JP2011043450A - バイオアッセイ - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも正確なバイオアッセイを提供する。
【解決手段】試料液中に含まれる測定対象物を測定するバイオアッセイは、前記試料液に、前記測定対象物と特異的に結合する生物学的特異的結合物質を担持している担体粒子含有試薬を混合して、試薬混合試料液を準備する第1工程と、一対の電極間領域の反応部に、前記試薬混合試料液を導入する第2工程と、前記一対の電極に交流電圧を印加し、前記試薬混合試料液中の前記担体粒子を集合させて生物学的特異結合反応を起こさせる第3工程と、前記交流電圧の印加を停止する第4工程と、前記反応部の画像情報から粒子密度を検出する第5工程と、前記反応部を複数の領域に分割し、前記複数の領域のそれぞれの前記粒子密度がしきい値以上である領域のみを解析領域として決定する第6工程と、前記解析領域における前記担体粒子の凝集度を検出する第7工程と、を含む。
【選択図】図4

Description

本発明は、バイオアッセイに関する。特に、粒状担体を誘電泳動力により制御することでバイオアッセイを実施する方法に関する。バイオアッセイは、特異結合反応に基づく原理であり、生化学反応、酵素反応、免疫反応等の特異結合反応に関する。
近年、分析・解析・検査技術に進歩により、様々な物質を測定することが可能となってきている。臨床検査分野においては、生化学反応、酵素反応、免疫反応等の特異結合反応に基づく測定原理の開発により、病態に反映する血液中の物質を測定できるようになった。特に、免疫反応である抗原抗体反応という特異結合反応を利用する測定方法は、測定するべき物質の抗体を作製することができるので、測定原理として幅広く適用できる。その抗原抗体反応を用いたひとつの方法として、抗原抗体反応によって生じた免疫凝集物を光学的に検出する方法がある。この方法では、まず、測定対象物質を含む液体試料に測定対象物質に特異的に結合することが可能な抗体を一定量加えて、凝集物を形成させる。次に、凝集物に光を照射すると、光は凝集物に当たって散乱する為に、液体試料を透過する光量が変化する。光量の変化は、透過光、反射光、散乱光のいずれかを測定することにより知ることができる。一般に透過光を測定する方法が免疫比濁法であり、散乱光を検出する方法が免疫比朧法として区別されているが、凝集物による光の散乱の影響を観察するという点では同じ検出原理であると言える。凝集物の量は、測定対象物質の濃度に比例して変化するので、透過光、反射光、散乱光のいずれかを測定すれば、測定対象物質の濃度を求めることが可能である。
この方法について感度をさらに向上させる方法がラテックス凝集法である。前述の方法において、抗体をラテックスに結合させておくと、測定対象物質と抗体が結合することによって、ラテックス粒子の凝集物が形成される。ラテックス粒子の凝集物は、抗原抗体反応性物質の凝集物よりもはるかに光の散乱が大きいので、より高感度な検出が可能である。
ラテックス凝集法をさらに高感度化させる方法が、特許文献1により開示されている。図15から図17を用いて、文献1に開示されている測定装置および測定方法について説明する。図13は、測定チップの断面図、図14は、反応測定装置のブロック図、図15および図16は測定チップの電極部分の拡大図である。スライドグラス22に、厚さ20μmの電極9A、Bが、電極間距離が0.5mmになるように挟み込まれている。ラテックス粒子23は、スライドグラス22および電極9A、9Bで囲まれた流路24に懸濁液として分散されている。電極9A、9Bに、交流電源発生装置26を用いて交流電圧を印加し、上記反応系に電場を印加することによって、ラテックス粒子23がパールチェーンと呼ばれる直線的に並ぶ現象を起こす。
その後、電場を停止すると直線的に並んでいたラテックス粒子23は再び分散する。パールチェーン化の際に抗原抗体反応性物質が存在すると、電場を停止後もラテックス粒子12の再分散が起こらず、パールチェーン化した粒子の存在がなおも認められる。したがって、電場を停止後も再分散しない、すなわち抗原抗体凝集反応に関与しているラテックス粒子23を、顕微鏡27、CCDカメラ28、画像処理ボード29、パーソナルコンピュータ30より成る画像処理装置により、ラテックス粒子12の凝集状態を測定して、抗原抗体反応性物質の存在を検出又は測定する。以上のように、電場の力を利用し、ラテックス粒子同士を迅速に接触させることで、高感度かつ迅速な測定を実現している。
特開平7−83928号公報
従来の方法において、ラテックス粒子を電場に沿ってパールチェーン化させることで免疫凝集反応を促進させることが実現できている。すなわち、粒子をパールチェーン化させることが重要な工程であり、同じ条件でパールチェーン化された粒子を画像解析しなければ正確なバイオアッセイは実現できない。しかしながら、従来の方法ではパールチェーン化の作用を受ける時間(以下、PC反応時間と呼ぶ)が微小空間の場所により異なり、正確なバイオアッセイができない可能性があった。
上記にも示すように、従来技術で使用されている測定チップは厚み20μm程度の微小な空間であるため、毛細管現象による流れが生じている。従って、時間の経過とともに点着部に存在する粒子は電極が存在している反応部へ導入されている。その結果、電圧印加前に反応部に存在していた粒子と点着口から反応部へ新たに導入された粒子ではPC反応時間が異なってしまう。つまり、点着口から新たに導入された粒子はPC反応時間が短くなる。これは、パールチェーン化によりそれぞれの粒子を接近させ、免疫凝集反応を起こさせる時間が短いことを示すものであり、免疫凝集反応時間を十分に確保できていない領域が存在することを意味する。このようにPC反応時間が異なる粒子を除外することなく、凝集度を算出していては正確なバイオアッセイが実現できない可能性があった。
