JP2010032327A - 被検出物質検出方法および被検出物質検出装置ならびに深さ位置計測方法および深さ位置計測装置 - Google Patents

被検出物質検出方法および被検出物質検出装置ならびに深さ位置計測方法および深さ位置計測装置 Download PDF

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Abstract

【課題】被検出物質をパルスイムノアッセイ法で検出する方法であって、画像上の真の凝集物と偽の凝集物とを区別して凝集率を正確に算出することができる検出方法を提供すること。
【解決手段】交流電圧の印加を停止した後、反応場を透過光観察して、粒子の中心部の明度が高く、周縁部の明度が低い画像を撮像する。粒子の周縁領域の明度と中心領域の明度との間、および前記粒子の周縁領域の明度と前記粒子の周辺領域の明度との間に閾値を設定して、透過光画像を二値化する。二値化画像から得られる粒子の特徴量を指標として、各粒子が隣接する他の粒子と会合しているかどうかを判別し、粒子の凝集率を算出する。
【選択図】図7

Description

本発明は、被検出物質の検出方法および被検出物質の検出装置、ならびに粒子の深さ位置の計測方法および粒子の深さ位置の計測装置に関する。
近年、様々な診断チップが開発されている。これらの診断チップのほとんどは、マイクロタス(μ−TAS:Micro Total Analysis System)と呼ばれる微小流路構造を有するカード型のデバイスである。流路を微細化することで、生体から採取するサンプルの必要量を微量にすることができるとともに、診断チップを含む装置全体を小型化することができる。さらに、診断チップを含む装置全体を小型化することで、診療所や家庭などで診断を行うPOCT(Point Of Care Testing:その場診断)を実現することが可能となる。
医療分野や生化学分野においては、抗原抗体反応による粒子の凝集を検出して抗原や抗体の有無を検査し、病気の診断や解析が行われている(例えば、特許文献1〜3を参照)。例えば、特許文献1に開示されているパルスイムノアッセイ法では、試料溶液と、抗体などを固定化された修飾粒子とを含む反応系に交流電圧を印加して、複数の粒子を電界方向に数珠繋ぎに並べさせる(パールチェーン化)。次いで、交流電圧の印加を停止して粒子を再度分散させた後に、粒子の凝集率を測定し、抗原抗体反応を定量する。この測定で印加される交流電圧は、正・負の振幅値が周期的かつ連続的に変化することを特徴とする。交流電圧を印加することで、従来までの直流パルス電圧を印加する場合に比べて、塩の存在下でも電気分解を生じさせることなく粒子をパールチェーン化させることができる。凝集率は、例えば粒子の総数に対する凝集粒子の数の比率として算出される。
凝集率は、画像処理装置を用いて自動的に算出されうる。以下、図21を参照してその手順を示す。まず、交流電圧の印加を停止した後に、試料溶液および粒子を含む反応場の画像10が撮像装置により撮像される(図21(A)参照)。次いで、画像処理により、反応場の画像10から粒子群(1または2以上の粒子から構成される粒子の集まり)14が抽出される。通常は、画像の背景が白色、粒子群14が黒色(またはその逆)となるように画像を二値化することにより、粒子群14の抽出が行われる(図21(B)参照)。抽出された粒子群14のそれぞれは、その面積(例えば、ピクセル数)に基づいて複数の粒子が凝集したものかどうかを判別される。例えば、図21(B)に示される二値化画像12において、粒子群14aの面積は粒子1個分の面積より大きいため、粒子群14aは複数の粒子が凝集したものと判別される。一方、粒子群14bの面積は粒子1個分の面積とほぼ同じため、粒子群14bは1つの粒子であると判別される。最後に、1つの粒子として分散している粒子の数と凝集している粒子の数から凝集率が算出される。代表値としての凝集率は、5画面の凝集率の平均値をとって算出される。
特開平7−83928号公報 特開2003−75441号公報 特開昭59−173761号公報
しかしながら、上記従来の方法には、凝集率を正確に算出することができないという問題があった。
例えば、反応場内の粒子数が多い場合、撮像装置が撮像した画像上で複数の粒子が重なることがある。従来の方法では、複数の粒子が実際に凝集している「真の凝集物」と、複数の粒子が画像上で重なっているだけの「偽の凝集物」とを区別することができないため、真の凝集物だけでなく偽の凝集物も含めた凝集率を算出していた。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、画像上の真の凝集物と偽の凝集物とを区別して凝集率を正確に算出することができる被検出物質の検出方法および被検出物質の検出装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、液体中に存在する粒子の深さ位置の計測方法および粒子の深さ位置の計測装置を提供することを目的とする。
本発明者は、二値化画像から得られる粒子の特徴量を指標とすることで、各粒子が他の粒子と会合しているかどうかを判別できること、および各粒子の深さ位置を計測できることを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第一は、以下の被検出物質の検出方法に関する。
[1]被検出物質をパルスイムノアッセイ法で検出する方法であって、被検出物質に特異的に結合する認識物質をその表面に固定化されている修飾粒子を準備するステップと、試料と前記粒子とを含む混合液を調製するステップと、前記混合液に交流電圧を印加して前記粒子をパールチェーン化させるステップと、前記交流電圧の印加を停止した後に前記粒子を含む反応場の透過光画像を取得するステップと、前記粒子の周縁領域の明度と前記粒子の中心領域の明度との間、および前記粒子の周縁領域の明度と前記粒子の周辺領域の明度との間に閾値を設定して、前記透過光画像を二値化するステップと、前記透過光画像に表示された各粒子について、二値化画像から得られる当該粒子の特徴量を指標として隣接する他の粒子と会合しているか否かを判別するステップと、他の粒子と会合している粒子の数または面積と、他の粒子と会合していない粒子の数または面積とから、前記反応場における前記粒子の凝集率を算出するステップと、を含む、被検出物質の検出方法。
[2]前記粒子の特徴量は、前記粒子の二値化画像における中心領域の面積である、[1]に記載の検出方法。
[3]前記粒子の二値化画像における中心領域の面積に対する前記他の粒子の二値化画像における中心領域の面積比が0.68〜1.5の範囲内であるときに、前記粒子が前記他の粒子と会合していると判別する、[2]に記載の検出方法。
[4]前記粒子の特徴量は、前記粒子の二値化画像における中心領域と前記他の粒子の二値化画像における中心領域との中心間距離である、[1]に記載の検出方法。
[5]前記中心間距離が前記粒子の平均直径の0.57〜0.75倍の範囲内であるときに、前記粒子が前記他の粒子と会合していると判別する、[4]に記載の検出方法。
[6]前記反応場の透過光画像を異なる時に2枚以上取得し、前記透過光画像のそれぞれについて算出された前記粒子の凝集率のうち、最小値の凝集率を前記反応場における前記粒子の凝集率とする、[1]〜[5]のいずれかに記載の検出方法。
[7]前記反応場の透過光画像の取得枚数は2枚以上4枚以下である、[6]に記載の検出方法。
また、本発明の第二は、以下の粒子の深さ位置の計測方法に関する。
[8]容器に収容された液体中に存在する粒子の深さ位置を計測する方法であって、粒子を含む液体の透過光画像を取得するステップと、前記粒子の周縁領域の明度と前記粒子の中心領域の明度との間、および前記粒子の周縁領域の明度と前記粒子の周辺領域の明度との間に閾値を設定して、前記透過光画像を二値化するステップと、前記透過光画像に表示された各粒子について、二値化画像から得られる当該粒子の特徴量を指標として深さ位置を算出するステップと、を含む、深さ位置の計測方法。
[9]前記粒子の特徴量は、前記粒子の二値化画像における中心領域の面積である、[8]に記載の深さ位置の計測方法。
また、本発明の第三は、以下の被検出物質の検出装置に関する。
[10]被検出物質をパルスイムノアッセイ法で検出する装置であって、別個に用意されたデバイスの反応場に交流電圧を印加する電圧印加部と、前記反応場に光を照射する光源と、前記反応場の透過光画像を撮像する撮像部と、前記透過光画像から得られる情報に基づいて前記反応場における粒子の凝集率を算出する制御解析部と、を有し、前記制御解析部は、前記粒子の周縁領域の明度と前記粒子の中心領域の明度との間、および前記粒子の周縁領域の明度と前記粒子の周辺領域の明度との間に閾値を設定して、前記透過光画像を二値化し、前記透過光画像に表示された各粒子について、二値化画像から得られる当該粒子の特徴量を指標として隣接する他の粒子と会合しているか否かを判別し、他の粒子と会合している前記粒子の数または面積と、他の粒子と会合していない前記粒子の数または面積とから、前記反応場における前記粒子の凝集率を算出する、被検出物質の検出装置。
また、本発明の第四は、以下の粒子の深さ位置の計測装置に関する。
[11]液体中に存在する粒子の深さ位置を計測する装置であって、別個に用意されたデバイスの液体が満たされた空間に光を照射する光源と、粒子を含む前記液体の透過光画像を撮像する撮像部と、前記透過光画像から得られる情報に基づいて前記液体中に存在する前記粒子の深さ位置を算出する制御解析部と、を有し、前記制御解析部は、前記粒子の周縁領域の明度と前記粒子の中心領域の明度との間、および前記粒子の周縁領域の明度と前記粒子の周辺領域の明度との間に閾値を設定して、前記透過光画像を二値化し、前記透過光画像に表示された各粒子について、二値化画像から得られる当該粒子の特徴量を指標として深さ位置を算出する、深さ位置の計測装置。
本発明の被検出物質の検出方法および被検出物質の検出装置によれば、画像上の真の凝集物と偽の凝集物とを区別して凝集率をより正確に算出することができるため、被検出物質をより高精度に検出することができる。
また、本発明の粒子の深さ位置の計測方法および粒子の深さ位置の計測装置によれば、液体中に存在する粒子の深さ位置を計測することができる。
1.本発明の検出方法
本発明の検出方法は、被検出物質をパルスイムノアッセイ法で検出する方法であって、
