JP6030460B2 - プラズマジェット点火プラグ - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマジェット点火プラグに関する。
従来から、内燃機関では、燃料(混合気)を火花放電によって着火する点火プラグが使用されている。この点火プラグによる混合気への着火性の向上を図るために、混合気をプラズマによって着火するプラズマジェット点火プラグが提案されている。プラズマジェット点火プラグには、その先端部に中心電極と絶縁体(絶縁碍子)とで囲まれた円筒状のキャビティが設けられているものが知られている(特許文献1)。このプラズマジェット点火プラグは、中心電極と接地電極との間に高電圧を印加して両電極の間で火花放電を生じさせた後、両電極間に高エネルギーの電流を流すことによって放電状態を遷移させてプラズマを発生させる。発生したプラズマは、キャビティから火炎状に噴出する。このような火炎状のプラズマは、気筒内に延びるため、混合気との接触面積が大きくなる。そのため、プラズマジェット点火プラグは、火花によって点火を行う通常の点火プラグよりも、着火性に優れるという特徴がある。
特開2012−129042号公報
しかしながら、従来のプラズマジェット点火プラグは、耐久性が乏しいという問題があった。例えば、プラズマジェット点火プラグは、キャビティの内側において、中心電極と接地電極との間の絶縁体の表面を沿面放電させることによりプラズマを発生させる。そのため、この沿面放電によって、キャビティの側面部を構成する絶縁体が溶融し、表面に溝状の痕(チャンネリング)が生じてしまう問題があった。キャビティの側面部にチャネリングが生じると、キャビティの容積増大を招いたり、プラズマの噴出方向がチャンネリングに沿うことで噴出が安定しないため、プラズマジェット点火プラグの着火性能が低下する問題があった。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
本発明の第1の形態は、
中心電極と、
前記中心電極の軸線方向に延びる軸孔を有し、該軸孔内に前記中心電極を保持する略筒状の絶縁体と、
前記絶縁体を保持する主体金具と、
前記主体金具に接合され、または、前記主体金具の一部として形成され、前記絶縁体よりも先端側に配置される接地電極と、を備え、
前記中心電極の先端部は、前記絶縁体の先端部よりも後端側に位置しているプラズマジェット点火プラグであって、
絶縁体材料、または、半導体材料により形成された略棒状の中心棒を備え、前記中心棒の後端部が前記中心電極の先端部に取り付けられ、前記中心棒の先端部が前記後端部よりも前記接地電極に近接するように配置されており、
前記接地電極は、前記絶縁体の軸孔と連通する貫通孔を備えており、
前記貫通孔の内径は、前記軸孔の内径よりも小さくなるように構成され、
前記中心棒の先端部から前記貫通孔の内周面までの最短距離Gと、前記中心棒から前記軸孔の内周面までの最短距離Lは、
G<Lであることを特徴とするプラズマジェット点火プラグである。
また、本発明は、以下の形態として実現することも可能である。
(1)本発明の一形態によれば、
中心電極と、前記中心電極の軸線方向に延びる軸孔を有し、該軸孔内に前記中心電極を保持する略筒状の絶縁体と、前記絶縁体を保持する主体金具と、前記主体金具に接合され、または、前記主体金具の一部として形成され、前記絶縁体よりも先端側に配置される接地電極と、を備え、前記中心電極の先端部は、前記絶縁体の先端部よりも後端側に位置しているプラズマジェット点火プラグが提供される。このプラズマジェット点火プラグは、絶縁体材料、または、半導体材料により形成された略棒状の中心棒を備え、前記中心棒の後端部が前記中心電極の先端部に取り付けられ、前記中心棒の先端部が前記後端部よりも前記接地電極に近接するように配置されていることを特徴としている。
この構成によれば、キャビティの内側において、中心電極の先端部に取り付けられた中心棒の表面で沿面放電を発生させるため、キャビティの側面部における沿面放電の発生を抑制することができる。これにより、キャビティの側面部を構成する絶縁体の溶融の発生を抑制して、プラズマジェット点火プラグの耐久性の向上を図ることができる。
(2)上記形態のプラズマジェット点火プラグにおいて、
前記接地電極は、前記絶縁体の軸孔と連通する貫通孔を備えており、前記貫通孔の内径は、前記軸孔の内径よりも小さくなるように構成され、前記中心棒の先端部から前記貫通孔の内周面までの最短距離Gと、前記中心棒から前記軸孔の内周面までの最短距離Lは、G<Lであることを特徴としていてもよい。
この構成によれば、キャビティの内側において、中心棒からキャビティの側面部を構成する絶縁体の軸孔の内周面に向けて気中放電が発生することを抑制し、中心棒の先端部から接地電極の貫通孔の内周面に向けて気中放電を発生させることができる。これにより、絶縁体の軸孔の内周面から接地電極に向かう沿面放電が発生することを抑制することができる。
(3)上記形態のプラズマジェット点火プラグにおいて、
前記中心電極の先端部は、前記先端部の外径が前記絶縁体の軸孔の内径よりも小さくなるように構成されており、前記中心棒の先端部から前記貫通孔の内周面までの最短距離Gと、前記中心電極の先端部から前記軸孔の内周面までの最短距離Aは、G<Aであることを特徴としていてもよい。
この構成によれば、キャビティの内側において、中心電極の先端部からキャビティの側面部を構成する絶縁体の軸孔の内周面に向けて気中放電が発生することを抑制し、中心電極の先端部から中心棒に向かう沿面放電を発生させることができる。これにより、絶縁体の軸孔の内周面から接地電極に向かう沿面放電が発生することを抑制することができる。
(4)上記形態のプラズマジェット点火プラグにおいて、
前記中心電極は、外周面が前記軸孔の内周面と当接する、または、前記外周面と前記軸孔の内周面との間の最短距離が0.1mm以下となる本体部と、前記本体部の先端側に形成され、前記本体部よりも外径が小さい縮径部と、を含んで構成されており、前記中心電極の先端部とは、前記縮径部の先端側の端部であり、前記本体部の前記外周面の先端側から前記中心電極の先端部までの前記軸線方向の最短距離Bと、前記中心棒の先端部から前記貫通孔の内周面までの最短距離Gは、2G<Bであることを特徴としていてもよい。
