JP6024342B2 - インクジェット記録用インク、インクカートリッジ及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録用インク、インクカートリッジ及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェットプリンタは、普通紙への印字が可能で、カラー化が容易であり、かつ小型で価格も安価で、しかも、ランニングコストが低いなどの理由から、近年、急速に普及してきている。このようなインクジェットプリンタに用いられるインクジェット記録用インク(以下、単に「インク」と略記することがある。)に要求される特性としては、一般に、高画質を達成するための色調、画像濃度、画像の滲み、信頼性を達成するためのインク中の着色剤の溶解乃至分散安定性、保存安定性、吐出安定性、記録画像の保存性を確保するための耐水性、耐光性、高速化を達成するためのインクの速乾性、記録ヘッドのノズルで乾燥し難いこと(ノズル耐乾燥性)、記録画像の乾燥性が良好であることなどが挙げられ、これらの要求を満たすように様々な検討がなされている。
インクジェットプリンタの普及に伴い、普通紙等の各種用紙に対し、滲みのない高画質形成が望まれている。
そこで、インク組成において、カチオン性ポリマー等のカチオン材料と、アニオン性顔料等のアニオン性着色剤とを併用することで、カチオン性ポリマーとアニオン性顔料を凝集させて、滲みのない高品位な画像を得ることが考えられている。しかし、この場合、同一液体中にカチオン性ポリマーとアニオン性顔料とが存在すると凝集を起こしてしまうという問題がある。
このため、例えば、カチオン性ポリマーを含む前処理液を予め記録媒体に塗布しておき、その後、前処理液を塗布した記録媒体上にアニオン性顔料を含むインクを吐出する方法が行われている。しかし、この方法では、前処理液塗布工程とインク吐出工程の2工程が必要となり、インクジェット記録装置が複雑になってしまうという問題がある。
そこで、より簡便にインクを吐出させるためには、前処理液とインクとの2液に分けることなく、インクのみで滲みのない高品位な画像が得られることが望まれている。
このため、例えば、貯蔵による凝集を防止し保存安定性が高く、滲み(フェザリング)のない高品位な画像を得ることを目的としたインクとして、下限臨界共溶温度(LCST)を持つN−アルキル置換(メタ)アクリルアミドモノマーと、カチオン性モノマーとを少なくとも共重合成分として含む水溶性ポリマーと、アニオン染料とを反応させた感温性着色ポリマーを水性媒体中に含有してなる感温性着色ポリマー組成物を含むインクジェット記録用インクが提案されている(特許文献1参照)。
しかし、この提案の技術は、着色剤として水溶性のアニオン染料を用いており、着色剤として水分散性の顔料を用いた場合の優れた耐水性及び耐光性が得られず、記録ヘッドのノズルでの乾燥固化、記録画像の乾燥性について何ら考慮されていない。着色剤として顔料を用いインクを記録ヘッドのノズルから安定に吐出させるためには、記録ヘッドのノズルで乾燥固化しないようなインク設計が必要であるが、ノズルで乾燥しにくいインクは記録画像の乾燥性が劣る傾向があり、用紙搬送時に乾いていない画像が擦れて搬送汚れが発生するという問題がある。
したがって、顔料の凝集を防止しつつ、記録ヘッドのノズルで乾燥しにくく、かつ記録画像の乾燥性が良好であり、裏抜け及び搬送汚れが少なく、耐光性、耐水性、耐擦過性、耐マーカー性、及びノズル耐乾燥性に優れ、画像の滲みが少ない高品位な画像が得られるインクジェット記録用インクの提供が望まれている。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、記録ヘッドのノズルで乾燥しにくく、かつ記録画像の乾燥性が良好であり、裏抜け及び搬送汚れが少なく、耐光性、耐水性、耐擦過性、耐マーカー性、及びノズル耐乾燥性に優れ、画像の滲みが少ない高品位な画像が得られるインクジェット記録用インクを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のンクジェット記録用インクは、水、有機溶剤、着色剤、及びポリマー粒子を含有してなり、
前記ポリマー粒子が、コアと該コア表面を被覆するシェルとからなるコアシェル構造を有し、前記コアがカチオン性ポリマーを含み、前記シェルが30℃〜80℃の下限臨界溶解温度を有するポリマーを含むことを特徴とする。
本発明によると、前記従来における諸問題を解決でき、前記目的を達成することができ、記録ヘッドのノズルで乾燥しにくく、かつ記録画像の乾燥性が良好であり、画像の滲みが少なく、裏抜けが少なく、耐擦過性、耐マーカー性、搬送汚れ、及びノズル耐乾燥性に優れ、高品位な画像が得られるインクジェット記録用インクを提供することができる。
図1は、本発明のインクカートリッジの一例を示す概略図である。 図2は、図1のインクカートリッジのケースも含めた概略図である。 図3は、インクジェット記録装置のインクカートリッジ装填部のカバーを開いた状態の一例を示す斜視説明図である。 図4は、インクジェット記録装置の全体構成の一例を示す概略構成図である。
(インクジェット記録用インク)
本発明のインクジェット記録用インクは、水、有機溶剤、着色剤、及びポリマー粒子を含有し、界面活性剤、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
本発明においては、前記ポリマー粒子が、コアと該コア表面を被覆するシェルとからなるコアシェル構造を有し、前記コアがカチオン性ポリマーを含み、前記ポリマー粒子のシェルが30℃〜80℃の下限臨界溶解温度を有するポリマーを含んでいる。これにより、室温(23℃)を超えて30℃以上に加熱乾燥すると急激に増粘して凝集する。即ち、室温(23℃)で印字中にはノズルで増粘を起こしにくく、記録媒体上にインクが吐出された後の乾燥工程を経て初めて増粘して凝集を起こし、溶剤と固形分(樹脂、着色剤等)とが分離し、コアのカチオン性ポリマーが露出し、着色剤としてのカチオン性顔料を凝集する。これによって、インクがノズルで乾燥しにくく、かつ記録画像の乾燥性が良好であり、滲みが少ない高品位な画像が得られる。
<ポリマー粒子>
前記ポリマー粒子は、コアと該コア表面を被覆するシェルとを有するコアシェル構造を有する。
