JPWO2009031274A1 - 測定チップ - Google Patents

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Abstract

本発明は、試料中の被測定物質を生物学的特異的凝集反応を用いて測定する測定チップであって、チップ内の混合液の温度上昇に起因する粒子の非特異的凝集を抑制しうる測定チップに関する。本発明の測定チップは、基板、一対の電極を含む管状の反応部、外部から前記反応部内に試料液を流入させる点着口、前記反応部内の気体を外部に排出する空気孔、および前記点着口または前記空気孔と前記反応部とを接続する管状の流路を有する。本発明の測定チップは、反応部内の混合液に生じた熱が流路内の混合液に伝わるため、反応部内の混合液の温度上昇を抑制することができる。その結果、被測定物質が混合液中に存在しない場合に、混合液中の粒子が分散することができるため、本発明の測定チップは被測定物質を高感度に測定することができる。

Description

本発明は、試料に含まれる被測定物質を生物学的特異的凝集反応を用いて測定または検出する測定チップに関する。
従来、試料に含まれる被測定物質を測定するために、被測定物質に特異的に結合しうる抗体を利用する方法が数多く開発されている。そのひとつに、抗原抗体反応によって生じた免疫凝集物を光学的に検出する方法がある。
この方法では、被測定物質を含む試料液に被測定物質に特異的に結合しうる抗体を一定量加えて免疫凝集物を形成させる。凝集物を形成させた後、試料液に光を照射すると、光は凝集物に当たって散乱する。この散乱光の量は凝集物の量に応じて変化し、凝集物の量は被測定物質の濃度に応じて変化する。したがって、この散乱光を測定することで、試料液中の被測定物質の濃度を測定することができる。一般的に散乱光を測定する免疫比朧法と透過光を測定する免疫比濁法とは区別されているが、凝集物による光の散乱を観察するという点ではいずれも同じ測定原理である。したがって、散乱光だけでなく透過光または反射光を測定しても、試料液中の被測定物質の濃度を測定することができる。
この原理を用いて感度をさらに向上させた方法が、ラテックス凝集法である。前述の方法において抗体をラテックス粒子の表面に固定化させておくと、被測定物質と抗体とが結合することでラテックス粒子の凝集物が形成される。ラテックス粒子の凝集物は抗原および抗体からなる凝集物よりもはるかに光の散乱が大きいため、ラテックス凝集法では被測定物質をより高感度に測定することができる。
ラテックス凝集法をさらに高感度化させる方法として、特許文献1に開示されている測定方法が知られている。以下、図1および図2を用いて特許文献1に開示されている測定方法について説明する。図1Aは、測定チップの断面図であり、図1Bは、測定装置の構成を示すブロック図である。図2は、測定チップの電極部分の拡大図である。
図1Aに示されるように、測定チップは、2枚のスライドグラス10,12と、その間に配置された1対の電極14,16とから構成されている。電極14,16の厚さは0.02mmであり、電極間の間隔は0.5mmである。2枚のスライドグラス10,12および1対の電極14,16に囲まれた導入路18内には、抗体を固定化されたラテックス粒子20と試料液とを含む混合液が供給される。
導入路18内に混合液を導入した後、交流電源供給装置30を用いて電極14,16間に交流電圧を印加して上記反応系に電場を形成することで、図2Aに示されるように、複数のラテックス粒子20を直鎖状に並べることができる(パールチェーン化)。交流電圧を印加したときの電界強度は、5〜50V/mm程度が好適とされている。交流電圧を印加して試料中の被測定物質を測定する方法は特許文献2にも開示されているが、特許文献2に開示されている方法では印加電圧が50mV程度である。
その後、交流電圧の印加を停止すると、混合液中に被測定物質が存在しない場合は、図2Bに示されるように、ラテックス粒子20はブラウン運動により分散する。一方、混合液中に被測定物質が存在する場合は、図2Cに示されるように、ラテックス粒子20は分散せず、ラテックス粒子20の凝集物がなおも観察される。図1Bに示されるように、顕微鏡22、CCDカメラ24、画像処理ボード26およびパーソナルコンピューター28から構成される画像処理装置を用いてラテックス粒子20の凝集状態を観察して、被測定物質を測定する。
このように特許文献1の方法は、複数の粒子を積極的に接触させることで凝集反応を促進させることができるため、ブラウン運動に依存したラテックス凝集法に比べてより迅速かつ高感度に被測定物質を測定することができる。
一方、上記方法を簡便かつ安価に行うための測定チップが特許文献3に開示されている。図3は、特許文献3に開示されている測定チップの平面図である。この測定チップ40は、スリットが形成された金属箔42の両面に上基板44および下基板46をラミネートして作製される。混合液は導入口48から導入される。空気吸引口50から空気を吸引することで、混合液は導入口48から金属箔42のスリット(導入路)に導入され、測定が行われる。
特開平7−83928号公報 国際公開第2005/001462号パンフレット 特開2003−75441号公報
しかしながら、従来の測定チップには、被測定物質が存在しない場合であってもパールチェーン化した粒子が分散しないという問題、すなわち粒子が非特異的に凝集してしまうという問題があった。これは、交流電圧を印加したときに測定チップ内の混合液の温度が上昇し、粒子に固定化された抗原や抗体などの生体物質が変性してしまうためと考えられる。このように、被測定物質が存在しない場合であっても粒子が非特異的に凝集してしまうため、従来の測定チップでは高感度な測定を行うことができなかった。
本発明は、試料中の被測定物質を生物学的特異的凝集反応を用いて測定する測定チップであって、測定チップ内の混合液の温度上昇に起因する粒子の非特異的凝集を抑制しうる測定チップを提供することを目的とする。
本発明者は、電場を形成する反応部の他にも混合液を保持しうる流路を設けることで上記課題を解決できることを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の測定チップに関する。
[1]一対の対向電極間に交流電圧を印加して、試料中の被測定物質を生物学的特異的凝集反応を用いて測定する測定チップであって、基板と、前記基板内に配置され、一対の対向電極を含む管状の反応部と、外部から前記反応部内に試料を導入する点着口と、前記反応部内の気体を外部に排出する空気孔と、前記点着口と前記反応部とを接続する管状の流路と、を有する測定チップ。
[2]前記反応部と前記空気孔とを接続する管状の第2の流路をさらに有する、[1]に記載の測定チップ。
[3]前記流路の体積は、前記反応部の体積の2〜100%の範囲内である、[1]または[2]に記載の測定チップ。
[4]前記第2の流路の体積は、前記反応部の体積の2〜100%の範囲内である、[2]に記載の測定チップ。
[5]前記被測定物質に特異的に結合する認識物質を固定化された粒子を、前記流路内または前記反応部内にさらに有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の測定チップ。
[6]前記認識物質は、前記被測定物質に特異的に結合する抗体である、[5]に記載の測定チップ。
本発明によれば、反応部内で生じた熱を流路内の混合液に伝えることで反応部内の混合液の温度上昇を抑制することができるため、測定チップ内の混合液の温度上昇に起因する粒子の非特異的凝集を抑制することができる。したがって、本発明によれば、生物学的特異的凝集反応を用いて混合液中の被測定物質を迅速、簡便かつ高感度に測定または検出することができる。
図1Aは従来の測定チップの断面図であり、図1Bは従来の測定装置の構成を示す模式図である。 従来の測定チップの電極部分の拡大図である。 従来の測定チップの平面図である。 図4Aは本発明の実施の形態1に係る測定チップの一例の平面図であり、図4Bは本発明の実施の形態1に係る測定チップの一例の断面図である。 図5Aは本発明の実施の形態1に係る測定チップの別の例の平面図であり、図5Bは本発明の実施の形態1に係る測定チップの別の例の断面図である。 本発明の測定装置の構成を示す模式図である。 図7は本発明の実施の形態2に係る測定チップの平面図である。 実施例1の測定チップの平面図である。 比較例の測定チップの平面図である。 実施例2の測定チップの平面図である。 実施例2の測定結果を示すグラフである。
以下、本明細書において「測定」とは、特定の物質の濃度や量を測定する意味だけでなく、特定の物質の有無を調べる意味も含む。すなわち、本発明の測定チップは、特定の物質を検出するための検出チップでもある。
本発明の測定チップは、試料中の被測定物質を生物学的特異的凝集反応を用いて測定するための測定チップであって、基板、一対の電極を含む反応部、外部から前記反応部内に試料液を導入する点着口、前記反応部内の気体を外部に排出する空気孔、および前記点着口または前記空気孔と前記反応部とを接続する流路を有する。本発明の測定チップは、混合液(試料液および粒子を含む液体)に電場をかける反応部の他に、混合液を保持しうる流路をさらに有することを主たる特徴とする。
基板は、その内部に反応部(後述)を有する絶縁性の板である。基板は、1の部材から構成されていてもよいが、2以上の部材から構成されていてもよい。例えば、基板は、上基板および下基板から構成されていてもよいし(図4B参照)、上基板、中間基板および下基板から構成されていてもよい(図5B参照)。測定時に反応部内の粒子の凝集状態を外部から観察するため、基板の少なくとも一部は透明性を有することが好ましい。基板の面積および厚さは、反応部、点着口、空気孔および流路を無理なく配置することができる範囲で適宜設定すればよい。
基板を構成する絶縁材料の例には、有機材料、ガラス、無機絶縁材料、半導体材料などが含まれる。有機材料の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエンスチレン共重合体、シリコン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホンなどが含まれる。ガラスの例には、アルカリガラス、アルカリソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどが含まれる。無機絶縁材料の例には、アルミナ、サファイア、フォルステライト、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素などが含まれる。半導体材料の例には、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素などが含まれる。この中では、基板の材料はPETが好ましい。基板の材料をPETとすることで、測定チップを容易かつ安価に製造することができ、結果として生産効率を大幅に向上させることができる。
反応部は、基板内に配置された管であり、その内部に一対の対向電極を有する。反応部は、その内部に導入された混合液に電場をかけて、混合液中の粒子を直鎖状に配列させる(パールチェーン化)。一対の対向電極は、粒子をパールチェーン化させるための電極である。通常、各電極は外部の電圧印加手段と接続するための端子に接続されている。
