JP2008298575A - 電極および製造方法とそれを用いた検出装置と検出方法 - Google Patents

電極および製造方法とそれを用いた検出装置と検出方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008298575A
JP2008298575A JP2007144794A JP2007144794A JP2008298575A JP 2008298575 A JP2008298575 A JP 2008298575A JP 2007144794 A JP2007144794 A JP 2007144794A JP 2007144794 A JP2007144794 A JP 2007144794A JP 2008298575 A JP2008298575 A JP 2008298575A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
substrate
fine particles
pair
ink
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007144794A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuhiko Ozaki
亘彦 尾崎
Tetsuo Yukimasa
哲男 行政
Tomohiro Yamamoto
智浩 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2007144794A priority Critical patent/JP2008298575A/ja
Publication of JP2008298575A publication Critical patent/JP2008298575A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】電極対と空洞を備えたデバイスの電極対の厚みがばらつくことなく、もって電極厚みで規定される空洞深さを高精度に、かつ安価に製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明の第1の態様は、一対の基板群で挟まれた内部に導電性を有する少なくとも一対の印刷電極群と、前記一対の印刷電極群と前記基板群で挟まれた空洞である中空部とを有する電極を前記基板群で挟まれた距離である、前記中空部の深さを規定して作製する方法であって、前記基板の一方の上に、前記中空部の前記深さに等しい直径を有する第一の微粒子と、前記第一の微粒子より小さい直径を有する第二の導電性微粒子を含むインクを印刷する工程A、前記工程Aにて作製された前記印刷電極の上に他方の前記基板を配置する工程Bからなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、微小な中空構造を持つ電極、および製造する方法に関する。特に、本発明は、免疫反応(抗原抗体反応)や遺伝子反応などの生物学的反応において生じる反応生成物を検出する検査用チップ及びその製造方法に関する。
近年、様々な健康診断チップが開発されている。これら健康診断チップの殆どは、マイクロタス(μ−TAS:Micro Total Analysis System)と呼ばれる微小流路構造を持つカード型のデバイスである。流路を微細化すると、生体から抽出するサンプル量は微量でよい点等で非常に有用である。また、流路の微細化により健康診断チップを含む装置全体を小型化できれば、比較的大規模の病院だけでなく、診療所や家庭での診断を行うPOCT(Point of care test:その場診断)用途に用いることが可能となる。しかしながら、流路を50μm以下に微細化することは通常、高価な設備を使用する半導体加工技術が必要であり、産業応用を遠ざける一因となっている。
医療分野や生化学分野においては、抗原抗体反応により生成された凝集物を検出して抗原や抗体の存在を検査し、病気の診断や解析が行われている(例えば、特許文献1、2、3)。
特許文献1に開示されている方法は、抗原や抗体などの反応性物質をスチレン系重合体粒子などの担体に担持させ、反応液に交流電圧を印加し、粒子を配向させた後に、電圧印加を停止した時の凝集度合いで抗原抗体反応を定量する。この測定に使用するセンサ基板は、厚さ10〜50μmの金属箔の表裏面にプラスチックフィルムをラミネートして作製する。金属箔を電極対に、その電極対の間に生じた空洞を流路として利用する。よって、流路の厚みは金属箔の厚みで形成される。
この流路内に注入された反応液中の粒子担体の挙動を厚み方向からの観測・画像解析する目的において、空洞の厚みを規定できることは、極めて重要である。空洞の厚みを撮像系の焦点深度以内にまで薄くすることができれば、粒子が深さ方向に運動しても、粒子像がぼけず、画像解析できるからである。
実際には金属箔は厚さ10〜50μmと非常に薄く、プラスチックフィルムの間に挟む時に取り扱いが難しいことが挙げられる。金属箔に容易にしわや重なりが生じ、電極部の厚みが実際には金属箔の厚みより大きくなってしまう。そのため、電極の厚みで規定するはずの空洞の厚みはデバイスごとにばらつく。また、プラスチックフィルムを熱と圧力をかけてラミネートして金属箔に圧着させる。
空洞部は、深さが10〜50μm、幅が500〜1000μmと著しく扁平な空洞であり、プラスチックフィルムを圧着した際にフィルムのたわみ変形によって中央部がひずみ、中央部の深さは意図した間隔ではなく、最悪、互いに貼り付き空洞を生じない。このため、反応液が空洞内に注入できない。あるいは、逆に、実際に空洞内で粒子挙動を観測する際に焦点外へ移動するなどの誤差が生じ、正しく粒子数を判別できない。
電極対の厚みを規定する目的で、金属箔を用いる以外にも金属層を形成させる方法がある。第一に、スパッタや蒸着に代表される堆積工法は、通常0.5μm厚以下であり、厚さ50μm程度の厚みまで堆積させるのは多大な時間を要するため適さない。第二に、グラビア印刷やスクリーン印刷に代表される印刷工法では、用いるスクリーンマスクの厚みと印刷条件と導電性微粒子の大きさを適切に選べば、導電性を持ちながら、電極の厚さを10〜50μmで規定して形成させることができるが、本目的には適さない。
例えば、電極部の厚みを10μmで規定するためには、直径が5μm以下の導電性微粒子を用いて電極内で微粒子を2〜3層に堆積させる必要がある。直径が5〜10μm程度と電極厚みに等しい導電性微粒子を用いると、電極で微粒子が一層に並ぶため、最密充填下でも互いに点接触しかできず、導電性を確保できないためである。
溶液であるインクを用いるため、印刷工法によって形成された電極部の断面形状は柱状ではなく山なりとなるため、上面に基板を置いた時に一点に重みがかかる。しかも、電極内で微粒子が2〜3層に堆積しており、互いにはインクのバインダー成分によって保持されているため、上面に基板を置くと基板の重みで容易に電極が凹み、崩れ、電極の厚みが場所によって減少するため、空洞の厚みを規定できない。
特開2003−75441号公報 特開平7−83928号公報 特開昭59−173761号公報 特開2006−32698号公報
