図1から図16を参照して、実施の形態における駆動装置について説明する。本実施の形態における駆動装置は、内燃機関を備える。本実施の形態においては、車両に取り付けられている火花点火式の内燃機関を例示して説明する。本実施の形態における内燃機関は、機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構を備える。
図1は、実施の形態における内燃機関の概略図である。内燃機関は、機関本体90を備える。機関本体90は、クランクケース1を含む支持構造物を含む。支持構造物は、クランクシャフトを支持するように形成されている。機関本体90は、シリンダブロック2およびシリンダヘッド3を含む。シリンダブロック2の内部に形成された穴部には、ピストン4が配置されている。燃焼室5の頂面の中央部には、点火栓6が配置されている。本発明においては、任意のピストン4の位置において、ピストン4の冠面、シリンダブロック2の穴部、およびシリンダヘッド3に囲まれる空間を燃焼室と称する。
シリンダヘッド3には、吸気ポート8および排気ポート10が形成されている。吸気ポート8の端部には吸気弁7が配置されている。吸気弁7は、吸気カム49が回転することにより開閉する。排気ポート10の端部には、排気弁9が配置されている。吸気ポート8は、吸気枝管11を介してサージタンク12に連結されている。吸気枝管11には対応する吸気ポート8内に向けて燃料を噴射するための燃料噴射弁13が配置されている。なお、燃料噴射弁13は吸気枝管11に取付ける代りに、燃焼室5に直接的に燃料を噴射するように配置されていても構わない。
サージタンク12は、吸気ダクト14を介してエアクリーナ15に連結されている。吸気ダクト14の内部にはアクチュエータ16によって駆動されるスロットル弁17が配置されている。また、吸気ダクト14の内部には、例えば熱線を用いた吸入空気量検出器18が配置されている。一方、排気ポート10は、排気マニホールド19を介して例えば三元触媒を内蔵した触媒装置20に連結されている。排気マニホールド19には空燃比センサ21が配置されている。
本実施の形態における内燃機関は、ピストン4が上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更可能な可変圧縮比機構Aを備える。可変圧縮比機構Aは、クランクケース1に対するシリンダブロック2のシリンダ軸線方向における相対位置を変化させるように形成されている。クランクケース1とシリンダブロック2との間には、付勢部材としてのスプリング65が配置されている。スプリング65は、クランクケース1から離れる向きにシリンダブロック2を付勢するように形成されている。
クランクケース1とシリンダブロック2には、クランクケース1に対するシリンダブロック2の相対位置を検出するための相対位置センサ22が取付けられている。相対位置センサ22からはクランクケース1とシリンダブロック2との間隔の変化を示す出力信号が出力される。スロットル弁駆動用のアクチュエータ16にはスロットル弁開度を示す出力信号を発生するスロットル開度センサ24が取付けられている。
本実施の形態における内燃機関の制御装置は、電子制御ユニット30を含む。本実施の形態における電子制御ユニット30は、デジタルコンピュータを含む。デジタルコンピュータは、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35および出力ポート36を含む。
吸入空気量検出器18、空燃比センサ21、相対位置センサ22およびスロットル開度センサ24の出力信号は夫々対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。また、アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続されている。負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。負荷センサ41の出力により要求負荷を検出することができる。更に、入力ポート35にはクランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続されている。クランク角センサ42の出力により、任意の時刻におけるクランク角度および機関回転数を検出することができる。
一方、出力ポート36は、対応する駆動回路38を介して点火栓6、燃料噴射弁13、スロットル弁駆動用のアクチュエータ16、および可変圧縮比機構Aに接続される。これらの装置は、電子制御ユニット30により制御されている。
図2に、本実施の形態における可変圧縮比機構の分解斜視図を示す。図3に本実施の形態における可変圧縮比機構の第1の概略断面図を示す。図2および図3を参照して、シリンダブロック2の両側壁の下方には互いに間隔を隔てた複数個の突出部50が形成されている。各突出部50には断面形状が円形のカム挿入孔51が形成されている。一方、クランクケース1の上壁には互いに間隔を隔てて、突出部50同士の間に嵌合される複数個の突出部52が形成されている。これらの突出部52にも断面形状が円形のカム挿入孔53が形成されている。
