以下、本発明の好適な実施の形態に係る複合機1について、図面を参照しつつ説明する。なお、実施形態は本発明の一例に過ぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
複合機1は、図1に示す状態に設置されて且つ使用される。本実施形態において、図1に矢印を付して示す3つの方向が、上下方向400、前後方向200、及び左右方向300である。図1に示す3つの方向は、他の図面においても同様である。
<複合機1の概要>
まず、図1を用いて複合機1の外観について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る複合機1の外観構成を示すものである。図1に示されるように、本発明の一例である複合機1は、下部にプリンタ部2を、上部にスキャナ部3を備えている。複合機1は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能及びファクシミリ機能を有する。複合機1が有する各機能のうち、プリンタ機能以外の機能は任意である。したがって、例えばスキャナ部3がなく、スキャナ機能やコピー機能を有しない単機能のプリンタに本発明を実施してもよい。また、複合機1の正面上部には、操作パネル4が設けられている。操作パネル4は、各種操作ボタンや液晶表示部から構成されている。ユーザーによって操作パネル4が操作されることで、複合機1は、プリンタ部2及びスキャナ部3を制御して、複合機1が有する各機能を実行する。複合機1は、操作パネル4からの操作指示に基づいて動作する。なお、複合機1は、外部から当該複合機1に接続されるパーソナルコンピュータなどの外部端末をユーザーが操作することで、複合機1が有する各機能を実行することが可能である。
また、プリンタ部2の前側には、開口7が形成されている。この開口7を介してプリンタ部2には、給紙カセット5及び排紙トレイ6が配置されている。
<プリンタ部2の構成>
次に、図2を用いてプリンタ部2の主要な構成について説明する。図2は、プリンタ部2を左右方向300から見た場合の主要構成を示す模式断面図である。プリンタ部2は、主要な構成として給紙カセット5、給紙部20、第1搬送部40、記録ユニット50、第2搬送部60、及び排紙トレイ6を備える。
<給紙カセット>
図2において、給紙カセット5は、各種サイズの用紙を収容可能である。給紙カセット5の後端部には、傾斜部21が設けられている。また、給紙カセット5は、ユーザーに操作されることで開口7内を前後方向200に移動可能、つまりプリンタ部2に対して着脱可能である。
<給紙部20>
図2に示すように、プリンタ部2には、給紙カセット5に載置された用紙を給紙する給紙部20が設けられている。給紙部20は、給紙ローラ22、給紙アーム23、駆動伝達機構24、及び基軸25を備えている。給紙ローラ22は、給紙カセット5に載置された用紙を搬送ローラ41に向けて給送する。また、給紙ローラ22は、給紙アーム23の先端部に軸支されている。給紙アーム23内には、給紙ローラ22と連結し且つ複数のギアが噛合されてなる駆動伝達機構24の一部が配置されている。駆動伝達機構24は、搬送モータ108(図8参照)の駆動力が伝達される。つまり、給紙ローラ22は、搬送モータ108が駆動されると駆動伝達機構24を介して回転される。
給紙アーム23は、給紙カセット5に載置された用紙に給紙ローラ22が接離可能となるように、当該給紙アーム23の他端部に設けられた基軸25を中心軸として回動する。給紙アーム23の先端に軸支された給紙ローラ22は、自重により又はバネ等に付勢されることで、給紙カセット5に載置される用紙Pの表面と接触する。その状態で、給紙ローラ22が回転することにより、給紙ローラ22と接触する用紙Pが傾斜部21へ送り出される。用紙Pは、その先端が傾斜部21に当接して上方へ案内される際に、給紙ローラ22と接触する用紙Pが、当該用紙Pに摩擦力等で接触する下位の用紙から分離される。そして、下位の用紙から分離され、且つ給紙ローラ22と接触する用紙Pが用紙搬送路30へ給紙される。
<用紙搬送路30>
用紙搬送路30は、所定の距離で隔てられた外側ガイド部材31と内側ガイド部材32とから形成されている。外側ガイド部材31は、給紙カセット5の後端部から、後述する第1搬送部40に至るまでに設けられる。なお、外側ガイド部材31は、給紙ローラ22によって装置後方に給紙された用紙Pを装置前方に向けるべく湾曲された湾曲部を有する。なお、内側ガイド部材32も、外側ガイド部材31と同様に湾曲部を有する。外側ガイド部材31及び内側ガイド部材32は、互いの湾曲部を対向させた状態で、プリンタ部2に設けられる。つまり、給紙ローラ22によって給紙された用紙Pは、外側ガイド部材31及び内側ガイド部材32によって形成される用紙搬送路30を経由して、第1搬送部40に至る。
<第1搬送部40>
図2に示すように、給紙ローラ22によって用紙搬送路30内を給紙される用紙Pは、第1搬送部40まで給紙される。第1搬送部40は、搬送ローラ41、及び従動コロ42を備えている。搬送ローラ41は、搬送モータ108によって回転される。また、搬送ローラ41のローラ面に圧接されるようにして、従動コロ42が設けられている。つまり、給紙ローラ22によって給紙された用紙Pは、搬送ローラ41と従動コロ42とによって挟持される。用紙Pが挟持された状態で、搬送ローラ41が搬送モータ108によって回転されると、用紙Pが搬送方向下流側(つまり、前方)に搬送され、後述する記録ユニット50に搬送される。
<記録ユニット50>
図2に示すように、搬送ローラ41の搬送方向下流側には、記録ユニット50が設けられている。記録ユニット50は、記録ヘッド51、メディアセンサ52、及びキャリッジ53を備えている。記録ヘッド51及びメディアセンサ52は、キャリッジ53を備えている。キャリッジ53は、CR(キャリッジ)モータ110が駆動されることで、搬送方向と直交する主走査方向(つまり、図2の紙面垂直方向であって、左右方向300)に往復移動される。また、記録ヘッド51は、プリンタ部2内に配置された図示しないインクカートリッジからインクが供給される。そして記録ヘッド51は、供給されるインクを微小なインク滴として吐出する。なお、記録ヘッド51、及びメディアセンサ52についての詳細な説明については後述する。
