JP6030358B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、基板と支持体とが積層された積層体に関する。
携帯電話、デジタルAV機器およびICカード等の高機能化にともない、搭載される半導体シリコンチップ(以下、チップ)の小型化および薄型化によって、パッケージ内にシリコンを高集積化する要求が高まっている。例えば、CSP(chip size package)またはMCP(multi-chip package)に代表されるような複数のチップをワンパッケージ化する集積回路において、薄型化が求められている。パッケージ内のチップの高集積化を実現するためには、チップの厚さを25〜150μmの範囲にまで薄くする必要がある。
しかし、チップのベースになる半導体ウエハ(以下、ウエハ)は、研削することにより肉薄になるため、その強度が低下して、ウエハにクラックまたは反りが生じ易くなる。また、薄板化によって強度が低下したウエハを自動搬送することが困難なため、人手によって搬送しなければならず、その取り扱いが煩雑であった。
そのため、サポートプレートと呼ばれるガラス、シリコンまたは硬質プラスチック等からなるプレートを、研削するウエハに貼り合わせてウエハの強度を補い、クラックの発生およびウエハの反りを防止するウエハハンドリングシステムが開発されている。ウエハハンドリングシステムによってウエハの強度が補われるので、薄板化したウエハの搬送を自動化することができる。
ウエハハンドリングシステムにおいて、ウエハとサポートプレートとは種々の熱可塑性樹脂または接着剤等を用いて貼り合わせられる。そして、サポートプレートが貼り付けられたウエハを薄板化した後、ウエハをダイシングする前にサポートプレートをウエハから分離する。例えば、150μm以下にウエハを薄板化するためには、ウエハとサポートプレートとを強固に接着することが非常に好ましい。
特開2004−64040号公報(2004年2月26日公開)
しかしながら、特許文献1に記載の被研削基材と支持体とを含む積層体を、高温状態下で処理する場合には、積層体に大きな反りが生じるという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、加熱による積層体の反りを低減することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係る積層体は、基板と、上記基板を支持する支持体とが積層された積層体であって、上記支持体における上記基板が積層されている側とは反対側の面に、加熱による上記積層体の反りを低減する反り低減膜が設けられていることを特徴としている。
本発明によれば、加熱による積層体の反りを低減することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る積層体の製造方法を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る積層体の反りの様子を模式的に示す図である。 比較例2に係る積層体のそりの結果を示す図である。 比較例2に係る積層体のそりの結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る積層体の製造方法を模式的に示す図である。本実施形態に係る積層体の製造方法では、まず、図1の(a)に示すように、基板1を準備し、図1の(b)に示すように、基板1上に接着層3を形成する。そして、図1の(c)に示すように、反り低減膜5が形成された支持体2を貼り付け、図1の(d)に示すように、反り低減膜5、支持体2、接着層3および基板1がこの順番で積層された積層体10を製造する。そして、図1の(e)に示すように、基板1における接着層3が形成されている側の反対側の面を研削することにより、基板1を薄化する。
〔積層体〕
図1の(d)および(e)に示すように、積層体10は、基板1と、基板1を支持する支持体2とが、接着層3を介して積層されたものである。支持体2において、基板1が積層されている側の反対側の面には、反り低減膜5が設けられている。
(基板)
基板1は、支持体2に支持された状態で、薄化、実装等のプロセスに供されるものである。基板1としては、ウエハ基板に限定されず、薄いフィルム基板、フレキシブル基板等の任意の基板を使用することができる。また、図1の(b)に示すように、基板1の表面上には、接着層3が形成される。基板1における接着層3側の面に、電子回路等の電子素子の微細構造が形成されていてもよく、図1の(e)に示すように、基板1における接着層3側の裏面を研削してもよい。
(支持体)
支持体2は、基板1を支持する支持体であり、接着層3を介して基板1に貼り付けられる。そのため、本発明に係る支持体2は、基板の薄化、搬送、実装等のプロセス時に、基板の破損または変形を防ぐために必要な強度を有していればよく、より軽量であることが望ましい。以上の観点から、支持体2は、ガラス、シリコン、アクリル系樹脂、セラミック等で構成されていることが好ましい。
(接着層)
図1の(b)〜(e)に示すように、接着層3は、基板1を支持体2に接着固定すると同時に、基板1の表面を覆って保護する構成である。よって、接着層3は、基板1の加工または搬送の際に、支持体2に対する基板1の固定、および基板1の保護すべき面の被覆を維持する接着性および強度を有している必要がある。一方で、支持体2に対する基板1の固定が不要になったときに、基板1から容易に剥離または除去され得る必要がある。したがって、接着層3は、通常は強固な接着性を有しており、何らかの処理によって接着性が低下するか、または特定の溶剤に対する可溶性を有する接着剤によって構成される。
接着層の形成方法、即ち、基板1または支持体2に接着剤を塗布する塗布方法、或いは、基材に接着剤を塗布して接着テープを形成する形成方法は、特に限定されるものではないが、接着剤の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ディッピング法、ローラーブレード法、ドクターブレード法、スプレー法、スリットノズル法による塗布法等が挙げられる。
接着層の厚さは、貼り付けの対象となる基板1および支持体2の種類、貼り付け後の基板に施される処理等に応じて適宜設定すればよいが、10〜150μmの範囲内であることが好ましく、15〜100μmの範囲内であることがより好ましい。
接着剤として、例えばアクリル系、ノボラック系、ナフトキサン系、炭化水素系、ポリイミド系、エラストマー等の、当該分野において公知の種々の接着剤が、本発明に係る接着層3を構成する接着剤として使用可能である。以下では、本実施の形態における接着層3が含有する樹脂の組成について説明する。
接着層3が含有する樹脂としては、接着性を備えたものであればよく、例えば、炭化水素樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、マレイミド系樹脂、エラストマー樹脂等、またはこれらを組み合わせたものなどが挙げられる。
<炭化水素樹脂>
炭化水素樹脂は、炭化水素骨格を有し、単量体組成物を重合してなる樹脂である。炭化水素樹脂として、シクロオレフィン系ポリマー(以下、「樹脂(A)」ということがある)、ならびに、テルペン樹脂、ロジン系樹脂および石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂(以下、「樹脂(B)」ということがある)等が挙げられるが、これに限定されない。