上記課題に対し、前記測定チップの反応部の出口付近画像を取得することにより、PC反応時間が短くなる領域の粒子を排除することができ、上記問題を回避することができると思われる。しかし、免疫アッセイとして精度を確保する必要性からは、凝集度算出対象となる粒子数を可能な限り多くする必要があり、複数枚の画像取得が必要となる。このように複数枚の画像を必要とする場合、空気孔付近の画像だけでなく点着口付近の画像が必要となる。そうすると、測定チップの点着口付近の粒子の画像を取得する可能性があり、その結果、PC反応時間が異なる粒子を解析する可能性が高くなる。また、前記測定チップや試料液の成分によっては、毛細管現象による流れの速さも変動することもある。その速さが速くなれば、PC反応時間が異なる粒子の凝集度を解析する可能性はさらに高くなる。また、反応部の領域を大きくすることで本課題の影響を少なくすることは可能であるが、測定に必要な液体試料量が増加する。その結果、試薬が多く必要となり、高コスト化につながる。
本発明の目的は、従来よりも正確なバイオアッセイを提供することである。
本発明の試料液中に含まれる測定対象物を測定するバイオアッセイは、試料液に、前記測定対象物と特異的に結合する生物学的特異的結合物質(抗体)を担持している担体粒子(例えばラテックス)含有試薬を混合して、試薬混合試料液を準備する第1工程と、一対の電極間領域の反応部に、前記試薬混合試料液を導入する第2工程と、前記一対の電極に交流電圧を印加し、前記試薬混合試料液中の前記担体粒子を集合させて生物学的特異結合反応を起こさせる第3工程と、前記交流電圧の印加を停止する第4工程と、前記反応部の画像情報から粒子密度を検出する第5工程と、前記反応部を複数の領域に分割し、前記複数の領域のそれぞれの前記粒子密度がしきい値以上である領域のみを解析領域として決定する第6工程と、前記解析領域における前記担体粒子の凝集度を検出する第7工程と、を含む。前記反応部を複数の領域に分割し、前記複数の領域のそれぞれの前記粒子密度がしきい値以上である領域のみを解析領域として決定するので、パールチェーン化の作用を受ける時間が短くなる領域の粒子については凝集度解析から排除することができる。
本発明の試料液中に含まれる測定対象物を測定するバイオアッセイは、試料液に、前記測定対象物と特異的に結合する生物学的特異的結合物質を担持している担体粒子含有試薬を混合して、試薬混合試料液を準備する第1工程と、一対の電極間領域の反応部に、前記試薬混合試料液を導入する第2工程と、前記一対の電極に交流電圧を印加し、前記試薬混合試料液中の前記担体粒子を集合させて生物学的特異結合反応を起こさせる第3工程と、
前記交流電圧の印加を停止する第4工程と、前記反応部の画像情報から粒子密度を検出する第5工程と、前記反応部を複数の領域に分割し、前記複数の領域のうち前記粒子密度がしきい値未満である少なくとも1つの領域を検出し、前記少なくとも1つの領域よりも前記反応部の点着口に近い領域の全てを除外して、解析領域として決定する第6工程と、前記解析領域における前記担体粒子の凝集度を検出する第7工程と、を含む。前記反応部を複数の領域に分割し、前記複数の領域のうち前記粒子密度がしきい値未満である少なくとも1つの領域を検出し、前記少なくとも1つの領域よりも前記反応部の点着口に近い領域の全てを除外して、解析領域として決定するので、パールチェーン化の作用を受ける時間が短くなる領域の粒子については凝集度解析から排除することができる。
前記反応部の点着口付近に、不均一電場が生じるような電極が配置されることが好ましい。
本発明のバイオアッセイにより、パールチェーン化の作用を受ける時間が短くなる領域の粒子については凝集度解析から排除することができる。そのため、パールチェーン化の作用を受ける時間が同程度の粒子だけを対象とし凝集度解析を行うことができる。よって、正確なアッセイが実現できる。また、測定ごとに粒子の流れの速さが変わった場合でも、本発明のバイオアッセイを用いれば、パールチェーン化の作用を受ける時間が同程度の粒子だけを解析対象とすることができる。よって、流れのような変動要因の影響を受けることなく正確なアッセイができる。さらに、本発明のバイオアッセイを用いることで、反応部の領域を大きくすることなく正確なアッセイができることから、高価な試薬の使用量が少なくなり低コストに繋がる。
実施の形態1の測定システムのブロック図 実施の形態1の測定チップの平面図 実施の形態1の測定チップの断面図 実施の形態1に示した方法を説明するためのフローチャート (a)から(d)は点着口付近の反応部中の担体粒子挙動を示す図 反応部の平面図 実施の形態1の工程6のフローチャート 実施の形態2の工程6のフローチャート 実施の形態3の工程6のフローチャート 実施の形態4の測定チップの平面図 実施の形態4の測定チップの斜視図 (a)から(d)は点着口付近の反応部中の担体粒子挙動を示す図 実施例1の測定システム図 実施例1の撮影画像と規定領域を示したイメージ図 従来例の生物学的特異的反応チップの断面図 従来例の生物学的特異的反応物質の存在を検出又は測定するシステムのブロック図 従来例の電圧印加時の生物学的特異的反応チップ電極部分の拡大図 従来例の電圧停止時の生物学的特異的反応チップ電極部分の拡大図 各画像の規定領域の粒子個数の表を示す図 No8、9、10をのぞいた画像で平均凝集度を計算した結果の表を示す図 各画像の凝集度の表を示す図
(実施の形態1)
本発明で用いられる試料液とは、塩を所定の濃度で含む電解質溶液、あるいは、生体内試料である、血液・血漿・尿などである。試薬液とは、抗体などの生物学的特異的反応物質が担持された微粒子と生物学的反応が必要な物質を含んだ液体である。反応液とは、前記試料液と試薬液を混合した液体のことである。実施の形態1の生物学的特異的反応物質の測定方法について以下に説明する。
1.本発明の測定チップおよび装置