図2に示すように、プラテン54は、記録ヘッド51と、メディアセンサ52とに対向するようにプラテン54が設けられている。プラテン54は、キャリッジ53の往復動範囲のうち、用紙が通過する範囲に渡って設けられている。プラテン54の主走査方向の幅は、プリンタ部2が搬送可能な最大用紙の主走査方向の幅より大きいものであり、用紙Pの主走査方向の両端は常にプラテン54の上を通過する。また、プラテン54は、搬送ローラ41によって搬送される用紙Pを支持する。つまり、キャリッジ53が往復移動される間に、記録ヘッド51からインク滴が吐出されることにより、プラテン54に支持される用紙に画像等の記録が行われる。なお、プラテン54の詳細な説明については後述する。
<第2搬送部60>
図2に示すように、第1搬送部40によって搬送された用紙Pは、第2搬送部60まで搬送される。第2搬送部60は、排紙ローラ61、及び拍車62を備えている。排紙ローラ61は、搬送ローラ41が回転する際の駆動力が伝達されて回転される。また、排紙ローラ61のローラ面に圧接されるようにして、拍車62が設けられている。なお、拍車62は、記録ユニット50によって画像等の記録が行われた用紙Pの面と接触する。つまり、搬送ローラ41によって搬送された用紙Pは、排紙ローラ61と拍車62とによって挟持される。第2搬送部60によって用紙Pが挟持された状態で、排紙ローラ61が搬送ローラ41によって回転されると、用紙Pが搬送方向下流側に搬送される。
第2搬送部60の搬送方向下流側には、排紙トレイ6が設けられている。つまり、第2搬送部60によって搬送方向下流側に搬送される用紙Pが、当該第2搬送部60による挟持から開放されると、用紙Pは、排紙トレイ6上に排紙される。
<キャリッジ53の駆動>
次に、図3を用いて、キャリッジ53を主走査方向に移動させる主要な構成について説明する。図3は、記録ユニット50の主要構成を示す部分平面図である。プリンタ部2には、搬送方向(つまり、前後方向200)に、距離を空けて配置された2つのガイドフレーム70、71が設けられている。2つのガイドフレーム70,71は、主走査方向(つまり、左右方向300)に延びるようにして形成されている。キャリッジ53は、ガイドフレーム70,71を跨ぐようにして主走査方向に往復動可能に載置されている。なお、この際、キャリッジ53は、ガイドフレーム70,71上を摺動する。用紙Pの搬送方向の上流側(つまり、後方)に設けられたガイドフレーム70は、主走査方向の長さがキャリッジ53の往復動範囲より長く形成されている。また、ガイドフレーム70は、その上面が、キャリッジ53の上流側の端部を摺動自在に支持している。
用紙Pの搬送方向の下流側に設けられたガイドフレーム71は、主走査方向の長さがガイドフレーム70とほぼ同じ長さに形成される。また、キャリッジ53の下流側の端部を支持する縁部72が、上方へ向かって略直角に曲折されている。キャリッジ53は、ガイドフレーム71の上面に摺動自在に支持されており、且つ、縁部72をキャリッジ53が備える不図示のローラ等により挟持している。したがって、キャリッジ53は、ガイドフレーム70,71上に摺動自在に支持され、ガイドフレーム71の縁部72を基準として、主走査方向に往復動する。
ガイドフレーム71の上面には、ベルト駆動機構73が設けられている。ベルト駆動機構73は、駆動プーリ74、従動プーリ75、及びタイミングベルト76を備えている。駆動プーリ74は、ガイドフレーム71の右端部に設けられる。また、駆動プーリ74の軸にはCRモータ110(図8参照)から駆動力が伝達される。つまり、駆動プーリ74は、CRモータ110によって回転される。従動プーリ75は、ガイドフレーム71の左端部に設けられている。タイミングベルト76は、内側に歯が設けられた無端形状のベルトである。また、タイミングベルト76は、駆動プーリ74、及び従動プーリ75を架け渡すようにして、ガイドフレーム71上に設けられる。つまり、CRモータ110によって駆動プーリ74が駆動されると、当該駆動プーリ74の回転によりタイミングベルト76が周運動する。このとき、従動プーリ75は、周運動するタイミングベルト76によって回転される。なお、駆動プーリ74がガイドフレーム71の左端部に設けられ、従動プーリ75がガイドフレーム71の右端部に設けられていてもよい。また、ガイドフレーム71には、縁部72に沿って帯状のエンコーダストリップ77が設けられている。
キャリッジ53は、タイミングベルト76が連結されている。キャリッジ53はタイミングベルト76の周運動により、当該キャリッジ53が縁部72を基準としてガイドフレーム70,71上を往復動する。したがって、キャリッジ53に記録ヘッド51、及びメディアセンサ52が搭載されて、記録ヘッド51及びメディアセンサ52が、主走査方向に往復動可能となっている。
次に、図4(a)を用いてリニアエンコーダ113の主要な構成について説明する。図4(a)は、リニアエンコーダ113の主要構成を示す模式図である。キャリッジ53は、エンコーダストリップ77を挟んで発光部材202及び受光部材203が配置されたセンサ部201を備えている。センサ部201は、エンコーダストリップ77と共にリニアエンコーダ113を構成している。
図4(a)に示すように、リニアエンコーダ113は、所定の間隔でエンコーダスリット204が形成されたエンコーダストリップ77と、センサ部201により構成されている。センサ部201は、発光部材202と受光部材203とを備える。なお、発光部材202と受光部材203との間に位置するように、エンコーダストリップ77が配置されている。発光部材202は、二つの発光素子(A相発光素子207及びB相発光素子208)を備え、受光部材203は、二つの受光素子(A相受光素子209及びB相受光素子210)を備えている。ここで、A相発光素子207から照射された光はA相受光素子209で受光され、B相発光素子208から照射された光はB相受光素子210で受光される。
