(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図1乃至図7を参照して説明する。図1は、本実施形態のクレーン1を示す図である。図1に示すように、クレーン1は、車体2と、車体2上に取付けられる旋回体3と、を備える。旋回体3には、ブーム7の基端部が連結され、ブーム7が取付けられている。ブーム7には、ロープ外れ止め装置5が設けられている。また、クレーン1には、ブーム7を旋回体3に対して起伏させるブーム起伏シリンダー9が設けられている。ブーム起伏シリンダー9は、一端が旋回体3に連結され、他端がブーム7に連結されている。ブーム起伏シリンダー9を伸縮することにより、ブーム7が旋回体3に対して起伏動作を行う。また、クレーン1は、ジブ11を備える。
図2乃至図5は、ブーム7及びジブ11の構成を示す図である。図2は、ジブ11の格納時において、ジブ11がブーム7の下面に格納される状態を示している。図3は、ジブ11の使用時において、ブーム7の下面に沿って延設されるジブ11の基端部をブーム7の先端部に連結した状態を示している。また、図4は、ジブ11の使用時において、ジブ11の基端部がブーム7の先端部に連結され、ジブ11がブーム7に対して鉛直方向に垂下した状態を示している。図5は、ジブ11の使用時において、ジブ11が垂下した状態からブーム7に対して前方方向に振出している状態を示している。なお、図2乃至図5では、紙面に対して垂直上方向がクレーン1の左方向となり、紙面に対して垂直下方向がクレーン1の右方向となる。
図2乃至図5に示すように、ブーム7の先端部には、ブームヘッド15が設けられている。ブームヘッド15には、2つのガイドシーブ17A,17Bが取付けられている。ガイドシーブ17A,17Bは、ブームヘッド15の上面側の部位に位置し、ガイドシーブ17Bは、ガイドシーブ17Aより先端方向側に位置している。また、ブームヘッド15には、トップシーブ19が取付けられている。トップシーブ19は、ガイドシーブ17A,17Bより下面側に位置している。ブームヘッド15には、一対のジブ支軸21A,21Bが、トップシーブ19と同軸に設けられている。ジブ支軸21Aは、ブーム7の左側面から左方向に突出し、ジブ支軸21Bは、ブーム7の右側面から右方向に突出している。
ブームヘッド15には、シーブブロック23が設けられている。すなわち、シーブブロック23は、ブーム7の先端部に設けられている。シーブブロック23は、ガイドシーブ17A,17Bより下面側に位置し、トップシーブ19より先端方向側に位置している。シーブブロック23は、補助シーブ(シーブ)25を備える。
ジブ11の基端部は、二股状に形成され、ジブ11の基端部には、一対のジブフート27A,27Bが設けられている。ジブフート27Aには係合溝29Aが設けられ、ジブフート27Bには係合溝29Bが設けられている。係合溝29Aはジブ支軸21Aと係合可能であり、係合溝29Bはジブ支軸21Bと係合可能である。また、ジブ11の先端部には、トップシーブ31が取付けられている。そして、ジブ11の先端部には、テンションロッド33の先端が接続されている。テンションロッド33は、ジブ11を振出した状態においてジブ11の上面となる位置に配置されている。
図2に示すように、ジブ11の格納時には、ジブ11は、ブーム7の側面又は下面に、ブーム7に対して平行に格納されている。この際、係合溝29Aはジブ支軸21Aと係合せず、係合溝29Bはジブ支軸21Bと係合していない。このため、ジブ11の基端部は、ブーム7の先端部に接続されていない。また、ジブ11の格納時には、テンションロッド33が、ジブ11と一体にブーム7の側面又は下面に沿って格納されている。
図1に示すように、旋回体3には主巻ウィンチ35及び補巻ウィンチ37が設けられている。主巻ウィンチ35からは、主巻ロープ39が延出され、補巻ウィンチ37からは、補巻ロープ(ロープ)41が延出されている。クレーン1では、主巻ロープ39の先端が接続されるメインフック43によって、荷重の吊上げが行われる。また、クレーン1では、補巻ロープ41の先端が接続されるサブフック(フック)45によって、荷重の吊上げが行われる。