本実施の形態における可変圧縮比機構は、一対のカムシャフト54,55を含む。カムシャフト54,55は、クランクケース1とシリンダブロック2との間に介在する。各カムシャフト54,55上には、一つおきに各カム挿入孔53内に回転可能に挿入される円形カム58が配置されている。これらの円形カム58は各カムシャフト54,55の回転軸線と共軸をなす。一方、各円形カム58の両側には、図3に示すように各カムシャフト54,55の回転軸線に対して偏心して配置された偏心軸57が延びている。この偏心軸57には、別の円形カム56が偏心して回転可能に取付けられている。図2に示されるように、円形カム56は、各円形カム58の両側に配置されている。これらの円形カム56は対応する各カム挿入孔51に回転可能に挿入されている。シリンダブロック2は、偏心軸57を含むカムシャフト54,55を介して、クランクケース1に支持されている。
図4に、本実施の形態における可変圧縮比機構の第2の概略断面図を示す。図5に、本実施の形態における可変圧縮比機構の第3の概略断面図を示す。図3から図5は、通常運転において機械圧縮比を変更するときの可変圧縮比機構の機能を説明する断面図である。図3に示す状態から各カムシャフト54,55上に配置された円形カム58を矢印68に示すように、互いに反対方向に回転させると偏心軸57が互いに近づく方向に移動する。偏心軸57は、それぞれのカムシャフト54,55の回転軸線の周りに回転する。シリンダブロック2は、矢印67に示すようにクランクケース1から離れる向きに移動する。
このときに円形カム56は、カム挿入孔51内において円形カム58とは反対方向に回転し、図4に示されるように偏心軸57が低い位置から中間高さ位置となる。次いで更に円形カム58を矢印68で示される方向に回転させると、シリンダブロック2は、矢印67に示すように更にクランクケース1から離れる向きに移動する。この結果、図5に示されるように偏心軸57は最も高い位置となる。
図3から図5には、それぞれの状態における円形カム58の中心aと偏心軸57の中心bと円形カム56の中心cとの位置関係が示されている。図3から図5を比較するとわかるように、クランクケース1とシリンダブロック2の相対位置は円形カム58の中心aと円形カム56の中心cとの距離によって定まる。円形カム58の中心aと円形カム56の中心cとの距離が大きくなるほど、シリンダブロック2はクランクケース1から離れる。即ち、可変圧縮比機構Aは回転するカムを用いたリンク機構によりクランクケース1とシリンダブロック2との間の相対位置が変化する。
シリンダブロック2がクランクケース1から離れると、ピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積は増大する。シリンダブロック2がクランクケース1に近づくと、ピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積は減少する。従って各カムシャフト54,55を回転させることによってピストン4が上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更することができる。
本実施の形態における可変圧縮比機構は、ピストンが上死点に到達したときの燃焼室5の容積を変更するための偏心軸57を回転させる偏心軸回転装置を含む。図2に示されるように、偏心軸回転装置は、モータ59、クラッチ70およびウォーム61,62等を含む。回転軸60にはカムシャフト54,55を夫々反対方向に回転させるように、螺旋方向が逆向きの一対のウォーム61,62が取付けられている。ウォーム61,62と噛合するウォームホイール63,64が夫々各カムシャフト54,55の端部に固定されている。
モータ59を駆動することによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を広い範囲に亘って変更することができる。可変圧縮比機構は、電子制御ユニット30に制御されており、カムシャフト54,55を回転させるモータ59は、対応する駆動回路38を介して出力ポート36に接続されている。
このように、本実施の形態における可変圧縮比機構は、クランクケース1に対してシリンダブロック2が相対的に移動することにより、ピストンが上死点に到達したときの燃焼室5の容積が可変に形成されている。本実施の形態においては、下死点から上死点までのピストンの行程容積とピストンが上死点に到達したときの燃焼室の容積のみから定まる圧縮比を機械圧縮比と称する。機械圧縮比は、吸気弁の閉弁時期等に依存せずに、(機械圧縮比)=(ピストンが上死点に到達したときの燃焼室の容積+ピストンの行程容積)/(ピストンが上死点に到達したときの燃焼室の容積)にて示すことができる。
図3に示す状態では、燃焼室5の容積が小さくなっており、機械圧縮比が高い状態である。吸入空気量が常時一定の場合には実際の圧縮比が高くなる。これに対して、図5に示す状態では、燃焼室5の容積が大きくなっており、機械圧縮比が低い状態である。吸入空気量が常時一定の場合には実際の圧縮比が低くなる。