センサ部201は、キャリッジ53の移動に伴って主走査方向に往復動する。ここで、センサ部201とエンコーダストリップ77との相対的な位置関係によって、各受光素子209、210において各発光素子207、208からの光が受光される場合と受光されない場合とが生じる。これにより、センサ部201は後述のパルス信号を生成する。図4(a)においては、A相発光素子207からの光がエンコーダストリップ77を通過してA相受光素子209で受光され、B相発光素子208からの光がエンコーダストリップ77に遮られてB相受光素子210で受光されない状態を示している。
次に、図4(b)を用いて、センサ部201が生成するパルス信号について説明する。図4(b)は、各受光素子の受光状態の変化により生成されるパルス信号の説明図である。図4(b)に示すように、センサ部201は、キャリッジ53の移動に応じて、互いに一定周期ズレた2種類のパルス信号を生成する。具体的には、センサ部201は、A相受光素子209での受光状態の変化により生成されたエンコーダA相信号(encA)と、B相受光素子210での受光状態の変化により生成されたエンコーダB相信号(encB)とを生成する。そして、A、B各相のエンコーダ信号encA、encBは、往路方向(つまり図1の左右方向300の左から右)へのキャリッジ53の走査ではencBがencAに対して位相が一定周期進み、往路方向(つまり図1の左右方向300の左から右)へのキャリッジ53の走査ではencBがencAに対して位相が一定周期遅れるようになっている。後述の制御部100は、encBとencAとの位相差に基づいて、キャリッジ53の移動方向を検出する。
また、制御部100は、センサ部201によって生成されたパルス信号を計数することで、キャリッジ53の主走査方向上の位置を検出する。つまり、キャリッジ53の往復動は、制御部100によってリニアエンコーダ113から生成されるパルス信号に基づいて制御される。
<記録ヘッド51>
図5は、記録ヘッド51のノズル形成面とメディアセンサ52の関係を示すキャリッジ53の底面図である。記録ヘッド51には、その下面に複数のノズル55が、主走査方向(つまり左右方向300)、及び搬送方向(つまり前後方向200であり、副走査方向)に沿って設けられている。記録ヘッド51は、後述するインク吐出制御により、主走査方向及び搬送方向において、所定の間隔で各ノズル55からのインクを用紙P上に着弾させる。例えば、主走査方向解像度及び副走査方向解像度がいずれも300dpi(つまり上述の所定の間隔は300dpi)であった場合、用紙P上には、仮想的に主走査方向と副走査方向とにそれぞれ1/300インチの長さの格子状に区画された複数の単位領域U(図6参照)が規定される。制御部100は、単位領域Uを用いてインクの吐出量を後述のように記録処理開始前に予め算出する。なお、各ノズル55のピッチや数等は複合機1で行う所望の記録等を考慮して適宜設定される。
<メディアセンサ52>
図5に示すように、キャリッジ53には、メディアセンサ52が搭載されている。メディアセンサ52は、直径rの開口57を有する筐体を備え、さらに当該筐体内に発光ダイオードからなる発光部114、及びフォトトランジスタ等からなる受光部115が配置されている(図8参照)。メディアセンサ52の発光部114は、プラテン54へ向かって光を照射し、その光の反射光を受光部115が受光するように構成されている。なお、発光部114から照射される光、及び受光部115が受光する反射光は、開口57を通過する。
また、図3に示すように、プラテン54には、用紙Pの搬送方向と平行な方向に延びるとともに、主走査方向に距離を空けて複数のリブ56が設けられている。リブ56は、プラテン54から上方向(つまり図3の紙面垂直方向)、つまりキャリッジ53側に突出しており、用紙Pが通過する際には複数のリブ56の上面と用紙Pが当接する。
プラテン54の色は、例えば黒色のように、一般的に広く普及している白色である用紙Pと光反射率が異なる色で構成されている。例えば、用紙Pが存在しない場合、つまり用紙Pよりも反射率の低いプラテン54からの反射光を受光部115が受光したときのメディアセンサ52からの信号レベルを値Aとする。すると、用紙Pが存在する場合には、プラテン54よりも反射率の高い用紙Pからの反射光を受光部115が受光するため、メディアセンサ52からの信号レベルは値Aよりも高い値Bとなる。したがって、後述する制御部100は、メディアセンサ52が受光する反射光量の差により用紙Pの有無を検知することができる。
図7を用いて、後述する制御部100が行う用紙Pの主走査方向における端(以下、側端と称する)の検出について説明する。図7(a)、は、プラテン54、リブ56、及び用紙Pとキャリッジ53の往路方向(つまり図1の左右方向300の左から右)への走査との関係を示した模式図である。図7(b)は、メディアセンサ52からの信号レベルとエンコーダストリップ77のエンコーダスリット204数との関係を示したグラフである。なお、説明の便宜上、キャリッジ53の往路方向への走査の場合を図7を用いて説明するが、キャリッジ53の復路方向への走査の場合も同様であることは言うまでもない。
図7(a)に示すように、キャリッジ53に搭載されたメディアセンサ52は、発光部114から光を照射しつつ、キャリッジ53の移動に伴って、往路方向へ移動する。図7(b)に示すように、メディアセンサ52がプラテン54の直上に位置するとき、メディアセンサ52からの信号レベルは所定の閾値より低い値Aとなる。また、メディアセンサ52がリブ56の直上に位置するときは、メディアセンサ52からの信号レベルは値Aと比べて若干高い値(例えば、値Aと値Cとの間の値)となる。メディアセンサ52が用紙Pの左端の直上を通過するとき、メディアセンサ52からの信号レベルの波形は急峻な立ち上がりを示す。これは、メディアセンサ52の発光部114から照射され、プラテン54またはリブ56の表面にて反射されてきた光が、キャリッジ53の移動に伴って、徐々に用紙Pの表面上で反射されるためである。さらにキャリッジ53が移動して、メディアセンサ52が用紙Pの直上に位置するときは、メディアセンサ52からの信号レベルは値Aと比べて高い値Bとなる。また、メディアセンサ52が用紙Pの右端の直上を通過するとき、メディアセンサ52からの信号レベルは、メディアセンサ52が左端の直上を通過するときと逆の波形を示す。つまり、メディアセンサ52からの信号レベルの波形は急峻な立ち下がりを示す。後述する制御部100は、値Aと値Bの間の所定の値Cを閾値とし、閾値Cを上回る最も左側(エンコーダスリット204数最小)の位置を用紙Pの左端、最も右側(エンコーダスリット204数最大)の位置を用紙Pの右端として検出する。