図2に示すように、ジブ11の格納時には、ブーム7の先端部(ブームヘッド15)から吊下げられるサブフック45によって、荷重の吊上げが行われる。この際、補巻ウィンチ37から延出される補巻ロープ41は、ブーム7の軸方向に沿って延設され、ガイドシーブ17Bに掛けられる。そして、補巻ロープ(ロープ)41は、シーブブロック23の補助シーブ25に掛けられる。これにより、ジブ11の格納時において、ブーム7の先端部の補助シーブ(シーブ)25からサブフック(フック)45が、補巻ロープ(ロープ)41によって吊下げられる。
図6(a)(b)は、ブーム7の先端部及びジブ11の基端部の構成を示す図である。図6(a)はジブ11の格納時を示し、図6(b)はジブ11の使用時を示している。図6(a)の状態では、補助シーブ25から補巻ロープ41によってサブフック45が吊下げられている。図6(a)(b)に示すように、シーブブロック23には、補助シーブ25を挟む状態に、支持板47A,47Bが設けられている。支持板47A,47Bには、第1の挿入孔49が形成されている。支持板47Aには、板状部51A,51Bが設けられている。板状部51A,51Bには、孔状部53が形成されている。
図6(a)に示すように、ジブ11の格納時で、かつ、サブフック45が補助シーブ25から吊下げられた状態において、シーブブロック23には、ピン部材(第1のピン部材)55が取付けられている。シーブブロック23にピン部材55が取付けられることにより、補巻ロープ41の補助シーブ25からの外れが防止される。すなわち、ジブ11の格納時において、ピン部材55は、補巻ロープ41の補助シーブ25からの外れを防止するロープ外れ止めピンとして機能する。
図7は、ピン部材(第1のピン部材)55の構成を示す図である。図7に示すように、ピン部材55は、第1の軸C1に沿って延設される第1の径部57と、第2の軸C2に沿って延設される第2の径部59と、を備える。第1の軸C1は、第2の軸C2と直交する。第1の径部57は、第1の径D1を有し、第2の径部59は、第1の径D1より大きい第2の径D2を有する。第2の径部59には、孔状部61が形成されている。
図6(a)に示すように、支持板47A,47Bの第1の挿入孔49に第1の径部57が挿入されることにより、ピン部材55がシーブブロック23に取付けられる。ピン部材55がシーブブロック23に取付けられた状態では、第2の径部59は、板状部51Aと板状部51Bとの間に位置している。この際、板状部51A,51Bには、ピン外れ止め部材63が取付けられている。板状部51A,51Bにピン外れ止め部材63が取付けられることにより、ピン部材55のシーブブロック23からの外れが防止される。ピン外れ止め部材63は、棒状部65と、頭部67と、リング部69と、を備える。板状部51A,51Bの孔状部53に棒状部65が挿入され、板状部51A,51Bにリング部69が引掛けられることにより、ピン外れ止め部材63が板状部51A,51Bに取付けられる。
ピン外れ止め部材63によってピン部材55のシーブブロック23からの外れが防止されることにより、補助シーブ25からの補巻ロープ41の外れが有効に防止される。これにより、ジブ11の格納時で、かつ、ブーム7の先端部から補巻ロープ41によってサブフック45が吊下げられた状態において、サブフック45によって荷重の吊上げが可能になる。
図3に示すように、ジブ11の使用時には、ブーム7の下面に沿ってジブ11が延設される状態で、ジブ11の基端部をブーム7の先端部に連結する。ブーム7の下面に格納された状態からブーム7を最も収縮した状態にすることにより、ジブ11の基端部がブーム7の先端部に取付け可能となる。
ジブ11の基端部をブーム7の先端部に連結する際には、ジブフート27Aの係合溝29Aをジブ支軸21Aに係合させ、ジブフート27Bの係合溝29Bをジブ支軸21Bに係合させる。これにより、ジブ11の基端部(ジブフート27A,27B)がブーム7の先端部(ブームヘッド15)に接続される。