1)被検出物質に特異的に結合する認識物質をその表面に固定化されている修飾粒子を準備する第1のステップと、2)試料と第1のステップで準備した粒子とを含む混合液を調製する第2のステップと、3)第2のステップで調製した混合液に交流電圧を印加して粒子をパールチェーン化させる第3のステップと、4)交流電圧の印加を停止した後に反応場の透過光画像を取得する第4のステップと、5)第4のステップで撮像した透過光画像を二値化する第5のステップと、6)第5のステップで作成した二値化画像から得られる粒子の特徴量を指標として、各粒子が隣接する他の粒子と会合しているかどうかを判別する第6のステップと、7)粒子の凝集率を算出する第7のステップとを含む。
本発明の検出方法は、二値化画像から得られる粒子の特徴量を指標として各粒子が隣接する他の粒子と会合しているかどうかを判別すること(第6のステップ)を主たる特徴とする。本明細書において「検出」とは、特定の物質の有無を調べる意味だけでなく、特定の物質の濃度や量を測定する意味も含む。
[第1のステップ]
第1のステップでは、被検出物質に特異的に結合する認識物質をその表面に固定化されている修飾粒子を準備する。
認識物質を固定化される担体粒子の例には、ラテックス粒子、シリカ粒子、石英粒子、メラミン粒子などが含まれる。この中ではラテックス粒子が好ましい。ラテックス粒子の例には、ポリスチレン系ラテックス粒子、ポリビニルトルエン系ラテックス粒子、ポリメタクリレート系ラテックス粒子などが含まれる。ラテックス粒子には、官能基モノマー(−COOH,−OH,−NHなど)が共重合して導入されていてもよい。
担体粒子の色は無色(無着色)であることが好ましい。第4のステップにおいて透過光画像を撮像するために必要な光量を低減させることができるからである。また、担体粒子の表面粗さは小さく、ヘイズ値は高いことが好ましい。担体粒子の中心部を通過する光線が散乱しにくくなり、第4のステップにおいて粒子の中心領域の明度が高い透過光画像(図6(A)参照)を撮像することができるからである。
担体粒子の直径(平均粒径)は、光学顕微鏡で識別可能な0.5μm以上、かつブラウン運動による分散が容易に生じうる100μm以下が好ましい。担体粒子の直径が100μmを超えると、第4のステップにおいて、凝集していない修飾粒子が混合液中に分散しにくくなる。例えば、担体粒子がラテックス粒子の場合、担体粒子の直径(平均粒径)は1〜10μmの範囲内が好ましい。担体粒子の直径(平均粒径)は、光学顕微鏡を用いて観察したり、コールターカウンターを用いて電気抵抗を測定したり、光散乱法で散乱光変化量を測定したりすることで測定することができる。
担体粒子に固定化される認識物質は、被検出物質に特異的に結合しうる物質であれば特に限定されない。認識物質の例には、抗体や核酸、酵素などが含まれる。これらの認識物質を担体粒子に固定化する方法は特に限定されず、当業者に公知の方法から適宜選択すればよい。例えば、抗体をラテックス粒子に固定化する場合、疎水性相互作用を利用した物理吸着や、アミノ基やカルボキシル基などを利用した化学修飾などを用いることができる。
修飾粒子は、使用する際に調製してもよいし、事前に調製されたものを使用してもよいし、市販品を購入してもよい。
[第2のステップ]
第2のステップでは、試料と第1のステップで準備した修飾粒子とを含む混合液を調製する。
試料は、特に限定されず、検出対象や検出目的などに応じて適宜選択すればよい。試料の例には、血液、血漿、血清、それらの希釈物、電解質溶液などが含まれる。
混合液の調製方法は、特に限定されず、当業者に公知の方法から適宜選択すればよい。例えば、第1のステップで修飾粒子を懸濁液として準備した場合は、試料にその懸濁液を適量加えて攪拌し、さらに必要に応じてpHを調整すればよい。また、第1のステップで修飾粒子を固形物(例えば、上記懸濁液の凍結乾燥物や風乾乾燥物など)として準備した場合は、その固形物に液体試料を適量加えて、必要に応じて攪拌し、さらに必要に応じてpHを調整すればよい。
混合液は、所定の濃度の塩を含んでいてもよい。混合液が適量の塩を含んでいると、抗原抗体反応などの生物学的反応が安定化する。一方、混合液が過剰の塩を含んでいると、混合液の導電率が上昇してしまう。混合液の導電率は、0.1〜35mS/cmの範囲内が好ましい。修飾粒子を含む電解質溶液を混合液とする場合、電解質溶液の塩濃度は200mM以下が好ましい。血漿は生理食塩水と同程度の塩を含み(濃度換算で120mM)、その導電率は約15mS/cmである。したがって、本発明の検出方法では、血漿を試料としてそのまま使用することができる。
混合液に含まれる修飾粒子の濃度が高いほど、後述する第3のステップにおいてパールチェーンが形成されやすくなり、凝集反応が促進されやすくなる。例えば、担体粒子がラテックス粒子の場合、混合液中における修飾粒子の濃度は0.01〜1重量%の範囲内が好ましく、0.1〜0.5重量%の範囲内が特に好ましい。
[第3のステップ]
第3のステップでは、第2のステップで調製した混合液を反応場に配置し、反応場に交流電圧を印加して修飾粒子をパールチェーン化させる。
混合液に外部電場を印加すると、担体粒子内で双極子が誘起され、この双極子の相互作用により分散していた修飾粒子が泳動して電界方向に一列に並ぶ(パールチェーン化)。このとき、混合液内に被検出物質が存在すれば、修飾粒子は被検出物質を介して他の修飾粒子に会合するため、複数の修飾粒子が凝集する。
混合液に交流電圧を印加する方法は、従来のパルスイムノアッセイ法と同じ方法でよい。後述する本発明の検出装置を用いて混合液に交流電圧を印加することができる。後述する本発明の検出装置では、デバイスの流路が反応場に相当する。
混合液に印加する交流電圧の波形は、矩形波、正弦波、余弦波、三角波などであればよいが、矩形波が好ましい。交流電圧の周波数は、1kHz〜10MHzの範囲内が好ましく、100kHz程度が特に好ましい。
交流電流の実効値は、0mA〜96mAの範囲内が好ましい。交流電流の実効値が0.7mA未満であれば、熱が発生しないので特に好ましい。混合液に印加する交流電圧の電界強度は、20〜100V(波高値間電圧)/mmの範囲内が好ましい。電界強度が20V/mmよりも小さいと、パールチェーン化が生じにくくなり、凝集反応を十分に促進することができない。一方、電界強度が100V/mmより大きいと、混合液の電気分解が生じやすくなり、検出感度が低下してしまう。
交流電圧を印加する時間は、修飾粒子の泳動状況や印加電圧などに応じて任意に設定することができる。通常、導電率の高い溶液や生体試料(例えば、血漿)などでは、誘電泳動力が比較的弱い。交流電圧を印加する時間は、2〜180秒の範囲内が好ましく、60秒程度が特に好ましい。
[第4のステップ]
第4のステップでは、交流電圧の印加を停止した後に反応場の画像を取得する。
交流電圧の印加を停止すると、被検出物質を介して会合した修飾粒子は凝集した状態が維持されるが、会合していない修飾粒子はブラウン運動により混合液中に再分散する。第4のステップでは、会合していない修飾粒子が混合液中に再分散した後に、反応場の画像を取得する。このとき、反応場の透過光画像を撮像して、修飾粒子の中心領域(中央近傍の領域)の明度が周縁領域(輪郭近傍の領域)の明度よりも高い画像を取得する(図6(A)参照)。
交流電圧の印加を停止してから撮像するまでの時間は、修飾粒子の分散状況に応じて任意に設定することができる。通常、比重が大きい粒子や直径が大きい粒子などでは、分散が遅い。交流電圧の印加を停止してから撮像するまでの時間は、10〜180秒の範囲内が好ましく、60秒程度が特に好ましい。
撮像手段は特に限定されない。例えば、光学顕微鏡に接続したカメラ(CCDカメラなど)で反応場の透過光画像を撮像すればよい。後述する本発明の検出装置を用いても、反応場の透過光画像を撮像することができる。
[第5のステップ]
第5のステップでは、第4のステップで撮像した透過光画像を二値化する。
二値化の閾値は、透過光画像に表示された修飾粒子の周縁領域(輪郭線近傍の領域)の明度と中心領域(中央近傍の領域)の明度との間、および修飾粒子の周縁領域の明度と周辺領域(透過光画像の背景)の明度との間になるように設定する。このように閾値を設定することで、各粒子の周縁領域と中心領域(および背景)とを分けることができる(図6(B)参照)。
閾値は、透過光画像の明度の範囲内で設定される。例えば、透過光画像が8ビットのグレースケールの場合は、0〜255の範囲内の数値が閾値として選択される。透過光画像1枚あたりに設定される閾値の数は、1つが好ましいが、任意に選択することができる。
閾値の決定方法は、特に限定されず、当業者に公知の方法から適宜選択することができる。例えば、ある値の集合を2つのクラスに分類するときに適切な閾値を決定する方法として、大津の方法が知られている。この方法では、2つのクラスについてのクラス内分散およびクラス間分散を算出し、これらの比が最小になるような(すなわち、クラス内分散はできるだけ小さく、クラス間分散はできるだけ大きくなるような)閾値を求める(大津展之, "判別及び最小2乗基準に基づく自動しきい値選択法", 電子情報通信学会論文誌, 1980, Vol.J63-D, No.4, pp.349-356.;Otsu N., "A threshold selection method from gray level histograms", IEEE Trans. Systems, Man and Cybernetics, 1979, Vol.9, pp.62-66.)。
また、例えば、当業者にエッジ検出法として知られる方法を用いて、透過光画像の明度の変化量に基づいて適切な閾値を決定してもよい。この方法は、修飾粒子の周縁領域の明度と中心領域の明度との間、および修飾粒子の周縁領域の明度と周辺領域の明度との間で大きく明度が変化する場合に適する。
二値化処理は、粒子の周縁領域と中心領域および背景とを区別することができれば、粒子の周縁領域を白(0)としてもよいし、黒(1)としてもよい。
[第6のステップ]
第6のステップでは、第5のステップで作成した二値化画像から得られる修飾粒子の特徴量を指標として、各粒子が隣接する他の粒子と会合しているか否かを判別する。
修飾粒子の特徴量の例には、二値化画像における粒子の中心領域の面積が含まれる(実施の形態1参照)。第5のステップで透過光画像を二値化することで、各粒子の中心領域は周縁領域と異なる色で表示され、各粒子の中心領域の面積を算出することができるようになる(図6(B)参照)。中心領域の面積は、その粒子の深さ位置に応じて変化する(実施例参照)。したがって、二値化画像上で2つの粒子が隣接しているときに、2つの粒子の中心領域の面積がほぼ同一であれば、これらの粒子はほぼ同一の深さ位置に存在しており、被検出物質を介して会合していると判別する。一方、2つの中心領域の面積が大きく異なっていれば、これらの粒子は異なる深さ位置に存在しており、被検出物質を介して会合していないと判別する。中心領域の面積の測定方法は、特に限定されず、当業者に公知の方法から適宜選択することができる。