前記従来の発明において、空洞の厚みを規定するために、空洞の厚みに等しい直径を持つシリカ微粒子を粘着層に含ませた両面接着シートが市販されている。一例を挙げると、このシートはシリカ微粒子の直径が7μmで粘着層厚みが15μmである。このシートを用いて空洞を形成する場合に以下の課題がある。
上面の基板と下面の基板でこのシートを挟みこみ、熱と圧力を同時にかけて、粘着層を溶かしながらシリカ微粒子自体の剛性で上面と下面の基板の間隔は保持され、空洞の厚みが規定される。粘着層は導電性を有しない。さらに、粘着層は溶けるに従い、水平方向に拡がるため、空洞の幅は規定できない。たとえ、粘着層に導電性があっても、拡がると導電性を確保できない。粘着層は等方的に拡がるため、空洞の幅方向の直線性は確保できない。上面と下面の基板に樹脂を用いると、金属箔の場合と同様に、フィルムのたわみ変形、フィルムへのシリカ微粒子のめりこみが生じる。
本発明は、電極対と空洞を備えたデバイスの電極対の厚みがばらつくことなく、樹脂基板で挟み込む時にも電極対の厚みが変形することなく、もって電極厚みで規定される空洞深さを高精度に、かつ安価に製造する方法と空洞内での正確な粒子の認識を実現できるデバイスを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、一対の基板群で挟まれた内部に導電性を有する少なくとも一対の印刷電極群と、前記一対の印刷電極群と前記基板群で挟まれた空洞である中空部とを有する電極を前記基板群で挟まれた距離である、前記中空部の深さを規定して作製する方法であって、前記基板の一方の上に、前記中空部の前記深さに等しい直径を有する第一の微粒子と、前記第一の微粒子より小さい直径を有する第二の導電性微粒子を含むインクを印刷する工程A、前記工程Aにて作製された前記印刷電極の上に他方の前記基板を配置する工程B、インクを乾燥させる工程Cからなるので、第一の微粒子が一層に並んだ厚みを持った電極対をスクリーン印刷により実現できる。しかし、第一の微粒子が一層に並ぶだけでは電極対は導電性を持たず、電極として機能しない。
第一の微粒子が該球形であるため互いに点で接触し、微粒子間にすきまが生じる。第二の導電性微粒子は直径が小さいので、第一の微粒子のすきまを埋めるように並び、電極対に容易に導電性を付与することができる。インクを乾燥させる工程Cで、乾燥と同時に溶媒が飛び、インク中のバインダー成分の密着効果により、上方の基板と下方の基板とも電極対を密着させることができる。
かかる構成は、電極対の厚みをばらつきなく、第一の微粒子の直径で山なりではなく、複数の点で、高精度に規定することができ、もって、中空部の深さを容易にかつ確実に規定でき、電極対も導電体として機能させることができる。インクの乾燥と上方基板の接着を同時に処理し、しかも貼り付けには溶媒の乾燥に伴うバインダー成分の密着によって行われ、圧力がかからないので、樹脂基板を用いても基板が変形・たわむこともなく、微粒子が基板にめりこむこともなく、電極の厚みも凹むこともなく、両基板で電極対を挟むデバイスを短時間で作製することに寄与し、作製個数の面からも重要である。さらに、スクリーン印刷工法を用いることで、デバイスを安価に大量に素早く製造することができ、製造上有利である。
本発明の別の態様は、前記インクに含まれる前記第一の微粒子が導電性を備えるので、前記電極対の導電率を上げることができる。これは、電極対の長さが長くなったり、厚みが薄くなったりしたときにも、電極対の抵抗を下げることに寄与するため、デバイスの設計の自由度が増すことに相当する。また、第二の導電性微粒子に対する第一の微粒子との含有比率を大きくすることができる。言い換えれば、第一の微粒子が導電性を持っているので、電極対の導電を確保する第二の導電性微粒子を最低限ある含有率で混合させなければならない下限値に縛られないインクを印刷に使用することができる。かかる構成は、インク配合の自由度を増す効果があり、高精細な電極(印刷幅が30μmから100μm)をかすれることなく、にじむことなく作製することに寄与する。
本発明の別の態様は、前記インクに含まれる前記第一の微粒子と前記第二の導電性微粒子を合わせた含有割合が全体の9%から94%を占めるので、かかる含有割合は、第一の微粒子を確実に一層に配置することができることに寄与し、含有比率を変えることで任意の空洞高さと幅を持つデバイスを確実に製造できる。なぜなら、最終的な電極対の幅は、印刷版スクリーンの開口幅と、基材に対するインクの濡れ性による印刷幅の拡がりに依存する。最終的な電極対の厚みは、適切に保たれた印刷版スクリーンの厚みと、印刷幅の拡がりによる乾燥前インク厚みの減少に依存する。基材に対するインクの濡れ性による拡がりは、インクに含有される溶媒成分の量に依存するため、微粒子含有量を調整することで可変できる。
具体的に述べると、第一に、スクリーンの厚みとメッシュの開口径が、基材に印刷されるインクの体積を決定する。その内の一定割合のインクが工程Aで基材に転写される。第二に、転写されたインクに含まれる溶媒成分の量に応じて、基材に対するインクの濡れが変化し拡がり幅と乾燥前インク厚みを決定する。溶媒成分が多いほど、基材に対してよく濡れ拡がるため、幅が大きくなり、インク厚みが小さくなる。第三に、転写されたインクは、含有割合に合わせた溶媒成分の体積分を乾燥により減らし、導電性を得るとともに、最終的な厚みとなる。例えば、スクリーンの厚みを35μm厚とする。基材への転写割合はスキージ移動速度などの印刷条件により50%から75%で調整可能である。よって、基材に転写されるインク幅は、スクリーンの開口+15μm程度、インク厚みは17μm厚〜26μm程度になる。本発明者らは、上記の含有割合により、溶媒成分の乾燥で厚みはさらに1/3から1/4程度になることを見出した。よって、最終的な電極厚みは、7〜8μmとすることができる。
さらに、かかる含有割合は、電極対の抵抗値を調整することができる。インクは、溶媒成分と導電性微粒子成分以外に、基材との密着性・導電性微粒子同志の密着性を確保する、誘電性のバインダー成分が含有されている。バインダー成分の含有割合を減らし、微粒子の含有割合を高めると、電極対の抵抗値を下げることができる。低抵抗の電極対は、空洞部に大きな電圧を印加することができ、粒子の配向を短時間で実現できる。
本発明の別の態様は、前記第一の微粒子の第一の直径D1が2〜15μmであり、かつ、前記第二の導電性微粒子の第二の直径D2がD1の17%以上53%以下であるので、かかる構成は、2〜15μmの空洞高さを持つ中空部を任意に製造できるとともに、電極対の導電率も低抵抗で確保できる。さらに電極対の頂面の表面は、一様な高さを持たず、局所的に第一の直径の高さを持ち、残りの部分を第二の導電性微粒子が1〜2層配置された高さで、第二の直径の曲率を持った凹凸形状となる。かかる頂面形状を持つ電極対は、凹凸形状部でのエッジ効果により電圧印加時に電界集中部を多く持つ。このため、空洞部内の粒子に大きな誘電泳動力を与えることが可能となる。粒子を短時間で配向させ、粒子配向数を大きくすることに寄与する。