前記コアシェル構造とは、組成の異なる2種以上のポリマーが粒子中に相分離して存在する形態を意味する。前記コアシェル構造は、シェルがコアを完全に被覆している形態のみならず、コアの一部を被覆しているものであってもよい。また、シェルのポリマーの一部がコア内にドメイン等を形成しているものであってもよい。コアとシェルの間に、更に1層以上の組成の異なる層を含む3層以上の多層構造を持つものであってもよい。
なお、前記コアシェル構造を有していることは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2004−051657号公報、財団法人材料科学技術振興財団のホームページ(http://www.mst.or.jp/case/eachcase/c0142.html)等に記載の方法などにより、分析することができる。
本発明において、前記ポリマー粒子は、水性エマルジョンの形態で水に分散し得るポリマー粒子であることが好ましく、前記ポリマー粒子が分散されたポリマーエマルジョンの形態としてインク中に添加されることが好ましい。ここで、「水性エマルジョンの形態で水に分散し得るポリマー粒子」とは、実質的に水不溶性のポリマーを水中で微粒子状に分散してなる形態を言う。前記ポリマーエマルジョンとは、一般にエマルション、ディスパージョン、ラテックス、又はサスペンションと呼ばれるものを含む。
<<コアがカチオン性ポリマー、シェルが下限臨界溶解温度を有するポリマーを含有するポリマーエマルジョン>>
前記ポリマーエマルジョンは、連続相としての水中に前記コアを前記シェルで被覆したコアシェル構造を有するポリマー粒子が分散されたものであり、必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−コア−
前記コアは、カチオン性ポリマーを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−−カチオン性ポリマー−−
前記カチオン性ポリマーは、カチオン基を有する重合性化合物由来の構造単位を含み、アニオン基及びカチオン基を有さない重合性化合物由来の構造単位を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記カチオン基は、ポリマーエマルジョンの状態においてカチオン性を示す官能基であればよく、溶液重合の段階では未中和の官能基であってもよい。また、アニオン基は、ポリマーエマルジョンの状態においてアニオン性を示す官能基であればよく、溶液重合の段階では未中和の官能基であってもよい。
前記カチオン基を有する重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、カチオン基を有するエチレン不飽和モノマーが好ましい。
前記カチオン基を有するエチレン不飽和モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジヘキシルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジ(t−ブチル)アミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジヘキシルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジ(t−ブチル)アミノヘキシル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用して使用してもよい。
前記アニオン基及びカチオン基を有さない重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アニオン基及びカチオン基を有さないエチレン不飽和モノマーが好ましい。
前記アニオン基及びカチオン基を有さないエチレン不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸若しくはメタクリル酸のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルアクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート等の単量体;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニル単量体;アクリル酸若しくはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用して使用してもよい。
−シェル−
前記シェルは、30℃〜80℃の下限臨界溶解温度(Low Critical Solution Temperature;LCST)を有するポリマーを含み、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記LCSTを有するポリマーの下限臨界溶解温度は、印字中にノズルでインクの増粘を起こさない点から、40℃〜60℃が好ましい。
前記下限臨界溶解温度が、30℃未満であると、室温(23℃)で印字中にノズルでインクの増粘が生じてしまうことがあり、80℃を超えると、乾燥工程で増粘せず、記録画像の乾燥性が低下し、搬送汚れが生じてしまうことがある。
ここで、前記下限臨界溶解温度(LCST)は、水分子がポリマー鎖付近に吸着し、ポリマーは水に溶解しているが、温度を上げると水素結合が切断されて水と相分離して疎水性を示すようになる。このとき相分離を起こす温度を下限臨界溶解温度と呼ぶ。
前記下限臨界溶解温度(LCST)は、溶媒として蒸留水50mLで、作製したポリマー粒子10gを溶解したサンプル20mLを試験管に入れて蓋をし、10℃の恒温水槽内に固定して10分間放置する。放置後白濁が見られない場合は、2℃ずつ恒温水槽の温度を上げていき、同様の観察を行う。サンプルが白濁した時の温度を下限臨界溶解温度(LCST)とすることができる。
−−30℃〜80℃の下限臨界溶解温度を有するポリマー−−
前記30℃〜80℃の下限臨界溶解温度を有するポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、(メタ)アクリルアミド誘導体由来の構造単位を含み、更に必要に応じて他の単量体を含んでなる。
前記(メタ)アクリルアミド誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、N−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドが好ましい。
