JP6035927B2 - 多層透明基材、多層透明基材を用いた積層体、及びそれらを用いた画像表示装置 - Google Patents

多層透明基材、多層透明基材を用いた積層体、及びそれらを用いた画像表示装置 Download PDF

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本発明は、多層透明基材、多層透明基材を用いた積層体、及びそれらを用いた画像表示装置に関する。
近年、例えばタッチパネルを搭載したタッチパネル装置に代表される液晶表示装置が急速に普及してきている。これらの液晶表示装置用の透明基材としてフィルムを用いる場合、液晶表示装置に色の異なるムラ(以下、「ニジムラ」とも言う)が、特に表示画面を斜めから観察したときに生じ、液晶表示装置の表示品質が損なわれてしまうという問題点があることが判明した。この現象はフィルムの複屈折に起因するものであり、近年の表示品質に対する厳しい要求に対応するため改善をする必要が出てきている。このため、この種のフィルムに使用する透明基材には、複屈折のない基材として一般的なトリアセチルセルロースに代表されるセルロースエステルからなるフィルムが用いられていた。しかしながら、セルロースエステルは一般的に高価であり、又、吸湿による寸法変化やカールの問題が残っている。
このようなセルロースエステルフィルムの問題点から、市場において入手が容易な、或いは簡易な方法で製造することが可能な汎用性フィルムを透明基材として用いることが望まれており、例えば、セルロースエステルに代替するフィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルフィルムを利用する試みがなされている(特許文献1参照)。
ところが、本発明者らの研究によると、セルロースエステルフィルム代替フィルムとしてPET等のポリエステルフィルムを用いた場合、液晶表示装置にニジムラが、特に表示画面を斜めから観察したときに生じ、液晶表示装置の表示品質が損なわれてしまうという問題点があることが判明した。
特開2010−204630号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、上記現状に鑑みて、タッチパネル方式の液晶表示装置にニジムラが生じることを極めて高度に抑制することができるタッチパネル用センサーフィルムを提供することを目的とする。
本発明者は、このようなポリエステルフィルムを用いたタッチパネル用センサーフィルムの問題に対して、検討したところ、透明基材として、それぞれ3000nm以上のリタデーションを有するポリエステルフィルムを用いることで、ニジムラの問題を改善できることを見出した。
一方で、上記のようなリタデーションを有するポリエチレンフィルムは、製造時に延伸処理を行うことにより得ることができるものである。ここで、そのような延伸処理を経た延伸基材は、延伸方向(ここでは、本願に使用する基材の特徴として特に延伸度の高い遅相軸側について述べる。但し、一般に延伸度が高ければ、基材は裂け易くなる)の引っ張り力に対する引き裂き強度が小さいため、例えば、製造工程途中における(タッチパネルセンサに使用する)フィルム枚葉でのハンドリングを行う際等に、フィルムを冶具や吸着により持ち上げたり、又、タッチパネル電極パターンと画像表示面との位置決め等で端部の押し引き等を実施し、フィルムの一部に集中応力が生じた場合に、上記延伸方向の裂け(具体的には微細なささくれや、はなはだしくは吸着部等固定部位からフィルム自体が当該方向へ大きく裂けが進行する)のような断裂が起きる場合があり、上記のようなリタデーションを有するポリエチレンフィルム実用化のためには、好ましい光学特性を維持したまま、工程上保護フィルムや特殊な枠、冶具を使用する等の、特に延伸方向の引っ張り力に対する引き裂き強度を十分な強度にまで向上する必要があった。
本発明者は、更に、鋭意研究を重ね、3000nm以上のリタデーションを有する3枚の以上の透明基材を、それらの互いの遅相軸の方向が直行する状態で積層すること、そして、その際、それぞれ遅相軸を一の同一方向に重ねた一群の透明基材のリタデーションの和と、それぞれの遅相軸を他の同一方向に重ねた他の一群の透明基材のリタデーションの和と、の間の差を3000nm以上とすることによって、ニジムラの改善のための好ましい光学特性を備え、且つ、引き裂き強度を十分に向上させた多層透明基材を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 3枚以上の透明基材を積層してなる多層透明基材であって、前記透明基材は、いずれも、3000nm以上のリタデーションを有し、又、前記透明基材は、いずれも、それらの面内において最も屈折率が大きい方向である遅相軸が、他のいずれかの透明基材の前記遅相軸と平面視上直交するように積層されており、前記多層透明基材において、前記遅相軸が同じ向きに積層されている一群の透明基材のリタデーションの和と、前記遅相軸がそれらに直交する向きに積層されている他の一群の透明基材のリタデーションの和、との差が3000nm以上である多層透明基材。
(2) 前記多層透明基材を構成する全ての前記透明基材は、前記遅相軸の方向の屈折率(nx)と、前記遅相軸の方向と直交する方向である進相軸の方向の屈折率(ny)との差(nx−ny)が、0.05以上である(1)に記載の多層透明基材。
(3) 前記透明基材は、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、(メタ)アクロニトリル系樹脂、及び、シクロオレフィン系樹脂からなる群より選択されるいずれか1種の材料からなる(1)又は(2)に記載の多層透明基材。
(4) 前記透明基材は、ポリエチレンテレフタレートである(3)に記載の多層透明基材。
(5) 前記透明基材の積層枚数が奇数であり、全ての前記透明基材が同一のリタデーションを有する(1)から(4)のいずれかに記載の多層透明基材。
(6) (1)から(5)のいずれかに記載の多層透明基材の少なくとも一方の表面又は該多層透明基材の層間に導電層が形成されてなる導電性積層体。
(7) 前記導電層が開口部と不透明部を有する実質的に透明なパターンからなり、前記不透明部が金属又は導電性インキからなる請求項(6)に記載の導電性積層体。
(8) 反射防止機能を備える光学積層体であって、(1)から(5)のいずれかに記載の多層透明基材の表面、又は、(6)から(7)のいずれかに記載の導電性積層体の表面に、微小突起が密接して配置されており、隣接する前記微小突起の間隔が、反射防止を図る波長帯域の最短波長以下である光学積層体。
(9) (1)から(5)のいずれかに記載の多層透明基材又は該多層透明基材を含んで構成される積層体と、偏光板と、を備える表示装置。
(10) (9)に記載の表示装置において、前記偏光板の吸収軸と、前記多層透明基材の遅相軸の方向のなす角度が、0°±30°又は90°±30°となるように配設されていることを特徴とする表示装置。
(11) (9)に記載の表示装置において、前記偏光板の吸収軸と、前記多層透明基材の遅相軸の方向のなす角度が、45°±30°となるように配設されていることを特徴とする表示装置。
(12) (9)から(11)のいずれかに記載の表示装置であって、前記導電性積層体をタッチパネル用センサーフィルムとして用いたものであることを特徴とする表示装置。