また、修飾粒子の特徴量の例には、二値化画像における一の粒子の中心領域と隣接する他の粒子の中心領域との中心間距離が含まれる(実施の形態2参照)。第5のステップで透過光画像を二値化することで、各粒子の中心領域の中心点を決定できるようになる(図6(B)参照)。2つの粒子が被検出物質を介して会合しているとき、これらの粒子の中心間距離は粒子の平均直径(平均半径の2倍)とほぼ同一になるはずである。したがって、二値化画像上で2つの粒子が隣接しているときに、2つの粒子の中心領域の中心間距離が粒子の平均直径とほぼ同一であれば、被検出物質を介して会合していると判別する。一方、2つの粒子の中心領域の中心間距離が粒子の平均直径と大きく異なっていれば、これらの粒子は偶然重なって存在しており、被検出物質を介して会合していないと判別する。具体的には、撮像手段に含まれるレンズの収差や歪みなどを考慮して、中心間距離が粒子の平均直径の0.57〜0.75倍の範囲内であれば会合とみなし、それ以外の範囲であれば、非会合と判断する。中心領域の中心間距離の測定方法は、特に限定されず、当業者に公知の方法から適宜選択することができる。
粒子群が2つの粒子から構成されている場合は、これらの粒子が被検出物質を介して会合しているときのみ当該粒子群を真の凝集物と判別する。粒子群が3つ以上の粒子から構成される場合は、粒子群を構成するすべての粒子が他の粒子に被検出物質を介して会合しているときのみ当該粒子群を真の凝集物と判別してもよい。また、粒子群を構成する粒子のうちの少なくとも1つの粒子が他の粒子に被検出物質を介して会合しているときに当該粒子群を真の凝集物と判別してもよい。
また、2種類以上の特徴量を指標として粒子群が真の凝集物であるかどうかを判別することもできる。例えば、中心領域の面積を指標として粒子群が真の凝集物であるかどうかを判別した後、さらに中心領域の中心間距離を指標として粒子群が真の凝集物であるかどうかを判別する。この場合、いずれの指標を用いても真の凝集物であると判別される粒子群のみを真の凝集物であると判別する。
[第7のステップ]
第7のステップでは、反応場における粒子の凝集率を算出する。
前述の通り、交流電圧の印加を停止すると、凝集していない粒子は混合液中に分散するが、被検出物質を介して凝集した粒子は凝集状態のままとなる。凝集している粒子と凝集していない粒子との比率は、混合液中の被検出物質の濃度に依存する。したがって、粒子の凝集率を求めることにより、被検出物質の有無を検出したり濃度を測定したりすることができる。本発明の検出方法では、第6のステップにおいて判別した真の凝集物を構成する粒子のみを凝集している粒子として凝集率を算出する。凝集率は、例えば以下の式(1)に示すように粒子の数から算出されうる。
また、凝集率は、以下の式(2)に示すように粒子の面積からも算出されうる。
上記2つの式において、「凝集している粒子」とは、「他の粒子と会合している粒子」であってもよいし、「真の凝集物に含まれる粒子」であってもよい。例えば、粒子群を構成する粒子のうちの少なくとも1つの粒子が他の粒子に被検出物質を介して会合しているときに当該粒子群を真の凝集物と判別する場合であれば、当該粒子群に含まれるが他の粒子と会合していない粒子も「凝集している粒子」に含めてもよい。
以上のように、本発明の検出方法は、二値化画像から得られる粒子の特徴量を指標として各粒子が隣接する他の粒子と会合しているかどうかを判別することで、反応場における粒子の凝集率をより正確に算出することができる。結果として、本発明の検出方法は、高感度かつ高精度に被検出物質を検出および測定することができる。
上記の説明では、各ステップを1回行う例について説明したが、第4のステップ〜第7のステップを複数回繰り返し、凝集率を複数回算出してもよい。すなわち、第3のステップを終えた後、反応場の透過光画像を異なるタイミングで2枚以上撮像し、透過光画像のそれぞれについて凝集率を算出してもよい。この場合、算出された複数の凝集率のうち最小値の凝集率を反応場における凝集率として採用することで、偶然による粒子の重なりおよび接近の影響が最も少ない凝集率を得ることができる(実施の形態3参照)。
本発明の検出方法は、次に説明する本発明の検出装置を用いて実施することができる。
2.本発明の検出装置
本発明の検出装置は、別個に用意されたデバイスの反応場における粒子の凝集状態を観察し、パルスイムノアッセイ法で被検出物質を検出する装置である。
本発明の検出装置は、デバイスの反応場の透過光画像を取得すること、および透過光画像を二値化した画像から得られる粒子の特徴量を指標として各粒子が隣接する他の修飾粒子と会合しているかどうかを判別することを主たる特徴とする。
本発明の検出装置は、光源、撮像部、制御解析部および電圧印加部を有する。本発明の検出装置では、別個に用意されるデバイスは光源と撮像部との間に配置される。
光源は、デバイスの反応場に光を照射する。光源は、デバイスを挟んで撮像部の反対側に配置される。
撮像部は、制御解析部の制御の下でデバイスの反応場の透過光画像を撮像する。撮像部は、動画を撮像してもよいし静止画を撮像してもよい。撮像した透過光画像は、制御解析部に出力される。
制御解析部は、撮像部および電圧印加部の動作を制御する。また、制御解析部は、本発明の検出方法の第5のステップ〜第7のステップの手順により撮像部が撮像した透過光画像を解析して、デバイスの反応場に存在する粒子の凝集率を算出する。
電圧印加部は、デバイスの電極対に接続されており、制御解析部の制御の下でデバイスの反応場に交流電圧を印加する。
本発明の検出装置は、本発明の検出方法の第3のステップ〜第7のステップを自動で行い、デバイスの反応場に存在する粒子の凝集率を算出することができる(実施の形態1参照)。
本発明の検出装置は、ユーザに予備処理操作を要求せず、デバイスを配置した後は本発明の検出方法に従って自動で凝集率を算出することができる。したがって、本発明の検出装置を用いることで、被検出物質を容易かつ高感度に検出することができる。
3.本発明の深さ位置の計測方法
本発明の深さ位置の計測方法は、容器に収容された液体中に存在する粒子の深さ位置を計測する方法であって、1)計測対象の粒子を含む液体の透過光画像を取得する第1のステップと、2)第1のステップで撮像した透過光画像を二値化する第2のステップと、3)第2のステップで作成した二値化画像から得られる粒子の特徴量を指標として、当該粒子の深さ位置を算出する第3のステップとを含む。
本発明の深さ位置の計測方法は、二値化画像から得られる粒子の特徴量を指標として当該粒子の深さ位置を計測することを特徴とする(本発明の検出方法の第6のステップ参照)。
[第1のステップ]
第1のステップでは、計測対象の粒子を含む液体の画像を取得する。このとき、容器に収容された液体の透過光画像を撮像して、粒子の中心領域の明度が周縁領域の明度よりも高い画像を取得する(図6(A)参照)。
粒子の種類は特に限定されない。粒子の例には、ラテックス粒子、シリカ粒子、石英粒子、メラミン粒子などが含まれる。
担体粒子の色は無色(無着色)であることが好ましい。透過光画像を撮像するために必要な光量を低減させることができるからである。また、担体粒子の表面粗さは小さく、ヘイズ値は高いことが好ましい。担体粒子の中心部を通過する光線が散乱しにくくなり、粒子の中心領域の明度が高い透過光画像(図6(A)参照)を撮像することができるからである。
液体を収容する容器は特に限定されない。例えば、容器は後述するデバイスの流路である(実施の形態参照)。
撮像手段は特に限定されない。例えば、光学顕微鏡に接続したカメラ(CCDカメラなど)で透過光画像を撮像すればよい。後述する本発明の計測装置を用いても透過光画像を撮像することができる。
[第2のステップ]
第2のステップでは、第1のステップで撮像した透過光画像を二値化する。二値化処理は、本発明の検出方法の第5のステップと同様の手順により行うことができる。透過光画像を二値化することで、各粒子の中心領域と周縁領域とを分けることができる(図6(B)参照)。
[第3のステップ]
第3のステップでは、第2のステップで作成した二値化画像から得られる粒子の特徴量を指標として、当該粒子の深さ位置を算出する。
粒子の特徴量の例には、二値化画像における粒子の中心領域の面積が含まれる(実施の形態4参照)。第2のステップで透過光画像を二値化することで、各粒子の中心領域は周縁領域と異なる色で表示され、各粒子の中心領域の面積を算出することができるようになる(図6(B)参照)。前述の通り、中心領域の面積は、その粒子の深さ位置(撮像手段からの距離)に応じて変化する(実施例参照)。したがって、粒子の中心領域の面積と粒子の深さ位置との関係を予め調べておけば、粒子の中心領域の面積から当該粒子の深さ位置を算出することができる。中心領域の面積の測定方法は、特に限定されず、当業者に公知の方法から適宜選択することができる。
以上のように、本発明の深さ位置の計測方法は、二値化画像から得られる粒子の特徴量を指標とすることで、当該粒子の深さ位置を計測することができる。
本発明の深さ位置の計測方法は、次に述べる本発明の深さ位置の計測装置を用いて実施することができる。
4.本発明の深さ位置の計測装置
本発明の深さ位置の計測装置は、別個に用意されたデバイスの液体が満たされた空間(例えば、流路)を観察し、当該空間内に存在する粒子の深さ位置を計測する装置である。
本発明の計測装置は、デバイスの液体が満たされた空間の透過光画像を取得すること、および透過光画像を二値化した画像から得られる粒子の特徴量を指標として各粒子の深さ位置を計測することを主たる特徴とする。
本発明の計測装置は、光源、撮像部および制御解析部を有する。本発明の計測装置では、別個に用意されるデバイスは光源と撮像部との間に配置される。
光源は、デバイスの液体が満たされた空間に光を照射する。光源は、デバイスを挟んで撮像部の反対側に配置される。
撮像部は、制御解析部の制御の下でデバイスの液体が満たされた空間の透過光画像を撮像する。撮像部は、動画を撮像してもよいし静止画を撮像してもよい。撮像した透過光画像は、制御解析部に出力される。
制御解析部は、撮像部の動作を制御する。また、制御解析部は、本発明の深さ位置の計測方法の第2のステップおよび第3のステップの手順により撮像部が撮像した透過光画像を解析して、デバイスの液体が満たされた空間に存在する粒子の深さ位置を算出する。
本発明の計測装置は、本発明の計測方法の第1のステップ〜第3のステップを自動で行い、デバイスの液体が満たされた空間に存在する粒子の深さ位置を計測することができる(実施の形態4参照)。