前記N−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン,N−アクリロイルヘキサヒドロアゼピン、N−アクリロイルモルホリン、N−アセチルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用して使用してもよい。これらの中でも、30℃〜80℃の下限臨界溶解温度を達成する点から、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−アセチルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミドが特に好ましい。
前記他の単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート等のアルキル基の側鎖が1〜5のアルキルアクリレート;エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート等のアルキル基の側鎖が1〜5のアルキルメタクリレート;ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシペンチルアクリレート、2−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;分子内に1個もしくは2個以上のカルボキシル基を含むα,β−不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アコニット酸、フマル酸、クロトン酸等の分子内に1個もしくは2個以上のカルボキシル基を含むα,β−不飽和カルボン酸;エチレンスルホン酸のようなα,β−エチレン性不飽和ホスホン酸類;アクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシエチル等の水酸基含有ビニル単量体;アクリルアミド類、アクリロニトリル類;アクリルアマイド類;(メタ)アクリル酸のグリシジルエステル類、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用して使用してもよい。
前記30℃〜80℃の下限臨界溶解温度を有するポリマーにおける全モノマー中の前記N−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミドの割合は、30モル%〜99モル%が好ましく、40モル%〜95モル%がより好ましい。前記割合が、30モル%未満であると、粒子形成が困難になることがある。
前記シェルの平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm〜2μmが好ましく、0.4μm〜1.5μmがより好ましい。前記シェルの平均厚みが、0.01μm未満であると、シェルとしての効果が十分でなくなることがあり、2μmを超えると、シェルの厚みが厚すぎて、コアが露出できずカチオン性ポリマーによる効果が得られないことがある。
ここで、前記シェルの平均厚みは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、FE−SEM(走査型電子顕微鏡)、SPM(走査型プローブ顕微鏡)などにより、無作為に抽出した10個のポリマー粒子についてシェル厚みを測定し、その平均値をシェルの平均厚みとする。
<<コアがカチオン性ポリマー、シェルが下限臨界溶解温度を有するポリマーを含有するポリマーエマルジョンの製造方法>>
前記コアがカチオン性ポリマー、シェルが下限臨界溶解温度を有するポリマーを含有するポリマーエマルジョンは、コアとなる粒子を第一段階の反応で合成した後、又は別途用意したコアとなる粒子を反応系に仕込んだ後、重合を行うことで得られる。
前記重合方法としては、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤などを使用したラジカル重合法により実施可能であり、例えば、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等の熱重合法、紫外線による光重合法、などが挙げられる。
前記重合は、ラジカル重合開始剤の存在下、所定温度に保つことにより行う。重合中、同一温度に保つ必要はなく、重合の進行にともない適宜変えてよく、必要に応じて加熱あるいは除熱しながら行う。重合温度は使用するモノマーの種類や重合開始剤の種類などにより異なり、単一開始剤の場合には30℃〜100℃が好ましい。レドックス系重合開始剤の場合にはより低く、一括で重合を行う場合には−5℃〜60℃が好ましく、逐次添加する場合には−5℃〜100℃が好ましい。重合器内の雰囲気は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、重合を速やかに行わせるには窒素ガスのような不活性ガスで置換する方が好ましい。重合時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1時間〜40時間が好ましい。
前記重合反応に使用する開始剤は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤、などが挙げられる。具体的には、反応溶媒が水である場合、過酸化物系水溶性開始剤として、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシドなどが挙げられる。アゾ系水溶性開始剤として、例えば、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチル-プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルN−フェニルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン)]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン)]二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用して使用してもよい。
また、メタノール、エタノール等のモノマーを溶解しうる親水性有機溶媒を少なくとも1種類を用いた反応溶媒中での重合においては、前記開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、などが挙げられる。