(13) (9)から(12)のいずれかに記載の表示装置であって、前記導電性積層体を電磁波遮蔽フィルムとして用いたものであることを特徴とする表示装置。
(14) (9)から(13)のいずれかに記載の表示装置であって、前記光学積層体を反射防止フィルムとして用いたものであることを特徴とする表示装置。
(15) 一次光源が白色LEDである(9)から(14)のいずれかに記載の表示装置。
本発明は、上述した構成からなるものであるため、表示画像にニジムラが生じることを極めて高度に抑制することができ、且つ、引き裂き強度に優れる多層透明基材、該多層基材を備える積層体、及びそれらを用いた表示装置を提供できる。
本発明の積層体を用いた表示装置の一例であるタッチパネル装置を模式的に示す断面図である。 本発明の多層透明基材の層構成の説明に供する模式図である。 本発明の導電性積層体を用いた電磁波遮蔽フィルムを模式的に示す斜視図である。 本発明の光学積層体を用いた反射防止フィルムを模式的に示す斜視図である。
図1に示す通り、本発明の多層透明基材30は、例えば、タッチパネル装置1を構成するタッチパネルセンサー用フィルムとして用いることができる他、様々な表示装置において用いる各種の機能フィルムを構成する積層体の材料として広く用いることができるものである。ここでは、まず、多層透明基材30について説明し、次に、多層透明基材30をタッチパネル用センサーフィルム3の基材として用いる場合、及びその他の機能フィルムの基材として用いる場合について順次説明する。
<多層透明基材>
図2は、多層透明基材30の層構成を説明するための層構成の分離図面であり、多層透明基材30を構成する透明基材301、302、303(以下、これらを併せて単に「透明基材300」とも言う。)と、を分離した状態で示した模式図である。図2に示すように、多層透明基材30は、それぞれ所定のリタデーションを有する3枚以上の透明基材300を積層したものである。又、透明基材300(301、302、303、…)のそれぞれの遅相軸(r1、r2、r3、…)の方向が、他のいずれかの透明基材の遅相軸の方向とが、平面視上、直行する状態で積層したものである。
ここで、透明基材の遅相軸とは、透明基材の面内において最も屈折率が大きい方向のことを言い、例えば、二軸延伸透明基材においては、材料樹脂基材の面上において、製造時における延伸率が大きい方向が遅相軸の方向となる。
ここで、リタデーションとは、遅相軸の方向の屈折率(nx)と、遅相軸の方向と直交する方向(進相軸の方向)の屈折率(ny)と、透明基材の厚み(d)とにより、下記の式(数1)によって表わされるものである。
(数1)
リタデーション(Re)=(nx−ny)×d
上記リタデーションは、例えば、王子計測機器製KOBRA−WRによって測定(測定角0°、測定波長548.2nm)することができる。
透明基材300は、いずれも、3000nm以上のリタデーションを有する。
透明基材のリタデーションが3000nm未満であると、これらを、その遅相軸が直行する状態において積層した多層透明基材とした場合であっても、タッチパネル装置1の表示画像に生じるニジムラを防止することはできない。一方、透明基材300のリタデーションの上限は特に限定されないが、30000nm以下であることが好ましく、20000nm程度であることよりが好ましい。30000nmを超えると、これ以上の表示画像のニジムラ改善効果の向上が見られず、又、膜厚が相当に厚くなるため好ましくない。
そして、又、多層透明基材において、遅相軸が同じ向きに積層されている一群の透明基材(以下、これらの透明基材をまとめて「第1透明基材群」とも言う。)のリタデーションの和(以下、「sumRx」とする。)と、前記遅相軸がそれらに直交する向きに積層されている他の一群の透明基材のリタデーションの和(以下、「sumRy」とする。)、との差は、3000nm以上である。
上記のリタデーションの差(sumRx−sumRyの絶対値)が、3000nm未満であると、3枚以上の透明基材300を、互いの遅相軸が平面視において直行する状態において積層した多層透明基材とした場合であっても、タッチパネル装置1の表示画像に生じるニジムラを防止することはできない。3枚以上の透明基材を積層した多層透明基材を単一の透明基材として見た場合に、その遅相軸の方向の屈折率(nx)と、その遅相軸の方向と直交する方向(進相軸の方向)の屈折率(ny)の差が十分な大きさを持ち得ない状態となるためである。
ここで、例えば、2枚の透明基材を積層した2層構成の透明基材のリタデーションをRe0、積層したそれぞれの透明基材のリタデーションを、それぞれRe1、Re2とすると、下記式が成り立つ。
(Re1)=(nx1−ny1)×d1=nx1d1−ny1d1
(Re2)=(nx2−ny2)×d2=nx2d2−ny2d2
Re1>Re2であるので、
Re0=(nx1d1+ny2d2)−(ny1d1+nx2d2)
=(nx1d1−ny1d1)−(nx2d2−ny2d2)
=(Re1)−(Re2)
よって、2層構成の透明基材のリタデーション(Re1+2)は、積層したそれぞれの透明基材(Re1)と(Re2)との差となる。即ち、各透明基材層の遅相軸が平面視において直行する2層構成の透明基材においては、Re0=Re1−Re2の関係が成り立つ。
本発明の多層透明基材30は、透明基材300が互いの遅相軸が直行する状態で積層されているものであるため、多層透明基材30のリタデーションは、上記のリタデーションの差(sumRx−sumRyの絶対値)となる。各透明基材層の遅相軸が平面視において直行する多層透明基材30においては、上記の通り、Re0=Re1−Re2の関係が成り立つからである。即ち、多層透明基材30において、上記のリタデーションの差(sumRx−sumRyの絶対値)が3000nm以上であるということは、多層透明基材30の実質的なリタデーションが3000nmであるということと等価である。又、この場合における多層透明基材30の遅相軸の方向は、sumRx>sumRyである限り、上記の第一透明基材群の遅相軸の方向となり、sumRx<sumRyである場合は、上記の第一透明基材群の遅相軸の方向と直行する方向となる。本明細書において多層透明基材の遅相軸の方向と言う場合、このように定義される方向のことを言うものとする。
多層透明基材を構成するいずれの透明基材300についても、上記nx−ny(以下、「Δn」とも表記する)は、0.05以上であることが好ましい。上記Δnが0.05未満の透明基材が多層透明基材を構成する基材として1枚でも、いずれかの配置において積層された場合には、充分なニジムラの抑制効果が得られないことがある。又、上述したリタデーション値を得るために必要な膜厚が厚くなるため、好ましくない。上記Δnのより好ましい下限は0.07である。
