JP6036142B2 - ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂の製造方法に関する。
ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐熱性、機械的強度及び耐衝撃性等が極めて高い等、優れた特性を数多く有し、幅広い分野で多量に使用されている。具体的には、各種機械部品、各種電気絶縁性材料、自動車部品、光ディスク等の情報機器材料、ヘルメット等の安全防護材料等、極めて多岐な用途が挙げられる。
このようなポリカーボネート樹脂の製造方法として、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応により重縮合させる溶融法、及びジヒドロキシ化合物と塩化カルボニルとを界面にて反応させる界面法が知られている。
上記製造方法のうち、エステル交換反応による溶融法は、界面法と比較して安価にポリカーボネート樹脂を製造することができるという利点を有している。溶融法でポリカーボネート樹脂を製造する場合は、複数の反応器が直列に接続した製造装置を用いて、原料化合物を減圧下、溶融状態で多段階で重縮合反応をさせる(重縮合工程)ことによって段階的にポリカーボネート樹脂の重合度(平均分子量)を増大させていくことによって行われる(例えば、特許文献1〜3参照)。
ここで、ポリカーボネート樹脂の重縮合は、エステル交換反応で副生するモノヒドロキシ化合物(ジフェニルカーボネート(DPC)の場合はフェノール)を反応系から除去することにより進行する。副生するモノヒドロキシ化合物は蒸気圧が高く、気相中に存在するため、反応器上部には副生するモノヒドロキシ化合物を除去するための減圧ライン(減圧装置に連結された減圧ベント配管)が設けられている。
ところで、重縮合工程における重合反応液には、高分子化したポリマー成分以外にも、未反応の原料モノマーや、低分子オリゴマーが含まれている。
重合反応液が流入口から反応器内に供給されると、重合反応液に含まれる低分子オリゴマーやポリマーは、副生したモノヒドロキシ化合物と同伴して、飛沫同伴(エントレインメント、以下、「エントレ」と略記する場合がある。)するという問題がある。
エントレしたオリゴマーやポリマー等の留出成分は、減圧装置に引き込まれ、一部が減圧ラインに付着しヤケや結晶化物、ゲル等の異物となり、反応器内部に落下し、コンタミ(異物混入)してポリカーボネート樹脂の品質を悪化させる原因となっていた。また、減圧装置に連結される減圧ライン(留出管)の途中で、留出成分が固化して配管の圧力損失が大きくなり、減圧状態を維持できなくなる場合があった。
なお、重縮合反応が進行するにつれ、粘度が上昇するので、後段の反応器になるほど重合反応液は高粘度となり、エントレするオリゴマーやポリマーの量が増加し、上記品質や運転安定性の面において特に問題となっていた。
特開2012−153886号公報 特開2011−246628号公報 特開2011−117008号公報
かかる状況下、本発明の目的は、エントレして減圧ラインに移送されたオリゴマーやポリマー等の留出成分が、反応器内に再び戻ることを防止し、長期間、安定して良好な品質のポリカーボネート樹脂を製造することができる方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
[1] ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを複数の反応器で重縮合反応をさせ、各反応器で副生するモノヒドロキシ化合物を、減圧装置に連結された減圧ラインを介して反応系外へ留出させながら、ポリカーボネート樹脂を製造する方法であって、前記複数の反応器のうち、重合反応液の粘度平均分子量が5,000以上である反応器における前記減圧ラインに備えられた捕集ポットにより、留出成分を捕集し、前記捕集ポットが、捕集した留出成分の除去のための抜出ラインを有し、かつ、モノヒドロキシ化合物の供給ラインを有するポリカーボネート樹脂の製造方法。
[2] 前記捕集ポットが、前記反応器と、前記反応器と減圧装置の間に設けられた凝縮器との間に設けられている前記[1]に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[3] 前記反応器から前記捕集ポットまでの距離が、配管長で20m以内である前記[1]又は[2]に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[4] 前記反応器から前記捕集ポットまでの減圧ライン内におけるガス線速が、actualで30m/秒以下である前記[1]乃至[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