前記ラジカル重合を促進させるために、例えば、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、グルコース、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、L−アスコルビン酸又はその塩、亜硫酸水素ナトリウム等の還元剤、グリシン、アラニン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等のキレート剤を併用することができる。また、生成するポリマーの分子量を制御するため、連鎖移動剤を用いることができる。
前記連鎖移動剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、t−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−ヘキシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン等のメルカプタン類、四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン系化合物、などが挙げられる。
前記重合に用いる溶媒としては、重合反応中に原料のモノマーに対して実質的に不活性であり、かつ原料及び生成するポリマーを溶解することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水又は水と均一に混合可能な親水性有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒、などが挙げられる。
前記親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、などが挙げられる。
前記重合によって得られたポリマーエマルジョンは、ホモポリマー、未反応のモノマー、開始剤等の不純物を含んでいる。これらの不純物を除去するために、限外ろ過、透析等の従来公知の分離法を用いてポリマーエマルジョンを精製することができる。
なお、コアがカチオン性ポリマー、シェルが下限臨界溶解温度を有するポリマーを含有するポリマーエマルジョンの合成方法としては、上記合成方法以外にも、例えば、特開2011−37991号公報などに記載の方法などが挙げられる。
前記ポリマー粒子の体積平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50nm〜200nmが好ましく、80nm〜150nmがより好ましい。前記体積平均粒径が、50nm未満であると、ポリマーエマルジョンの粘度が高くなり、記録媒体への塗布、又は記録ヘッドから吐出して記録媒体へ付着させることが困難となることがあり、200nmを超えると、塗布後の記録媒体の光沢性が低下することがある。
前記体積平均粒径は、例えば、日機装株式会社製マイクロトラックUPAで動的光散乱法により測定することができる。
前記ポリマー粒子の前記インクジェット記録用インクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜10質量%が好ましく、2質量%〜5質量%がより好ましい。
前記含有量が、1質量%未満であると、インク吐出後の乾燥工程を経て増粘凝集が起こりにくくなり、画像滲みの防止効果が得られないことがあり、10質量%を超えると、インク粘度が高くなり、所望の処方が得られにくいことがある。
<着色剤>
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の顔料や染料の中から目的に応じて適宜選択して用いることができるが、カチオン性ポリマーと組み合わせることにより、アニオン基を有するアニオン性顔料を凝集させ、画像の滲みが少ない高画質画像を形成できる点から、アニオン性の着色剤を用いることが好ましい。
前記アニオン性の着色剤としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、フェニルスルホン酸基、フェニルカルボキシル基等のアニオン基を有するアニオン性染料又はアニオン性顔料が挙げられる。これらのアニオン基は、遊離酸型、中和塩型のいずれの形態でも使用することができる。これらの中でも、記録画像の耐光性及び耐水性の点から、アニオン性顔料が特に好ましい。
−アニオン性染料−
前記アニオン性染料としては、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料が包含される。アニオン基を有する水溶性染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される。これらの染料のなかでも、耐水性、耐光性に優れたものが好ましく用いられる。これら染料を具体的に挙げれば、以下のものが挙げられる。
前記酸性染料及び食用染料としては、例えば、C.I.アシッド.イエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッド.レッド1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289、C.I.アシッド.ブルー9,29,45,92,249、C.I.アシッド.ブラック1,2,7,24,26,94、C.I.フード.イエロー3,4、C.I.フード.レッド7,9,14、C.I.フード.ブラック1,2、などが挙げられる。
前記直接性染料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,26,33,44,50,86,120,132,142,144、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227、C.I.ダイレクトオレンジ26,29,62,102、C.I.ダイレクトブルー1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202、C.I.ダイレクトブラック19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171、などが挙げられる。
前記塩基性染料としては、例えば、C.I.ベーシックイエロー1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91、C.I.ベーシックレッド2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112、C.I.ベーシックブルー1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155、C.I.ベーシックブラック2,8、などが挙げられる。