反応部の形状は、特に限定されないが直方体状が好ましい。また、反応部の深さは、5μm以上10μm以下であることが好ましい。反応部内において直径数μmの粒子を1層に配置させることができるからである。その結果、平面視したときに粒子が重ならず、かつピントが合った状態で粒子を観察することができるため、各粒子の凝集状態を正確に計測することができる。反応部の幅および長さは、一対の対向電極を内部に配置すること、すなわち一対の対向電極と混合液とを接触させることができ、かつ、必要量の混合液を保持することができれば特に限定されない。反応部の幅は、0.1mm以上10mm以下が好ましく、0.2mm以上1mm以下がより好ましく、0.7mm程度が特に好ましい。反応部の長さは、5mm程度が好ましい。反応部の内部表面(全部または一部)は、親水性であってもよいし、疎水性であってもよい。後述するように、反応部内には、被測定物質に特異的に結合する認識物質(例えば、抗体)が固定化された粒子が配置されていてもよい。
各電極の位置および形状は、互いに対向しており、粒子がパールチェーン化するように反応部内に電場を形成できるのであれば特に限定されない。電極間の間隔は20μm以上1000μm以下が好ましく、100μm以上500μm以下が特に好ましい。電極間の間隔が20μm未満の場合、直径数μmの粒子が数珠繋ぎ状に並ぶための領域を十分に確保することができず、電極間の間隔が1000μm以上の場合、有効な電界強度を得るためには50V以上の大きな電圧を印加しなければならない(場合によっては有効な電界強度を得られない)からである。電極の材料は、導電性を有し、かつ溶液中で交流電圧を印加しても溶解および剥離しないものであれば特に限定されない。電極の材料の例には、金、銀、白金、銅、アルミ、クロム、ニッケル、タングステンおよびこれらの合金などが含まれる。この中では、電極の材料は金が好ましい。スパッタ技術によって強固に成膜することができ、かつ交流電圧の印加に対する安定性が高いからである。
点着口は、外部から反応部内に液体(試料液または混合液)を導入するための開口部である。点着口は、反応部と直接連通しているか、流路(第1の流路)を介して連通している。点着口の形状は、反応部内に液体を導入することができれば特に限定されない。
空気孔は、点着口から反応部内に液体を導入した際に、反応部内の気体を排出するための開口部である。空気孔は、反応部と直接連通しているか、流路(第2の流路)を介して連通している。空気孔の位置および形状は、点着口から反応部内に液体を導入した際に、反応部内の気体を外部に排出することができれば特に限定されない。
流路は、基板内に配置された管であり、点着口または空気孔と反応部とを接続している。流路の数は1つであってもよいし、2つであってもよい。すなわち、本発明の測定チップは、点着口と反応部とを接続する流路(第1の流路)のみを有していてもよいし(実施の形態1参照)、空気孔と反応部とを接続する流路(第2の流路)のみを有していてもよいし、第1の流路および第2の流路の両方を有していてもよい(実施の形態2参照)。
流路は反応部に隣接しており、点着口から反応部に液体(試料液または混合液)が導入された場合、反応部だけでなく流路も混合液を保持する。したがって、電極間に交流電圧が印加され、反応部内で熱が発生しても、この熱は隣接する流路内の混合液に伝わるため、反応部内の混合液の温度上昇は抑制される。
この温度上昇の抑制効果は、反応部の体積に対する流路の体積で決定される。ここで、測定時(電圧印加時)の反応部内の混合液の温度が45℃を超えてしまうと、粒子が非特異的に凝集し、被測定物質の測定を行うことができなくなる。したがって、流路の体積は、測定時(電圧印加時)の反応部内の混合液の温度が45℃以下になるように設定されることが好ましい。具体的には、流路の体積は、反応部の体積の2%以上100%以下であることが好ましく、5%以上30%以下がより好ましく、10%程度が特に好ましい。
流路の形状は、点着口または空気孔と反応部とを接続できれば特に限定されず、例えば直方体や円柱状であればよい。また、流路の向きは、点着口または空気孔と反応部とを接続できれば特に限定されず、基板面方向に対して水平であってもよいし垂直であってもよい。流路の幅、長さおよび深さは、流路に保持させる混合液の体積に応じて適宜設定すればよい。流路の内部表面(全部または一部)は、親水性であってもよいし、疎水性であってもよい。後述するように、流路内には、被測定物質に特異的に結合する認識物質(例えば、抗体)が固定化された粒子が配置されていてもよい。
以上の構成を有する本発明の測定チップは、電極間に電圧が印加されたときに反応部内の混合液に生じた熱が流路内の混合液に伝わるため、反応部内の混合液の温度上昇を抑制することができる。その結果、本発明の測定チップは、混合液の温度上昇に起因する粒子の非特異的凝集を抑制することができるため、被測定物質を高感度に測定することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1では、点着口と反応部との間に流路(第1の流路)を有する測定チップの例を示す。
図4Aは、実施の形態1に係る測定チップの一例を示す平面図である。図4Bは、図4Aの測定チップのA−A’線における断面図である。
図4Aおよび図4Bにおいて、測定チップ100は、上基板102、下基板104、1対の対抗電極106a,106b、点着口108、流路(第1の流路)110、反応部112、空気孔114および端子116a,116bを有する。
上基板102および下基板104は絶縁性の基板である。上基板102は、下基板104に面する面に凹部を有する。図4Bに示されるように、この凹部は流路110および反応部112の一部を構成する。また、上基板102には、流路110または反応部112に連通する2つの孔(点着口108および空気孔114)が形成されている。反応部112内の粒子の凝集状態を外部から観察するため、少なくとも一方の基板の少なくとも一部(例えば、上基板102の反応部112の上の部分)は透明性を有することが好ましい。上基板102および下基板104の大きさ(面積および厚さ)は、電極106a,106b、点着口108、流路110、反応部112および空気孔114を無理なく配置することができれば特に限定されない。
電極106a,106bは、上基板102と下基板104との間に配置されており、反応部112において対向している。逆に言えば、点着口108と空気孔114とを接続する中空部のうち、電極106a,106bが配置されている部分が反応部112である。電極106a,106bは、それぞれ端子116a,116bに接続されている。電圧印加部のコネクタと端子116a,116bとを接続することで、電圧印加部は電極106a,106b間に交流電圧を印加して反応部112内に電場を形成することができる(後述)。
電極106a,106bの膜厚は、1nm以上10μm以下が好ましい。特に、スパッタを用いて電極106a,106bを形成するときは、製造時間の観点から、電極106a,106bの膜厚は、50nm以上500nm以下が好ましく、100nm程度が特に好ましい。電極の幅118a,118bは、任意に設定することができるが、通常は0.5mm以上5mm以下である。
電極間の間隔120は、20μm以上1000μm以下が好ましい。電極間の間隔120が20μm未満の場合は、粒子がパールチェーン化するための領域を十分に確保できない。一方、電極間の間隔120が1000μmを超える場合は、パールチェーン化を引き起こすための有効な電界強度を得るために50V以上の大きな電圧を印加しなければならなくなるため好ましくない。電極間の間隔120は、100μm以上500μm以下がより好ましく、500μm程度であることが特に好ましい。電極間の間隔120は不変であるため、電圧印加部は電極106a,106b間に印加する電圧を制御することで、反応部内に形成する電場の強度を容易に制御することができる。
点着口108は、流路110と外部とを接続する開口部である。点着口108の形状および大きさは、流路110内に液体(混合液または試料液)を導入することができれば特に限定されない。
流路(第1の流路)110は、点着口108と反応部112とを接続する中空部である。流路110の体積は、反応部112の体積の2%以上100%以下が好ましく、20%程度が特に好ましい。流路110の幅、長さおよび深さは、設定される体積に応じて適宜設定すればよい。流路110および反応部112の断面形状を同一形状とすることで、測定チップ100の作製を容易にすることができる。例えば、図4Aおよび図4Bに示されるように、流路110および反応部112の断面形状が同一形状(長方形)の場合、反応部の長さ(電極の長さ)122が5mmであれば、流路の長さ124は0.1mm以上5mm以下が好ましく、1mm程度が特に好ましい。流路の長さ124とは、点着口108と反応部112との間隔を意味する。
反応部112は、点着口108と空気孔114とを接続する中空部のうち、電極106a,106bが配置されている部分である。前述の通り、反応部の深さ126は、5μm以上10μm以下が好ましい。反応部の幅128は、電極106a,106bを反応部内に配置することができれば特に限定されないが、0.1mm以上10mm以下が好ましく、0.2mm以上1mm以下がより好ましく、0.7mm程度が特に好ましい。また、反応部の長さ122は、5mm程度が好ましい。
空気孔114は、反応部112と外部とを接続する開口部である。空気孔114の形状および大きさは、点着口108から反応部112内に混合液を導入した際に、反応部112内の気体を外部に排出することができれば特に限定されない。
図4Aおよび図4Bに示される測定チップ100は、例えば、1)下基板104上に電極106a,106bを形成する第1のステップと、2)上基板102に流路110および反応部112の形状に応じた凹部、ならびに点着口108および空気孔114の形状に応じた孔を形成する第2のステップと、3)上基板102と下基板104とを貼り合わせる第3のステップとから作製することができる。
第1のステップにおいて、下基板104上に電極106a,106bを形成する方法は、スパッタや蒸着などの薄膜堆積技術、印刷技術などの当業者に公知の技術から選択することができる。電極薄膜が薄いほど上基板102と下基板104との間の隙間を無くすことが可能であるが(図4B参照)、スパッタはこのような薄い電極薄膜を容易に形成することができるので好ましい。なお、第1のステップでは、下基板104の代わりに上基板102上に電極106a,106bを形成してもよい。
第2のステップにおいて、上基板102に凹部(流路110および反応部112)ならびに孔(点着口108および空気孔114)を形成する方法は、切削技術やレーザー除去技術、インプリント技術、フォトリソグラフィーなどの当業者に公知の技術から選択することができる。
第3のステップにおいて、上基板102と下基板104とを貼り合わせる方法は、当業者に公知の技術から選択することができる。
図5Aは、実施の形態1に係る測定チップの別の例を示す平面図である。図5Bは、図5Aの測定チップのA−A’線における断面図である。
図5Aおよび図5Bにおいて、測定チップ200は、上基板102、中間基板202、下基板104、1対の対抗電極106a,106b、点着口108、流路110、反応部112、空気孔114および端子116a,116bを有する。測定チップ200では、上基板102に凹部を形成する代わりに、中間基板202を上基板102と下基板104との間に挟ませることで、流路110および反応部112が形成される。上基板102および中間基板202以外の構成要素は、図4Aおよび図4Bに示される測定チップ100の構成要素と同じである。
測定チップ200では、中間基板202の面積および厚さを調整することで、流路110および反応部112の面積および深さを容易に制御することができる。また、平板状の上基板102を使用することができる。さらに、その両面が接着性または粘着性を有する基板を中間基板202として用いることで、上基板102、中間基板202および下基板104を容易に貼り合わせることができる。このように、図5Aおよび図5Bに示される測定チップ200は、製造効率の観点から優れている。