本発明の計測装置は、ユーザに予備処理操作を要求せず、デバイスを配置した後は本発明の計測方法に従って自動で深さ位置を計測することができる。したがって、本発明の計測装置を用いることで、粒子の深さ位置を容易に計測することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1では、修飾粒子の中心領域の面積を指標として粒子群が真の凝集物であるかどうかを判別する検出装置の例を示す。
図1は、実施の形態1の検出装置の構成を示す模式図である。図1に示されるように、検出装置100は、光源102、対物レンズ104、撮像部106、制御解析部108および電圧印加部110を有する。検出装置100は、光源102と対物レンズ104との間に配置されたデバイス120の流路内(反応場)を観察し、パルスイムノアッセイ法で被検出物質を検出する。
光源102は、撮像部106がデバイス120の流路内の透過光画像を撮像するための光をデバイス120に照射する。
対物レンズ104は、撮像部106がデバイス120の流路内を拡大して撮像するためのレンズである。対物レンズ104は、デバイス120を挟んで光源102の反対側に配置される。対物レンズ104の倍率は、粒子直径と撮像部106の撮像素子の仕様に応じて、一つの粒子が縦横10ピクセルずつ以上の大きさで撮像素子に写るよう、適宜設定される。一例として、粒子直径が2μmの場合、撮像素子が1画素(ピクセル)サイズが3.4μm角の500万画素を有するときは、対物レンズ104の倍率は17倍となる。対物レンズ104の開口数は、特に限定されないが、一つの粒子の大きさを判別できる分解能と、反応場である流路の深さに亘ってピントが合う被写界深度を、それぞれ満足する値が選ばれる。粒子直径が2μmで、流路の深さが10μmのときは、開口数は0.05〜0.41の範囲内が好ましい。
撮像部106は、デバイス120の流路内の透過光画像を撮像する。対物レンズ104および撮像部106は、光源102からの照射光(透過光)の光軸上に位置するように配置されることが好ましい。撮像部106は、動画を撮像してもよいし静止画を撮像してもよい。撮像した透過光画像は、制御解析部108に出力される。
例えば、光源102、対物レンズ104および撮像部106は、CCDカメラを取り付けた光学顕微鏡である。この場合、デバイス120は、光学顕微鏡のステージ上に載置される。
制御解析部108は、撮像部106および電圧印加部110の動作を制御するとともに、撮像部106が撮像した透過光画像を解析してデバイス120の流路内に存在する粒子の凝集率を算出する。
電圧印加部110は、コネクタ112を介してデバイス120の電極対に接続されており、制御解析部108の制御の下でデバイス120の流路(反応場)に交流電圧を印加する。
図2は、デバイス120の構成の一例を示す図であり、(A)は断面図、(B)は平面図である。
デバイス120aは、上面基板122と、下面基板124と、前記上面基板122と下面基板124との間に配置された1対の電極126,127と、前記電極126,127とそれぞれ接続している1対の端子128,129とを有する。上面基板122は、下面基板124に面する面に凹部を有する。図2(A)に示されるように、この凹部は、修飾粒子140を含む混合液142を提供される流路130として機能する。
上面基板122および下面基板124は絶縁性の基板である。検出装置100が流路130内の透過光画像を撮像するため、上面基板122および下面基板124は透明性を有することを要する。上面基板122および下面基板124の材料は、例えば透明性を有する有機絶縁材料や無機絶縁材料などである。
透明性を有する有機絶縁材料の例には、ポリエチレン、エチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエンスチレン共重合体、シリコン樹脂、ポリフェニレンオキサイド及びポリスルホンなどが含まれる。上面基板122および下面基板124の材料をポリエチレンテレフタレートなどの有機材料とすることで、デバイス120の製造コストを抑制できるとともに製造プロセスを容易にすることができる。結果として、デバイス120の生産効率を大幅に向上させることができる。
透明性を有する無機絶縁材料の例には、アルミナ、サファイア、フォルステライト、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ガラスなどが含まれる。ガラスの例には、アルカリガラス、アルカリソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどが含まれる。
上面基板122および下面基板124の面積および厚さは、目的に応じて任意に設定することができる。また、流路130の幅および深さも、目的や提供される混合液の量に応じて任意に設定することができる。流路130の幅は、通常0.1〜10mmの範囲内が好ましく、0.2〜1mmの範囲内が特に好ましい。流路130の長さは、通常5mm程度である。撮像部106が流路130内の粒子140を焦点ぼけすることなく撮像できるように、流路130の深さは2〜15μmの範囲内が好ましい。
流路130の内部表面は、親水性であってもよいし、疎水性であってもよい。また、流路130の内部表面の一部が親水性で、他の部分が疎水性であってもよい。さらに、流路130の内部表面は、修飾粒子140の吸着を抑制する表面処理が施されていてもよい。
上面基板122または下面基板124は、流路130内に液体を提供するための注入口132、および流路130内の液体を排出するための排出口134を設けられていてもよい。注入口132および排出口134は、流路130と繋がっていれば、その位置や大きさは特に限定されない。
電極126,127は、それぞれ端子128,129に接続されている。電圧印加部110のコネクタ112とデバイス120の端子128,129とを接続することで、電圧印加部110は電極126,127間に交流電圧を印加することができる。
電極126,127の材料は、導電性を有し、かつ混合液中で交流電圧を印加しても溶解および剥離しないものであれば特に限定されない。電極126,127の材料の例には、金、銀、白金、銅、アルミ、クロム、ニッケル、タングステン、それらの合金などが含まれる。金は、スパッタにより電極126,127を下面基板124上に強固に成膜することが可能であり、かつ交流電圧の印加に対する安定性が高いため、電極126,127の材料として好ましい。
電極126,127の膜厚は、1nm〜10μmの範囲内が好ましい。特に、スパッタを用いて電極126,127を形成するときは、製造時間の観点から、電極126,127の膜厚は、50nm〜500nmの範囲内が好ましく、100nm程度であることが特に好ましい。電極126,127の幅は、任意に設定することができるが、通常は約0.5mm〜約5mmの範囲内である。
電極126,127は、図2に示されるように、その一部が流路130内にはみ出していてもよい。電極126,127の露出幅は、0〜3mmの範囲内が好ましく、0.01〜0.2mmの範囲内が特に好ましい。
電極126,127間の間隔は、20〜1000μmの範囲内であることが好ましい。間隔が20μm未満の場合は、修飾粒子140がパールチェーン化するための領域を十分に確保できない。一方、間隔が1000μmを超える場合は、パールチェーン化を引き起こすための有効な電界強度を得るためには50V以上の大きな電圧を印加しなければならなくなるため好ましくない。電極126,127間の間隔は、100〜500μmの範囲内であることがより好ましく、500μm程度であることが特に好ましい。電極126,127間の間隔は不変であるため、電圧印加部110は電極126,127間に印加する電圧を制御することで、反応場に印加する交流電界の電界強度を容易に制御することができる。
図2に示されるデバイス120aは、例えば、1)上面基板122および下面基板124を用意する第1のステップと、2)上面基板122に流路130の形状の凹部を形成する第2のステップと、3)下面基板124上に電極126,127を形成する第3のステップと、4)上面基板122と下面基板124とを貼り合わせる第4のステップとから作製することができる。
第2のステップにおいて、上面基板122に凹部を形成する方法は、切削技術やレーザー除去技術、インプリント技術、フォトリソグラフィーなどの当業者に公知の技術から選択することができる。必要に応じて、注入口132および排出口134を形成してもよい。
第3のステップにおいて、下面基板124上に電極126,127を形成する方法は、スパッタや蒸着などの薄膜堆積技術、印刷技術などの当業者に公知の技術から選択することができる。電極薄膜が薄いほど上面基板122と下面基板124との間の隙間を無くすことが可能であるが、スパッタはこのような薄い電極薄膜を容易に形成することができるので好ましい。
第4のステップにおいて、上面基板122と下面基板124とを貼り合わせる方法は、当業者に公知の技術から選択することができる。
図3は、デバイス120の構成の他の例を示す図であり、(A)は断面図、(B)は平面図である。
デバイス120bは、上面基板122と、中間基板136と、下面基板124と、前記上面基板122と下面基板124との間に配置された1対の電極126,127と、前記電極126,127とそれぞれ接続している1対の端子128,129とを有する。デバイス120bでは、上面基板122に凹部を形成する代わりに、中間基板136を上面基板122と下面基板124との間に挟ませることで、流路130が形成される。
デバイス120bでは、中間基板136の面積および厚さを調整することで、流路130の面積および深さを容易に制御することができる。また、平板状の上面基板122を使用することができる。さらに、その両面が接着性または粘着性を有する基板を中間基板136として用いることで、上面基板122、中間基板136および下面基板124を容易に貼り合わせることができる。このように、デバイス120bは、製造効率の観点から優れている。
図3に示されるデバイス120bは、例えば、1)上面基板122、中間基板136および下面基板124を用意する第1のステップと、2)下面基板124上に電極126,127を形成する第2のステップと、3)上面基板122、中間基板136および下面基板124を貼り合わせる第3のステップとから作製することができる。
次に、上記構成を有する検出装置100およびデバイス120を用いて被検出物質を検出する手順を、図4に示すフローチャートを用いて説明する。ここでは、試料と修飾粒子とを含む混合液が既に調製されているものとして説明する。
まず、ステップS1000で、試料と修飾粒子140とを含む混合液142がデバイス120の流路130内に提供される(図2(A)参照)。流路130内に満たされた混合液142は電極126,127と接触する。混合液142に含まれる修飾粒子140は流路130内に所定の濃度で分散された状態となる。混合液142を流路130内に提供する代わりに、予め修飾粒子140を担持させた流路130内に液体試料を提供するようにしてもよい。
