本発明の一実施形態による画像読取装置を備えた画像形成装置について、印刷ジョブ、読取ジョブ、および、コピージョブ(読取ジョブを伴う印刷ジョブ)、など複数種のジョブの実行が可能な複合機を例にとって説明する。
(画像形成装置の全体構成)
図1に示すように、画像形成装置100は、原稿搬送ユニット1が装着された画像読取装置2を備える。この画像読取装置2は、読取ジョブを実行するものであり、原稿Dを読み取って画像データを生成する。なお、画像読取装置2(原稿搬送ユニット1)の構成については、後に詳細に説明する。
また、画像形成装置100は、給紙部3、用紙搬送部4、画像形成部5および定着部6で構成される印刷部7を備える。印刷部7は、用紙搬送路70に沿って用紙Pを搬送し、画像データ(たとえば、画像読取装置2による原稿Dの読み取りによって得られた画像データなど)に基づく画像を用紙Pに印刷して出力する。
具体的には、印刷部7の給紙部3は、ピックアップローラー31および給紙ローラー対32を含み、用紙カセット33に収容された用紙Pを用紙搬送路70に供給する。用紙搬送部4は、複数の搬送ローラー対41を含み、用紙搬送路70に沿って用紙Pを搬送し、印刷済みの用紙Pを排出トレイ42に排出する。
画像形成部5は、感光体ドラム51、帯電装置52、露光装置53、現像装置54、転写ローラー55およびクリーニング装置56を含む。そして、画像形成部5は、画像データに基づきトナー像を形成し、そのトナー像を用紙Pに転写する。定着部6は、加熱ローラー61および加圧ローラー62を含み、用紙Pに転写されたトナー像を加熱および加圧して定着させる。
また、画像形成装置100は、操作パネル8を備える。操作パネル8は、タッチパネル付きの液晶表示部81を含む。液晶表示部81は、ジョブに関する各種設定などを受け付けるためのソフトキーやメッセージなどを表示する。さらに、操作パネル8には、テンキー82やスタートキー83などのハードキーも設けられる。
(画像読取装置の構成)
図2に示すように、原稿搬送ユニット1が装着された画像読取装置2は、搬送読取用のコンタクトガラス20aおよび載置読取用のコンタクトガラス20bが嵌め込まれた読取フレーム20Fを有する。そして、画像読取装置2は、読取ジョブとして、コンタクトガラス20a上を通過する原稿Dを読み取る搬送読取ジョブ、および、コンタクトガラス20b上に載置された原稿Dを読み取る載置読取ジョブを実行する。
画像読取装置2に装着される原稿搬送ユニット1は、読取フレーム20Fに開閉可能(回動可能)に支持され、搬送読取用の読取位置RP(コンタクトガラス20a上の位置)に原稿Dを搬送する。この原稿搬送ユニット1は、原稿セットトレイ11、原稿排出トレイ12、給紙部13および原稿搬送部14を含む。また、原稿搬送ユニット1には、原稿Dを搬送するための原稿搬送路10が設けられる。
原稿セットトレイ11は、原稿Dがセットされるトレイであり、原稿搬送路10の一端側に配置される。原稿排出トレイ12は、読み取りの終わった原稿Dが排出されるトレイであり、原稿搬送路10の他端側に配置される。搬送読取ジョブの実行時には、原稿セットトレイ11にセットされた原稿Dが原稿搬送路10に供給されるとともに、原稿搬送路10に沿って搬送され、最終的に原稿排出トレイ12に排出される。ここで、読取位置RPは、原稿搬送路10に沿って搬送される原稿Dの搬送経路の途中の位置とされる。すなわち、原稿搬送路10に沿って原稿Dが搬送されると、原稿Dがコンタクトガラス20a上を通過する。これにより、搬送読取ジョブの実行時には、原稿Dの一方面(原稿セットトレイ11への原稿Dのセット時に上方に向けられた面)が読み取られる。
給紙部13は、原稿搬送路10の最も上流側に設けられる。この給紙部13は、ピックアップローラー13a、給紙ベルト13bおよび分離ローラー13cを含む。ピックアップローラー13aは、原稿セットトレイ11にセットされた原稿Dと当接した状態で回転する。これにより、原稿セットトレイ11から原稿Dが引き出され、給紙ニップに進入する。給紙ベルト13bは、駆動ローラー13dと従動ローラー13eとによって張架されており、分離ローラー13cとの間で給紙ニップを形成する。そして、給紙ベルト13bは、駆動ローラー13dが回転することで周回し、給紙ニップに進入した原稿Dを原稿搬送路10に供給する。分離ローラー13cは、原稿搬送方向と逆方向に原稿Dが進行するよう回転する。このため、原稿セットトレイ11から原稿Dが複数枚重なって引き出されたとしても、複数枚重なった原稿Dが1枚ずつに分離される。
原稿搬送部14は、原稿搬送路10に沿って配置された複数の搬送ローラー対14a〜14eを含み、原稿搬送路10に沿って原稿Dを搬送する。搬送ローラー対14a〜14eのうち給紙部13に最も近い搬送ローラー対14aは、レジストローラー対14aである。レジストローラー対14aは、原稿Dの進行を一旦停止させ、原稿Dを撓ませて原稿Dの斜行を補正する。なお、搬送ローラー対14a〜14eは、本発明の「搬送ローラー」に相当する。
原稿搬送ユニット1には、原稿搬送路10の複数の検知位置DP1〜DP4において原稿Dの有無(到達および後端通過)を検知するための複数の原稿検知センサーDS1〜DS4も設けられる。原稿検知センサーDS1〜DS4は、たとえば、検知対象に向けて光を発光する発光部および検知対象からの反射光を受光する受光部を有する反射型の光センサーである。このような原稿検知センサーDS1〜DS4の各出力は、複数の検知位置DP1〜DP4のうち対応する検知位置に原稿Dが有るときと無いときとで変動する。
なお、原稿検知センサーDS1は、レジストローラー対14aの原稿搬送方向上流側の検知位置DP1において原稿Dの有無を検知するためのセンサーである。原稿検知センサーDS2は、搬送ローラー対14bと搬送ローラー対14cとの間のうち搬送ローラー対14bの近傍の検知位置DP2において原稿Dの有無を検知するためのセンサーである。原稿検知センサーDS3は、搬送ローラー対14bと搬送ローラー対14cとの間のうち搬送ローラー対14cの近傍の検知位置DP3において原稿Dの有無を検知するためのセンサーである。原稿検知センサーDS4は、搬送ローラー対14dと搬送ローラー対14eとの間のうち搬送ローラー対14eの近傍の検知位置DP4において原稿Dの有無を検知するためのセンサーである。