樹脂(A)としては、シクロオレフィン系モノマーを含む単量体成分を重合してなる樹脂であってもよい。具体的には、シクロオレフィン系モノマーを含む単量体成分の開環(共)重合体、シクロオレフィン系モノマーを含む単量体成分を付加(共)重合させた樹脂などが挙げられる。
樹脂(A)を構成する単量体成分に含まれる前記シクロオレフィン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの二環体、ジシクロペンタジエン、ジヒドロキシペンタジエンなどの三環体、テトラシクロドデセンなどの四環体、シクロペンタジエン三量体などの五環体、テトラシクロペンタジエンなどの七環体、またはこれら多環体のアルキル(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)置換体、アルケニル(ビニルなど)置換体、アルキリデン(エチリデンなど)置換体、アリール(フェニル、トリル、ナフチルなど)置換体等が挙げられる。これらの中でも特に、ノルボルネン、テトラシクロドデセン、またはこれらのアルキル置換体からなる群より選ばれるノルボルネン系モノマーが好ましい。
樹脂(A)を構成する単量体成分は、上述したシクロオレフィン系モノマーと共重合可能な他のモノマーを含有していてもよく、例えば、アルケンモノマーを含有することが好ましい。アルケンモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、α−オレフィンなどが挙げられる。アルケンモノマーは、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。
また、樹脂(A)を構成する単量体成分として、シクロオレフィンモノマーを含有することが、高耐熱性(低い熱分解、熱重量減少性)の観点から好ましい。樹脂(A)を構成する単量体成分全体に対するシクロオレフィンモノマーの割合は、5モル%以上であることが好ましく、10モル%以上であることがより好ましく、20モル%以上であることがさらに好ましい。また、樹脂(A)を構成する単量体成分全体に対するシクロオレフィンモノマーの割合は、特に限定されないが、溶解性および溶液での経時安定性の観点からは80モル%以下であることが好ましく、70モル%以下であることがより好ましい。
また、樹脂(A)を構成する単量体成分として、直鎖状または分岐鎖状のアルケンモノマーを含有してもよい。樹脂(A)を構成する単量体成分全体に対するアルケンモノマーの割合は、溶解性および柔軟性の観点からは10〜90モル%であることが好ましく、20〜85モル%であることがより好ましく、30〜80モル%であることがさらに好ましい。
なお、樹脂(A)は、例えば、シクロオレフィン系モノマーとアルケンモノマーとからなる単量体成分を重合させてなる樹脂のように、極性基を有していない樹脂であることが、高温下でのガスの発生を抑制するうえで好ましい。
単量体成分を重合する際の重合方法や重合条件等については、特に制限はなく、常法に従い適宜設定すればよい。
樹脂(A)として用いることのできる市販品としては、例えば、ポリプラスチックス社製の「TOPAS」、三井化学社製の「APEL」、日本ゼオン社製の「ZEONOR」および「ZEONEX」、JSR社製の「ARTON」などが挙げられる。
樹脂(A)のガラス転移点(Tg)は、60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることが特に好ましい。樹脂(A)のガラス転移点が60℃以上であると、積層体が高温環境に曝されたときに接着層の軟化をさらに抑制することができる。
樹脂(B)は、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂および石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である。具体的には、テルペン系樹脂としては、例えば、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、水添テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。ロジン系樹脂としては、例えば、ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、変性ロジン等が挙げられる。石油樹脂としては、例えば、脂肪族または芳香族石油樹脂、水添石油樹脂、変性石油樹脂、脂環族石油樹脂、クマロン・インデン石油樹脂等が挙げられる。これらの中でも、水添テルペン樹脂、水添石油樹脂がより好ましい。
樹脂(B)の軟化点は特に限定されないが、80〜160℃であることが好ましい。樹脂(B)の軟化点が80℃以上であると、積層体が高温環境に曝されたときに軟化することを抑制することができ、接着不良を生じない。一方、樹脂(B)の軟化点が160℃以下であると、積層体を剥離する際の剥離速度が良好なものとなる。
樹脂(B)の分子量は特に限定されないが、300〜3000であることが好ましい。樹脂(B)の分子量が300以上であると、耐熱性が充分なものとなり、高温環境下において脱ガス量が少なくなる。一方、樹脂(B)の分子量が3000以下であると、積層体を剥離する際の剥離速度が良好なものとなる。なお、本実施形態における樹脂(B)の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の分子量を意味するものである。
なお、樹脂として、樹脂(A)と樹脂(B)とを混合したものを用いてもよい。混合することにより、耐熱性および剥離速度が良好なものとなる。例えば、樹脂(A)と樹脂(B)との混合割合としては、(A):(B)=80:20〜55:45(質量比)であることが、剥離速度、高温環境時の熱耐性、および柔軟性に優れるので好ましい。
<アクリル−スチレン系樹脂>
アクリル−スチレン系樹脂としては、例えば、スチレンまたはスチレンの誘導体と、(メタ)アクリル酸エステル等とを単量体として用いて重合した樹脂が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、鎖式構造からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステル、脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。鎖式構造からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、炭素数15〜20のアルキル基を有するアクリル系長鎖アルキルエステル、炭素数1〜14のアルキル基を有するアクリル系アルキルエステル等が挙げられる。アクリル系長鎖アルキルエステルとしては、アルキル基がn−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等であるアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。なお、当該アルキル基は、分岐状であってもよい。
炭素数1〜14のアルキル基を有するアクリル系アルキルエステルとしては、既存のアクリル系接着剤に用いられている公知のアクリル系アルキルエステルが挙げられる。例えば、アルキル基が、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、ドデシル基、ラウリル基、トリデシル基等からなるアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルが挙げられる。
脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられるが、イソボルニルメタアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートがより好ましい。
芳香族環を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されるものではないが、芳香族環としては、例えばフェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェノキシメチル基、フェノキシエチル基等が挙げられる。また、芳香族環は、炭素数1〜5の鎖状または分岐状のアルキル基を有していてもよい。具体的には、フェノキシエチルアクリレートが好ましい。
<マレイミド系樹脂>
マレイミド系樹脂としては、例えば、単量体として、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−sec−ブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−n−へプチルマレイミド、N−n−オクチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ステアリルマレイミドなどのアルキル基を有するマレイミド、N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロヘプチルマレイミド、N−シクロオクチルマレイミド等の脂肪族炭化水素基を有するマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−m−メチルフェニルマレイミド、N−o−メチルフェニルマレイミド、N−p−メチルフェニルマレイミド等のアリール基を有する芳香族マレイミド等を重合して得られた樹脂が挙げられる。
例えば、下記化学式(1)で表される繰り返し単位および下記化学式(2)で表される繰り返し単位の共重合体であるシクロオレフィンコポリマーを接着成分の樹脂として用いることができる。
Figure 0006030358
(化学式(2)中、nは0または1〜3の整数である。)
このようなシクロオレフィンコポリマーとしては、APL 8008T、APL 8009T、およびAPL 6013T(全て三井化学社製)などを使用できる。
<エラストマー>
エラストマーは、主鎖の構成単位としてスチレン単位を含んでいることが好ましい。接着剤として用いるエラストマーは、当該スチレン単位の含有量が14重量%以上、50重量%以下の範囲であることが好ましい。さらに、エラストマーは、重量平均分子量が10,000以上、200,000以下の範囲であることが好ましい。
エラストマーとしては、例えば、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロックコポリマー(SEP)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SBBS)、エチレン−プロピレンターポリマー(EPT)、これらの水添物、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー)(SEPS)、及び、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEEPS)等が挙げられる。
なお、光硬化性樹脂(例えば、UV硬化性樹脂)以外の樹脂を用いて接着層3を形成することが好ましい。これは、光硬化性樹脂が、接着層3の剥離または除去の後に、基板1の微小な凹凸の周辺に残渣として残ってしまう場合があり得るからである。特に、特定の溶剤に溶解する接着剤が接着層3を構成する材料として好ましい。これは、基板1に物理的な力を加えることなく、接着層3を溶剤に溶解させることによって除去可能なためである。接着層3の除去に際して、強度が低下した基板1からでさえ、基板1を破損させたり、変形させたりせずに、容易に接着層3を除去することができる。
反応層、接着層を形成する際の希釈溶剤として、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、メチルオクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン等の直鎖状の炭化水素、炭素数3から15の分岐状の炭化水素、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ナフタレン、デカヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレン等の環状炭化水素、p−メンタン、o−メンタン、m−メンタン、ジフェニルメンタン、1,4−テルピン、1,8−テルピン、ボルナン、ノルボルナン、ピナン、ツジャン、カラン、ロンギホレン、ゲラニオール、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール、イソメントール、ネオメントール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、テルピネン−1−オール、テルピネン−4−オール、ジヒドロターピニルアセテート、1,4−シネオール、1,8−シネオール、ボルネオール、カルボン、ヨノン、ツヨン、カンファー、d−リモネン、l−リモネン、ジペンテン等のテルペン系溶剤;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン(CH)、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体(これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい);ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル等の芳香族系有機溶剤等を挙げることができる。
<その他の成分>
接着層を構成する接着剤は、本質的な特性を損なわない範囲において、混和性のある他の物質をさらに含んでいてもよい。例えば、接着剤の性能を改良するための付加的樹脂、可塑剤、接着補助剤、安定剤、着色剤、熱重合禁止剤および界面活性剤等、慣用されている各種添加剤をさらに用いることができる。
(反応層)
また、他の実施形態において、基板1と支持体2との間には、接着層3の他に反応層が介在していてもよい。反応層は、支持体2を介して照射される光を吸収することによって変質するようになっている。本明細書において、反応層が「変質する」とは、反応層をわずかな外力を受けて破壊され得る状態、または反応層と接する層との接着力が低下した状態にさせる現象を意味する。光の吸収の結果生じる反応層の変質の結果として、反応層は、光の照射を受ける前の強度または接着性を失う。よって、わずかな外力を加える(例えば、支持体2を持ち上げるなど)ことによって、反応層が破壊されて、支持体2と基板1とを容易に分離することができる。この場合、支持体2は厚さ方向に貫通する孔が設けられていない支持体を用いることが好ましい。
また、反応層の変質は、吸収した光のエネルギーによる(発熱性または非発熱性の)分解、架橋、立体配置の変化または官能基の解離(そして、これらにともなう反応層の硬化、脱ガス、収縮または膨張)等であり得る。反応層の変質は、反応層を構成する材料による光の吸収の結果として生じる。よって、反応層の変質の種類は、反応層を構成する材料の種類に応じて変化し得る。