透明基材300を構成する材料としては、上述したリタデーションを充足するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、(メタ)アクロニトリル系樹脂、及び、シクロオレフィン系樹脂からなる群より選択される1種が好適に用いられる。なかでも、上記透明基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなることが好ましい。ポリエチレンテレフタレートは汎用性が高く、入手が容易であるからである。本発明においてはPETのような、汎用性が極めて高いフィルムであっても、表示品質の高いタッチパネル装置を作製することが可能な、タッチパネル用センサーフィルムを得ることができる。更に、PETは、透明性、熱又は機械的特性に優れ、延伸加工によりリタデーションの制御が可能であり、固有複屈折が大きく、膜厚が薄くても比較的容易に大きなリタデーションが得られる。
尚、タッチパネル装置においてニジムラの発生を抑制するという本発明の効果を奏するためには、例えば、セルロースエステルの様な材料、又は、特殊な製法によるフィルムを用いて配置する透明基材のリタデーション範囲を制限する等の手段があったが、これらは製品自体が高価であり、又、材料強度についても種々の制限があり、タッチパネルの様な使用環境の一般用途に供するには適切ではなかった。
透明基材300を得る方法としては、上述したリタデーションを充足する方法であれば特に限定されないが、例えば、上記PET等のポリエステルからなる場合、材料のポリエステルを溶融し、シート状に押出し成形された未延伸ポリエステルをガラス転移温度以上の温度においてテンター等を用いて横延伸後、熱処理を施す方法が挙げられる。上記延伸温度としては、80〜130℃が好ましく、より好ましくは90〜120℃である。又、横延伸倍率は2.5〜6.0倍が好ましく、より好ましくは3.0〜5.5倍である。上記横延伸倍率が6.0倍を超えると、得られるポリエステルからなる透明基材の透明性が低下し易くなり、延伸倍率が2.5倍未満であると、延伸張力も小さくなるため、得られる透明基材の複屈折が小さくなり、リタデーションを3000nm以上とできないことがある。
又、本発明においては、二軸延伸装置を用いて、上記未延伸ポリエステルの横延伸を上記条件で行った後、該横延伸に対する流れ方向の延伸(以下、縦延伸とも言う)を行ってもよい。この場合、上記縦延伸は、延伸倍率が2倍以下であることが好ましい。上記縦延伸の延伸倍率が2倍を超えると、Δnの値を上述した好ましい範囲にできないことがある。又、上記熱処理時の処理温度はしては、100〜250℃が好ましく、より好ましくは180〜245℃である。
上述した方法で作製した透明基材300のリタデーションを3000nm以上に制御する方法としては、延伸倍率や延伸温度、作製する透明基材の膜厚を適宜設定する方法が挙げられる。具体的には、例えば、延伸倍率が高いほど、延伸温度が低いほど、又、膜厚が厚いほど、高いリタデーションを得易くなり、延伸倍率が低いほど、延伸温度が高いほど、又、膜厚が薄いほど、低いリタデーションを得易くなる。
透明基材300の厚みとしては、その構成材料等に応じて適宜決定されるが、20μm〜500μmの範囲内であることが好ましい。20μm未満であると、透明基材301、302のリタデーションを3000nm以上にできないことがあり、又、力学特性の異方性が顕著となり、裂け、破れ等を生じ易くなり、工業材料としての実用性が著しく低下することがある。一方、500μmを超えると、透明基材が非常に剛直であり、高分子フィルム特有のしなやかさが低下し、やはり工業材料としての実用性が低下するので好ましくない。上記透明基材の厚さのより好ましい下限は30μm、より好ましい上限は400μmであり、更により好ましい上限は300μmである。
又、透明基材300は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、84%以上であるものがより好ましい。尚、上記透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
以上、説明した通り、それぞれ所定範囲のリタデーションを有する3枚以上の透明基材300(301、302、303、…)を、それらの遅相軸が、他のいずれかの透明基材の遅相軸と直行する状態に配置し、例えば、透明粘着層34を介して積層することにより多層透明基材30とすることができる。
多層透明基材30は、透明基材300が、それらの遅相軸の方向r1、r2、r3、即ちそれらの製造時における延伸率が大きい方向が、他のいずれかの透明基材の遅相軸の方向と互いに直行する状態で積層されている。これにより、多層透明基材30は、ニジムラ防止という光学的な効果を奏するものでありながら、同時に、物理的強度、即ち、各方向への引き裂き強度においても優れたものとなっている。
尚、実際の多層透明基材の製造においては、例えば、各透明基材の遅相軸の方向が厳密に90°の角度で直行するものではなくても、それに近似する角度で積層されており、その構成に起因して多層透明基材としての実質的なリタデーション及び引き裂き強度が、本発明と同等の範囲にあるものであれば、そのような多層透明基材も、本発明の均等範囲にあるものである。ここでは、樹脂材料の延伸方向から容易に遅相軸の方向を定められる実施可能な好ましい例として、上記の通り遅層軸の方向を定めているものである。
尚、タッチパネル装置においてニジムラの発生を抑制するという本発明の効果を奏するためには、例えば、セルロースエステルの様な材料を用いるか、又は、特殊な製法によるフィルムを用いることにより、配置する透明基材のリタデーション範囲を制限する等の手段が従来の手段としてあったが、これらは製品自体が高価であり、又、材料強度についても種々の制限があり、タッチパネルの様な使用環境の一般用途に供するには適切ではなかった。それに対し、本発明の多層透明基材30は、以上説明した通り、ニジムラを防止するための好ましい光学特性と、特に製造工程中における基材破損を防止するための好ましい物理的強度を両立しえるものとなっている。
又、多層透明基材30は、透明基材300の積層枚数が3等の奇数であり、全ての透明基材300が同一のリタデーションを有するものであることが好ましい。このような構成とすることによって、材料基材の規格を統一することができるため、より小さな製造コストで上記効果を奏する多層透明基材30を製造することができる。
多層透明基材30は、本発明の光学的及び物理的効果を阻害しない限りにおいて、透明基材300以外のその他の層や部材が更に、それらの一方の表面又は多層透明基材30の任意の層間に積層されてなる積層体であってもよい。そのようなその他の層として、導電層311、312を例としてあげることができる。
<タッチパネル用センサーフィルム>
本発明の多層透明基材30を用いた導電性積層体の好ましい一実施形態であるタッチパネル用センサーフィルム3について説明する。
図1に示すように、透明基材300(301、302、303)が透明粘着層34を介して積層されて形成されている多層透明基材30において、透明基材301、透明基材302のそれぞれの裏面側には、導電層311(X方向)、312(Y方向)がそれぞれ形成されている。又、透明基材303は、保護基材としての役割を果たしている。
導電層311、312は、多層透明基材30上、或いは、透明基材300上に形成された透明導電材料層をパターニングするか、或いは、不透明な導電層をパターン形成することによって形成することができる。
導電層311、312を不透明な導電層をパターン形成することによって形成する場合は、開口部の存在によって、見かけ上、導電層311、312が透明に見えるものであればよい。本発明における「実質的に透明なパターン」とは、例えば、上記構成を備えることにより、見かけ上、透明に見えるパターンのことを言う。