また、画像読取装置2は、光源21、イメージセンサー22、ミラー23およびレンズ24などで構成される画像読取部20を備える。画像読取部20を構成する各部材は、読取フレーム20Fの内部に設置される。
光源21は、複数のLED素子を含み、原稿Dに照射する光を生成する。複数のLED素子は、図示しないが、読取ライン方向である主走査方向(図2の紙面に対して垂直な方向)にライン状に配列されている。なお、冷陰極管などを光源21として用いてもよい。そして、光源21は、コンタクトガラス20a上を通過する原稿Dを読み取るときには、コンタクトガラス20aに向けて光を出射する(コンタクトガラス20aを透過した光が原稿Dを照射する)。一方で、光源21は、コンタクトガラス20b上に載置された原稿Dを読み取るときには、コンタクトガラス20bに向けて光を出射する(コンタクトガラス20bを透過した光が原稿Dを照射する)。原稿Dで反射された反射光は、ミラー23で反射され、レンズ24に導かれる。レンズ24は、反射光を集光する。
イメージセンサー22は、原稿Dで反射された反射光(レンズ24で集光された光)を受光することにより原稿Dをライン単位で読み取る。このイメージセンサー22は、主走査方向にライン状に並ぶ複数の光電変換素子を有するCCDからなり、反射光を受光すると、ライン単位で画素毎に光電変換して電荷を蓄積する。そして、イメージセンサー22は、蓄積電荷に応じたアナログ信号を出力する。すなわち、イメージセンサー22の画素毎のアナログ出力は、反射光の光量に応じて変動する。
また、読取フレーム20Fの内部には、主走査方向と直交する副走査方向に移動可能な移動枠25が設置される。移動枠25は、互いに独立して移動する第1移動枠25aおよび第2移動枠25bを含む。第1移動枠25aには、光源21および1つのミラー23が取り付けられ、第2移動枠25bには、残りのミラー23が取り付けられる。そして、移動枠25は、読取フレーム20Fの内部に設置された駆動機構26によって、主走査方向と直交する副走査方向に移動される。なお、移動枠25を副走査方向に移動させても光源21からイメージセンサー22へ至る光路長を一定に維持するため、第1移動枠25aの移動速度は第2移動枠25bの移動速度の2倍とされる。
駆動機構26は、ワイヤー27および巻取ドラム28を含む。ワイヤー27の一端は、移動枠25に連結され、ワイヤー27の他端は、巻取ドラム28に連結される。これにより、巻取ドラム28が回転することによって移動枠25が副走査方向に移動する。すなわち、光源21が副走査方向に移動する。なお、図2にはワイヤー27を1本のみ図示しているが、実際には装置正面から見て手前側と奥側に2本のワイヤー27が架け回される。
駆動機構26は、読取ジョブが実行されていないときには、移動枠25(光源21)を予め定められた待機位置P1(ホームポジション)に保持する。たとえば、コンタクトガラス20aとコンタクトガラス20bとの間隙の下方位置が待機位置P1とされる。図2では、待機位置P1に保持された移動枠25を2点鎖線で示している。
搬送読取ジョブが開始されるとき、駆動機構26は、移動枠25(光源21)を待機位置P1から予め定められた所定位置P2に移動させ、移動枠25を所定位置P2で静止させる。所定位置P2というのは、コンタクトガラス20aの下方位置である。図2では、所定位置P2で静止している移動枠25を実線で示している。
光源21は、所定位置P2に到達すると、所定位置P2で点灯する。なお、光源21が所定位置P2に到達する前から光源21を点灯させてもよいし、光源21が所定位置P2に到達してから光源21を点灯させてもよい。所定位置P2において光源21が点灯すると、光源21によってコンタクトガラス20aが照射される。すなわち、読取位置RPを通過する原稿Dが照射される。そして、このとき、イメージセンサー22は、原稿Dで反射された反射光の光電変換を連続して繰り返し行う。これにより、原稿Dの一方面(原稿セットトレイ11への原稿Dのセット時に上方に向けられた面)の読み取りがライン単位で行われる。
駆動機構26は、搬送読取ジョブが終了すると、移動枠25(光源21)を所定位置P2から待機位置P1に移動させ、移動枠25を待機位置P1に保持する。そして、駆動機構26は、搬送読取ジョブが新たに開始されるとき、移動枠25を待機位置P1から所定位置P2に移動させる。
一方で、載置読取ジョブの実行時には、駆動機構26は、移動枠25(光源21)を副走査方向(正面から見て左から右に向かう方向)に移動させる。そして、光源21は、副走査方向に移動している最中に、コンタクトガラス20b上に載置された原稿Dを照射する。このとき、イメージセンサー22は、原稿Dで反射された反射光の光電変換を連続して繰り返し行う。これにより、原稿Dのコンタクトガラス20bと対向する面の読み取りがライン単位で行われる。
なお、原稿搬送ユニット1には、原稿Dの一方面とは反対側の他方面(原稿セットトレイ11への原稿Dのセット時に下方に向けられた面)を読み取るためのCISユニット15が設けられる。CISユニット15は、原稿搬送路10に沿った所定箇所に配置される。これにより、原稿Dの両面の読み取りを同時に行うことができる。
(画像形成装置のハードウェア構成)
図3に示すように、画像形成装置100は、主制御部110を備える。主制御部110は、メインCPU111、画像処理部112および記憶部113を含む。画像処理部112は、画像処理専用のASICなどからなり、画像データに対して画像処理(拡大/縮小、濃度変換およびデータ形式変換など)を施す。記憶部113は、ROMおよびRAMなどからなり、プログラムおよびデータを記憶する。そして、主制御部110は、記憶部113に記憶されたプログラムおよびデータに基づき、画像形成装置100の各部の動作を制御する。たとえば、主制御部110は、印刷部7の印刷動作を制御する。あるいは、主制御部110は、操作パネル8の表示動作を制御したり、操作パネル8に対して行われた操作を検知したりする。