この構成によれば、キャビティの内側において、中心電極の本体部からキャビティの側面部を構成する絶縁体の軸孔の内周面に向けて気中放電が発生したり、中心電極と絶縁体とが接触している場合には、中心電極から絶縁体に直接的に電力が伝送されることを抑制し、中心電極の先端部から中心棒に向かう沿面放電を発生させることができる。これにより、絶縁体の軸孔の内周面から接地電極に向かう沿面放電が発生することを抑制することができる。
(5)上記形態のプラズマジェット点火プラグにおいて、
前記中心電極の先端部から前記軸孔の内周面までの最短距離Aは、A≦1mmであることを特徴としていてもよい。この構成によれば、キャビティの内側の体積の増大による着火性能の低下を抑制することができる。
(6)上記形態のプラズマジェット点火プラグにおいて、
前記中心棒は、外表面に自身の軸線方向に沿った溝部を備えていることを特徴としていてもよい。この構成によれば、中心棒において沿面放電を容易に発生されることができる。
(7)上記形態のプラズマジェット点火プラグにおいて、
前記中心棒は、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、窒化珪素のいずれかを主成分とするセラミックであることを特徴としていてもよい。この構成によれば、中心棒の耐久性の向上を図ることができる。
(8)上記形態のプラズマジェット点火プラグにおいて、
前記中心棒は、前記主成分以外の成分が0.5wt%以下であることを特徴としていてもよい。この構成によれば、中心棒の耐久性をより向上させることができる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、プラズマジェット点火プラグを含んで構成されるプラズマジェット点火装置、この点火装置を含んで構成される内燃機関、プラズマジェット点火プラグの製造方法、これらの装置または方法を実現するための集積回路、コンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
第1実施形態におけるプラズマジェット点火プラグ100の概略構成を説明するための説明図である。 プラズマジェット点火プラグ100の先端部付近を拡大した断面図である。 中心電極10と中心棒50の概略構成を例示した斜視図である。 プラズマジェット点火プラグ100の先端部付近の寸法を説明するための第1の説明図である。 最短距離Gと最短距離Lの大小関係の違いによる放電状態の変化を説明するための説明図である。 最短距離Gと最短距離Aの大小関係の違いによる放電状態の変化を説明するための説明図である。 プラズマジェット点火プラグ100の先端部付近の寸法を説明するための第2の説明図である。 最短距離Bと最短距離Gの大小関係の違いによる放電状態の変化を説明するための説明図である。 着火性能評価試験による各サンプルの評価結果を示した説明図である。 耐久性能評価試験に用いたプラズマジェット点火プラグ100のサンプルの構成と各サンプルの評価結果を示した説明図である。 第2実施形態におけるプラズマジェット点火プラグ100dの概略構成を説明するための第1の説明図である。 第2実施形態におけるプラズマジェット点火プラグ100dの概略構成を説明するための第2の説明図である。 第1実施例のプラズマジェット点火プラグ100と第2実施例のプラズマジェット点火プラグ100dとの放電状態の違いを説明するための説明図である。 変形例1におけるプラズマジェット点火プラグ100e,100fの概略構成を説明するための説明図である。 変形例2における中心棒50g,50h,50iの概略構成を説明するための説明図である。
A.第1実施形態:
図1は、第1実施形態におけるプラズマジェット点火プラグ100の概略構成を説明するための説明図である。図1において、プラズマジェット点火プラグ100の中心軸である軸線Oの右側には、プラズマジェット点火プラグ100の側面構成を例示し、軸線Oの左側には、プラズマジェット点火プラグ100の断面構成を例示している。以下の説明では、接地電極40が配置されている側(図1の上方側)をプラズマジェット点火プラグ100の「先端側」と呼び、端子金具19が配置されている側(図1の下方側)をプラズマジェット点火プラグ100の「後端側」と呼ぶ。
プラズマジェット点火プラグ100は、中心電極10と、絶縁碍子20と、主体金具30と、接地電極40とを備えている。中心電極10は絶縁碍子20によって保持され、絶縁碍子20は主体金具30によって保持されている。接地電極40は主体金具30の先端側に取り付けられている。プラズマジェット点火プラグ100は、中心電極10、絶縁碍子20、主体金具30、および接地電極40の軸心が、軸線Oと一致するように構成されている。
中心電極10は、略棒形状の電極であり、ニッケルまたはニッケルを主成分とするニッケル合金(例えば、インコネル(登録商標)600)によって形成されている。中心電極10は、絶縁碍子20の内側に収容され、外側面がプラズマジェット点火プラグ100の外部と電気的に絶縁されている。中心電極10は、内部に、熱伝導性に優れる銅等からなる金属芯13を有している。中心電極10の先端部11は、絶縁碍子20の先端部より後端側に位置している。中心電極10の後端部12は、シール体18を介して端子金具19に電気的に接続されている。シール体18は、金属とガラスの混合物からなる導電性の部材であり、中心電極10および端子金具19を互いに導通させつつ、これらを絶縁碍子20の軸孔21内に固定している。端子金具19は、後端部が絶縁碍子20の後端側から突出しており、プラグキャップ(図示外)を介して高圧ケーブル(図示しない)が接続される。中心電極10の外側面には、鍔状に拡径された拡径部17が形成されている。中心電極10は、この拡径部17が絶縁碍子20の軸孔21内に設けられた内側段状部22に当接することによって、絶縁碍子20の軸孔21内において位置決めされている。中心電極10の詳細な構成については、後述する。