前記反応性染料としては、例えば、C.I.リアクティブブラック3,4,7,11,12,17、C.I.リアクティブイエロー1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67、C.I.リアクティブレッド1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97,180、C.I.リアクティブブルー1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95、などが挙げられる。
−アニオン性顔料−
前記アニオン性顔料としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、フェニルスルホン酸基、フェニルカルボキシル基等のアニオン基を直接顔料導入したもの、アニオン基を含むポリマーを顔料に吸着させたもの、又はアニオン基を含むポリマーによって顔料を包括したもの、などが挙げられる。
前記アニオン基を直接顔料に導入する方法としては、例えば、オゾン等の酸化性ガスを用いて気相酸化する方法や、液体の酸化剤を用いて液相酸化する方法が挙げられる。前記液体の酸化剤としては、例えば、過酸化水素水、ヨウ素水、次亜塩素酸塩、過硫酸塩、過マンガン酸塩、などが挙げられる。
前記アニオン基を含むポリマーを顔料に吸着させて分散させる方法としては、一般的なポリマー分散剤と顔料をホモジナイザー、ロールミル、ビーズミルを使って分散させる方法が挙げられる。一般的なポリマー分散剤の機能としては、顔料表面に吸着し、機械的な力が加わることで顔料凝集体を分散させ、電荷の反発や立体効果によって安定な状態を保つことである。このような機能をもつポリマー分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸塩、ポリカルボン酸系共重合体、などが挙げられる。
前記アニオン基を含むポリマーによって顔料を包括させる方法としては、例えば、特許第3882956号公報に記載の方法、などが挙げられる。
前記アニオン性顔料に用いられる顔料について具体的には、以下のものが挙げられる。
カラー顔料としては、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、(チオ)インジゴイド、複素環式イエロー、ピラントロンなどが挙げられる。
前記フタロシアニンブルーとしては、例えば、銅フタロシアニンブルー又はその誘導体(ピグメントブルー15)、などが挙げられる。前記キナクリドンとしては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ48、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット42、などが挙げられる。前記アントラキノンとしては、例えば、C.I.ピグメントレッド43、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド)、C.I.ピグメントレッド216(臭素化ピラントロンレッド)、C.I.ピグメントレッド226(ピラントロンレッド)、などが挙げられる。前記ペレリンとしては、例えば、C.I.ピグメントレッド123(ベルミリオン)、C.I.ピグメントレッド149(スカーレット)、C.I.ピグメントレッド179(マルーン)、C.I.ピグメントレッド190(レッド)、C.I.ピグメントバイオレット、C.I.ピグメントレッド189(イエローシェードレッド)、C.I.ピグメントレッド224、などが挙げられる。前記(チオ)インジゴイドとしては、例えば、C.I.ピグメントレッド86、C.I.ピグメントレッド87、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド181、C.I.ピグメントレッド198、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38、などが挙げられる。前記複素環式イエローとしては、例えば、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー138、などが挙げられる。
ブラック顔料としては、カーボンブラックが用いられる。前記カーボンブラックとしては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、#2700、#2650、#2600、#2450B、#2400B、#2350、#230、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#900、#850、#750B、MCF88、#650B、MA600、MA77、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA100S、MA220、MA230、MA200RB、MA14、#52、#50、#47、#45、#45L、#44、#40、#33、#32、#30、#25、#20、#10、#5、#95、#85、#260(以上、三菱化学株式会社製)、Raven700、同5750、同5250、同5000、同3500、同1255(以上、コロンビアケミカルズ社製)、Regal400R、同330R、同660R、MogulL、Monarch700、同800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、Monarch1400(以上、キャボット社製)、カラーブラックFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、プリンテックス35、同U、同V、同140U、同140V、スペシャルブラック6、同5、同4A、同4(以上、エボニックデグッサ社製)、トーカブラック#8500、同#8300、同#7550、同#7400、同#7360、同#7350、同#7270、同#7100(以上、東海カーボン社製)、シヨウブラックN110、同N220、同N234、同N339、同N330、同N326、同N330T、同MAF、同N550(以上、キャボットジャパン社製)、などが挙げられる。
その他の着色顔料としては、The Colour Index、第三版(The Society of Dyers and Colourists,1982)に記載されている。