また、図4に示すように、主制御部110は、原稿搬送制御部120および画像読取制御部130と接続される。原稿搬送制御部120は、CPU121および記憶部122を含み、主制御部110から指示を受け、原稿搬送ユニット1による原稿搬送(給紙)動作を制御する。画像読取制御部130は、CPU131および記憶部132を含み、主制御部110から指示を受け、画像読取部20による画像読取動作を制御する。
原稿搬送制御部120は、原稿搬送ユニット1による給紙動作を制御するため、給紙モーター13Mと接続される。給紙モーター13Mは、給紙部13のピックアップローラー13aや駆動ローラー13dを回転させるためのモーターである。そして、原稿搬送制御部120は、給紙モーター13Mの駆動を制御することによって、ピックアップローラー13aや駆動ローラー13dを適切に回転させる(給紙部13の給紙動作を制御する)
また、原稿搬送制御部120は、原稿搬送ユニット1による原稿搬送動作を制御するため、搬送モーター14Mと接続される。搬送モーター14Mは、原稿搬送部14の搬送ローラー対14a〜14eを回転させるためのモーターである。そして、原稿搬送制御部120は、搬送モーター14Mの駆動を制御することによって、搬送ローラー対14a〜14eを適切に回転させる(原稿搬送部14の原稿搬送動作を制御する)。なお、搬送モーター14Mは、ステッピングモーターである。
さらに、原稿搬送制御部120は、原稿検知センサーDS1〜DS4と接続され、原稿検知センサーDS1〜DS4の各出力に基づき、原稿搬送路10の検知位置DP1〜DP4において原稿Dの有無(到達および後端通過)を検知する。そして、原稿搬送制御部120は、原稿搬送路10においてジャムが発生したか否かを判断したり、原稿Dの搬送タイミングを計ったりする。
画像読取制御部130は、光源21およびイメージセンサー22と接続され、光源21の点消灯動作やイメージセンサー22の光電変換動作を制御する(画像読取部20による画像読取動作を制御する)。さらに、画像読取制御部130は、巻取モーター20Mと接続される。巻取モーター20Mは、巻取ドラム28を回転させるためのモーターである。そして、画像読取制御部130は、巻取モーター20Mの駆動を制御することによって、巻取ドラム28を適切に回転させる。すなわち、画像読取制御部130は、移動枠25(光源21)を副走査方向に適切に移動させる。なお、巻取モーター20Mは、ステッピングモーターである。
画像読取制御部130には、アナログ処理部201、画像処理部202および画像メモリー203も接続される。アナログ処理部201は、増幅回路やA/D変換回路などを含み、イメージセンサー22のアナログ出力を増幅し、デジタルの画像データに変換して画像処理部202に出力する。画像処理部202は、画像データに対してシェーディング補正などの補正を行い、処理済の画像データを画像メモリー203に出力する。画像メモリー203は、画像データを蓄積し、主制御部110(画像処理部112)に転送する。そして、主制御部110(画像処理部112)は、露光用の画像データ(露光装置53の発光素子を点消灯させるためのデータ)を生成した後、露光用の画像データを印刷部7に出力する。なお、本体側の画像処理部112の機能を画像処理部202に持たせてもよい。
(搬送読取ジョブの実行時の動作)
主制御部110は、原稿セットトレイ11(図2参照)に原稿Dがセットされ、その状態でスタートキー83(図1参照)が押下されると、搬送読取ジョブの実行指示を受け付けたと判断する。そして、主制御部110は、画像読取装置2(原稿搬送制御部120および画像読取制御部130)に指示し、搬送読取ジョブを実行させる。以下に、図2および図4を参照して、搬送読取ジョブの実行時の動作について説明する。
まず、画像読取制御部130は、巻取モーター20Mを駆動させ、移動枠25(光源21)を待機位置P1から所定位置P2に向かって移動させる。また、原稿搬送制御部120は、給紙モーター13Mを駆動させる(給紙部13に給紙動作を行わせる)とともに、搬送モーター14Mを駆動させる(原稿搬送部14に原稿搬送動作を行わせる)。すなわち、給紙部13は、原稿セットトレイ11にセットされた原稿Dを原稿搬送路10に供給し、原稿搬送部14は、原稿搬送路10に沿って原稿Dを搬送する。
原稿搬送路10に沿って搬送される原稿Dが検知位置DP3に到達すると、原稿検知センサーDS3の出力レベルが変動する(原稿Dが有ることを示すレベルになる)ので、原稿搬送制御部120が検知位置DP3において原稿Dの到達を検知する。このとき、原稿搬送制御部120は、検知位置DP3に原稿Dが到達した旨を画像読取制御部130に通知する。そして、画像読取制御部130は、原稿Dが読取位置RPに到達するタイミングで、画像読取部20による原稿Dの読み取りを開始させる。その後、画像読取制御部130は、原稿Dの後端が読取位置RPを通過し切るタイミングで、画像読取部20による原稿Dの読み取りを終了させる。なお、画像読取部20による読取開始タイミングは、検知位置DP3と読取位置RPとの間の距離および原稿搬送速度に基づき求めることができる。また、画像読取部20による読取終了タイミングは、原稿Dの長さおよび原稿搬送速度に基づき求めることができる。
画像読取部20による原稿Dの読み取りが開始された後、原稿Dが検知位置DP4に到達すると、原稿検知センサーDS4の出力レベルが変動する(原稿Dが有ることを示すレベルになる)ので、原稿搬送制御部120が検知位置DP4において原稿Dの到達を検知する。続いて、原稿Dの後端が検知位置DP4を通過すると、原稿検知センサーDS4の出力レベルが元に戻る(原稿Dが無いことを示すレベルになる)ので、原稿搬送制御部120が検知位置DP4において原稿Dの後端通過を検知する。原稿搬送制御部120は、検知位置DP4において原稿Dの後端通過を検知すると、原稿Dが原稿搬送路10から排出された(原稿排出トレイ12に排出された)と判断する。
