JP2018016783A - 炭化物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、炭化処理時間を短縮化することにより、熱供給のための消費エネルギーを低減しつつ、製造時間が短縮化されたイグサの炭化物の製造方法を提供することにある。【解決手段】上記課題を解決するために、イグサを200〜500℃の温度に加熱された加熱部に接触させることにより前記イグサを加熱する加熱工程、及び、前記イグサを前記加熱部の上で転動させる転動工程、を備え、前記加熱工程の時間は、30分以内であることを特徴とする、イグサの炭化物の製造方法を提供する。これにより、炭化処理時間が短縮化され、熱供給のための消費エネルギーを低減しつつ、製造時間が短縮化されたイグサの炭化物の製造方法を提供することができる。また、本発明のイグサの炭化物の製造方法によれば、イグサの内部にある綿状の繊維のような弱い構造物の炭化物を得ることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、イグサを炭化処理して炭化物を製造する方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、炭化処理時間が短縮化され、省エネルギー性に優れた炭化物の製造方法に関するものである。
草本や木本等の炭化物は、硫化水素やアンモニア等のガス吸着剤として利用されている。例えば、特許文献1には、畳表に利用するイグサの炭化物を硫化水素やアンモニア等のガス吸着剤として利用する方法が開示されている。また、この特許文献1では、イグサを不活性ガス雰囲気下で400〜500℃に加熱してイグサ炭化物を得る方法も開示されている。
草本や木本等を加熱して炭化物を得る方法としては、特許文献1にも開示されているように、一般的には電気炉等の炉を用いて行い、400〜800℃で、3時間加熱する。また、発火しないように不活性ガス雰囲気下で炭化処理を行っている。
その他の炭化物の製造方法としては、下側から加熱された金属製の加熱板上で加熱する方法が知られている。例えば、特許文献2には、断面山型に形成された加熱板にコーンコブの粒状物を載せ、約15時間をかけて炭化する方法が開示されている。また、炭化温度は600〜700℃とし、完全燃焼をさけるために適宜、切り返しをして蒸し焼きとしている。
特開2001−64653号公報 特開2008−81332号公報
従来のイグサの炭化物の製造方法によれば、長時間加熱するため、熱供給のための燃料や電力を大量に消費する。また、製造時間も長くなり、作業性が悪い。
そこで、本発明の課題は、炭化処理時間を短縮化することにより、熱供給のための消費エネルギーを低減しつつ、製造時間が短縮化された炭化物の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、イグサを200〜500℃の温度に加熱された加熱部の上を転動させることにより、従来の炉内で加熱するイグサの炭化物の製造方法と比べて短時間で炭化物を得られることを見出し、本発明を完成した。
具体的には、以下の炭化物の製造方法である。
上記課題を解決するための炭化物の製造方法は、イグサを200〜500℃の温度に加熱された加熱部に接触させることにより前記イグサを加熱する加熱工程、及び、前記イグサを前記加熱部の上で転動させる転動工程、を備え、前記加熱工程の時間は、30分以内であることを特徴とする。
この炭化物の製造方法によれば、イグサが200〜500℃の温度に加熱された加熱部と接触しているため、加熱部からイグサへ効率良く熱が伝わり、従来の炉内で加熱する炭化方法と比べて短時間で炭化物を得ることができる。そのため、熱供給のためのエネルギー消費が低減される。更に、加熱部の温度も200〜500℃と低温であり、より一層の省エネルギー化を実現できる。また、製造時間も短縮化され、作業性に優れた炭化物の製造方法を提供することができる。
イグサは、細長い円筒形状の外筒部と、その内部に綿状の繊維を有しており、この内部の綿状の繊維の炭化物には、セシウム吸着能等において優れた効果がある。そして、イグサの炭化処理を高温で行うと、それらの効果の低下が認められる。これは、高温で処理したことにより、内部の綿状の繊維が消失することに起因するものと推察される。しかし、本発明の炭化物の製造方法によれば、低温で炭化処理することができるため、セシウム吸着能等において優れた効果を有する炭化物を得ることができる。