[] 前記反応器が、横型反応器である前記[1]乃至[4]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法
本発明によれば、減圧ラインに設けられた留出成分の捕集ポットにより、エントレした留出成分を捕集できるので、変性した留出成分が、反応器内に再び戻ることを防止することができ、反応器内の異物混入が回避され、長期間、安定して良好な品質のポリカーボネート樹脂が製造することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法にかかる留去機構の模式図である。 本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法における製造工程の一例を示す模式図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において、「〜」という表現を用いた場合、その前後の数値または物理値を含む意味で用いることとする。また、本明細書における圧力とは、真空を基準に表した、いわゆる絶対圧力を指す。
本発明は、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを複数の反応器で重縮合反応をさせ、各反応器で副生するモノヒドロキシ化合物を、減圧装置に連結された減圧ラインを介して反応系外へ留出させながら、ポリカーボネート樹脂を製造する方法であって、前記複数の反応器のうち、少なくとも一つの反応器における前記減圧ラインに備えられた捕集ポットにより、留出成分を捕集するポリカーボネート樹脂の製造方法に関する。
<ポリカーボネート樹脂の製造工程>
本発明の製造方法では、原料モノマーとして、後述するジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と、ジフェニルカーボネート(DPC)等の炭酸ジエステルをそれぞれ溶融状態にて、原料混合溶融液を調製し(原料調製工程)、重合触媒の存在下、これらの化合物を溶融状態で少なくとも2器の直列に接続された反応器を用いる多段工程で重縮合反応をさせる(重縮合工程)ことにより行われ、副生するモノヒドロキシ化合物を反応系から除去することにより、反応を進行させ、ポリカーボネート樹脂を生成させる。
なお、以下において、複数器の反応器を用いる場合において、1器目の反応器を第1反応器、2器目の反応器を第2反応器、3器目の反応器を第3反応器、……と称する。
また、製造工程において、重合反応液(以下、単に「反応液」と記載する場合がある。)には、未反応原料モノマー、副生するモノヒドロキシ化合物のほか、重合体として低分子オリゴマーからポリマーまで含まれる場合がある。
重縮合工程は前段反応と後段反応の2段階に分けられる。前段反応は、主に低重合度のオリゴマー生成のための工程であり、通常好ましくは150℃〜270℃、より好ましくは170℃〜260℃の温度で、好ましくは0.1時間〜10時間、より好ましくは0.5時間〜3時間実施され、副生するモノヒドロキシ化合物を留出させ、オリゴマーを生成させる。
後段反応は、より重合度の高いポリマー生成のための工程であり、反応系の圧力を前段反応から徐々に下げ、反応温度も徐々に上げていき、同時に発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ除きながら、最終的には反応系の圧力が2kPa以下で、通常好ましくは250℃〜350℃、より好ましくは260℃〜320℃の温度範囲のもとで重縮合反応を行い、ポリカーボネート樹脂を生成させる。
溶融法によるポリカーボネート樹脂の製造設備では、重縮合工程で副生した副生物等を含む留出ガスを、反応器から排出するための留去設備が設けられている。図1に模式図を示すように、留去設備は、重縮合反応を行う反応器と、留出する物質を凝縮する凝縮器、系内を減圧にする真空ポンプ等の減圧装置、及び、反応器と減圧装置とを繋ぐ減圧ラインを基本構成とするが、本発明にかかる製造設備では、前記複数の反応器のうち、少なくとも一つの反応器における減圧ラインに捕集ポットが備えられていることを特徴とする。
ここで、「減圧ラインに捕集ポットが備えられている」とは、減圧装置と反応器を繋ぐ配管の途中に直接捕集ポットを設けていてもよいし、図1に示すように減圧装置と反応器を繋ぐ配管の途中から枝分かれしていてもよい。図1の構成の場合は、上昇管の下部になるように捕集ポットを設置し、重力によってエントレしたオリゴマー又はポリマー等の留出成分を落下させて捕集する。
上述のように重縮合工程で副生したモノヒドロキシ化合物と共にエントレしたオリゴマー又はポリマーは、減圧ライン(留出管)に付着してヤケや結晶化物、ゲル等の異物となり、コンタミの原因となり、ポリカーボネート樹脂の品質悪化を招くおそれがある。