絶縁碍子20は、略円筒形状の絶縁体であり、軸線Oに沿った貫通孔である軸孔21を備えている。絶縁碍子20は、軸孔21の内側に中心電極10を収容している。絶縁碍子20は、アルミナを始めとする絶縁性セラミックス材料を焼成することによって形成されている。絶縁碍子20は、自身の外径が最も大きくなる部分である鍔部29が形成されている胴部23と、胴部23の先端側で胴部23よりも外径の小さい脚長部24と、を備えている。脚長部24の先端側は、先端側に向かうにつれて外形が小さくなるように構成されている。胴部23と脚長部24との間には外側段状部25が形成されている。
絶縁碍子20の軸孔21は、内径の異なる3つの部位を備えている。具体的には、絶縁碍子20の軸孔21は、後端側軸孔部26と、先端側軸孔部27と、先端小径部28と、を備えている。後端側軸孔部26は、胴部23の内周に相当する部分であり、内側に、シール体18や、中心電極10の後端部12が配置されている。先端側軸孔部27は、脚長部24の内周に相当する部分を含み、後端側軸孔部26の先端側に形成されている。先端側軸孔部27は、後端側軸孔部26よりも縮径された内径を有し、後端側軸孔部26との間に内側段状部22が形成されている。先端側軸孔部27の内側には、中心電極10の先端部11が配置されている。先端小径部28は、脚長部24の先端部の内周に相当する部分であり、先端側軸孔部27の更に先端側に形成されている。先端小径部28は、先端側軸孔部27よりも更に縮径された内径を有している。
主体金具30は、内燃機関のエンジンヘッドにプラズマジェット点火プラグ100を固定するための略円筒形状の金具であり、内側に絶縁碍子20が配置されている。主体金具30は、ニッケルめっきや亜鉛めっきがなされた低炭素鋼や、無めっきのニッケル合金などによって形成されている。主体金具30は、プラグレンチが嵌合する工具係合部31と、内燃機関の上部に設けられたエンジンヘッドに螺合するねじ部32とを備えている。
主体金具30の工具係合部31より後端側には加締部33が設けられている。工具係合部31から加締部33にかけての主体金具30と、絶縁碍子20の胴部23との間には円環状のリング部材6,7が介在されており、更に両リング部材6,7の間にタルク(滑石)9の粉末が充填されている。そして、加締部33を加締めることにより、リング部材6,7およびタルク9を介して絶縁碍子20が主体金具30内で先端側に向け押圧される。これにより、絶縁碍子20の外側段状部25が主体金具30の内周面に段状に形成された係止部36に環状のパッキン8を介して支持されて、主体金具30と絶縁碍子20とが一体にされる。このパッキン8によって、主体金具30と絶縁碍子20との間の気密は保持され、燃焼ガスの流出が防止される。また、工具係合部31とねじ部32との間には鍔部34が形成されており、ねじ部32の後端側近傍、すなわち鍔部34の座面35にはガスケット5が嵌挿されている。
主体金具30の先端部39には接地電極40が設けられている。接地電極40は、耐火花消耗性に優れた金属から構成されており、一例としてインコネル(商標名)600または601等のニッケル系合金が用いられる。接地電極40は、軸線Oを中心とした貫通孔41(「オリフィス41」ともいう)を有する円盤状に形成されており、その厚み方向を軸線O方向に揃え、絶縁碍子20の先端側に配置されている。接地電極40は、主体金具30の先端部39の内周面にレーザ溶接され、主体金具30と一体となっている。接地電極40の貫通孔41は、絶縁碍子20の軸孔21と連通している。本実施形態の接地電極40は、絶縁碍子20と少なくとも一部が接触している。
図2、図3を用いて、プラズマジェット点火プラグ100の先端部付近の構成について説明する。図2は、プラズマジェット点火プラグ100の先端部付近を拡大した断面図である。図3は、中心電極10と中心棒50の概略構成を例示した斜視図である。中心電極10の先端部11には、電極チップ15がレーザ溶接されている。電極チップ15は、円盤状の外形を備え、イリジウムなどの貴金属やタングステンを主成分とする合金によって形成されている。本実施形態では、電極チップ15は、中心電極10の一部であり、電極チップ15を含めて「中心電極10」と呼ぶ。また、本実施形態では、中心電極10のうち、電極チップ15以外の部分を「本体部14」とも呼ぶ。
本体部14は、電極チップ15の後端側に位置しており、内部に金属芯13を含んで構成されている。中心電極10は、本体部14の先端側に電極チップ15が接合され、本体部14と電極チップ15とが一体となった構成を備えている。本体部14の外径は、先端側軸孔部27の内径と、ほぼ等しくなるように構成されている。これにより、本体部14の外周面14foは、絶縁碍子20の軸孔21の内周面21fiと当接、または、ほぼ当接している。ここで「ほぼ当接している」とは、例えば、外周面14foと内周面21fiとの間の最短距離が0.1mm以下となっている状態が含まれる。電極チップ15の外径は、本体部14の外径および先端側軸孔部27の内径よりも小さくなるように構成されている。すなわち、中心電極10は、先端部11の外径(電極チップ15の外径)が他の部分の外径(本体部14の外径)よりも縮径された構成を備えている。電極チップ15は、特許請求の範囲の「縮径部」に該当する。本体部14は、電極チップ15が接合されている接合部と外周面14foとの間にテーパー部14ptが形成されている。テーパー部14ptは、本体部14の先端側に向かうにつれて外径が小さくなるように構成されている。
電極チップ15の先端側には、棒状の中心棒50が取り付けられている。具体的には、図3(a)、図3(b)に示すように、中心棒50は、後端部51が電極チップ15の先端面16に設けられた凹部16prに挿入されて電極チップ15に接合されている。接合方法としては、ロウ付けであってもよいし、溶接であってもよい。または、凹部16prにセラミック接合用接着剤を入れ、その後、中心棒50を凹部16prに挿入して固定してもよい。これにより、図2に示すように、中心棒50は、先端側軸孔部27や先端小径部28の内側において、軸方向が軸線O方向と一致するようにして電極チップ15に保持されている。中心棒50の先端部52は、先端小径部28の内側に位置していてもよいし、接地電極40の貫通孔41の内側に位置していてもよい。また、先端小径部28と貫通孔41の間に位置していてよい。中心棒50は、先端部52が後端部51よりも接地電極40に近接するように電極チップ15に取り付けられている。図3(c)に示すように、電極チップ15の外表面には、自身の軸線方向に沿って溝部55が形成されていてもよい。ここでは、溝部55の断面は、矩形形状となっているが、任意の断面形状とすることができる。なお、電極チップ15の外径は任意に設定することができるが、一例として、1.2mmを例示することができる。また、中心棒50の外径の一例として、0.6mm程度を例示することができる。また、凹部16prの内径の一例として、0.61mm程度を例示することができる。
