合物がある。
本発明の方法により得られるニトリルゴム中の前記α,β−不飽和ニトリル及び前記共役ジエンの量は、広く種々の値を取りうる。α,β−不飽和ニトリルの量又はα,β−不飽和ニトリル類の合計量は、通常、ニトリルゴムの全重量に対して、通常5重量%から80重量%、好ましくは10重量%から60重量%、より好ましくは15重量%から40重量%の範囲である。共役ジエンの量又は共役ジエン類の合計量は、通常、ニトリルゴムの全重量に対して、通常20重量%から95重量%、好ましくは40重量%から90重量%、より好ましくは60重量%から85重量%の範囲である。ニトリルゴム中のα,β−不飽和ニトリル(類)及び共役ジエン(類)の合計量は、いかなる場合も100重量%となる。
任意で存在しうる前記1又は2種以上の共重合可能なモノマーは、ニトリルゴムの全重量に対して、0重量%から40重量%、好ましくは0.1重量%から40重量%、より好ましくは1重量%から30重量%の範囲で存在しうる。この場合、α,β−不飽和ニトリル(類)及び/又は共役ジエン(類)を等量の前記1又は2種以上の共重合可能なモノマーで置き換えることができるが、ニトリルゴム中のα,β−不飽和ニトリル(類)、共役ジエン(類)及び前記1又は2種以上の共重合可能なモノマーの合計量が、いかなる場合も100重量%となることを条件とする。共重合可能なモノマーとして(メタ)アクリル酸エステル類を用いる場合、その量は、ニトリルゴム全重量に対して、通常1重量%から25重量%の範囲である。共重合可能なモノマーとしてα,β−不飽和モノ又はジカルボン酸類を用いる場合、その量は、ニトリルゴム全重量に対して、通常10重量%未満である。
前記乳化重合は、一般的に少なくとも1種の乳化剤の存在下で行われる。当該乳化剤は、例えば、アニオン性乳化剤又は非イオン性乳化剤の水溶性塩から選択することができる。アニオン性乳化剤の水溶性塩を用いるのが好ましい。
本発明に用いることのできるアニオン性乳化剤の水溶性塩は、例えば、アビチエン酸、ネオアビチエン酸、パルストリン酸、レボピマール酸を含む樹脂酸混合物を二量体化、不均化、水素化、変性して得られる変性樹脂酸の、ナトリウム、カリウム、リチウム若しくはアンモニウム塩、好ましくはナトリウム若しくはカリウム塩、又はそれら塩の混合物である。
あるいは、例えば、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸若しくはそれらの混合物等の炭素原子数6〜22の飽和若しくは不飽和脂肪酸の、ナトリウム、カリウム、リチウム若しくはアンモニウム塩、好ましくはナトリウム若しくはカリウム塩、又はそれら塩の混合物を、本発明においてアニオン性乳化剤として用いることができる。
あるいは、例えばコットンシード油、ピーナッツ油、アマニ油、ココナッツ油、パーム油、オリーブ油、ナタネ油、大豆油、魚油若しくはこれらの混合物等の特定原料の油脂由来のカルボン酸の、ナトリウム、カリウム、リチウム若しくはアンモニウム塩、好ましくはナトリウム若しくはカリウム塩、又はそれら塩の混合物を、本発明においてアニオン性乳化剤として用いることができる。
あるいは、有機ラジカルと結合したスルホン酸、硫酸又はリン酸の、ナトリウム、カリウム、リチウム若しくはアンモニウム塩、好ましくはナトリウム若しくはカリウム塩、又はそれら塩の混合物を、本発明においてアニオン性乳化剤として用いることができる。有機ラジカルの例としては、脂肪族ラジカル、芳香族又はアルキル芳香族ラジカル、縮合芳香族ラジカル及びメチレン架橋を有する芳香族ラジカルが挙げられ、前記縮合芳香族ラジカル及びメチレン架橋を有する芳香族ラジカルは、任意で炭素原子数6〜25のアルキル鎖によりアルキル化されていてもよい。
これら本発明に用いることのできるスルホン酸塩、硫酸塩又はリン酸塩の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルアリールスルホン酸ナトリウム、メチレン架橋を有するアリールスルホン酸ナトリウム塩類、アルキル化ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩類、メチレン架橋を有するナフタレンスルホン酸ナトリウム塩類(重合度2〜10の範囲でオリゴマー化していてもよい)が挙げられる。アルキル化ナフタレンスルホン酸及びメチレン架橋を有する(任意でアルキル化された)ナフタレンスルホン酸は、1分子中に1つを超えるスルホン酸基(2〜3個のスルホン酸基)を有する異性体の混合物であってもよい。
本発明に用いることのできる非イオン性乳化剤は、例えば、フェノール、アルキル化フェノール、アルキル化アミン等の十分量の酸性水素を有する化合物に、エチレンオキシドやプロピレンオキシドを付加することで得られる生成物、又はそれら生成物の混合物である。これらの非イオン性乳化剤の例として、エチレンオキシドを8、10又は12ユニット含むエトキシ化ノニルフェノールが挙げられる。非イオン性乳化剤は、単独で用いることもできるが、好ましくはアニオン性乳化剤と共に用いられる。
好ましくは、前記アニオン性及び/又は非イオン性乳化剤は、重合モノマー混合物100重量部に対して、0.05重量部から15重量部、好ましくは0.5重量部から15重量部、より好ましくは1重量部から10重量部の範囲で用いることができる。
本発明及び特許請求の範囲において、用語「重合モノマー混合物」とは、乳化重合に用いられる、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリルと、少なくとも1種の共役ジエンと、さらに任意で1又は2種以上の共重合可能なモノマーとを有する混合物を言う。
上述のように、乳化重合は上記の乳化剤を用いて行われる。重合により得られるラテックスが早期自己凝固しやすい場合は、ラテックスの形成後にも前記乳化剤を任意で加えることができる。特にこの添加は、未反応モノマーをラテックスから除去する前、又はラテックスを保管する前に行う必要がある場合がある。