本発明の別の態様は、前記第二の導電性微粒子に対する前記第一の微粒子の存在比率が、体積比で0.27%〜800%であるので、かかる存在比率により、電極対の抵抗値を調整することができる。つまり、第一の微粒子に対して、電極の面積の方向に亘る導電性を確保する、第二の導電性微粒子の存在比率を上げると、抵抗値を低くすることができる。電極対間に大きな電圧を印加でき、誘電泳動による粒子の配向を短時間で行うことができる。さらに、第二の導電性微粒子に対して、電極厚みを規定する、第一の導電性微粒子の存在比率を上げると、上方の基板を支える点が多くなり、中空部の厚みの規定をより確実に行うことができる。これは、上方の基板が樹脂からなる場合、ガラスに比べ樹脂フィルムは、大きな表面粗さを持ち、剛性が低いため、本構成が有利である。
本発明の別の態様は、前記基板郡が樹脂より選ばれるので、製造上有利である。ガラスやセラミックに比べ樹脂は加工性がよい。切削が容易、金型による抜きも可能で外形加工が簡単である。成型もできる。これらの特長は、製造時間を短縮することに寄与し、製造設備を選ばない。設備の低価格化にもつながり、また樹脂自体の調達コストが低いことから、電極基板を低価格にて製造することができる。
本発明の別の態様は、前記工程Aの後に、前記第一の微粒子を含む接着性を有するインクを印刷する工程Dからなるので、確実に上方基板を電極厚みを保ったまま接着できる。電極対と接着剤の作成を印刷のみで行うことができる。設備を共通化することができ、製造上容易である。
本発明の別の態様は、前記工程Bの後に、前記中空部以外の前記基板で挟まれた空洞に接着剤を流し込む工程Eからなるので、上方基板を電極対上に配置した後でも接着することができる。また、毛細管現象で中空部以外の前記基板で挟まれた空洞に接着剤が自発的に流れ込むため、高度な接着剤の位置決め処理が必要ない。さらに、確実に封止ことができ、空洞内に注入された反応液は漏れ出すことがない。しかも、特許文献1に開示されるような、熱や圧力を印加した上でのラミネート工法による接着方法ではないため、例えば、上方基板が熱や圧力によって変形しやすい樹脂基板に用いても、空洞部がたわむことなく、確実に空洞部の深さを規定することができる。
本発明の別の態様は、一対の基板群で挟まれた内部に導電性を有する少なくとも一対の電極群と、前記一対の電極群と前記基板群で挟まれた空洞である中空部とを有する電極であって、前記電極群が、前記中空部の深さを規定する第一の高さと、前記電極の導電性を確保する第二の高さを有するので、かかる構成のデバイスは、中空部の深さが規定されている構成を簡便に作り出すことができる。空洞内で粒子を運動させれば、深さが規定されていることにより、その運動を一定な方向のみに生じさせることができる。
本発明の別の態様は、少なくとも一方の基板の一部が透明性を有するので、空洞内の様子を観察することができる。特に深さが規定されているので、空洞内での粒子の挙動を焦点からぼけることなく認識できる。
本発明の別の態様は、電極を使った、被検出溶液中に含まれる、生体試料を検出する検出装置であって、一対の基板群で挟まれた内部に導電性を有する少なくとも一対の電極群と、前記一対の電極群と前記基板群で挟まれた空洞である中空部と中空部に配置され、被検出溶液中の生体試料と特異的に結合する担体を有し、前記電極群が、前記中空部の深さを規定する第一の高さと、前記電極の導電性を確保する第二の高さを有する電極と、前記電極郡につながり、電極間に交流電圧を印加する電圧印加手段と、前記中空部を観察・撮像する観察手段と、前記観察手段にて撮像された画像を解析する解析手段を備えており、
この装置を使った、被検出溶液中に含まれる、生体試料を検出する検出方法は、電極の前記中空部を、被検出溶液で満たす工程、前記電圧印加手段に交流電圧を印加する工程、前記電圧印加手段による前記交流電圧の印加を停止する工程、前記観察手段にて前記中空部の一部を撮像する工程、前記解析手段による撮像された画像を解析する工程からなるので、交流電圧印加で担体を誘電泳動し、交流電圧印加後の抗体を吸着させた担体の凝集度で抗体に特異的に結合する抗原の量を検出する原理を用いれば、抗原抗体反応により生じる粒子の凝集を検出して抗原や抗体の存在を検査することができる。電極対のかかる2段形状を持つ電極対は、凹凸形状部でのエッジ効果により電圧印加時に電界集中部を多く持つ。このため、空洞部内の粒子に大きな誘電泳動力を与えることが可能となる。粒子を短時間で配向させ、粒子配向数を大きくすることに寄与する。
本発明の電極を製造する方法によれば、第一の微粒子により中空部の深さを規定し、第一の導電性微粒子より小さい第二の導電性微粒子が電極対内での導電を確保することで、デバイスの電極対の厚みがばらつくことなく、もって電極厚みで規定される空洞深さを高精度に、かつ安価に製造できる。さらに、空洞内での正確な粒子の認識を実現できるデバイスを実現することができる。
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1から図2は、本発明の第1実施形態に係る電極基板2を示す。
図1に示すように、この電極基板2は、下面基板21、上面基板22、一対の電極3A、3B、流路4を備える。一対の電極3A、3Bは、ある一定の間隔を経て配置されている。下面基板21、上面基板22は、電極3A、3Bを挟むように配置されている。この構成により、流路4は、頂面を上面基板22、底面を下面基板21、左右の壁面を電極3A、3Bにて形成されている。
電極3A、3Bの構造を概説する。
電極3A、3Bは、第一の微粒子31と、導電性を有する第二の微粒子32と、微粒子同士を内抱し、基材に固定化するバインダー成分33からなる。ここで、第一の微粒子31の第一の直径51は、電極高さ54A,54Bを形成している。第二の微粒子32の第二の直径52は、第一の直径51より小さいため、第一の微粒子31群からなるスキマを埋めるよう配置されている。導電性を持つ第二の微粒子32により、電極3A、3Bは導電性を持つ。
かかる構成により、電極3A、3Bの厚み54A,54Bをばらつきなく、第一の微粒子32の直径51であり、高精度で規定することができ、もって、流路深さ53を容易にかつ確実に規定でき、電極3A、3Bも導電体として機能させることができる。
図3は、電極基板2を製造する方法を示すフローチャートである。
本実施形態の電極基板2の製造方法は、下面基板21上に第一の微粒子31と第二の微粒子32を含むインク30を印刷する工程Aと、こうして作製した電極3A、3Bの上に上面基板22を配置させる工程B、インク30を乾燥させる工程Cからなる。
工程Aにおいて、電極3A、3Bが印刷され、下面基板21上に形成される。印刷方法は当業者に公知の印刷技術が用いられる。代表的な例としてスクリーン印刷が挙げられる。予め電極形状に応じたスクリーン版37を用意し、下面基板21の上に置き、所定量のインク30をスクリーンの端に載せ、スキージ等を用い、スクリーン上でインクを刷りつけることで下面基板21に電極3A、3Bが印刷される。
工程Bにおいて、下面基板21に対して上面基板22を配置させる方法は、第一の微粒子31の配列が崩れず、第一の微粒子31の直径51で流路深さ53が保たれるなら、任意である。通常、上面基板22は、下面基板21に対して正しい位置に来るよう位置合わせされた後に上面から置かれる。特許文献1に開示される、上面基板を電極3A、3Bに過度な熱や圧力をかけてラミネートする配置方法は、上面基板22が樹脂やプラスチックの場合は好ましくない。樹脂やプラスチックは熱に対して変形する。また、剛性が弱いため、圧力に対しても第一の微粒子31が上面基板22にめりこむといった弊害が起こるためである。