本実施形態の中心棒50は、セラミックなどの絶縁体によって形成されている。中心棒50は、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、窒化珪素のいずれかを主成分とするセラミックとすることが好ましい。こうすることによって、中心棒50の耐久性の向上を図ることができる。このとき、主成分以外の成分を0.5wt%以下とすることがより好ましい。このようにすることによって、中心棒50の耐久性をより向上させることができる。なお、中心棒50は、後述するように沿面放電が可能な部材であれば絶縁体材料に限定されず、例えば、半導体材料によっても形成することができる。
先端側軸孔部27および先端小径部28の内周面21fiと、中心電極10の先端部および中心棒50との間には、容積の小さい放電空間60が形成されている。この放電空間60を「キャビティ60」と呼ぶ。接地電極40と中心電極10との間の火花放電間隙においておこなわれる火花放電には、中心棒50の側面部の沿面放電や、中心棒50の先端部52と接地電極40との間の気中放電が含まれている。この火花放電によって絶縁破壊された後に印加されるエネルギーによって、キャビティ60内でプラズマが形成される。このプラズマは、接地電極40の貫通孔41を介してキャビティ60内からプラズマジェット点火プラグ100の外部に噴出される。以後、プラズマジェット点火プラグ100の外部に噴出されるプラズマを「フレーム」とも呼ぶ。
図4は、プラズマジェット点火プラグ100の先端部付近の寸法を説明するための第1の説明図である。プラズマジェット点火プラグ100は、接地電極40の貫通孔41の内径が、絶縁碍子20の軸孔21の内径(ここでは、先端小径部28の内径)よりも小さくなるように構成されていることが好ましい。中心棒50の先端部52から接地電極40の貫通孔41の内周面41fiまでの最短距離をG、中心棒50から絶縁碍子20の軸孔21の内周面21fi(ここでは、先端小径部28の内周面21fi)までの最短距離をLとすると、プラズマジェット点火プラグ100は、G<Lとなるように構成されていることが好ましい。この理由については図5を用いて後述する。
また、中心電極10の先端部11(ここでは、電極チップ15の先端面16)から絶縁碍子20の軸孔21の内周面21fiまでの最短距離をAとすると、プラズマジェット点火プラグ100は、G<Aとなるように構成されていることが好ましい。この理由については図6を用いて後述する。ここで、中心電極10の先端部11から絶縁碍子20の内周面21fiまでの最短距離Aについては、任意の大きさとすることができるが、A≦1mmとすることがより好ましい。この理由については図9を用いて後述する。なお、中心電極10の先端部11(すなわち、電極チップ15の先端面16)から接地電極40までの軸線O方向における距離(放電ギャップ)は、任意に設定することができるが、一例として、2.0mmを例示することができる。また、先端小径部28の内径の一例として、1.0mm程度を例示することができる。
図5は、最短距離Gと最短距離Lの大小関係の違いによる放電状態の変化を説明するための説明図である。図5(a)は、最短距離Gと最短距離LをG>Lとしたプラズマジェット点火プラグ100aを例示している。図5(b)は、最短距離Gと最短距離LをG<Lとした本実施形態のプラズマジェット点火プラグ100を例示している。図5(a)、図5(b)では、中心電極10と接地電極40との間に高電圧を印加して両電極間で火花放電を生じさせたときの放電の進展方向(放電路)を破線で示している。
図5(a)に示すように、最短距離Gが最短距離Lよりも大きい(G>L)場合、絶縁碍子20の軸孔21の内周面21fi(すなわち、キャビティ60の側面部)において沿面放電が生じる。この沿面放電によって絶縁碍子20の内周面21fiが溶融して溝状の痕(チャンネリング)が生じる。すなわち、中心棒50の先端部52から接地電極40の貫通孔41の内周面41fiまでの最短距離Gが、中心棒50から絶縁碍子20の軸孔21の内周面21fiまでの最短距離Lよりも大きい場合、中心棒50の先端部52から接地電極40の内周面41fiに向けて気中放電が発生する代わりに、中心棒50から絶縁碍子20の内周面21fiに向けて気中放電が発生する。この場合、中心棒50から内周面21fiに向けて気中放電された電力によって、絶縁碍子20の内周面21fiから接地電極40に向かう沿面放電が発生する。この沿面放電によって、絶縁碍子20の内周面21fiにチャンネリングが生じる。
一方、図5(b)に示すように、本実施形態のプラズマジェット点火プラグ100では、最短距離Gが最短距離Lよりも小さい(G<L)ため、中心棒50から絶縁碍子20の内周面21fiに向けての気中放電の発生が抑制され、代わりに、中心棒50の先端部52から接地電極40の内周面41fiに向けて気中放電が発生する。すなわち、プラズマジェット点火プラグ100では、中心棒50の後端部51から先端部52に向かう沿面放電が発生するとともに、中心棒50の先端部52から接地電極40の内周面41fiに向けて気中放電が発生する。これにより、中心棒50から絶縁碍子20の内周面21fiに向けて気中放電された電力に起因する内周面21fiの沿面放電の発生を抑制できる。
図6は、最短距離Gと最短距離Aの大小関係の違いによる放電状態の変化を説明するための説明図である。図6(a)は、最短距離Gと最短距離AをG>Aとしたプラズマジェット点火プラグ100bを例示している。図6(b)は、最短距離Gと最短距離AをG<Aとした本実施形態のプラズマジェット点火プラグ100を例示している。図6(a)、図6(b)では、図5と同様に、中心電極10と接地電極40との間で火花放電を生じさせたときの放電の進展方向(放電路)を破線で示している。