ニトリルゴムの分子量を調節するため、乳化重合は、上記のように、少なくとも3つの3級炭素原子及び当該3級炭素原子のうちの1つと結合した硫黄を有する炭素原子数12〜16のアルキルチオールの少なくとも1種の存在下で行われる。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記アルキルチオールは、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール、2,4,4,6,6,8,8−ペンタメチルノナン−4−チオール、又はそれらの混合物から選択することができる。2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールが好ましい。
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、前記アルキルチオールは、以下を有する混合物である。
− 2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール、
− 2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−2−チオール、
− 2,3,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−2−チオール、
− 2,3,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−3−チオール。
上記のアルキルチオールは、市販品、例えばt−ドデシルメルカプタン(TDM、Lanxess)として入手可能であり、あるいは、例えば特開平07−316126、特開平07−316127、英国特許出願GB823,823及びGB823,824、又は米国特許出願US2008/0293902に記載されるような公知の方法により調製することができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記アルキルチオールは、重合モノマー混合物100重量部に対して、0.05重量部から3重量部、好ましくは0.1重量部から1.5重量部の範囲の量で用いることができる。
前記アルキルチオールは、重合の開始時又は重合途中の様々なタイミングで導入することができ、重合途中の様々なタイミングで導入することが好ましい。
前記乳化重合は、通常、例えば過酸化水素;ペルオキソ二硫酸塩又はそのナトリウム、カリウム若しくはアンモニウム塩;ペルオキソ二リン酸塩又はそのナトリウム、カリウム若しくはアンモニウム塩;ヒドロペルオキシド;過酸素酸又はそれらのエステル若しくは酸無水物;有機ラジカルを2つ有する過酸化物又はそれらの混合物等の過酸化物から選択される、少なくとも1種のフリーラジカル開始剤の存在下で行われる。
本発明に用いられるフリーラジカル開始剤は、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ジ−イソプロピル−ベンゼンヒドロペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、アゾ−ビス−イソブチロニトリル、アゾ−ビス−バレロニトリル、アゾ−ビス−シクロヘキサンニトリル又はそれらの混合物である。
これらのフリーラジカル開始剤は、還元剤の存在下で用いることができ、当該還元剤は、例えば、スルフェン酸塩;スルフィン酸塩;スルホキシル酸塩;亜ジオチン酸塩;亜硫酸塩;メタビス亜硫酸塩;ジスルフィン酸塩;糖類;尿素;チオ尿素;キサントゲン酸塩;チオキサントゲン酸塩;ヒドラジニウム塩;アミン、及び例えばアニリン、ジメチルアニリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン誘導体;又はそれらの混合物から選択することができる。
一般に、酸化剤と還元剤とを有する系は、「酸化還元」系として知られている。一般に、酸化還元系には、鉄、コバルト、ニッケル等の遷移金属塩と、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、二リン酸四カリウム等の錯化剤とが含まれる。
本発明に用いることのできる酸化還元系は、例えば、ペルオキソ二硫酸カリウムとトリエタノールアミンとの組み合わせ;ペルオキソ二リン酸アンモニウムとメタビス亜硫酸ナトリウム(Na)との組み合わせ;ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド/スルホキシル酸ナトリウムホルムアルデヒドと硫酸鉄(FeSO・7HO)との組み合わせである。
フリーラジカル開始剤又は酸化還元系は、重合モノマー混合物100重量部当たり、0.001重量部から3重量部、好ましくは0.005重量部から1重量部の範囲の量で用いることができる。
フリーラジカル開始剤又は酸化還元系は、重合開始時、又は重合途中に導入することができる。重合速度を調節するために、重合途中に添加することが好ましい。
前記重合は、5時間から15時間の範囲で行うことができ、基本的には、重合混合物中のα,β−不飽和ニトリル(類)含有量及び重合温度に依存する。重合温度は、好ましくは0℃から30℃、より好ましくは5℃から25℃の範囲である。重合は、重合変換率が50%から90%、好ましくは70%から85%の範囲に達した時点で中断される。
そのために、少なくとも1種の中止剤が反応混合物に添加される。