不透明な導電層としてはカーボンや導電性高分子等の他、導電性を持った金属が使用可能であり、銀、銅、金、アルミ、等が好適に用いられる。金属層は単体の金属や合金であってもよく、金属粒子が結着材により結着されたものでもよい。又、必要に応じて、金属表面に対し黒化処理や防錆処理が適用される。導電層として、上記の金属を用いる場合は、実質透明なセンサー部と周辺の配線部を一括形成することが可能である。
導電層311、312のパターン形成の方法としてはフォトリソグラフィ(エッチング)、パターン印刷、転写、自己組織化等が適用可能である。エッチングを用いた導電パターン層の例としては、透明基材301、302に銅箔を接着剤でラミネートしたものや銅を蒸着したもの、透明基材301、302上に金属やITOをスパッタリングしたものを所定のパターンにエッチングしたものが挙げられる。パターン印刷で導電パターン層を形成する手法としては、導電性インキを所定のパターンに印刷する手法、無電解めっきの触媒機能を有する材料を所定のパターンに印刷し導電性金属を無電解めっきする手法、無電解めっきの触媒と付加体を形成する材料を印刷後、触媒を付加し無電解めっき処理を行う手法等が挙げられる。導電性インキとしては銀ペースト、銅ペースト、導電性高分子等が挙げられる。触媒機能を有する材料としてはパラジウム等の触媒粒子や、触媒粒子を表面に担持した粒子等を含むインキ等が挙げられる。触媒と付加体を形成する材料としては銀や導電性高分子等を含むインキ等が挙げられる。無電解めっき層を形成する金属としては銅やニッケル、銀等の導電性金属が挙げられる。
パターン印刷の方法としては必要とされるパターン精度により任意の手法が適用できるが、スクリーン印刷や、凹版オフセット印刷、或いはUV硬化プライマーにより凹版から転写させる方法等が好適に用いられる。
パターン印刷により、金属粒子とバインダー樹脂を含む導電性組成物によって導電層をパターン形成する場合、金属粒子としては、上記に例示した通り、導電性を持った金属であれば使用可能であり、導電層311、312は単体の金属や合金であってもよく、金属粒子が結着材により結着されたものでもよい。バインダー樹脂としては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用可能である。尚、後述の電気抵抗低減化処理を施す場合は、酸又は温水にて溶解することのない非水溶性樹脂を用いる。
パターン印刷に用いることができるバインダー樹脂を例示すると、熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、ポリエステル−メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、熱硬化性ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリエステル樹脂等の樹脂を挙げることができ、電離放射線硬化性樹脂としては、プライマーの材料として後述する物を挙げることができ、これらを1種単独で、或いは、2種以上混合して用いる。熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の樹脂を挙げることができ、これらを1種単独で、或いは、2種以上混合して用いる。尚、熱硬化性樹脂を使用する場合、必要に応じて硬化触媒を添加してもよい。紫外線(乃至可視光線)硬化型の電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は必要に応じて光重合開始剤を添加してもよい。又、版の凹部への充填に適した流動性を得るために、これら樹脂は通常、溶剤に溶けたワニスとして使用する。導電性ペーストとして用いる溶剤の種類には特に制限はなく、一般的に印刷インキに用いられる溶剤の中から適宜選択して使用できるが、プライマー層を設ける場合には該プライマー層の安定硬化を阻害したり、硬化後のプライマー層を膨潤、白化、溶解させたりしないものが好ましい。溶剤の含有量は通常、10〜70質量%程度であるが、必要な流動性が得られる範囲でなるべく少ない方が好ましい。又、電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、もともと流動性があるため、必ずしも溶剤を必要としない。
タッチパネル用センサーフィルム3においては、透明基材300と導電層311、312との密着性を高めるために、透明基材300と導電層311、312との間にプライマー層(図示せず)を設けることが好ましい。プライマー層は、透明基材300及び導電層311、312の双方に密着性がよく、又、開口部(導電性パターン層非形成部)の光透過性確保のために透明な層である。更に、導電層311、312の形成を後述の如き特定の凹版印刷法で行う場合には、プライマー層は、流動性を保持できる状態で透明基材300上に設けられ、凹版印刷時の凹版に接触している間に液状から固化させる層として形成される層となり、最終的な導電層311、312が形成されたときに固化している層である。
尚、導電層311、312には、必要に応じ適宜その他の層の形成、又は処理を施してもよい。例えば、錆びに対する耐久性が不十分な場合は、防錆層を設けるとよい。該防錆層は、従来公知の材料及び手法により設けることができる。
尚、導電層311、312の形成は、金属箔をエッチング処理によってパターン化する方法によっても形成することができる。この場合は、金属箔としては銅箔を好ましく用いることができる。具体的な製造方法としては、多層透明基材30上、或いは、透明基材300上に、プライマー層を介して銅箔をドライラミネートして連続帯状の銅箔積層シートとした後、当該銅箔積層シートの銅箔に対して、フォトリソグラフィー法を利用したケミカルエッチング処理を行うことにより、導電層311、312を形成することができる。特に10μm未満の線幅を必要とする場合は線幅に応じた厚みを有する金属箔を用いて好ましく処理する事で達成可能であり、厚み2μm以下の薄い金属層を多層透明基材30上、或いは、透明基材300の上に蒸着やスパッタリング等により形成したものを、同様にフォトリソグラフィーによりパターニングを実施してもよい。
尚、タッチパネル用センサーフィルムとしては、導電層が形成された透明基材が1枚の場合や、導電層が最前面側を向いて配置される場合、保護基材が省略される場合等があるが、本発明の多層透明基材及びそれを用いた導電性積層体は、それらを含むあらゆるタッチパネル方式、センサー設計のタッチパネル用センサーフィルムに好適に用いることができるものである。
<電磁波遮蔽フィルム>
多層透明基材30を用いた導電性積層体は、又、電磁波遮蔽機能を有する電磁波遮蔽フィルムとしても好ましく用いることができる。
図3に示すように、電磁波遮蔽フィルム3Aは、多層透明基材30と、多層透明基材30上に所定のパターンで形成された導電層313とを有する。
