JP6028186B1 - イグサ炭化物、イグサ活性炭 - Google Patents

イグサ炭化物、イグサ活性炭 Download PDF

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【課題】本発明の課題は、畳表等の製造において発生するイグサの廃棄物を有効利用することを目的として、多様な用途に利用可能なイグサ炭化物、イグサ活性炭、及びその製造方法を提供することにある。【解決手段】上記課題を解決するために、イグサを200〜400℃で炭化して得られることを特徴とするイグサ炭化物を提供する。これにより、ラマンスペクトルにおけるGバンドとDバンドの相対強度の比(D/G)が大きくなるため、高硬度、低導電性のイグサ炭化物が提供される。さらに、このイグサ炭化物は、セシウムの吸着性能が高まるため、セシウム吸着剤として利用することもできる。また、イグサ炭化物を賦活化して得らえるイグサ炭化物は、ヨウ素及び硫化水素の吸着性能が高まるため、ヨウ素吸着剤や硫化水素吸着剤として利用することができる。【選択図】図2

Description

本発明は、畳表等に利用されるイグサを炭化して得られるイグサ炭化物、イグサ炭化物を賦活化して得られるイグサ活性炭、及びその製造方法に関する。更に詳しくは、畳表等の製造において発生するイグサの廃棄物を有効利用することを目的として、多様な用途に利用可能なイグサ炭化物、イグサ活性炭、及びその製造方法に関する。
イグサは、単子葉植物イグサ科の植物であり、その茎の部分は畳表やゴザ等に利用されている。畳表やゴザの製造工程において、イグサは所定の寸法に応じて裁断され、端部の不要な部分は廃棄物として処理されている。
このようなイグサの廃棄物は、多量に発生するため、廃棄処分に多大な労力を要している。そのため、従来より、イグサの廃棄物を有効利用することが検討されている。
例えば、特許文献1には、畳表の加工時に廃棄されるイグサ繊維を不活性ガス雰囲気下に400〜500℃に加熱することを特徴とするイグサ炭化物の製造方法が開示されている。そして、この方法により得られたイグサの炭化物は、従来から実用されている活性炭と同等以上のガス吸着能を有することが記載されている。
しかしながら、イグサの廃棄物の用途としては不十分であり、未だ多くのイグサ廃棄物が廃棄処分されている。
また、従来のイグサ炭化物の製造方法では、炭化温度480℃、炭化時間3時間の条件で行うため、多大なエネルギーを使用していた。
特開2001−64653号公報
本発明の課題は、多様な用途に利用可能なイグサ炭化物、イグサ活性炭、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、200〜400℃でイグサを炭化することにより、従来の400〜500℃に加熱したイグサ炭化物とは異なる性質を有する新規のイグサ炭化物を得られることを見出し、本発明を完成した。
また、イグサ炭化物を賦活化することにより、イグサ炭化物とは異なる性質を有する新規のイグサ活性炭を得られることを見出し、本発明を完成した。
具体的には、以下のイグサ炭化物、イグサ活性炭、又はその製造方法である。
(第1発明)
上記課題を解決するための第1発明は、イグサを200〜400℃で炭化して得られることを特徴とするイグサ炭化物である。
第1発明によれば、従来の400〜500℃に加熱したイグサ炭化物とは異なる性質を有する新規のイグサ炭化物を提供することができる。
具体的には、本発明のイグサ炭化物は、従来のイグサ炭化物と比べて、ラマンスペクトルにおけるGバンドとDバンドの相対強度の比(D/G)が大きく、ダイヤモンド様の性質を高めた炭化物となる。また、従来のイグサ炭化物よりセシウムの吸着性能が高いという性質を有する。