本発明に用いることのできる中止剤は、例えば、ジメチルジチオカルバメート;亜硝酸ナトリウム;ヒドラジン若しくはその塩;ヒドロキシルアミン若しくはその塩、又はそれらの混合物である。中止剤の具体例としては、硫酸ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアンモニウム、ジエチルヒドロキシルアミン、ジイソプロピルヒドロキシルアミンが挙げられる。
中止剤は、重合モノマー混合物100重量部あたり、0.05重量部から15重量部、好ましくは0.1重量部から10重量部の範囲の量で用いることができる。
前記乳化重合に用いられる水の量は、重合モノマー混合物100重量部あたり、好ましくは100重量部から900重量部、より好ましくは120重量部から500重量部、さらに好ましく150重量部から400重量部の範囲である。
乳化重合を、本発明の方法に従いpHが7から10、好ましくは8から9で行うため、塩を重合モノマー混合物に加えることができる。
好ましくは、前記塩は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の1価金属の塩から選択することができる。水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウムが好ましい。前記塩は、重合モノマー混合物100重量部あたり、好ましくは0重量部から1重量部、より好ましくは0.001重量部から0.5重量部の範囲の量で添加される。
乳化重合は、バッチ式又は連続式で行うことができる。
α,β−不飽和ニトリル(類)及び共役ジエン(類)は、重合の開始時、又は重合の開始時と途中に分けて重合混合物に導入することができる。好ましくは、α,β−不飽和ニトリル(類)は、重合の開始時(初期仕込み)と重合の途中(供給)に分けて導入される。
上記乳化重合により得られたラテックスから未反応モノマー及び揮発成分を除去するため、ラテックスを、例えば70℃から150℃の範囲の温度(100℃未満の温度では減圧下)で蒸気蒸留することができる。
当該除去の前に、上述したものから選択される乳化剤を添加することで、ラテックスを安定化させることができる。この場合の乳化剤は、0.1phrから2.5phr、好ましくは0.5phrから2.0phrの範囲の量で添加される。
本発明及び特許請求の範囲において、用語「phr」は、ニトリルゴム100重量部あたりのある成分の重量部を表す。
凝固の前又は最中に、例えば以下から選択される、少なくとも1種の老化防止材を前記ラテックスに添加することができる:例えば2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチル−フェノール)(BPH)等のヒンダード(立体障害)フェノール類;例えばジアリール−p−フェニレンジアミン(DTPD)類の混合物、ジフェニルアミンオクチレート(ODPA)、フェニル−α−ナフチルアミン(PAN)、フェニル−β−ナフチルアミン(PBN)、N−イソプロピル−n−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−1,3−ジメチルブチル−N−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N−1,4−ジメチルフェニル−N−フェニル−p−フェニレンジアミン(7PPD)、N,N’−ビス−1,4−(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン(77PPD)等のアミン類;例えばトリス(ノニルフェニル)ホスフィン等の亜リン酸塩類;2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(TMQ)重合物;例えば2−メルカプトベンズイミダゾール(MBI)、メチル−2−メルカプトベンズイミダゾール(MMBI)、亜鉛−メチルメルカプトベンズイミダゾール(ZMMBI)等のベンゾイミダゾール類。通常、ヒンダードフェノール類とともに亜リン酸塩類が使用される。
凝固には、pHが少なくとも6、好ましくは>6であるラテックスが好ましく用いられる。該pHは、必要に応じて少なくとも1種の無機塩、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムをラテックスに添加することにより得ることができる。
ラテックスの凝固に用いられる金属硫酸塩は、好ましくは水溶液、好ましくは飽和水溶液として用いられる。該水溶液は、脱イオン水又は非脱イオン水を用いて調製することができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記金属硫酸塩は、ラテックス中に0.5phrから200phr、好ましくは0.8phrから80phr、より好ましくは1phrから50phrの範囲の量で存在することができる。
ラテックスは、バッチ式又は連続式で凝固させることができる。
凝固を補助するため、前記金属硫酸塩に加えて、少なくとも1種の沈殿助剤をラテックスに添加することができる。該沈殿助剤は、例えば非イオン性、カチオン性、アニオン性の水溶性ポリマーから選択することができる。
本発明に用いることのできる非イオン性ポリマーは、ヒドロキシアルキルセルロースやメチルセルロース等の変性セルロース類;酸性水素を有する化合物のエチレンオキシド付加体及びプロピレンオキシド付加体;又はそれらの混合物である。酸性水素を有する化合物の例としては、脂肪酸、糖類(例えばソルビトール)、脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド、フェノール類、アルキル化フェノール類、アルキルフェノール/ホルムアルデヒド縮合物、又はそれらの混合物が挙げられる。
本発明に用いることのできるアニオン性ポリマーは、(メタ)アクリル酸、マレイン酸若しくはマレイン酸無水物のホモポリマー若しくはコポリマー、それらの塩、又はそれらの混合物である。