<制御部100>
図8は、プリンタ部2の制御部100の構成を示すブロック図である。制御部100は、図8に示すように、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、及びEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)104を主とするマイクロコンピュータとして構成されている。また、CPU101、ROM102、RAM103、及びEEPROM104は、バス105を介してASIC(Application Specific Integrated Circuit)106に接続されている。
ROM102には、プリンタ部2の各種動作を制御するためのプログラム等が記憶されている。RAM103は、CPU101が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記録する記憶領域又は作業領域として使用される。EEPROM104には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が記憶される。
RAM103には、複合機1と接続されているパーソナルコンピュータ等から入力された用紙P上に記録される画像に係る画像データが記憶される。CPU101は、ページ記述言語(PDL:Page Description Language)等で記述された画像データを解析する。そしてCPU101、各単位領域U(図6参照)毎のインクの吐出量を加算して、画像データで吐出されるインクの吐出量を算出する。
図6を用いて、各単位領域Uに吐出されるインクの吐出量について説明する。図6は、各単位領域Uに各ノズル55からそれぞれ吐出されるインクの吐出量を示す概略模式図である。本発明においては、用紙P上の任意の領域Dは、複数の単位領域Uで区画されている。図6の小、中、大との記載は、その単位領域Uに各ノズル55から小滴、中滴、大滴で区別される一定量のインクが吐出されることを意味しており、小、中、大のいずれの記載の無い領域には、インクが吐出されないことを意味している。
例えばRAM103上には実際に、上記した、インクが吐出されない、小滴、中滴、及び大滴は、それぞれ0、1、2、及び3といった数字で記憶される。そして、CPU101は、用紙Pの端部のインクの吐出を、用紙Pの端部であって任意の領域Dにある各単位領域U内の数字の総和、つまり0〜3の数字の総和をして算出する。
このように、制御部100は、記録ヘッド51を用いた記録処理の開始前に、用紙Pの端部内の各単位領域U毎のインクの吐出量を総和することで、後述する用紙Pの端部に吐出されるインクの吐出量を予め算出することができる。各単位領域U毎のインクの吐出量の総和及び用紙Pの端部に吐出されるインクの吐出量の総和は、CPU101によって、RAM103内に記憶され、選択的に読み出すことが可能となっている。なお、各単位領域U毎に吐出されるインクの吐出量の算出は、例えばASIC106のようにCPU101以外の構成が行ってもよいし、複合機1と接続されたパーソナルコンピュータ等が備えるプリンタドライバが行ってもよい。
ASIC106は、CPU101から出力される指令に基づいて、駆動信号を生成する。そして、ASIC106は、生成した駆動信号を駆動回路107に付与する。駆動回路107は、付与された駆動信号を記録ヘッド51に通電する。これにより、記録ヘッド51の各ノズル55に備えられる圧電素子が駆動され、各ノズル55内に存在するインクが各ノズル55から吐出される。
また、ASIC106は、CPU101からの指令に基づいて、搬送モータ108に通電する相励磁信号等を生成する。そして、ASIC106は、生成した相励磁信号等を駆動回路109に付与する。駆動回路109は、付与させた相励磁信号等を搬送モータ108に通電する。これにより、搬送モータ108の回転制御が行われる。そして、搬送モータ108の回転力が複数のギアや駆動軸等からなる周知の駆動機構を介して、給紙ローラ22、搬送ローラ41、及び排紙ローラ61へ伝達される。このようにして、給紙ローラ22、搬送ローラ41、及び排紙ローラ61が制御部100により制御される。
また、ASIC106は、CPU101からの指令に基づいて、CR(キャリッジ)モータ110に通電する相励磁信号等を生成する。そして、ASIC106は、生成した相励磁信号等をCRモータ110の駆動回路111に付与する。該駆動回路111は、付与された相励磁信号等をCRモータ110に通電する。これにより、CRモータ110の回転制御が行われる。そして、CRモータ110の回転力がベルト駆動機構73を介して、キャリッジ53へ伝達される。このようにして、キャリッジ53の往復動が制御部100により制御される。
また、ASIC106には、制御部100が搬送ローラ41の回転量を検出するためのロータリーエンコーダ112、及びキャリッジ53の移動量を検出するためのリニアエンコーダ113が接続されている。制御部100は、このリニアエンコーダ113からの信号により、キャリッジ53の位置を正確に検出することができる。また、制御部100は、検出されたキャリッジ53の位置に基づいて、記録ヘッド51及びメディアセンサ52の位置を正確に検出することができる。
また、ASIC106には、メディアセンサ52の発光部114、及び受光部115が接続されている。発光部114は、CPU101又はASIC106からの指令により、光を照射する。そして、受光部115で受けた反射光の強度に応じた電気信号を生成する。このメディアセンサ52から発生される電気信号によって、CPU101又はASIC106は、入力された信号レベルが所定の閾値Cの近傍となる位置を仮想的に用紙Pの端部として検出する。
また、ASIC106には、スキャナ部3や、プリンタ部2の操作指示がユーザーによって操作及び指示される操作パネル4が接続されている。
<第1の実施形態>