本実施の形態における内燃機関は、運転期間中に機械圧縮比を変更することにより、実際の圧縮比を変更することができる。内燃機関の運転状態に応じて、可変圧縮比機構により機械圧縮比を変更することができる。たとえば、要求負荷が大きくなるほど、吸入空気量が多くなりノッキング等の異常燃焼が生じやすくなる。このために、予め定められた運転領域において、要求負荷が大きくなるほど機械圧縮比を低下させる制御を行うことができる。
図3から図5を参照して、偏心軸57は、カムシャフト54,55の回転軸、すなわち円形カム58の回転軸を中心に回転する。機械圧縮比を低下させる場合には、偏心軸57を矢印68に示す向きに回転させる。機械圧縮比を上昇させる場合には、偏心軸57を矢印69に示す向きに回転させる。
本実施の形態においては、クランクケース1に対してシリンダブロック2を離す向きに相対移動させるときの偏心軸57の回転方向を、一方の回転方向と称する。また、クランクケース1に対してシリンダブロック2を近づける向きに相対移動させるときの偏心軸57の回転方向を他方の回転方向と称する。本実施の形態においては、矢印68が一方の回転方向であり、矢印69が他方の回転方向である。
図2を参照して、本実施の形態における可変圧縮比機構は、モータ59の回転力をカムシャフト54,55に伝達する駆動力伝達経路に配置されているクラッチ70を含む。本実施の形態におけるクラッチ70は、入力側がモータ59の回転力を伝達する回転軸66に接続され、出力側がウォーム61,62を支持する回転軸60に接続されている。
本実施の形態におけるクラッチ70は、いわゆる逆入力遮断クラッチである。本実施の形態における逆入力遮断クラッチは、入力軸からの回転力を出力軸に伝達し、出力軸からの回転力を遮断するように形成されている。すなわち、クラッチ70は、モータ59から伝達される回転軸66の回転力はウォーム61,62に伝達し、ウォーム61,62から伝達される回転軸60の回転力は遮断して、モータ59に伝達しない構造を有する。
図6に、本実施の形態におけるクラッチ70の第1の概略断面図を示す。図7に、本実施の形態におけるクラッチ70の第2の概略断面図を示す。図7は、図6におけるX線に沿って切断したときの概略断面図である。
図6および図7を参照して、本実施の形態のクラッチ70は、外輪77を含む。外輪77は、ねじ85によりハウジング78に固定されている。外輪77は、クラッチ70が駆動している期間中にも移動せずに固定されている。クラッチ70は、出力軸74を有する。出力軸74は、ウォーム61,62が固定されている回転軸60に接続されている。出力軸74は、回転中心軸88を回転中心にして回転する。出力軸74は、穴部75を有する。穴部75は、出力軸74が回転する周方向に沿って複数個が形成されている。本実施の形態における出力軸74は、断面形状が多角形に形成されている。図6に示す例では、出力軸74は、断面形状が正八角形に形成されている。
クラッチ70は、入力軸71を含む。入力軸71は、回転中心軸88を回転中心にして回転する。入力軸71は、モータ59の回転力を伝達する回転軸66に接続されている。入力軸71は、挿入部72と保持部73とを有する。挿入部72および保持部73は、一体的に回転する。
複数の挿入部72は、出力軸74の複数の穴部75に対応する位置に形成されている。挿入部72は、出力軸74の穴部75に挿入されている。穴部75の内径は挿入部72の外径よりも大きくなるように形成されている。挿入部72と穴部75との間には隙間が形成されている。複数の保持部73は、外輪77と出力軸74との間に配置されている。また、保持部73はローラ80a,80bに対向し、偏心軸57が一方の回転方向に回転する向きに入力軸71が回転したときにローラ80aを押圧し、偏心軸57が他方の回転方向に回転する向きに入力軸71が回転したときにローラ80bを押圧するように形成されている。
出力軸74と外輪77との間の空間には、ローラ80a,80bが配置されている。本実施の形態におけるローラ80a,80bは円柱状に形成されている。ローラ80aとローラ80bとの間には、スプリング81が配置されている。スプリング81は、ローラ80a,80bを互いに離す向きに付勢する。
出力軸74と外輪77とにより、ローラ80a,80bを係止させるための係止部86a,86bが形成される。係止部86a,86bは、ローラ80a,80bが付勢されている向きに沿って、出力軸74の端面と外輪77の内面との間隔が徐々に狭くなっている部分である。また、係止部86a,86bは、ローラ80a,80bが通過しないように狭く形成されている。
なお、本実施の形態におけるクラッチ70は、モータ59と、ウォーム62との間に配置されているが、この形態に限られず、モータ59の回転力を偏心軸57に伝達する駆動力伝達経路に配置することができる。例えば、クラッチ70は、ウォームホイール63,64と、カムシャフト54,55との間に配置されていても構わない。この場合には、それぞれのカムシャフト54,55に対してクラッチが配置される。
次に、本実施の形態おけるクラッチ70の動作について説明する。本実施の形態におけるクラッチ70は、モータ59の回転力が入力軸71に入力されると、この回転力を出力軸74に伝達する。一方で、クラッチ70は、カムシャフト54,55の側からの回転力が出力軸74に伝達されると、ロックされてこの回転力を遮断する。特に、クラッチ70は、偏心軸57が一方の回転方向に回転する向きにてウォーム61,62から回転力が伝達されると、この回転力を遮断する。