本発明に用いることのできるカチオン性ポリマーは、ポリアミン系ポリマー、(メタ)アクリルアミドのホモポリマー若しくはコポリマー、又はそれらの混合物である。
沈殿助剤は、ラテックス中に0.01phrから5phr、好ましくは0.05phrから2.5phrの範囲の量で存在させることができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記乳化重合により得られるラテックスは、固形分が、ラテックス全量に対して1重量%から40重量%、好ましくは5重量%から35重量%、より好ましくは10重量%から30重量%の範囲とすることができる。
凝固させると、凝固したニトリルゴムは通常団粒状となる。
前記水による洗浄に用いられる水は、脱イオン水と非脱イオン水のどちらであってもよい。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記水による洗浄は、35℃から90℃、好ましくは40℃から90℃の温度で行うことができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記水による洗浄に用いる水の量は、0.5phrから20phr、好ましくは1phrから10phr、より好ましくは1.5phrから5phrの範囲とすることができる。
ニトリルゴムの水による洗浄は、1又は2回以上、例えば1回から7回行うことができ、バッチ式又は連続式、好ましくは連続式で行うことができる。複数回の洗浄の間に、ニトリルゴムを部分的に乾燥させることもできる。
通常、水による洗浄の最後にニトリルゴムを脱水する。脱水は、ニトリルゴムをまずスクリュー式などにより機械処理し、次いで乾燥器や加温板などにより蒸発させる2段階処理か、あるいはニトリルゴムをそのまま乾燥器や加温板などにより蒸発させる1段階処理で行うことができる。当該脱水は、80℃から150℃の温度範囲で、10時間から48時間、好ましくは12時間から30時間行うことができるが、この乾燥時間は、いずれの場合もニトリルゴムの残留水分が、ニトリルゴム全重量に対して1重量%未満となる時間でなければならない。
このような方法により得られた本発明の対象であるニトリルゴムは、加硫性エラストマー組成物に好適に用いることができる。
よって、本発明のさらなる目的は、少なくとも1種の上記のようにして得られるニトリルゴムと、少なくとも1種の加硫剤とを有する加硫性エラストマー組成物に関する。
前記加硫剤は、例えば、ビス(2,4−ジクロロベンジル)ペルオキシド、過酸化ジベンゾイル、ビス(4−クロロベンゾイル)ペルオキシドビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブテン、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチルー2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、1,3−ビス−(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド等の過酸化物、又はそれらの混合物から選択することができる。
硫化度を上げるため、上記の過酸化物に加えて、例えばトリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメリット酸トリアリル、トリメリット酸エチレングリコール、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、亜鉛ジアクリレート、亜鉛ジメタクリレート、1,2−ポリブタジエン、N,N’−m−フェニレンジマレイミド又はそれらの混合物等の他の添加剤も好適に用いることができる。
単独又は上記の他の添加剤との組み合わせによる過酸化物は、通常、前記加硫性エラストマー組成物中に、1phrから20phr、好ましくは2phrから10phrの量で存在する。
前記加硫剤は、可溶性若しくは不溶性の硫黄元素、硫黄供与体又はそれらの混合物から選択することもできる。
硫黄供与体は、例えばジモルホリルジスルフィド(DTDM)、2−モルホリンジチオベンゾチアゾール(MBSS)、カプロラクタムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)又はそれらの混合物である。
加硫剤が硫黄又は硫黄供与体から選択される場合、加硫度を上げるために、例えばジチオカルバメート類、チウラム類、チアゾール類、スルフェンアミド類、キサントゲン酸塩類、グアニジン誘導体、カプロラクタム類、チオ尿素誘導体又はそれらの混合物等の他の添加剤も好適に用いることができる。
前記加硫性エラストマー組成物中に、前記硫黄及び/又は硫黄供与体並びに任意の上記の他の添加剤は、通常、0.05phrから10phr、好ましくは0.1phrから8phrの範囲の量で存在する。
本発明の対象である加硫性エラストマー組成物には、他の無機又は有機化合物が添加されていてもよい。そのような化合物の例としては、酸化亜鉛;炭酸亜鉛;酸化鉛;飽和若しくは不飽和有機脂肪酸又はその亜鉛塩;ポリアルコール類;アミンアルコール類(例えば、トリエタノールアミン);アミン類(例えば、ジブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、シクロヘキシルエチルアミン);ポリエーテルアミン類;又はそれらの混合物が挙げられる。
例えば、シクロヘキシルチオフタルイミド(CTP)、N,N’−ジニトロソ−ペンタメチレンテトラミン(DNPT)、無水フタル酸(PTA)、ジフェニルニトロソアミン又はそれらの混合物等の硫化防止剤も用いることができる。
上記の加硫剤及び/又は上記他の化合物に加えて、本発明の対象である加硫性エラストマー組成物は、例えばフィラー、フィラー活性化剤、オゾン保護剤、老化防止剤、酸化防止剤、加工助剤、エクステンダー油、可塑化剤、補強材、離型剤等の、ゴム一般に用いられる当業者に公知な他の添加剤を有していてもよい。