原稿セットトレイ11に複数枚の原稿Dがセットされている場合、原稿搬送ユニット1は、2ページ目以降の原稿Dも同様に、原稿搬送路10に供給し、原稿搬送路10に沿って搬送する。たとえば、2ページ目以降の原稿Dの給紙タイミングは、前ページの原稿Dの後端が検知位置DP4を通過した時点でもよいし、前ページの原稿Dが検知位置DP4に到達してから検知位置DP4を通過し切る前の予め定められた時点であってもよい。そして、画像読取部20は、2ページ目以降の原稿Dも同様に、読取位置RPにおいて読み取りを行う。なお、原稿セットトレイ11に複数枚の原稿Dがセットされている場合、移動枠25(光源21)は、1ページ目の原稿Dの読み取りが終了した後、残りの全ページの原稿Dの読み取りが終了するまで、待機位置P1に戻されずに所定位置P2に保持される。
また、主制御部110は、画像読取部20が原稿Dの読み取りを行っている最中に、印刷部7による印刷を開始させる。これにより、画像読取部20による原稿Dの読み取りと並行して、画像読取部20により読み取られた原稿Dの画像が用紙Pに印刷される。あるいは、主制御部110は、原稿Dの後端が検知位置DP4を通過した後、すなわち、読み取りの終わった原稿Dが原稿排出トレイ12に排出された後、印刷部7による印刷を開始させる。
(原稿搬送速度の制御)
移動枠25(光源21)は、搬送読取ジョブが実行されていないとき、待機位置P1に保持される。この状態で、主制御部110から搬送読取ジョブの実行が指示されると、画像読取制御部130は、巻取モーター20Mを駆動させ、光源21を待機位置P1から所定位置P2に向かって移動させる。そして、画像読取制御部130は、光源21が所定位置P2に到達すると、光源21を所定位置P2で静止させる。
また、主制御部110から搬送読取ジョブの実行が指示されると、原稿搬送制御部120は、給紙モーター13Mを駆動させることによって原稿搬送路10に原稿Dを供給させるとともに、搬送モーター14Mを駆動させることによって原稿搬送路10に沿って原稿Dを搬送させる。
そして、原稿Dが読取位置RPを通過するとき、読取位置RPにおいて原稿Dの読み取りが行われる。しかし、原稿Dの読取位置RPへの到達が光源21の所定位置P2への到達よりも早ければ、原稿Dの読み取りを正確に行えない。したがって、原稿Dの読取位置RPへの到達は、光源21の所定位置P2への到達と略同じ、または、光源21の所定位置P2への到達の後にする必要がある。
したがって、原稿搬送制御部120は、検知位置DP1〜DP4のうち読取位置RPよりも原稿搬送方向上流側の検知位置DP3に原稿Dが到達したことを検知したとき、その原稿Dの読取位置RPへの到達が所定位置P2への光源21の到達よりも早くなるか否かを判定する。この構成においては、原稿搬送制御部120が本発明の「判定部」に相当し、検知位置DP1〜DP4のうち検知位置DP3が本発明の「検知位置」に相当する。
たとえば、原稿搬送制御部120は、検知位置DP3に原稿Dが到達したとき、検知位置DP3から読取位置RPまでの間の距離と原稿搬送速度とに基づいて、検知位置DP3に到達した原稿Dが読取位置RPに到達するのに要する時間(以下、原稿到達時間と称する)を求める。さらに、原稿搬送制御部120は、検知位置DP3に原稿Dが到達したとき、巻取モーター20Mの駆動の開始から、すなわち、光源21の待機位置P1から所定位置P2への移動の開始から、巻取モーター20Mが何ステップ回転したかに基づいて、光源21の現在位置(検知位置DP3に原稿Dが到達した時点の位置)を求める。そして、原稿搬送制御部120は、光源21を現在位置から所定位置P2に移動させるのに必要な巻取モーター20Mのステップ数(回転ステップ数)に基づいて、光源21が現在位置から所定位置P2に到達するのに要する時間(以下、光源到達時間と称する)を求める。なお、画像読取制御部130が光源到達時間を求め、その結果が原稿搬送制御部120に通知されてもよい。
原稿搬送制御部120は、原稿到達時間および光源到達時間を求めると、原稿到達時間と光源到達時間とを比較する。そして、原稿搬送制御部120は、原稿到達時間が光源到達時間よりも短ければ、読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置RPへの光源21の到達よりも早くなると判定する。
原稿搬送制御部120は、読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置RP2への光源21の到達よりも早くなると判定した場合、搬送モーター14M(ステッピングモーター)の回転速度を段階的に加減速させる際の条件を定めた加減速テーブル(搬送モーター14Mの回転速度が徐々に変化するように搬送モーター14Mの駆動周波数を1ステップ毎に定めたテーブル)に基づき搬送モーター14Mの回転速度を加減速させ、読取位置RPへの原稿Dの到達を遅らせる。それによって、原稿搬送制御部120は、所定位置P2への光源21の到達以降に読取位置RPに原稿Dを到達させる。
具体的には、原稿搬送制御部120は、読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置P2への光源21の到達よりも早くなると判定した場合、加減速テーブルを参照して、読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置P2への光源21の到達以降になり、かつ、読取位置RPへの原稿Dの到達までに搬送モーター14Mの回転速度が定常速度に戻る、という条件を満たす搬送モーター14Mの加減速ステップ数を検索する。言い換えると、原稿搬送制御部120は、定常速度で回転する搬送モーター14Mを何ステップ加速して減速させれば、読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置P2への光源21の到達以降になり、かつ、読取位置RPへの原稿Dの到達までに搬送モーター14Mの回転速度が定常速度に戻るかを検索する。そして、原稿搬送制御部120は、検索した加減速ステップ数だけ搬送モーター14Mの回転速度を減速して加速させる。