図1には、本発明の測定システムのブロック図が示される。分析装置は電圧を印加する電圧印加部1と、担体粒子群の凝集または分散割合を取得する検出部2と、電圧印加部1と検出部2を制御し、さらに検出部2から得られた結果を数値解析する解析制御部3を備えている。また、測定チップ4が挿入できるコネクタ6も備えている。図2は測定チップの平面図であり、図3は、図2のA−A’線での部分断面図である。測定チップは、上基板7と、下基板8と、中空形状であり、1対の対向電極9A、Bを含む反応部10と、試料を点着する点着口11と、反応部10の気体を前記試料の流入によって排出する空気孔12を有している。
検出部2は、測定チップの反応部10内に配置される担体粒子14の挙動、すなわち、担体粒子が2個以上で凝集しているかまたは凝集せずに単独で存在しているか検出できる。例えば、検出部2は画像撮像手段であってもよく、測定チップ4の上基板7または下基板8に透明性を付与すれば、検出部2によって反応部10内の様子を容易に撮像することができる。なお、撮像は動画であっても、静止画であってもよい。また、検出部2は測定チップの反応部10内を観察するために上下左右に移動できる。
制御解析部3は、分析装置による測定の制御とともに、検出部2で検出された結果を処理することができる。また、電圧印加部1や検出部2を動作の制御を行うことができる。
測定チップ4は中空の反応部10が形成されておればよく、例えば、凹部をもつ上基板7と、下基板8からなり、それらが挟まれてもよいし、または、上基板7と、下面基板8と、中間基板からなり、それらを重ねあわせてもよい。いずれにしても、測定チップ4の反応部10は、その頂面を上基板7、底面を下基板8としている。なお、反応部10では担体粒子を検出できれば、特に構造に制限されることはない。
上基板7と下基板8の材料は、絶縁材料で構成されている。絶縁材料の例としては、有機材料またはガラスなどの無機絶縁材料から選ばれる。有機材料の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエンスチレン共重合体、シリコン樹脂、ポリフェニレンオキサイド及びポリスルホンなどが含まれる。無機絶縁材料の例には、アルミナ、サファイア、フォルステライト、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素などが含まれる。ガラスは、アルカリガラス、アルカリソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどである。
測定チップ4の反応部10には、担体粒子14が提供される。反応部10では、担体粒子14をパールチェーン状に配列させるため、対向電極を含んでいる。なお、画像撮像手段のように光学的に担体粒子の挙動を検出する場合は、上基板7および下基板8の一部は透明性を有することが必要である。反応部10の深さは、直径数μmの大きさを持つ担体粒子14を反応部10に投入することができ、かつ、担体粒子14を検出できれば特に限定されるものではない。例えば、検出が画像撮像手段であれば、5μm以上10μm以下であることが望ましい。かかる深さは、担体粒子14を一層に配置させることができるためである。
反応部10の幅および長さは、電極9A、Bを内部に配置、すなわち、電極9A、Bと反応液が接触し、かつ、必要な量の反応液が注入できる溶液を持てば任意である。例えば、反応部10の幅は0.1mm以上10mm以下であり、好適には0.2mm以上1mm以下であり、代表的には0.7mmである。反応部10の長さは、約5mmである。反応部10の内部表面は、親水性であっても、疎水性であってもよい。また、いずれの表面の一部または全部を、親水性または疎水性にしてもよい。また、粒子の吸着を抑制する表面処理が施されていてもよい。点着口11の形状は、反応液を挿入でき、反応部10に担体粒子14を含む反応液を導入できれば特に制限されるものではない。空気孔12は反応部10の気体を試料の流入によって排出する場所に配置されておればよく、反応部10の気体を排出すれば、大きさは特に制限されることはない。
(測定チップの作製方法)
測定チップ4の作製方法は、特に限定されない。例えば、測定チップ4は、以下の工程で作製される。
(工程1)上基板7に反応部10の形状に応じた凹部と、必要に応じて反応液を注入するための点着口11および空気孔12等を形成する。工程1の、凹部、点着口11、空気孔12は当業者に公知の技術で形成される。一例を示すと、切削技術やレーザーによる除去技術、あるいはインプリント技術やフォトリソグラフィーなどが選択される。なお、反応部10は直方体に限定されることなく、例えば、円柱であってもよい。また、点着口11と空気孔12をつなぐ形状であればよい。
(工程2)下基板8に電極を形成する。電極の形成方法はスパッタや蒸着に代表される薄膜堆積技術、あるいは印刷技術など当業者に公知の技術を用いて作製される。好適に用いられるのはスパッタであり、これにより電極9A、9Bの膜厚を薄くでき、工程3で貼り合せる際の電極段差によるスキマが生じないため望ましい。一例を挙げると、電極9の膜厚は、1nm〜10μmから選ばれ、特にスパッタを用いる時は、50nm〜500nmであり、好適には100nmが製造時間の観点から好ましい。電極9A、9Bの幅は任意であり、通常0.5mm〜5mm程度である。さらに、電極9A、9Bは電圧印加部と連通するよう、配線や電気的接触を実現する端子を有する。電極9Aと9Bを配置する間隔は、5〜1000μmから選ばれる。間隔5μm以下では、直径が数μmである粒子が十分に数珠繋ぎ状に形成するための領域を確保できず、また、間隔1000μm以上では、有効な電界強度が得られない、あるいは、有効な電界強度を得るために、50V以上の大きな電圧印加が必要となるため、好ましくない。より望ましくは、100〜500μmであり、好適には上記の観点から500μmである。電極材料は、導電性を有する材料であり、かつ、溶液中での交流電圧の印加で溶解・剥離しない特性を有すれば任意であり、通常、金、銀、白金、銅、アルミ、クロム、ニッケル、タングステンやその合金から選ばれる。好適には、下基板8とスパッタ技術によって強固に成膜でき、交流電圧印加に対する膜の安定性から金である。なお、電極9ABが形成される面は、下基板に限定されることはなく、上基板であっても良い。また、電極形状は、対向電極であればよく、粒子がパールチェーン状態に配置されるように電場を形成できるのであれば特に制限されることはない。