反応層の厚さは、例えば、0.05〜50μmであることがより好ましく、0.1〜10μmであることがさらに好ましい。反応層の厚さが0.05〜50μmの範囲内に収まっていれば、短時間の光の照射および低エネルギーの光の照射によって、反応層を所望のように変質させることができる。また、反応層の厚さは、生産性の観点から1μm以下の範囲内に収まっていることが特に好ましい。
なお、積層体10において、反応層と支持体2との間に他の層がさらに形成されていてもよい。この場合、他の層は光を透過する材料から構成されていればよい。これによって、反応層への光の入射を妨げることなく、積層体10に好ましい性質などを付与する層を、適宜追加することができる。反応層を構成している材料の種類によって、用い得る光の波長が異なる。よって、他の層を構成する材料は、すべての光を透過させる必要はなく、反応層を構成する材料を変質させ得る波長の光を透過させることができる材料から適宜選択し得る。
また、反応層は、光を吸収する構造を有する材料のみから形成されていることが好ましいが、本発明における本質的な特性を損なわない範囲において、光を吸収する構造を有していない材料を添加して、反応層を形成してもよい。また、反応層における接着層3に対向する側の面が平坦である(凹凸が形成されていない)ことが好ましく、これにより、反応層の形成が容易に行なえ、且つ貼り付けにおいても均一に貼り付けることが可能となる。
反応層は、以下に示すような反応層を構成する材料を予めフィルム状に形成したものを支持体2に貼り合わせて用いてもよいし、支持体2上に反応層を構成する材料を塗布してフィルム状に固化したものを用いてもよい。支持体2上に反応層を構成する材料を塗布する方法は、反応層を構成する材料の種類に応じて、化学気相成長(CVD)法による堆積等の従来公知の方法から適宜選択することができる。
反応層は、レーザーから照射される光を吸収することによって変質するものであってもよい。すなわち、反応層を変質させるために反応層に照射される光は、レーザーから照射されたものであってもよい。反応層に照射する光を発射するレーザーの例としては、YAGレーザー、リビーレーザー、ガラスレーザー、YVOレーザー、LDレーザー、ファイバーレーザー等の固体レーザー、色素レーザー等の液体レーザー、COレーザー、エキシマレーザー、Arレーザー、He−Neレーザー等の気体レーザー、半導体レーザー、自由電子レーザー等のレーザー光、または、非レーザー光等が挙げられる。反応層に照射する光を発射するレーザーは、反応層を構成している材料に応じて適宜選択することが可能であり、反応層を構成する材料を変質させ得る波長の光を照射するレーザーを選択すればよい。
<光吸収性を有している構造をその繰返し単位に含んでいる重合体>
反応層は、光吸収性を有している構造をその繰返し単位に含んでいる重合体を含有していてもよい。当該重合体は、光の照射を受けて変質する。当該重合体の変質は、上記構造が照射された光を吸収することによって生じる。反応層は、重合体の変質の結果として、光の照射を受ける前の強度または接着性を失っている。よって、わずかな外力を加える(例えば、支持体2を持ち上げるなど)ことによって、反応層が破壊されて、支持体2と基板1とを容易に分離することができる。
光吸収性を有している上記構造は、光を吸収して、繰返し単位として当該構造を含んでいる重合体を変質させる化学構造である。当該構造は、例えば、置換もしくは非置換のベンゼン環、縮合環または複素環からなる共役π電子系を含んでいる原子団である。より詳細には、当該構造は、カルド構造、または上記重合体の側鎖に存在するベンゾフェノン構造、ジフェニルスルフォキシド構造、ジフェニルスルホン構造(ビスフェニルスルホン構造)、ジフェニル構造もしくはジフェニルアミン構造であり得る。
上記構造が上記重合体の側鎖に存在する場合、当該構造は以下の式によって表され得る。
Figure 0006030358
式中、Rはそれぞれ独立して、アルキル基、アリール基、ハロゲン、水酸基、ケトン基、スルホキシド基、スルホン基またはN(R)(R)であり(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である)、Zは、存在しないか、またはCO−、−SO−、−SO−もしくは−NH−であり、nは0または1〜5の整数である。
また、上記重合体は、例えば、以下の式のうち、(a)〜(d)のいずれかによって表される繰返し単位を含んでいるか、(e)によって表されるか、または(f)の構造をその主鎖に含んでいる。
Figure 0006030358
式中、lは1以上の整数であり、mは0または1〜2の整数であり、Xは、(a)〜(e)において上記の“化2”に示した式のいずれかであり、(f)において上記の“化2”に示した式のいずれかであるか、または存在せず、YおよびYはそれぞれ独立して、−CO−またはSO−である。lは好ましくは10以下の整数である。
上記の“化2”に示されるベンゼン環、縮合環および複素環の例としては、フェニル、置換フェニル、ベンジル、置換ベンジル、ナフタレン、置換ナフタレン、アントラセン、置換アントラセン、アントラキノン、置換アントラキノン、アクリジン、置換アクリジン、アゾベンゼン、置換アゾベンゼン、フルオリム、置換フルオリム、フルオリモン、置換フルオリモン、カルバゾール、置換カルバゾール、N−アルキルカルバゾール、ジベンゾフラン、置換ジベンゾフラン、フェナンスレン、置換フェナンスレン、ピレンおよび置換ピレンが挙げられる。例示した置換基が置換を有している場合、その置換基は、例えば、アルキル、アリール、ハロゲン原子、アルコキシ、ニトロ、アルデヒド、シアノ、アミド、ジアルキルアミノ、スルホンアミド、イミド、カルボン酸、カルボン酸エステル、スルホン酸、スルホン酸エステル、アルキルアミノおよびアリールアミノから選択される。
上記の“化2”に示される置換基のうち、フェニル基を2つ有している5番目の置換基であって、Zが−SO−である場合の例としては、ビス(2,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5‐ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,6‐ジヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3‐ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(2‐ヒドロキシフェニル)スルホン、およびビス(3,5‐ジメチル‐4‐ヒドロキシフェニル)スルホンなどが挙げられる。
上記の“化2”に示される置換基のうち、フェニル基を2つ有している5番目の置換基であって、Zが−SO−である場合の例としては、ビス(2,3‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(5‐クロロ‐2,3‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,4‐ジヒドロキシ‐6‐メチルフェニル)スルホキシド、ビス(5‐クロロ‐2,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,5‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3,4‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3,5‐ジヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,3,4‐トリヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,3,4‐トリヒドロキシ‐6‐メチルフェニル)‐スルホキシド、ビス(5‐クロロ‐2,3,4‐トリヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(2,4,6‐トリヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(5‐クロロ‐2,4,6‐トリヒドロキシフェニル)スルホキシドなどが挙げられる。