図6(a)(b)に示すように、ジブフート27Aには、第2の挿入孔71が形成されている。第2の挿入孔71は、ジブフート27Aの係合溝29Aの開口位置の近傍に位置している。図6(b)に示すように、ジブ11の使用時には、ピン部材(第1のピン部材)55は、シーブブロック23から取外され、ジブ11の基端部とブーム7の先端部との間の連結に用いられる。ジブ11の基端部をブーム7の先端部に連結する際には、ジブフート27Aの係合溝29Aをジブ支軸21Aに係合させた状態で、ピン部材55の第2の径部59がジブフート27Aの第2の挿入孔71に挿入される。これにより、係合溝29Aのジブ支軸21Aからの外れが防止される。すなわち、ジブ11の使用時には、ピン部材(第1のピン部材)55は、ブーム7のジブ支軸21Aからのジブフート27Aの外れを防止するジブフート外れ止めピンとして機能する。
前述のように、ピン部材55は、ジブ11の基端部がブーム7の先端部に接続された状態で、ジブフート27Aの第2の挿入孔71に挿入される。また、ジブフート27Bもピン部材(図示しない)を介して、ブームヘッド15に取付けられる。これにより、ジブ11の基端部(ジブフート27A,27B)とブーム7の先端部(ブームヘッド15)との間が連結される。ジブ11の基端部がブーム7の先端部に連結されることにより、ジブ11は、ブーム7との連結部(ジブ支軸21A,21B)を中心として、ブーム7に対して回動可能となる。
図6(b)に示すように、ジブ11の使用時には、シーブブロック23の支持板47Aの板状部51A,51Bからピン抜け止め部材63は、取外される。そして、ジブ11の使用時には、ピン抜け止め部材63は、ピン部材55に取付けられている。この際、ピン抜け止め部材63によって、ピン部材55のジブフート27Aからの外れが防止される。ピン部材55の孔状部61に棒状部65が挿入され、ピン部材55の第2の径部59にリング部69が引掛けられることにより、ピン外れ止め部材63がピン部材55に取付けられる。
ピン外れ止め部材63によってピン部材55のジブフート27Aからの外れが防止されることにより、ジブ11の基端部とブーム7の先端部との間の連結が外れることが、確実に防止される。これにより、ジブ11の使用時に、安全かつ効率的にジブ11のブーム7に対する振出し及び振戻しが行われる。
ジブ11の使用時においてジブ11をブーム7に対して振出す際には、ジブ11がブーム7の下面に沿って延設される状態(図3参照)から、ブーム7との連結部(ジブ支軸21A,21B)を中心としてジブ11を回動させる。これにより、ジブ11がブーム7に対して鉛直方向に垂下した状態になる(図4参照)。そして、ジブ11が垂下した状態から、ブーム7に対してジブ11を前方方向に振出す(図5参照)。
ジブ11の使用時には、ピン部材55はシーブブロック23から取外されている。このため、補巻ロープ41は、補助シーブ25から離れることが可能となる。補巻ロープ41が補助シーブ25から離れることにより、ジブ11をブーム7に対して振出し可能となる。
図1に示すように、ジブ11の振出した状態では、テンションロッド33の基端は、ブームヘッド15の上方に接続されている。したがって、ブーム7に対してジブ11を振出した状態では、テンションロッド33は、ブームヘッド15の上方とジブ11の先端部との間で、延設されている。
図1に示すように、ジブ11の使用時には、ブーム7を起状させ、かつ、ジブ11をブーム7に対して振出した状態で、ジブ11の先端部から吊下げられるサブフック45によって、荷重の吊上げが行われる。この際、補巻ウィンチ37から延出される補巻ロープ41は、ブーム7の軸方向に沿って延設され、ガイドシーブ17Bに掛けられる。そして、補巻ロープ41は、ジブ11の軸方向に沿って延設され、ジブ11のトップシーブ31に掛けられる。これにより、ジブ11の使用時には、ブーム7を起状させ、かつ、ジブ11をブーム7に対して振出した状態で、ジブ11の先端部のトップシーブ31からサブフック45が、補巻ロープ41によって吊下げられる。