図1を参照して、本実施の形態においては、スプリング65によって、シリンダブロック2がクランクケース1から離れる向きに付勢されている。内燃機関の運転期間中には、重力の影響や燃焼サイクルの吸気行程において燃焼室5が負圧になる影響により、クランクケース1に対してシリンダブロック2が近づく向きに力が作用する。しかしながら、スプリング65が配置されることにより、クランクケース1に対してシリンダブロック2が離れる向きに常に付勢され、シリンダブロック2に振動等が生じることを抑制できる。更に、燃焼室5において燃料の燃焼が行なわれごとに、筒内圧によりクランクケース1に対してシリンダブロック2が離れる方向に力が作用する。
シリンダブロック2がクランクケース1から離れる向きの回転力は、カムシャフト54,55、ウォームホイール63,64およびウォーム61,62を介してクラッチ70に伝達される。図6を参照して、矢印100は、クランクケース1に対してシリンダブロック2が上昇する方向に対応する方向である。すなわち、機械圧縮比が小さくなり、ピストン4が上死点に到達したときの燃焼室5が大きくなる回転方向を示している。シリンダブロック2にはクランクケース1に対して離れる方向に常に力が加わり、出力軸74には矢印100に示す向きに力が加わっている。
ローラ80aは、スプリング81に押圧されて係止部86aに接触している。このために、ローラ80aに楔の効果が生じて、外輪77に対する出力軸74の回転が阻止され、出力軸74がロックされる。このように、クラッチ70は、クランクケース1に対してシリンダブロック2が離れる方向に対応する出力側からの回転力を遮断することができる。また、同様に、矢印100と反対向きの回転力が出力軸74に加わった場合には、ローラ80bが係止部86bに接触して出力軸74がロックされる。クラッチ70は、モータ59を駆動しない場合に、ローラ80a,80bが係止部86a,86bに係止して出力軸74をロックする。
図8は、機械圧縮比を低下させるときの動作を説明するクラッチ70の第1の概略断面図である。機械圧縮比を低下させる場合には、クランクケース1に対してシリンダブロック2を離す向きに移動させる。モータ59を駆動することにより、入力軸71の挿入部72は、矢印101に示す向きに回転する。挿入部72が穴部75の内面に接触する前に、保持部73がローラ80aに接触する。
図9は、機械圧縮比を低下させるときの動作を説明するクラッチ70の第2の概略断面図である。入力軸71を更に回転させることにより、保持部73がローラ80aを押圧する。ローラ80aは、係止部86aから離れる。すなわち、ローラ80aのくさび効果が消失する。このため、出力軸74は、ロックが解除され、外輪77に対して矢印101に示す方向に回転可能になる。入力軸71の挿入部72が、矢印101に示す向きに回転することにより、挿入部72が出力軸74の穴部75を押圧し、出力軸74を回転させることができる。このときに、出力軸74は、ローラ80bが係止部86bから離れる向きに回転するためにローラ80bによるロックも解除される。
図10は、機械圧縮比を上昇させるときの動作を説明するクラッチ70の概略断面図である。機械圧縮比を上昇させる場合には、クランクケース1に対してシリンダブロック2を近づける向きに移動させる。モータ59を駆動することにより、入力軸71の挿入部72および保持部73を、矢印102に示す向きに回転させる。
入力軸71の挿入部72および保持部73を矢印102に示す向きに回転させることにより、保持部73がローラ80bを押圧する。ローラ80bが係止部86bから脱離してローラ80bのくさび効果が消失する。次に、入力軸71の挿入部72が出力軸74の穴部75を押圧することにより、入力軸71の回転力を出力軸74に伝達することができる。出力軸74は、矢印102に示す向きに回転する。このときに、出力軸74は、ローラ80aが係止部86aから離れる向きに回転するために、ローラ80aによるロックも解除される。このように、入力軸71の回転力を出力軸74に伝達することができる。
図11に、本実施の形態における第1の駆動装置の概略図を示す。本実施の形態の第1の駆動装置は、内燃機関の機関本体90に接続されている無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)を含む。第1の駆動装置においては、無段変速機95aが内燃機関の機関回転数を調整する回転数調整手段として機能する。無段変速機95aは、機関本体90から出力されるトルク(回転力)を増大するとともに回転数を減少させる機能を有する。
無段変速機95aは、変速比Iを連続的に変更可能に形成されている。変速比Iは、たとえば、車軸96の回転数に対する機関本体90の機関回転数の比にて示される。変速比Iが大きくなるほど車軸96に伝達されるトルクが大きくなり、車軸96の回転数が減少する。無段変速機95aは、たとえば、2つの可変径プーリが互いに対向して配置され、2つの可変径プーリをベルトにて連結した構造を有する。プーリの径を変更することにより、変速比を変更することができる。機関本体90のトルクは、無段変速機95aにより増幅されて車軸96に出力される。車軸96が回転することにより車輪89が回転する。