図6(a)に示すように、最短距離Gが最短距離Aよりも大きい(G>A)場合、絶縁碍子20の軸孔21の内周面21fi(キャビティ60の側面部)において沿面放電が生じる。この沿面放電によって絶縁碍子20の内周面21fiが溶融してチャンネリングが生じる。すなわち、中心棒50の先端部52から接地電極40の内周面41fiまでの最短距離Gが、電極チップ15の先端面16から絶縁碍子20の内周面21fiまでの最短距離Aよりも大きい場合、中心棒50の先端部52と接地電極40の内周面41fiとの間の気中放電が発生しにくく、電極チップ15の先端面16から絶縁碍子20の内周面21fiに向けて気中放電が発生する。この場合、電極チップ15から内周面21fiに向けて気中放電された電力によって、絶縁碍子20の内周面21fiから接地電極40に向かう沿面放電が発生する。この沿面放電によって、絶縁碍子20の内周面21fiにチャンネリングが生じる。
一方、図6(b)に示すように、本実施形態のプラズマジェット点火プラグ100では、最短距離Gが最短距離Aよりも小さい(G<A)ため、電極チップ15から絶縁碍子20の内周面21fiに向けての気中放電の発生が抑制され、代わりに、中心棒50の先端部52から接地電極40の内周面41fiに向けて気中放電が発生する。すなわち、プラズマジェット点火プラグ100では、中心棒50の後端部51から先端部52に向かう沿面放電が発生するとともに、中心棒50の先端部52から接地電極40の内周面41fiに向けて気中放電が発生する。これにより、電極チップ15から絶縁碍子20の内周面21fiに向けて気中放電された電力に起因する内周面21fiの沿面放電の発生を抑制できる。
図7は、プラズマジェット点火プラグ100の先端部付近の寸法を説明するための第2の説明図である。ここでは、中心電極10において、本体部14の外周面14foの先端側の端部を外周面先端部14peと呼ぶ。外周面先端部14peは、テーパー部14ptの後端側の端部と接している。この外周面先端部14peから中心電極10の先端部11(すなわち、電極チップ15の先端面16)までの間の軸線O方向の最短距離をB、上述のように中心棒50の先端部52から接地電極40の内周面41fiまでの最短距離をGとすると、プラズマジェット点火プラグ100は、2G<Bとなるように構成されていることが好ましい。
図8は、最短距離Bと最短距離Gの大小関係の違いによる放電状態の変化を説明するための説明図である。図8(a)は、最短距離Bと最短距離Gを2G>Bとしたプラズマジェット点火プラグ100cを例示している。図8(b)は、最短距離Bと最短距離Gを2G<Bとした本実施形態のプラズマジェット点火プラグ100を例示している。図8(a)、図8(b)では、図5と同様に、中心電極10と接地電極40との間で火花放電を生じさせたときの放電の進展方向(放電路)を破線で示している。
図8(a)に示すように、最短距離Bが最短距離Gの2倍より小さい(2G>B)場合、絶縁碍子20の軸孔21の内周面21fi(キャビティ60の側面部)において沿面放電が生じる。この沿面放電によって絶縁碍子20の内周面21fiが溶融してチャンネリングが生じる。すなわち、本体部14の外周面先端部14peから電極チップ15の先端面16までの間の軸線O方向の最短距離Bが、中心棒50の先端部52から接地電極40の内周面41fiまでの最短距離Gの2倍(2G)よりも小さい場合、絶縁碍子20の内周面21fiにおいて、中心電極10の外周面先端部14peと近接する位置から、接地電極40と近接する位置までの距離が相対的に小さくなる。そのため、プラズマジェット点火プラグ100cでは、中心棒50の後端部51から先端部52に向かう沿面放電と、中心棒50の後端部51から先端部52に向かう沿面放電が発生する代わりに、本体部14の外周面先端部14peと絶縁碍子20の内周面21fiとの間における直接的な電力伝達または気中放電と、絶縁碍子20の内周面21fiから接地電極40に向かう沿面放電が発生する。この沿面放電によって、絶縁碍子20の内周面21fiにチャンネリングが生じる。
一方、図8(b)に示すように、本実施形態のプラズマジェット点火プラグ100では、最短距離Bが最短距離Gの2倍よりも大きい(2G<B)ため、絶縁碍子20の内周面21fiにおいて、中心電極10の外周面先端部14peと近接する位置から、接地電極40と近接する位置までの距離が相対的に大きくなる。そのため、プラズマジェット点火プラグ100では、外周面先端部14peと内周面21fiとの間での直接的な電力伝達や、絶縁碍子20の内周面21fiから接地電極40に向かう沿面放電の発生が抑制され、代わりに、電極チップ15から中心棒50を介して接地電極40に電力が伝達される。すなわち、プラズマジェット点火プラグ100では、中心棒50の後端部51から先端部52に向かう沿面放電が発生するとともに、中心棒50の先端部52から接地電極40の内周面41fiに向けて気中放電が発生する。これにより、中心電極10の外周面先端部14peから絶縁碍子20の内周面21fiに伝送された電力に起因する内周面21fiの沿面放電の発生を抑制できる。なお、最短距離Bと最短距離Gの2倍とを比較しているのは、気中放電の発生のしやすさと、沿面放電の発生のしやすさの違いによる。すなわち、放電距離が同じであれば、気中放電の発生に要する電圧は沿面放電の発生に要する電圧の約2倍となる。
B.実施例:
上述した実施形態に基づき製造されたプラズマジェット点火プラグ100に対して、本発明の効果を確認するための種々の試験を行った。以下、これらの試験の結果を示す。
B−1.着火性能評価試験:
まず、最短距離G(図4)と最短距離Aを変更させた複数のプラズマジェット点火プラグ100を用意し、これらのプラズマジェット点火プラグ100の着火性能を評価する試験を行った。用意したサンプルは、2種類の最短距離G(G=0.8mm、0.5mm)と、6種類の最短距離A(A=0.6mm、0.8mm、0.9mm、1mm、1.1mm、1.2mm)とを組み合わせた12種類のプラズマジェット点火プラグ100である。最短距離B(図7)はいずれも1.1mmである。この12種類のサンプルのそれぞれに対して、同条件で50mJのエネルギーを投入してキャビティ60内にプラズマを発生させ、プラズマジェット点火プラグ100の外部に噴出されるフレームの観察をおこなった。試験は、各サンプルを加圧チャンバーに設置して、大気雰囲気下、0.4MPaの圧力下でおこなった。各サンプルの着火性能は、フレーム噴出開始から297μsec後に観察されたフレームの面積(フレーム面積)をシュリーレン可視化法により測定することによって評価した。具体的には、フレーム噴出開始から297μsec後のシュリーレン画像を撮影し、撮影された画像を2値化して、黒色部分の面積をプラズマフレームの高密度部として面積を測定した。