図5を参照して説明すると、原稿搬送制御部120は、まず、検知位置DP3に原稿Dが到達した時点(読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置RP2への光源21の到達よりも早くなると判定した時点)から、定常速度CSで回転する搬送モーター14Mの回転速度を減速させる(原稿Dの搬送速度を減速させる)。その後、原稿搬送制御部120は、搬送モーター14Mの回転速度を加速させる(原稿Dの搬送速度を加速させる)。そして、原稿搬送制御部120は、読取位置RPに原稿Dが到達するまでに搬送モーター14Mの回転速度を減速前の定常速度CSに戻す(原稿Dの搬送速度を定常速度に戻す)。これにより、読取位置RPへの原稿Dの到達が遅れるので、所定位置P2への光源21の到達以降に読取位置RPに原稿Dを到達させることができる。すなわち、原稿到達時間を光源到達時間以上にすることができる。
ただし、原稿搬送制御部120は、読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置P2への光源21の到達以降になり、かつ、読取位置RPへの原稿Dの到達までに搬送モーター14Mの回転速度が定常速度に戻る、という条件を満たすように原稿Dの搬送を遅らせることができない場合、搬送モーター14Mの回転速度を減速した後、搬送モーター14Mの回転速度を加速させることなく、搬送モーター14Mの駆動を停止させる。すなわち、原稿Dの搬送を停止させる。
なお、搬送モーター14Mの回転速度を減速させ過ぎると、読取位置RPへの原稿Dの到達が不必要に遅くなってしまう。したがって、原稿搬送制御部120は、原稿到達時間と光源到達時間との時間差が最も短くなるように、または、原稿到達時間と光源到達時間とが同じとなるように、搬送モーター14Mの回転速度を減速させるステップ数を決定する。
ところで、複数枚の原稿Dを順次搬送して読み取る場合、2ページ目以降の原稿Dの読み取り時には、読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置RP2への光源21の到達よりも早くなるか否かの判定は不要である。なぜなら、1ページ目の原稿Dの読み取りが終了した後、残りの全ページの原稿Dの読み取りが終了するまで、光源21が所定位置P2に保持され続けるためである。したがって、読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置RPへの光源21の到達よりも早くなるか否かの判定は、1ページ目の原稿Dの読み取り時にのみ行う。
以下に、図6および図7を参照して、1ページ目の原稿Dの搬送時の制御の流れを説明する。図6および図7のフローチャートのスタートは、主制御部110から搬送読取ジョブの実行指示を受けた画像読取装置2(原稿搬送制御部120および画像読取制御部130)が搬送読取ジョブを開始するときである。
ステップS1において、画像読取制御部130は、巻取モーター20Mを駆動させ、光源21の待機位置P1から所定位置P2への移動を開始させる。また、原稿搬送制御部120は、給紙モーター13Mを駆動させる(給紙部13に給紙動作を行わせる)とともに、搬送モーター14Mを駆動させる(原稿搬送部14に原稿搬送動作を行わせる)。そして、ステップS2において、原稿搬送制御部120は、原稿検知センサーDS3の出力に基づき、検知位置DP3に原稿Dが到達したか否かを判断する。その結果、検知位置DP3に原稿Dが到達していれば、ステップS3に移行する。一方で、検知位置DP3に原稿Dが到達していなければ、ステップS2の判断を繰り返す。
ステップS3に移行すると、原稿搬送制御部120は、原稿到達時間(検知位置DP3に到達した原稿Dが読取位置RPに到達するのに要する時間)が光源到達時間(光源21が現在位置から所定位置P2に到達するのに要する時間)よりも短くなるか否かを判断する。すなわち、原稿搬送制御部120は、読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置P2への光源21の到達よりも早くなるか否かを判断する。その結果、原稿到達時間が光源到達時間以上になる場合(読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置P2への光源21の到達以降になる場合)には、ステップS4に移行し、原稿到達時間が光源到達時間よりも短くなる場合(読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置P2への光源21の到達よりも早くなる場合)には、ステップS5に移行する。
ステップS3からステップS4に移行した場合、原稿搬送制御部120は、搬送モーター14Mの回転速度を定常速度に保持して原稿Dの搬送を続行させる。なお、このときには、給紙モーター13Mは駆動を停止している。そして、給紙部13の各ローラーは、原稿Dの搬送に従動して回転する。
ステップS3からステップS5に移行した場合、原稿搬送制御部120は、加減速テーブルを参照して、読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置P2への光源21の到達以降になり、かつ、読取位置RPへの原稿Dの到達までに搬送モーター14Mの回転速度が定常速度に戻る、という所定条件を満たす搬送モーター14Mの加減速ステップ数を検索する。そして、ステップS6において、原稿搬送制御部120は、所定条件を満たす搬送モーター14Mの加減速ステップ数の有無を判断する。その結果、所定条件を満たす搬送モーター14Mの加減速ステップ数が有る場合には、ステップS7に移行する。
ステップS7に移行すると、原稿搬送制御部120は、検索した加減速ステップ数だけ搬送モーター14Mの回転速度を減速して加速させ、読取位置RPに原稿Dが到達するまでに搬送モーター14Mの回転速度を減速前の定常速度に戻す。そして、ステップS4に移行し、原稿搬送制御部120は、搬送モーター14Mの回転速度を定常速度に保持して原稿Dの搬送を続行させる。