これに対し、本発明の製造方法においては、配管に設けられた捕集ポットにエントレしたオリゴマーやポリマー等の留出成分を捕集することにより、減圧ライン内に溜まる液体分及び固体分を最小限に抑え、上記留出成分が変性した異物が落下して反応器内に再び戻ることを防止することができる。同時に、留出成分の付着により、圧力損失が大きくなりすぎることを回避でき(常に真空度がキープでき)、長期間、安定した重合反応が行える。
なお、図1では、好適な形態として、1器の捕集ポットが、反応器と凝縮器との間に設けられているが、複数の捕集ポットを設けてもよい。また、捕集ポットは、凝縮器の後段に設けられていてもよい。
より効果的に留出成分を回収し、エントレを抑制するためには捕集ポットは、反応器近傍にあることが好ましく、減圧ラインの配管(上昇管)を極力反応器の近くで曲げて、捕集ポットを反応器の直近に設置するのが好ましい。
より具体的には、前記反応器から前記捕集ポットまでの距離が、配管長で20m以内であることが好ましく、より好ましくは15m以内である。さらに、エントレし配管壁面に付着した留出成分が反応器に再び戻ることがないように、減圧ラインの立ち上がり部分は最短とし、それ以外のラインは捕集ポットに向けて傾斜をつけるのが好ましい。
また、エントレは、減圧ラインにおける留出ガスのガス速度が大きい方が起こりやすい。エントレの発生を抑制するためには、反応器から捕集ポットまでの減圧ライン内におけるガス線速が、actualで30m/秒以下であることが好ましく、より好ましくは25m/秒以下である。なお、actualのガス線速とは、副生ガスが発生する反応器内の温度、圧力の条件で副生ガスの留出量を算出し、それを減圧ラインの配管断面積で割った値を意味する。
前記捕集ポットが、捕集した留出成分の除去のための抜出ラインを有し、かつ、モノヒドロキシ化合物の供給ラインを有することが好ましい。
留出成分は、捕集ポットに所定量蓄積されたのち、抜き出す必要があるが、留出成分に含まれるポリマー成分は、捕集ポット内で固化して付着物となる場合があり、長期滞留すると分岐ゲル化したり、結晶化して抜き出せなくなる場合がある。そこで、捕集ポットに接続された供給ラインを介してモノヒドロキシ化合物を供給して該留出物を解重合することにより、抜出を容易に行うことができる。
そのため、エントレしたオリゴマーやポリマーの量が多い場合でも、運転中に解重合して抜出ができるので、長期間の安定生産が可能となる。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法は、エントレによる品質や運転面で悪影響を受けやすい高粘度の重合反応液に好適であり、具体的には重合反応液の粘度平均分子量が5,000以上であり、特には、8,000以上で効果的に用いられる。
そのため、好適な対象となる反応器は、高粘度の重合反応液の撹拌に適した、プラグフロー性を有する横型反応器である。
以下、図2を用いて、本実施の形態が適用される本発明の製造方法の各工程を具体的に説明する。以下に説明する製造装置や原料または触媒は本発明の実施態様の一例であり、本発明は以下に説明する例に限定されるものではない。
図2は、本発明の製造方法で用いる製造装置の一例を示す図である。
図2に示す連続製造装置は、原料調製用の原料混合層2aと、直列に接続された4器の反応器(第1竪型攪拌反応器6a、第2竪型攪拌反応器6b、第1横型攪拌反応器6c、第2横型攪拌反応器6d)と、重縮合工程で副生した副生物等を反応器から排出するための留去設備(減圧ライン11a〜11d、捕集ポットP1及びP2、凝縮器12a〜12d、留出液回収タンク14a)と、を主要部として構成される。
図2の製造装置において、第1竪型攪拌反応器6a、第2竪型攪拌反応器6b、第1横型攪拌反応器6c、第2横型攪拌反応器6dが直列に設けられている。
各反応器では液面レベルを一定に保ち、重縮合反応が行われ、第1竪型攪拌反応器6aの槽底より排出された重合反応液は第2竪型攪拌反応器6bへ、続いて、第1横型攪拌反応器6cへ、第2横型攪拌反応器6dへと順次連続供給され、重縮合反応が進行する。各反応器における反応条件は、重縮合反応の進行とともに高温、高真空、低攪拌速度となるようにそれぞれ設定する。
第1竪型攪拌反応器6a及び第2竪型攪拌反応器6bには、攪拌翼7a、7bがそれぞれ設けられている。攪拌翼の形式としては、例えば、タービン翼、パドル翼、ファウドラー翼、アンカー翼、フルゾーン翼(神鋼パンテック(株)製)、サンメラー翼(三菱重工業(株)製)、マックスブレンド翼(住友重機械工業(株)製)、ヘリカルリボン翼またはねじり格子翼((株)日立製作所製)等が挙げられる。
また、第1竪型攪拌反応器6aと第2竪型攪拌反応器6bは、供給熱量が特に大きくなることがあるため、熱媒温度が過剰に高温にならないように、それぞれ内部熱交換器8a、8bが設けられている。
第1横型攪拌反応器6c及び第2横型攪拌反応器6dには、1軸円板型撹拌翼7cと2軸メガネ型攪拌翼7dが設けられている。第1横型攪拌反応器6cの後には移送する反応液が高粘度になるため、ギアポンプ5が設けられている。