図9は、本試験による各サンプルの評価結果を示した説明図である。図9の横軸は、各サンプルの最短距離Aを示しており、縦軸は、フレーム噴出面積比率(%)を示している。フレーム噴出面積比率とは、最短距離Gが0.5mm、最短距離Aが0.6mmのサンプルにおいて測定されたフレーム面積を基準(100%)としたときの比率である。図9では、最短距離Gの等しい6つのサンプルの評価結果を繋いだ2つの折線が示されている。図9から、プラズマジェット点火プラグ100は、最短距離Gに関わらず、最短距離Aが1mmより大きくなると、フレーム噴出面積比率が大きく低下することがわかる。この理由としては以下のことが考えられる。最短距離Aが1mmより大きくなると、電極チップ15の外周面と絶縁碍子20の内周面21fiとの間のキャビティ空間、すなわち、絶縁碍子20の先端側軸孔部27に形成されるキャビティ空間が相対的に大きくなる。そのため、キャビティ60内で発生したプラズマの体積膨張が中心電極側(先端側軸孔部27側)に広がりやすくなり、絶縁碍子20の先端小径部28を介して接地電極40の貫通孔41から噴出するプラズマフレームの面積が低下したと考えられる。このことから、プラズマジェット点火プラグ100は、最短距離Aを1mm以下とすることが好ましい。
B−2.耐久性能評価試験:
図10は、耐久性能評価試験に用いたプラズマジェット点火プラグ100のサンプルの構成と、各サンプルの評価結果を示した説明図である。ここでは、中心棒50の有無、中心棒50の溝部55の有無のほか、最短距離A、最短距離Bを変更させた19種類のサンプル(サンプルS01〜S19)の耐久性能の評価をおこなった。サンプルS01〜S19の具体的な構成は以下のとおりである。
<サンプルS01>
サンプルS01は、中心棒50を備えていないプラズマジェット点火プラグ100である。
<サンプルS02〜S10>
サンプルS02〜S10は、溝部55が形成されていない中心棒50を備えたプラズマジェット点火プラグ100である。サンプルS02〜S10は、3種類の最短距離A(A=0.4mm、0.5mm、0.6mm)と、3種類の最短距離B(B=0.9mm、1.0mm、1.1mm)とを組み合わせた9種類の構成にそれぞれ対応している。サンプルS02〜S10の最短距離Gは、いずれもG=0.5mmである。
<サンプルS11〜S19>
サンプルS11〜S19は、溝部55が形成されている中心棒50を備えたプラズマジェット点火プラグ100である。溝の深さは0.2mmである。サンプルS11〜S19は、サンプルS02〜S10と同様に、3種類の最短距離A(A=0.4mm、0.5mm、0.6mm)と、3種類の最短距離B(B=0.9mm、1.0mm、1.1mm)とを組み合わせた9種類の構成にそれぞれ対応している。サンプルS11〜S19の最短距離Gは、いずれもG=0.5mmである。
試験は、各サンプル(サンプルS01〜S19)を加圧チャンバーに設置して、大気雰囲気下、0.4MPaの圧力下でおこなった。加圧チャンバー内の各サンプルに20Hzの印加電圧を加えて火花放電させるとともに、火花放電後にエネルギーを投入してキャビティ60内にプラズマを発生させた。この動作を10時間おこなった後に各サンプルを解体して、キャビティ60の側面に形成された沿面放電痕(チャンネリング)を観察した。各サンプルの耐久性能は、チャンネリングの深さx(mm)を測定することによって評価した。図10では、チャンネリングの深さx(mm)が0.2mm以下(x≦0.2)のものを「☆」とし、0.2mmより大きく0.3mm以下(0.2<x≦0.3)のものを「◎」とし、0.3mmより大きく0.4mm以下(0.3<x≦0.4)のものを「○」とし、0.4mmより大きい(0.4<x)のものを「×」として示している。
最短距離G、最短距離A、最短距離Bが等しく、中心棒50の溝部55の有無のみが異なるサンプルS05〜S07とサンプルS14〜S16、および、サンプルS09とサンプルS18とを比較すると明らかなように、プラズマジェット点火プラグ100は、中心棒50に溝部55を備えることによって耐久性能の向上を図ることができる。これは、中心棒50に溝部55が形成されていると、中心棒50の外表面において沿面放電が発生しやすくなり、キャビティ60の側面部における沿面放電の発生が抑制されたためである。
また、中心棒50の溝部55の有無、最短距離G、最短距離Bが等しく、最短距離Aのみが異なるサンプルS05〜S07とサンプルS08〜S10、および、サンプルS14〜S16とサンプルS17〜S19を比較すると明らかなように、プラズマジェット点火プラグ100は、最短距離Aを最短距離Gよりも大きくすることによって耐久性能の向上を図ることができる。これは、図6を用いて説明したように、最短距離Aが最短距離Gよりも大きいと、中心棒50の外表面で沿面放電が発生しやすくなり、キャビティ60の側面部における沿面放電の発生が抑制されたためである。なお、図9を用いて説明したように、最短距離Aは1.0mm以下とすることが好ましい。
また、中心棒50の溝部55の有無、最短距離G、最短距離Aが等しく、最短距離Bのみが異なるサンプルS09とサンプルS10、および、サンプルS17とサンプルS18を比較すると明らかなように、プラズマジェット点火プラグ100は、最短距離Bを最短距離Gの2倍よりも大きくすることによって耐久性能の向上を図ることができる。これは、図8を用いて説明したように、最短距離Aが最短距離Gの2倍よりも大きいと、中心棒50の外表面で沿面放電が発生しやすくなり、キャビティ60の側面部における沿面放電の発生が抑制されたためと考えられる。