図5Aおよび図5Bに示される測定チップ200は、例えば、1)下基板104上に電極106a,106bを形成する第1のステップと、2)上基板102に点着口108および空気孔114の形状に応じた孔を形成する第2のステップと、3)上基板102と中間基板202と下基板104とを貼り合わせる第3のステップとから作製することができる。なお、図8(実施例1)に示されるような測定チップを作製する場合は、第2のステップにおいて点着口108および空気孔114を形成する必要はない。すなわち、第2のステップは任意のステップである。
次に、上記構成を有する測定チップ100(または測定チップ200)を用いて被測定物質を測定するための測定装置について説明する。
図6は、測定装置の構成を示す模式図である。図6に示されるように、測定装置300は、撮像部302、制御解析部304および電圧印加部306を有する。測定装置300は、測定チップ100の反応部112内の粒子の凝集状態を観察して、被測定物質を測定する。
撮像部302は、測定チップ100の反応部112内の画像を撮像する。撮像部302は、動画を撮像してもよいし静止画を撮像してもよい。得られた画像は、制御解析部304に出力される。撮像部302は、例えばCCDカメラである。
制御解析部304は、撮像部302および電圧印加部306の動作を制御するとともに、撮像部302が撮像した画像を解析して測定チップ100の反応部112内に存在する粒子の凝集率を算出する。
電圧印加部306は、コネクタ308を介して測定チップ100の電極106a,106bに接続されており、制御解析部304の制御の下で電極106a,106b間に交流電圧を印加して反応部112内に電場を形成する。
次に、上記構成を有する測定チップ100(または測定チップ200)および測定装置300を用いて被測定物質を測定する方法について説明する。
[第1のステップ]
第1のステップでは、被測定物質に特異的に結合する認識物質をその表面に固定化されている粒子を準備する。
認識物質を固定化される担体粒子の種類は、特に限定されない。担体粒子の例には、ラテックス粒子、ベントナイト、カオリン、金コロイド、赤血球細胞、ゼラチン、リポソームなどが含まれる。この中ではラテックス粒子が好ましい。ラテックス粒子は、凝集反応を利用した測定方法で一般に使用されているものから選択されうる。ラテックス粒子の例には、ポリスチレン系ラテックス粒子、ポリビニルトルエン系ラテックス粒子、ポリメタクリレート系ラテックス粒子などが含まれる。ラテックス粒子は、官能基モノマー(−COOH、−OH、−NH、−SOなど)が共重合して導入されていてもよい。
例えば、担体粒子がラテックス粒子の場合、担体粒子の直径(平均粒径)は、0.5μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上5μm以下がより好ましく、2μm以上3μm以下が特に好ましい。担体粒子の直径が0.5μm未満だと、後述する第3のステップにおいて粒子に十分な誘電泳動力を作用させることができず、粒子をパールチェーン化させにくくなる。また、担体粒子の直径が10μmを超えると、後述する第4のステップにおいて凝集していない修飾粒子がブラウン運動により混合液中に分散しにくくなる。担体粒子の直径(平均粒径)は、例えば、光学顕微鏡を用いて観察したり、コールターカウンターを用いて電気抵抗を測定したり、光散乱法で散乱光変化量を測定したりすることで測定することができる。
担体粒子に固定化される認識物質は、被測定物質に特異的に結合しうる物質であれば特に限定されない。認識物質の例には、抗体や核酸、酵素、補酵素(例えば、ビオチン)、レクチン、糖タンパク質、ヘムやポルフィリンなどの有機合成物などが含まれる。これらの認識物質を担体粒子に固定化する方法は特に限定されず、当業者に公知の方法から適宜選択すればよい。例えば、抗体を担体粒子(例えば、ラテックス粒子)に固定化する場合、疎水性相互作用を利用した物理吸着や、アミノ基やスルフヒドリル基などを利用した化学修飾などを用いることができる。
[第2のステップ]
第2のステップでは、試料と第1のステップで準備した粒子を含む混合液を調製する。
試料は、特に限定されず、測定対象や測定目的などに応じて適宜選択すればよい。試料の例には、血液、血漿、血清、それらの希釈物、所定の濃度の塩を含む電解質溶液などが含まれる。
混合液は、抗原抗体反応などの生物学的特異的凝集反応を安定化させる観点から、塩を適量含むことが好ましい。多量の塩を含むと混合液の導電率が上昇し、交流電圧を印加したときに熱が発生する可能性がある。前述の通り、混合液の濃度が上昇すると、粒子が非特異的に凝集して測定できない可能性があるが、本発明の測定チップを用いることでこの問題を回避することができる。
混合液の調製方法は、特に限定されず、当業者に公知の方法から適宜選択すればよい。例えば、第1のステップで粒子を懸濁液として準備した場合は、試料にその懸濁液を適量加えて攪拌し、さらに必要に応じてpHを調整すればよい。また、第1のステップで粒子を固形物(例えば、上記懸濁液の凍結乾燥物や風乾乾燥物など)として準備した場合は、その固形物に試料液を適量加えて攪拌し、さらに必要に応じてpHを調整すればよい。
混合液中の粒子の濃度は、例えば粒子がラテックス粒子の場合は、0.01重量%以上1重量%以下が好ましく、0.1重量%以上0.5重量%以下がより好ましく、0.4重量%程度が特に好ましい。混合液中の粒子の濃度が高いほど、パールチェーンが形成されやすくなり、凝集反応が促進されるが、反応部112において粒子が重なりやすくなり、粒子の凝集状態を正確に観察することが困難となるからである。混合液中の粒子の濃度が高いほど、被測定物質が存在しない場合であっても粒子の凝集度が大きくなる傾向がある。
[第3のステップ]
第3のステップでは、第2のステップで調製した混合液を測定チップ100の反応部112内に導入し、反応部112内に交流電場を形成して、粒子をパールチェーン化させる。
混合液を点着口108から反応部112内に導入すると、流路110および反応部112が混合液で満たされ、混合液は電極106a,106bと接触する。また、流路110および反応部112では、粒子が混合液中で均一に分散された状態となる。
混合液に外部電場を与えると、担体粒子内で双極子が誘起され、この双極子の相互作用により粒子が泳動し(誘電泳動)、粒子が電界方向と並行に一列に並ぶ(パールチェーン化)。このとき、混合液内に被測定物質が存在すれば、粒子は被測定物質を介して他の粒子に会合するため、複数の粒子が凝集する。
測定チップ100の反応部112(または流路110)内には、第1のステップで準備した粒子を予め配置しておいてもよい。すなわち、混合液を調製する第2のステップが、反応部112(または流路110)内で行われてもよい。例えば、粒子を含む固形物(粒子懸濁液の凍結乾燥物や風乾乾燥物など)を予め流路内に配置しておくことで、試料液を点着口108から流路110および反応部112内に導入するのみで第2のステップを終えることができ、被測定物質の測定をより簡便に行うことができる。
電極106a,106b間に印加する交流電圧の波形は、正弦波、矩形波、方形波、三角波などであればよく、連続波でもパルス波でもよい。また、周波数は、特に限定されないが、10kHz以上10MHz以下であることが好ましい。周波数が10kHz未満または10MHz以上の場合、混合液が発熱してしまい、測定を十分に行うことができない。
電極106a,106b間に印加する交流電圧の電界強度は、5V/mm以上50V/mm未満であることが好ましい。電界強度が5V/mm以下だと、パールチェーン化が生じにくくなり、凝集反応を十分に促進させることができない。一方、電界強度が50V/mmを超えると、混合液の発熱により気泡が発生し、測定を行うことができない。
交流電圧を印加すると、反応部112内で熱が発生する。流路110を有しない従来の測定チップでは、この熱により反応部112内の混合液の温度が著しく上昇していた。一方、流路110を有する本発明の測定チップ100では、反応部112内で発生した熱が流路110内の混合液に伝わるため、反応部112内の混合液の温度上昇を抑制することができる(実施例参照)。交流電圧を印加しているときの混合液の温度は、3℃以上45℃以下が好ましく、20℃以上35℃以下がより好ましく、33℃程度が特に好ましい。混合液の温度が45℃を超えると、粒子が非特異的に凝集して、被測定物質の測定を行うことができなくなる。
[第4のステップ]
第4のステップでは、交流電圧の印加を停止した後に、粒子の凝集状態を観察する。
交流電圧の印加を停止すると、凝集していない粒子はブラウン運動により混合液中に分散するが、特異的結合により凝集した粒子は凝集した状態が維持される。粒子の凝集状態は被測定物質の濃度に応じて変化する。したがって、粒子の凝集度を求めることにより、被測定物質の有無を検出したり濃度を測定したりすることができる。
凝集度の算出方法は、特に限定されず観察方法(装置)に応じて適宜選択すればよい。例えば、測定装置300の撮像部302で混合液中の粒子の凝集状態を撮像し、得られた画像から制御解析部304において凝集している粒子の数から凝集度を算出すればよい。粒子の凝集度は、例えば以下の式により算出することができる。

凝集度(%)=(凝集している粒子の数)/(すべての粒子の数)×100
凝集度は、粒子の個数ではなく、粒子の面積を指標として算出することもできる。粒子の凝集度は、例えば以下の式によっても算出することができる。

凝集度(%)=(凝集している粒子の面積)/(すべての粒子の面積)×100
以上のように、実施の形態1の測定チップは、電極間に電圧が印加されたときに反応部内の混合液に生じた熱が第1の流路内の混合液に伝わるため、反応部内の混合液の温度上昇を抑制することができる。したがって、実施の形態1の測定チップは、混合液の温度上昇に起因する粒子の非特異的凝集を抑制することができ、結果として被測定物質を高感度に測定することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、点着口と反応部との間だけでなく、反応部と空気孔との間にも流路(第2の流路)を有する測定チップの例を示す。
図7は、実施の形態2に係る測定チップを示す平面図である。
図7において、測定チップ400は、上基板102、下基板104、1対の対抗電極106a,106b、点着口108、第1の流路110、反応部112、第2の流路402、空気孔114および端子116a,116bを有する。実施の形態2の測定チップ400は、実施の形態1の測定チップ100とほぼ同じ構成であるが、第2の流路402を有する点が異なる。第2の流路402以外の構成要素は、実施の形態1の測定チップの各構成要素と同じため、同一の符号を付し、説明を省略する。
第2の流路402は、反応部112と空気孔114とを接続する中空部である。第2の流路402の体積は、反応部112の体積の2%以上100%以下が好ましく、20%程度が特に好ましい。第2の流路402の幅、長さおよび深さは、設定される体積に応じて適宜設定すればよい。反応部112および第2の流路402の断面形状を同一形状とすることで、測定チップ400の作製を容易にすることができる。例えば、図7に示されるように、反応部112および第2の流路402の断面形状が同一形状(長方形)の場合、反応部の長さ(電極の長さ)122が5mmであれば、第2の流路の長さ404は0.1mm以上5mm以下が好ましく、1mm程度が特に好ましい。第2の流路の長さ404とは、反応部112と空気孔114との間隔を意味する。なお、第1の流路110および第2の流路402は、同一の幅、長さおよび深さである必要はない。