電磁波遮蔽フィルム3Aにおける導電層313の平面視におけるパターン形状は、図3に示すようなメッシュ(網目乃至格子)形状が代表的なものであるが、その他、ストライプ(平行線群乃至縞模様)形状、螺旋形状等も用いられる。メッシュ形状の場合、単位格子形状は、正3角形、不等辺3角形等の3角形、正方形、長方形、台形、菱形等の4角形、6角形、8角形等の多角形、円、楕円等が用いられる。又、モアレを軽減する目的で、ランダム網目状、又は擬似ランダム網目状のパターン等も使用可能である。その線幅と線間ピッチも通常採用されている寸法であればよい。例えば、線幅は3〜50μmとすることができ、線間ピッチは100〜5000μmとすることができる。尚、導電層311、312の光線透過率と下記に詳細を説明する表面抵抗率をより高いレベルで両立させる観点からは、1000〜5000μmであることが好ましい。又、所定パターンとは別に、その周辺部の全周又はその一部にそれと導通を保ちつつ隣接した全ベタ(開口部なし)等の接地パターンが設けられる場合もある。尚、線幅は、より高透明、不可視のものを得るために、より一層微細化することが求められている。この観点から、15μm以下、特に8μm以下とすることが好ましい。尚、上記パターンのピッチやバイアス角度は、適用される表示装置の画素配列等に応じてモアレを軽減するためにその都度最適化されることが好ましい。
多層透明基材30を用いた導電性積層体を電磁波遮蔽フィルムとして用いる場合において、導電層311、312を透明導電性材料によって形成する場合には、導電膜としても形成することができる。透明導電材料としてはITO、又、銀等の材料からなる導電性ナノワイヤ、導電性を有するカーボンナノチューブやグラフェン、導電性高分子等を用いることができる。この場合は、微細パターンによる高透過率化は必ずしも必要でなく、全面に導電層が形成されたものを使用できる。
多層透明基材30を用いた導電性積層体を電磁波遮蔽フィルムとして用いる場合、導電層311、312は、表面抵抗率が10Ω/□以下であればよく、10Ω/□以下であることが好ましい。導電層311、312の表面抵抗率を10Ω/□以下とすることによって、例えば、タッチパネル装置におけるタッチパネルユニット側の最表面から、タッチパネルユニットの裏面側の面にいたる各層に適宜配置することを前提とした一般的な表示装置の電磁波遮蔽フィルムに求められる遮蔽性能水準を十分に満たすことができる。又、導電層311、312の表面抵抗率を10Ω/□以下とすれば、表示装置内での電磁波遮蔽フィルムの汎用性及び配置の自由度が格段に高まる。具体的には、配置箇所によって遮蔽性能の調整を必要とせずに自在に配置できるようになる。又、一般に、LCDパネルユニットの(ガラス板)上に電磁波遮蔽層として別途設ける必要のあった高価なITOスパッタ層等も不要とすることができる。導電層311、312の表面抵抗率が10Ω/□以下である場合は、金属又は金属粒子からなる導電メッシュが好適に使用できる。
<反射防止フィルム>
多層透明基材30は、例えば、いわゆるモスアイ構造を有する機能層を更に積層した光学積層体とすることにより、反射防止機能を有する反射防止フィルムとしても好ましく用いることができる。
図4に示す通り、反射防止フィルム3Bは、多層透明基材30と、多層透明基材30の表面に密接して配置された多数の微小突起からなる微小突起層320とを備える。微小突起層320は、賦型用金型を使用して、微小な凹凸形状の賦型に供する賦型用樹脂である紫外線硬化性樹脂により微小な凹凸形状を多層透明基材30の表面に形成する。多層透明基材30を基材とする反射防止フィルム3Bは、この微小突起層320の凹凸形状により厚み方向に徐々に屈折率が変化するように形成され、モスアイ構造の原理により広い波長範囲で入射光の反射を低減する。
尚、微小突起層の各微小突起は、隣接する微小突起の間隔dが、反射防止を図る波長帯域の最短波長λmin以下(d≦λmin)となるよう密接して配置される。例えば、画像表示装置パネルに配置して視認性を向上するために、この最短波長は、個人差、視聴条件を加味した可視光領域の最短波長(380nm)に設定され、間隔dは、ばらつきを考慮して100〜300nmとされる。又、この間隔dに係る隣接する微小突起は、いわゆる隣り合う微小突起であり、多層透明基材30側の付け根部分である微小突起の裾の部分が接している突起である。微小突起層320は微小突起が密接して配置されることにより、微小突起間の谷の部位を順次辿るようにして線分を作成すると、平面視において、各微小突起を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様が形成されることになる。間隔dに係る隣接する微小突起は、この網目状の模様を構成する一部の線分を共有する突起である。
尚、微小突起に関しては、より詳細には以下のように定義される。モスアイ構造による反射防止では、透明基材表面とこれに隣接する媒質との界面における有効屈折率を、厚み方向に連続的に変化させて反射防止を図るものであることから、微小突起に関しては一定の条件を満足することが必要である。この条件のうちの一つである突起の間隔に関して、例えば特開平50−70040号公報、特許第4632589号公報等に開示のように、微小突起が一定周期で規則正しく配置されている場合、隣接する微小突起の間隔dは、突起配列の周期P(d=P)となる。これにより可視光線帯域の最長波長をλmax、最短波長をλminとした場合に、最低限、最長波長において反射防止効果を奏し得る必要最小限の条件は、P≦λmaxであり、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得る必要十分の条件は、P≦λminとなる。
尚、波長λmax、λminは、観察条件、光の強度(輝度)、個人差等にも依存して多少幅を持ち得るが、標準的には、λmax=780nm及びλmin=380nmとされる。これらにより可視光線帯域の全波長に対する反射防止効果をより確実に奏し得る好ましい条件は、d≦300nmであり、よりに好ましい条件は、d≦200nmとなる。尚、反射防止効果の発現及び反射率の等方性(低角度依存性)の確保等の理由から、周期dの下限値は、通常、d≧50nm、好ましくは、d≧100nmとされる。これに対して突起の高さHは、十分な反射防止効果を発現させる観点より、H≧0.2×λmax=156nm(λmax=780nmとして)とされる。
<タッチパネル装置>
上記説明したタッチパネル用センサーフィルム3や電磁波遮蔽フィルム3Aの等の導電性積層体、或いは、反射防止フィルム3B等の光学積層体の少なくともいずれか一つを備えるタッチパネル装置は、いずれも本発明の表示装置の実施形態の一つ中である。以下、その中から、タッチパネル用センサーフィルム3を液晶ディスプレイ(LCD)を備えるタッチパネル方式の表示装置に配置したタッチパネル装置1について説明する。
図1に示すように、本発明のタッチパネル用センサーフィルム3を用いた表示装置の一例であるタッチパネル装置1は、透明表面基板2、タッチパネル用センサーフィルム3、偏光板4、カラーフィルター5、液晶パネル6がこの順序で配置された構成を有する。タッチパネル装置1は、液晶パネル6のカラーフィルター5と反対側にバックライト8を有するものであり、更に、液晶パネル6を、2つの偏光板で挟持された構造であってもよく、この場合、液晶パネル6のカラーフィルター5と反対側面に偏光板4と同構成の偏光板7が設けられることとなるが、これら2つの偏光板4、7は、通常、互いの吸収軸が90°となるように配設(クロスニコル)される。