第1発明のイグサ炭化物は、このような種々の性質を利用して、多様な用途開発に利用することができる。
(第2発明)
上記課題を解決するための第2発明は、ラマンスペクトルにおけるGバンドとDバンドの相対強度の比(D/G)が0.8以上であることを特徴とするイグサ炭化物である。
第2発明によれば、従来の400〜500℃に加熱したイグサ炭化物と比べて、ラマンスペクトルにおけるGバンドとDバンドの相対強度の比(D/G)が大きく、ダイヤモンド様の性質を高めた炭化物を提供することができる。ダイヤモンド様の性質としては、例えば、硬度が高い、導電性が低い等の性質が挙げられる。
第2発明のイグサ炭化物は、このようなダイヤモンド様の性質を利用して、プラスチックやゴムに配合されるフィラーとして補強材料、低帯電材料等の多様な用途に利用することができる。
(第3発明)
上記課題を解決するための第3発明は、イグサを200〜600℃で炭化して得られるイグサ炭化物を含有することを特徴とするセシウム吸着剤である。
第3発明によれば、200〜600℃で加熱して炭化したイグサの炭化物は、優れたセシウム吸着性能を有しているため、イグサ炭化物を含むセシウム吸着剤を提供することができる。このセシウム吸着剤は、放射性セシウムの除去剤として水質浄化等に利用することができる。
(第4発明)
上記課題を解決するための第4発明は、イグサを200〜600℃で炭化して得られるイグサ炭化物を、更に賦活化して得られることを特徴とするイグサ活性炭である。
第4発明によれば、賦活化する前のイグサ炭化物とは異なる性質を有する新規のイグサ活性炭を提供することができる。具体的には、賦活化されたイグサ活性炭は、賦活化する前のイグサ炭化物と比べて、ヨウ素吸着性能や硫化水素吸着性能等が高いという性質を有する。
(第5発明)
上記課題を解決するための第5発明は、第4発明に記載されたイグサ活性炭を含有することを特徴とする、ヨウ素吸着剤又は硫化水素吸着剤である。
第5発明によれば、賦活化されたイグサ活性炭のヨウ素吸着性能や硫化水素吸着性能を利用して、ヨウ素吸着剤や硫化水素吸着剤を提供することができる。
(第6発明)
上記課題を解決するための第6発明は、イグサ炭化物の製造方法において、イグサを200〜400℃に加熱して炭化することを特徴とするイグサ炭化物の製造方法である。
第6発明によれば、上記のイグサ炭化物を製造するための好適な製造方法を提供することができる。本発明のイグサ炭化物の製造方法は、200〜400℃で炭化するため、省エネルギー化という観点において優れた製造方法である。
(第7発明)
上記課題を解決するための第7発明は、イグサ活性炭の製造方法において、イグサを200〜600℃に加熱してイグサ炭化物を得る工程、前記イグサ炭化物を賦活化してイグサ活性炭を得る工程、を備えたことを特徴とするイグサ活性炭の製造方法である。
第7発明によれば、上記のイグサ活性炭を製造するための好適な製造方法を提供することができる。
本発明のイグサ炭化物、イグサ活性炭によると、イグサの廃棄物を多様な用途に利用することができる。
約450℃で炭化したイグサ炭化物(試料1)のラマンスペクトルを表す図である。 約250℃で炭化したイグサ炭化物(試料2)のラマンスペクトルを表す図である。 イグサの熱重量測定の結果を表す図である。図3(A)は、試料重量(TG)の変化を表す図である。図3(B)は、試料重量の減少速度(DTG)を表す図である。
以下に、本発明のイグサ炭化物、イグサ活性炭について説明する。なお、これらの製造方法についての説明は、イグサ炭化物及びイグサ活性炭についての説明に含むものとする。
[イグサ炭化物]
本発明のイグサ炭化物は、イグサを200〜600℃に加熱して炭化した炭化物であり、セシウム吸着性能を有している。