攪拌翼の形式としては、その他にも、例えば、パドル型等の一軸タイプの攪拌翼、またはHVR、SCR、N−SCR(三菱重工業(株)製)、バイボラック(住友重機械工業(株)製)、若しくは格子翼((株)日立製作所製)等の二軸タイプの攪拌翼が挙げられる。また、横型反応器の水平回転軸の長さをLとし、攪拌翼の回転直径をDとしたときにL/Dが1〜15であることが好ましく、より好ましくは2〜10である。
なお、これらの4器の反応器には、それぞれ、重縮合工程で副生したモノヒドロキシ化合物(例えば、フェノール)等を含む留出ガスを排出するための減圧ライン11a、11b、11c、11dが取り付けられる。
減圧ライン11a、11b、11c、11dは、それぞれ凝縮器12a、12b、12c、12dに接続され、また、各反応器は減圧装置13a、13b、13c、13dにより、所定の減圧状態に保たれる。留出ガスは凝縮器12a、12b、12c、12dにて液化して留出液回収タンク14aに回収される。なお、凝縮器は通常の熱交換器を使用することができるが、場合によっては凝縮液化のみならず、2器並列で切替運転をしながら片方では留出成分を冷却固化し、もう片方では溶融回収する方法を採用しても良い。したがって、本明細書の凝縮器は、通常の冷却凝縮器から冷却固化器までを含む。
また、第1竪型攪拌反応器6aと第2竪型攪拌反応器6bについては留出液の一部を反応系に戻すために、還流冷却器9a、9bと還流管10a、10bがそれぞれ設けられている。還流比は反応器の圧力と、還流冷却器の冷媒温度とをそれぞれ適宜調整することにより制御可能である。
第1横型攪拌反応器6c及び第2横型攪拌反応器6dに接続された減圧ライン11c,11dには、それぞれ捕集ポットP1及びP2が設けられている。その基本構成は、図1の通りである。
後段反応工程である、第1横型攪拌反応器6c及び第2横型攪拌反応器6dでは、重合反応液の粘度平均分子量が5,000以上であり、特には、8,000以上であることが多く、高粘度物はエントレした場合、減圧ラインに付着し易く、ゲル化や結晶化、ヤケ等になり、品質面および真空安定性の面で問題となる場合が多い。
減圧ライン11c,11dに設けられた捕集ポットP1,P2にエントレしたオリゴマーやポリマー等の留出成分を捕集することにより、減圧ライン内に溜まる液体分及び固体分を最小限に抑え、上記留出成分が変性した異物が落下して、反応器内に再び戻ることを防止することができる。同時に、留出成分の付着により、圧力損失が大きくなりすぎることを回避でき(常に真空度がキープでき)、長期間、安定した重合反応が行える。
捕集ポットP1,P2は、第1横型攪拌反応器6c及び第2横型攪拌反応器6dの減圧ラインの配管(上昇管)を反応器の近くで曲げて設置されている。各反応器から各捕集ポットまでの距離は、配管長で20m以内である。
また、図2に示すように減圧ライン11c,11dは、第1横型攪拌反応器6c及び第2横型攪拌反応器6dの中央より重合反応液入口側に接続されている。
高粘度の重合反応液をプラグフローで撹拌する横型反応器の場合、副生するモノヒドロキシ化合物のガスは、入口付近で最も発生し易いため、横型反応器中央より重合反応液入口側にベント口としての減圧ラインを設置することにより、反応器内で副生したガスは重合反応液と接触する頻度が少なく系外に排出でき、エントレの発生をより抑制することができる。
捕集ポットP1,P2の大きさ(容積)は、発生する留出成分の量を考慮して決定される。捕集ポットP1,P2には、捕集した留出成分の除去のための抜出ライン15c,15dがそれぞれ設けられており、さらに該捕集ポットにはモノヒドロキシ化合物の供給ライン16c,16dが設けられている。
留出成分は、捕集ポットに所定量蓄積されたのち、抜き出す必要があるが、留出成分に含まれるポリマー成分は、捕集ポット内で変性して付着物となる場合があり、長期間滞留すると分岐ゲル化したり、結晶化して抜き出せなくなったりする場合がある。そこで、捕集ポットに接続された供給ラインを介してモノヒドロキシ化合物を供給して該留出物を解重合することにより、抜出を容易に行うことができる。
供給ラインにより捕集ポットに供給されるモノヒドロキシ化合物は、新たなモノヒドロキシ化合物を別途供給してもよいが、留出液回収タンク14aで回収したモノヒドロキシ化合物を再利用してもよい。
第1横型攪拌反応器6c及び第2横型攪拌反応器6dにおいて、攪拌翼端部と反応器内壁面との気相部クリアランスは、20mm以上が好ましい。
20mm以上の気相部クリアランスを有することにより、副生したモノヒドロキシ化合物のガス流路が確保でき、回転する攪拌翼によって形成される重合反応液の液膜を破ってガスが通過することを低減でき、ポリマー等のエントレの発生を抑制することができる。
また、第1横型攪拌反応器6cと第2横型攪拌反応器6dにそれぞれ取り付けられた凝縮器12c、12dの下流側にはコールドトラップ(図示せず)が設けられ、副生物を連続的に固化回収しても良い。