ところで、前述の通り、シリンダブロック2には燃焼室5の容積が大きくなる向きに燃焼時の力が作用する。また、シリンダブロック2とクランクケース1との間に配置されたスプリング65により、シリンダブロック2にはクランクケース1から離れる向きの力が作用している。
図10を参照して、機械圧縮比を上昇させる場合には、入力軸71が矢印102に示す向きに回転する。入力軸71の回転方向は、矢印100に示す出力軸74に加わる回転力の方向と反対向きになるために、入力軸71の挿入部72が出力軸74の穴部75に接触した状態が維持される。
これに対して、機械圧縮比を低下させる場合には、図8および図9を参照して、入力軸71が矢印101に示す向きに回転する。入力軸71の回転方向は、矢印100に示す出力軸74に加わる回転力の方向と同じになる。出力軸74に加わる回転力は、筒内圧に依存する。筒内圧が高くなるほど出力軸74に加わる回転力が大きくなる。出力軸74に加わる回転力が大きくなるほど出力軸74の回転速度が速くなる。このために、所定の内燃機関の運転状態においては、モータ59による入力軸71の回転速度よりも出力軸74の回転速度が速くなる場合がある。
この場合には、図9に示すローラ80aが係止部86aから脱離している状態から図6に示すローラ80aが係止部86aに係止する状態になり、出力軸74がロックされる。本実施の形態においては、このようなクラッチ70のロックを追いつきロックと称する。この後に、モータ59による入力軸71の駆動により、再びローラ80aが係止部86aから脱離してロック状態が解消される。しかしながら、所定の時間の経過後には、再び出力軸74がロックされる。このように、機械圧縮比を低下させる期間中にクラッチ70のロックおよびロックの解除が繰り返されて、この結果、駆動ギヤの歯打ち音による騒音が生じる場合がある。本実施の形態においては、ウォーム61,62とウォームホイール63,64との歯打ち音が生じる場合がある。
図12に、本実施の形態における内燃機関の運転状態を説明するグラフを示す。横軸は機関回転数NEを示し、縦軸は機関本体90が出力するトルクTEを示している。機関本体90が出力するトルクは、内燃機関の負荷または吸入空気量に対応する。本実施の形態の内燃機関においては、クラッチ70の追いつきロックに起因する騒音が問題になる運転領域が予め設定されている。
内燃機関の運転領域は、機械圧縮比を低下させる場合のクラッチ70のロックに関連して領域Aから領域Cに区画されている。内燃機関のトルクが小さな領域では、燃焼室5での燃料の燃焼量が少なく筒内圧が比較的低くなる。このために、クラッチ70の出力軸74に加わる回転力は小さくなり、機械圧縮比を低下している期間中に出力軸74の回転速度が入力軸71の回転速度を超えることが回避される。この運転領域は、領域Aにて示されており、本実施の形態では機械圧縮比を低下させる制御が許可された領域である。
領域Aよりも内燃機関のトルクが大きな領域では、筒内圧の上昇によりクラッチ70の出力軸74に加わる回転力が大きくなり、出力軸74の回転速度が入力軸71の回転速度よりも大きくなり、追いつきロックが発現する。本実施の形態においては、この運転領域を特定運転領域と称する。特定運転領域は、領域Bおよび領域Cに示されている。
領域Bは、機械圧縮比を低下させると圧縮比可変機構からの騒音が発生する第1領域であり、騒音発生領域である。従って、領域Bの内部では、機械圧縮比を低下させないことが好ましい。領域Bよりも更に内燃機関のトルクが大きな領域Cでも追いつきロックが発現する。しかしながら、機関本体90自体の騒音が大きくなるためにクラッチ70の追いつきロックに起因する騒音は問題にならない。この領域Cは、機械圧縮比を低下した時に圧縮比可変機構から発生する騒音が許容される第2領域であり、騒音許容領域になる。
ここで、機関回転数が上昇すると、機関本体90自体の騒音も大きくなる。このために、領域Cは、機関回転数が大きくなるほど内燃機関のトルクの範囲が大きくなっている。すなわち、機関回転数が大きくなるほど、騒音許容領域の内燃機関のトルクの下限が小さくなっている。
図12には、内燃機関の運転状態の例として、状態1、状態2および状態3が示されている。ここでの運転例では、現在の運転状態が状態1である場合に、駆動装置の要求負荷が増加して状態3に移行する。すなわち、騒音発生領域である領域Bから騒音許容領域である領域Cへの移行を行う。領域Bから領域Cへの移行に伴って、機械圧縮比は低下するように制御される。
比較例の運転制御では、内燃機関の要求負荷が増加すると、機械圧縮比を低下して吸入空気量が増加される。矢印105に示すように、機関回転数NEおよび内燃機関のトルクTEが増大する。ところが、状態1は領域B(騒音発生領域)の内部に存在するために、領域Bの内部で機械圧縮比を低下すると圧縮比可変機構にて騒音が生じる。
これに対して本実施の形態における運転制御では、矢印106,107に示すように状態1から状態3に直接的に移行せずに、状態2を経由して状態3に移行させる制御を行う。機械圧縮比の低下は、領域Cに進入した後に行う。