本発明におけるイグサとは、イグサ科の植物であり、主に、畳表やゴザ等に利用される植物である。イグサの原料としては、特に制限されないが、イグサ廃棄物の有効利用という観点から、畳表やゴザ等の製造の際に生じるイグサ廃棄物を利用することが好ましい。なお、イグサ原料を畳表等の製造に利用することなく、本発明のイグサ炭化物に加工してもよい。
イグサの茎部は、細長い円筒形状の外筒部と、その内部に綿状の繊維(綿部)を有している。炭化処理する際には、茎部の外筒部と茎内部の綿部を含む全茎として炭化処理しても、外筒部と綿部を分離して炭化処理してもよい。
なお、セシウム吸着性能においては、綿部に優れた効果が認められるため、セシウム吸着剤としては綿部を多く使用することが好ましい。
また、綿部はセシウム吸着速度が速いが、時間と共に放出される傾向も認められる。そのため、セシウム吸着性能に優れた綿部と、吸着したセシウムの放出を防止するために外筒部を有するイグサ炭化物が好ましい。
イグサ炭化物の形状は、用途に応じて適宜設計され、例えば、粒状、粉状等が挙げられる。粒状や粉状とする場合には、イグサ原料を粉砕しても、イグサ炭化物を粉砕してもよい。また、イグサの形状を利用して、外筒部の円筒形状や、綿部の繊維形状を維持したままイグサ炭化物を形成してもよい。セシウム吸着性能は、綿部に優れた効果が認められるため、セシウム吸着剤として利用する場合には、綿部の繊維形状のイグサ炭化物とすることが好ましい。
炭化処理するにあたってイグサの原料を裁断することが好ましく、裁断される長さとしては、0.1〜100mmが好ましく、0.2〜50mmが更に好ましく、1〜30mmが特に好ましい。
100mm以下であれば、内部に試験液等が浸透しやすいため、炭化処理により得られたイグサ炭化物をそのままの形状で利用することができる。また、セシウムの吸着性能は、茎内部の綿部に優れた効果を有するため、綿部の形状を維持した状態でイグサ炭化物を得ることにより、優れたセシウム吸着剤を提供することができる。なお、炭化後に裁断すると、裁断処理の衝撃により綿部の構造が破壊される恐れがある。
また、0.1mm未満に裁断すると、炭化処理する際に、茎内部の綿状の繊維が消失する恐れがある。
綿部の吸着性能と、外筒部の吸着した物質の放出抑制作用を鑑みれば、1〜30mmに裁断したイグサを、その形状を残した状態でイグサ炭化物とすることが特に好ましい。
イグサを炭化する方法は、200〜600℃に加熱すればよい。その際、窒素等の不活性ガス雰囲気下で行っても、酸素の存在下で行ってもよい。酸素の濃度は、灰化しないように適宜調整すればよい。
炭化処理の時間は、酸素濃度等の条件に応じて適宜決定されるが、通常は5分間〜5時間の範囲であり、好ましくは5分間〜3時間、更に好ましくは10〜60分間である。
200〜400℃で炭化処理する場合には、5〜30分間が好ましく、10〜20分間が更に好ましい。
400〜600℃で炭化処理する場合には、10〜60分間が好ましく、20〜50分間が更に好ましい。
炭化処理装置としては、所定の温度に加熱できる装置であればどのようなものでもよく、加熱炉を用いて加熱しても、鉄板上で加熱してもよい。鉄板で加熱する場合には、イグサを蓋で覆うことにより酸素濃度を調整することができる。
なお、イグサを加熱する際、均等に熱が通るように、転動させながら加熱することが好ましい。
簡便性の観点から、蓋をせずに、鉄板上でイグサを炒る等、転がしながら加熱する方法が好ましい。
本発明の炭化処理の温度は、200〜600℃であるが、更に好ましくは200〜400℃であり、特に好ましくは200〜300℃である。200〜400℃で加熱することにより、セシウム吸着能がさらに高くなるという効果がある。