次いで、ステップS1100で、電圧印加部110はデバイス120の電極126,127間に交流電圧を所定の時間印加する。これにより、修飾粒子140は電場に平行な方向に一列に並ぶ(パールチェーン化)。
次いで、ステップS1200で、電圧印加部110は交流電圧の印加を停止する。混合液142中に被検出物質が存在していないときは、パールチェーン化していた修飾粒子140はブラウン運動により再度分散する。一方、混合液142中に被検出物質が存在しているときは、修飾粒子140は会合したままとなる。
次いで、ステップS1300で、撮像部106は、デバイス120の流路130内の透過光画像を撮像する。図6(A)に示すように、撮像部106は、修飾粒子140の中心領域144の明度が周縁領域146の明度に比べて高くなるように透過光画像を撮像する。撮像した透過光画像は、制御解析部108に出力される。図7(A)は、透過光画像の一例を示す図である。図7(A)に示すように、透過光画像150には1または2以上の修飾粒子140からなる粒子群154a〜jが表示される。
次いで、ステップS1400で、制御解析部108は、撮像部106が撮像した透過光画像を解析してデバイス120の流路130内に存在する粒子群154a〜jが真の凝集物であるかどうかを判別する。このとき、制御解析部108は、透過光画像を二値化した画像から得られる修飾粒子140の特徴量を指標として粒子群154a〜jが真の凝集物であるかどうかを判別する。この粒子群判別処理については、別途詳細に説明する。
次いで、ステップS1500で、制御解析部108は、真の凝集物を構成する修飾粒子140の数と、修飾粒子140の総数から凝集率を算出する。算出された凝集率は混合液中の被検出物質の濃度に応じて高まるため、凝集率から被検出物質の濃度や量を算出することができる。
次に、粒子群判別処理(ステップS1400)の手順を図5に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS1410で、制御解析部108は、撮像部106が撮像した透過光画像を所定の閾値で二値化する。閾値は、修飾粒子の中心領域144の明度と修飾粒子の周縁領域146の明度との間、かつ修飾粒子の周縁領域146の明度と修飾粒子の周辺領域(背景)148の明度との間となるように設定される(図6(A)参照)。このように閾値を設定して二値化することで、修飾粒子の中心領域144および周辺領域(背景)148は白色、周縁領域146は黒色(またはその逆)に変換される(図6(B)参照)。ここで、「修飾粒子の中心領域144」とは、粒子の中央近傍の領域であり、二値化により周縁領域146と区別されうる部分を意味する。また、「修飾粒子の周縁領域146」とは、粒子の輪郭近傍の領域であり、二値化により中心領域144と区別されうる部分を意味する。周辺領域148とは、粒子の外部の領域を含み、二値化により周縁領域146と区別されうる部分を意味する。図7(B)は、図7(A)の透過光画像を二値化した画像を示す図である。
次いで、ステップS1420で、制御解析部108は、二値化画像152に表示されている粒子群154a〜jのそれぞれについて、修飾粒子の中心領域の面積を指標としてその粒子群が真の凝集物であるか否かを判別する。具体的には、制御解析部108は、粒子群154を構成する各修飾粒子の中心領域144の面積を算出し、隣接する修飾粒子間の面積比が所定の範囲内であれば、これら2つの修飾粒子は会合していると判別し、範囲外であれば、これら2つの修飾粒子は会合していない(偶然重なっている)と判別する。本実施の形態では、粒子群を構成するすべての粒子が他の粒子と会合しているときに、当該粒子群が真の凝集物であると判別するものとする。
図7(B)の二値化画像152を用いて説明する。例えば、粒子群154aでは、構成する2つの修飾粒子の中心領域(白色の円)の面積はほぼ等しい。これら2つの修飾粒子間の面積比は約1となる。粒子群154dでは、構成する2つの修飾粒子の中心領域の面積は、粒子群154aを構成する修飾粒子の中心領域の面積より小さいが、それぞれの面積はほぼ等しい。これら2つの修飾粒子間の面積比も約1となる。一方、粒子群154gでは、構成する2つの修飾粒子の中心領域の面積は異なっている。例えば、これら2つの修飾粒子間の面積比は0.6である。ここで面積比が0.7〜1.3の範囲内であるときに、制御解析部108は2つの粒子が会合していると判別するとする。この場合、粒子群154a,dは真の凝集物であると判別され、粒子群154gは偽の凝集物であると判別される。すなわち、粒子群154gは、修飾粒子が画像上で偶然重なって表示されているものと判別される。
2つの粒子が会合しているかどうかを判別する基準となる面積比は、デバイスの流路130の深さや担体粒子の直径に応じて適宜設定することができる。例えば、流路130の深さが10μmで担体粒子の直径が2μmの場合は、面積比が0.68〜1.5の範囲内であるとき、2つの粒子が会合していると判別する。
以上のように、本実施の形態の検出装置は、二値化画像から得られる粒子の中心領域の面積を指標として各粒子が隣接する他の粒子と会合しているかどうかを判別することで、デバイスの流路内に存在する粒子の凝集率をより正確に算出することができる。結果として、本実施の形態の検出装置は、高感度かつ高精度に被検出物質を検出および測定することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、互いに隣接する修飾粒子の中心領域の中心間距離を指標として粒子群が真の凝集物であるかどうかを判別する検出装置の例を示す。
実施の形態2の検出装置は、実施の形態1の検出装置と同様の構成を有する(図1参照)。実施の形態1と実施の形態2では、制御解析部108が行う粒子群判別処理(ステップS1400)のみが異なる。したがって、粒子群判別処理(ステップS1400)の手順を図8に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS1410で、制御解析部108は、撮像部106が撮像した透過光画像を所定の閾値で二値化する。閾値は、修飾粒子の中心領域144の明度と修飾粒子の周縁領域146の明度との間、かつ修飾粒子の周縁領域146の明度と修飾粒子の周辺領域(背景)148の明度との間となるように設定される(図6(A)参照)。このように閾値を設定して二値化することで、修飾粒子の中心領域144および周辺領域(背景)148は白色、周縁領域146は黒色(またはその逆)に変換される(図6(B)参照)。図9(A)は、図7(A)の透過光画像を二値化した画像を示す図である。
次いで、ステップS1430で、制御解析部108は、二値化画像152に表示されている粒子群154a〜jのそれぞれについて、2つの修飾粒子の中心領域の中心間距離を指標としてその粒子群が真の凝集物であるか否かを判別する。具体的には、制御解析部108は、複数の修飾粒子から構成される粒子群154のそれぞれについて、構成する各修飾粒子の中心領域144の中心点を決定し、隣接する修飾粒子について中心点間の距離を算出する。制御解析部108は、隣接する修飾粒子の中心点間の距離が所定の範囲内であれば、これら2つの修飾粒子は会合していると判別し、範囲外であれば、これら2つの修飾粒子は会合していない(偶然重なっている)と判別する。本実施の形態では、粒子群を構成する粒子の少なくとも1つが他の粒子と会合しているときに、当該粒子群が真の凝集物であると判別するものとする。
図9(B)の二値化画像152を用いて説明する。例えば、粒子群154aでは、構成する2つの修飾粒子の中心領域(白色の円)の中心間距離は修飾粒子の直径とほぼ等しい。これら2つの修飾粒子の中心領域の中心間距離は、修飾粒子の直径の約1倍である。粒子群154eでは、構成する2つの修飾粒子の中心間距離は修飾粒子の直径よりも長い。例えば、これら2つの修飾粒子の中心領域の中心間距離は、修飾粒子の直径の約1.3倍である。粒子群154gでは、構成する2つの修飾粒子の中心間距離は修飾粒子の直径よりも短い。例えば、これら2つの修飾粒子の中心領域の中心間距離は、修飾粒子の直径の約0.7倍である。ここで2つの修飾粒子の中心領域の中心間距離が、修飾粒子の直径の0.8〜1.2倍の範囲内であるときに制御解析部108は2つの粒子が会合していると判別するとする。この場合、粒子群154aは真の凝集物であると判別され、粒子群154e,gは偽の凝集物であると判別される。すなわち、粒子群154eは、修飾粒子が画像上で偶然接近して表示されているものと判別され、粒子群154gは、修飾粒子が画像上で偶然重なって表示されているものと判別される。
2つの粒子が会合しているかどうかを判別する基準となる中心間距離は、二値化画像152に応じて適宜設定することができる。例えば、倍率10〜40倍の対物レンズで撮像した複数の画像に同一の規格を適用する場合は、レンズが持つ収差などの撮像要因により、中心間距離が1倍よりも小さな範囲、具体的には、粒子の平均直径の0.57〜0.75倍の範囲内であるとき、2つの粒子が会合していると判別する。
図10は、3つ以上の修飾粒子から構成される粒子群を含む二値化画像の例を示す図である。前述の通り、本実施の形態では、粒子群を構成する粒子の少なくとも1つが他の粒子と会合しているときに、当該粒子群が真の凝集物であると判別するものとする。この場合、制御解析部108は、二値化画像152に表示されている粒子群154k〜tのそれぞれについて、最小の中心間距離を指標としてその粒子群154k〜tが真の凝集物であるか否かを判別すればよい。
例えば、粒子群154m,sでは、構成する3つの修飾粒子の中心領域の中心間距離はそれぞれ異なっている。この図では、最小の中心間距離を実線で示し、その他の中心間距離を破線で示している。粒子群154m,sの3つの中心間距離のうちの最小の中心間距離(実線)は、修飾粒子の直径の約1倍である。したがって、粒子群154m,sは真の凝集物であると判別される。また、粒子群154pでは、構成する3つの修飾粒子の中心領域の中心間距離はほぼ同じであり、それぞれ修飾粒子の直径の約1倍である。したがって、粒子群154pも真の凝集物であると判別される。一方、粒子群154kの最小の中心間距離は、例えば修飾粒子の直径の約1.3倍である。したがって、粒子群154kは偽の凝集物であると判別される。
以上のように、本実施の形態の検出装置は、二値化画像から得られる隣接する粒子の中心領域の中心間距離を指標として各粒子が隣接する他の粒子と会合しているかどうかを判別することで、デバイスの流路内に存在する粒子の凝集率をより正確に算出することができる。結果として、本実施の形態の検出装置は、高感度かつ高精度に被検出物質を検出および測定することができる。