更に、本発明の一実施態様としては、上記炭化物の製造方法において、加熱工程は、加熱部の温度が200〜350℃であるという特徴を有する。
この特徴によれば、低温で炭化処理できるため、省エネルギー化の観点で優れた効果を発揮する。
更に、本発明の一実施態様としては、上記炭化物の製造方法において、加熱工程は、イグサと空気が接触した状態であるという特徴を有する。
この特徴によれば、イグサと空気が接触した状態で加熱することにより炭化が速く進行するため、さらに短時間で炭化することができる。
本発明の炭化物の製造方法によれば、炭化処理時間が短縮化され、熱供給のための消費エネルギーを低減しつつ、製造時間が短縮化された炭化物の製造方法を提供することができる。
また、本発明の炭化物の製造方法によれば、イグサの内部の綿状の繊維のような弱い構造物の炭化物を得ることができる。これにより、イグサの炭化物であって、内部に綿部の炭化物を有するイグサの炭化物を得ることができる。
本発明の第1の実施態様の炭化物の製造方法に用いた炭化処理装置の概略説明図である。 本発明の第2の実施態様の炭化物の製造方法に用いた炭化処理装置の概略説明図である。 本発明の第3の実施態様の炭化物の製造方法に用いた炭化処理装置の概略説明図である。 加熱部の温度が約250℃で炭化した実施例1のイグサ炭化物(試料1)のラマンスペクトルを表す図である。 加熱部の温度が約450℃で炭化した実施例2のイグサ炭化物(試料2)のラマンスペクトルを表す図である。 電気炉を用いて、炭化温度480℃、炭化処理時間180分間で炭化した比較例1のイグサ炭化物のラマンスペクトルを表す図である。 電気炉を用いて、炭化温度300℃で炭化した比較例2のイグサ炭化物のラマンスペクトルを表す図である。図7(A)〜(D)は、それぞれ炭化処理時間10分間、20分間、30分間、40分間で処理したイグサ炭化物のラマンスペクトルを示す。 電気炉を用いて、炭化温度350℃で炭化した比較例3のイグサ炭化物のラマンスペクトルを表す図である。図8(A)〜(D)は、それぞれ炭化処理時間10分間、20分間、30分間、40分間で処理したイグサ炭化物のラマンスペクトルを示す。 イグサの熱重量測定の結果を表す図である。図9(A)は、試料重量(TG)の変化を表す図である。図9(B)は、試料重量の減少速度(DTG)を表す図である。
本発明の炭化物の製造方法は、被炭化物を200〜500℃の温度に加熱された加熱部に接触させることにより被炭化物を加熱する加熱工程と、被炭化物を加熱部上で転動させる転動工程、を備えたものであって、被炭化物としてイグサを処理するものである。
(被炭化物)
本発明の被炭化物は、特に制限されることなく、加熱することにより炭化物を形成するものであればよい。例えば、イグサや稲わらのような草本、杉チップのような木本、木本の葉、ヤシ殻、紙、プラスチック、乾燥汚泥等が挙げられる。形状は、特に制限されないが、加熱部からの効率良く熱を伝達するという観点から、棒状、粒状であることが好ましい。棒状の場合には、その断面の最大径又は最大の辺の長さが、好ましくは5cm以下であり、より好ましくは3cm以下であり、特に好ましくは1cm以下である。粒状の場合には、最大径が好ましくは20cm以下であり、より好ましくは10cm以下であり、特に好ましくは5cm以下である。
被炭化物の含水率は、特に制限されないが、好ましくは80質量%以下であり、より好ましくは50質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下であり、特に好ましくは15質量%以下である。被炭化物の含水率は、天日干しや加熱乾燥等の公知の乾燥処理により調整することができる。
本発明の炭化物の製造方法に好適な被炭化物は、木本の葉又は草本であり、草本として特に好適なものは、イグサである。
イグサとは、イグサ科の植物であり、主に、畳表やゴザ等に利用される植物である。イグサの原料としては、特に制限されないが、廃棄物の有効利用という観点から、畳表やゴザ等の製造の際に生じるイグサ廃棄物を利用することが好ましい。
イグサの茎部は、細長い円筒形状の外筒部と、その内部に綿状の繊維(以下、「綿部」という。)を有している。この綿部を炭化した炭化物は、セシウム吸着能等、特異な吸着性能を示す。この綿部を高温で炭化処理すると、内部の綿状の繊維が消失し、吸着性能が低下する。そのため、高温で長時間の炭化処理を行う従来の炭化処理方法では得ることができなかった。しかし、本発明の炭化物の製造方法によれば、低温、短時間で炭化処理することができるため、綿部の炭化物を得ることができる。