また、200〜400℃で炭化したイグサ炭化物は、ラマンスペクトルにおけるGバンドとDバンドの相対強度の比(D/G)が大きくなり、ダイヤモンド様の性質を高めた炭化物を提供することができるという効果がある。ダイヤモンド様の性質を高めることにより、高硬度、低帯電性の炭素材料として利用することができる。これにより、例えば、プラスチック、樹脂、ゴム等に添加するフィラー等において、新たな機能を付加することができる。
なお、ラマンスペクトルにおけるGバンドとDバンドの相対強度の比(D/G)は、炭素材料のダイヤモンドライクカーボンとしての性質を表すものである。
炭素材料には、ダイヤモンド構造のsp3混成軌道に由来する約1300cm-1付近のピーク(Dバンド)と、グラファイト構造のsp2混成軌道に由来する約1600cm-1付近のピーク(Gバンド)を有するものがあり、ダイヤモンド構造とグラファイト構造の量比によって、ダイヤモンド様の性質か、グラファイト様の性質に近い性質を示すようになる。すなわち、D/G比が大きくなると、ダイヤモンド様の性質に近づき、D/G比が小さくなるとグラファイト様の性質に近づくことになる。
本発明において、ラマンスペクトルにおけるGバンドとDバンドの相対強度の比(D/G)は、0.8以上であることが好ましく、更に好ましくは0.82以上であり、特に好ましくは0.85以上である。
また、200〜400℃に加熱する炭化処理は、通常の炭化処理より低温であるため、省エネルギーの観点からイグサ炭化物の製造方法においても利点がある。
[イグサ活性炭]
本発明のイグサ活性炭は、イグサを200〜600℃に加熱して得たイグサ炭化物を更に賦活化して得られる活性炭である。
イグサ炭化物を賦活化することにより、イグサ炭化物では得られなかったヨウ素吸着性能が発揮される。この性能を利用して、水質改善剤等として利用することができる。
また、硫化水素吸着性能において、400〜500℃で炭化した従来のイグサ炭化物より、極めて優れた効果が発揮される。このように、イグサ活性炭は、従来のイグサ炭化物より優れたガス吸着性能を有しており、ホルムアルデヒドやアンモニア等のその他の有毒ガスについても優れた効果を発揮するといえる。
ここで、イグサ炭化物の賦活化とは、イグサ炭化物を微細な孔を有する多孔質材料に変える反応操作であり、公知の反応操作を用いればよい。
例えば、塩化亜鉛やリン酸等の木質材料の繊維質を侵食する薬品を用いた薬品賦活法や、イグサ炭化物と、水蒸気、二酸化炭素、空気、燃焼ガス等のガスを600〜1200℃で反応させるガス賦活法が挙げられる。
処理操作が簡易的であるという観点から、ガス賦活法が好ましく、ガス賦活法における賦活温度としては、700〜1000℃が好ましい。
イグサ活性炭の形状としては、どのような形状でもよいが、イグサの外筒部の円筒形状であることが好ましい。イグサの外筒部の円筒形状とすると、表面積が大きくなるため、ヨウ素や硫化水素の吸着能力に優れている。
なお、粉状の方が表面積は大きくなるが、空気浄化等で容器内に置いて利用する場合に、粉状では空気の通過する空隙が小さくなるという欠点もある。一方、イグサの外筒部の円筒形状は、細い筒状であるため、空気が通過するための空隙も確保され、吸着性能において優れた効果を発揮することができる。
また、イグサの外筒部の円筒形状を利用したイグサ活性炭は、水質浄化等で水に分散して利用した際にも、高い表面積を有しつつ、固液分離性に優れるという効果がある。
[イグサ炭化物のラマンスペクトル測定]
以下の試料1,2のイグサ炭化物について、ラマンスペクトルを測定した。ラマンスペクトルは、図1、図2に示した。
試料1:イグサを3〜10mmに裁断して、約450℃で約15分間加熱した。炭化処理の操作は、鉄板の上にイグサを乗せ、蓋で覆って鉄板下から加熱して行った。