タッチパネル装置1において、偏光板4、7は、所望の偏光特性を備えるものであれば特に限定されず、一般的に液晶表示装置の偏光板に用いられるものを用いることができる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコールフィルムが延伸されてなり、ヨウ素を含有する偏光板が好適に用いられる。
尚、偏光板に係る他の好ましい例として、タッチパネル用センサーフィルム3を含んで構成されるタッチパネルユニットと偏光板を一体化した構成を挙げることができる。このような一体化構成によれば、本発明の多層透明基材30が偏光板保護フィルムを兼ねることができ、これにより、タッチパネル装置の全体の層構成の簡略化、透過性、及び界面反射性の改善が可能である。
カラーフィルター5としては、特に限定されず、例えば、一般的に液晶表示装置のカラーフィルターとして公知のものを用いることができる。このようなカラーフィルターは、通常、赤色、緑色及び青色の各色の透明着色パターンから構成され、それら各透明着色パターンは、着色剤が溶解又は分散、好ましくは顔料微粒子が分散された樹脂組成物から構成される。尚、上記カラーフィルターの形成は、所定の色に着色したインキ組成物を調整して、着色パターン毎に印刷することによって行ってもよいが、所定の色の着色剤を含有した塗料タイプの感光性樹脂組成物を用いて、フォトリソグラフィ法によって行うのがより好ましい。
液晶パネル6としては、特に限定されず、一般的に液晶表示装置の液晶パネルとして公知のものを用いることができる。例えば、図1に示すように、液晶層61の上下をガラス板62で挟んだ一般的な構造を有する液晶パネル、具体的には、TN、STN、VA、IPS及びOCB等の表示方式のものを用いることができる。
バックライト8の一次光源は、特に限定されないが、白色発光ダイオード(白色LED)であることが好ましい。上記白色LEDとは、蛍光体方式、即ち化合物半導体を使用した青色光又は紫外光を発する発光ダイオードと蛍光体を組み合わせることにより白色を発する素子のことである。なかでも、化合物半導体を使用した青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色発光ダイオードは、連続的で幅広い発光スペクトルを有していることからニジムラの改善に有効であるとともに、発光効率にも優れるため、本発明における上記バックライトの一次光源として好適である。又、消費電力の小さい白色LEDを広汎に利用可能になるので、省エネルギー化の効果も奏することが可能となる。
タッチパネル装置1の表示画像は、バックライト8の一次光源から照射された光がカラーフィルター5を透過することでカラー表示される。ところが、カラーフィルター5を透過する光が単色表示となるように制御した場合、タッチパネル用センサーフィルム3の透明基材として、従来使用されている配向ポリエステルフィルムを用いると、ニジムラがより強く生じる場合がある。これに対して、タッチパネル装置1は、上述した多層透明基材30を有するため、このような単色表示とした場合であっても、ニジムラの発生を好適に抑制することができる。
タッチパネル装置1においては、多層透明基材30の遅相軸の方向と、偏光板4の吸収軸とのなす角度が、0°±30°又は90°±30°の範囲となるようにタッチパネル用センサーフィルム3と偏光板4が配設されることが好ましく、0°±10°又は90°±10°の範囲にあることがより好ましく、0°±7°又は90°±7°の範囲にあることがより好ましく、0°±3°又は90°±3°の範囲にあることが更に好ましく、上記角度が0°又は90°となるようにタッチパネル用センサーフィルム3と偏光板4が配設されることが最も好ましい。多層透明基材30の遅相軸の方向と、偏光板4の吸収軸とのなす角度が上記範囲内にあることで、タッチパネル装置1の表示画像にニジムラが生じることを極めて高度に抑制することができる。この理由は明確ではないが、以下の理由によると考えられる。
即ち、外光や蛍光灯の光のない環境下(以下、このような環境下を「暗所」とも言う)では、タッチパネル装置1の多層透明基材30の遅相軸の方向と偏光板の吸収軸とのなす角度は、どのような角度であってもニジムラの発生を抑制できる。しかしながら、外光や蛍光灯の光のある環境下(以下、このような環境下を「明所」とも言う)においては、外光や蛍光灯の光は、連続的な幅広いスペクトルを有するものばかりではないため、更に、多層透明基材30の遅相軸の方向と偏光板4の吸収軸とのなす角度を上述の範囲にしないと、ニジムラが生じてしまい表示品位が低下してしまう。更に、カラーフィルター5を透過したバックライト8の光も連続的な幅広いスペクトルを有するものばかりではくなるため、多層透明基材30の遅相軸の方向と偏光板4の吸収軸とのなす角度を上述の範囲にしないと、ニジムラが生じてしまい表示品位が低下してしまうと推測している。尚、タッチパネル用センサーフィルム3を複数枚積層して用いる場合や、更に保護膜として透明基材を最表面に積層する場合には、全ての層について上記角度範囲に入ることが好ましい。
尚、特にタッチパネル装置等の表示装置を、偏光サングラスの使用によって視認する必要のある場合には、上記多層透明基材30の遅相軸の方向と、偏光板4の吸収軸とのなす角度が、45°±30°の範囲となるようにタッチパネル用センサーフィルム3と偏光板4が配設されたものを好ましく用いることができる。このような構成とすることにより、ニジムラを防止する光学特性を有効に利用して、タッチパネル用センサーフィルム全体で、直線偏光による入射光を、これと直交する直線偏光成分を有する光により出射することができ、これにより、例えば屋外不特定多数が視認する場合のディスプレイにおいて想定される様に、視認者が偏光サングラスを使用する場合でも、画面が暗転することなく表示画面を見て取ることができる。
ここで、クロスニコルに配置した偏光板間に対し、ある角度θで設置されたとき、該偏光板間を透過する光の透過率は下記の式(数2)で表される。式(数2)において、Iはクロスニコルに配置した偏光板間を透過した光の強度を示し、I0はクロスニコルに配置した偏光板間に入射する光の強度を示す。この場合、偏光板4の吸収軸に対して、多層透明基材30の遅相軸の方向のなす角度(θ)を45°としたときに、光の透過率は最大となるが、透過率は、多層透明基材30のリタデーション及び透過する光の波長によって変化するため、上記リタデーションの値に特有の干渉色(ニジムラ等)が観測される。ここで、上記角度(θ)を0°又は90°とした場合、上記光の透過率はゼロとなるため、干渉色は観測されなくなる。
(数2) I/I0=sin2θ・sin(πRe/λ)
尚、透明基材の配向角差は、例えば、王子計測機器社製の分子配向計(MOA;Molecular Orientation Analyzer)を用いて測定した配向角の最大値から最小値を引いた値として求められる。又、上記の遅相軸の方向は、上記分子配向計(MOA;Molecular Orientation Analyzer)を用いて求めた上記偏光板保護フィルムの遅相軸の方向の平均配向角の方向である。
又、タッチパネル装置1は、タッチパネル用センサーフィルム3上に任意の層が単層及び/又は複層形成された構成であってもよい。上記任意の層としては特に限定されず、例えば、ハードコート層、帯電防止層、低屈折層、高屈折率層、防眩層、防汚層、反射防止層、高誘電体層、電磁波遮蔽層、接着剤層等が挙げられる。