イグサを炭化処理する場合には、イグサの原料を裁断することが好ましく、裁断される長さとしては、長手方向に0.1〜100mmが好ましく、0.2〜50mmが更に好ましく、1〜30mmが特に好ましい。これにより、加熱部から効率良く熱が伝わるため、本発明の効果をより一層発揮することができる。
また、イグサを炭化処理する際に、全草を炭化処理しても、茎部のみを炭化処理してもよい。更には、茎部の外筒部と綿部を分離して炭化処理してもよい。
また、木本の葉であれば、そのままの形状でもよいし、裁断してもよい。裁断する場合には、最大の辺の長さ又は最大径が、好ましくは20cm以下であり、より好ましくは10cm以下であり、特に好ましくは5cm以下である。
次に、この発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施形態は、本発明を限定するものではない。
[第1の実施態様]
図1は、本発明の第1の実施態様の炭化物の製造方法に用いた炭化処理装置10の概略説明図である。
この炭化処理装置10は、被炭化物1を載せた加熱部2、加熱部2に熱を供給する熱供給部3、加熱部2の表面の温度を測定する温度センサ4を備えた構成である。
(加熱工程)
加熱工程は、被炭化物1を200〜500℃の温度に加熱された加熱部2に接触させることにより被炭化物1を加熱する工程である。
被炭化物1を加熱部2に接触させることにより、効率的に被炭化物1を加熱することができるため、短時間で炭化物を製造することができる。
なお、被炭化物と加熱部を接触させる方法としては、加熱部を200〜500℃に加熱後に被炭化物を接触させてもよいし、被炭化物と加熱部を接触させた後に加熱部を200〜500℃に加熱してもよい。加熱工程の時間を短縮化するという観点から、加熱部を200〜500℃に加熱後に被炭化物を接触することが好ましい。
また、加熱部2の温度は、200〜500℃であり、好ましくは200〜400℃であり、特に好ましくは200〜350℃である。加熱部2の温度を低温とすることにより、被炭化物1と空気が接触した状態で加熱しても発火による燃焼を抑制することができる。また、セシウム吸着能など、特異な吸着性能を有する炭化物を得ることができる。
被炭化物1と空気が接触した状態とは、大気雰囲気下、すなわち10〜30体積%程度の酸素を含む空気雰囲気下を意味する。このような状態を形成する構成としては、特に制限されないが、例えば、図1に示すように、加熱部2の上方を開放して被炭化物1を加熱する構成や、閉塞した炭化室に空気を供給しながら加熱する構成等が挙げられる。なお、被炭化物1と空気を接触した状態で加熱すると炭化処理が促進されるため、炭化処理時間を短縮化するという効果を奏する。
また、窒素、二酸化炭素、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で加熱してもよい。このような状態を形成する構成としては、特に制限されないが、例えば、蓋で被炭化物1を覆う構成や、不活性ガスを供給する構成等が挙げられる。不活性ガス雰囲気下とすることにより、350℃以上に加熱した際に発火する恐れを低減することができる。
加熱工程の時間は、特に制限されないが、省エネルギーの観点から好ましくは180分以内であり、より好ましくは60分以内であり、更に好ましくは45分以内であり、特に好ましくは30分以内である。なお、加熱工程の終了の目安は、発煙が消えることにより判断することができる。
加熱部材2は、200〜500℃に加熱可能であれば、どのような材質でもよいが、熱の伝達効率の観点から、鉄等の金属が好ましい。また、形状も特に制限されず、例えば、平板状や、角柱状、円柱状、球形等が挙げられる。その他、皿状、ボウル皿状、円筒状、矩形筒状等の加熱部材や、皿状、ボウル皿状等の加熱部材を回転させる回転パン型や、円筒状、矩形筒状等の加熱部材を回転させる回転ドラム型等でもよい。
また、加熱部2をベルトコンベア状とし、ベルトコンベアの長さや移送速度を調整することにより、加熱工程の時間を調整してもよい。この構成によれば、連続的に炭化物を製造することができる。
熱供給部3は、加熱部2に熱を供給するための構成であり、焚き木、ガスバーナー、電熱器等が挙げられる。