(実施の形態3)
実施の形態3では、凝集率を複数回算出し、算出された複数の凝集率のうちの最小値を凝集率として採用する検出装置の例を示す。
実施の形態3の検出装置は、実施の形態1,2の検出装置と同様の構成(図1参照)を有するが、凝集率の算出方法が異なる。そこで、実施の形態3の検出装置を用いて被検出物質を検出する手順を、図11に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS1000で、試料と修飾粒子140とを含む混合液142がデバイス120の流路130内に提供される。次いで、ステップS1100で、電圧印加部110はデバイス120の電極126,127間に交流電圧を所定の時間印加する。次いで、ステップS1200で、電圧印加部110は交流電圧の印加を停止する。ステップS1000〜S1300は、実施の形態1で説明した各ステップと同様の処理である。
次いで、ステップS1300で、撮像部106はデバイス120の流路130内の透過光画像を撮像する。次いで、ステップS1400で、制御解析部108は撮像部106が撮像した透過光画像を解析してデバイス120の流路130内に存在する粒子群が真の凝集物であるか否かを判別する。次いで、ステップS1500で、制御解析部108は、真の凝集物を構成する修飾粒子140の数と、修飾粒子140の総数から凝集率を算出する。ステップS1300〜S1500は、実施の形態1,2で説明した各ステップと同様の処理である。
次いで、ステップS1600で、凝集率を算出した回数が所定の回数に達しているかどうかを判別する。凝集率を算出した回数が所定の回数に達していない場合は(ステップS1600:NO)、ステップS1300に戻り、所定の回数に達するまで凝集率の算出を繰り返す。すなわち、ステップS1200を終えた後、反応場の透過光画像を異なるタイミングで所定の枚数撮像し、透過光画像のそれぞれについて凝集率を算出する。凝集率を算出した回数が所定の回数に達している場合は(ステップS1600:YES)、ステップS1700に進む。
ステップS1300〜S1500を繰り返す際の撮像間隔は、撮像部106の性能に応じて適宜設定することができる。撮像間隔は、100ミリ秒〜60秒の範囲内が好ましく、1〜5秒の範囲内が特に好ましい。また、ステップS1300〜S1500を繰り返す回数は、制御解析部108の処理能力や処理速度、画像保存容量などに応じて適宜設定することができる。透過光画像の撮像枚数は、2枚以上であれば特に限定されず、多いほど好ましい。例えば、透過光画像の撮像枚数は、4〜15枚の範囲内であってもよい。混合液中の粒子の濃度が0.4重量%で流路の深さが10μmの場合は、透過光画像の撮像枚数は4枚以下で十分である。また、透過光画像の撮像開始時期は、凝集していない粒子が十分に分散した後であれば任意に選択することができる。透過光画像の撮像開始時期は、交流電圧の印加を停止してから30〜60秒後である。
ステップS1700では、ステップS1500で複数回算出された凝集率のうち最小値の凝集率を選択する。本実施の形態の検出装置は、この最小値の凝集率を反応場における凝集率として採用し、被検出物質の濃度や量を算出する。
以上のように、本実施の形態の検出装置は、凝集率を複数回算出し、複数の凝集率のうち最小値の凝集率を反応場における凝集率として採用することで、偶然による粒子の重なりおよび接近の影響が最も少ない凝集率を得ることができる。
(実施の形態4)
実施の形態4では、粒子の中心領域の面積を指標として粒子の深さ位置を計測する計測装置の例を示す。
図12は、実施の形態4の深さ位置計測装置の構成を示す模式図である。図12に示されるように、深さ位置計測装置200は、光源102、対物レンズ104、撮像部106および制御解析部202を有する。深さ位置計測装置200は、光源102と対物レンズ104との間に配置されたデバイス210の流路内を観察し、流路内に存在する粒子の深さ位置を計測する。
光源102、対物レンズ104および撮像部106は、実施の形態1の検出装置の光源102、対物レンズ104および撮像部106と同様のものである。撮像部106が撮像した透過光画像は、制御解析部202に出力される。
例えば、光源102、対物レンズ104および撮像部106は、CCDカメラを取り付けた光学顕微鏡である。この場合、デバイス120は、光学顕微鏡のステージ上に載置される。
制御解析部202は、撮像部106の動作を制御するとともに、撮像部106が撮像した透過光画像を解析してデバイス210の流路内に存在する粒子の流路内における深さ位置を算出する。
図13は、デバイス210の構成の一例を示す図であり、(A)は断面図、(B)は平面図である。
デバイス210aは、上面基板122および下面基板124を有する。上面基板122は、下面基板124に面する面に凹部を有する。図13(A)に示されるように、この凹部は、粒子212を含む液体214を提供される流路130として機能する。上面基板122および下面基板124は、実施の形態1で説明したものと同様のものである。
図13に示されるデバイス210aは、例えば、1)上面基板122および下面基板124を用意する第1のステップと、2)上面基板122に流路130の形状の凹部を形成する第2のステップと、3)上面基板122と下面基板124とを貼り合わせる第3のステップとから作製することができる。
第2のステップにおいて、上面基板122に凹部を形成する方法は、切削技術やレーザー除去技術、インプリント技術、フォトリソグラフィーなどの当業者に公知の技術から選択することができる。必要に応じて、注入口132および排出口134を形成してもよい。
第3のステップにおいて、上面基板122と下面基板124とを貼り合わせる方法は、当業者に公知の技術から選択することができる。
図14は、デバイス210の構成の他の例を示す図であり、(A)は断面図、(B)は平面図である。
デバイス210bは、上面基板122、中間基板136および下面基板124を有する。デバイス210bでは、上面基板122に凹部を形成する代わりに、中間基板136を上面基板122と下面基板124との間に挟ませることで、流路130が形成される。
デバイス210bでは、中間基板136の面積および厚さを調整することで、流路130の面積および深さを容易に制御することができる。また、平板状の上面基板122を使用することができる。さらに、その両面が接着性または粘着性を有する基板を中間基板136として用いることで、上面基板122、中間基板136および下面基板124を容易に貼り合わせることができる。このように、デバイス210bは、製造効率の観点から優れている。
図14に示されるデバイス210bは、例えば、1)上面基板122、中間基板136および下面基板124を用意する第1のステップと、2)上面基板122、中間基板136および下面基板124を貼り合わせる第2のステップとから作製することができる。
次に、上記構成を有する深さ位置計測装置200およびデバイス210を用いて被検出物質を検出する手順を、図15に示すフローチャートを用いて説明する。ここでは、粒子を含む液体が既に調製されているものとして説明する。
まず、ステップS2000で、粒子212を含む液体214がデバイス210の流路130内に提供される(図13(A)参照)。液体214は流路130内に満たされ、粒子212は流路130内に所定の濃度で分散された状態となる。粒子212を含む液体214を流路130内に提供する代わりに、予め粒子212を担持させた流路130内に液体を提供するようにしてもよい。
次いで、ステップS2100で、撮像部106は、デバイス210の流路130内の透過光画像を撮像する。撮像部106は、粒子212の中心領域の明度が周縁領域の明度に比べて高くなるように透過光画像を撮像する(図6(A)参照)。撮像した透過光画像は、制御解析部202に出力される。
次いで、ステップS2200で、制御解析部202は、撮像部106が撮像した透過光画像を所定の閾値で二値化する。閾値は、粒子212の中心領域の明度と粒子212の周縁領域の明度との間、かつ粒子212の周縁領域の明度と粒子212の周辺領域(背景)の明度との間となるように設定される(図6(A)参照)。このように閾値を設定して二値化することで、粒子212の中心領域および周辺領域(背景)は白色、周縁領域は黒色(またはその逆)に変換される(図6(B)参照)。
次いで、ステップS2300で、制御解析部202は、二値化画像に表示されている各粒子212の中心領域の面積を算出する。
次いで、ステップS2400で、制御解析部202は、予め作成された粒子212の深さ位置と粒子212の中心領域の面積との関係式を参照して、各粒子212の流路130内における深さ位置を算出する。
以上のように、本実施の形態の計測装置は、二値化画像から得られる粒子の中心領域の面積を指標として各粒子の深さ位置を算出することができる。例えば、本実施の形態の計測装置は、ラテックス凝集法などにおいて隣接する粒子が凝集しているかどうかを判別することもできる。
以下、本発明を実施例を参照してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
[実施例1]
実施例1では、流路内に分散させた粒子の深さ位置を実施の形態4に記載の方法および装置を用いて計測した例を示す。
1.粒子懸濁液の調製
平均直径2μmのラテックスビーズ(Bangs Laboratories社)を緩衝液(150mM 塩化ナトリウム,20mM グリシン,0.1% BSA,pH8.6)に希釈して、粒子懸濁液(粒子0.4%)を調製した。
2.デバイスの作製
本実施例では、パルスイムノアッセイ用のデバイス(図3参照)を使用した。
厚さ1mmの石英ガラス基板(下面基板)上に電極パターンを有するステンシルマスク(ステンレス製)を通してスパッタして、電極および端子となる膜厚100nmの金薄膜を形成した。長辺が対向するように配置された1対の矩形電極間の間隔は0.5mmとした。次いで、流路パターンを有する両面接着PETフィルム(中間基板)を流路部分が電極間に位置するようにガラス基板および電極上に貼りあわせ、さらにこのPETフィルム上に厚さ0.3mmのカバーガラス(上面基板)を貼りあわせて、深さ10μm程度の流路を有するデバイスを作製した(図3参照)。
3.測定
デバイスの流路内に粒子懸濁液を1μL提供した後、倒立型システム顕微鏡(オリンパス株式会社)を用いて流路内を透過光観察し、流路内の透過光画像(撮像範囲:275×220μm)を撮像した。対物レンズは、倍率が40倍、開口数が0.1のものを使用した。光源にはハロゲンランプを使用し、ケラー照明系を通じてデバイスの流路に照明光を照射した。撮像素子は、1/1.8インチCCD(500万画素,有効画素2560×1920ピクセル)を使用した。