実施の形態2の測定チップ400は、実施の形態1の測定チップ100と同様の手順で作製することができる。また、実施の形態2の測定チップ400は、実施の形態1の測定チップ100と同様の手順で被測定物質の測定に用いることができる。
以上のように、実施の形態2の測定チップは、電極間に電圧が印加されたときに反応部内の混合液に生じた熱が第1の流路および第2の流路内の混合液に伝わるため、反応部内の混合液の温度上昇を抑制することができる。したがって、実施の形態2の測定チップは、混合液の温度上昇に起因する粒子の非特異的凝集を抑制することができ、結果として被測定物質を高感度に測定することができる。
第2の流路を有しない測定チップでは、混合液が空気孔から外部に流出しないため、空気孔付近の粒子の密度が時間の経過とともに上昇していた。粒子の密度が上昇すると、粒子が重なってしまい、凝集していない粒子を凝集している粒子と誤認する可能性がある。この誤認は測定誤差の要因となるため、第2の流路を有しない測定チップを用いて測定を行う場合は、空気孔からある程度離れた領域で粒子の凝集状態を観察する必要があった。
一方、実施の形態2の測定チップでは、反応部と空気孔との間に第2の流路を有するため、反応部の空気孔側の端部でも粒子の密度が上昇せず、反応部内で粒子が均一に分散する。したがって、実施の形態2の測定チップを用いることで、第2の流路(空気孔)に近い領域でも粒子の凝集状態を観察することができ、観察場所を自由に設定することができる。
以下、本発明を実施例を参照してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
(実施例1)
実施例1では、実施の形態1の測定チップ(第1の流路のみを有する測定チップ)を用いて、反応部内の溶液の温度と粒子の非特異的凝集との関係を調べた例を示す。
1.測定チップの作製
本実施例では、図8に示す本発明の測定チップ(実施例1の測定チップ)と、図9に示す流路を有しない従来の測定チップ(比較例の測定チップ)を作製した。
(1)実施例1の測定チップの作製
下基板104として、厚さ0.1mmの清浄なホウケイ酸ガラス(D−263、SCHOTT社)を用意した。電極106a,106bおよび端子116a,116bのパターンを有するステンシルマスク(ステンレス製)を通してスパッタして、ガラスと金との密着性を向上させるためのクロム薄膜(膜厚5nm)を下基板104上に形成した。次いで、同じステンシルマスクを通してスパッタして、クロム薄膜の上に電極106a,106bおよび端子116a,116bとなる金薄膜(膜厚95nm)を形成した。長辺が対向するように配置された1対の矩形電極106a,106b(幅1mm、長さ5mm)間の間隔は0.5mmとした。
上基板102として、下基板と同じホウケイ酸ガラスを用意した。上基板102の大きさは、幅5.5mm、長さ5.5mmとした。
中間基板202として、第1の流路110および反応部112のパターンを有する両面粘着シート(No.5601、日東電工株式会社)を用意した。このシートは、PET製基材の両面にアクリル系の粘着剤が付いており、総厚10μmである。第1の流路110および反応部112の幅は0.7mmとした。第1の流路110の長さは0.5mmとし、反応部112の長さは5mmとした。点着口108および空気孔114の大きさは、幅0.7mm、長さ1mmとした。
反応部112が電極106a,106b間に位置するように中間基板202を下基板104上に貼りあわせ、さらにこの中間基板202上に上基板102を貼りあわせた。このとき、上基板102の端と電極106a,106bの端子側の端とが合うように上基板102を中間基板202上に貼りあわせることで、第1の流路110を形成した(図8参照)。
(2)比較例の測定チップの作製
上記実施例1の測定チップと同様の手順により比較例の測定チップを作製した。比較例の測定チップは、第1の流路を有さず、点着口108と反応部112とが直接接続している点が実施例1の測定チップと異なる。下基板104上の矩形電極106a,106bの大きさおよび位置は、実施例1の測定チップと同様である。反応部112の幅は0.7mmとし、反応部112の長さは3mmとした(図9参照)。
2.反応部内の溶液の温度および凝集度の測定
平均直径2μmのラテックスビーズ(Bangs Laboratories社)を担体粒子として用意し、抗CRPポリクローナル抗体をその表面に固定化した。抗体を固定化された粒子を緩衝液(150mM 塩化ナトリウム,20mM グリシン,0.1% BSA,pH8.6)に希釈して、粒子懸濁液(粒子0.4重量%)を調製した。
測定チップの電極間に印加する電圧ならびにその周波数および波形を制御するべく、波形発生器(33120A;Hewlett Packard社)および電力増幅アンプ(4055;株式会社エヌエフ回路設計ブロック)を電圧印加部として測定チップの端子に接続した。
粒子懸濁液1μLを測定チップの点着口から反応部内に導入し、測定チップの1対の電極間に交流電圧(30V、100kHz)を60秒間印加して、粒子をパールチェーン化させた。電圧の印加を停止してから60秒後に、倒立顕微鏡(オリンパス株式会社)を用いて反応部内を透過光観察し、反応部内の透過光画像を3枚撮像した。実施例1の測定チップおよび比較例の測定チップともに、反応部の深さが10μmのため、粒子が反応部内で2層に重なることなく、かつ粒子が顕微鏡の焦点から外れることもなく、粒子を明瞭に観察することができた。実施例1の測定チップおよび比較例の測定チップともに、交流電圧を印加している間は、反応部内で粒子がパールチェーン化しているのが観察された。
反応部内における粒子の凝集度は、以下の式により求めた。実施例1の測定チップおよび比較例の測定チップそれぞれについて、3枚の画像のそれぞれから算出された凝集度の平均値を代表値とした。溶液に含まれる抗原の濃度が極めて低いため、粒子の凝集度は低いと予想される。

凝集度=(凝集している粒子の面積)/(すべての粒子の面積)×100(%)
また、電圧の印加を停止してから60秒後に、測定チップの上方に配置されたサーモビューワ(TH9100、NEC三栄株式会社)を用いて反応部内の温度を測定した。
表1は、実施例1の測定チップおよび比較例の測定チップの反応部内の溶液の温度および凝集度を示す表である。
Figure 2009031274
比較例の測定チップでは、電圧を印加することにより溶液の温度は62℃まで上昇した。反応部内では粒子がパールチェーン化するのが観察されたが、同時に溶液の蒸発および突沸様の気泡の発生が観察された。電圧の印加を停止した後、一部の粒子がパールチェーン化した状態のまま反応部に固着しているのが観察された。結果として、凝集度は80%と非常に高い値となった。
一方、実施例1の測定チップでは、電圧を印加しても溶液の温度は30℃までしか上昇しなかった。反応部で発生した熱が第1の流路内の溶液に伝わったため、反応部内の溶液の温度上昇を抑制できたと考えられる。電圧の印加を停止した後、パールチェーン化した粒子の多くが再度分散するのが観察された。結果として、凝集度は23%と低い値となった。
以上のように、流路を有しない従来の測定チップ(比較例の測定チップ)では、溶液の温度上昇に起因する粒子の固着化が生じるため、抗原抗体反応などの生物学的特異的凝集反応を利用した測定を高い精度で行うことはできないと考えられる。一方、流路を有する本発明の測定チップ(実施例1の測定チップ)では、粒子の固着化が生じないため、生物学的特異的凝集反応を利用した測定を高い精度で行いうると考えられる。
(実施例2)
実施例2では、実施の形態2の測定チップ(第1の流路および第2の流路を有する測定チップ)を用いて、各種炎症のマーカータンパク質とされるC反応性タンパク質(以下「CRP」という)を測定した例を示す。
1.測定チップの作製
本実施例では、上記実施例1の測定チップと同様の手順により、図10に示す本発明の測定チップ(実施例2の測定チップ)を作製した。実施例2の測定チップは、第1の流路110だけでなく第2の流路402も有する点が実施例1の測定チップと異なる。下基板104上の矩形電極106a,106bの大きさおよび位置は、実施例1の測定チップと同様である。また、第1の流路110および反応部112の幅、長さおよび深さも、実施例1の測定チップと同様である。第2の流路402は、幅0.7mm、長さ0.5mm、深さ10μmとした。第2の流路402を設けるため、上基板102の大きさは、幅5.5mm、長さ6.0mmとした。
2.反応部内の溶液の温度および凝集度の測定
実施例1と同様の手順により、電圧を印加した後の反応部内の混合液の温度および凝集度を測定した。
表2は、実施例2の測定チップの反応部内の溶液の温度および凝集度を示す表である。
Figure 2009031274
実施例2の測定チップでは、電圧を印加しても溶液の温度は29℃までしか上昇しなかった。反応部で発生した熱が第1の流路および第2の流路内の溶液に伝わったため、反応部内の混合液の温度上昇を抑制できたと考えられる。電圧の印加を停止した後、パールチェーン化した粒子の多くが再度分散するのが観察された。結果として、凝集度は22%と低い値となった。
また、反応部のすべての領域において粒子が均一に分散しており、第2の流路に近い領域でも十分に観察することができた。
3.CRPの測定
平均直径2μmのラテックスビーズ(Bangs Laboratories社)を担体粒子として用意し、抗CRPポリクローナル抗体をその表面に固定化した。抗体を固定化された粒子を緩衝液(150mM 塩化ナトリウム,20mM グリシン,0.1% BSA,pH8.6)に希釈して、粒子懸濁液を調製した。
CRP(抗原)を緩衝液(150mM 塩化ナトリウム,20mM グリシン,0.1% BSA,pH8.6)に溶解させて試料溶液とした。試料溶液と粒子懸濁液とを室温で90秒間混合し、CRPの濃度が異なる4種類の混合液を調製した。粒子の濃度は、いずれも0.4重量%とした。CRPの濃度は、4.7×10−6M、4.7×10−8M、4.7×10−10M、0Mのいずれかとした。
混合液1μLを実施例2の測定チップの点着口から反応部内に導入し、測定チップの1対の電極間に交流電圧(30V、100kHz)を60秒間印加して、粒子をパールチェーン化させた。電圧の印加を停止してから60秒後に、反応部内における粒子の凝集度を求めた。
図11は、各混合液における粒子の凝集度を示すグラフである。このグラフに示されるように、本発明の測定チップ(実施例2の測定チップ)を用いることで、反応部内の混合液の温度上昇を抑制することができ、短時間で抗原抗体反応による粒子の凝集を確認することができた。
以上のように、流路を有する本発明の測定チップを用いることで、非常に短時間(3分)で簡便かつ高感度に被測定物質を測定することができる。
本出願は、2007年9月3日出願の特願2007−227754に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明の測定チップは、試料中の被測定物質を迅速、簡便かつ高感度に測定することができるので、例えば、生体試料、特に血液などに含まれるタンパク質などの生体構成成分を分析する測定チップとして有用である。本発明の測定チップは、例えば、血液試料に含まれるタンパク質や健康指標物質などを測定するPOCT診断バイオセンサなどの用途にも応用することが可能である。
本発明は、試料に含まれる被測定物質を生物学的特異的凝集反応を用いて測定または検出する測定チップに関する。