工程Cにおいて、インク30中に含まれる溶媒成分34が散逸し、バインダー成分33の働きにより、電極3A、3Bは上面基板22と下面基板21にしっかり密着して封止される。
かかる方法は、インクの乾燥と上方基板の接着を同時に処理し、両基板で電極対を挟むデバイスを短時間で作製することに寄与し、作製個数の面からも重要である。
工程Aにおいて印刷されるインク30は、第一の微粒子31、第二の微粒子32、バインダー成分33、および溶媒成分34を少なくとも含む。
第一の微粒子31は、第一の直径51を有する概球形からなる。材質は、絶縁性であっても、導電性を備えていてもよい。
第一の微粒子31が導電性を有する場合は、電極3A、3Bの導電率を上げることができる。これは、電極3A、3Bの長さが長くなったり、厚みが薄くなったりしたときにも、電極の抵抗を下げることに寄与するため、デバイスの設計の自由度が増す。さらに、第二の導電性微粒子32に対する第一の微粒子31との含有比率を大きくすることができる。言い換えれば、第一の微粒子31が導電性を持っているので、電極3A、3Bの導電を確保する第二の導電性微粒子32を最低限ある含有率で混合させなければならない下限値に縛られないインク30を印刷に使用することができる。かかる構成は、インク配合の自由度を増す効果があり、高精細な電極(印刷幅が30μmから100μm)をかすれることなく、にじむことなく作製することに寄与する。
第二の微粒子32は、第一の直径51より小さな第二の直径52を有する概球形からなる。形状は、どの径も第一の直径51を超えなければ、球状に限定されず、楕円断面を持つ形状でも、正方形でもよい。材質は、導電性を備える材料から選ばれる。
インク30に含まれる第一の微粒子31と第二の導電性微粒子32を合わせた含有割合が全体の70重量%から95重量%を占めることが望ましい。かかる含有割合は、第一の微粒子を確実に一層に配置することができることに寄与し、含有比率を変えることで任意の空洞高さと幅を持つデバイスを確実に製造できる。
なぜなら、最終的な電極対の幅は、印刷版スクリーン37の開口幅と、基材に対するインクの濡れ性による印刷幅の拡がりに依存する。最終的な電極3A、3Bの高さ54A、54Bは、適切に保たれた印刷版スクリーン37の厚みと、印刷幅の拡がりによる乾燥前インク厚みの減少に依存する。基材に対するインクの濡れ性による拡がりは、インクに含有される溶媒成分34の量に依存するため、微粒子含有量を調整することで可変できる。
具体的に述べると、第一に、スクリーン37の厚みとメッシュの開口径が、基材に印刷されるインクの体積を決定する。その内の一定割合のインクが工程Aで基材に転写される。第二に、転写されたインクに含まれる溶媒成分34の量に応じて、基材に対するインクの濡れが変化し拡がり幅と乾燥前インク厚みを決定する。溶媒成分34が多いほど、基材に対してよく濡れ拡がるため、幅が大きくなり、インク厚みが小さくなる。第三に、転写されたインクは、含有割合に合わせた溶媒成分34の体積分を乾燥により減らし、導電性を得るとともに、最終的な厚み54A、54Bとなる。例えば、スクリーン37の厚みを35μm厚とする。
基材への転写割合はスキージ移動速度などの印刷条件により50%から75%で調整可能である。よって、基材に転写されるインク幅は、スクリーンの開口+15μm程度、インク厚みは17μm厚〜26μm程度になる。上記の含有割合により、溶媒成分の乾燥で厚みはさらに1/3から1/4程度になる。よって、最終的な電極厚み54A、54Bは、7〜8μmとすることができる。この場合は、予め直径51を8μmとする第一の微粒子31をインク30に含有させることにより、電極厚み54A、54Bを8μmに規定することができる。
さらに、含有割合によって電極3A、3Bの抵抗値を調整することができる。インク30は、溶媒成分34と導電性微粒子成分以外に、基材との密着性・導電性微粒子同志の密着性を確保する、誘電性のバインダー成分33が含有されている。バインダー成分33の含有割合を減らし、微粒子の含有割合を高めると、電極3A、3Bの抵抗値を下げることができる。
低抵抗の電極対は、空洞部に大きな電圧を印加することができ、粒子の配向を短時間で実現できる。しかしながら、電極3A、3Bを基板に密着させるには、最低1μm厚に相当するバインダー成分33の量が必要である。よって、上記の含有割合は94%を超えることはできない。また、バインダー成分33が全体の81%以上を占めることに相当する、含有割合9%を下回ると、第一の微粒子31が1層にならんでも電極厚み54A、54Bを規定するのはバインダー厚みになるため、流路深さ53を規定できなくなる。
第一の微粒子31の第一の直径51(D1)は、設計する流路深さ53と等しく選ばれる。第一の直径51は、代表的には、2〜15μmである。より好ましくは、7〜10μmである。また、第二の微粒子32の第二の直径52(D2)は、第一の直径51より小さいことが必要である。より好ましくは、第二の直径D2は、D1の17%以上53%以下である。かかる構成は、2〜15μmの流路深さ53を持つ流路を任意に製造できる。D2が17%以下なら、第二の微粒子32が2層に形成されても、D1の直径51を超えないため、第一の微粒子31の直径51で流路深さ53を規定できる。
また、D2が53%以上なら、第二の微粒子32の上に第一の微粒子31が乗り上げて配置されることがなく、第一の微粒子31の直径51で流路深さ53を規定できる。電極3A、3Bの導電率も低抵抗で確保できる。
さらに電極3A、3Bの頂面の表面は、一様な高さを持たず、局所的に第一の直径51の高さを持ち、残りの部分を第二の導電性微粒子32が1〜2層配置された高さで、第二の直径52の曲率を持った凹凸形状となる。かかる頂面形状を持つ電3A、3B対は、凹凸形状部でのエッジ効果により電圧印加時に電界集中部を多く持つ。このため、流路4内の粒子6に大きな誘電泳動力を与えることが可能となる。粒子6を短時間で配向させ、粒子配向数を大きくすることに寄与する。
第二の導電性微粒子32に対する第一の微粒子31の存在比率が、0.27%〜800%であることが望ましい。かかる存在比率により、電極3A、3Bの抵抗値を調整することができる。つまり、第一の微粒子31に対して、電極の面積の方向に亘る導電性を確保する、第二の導電性微粒子32の存在比率を上げると、抵抗値を低くすることができる。
電極対間に大きな電圧を印加でき、誘電泳動による粒子の配向を短時間で行うことができる。さらに、第二の導電性微粒子32に対して、電極厚み54A、54Bを規定する、第一の導電性微粒子31の存在比率を上げると、上面基板21を支える点が多くなり、流路6の深さ53の規定をより確実に行うことができる。これは、上面基板21が樹脂からなる場合、ガラスに比べ樹脂フィルムは、大きな表面粗さを持ち、剛性が低いため、本構成が有利である。
第一の微粒子31の材料は任意である。シリカビーズ、ポリスチレンを主体とするラテックスビーズなどがありうる。第二の微粒子32は、導電性を持てば材料は問わない。金、銀、白金、鉄、アルミ、銅などの金属や導電性カーボンなどの導電性材料からなる微粒子が好適に選ばれる。もっとも好適なものは銀である。
バインダー成分33は、当業者に公知の材料から選ばれる。例えば樹脂としてエチルセルロース樹脂やアルキド樹脂等を使用できる。