タッチパネル装置1は、必要に応じてその他の透明層を備えるものであってもよい。但し、その他の透明層を形成する透明基材については、リタデーションが、400nm未満のもの、或いは、リタデーションが3000nm以上の透明基材を多層透明基材30と遅相軸の方向を平面視上、同一方向とする状態で配置することが好ましい。
又、タッチパネル装置1は、タッチパネル用センサーフィルム3の他、本発明の多層透明基材30を基材として用いた導電性積層体である電磁波遮蔽フィルム3A、或いは同様に多層透明基材30を用いた光学積層体である反射防止フィルム3B等を、それぞれ必要に応じて任意の位置に配置し積層したものであってもよい。
本発明のタッチパネル用センサーフィルム3は、タッチパネル装置の透明電極や携帯電話機等に設けられる透明アンテナ等に特に好ましく使用することができるものである。タッチパネル用センサーフィルム3を備えることにより、タッチパネル装置1において、タッチの誤認や、異常検知によるタッチ認識ロックによる誤動作を防止することができ、又、LCD駆動回路の誤動作による画像ノイズや画像の乱れも防止できる。
又、本発明の多層透明基材を用いた導電性積層体は、例えば、電磁波遮蔽フィルムとして、各種の、テレビジョン受像装置、測定機器や計器類の表示部、事務用機器や電算機の表示部、電話機の表示部、遊戯機器の表示部、電飾看板(照明広告)等に用いられるプラズマディスプレイ(PDP)、ブラウン管ディスプレイ(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、電場発光ディスプレイ(EL)等の画像表示装置等に好ましく用いることができる。又、その他、建築物の窓、車両、船舶、航空機、或は電子レンジの窓等の電磁波遮蔽用途にも使用可能である。
又、本発明の多層透明基材を用いた光学積層体は、例えば、反射防止フィルムとして、上記同様の各種の表示装置の表示部、等に好ましく用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。尚、本明細書においては、特別に断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(実施例1)
<タッチパネル用センサーフィルム作成>
以下の工程により、実施例1のタッチパネル装置に用いるタッチパネル用センサーフィルムを作成した。
[透明基材作成]
ポリエチレンテレフタレート材料を290℃で溶融して、フィルム形成ダイを通して、シート状に押出し、水冷冷却した回転急冷ドラム上に密着させて冷却し、未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムを二軸延伸試験装置(東洋精機製)にて、120℃にて1分間予熱した後、120℃にて、延伸倍率1.5倍に延伸した後、その延伸方向とは90度の方向に延伸倍率4.5倍にて延伸を行い、リタデーション=3300nm、膜厚=33μm、Δn=0.099の透明基材を得た。この透明基材3枚を、1層目と3層目については互いの遅相軸が平面視において同方向となるように配置し、2層目の中間の層については、上記1層目と3層目の透明基材と遅相軸が直行するように配置し、各層を透明接着剤層を介して積層し、実施例1の多層透明基材を得た。透明接着剤としては、従来公知の酸化防止剤を含むアクリル系の透明接着剤を用いた。
[導電層形成工程]
先ず、導電層とする金属箔として、厚み10μmの連続帯状の電解銅箔を用意した。この銅箔の両面に銅―コバルト合金微粒子からなる黒化層を形成した。
又、上記工程で得た多層透明基材の一方の面にポリエステル樹脂系プライマー層を形成した。
次いで、上記多層透明基材の一方の面と、上記金属箔の光沢面とを、透明な2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤(主剤として平均分子量3万のポリエステルポリウレタンポリオール12質量部に対して、硬化剤としてキシリレンジイソシアネート系プレポリマー1質量部を含む)でドライラミネートした後、50℃で3日間養生して、金属箔と多層透明基材間に厚み7μmの透明接着剤層を有する連続帯状の銅箔積層シートを得た。
次いで、上記銅箔積層シートの銅箔に対して、フォトリソグラフィー法を利用したケミカルエッチング処理を行い、開口部及びライン部とからなるタッチパネル用センサーパターンを形成した。
上記エッチングは、具体的には、カラーTVシャドウマスク用の製造ラインを利用して、連続帯状の上記積層シートに対して、マスキングからエッチングまでを一貫して行った。即ち、上記積層シートの銅箔面全面に感光性のエッチングレジストを塗布後、所望の配線パターンを密着露光し、現像、硬膜処理、ベーキングして、パターンの開口部に相当する領域上にレジスト層が非形成となったレジストパターンを形成した後、レジスト層非形成部の銅箔を、塩化第二鉄を含む酸性水溶液のエッチング液でエッチングして除去して、開口部を有した銅パターンを形成し、次いで、水洗、レジスト剥離、洗浄、乾燥を順次行った。
アクティブエリア(画像表示領域)のパターン形状は、格子状のパターンが帯状に配列した形状であり、線幅は10ミクロン、開口ピッチは300ミクロンであった。又、その周囲に取り回し電極パターンを形成した。
更に、上記多層透明基材の他方の面にも、この導電層形成工程において行った電解銅箔を用意する処理を同様に行うことによって、開口部及びライン部とからなるタッチパネル用センサーパターンを形成した。但し、すでに形成された面については表面に上記ドライラミネート手法を適切に用いたマスキングを行い前記エッチング工程における腐食を防止している。又、パターン形成の際には多層透明基材の両面にそれぞれ形成された各ライン部のラインの方向が、平面視上において互いに直交する向きとなるようにアライメントの調整を実施し、それぞれのライン部を形成した。
<タッチパネル用センサー作成>
前記のタッチパネル用センサーフィルムを厚さ3ミリのガラス板上に、厚さ25ミクロンの透明接着剤層を介して積層し、更に実施例1の透明基材を所定のサイズに打ち抜いたものを保護のために積層してタッチパネル用センサーとした。
<タッチパネル装置作成>
次に、液晶モニター(FLATORON IPS226V(LG Electronics Japan社製))の観測者側の偏光板上側に、得られたタッチパネル用センサーをガラス板が観察者側に来るよう配置し、タッチパネル装置を作製した。尚、タッチパネル用センサーは、該タッチパネル用センサーの多層透明基材の遅相軸と液晶モニターの観測者側の偏光板の吸収軸とのなす角度が0°となるように配置した。
(実施例2)
実施例1における透明基材の作成における延伸倍率を調整して得た、リタデーション=9900nm、膜厚=100μm、Δn=0.099の透明基材を1層目に配置する透明基材として用いた他は、実施例1と同様の方法でタッチパネル装置を作製した。
(実施例3)
タッチパネル用センサーの多層透明基材の遅相軸の方向と、液晶モニターの観察者側の偏光板の吸収軸とのなす角度を30°とした以外は、実施例1と同様の方法でタッチパネル装置を作製した。
(実施例4)
タッチパネル用センサーの多層透明基材の遅相軸の方向と、液晶モニターの観察者側の偏光板の吸収軸とのなす角度を60°とした以外は、実施例1と同様の方法でタッチパネル装置を作製した。