温度センサ4は、加熱部2の表面温度を測定するための構成であり、加熱部2の表面温度の制御に利用される。加熱部2の表面温度を測定することにより、急な温度上昇による発火等を抑制することができる。
(転動工程)
転動工程は、被炭化物1を加熱部2の上で転動させる工程である。被炭化物1を加熱部2の上で転動することにより、被炭化物1を均等に炭化することができる。
被炭化物1を転動させるための構成としては、例えば、加熱部2を上下又は左右に振とうする構成や、回転パンや回転ドラムを回転させる構成等が挙げられる。その他、へら等の撹拌具を用いて被炭化物1を転動させてもよい。
[第2の実施態様]
図2は、本発明の第2の実施態様の炭化物の製造方法に用いた炭化処理装置11の概略説明図である。
この炭化処理装置11は、第1の実施態様の炭化物の製造方法に用いた炭化処理装置10に、さらに被炭化物1を覆う蓋5を備えた構成である。
第2の実施態様の炭化物の製造方法では、加熱工程において、被炭化物1を蓋5で覆うことにより、不活性ガス雰囲気下を形成している(酸素濃度10体積%未満)。この方法によれば、加熱部2を350〜500℃に加熱した際に、被炭化物1の発火による燃焼を抑制することができる。
[第3の実施態様]
図3は、本発明の第3の実施態様の炭化物の製造方法に用いた回転パン型の炭化処理装置12の概略説明図である。
この炭化処理装置12は、開口部6を有するボウル皿状の加熱部2を傾斜して設置し、ボウル皿状の加熱部2の底部の中心を軸に回転する構成である。
第3の実施態様の炭化物の製造方法では、転動工程において、ボウル皿状の加熱部2を回転することにより、内部に載置した被炭化物1を転動させている。より効率的な転動を行うために、ボウル皿状の加熱部2の内壁にバッフル板等の返し部材を設けてもよい。なお、ボウル皿状の加熱部2は、開口部6を有するため被炭化物1と空気が接触した状態となる。
[炭化物の製造]
(実施例1)
イグサの乾燥物を3〜10mmに裁断したものを被炭化物として、上記の第1の実施態様の炭化物の製造方法によりイグサ炭化物を製造した。加熱部の温度は約250℃であり、加熱工程の時間は約5分とした。このイグサ炭化物を「試料1」とする。試料1についてラマンスペクトルを測定し、その結果を図4に示す。
(実施例2)
イグサの乾燥物を3〜10mmに裁断したものを被炭化物として、上記の第2の実施態様の炭化物の製造方法によりイグサ炭化物を製造した。加熱部の温度は約450℃であり、加熱工程の時間は約10分とした。このイグサ炭化物を「試料2」とする。試料2についてラマンスペクトルを測定し、その結果を図5に示す。
(実施例3)
マキの木の葉(未乾燥物)を被炭化物として、上記の第1の実施態様の炭化物の製造方法によりマキの木の葉の炭化物を製造した。加熱部の温度は約280℃であり、加熱工程時間は約30分とした。このマキの木の葉の炭化物を「MK−1」とする。MK−1についてラマンスペクトルを測定した。
(実施例4)
マキの木の葉(未乾燥物)を被炭化物として、上記の第1の実施態様の炭化物の製造方法によりマキの木の葉の炭化物を製造した。加熱部の温度は約320℃であり、加熱工程時間は約15分とした。このマキの木の葉の炭化物を「MK−2」とする。MK−2についてラマンスペクトルを測定した。
(比較例1)
イグサを3〜10mmに裁断したものを被炭化物として、電気炉を用いて、アルゴン雰囲気下、炭化温度480℃で180分間炭化処理し、イグサ炭化物を製造した。このイグサ炭化物を「480−180」とする。480−180についてラマンスペクトルを測定し、その結果を図6に示す。
(比較例2)
イグサを3〜10mmに裁断したものを被炭化物として、電気炉を用いて、アルゴン雰囲気下、炭化温度300℃で炭化処理した。炭化処理時間を、10分間、20分間、30分間、40分間とし、各炭化処理時間におけるイグサ炭化処理物についてラマンスペクトルを測定した。その結果を図7に示す。なお、各炭化処理物の試料名は、「300−(炭化処理時間)」で表す。
(比較例3)
イグサを3〜10mmに裁断したものを被炭化物として、電気炉を用いて、アルゴン雰囲気下、炭化温度350℃で炭化処理した。炭化処理時間を、10分間、20分間、30分間、40分間とし、各炭化処理時間におけるイグサ炭化処理物についてラマンスペクトルを測定した。その結果を図8に示す。なお、各炭化処理物の試料名は、「350−(炭化処理時間)」で表す。