溶媒成分34は、当業者に公知の材料から選ばれる。例えば、テルピネオールやジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等を用いることができる。
上面基板21と下面基板22の材料は、絶縁体で構成されている。絶縁材料の例としては、有機材料、およびガラス、無機絶縁材料、半導体材料から選ばれる。有機材料は、ポリエチレン、エチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエンスチレン共重合体、シリコン樹脂、ポリフェニレンオキサイド及びポリスルホン等の群から選ばれる。ガラスは、アルカリガラス、アルカリソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス等である。無機絶縁材料は、アルミナ、サファイア、フォルステライト、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素の群から選ばれる。半導体材料は、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素等である。
少なくとも一方の基板の一部が透明性を有していることが望ましい。流路4内の様子を観察することができる。特に深さが規定されているので、流路4内での粒子6の挙動を焦点からぼけることなく認識できる。例えば、抗原抗体反応により生じる粒子の凝集を検出して抗原や抗体の存在を検査することができる。
電極3A、3Bの高さ54A、54Bは、第一の微粒子の直径51で規定される。電極3A、3Bの電極幅56A、56Bは、導電性を有するなら任意である。具体的には、電極幅56A、56Bは、10μmから5mmの間から選ばれ、より好ましくは、30μm以上1mm以下である。電極長さも電気的接続を取る端子から取れるに足る長さであれば任意であり、1mm以上100mm以下であり、好適には4mm以上20mm以下である。電極の抵抗値は、0.001Ω・m〜1000kΩ・mであり、好適には、100Ω・m以下であることが望ましい。
流路深さ53は、第一の微粒子の直径51で規定される。流路4の流路幅55は必要な量の生体試料溶液5が注入できる溶液を持てば任意であり、0.1mm以上10mm以下であり、好適には0.2mm以上0.5mm以下である。流路の幅は、電極3A、3Bの間に印加される電圧とともに、流路にかかる電界強度を決定する。流路の内部の表面は、親水性であっても、疎水性であっても、いずれの表面を一部または全部に備えていてもよい。また、粒子の吸着を抑制する表面処理が施されていてもよい。
流路4は、流路4内に液体5を導けるように、注入口と排出口を別途備えていてもよい。注入口と排出口は、流路4とつながっていれば、上面基板21もしくは、下面基板22に設けてあってもよい。
作製した電極基板2を使った免疫反応の測定方法を以下に概説する。免疫反応は、抗体を吸着させた粒子6の凝集度で抗体に特異的に結合する抗原の量を検出する原理に基づく。まず、電極基板2の流路4に粒子6を所定の濃度で分散させた溶液5が投入される。次に、電極3A、3Bに電圧が印加され、粒子6が流路4内で誘電泳動を受け、流路4内で数珠つなぎ様に並んだ挙動(以下、パールチェーン)を示す。最後に、電圧印加を停止し、所定の時間を経た時の粒子の凝集度を総粒子数に対する2個以上に凝集した粒子の総数の面積比で判定する。
上記の測定を実現できる測定装置1を示す。測定装置1は、電極基板2、撮像手段10、電圧印加手段12、解析装置13からなる。
電圧印加手段12は、電極基板2の電極3A、3Bに所定の電圧を印加することができる。電圧は、直流電圧、交流電圧のいずれでもよいが、望ましくは交流電圧である。電圧の波形および周波数、電圧値は適切に選ばれる。一例としては、周波数は100Hzから100kHz、波形は矩形波もしくは正弦波、三角波から選ばれる。電圧値は、1Vp−pから100Vp−pである。好適には10Vp−pから30Vp−pである。
撮像手段10は、電極基板2の流路4内での粒子6の挙動を観察・撮像することができる。電極基板2の上面基板21もしくは下面基板22の少なくともいずれか一方は透明性を有するので、撮像手段10によって容易に撮像することができる。撮像手段10と電極基板2の間に設置された対物レンズ11によって、流路4内の様子は拡大されて撮像される。撮像は動画であっても、静止画であってもよい。
解析装置13は、撮像手段10で撮像された画像を処理することができる。例えば、画像の中の粒子の数をカウントすることができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る電極基板2の構造を図6、図7に示す。従って、以下の説明においてこれらの図面を参照する。第2実施形態に係る電極基板2は、電極3A、3Bの流路4とは対向する方向に、流路4を密閉する接着層7A、7Bを設けた点が第1実施形態と異なる。
図8は、第2実施形態に係る電極基板2を製造する方法を示すフローチャートである。
工程Aの後に、第一の微粒子31を含む接着性を有する接着性インク38を印刷する工程Dを新たに設ける点が第1実施形態と異なる。以下では、上記2つの相違点について詳述する。
工程Dでは、第一の微粒子31を含む接着性を有する接着性インク38を印刷する。この工程により、電極3A、3Bの流路4とは対向する位置に接着層7A、7Bが第一の微粒子31の直径51で規定された厚みで形成される。
かかる構成により、上面基板21を確実に流路厚み53を保ったまま接着できる。図8に示したように、電極乾燥工程Cを基板配置工程Bの前にも後にも行うことができる。つまり、基板配置工程Bの前に電極乾燥工程Cを行う場合は、工程Aにて第一の微粒子31と第二の導電性微粒子32を含むインク30を下面基板22に印刷した後、インク30を乾燥し、電極3A、3Bを作製する(工程C)。
その後、再度第一の微粒子31を含む接着性インク38を下面基板22に印刷する(工程D)。上面基板21を下面基板22の上に配置し(工程B)、接着性インク38を乾燥させ、上面基板21を電極3A、3Bの上に接着する。また、基板配置工程Bの後に電極乾燥工程Cを行う場合は、工程Aにてインク30を下面基板22に印刷した後(工程A)、続いて再度第一の微粒子31を含む接着性インク38を下面基板22に印刷する(工程D)。
上面基板21を下面基板22の上に配置し(工程B)、接着性インク38と電極インク30を同時に乾燥させ、上面基板21を電極3A、3Bの上に接着する。これら2つの方法のいずれでもデバイスを作製できることは、製造上の自由度が増す。例えば、電極インク30の乾燥条件が、上面基板21の耐熱温度より高い場合は、先に電極の乾燥工程Cを行った後に、接着インク38にて上面基板21と接着することができる。粒子6を電極を形成後(工程C)、後で乗せすることも可能であり、粒子6が電極インク30の乾燥条件に用いる温度に耐えない場合などは有効である。また、接着性インク38の高さは流路高さ53に等しいので、流路4を確実に密閉することができ、流路4内部に液体5を注入するためには望ましい。
さらに、電極対と接着剤の作成を印刷のみで行うことができる。設備を共通化することができ、製造上容易である。
接着層7A、7Bは、第一の微粒子31を含む接着性を有する接着性インク38の印刷で作製されるため、電極3A、3Bと同じ高さを持つ。接着層7A、7Bは、電極対3A、3Bと接する構成に限定されず、位置は任意である。接着性インク38の印刷方法もインク30の印刷方法と同様の技術を用いて作成される。
