JP6037135B2 - 太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池の製造方法に関する。
太陽電池は、受光により発生したキャリアを収集するために、光電変換部の主面上に電極を備える。かかる電極には、電極自体の抵抗や電極と光電変換部との接触抵抗、電極と配線材との接触抵抗等を低く抑えることが求められている。例えば、特許文献1,2には、導電性ペーストのスクリーン印刷を複数回繰り返して電極を形成する太陽電池の製造方法が開示されている。
特開平11−103084号公報 特開2011−61109号公報
上記従来技術によれば、電極表面の凹凸を低減して、特に電極自体の抵抗を低くすることができる。しかしながら、太陽電池の普及が急速に進んでいる現状において、さらなる光電変換効率の向上が要求されている。
本発明の一態様に係る太陽電池の製造方法は、光電変換部の主面上に電極を備えた太陽電池の製造方法であって、電極の形状に対応した開口部を有する製版、及びスキージを用いて、電極の構成材を複数回に分けて主面上に印刷する工程を備え、当該工程のうち少なくとも1回目の第1印刷工程では、版厚が20μm〜40μmである製版を用いて電極の構成材を印刷する。
本発明によれば、良好な光電変換特性を有する太陽電池を提供することができる。
本発明の実施形態の一例である太陽電池を受光面側から見た平面図である。 図1のA‐A線断面を示す図である。 本発明の実施形態の一例におけるスクリーン印刷法の原理を示す図である。 本発明の実施形態の一例におけるスクリーン印刷法の原理を示す図である。 図3のB部拡大図である。
図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明は、以下の実施形態に限定されない。また、実施形態において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された構成要素の寸法比率などは、現物と異なる場合がある。具体的な寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
図1は、本発明の実施形態の一例である製造方法により製造される太陽電池10を受光面側から見た平面図である。図2は、図1のA‐A線断面図であって、フィンガー21が延びる方向に直交して太陽電池10を厚み方向に切断した断面を示す図である。
太陽電池10は、光を受光することでキャリアを生成する光電変換部11と、光電変換部11の受光面上に形成された受光面電極20と、光電変換部11の裏面上に形成された図示しない裏面電極とを備える。尚、裏面電極は、受光面電極20と同様に、後述のフィンガー、バスバーを含む構成とすることができる。或いは、裏面上の略全域に形成された銀(Ag)等の金属薄膜を有する構成としてもよい。
ここで、「受光面」とは、太陽電池10の外部から太陽光が主に入射する主面を意味する。例えば、太陽電池10に入射する太陽光のうち50%超過〜100%が受光面側から入射する。また、「裏面」とは、受光面と反対側の主面を意味する。裏面では、受光面と比べて光電変換特性に対する遮光ロスの影響が少ないため、受光面電極20よりも大面積に裏面電極を形成できる。換言すると、主面のうち電極面積が大きな面が裏面である。
光電変換部11は、例えば、結晶系シリコン(c‐Si)、ガリウム砒素(GaAs)、又はインジウム燐(InP)等の半導体材料からなる基板を有する。光電変換部11は、例えば、n型単結晶シリコン基板の受光面上に、i型非晶質シリコン層と、p型非晶質シリコン層と、錫ドープ酸化インジウム(ITO)等の透光性導電酸化物からなる透明導電層とを順に有する。また、n型単結晶シリコン基板の裏面上に、i型非晶質シリコン層と、n型非晶質シリコン層と、透明導電層とを順に有する。尚、光電変換部11はこの構成に限定されるものではなく、種々の構成を採ることができる。