図13に、状態1から状態3に移行するときの車軸に加えられるトルクを説明するグラフを示す。縦軸は車軸96に加えられるトルクであり、無段変速機95aから出力されるトルクである。図14に、状態1から状態3に移行するときの無段変速機の変速比を説明するグラフを示す。
図12から図14を参照して、状態1から状態2への移行においては、内燃機関のトルクをほぼ一定に保ちながら、機関回転数を回転数NE1から回転数NE2に上昇させる制御を行う。第1の駆動装置においては、無段変速機95aの変速比を増大することにより、車軸96に加えられるトルクを増大する。状態1から状態2に移行する時には、吸入空気量が、ほぼ一定に保たれるが機関回転数が増大するため、車軸96に加えられるトルクは、要求負荷に応じて速やかに増大する。
状態1から状態2への移行期間中には、機械圧縮比を変化させずに一定に維持する。ノッキングなどの異常燃焼は、機関回転数が大きくなるほど発現しにくくなる。状態1から状態2に移行することにより、機関回転数が増加して異常燃焼が発現しにくい状態に移行することができる。
次に、矢印107に示すように、状態2から状態3に移行する。状態2から状態3への移行においては、内燃機関のトルクを増大させる。異常燃焼が発現しにくい状態になっているために、内燃機関のトルクを上昇させることができる。例えば、吸入空気量を増大させることにより、内燃機関のトルクを増大させる。更に機関回転数も回転数NE2から回転数NE3に上昇する。また、状態2から状態3に移行するときには、無段変速機に95aの変速比を減少させる制御を行う。本実施の形態においては、状態2から状態3に移行するときに、変速比を元に戻す制御を行う。このように、内燃機関のトルクを増大させると共に無段変速機に95aの変速比を減少させることにより、車軸96に加えられるトルクがほぼ一定に保たれる。
内燃機関の運転状態が状態2から状態3に向かって変化することにより、騒音発生領域である領域Bから騒音許容領域である領域Cに移行することができる。本実施の形態においては、状態3に到達した後に機械圧縮比を目標の機械圧縮比まで低下させる制御を行う。なお、機械圧縮比の低下は、この形態に限られず、内燃機関の運転状態を検出し、内燃機関の運転状態が、領域Cに進入すると共に機械圧縮比の低下を開始しても構わない。
このように、本実施の形態においては、騒音発生領域にて運転している期間中に、要求負荷が増加して、機械圧縮比を低下させる場合には、無段変速機により機関回転数を上昇させて、ノッキングが生じにくい状態に移行させ、そして、吸入空気量を増大させている。機械圧縮比の低下は、領域Cに進入した後に行っている。この制御を行うことにより、要求負荷の増大に対して、車軸に供給するトルクを速やかに増大させる事ができて、所望の加速を得ることができる。また、騒音許容領域の内部にて機械圧縮比を低下させるために、圧縮比可変機構における追いつきロックに起因する騒音が問題になることを回避できる。
他の比較例としては、クラッチの出力軸の回転速度が入力軸の回転速度よりも大きくなり、追いつきロックが発生しそうな場合には、燃焼室5において燃料の供給を停止する制御を行うことができる。しかしながら、このような場合には、車軸に加えられるトルクが小さくなり加速が鈍る。この結果、運転操作感覚が悪化する。これに対して、本実施の形態の駆動装置においては、要求負荷に応じて速やかに加速することができて、良好な運転操作感覚を得ることができる。
また、図12に示す運転例の他に機械圧縮比を低下させる制御として、領域Aの内部にて運転状態を移行する場合がある。すなわち、移行前および移行後の運転状態が共に領域Aに含まれる場合がある。この場合には、クラッチ70の追いつきロックは生じないために、要求負荷が増加した場合には、機械圧縮比を低下させると共に吸入空気量を増大させる制御を行うことができる。また、領域Cの内部にて運転状態を移行する場合がある。この場合には、騒音許容領域の内部にて運転状態を移行するために、要求負荷が増加した場合には、機械圧縮比を低下させると共に吸入空気量を増大させる制御を行うことができる。
また、内燃機関の運転状態が領域Aから領域Bに移行する場合においては、機械圧縮比の低下が完了した後に吸入空気量を増大することができる。たとえば、要求負荷が増加したら機械圧縮比を低下させることができる。そして、機械圧縮比を目標機械圧縮比まで低下した後に、吸入空気量を増大することができる。この制御により、領域Aの内部において機械圧縮比を低下させることができて、追いつきロックに起因する騒音の発生を回避することができる。
また、内燃機関の運転状態の移行としては、領域Aの内部から領域Cの内部に移行する場合がある。この場合においても、領域Aの内部において機械圧縮比の低下を完了させることができる。機械圧縮比を低下した後に、吸入空気量を増大することができる。または、機械圧縮比の低下と吸入空気量の増大とを同時に開始し、内燃機関の運転状態が領域Bの内部に進入した場合には、機械圧縮比の低下および吸入空気量の増大を一時的に停止することができる。次に、図12に示す例と同様に機関回転数を増大させて、所定の機関回転数に到達した後に、再び吸入空気量を増大することができる。機械圧縮比の低下は、領域Cに進入した後に再開することができる。