上記の“化2”に示される置換基のうち、フェニル基を2つ有している5番目の置換基であって、Zが−C(=O)−である場合の例としては、2,4‐ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4‐トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’‐テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,5,6’‐テトラヒドロキシベンゾフェノン、2‐ヒドロキシ‐4‐メトキシベンゾフェノン、2‐ヒドロキシ‐4‐オクトキシベンゾフェノン、2‐ヒドロキシ‐4‐ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’‐ジヒドロキシ‐4‐メトキシベンゾフェノン、2,6‐ジヒドロキシ‐4‐メトキシベンゾフェノン、2,2’‐ジヒドロキシ‐4,4’‐ジメトキシベンゾフェノン、4‐アミノ‐2’‐ヒドロキシベンゾフェノン、4‐ジメチルアミノ‐2’‐ヒドロキシベンゾフェノン、4‐ジエチルアミノ‐2’‐ヒドロキシベンゾフェノン、4‐ジメチルアミノ‐4’‐メトキシ‐2’‐ヒドロキシベンゾフェノン、4‐ジメチルアミノ‐2’,4’‐ジヒドロキシベンゾフェノン、および4‐ジメチルアミノ‐3’,4’‐ジヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
上記構造が上記重合体の側鎖に存在している場合、上記構造を含んでいる繰返し単位の、上記重合体に占める割合は、反応層の光の透過率が0.001〜10%になる範囲にある。当該割合がこのような範囲に収まるように重合体が調製されていれば、反応層が十分に光を吸収して、確実かつ迅速に変質し得る。すなわち、積層体10からの支持体2の除去が容易であり、当該除去に必要な光の照射時間を短縮させることができる。
上記構造は、その種類の選択によって、所望の範囲の波長を有している光を吸収することができる。例えば、上記構造が吸収可能な光の波長は、100〜2000nmであることがより好ましい。この範囲のうち、上記構造が吸収可能な光の波長は、より短波長側であり、例えば、100〜500nmである。例えば、上記構造は、好ましくは約300〜370nmの波長を有している紫外光を吸収することによって、当該構造を含んでいる重合体を変質させ得る。
上記構造が吸収可能な光は、例えば、高圧水銀ランプ(波長:254nm〜436nm)、KrFエキシマレーザー(波長:248nm)、ArFエキシマレーザー(波長:193nm)、Fエキシマレーザー(波長:157nm)、XeClレーザー(308nm)、XeFレーザー(波長:351nm)もしくは固体UVレーザー(波長:355nm)から発せられる光、またはg線(波長:436nm)、h線(波長:405nm)もしくはi線(波長:365nm)などである。
上述した反応層は、繰り返し単位として上記構造を含んでいる重合体を含有しているが、反応層はさらに、上記重合体以外の成分を含み得る。当該成分としては、フィラー、可塑剤、および支持体2の剥離性を向上し得る成分などが挙げられる。これらの成分は、上記構造による光の吸収、および重合体の変質を妨げないか、または促進する、従来公知の物質または材料から適宜選択される。
<無機物>
反応層は、無機物からなっていてもよい。反応層は、無機物によって構成されることにより、光を吸収することによって変質するようになっており、その結果として、光の照射を受ける前の強度または接着性を失う。よって、わずかな外力を加える(例えば、支持体2を持ち上げる等)ことによって、反応層が破壊されて、支持体2と基板1とを容易に分離することができる。
上記無機物は、光を吸収することによって変質する構成であればよく、例えば、金属、金属化合物およびカーボンからなる群より選択される1種類以上の無機物を好適に用いることができる。金属化合物とは、金属原子を含む化合物を指し、例えば、金属酸化物、金属窒化物であり得る。このような無機物の例示としては、これに限定されるものではないが、金、銀、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、チタン、クロム、SiO、SiN、Si、TiN、およびカーボンからなる群より選ばれる1種類以上の無機物が挙げられる。なお、カーボンとは炭素の同素体も含まれ得る概念であり、例えば、ダイヤモンド、フラーレン、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノチューブ等であり得る。
上記無機物は、その種類によって固有の範囲の波長を有する光を吸収する。反応層に用いた無機物が吸収する範囲の波長の光を反応層に照射することにより、上記無機物を好適に変質させ得る。
無機物からなる反応層に照射する光としては、上記無機物が吸収可能な波長に応じて、例えば、YAGレーザー、リビーレーザー、ガラスレーザー、YVOレーザー、LDレーザー、ファイバーレーザー等の固体レーザー、色素レーザー等の液体レーザー、COレーザー、エキシマレーザー、Arレーザー、He−Neレーザー等の気体レーザー、半導体レーザー、自由電子レーザー等のレーザー光、または、非レーザー光を適宜用いればよい。
無機物からなる反応層は、例えばスパッタ、化学蒸着(CVD)、メッキ、プラズマCVD、スピンコート等の公知の技術により、支持体2上に形成され得る。無機物からなる反応層の厚さは特に限定されず、使用する光を十分に吸収し得る膜厚であればよいが、例えば、0.05〜10μmの膜厚とすることがより好ましい。また、反応層を構成する無機物からなる無機膜(例えば、金属膜)の両面または片面に予め接着剤を塗布し、支持体2および基板1に貼り付けてもよい。
なお、反応層として金属膜を使用する場合には、反応層の膜質、レーザー光源の種類、レーザー出力等の条件によっては、レーザーの反射や膜への帯電等が起こり得る。そのため、反射防止膜や帯電防止膜を反応層の上下またはどちらか一方に設けることで、それらの対策をとることが好ましい。
<赤外線吸収性の構造を有する化合物>
反応層は、赤外線吸収性の構造を有する化合物によって形成されていてもよい。当該化合物は、赤外線を吸収することにより変質する。反応層は、化合物の変質の結果として、赤外線の照射を受ける前の強度または接着性を失っている。よって、わずかな外力を加える(たとえば、支持体2を持ち上げるなど)ことによって、反応層が破壊されて、支持体2と基板1とを容易に分離することができる。