<連続製造装置における溶融重縮合の開始>
本実施の形態では、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応に基づく重縮合は、以下の手順に従い開始される。
先ず、図2に示す連続製造装置において、直列に接続された4器の反応器(第1竪型攪拌反応器6a、第2竪型攪拌反応器6b、第1横型攪拌反応器6c、第2横型攪拌反応器
6d)を、予め、所定の内温と圧力とにそれぞれ設定する。
まず、原料調製工程において、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、所定の温度で調製された炭酸ジエステル(例えば、DPC)の溶融液を原料供給口1aから原料混合槽2aに連続的に供給される。また、窒素ガス雰囲気下で計量されたジヒドロキシ化合物(例えば、ビスフェノールA)が、原料供給口1bから、原料混合槽2aに連続的に供給される。そして、原料混合槽2a内でこれらは所定のモル比で混合され、原料混合溶融液が得られる。
次に、得られた原料混合溶融液は、配管L1に備えられた原料フィルター4を経由して第1竪型攪拌反応器6aに連続的に供給される。触媒(例えば、炭酸セシウム水溶液)が、原料混合溶融液の移送配管途中の触媒供給口1cから配管L1に連続的に供給される。
続いて、前述した4器の反応器の内温と圧力が、それぞれの設定値の±5%の範囲内に達した後に、別途、原料混合槽2aで調製した原料混合溶融液を、第1竪型攪拌反応器6a内に連続供給する。また、原料混合溶融液の供給開始と同時に、第1竪型攪拌反応器6a内に触媒供給口1cから触媒を連続供給し、エステル交換反応を開始する。
エステル交換反応が行われる第1竪型攪拌反応器6aでは、重合反応液の液面レベルは、所定の平均滞留時間になるように一定に保たれる。平均滞留時間は、通常0.1時間〜10時間であることが好ましく、より好ましくは0.5時間〜5時間、更に好ましくは0.5時間〜3時間である
続いて、重合反応液は、第1竪型攪拌反応器6aの槽底から排出され、配管L2を介して第2竪型攪拌反応器6bへ供給される。
ここで、各反応器の内温、圧力は、特に限定されないが、反応器の内温は、通常150℃〜270℃であることが好ましく、より好ましくは170℃〜260℃であり、反応器の内圧は好ましくは80kPa〜1.3kPaである。
各反応器の内温、熱媒温度と圧力の好適な具体例を示すと以下の通りである。
(第1竪型攪拌反応器6a)
内温:200℃〜230℃、圧力:20kPa〜5kPa、加熱媒体の温度220℃〜280℃、還流比0.01〜10
(第2竪型攪拌反応器6b)
内温:230℃〜270℃、圧力:10kPa〜1kPa、加熱媒体の温度240℃〜300℃、還流比0.01〜5
この前段反応工程において、副生するフェノール等のモノヒドロキシ化合物は理論量に対して50%から95%が留出され、オリゴマーが生成し、一部ポリマー化が進行する。
また、上述のように第1竪型攪拌反応器6a及び第2竪型攪拌反応器6bには、未反応原料の留出の抑制と、減圧による反応の促進を両立させるために、還流冷却器9a、9bと還流管10a、10bがそれぞれ設けられている。第1竪型攪拌反応器6aのみならず、後段の第2竪型攪拌反応器6bにも還流冷却器を設けることにより、得られるポリカーボネート樹脂の組成を安定化したり、回収されたフェノール等のモノヒドロキシ化合物中の不純物量を低減する可能性がある。
続いて第2竪型攪拌反応器6bの槽底から排出された重合反応液は、配管L3を介して、第1横型攪拌反応器6c、さらにはL4を介して第2横型攪拌反応器6dへ逐次連続供給される。第1横型攪拌反応器6c、第2横型攪拌反応器6dでは、所定の温度および圧力条件下で、副生するフェノール等のモノヒドロキシ化合物および一部未反応モノマーを、減圧ライン11c、11dを介して系外に除去してポリカーボネート樹脂を生成させる。
後段反応工程では、重合反応液の粘度が増大しているため、撹拌力の高い横型攪拌反応器が好ましく用いられる。横型攪拌反応器は、攪拌翼の回転軸が横型(水平方向)で、この水平回転軸にほぼ直角に取り付けられた相互に不連続な攪拌翼を有するものであり、重合反応液を、反応器入口から出口へプラグフローで移動させることができる。
反応温度は、好ましくは250℃〜350℃、より好ましくは260℃〜320℃である。圧力は、通常13.3kPa〜1.3Paであることが好ましく、より好ましくは2kPa〜3Pa、更に好ましくは1kPa〜10Paである。平均滞留時間は、通常0.1時間〜10時間であることが好ましく、より好ましくは0.5時間〜5時間、更に好ましくは0.5時間〜2時間である。