光電変換部11の受光面は、図示しないテクスチャ構造を有することが好適である。テクスチャ構造とは、表面反射を抑制し、光電変換部11の光吸収量を増大させる表面凹凸構造である。テクスチャ構造の凹凸高さ、即ち凹部の深さは、1μm〜15μmが好適であり、5μm〜10μmが特に好適である。テクスチャ構造の具体例としては、(100)面を有する単結晶シリコンからなる基板の受光面に異方性エッチングを施すことによって得られるピラミッド状(四角錐状や四角錐台状)の凹凸構造が例示できる。或いは、結晶性シリコンからなる基板の受光面に等方性エッチングを施すことによって得られる凹凸構造でも良い。テクスチャ構造は、光電変換部11の裏面にも設けられることが好ましい。
受光面電極20(以下、電極20とする)は、例えば、複数(例えば、50本)のフィンガー21と、複数(例えば、2本)のバスバー22とを含んで構成される。フィンガー21は、光電変換部11で生成されたキャリアを収集するために、受光面上の広範囲に形成される細線状の電極である。バスバー22は、フィンガー21からキャリアを集電する電極であって、全てのフィンガー21が電気的に接続されている。また、バスバー22には、太陽電池10をモジュール化する際に配線材が接続される。
太陽電池10では、2本のバスバー22が所定の間隔を空けて互いに平行に配置され、これに交差して複数のフィンガー21が配置されている。フィンガー21には、バスバー22の各々から受光面の端縁側に延びる第1のフィンガー21aと、2本のバスバー22を繋ぐ第2のフィンガー21bとがある。フィンガー21、バスバー22は、いずれも、後述する導電性ペーストを用いて形成され、バインダ樹脂と導電性フィラーとを含んで構成されることが好適である。
太陽電池10では、フィンガー21が積層構造を有する。フィンガー21は、例えば、受光面上に直接形成される第1導電層23と、第1導電層23上に形成される第2導電層24とを有する。バスバー22も同様に、第1導電層23と、第2導電層24とを有することが好適である。尚、フィンガー21及びバスバー22は、3層以上を有する積層構造であってもよい。
フィンガー21の厚みは、20μm〜100μmが好適である。第1導電層23の厚みt23は、5μm〜35μmであり、10μm〜30μmがより好ましく、15μm〜25μmが特に好ましい。第2導電層24の厚みt24は、生産性等の観点から厚みt23と同等であることが特に好ましい。ここで、厚みt23,t24は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた断面観察により計測される値の平均値である。尚、バスバー22の厚みは、フィンガー21と同等であることが好適である。
フィンガー21の幅W21は、遮光ロス低減等の観点から、30μm〜150μmが好適である。バスバー22からの距離が遠くなるほど幅W21を細くしてもよく、この場合、最細部の幅W21は30μm〜80μmが好適である。バスバー22の幅は、例えば、0.05mm〜1.5mmが好適である。
以下、上記構成を備えた太陽電池10の製造方法について詳説する。
図3,4は、スクリーン印刷法の原理を説明するための図である。図5は、図3のB部拡大図であって、スクリーン版30の寸法等を示す図である。
太陽電池10の製造工程では、光電変換部11が公知の方法により製造される。光電変換部11が準備されると、その受光面上に電極20(フィンガー21及びバスバー22)を形成する。裏面電極については、電極20と同様にスクリーン印刷法で形成できるし、他の方法でも形成できる。裏面電極をスクリーン印刷法で形成する場合、1回の印刷工程によって電極20よりも大面積に形成することが好適である。
電極20は、製版及びスキージ40を用いて、複数回に分けて形成される。製版及びスキージ40を用いる方法は、孔版印刷法の一種であり、スクリーン印刷法に属する。製版としては、図3〜図5に例示するスクリーン版30や図示しないメタルマスク版を用いることができる。以下、製版としてスクリーン版30を用いた場合について説明する。