(比較例4)
マキの木の葉(未乾燥物)を被炭化物として、電気炉を用いて、アルゴン雰囲気下、炭化温度280℃で30分間炭化処理し、マキの木の葉の炭化物を製造した。このマキの木の葉の炭化物を「MK炉280−30」とする。MK炉280−30についてラマンスペクトルを測定した。
(比較例5)
マキの木の葉(未乾燥物)を被炭化物として、電気炉を用いて、アルゴン雰囲気下、炭化温度280℃で60分間炭化処理し、マキの木の葉の炭化物を製造した。このマキの木の葉の炭化物を「MK炉280−60」とする。MK炉280−60についてラマンスペクトルを測定した。
[炭化物のラマンスペクトル測定]
ラマンスペクトルの測定条件は以下のとおりである。
測定器:顕微レーザーラマン分光分析装置(レニショー(株)「inVia Reflex」)
レーザー:YAG(ダブリング)、532nm
出力:50mWを5%に減光
対物レンズ:100倍
積算回数:5回
測定範囲:800〜2000cm-1
露光時間:100s
実施例および比較例の各試料について、sp3混成軌道に由来する約1400cm-1付近のピーク(Dバンド)と、sp2混成軌道に由来する約1600cm-1付近のピーク(Gバンド)の面積比(ID/IG)を算出し、以下の表1にまとめた。
Figure 2018016783
電気炉を用いて十分に炭化したイグサ炭化物(試料名:480−180)のラマンスペクトルを見ると、DバンドとGバンドが認められ、その面積比は2.6であった。
また、試料1(実施例1)、試料2(実施例2)のラマンスペクトルにおいてもDバンドとGバンドが認められ、その面積比は、それぞれ2.4、2.5であった。すなわち、実施例1、2の炭化物の製造方法によれば、加熱部温度200〜500℃、加熱工程時間20分以内で炭化処理しても、電気炉で十分に炭化した試料「480−180」と同等の炭化物を得られることがわかる。
次に、比較例2、3において、電気炉を用いて、炭化処理温度を300℃、350℃とし、炭化処理時間を10〜40分として炭化処理したイグサ炭化処理物について検討した。その結果、300℃では、40分間加熱してもDバンドとGバンドに十分なピークが形成されなかった。また、350℃では、40分間加熱するとDバンドとGバンドの面積比が試料1、2と同等になったが、Dバンドの半値幅が試料1、2よりやや大きく、加熱時間が不十分であることが認められる。
以上の結果から、加熱部温度約250℃、加熱工程時間約5分で処理した実施例1では、電気炉で炭化処理した比較例2、3より、低温かつ短時間でイグサ炭化物が得られたことがわかる。
また、マキの木の葉の炭化物のラマンスペクトルの結果では、MK−1のID/IGは1.66、MK−2のID/IGは1.40であった。一方、MK炉280−30、MK炉280−60では、DバンドとGバンドが認められなかった。本発明の炭化物の製造方法により、短時間でマキの木の葉の炭化物を得られることがわかる。
[吸着試験]
以下の試料3〜8のイグサ炭化物、試料9のイグサについて、セシウム又は硫化水素の吸着試験を行った。結果は、表2、3に記載した。
試料3:イグサの全茎(地上部)を3〜10mmに裁断したものを被炭化物とし、実施例1と同様にイグサ炭化物を製造した。
試料4:イグサの茎の外筒部を剥がして茎内部の綿部を取り出し、3〜10mmに裁断したものを被炭化物とし、実施例1と同様にイグサ炭化物を製造した。
試料5:イグサの茎の外筒部を剥がして茎内部の綿部を取り出し、約3mmに裁断したものを被炭化物とし、実施例1と同様にイグサ炭化物を製造した。
試料6:イグサの全茎(地上部)を10〜20mmに裁断したものを被炭化物とし、実施例2と同様にイグサ炭化物を製造した。
試料7:イグサの全茎(地中部)を10〜20mmに裁断したものを被炭化物とし、実施例2と同様にイグサ炭化物を製造した。
試料8:イグサの全草(球根部も含む。)を10〜20mmに裁断したものを被炭化物とし、実施例2と同様にイグサ炭化物を製造した。
試料9:イグサの全茎(地上部)を3〜10mmに裁断し、加熱せずに、そのまま使用した。
[セシウム吸着試験]