(工程3)次に、上基板7と下基板8を貼り合せる。工程3の上基板7と下基板8の貼り合わせは公知の技術を用いればよい。これらの工程を経て、測定チップ4は作製されて使用される。測定チップ4の反応部10には担体粒子14が提供される。担体粒子14は、試料液が注入される前にあらかじめ反応部10に配置されていてもよいが、試料液とともに反応部10に供給されてもよい。本発明の担体粒子14の例には、ラテックス粒子、ベントナイト、カオリン、金コロイド、赤血球細胞、ゼラチン、リポソームなどが含まれるが、好ましくはラテックス粒子である。凝集反応において一般に用いられているラテックス粒子が使用でき、例えば、ポリスチレン系ラテックス、ポリビニルトルエン系ラテックス、ポリメタクリレート系ラテックスなどが使用できる。ラテックス粒子には、官能基モノマー(−COOH、−OH、−NH2、−SO3等)が共重合して導入されていてもよい。 担体粒子14の平均粒径は、例えばラテックス粒子の場合、0.5〜100μmが好ましい。担体粒子6の平均粒径は、例えばラテックス粒子の場合、さらに好ましくは1〜10μmである。担体粒子濃度が高いほどパールチェーンが形成されやすいので凝集反応が促進される。しかし、担体粒子の濃度が高すぎると、反応部10で粒子同士の重なりが起こり、正の誤差となる。この観点から担体粒子の濃度は、例えばラテックス粒子の場合、好ましくは0.01〜1重量%、より好ましくは0.1〜0.5重量%、最も好適には、0.4重量%である。粒子の平均粒径は、例えばラテックス粒子の場合、0.5〜10μmが好ましい。平均粒径がO.5μm以下では粒子に十分な誘電泳動力が働かず、パールチェーンが形成されにくく好ましくない。また、平均粒径が10μm以上であると電圧印加を切った後の粒子の分散が起こりにくく、好ましくない。粒子の平均粒径は、例えばラテックス粒子の場合、さらに好ましくは1〜5μm、最も好適には2〜3μmである。本発明の好ましい態様としては、被検査物質が抗原及び/又は抗体である該方法が挙げられる。更なる本発明の好ましい態様として、担体粒子が抗体を感作させたラテックス粒子であり、被検査物質が抗原である該方法が挙げられる。ラテックス粒子への抗体の感作は、例えば、従来周知の方法でラテックス粒子に抗体を吸着又は結合させることにより実施することができる。
(測定方法)
本発明の検出または測定方法を以下に概説する。図4に実施の形態1に示す測定方法のフローチャートを示す。図5に点着口11付近の反応部10中(図2のB領域)の担体粒子の挙動様子を示した。免疫反応は、抗体を吸着させた粒子の凝集度で抗体に特異的に結合する抗原の量を検出する原理に基づく。
まず、測定対象物質を含む試料液と担体粒子14を含む試薬液を混合する(工程1)。以下、この混合溶液を反応液と呼ぶ。次に、反応液が測定チップ4の点着口11に投入される(工程2)。工程2により、反応部10に反応液が充たされ、反応液は電極9A、9Bと接する。また、反応部10では担体粒子14は溶液中で所定の濃度で分散された状態となる(図5(a))。さらに、反応部10は微小な空間であるために、毛細管現象による流れが生じており、担体粒子14もとどまることなく移動している。なお、この状態を作り出すために、担体粒子14を予め分散した反応液を投入してもよいし、反応部10に予め担体粒子14を担持し、測定対象物質を含む試料液を添加してもよい。
次に、電圧印加部1によって、測定チップ4の電極9A、9Bに交流電圧波形を印加する(工程3)。この工程3により、担体粒子14は反応部10内で、電界の方向に沿って、数珠つなぎ様(パールチェーンと呼ぶ)に並ぶ。このとき、点着口11付近は図5(b)のような状態となる。白丸粒子14は工程2において反応部10に導入された担体粒子であり、黒丸粒子15は工程3中に反応部10に入った担体粒子である。白丸粒子14は電界の方向に沿ってパールチェーンが形成されている。一方で、図5(b)で示すとおり、点着口11周辺かつ電極近傍にある領域Cは、担体粒子が入らず、疎な領域になる。これは、電極近傍特に点着口に近い電極エッジ部(2隅)の電界強度が高く、負の誘電泳動力が粒子に加わり、粒子が反応部10内に進行できないためである。
工程3において、電圧印加部1によって印加される交流電圧波形は、方形波、矩形波、正弦波、三角波等を用いることができる。また、電界強度は、パールチェーン19を形成するため、5〜50V/mm程度を印加することが必要である。また、周波数は10kHz〜10MHzであればよい。電圧印加部1によって印加する時間は、大多数の担体粒子14がパールチェーン化状態になる時間でよいが、例えば、10〜180秒、好ましくは15〜90秒、より好ましくは60秒である。