図3,4に示されるように、電極20のスクリーン印刷工程では、電極20の形状に対応した開口部34を有するスクリーン版30、及びスキージ40を用いて、光電変換部11の受光面上に電極20の構成材(バインダ樹脂及び導電性フィラー)を含むインク50を転写する。より詳しくは、転写したい部分のみに開口部34が形成されたスクリーン版30上にインク50を載せ、スキージ40を摺動させることにより、開口部34にインク50を充填する。続いて、スクリーン版30のスキージ40が通り過ぎた部分が受光面から離れるときに、開口部34からインク50が吐出されて受光面上に転写される。この印刷工程を複数回繰り返した後、積層されたインク50を加熱等により固化させて電極20を形成する。尚、本実施形態では、オフコンタクト印刷について説明するが、オンコンタクト印刷を適用してもよい。
スクリーン版30は、インク50を透過する織物等であるメッシュ31と、メッシュ31が張られる枠32とを有する。そして、メッシュ31には、インク50を塗布したくない受光面上の領域に対応してマスク材33が設けられる。つまり、スクリーン版30は、メッシュ31においてマスク材33でマスキングされていない部分である開口部34のみからインク50を透過可能とする。スクリーン版30は、フィンガー21a,21b、及びバスバー22の形状にそれぞれ対応した開口部34のパターンを有する。
メッシュ31の材質、線径、メッシュ数、オープニング、オープニング率等は、形成される電極20の幅、厚み等に応じて選定される。メッシュ31の材料は、例えば、ポリエステル等の樹脂繊維やステンレス等の金属線とされる。メッシュ31の線径は、形成される電極20の厚み等に応じて選定される。メッシュ数は、メッシュ31の強度や形成される電極20の精細度に応じて選定される。オープニングは、インク50に含まれる導電性フィラーの粒径に応じて選定され、一般的に粒径の2倍以上とすることが好適である。オープニング率は、形成される電極の厚みやだれ幅などに応じて選定される。また、その他インク50の組成や印刷条件等によってもメッシュ31の材質、線径、メッシュ数、オープニング、オープニング率等が選定される。
マスク材33には、通常、感光性の乳剤が使用される。乳剤は、解像度や露光感度等に応じて選定され、例えば、ジアゾ系やスチルバゾリウム系の材料が用いられる。また、乳剤以外に金属箔を用いることもできる。乳剤は、例えば、枠32に張られたメッシュ31上に塗布され、紫外線の露光過程、未露光部の除去過程を経てマスク材33となる。
スキージ40は、スクリーン版30上にインク50を塗り広げるために適した材料で構成される。スキージ40は、耐溶剤性のある弾性体で構成することが好適である。例えば、ウレタンゴム等が好適である。尚、スキージ40の形状は、特に限定されないが、平スキージが好適である。
インク50は、流動性のあるペースト状の流体物である。インク50には、200℃以下の加熱により固化する加熱硬化タイプ、紫外線照射により固化する紫外線硬化タイプ、400℃〜1000℃程度の加熱で固化する焼成タイプ等が挙げられる。インク50として特に好適なものは、溶剤にバインダ樹脂と導電性フィラーとを混合した加熱硬化タイプの導電性ペーストである。溶剤には、例えば、アルコール系、グリコールエーテル系、炭化水素系等の有機溶剤、又はこれらの混合溶剤などが用いられる。バインダ樹脂には、例えば、セルロース系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂等、又はこれらの混合樹脂などが用いられる。導電性フィラーには、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等の金属粒子やカーボン、又はこれらの混合物などが用いられる。
電極20のスクリーン印刷工程では、印刷条件を決定する主要なパラメータとして、スキージ角度、スキージ速度、スキージ印圧、及びスクリーン版30と光電変換部11との距離であるクリアランスが挙げられる。
スキージ角度は、スキージ40の進行方向に対して、スクリーン版30とスキージ40とがなす角度である。スキージ角度は、インク50の吐出性に影響し、通常、角度が小さくなるほどインク50の吐出量が多くなる。但し、スキージ角度を小さくし過ぎると、インク50の掻き取り性が悪くなるため、50°〜80°程度が好適であり、60°〜70°程度が特に好適である。