(第3実施形態)
本発明の第2実施形態に係る電極基板2の構造を図9に示す。本発明の第3実施形態に係る電極基板2の構造は、接着剤40が第一の微粒子31を含まないことを除いて、第2実施形態である、図5、6に最終的に等しくなる。接着層7A、7Bの作製方法のみが違う。図10は、第3実施形態に係る電極基板2を製造する方法を示すフローチャートである。
上面基板21を配置する工程Bの後に、流路4以外の上面基板21と下面基板22で挟まれた空間8A、8Bに接着剤40を流し込む工程Eを新たに設けた点が第1実施形態と異なる。以下では、上記の相違点について詳述する。
工程Eでは、空間8A、8Bが非常に小さいため、接着剤40を毛細管現象を利用することで空間8A、8Bを埋めるように自発的に流し込むことができる。高度な接着剤の位置決め処理が必要ない。さらに、確実に流路4を中空構造として封止ことができ、流路4内に注入された反応液5は漏れ出すことがない。しかも、特許文献1に開示されるような、熱や圧力を印加した上でのラミネート工法による接着方法ではないため、例えば、上面基板21が熱や圧力によって変形しやすい樹脂基板に用いても、流路4がたわむことなく、確実に流路4の深さ53を規定することができる。粒子6が熱等に弱い場合にも、粒子6を前に乗せても後から入れて置くこともできるため、製造上も有利である。
以下、本発明をより具体的に例示する。これらの実施例は、本発明を限定するものではない。
本実施例は、第1の実施形態にかかる実施例である。実施例1として、図2から図3に示す流路4を有する電極基板2を試作した。実施例1の電極基板2の流路4において、粒子5の挙動を観測する実験を行った。
(電極基板2の作製)
清浄に処理された150mm角、厚み0.25mmのポリエチレンテレフタレート(以下、PET)基板(東洋紡社製コスモシャイン4300)を用意した。印刷用インクは、藤倉化成社製導電ペーストを用いた。平均粒径7μmのシリカ微粒子と平均粒径2μmの銀微粒子を40%:60%に調整した銀ペーストを用いた。印刷スクリーンを使って、電極3A、3BをPET基板上に印刷した。電極幅は1mm、電極対の間隔は0.5mm、電極長さ30mmの一対の矩形電極が作製できた。
上面基板にも同様のPET基板を用いた。上面基板は、注入口と排出口として1mm角の貫通孔を形成させた。下面基板と上面基板を貼り合わせ、60度のオーブンに入れ、180分間置いて、電極の溶媒成分を乾燥させて、下面基板と上面基板を電極3A、3Bに貼りあわせて電極基板2を作製した。
(評価)
本実施例の電極基板2の流路4の深さをレーザ変位計(キーエンス社製)にて上方からレーザを照射し、反射した高さから測定した。流路の深さは7μmとなった。一方、電極3A、3Bの両端の表面抵抗をテスターにて測定した。抵抗値は10Ωとなり、導通している。よって、流路の深さを電極に混在させた7μmの微粒子で規定し、電極を作製できたことが確認された。
(電圧印加実験)
作製した電極基板2の電極対に電圧を印加する実験を行った。粒子6は、平均直径2μmのラテックスビーズ(バングス社)に、抗体を吸着させたものを用いた。緩衝液の組成は、50mM 塩化ナトリウム、20mMグリシン pH8.6、0.1% BSAである。粒子6を終濃度0.1%となるよう、バッファー溶液に希釈して調整した。注入口から粒子溶液を1μL投入し、電極対に100kHz、20Vp−pの矩形波電圧を波形発生器を使って印加した。観測は、オリンパス社製倒立顕微鏡を用いて、透過光観察した。粒子6は流路4内で誘電泳動を受け、流路4内で数珠つなぎ様に並んだ挙動(以下、パールチェーン)が観測された。特に、流路4の深さが7μmで規定されているので、粒子6は2層に重なることなく、また、観測している顕微鏡の焦点から外れることもなく、粒子の輪郭がはっきりと観測された。
電圧印加を30秒間続けた後、印加を停止し、1分間放置後の粒子挙動を再び観測した。その時の粒子6の凝集度を、以下の式により求めた。そして、3画面の平均をとって凝集度とし、反応性を測定した。
凝集度=(2個以上に凝集した粒子総数の面積)/(総粒子数の面積)×100(%)
(結果)
粒子6に結合させた抗体に対して特異的に結合する抗原を1×10^8Mの濃度で含む溶液に対しては、凝集度が68±3%となった。抗原を1×10^10の濃度で含む溶液に対しては、凝集度が31±4%となり、粒子6に結合させた抗体に対して特異的に結合する抗原の濃度に応じた応答を取得した。本発明は、免疫反応(抗原抗体反応)や遺伝子反応などの生物学的反応において生じる反応生成物を検出した。
本発明の電極基板及び電極基板の作製方法は、生体試料、特に血液等に含まれるタンパク質等の生体構成成分を分析するデバイスとして有用である。このため、血液試料中に含まれるタンパクや健康指標物質を分離、精製、反応、検出するPOCT(Point of care test その場診断)診断バイオセンサ等の用途にも応用できる。
本発明にかかる電極および製造方法とそれを用いた検出装置と検出方法は第一の微粒子により中空部の深さを規定し、第一の導電性微粒子より小さい第二の導電性微粒子が電極対内での導電を確保することで、デバイスの電極対の厚みがばらつくことなく、もって電極厚みで規定される空洞深さを高精度に、かつ安価に製造できる。さらに、空洞内での正確な粒子の認識を実現できるデバイスを実現することが可能となり、本発明は、微小な中空構造を持つ電極、および製造する方法に関する。特に、本発明は、免疫反応(抗原抗体反応)や遺伝子反応などの生物学的反応において生じる反応生成物を検出する検査用チップ及びその製造方法等として有用である。
本発明の第1実施形態に係る電極基板を示す、図2のA−A’線での部分断面図 本発明の第1実施形態に係る電極基板の部分上面図 本発明の第1実施形態に係る電極基板の作製方法の例を説明するためのフローチャート 工程Aを示す図 工程Bを示す図 本発明の第2実施形態に係る電極基板を示す、図7のI−I線での部分断面図 本発明の第2実施形態に係る電極基板の部分上面図 本発明の第2実施形態に係る電極基板の作製方法の例を説明するためのフローチャート 本発明の第3実施形態に係る電極基板を示す、図7のI−I線での部分断面図 本発明の第3実施形態に係る電極基板の作製方法の例を説明するためのフローチャート 実施例1における抗原と凝集度の関係を示す実験結果を示す図
符号の説明
1 測定装置
2 電極基板
3A,3B 電極
4 流路
5 液体、生体試料溶液
6 粒子
7A,7B 接着層
8A,8B 空間
9 端子
10 撮像手段
11 対物レンズ
12 電圧印加手段
13 解析装置
21 下面基板
22 上面基板
23 注入口
24 空気穴
30 インク
31 第一の微粒子
32 第二の微粒子
33 バインダー成分
34 溶媒成分
35 第3の接着性微粒子
36 第二の接着性バインダー成分
37 スクリーン
38 接着性インク
40 接着剤
51 第一の直径
52 第二の直径
53 流路深さ(厚み)
54A,54B 電極高さ(厚み)
55 流路幅
56A,56B 電極幅
57A,57B 接着層高さ(厚み)
58 接着層幅

Claims (12)

  1. 一対の基板群で挟まれた内部に
    導電性を有する少なくとも一対の電極群と、