従来より、複合機1の設置の自由度を高めるために、複合機1の省スペース化が求められている。特に、複合機1の奥行き方向(つまり図1の前後方向200)の長さを短縮するために、様々な方法が講じられている。このような背景から、本発明においては、図5に示すように、メディアセンサ52は、複数のノズル55のうち用紙Pの搬送方向の最も上流側に位置しているノズル55よりも下流側に位置するようにキャリッジ53に配置されている。
また、本発明において、図3に示すように、メディアセンサ52は、記録ヘッド51に対して復路方向側(つまり図3の左右方向300の左側)に位置するようにキャリッジ53に設けられている。これにより、往路方向(つまり図3の左右方向300の左から右)へのキャリッジ53の走査では、用紙Pの左端PL又は右端PRの上方を、記録ヘッド51、メディアセンサ52の順に通過することになる。反対に、復路方向(つまり図3の左右方向300の右から左)へのキャリッジ53の走査では、用紙Pの右端PR又は左端PLの上方を、メディアセンサ52、記録ヘッド51の順に通過することになる。
ここで、メディアセンサ52は、発光部114から照射された光の反射光を受光部115で受光する、いわゆる光反射型センサであるため、往路方向へのキャリッジ53の走査では、用紙Pの側端の位置を正確に検出することができない可能性がある。これは、例えばキャリッジ53の往路方向への走査において、用紙Pの側端部にインクが吐出された後に用紙Pの側端を検出する場合である。
より詳細に説明すると、上記の場合は、まず記録ヘッドから用紙Pの側端部に向けてインクが吐出され、用紙Pにインクが着弾する。すると、用紙Pの側端部の上方を通過する順が、記録ヘッド51、次にメディアセンサ52の順であるので、メディアセンサ52は、インクが着弾した箇所に向けて光を照射することになる。すると、例えば、着弾したインクが黒色である場合は、受光部115は、黒色の用紙Pからの反射光を受光することになる。プラテン54は、黒色であるため、黒色である用紙Pとの側端部との境界が不明確になる場合がある。特に、用紙Pの側端部にまでインクを吐出するいわゆる縁なし記録をする場合が、上記の場合に該当する。つまり、以上に説明したように、用紙Pの側端部におけるメディアセンサ52からの信号レベルが所定の閾値を超えることができない可能性がある。この場合、用紙Pの側端を正確に検出することができない。
しかし、本第一の実施形態では、図9に記載のフローチャートを制御部100が実行することにより、キャリッジ53の主走査方向における往路及び復路のいずれにおいても、メディアセンサ52を用いて用紙Pの側端を正確に検出することができる。
なお、本発明においては便宜上、横幅が左端PL又は右端PRを中点とした主走査方向における長さ2r、縦幅が搬送方向における用紙Pの長さである長方形状の領域を、用紙Pの側端部として規定する。なお、該側端部として規定される領域は、メディアセンサ52の開口57の大きさ及びメディアセンサ52の性能等によって決定されるため、適宜変更され得ることは言うまでもない。
次に、図9を用いて上述した構成を備えるプリンタ部2の本第1の実施形態の記録処理について説明する。図9は制御部100が実行する記録処理を示したフローチャートである。図9のフローチャートに示される記録処理は、ユーザーによって操作パネル4を操作され、ASIC106に用紙Pに画像を記録する指令が入力されることで、該制御部100によって行われる。
そして、記録処理が制御部100によって実行されると、制御部100は、ステップ(以下、「S」と記載する)1001において、搬送モータ108を駆動する。これにより、給紙ローラ22及び搬送ローラ41が回転させられることで、用紙Pが搬送されて、プラテン54へ給紙される。なお、S1001においては、記録ヘッド51に形成される複数のノズルの内、最も搬送方向下流側のノズルの位置に、搬送方向における用紙の吐出開始位置を合わせる。例えば、用紙Pの搬送方向下流端から3mmの余白を設けて印刷する場合は、当該用紙Pの搬送方向下流端から3mmの位置と、最も搬送方向下流側のノズルの位置とを合わせる。
その後、制御部100は、CRモータ110を駆動してキャリッジ53を移動させつつ、メディアセンサ52の発光部114を発光させて、用紙Pの両側端の初期位置を検出する(S1002)。なお、キャリッジ53の移動距離は、用紙Pの両側端間の距離よりも大きい。なお、後述するS1008とは異なり、S1002においては、記録ヘッド51からインクは吐出されない。また、制御部100は、S1002においてメディアセンサ52を用いて用紙Pの両側端の初期位置を検出する代わりに、ユーザーによる操作パネル4を介した指示、つまり用紙サイズの入力に基づいて用紙Pの側端の初期位置を予め決定してもよい。
次に、制御部100は、ロータリーエンコーダ112からの信号に基づいて、用紙Pの側端を検出してから用紙Pを所定量搬送したか否かの判定を行う(S1003)。ここで、制御部100が、用紙Pを所定量搬送したと判定した場合(S1003、YES)は、S1004に進み、制御部100は、該S1004の処理を行う。一方、制御部100が、用紙Pを所定量搬送していないと判定した場合には、S1007に進む。このとき、制御部100は、CRモータ110を駆動することでキャリッジ53を移動させつつ、記録ヘッド51を駆動することで、キャリッジの主走査方向への移動中に記録ヘッド51からインクを吐出させる(S1007)。
ここで、S1007においては、制御部100は、駆動回路111を介してCRモータ110を駆動し、キャリッジ53を主走査方向に移動させる。このとき、制御部100は、RAM103に記憶され、キャリッジ53の1回の走査で用いられる画像データ、及びリニアエンコーダ113からの出力信号に基づいて、駆動回路107を介して記録ヘッド51を駆動する。このようにして、記録ヘッドの各ノズルから用紙P上にインクが吐出され、該用紙Pに画像等が記録される。また、このとき、制御部100は、メディアセンサ52を用いた用紙Pの側端部の検出を行わない。次に、制御部100は、記録処理が終了したら、S1011に進み、該S1011の処理を行う。