取得した画像を8ビット(256階調)のグレースケールに変換した後、さらに二値化した。二値化の閾値は、前述の大津の方法を用いて画像ごとに最適な値を算出した。その結果、粒子の周縁領域のみを黒色に変換し、粒子の中心領域および周辺領域(背景)を白色に変換することができた。二値化画像を解析し、各粒子の中心領域の面積を求めた。
また、倒立型システム顕微鏡による観察と併せて、レーザー変位計(LT−9000:株式会社キーエンス)を用いてデバイスの上面から流路内の各粒子の深さ位置を計測した。
4.結果
図16は、流路内の透過光画像および落射光画像(比較例)である。図16(A)は1つの粒子の透過光画像であり、図16(B)は2つの粒子から構成される粒子群の透過光画像である。図16(C)は図16(B)の画像の二値化画像(閾値:134)である。また、図16(D)は1つの粒子の落射光画像であり、図16(E)は2つの粒子から構成される粒子群の落射光画像である。図16(F)は図16(E)の画像の二値化画像(閾値:112)である。
図16(A)〜(C)に示されるように、流路内を透過光観察した場合は、粒子の中心領域の明度が粒子の周縁領域の明度よりも高い画像を撮像することができた。一方、図16(D)〜(F)に示されるように、流路内を落射光観察した場合は、粒子の中心領域および周縁領域の明度が背景(周辺領域)よりも低い画像しか撮像できなかった。
図17は、各粒子の深さ位置と二値化画像における中心領域の面積との関係を示すグラフである。横軸は各粒子の深さ位置(上面基板の下面からの距離)を示し、縦軸は各粒子の二値化画像における中心領域の面積を示す。デバイスの上面からレーザー光を照射して各粒子の深さ位置を測定したため、横軸は上面基板の下面と各粒子の上端との最短距離を示していると推測される。したがって、直径2μmの粒子が流路(深さ10μm)の底に沈んでいるときは、この粒子の深さ位置は8μmとなる。図17のグラフにおいて、深さ位置が6〜8μmの粒子が多いのは、粒子の比重(1.05g/mL)が緩衝液の比重に比べて大きく、粒子が流路の底面付近に分散しているためと考えられる。
図17のグラフに示されるように、粒子の二値化画像における中心領域の面積と粒子の深さ位置との間には良好な相関関係が観察された。決定係数は0.69であった。このように、粒子の二値化画像における中心領域の面積を求めることで、流路内に分散させた粒子の深さ位置を計測することができた。
[実施例2]
実施例2では、実施の形態1に記載の方法および装置を用いて粒子の凝集率を算出した例を示す。
1.修飾粒子懸濁液および試料溶液の調製
C反応性タンパク(C-reactive protein;以下「CRP」と略記する)を緩衝溶液に溶解させて、それぞれ異なる濃度の試料溶液を複数調製した。CRPは、体内で炎症反応や組織の破壊が起きているときに血中に現れるため、炎症反応の指標となりうるタンパク質である。試料溶液中のCRPの濃度は、4.8×10−7M,4.8×10−8M,4.8×10−9M,4.8×10−10M,4.8×10−11M,4.8×10−12M,4.8×10−13M,4.8×10−14Mとした。
平均直径2μmのラテックスビーズを担体粒子として用意し、抗CRPポリクローナル抗体をその表面に固定化した。抗体を固定化された修飾粒子を緩衝液(150mM 塩化ナトリウム,20mM グリシン,0.1% BSA,pH8.6)に希釈して、修飾粒子懸濁液(担体粒子0.4重量%)を調製した。
2.デバイスの作製
実施例1と同様の手順でパルスイムノアッセイ用のデバイスを作製した。
3.測定
デバイスに印加する電圧ならびにその周波数および波形を制御するべく、ファンクションジェネレータ(33120A;アジレント・テクノロジー株式会社)および高速バイポーラ電源(4055;株式会社エヌエフ回路設計ブロック)を電圧印加部としてデバイスに接続した。
試料溶液を修飾粒子懸濁液に加えて調製した混合液1μLをデバイスの流路内に提供した。試料溶液を修飾粒子懸濁液に加えてから90秒後に、デバイスの1対の電極間に交流電圧(100kHz,20Vp−p,矩形波)を60秒間印加して、修飾粒子をパールチェーン化させた。電圧の印加を停止してから60秒後に、倒立型システム顕微鏡を用いて流路内を透過光観察し、流路内の透過光画像を5秒おきに合計12枚撮像した。倒立型システム顕微鏡および撮像素子は、実施例1と同様のものである。
取得した画像を実施例1と同様の手順で二値化した。その結果、修飾粒子の周縁領域のみを黒色に変換し、担体粒子の中心領域および周辺領域(背景)を白色に変換することができた。
二値化画像上の各修飾粒子を、他の粒子に会合している粒子(以下「会合粒子」という)と他の粒子に会合していない粒子(以下「非会合粒子」という)とに分類した。具体的には、他の粒子と隣接していない粒子については、すべて非会合粒子に分類した。他の粒子と隣接している粒子については、当該他の粒子の二値化画像における中心領域の面積に対する当該粒子の二値化画像における中心領域の面積が0.68〜1.5の範囲内であるものを会合粒子に分類し、範囲外であるものを非会合粒子に分類した。
各試料溶液について、会合粒子の数と非会合粒子の数とから、以下の式(3)で修飾粒子の凝集率を算出した。
また、比較例として、二値化画像における中心領域の面積を参照せずに、他の粒子と隣接している粒子を会合粒子に分類し、他の粒子と隣接していない粒子を非会合粒子に分類した。各試料溶液について、会合粒子の数と非会合粒子の数とから、修飾粒子の凝集率を算出した。
4.結果
図18は、試料溶液中の抗原(CRP)の濃度と凝集率との関係を示すグラフである。横軸は抗原の濃度を示し、縦軸は凝集率を示している。実線(黒丸)は、二値化画像における中心領域の面積を参照して凝集率を算出した結果(実施例)を示し、破線(白四角)は、二値化画像における中心領域の面積を参照しないで凝集率を算出した結果(比較例)を示す。エラーバーは標準偏差を示している。
図18に示すように、凝集率が20%以下となる抗原濃度(1×10−11〜1×10−14M)では、実施例の凝集率が比較例の凝集率に比べて有意に低い値となった。例えば、抗原濃度が4.8×10−14Mのとき、比較例の凝集率は14.3%であったのに対し、実施例の凝集率は8.4%と6%近く低い値であった。一方、凝集率が70%以上となる抗原濃度(1×10−9〜1×10−8M)では、実施例の凝集率と比較例の凝集率との間に有意な差は見られなかった。例えば、抗原濃度が4.8×10−8Mのとき、比較例の凝集率は82.4%であったのに対し、実施例の凝集率は79.9%とほとんど同じ値(2.5%の差)であった。
パルスイムノアッセイ法の原理より、凝集率が70%以上となると会合粒子が支配的となり、凝集率が20%以下となると非会合粒子が支配的となる。本実施例において、非会合粒子が支配的となる領域で凝集率が顕著に低減したということは、偶然による修飾粒子の重なりなどの偽の凝集物を的確に排除し、より真の値に近い凝集率を算出できたことを示している。さらに、会合粒子が支配的となる領域で凝集率が低減していないことから、同じ抗原濃度範囲に対する凝集率の応答レンジが拡大したといえる。
以上のように、修飾粒子の二値化画像における中心領域の面積を参照して各粒子が他の粒子と会合しているかどうかを判別することによって、被検出物質をより高感度かつ高精度に検出することができた。
[実施例3]
実施例3では、実施の形態2に記載の方法および装置を用いて修飾粒子の凝集率を算出した例を示す。
1.修飾粒子懸濁液および試料溶液の調製
実施例2と同様の手順で修飾粒子懸濁液および試料溶液を調製した。
2.デバイスの作製
実施例1と同様の手順でパルスイムノアッセイ用のデバイスを作製した。
3.測定
実施例2と同様の手順で修飾粒子をパールチェーン化させた後、流路内の透過光画像を5秒おきに合計12枚撮像した。
取得した画像を実施例1と同様の手順で二値化した。その結果、修飾粒子の周縁領域のみを黒色に変換し、修飾粒子の中心領域および周辺領域(背景)を白色に変換することができた。
二値化画像上の各修飾粒子を会合粒子と非会合粒子とに分類した。具体的には、他の粒子と隣接していない粒子については、すべて非会合粒子に分類した。他の粒子と隣接している粒子については、当該粒子の二値化画像における中心領域と他の粒子の二値化画像における中心領域との中心間距離が修飾粒子の平均直径の0.57〜0.75倍の範囲内であるものを会合粒子に分類し、範囲外であるものを非会合粒子に分類した。
各試料溶液について、会合粒子の数と非会合粒子の数とから、前述の式で修飾粒子の凝集率を算出した。
また、比較例として、二値化画像における中心領域の中心間距離を参照せずに、他の粒子と隣接している粒子を会合粒子に分類し、他の粒子と隣接していない粒子を非会合粒子に分類した。各試料溶液について、会合粒子の数と非会合粒子の数とから、修飾粒子の凝集率を算出した。
4.結果
図19は、試料溶液中の抗原(CRP)の濃度と凝集率との関係を示すグラフである。横軸は抗原の濃度を示し、縦軸は凝集率を示している。実線(黒丸)は、二値化画像における中心領域の中心間距離を参照して凝集率を算出した結果(実施例)を示し、破線(白四角)は、二値化画像における中心領域の中心間距離を参照しないで凝集率を算出した結果(比較例)を示す。エラーバーは標準偏差を示している。
図19に示すように、凝集率が20%以下となる抗原濃度(1×10−11〜1×10−14M)では、実施例の凝集率が比較例の凝集率に比べて有意に低い値となった。例えば、抗原濃度が4.8×10−14Mのとき、比較例の凝集率は14.3%であったのに対し、実施例の凝集率は9.0%と5%近く低い値であった。一方、凝集率が70%以上となる抗原濃度(1×10−9〜1×10−8M)では、実施例の凝集率と比較例の凝集率との間に有意な差は見られなかった。例えば、抗原濃度が4.8×10−8Mのとき、比較例の凝集率は82.4%であったのに対し、実施例の凝集率は81.0%とほとんど同じ値(1.5%の差)であった。
本実施例において、非会合粒子が支配的となる領域で凝集率が顕著に低減したということは、偶然による修飾粒子の重なりなどの偽の凝集物を的確に排除し、より真の値に近い凝集率を算出できたことを示している。さらに、会合粒子が支配的となる領域で凝集率が低減していないことから、同じ抗原濃度範囲に対する凝集率の応答レンジが拡大したといえる。
以上のように、修飾粒子の二値化画像における中心領域の中心間距離を参照して各粒子が他の粒子と会合しているかどうかを判別することによって、被検出物質をより高感度かつ高精度に検出することができた。