    前記一対の電極群と前記基板群で挟まれた空洞である中空部とを
    有する電極を
    前記基板群で挟まれた距離である、前記中空部の深さを規定して作製する方法であって、
    前記基板の一方の上に、
    前記中空部の前記深さに等しい直径を有する第一の微粒子と、
    前記第一の微粒子より小さい直径を有する第二の導電性微粒子を含む
    インクを印刷する工程A、
    前記工程Aにて作製された前記電極の上に他方の前記基板を配置させる工程B、
    前記インクを乾燥させる工程C、
    を有する電極を製造する方法。
  2. 前記インクに含まれる前記第一の微粒子が導電性を備える請求項1に記載の電極を製造する方法。
  3. 前記インクに含まれる前記第一の微粒子と前記第二の導電性微粒子を合わせた含有割合が全体の9%から94%を占める、
    請求項1または2に記載の電極を製造する方法。
  4. 前記第一の微粒子の第一の直径D1が2〜15μmであり、
    かつ、前記第二の導電性微粒子の第二の直径D2が前記直径D1の17%以上53%以下である、請求項2に記載の電極を製造する方法。
  5. 前記第二の導電性微粒子と前記第一の微粒子の体積比が0.27%〜800%である、
    請求項4記載の電極を製造する方法。
  6. 前記基板郡が樹脂より選ばれる、請求項1から5に記載の電極を製造する方法。
  7. 前記工程Aの後に、前記第一の微粒子を含む接着性を有するインクを印刷する工程Dからなる、請求項1記載の電極を製造する方法。
  8. 前記工程Bの後に、前記中空部以外の前記基板で挟まれた空洞に接着剤を流し込む工程Eからなる、請求項1記載の電極を製造する方法。
  9. 一対の基板群で挟まれた内部に
    導電性を有する少なくとも一対の電極群と、
    前記一対の電極群と前記基板群で挟まれた空洞である中空部とを
    有する電極であって、
    前記電極群が、少なくとも2種以上の直径を持つ粒子を有し、かつ、少なくとも1種以上が導電性を有することを特徴とする電極。
  10. 少なくとも一方の基板の一部が透明性を有する、請求項9記載の電極。
  11. 電極を使った、被検出溶液中に含まれる、生体試料を検出する検出装置であって、
    一対の基板群で挟まれた内部に導電性を有する少なくとも一対の電極群と、
    前記一対の電極群と前記基板群で挟まれた空洞である中空部と
    中空部に配置され、被検出溶液中の生体試料と特異的に結合する担体を有し、
    前記電極群が、
    前記中空部の深さを規定する第一の高さと、
    前記電極の導電性を確保する第二の高さを
    有する電極と、
    前記電極郡につながり、電極間に交流電圧を印加する電圧印加手段と、
    前記中空部を観察・撮像する観察手段と、
    前記観察手段にて撮像された画像を解析する解析手段を備えた、
    検出装置。
  12. 請求項11に記載の検出装置を用いて、被検出溶液中に含まれる、生体試料を検出する検出方法であって、
    一対の基板群で挟まれた内部に導電性を有する少なくとも一対の電極群と、
    前記一対の電極群と前記基板群で挟まれた空洞である中空部と
    中空部に配置され、被検出溶液中の生体試料と特異的に結合する担体を有し、
    前記電極群が、
    前記中空部の深さを規定する第一の高さと、
    前記電極の導電性を確保する第二の高さを
    有する電極の前記中空部を、被検出溶液で満たす工程、
    前記電圧印加手段に交流電圧を印加する工程、
    前記電圧印加手段による前記交流電圧の印加を停止する工程、
    前記観察手段にて前記中空部の一部を撮像する工程、
    前記解析手段による撮像された画像を解析する工程からなる、
    検出方法。
JP2007144794A 2007-05-31 2007-05-31 電極および製造方法とそれを用いた検出装置と検出方法 Pending JP2008298575A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007144794A JP2008298575A (ja) 2007-05-31 2007-05-31 電極および製造方法とそれを用いた検出装置と検出方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007144794A JP2008298575A (ja) 2007-05-31 2007-05-31 電極および製造方法とそれを用いた検出装置と検出方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008298575A true JP2008298575A (ja) 2008-12-11

Family

ID=40172228

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007144794A Pending JP2008298575A (ja) 2007-05-31 2007-05-31 電極および製造方法とそれを用いた検出装置と検出方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008298575A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2013094033A1 (ja) * 2011-12-21 2015-04-27 三洋電機株式会社 太陽電池の製造方法
JP2016026297A (ja) * 2008-04-03 2016-02-12 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア 細胞、小胞、ナノ粒子およびバイオマーカーを分離および単離するためのエキソビボの多次元システム
US9499812B2 (en) 2012-04-16 2016-11-22 Biological Dynamics, Inc. Nucleic acid sample preparation
US9682385B2 (en) 2014-04-08 2017-06-20 Biological Dynamics, Inc. Devices for separation of biological materials
US10006083B2 (en) 2012-04-16 2018-06-26 Biological Dynamics, Inc. Nucleic acid sample preparation
US10232369B2 (en) 2016-03-24 2019-03-19 Biological Dynamics, Inc. Disposable fluidic cartridge and components
US10818379B2 (en) 2017-05-08 2020-10-27 Biological Dynamics, Inc. Methods and systems for analyte information processing