スキージ速度は、スキージ40を移動させる速度である。スキージ速度は、印刷解像性等の観点から、20〜200mm/sec程度に設定することが好適である。
スキージ印圧は、スキージ40に加える圧力である。スキージ印圧が低すぎるとインク50の吐出量にばらつきが発生し易くなる。一方、スキージ印圧が高すぎると、インク50の掻き取りが深くなりインク50の転写量が大きく減少する。このため、スキージ印圧は、2〜6kgf/cm2程度が好適であり、3〜5kgf/cm2程度が特に好適である。
クリアランスは、版離れに関するパラメータであり、良好な版離れ性、スクリーン張力の低下抑制等の観点から、枠32の内寸の1/1000〜1/300程度に設定することが好適である。
電極20のスクリーン印刷工程では、上記のように、インク50を複数回に分けて受光面上に印刷する。そして、積層構造を有する電極20を形成する。2層構造を有する電極20の場合、2回の印刷工程が行なわれる。
1回目の印刷工程である第1印刷工程では、版厚t30が20μm〜40μmであるスクリーン版30を用いて印刷を行なう。第1印刷工程は、インク50を光電変換部11の受光面上に直接印刷する工程であり、この工程により第1導電層23が印刷される。2回目の印刷工程である第2印刷工程では、例えば、第1印刷工程と同じスクリーン版30を用いて印刷を行なう。第2印刷工程は、第1印刷工程で印刷された第1導電層23上にインク50を印刷する工程であり、この工程により第2導電層24が印刷される。
図5に示されるように、版厚t30とは、メッシュ31の厚みである紗厚t31と、マスク材33の厚みt33(以下、乳剤厚t33という)を足し合わせたスクリーン版30の総厚である。版厚t30を変更することにより、電極20の厚みを調整することができ、他の条件が同じであれば版厚t30が厚いほど電極20の厚みは増加する。開口部34の開口幅W34は、電極20の幅に応じて選定される。フィンガー21の場合には、例えば、30μm〜150μmの開口幅W34とされ、バスバー22の場合には、例えば、0.5mm〜1.5mmの開口幅W34とされる。尚、t30,t31,t33,W34等の寸法は、特に断らない限り平均値を意味する。
第1印刷工程では、版厚t30が20μm〜40μmであるスクリーン版30を用いて、厚みt23が5μm〜35μm、特に好ましくは15μm〜25μmの第1導電層23を形成する。転写されるインク50は、印刷条件によって変化する。そのため、第1導電層23の厚みt23は版厚t30よりも薄くなる。
第1印刷工程で使用するスクリーン版30は、さらに、版厚t30が25μm〜40μmであることが好ましく、25μm〜38μmであることが特に好ましい。第1印刷工程における版厚t30がこの範囲内であれば、電極20を薄肉化して導電性ペーストの使用量を十分に低減しながら、光電変換部11と電極20との接触抵抗を低く抑えることができる。
また、第1印刷工程で使用するスクリーン版30は、乳剤厚t33が10μm以下であることが好ましい。紗厚t31は、スクリーン版30の耐久性等の観点から薄膜化に限界がある。このため、20μm〜40μmのような薄い版厚t30は、主に乳剤厚t33の薄膜化により実現できる。一方、乳剤厚t33は、2μm以上であることが好ましい。乳剤厚t33が2μm未満になると、厚みの制御が難しくなり、乳剤厚t33の均一性が損なわれる場合がある。つまり、第1印刷工程において、乳剤厚t33は、2μm〜10μmが好ましい。特に好ましくは、2μm〜7μmである。
尚、第2印刷工程では、第1印刷工程よりも版厚t30が薄いスクリーン版30を用いてもよいが、上記のように、生産性等の観点から第1印刷工程と同じスクリーン版30を用いることが好適である。
上記製造方法によれば、電極20の厚みが薄いにも関わらず、抵抗損失が低く良好な曲線因子(FF)を有する太陽電池10が得られる。