赤外線吸収性を有している構造または赤外線吸収性を有している構造を含む化合物としては、たとえば、アルカン、アルケン(ビニル、トランス、シス、ビニリデン、三置換、四置換、共役、クムレン、環式)、アルキン(一置換、二置換)、単環式芳香族(ベンゼン、一置換、二置換、三置換)、アルコールおよびフェノール類(自由OH、分子内水素結合、分子間水素結合、飽和第二級、飽和第三級、不飽和第二級、不飽和第三級)、アセタール、ケタール、脂肪族エーテル、芳香族エーテル、ビニルエーテル、オキシラン環エーテル、過酸化物エーテル、ケトン、ジアルキルカルボニル、芳香族カルボニル、1,3−ジケトンのエノール、o−ヒドロキシアリールケトン、ジアルキルアルデヒド、芳香族アルデヒド、カルボン酸(二量体、カルボン酸アニオン)、ギ酸エステル、酢酸エステル、共役エステル、非共役エステル、芳香族エステル、ラクトン(β−、γ−、δ−)、脂肪族酸塩化物、芳香族酸塩化物、酸無水物(共役、非共役、環式、非環式)、第一級アミド、第二級アミド、ラクタム、第一級アミン(脂肪族、芳香族)、第二級アミン(脂肪族、芳香族)、第三級アミン(脂肪族、芳香族)、第一級アミン塩、第二級アミン塩、第三級アミン塩、アンモニウムイオン、脂肪族ニトリル、芳香族ニトリル、カルボジイミド、脂肪族イソニトリル、芳香族イソニトリル、イソシアン酸エステル、チオシアン酸エステル、脂肪族イソチオシアン酸エステル、芳香族イソチオシアン酸エステル、脂肪族ニトロ化合物、芳香族ニトロ化合物、ニトロアミン、ニトロソアミン、硝酸エステル、亜硝酸エステル、ニトロソ結合(脂肪族、芳香族、単量体、二量体)、メルカプタンおよびチオフェノールおよびチオール酸などの硫黄化合物、チオカルボニル基、スルホキシド、スルホン、塩化スルホニル、第一級スルホンアミド、第二級スルホンアミド、硫酸エステル、炭素−ハロゲン結合、Si−A結合(Aは、H、C、Oまたはハロゲン)、P−A結合(Aは、H、CまたはO)、またはTi−O結合であり得る。
上記炭素−ハロゲン結合を含む構造としては、たとえば、−CHCl、−CHBr、−CHI、−CF−、−CF、−CH=CF、−CF=CF、フッ化アリール、および塩化アリールなどが挙げられる。
上記Si−A結合を含む構造としては、SiH、SiH、SiH、Si−CH、Si−CH−、Si−C、SiO脂肪族、Si−OCH、Si−OCHCH、Si−OC、Si−O−Si、Si−OH、SiF、SiF、およびSiFなどが挙げられる。Si−A結合を含む構造としては、特に、シロキサン骨格およびシルセスキオキサン骨格を形成していることが好ましい。
上記P−A結合を含む構造としては、PH、PH、P−CH、P−CH−、P−C、A −P−O(Aは脂肪族または芳香族)、(AO)−P−O(Aはアルキル)、P−OCH、P−OCHCH、P−OC、P−O−P、P−OH、およびO=P−OHなどが挙げられる。
上記構造は、その種類の選択によって、所望の範囲の波長を有している赤外線を吸収することができる。たとえば、上記構造が吸収可能な赤外線の波長は、例えば1μm〜20μmの範囲内であり、2μm〜15μmの範囲内をより好適に吸収できる。さらに、上記構造がSi−O結合、Si−C結合およびTi−O結合である場合には、9μm〜11μmの範囲内であり得る。なお、各構造が吸収できる赤外線の波長は当業者であれば容易に理解することができる。たとえば、各構造における吸収帯として、非特許文献:SILVERSTEIN・BASSLER・MORRILL著「有機化合物のスペクトルによる同定法(第5版)−MS、IR、NMR、UVの併用−」(1992年発行)第146頁〜第151頁の記載を参照することができる。
反応層の形成に用いられる、赤外線吸収性の構造を有する化合物としては、上述のような構造を有している化合物のうち、塗布のために溶媒に溶解でき、固化されて固層を形成できるものであれば、特に限定されるものではない。しかしながら、反応層における化合物を効果的に変質させ、支持体2と基板1との分離を容易にするには、反応層における赤外線の吸収が大きいこと、すなわち、反応層に赤外線を照射した際の赤外線の透過率が低いことが好ましい。具体的には、反応層における赤外線の透過率が90%より低いことが好ましく、赤外線の透過率が80%より低いことがより好ましい。
一例を挙げて説明すれば、シロキサン骨格を有する化合物としては、たとえば、下記式(3)で表される繰り返し単位および下記式(4)で表される繰り返し単位の共重合体である樹脂、あるいは下記式(3)で表される繰り返し単位およびアクリル系化合物由来の繰り返し単位の共重合体である樹脂を用いることができる。
Figure 0006030358
(式(4)中、Rは、水素、炭素数10以下のアルキル基、炭素数10以下のアルコキシ基である)
中でも、シロキサン骨格を有する化合物としては、上記式(3)で表される繰り返し単位および下記式(5)で表される繰り返し単位の共重合体であるtert−ブチルスチレン(TBST)−ジメチルシロキサン共重合体がより好ましく、上記式(3)で表される繰り返し単位および下記式(5)で表される繰り返し単位を1:1で含む、TBST−ジメチルシロキサン共重合体がさらに好ましい。
Figure 0006030358
また、シルセスキオキサン骨格を有する化合物としては、たとえば、下記式(6)で表される繰り返し単位および下記式(7)で表される繰り返し単位の共重合体である樹脂を用いることができる。
Figure 0006030358
(式(6)中、Rは、水素または炭素数1以上、10以下のアルキル基であり、式(7)中、Rは、炭素数1以上、10以下のアルキル基、またはフェニル基である)
シルセスキオキサン骨格を有する化合物としては、このほかにも、特許文献3:特開2007−258663号公報(2007年10月4日公開)、特許文献4:特開2010−120901号公報(2010年6月3日公開)、特許文献5:特開2009−263316号公報(2009年11月12日公開)および特許文献6:特開2009−263596号公報(2009年11月12日公開)において開示されている各シルセスキオキサン樹脂を好適に利用できる。
中でも、シルセスキオキサン骨格を有する化合物としては、下記式(8)で表される繰り返し単位および下記式(9)で表される繰り返し単位の共重合体がより好ましく、下記式(8)で表される繰り返し単位および下記式(9)で表される繰り返し単位を7:3で含む共重合体がさらに好ましい。
Figure 0006030358
シルセスキオキサン骨格を有する重合体としては、ランダム構造、ラダー構造、および籠型構造があり得るが、何れの構造であってもよい。
また、Ti−O結合を含む化合物としては、たとえば、(i)テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、およびチタニウム−i−プロポキシオクチレングリコレートなどのアルコキシチタン、(ii)ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、およびプロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)などのキレートチタン、(iii)i−CO−[−Ti(O−i−C−O−]−i−C、およびn−CO−[−Ti(O−n−C−O−]−n−Cなどのチタンポリマー、(iv)トリ−n−ブトキシチタンモノステアレート、チタニウムステアレート、ジ−i−プロポキシチタンジイソステアレート、および(2−n−ブトキシカルボニルベンゾイルオキシ)トリブトキシチタンなどのアシレートチタン、(v)ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタンなどの水溶性チタン化合物などが挙げられる。
中でも、Ti−O結合を含む化合物としては、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン(Ti(OC[OCN(COH))が好ましい。
上述した反応層は、赤外線吸収性の構造を有する化合物を含有しているが、反応層はさらに、上記化合物以外の成分を含み得る。当該成分としては、フィラー、可塑剤、および支持体2の剥離性を向上し得る成分などが挙げられる。これらの成分は、上記構造による赤外線の吸収、および化合物の変質を妨げないか、または促進する、従来公知の物質または材料から適宜選択される。