従来、試料に含まれる被測定物質を測定するために、被測定物質に特異的に結合しうる抗体を利用する方法が数多く開発されている。そのひとつに、抗原抗体反応によって生じた免疫凝集物を光学的に検出する方法がある。
この方法では、被測定物質を含む試料液に被測定物質に特異的に結合しうる抗体を一定量加えて免疫凝集物を形成させる。凝集物を形成させた後、試料液に光を照射すると、光は凝集物に当たって散乱する。この散乱光の量は凝集物の量に応じて変化し、凝集物の量は被測定物質の濃度に応じて変化する。したがって、この散乱光を測定することで、試料液中の被測定物質の濃度を測定することができる。一般的に散乱光を測定する免疫比朧法と透過光を測定する免疫比濁法とは区別されているが、凝集物による光の散乱を観察するという点ではいずれも同じ測定原理である。したがって、散乱光だけでなく透過光または反射光を測定しても、試料液中の被測定物質の濃度を測定することができる。
この原理を用いて感度をさらに向上させた方法が、ラテックス凝集法である。前述の方法において抗体をラテックス粒子の表面に固定化させておくと、被測定物質と抗体とが結合することでラテックス粒子の凝集物が形成される。ラテックス粒子の凝集物は抗原および抗体からなる凝集物よりもはるかに光の散乱が大きいため、ラテックス凝集法では被測定物質をより高感度に測定することができる。
ラテックス凝集法をさらに高感度化させる方法として、特許文献1に開示されている測定方法が知られている。以下、図1および図2を用いて特許文献1に開示されている測定方法について説明する。図1Aは、測定チップの断面図であり、図1Bは、測定装置の構成を示すブロック図である。図2は、測定チップの電極部分の拡大図である。
図1Aに示されるように、測定チップは、2枚のスライドグラス10,12と、その間に配置された1対の電極14,16とから構成されている。電極14,16の厚さは0.02mmであり、電極間の間隔は0.5mmである。2枚のスライドグラス10,12および1対の電極14,16に囲まれた導入路18内には、抗体を固定化されたラテックス粒子20と試料液とを含む混合液が供給される。
導入路18内に混合液を導入した後、交流電源供給装置30を用いて電極14,16間に交流電圧を印加して上記反応系に電場を形成することで、図2Aに示されるように、複数のラテックス粒子20を直鎖状に並べることができる(パールチェーン化)。交流電圧を印加したときの電界強度は、5〜50V/mm程度が好適とされている。交流電圧を印加して試料中の被測定物質を測定する方法は特許文献2にも開示されているが、特許文献2に開示されている方法では印加電圧が50mV程度である。
その後、交流電圧の印加を停止すると、混合液中に被測定物質が存在しない場合は、図2Bに示されるように、ラテックス粒子20はブラウン運動により分散する。一方、混合液中に被測定物質が存在する場合は、図2Cに示されるように、ラテックス粒子20は分散せず、ラテックス粒子20の凝集物がなおも観察される。図1Bに示されるように、顕微鏡22、CCDカメラ24、画像処理ボード26およびパーソナルコンピューター28
から構成される画像処理装置を用いてラテックス粒子20の凝集状態を観察して、被測定物質を測定する。
このように特許文献1の方法は、複数の粒子を積極的に接触させることで凝集反応を促進させることができるため、ブラウン運動に依存したラテックス凝集法に比べてより迅速かつ高感度に被測定物質を測定することができる。
一方、上記方法を簡便かつ安価に行うための測定チップが特許文献3に開示されている。図3は、特許文献3に開示されている測定チップの平面図である。この測定チップ40は、スリットが形成された金属箔42の両面に上基板44および下基板46をラミネートして作製される。混合液は導入口48から導入される。空気吸引口50から空気を吸引することで、混合液は導入口48から金属箔42のスリット(導入路)に導入され、測定が行われる。
特開平7−83928号公報 国際公開第2005/001462号パンフレット 特開2003−75441号公報
しかしながら、従来の測定チップには、被測定物質が存在しない場合であってもパールチェーン化した粒子が分散しないという問題、すなわち粒子が非特異的に凝集してしまうという問題があった。これは、交流電圧を印加したときに測定チップ内の混合液の温度が上昇し、粒子に固定化された抗原や抗体などの生体物質が変性してしまうためと考えられる。このように、被測定物質が存在しない場合であっても粒子が非特異的に凝集してしまうため、従来の測定チップでは高感度な測定を行うことができなかった。
本発明は、試料中の被測定物質を生物学的特異的凝集反応を用いて測定する測定チップであって、測定チップ内の混合液の温度上昇に起因する粒子の非特異的凝集を抑制しうる測定チップを提供することを目的とする。
本発明者は、電場を形成する反応部の他にも混合液を保持しうる流路を設けることで上記課題を解決できることを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の測定チップに関する。
[1]一対の対向電極間に交流電圧を印加して、試料中の被測定物質を生物学的特異的凝集反応を用いて測定する測定チップであって、基板と、前記基板内に配置され、一対の対向電極を含む管状の反応部と、外部から前記反応部内に試料を導入する点着口と、前記反応部内の気体を外部に排出する空気孔と、前記点着口と前記反応部とを接続する管状の流路と、を有する測定チップ。
[2]前記反応部と前記空気孔とを接続する管状の第2の流路をさらに有する、[1]に記載の測定チップ。
[3]前記流路の体積は、前記反応部の体積の2〜100%の範囲内である、[1]または[2]に記載の測定チップ。
[4]前記第2の流路の体積は、前記反応部の体積の2〜100%の範囲内である、[2]に記載の測定チップ。
[5]前記被測定物質に特異的に結合する認識物質を固定化された粒子を、前記流路内または前記反応部内にさらに有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の測定チップ。
[6]前記認識物質は、前記被測定物質に特異的に結合する抗体である、[5]に記載
の測定チップ。
本発明によれば、反応部内で生じた熱を流路内の混合液に伝えることで反応部内の混合液の温度上昇を抑制することができるため、測定チップ内の混合液の温度上昇に起因する粒子の非特異的凝集を抑制することができる。したがって、本発明によれば、生物学的特異的凝集反応を用いて混合液中の被測定物質を迅速、簡便かつ高感度に測定または検出することができる。
以下、本明細書において「測定」とは、特定の物質の濃度や量を測定する意味だけでなく、特定の物質の有無を調べる意味も含む。すなわち、本発明の測定チップは、特定の物質を検出するための検出チップでもある。
本発明の測定チップは、試料中の被測定物質を生物学的特異的凝集反応を用いて測定するための測定チップであって、基板、一対の電極を含む反応部、外部から前記反応部内に試料液を導入する点着口、前記反応部内の気体を外部に排出する空気孔、および前記点着口または前記空気孔と前記反応部とを接続する流路を有する。本発明の測定チップは、混合液(試料液および粒子を含む液体)に電場をかける反応部の他に、混合液を保持しうる流路をさらに有することを主たる特徴とする。
基板は、その内部に反応部(後述)を有する絶縁性の板である。基板は、1の部材から構成されていてもよいが、2以上の部材から構成されていてもよい。例えば、基板は、上基板および下基板から構成されていてもよいし(図4B参照)、上基板、中間基板および下基板から構成されていてもよい(図5B参照)。測定時に反応部内の粒子の凝集状態を外部から観察するため、基板の少なくとも一部は透明性を有することが好ましい。基板の面積および厚さは、反応部、点着口、空気孔および流路を無理なく配置することができる範囲で適宜設定すればよい。
基板を構成する絶縁材料の例には、有機材料、ガラス、無機絶縁材料、半導体材料などが含まれる。有機材料の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカー
ボネート(PC)、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエンスチレン共重合体、シリコン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホンなどが含まれる。ガラスの例には、アルカリガラス、アルカリソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどが含まれる。無機絶縁材料の例には、アルミナ、サファイア、フォルステライト、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素などが含まれる。半導体材料の例には、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素などが含まれる。この中では、基板の材料はPETが好ましい。基板の材料をPETとすることで、測定チップを容易かつ安価に製造することができ、結果として生産効率を大幅に向上させることができる。
反応部は、基板内に配置された管であり、その内部に一対の対向電極を有する。反応部は、その内部に導入された混合液に電場をかけて、混合液中の粒子を直鎖状に配列させる(パールチェーン化)。一対の対向電極は、粒子をパールチェーン化させるための電極である。通常、各電極は外部の電圧印加手段と接続するための端子に接続されている。
反応部の形状は、特に限定されないが直方体状が好ましい。また、反応部の深さは、5μm以上10μm以下であることが好ましい。反応部内において直径数μmの粒子を1層に配置させることができるからである。その結果、平面視したときに粒子が重ならず、かつピントが合った状態で粒子を観察することができるため、各粒子の凝集状態を正確に計測することができる。反応部の幅および長さは、一対の対向電極を内部に配置すること、すなわち一対の対向電極と混合液とを接触させることができ、かつ、必要量の混合液を保持することができれば特に限定されない。反応部の幅は、0.1mm以上10mm以下が好ましく、0.2mm以上1mm以下がより好ましく、0.7mm程度が特に好ましい。反応部の長さは、5mm程度が好ましい。反応部の内部表面(全部または一部)は、親水性であってもよいし、疎水性であってもよい。後述するように、反応部内には、被測定物質に特異的に結合する認識物質(例えば、抗体)が固定化された粒子が配置されていてもよい。
各電極の位置および形状は、互いに対向しており、粒子がパールチェーン化するように反応部内に電場を形成できるのであれば特に限定されない。電極間の間隔は20μm以上1000μm以下が好ましく、100μm以上500μm以下が特に好ましい。電極間の間隔が20μm未満の場合、直径数μmの粒子が数珠繋ぎ状に並ぶための領域を十分に確保することができず、電極間の間隔が1000μm以上の場合、有効な電界強度を得るためには50V以上の大きな電圧を印加しなければならない(場合によっては有効な電界強度を得られない)からである。電極の材料は、導電性を有し、かつ溶液中で交流電圧を印加しても溶解および剥離しないものであれば特に限定されない。電極の材料の例には、金、銀、白金、銅、アルミ、クロム、ニッケル、タングステンおよびこれらの合金などが含まれる。この中では、電極の材料は金が好ましい。スパッタ技術によって強固に成膜することができ、かつ交流電圧の印加に対する安定性が高いからである。
点着口は、外部から反応部内に液体(試料液または混合液)を導入するための開口部である。点着口は、反応部と直接連通しているか、流路(第1の流路)を介して連通している。点着口の形状は、反応部内に液体を導入することができれば特に限定されない。