本発明に用いることのできるフィラーは、例えば、カーボンブラック、シリカ、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、珪藻土、タルク、カオリン、ベントナイト、カーボンナノチューブ、テフロン(登録商標)(好ましくは粉末状)、珪酸塩又はそれらの混合物である。フィラーの量は、通常、10phrから500phrの範囲である。
本発明で用いることのできるフィラー活性剤は、例えば、ビニルトリメチルオキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−(2−メトキシエトキシ)シラン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、3−アミノ−プロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、(オクタデシル)メチルジメトキシシラン等の有機シラン又はそれらの混合物である。その他のフィラー活性剤は、例えばトリエタノールアミン、エチレングリコール等の界面活性物質又はその混合物である。フィラー活性剤の量は、通常0phrから10phrの範囲である。
老化防止剤は、上記のものから選択することができ、通常、0phrから5phr、好ましくは0.5phrから3phrの範囲の量で用いられる。
前記加硫性エラストマー組成物は、射出成形に用いる場合、離型剤を有していてもよい。本発明に用いることのできる離型剤は、例えば、飽和若しくは部分不飽和脂肪酸、酸性油又はそれらの誘導体(例えば、脂肪酸エステル、脂肪酸塩、脂肪酸アルコール、脂肪酸アミドなど)、又はそれらの混合物である。低分子量シリコン系化合物、フッ素ポリマー系化合物、フェノール樹脂系化合物等の、金型の表面に使用することのできる離型剤又はそれらの混合物も用いることができる。
離型剤の量は、通常、0phrから10phr、好ましくは0.5phrから5phrの範囲である。
本発明の対象である加硫性エラストマー組成物は、例えばグラスファイバー、コード、織物、脂肪族若しくは芳香族ポリアミドからなる繊維(ナイロン(登録商標)、アラミド(登録商標))、ポリエステル、天然繊維又はそれらの混合物等の補強材を有していてもよい。
本発明は、前記加硫性エラストマー組成物の射出成形における使用にも関する。前記加硫性エラストマー組成物は、O−リングやシーリングケーシング等のシーリング材、あるいはベルトやチューブ、電気部品、自動車部品、靴等のその他の製品の製造に用いることができる。
以下、説明のための非限定的な例を記載するが、これらは発明の更なる理解のため、及び発明の実際的な実施形態を示すためのものである。
以下の特性評価方法および分析方法を用いた。
コポリマーの特性
ニトリルゴムのイオン含量の測定
誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES)法を、以下の方法により適宜鉱化(mineralized)したニトリルゴムに対して用いた。
2gのニトリルゴムを磁器るつぼに入れ、マイクロ波マッフルにて約550℃で3時間灰化させた。得られた残渣に90重量%濃硝酸2mlを加え、プレート上で2,3分加熱した。得られた溶液を50mlフラスコに移し、水で増量した。その溶液について、以下の各金属の特性吸収波長をICP−AES分光計を用いて測定した。
カルシウム:317.93nm
マグネシウム:285.21nm
カリウム:766.49nm
ナトリウム:589.59nm
ICP−AES分光計用のキャリブレーション溶液は、証明済み標準濃縮溶液を希釈して得た。通常は、3点によりキャリブレーションを行なった(10ppm、5ppm及び1ppm、5重量%硫酸溶液)。
ニトリルゴムのpHの測定
細片に刻んだ3gのニトリルゴムを、100mlのクロロホルムを入れた150ml容シリンダーに加え、二酸化炭素(CO)と接触しないよう窒素シール下で全混合物を撹拌した。室温(25℃)でニトリルゴムを完全に溶解させた後、50mlのpH=7に調整した再蒸留水を1%水酸化ナトリウム水溶液で較正済のピペット用いて加え、溶液を2時間激しく撹拌した。得られた溶液を回収し、続いて3000回転で30分遠心分離した。遠心分離後、水相を取り出してpHを測定した。
ニトリルゴムに結合したアクリロニトリル量の測定
結合アクリロニトリル量は、LECO社製EP528分析機を用いて得られたニトリルゴム中の総窒素を測定し、その総窒素量から結合アクリロニトリル量を算出して求めた。
ニトリルゴムのムーニー粘度の測定
測定は、ASTM D1646の方法に準じ、Alpha Technology社製200E測定器により、45gのニトリルゴムを用いて100℃で行なった。
ニトリルゴムのイオン指数の測定
ニトリルゴムのイオン指数(II1)及びイオン指数(II2)は、それぞれ以下の式(1)及び式(2)により求めた。
Figure 0006038133
Figure 0006038133
式中、c(Ca2+)、c(Mg2+)、c(Na)及びc(K)はそれぞれカルシウム、マグネシウム、ナトリウム及びカリウムイオンのニトリルゴム中における濃度(ppm)を表す。
エラストマー組成物の特性
エラストマー組成物の調製に用いる化合物の量は、表1に示す通りである。エラストマー組成物は、ASTM D3182の方法に準じ、オープンミキサーにて調製した。
加硫曲線及び関連パラメータ(MH、ML、t90、ts2)の測定は、ASTM D3187の方法に準じ、モンサント社製レオメータ100Sを用いて160℃の温度で行った。
Figure 0006038133
*: HAF IRB6:カーブンブラック(Grif Corp.)