以上説明した第1実施形態のプラズマジェット点火プラグ100によれば、中心電極10の先端部に中心棒50が取り付けられているため、キャビティの側面部における沿面放電の発生を抑制することができる。具体的には、キャビティの内側において、中心電極10と接地電極40との間で火花放電を発生させる際、中心電極10の先端部に取り付けられた中心棒の表面を沿面放電させるため、キャビティの側面部における沿面放電の発生を抑制することができる。これにより、キャビティの側面部を構成する絶縁体の溶融の発生を抑制して、プラズマジェット点火プラグの耐久性の向上を図ることができる。
C.第2実施形態:
図11と図12を用いて、第2実施形態におけるプラズマジェット点火プラグ100dの概略構成を説明する。図11は、第2実施形態におけるプラズマジェット点火プラグ100dの概略構成を説明するための第1の説明図である。図12は、第2実施形態におけるプラズマジェット点火プラグ100dの概略構成を説明するための第2の説明図である。図11は、第1実施形態の図4と対応しており、図12は、第1実施形態の図7と対応している。第2実施形態のプラズマジェット点火プラグ100dは、第1実施形態のプラズマジェット点火プラグ100と比較すると、接地電極40と絶縁碍子20とが接触していない点のみが異なる。第2実施形態のプラズマジェット点火プラグ100dは、接地電極40と絶縁碍子20との間に隙間を有している。
図11に示すように、接地電極40から絶縁碍子20までの最短距離をCとし、第1実施形態と同様に、中心棒50の先端部52から接地電極40の貫通孔41の内周面41fiまでの最短距離をG、中心棒50から絶縁碍子20の軸孔21の内周面21fiまでの最短距離をLとすると、プラズマジェット点火プラグ100dは、G<L+Cとなるように構成されていることが好ましい。また、第1実施形態と同様に、中心電極10の先端部11(電極チップ15の先端面16)から絶縁碍子20の軸孔21の内周面21fiまでの最短距離をAとすると、プラズマジェット点火プラグ100dは、G<A+Cとなるように構成されていることが好ましい。
また、図12に示すように、第1実施形態と同様に、外周面先端部14peから中心電極10の先端部11(電極チップ15の先端面16)までの間の軸線O方向の最短距離をB、中心棒50の先端部52から接地電極40の内周面41fiまでの最短距離をGとすると、プラズマジェット点火プラグ100dは、2G<B+2Cとなるように構成されていることが好ましい。
図13は、第1実施例のプラズマジェット点火プラグ100と第2実施例のプラズマジェット点火プラグ100dとの放電状態の違いを説明するための説明図である。図13(a)は、最短距離C、最短距離L、および最短距離GをG>L+Cとしたプラズマジェット点火プラグ100dを例示しており、第1実施形態の図5(a)と対応している。図13(b)は、最短距離C、最短距離B、および最短距離Gを2G>B+2Cとした本実施形態のプラズマジェット点火プラグ100dを例示しており、第1実施形態の図8(a)と対応している。図13(a)、図13(b)では、第1実施形態と同様に、中心電極10と接地電極40との間に火花放電を生じさせたときの放電の進展方向(放電路)を破線で示している。
第2実施形態のプラズマジェット点火プラグ100dのように、接地電極40と絶縁碍子20との間に隙間がある場合、図13(a)の放電路には、接地電極40と絶縁碍子20と間の気中放電が含まれる。そのため、第1実施形態のプラズマジェット点火プラグ100のように、接地電極40と絶縁碍子20とが接触している場合の図5(a)の放電路よりも絶縁抵抗が大きく発生しにくい。よって、プラズマジェット点火プラグ100dは、最短距離Gが最短距離Lと最短距離Cとの和よりも大きい(G>L+C)場合に、絶縁碍子20の軸孔21の内周面21fi(キャビティ60の側面部)において沿面放電が生じる。一方、最短距離Gが最短距離Lと最短距離Cとの和よりも小さい(G<L+C)場合には、中心棒50の後端部51から先端部52に向かう沿面放電が発生するとともに、中心棒50の先端部52から接地電極40の内周面41fiに向けて気中放電が発生する。これにより、中心棒50から絶縁碍子20の内周面21fiに向けて気中放電された電力に起因する内周面21fiの沿面放電の発生を抑制できる。
また、同様に、第1実施形態の図6(a)との比較により、プラズマジェット点火プラグ100dは、最短距離Gが最短距離Aと最短距離Cとの和よりも大きい(G>A+C)場合に、絶縁碍子20の軸孔21の内周面21fi(キャビティ60の側面部)において沿面放電が生じる。一方、最短距離Gが最短距離Aと最短距離Cとの和よりも小さい(G<A+C)場合には、中心棒50の後端部51から先端部52に向かう沿面放電が発生するとともに、中心棒50の先端部52から接地電極40の内周面41fiに向けて気中放電が発生する。これにより、電極チップ15から絶縁碍子20の内周面21fiに向けて気中放電された電力に起因する内周面21fiの沿面放電の発生を抑制できる。
また、図13(b)の放電路においても、接地電極40と絶縁碍子20と間の気中放電が含まれる。そのため、第1実施形態のプラズマジェット点火プラグ100のように、接地電極40と絶縁碍子20とが接触している場合の図8(a)の放電路よりも絶縁抵抗が大きく発生しにくい。よって、プラズマジェット点火プラグ100dは、最短距離Gの2倍が最短距離Bと、最短距離Cの2倍(2C)と、の和よりも大きい(2G>B+2C)場合に、絶縁碍子20の軸孔21の内周面21fi(キャビティ60の側面部)において沿面放電が生じる。一方、最短距離Gの2倍が最短距離Bと、最短距離Cの2倍(2C)と、の和よりも小さい(2G<B+2C)場合には、中心棒50の後端部51から先端部52に向かう沿面放電が発生するとともに、中心棒50の先端部52から接地電極40の内周面41fiに向けて気中放電が発生する。これにより、中心電極10の外周面先端部14peから絶縁碍子20の内周面21fiに伝送された電力に起因する内周面21fiの沿面放電の発生を抑制できる。なお、最短距離Cの2倍と最短距離Gの2倍とを比較しているのは、どちらも気中放電が発生する部位であり、放電の発生のしやすさは同じであるためである。
以上説明した第2実施形態のプラズマジェット点火プラグ100dによれば、中心電極10の先端部に中心棒50が取り付けられていれば、接地電極40と絶縁碍子20とが接触しているか否かに関わらず、キャビティの側面部における沿面放電の発生を抑制することができる。