空気孔は、点着口から反応部内に液体を導入した際に、反応部内の気体を排出するための開口部である。空気孔は、反応部と直接連通しているか、流路(第2の流路)を介して連通している。空気孔の位置および形状は、点着口から反応部内に液体を導入した際に、反応部内の気体を外部に排出することができれば特に限定されない。
流路は、基板内に配置された管であり、点着口または空気孔と反応部とを接続している。流路の数は1つであってもよいし、2つであってもよい。すなわち、本発明の測定チップは、点着口と反応部とを接続する流路(第1の流路)のみを有していてもよいし(実施の形態1参照)、空気孔と反応部とを接続する流路(第2の流路)のみを有していてもよいし、第1の流路および第2の流路の両方を有していてもよい(実施の形態2参照)。
流路は反応部に隣接しており、点着口から反応部に液体(試料液または混合液)が導入された場合、反応部だけでなく流路も混合液を保持する。したがって、電極間に交流電圧が印加され、反応部内で熱が発生しても、この熱は隣接する流路内の混合液に伝わるため、反応部内の混合液の温度上昇は抑制される。
この温度上昇の抑制効果は、反応部の体積に対する流路の体積で決定される。ここで、測定時(電圧印加時)の反応部内の混合液の温度が45℃を超えてしまうと、粒子が非特異的に凝集し、被測定物質の測定を行うことができなくなる。したがって、流路の体積は、測定時(電圧印加時)の反応部内の混合液の温度が45℃以下になるように設定されることが好ましい。具体的には、流路の体積は、反応部の体積の2%以上100%以下であることが好ましく、5%以上30%以下がより好ましく、10%程度が特に好ましい。
流路の形状は、点着口または空気孔と反応部とを接続できれば特に限定されず、例えば直方体や円柱状であればよい。また、流路の向きは、点着口または空気孔と反応部とを接続できれば特に限定されず、基板面方向に対して水平であってもよいし垂直であってもよい。流路の幅、長さおよび深さは、流路に保持させる混合液の体積に応じて適宜設定すればよい。流路の内部表面(全部または一部)は、親水性であってもよいし、疎水性であってもよい。後述するように、流路内には、被測定物質に特異的に結合する認識物質(例えば、抗体)が固定化された粒子が配置されていてもよい。
以上の構成を有する本発明の測定チップは、電極間に電圧が印加されたときに反応部内の混合液に生じた熱が流路内の混合液に伝わるため、反応部内の混合液の温度上昇を抑制することができる。その結果、本発明の測定チップは、混合液の温度上昇に起因する粒子の非特異的凝集を抑制することができるため、被測定物質を高感度に測定することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1では、点着口と反応部との間に流路(第1の流路)を有する測定チップの例を示す。
図4Aは、実施の形態1に係る測定チップの一例を示す平面図である。図4Bは、図4Aの測定チップのA−A’線における断面図である。
図4Aおよび図4Bにおいて、測定チップ100は、上基板102、下基板104、1対の対抗電極106a,106b、点着口108、流路(第1の流路)110、反応部112、空気孔114および端子116a,116bを有する。
上基板102および下基板104は絶縁性の基板である。上基板102は、下基板104に面する面に凹部を有する。図4Bに示されるように、この凹部は流路110および反応部112の一部を構成する。また、上基板102には、流路110または反応部112に連通する2つの孔(点着口108および空気孔114)が形成されている。反応部112内の粒子の凝集状態を外部から観察するため、少なくとも一方の基板の少なくとも一部
(例えば、上基板102の反応部112の上の部分)は透明性を有することが好ましい。上基板102および下基板104の大きさ(面積および厚さ)は、電極106a,106b、点着口108、流路110、反応部112および空気孔114を無理なく配置することができれば特に限定されない。
電極106a,106bは、上基板102と下基板104との間に配置されており、反応部112において対向している。逆に言えば、点着口108と空気孔114とを接続する中空部のうち、電極106a,106bが配置されている部分が反応部112である。電極106a,106bは、それぞれ端子116a,116bに接続されている。電圧印加部のコネクタと端子116a,116bとを接続することで、電圧印加部は電極106a,106b間に交流電圧を印加して反応部112内に電場を形成することができる(後述)。
電極106a,106bの膜厚は、1nm以上10μm以下が好ましい。特に、スパッタを用いて電極106a,106bを形成するときは、製造時間の観点から、電極106a,106bの膜厚は、50nm以上500nm以下が好ましく、100nm程度が特に好ましい。電極の幅118a,118bは、任意に設定することができるが、通常は0.5mm以上5mm以下である。
電極間の間隔120は、20μm以上1000μm以下が好ましい。電極間の間隔120が20μm未満の場合は、粒子がパールチェーン化するための領域を十分に確保できない。一方、電極間の間隔120が1000μmを超える場合は、パールチェーン化を引き起こすための有効な電界強度を得るために50V以上の大きな電圧を印加しなければならなくなるため好ましくない。電極間の間隔120は、100μm以上500μm以下がより好ましく、500μm程度であることが特に好ましい。電極間の間隔120は不変であるため、電圧印加部は電極106a,106b間に印加する電圧を制御することで、反応部内に形成する電場の強度を容易に制御することができる。
点着口108は、流路110と外部とを接続する開口部である。点着口108の形状および大きさは、流路110内に液体(混合液または試料液)を導入することができれば特に限定されない。
流路(第1の流路)110は、点着口108と反応部112とを接続する中空部である。流路110の体積は、反応部112の体積の2%以上100%以下が好ましく、20%程度が特に好ましい。流路110の幅、長さおよび深さは、設定される体積に応じて適宜設定すればよい。流路110および反応部112の断面形状を同一形状とすることで、測定チップ100の作製を容易にすることができる。例えば、図4Aおよび図4Bに示されるように、流路110および反応部112の断面形状が同一形状(長方形)の場合、反応部の長さ(電極の長さ)122が5mmであれば、流路の長さ124は0.1mm以上5mm以下が好ましく、1mm程度が特に好ましい。流路の長さ124とは、点着口108と反応部112との間隔を意味する。
反応部112は、点着口108と空気孔114とを接続する中空部のうち、電極106a,106bが配置されている部分である。前述の通り、反応部の深さ126は、5μm以上10μm以下が好ましい。反応部の幅128は、電極106a,106bを反応部内に配置することができれば特に限定されないが、0.1mm以上10mm以下が好ましく、0.2mm以上1mm以下がより好ましく、0.7mm程度が特に好ましい。また、反応部の長さ122は、5mm程度が好ましい。
空気孔114は、反応部112と外部とを接続する開口部である。空気孔114の形状
および大きさは、点着口108から反応部112内に混合液を導入した際に、反応部112内の気体を外部に排出することができれば特に限定されない。
図4Aおよび図4Bに示される測定チップ100は、例えば、1)下基板104上に電極106a,106bを形成する第1のステップと、2)上基板102に流路110および反応部112の形状に応じた凹部、ならびに点着口108および空気孔114の形状に応じた孔を形成する第2のステップと、3)上基板102と下基板104とを貼り合わせる第3のステップとから作製することができる。
第1のステップにおいて、下基板104上に電極106a,106bを形成する方法は、スパッタや蒸着などの薄膜堆積技術、印刷技術などの当業者に公知の技術から選択することができる。電極薄膜が薄いほど上基板102と下基板104との間の隙間を無くすことが可能であるが(図4B参照)、スパッタはこのような薄い電極薄膜を容易に形成することができるので好ましい。なお、第1のステップでは、下基板104の代わりに上基板102上に電極106a,106bを形成してもよい。
第2のステップにおいて、上基板102に凹部(流路110および反応部112)ならびに孔(点着口108および空気孔114)を形成する方法は、切削技術やレーザー除去技術、インプリント技術、フォトリソグラフィーなどの当業者に公知の技術から選択することができる。
第3のステップにおいて、上基板102と下基板104とを貼り合わせる方法は、当業者に公知の技術から選択することができる。
図5Aは、実施の形態1に係る測定チップの別の例を示す平面図である。図5Bは、図5Aの測定チップのA−A’線における断面図である。
図5Aおよび図5Bにおいて、測定チップ200は、上基板102、中間基板202、下基板104、1対の対抗電極106a,106b、点着口108、流路110、反応部112、空気孔114および端子116a,116bを有する。測定チップ200では、上基板102に凹部を形成する代わりに、中間基板202を上基板102と下基板104との間に挟ませることで、流路110および反応部112が形成される。上基板102および中間基板202以外の構成要素は、図4Aおよび図4Bに示される測定チップ100の構成要素と同じである。
測定チップ200では、中間基板202の面積および厚さを調整することで、流路110および反応部112の面積および深さを容易に制御することができる。また、平板状の上基板102を使用することができる。さらに、その両面が接着性または粘着性を有する基板を中間基板202として用いることで、上基板102、中間基板202および下基板104を容易に貼り合わせることができる。このように、図5Aおよび図5Bに示される測定チップ200は、製造効率の観点から優れている。
図5Aおよび図5Bに示される測定チップ200は、例えば、1)下基板104上に電極106a,106bを形成する第1のステップと、2)上基板102に点着口108および空気孔114の形状に応じた孔を形成する第2のステップと、3)上基板102と中間基板202と下基板104とを貼り合わせる第3のステップとから作製することができる。なお、図8(実施例1)に示されるような測定チップを作製する場合は、第2のステップにおいて点着口108および空気孔114を形成する必要はない。すなわち、第2のステップは任意のステップである。
次に、上記構成を有する測定チップ100(または測定チップ200)を用いて被測定物質を測定するための測定装置について説明する。
図6は、測定装置の構成を示す模式図である。図6に示されるように、測定装置300は、撮像部302、制御解析部304および電圧印加部306を有する。測定装置300は、測定チップ100の反応部112内の粒子の凝集状態を観察して、被測定物質を測定する。
撮像部302は、測定チップ100の反応部112内の画像を撮像する。撮像部302は、動画を撮像してもよいし静止画を撮像してもよい。得られた画像は、制御解析部304に出力される。撮像部302は、例えばCCDカメラである。
制御解析部304は、撮像部302および電圧印加部306の動作を制御するとともに、撮像部302が撮像した画像を解析して測定チップ100の反応部112内に存在する粒子の凝集率を算出する。
電圧印加部306は、コネクタ308を介して測定チップ100の電極106a,106bに接続されており、制御解析部304の制御の下で電極106a,106b間に交流電圧を印加して反応部112内に電場を形成する。