**:TBBS:N−t−ブチル−1,2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(Nist)
金型のファウリング評価
上記のようにして得られた表1に示すエラストマー組成物を、直径10mmの孔を約12個有し、2枚のプレートが完全に組み合わさって約2mm厚の間隙をつくるサンドイッチ構造の密閉金型に、1cmの孔から射出した。金型が充填された後、エラストマー組成物を約220℃、約20Kg/cmの圧力下で約2分間加硫した。
加硫後、金型を開いて加硫したエラストマー組成物を取り出し、金型を閉じて2枚の金属板間の孔から次のエラストマー組成物の射出を再度行い、新たに加硫を行なった。
この工程を50回繰り返し、ファウリングを1から6(最大値6は最もファウリングがひどい状態、最小値1はファウリングが無い状態を示す)で評価した。評価は、金型を開いてエラストマー組成物のO−リングを取り出す毎に観察を行い、得られたO−リング及び金型の双方における異物の付着の有無を検証して行なった。
実施例1〜3
3種のラテックスA、B及びCを表2に示す成分を用いて製造した。各成分の量をphrで示す。
Figure 0006038133
(1)ジ−イソプロピル−ベンゼンヒドロペルオキシド(Sasol)
(2)t−ドデシルメルカプタン(Lanxess)
(3)ステアリン酸カリウム5.4重量%水溶液(Oleon)
(4)ナフタレンスルホン酸−ホルムアルデヒド縮合物カリウム塩の45重量%水溶液(Dalton)
(5)表3に従って調製したホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(FSS)水溶液
(6)硫酸ヒドロキシルアミンの2重量%水溶液(Basf)
Figure 0006038133
(1)エチレンジアミン四酢酸ニナトリウム(Trilon(登録商標)B、Basf)
(2)スルホキシル酸ホルムアルデヒド(rodite)(Buggolite(登録商標)、C−Burggeman)
3種のラテックスA、B及びCは、撹拌機付き70リットル容スチール製オートクレーブ内で調製した。以下に、この3種のラテックスの調製について詳細を示す。
ラテックスAの調製
9.92kgの脱イオン水、0.53kgの5.4重量%ステアリン酸カリウム水溶液、及び0.440kgのDNMKを順次オートクレーブに仕込んだ。得られた混合物を撹拌し、水酸化カリウム10重量%水溶液をpHが8.5になるまで加えてpHの調整を行なった。次いで、オートクレーブを閉じ、窒素置換した。減圧し、500gのアクリロニトリル、18.72gのTDM及び4.37kgのブタジエンを順次加え、得られた混合物を撹拌後、7℃まで冷却した。当該温度に到達してから、6gのDIHP、次いで直ちに139gの表3に示すホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(FSS)水溶液を注入した。全重合時間中、重合混合物の温度を7℃に保持した。次いで、残るアクリロニトリル(1.134kg)を、流速0.162kg/hで連続的に供給した。
重合中は、オートクレーブの底部からラテックスの試料を回収し、固体含有率を測定することにより、変換度を追跡した。変換度が37%の時に、最初の添加となる2.34gのTDM(「ブースター1」)の添加を行なった。その次の添加となる2.34gのTDM(「ブースター2」)の添加は、変換度が59%の時に行なった。
変換度が70%の時(7時間後)に、515gの硫酸ヒドロキシルアミン2重量%水溶液を加えて重合を中断した。未反応モノマーは、水蒸気流による蒸留(ストリッピング)により除去した。
ラテックスBの調製
9.92kgの脱イオン水、0.53kgの5.4重量%ステアリン酸カリウム水溶液、及び0.440kgのDNMKを順次オートクレーブに仕込んだ。得られた混合物を撹拌し、水酸化カリウム10重量%水溶液をpHが8.5になるまで加えてpHの調整を行なった。次いで、オートクレーブを閉じ、窒素置換した。減圧し、815gのアクリロニトリル、21.85gのTDM及び4.0kgのブタジエンを順次加え、得られた混合物を撹拌後、7℃まで冷却した。当該温度に到達してから、6gのDIHP、次いで直ちに139gの表3に示すホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(FSS)水溶液を注入した。全重合時間中、重合混合物の温度を7℃に保持した。次いで、残るアクリロニトリル(1.209kg)を、流速0.173kg/hで連続的に供給した。
重合中は、オートクレーブの底部からラテックスの試料を回収し、固体含有率を測定することにより、変換度を追跡した。変換度が59%の時に、5.45gのTDM(「ブースター2」)を添加した。
変換度が70%の時(7時間後)に、515gの硫酸ヒドロキシルアミン2重量%水溶液を加えて重合を中断した。未反応モノマーは、水蒸気流による蒸留(ストリッピング)により除去した。
ラテックスCの調製
9.92kgの脱イオン水、0.53kgの5.4重量%ステアリン酸カリウム水溶液、及び0.440kgのDNMKを順次オートクレーブに仕込んだ。得られた混合物を撹拌し、水酸化カリウム10重量%水溶液をpHが8.5になるまで加えてpHの調整を行なった。次いで、オートクレーブを閉じ、窒素置換した。減圧し、500gのアクリロニトリル、21.85gのTDM及び4.37kgのブタジエンを順次加え、得られた混合物を撹拌後、7℃まで冷却した。当該温度に到達してから、6gのDIHP、次いで直ちに139gの表3に示すホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(FSS)水溶液を注入した。全重合時間中、重合混合物の温度を7℃に保持した。次いで、残るアクリロニトリル(1.134kg)を、流速0.162kg/hで連続的に供給した。