また、内燃機関の運転状態の移行としては、領域Bの内部において移行する場合がある。すなわち、移行前および移行後の両方の運転状態が領域Bに含まれる場合がある。この場合には、図12に示すように、所定の機関回転数まで増大した後に、吸入空気量を増大することができる。吸入空気量の増大が終了した後に機械圧縮比を低下させることができる。この制御を行うことにより、クラッチ70の追いつきロックに起因する騒音の問題を抑制することができる。
図15に、本実施の形態における運転制御のフローチャートを示す。はじめに、ステップ121においては、要求負荷を検出する。図1を参照して、要求負荷は、例えば、負荷センサ41の出力により検出することができる。
次に、ステップ122においては、要求負荷および現在の機関回転数等の内燃機関の運転状態に基づいて、目標となる吸入空気量および機械圧縮比を設定する。
次に、ステップ123においては、機械圧縮比を低下させるか否かを判別する。機械圧縮比を維持するまたは機械圧縮比を上昇させる場合には、ステップ124に移行する。ステップ124においては、吸入空気量を目標の吸入空気量まで変更する。または、現在の吸入空気量を維持する。次に、ステップ125においては、機械圧縮比を目標の機械圧縮比まで上昇させる。または、現在の機械圧縮比に維持する。なお、吸入空気量の変更および機械圧縮比の上昇は、同時に行っても構わない。ステップ123において、機械圧縮比を低下させる場合には、ステップ126に移行する。
ステップ126においては、運転状態の移行が領域Bから領域Cへの移行または領域Bから領域Bへの移行であるか否かを判別する。すなわち、領域Bから機械圧縮比を低下させる制御を行うか否かを判別する。ステップ126において、領域Bから領域Bへの移行または領域Cへの移行でない場合には、ステップ132に移行する。この場合には、例えば、領域Aから領域Cへの移行、領域Aの内部における移行、または領域Cの内部における移行が含まれる。
ステップ132においては、機械圧縮比を目標の機械圧縮比まで低下させる制御を行う。次に、ステップ133においては、吸入空気量を変更する制御を行う。ステップ126において、領域Bから領域Bへの移行または領域Cへの移行である場合には、ステップ127に移行する。
ステップ127においては、無段変速機95aの目標の変速比を設定する。図12を参照して、現在の状態1における内燃機関のトルクがTE1とし、移行後の状態3における内燃機関のトルクをTE3とする。また、状態1における変速比をI1、状態2における変速比をI2、状態3における変速比をI3とする。なお、本実施の形態においては、変速比I3は、変速比I1と等しくなるように制御している。この場合に、次の式(1)が成り立つ。
I1/I2=TE1/TE3 …(1)
要求負荷に対応する目標の内燃機関のトルクTE3を設定すると、目標とする変速比I2は、次の式(2)によって算出することができる。
I2=I1×TE3/TE1 …(2)
このように、状態1の内燃機関のトルクTE1、要求負荷に基づく内燃機関のトルクTE3、現在の変速比I1に基づいて、状態2における変速比I2を算出することができる。なお、このときの機関回転数NE2は、次の式(3)で表すことができる。
NE2=I2/I1×NE1 …(3)
図15を参照して、このように、ステップ127においては、無段変速機95aの目標の変速比I2を設定することができる。
次に、ステップ128においては、無段変速機95aの変速比を増大させる制御を行う。この制御により、変速比I1から変速比I2に変化させて、状態1から状態2に移行する。
次に、ステップ129においては、吸入空気量を変更する。ステップ130においては、無段変速機95aの変速比Iを減少させる。本実施の形態においては、元の変速比I1まで減少させる制御を行っている。ステップ129およびステップ130は、同時に行うことができる。内燃機関の運転状態は、状態2から状態3に移行する。
次に、ステップ131において、機械圧縮比を低下させる制御を行う。すなわち、この制御例では、変速比および吸入空気量の変更を終了して状態3に移行した後に、機械圧縮比を低下させている。
ステップ131の機械圧縮比の低下を開始する時期については、前述のように領域Cに進入した直後であっても構わない。すなわち、騒音発生領域から騒音許容領域に進入するとともに、機械圧縮比の低下を開始しても構わない。この場合には、吸入空気量の変更と同時に内燃機関の運転状態を繰り返して検出し、内燃機関の運転状態が領域Cに進入したことを検出して、機械圧縮比の低下を開始することができる。
また、ステップ130の変速比を低下させる制御においては、移行前の変速比I1まで戻す制御を行っているが、この形態に限られず、移行後の変速比I3は移行前の変速比I1と異なっていても構わない。
本実施の形態の第1の駆動装置においては、内燃機関の機関回転数を調整するための回転数調整手段として、無段変速機を採用しているが、この形態に限られず、回転数調整手段は、内燃機関と車輪のような被駆動物との間の動力伝達経路に配置され、内燃機関の機関回転数を調整可能な任意の装置を採用することができる。