次に、上記構成を有する測定チップ100(または測定チップ200)および測定装置300を用いて被測定物質を測定する方法について説明する。
[第1のステップ]
第1のステップでは、被測定物質に特異的に結合する認識物質をその表面に固定化されている粒子を準備する。
認識物質を固定化される担体粒子の種類は、特に限定されない。担体粒子の例には、ラテックス粒子、ベントナイト、カオリン、金コロイド、赤血球細胞、ゼラチン、リポソームなどが含まれる。この中ではラテックス粒子が好ましい。ラテックス粒子は、凝集反応を利用した測定方法で一般に使用されているものから選択されうる。ラテックス粒子の例には、ポリスチレン系ラテックス粒子、ポリビニルトルエン系ラテックス粒子、ポリメタクリレート系ラテックス粒子などが含まれる。ラテックス粒子は、官能基モノマー(−COOH、−OH、−NH、−SOなど)が共重合して導入されていてもよい。
例えば、担体粒子がラテックス粒子の場合、担体粒子の直径(平均粒径)は、0.5μm以上10μm以下が好ましく、1μm以上5μm以下がより好ましく、2μm以上3μm以下が特に好ましい。担体粒子の直径が0.5μm未満だと、後述する第3のステップにおいて粒子に十分な誘電泳動力を作用させることができず、粒子をパールチェーン化させにくくなる。また、担体粒子の直径が10μmを超えると、後述する第4のステップにおいて凝集していない修飾粒子がブラウン運動により混合液中に分散しにくくなる。担体粒子の直径(平均粒径)は、例えば、光学顕微鏡を用いて観察したり、コールターカウンターを用いて電気抵抗を測定したり、光散乱法で散乱光変化量を測定したりすることで測定することができる。
担体粒子に固定化される認識物質は、被測定物質に特異的に結合しうる物質であれば特に限定されない。認識物質の例には、抗体や核酸、酵素、補酵素(例えば、ビオチン)、レクチン、糖タンパク質、ヘムやポルフィリンなどの有機合成物などが含まれる。これらの認識物質を担体粒子に固定化する方法は特に限定されず、当業者に公知の方法から適宜選択すればよい。例えば、抗体を担体粒子(例えば、ラテックス粒子)に固定化する場合
、疎水性相互作用を利用した物理吸着や、アミノ基やスルフヒドリル基などを利用した化学修飾などを用いることができる。
[第2のステップ]
第2のステップでは、試料と第1のステップで準備した粒子を含む混合液を調製する。
試料は、特に限定されず、測定対象や測定目的などに応じて適宜選択すればよい。試料の例には、血液、血漿、血清、それらの希釈物、所定の濃度の塩を含む電解質溶液などが含まれる。
混合液は、抗原抗体反応などの生物学的特異的凝集反応を安定化させる観点から、塩を適量含むことが好ましい。多量の塩を含むと混合液の導電率が上昇し、交流電圧を印加したときに熱が発生する可能性がある。前述の通り、混合液の濃度が上昇すると、粒子が非特異的に凝集して測定できない可能性があるが、本発明の測定チップを用いることでこの問題を回避することができる。
混合液の調製方法は、特に限定されず、当業者に公知の方法から適宜選択すればよい。例えば、第1のステップで粒子を懸濁液として準備した場合は、試料にその懸濁液を適量加えて攪拌し、さらに必要に応じてpHを調整すればよい。また、第1のステップで粒子を固形物(例えば、上記懸濁液の凍結乾燥物や風乾乾燥物など)として準備した場合は、その固形物に試料液を適量加えて攪拌し、さらに必要に応じてpHを調整すればよい。
混合液中の粒子の濃度は、例えば粒子がラテックス粒子の場合は、0.01重量%以上1重量%以下が好ましく、0.1重量%以上0.5重量%以下がより好ましく、0.4重量%程度が特に好ましい。混合液中の粒子の濃度が高いほど、パールチェーンが形成されやすくなり、凝集反応が促進されるが、反応部112において粒子が重なりやすくなり、粒子の凝集状態を正確に観察することが困難となるからである。混合液中の粒子の濃度が高いほど、被測定物質が存在しない場合であっても粒子の凝集度が大きくなる傾向がある。
[第3のステップ]
第3のステップでは、第2のステップで調製した混合液を測定チップ100の反応部112内に導入し、反応部112内に交流電場を形成して、粒子をパールチェーン化させる。
混合液を点着口108から反応部112内に導入すると、流路110および反応部112が混合液で満たされ、混合液は電極106a,106bと接触する。また、流路110および反応部112では、粒子が混合液中で均一に分散された状態となる。
混合液に外部電場を与えると、担体粒子内で双極子が誘起され、この双極子の相互作用により粒子が泳動し(誘電泳動)、粒子が電界方向と並行に一列に並ぶ(パールチェーン化)。このとき、混合液内に被測定物質が存在すれば、粒子は被測定物質を介して他の粒子に会合するため、複数の粒子が凝集する。
測定チップ100の反応部112(または流路110)内には、第1のステップで準備した粒子を予め配置しておいてもよい。すなわち、混合液を調製する第2のステップが、反応部112(または流路110)内で行われてもよい。例えば、粒子を含む固形物(粒子懸濁液の凍結乾燥物や風乾乾燥物など)を予め流路内に配置しておくことで、試料液を点着口108から流路110および反応部112内に導入するのみで第2のステップを終えることができ、被測定物質の測定をより簡便に行うことができる。
電極106a,106b間に印加する交流電圧の波形は、正弦波、矩形波、方形波、三角波などであればよく、連続波でもパルス波でもよい。また、周波数は、特に限定されないが、10kHz以上10MHz以下であることが好ましい。周波数が10kHz未満または10MHz以上の場合、混合液が発熱してしまい、測定を十分に行うことができない。
電極106a,106b間に印加する交流電圧の電界強度は、5V/mm以上50V/mm未満であることが好ましい。電界強度が5V/mm以下だと、パールチェーン化が生じにくくなり、凝集反応を十分に促進させることができない。一方、電界強度が50V/mmを超えると、混合液の発熱により気泡が発生し、測定を行うことができない。
交流電圧を印加すると、反応部112内で熱が発生する。流路110を有しない従来の測定チップでは、この熱により反応部112内の混合液の温度が著しく上昇していた。一方、流路110を有する本発明の測定チップ100では、反応部112内で発生した熱が流路110内の混合液に伝わるため、反応部112内の混合液の温度上昇を抑制することができる(実施例参照)。交流電圧を印加しているときの混合液の温度は、3℃以上45℃以下が好ましく、20℃以上35℃以下がより好ましく、33℃程度が特に好ましい。混合液の温度が45℃を超えると、粒子が非特異的に凝集して、被測定物質の測定を行うことができなくなる。
[第4のステップ]
第4のステップでは、交流電圧の印加を停止した後に、粒子の凝集状態を観察する。
交流電圧の印加を停止すると、凝集していない粒子はブラウン運動により混合液中に分散するが、特異的結合により凝集した粒子は凝集した状態が維持される。粒子の凝集状態は被測定物質の濃度に応じて変化する。したがって、粒子の凝集度を求めることにより、被測定物質の有無を検出したり濃度を測定したりすることができる。
凝集度の算出方法は、特に限定されず観察方法(装置)に応じて適宜選択すればよい。例えば、測定装置300の撮像部302で混合液中の粒子の凝集状態を撮像し、得られた画像から制御解析部304において凝集している粒子の数から凝集度を算出すればよい。粒子の凝集度は、例えば以下の式により算出することができる。

凝集度(%)=(凝集している粒子の数)/(すべての粒子の数)×100
凝集度は、粒子の個数ではなく、粒子の面積を指標として算出することもできる。粒子の凝集度は、例えば以下の式によっても算出することができる。

凝集度(%)=(凝集している粒子の面積)/(すべての粒子の面積)×100
以上のように、実施の形態1の測定チップは、電極間に電圧が印加されたときに反応部内の混合液に生じた熱が第1の流路内の混合液に伝わるため、反応部内の混合液の温度上昇を抑制することができる。したがって、実施の形態1の測定チップは、混合液の温度上昇に起因する粒子の非特異的凝集を抑制することができ、結果として被測定物質を高感度に測定することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、点着口と反応部との間だけでなく、反応部と空気孔との間にも流路
(第2の流路)を有する測定チップの例を示す。
図7は、実施の形態2に係る測定チップを示す平面図である。
図7において、測定チップ400は、上基板102、下基板104、1対の対抗電極106a,106b、点着口108、第1の流路110、反応部112、第2の流路402、空気孔114および端子116a,116bを有する。実施の形態2の測定チップ400は、実施の形態1の測定チップ100とほぼ同じ構成であるが、第2の流路402を有する点が異なる。第2の流路402以外の構成要素は、実施の形態1の測定チップの各構成要素と同じため、同一の符号を付し、説明を省略する。
第2の流路402は、反応部112と空気孔114とを接続する中空部である。第2の流路402の体積は、反応部112の体積の2%以上100%以下が好ましく、20%程度が特に好ましい。第2の流路402の幅、長さおよび深さは、設定される体積に応じて適宜設定すればよい。反応部112および第2の流路402の断面形状を同一形状とすることで、測定チップ400の作製を容易にすることができる。例えば、図7に示されるように、反応部112および第2の流路402の断面形状が同一形状(長方形)の場合、反応部の長さ(電極の長さ)122が5mmであれば、第2の流路の長さ404は0.1mm以上5mm以下が好ましく、1mm程度が特に好ましい。第2の流路の長さ404とは、反応部112と空気孔114との間隔を意味する。なお、第1の流路110および第2の流路402は、同一の幅、長さおよび深さである必要はない。
実施の形態2の測定チップ400は、実施の形態1の測定チップ100と同様の手順で作製することができる。また、実施の形態2の測定チップ400は、実施の形態1の測定チップ100と同様の手順で被測定物質の測定に用いることができる。
以上のように、実施の形態2の測定チップは、電極間に電圧が印加されたときに反応部内の混合液に生じた熱が第1の流路および第2の流路内の混合液に伝わるため、反応部内の混合液の温度上昇を抑制することができる。したがって、実施の形態2の測定チップは、混合液の温度上昇に起因する粒子の非特異的凝集を抑制することができ、結果として被測定物質を高感度に測定することができる。
第2の流路を有しない測定チップでは、混合液が空気孔から外部に流出しないため、空気孔付近の粒子の密度が時間の経過とともに上昇していた。粒子の密度が上昇すると、粒子が重なってしまい、凝集していない粒子を凝集している粒子と誤認する可能性がある。この誤認は測定誤差の要因となるため、第2の流路を有しない測定チップを用いて測定を行う場合は、空気孔からある程度離れた領域で粒子の凝集状態を観察する必要があった。
一方、実施の形態2の測定チップでは、反応部と空気孔との間に第2の流路を有するため、反応部の空気孔側の端部でも粒子の密度が上昇せず、反応部内で粒子が均一に分散する。したがって、実施の形態2の測定チップを用いることで、第2の流路(空気孔)に近い領域でも粒子の凝集状態を観察することができ、観察場所を自由に設定することができる。
以下、本発明を実施例を参照してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
(実施例1)
実施例1では、実施の形態1の測定チップ(第1の流路のみを有する測定チップ)を用