US11731132B2 (en) 2017-12-19 2023-08-22 Biological Dynamics, Inc. Methods and devices for detection of multiple analytes from a biological sample
US11883833B2 (en) 2018-04-02 2024-01-30 Biological Dynamics, Inc. Dielectric materials

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016026297A (ja) * 2008-04-03 2016-02-12 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア 細胞、小胞、ナノ粒子およびバイオマーカーを分離および単離するためのエキソビボの多次元システム
JPWO2013094033A1 (ja) * 2011-12-21 2015-04-27 三洋電機株式会社 太陽電池の製造方法
US9499812B2 (en) 2012-04-16 2016-11-22 Biological Dynamics, Inc. Nucleic acid sample preparation
US9827565B2 (en) 2012-04-16 2017-11-28 Biological Dynamics, Inc. Nucleic acid sample preparation
US10006083B2 (en) 2012-04-16 2018-06-26 Biological Dynamics, Inc. Nucleic acid sample preparation
US9682385B2 (en) 2014-04-08 2017-06-20 Biological Dynamics, Inc. Devices for separation of biological materials
US10232369B2 (en) 2016-03-24 2019-03-19 Biological Dynamics, Inc. Disposable fluidic cartridge and components
US11534756B2 (en) 2016-03-24 2022-12-27 Biological Dynamics, Inc. Compact device for detection of nanoscale analytes
US10818379B2 (en) 2017-05-08 2020-10-27 Biological Dynamics, Inc. Methods and systems for analyte information processing
US11731132B2 (en) 2017-12-19 2023-08-22 Biological Dynamics, Inc. Methods and devices for detection of multiple analytes from a biological sample
US11883833B2 (en) 2018-04-02 2024-01-30 Biological Dynamics, Inc. Dielectric materials

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008298575A (ja) 電極および製造方法とそれを用いた検出装置と検出方法
EP1429992B1 (en) Flexible structure with integrated sensor/actuator
Afsarimanesh et al. Interdigital sensors: Biomedical, environmental and industrial applications
JP6013519B2 (ja) 統合された電気化学的免疫測定に基づくマイクロ流体デバイス、及びその基板
US8920727B2 (en) Arrangement and method for electrochemically measuring biochemical reactions and method for producing the arrangement
Ghanim et al. Integrating amperometric detection with electrophoresis microchip devices for biochemical assays: recent developments
JP2018518655A5 (ja)
JP2008525798A (ja) マイクロ流体検定デバイス
JPWO2007094254A1 (ja) マイクロ流路チップ及びその製造方法
Zulfiqar et al. Fabrication of polyimide based microfluidic channels for biosensor devices
US20150233876A1 (en) Method for producing a chromatography-enrichment column
Bridonneau et al. Self-assembly of nanoparticles from evaporating sessile droplets: Fresh look into the role of particle/substrate interaction
CN1279184C (zh) 聚合酶链式反应微芯片的结构设计及制作方法
WO2016130753A1 (en) Piezoelectric biochips having fluidic channels
JP2007147602A (ja) 流体検査用チップ、および流体検査用チップの製造方法、並びに流体検査用光学システム、流体検査用電気システム、および検知方法
Do et al. Fluidic platform with embedded differential capacitively coupled contactless conductivity detector for micro-object sensing
JP5837808B2 (ja) 溶液成分分析キット及びその製造方法、溶液成分分析システム、並びに被検体液の濃度測定方法
CN208320830U (zh) 一种微流控芯片
JP2008157644A (ja) プラスチック製マイクロチップ、及びそれを利用したバイオチップ又はマイクロ分析チップ。
JPWO2006011558A1 (ja) マイクロ化学チップ
US11433393B2 (en) Microfluidic flow cell comprising an integrated electrode, and method for manufacturing same
Hao et al. Preparation of micro gold devices on poly (dimethylsiloxane) chips with region-selective electroless plating
JP2011043450A (ja) バイオアッセイ
TWI796673B (zh) 微流體裝置
JPWO2009031274A1 (ja) 測定チップ