次に、工程3で印加した電圧を停止する(工程4)。ここで、測定対象物質である抗原がない場合は、電圧印加前と同様に担体粒子は分散した状態となるが、抗原が存在した場合、パールチェーン状態の粒子同士が凝集した状態で維持される(図5(c))。次に、電圧停止後、一定時間後反応部10中の画像を取得する(工程5)。工程5において、画像の撮影場所は反応部10内であれば特に制限されることはないが、空気孔12に近い場所から撮影することが好ましい。図6に反応部10の平面図とともに画像取得の順番の1例を示した。反応部10は微小な空間であるため、毛細管現象により流れが生じており、点着口付近の粒子のPC反応時間が、空気孔付近の粒子とは異なる可能性がある。空気孔側から観察することにより、上記の問題を防ぐことが可能となる。なお、担体粒子の画像情報とともに画像の位置情報を取得してもよい。これにより、PC反応時間が等しい粒子が存在する範囲が特定できる。また、撮影する1つの画像範囲は担体粒子が認識できれば特に問題はなく、反応部10全体でもよいし、反応部10の1部を拡大した画像を取得してもよい。反応部10全体の画像を1度に取得できれば、測定時間が短くなるためより好ましい。一方で、拡大した画像を取得する場合、画像取得範囲として、0.1−1mm画の領域が好ましく、最適には0.5×0.5mmの領域である。拡大した画像を取得する場合は図6のように複数枚取得することが好ましい。撮影する枚数は多ければ多いほどよいが、解析に時間を要することとなる。例えば2枚以上50枚以下が望ましく、好適には5から10枚である。
また、撮影する時間は工程4の後、例えば、10秒以上180秒以下が望ましく、好適には60秒である。次に、工程5で撮影された画像中の粒子密度を検出し、凝集度を算出する解析領域を決定する(工程6)。解析領域とは、工程7で凝集度を算出するときに使用する領域であり、すべての画像が解析領域となるわけではなく工程6により選別される。
工程6は、工程5で撮影した画像からパールチェーン化の作用を受ける時間(PC反応時間)が短い粒子を含んだ画像を除くことが目的である。図7に工程6の詳細方法のフローチャート図を示した。まず、工程5により撮影した各画像の1画像あたり粒子数をカウントする(工程6−1A)。具体的には、取得した画像を2値化処理し、粒子群の抽出を行い、粒子群の面積を算出する。総粒子面積を予め規定した1個粒子の面積で割ることで1画像あたりの粒子数が算出できる。なお、一視野あたりの粒子数がわかればよく、上記方法に限定されるものではない。
次に、工程6−1Aで算出された粒子数と設定値とを比べ、解析に利用するか否かを判断する(工程6−1B)。工程4で述べたように、電圧を印加したときに反応部10の中央部の粒子はパールチェーン状態となる。一方で点着口11付近では一部の粒子は反応部10に進行できず、粒子密度は疎な状態となっている(図5(d))。各画像あたりの粒子数を比較することで、工程2のときに反応部10に導入されていた粒子か否かを検出することができ、PC反応時間の短い粒子を解析から除くことができる。設定値は、工程3以降に導入された粒子かどうかを判別できる値であればよく、例えば、電圧印加前の反応部10の1画像あたりの粒子数を予め計測し用いてもよいし、予め測定条件にあわせて設定しておいてもよい。そして、工程6−1Bにより設定値より粒子数が多いと判断された画像は工程7へ移る(工程6−1D)。一方で、粒子数をカウントした結果、設定値より低い場合は工程2のときに反応部10に導入されていない粒子とみなし、解析領域より除かれる(工程6−1C)。
最後に、工程6により判別された各画像での担体粒子14の凝集度を算出する(工程7)。凝集度は総粒子数に対する2個以上に凝集した粒子の総数で求めればよく、計算式は下記のとおりである。
凝集度=(2個以上に凝集した粒子数)/(総粒子数)×100 (%)
具体的には、画像を2値化処理し、粒子群の抽出を行う。次に、抽出された個々の粒子群の輪郭近傍領域の面積を求めることで、2個以上に凝集した粒子群は、担体粒子1個分と区別することができる。以上の処理により、粒子の凝集度を算出する。処理される画像は工程6で除かれたもの以外であれば、特に制限されることはない。
以上説明したように、本実施形態のように、反応部10を複数の領域17に分割し、複数の領域17のそれぞれの粒子密度がしきい値以上である領域のみを解析領域として決定し、解析領域における担体粒子の凝集度を検出するので、パールチェーン化の作用を受ける時間が短い粒子を解析することを抑制でき、従来よりも正確なアッセイが実現できる。
(実施の形態2)
実施の形態2の生物学的特異的反応物質の測定方法について以下に説明する。実施の形態1と測定システムは同じであるが、解析領域を決定する工程6の内容が異なる。
工程1から4は実施の形態1と同様であるため、省略するが、工程4以降について説明する。図8に実施の形態2の工程6のフローチャート図を示した。
まず、工程5で画像を取得し、同時に画像位置情報を取得する。画像位置情報とは、例えば、測定チップの出口側の端部に原点をとって、図6に示すようにX,Y軸をとった場合の座標である。
工程5で撮影した各画像の1画像あたり粒子数をカウントする(工程6−2A)。次に、工程6−2Aで算出された粒子数と設定値を比べる(工程6−2B)。工程3で電圧を印加したときに点着口11付近では一部の粒子は反応部10に進行できなく、粒子数は疎な状態となっている。そのため、各反応部の粒子数を比較することで工程3以降に導入された粒子か否かを確認できる。設定値とは、工程3以降に導入された粒子かどうかを判別できる値であればよく、例えば、電圧印加前の反応部10の1画像あたりの粒子数を予め計測し用いてもよいし、予め測定条件にあわせて設定しておいてもよい。
工程6−2Bで比較した結果、粒子数が設定値より少ない画像があった場合、その画像の位置情報を制御解析部2に記録する(工程6−2C)。この画像は粒子数が少ないために凝集度の解析には利用されない。工程6−2C画像位置情報より点着口側に存在する粒子はPC反応化時間が短いことを意味する。そのため、ここで記録した位置情報は、工程3以前に導入された粒子か否かを判別する指標に利用することができる。すなわち、粒子数が設定値より少ない画像より点着口側で撮影された画像は電圧印加中またはそれ以後に導入された粒子といえる。
一方で、粒子数が設定値より多いと判断された場合、工程6−2Cで得られた画像位置情報をもとに凝集度の解析に利用する画像を選択する。具体的には、工程6−2Cで得られた画像のY座標より小さいか否かで選別する(工程6−2D)。なお、この工程では工程6−2Cで得られた画像位置情報より空気孔側に存在していることを確認する方法であれば特に限定されることはない。