図16に、本実施の形態における第2の駆動装置の概略図を示す。図16に示す駆動装置は、内燃機関に加えて電動機を原動機とする、いわゆるハイブリット型の駆動装置である。第2の駆動装置は、車輪89に駆動力を供給する機関本体90を備える。機関本体90は、動力分割装置93および減速機95bを介して、車輪89の車軸96に駆動力を供給する。また、第2の駆動装置は、車輪89に駆動力を供給する電動機92を備える。電動機92は、モータ減速機94および減速機95bを介して、車軸96に駆動力を供給する。
第2の駆動装置は、電動機92に電気を供給するための蓄電装置97を備える。蓄電装置97は、昇圧コンバータ98およびインバータ99を介して電動機92に電気的に接続されている。電動機92に電気を供給する場合には、昇圧コンバータ98により直流の電気を昇圧する。昇圧した電気は、インバータ99により、たとえば直流から3相交流に変換される。変換された交流の電気が電動機92に供給される。
本実施の形態における第2の駆動装置は、動力分割装置93および電動機91を備える。動力分割装置93は、機関本体90から出力される駆動力を減速機95bおよび電動機91に分配できるように形成されている。電動機91は、機関本体90の駆動力を受けて発電機として機能する。電動機91において生成された電気は、インバータ99に供給される。蓄電装置97の充電時には、インバータ99において交流から直流に電気が変換され、昇圧コンバータ98により降圧されて、蓄電装置97に電気が供給される。
例えば、車輪89が停止している時に蓄電装置97の充電を行う場合には、機関本体90の駆動力が電動機91に伝達され、電動機91からインバータ99および昇圧コンバータ98を介して蓄電装置97に電気に供給される。また、車両が一定の速度にて走行している時や加速する時には、機関本体90の駆動力が動力分割装置93により2系統に分割される。一方の駆動力は、減速機95bを介して車輪89に伝達され、他方の駆動力は、電動機91に伝達される。電動機91において生成された電気により電動機92を駆動することができる。更に加速時には、蓄電装置97から電動機92に電気を供給することができる。機関本体90の駆動力に、電動機92の駆動力が加わることにより低燃費化を図ることができる。
また、車両の減速時には、車輪89の回転力を電動機92に伝達して発電される回生ブレーキが用いられる。回生ブレーキにより生じた電気は、インバータ99および昇圧コンバータ98を介して、蓄電装置97に供給されて充電される。
このようなハイブリット型の駆動装置においては、発電機として機能する電動機91およびインバータ99が、内燃機関の機関回転数を調整する回転数調整手段として機能する。駆動装置の要求負荷の増加を検出した場合には、電動機91の負荷を下げて電動機91への回転配分を増やす制御を行うことができる。この制御を行うことにより、内燃機関のトルクをほぼ一定に維持しながら、機関回転数を上昇させることができる。
また、機関回転数を上昇させる制御と同時に、電動機92による駆動力を上昇させて、車軸96に供給するトルクを増大させることができる。機関本体90の機関回転数が、設定された機関回転数まで上昇した後に、吸入空気量を増大させることができる。吸入空気量を増大させると内燃機関のトルクが増大するために、電動機92による駆動力を低下させることができる。また、電動機91の負荷を上昇して電動機91への回転配分を減らす制御を行うことができる。電動機91の負荷を変化させる場合には、たとえば、インバータ99を用いて電動機92の発電時の電気抵抗を変化させる制御を行うことができる。図15に示すフローチャートにおいては、ステップ127、ステップ128およびステップ130において、無段変速機95aの変速比を変更する代わりに、発電時の電気抵抗を変更する制御を行うことができる。このように、ハイブリット型の駆動装置においても、本発明を適用することができる。
本実施の形態の可変圧縮比機構は、クランクケースに対してシリンダブロックが相対的に移動することにより、燃焼室の容積が可変に形成されているが、この形態に限られず、燃焼室の容積を変更するための偏心軸、偏心軸を回転させる偏心軸回転装置、および逆入力遮断クラッチを含む任意の可変圧縮比機構を採用することができる。
本実施の形態における逆入力遮断クラッチは、機械圧縮比が上昇する回転方向および機械圧縮比が低下する回転方向の両方向の入力軸からの回転力を出力軸に伝達し、出力軸からの両方向の回転力を遮断するように形成されているが、この形態に限られず、入力軸からの両方向の回転力を出力側に伝達し、機械圧縮比が低下する方向の出力軸からの回転力を遮断するように形成されていれば構わない。
本実施の形態においては、車両に取り付けられている駆動装置を例示して説明を行なったが、この形態に限られず、任意の装置や設備等に配置されている駆動装置に本発明を適用することができる。
上述のそれぞれの制御においては、機能および作用が変更されない範囲において適宜ステップの順序を変更することができる。
上述のそれぞれの図において、同一または相等する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、特許請求の範囲に示される変更が含まれている。