セシウム吸着試験の処理操作:試料1gに100mLの水を加え3時間以上撹拌し、水になじませた。マグネチックスターラで撹拌しながら安定セシウムを1mg/Lとなるように投入し試験を開始した。室温で撹拌し、0.5時間後、1時間後、2時間後に試験液を採取した。採取した試験液は、孔径0.45μmのフィルタでろ過し、ろ液を分析試料とした。分析は、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)により行った。結果は、開始時の濃度を100%とし、試験液に残存するセシウムの割合を表示した。
Figure 2018016783
表2を見ると、加熱処理をしていない試料9は、セシウム吸着能が低かった。一方、本発明の炭化物の製造方法により得られたイグサ炭化物は、高いセシウム吸着能を有することが認められた。
更には、約250℃で炭化したイグサ炭化物は、約450℃で炭化したイグサ炭化物より高いセシウム吸着能を有することが認められた。
本発明の炭化物の製造方法によれば、約250℃の低温でも炭化物を製造することが可能であり、高いセシウム吸着能を有する炭化物等、従来に無い新たな性質を有する炭化物を得ることができた。
試料3〜5を見ると、イグサの茎の外筒部を剥がして、綿部のみを炭化した試料4,5の方が、全茎を炭化した試料3より優れたセシウム吸着能が認められた。また、試料6〜8を参照しても、綿部の少ない地中部や球根部を含む全草の方が、セシウム吸着能が低下することから、イグサの茎内部の綿部を低温で炭化した炭化物は高いセシウム吸着能を有していることがわかる。
なお、上記比較例1で得られたイグサ炭化物(電気炉、480℃、180分間)について、イグサの茎内部を観察すると、綿部の形跡がなくなっていた。電気炉を用いて炭化処理すると、イグサ全体を、時間をかけて加熱する必要がある。そのため、綿部に多量の熱がかかり、外筒部が炭化する時には、綿部は消失すると推察される。すなわち、本発明の炭化物の製造方法により、綿部の繊維のような弱い構造物の炭化物を得ることが可能となったといえる。
[硫化水素吸着試験]
硫化水素吸着試験の処理操作:濃度100ppmの硫化水素ガスを満たした5Lの容器内に、試料1gを置き、0.5時間後、2時間後、6時間後に容器内の気体を採取して、硫化水素の濃度を測定した。
Figure 2018016783
表3を見ると、本発明の炭化物の製造方法により得られた試料6は優れた硫化水素吸着能を有することが認められた。
[イグサの熱重量測定]
上記の吸着試験の効果を検証するべく、イグサ(茎部)の熱重量測定を行い、イグサ炭化物の形成過程を調べた。熱重量測定は、昇温温度10℃/min、窒素雰囲気下の条件で行った。その結果を図9に示す。図9(A)は、試料重量(TG)の変化を表す図である。図9(B)は、試料重量の減少速度(DTG)を表す図である。
図9(B)を見ると、210〜300℃付近に第1のピーク、300〜380℃付近に第2のピークが認められる。これは、外筒部と綿部の炭化温度の違いにより生じていると推察される。また、その重量の残分は、開始時の試料重量を100%として、210℃における重量残分は93%であり、第1のピークを越えると68%(300℃)まで低下し、更に第2のピークを越えると36%(380℃)まで低下した。
本発明の炭化物の製造方法によれば、炭化処理時間が短縮化され、熱供給のための消費エネルギーを低減しつつ、製造時間が短縮化された炭化物の製造方法を提供することができる。
また、本発明の炭化物の製造方法により得られた炭化物は、セシウムや硫化水素等の吸着において特異な吸着性能を有することから、新たな性質の吸着剤の開発に利用することができる。
10,11,12…炭化処理装置、1…被炭化物、2…加熱部、3…熱供給部、4…温度センサ、5…蓋、6…開口部

Claims (4)

  1. イグサを200〜500℃の温度に加熱された加熱部に接触させることにより前記イグサを加熱する加熱工程、及び、
    前記イグサを前記加熱部の上で転動させる転動工程、を備え、
    前記加熱工程の時間は、30分以内であることを特徴とする、イグサの炭化物の製造方法。
  2. 前記加熱工程は、前記加熱部の温度が200〜350℃であることを特徴とする、請求項1に記載のイグサの炭化物の製造方法。
  3. 前記加熱工程は、前記イグサと空気が接触した状態であることを特徴とする、請求項2に記載のイグサの炭化物の製造方法。
  4. イグサの炭化物であって、内部に綿部の炭化物を有することを特徴とする、イグサの炭化物。
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