<フルオロカーボン>
反応層は、フルオロカーボンからなっていてもよい。反応層は、フルオロカーボンによって構成されることにより、光を吸収することによって変質するようになっており、その結果として、光の照射を受ける前の強度または接着性を失う。よって、わずかな外力を加える(例えば、支持体2を持ち上げるなど)ことによって、反応層が破壊されて、支持体2と基板1とを容易に分離することができる。
また、一つの観点からいえば、反応層を構成するフルオロカーボンは、プラズマCVD法によって好適に成膜され得る。なお、フルオロカーボンは、C(パーフルオロカーボン)およびC(x、yおよびzは整数)を含み、これらに限定されないが、例えば、CHF、CH、C、C、C、C等で有り得る。また、反応層を構成するために用いるフルオロカーボンに対して、必要に応じて窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス、酸素、アルカン、アルケンなどの炭化水素、および、二酸化炭素、水素を添加してもよい。また、これらのガスを複数混合して用いてもよい(フルオロカーボン、水素、窒素の混合ガス等)。また、反応層は、単一種のフルオロカーボンから構成されていてもよいし、2種類以上のフルオロカーボンから構成されていてもよい。
フルオロカーボンは、その種類によって固有の範囲の波長を有する光を吸収する。反応層に用いたフルオロカーボンが吸収する範囲の波長の光を反応層に照射することにより、フルオロカーボンを好適に変質させ得る。なお、反応層における光の吸収率は80%以上であることが好ましい。
反応層に照射する光としては、フルオロカーボンが吸収可能な波長に応じて、例えば、YAGレーザー、リビーレーザー、ガラスレーザー、YVOレーザー、LDレーザー、ファイバーレーザー等の固体レーザー、色素レーザー等の液体レーザー、COレーザー、エキシマレーザー、Arレーザー、He−Neレーザー等の気体レーザー、半導体レーザー、自由電子レーザー等のレーザー光、または、非レーザー光を適宜用いればよい。フルオロカーボンを変質させ得る波長としては、これに限定されるものではないが、例えば、600nm以下の範囲のものを用いることができる。
<赤外線吸収物質>
反応層は、赤外線吸収物質を含有していてもよい。反応層は、赤外線吸収物質を含有して構成されることにより、光を吸収することによって変質するようになっており、その結果として、光の照射を受ける前の強度または接着性を失う。よって、わずかな外力を加える(例えば、支持体2を持ち上げる等)ことによって、反応層が破壊されて、支持体2と基板1とを容易に分離することができる。
赤外線吸収物質は、赤外線を吸収することによって変質する構成であればよく、例えば、カーボンブラック、鉄粒子、またはアルミニウム粒子を好適に用いることができる。赤外線吸収物質は、その種類によって固有の範囲の波長を有する光を吸収する。反応層に用いた赤外線吸収物質が吸収する範囲の波長の光を反応層に照射することにより、赤外線吸収物質を好適に変質させ得る。
(孔が設けられた支持体)
なお、一実施形態において、支持体2には、反応層を設ける替わりに、支持体2を厚さ方向に貫通する孔を設けてもよい。その場合、この孔を介して、接着層3を形成している接着剤を溶解する溶剤を支持体2と基板1との間に流し込むことによって、支持体2と基板1とを容易に分離することができる。
(反り低減膜)
従来の積層体は、基板と、接着層と、支持体とをこの順番に積層され、形成される。しかし、この積層体を、高温状態下、例えば、220℃以上の環境下に曝して、処理を行った場合に、積層体に大きな反りが生じるという問題がある。
この問題を回避するために、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、後述する実施例に示すように、支持体における基板とは反対側の面に反り低減膜を設けることにより、加熱による積層体の反りを低減することができることを見出した。
すなわち、図1の(c)に示すように、反り低減膜5は、支持体2における基板1が積層されている側とは反対側の面に設けられており、加熱により生じる積層体10の反りを低減する膜である。
反り低減膜5としては、例えば、金属膜、金属酸化膜および金属窒化膜を好適に用いることができる。これらの膜は、公知の成膜技術、例えば、一般的なスパッタリング法、CVD法等により形成することができる。金属膜としては、例えば、Au、W、Pd、Ag、Cu、Cr、Al、Ta、Ni−Cr、TiW、TiC、SUS、SiC、BPSG、TaAl、AlCuSi、AlCu、Al−Si等から形成される膜が挙げられる。また、金属酸化膜としては、例えば、SiO、TiO、Ta等から形成される膜が挙げられ、金属窒化膜としては、例えば、TiN、WN、窒化ケイ素(Si、SiN)、TaN等から形成される膜が挙げられる。
このような反り低減膜5を用いることにより、積層体10を処理する装置、積層体10の処理温度に応じて、接着剤の組成、支持体2の材質、反り低減膜5の構成を適宜調整して、積層体10の反り量を適宜調整することができる。例えば、支持体2としてガラス板を用いる場合、反り低減膜5としては、例えば、窒化ケイ素(SiN、Si)を用いることができる。一般的に窒化ケイ素のヤング率は240〜350GPaであり、ガラスのヤング率は例えば65〜90GPaであるため、窒化ケイ素の方がガラスよりも硬くなっており、支持体2の反りを好適に低減することができる。また、窒化ケイ素の熱膨張率は小さく、加熱した場合であってもガラスと比べて膨張しにくいため、積層体10の反りを低減することができる。
なお、反り低減膜5の厚さとしては、積層体10の反りを低減することができれば限定されないが、例えば、50nm以上、300nm以下の範囲とすることができる。このような範囲であれば、積層体10の反りを好適に低減することができる。
なお、基板1と支持体2との間に、光を吸収することにより変質する反応層が設けられている場合、反り低減膜5は、反応層を変質させる光に対して透過性を有していることが好ましい。これにより、反り低減膜5が設けられている支持体2の側から、反応層を変質させる光を照射することで、反り低減膜5および支持体2を当該光が透過し、反応層を変質させることができる。よって、基板1と支持体2とを容易に分離することができる。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
まず、実施例および比較例に係る積層体を作製し、当該積層体を加熱処理することによる積層体の反りを調べた。
〔実施例〕
(接着剤組成物の調製)
接着剤組成物1〜3をそれぞれ調製した。
<接着剤組成物1>
エチレン−テトラシクロドデセン共重合体(APL 8008T(三井化学社):エチレン由来の構成単位とテトラシクロドデセン由来の構成単位とのモル比が80:20、分子量105000)をその樹脂固形分濃度が23重量%となるように、有機溶剤(デカリン:酢酸ブチル=4.2:1の混合溶剤)に溶解し、さらに熱重合禁止剤IR1010(IRGANOX1010、BASF社)を樹脂固形分に対して5重量%となるように添加して、接着剤組成物1を調製した。
<接着剤組成物2>
次に、トリブロック重合体S4033(クラレ社製、SEPS:ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン、スチレン含有量30重量%、分子量95000)50重量部、および、トリブロック重合体HG252(クラレ社製、SEEPS−OH:ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン 末端水酸基変性、スチレン含有量28重量%、分子量67000)50重量部を、主溶剤であるデカヒドロナフタリン280重量部に溶解した。