一方で、ステップS6において、所定条件を満たす搬送モーター14Mの加減速ステップ数が無い場合には、ステップS8に移行する。ステップS8に移行すると、原稿搬送制御部120は、加減速テーブルに基づき搬送モーター14Mの回転速度を減速させ、最終的に搬送モーター14Mの駆動を停止させることによって、原稿Dの搬送を停止させる(搬送読取ジョブを停止させる)。このように原稿Dの搬送を停止させる場合、原稿Dの先端は、検知位置DP3と読取位置RPの間の位置WP(図2参照)に至る。すなわち、原稿Dの先端が搬送ローラー対14cのニップに到達する前に原稿Dの搬送を停止させる。これにより、搬送モーター14Mの駆動を再開したとき(原稿Dの搬送を再開したとき)、原稿Dが読取位置RPに到達するまでに搬送モーター14Mの回転速度が定常速度に戻る(原稿Dの搬送速度が定常速度に戻る)。
この後、ステップS9において、原稿搬送制御部120は、光源21が所定位置P2に到達したか否かを判断する。なお、光源21が所定位置P2に到達したか否かの判断が画像読取制御部130によってなされ、その判断結果が画像読取制御部130から原稿搬送制御部120に通知されてもよい。その結果、光源21が所定位置P2に到達すれば、ステップS10に移行する。一方で、光源21が所定位置P2に到達していなければ、ステップS9の判断を繰り返す。ステップS10に移行すると、原稿搬送制御部120は、搬送モーター14Mの駆動を再開させることによって、原稿Dの搬送を再開させる(搬送読取ジョブを再開させる)。すなわち、原稿搬送制御部120は、加減速テーブルに基づき搬送モーター14Mの回転速度を加速させ、搬送モーター14Mの回転速度を定常速度に到達させる。そして、ステップS4に移行する。
なお、原稿搬送ユニット1は、1ページ目の原稿Dの読み取りが終わった後、原稿セットトレイ11に原稿Dが残っていれば、2ページ目の原稿Dを原稿搬送路10に供給し、原稿搬送路10に沿って2ページ目の原稿Dを搬送する。そして、画像読取部20は、読取位置RPを通過する2ページ目の原稿Dを読み取る。なお、3ページ目以降の原稿Dについても同様である。
このように複数枚の原稿Dを順次搬送して読み取る搬送読取ジョブでは、前ページの原稿Dの読み取りによって得られた画像データを画像処理している最中に次ページの原稿Dが読み取られても、次ページの原稿Dの読み取りによって得られた画像データを画像処理できない。このため、次ページの原稿Dの読取位置RPへの到達は、前ページの原稿Dの読み取りによって得られた画像データの画像処理が終わった後にする必要がある。
したがって、画像読取制御部130は、前ページの原稿Dの読み取りによって得られた画像データに対する画像処理の進捗状況(画像処理部202による画像処理の進捗状況)に基づいて、読取位置RPへの次ページの原稿Dの搬送を許可するか否かを判断する。たとえば、画像読取制御部130は、前ページの原稿Dの読み取りによって得られた画像データの画像処理が終わったとき、前ページの原稿Dが搬送中であっても(前ページの原稿Dの後端が検知位置DP4を通過する前であっても)、読取位置RPへの次ページの原稿Dの搬送許可を発行する。そして、原稿搬送制御部120は、次ページの原稿Dを給紙する。この構成においては、画像読取制御部130が本発明の「許可部」に相当する。
そして、原稿搬送制御部120は、検知位置DP3に原稿Dが到達したとき、画像読取制御部130が読取位置RPへの原稿Dの搬送許可を発行していれば、搬送モーター14Mの回転速度を定常速度に保持したまま原稿Dの搬送を続行させ、画像読取制御部130が読取位置RPへの原稿Dの搬送許可を発行していなければ、搬送モーター14Mの駆動を停止させるために搬送モーター14Mの回転速度を減速させる。
ここで、画像読取制御部130が原稿Dの搬送許可を発行していないことによって搬送モーター14Mの回転速度を減速させた場合、原稿搬送制御部120は、搬送モーター14Mの駆動停止前(搬送モーター14Mの回転速度を減速させている最中)に画像読取制御部130が原稿Dの搬送許可を発行しなければ、そのまま搬送モーター14Mの回転速度を減速させ続け、最終的に搬送モーター14Mの駆動を停止させる。
一方で、原稿搬送制御部120は、搬送モーター14Mの駆動停止前に画像読取制御部130が原稿Dの搬送許可を発行すれば、画像読取制御部130が原稿Dの搬送許可を発行した時点から搬送モーター14Mの回転速度を加速させる。そして、原稿搬送制御部120は、読取位置RPに原稿Dが到達するまでに搬送モーター14Mの回転速度を減速前の定常速度に戻す。すなわち、原稿搬送制御部120は、搬送モーター14Mの駆動を停止させない(原稿Dの搬送を停止させない)。
以下に、図8および図9を参照して、2ページ目以降の原稿Dの搬送時の制御の流れを説明する。図8および図9のフローチャートのスタートは、1ページ目の原稿Dの読み取りが終わったときである。なお、原稿Dの読み取りが終わったときというのは、たとえば、原稿Dの後端が検知位置DP4を通過した時点、あるいは、検知位置DP4に原稿Dの先端が到達してから検知位置DP4を原稿Dの後端が通過し切る前の予め定められた時点である。
ステップS21において、原稿搬送制御部120は、原稿Dの原稿搬送路10への供給を行わせ、その原稿Dを原稿搬送路10に沿って搬送させる。なお、このときには、光源21は既に所定位置P2に保持されている。そして、ステップS22において、原稿搬送制御部120は、原稿検知センサーDS3の出力に基づき、検知位置DP3に原稿Dが到達したか否かを判断する。その結果、検知位置DP3に原稿Dが到達していれば、ステップS23に移行する。一方で、検知位置DP3に原稿Dが到達していなければ、ステップS22の判断を繰り返す。
ステップS23に移行すると、原稿搬送制御部120は、読取位置RPへの原稿Dの搬送許可が発行されているか否かを判断する。その結果、読取位置RPへの原稿Dの搬送許可が発行されている場合には、ステップS24に移行する。ステップS24に移行すると、原稿搬送制御部120は、搬送モーター14Mの回転速度を定常速度に保持して読取位置RPへの原稿Dの搬送を続行させる。
その後、ステップS25において、原稿搬送制御部120は、読取位置RPに搬送した原稿Dの読み取りが終わったか否かを判断する。その結果、原稿Dの読み取りが終わっていれば、ステップS26に移行し、原稿Dの読み取りが終わっていなければ、ステップS25の判断を繰り返す。ステップS26に移行すると、原稿搬送制御部120は、原稿セットトレイ11に未読取の原稿Dが残っているか否かを判断する。その結果、未読取の原稿Dが残っていれば、ステップS21に移行し、未読取の原稿Dが残っていなければ、搬送読取ジョブを終了する。