ジブ11を振出した状態での作業が完了すると、ジブ11は、ブーム7の側面又は下面に沿って格納する。ジブ11を格納する場合、ジブ11がブーム7に対して鉛直方向に垂下する状態まで、ジブ11を振り戻す(図4参照)。ジブ11の使用時には、ピン部材(第1のピン部材)55は、シーブブロック23に取付けられていない。このため、補巻ロープ41が補助シーブ25に掛かり、垂下した状態までジブ11を振戻すことが可能となる。そして、ブーム7との連結部を中心として、ブーム7の下面に沿って延設される状態まで、ジブ11を回動し、ジブ11をブーム7の中間部に連結する(図3参照)。そして、ジブ11の基端部とブーム7の先端部との間の連結を外す。これにより、ジブ11が格納される。
そこで、前記構成のロープ外れ止め装置5では、以下の効果を奏する。すなわち、ロープ外れ止め装置5では、ピン部材(第1のピン部材)55は、ジブ11の格納時にシーブブロック23に取付けられ、ジブ11の使用時にジブ11の基端部とブーム7の先端部との連結に用いられる。このため、ジブ11を振出す際に、ブーム7のシーブブロック23からピン部材55を取り外し忘れた場合でも、ジブ11の基端部をブーム7の先端部に連結する段階で、シーブブロック23からピン部材55が取外されていないことを、作業者が認識する。すなわち、ブーム7の下面に沿って延設される状態からジブ11をブーム7に対して回動する前に、シーブブロック23からピン部材55が取外されていないことを、作業者が認識する。また、シーブブロック23から取外されたピン部材55は、ジブ11をブーム7に対して回動する前に、ジブフート27Aに取付けられる。このため、ジブ11を垂下した状態まで回動する際に、ピン部材55の仮の配置場所等を確保する必要はない。したがって、ジブ11の使用時において、ジブ11を振出す際の作業性を向上させることができる。
また、ロープ外れ止め装置5では、ジブ11の使用時において、ピン部材55は、ジブ11の基端部とブーム7の先端部との連結に用いられ、シーブブロック23に取付けられていない。このため、ジブ11を前方方向に振出す際に、補巻ロープ41は、補助シーブ25から離れることが可能となる。これにより、ジブ11を振出す際の作業を確実に行うことができる。また、ジブ11の使用時において、ピン部材55はシーブブロック23に取付けられていないため、ジブ11を垂下した状態まで振戻す際に、補巻ロープ41は、補助シーブ25に掛かることが可能となる。これにより、ジブ11を振戻す際の作業を確実に行うことができる。前述のように、ロープ外れ止め装置5では、ジブ11を振出す際及びジブを格納する際の作業を確実に行うことができる。
また、ジブ11の格納時には、ブーム7のシーブブロック23にピン部材55を取付け忘れた場合でも、ジブ11の基端部とブーム7の先端部との連結を解除する段階で、シーブブロック23にピン部材55が取付けられていないことを、作業者が認識する。これにより、ジブ11を格納する際に、シーブブロック23にピン部材55を確実に取付けることができる。
また、ロープ外れ止め装置5では、1つのピン部材55に、第1の径部57と、第2の径部59と、が設けられている。そして、第1の径部57がシーブブロック23の第1の挿入孔49に挿入されることにより、ピン部材55は、補巻ロープ41の補助シーブ25からの外れを防止するロープ外れ止めピンとして機能する。また、第2の径部59がジブフート27Aの第2の挿入孔71に挿入されることにより、ピン部材55は、ジブフート外れ止めピンとして機能する。すなわち、第1の径部57及び第2の径部59を設けることにより、1つのピン部材55を2つの用途に用いることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図8乃至図12を参照して説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態の構成を次の通り変形したものである。なお、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
図8及び図9は、ブーム7の先端部の構成を示す図である。図8は、ジブ11の格納時において、ブーム7の先端部からサブフック45が補巻ロープ41によって吊下げられた状態を示している。また、図9は、ジブ11の格納時において、ブーム7の先端部にサブフック45が格納された状態を示している。なお、図9では、紙面に対して垂直上方向がクレーン1の左方向となり、紙面に対して垂直下方向がクレーン1の右方向となる。