[実施例4]
実施例4では、実施の形態3に記載の方法および装置を用いて担体粒子の凝集率を算出した例を示す。
1.修飾粒子懸濁液および試料溶液の調製
実施例2と同様の手順で修飾粒子懸濁液および試料溶液を調製した。
2.デバイスの作製
実施例1と同様の手順でパルスイムノアッセイ用のデバイスを作製した。
3.測定
実施例2と同様の手順で修飾粒子をパールチェーン化させた後、流路内の透過光画像を5秒おきに合計12枚撮像した。取得した画像を実施例1と同様の手順で二値化した。その結果、修飾粒子の周縁領域のみを黒色に変換し、修飾粒子の中心領域および周辺領域(背景)を白色に変換することができた。
二値化画像上の各修飾粒子を会合粒子と非会合粒子とに分類した。具体的には、他の粒子と隣接していない粒子については、すべて非会合粒子に分類した。他の粒子と隣接している粒子については、当該他の粒子の二値化画像における中心領域の面積に対する当該粒子の二値化画像における中心領域の面積が0.68〜1.5の範囲内であるものを会合粒子に分類し、範囲外であるものを非会合粒子に分類した。
各試料溶液について、二値化画像(全12枚)ごとに前述の式で修飾粒子の凝集率を算出した。算出された12の凝集率のうちの最小値を当該試料溶液における凝集率とした。
4.結果
図20は、試料溶液中の抗原(CRP)の濃度と凝集率との関係を示すグラフである。横軸は抗原の濃度を示し、縦軸は凝集率を示している。実線(黒丸)は、二値化画像における中心領域の面積を参照して算出した凝集率の最小値(実施例)を示し、破線(三角)は、二値化画像における中心領域の面積を参照しないで凝集率を算出した結果(比較例)を示す。エラーバーは標準偏差を示している(比較例のみ)。
図20に示すように、凝集率が20%以下となる抗原濃度(1×10−11〜1×10−14M)では、実施例の凝集率が比較例の凝集率に比べて有意に低い値となった。例えば、抗原濃度が4.8×10−13Mのとき、比較例の凝集率は12.9%であったのに対し、実施例の凝集率は1.7%と11%近く低い値であった。一方、凝集率が70%以上となる抗原濃度(1×10−9〜1×10−8M)では、実施例の凝集率と比較例の凝集率との間にそれほど大きな差は見られなかった。例えば、抗原濃度が4.8×10−8Mのとき、比較例の凝集率は82.4%であったのに対し、実施例の凝集率は76.7%とそれほど大きな差は見られなかった(5.7%の差)。
前述の通り、本実施例において、非会合粒子が支配的となる領域で凝集率が顕著に低減したということは、偶然による修飾粒子の重なりなどの偽の凝集物を的確に排除し、より真の値に近い凝集率を算出できたことを示している。さらに、会合粒子が支配的となる領域で凝集率が低減していないことから、同じ抗原濃度範囲に対する凝集率の応答レンジが拡大したといえる。
以上のように、修飾粒子の二値化画像における中心領域の面積を参照して各粒子が他の粒子と会合しているかどうかを判別し、かつ複数回算出した凝集率のうちの最小値を参照することによって、被検出物質をより高感度かつ高精度に検出することができた。
本発明の検出方法および検出装置は、生体試料、特に血液などに含まれるタンパク質などの生体構成成分を分析する検出方法および検出装置として有用である。本発明の検出方法および検出装置は、血液試料に含まれるタンパク質や健康指標物質などを検出するPOCT診断バイオセンサなどの用途にも応用することが可能である。
実施の形態1の検出装置の構成を示す模式図である。 検出装置のデバイスの構成の一例を示す図であり、(A)は断面図、(B)は平面図である。 検出装置のデバイスの構成の他の例を示す図であり、(A)は断面図、(B)は平面図である。 実施の形態1の検出装置の動作を示すフローチャートである。 実施の形態1の検出装置の粒子群判別処理の内容を示すフローチャートである。 (A)は粒子の透過光画像の模式図であり、(B)は粒子の二値化画像の模式図である。 (A)は反応場の透過光画像の模式図であり、(B)は反応場の二値化画像の模式図である。 実施の形態2の検出装置の粒子群判別処理の内容を示すフローチャートである。 (A),(B)ともに反応場の二値化画像の模式図である。 反応場の二値化画像の模式図である。 実施の形態3の検出装置の動作を示すフローチャートである。 実施の形態4の深さ位置計測装置の構成を示す模式図である。 深さ位置計測装置のデバイスの構成の一例を示す図であり、(A)は断面図、(B)は平面図である。 深さ位置計測装置のデバイスの構成の他の例を示す図であり、(A)は断面図、(B)は平面図である。 実施の形態4の深さ位置計測装置の動作を示すフローチャートである。 (A),(B)は流路内の透過光画像であり、(C)は(B)の画像の二値化画像である。(D),(E)は流路内の落射光画像であり、(F)は(E)の画像の二値化画像である。 実施例1の結果を示すグラフである。 実施例2の結果を示すグラフである。 実施例3の結果を示すグラフである。 実施例4の結果を示すグラフである。 従来の検出方法を説明するための模式図であって、(A)は反応場を撮像した画像を示す図、(B)は(A)の画像を二値化した画像を示す図である。
符号の説明
10 反応場の画像
12 二値化画像
14 粒子群
100 検出装置
102 光源
104 対物レンズ
106 撮像部
108,202 制御解析部
110 電圧印加部
112 コネクタ
120,210 デバイス
122 上面基板
124 下面基板
126,127 電極
128,129 端子
130 流路
132 注入口
134 排出口
136 中間基板
140 修飾粒子
142 混合液
144 中心領域
146 周縁領域
148 周辺領域(背景)
150 透過光画像
152 二値化画像
154 粒子群
200 深さ位置計測装置
212 粒子
214 液体

Claims (11)

  1. 被検出物質をパルスイムノアッセイ法で検出する方法であって、
    被検出物質に特異的に結合する認識物質をその表面に固定化されている修飾粒子を準備するステップと、
    試料と前記粒子とを含む混合液を調製するステップと、
    前記混合液に交流電圧を印加して前記粒子をパールチェーン化させるステップと、
    前記交流電圧の印加を停止した後に前記粒子を含む反応場の透過光画像を取得するステップと、
    前記粒子の周縁領域の明度と前記粒子の中心領域の明度との間、および前記粒子の周縁領域の明度と前記粒子の周辺領域の明度との間に閾値を設定して、前記透過光画像を二値化するステップと、
    前記透過光画像に表示された各粒子について、二値化画像から得られる当該粒子の特徴量を指標として隣接する他の粒子と会合しているか否かを判別するステップと、
    他の粒子と会合している粒子の数または面積と、他の粒子と会合していない粒子の数または面積とから、前記反応場における前記粒子の凝集率を算出するステップと、
    を含む、被検出物質の検出方法。
  2. 前記粒子の特徴量は、前記粒子の二値化画像における中心領域の面積である、請求項1に記載の検出方法。
  3. 前記粒子の二値化画像における中心領域の面積に対する前記他の粒子の二値化画像における中心領域の面積比が0.68〜1.5の範囲内であるときに、前記粒子が前記他の粒子と会合していると判別する、請求項2に記載の検出方法。
  4. 前記粒子の特徴量は、前記粒子の二値化画像における中心領域と前記他の粒子の二値化画像における中心領域との中心間距離である、請求項1に記載の検出方法。
  5. 前記中心間距離が前記粒子の平均直径の0.57〜0.75倍の範囲内であるときに、前記粒子が前記他の粒子と会合していると判別する、請求項4に記載の検出方法。
  6. 前記反応場の透過光画像を異なる時に2枚以上取得し、
    前記透過光画像のそれぞれについて算出された前記粒子の凝集率のうち、最小値の凝集率を前記反応場における前記粒子の凝集率とする、
    請求項1に記載の検出方法。
  7. 前記反応場の透過光画像の取得枚数は2枚以上4枚以下である、請求項6に記載の検出方法。
  8. 容器に収容された液体中に存在する粒子の深さ位置を計測する方法であって、
    粒子を含む液体の透過光画像を取得するステップと、
    前記粒子の周縁領域の明度と前記粒子の中心領域の明度との間、および前記粒子の周縁領域の明度と前記粒子の周辺領域の明度との間に閾値を設定して、前記透過光画像を二値化するステップと、
    前記透過光画像に表示された各粒子について、二値化画像から得られる当該粒子の特徴量を指標として深さ位置を算出するステップと、
    を含む、深さ位置の計測方法。
  9. 前記粒子の特徴量は、前記粒子の二値化画像における中心領域の面積である、請求項8に記載の深さ位置の計測方法。
  10. 被検出物質をパルスイムノアッセイ法で検出する装置であって、
    別個に用意されたデバイスの反応場に交流電圧を印加する電圧印加部と、
    前記反応場に光を照射する光源と、
    前記反応場の透過光画像を撮像する撮像部と、
    前記透過光画像から得られる情報に基づいて前記反応場における粒子の凝集率を算出する制御解析部と、
    を有し、
    前記制御解析部は、
    前記粒子の周縁領域の明度と前記粒子の中心領域の明度との間、および前記粒子の周縁領域の明度と前記粒子の周辺領域の明度との間に閾値を設定して、前記透過光画像を二値化し、
    前記透過光画像に表示された各粒子について、二値化画像から得られる当該粒子の特徴量を指標として隣接する他の粒子と会合しているか否かを判別し、
    他の粒子と会合している前記粒子の数または面積と、他の粒子と会合していない前記粒子の数または面積とから、前記反応場における前記粒子の凝集率を算出する、
    被検出物質の検出装置。
  11. 液体中に存在する粒子の深さ位置を計測する装置であって、
    別個に用意されたデバイスの液体が満たされた空間に光を照射する光源と、
    粒子を含む前記液体の透過光画像を撮像する撮像部と、
    前記透過光画像から得られる情報に基づいて前記液体中に存在する前記粒子の深さ位置を算出する制御解析部と、
    を有し、
    前記制御解析部は、
    前記粒子の周縁領域の明度と前記粒子の中心領域の明度との間、および前記粒子の周縁領域の明度と前記粒子の周辺領域の明度との間に閾値を設定して、前記透過光画像を二値化し、
    前記透過光画像に表示された各粒子について、二値化画像から得られる当該粒子の特徴量を指標として深さ位置を算出する、
    深さ位置の計測装置。
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