S1004において、制御部100は、上述したリニアエンコーダ113からの信号に基づいて、これから行われるキャリッジ53の走査におけるキャリッジ53の移動方向の判定を行う。キャリッジ53の移動方向が往路方向である場合(S1004:YES)には、記録ヘッド51がメディアセンサ52に先んじて用紙Pの左端PL及び右端PRの上方を通過する。この場合は、制御部100は、S1005に進み、該S1005の処理を行う。一方、キャリッジ53の移動方向が復路方向である場合(S1004:NO)には、メディアセンサ52が記録ヘッド51に先んじて用紙Pの右端PR及び左端PLの上方を通過する。この場合は、制御部100は、後述のS1008に進み、該S1008の処理を行う。
次に、S1005において、制御部100は、これから行われる往路方向へのキャリッジの走査において、用紙Pの左端PL(又は右端PR)の端部へのインクの吐出量LL(又は吐出量LR)が所定の閾値Xを超えるか否かの判定を行う。該端部へのインクの吐出量LL(又は吐出量LR)が閾値Xを超える場合(S1005:YES)は、制御部100は、S1006に進み、該S1006の処理を行う。一方、該端部へのインクの吐出量LL(又は吐出量LR)が閾値Xを超えない場合(S1005:NO)には、制御部100は、後述のS1008に進み、該S1008の処理を行う。なお、閾値XはX1、X2、…、Xn(X1<X2<…<Xn、Xn:任意の値)のように複数設定してもよい。
制御部100はS1005においてYESと判定すると、制御部100は、該端部へのインクの吐出量LL(又は吐出量LR)に基づいて、メディアセンサ52の発光部114の発光量調整を行う(S1006)。より詳細には、制御部100は、発光部114に通電する電流値Iに、一定量αを加算して補正した、補正電流値I+αに相当する電流を発光部114に入力することで、発光部114の発光量調整を行う。なお、閾値を上述のように複数設けた場合、加算する一定量αは閾値X1、X2、…、Xnに対応させて、それぞれα1、α2、…αn(α1<α2<…<αn、αn:任意の値)のように複数設定してもよい。また、発光量調整はこの方式に限ったものではなく、例えば、メディアセンサ52の発光部114に通電するパルス電流のデュ―ティ比を変化させる方式(いわゆるPWM方式)等の公知の方式で行ってもよい。次に制御部100は、S1008に進み、該S1008の処理を行う。
S1008において、制御部100は、駆動回路111を介してCRモータ110を駆動し、キャリッジ53を主走査方向に移動させる。このとき、制御部100は、RAM103に記憶され、キャリッジ53の1回の走査で用いられる画像データ、及びリニアエンコーダ113からの出力信号に基づいて、駆動回路107を介して記録ヘッド51を駆動する。このようにして、記録ヘッド51の各ノズル55から用紙P上にインクが吐出され、該用紙Pに画像等が記録される。また、このとき、制御部100は、メディアセンサ52を用いて、リニアエンコーダ113からの出力信号に基づいて、用紙Pの左端PL及び右端PRの端部の検出を行う。次に、制御部100は、S1009に進み、該S1009の処理を行う。
次に、制御部100は、S1009において、メディアセンサ52の発光部114の発光量の調整を行った場合(S1009:YES)は、S1010に進み、該S1010の処理を行う。一方、制御部100は、発光部114の発光量の調整を行わなかった場合(つまり、S1004でNO、又はS1005でNO。S1009:NO)は、S1011に進み、該S1011の処理を行う。
次に、S1010において、制御部100は、メディアセンサ52の発光部114に通電する電流値を電流値Iに戻す。その後、制御部100は、S1011に進み、該S1011の処理を行う。
次に、S1011において、次回の走査で用いられる画像データがRAM103に記憶されている場合は(S1011:NO)、S1012に進み、制御部100は該S1012の処理を行う。一方で、画像データがRAM103に記憶されていない場合は(S1011:YES)、S1013に進み、制御部100は該S1013の処理を行う。
S1012において、制御部100は、駆動回路109を介して搬送モータ108を駆動し、搬送ローラ41により用紙Pを搬送させる。その後、S1003に進み、制御部100は、上述のS1003〜S1012の制御を繰り返して記録処理を行う。
S1013において、次ページの画像データがRAM103に記憶されている場合は(S1013:YES)、S1001に進み、制御部100は、上述のS1001〜S1013の制御を繰り返して記録処理を行う。一方で、次ページの画像データがRAM103に記憶されていない場合は(S1013:NO)、記録処理を終了する。
次に、メディアセンサ52の発光量の調整を行わなかった場合と、発光量の調整を行った場合のメディアセンサ52からの信号レベルの波形を図10を用いて説明する。図10(a)、は、プラテン54、リブ56、及び側端部にインクが吐出された用紙Pとキャリッジ53の往路方向(つまり図3の左右方向300の左から右)への走査との関係を示した模式図である。図10(b)は、メディアセンサ52の発光量の調整を行わなかった場合のメディアセンサ52からの信号レベルとエンコーダスリット204数との関係を示したグラフである。図10(c)はメディアセンサ52の発光量の調整を行った場合のメディアセンサ52からの信号レベルとエンコーダスリット204数との関係を示したグラフである。
図10(a)及び(b)に示すように、メディアセンサ52の発光量の調整を行わない場合、インクが吐出された用紙Pの側端部におけるメディアセンサ52からの信号レベルは用紙P上のインクが吐出されていない領域に比べて小さくなる。このため、当該側端部におけるメディアセンサ52からの信号レベルは所定の閾値Cを上回ることができない。この場合、制御部100は、用紙Pの側端の位置を誤検出してしまうため、誤検出した結果を基にした記録処理に悪影響を及ぼす。一方、図10(a)及び(c)に示すように、メディアセンサ52の発光量を調整した場合、メディアセンサ52からの信号レベルは全体的に増加するが、該信号レベルはある一定値で限界に達して飽和するようになる。これにより、インクが吐出された用紙Pの側端部におけるメディアセンサ52からの信号レベルと、用紙P上のインクが吐出されていない領域におけるメディアセンサ52からの信号レベルと、がほぼ近似の値を示すようになる。したがって、制御部100は、インクが吐出された用紙Pの側端部におけるメディアセンサ52からの信号レベルが所定の閾値Cを上回るようになるため、用紙Pの側端を正確に検出することができる。