重合中は、オートクレーブの底部からラテックスの試料を回収し、固体含有率を測定することにより、変換度を追跡した。変換度が59%の時に、5.45gのTDM(「ブースター2」)を添加した。
変換度が70%の時(7時間後)に、515gの硫酸ヒドロキシルアミン2重量%水溶液を加えて重合を中断した。未反応モノマーは、水蒸気流による蒸留(ストリッピング)により除去した。
ストリッピング後に得られた上記3種のラテックスの特性は、表4に示す通りである。
Figure 0006038133
凝固前に、酸化防止剤の50%懸濁液(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール/BHT、Todini)を、ニトリルゴム全重量に対して有効成分が1重量%となる量で、上記のラテックスに加えた。該懸濁液は、100gの粉末状BHT、8gのDNMK及び100gの脱イオン水を、Ultraturexを用いて撹拌して調製した。
ラテックスの凝固
ラテックスA、B及びCを、飽和硫酸マグネシウム水溶液を用い、以下の条件にて70リットル容の開放容器内で撹拌しながら凝固させた。
43kgの水及び4kgの飽和硫酸マグネシウム水溶液を、70リットル容の容器に仕込んだ。全混合物を撹拌しながら45℃まで加熱した。当該温度に達したら、上記のようにして得られたラテックス(ラテックスA、B及びC)10kgを、撹拌しながら約10分間かけて徐々に加えた。ラテックスの添加後も、全混合物をさらに10分間撹拌し続けた。
凝固したニトリルゴムの洗浄
凝固させたラテックスをろ過してニトリルゴムの団粒を回収し、以下の条件にて洗浄した。
40kgの脱イオン水を70リットル容の開放容器に仕込み、14gの水酸化カリウムを加えてpHを11.5〜11.8(pH値については表5参照)に調整した後、45℃に加熱した。当該温度に達したら、前工程の凝固により得たニトリルゴムの団粒1.5kgを導入し、全混合物を約10分間撹拌した。その後、ニトリルゴムをろ別して、空気乾燥器にて100℃で24時間乾燥させた(残留水分:1%未満)。
表5に、得られたニトリルゴム(NBR)の特性のうち、金属含有率(ppm)、pH及びイオン指数を示す。
また、表6には、本発明のニトリルゴムを有する、上記のようにして得られた表1に示すエラストマー組成物について、レオメトリーの評価、及び金型のファウリング性についての相対評価の結果を示す。
Figure 0006038133
Figure 0006038133
上記のデータによれば、本発明のニトリルゴムを有するエラストマー組成物(実施例1〜3)は、加硫速度が速く(T90−TS2値が低い)、加硫度に優れ(MH−ML値が比較的高い)、金型のファウリングを起こしにくいと推測することができる。実際に、上記の3例ではいずれも、射出成形を50回を超えて繰り返しても、金型及びO−リング(よりファウリングが少ない)のどちらについてもファウリングに起因する沈着やピットは何ら観察されなかった。
例4〜6(比較)
比較のため、上記の実施例1〜3で得られたニトリルゴムの団粒を、異なる方法にて洗浄した。ここでは、ラテックス(ラテックスA、B及びC)の凝固により得られたニトリルゴムの団粒を、中性pH(pH値については表7参照)の脱イオン水で洗浄した。
表7に、得られたニトリルゴム(NBR)の特性のうち、金属含有率(ppm)、pH及びイオン指数を示す。
また、表8には、例4〜6(比較)のニトリルゴムを有する、上記のようにして得られた表1に示すエラストマー組成物について、レオメトリーの評価、及び金型のファウリング性についての相対評価の結果を示す。
Figure 0006038133
Figure 0006038133
上記のデータによれば、中性pH下で洗浄したニトリルゴムを有するエラストマー組成物(実施例4〜6、比較)は、加硫速度が低く(T90−TS2値が高い)、加硫度に最も劣り(MH−ML値が低い)、金型のファウリングを起こすと推測することができる。実際に、上記の3例ではいずれも、射出成形を50サイクル繰り返すと、金型及び得られたO−リングのどちらにも無数の欠陥(点状の付着物)が観察された。
例7〜9(比較)
比較のため、上記の実施例1〜3で得られたラテックス(ラテックスA、ラテックスB及びラテックスC)を、4kgの塩化カルシウム飽和水溶液で凝固させた。次いで、このようにして得られたラテックスA1、ラテックスB1及びラテックスC1を、水酸化カリウムを加えてpHを11.5〜11.6(pH値については表9参照)に調整した脱イオン水で洗浄した(実施例1〜3の記載と同様の洗浄)。
表9に、得られたニトリルゴム(NBR)の特性のうち、金属含有率(ppm)、pH及びイオン指数を示す。
また、表10には、例7〜9(比較)のニトリルゴムを有する、上記のようにして得られた表1に示すエラストマー組成物について、レオメトリーの評価、及び金型のファウリング性についての相対評価の結果を示す。
Figure 0006038133
Figure 0006038133
上記のデータによれば、ラテックスを塩化カルシウム飽和水溶液で凝固させて得たニトリルゴムを有するエラストマー組成物(例7〜9、比較)は、加硫速度が最も悪く(T90−TS2値が高い)、加硫度が低く(MH−ML値が低い)、金型のファウリングを起こしやすいと推測することができる。実際に、上記の3例ではいずれも、射出成形を2,3サイクル繰り返すだけで、金型及び得られたO−リングのどちらにも無数の欠陥(点状の付着物)が観察され、いずれも50サイクルを超える成形を行うことができなかった。