通常は、電極20の厚みを厚くするほど電極20自体の抵抗を低減できると考えられる。このため従来では、スクリーン版30の版厚t30を40μmより大きくして、1回のスクリーン印刷で転写するインク50の厚みを大きくすることが検討されてきた。しかしながら、このようにスクリーン版30の版厚t30を40μmより大きくしても、期待されるほど抵抗損失を改善することは困難であった。
そこで、上記製造方法では、スクリーン版30の版厚t30を40μm以下と小さくした。通常、電極の厚みを薄くすると抵抗損失が高くなるが、スクリーン版30の版厚t30を20μm〜40μmと大幅に薄くしたことにより、光電変換部11と電極20との界面に印圧が伝わり易くなり、当該界面における接触抵抗が大きく低減する。つまり、転写されるインク50の厚みが薄くなると、スキージ40から加わる力がインク50により吸収されず光電変換部11まで伝達されて光電変換部11と電極20との密着性が向上する。また、第2印刷工程における印圧も光電変換部11と電極20との界面に伝わり易くなる。また、インク50がテクスチャ構造の凹部に入り込み易くなる。
このため、上記製造方法により得られる太陽電池10は、光電変換部11と電極20との接触抵抗が低く、電極20の厚みを薄くして良好な光電変換効率を実現する。また、電極20の厚みを薄くできることから、電極20の熱膨張収縮に伴い光電変換部11に加わるストレスを小さくでき、光電変換部11の薄型化を図ることもできる。
また、上記製造方法によれば、低抵抗損失を維持しながら、導電性ペーストの使用量を削減して製造コストを下げることができる。また、低抵抗損失を維持しながら、フィンガー21をさらに細線化して遮光ロスを低減できる。尚、スクリーン印刷工程を複数回繰り返すことにより、電極20の表面凹凸が低減されて、例えば、バスバー22と配線材との接触抵抗を低減することができる。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
評価用の光電変換部を以下の手順で作製する。尚、光電変換部は、全ての実施例・比較例で同じものを用いる。
まず、水酸化カリウム(KOH)水溶液を用いて(100)面を異方性エッチングし、受光面及び裏面にテクスチャ構造を形成した清浄なn型単結晶シリコン基板(以下、基板という)を準備する。続いて、当該基板を真空チャンバ内に設置し、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、当該基板の裏面上にi型非晶質シリコン膜、n型非晶質シリコン膜を順に形成する。i型非晶質シリコン膜の形成工程では、シランガス(SiH4)を原料ガスとする。また、n型非晶質シリコン膜の形成工程では、シラン(SiH4)、水素(H2)、及びホスフィン(PH3)を原料ガスとする。基板の受光面にも、CVDにより、i型非晶質シリコン膜、p型非晶質シリコン膜を順に形成する。p型非晶質シリコン膜の形成工程では、PH3の代わりに、ジボラン(B26)を原料ガスとする。
続いて、スパッタリング法により、n型非晶質シリコン膜上、及びp型非晶質シリコン膜上に、酸化インジウムを主成分とするTCO(Transparent Conductive Oxide)層を形成する。
こうして、TCO層/i型非晶質シリコン膜/p型非晶質シリコン膜/基板/i型非晶質シリコン膜/n型非晶質シリコン膜/TCO層の層構造を有する光電変換部を作製した。
次に、作製した光電変換部の受光面上に受光面電極を、光電変換部の裏面上に裏面電極をそれぞれ形成する。
受光面電極は、2本のバスバー、及びこれに直交する50本のフィンガーとする。まず、以下に示すスクリーン版、スキージ、及び導電性ペーストを準備する。スクリーン印刷工程は、2回繰り返して行なう。第1・第2印刷工程では、同じスクリーン版、スキージ、及び導電性ペーストを使用し、以下に示す印刷条件も同じとする。続いて、仮乾燥工程(150℃×15分)により転写された導電性ペーストの溶剤の一部を除去する。