このように本第1の実施形態においては、キャリッジ53の主走査方向における往路及び復路のいずれにおいても、メディアセンサ52を用いて用紙Pの側端を正確に検出することができる。
<第2の実施形態>
リブ56からの反射光をメディアセンサ52の受光部115が受光すると、リブ56からの反射光の信号レベルはプラテン54からの反射光の信号レベルよりも高くなる。図11を用いて、受光部115が受光するリブ56及びプラテン54からの反射光について説明する。図11(a)はリブ56からの反射光と受光部115との関係を示す模式図であり、図11(b)はプラテン54からの反射光と受光部115との関係を示した模式図である。図11(a)、(b)に示すようにリブ56からの反射光は、プラテン54からの反射光と比べると、光の通過距離が短くなる。そのため、光の減衰の影響が少なくなり、受光部115に受光される反射光の信号レベルが大きくなる。また、リブ56上の光の反射地点から受光部115までの距離は、プラテン54上の光の反射地点から受光部115までの距離と比べて短くなる。そのため、光の分散の影響が少なくなる。また、特に、プラテン54上に凹凸が形成されている場合は、光の分散の影響が大きくなる。したがって、リブ56からの反射光の信号レベルは、プラテン54からの反射光の信号レベルと比べて大きくなる。
ここで、図9に記載のフローチャートを制御部100が実行し、メディアセンサ52の発光量を調整した場合、リブ56からの反射光の信号レベルとインクが吐出された用紙Pの側端部からの反射光の信号レベルとが共に所定の閾値を超える場合がある。この場合、制御部100は、主走査方向におけるリブ56の位置を用紙Pの側端の位置として誤検出する可能性がある。この場合、制御部100は、用紙Pの側端を正確に検出することができない。
しかし、本第2の実施形態では、図12に記載のフローチャートに示されるように制御部100が記録処理を実行することにより、プラテン54からキャリッジ53側に突出したリブ56が設けられていた場合においても、メディアセンサ52を用いて用紙Pの側端を正確に検出することができる。
図12を用いて上述した構成を備えるプリンタ部2の本第2の実施形態の記録処理について説明する。図12は本第2の実施形態における制御部100が実行する処理を示すフローチャートである。図12のフローチャートに示す記録処理のうち、第1実施形態の記録処理(図9)と同一の処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
本第2の実施形態の記録処理においては、制御部100は、S1005において、これから行われる往路方向へのキャリッジの走査における用紙Pの左端PL(又は右端PR)の端部へのインクの吐出量LL(又は吐出量LR)が所定の閾値Xを超えるか否かの判定を行う。該端部へのインクの吐出量LL(又は吐出量LR)が閾値Xを超える場合は、制御部100は、S1014に進み、該S1014の処理を行う。S1014の処理については、図13及び図14を用いて、後述する。一方、該端部へのインクの吐出量LL(又は吐出量LR)が閾値Xを超えない場合には、制御部100は、S1008に進み、該S1008の処理を行う。
S1008において、制御部100は、駆動回路111を介してCRモータ110を駆動し、キャリッジ53を主走査方向に移動させる。このとき、制御部100は、RAM103に記憶され、キャリッジ53の1回の走査で用いられる画像データ、及びリニアエンコーダ113からの出力信号に基づいて、駆動回路107を介して記録ヘッド51を駆動する。このようにして、記録ヘッド51の各ノズル55から用紙P上にインクが吐出され、該用紙Pに画像等が記録される。また、このとき、制御部100は、メディアセンサ52を用いて、リニアエンコーダ113からの出力信号に基づいて、用紙Pの左端PL及び右端PRの端部の検出を行う。その後、制御部100は、S1011に進み、該S1011の処理を行う。
ここで、図13を用いて、本第2実施形態における用紙Pの側端部をより詳細に説明する。図13は用紙Pの側端部を詳細に説明した模式図である。図13に示すように、説明の便宜上、用紙Pの左端PLからキャリッジ53の主走査方向における復路方向(つまり図3の左右方向300の左方向)に距離rだけ離れた位置を位置PLl、往路方向(つまり図3の左右方向300の右方向)に距離rだけ離れた位置を位置PLrとする。同様に、用紙Pの右端PRからキャリッジ53の主走査方向における復路方向に距離rだけ離れた位置を位置PRl、往路方向に距離rだけ離れた位置を位置PRrとする。なお距離rとは、メディアセンサ52が有する筐体の開口57の直径rである。
次に、図14を用いて、制御部100が行うメディアセンサ52の発光量調整処理(S1014)について説明する。図14は制御部100が行うメディアセンサ52の発光量調整処理(S1014)を示すフローチャートである。
図14に示すように、S1015において、制御部100は、駆動回路111を介してCRモータ110を駆動し、キャリッジ53を主走査方向における往路方向に移動させる。
次に、S1016において、制御部100は、メディアセンサ52が位置PLlの上方まで到達するまで、キャリッジ53を往路方向に移動させる(S1016:YES)。メディアセンサ52が位置PLlの上方まで到達した場合(S1016:YES)は、制御部100は、S1017に進み、該S1017の処理を行う。
次に、S1017において、制御部100は、該端部へのインクの吐出量LL(又は吐出量LR)に基づいて、メディアセンサ52の発光部114の発光量調整を行う。より詳細には、制御部100は、発光部114に通電する電流値Iに、一定量αを加算して補正した、補正電流値I+αに相当する電流を発光部114に入力することで、発光部114の発光量調整を行う。制御部100は、発光部114の発光量調整が終了したら、S1018に進み、該S1018の処理を行う。