後段反応工程における各反応器においては、重縮合反応の進行とともに副生するフェノール等のモノヒドロキシ化合物をより効果的に系外に除去するために、上記の反応条件内で、段階的により高温、より高真空に設定することが好ましい。尚、得られるポリカーボネート樹脂の色調等の品質低下を防止するためには、できるだけ低温および短滞留時間の設定が好ましい。
各反応器の内温、熱媒温度と圧力の好適な具体例を示すと以下の通りである。
(第1横型攪拌反応器6c)
内温:250℃〜280℃、圧力:2kPa〜100Pa、加熱媒体の温度250℃〜310℃
(第2横型攪拌反応器6d)
内温:260℃〜300℃、圧力:200Pa〜10Pa、加熱媒体の温度260℃〜320℃
なお、エントレの発生を抑制するために、反応器から捕集ポットまでの減圧ライン内におけるガス線速が、actualで30m/秒以下(好ましくは25m/秒以下)となるように、減圧ラインの配管径を設計するのが好ましい。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂は、上述の通り重縮合反応後、通常、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化される。ペレット化の方法は限定されるものではないが、例えば、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化させる方法、最終重合反応器から溶融状態で一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法、又は、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させて一旦ペレット化させた後に、再度一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法等が挙げられる。
その際、押出機中で、残存モノマーの減圧脱揮、または通常知られている、熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤若しくは難燃剤等を添加、混練することも出来る。
押出機中の溶融混練温度は、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度または分子量に依存するが、通常200℃〜350℃であることが好ましく、より好ましくは250℃〜330℃、更に好ましくは270℃〜320℃である。
本発明のポリカーボネート樹脂を製造する際には、異物の混入を防止するため、フィルターを設置することが好ましい。フィルターの設置位置は押出機の下流側が好ましく、フィルターの異物除去の大きさ(目開き)は、99%除去の濾過精度として100μm以下が好ましい。特に、フィルム用途等で微少な異物の混入を嫌う場合は、40μm以下がより好ましく、20μm以下が更に好ましい。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂は、射出成形法、押出成形法または圧縮成形法等の通常知られている方法で成形物にすることができる。ポリカーボネート樹脂の成形方法は特に限定されないが、成形品形状に合わせて適切な成形法が選択される。成形品がフィルムまたはシートの形状である場合は押出成形法が好ましく、射出成形法では成形品の自由度が得られる。
また、本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂は、種々の成形を行う前に、必要に応じて、熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤または難燃剤等の添加剤を、タンブラー、スーパーミキサー、フローター、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサーまたは押出機などで混合することもできる。
また、本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂は例えば、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル、アモルファスポリオレフィン、ABS若しくはASなどの合成樹脂、ポリ乳酸若しくはポリブチレンスクシネートなどの生分解性樹脂、またはゴムなどの1種又は2種以上と混練して、ポリマーアロイとしても用いることもできる。
以下、本発明の製造方法に用いることができる原料化合物及び重合触媒について説明する。なお、ここでの例示は一例(代表例)であり、本発明の要旨を超えない限り、以下の原料化合物及び重合触媒に限定されない。
<ジヒドロキシ化合物>