また、ステップS23において、読取位置RPへの原稿Dの搬送許可が発行されていない場合には、ステップS27に移行する。ステップS27に移行すると、原稿搬送制御部120は、搬送モーター14Mの駆動を停止させるため、加減速テーブルに基づき搬送モーター14Mの回転速度を減速させる。
続いて、ステップS28において、原稿搬送制御部120は、搬送モーター14Mの回転速度の減速開始時点からのステップ数が加減速テーブルに定義された停止ステップ数(定常速度で回転する搬送モーター14Mを停止させるのに必要なステップ数)に到達したか否かを判断する。その結果、ステップ数が停止ステップ数に到達している場合には、ステップS29に移行し、原稿搬送制御部120は、搬送モーター14Mの駆動を停止させる(搬送読取ジョブを停止させる)。
そして、ステップS30において、原稿搬送制御部120は、読取位置RPへの原稿Dの搬送許可が発行されたか否かを判断する。その結果、読取位置RPへの原稿Dの搬送許可が発行されていなければ、ステップS30の判断を繰り返す。一方で、読取位置RPへの原稿Dの搬送許可が発行されていれば、ステップS31に移行し、原稿搬送制御部120は、搬送モーター14Mの駆動を再開させることによって、原稿Dの搬送を再開させる(搬送読取ジョブを再開させる)。すなわち、原稿搬送制御部120は、加減速テーブルに基づき搬送モーター14Mの回転速度を加速させ、搬送モーター14Mの回転速度を定常速度に到達させる。そして、ステップS24に移行する。
また、ステップS28において、ステップ数が停止ステップ数に到達していない場合には、ステップS32に移行する。ステップS32に移行すると、原稿搬送制御部120は、読取位置RPへの原稿Dの搬送許可が発行されたか否かを判断する。その結果、読取位置RPへの原稿Dの搬送許可が発行されていなければ、ステップS27に移行し、原稿搬送制御部120は、加減速テーブルに基づき搬送モーター14Mの回転速度を減速させ続ける。一方で、読取位置RPへの原稿Dの搬送許可が発行されていれば、ステップS33に移行し、原稿搬送制御部120は、搬送モーター14Mの回転速度を加速させ、搬送モーター14Mの回転速度を減速前の定常速度に戻す(搬送モーター14Mの駆動を停止させない)。そして、ステップS24に移行する。
ところで、原稿Dの搬送中に紙滑りなどが発生すると、検知位置DP3への原稿Dの実際の到達時点である実際到達時点が予め定められた予定到達時点よりも遅くなる場合がある。この場合には、生産性の低下(搬送読取ジョブの開始から終了までの時間の増大)を抑制するため、以下のように原稿Dの搬送速度を制御してもよい。
具体的には、原稿搬送制御部120は、検知位置DP3への原稿Dの到達を検知したとき、検知位置DP3への原稿Dの実際到達時点が予定到達時点よりも遅いか否かを判定する。たとえば、原稿搬送制御部120は、検知位置DP3よりも原稿搬送方向上流側の検知位置(たとえば、検知位置DP2)で原稿Dの到達を検知してから検知位置DP3で原稿Dの到達を検知するまでにかかった時間が予め定められた閾値時間を超えていれば、検知位置DP3への原稿Dの実際到達時点が予定到達時点よりも遅いと判定する。なお、原稿搬送制御部120は、検知位置DP2で原稿Dの到達を検知してから検知位置DP3で原稿Dの到達を検知できなければ、ジャムが発生したと判断し、原稿Dの搬送を停止させる。
原稿搬送制御部120は、検知位置DP3への原稿Dの実際到達時点が予定到達時点よりも遅いと判定した場合、まず、定常速度で回転する搬送モーター14Mの回転速度を加速させる(原稿Dの搬送速度を加速させる)。その後、原稿搬送制御部120は、搬送モーター14Mの回転速度を減速させる(原稿Dの搬送速度を減速させる)。そして、原稿搬送制御部120は、読取位置RPに原稿Dが到達するまでに搬送モーター14Mの回転速度を加速前の定常速度に戻す(原稿Dの搬送速度を定常速度に戻す)。
本実施形態の画像読取装置2は、上記のように、原稿Dを搬送し、搬送中の原稿Dを読み取る搬送読取ジョブの実行が可能な画像読取装置であって、搬送中の原稿Dを読み取るための読取位置RPに繋がる原稿搬送路10、原稿搬送路10に沿って原稿Dを搬送するための搬送ローラー対14a〜14e(搬送ローラー)、および、搬送ローラー対14a〜14eを回転させるための搬送モーター14M、を含み、搬送読取ジョブの実行時に読取位置RPに原稿Dを搬送する原稿搬送ユニット1と、搬送読取ジョブの実行時に予め定められた所定位置P2で点灯することによって、読取位置RPを通過する原稿Dを照射する光源21と、搬送読取ジョブが実行されていないときには光源21を予め定められた待機位置P1に保持し、搬送読取ジョブが開始されるときに光源21を待機位置P1から所定位置P2に移動させて保持する駆動機構26と、搬送読取ジョブの実行時に光源21により照射された原稿Dからの反射光を受光することによって、読取位置RPを通過する原稿Dを読み取るイメージセンサー22と、原稿搬送路10のうち読取位置RPよりも原稿搬送方向上流側に設定された検知位置DP3において原稿Dの到達を検知するための原稿検知センサーDS3と接続され、原稿検知センサーDS3の出力に基づき検知位置DP3に原稿Dが到達したことを検知したとき、読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置P2への光源21の到達よりも早くなるか否かを判定する原稿搬送制御部120(判定部)と、を備える。そして、読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置P2への光源21の到達よりも早くなると原稿搬送制御部120が判定した場合、原稿搬送ユニット1は、搬送モーター14Mの回転速度を所定速度まで減速させた後に搬送モーター14Mの回転速度を加速させ、読取位置RPに原稿Dが到達するまでに搬送モーター14Mの回転速度を減速前の定常速度に戻すことによって、所定位置P2への光源21の到達以降に読取位置RPに原稿Dが到達するように、読取位置RPへの原稿Dの到達を遅らせる。