Claims (19)

  1. ニトリルゴムの製造方法であって、
    − 少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリルと、少なくとも1種の共役ジエンと、さらに任意で1又は2種以上の共重合可能なモノマーとを、少なくとも3つの3級炭素原子及び当該3級炭素原子のうちの1つと結合した硫黄を有する炭素原子数12〜16のアルキルチオールの少なくとも1種の存在下で、pHが7から10の範囲で乳化重合させてラテックスを得る工程と、
    − 前記ラテックスを、硫酸マグネシウムの存在下で、30℃以上の温度で凝固させて凝固ニトリルゴムを得る工程と、
    − 前記凝固ニトリルゴムを、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化リチウムから選択される少なくとも1種の無機塩の存在下、pH10以上で、水により洗浄する工程、を有する上記製造方法。
  2. 前記乳化重合を8から9の範囲のpHで行う、請求項1に記載のニトリルゴムの製造方法。
  3. 前記凝固を40℃から60℃の範囲の温度で行う、請求項1又は2に記載のニトリルゴムの製造方法。
  4. 前記水による洗浄を水酸化カリウムの存在下で行う、請求項1〜3のいずれか1つの項に記載のニトリルゴムの製造方法。
  5. 前記水による洗浄を11から12の範囲のpHで行う、請求項1〜4のいずれか1つの項に記載のニトリルゴムの製造方法。
  6. 前記α,β−不飽和ニトリルが、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等の炭素原子数3〜5のα,β−不飽和ニトリル又はそれらの混合物から選択される、請求項1〜5のいずれか1つの項に記載のニトリルゴムの製造方法。
  7. 前記共役ジエンが、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、ピペリレン、1,3−ペンタジエン等の炭素原子数4〜6の共役ジエン又はそれらの混合物から選択される、請求項1〜6のいずれか1つの項に記載のニトリルゴムの製造方法。
  8. 前記ニトリルゴムがアクリロニトリル−ブタジエン(NBR)コポリマーである、請求項1〜7のいずれか1つの項に記載のニトリルゴムの製造方法。
  9. 前記1又は2種以上の共重合可能なモノマーが、α,β−不飽和モノ若しくはジカルボン酸、それらのエステル若しくはアミド、又はそれらの混合物から選択される、請求項1〜8のいずれか1つの項に記載のニトリルゴムの製造方法。
  10. 前記アルキルチオールが、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール、2,4,4,6,6,8,8−ペンタメチルノナン−4−チオール又はそれらの混合物から選択される、請求項1〜9のいずれか1つの項に記載のニトリルゴムの製造方法。
  11. 前記アルキルチオールが2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオールである、請求項10に記載のニトリルゴムの製造方法。
  12. 前記アルキルチオールが以下を有する混合物:
    − 2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール、
    − 2,4,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−2−チオール、
    − 2,3,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−2−チオール、及び
    − 2,3,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−3−チオール、
    である、請求項1〜9のいずれか1つの項に記載のニトリルゴムの製造方法。
  13. 前記アルキルチオールを、重合モノマー混合物100重量部に対して、0.05重量部から3重量部の範囲の量で用いる、請求項1〜12のいずれか1つの項に記載のニトリルゴムの製造方法。
  14. 前記硫酸マグネシウムが、ラテックス中に0.5phrから200phrの範囲の量で存在する、請求項1〜13のいずれか1つの項に記載のニトリルゴムの製造方法。
  15. 前記重合により得られるラテックスが、ラテックス全重量に対して1重量%から40重量%の範囲の固形分濃度を有する、請求項1〜14のいずれか1つの項に記載のニトリルゴムの製造方法。
  16. 前記水による洗浄を35℃から90℃の範囲の温度で行う、請求項1〜15のいずれか1つの項に記載のニトリルゴムの製造方法。
  17. 前記水による洗浄に用いる水の量が0.5phrから20phrの範囲である、請求項1〜16のいずれか1つの項に記載のニトリルゴムの製造方法。
  18. 請求項1〜17のいずれか1つの項に記載の方法により少なくとも1種のニトリルゴムを得た後、少なくとも1種の加硫剤を加える、加硫性エラストマー組成物の製造方法。
  19. 請求項18に記載の製造方法により加硫性エラストマー組成物を得、この加硫性エラストマー組成物射出成形に使用する、加硫性エラストマー組成物の射出成形における使用方法。
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