原料モノマーとしてのジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:テトラブロモビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1−トリクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;イソソルビト、イソマンニド、イソイデット等の複素環基を有するジヒドロキシ化合物類;2−(5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2−メチルプロパン−1−オール、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデロン等のスピロ炭化水素誘導体;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4'−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。これらの中では、ビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性の点からビスフェノールA(以下、BPAと略称することがある。)が好ましい。さらに、難燃性を高める目的で、上記のジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物も使用することが出来る。これらのジヒドロキシ化合物は、二種以上を混合することができる。
又、上記のジヒドロキシ化合物はその一部をポリヒドロキシ化合物および/またはイサチン類等で置換してもよく、その割合は通常10モル%以下、好ましくは2モル%以下である。ポリヒドロキシ化合物としては、例えばフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンがあげられる。イサチン類としては例えば3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(別名:イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチンがあげられる。前記ポリヒドロキシ化合物および/又はイサチン類等の添加時期は任意であり、反応温度や触媒量を適宜調整することにより、分岐したポリカーボネート樹脂を得ることも出来る。
<炭酸ジエステル>
原料モノマーとしての炭酸ジエステルとしては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006036142
ここで、一般式(1)中、A'は、置換されていてもよい、炭素数1〜炭素数10の直鎖状、分岐状または環状の1価の炭化水素基である。2つのA'は、同一でも相互に異なっていてもよい。なお、A'上の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜炭素数10のアルキル基、炭素数1〜炭素数10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などが例示される。
炭酸ジエステルの具体例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等のジアルキルカーボネートが挙げられる。これらの中では置換ジフェニルカーボネートが好ましく、ジフェニルカーボネート(DPC)が更に好ましい。これらの炭酸ジエステルは、2種以上を混合して使用することが出来る。
また、上記の炭酸ジエステルは、その一部をジカルボン酸またはジカルボン酸エステルで置換してもよく、その割合は、通常50モル%以下、好ましくは30モル%以下である。代表的なジカルボン酸またはジカルボン酸エステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。
また、エステル交換法で製造するポリカーボネート樹脂では、炭酸ジエステル(上記の置換したジカルボン酸またはジカルボン酸エステルを含んでもよい。以下同じ。)は、ジヒドロキシ化合物に対して過剰に使用される。即ち、ジヒドロキシ化合物に対する炭酸ジエステルの割合(モル比)は、通常1.00〜1.30、好ましくは1.01〜1.20、更に好ましくは1.02〜1.15である。モル比が過度に小さい場合は、得られるポリカーボネート樹脂の末端OH基が多くなり、樹脂の熱安定性が悪化する傾向となる。また、モル比が過度に大きい場合は、エステル交換の反応速度が低下し、所望の分子量を有するポリカーボネート樹脂の生産が困難となる他、樹脂中の炭酸ジエステルの残存量が多くなり、成形加工時や成形品としたときの臭気の原因となることがある。従って、末端OH基量は100ppm以上であることが好ましい。このような末端OH基量とすることにより、分子量の低下を抑制でき、色調もより良好となる。