(実施例5)
タッチパネル用センサーの多層透明基材の遅相軸の方向と、液晶モニターの観察者側の偏光板の吸収軸とのなす角度を90°とした以外は、実施例1と同様の方法でタッチパネル装置を作製した。
(実施例6)
タッチパネル用センサーの多層透明基材の遅相軸の方向と、液晶モニターの観察者側の偏光板の吸収軸とのなす角度を45°とした以外は、実施例1と同様の方法でタッチパネル装置を作製した。
(比較例1)
実施例1における透明基材の作成における延伸倍率を調整して得た、リタデーション=4800nm、膜厚=100μm、Δn=0.048の透明基材を第2層目に積層する透明基材として用いた。その他の材料、製造条件については、実施例1と同様の方法でタッチパネル装置を作製した。
(比較例2)
実施例1における各透明基材の配置方向を、全ての透明基材の遅相軸の方向が同一となるように配置した。その他の材料、製造条件については、実施例1と同様の方法でタッチパネル装置を作製した。
(比較例3)
実施例1における多層の透明基材に替えて、実施例2において1層目に配置する透明基材として用いた9900nmのリタデーションを有する透明基材を、単層のまま基材として用いた。その他の材料、製造条件については、実施例1と同様の方法でタッチパネル装置を作製した。
<ニジムラ評価>
実施例1〜6、比較例1〜3のタッチパネル装置を、暗所及び明所(液晶モニター周辺照度400ルクス)にて、5人の人間が、正面及び斜め方向(約50度)から目視及び、明所においては更に偏光サングラス越しに、表示画像の観測を行い、ニジムラの有無を以下の基準に従い評価した。結果を下記表1に示す。
A:ニジムラが観測されない。
B:ニジムラが観測されるが、薄く、実使用上問題ないレベル。
C:ニジムラが観測される。
D:ニジムラが強く観測される。
<引き裂き強度評価>
実施例1及び比較例1の多層透明基材、及び、比較例2、3の単層透明基材について、以下の方法で引き裂き強度を測定した。
上記基材サイズに合わせて作成したタッチパネル装置を、手持ちを想定し、基板端部(長辺/短辺)を端部から40〜50mm程度の幅までを手で持ち、目視にて基板中央部が設置した状態を保ち、端部を200mm程度まで30回程度繰り返し持ち上げ、降ろしを行なう。実際のハンドリングを想定し、基板を1〜20枚程度まで重ねて同様に試験を行なう。
A:基板を20枚を重ねた場合でも裂け、変形が見られない。
B:基板を20枚程度を重ねた場合最下の1枚に裂けの兆候を示す白いスジ状のものが見られる(目視判定)。
C:基板を20枚程度を重ねた場合最下の1〜5枚程度に裂けの兆候を示す白いスジ、或いは目視にて認められる折れ線状の変形が見られる。
D:基板の枚数に関わらず目視上の裂け(0.5mm以上)が生じる。
Figure 0006035927
表1に示す通り、タッチパネル用センサーフィルムを構成する多層透明基材が所定のリタデーション、層構成を有する本発明の多層透明基材であり、且つ、当該多層透明基材の遅相軸の方向と、タッチパネル装置の偏光板の吸収軸とが0°±30°又は90°±30°の範囲にある実施例1〜4に係るタッチパネル装置は、明所及び暗所における目視のニジムラの評価に優れるものであった。これに対して、上記の多層透明基材の遅相軸の方向と偏光板の吸収軸とのなす角度が45°であった実施例5に係るタッチパネル装置は、明所での偏光サングラス越しでのニジムラ評価に劣るものではあったが、暗所でのニジムラ評価は良好であり、実用上好ましい範囲に、ニジムラを抑制できるものとなっている。
又、表1に示す通り、多層透明基材が、所定の透明基材をそれらの遅相軸が互いに直行する状態に配置して積層したものである実施例1の多層透明基材は、そのような層構成を欠く比較例2及び3の多層透明基材と比較して、引き裂き強度に優れるものであった。
(変形例)
タッチパネル用センサーの多層透明基材の遅相軸の方向と、液晶モニターの観察者側の偏光板の吸収軸とのなす角度を任意の角度とし、それ以外は、実施例1と同様の方法で作成したタッチパネル装置については、暗所での使用において実用上好ましい範囲に、ニジムラを抑制できるものとなっている。
以上、実施例より、本発明の多層透明基材を用いたタッチパネル用センサーフィルム及びそれを用いたタッチパネル装置は、画面にニジムラが生じることを極めて高度に抑制でき、且つ、引き裂き強度にも優れたものであり、タッチパネル装置に好ましく用いることができるものであることが分る。
1 タッチパネル装置
2 透明表面基板
3 タッチパネル用センサーフィルム
3A 電磁波遮蔽フィルム
3B 反射防止フィルム
30 多層透明基材
300(301、302、303) 透明基材
311、312、313 導電層
320 微小突起層
33 保護基材
34 透明粘着層
4 偏光板
5 カラーフィルター
6 液晶パネル
61 液晶層
62 ガラス板
7 偏光板
8 バックライト

Claims (9)

  1. 3枚以上の透明基材を積層してなる多層透明基材であって、
    前記透明基材は、いずれも、3000nm以上のリタデーションを有し、
    又、前記透明基材は、いずれも、それらの面内において最も屈折率が大きい方向である遅相軸が、隣接する他の透明基材の前記遅相軸と平面視上直交するように積層されており、
    前記多層透明基材において、前記遅相軸が同じ向きに積層されている一群の透明基材のリタデーションの和と、前記遅相軸がそれらに直交する向きに積層されている他の一群の透明基材のリタデーションの和、との差が3000nm以上である多層透明基材。
  2. 前記多層透明基材を構成する全ての前記透明基材は、前記遅相軸の方向の屈折率(nx)と、前記遅相軸の方向と直交する方向である進相軸の方向の屈折率(ny)との差(nx−ny)が、0.05以上である請求項1に記載の多層透明基材。
  3. 前記透明基材は、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、(メタ)アクロニトリル系樹脂、及び、シクロオレフィン系樹脂からなる群より選択されるいずれか1種の材料からなる請求項1又は2に記載の多層透明基材。
  4. 前記透明基材の積層枚数が奇数であり、全ての前記透明基材が同一のリタデーションを有する請求項1からのいずれかに記載の多層透明基材。
  5. 請求項1からのいずれかに記載の多層透明基材の少なくとも一方の表面又は該多層透明基材の層間に導電層が形成されてなる導電性積層体。
  6. 請求項1からのいずれかに記載の多層透明基材又は該多層透明基材を含んで構成される積層体と、
    偏光板と、を備える表示装置。
  7. 請求項に記載の表示装置において、
    前記偏光板の吸収軸と、前記多層透明基材の遅相軸の方向とのなす角度が、0°±30°又は90°±30°となるように配設されていることを特徴とする表示装置。
  8. 請求項に記載の表示装置において、
    前記偏光板の吸収軸と、前記多層透明基材の遅相軸の方向とのなす角度が、45°±30°となるように配設されていることを特徴とする表示装置。
  9. 請求項5に記載の前記導電性積層体をタッチパネル用センサーフィルムとして用いた表示装置。
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