例えば、図6で示すような順番で画像を取得した場合について説明する。ここで、7番画像で粒子数が設定値より少なかったとする。その場合、粒子数が設定値より多くとも、8番から10番の画像の粒子は工程3の前に反応部10に入っていなかったことになり、これらの画像にある粒子のPC反応化時間は短く、解析より除外する必要がある。そこで、7番画像の位置情報が重要となる。例えば、図6に示した方向をX,Y軸とし、1番画像の撮影位置を原点とすれば7番画像よりY軸方向に大きな値の画像は工程3の前に粒子が反応部10に存在しなかったことになる。一方で、画像1〜6、11、12番はY値が7番より小さいことから、解析に利用される画像であり、工程7へ移される。なお、位置情報がわかればよく、画像取得位置だけでなく画像取得時間の情報により判断してもよい。
このように粒子数と画像位置情報を用いることで、PC反応時間が短い、もしくはPC化していない粒子を解析より除くことができる。特に電圧オフ時は粒子が一定の速度で反応部10に入ってくるため、粒子数だけの判別では電圧印加前に存在している粒子と電圧オフ後に導入された粒子との区別がつかない可能性がある。しかし、位置情報を合わせることで電圧オフ後に反応部に導入された粒子を解析から除くことができる。
以上説明したように本実施形態によると、反応部10を複数の領域17に分割し、複数の領域のうち粒子密度がしきい値未満である少なくとも1つの領域(例えば図6の領域7)を検出し、少なくとも1つの領域よりも反応部の点着口に近い領域の全て(図6の領域7、8,9,10)を除外して、解析領域を決定し、解析領域における担体粒子の凝集度を検出するので、パールチェーン化の作用を受ける時間が短い粒子を解析することを抑制でき、従来よりも正確なアッセイが実現できる。
(実施の形態3)
実施の形態3の生物学的特異的反応物質の測定方法について以下に説明する。実施の形態1と測定システムは同じだが、工程6の内容が異なる。電圧印加中は電極近傍、とくに電極エッジ部の電界強度が高く、負の誘電泳動力が粒子に加わり、点着口付近の粒子は反応部10内に進行できない。つまり、電極近傍の粒子密度が疎になる。実施の形態3の工程6では、撮影画像中の規定領域を設けその規定領域中の粒子数を比較することで、PC反応時間の短い粒子を凝集度の解析から除いている。
図9に実施の形態3の工程6のフローチャート図を示した。なお、他の工程は実施の形態1と同様である。まず、工程5で取得された1画像の中の規定領域を抽出する(工程6−3A)。規定領域の範囲は、粒子が疎か否かを判断できる範囲であればよいが、好ましくは10−500μm角である。好適には100×500μmである。なお、規定領域の形は正方形や長方形、丸型など特に制限されることはない。さらに、1画像中の規定領域の位置は電極に近い部分がより疎になるため、電極近傍部になるように設定することが好ましい。次に、規定領域の粒子数をカウントする(工程6−3B)。その後、カウントした値と設定値を比較し(工程6−3C)、工程7に利用すべき画像を判別する(6−2D)。なお、上記の方法に実施の形態2のように位置情報を追加し、工程7へ移す画像を判別してもよい。
以上のように、1画像中の規定領域部分の粒子数をカウントすることにより、より正確に電圧印加後に反応部に入ってきた粒子か否かを判別できる。その結果、パールチェーン化の作用を受ける時間が短い粒子を解析することがなくなり、正確なアッセイが実現できる。
(実施の形態4)
実施の形態4の生物学的特異的反応物質の測定方法について以下に説明する。実施の形態1と測定システムは同じだが、測定チップ構造が異なる。図10に測定チップの平面図、図11に測定チップの斜視図を示した。実施の形態1とおおよそ似ているが、電極の構造が異なり、ガイド電極18A,Bを有している。測定チップは、上基板7と、下基板8と、スペーサー19と、1対の対向電極9A、Bを含む反応部10と、試料を点着する点着口11と、反応部10の気体を前記試料の流入によって排出する空気孔12を有している。さらに、上基板7、下基板8にガイド電極18A、Bを有している。ガイド電極18A,Bはスペーサー19を介し、対向するように配置されている。
(測定チップの作製方法)
測定チップ4の作製方法は、(工程1)上基板の加工、(工程2)電極形成、(工程3)スペーサーの加工、(工程4)貼りあわせとなる。
(工程1)上基板7に、試料液を注入するための点着口11および空気孔12等を形成する。点着口11、空気孔12は当業者に公知の技術で形成される。
(工程2)電極形成方法は実施の形態1と同様の方法を用いて形成すればよい。下基板に対向電極9A,B、ガイド電極18Aと、上基板にガイド電極18Bを形成する。対向電極9A,Bの形状は実施の形態1と同様であればよい。ガイド電極18A,Bは反応部10内の点着口11に近接する位置に配置されればよく、対向電極9A,Bと接することなく配置されればよい。ガイド電極18A,Bの長さおよび幅は反応液と接する状態であれば任意であるが、例えば、長さは通常、0.01〜1mm程度である。好適には、0.05mmである。幅は通常、反応部の幅以上あればよく、例えば、0.1〜10mm以下である。好適には0.8mmである。さらに、ガイド電極18A,Bは電圧印加部と連通するように配線や電気的接触を実現する端子を有する。ガイド電極18A,Bの間隔はスペーサー19で規定されることなる。
(工程3)スペーサー19加工
スペーサー19は反応部10の大きさを決めることなる。反応部10の幅および長さは、電極9A、Bおよびガイド電極18A,Bを内部に配置、すなわち、電極9A、Bおよびガイド電極18A,Bと反応液が接触し、かつ、必要な量の反応液が注入できる溶液を持てば任意である。スペーサー19の両面が接着性あるいは粘着性を有する構造を持っていることが望ましい。これにより、スペーサー19と上基板7あるいは下基板8とを貼り合せる手間が少なくて済み、製造効率が良い。また、スペーサーの部材はガイド電極18A,Bが導通しないような絶縁体である必要がある。例えば、反応部10の幅は0.1mm以上10mm以下であり、好適には0.2mm以上1mm以下であり、代表的には0.7mmである。反応部10の長さは、約5mmである。加工方法は、当業者に公知の技術で形成される。