一般的に、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物との混合比率を調節したり、反応時の減圧度を調整したりすることにより、所望の分子量および末端OH基量を有するポリカーボネート樹脂が得られる。より積極的な方法として、反応時に、別途、末端停止剤を添加する周知の調節方法もある。この際の末端停止剤としては、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が挙げられる。末端OH基量は、製品ポリカーボネート樹脂の熱安定性、加水分解安定性、色調などに大きな影響を及ぼす。末端OH基量は、用途にもよるが、実用的な物性を持たせるためには、通常1,000ppm以下、好ましくは700ppm以下である。
<触媒>
通常、エステル交換反応によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は、特に制限されないが、周期表第1族金属化合物および/または周期表第2族金属化合物が好ましい。また、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性窒素化合物などの塩基性化合物を併用することも可能である。これらのエステル交換触媒の中では、実用的観点から周期表第1族金属化合物が好ましい。これらのエステル交換触媒は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。エステル交換触媒の使用量は、ジヒドロキシ化合物1モルに対し、通常1×10-9モル〜1×10-1モル、好ましくは1×10-7モル〜1×10-3モル、更に好ましくは1×10-7モル〜1×10-6モルの範囲である。
周期表第1族金属化合物としては、該金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素化合物などの無機金属化合物;該金属のアルコール類(又はフェノール類)、有機カルボン酸類との塩などの有機金属化合物が挙げられる。ここで、該金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられる。これらの金属化合物の中では、セシウム化合物が好ましく、特に、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム又は水酸化セシウムが好ましい。
本発明により、耐光性、透明性、色相、耐熱性、熱安定性または機械的強度などに優れ
たポリカーボネート樹脂を、効率的かつ安定に製造する方法を提供することができる。
1a 原料(炭酸ジエステル)供給口
1b 原料(ジヒドロキシ化合物)供給口
1c 触媒供給口
2a 原料混合槽
3a アンカー型攪拌翼
4 原料フィルター
5 ギアポンプ
6a 第1竪型攪拌反応器
6b 第2竪型攪拌反応器
6c 第1横型攪拌反応器
6d 第2横型攪拌反応器
7a,7b 撹拌翼
7c 1軸円板型撹拌翼
7d 2軸メガネ型攪拌翼
8a,8b 内部熱交換器
9a,9b 還流冷却器
10a,10b 還流管
11a,11b,11c,11d 減圧ライン(留出管)
12a,12b,12c,12d 凝縮器
13a,13b,13c,13d 減圧装置
14a 留出液回収タンク
15c,15d 抜出ライン
16c,16d (モノヒドロキシ化合物の)供給ライン
L1〜L4 配管
P1,P2 捕集ポット

Claims (5)

  1. ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを複数の反応器で重縮合反応させ、各反応器で副生するモノヒドロキシ化合物を、減圧装置に連結された減圧ラインを介して反応系外へ留出させながら、ポリカーボネート樹脂を製造する方法であって、前記複数の反応器のうち、重合反応液の粘度平均分子量が5,000以上である反応器における減圧ラインに備えられた捕集ポットにより、留出成分を捕集し、前記捕集ポットが、捕集した留出成分の除去のための抜出ラインを有し、かつ、モノヒドロキシ化合物の供給ラインを有することを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
  2. 前記捕集ポットが、前記反応器と、前記反応器と減圧装置の間に設けられた凝縮器との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  3. 前記反応器から前記捕集ポットまでの距離が、配管長で20m以内であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  4. 前記反応器から前記捕集ポットまでの減圧ライン内におけるガス線速が、actualで30m/秒以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  5. 前記反応器が、横型反応器であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
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