本実施形態の構成では、原稿搬送路10のうち読取位置RPよりも原稿搬送方向上流側に設定された検知位置DP3に原稿Dが到達したとき、読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置P2(搬送読取ジョブの実行時に光源21を保持しておくべき位置)への光源21の到達よりも早くなるか否かを判定する。そして、読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置P2への光源21の到達よりも早くなる場合には、搬送モーター14Mの回転速度を所定速度まで減速させた後に搬送モーター14Mの回転速度を加速させ、読取位置RPに原稿Dが到達するまでに搬送モーター14Mの回転速度を減速前の定常速度に戻す。これにより、読取位置RPへの原稿Dの到達が遅れるので、所定位置P2への光源21の到達以降に読取位置RPに原稿Dを到達させることができる。
ここで、この構成では、読取位置RPへの原稿Dの到達を遅らせるために搬送モーター14Mの回転速度を所定速度まで減速させるが、搬送モーター14Mの駆動は停止させない(搬送モーター14Mの駆動停止前に搬送モーター14Mの回転速度を加速させて減速前の定常速度に戻す)。すなわち、読取位置RPへの原稿Dの搬送を停止させない。したがって、読取位置RPへの原稿Dの到達を遅らせたとしても、生産性の低下(搬送読取ジョブの開始から原稿Dの読み取りが終わるまでの時間の増大)を抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、原稿搬送制御部120は、検知位置DP3に原稿Dが到達したとき、光源21が現在位置から所定位置P2に到達するのに要する光源到達時間と、検知位置DPに到達した原稿Dが読取位置RPに到達するのに要する原稿到達時間と、を求め、原稿到達時間が光源到達時間よりも短ければ、読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置P2への光源21の到達よりも早くなると判定する。このように構成すれば、容易に、読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置P2への光源21の到達よりも早くなるか否かの判定を行える。
また、本実施形態では、上記のように、搬送モーター14Mはステッピングモーターであり、その搬送モーター14Mの回転速度を段階的に加減速させる際の条件を定めた加減速テーブルが記憶部122に記憶される。原稿搬送制御部120は、読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置P2への光源21の到達よりも早くなると判定した場合、加減速テーブルを参照して、読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置P2への光源21の到達以降になり、かつ、読取位置RPへの原稿Dの到達までに搬送モーター14Mの回転速度が定常速度に戻る、という条件を満たす搬送モーター14Mの加減速ステップ数を検索する。そして、読取位置RPへの原稿Dの到達が所定位置P2への光源21の到達よりも早くなると原稿搬送制御部120部が判定した場合、原稿搬送ユニット1は、原稿搬送制御部120が検索した加減速ステップ数だけ搬送モーター14Mの回転速度を減速して加速させる。このように構成すれば、容易に、読取位置RPへの原稿Dの到達を所定位置P2への光源21の到達以降にすることができ、読取位置RPへの原稿Dの到達までに搬送モーター14Mの回転速度を定常速度に戻すことができる。
さらに、原稿搬送制御部120は、搬送モーター14Mの加減速ステップ数を検索するとき、原稿到達時間と光源到達時間との時間差が最も短くなる、または、原稿到達時間と光源到達時間とが同じになる搬送モーター14Mの加減速ステップ数を検索する。このように構成すれば、読取位置RPへの原稿Dの到達を遅らせたとしても、その遅れ時間を最小限に抑えることができる。
また、本実施形態では、上記のように、原稿Dの読み取りによって得られた画像データを画像処理する画像処理部202と、前ページの原稿Dの読み取りによって得られた画像データに対する画像処理の進捗状況に基づき、次ページの原稿Dの読取位置RPへの搬送を許可するか否かを判断する画像読取制御部130(許可部)と、を備える。そして、検知位置DP3に原稿Dが到達したことを原稿搬送制御部120が検知したとき、読取位置RPへの原稿Dの搬送許可を画像読取制御部130が発行していなければ、原稿搬送ユニット1は、搬送モーター14Mの駆動を停止させるために搬送モーター14Mの回転速度を減速させ、搬送モーター14Mの駆動停止前に読取位置RPへの原稿Dの搬送許可を画像読取制御部130が発行すると、読取位置RPへの原稿Dの搬送許可を画像読取制御部130が発行した時点から搬送モーター14Mの回転速度を加速させて定常速度に戻す。このように構成すれば、搬送モーター14Mの駆動が停止しない(原稿Dの搬送が停止しない)ので、読取位置RPへの原稿Dの到達が遅くなるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、原稿搬送制御部120は、検知位置DP3に原稿Dが到達したとき、検知位置DP3への原稿Dの実際の到達時点である実際到達時点が予め定められた予定到達時点よりも遅いか否かを判定する。そして、実際到達時点が予定到達時点よりも遅いと原稿搬送制御部120が判定した場合、原稿搬送ユニット1は、搬送モーター14Mの回転速度を加速させた後、搬送モーター14の回転速度を減速させ、読取位置RPに原稿Dが到達するまでに搬送モーター14Mの回転速度を加速前の定常速度に戻す。このように構成すれば、紙滑りなどが発生して検知位置DPへの原稿Dの到達が遅れても、読取位置RPへの原稿Dの到達が遅くなるのを抑制することができる。
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。