前記着色剤の前記インクジェット記録用インクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜20質量%が好ましく、2質量%〜15質量%がより好ましい。
<有機溶剤>
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用して使用してもよい。
前記多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール、などが挙げられる。
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、などが挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、などが挙げられる。
前記含窒素複素環化合物としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、などが挙げられる。
前記アミド類としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、などが挙げられる。
前記アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、などが挙げられる。
前記含硫黄化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール、などが挙げられる。
これらの中でも、溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる点から、グリセリン、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ピロリドン、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールが特に好ましい。
前記有機溶剤の前記インクジェット記録用インクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15質量%〜40質量%が好ましく、20質量%〜35質量%がより好ましい。前記含有量が少なすぎると、ノズルが乾燥しやすくなり液滴の吐出不良が発生することがあり、多すぎるとインク粘度が高くなり、適正な粘度範囲を超えてしまうことがある。
<水>
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水などが挙げられる。
前記水の前記インクジェット記録用インクにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記インクジェット記録用インク100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、30質量部〜50質量部がより好ましい。
<界面活性剤>
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、などが挙げられる。これらの中でも、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が特に好ましい。
前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルアリル、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルアリールエーテルリン酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルアリールエーテルエステル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンオレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、エーテルカルボキシレート、スルホコハク酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル、脂肪酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、ナフテン酸塩、などが挙げられる。
前記カチオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、脂肪族アミン塩、ベンザルコニウム塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、などが挙げられる。
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、などが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン誘導体、ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、下記一般式(I)〜(III)で表される化合物、などが挙げられる。
ただし、前記一般式(I)中、mは、0〜10の整数を表す。nは、1〜40の整数を表す。
前記一般式(II)において、Rfはフッ素含有基を表し、パーフルオロアルキル基が好ましい。
前記パーフルオロアルキル基としては、炭素数が1〜10のものが好ましく、1〜3のものがより好ましく、例えば、−C2n−1(ただし、nは1〜10の整数を表す)などが挙げられる。前記パーフルオロアルキル基としては、例えば、−CF、−CFCF、−C、−C、などが挙げられる。これらの中でも、−CF、−CFCFが特に好ましい。
m、n、及びpは、それぞれ整数を表し、nは1〜4、mは6〜25、pは1〜4が好ましい。
前記一般式(III)において、Rfは、フッ素含有基を表し、上記一般式(II)と同様のパーフルオロアルキル基が好ましく、例えば、CF、CFCF、C、Cなどが好適に挙げられる。
はカチオン基を表し、例えば、第4級アンモニウム基;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン;トリエチルアミン、トリエタノールアミン、などが挙げられる。これらの中でも、第4級アンモニウム基が特に好ましい。
はアニオン基を表し、例えば、COO、SO 、SO 、PO 、などが挙げられる。qは、1〜6が好ましい。