裏面電極は、2本のバスバー、及びこれに直交する250本のフィンガーとし、1回の印刷工程により形成する。スクリーン版の開口部のパターンが異なる以外は、受光面電極の第1印刷工程と同様にして裏面電極を印刷する。
その後、本乾燥工程(200℃×60分)により転写された導電性ペーストの溶剤を除去し、バインダ樹脂を熱硬化させて、受光面電極及び裏面電極を形成する。
[スクリーン版・スキージ・導電性ペースト]
メッシュ;400メッシュ(ソフトカレンダー加工品)
マスク材;感光性乳剤
スキージ;ポリウレタン製平スキージ(硬度70度)
導電性ペースト;銀粒子分散エポキシ樹脂
[印刷条件]
スキージ角度;70°
スキージ速度;100mm/sec
スキージ印圧;4kgf/cm2
クリアランス;1.5mm
作製した太陽電池について、第1導電層(電極)の厚み、及び曲線因子(FF)の評価を行なった。評価結果は、受光面電極の印刷に使用したスクリーン版の寸法と共に表1に示した。尚、第1導電層の厚みの約2倍が電極の厚みである。
<実施例2〜7、比較例1〜3>
受光面電極の印刷に使用したスクリーン版の寸法を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして太陽電池の作製及び評価を行なった。尚、メッシュは、400メッシュ(ハードカレンダー加工品)を用いた。
〔表1〕
Figure 0006037135
表1に示すように、各実施例の太陽電池は、比較例1〜3の太陽電池と比べて、電極の厚みが薄いにも関わらず、高いFFを示した。この結果は、版厚20μm〜40μm、乳剤厚を2μm〜10μmに設定したスクリーン版を用いた積層印刷によって、光電変換部と電極との密着性を向上させ接触抵抗を大幅に低減したことに起因する。
版厚を17μm、乳剤厚を1μmに設定したスクリーン版を用いた場合(比較例3)では、電極の厚みのばらつきが大きく、安定した特性が得られなかった。
10 太陽電池、11 光電変換部、20 受光面電極、21,21a,21b フィンガー、22 バスバー、23 第1導電層、24 第2導電層、30 スクリーン版、31 メッシュ、32 枠、33 マスク材、34 開口部、40 スキージ、50 インク。

Claims (4)

  1. 光電変換部の主面上に1μm〜15μmの凹部の深さを有するテクスチャ構造が形成され、当該テクスチャ構造が形成された前記主面上に複数のフィンガー電極を備えた太陽電池の製造方法であって、
    前記複数のフィンガー電極の形状に対応した開口部を有する製版、及びスキージを用いて、前記複数のフィンガー電極の構成材を複数回に分けて前記テクスチャ構造が形成された前記主面上に印刷する工程を備え、
    前記製版は、樹脂繊維または金属線の織物であるメッシュと、前記開口部を選択的に形成するマスク材とを含み、
    前記構成材は、バインダ樹脂と、銀、銅、ニッケル、カーボンの粒子またはこれらの混合物と、を溶剤に混合したものであって、
    前記工程は、前記テクスチャ構造が形成された前記主面上に前記複数のフィンガー電極の形状に対応して直接印刷する第1印刷工程と、前記第1印刷工程で印刷された前記複数のフィンガー電極の構成材の上に印刷する第2印刷工程と、を含み、記第1印刷工程では、前記メッシュの厚みと前記マスク材の厚みとを足し合わせた版厚が20μm〜40μmである前記製版を用いて前記構成材を印刷する太陽電池の製造方法。
  2. 請求項1に記載の太陽電池の製造方法であって、
    記第1印刷工程では、前記マスク材の厚みが10μm以下である前記製版を用いて前記構成材を印刷する。
  3. 請求項2に記載の太陽電池の製造方法であって、
    前記第1印刷工程では、前記マスク材の厚みが2μm以上である前記製版を用いて前記構成材を印刷する。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法であって、
    記第2印刷工程で用いる前記製版の前記版厚は、前記第1印刷工程で用いる前記製版の前記版厚未満である。
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