試料2:イグサを3〜10mmに裁断して、約250℃で約12分間加熱した。炭化処理の操作は、鉄板の上にイグサを乗せ、開放状態で鉄板下から加熱して行った。
ラマンスペクトルの測定条件は以下のとおりである。
測定器:顕微レーザーラマン分光分析装置(レニショー(株)「inVia Reflex」)
レーザー:YAG(ダブリング)、532nm
出力:50mWを5%に減光
対物レンズ:100倍
積算回数:5回
測定範囲:800〜2000cm-1
露光時間:100s
sp3混成軌道に由来する約1300cm-1付近のピーク(Dバンド)の相対強度と、sp2混成軌道に由来する約1600cm-1付近のピーク(Gバンド)の相対強度の比(D/G)を算出し、以下の表1にまとめた。
Figure 0006028186
約250℃で炭化したイグサ炭化物は、約450℃で炭化したイグサ炭化物より、D/G比が高い結果となった。すなわち、約250℃で炭化したイグサ炭化物は、ダイヤモンド様の性質が強く発揮されるといえる。
[セシウム吸着試験]
以下の試料3〜8のイグサ炭化物、試料9のイグサ、試料10のイグサ活性炭について、セシウム吸着試験を行った。結果は、表2に記載した。
試料3:イグサの全茎(地上部)を3〜10mmに裁断して、約250℃で約12分間加熱した。炭化処理の操作は、鉄板の上にイグサを乗せ、開放状態で鉄板下から加熱して行った。
試料4:イグサの茎の外筒部を剥がして茎内部の綿部を取り出し、3〜10mmに裁断して、試料3と同様に炭化した。
試料5:イグサの茎の外筒部を剥がして茎内部の綿部を取り出し、約3mmに裁断して、試料3と同様に炭化した。
試料6:イグサの全茎(地上部)を10〜20mmに裁断して、約450℃で約15分間加熱した。炭化処理の操作は、鉄板の上にイグサを乗せ、蓋で覆って鉄板下から加熱して行った。
試料7:イグサの全茎(地中部)を10〜20mmに裁断して、試料6と同様に炭化した。
試料8:イグサの全草(球根部も含む。)を10〜20mmに裁断して、試料6と同様に炭化した。
試料9:イグサの全茎(地上部)を3〜10mmに裁断し、加熱せずに、そのまま使用した。
試料10:イグサの全茎(地上部)を3〜10mmに裁断して、約250℃で約12分間加熱した。炭化処理の操作は、試料3と同様に行った。更に、約850℃で30分間加熱して賦活化処理を行った。賦活化処理は、水蒸気賦活処理を行った。
セシウム吸着試験の処理操作:試料1gに100mLの水を加え3時間以上撹拌し、水になじませた。マグネチックスターラで撹拌しながら安定セシウムを1mg/Lとなるように投入し試験を開始した。室温で撹拌し、0.5時間後、1時間後、2時間後に試験液を採取した。採取した試験液は、孔径0.45μmのフィルタでろ過し、ろ液を分析試料とした。分析は、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)により行った。結果は、開始時の濃度を100%とし、試験液に残存するセシウムの割合を表示した。
Figure 0006028186
表2を見ると、加熱処理をしていない試料9及び賦活化処理を行った試料10は、セシウム吸着能が低かった。一方、約250℃、約450℃で炭化したイグサ炭化物は、高いセシウム吸着能を有することが認められた。
更には、約250℃で炭化したイグサ炭化物は、約450℃で炭化したイグサ炭化物より高いセシウム吸着能を有することが認められた。
試料3〜5を見ると、イグサの茎の外筒部を剥がして、綿部のみを炭化した試料4,5の方が、全茎を炭化した試料3より優れたセシウム吸着能が認められた。また、試料6〜8を参照しても、綿部の少ない地中部や球根部を含む全草の方が、セシウム吸着能が低下することから、イグサの茎内部の綿部は高いセシウム吸着能を有していることがわかる。
[ヨウ素吸着試験]