そして、熱重合禁止剤であるBASF社製の「IRGANOX(商品名)1010」を酢酸ブチルに溶解させた溶液を、前記トリブロック共重合体の合計100重量部に対して、熱重合禁止剤は1重量部、酢酸ブチルは20重量部になるように主溶剤に添加し、接着剤組成物2を調製した。
<接着剤組成物3>
次に、トリブロック重合体H1051(旭化成ケミカルズ社製、SEBS、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンのトリブロック共重合体、スチレン含有量42重量%、分子量78800)50重量部、および、トリブロック重合体HG252(クラレ社製、SEEPS−OH:ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン 末端水酸基変性、スチレン含有量28重量%、分子量67000)50重量部を、主溶剤であるデカヒドロナフタリン280重量部に溶解した。
そして、熱重合禁止剤であるBASF社製の「IRGANOX(商品名)1010」を酢酸ブチルに溶解させた溶液を、前記トリブロック共重合体の合計100重量部に対して、熱重合禁止剤は1重量部、酢酸ブチルは20重量部になるように主溶剤に添加し、接着剤組成物3を調製した。
(積層体の作製)
上記のように調製した接着剤組成物1〜3を用いて、積層体を形成した(実施例1〜3)。
12インチシリコンウエハ基板(厚さ750μm)に、接着剤組成物1を、100℃、160℃および220℃にて3分間ずつベークして接着層(厚さ50μm)を形成した。
次に、公知の手法であるCVD法により、反り低減膜として窒化ケイ素膜(SiN)を支持体(12インチガラス基板、厚さ700μm)上に形成した。なお、窒化ケイ素膜(SiN)の厚さは、それぞれ50nm、100nmおよび200nmとし、窒化ケイ素膜(SiN)を設けた支持体を3つ作製した。
次に、接着層を介して、ウエハ基板と支持体とを貼り合わせることによって、ウエハ基板、接着層、支持体および反り低減膜をこの順番に積層した積層体をそれぞれ作製した。
次に、積層体を形成するウエハ基板を、研削することにより50μmまで薄化した積層体をそれぞれ作製した(実施例1)。
そして、実施例1に係る積層体を、220℃で5分間のプラズマCVDシステム、および220℃で3時間、窒素環境下において加熱するプロセスを実施し、反り量を測定した。
同様に、接着剤組成物2(実施例2)および接着剤組成物3(実施例3)を用いて、積層体を形成した。実施例2および3に係る積層体の作製条件および処理条件は、実施例1に係る積層体と同様であるため、その説明を省略する。なお、実施例2では、窒化ケイ素膜(SiN)の厚さが100nmおよび200nmである積層体を作製し、実施例3では、窒化ケイ素膜(SiN)の厚さが50nmおよび100nmである積層体を作製した。
〔比較例〕
支持体に反り低減膜を形成することなく、実施例1〜3と同様の方法により積層体(比較例1〜3)を作製した。接着層形成のために、それぞれ接着剤組成物1(比較例1)、接着剤組成物2(比較例2)、接着剤組成物3(比較例3)を用いた。積層体が反り低減膜を有していないこと以外の積層体の作製条件および処理条件は、実施例1に係る積層体と同様であるため、その説明を省略する。
実施例、比較例の結果を、表1および図3、4に示す。
Figure 0006030358
(反り量について)
積層体の反り量を測定する方法について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る積層体の反りの様子を模式的に示す図である。ここで、基板1上面の各位置における厚さ方向の高さを測定し、積層体10の厚さ方向において、基板1の中心部の高さから基板1の端部の高さを引いた値として、反り量を算出した。つまり、図2の(a)に示すように、積層体10が基板1側に凸形状になっている場合における積層体10の反り量をプラスとし、図2の(b)に示すように、積層体10が基板1側に凹形状になっている場合における積層体10の反り量をマイナスとした。
なお、比較例2(接着剤組成物2を用いた場合)に係る積層体の反り量の測定結果を図3および4に示す。図3および4に記載のx軸、y軸は、それぞれ基板上面における直交する座標軸を示し、プロットは各位置における反り量を示す。図3に示すように、比較例2における220℃プラズマCVD後の反り量は、約365μmであり、図4に示すように、比較例2における220℃硬化後の反り量は、約−165μmであった。
表1に示すように、220℃でのプラズマCVDプロセスでは、反り低減膜として窒化ケイ素膜を有する実施例1〜3に係る積層体の反り量の絶対値は、それぞれ反り低減膜が無い比較例1〜3に係る積層体の反り量の絶対値よりも小さくなった。つまり、窒化ケイ素膜を設けることにより、積層体の反り量が低減することが示された。
また、220℃でのプラズマCVDプロセスから220℃での硬化プロセスに移行したときの実施例1〜3に係る積層体の反り量の変化量は、比較例1〜3に係る積層体の反り量の変化量に比べて小さくなった。つまり、上記同様に、窒化ケイ素膜を設けることにより、積層体の反り量が低減することが示された。
また、実施例1〜3においては、220℃でのプラズマCVDプロセスおよび220℃での硬化プロセスにおいて、窒化ケイ素膜の膜厚に関係なく、積層体の反り量が低減することが示された。よって、窒化ケイ素膜を設けることにより、その膜厚に関係なく積層体の反りを低減することが確認できた。
本発明は、例えば、微細化された半導体装置の製造工程において好適に利用することができる。
1 基板
2 支持体
3 接着層
5 反り低減膜
10 積層体

Claims (5)

  1. 基板と、上記基板を支持する支持体とが接着層を介して積層された積層体であって、
    上記支持体における上記基板が積層されている側とは反対側の面に、加熱による上記積層体の反りを低減する反り低減膜が設けられており、
    上記接着層は、シクロオレフィンコポリマーを含有していることを特徴とする積層体。
  2. 上記反り低減膜は、金属膜、金属酸化膜、および金属窒化膜からなる群より選ばれることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 上記基板と上記支持体との間に、光を吸収することにより変質する反応層が設けられており、
    上記反り低減膜は、上記光に対して透過性を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
  4. 上記反り低減膜の厚さが、50nm以上、300nm以下の範囲であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の積層体。
  5. シリコンウェハと、上記シリコンウェハを支持するガラスとが積層された積層体であって、
    上記ガラスにおける上記シリコンウェハが積層されている側とは反対側の面に、加熱による上記積層体の反りを低減する反り低減膜が設けられており、
    上記シリコンウェハと上記ガラスとの間に、光を吸収することにより変質する反応層が設けられており、
    上記反り低減膜は、上記光に対して透過性を有し、上記ガラスに比べて、ヤング率が高く、かつ、熱膨張率が小さいことを特徴とする積層体。
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