図8及び図9に示すように、ブーム7の先端部では、シーブブロック23にフックインブラケット73が連結されている。フックインブラケット73は、シーブブロック23との連結部を中心として、シーブブロック23に対して回動可能である。フックインブラケット73は、シーブブロック23より下面側に位置している。
図8に示すように、ジブ11の格納時において、ブーム7の先端部からサブフック45が補巻ロープ41によって吊下げられた状態では、第1の実施形態と同様に、補巻ロープ41は、シーブブロック23の補助シーブ25に掛けられる。そして、補巻ロープ41は、フックインブラケット73の内部を通って、サブフック45に接続される。
また、図9に示すように、サブフック45を格納する際には、補巻ロープ41を巻取ることにより、サブフック45を吊上げる。これにより、サブフック45がフックインブラケット73に当接し、サブフック45が、フックインブラケット73と一体にシーブブロック23に対して回動する。サブフック45がフックインブラケット73と一体に回動することにより、ブーム7の先端部に格納される。サブフック45が格納された状態では、サブフック45はブームヘッド15の下面側に位置している。
図10は、ブーム7の先端部からサブフック45が補巻ロープ41によって吊下げられた状態での、シーブブロック23及びフックインブラケット73の構成を示す図である。図10に示すように、ジブ11の格納時には、第1の実施形態と同様に、ピン部材(第1のピン部材)55がシーブブロック23に取付けられる。このため、サブフック45が補助シーブ25から吊下げられた状態において、ピン部材55によって、補助シーブ25からの補巻ロープ41の外れが防止される。また、第1の実施形態と同様に、シーブブロック23には、ピン外れ止め部材63が取付けられている。ジブ11の格納時には、ピン外れ止め部材63によって、ピン部材55のシーブブロック23からの外れが防止される。
フックインブラケット73には、ブーム7の先端部からサブフック45が吊下げられた状態において、前方方向に向かって開口する開口部75が、形成されている。また、フックインブラケット73には、孔状部77が形成されている。そして、フックインブラケット73には、左側面から左方向に向かって突出する板状部79A,79Bが、設けられている。板状部79A,79Bには、孔状部81が形成されている。
ジブ11の格納時において、ブーム7の先端部からサブフック45が吊下げられた状態では、フックインブラケット73にピン部材(第2のピン部材)83が取付けられている。フックインブラケット73にピン部材83が取付けられることにより、補巻ロープ21のフックインブラケット73からの開口部75を通しての外れが、防止される。すなわち、ジブ11の格納時において、ピン部材(第2のピン部材)83は、補巻ロープ41のフックインブラケット73からの外れを防止するロープ外れ止めピンとして機能する。
図11は、ピン部材(第2のピン部材)83の構成を示す図である。図11に示すように、ピン部材83は、第1の部材軸L1に沿って延設される第1の部材径部85と、第2の部材軸L2に沿って延設される第2の部材径部87と、を備える。第1の部材軸L1は、第2の部材軸L2と直交する。第1の部材径部85は、第1の部材径d1を有し、第2の部材径部87は、第1の部材径d1より小さい第2の部材径d2を有する。
図10に示すように、フックインブラケット73の孔状部77に第1の部材径部85が挿入されることにより、ピン部材83がフックインブラケット73に取付けられる。ピン部材83がフックインブラケット73に取付けられた状態では、第2の部材径部87は、板状部79Aと板状部79Bとの間に位置している。この際、板状部79A,79Bには、ピン外れ止め部材89が取付けられている。板状部79A,79Bにピン外れ止め部材89が取付けられることにより、ピン部材83のフックインブラケット73からの外れが防止される。ピン外れ止め部材89は、棒状部91と、頭部93と、リング部95と、を備える。板状部79A,79Bの孔状部81に棒状部91が挿入され、板状部79A,79Bにリング部95が引掛けられることにより、ピン外れ止め部材89が板状部79A,79Bに取付けられる。