試料3,6のイグサ炭化物及び試料10のイグサ活性炭について、ヨウ素吸着試験を行った。結果は、表3に記載した。
ヨウ素吸着試験の処理操作:試料1gに100mLの水を加え約1時間撹拌し、水になじませた。マグネチックスターラで撹拌しながら安定ヨウ素を1mg/Lとなるように投入し試験を開始した。室温で撹拌し、0.5時間後、1時間後、2時間後に試験液を採取した。採取した試験液は、孔径0.45μmのフィルタでろ過し、ろ液を分析試料とした。分析試料を希釈し、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)でヨウ素を測定した。結果は、開始時の濃度を100%とし、試験液に残存するヨウ素の割合を表示した。
Figure 0006028186
表3を見ると、炭化処理を行ったイグサ炭化物には、ヨウ素吸着能が認められなかった。一方、賦活化処理を行ったイグサ活性炭は、優れたヨウ素吸着能が認められた。
[硫化水素吸着試験]
試料6のイグサ炭化物及び試料10のイグサ活性炭について、硫化水素吸着試験を行った。結果は、表4に記載した。
硫化水素吸着試験の処理操作:濃度100ppmの硫化水素ガスを満たした5Lの容器内に、試料1gを置き、0.5時間後、2時間後、6時間後に容器内の気体を採取して、硫化水素の濃度を測定した。
Figure 0006028186
表4を見ると、450℃で炭化した試料6より、賦活処理を行った試料10の方が優れた硫化水素吸着能を有することが認められた。
[イグサの熱重量測定]
上記の実施例の効果を検証するべく、イグサ(茎部)の熱重量測定を行い、イグサ炭化物の形成過程を調べた。熱重測定は、昇温温度10℃/min、窒素雰囲気下の条件で行った。その結果を図3に示す。図3(A)は、試料重量(TG)の変化を表す図である。図3(B)は、試料重量の減少速度(DTG)を表す図である。
図3(B)を見ると、210〜300℃付近に第1のピーク、300〜380℃付近に第2のピークが認められる。これは、外筒部と綿部の炭化温度の違いにより生じていると推察される。また、その重量の残分は、開始時の試料重量を100%として、210℃における重量残分は93%であり、第1のピークを越えると68%(300℃)まで低下し、更に第2のピークを越えると36%(380℃)まで低下した。
本発明のイグサ炭化物は、セシウム吸着能を有するため、放射性セシウムの除去剤等に利用することができる。更に、イグサを200〜400℃で炭化したイグサ炭化物においては、特に優れたセシウム吸着能を有している。
また、200〜400℃で炭化したイグサ炭化物は、400℃以上で炭化したイグサ炭化物よりもダイヤモンド様の性質が高いため、高硬度、低帯電性の炭素材料として利用することができる。例えば、プラスチック、樹脂、ゴム等に添加するフィラー等に利用することができる。
本発明のイグサ活性炭は、ヨウ素吸着能を有するため、放射性ヨウ素の除去剤等に利用することができる。
また、イグサ活性炭は、優れた硫化水素吸着能を有するため、硫化水素吸着剤として利用することができる。
本発明のイグサ炭化物のセシウム吸着性能、本発明のイグサ活性炭のヨウ素吸着性能等を活かして、水質浄化処理に利用することができる。また、本発明のイグサ活性炭の硫化水素吸着性能等を活かして、空気浄化処理に利用することもできる。

Claims (2)

  1. イグサを200〜600℃で炭化して得られるイグサ炭化物を含有することを特徴とするセシウム吸着剤。
  2. イグサを200〜600℃で炭化して得られるイグサ炭化物を、更に賦活化して得られるイグサ活性炭を含有することを特徴とする、ヨウ素吸着剤又は硫化水素吸着剤。
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