S1018において、制御部100は、駆動回路111を介してCRモータ110を駆動し、キャリッジ53を主走査方向における往路方向に移動させる。このとき、制御部100は、RAM103に記憶されたキャリッジ53の1回の走査で用いられる画像データ、及びリニアエンコーダ113からの出力信号に基づいて、駆動回路107を介して記録ヘッド51を駆動する。このようにして、記録ヘッド51の各ノズル55から用紙P上にインクが吐出され、該用紙Pに画像等が記録される。また、このとき、制御部100は、メディアセンサ52を用いて、リニアエンコーダ113からの出力信号に基づいて、用紙Pの左端PL及び右端PRの端部の検出を行う。その後、制御部100は、S1019に進み、該S1019の処理を行う。
次に、S1019において、制御部100は、メディアセンサ52が位置PRrの上方まで到達したか否かの判定を行う。メディアセンサ52が位置PRrの上方まで到達した場合(S1019:YES)は、制御部100は、S1014の処理を終了し、S1011に進む。一方、メディアセンサ52が位置PRrの上方まで到達していない場合(S1019:NO)は、制御部100は、S1018に戻り、S1018及びS1019を繰り返す。
次に、図9に記載のフローチャートを制御部100が実行した場合と、図12に記載のフローチャートを制御部100が実行した場合のメディアセンサ52からの信号レベルの波形を図15を用いて説明する。図15(a)、は、プラテン54、リブ56、及び側端部にインクが吐出された用紙Pとキャリッジ53の往路方向(つまり図3の左右方向300の左から右)への走査との関係を示した模式図である。図15(b)は、図9に記載のフローチャートを制御部100が実行した場合のメディアセンサ52からの信号レベルとエンコーダスリット204数との関係を示したグラフである。図15(c)は図12に記載のフローチャートを制御部100が実行した場合のメディアセンサ52からの信号レベルとエンコーダスリット204数との関係を示したグラフである。
図15(a)及び(b)に示すように、図9に記載のフローチャートを制御部100が実行した場合、リブ56におけるメディアセンサ52からの信号レベルが所定の閾値Cを上回る場合がある。この場合、制御部100は、リブ56の位置を用紙Pの側端の位置と誤検出してしまうため、誤検出した結果を基にした記録に悪影響を及ぼす。一方、図15(a)及び(c)に示すように、図12に記載のフローチャートを制御部100が実行した場合、リブ56におけるメディアセンサ52からの信号レベルは増加しない。一方で、インクが吐出された用紙Pの側端部におけるメディアセンサ52からの信号レベルと、用紙P上のインクが吐出されていない領域におけるメディアセンサ52からの信号レベルがほぼ近似の値を示すようになる。したがって、制御部100は、インクが吐出された用紙Pの側端部におけるメディアセンサ52からの信号レベルが所定の閾値Cを上回るようになるため、用紙Pの側端を正確に検出することができる。
本第2の実施形態においては、制御部100は、メディアセンサ52を用いて、用紙Pの側端を正確に検出することができる上に、メディアセンサ52が消費する電力を節約することができるため、メディアセンサ52の省電力化及び高寿命化を実現することができる。また、上述のように、用紙Pの側端部のうち外側の側端部以外の領域において、プラテン上にキャリッジ53側に突出したリブ56が設けられていた場合においても、メディアセンサ52を用いて用紙Pの側端を正確に検出することができる。
また、制御部100は、S1014において、位置PLl〜位置PRrの区間でメディアセンサ52の発光量を調整して用紙Pの側端の検出を行っているが、位置PLr〜位置PRlの区間においては、メディアセンサ52の発光量を標準(つまり標準の電流値I)に戻してもよい。また、制御部100は、位置PLl〜PLr及び位置PRl〜位置PRrの区間以外においては、メディアセンサ52の発光部114を消灯してもよい。
以上のような実施形態においては、制御部100は、メディアセンサ52を用いて、用紙Pの側端を正確に検出することができる上に、メディアセンサ52が消費する電力をさらに節約することができるため、メディアセンサ52の更なる省電力化及び高寿命化を実現することができる。
なお、本発明におけるインクの吐出量の閾値は、用紙P表面の光反射率によって決定される。例えば、用紙Pの用紙種として普通紙、インクジェット紙、光沢紙の3種類がある場合において以下に説明する。普通紙表面における光反射率をρf、インクジェット紙表面における光反射率ρi、光沢紙表面における閾値をρkとする。このとき、ρf<ρi<ρkの関係が成立している。そのため、用紙P上のインクが吐出された箇所におけるメディアセンサ52からの信号レベルは普通紙、インクジェット紙、光沢紙の順に高くなる。つまり、普通紙における閾値をXf、インクジェット紙における閾値をXi、光沢紙における閾値をXkとすると、Xf≦Xi≦Xkの関係が成立することとなる。したがって、本発明におけるインクの吐出量の閾値は、用紙P表面の光反射率によって決定される。制御部100は、当該複合機1に接続されるパーソナルコンピュータなどの外部端末からの操作指示に基づいて、用紙Pの用紙種の判定を行ってもよい。また、制御部100は、ユーザーによる操作パネル4を介した指示、つまり用紙種の入力に基づいて用紙Pの用紙種を判定してもよい。さらに、制御部100は、駆動回路111を介してCRモータ110を駆動し、キャリッジ53を主走査方向に移動させて得られるメディアセンサ52からの信号の信号レベルに基づいて用紙Pの用紙種を判定してもよい。
また、本発明におけるメディアセンサ52からの信号レベルの閾値Cは、メディアセンサ52からの信号レベルの飽和値の6割程度に相当する値である。なお、本発明では、メディアセンサ52からの信号レベルの飽和値の5割から7割の値を6割程度の値として規定する。
また、本発明では、制御部100がメディアセンサ52の発光量を調整することによって、メディアセンサ52からの信号レベルを調整する場合について説明したが、例えば、メディアセンサ52からの信号レベル(つまり信号の値)自体を補正して、インクが吐出された用紙Pの側端部からの信号レベルが所定の閾値Cを上回るように調整してもよい。
なお、本発明では説明の便宜上、用紙Pを用いた場合について説明したが、用紙以外の記録媒体、例えばCDなどを用いてもよい。