前述のように、本実施形態では、ピン部材(第1のピン部材)55によって、補助シーブ25からの補巻ロープ41の外れが有効に防止される。また、ピン部材(第2のピン部材)83によって、フックインブラケット73からの補巻ロープ41の外れが有効に防止される。これにより、ジブ11の格納時で、かつ、ブーム7の先端部から補巻ロープ41によってサブフック45が吊下げられた状態において、サブフック45によって荷重の吊上げが可能になる。
図12は、ジブ11の使用時での、一方のジブフート27A及び対応するジブ支軸21Aの間の構成を示す図である。図12に示すように、第1の実施形態と同様に、ジブフート27Aには、第2の挿入孔71が形成されている。そして、ジブ11の使用時には、ピン部材(第1のピン部材)55は、シーブブロック23から取外され、ジブ11の基端部とブーム7の先端部との間の連結に用いられる。ジブ11の基端部をブーム7の先端部に連結する際には、ジブフート27Aの係合溝29Aをジブ支軸21Aに係合させた状態で、ピン部材55の第2の径部59がジブフート27Aの第2の挿入孔71に挿入される。これにより、第1の実施形態と同様に、係合溝29Aのジブ支軸21Aからの外れが防止される。
なお、ジブフート27Bは、第1の実施形態と同様に、ピン部材(図示しない)によってブームヘッド15に取付けられる。前述のようにして、本実施形態でも第1の実施形態と同様に、ピン部材(第1のピン部材)55を用いて、ジブ11の基端部(ジブフート27A,27B)とブーム7の先端部(ブームヘッド15)との間が連結される。
また、本実施形態では、ジブフート27Aに、板状部97A〜97Cが設けられている。そして、97A,97Bには、孔状部99が形成されている。ジブ11の使用時には、ピン部材(第2のピン部材)83は、フックインブラケット73から取外され、ジブフート27Aの板状部97A,97Bに取付けられる。ピン部材83がジブフート27Aの板状部97A,97Bに取付けられることにより、ジブフート27Aからのピン部材(第1のピン部材)55の外れが防止される。第2の部材径部87がピン部材55の孔状部61及び板状部97A,97Bの孔状部99に挿入されることにより、ピン部材83がジブフート27Aに取付けられる。この際、ピン部材83の第1の部材径部85は、板状部97Bと板状部97Cとの間に位置している。前述のように、ジブ11の使用時において、ピン部材(第2のピン部材)83は、ジブ11の基端部とブーム7の先端部との間を連結するピン部材(第1のピン部材)55の外れを防止するピン外れ防止部材として機能する。
また、板状部97B,97Cには、孔状部101が設けられている。ジブ11の使用時には、ピン外れ止め部材89は、フックインブラケット73の板状部79A,79Bから取外され、ジブフート27Aの板状部97B,97Cに取付けられている。板状部97B,97Cにピン外れ止め部材89が取付けられることにより、ピン部材83の板状部97A,97Bからの外れが防止される。板状部97B,97Cの孔状部101に棒状部91が挿入され、板状部97B,97Cにリング部95が引掛けられることにより、ピン外れ止め部材89が板状部97B,97Cに取付けられる。
ジブ11の使用時におけるジブ11のブーム7に対する振出しは、第1の実施形態と同様にして行われる。ジブ11の使用時には、ピン部材(第1のピン部材)55は、シーブブロック23から取外されている。このため、補巻ロープ41は、補助シーブ25から離れることが可能となる。また、ジブ11の使用時には、ピン部材(第2のピン部材)83は、フックインブラケット73から取外されている。このため、補巻ロープ41は、開口部75を通ってフックインブラケット73から離れることが可能となる。補巻ロープ41が補助シーブ25及びフックインブラケット73から離れることにより、ジブ11をブーム7に対して振出し可能となる。