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
D−1.変形例1:
図14は、変形例1におけるプラズマジェット点火プラグ100e,100fの概略構成を説明するための説明図である。絶縁碍子20の軸孔21の形状は、本実施形態の構成に限定されない。例えば、図14(a)に示すプラズマジェット点火プラグ100eように、絶縁碍子20eの軸孔21eは、本実施形態の先端小径部28を備えていなくてもよい。また、図14(b)に示すプラズマジェット点火プラグ100fように、絶縁碍子20fの軸孔21fは、先端部に向かって縮径する形状であってもよい。
D−2.変形例2:
図15は、変形例2における中心棒50g,50h,50iの概略構成を説明するための説明図である。中心棒50の溝部55の形状は、本実施形態の構成に限定されない。例えば、図15(a)に示す中心棒50gように、溝部55gの断面は曲線形状であってもよい。また、図15(b)に示す中心棒50hように、溝部55hの断面はV字状であってもよい。また、図15(c)に示す中心棒50iように、溝部55iは、複数形成されていてもよい。
D−3.変形例3:
本実施形態では、中心棒50は、軸線O方向に沿っているものとして説明したが、中心棒50は、中心電極10と接触する後端部51よりも先端部52が接地電極40に近い構成であれば、軸線O方向と平行になっていなくてもよい。すなわち、中心電極10は、軸線O方向に対して斜めになっていてもよい。
D−4.変形例4:
本実施形態では、主体金具30と接地電極40とは別体であるものとして説明したが、接地電極40は、主体金具の一部として形成されていてもよい。
D−5.変形例5:
本実施形態では、プラズマジェット点火プラグ100の中心電極10には、電極チップ15が取り付けられているものとして説明したが、中心電極10の先端部には電極チップ15が取り付けられていなくてもよい。すなわち、プラズマジェット点火プラグ100は、中心電極10の本体部14に直接的に中心棒50が取り付けられた構成であってもよい。
5…ガスケット
6…リング部材
8…パッキン
9…タルク
10…中心電極
11…先端部
12…後端部
13…金属芯
14…本体部
15…電極チップ
16…先端面
17…拡径部
18…シール体
19…端子金具
20…絶縁碍子
21…軸孔
21fi…内周面
22…内側段状部
23…胴部
24…脚長部
25…外側段状部
26…後端側軸孔部
27…先端側軸孔部
28…先端小径部
29…鍔部
30…主体金具
31…工具係合部
32…ねじ部
33…加締部
34…鍔部
35…座面
36…係止部
39…先端部
40…接地電極
41…オリフィス(貫通孔)
41fi…内周面
50…中心棒
51…後端部
52…先端部
55…溝部
60…キャビティ(放電空間)
100、100a〜f…プラズマジェット点火プラグ

Claims (7)

  1. 中心電極と、
    前記中心電極の軸線方向に延びる軸孔を有し、該軸孔内に前記中心電極を保持する略筒状の絶縁体と、
    前記絶縁体を保持する主体金具と、
    前記主体金具に接合され、または、前記主体金具の一部として形成され、前記絶縁体よりも先端側に配置される接地電極と、を備え、
    前記中心電極の先端部は、前記絶縁体の先端部よりも後端側に位置しているプラズマジェット点火プラグであって、
    絶縁体材料、または、半導体材料により形成された略棒状の中心棒を備え、前記中心棒の後端部が前記中心電極の先端部に取り付けられ、前記中心棒の先端部が前記後端部よりも前記接地電極に近接するように配置されており、
    前記接地電極は、前記絶縁体の軸孔と連通する貫通孔を備えており、
    前記貫通孔の内径は、前記軸孔の内径よりも小さくなるように構成され、
    前記中心棒の先端部から前記貫通孔の内周面までの最短距離Gと、前記中心棒から前記軸孔の内周面までの最短距離Lは、
    G<Lであることを特徴とするプラズマジェット点火プラグ。
  2. 請求項に記載のプラズマジェット点火プラグにおいて、
    前記中心電極の先端部は、前記先端部の外径が前記絶縁体の軸孔の内径よりも小さくなるように構成されており、
    前記中心棒の先端部から前記貫通孔の内周面までの最短距離Gと、前記中心電極の先端部から前記軸孔の内周面までの最短距離Aは、
    G<Aであることを特徴とするプラズマジェット点火プラグ。
  3. 請求項に記載のプラズマジェット点火プラグにおいて、
    前記中心電極は、外周面が前記軸孔の内周面と当接する、または、前記外周面と前記軸孔の内周面との間の最短距離が0.1mm以下となる本体部と、前記本体部の先端側に形成され、前記本体部よりも外径が小さい縮径部と、を含んで構成されており、
    前記中心電極の先端部とは、前記縮径部の先端側の端部であり、
    前記本体部の前記外周面の先端側から前記中心電極の先端部までの前記軸線方向の最短距離Bと、前記中心棒の先端部から前記貫通孔の内周面までの最短距離Gは、
    2G<Bであることを特徴とするプラズマジェット点火プラグ。
  4. 請求項または請求項に記載のプラズマジェット点火プラグにおいて、
    前記中心電極の先端部から前記軸孔の内周面までの最短距離Aは、
    A≦1mmであることを特徴とするプラズマジェット点火プラグ。
  5. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載のプラズマジェット点火プラグにおいて、
    前記中心棒は、外表面に自身の軸線方向に沿った溝部を備えていることを特徴とするプラズマジェット点火プラグ。
  6. 請求項1から請求項までのいずれか一項に記載のプラズマジェット点火プラグにおいて、
    前記中心棒は、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、窒化珪素のいずれかを主成分とするセラミックであることを特徴とするプラズマジェット点火プラグ。
  7. 請求項に記載のプラズマジェット点火プラグにおいて、
    前記中心棒は、前記主成分以外の成分が0.5wt%以下であることを特徴とするプラズマジェット点火プラグ。
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