(工程4)上記工程1から4で作製された上基板7、下基板8、スペーサー19を貼り合わせれば、測定チップが作製されて使用される。貼りあわせは公知の技術を用いればよい。実施の形態4に使用する担体粒子14は実施の形態1と同様である。
(測定方法)
測定方法は実施の形態1とほぼ同様であるが、工程3の電圧印加工程が異なる。工程3において、対向電極9A,B、ガイド電極18A,Bに電圧を印加する。対向電極9A,Bには5〜50V/mm程度を印加することが必要である。また、周波数は10kHz〜10MHzであればよい。印加する時間は、大多数の担体粒子14がパールチェーン化状態になる時間でよいが、例えば、10〜180秒、好ましくは15〜90秒、より好ましくは60秒である。ガイド電極18A,Bにも対向電極9A,9Bと同様の電界強度となるように電圧を印加すればよく、周波数や印加時間も同じでよい。また、印加するタイミングも対向電極9A,Bと同様にすればよい。ガイド電極18A,Bに電圧が印加されたとき、点着口11から導入される担体粒子には負の誘電泳動力が働く。その結果、点着口11より反応部10へ担体粒子は入らなくなる。
図12に担体粒子の挙動の様子を示した。図12(a)は電圧印加前、(b)は電圧印加中、(c)は電圧オフ直後、(d)は電圧オフ後の粒子挙動の様子である。電圧印加したときは、反応部10に導入されていた担体粒子はパールチェーン化する。一方で、ガイド電極19A,Bにも同時に電圧が印加され、点着口11から導入される担体粒子には負の誘電泳動力が働き、粒子が導入されない、疎な領域Dができる。(図12(b))電圧オフ後、パールチェーン化された粒子が抗原濃度に依存して分散する。(図12(c))その後、点着口11より担体粒子が導入され、ある程度時間がたつと図12(d)のように点着口11から新たな担体粒子15が導入される。
その後の工程は、実施の形態1と同様である。ガイド電極19A,Bがあることにより、点着口付近の電界強度がより大きくなるので、粒子が導入されない領域が大きくなる。そのため、解析領域の規定が容易となる。上記のような方法により、パールチェーン化の作用を受ける時間が短い粒子を解析することがなくなり、その結果、正確なアッセイが実現できる。なお、ガイド電極間には平等電界が印加されているが、これが不平等電界であってもよい。
以下、本発明をより具体的に例示する。これらの実施例は、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
本実施例は、第1の実施形態にかかる実施例である。実施例1として、図2、3に示されるような凹部を設けた上基板7と、下基板8との2枚構造とした測定チップを用いた。測定は図4に示すフローチャート示す方法で行った。測定システムは図13に示した。
(測定チップの作製)
第一に、下基板8を作製する。下基板8の材質として、清浄に処理されたほうけい酸ガラス(SCHOTT社製 D−263)板厚1.1mmを用いた。電極9A,Bのパターンに貫通させたステンシルマスク(ステンレス製)を通してスパッタすることで、ガラスと金の密着性を向上させる目的で、クロム50Åを堆積し、続けて金950Åを堆積させた。そして、電極9A、9Bと端子5を作製した。電極幅は1mm、対向電極の間隔は0.5mm、電極長さ5mmの一対の矩形電極が作製できた。
次に、上基板7を作製する。上基板7は、ほう珪酸ガラス(SCHOTT社製 D−263)(板厚0.1mm)とした。フォトリソグラフィーとウェットエッチングにより凹部を作製した。反応部10の流路幅は0.75mm、長さは10mmとした。流路の深さは10μmとした。そして、上基板7と下基板8を、UV硬化性接着剤を用いて貼り合せて、測定チップを作製した。
(試薬調整)
本実施例では、抗原―抗体反応に代表される生物学的特異反応を検証した。被検査物質は各種炎症のマーカータンパクとされるC反応性タンパク(以下、CRPと記す。)を用いた。担体粒子は、平均直径2μmのラテックスビーズ(バングス社)に、抗CRPモノクローナル抗体(以下、抗CRP抗体と記す。)を感作させた。抗CRP抗体溶液に2μmのラテックスビーズを添加し、2時間攪拌後、感作したラテックスを遠心分離し、上清を除去した。その後、牛血清アルブミン溶液(BSA)を添加し、抗CRP抗体感作ラテックスを作製した。溶媒の組成は、150mM 塩化ナトリウム、20mMグリシン pH8.6、0.1% BSAとした。CRP溶液は、上述したバッファでそれぞれ1.5×10−9 (M)の濃度に調整した。
(計測方法)
担体粒子の挙動の観測は、オリンパス社製倒立顕微鏡を用いて、透過光観察した。この構成により、反応部の深さが10μmで規定されているので、担体粒子は2層に重なることなく、また、観測している顕微鏡の焦点から外れることもなく、担体粒子の輪郭がはっきりと観測される。担体粒子の凝集度は、以下の式により求めた。測定装置の撮像手段によって撮像された10画面の平均をとった。
凝集度=(2個以上に凝集した粒子総数の面積)/(総粒子数の面積)×100 (%)
(実験:抗原―抗体反応)