いて、反応部内の溶液の温度と粒子の非特異的凝集との関係を調べた例を示す。
1.測定チップの作製
本実施例では、図8に示す本発明の測定チップ(実施例1の測定チップ)と、図9に示す流路を有しない従来の測定チップ(比較例の測定チップ)を作製した。
(1)実施例1の測定チップの作製
下基板104として、厚さ0.1mmの清浄なホウケイ酸ガラス(D−263、SCHOTT社)を用意した。電極106a,106bおよび端子116a,116bのパターンを有するステンシルマスク(ステンレス製)を通してスパッタして、ガラスと金との密着性を向上させるためのクロム薄膜(膜厚5nm)を下基板104上に形成した。次いで、同じステンシルマスクを通してスパッタして、クロム薄膜の上に電極106a,106bおよび端子116a,116bとなる金薄膜(膜厚95nm)を形成した。長辺が対向するように配置された1対の矩形電極106a,106b(幅1mm、長さ5mm)間の間隔は0.5mmとした。
上基板102として、下基板と同じホウケイ酸ガラスを用意した。上基板102の大きさは、幅5.5mm、長さ5.5mmとした。
中間基板202として、第1の流路110および反応部112のパターンを有する両面粘着シート(No.5601、日東電工株式会社)を用意した。このシートは、PET製基材の両面にアクリル系の粘着剤が付いており、総厚10μmである。第1の流路110および反応部112の幅は0.7mmとした。第1の流路110の長さは0.5mmとし、反応部112の長さは5mmとした。点着口108および空気孔114の大きさは、幅0.7mm、長さ1mmとした。
反応部112が電極106a,106b間に位置するように中間基板202を下基板104上に貼りあわせ、さらにこの中間基板202上に上基板102を貼りあわせた。このとき、上基板102の端と電極106a,106bの端子側の端とが合うように上基板102を中間基板202上に貼りあわせることで、第1の流路110を形成した(図8参照)。
(2)比較例の測定チップの作製
上記実施例1の測定チップと同様の手順により比較例の測定チップを作製した。比較例の測定チップは、第1の流路を有さず、点着口108と反応部112とが直接接続している点が実施例1の測定チップと異なる。下基板104上の矩形電極106a,106bの大きさおよび位置は、実施例1の測定チップと同様である。反応部112の幅は0.7mmとし、反応部112の長さは3mmとした(図9参照)。
2.反応部内の溶液の温度および凝集度の測定
平均直径2μmのラテックスビーズ(Bangs Laboratories社)を担体粒子として用意し、抗CRPポリクローナル抗体をその表面に固定化した。抗体を固定化された粒子を緩衝液(150mM 塩化ナトリウム,20mM グリシン,0.1% BSA,pH8.6)に希釈して、粒子懸濁液(粒子0.4重量%)を調製した。
測定チップの電極間に印加する電圧ならびにその周波数および波形を制御するべく、波形発生器(33120A;Hewlett Packard社)および電力増幅アンプ(4055;株式会社エヌエフ回路設計ブロック)を電圧印加部として測定チップの端子に接続した。
粒子懸濁液1μLを測定チップの点着口から反応部内に導入し、測定チップの1対の電
極間に交流電圧(30V、100kHz)を60秒間印加して、粒子をパールチェーン化させた。電圧の印加を停止してから60秒後に、倒立顕微鏡(オリンパス株式会社)を用いて反応部内を透過光観察し、反応部内の透過光画像を3枚撮像した。実施例1の測定チップおよび比較例の測定チップともに、反応部の深さが10μmのため、粒子が反応部内で2層に重なることなく、かつ粒子が顕微鏡の焦点から外れることもなく、粒子を明瞭に観察することができた。実施例1の測定チップおよび比較例の測定チップともに、交流電圧を印加している間は、反応部内で粒子がパールチェーン化しているのが観察された。
反応部内における粒子の凝集度は、以下の式により求めた。実施例1の測定チップおよび比較例の測定チップそれぞれについて、3枚の画像のそれぞれから算出された凝集度の平均値を代表値とした。溶液に含まれる抗原の濃度が極めて低いため、粒子の凝集度は低いと予想される。

凝集度=(凝集している粒子の面積)/(すべての粒子の面積)×100(%)
また、電圧の印加を停止してから60秒後に、測定チップの上方に配置されたサーモビューワ(TH9100、NEC三栄株式会社)を用いて反応部内の温度を測定した。
表1は、実施例1の測定チップおよび比較例の測定チップの反応部内の溶液の温度および凝集度を示す表である。
Figure 2009031274
比較例の測定チップでは、電圧を印加することにより溶液の温度は62℃まで上昇した。反応部内では粒子がパールチェーン化するのが観察されたが、同時に溶液の蒸発および突沸様の気泡の発生が観察された。電圧の印加を停止した後、一部の粒子がパールチェーン化した状態のまま反応部に固着しているのが観察された。結果として、凝集度は80%と非常に高い値となった。
一方、実施例1の測定チップでは、電圧を印加しても溶液の温度は30℃までしか上昇しなかった。反応部で発生した熱が第1の流路内の溶液に伝わったため、反応部内の溶液の温度上昇を抑制できたと考えられる。電圧の印加を停止した後、パールチェーン化した粒子の多くが再度分散するのが観察された。結果として、凝集度は23%と低い値となった。
以上のように、流路を有しない従来の測定チップ(比較例の測定チップ)では、溶液の温度上昇に起因する粒子の固着化が生じるため、抗原抗体反応などの生物学的特異的凝集反応を利用した測定を高い精度で行うことはできないと考えられる。一方、流路を有する本発明の測定チップ(実施例1の測定チップ)では、粒子の固着化が生じないため、生物学的特異的凝集反応を利用した測定を高い精度で行いうると考えられる。
(実施例2)
実施例2では、実施の形態2の測定チップ(第1の流路および第2の流路を有する測定チップ)を用いて、各種炎症のマーカータンパク質とされるC反応性タンパク質(以下「CRP」という)を測定した例を示す。
1.測定チップの作製
本実施例では、上記実施例1の測定チップと同様の手順により、図10に示す本発明の測定チップ(実施例2の測定チップ)を作製した。実施例2の測定チップは、第1の流路110だけでなく第2の流路402も有する点が実施例1の測定チップと異なる。下基板104上の矩形電極106a,106bの大きさおよび位置は、実施例1の測定チップと同様である。また、第1の流路110および反応部112の幅、長さおよび深さも、実施例1の測定チップと同様である。第2の流路402は、幅0.7mm、長さ0.5mm、深さ10μmとした。第2の流路402を設けるため、上基板102の大きさは、幅5.5mm、長さ6.0mmとした。
2.反応部内の溶液の温度および凝集度の測定
実施例1と同様の手順により、電圧を印加した後の反応部内の混合液の温度および凝集度を測定した。
表2は、実施例2の測定チップの反応部内の溶液の温度および凝集度を示す表である。
Figure 2009031274
実施例2の測定チップでは、電圧を印加しても溶液の温度は29℃までしか上昇しなかった。反応部で発生した熱が第1の流路および第2の流路内の溶液に伝わったため、反応部内の混合液の温度上昇を抑制できたと考えられる。電圧の印加を停止した後、パールチェーン化した粒子の多くが再度分散するのが観察された。結果として、凝集度は22%と低い値となった。
また、反応部のすべての領域において粒子が均一に分散しており、第2の流路に近い領域でも十分に観察することができた。
3.CRPの測定
平均直径2μmのラテックスビーズ(Bangs Laboratories社)を担体粒子として用意し、抗CRPポリクローナル抗体をその表面に固定化した。抗体を固定化された粒子を緩衝液(150mM 塩化ナトリウム,20mM グリシン,0.1% BSA,pH8.6)に希釈して、粒子懸濁液を調製した。
CRP(抗原)を緩衝液(150mM 塩化ナトリウム,20mM グリシン,0.1% BSA,pH8.6)に溶解させて試料溶液とした。試料溶液と粒子懸濁液とを室温で90秒間混合し、CRPの濃度が異なる4種類の混合液を調製した。粒子の濃度は、いずれも0.4重量%とした。CRPの濃度は、4.7×10−6M、4.7×10−8M、4.7×10−10M、0Mのいずれかとした。
混合液1μLを実施例2の測定チップの点着口から反応部内に導入し、測定チップの1対の電極間に交流電圧(30V、100kHz)を60秒間印加して、粒子をパールチェーン化させた。電圧の印加を停止してから60秒後に、反応部内における粒子の凝集度を求めた。
図11は、各混合液における粒子の凝集度を示すグラフである。このグラフに示されるように、本発明の測定チップ(実施例2の測定チップ)を用いることで、反応部内の混合
液の温度上昇を抑制することができ、短時間で抗原抗体反応による粒子の凝集を確認することができた。
以上のように、流路を有する本発明の測定チップを用いることで、非常に短時間(3分)で簡便かつ高感度に被測定物質を測定することができる。
本出願は、2007年9月3日出願の特願2007−227754に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
本発明の測定チップは、試料中の被測定物質を迅速、簡便かつ高感度に測定することができるので、例えば、生体試料、特に血液などに含まれるタンパク質などの生体構成成分を分析する測定チップとして有用である。本発明の測定チップは、例えば、血液試料に含まれるタンパク質や健康指標物質などを測定するPOCT診断バイオセンサなどの用途にも応用することが可能である。
図1Aは従来の測定チップの断面図であり、図1Bは従来の測定装置の構成を示す模式図である。 従来の測定チップの電極部分の拡大図である。 従来の測定チップの平面図である。 図4Aは本発明の実施の形態1に係る測定チップの一例の平面図であり、図4Bは本発明の実施の形態1に係る測定チップの一例の断面図である。 図5Aは本発明の実施の形態1に係る測定チップの別の例の平面図であり、図5Bは本発明の実施の形態1に係る測定チップの別の例の断面図である。 本発明の測定装置の構成を示す模式図である。 図7は本発明の実施の形態2に係る測定チップの平面図である。 実施例1の測定チップの平面図である。 比較例の測定チップの平面図である。 実施例2の測定チップの平面図である。 実施例2の測定結果を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 一対の対向電極間に交流電圧を印加して、試料中の被測定物質を生物学的特異的凝集反応を用いて測定する測定チップであって、
    基板と、
    前記基板内に配置され、一対の対向電極を含む管状の反応部と、
    外部から前記反応部内に試料を導入する点着口と、
    前記反応部内の気体を外部に排出する空気孔と、
    前記点着口と前記反応部とを接続する管状の流路と、
    を有する測定チップ。
  2. 前記反応部と前記空気孔とを接続する管状の第2の流路をさらに有する、請求項1に記載の測定チップ。
  3. 前記流路の体積は、前記反応部の体積の2〜100%の範囲内である、請求項1に記載の測定チップ。
  4. 前記第2の流路の体積は、前記反応部の体積の2〜100%の範囲内である、請求項2に記載の測定チップ。
  5. 前記被測定物質に特異的に結合する認識物質を固定化された粒子を、前記流路内または前記反応部内にさらに有する、請求項1に記載の測定チップ。
  6. 前記認識物質は、前記被測定物質に特異的に結合する抗体である、請求項5に記載の測定チップ。
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