前記構成のロープ外れ止め装置5では、第1の実施形態と同様の効果に加えて、以下の効果を奏する。すなわち、ロープ外れ止め装置5では、ピン部材(第2のピン部材)83は、ジブ11の格納時にフックインブラケット73に取付けられ、ジブ11の使用時にジブ11の基端部とブーム7の先端部とを連結するピン部材(第1のピン部材)55の外れ止めに用いられる。このため、ジブ11を振出す際に、ブーム7のフックインブラケット73からピン部材83を取り外し忘れた場合でも、ジブ11の基端部をブーム7の先端部に連結する段階で、フックインブラケット73からピン部材83が取外されていないことを、作業者が認識する。すなわち、ブーム7の下面に沿って延設される状態からジブ11をブーム7に対して回動する前に、フックインブラケット73からピン部材83が取外されていないことを、作業者が認識する。また、フックインブラケット73から取外されたピン部材83は、ジブ11をブーム7に対して回動する前に、ジブフート27Aに取付けられる。このため、ジブ11を垂下した状態まで回動する際に、ピン部材83の仮の配置場所等を確保する必要はない。したがって、フックインブラケット73が設けられるクレーン1でも、ジブ11の使用時において、ジブ11を振出す際の作業性を向上させることができる。
また、ジブ11の格納時には、ブーム7のフックインブラケット73にピン部材83を取付け忘れた場合でも、ジブ11の基端部とブーム7の先端部との連結を解除する段階で、フックインブラケット73にピン部材83が取付けられていないことを、作業者が認識する。これにより、ジブ11を格納する際に、フックインブラケット73にピン部材83を確実に取付けることができる。
(変形例)
なお、前述の実施形態では、ジブ11は伸縮しない構成であるが、これに限るものではない。例えば、ジブ11の内部にジブ起伏シリンダー(図示しない)が設けられてもよい。この場合、ジブ起伏シリンダーを伸長することにより、垂下した状態からジブ11が振出され、ジブ起伏シリンダーを収縮することにより、垂下した状態までジブ11が振戻される。
また、前述の実施形態では、ピン部材55及びピン部材83は、左方向側のジブフート27Aとジブ支軸21Aとの連結に用いられるが、これに限るものではない。例えば、右方向側のジブフート27Bとジブ歯軸21Bとの連結にピン部材55及びピン部材83が用いられてもよい。すなわち、左右いずれか一方のジブフート27A,27Bとジブ支軸21A,21Bとの連結に、ピン部材55及びピン部材83が用いられればよい。
また、前述の実施形態では、ピン部材55は、第1の径部57及び第2の径部59を備え、第1の径部55によって補助シーブ25からの補巻ロープ41の外れが防止され、第2の径部59によってジブ11の基端部がブーム7の先端部に連結されているが、これに限るものではない。例えば、変形例として図13に示すように、ピン部材55は、L字状ではなく、直線状に形成されてもよい。この場合、ピン部材55は、第1の径部57及び第2の径部59を備えず、棒状部103を備える。本変形例では、棒状部103によって補助シーブ25からの補巻ロープ41の外れが防止されるとともに、棒状部103によってジブ11の基端部がブーム7の先端部に連結される。
したがって、本発明のロープ外れ止め装置5では、ジブ11の格納時において、ロープ(41)が、ブーム7の軸方向に沿って延設され、ブーム7の先端部でシーブ(25)に掛けられていればよい。そして、ジブ11の格納時において、シーブ(25)からロープ(41)によってフック(45)が吊下げられていればよい。また、ピン部材(第1のピン部材)55は、ジブ11の格納時で、かつ、フック(45)がシーブ(25)から吊下げられた状態において、シーブブロック23に取付けられることにより、ロープ(41)のシーブ(25)からの外れを防止すればよい。そして、ジブ11の使用時において、ピン部材(第1のピン部材)55は、シーブブロック23から取外され、ジブ11の基端部のブーム7の先端部との間を連結すればよい。これにより、ジブ11の使用時において、ロープ(41)がシーブ(25)から離れることが可能となり、ジブ11がブーム7に対して振出し可能になる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形ができることは勿論である。