まずCRPを含む試料液と粒子を含む試薬液を90秒間室温で混合し、反応させた。なお、このとき粒子は0.4重量%となるようにした(工程1)。反応後の粒子を含む反応液を点着口11に1μL注入した(工程2)。次に、対向電極9A,Bに各交流電圧波形を電圧印加部1(波形発生器:HEWLETT PACKERD社 33120A)を使って20V,100kHzを60秒間印加した(工程3)。電圧は、必要に応じて、波形発生器の次段に電力増幅アンプ(NF ELECTRONIC INSTRUMENT社 4055 High Speed Power Amplifier)などを接続して増幅する。この工程により、反応部10内の担体粒子14は電場の力を受け、パールチェーン化する。次に、電圧印加を停止し(工程4)、停止から60秒経過した時の画像を10枚取得した(工程5)。担体粒子の挙動の観測は、オリンパス社製倒立顕微鏡を用いて、透過光観察した。この構成により、反応部の深さが10μmで規定されているので、担体粒子は2層に重なることなく、また、観測している顕微鏡の焦点から外れることもなく、担体粒子の輪郭がはっきりと観測される。画像の撮影位置は図6のように空気孔12側から点着口11の方向へ反応部10を撮影した。1画像の撮影範囲は、500μm×500μmとした。
次に、工程5で取得した画像の左端から100μmの範囲を規定し、粒子をカウントした(工程6)。このカウント数が他画像と比較して少ない場合は工程3時に反応部10へ粒子が導入されていないことがわかる。最後に、以下の式を用いて各画像の凝集度を求めた。
凝集度=2個以上の粒子面積 /総粒子面積 ×100 (%)
その後、各画像の凝集度を平均し、1測定の凝集度とした。
(工程5の結果)
各画像の規定領域(100μm×500μm)の粒子個数を図19の表に示した。
No8、9以外画像の粒子数はおおよそ90個である。しかし、No.8は30個と大きくことなることがわかる。これは、電圧を印加したときに粒子が反応部10に進行できなかったためであり、その結果、電極近傍部は粒子密度が疎な状態となっている。また、No9、10は90個程度存在しているがこれはNo6よりも点着口11側の粒子である。すなわち、工程3で電圧を印加したときに、反応部11に存在していなかったことがわかる。
以上より、No8、9、10の画像は工程7の解析より除外することとした。No8、9、10をのぞいた画像で平均凝集度を計算した結果を図20の表に示す。比較として、全画像での凝集度を計算した結果を併せて示している。また、図21の表に各画像の凝集度を示した。抗原であるCRPが存在しない場合、実施例と比較例の結果は異ならないことがわかる。これは、抗原がないため、パールチェーン化を受ける時間が異なっても粒子の凝集または分散に影響を与えないためである。一方で、抗原存在下では、パールチェーン化された粒子は維持された状態となる。その結果、電圧を印加したときに粒子が反応部10に存在していなかったNo9の画像の凝集度は他と比べて大きく低下していることがわかる。その結果、比較例は実施例に比べて平均凝集度は4%も低下している。以上のことから、本発明により、パールチェーン化の作用を受ける時間が短い粒子を除くことができ、正確なバイオアッセイが提供できる。
以上のように本発明は、正確なバイオアッセイが提供できるので、臨床検査分野で有用である。
1 電圧印加部
2 検出部
3 解析制御部
4 測定チップ
5 端子
6 コネクタ
7 上基板
8 下基板
9A,B 電極
10 反応部
11 点着口
12 空気孔
13 担体粒子
14 担体粒子
15 担体粒子
16 液滴
17 1枚の取得画像
18A ガイド電極
18B ガイド電極
19 スペーサー
20 撮影部
21 規定領域
22 スライドガラス
23 ラテックス粒子
24 流路
25 パールチェーン
26 交流電源発生装置
27 顕微鏡
28 CCDカメラ
29 画像処理ボード
30 パーソナルコンピュータ
31 オシロスコープ

Claims (4)

  1. 試料液中に含まれる測定対象物を測定するバイオアッセイであって、
    前記試料液に、前記測定対象物と特異的に結合する生物学的特異的結合物質を担持している担体粒子含有試薬を混合して、試薬混合試料液を準備する第1工程と、
    一対の電極間領域の反応部に、前記試薬混合試料液を導入する第2工程と、
    前記一対の電極に交流電圧を印加し、前記試薬混合試料液中の前記担体粒子を集合させて生物学的特異結合反応を起こさせる第3工程と、
    前記交流電圧の印加を停止する第4工程と、
    前記反応部の画像情報から粒子密度を検出する第5工程と、
    前記反応部を複数の領域に分割し、前記複数の領域のそれぞれの前記粒子密度がしきい値以上である領域のみを解析領域として決定する第6工程と、
    前記解析領域における前記担体粒子の凝集度を検出する第7工程と、
    を含む、バイオアッセイ。
  2. 試料液中に含まれる測定対象物を測定するバイオアッセイであって、
    前記試料液に、前記測定対象物と特異的に結合する生物学的特異的結合物質を担持している担体粒子含有試薬を混合して、試薬混合試料液を準備する第1工程と、
    一対の電極間領域の反応部に、前記試薬混合試料液を導入する第2工程と、
    前記一対の電極に交流電圧を印加し、前記試薬混合試料液中の前記担体粒子を集合させて生物学的特異結合反応を起こさせる第3工程と、
    前記交流電圧の印加を停止する第4工程と、
    前記反応部の画像情報から粒子密度を検出する第5工程と、
    前記反応部を複数の領域に分割し、前記複数の領域のうち前記粒子密度がしきい値未満である少なくとも1つの領域を検出し、前記少なくとも1つの領域よりも前記反応部の点着口に近い領域の全てを除外して、解析領域として決定する第6工程と、
    前記解析領域における前記担体粒子の凝集度を検出する第7工程と、
    を含む、バイオアッセイ。
  3. 前記反応部の点着口付近に、不均一電場が生じるような電極が配置される、請求項1または2に記載のバイオアッセイ。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のバイオアッセイに用いる測定装置。
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