前記フッ素系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F1405、F−474(いずれも、DIC株式会社製);ゾニールTBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれも、デュポン社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス製);PF−151N(ソリューションズインコーポレーテッド社製)などが挙げられる。これらの中でも、信頼性と発色性の向上に関して良好な点から、ゾニールFS−300、FSN、FSN−100、FSO(いずれも、デュポン社製)が特に好ましい。
前記界面活性剤の前記インクジェット記録用インクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜5.0質量%が好ましく、0.5質量%〜3質量%がより好ましい。前記含有量が、0.01質量%未満であると、添加した効果が得られないことがあり、5.0質量%を超えると、記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けの発生といった問題が発生することがある。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、pH調整剤、抗菌剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
−pH調整剤−
有機酸化合物を含有したインクジェット記録用インクのpHは4前後と酸性を示しており、このまま使用すると金属部材の腐食などが進み、長期間使用していると種々不具合が発生するおそれがある。従って、状況に応じてpH調整剤を添加してもよい。
前記pH調整剤としては、例えば、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、などが挙げられる。前記pH調整剤の添加量は、添加する有機酸化合物のpHにもよるが、前記インクジェット記録用インク全体のpHが4〜8になるように適宜調整することが好ましい。
前記抗菌剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、などが挙げられる。
前記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム、などが挙げられる。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、などが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、などが挙げられる。
本発明のインクジェット記録用インクは、水、有機溶剤、着色剤、及びポリマー粒子を含有し、界面活性剤、更に必要に応じてその他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に必要に応じて攪拌混合して製造する。前記分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェイカー、超音波分散機などにより行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機で行うことができる。
本発明のインクジェット記録用インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pHなどが以下の範囲であることが好ましい。
前記インクジェット記録用インクの粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃で、5mPa・s〜15mPa・sが好ましい。
前記インクジェット記録用インクの表面張力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、23℃±3℃で、25mN/m〜45mN/mが好ましい。前記表面張力が、25mN/m未満であると、記録媒体上での滲みが顕著になり、安定した噴射が得られないことがあり、45mN/mを超えると、記録媒体へのインク浸透が十分に起らず、乾燥時間の長時間化を招くことがある。
前記インクジェット記録用インクのpHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃で、7〜10が好ましい。
本発明のインクジェット記録用インクは、各種分野において好適に使用することができ、インクジェット記録方式による画像記録装置(プリンタ等)において好適に使用することができ、以下に説明する本発明のインクジェット記録用インクセット、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法に特に好適に使用することができる。
<インクジェット記録用インクセット>
本発明で用いられるインクジェット記録用インクセットは、本発明の前記インクジェット記録用インク含み、少なくともブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを含んでなる。
前記ブラックインクと、ブラック以外のインクで少なくとも1種類は異なった有機溶剤を用いることが、カラーブリード抑制の点で好ましい。
また、ブラックインク以外のカラーインクで用いる有機溶剤の表面張力が、ブラックインクで用いる有機溶剤の表面張力よりも高いことが、カラーブリード抑制の点で好ましい。
(インクカートリッジ)
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記インクジェット記録用インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質などを適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋等を少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
次に、インクカートリッジについて、図1及び図2を参照して説明する。ここで、図1は、本発明のインクカートリッジの一例を示す図であり、図2は図1のインクカートリッジのケース(外装)も含めた図である。
インクカートリッジ200は、図1に示すように、インク注入口242からインク袋241内に充填され、排気した後、該インク注入口242は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給される。
インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルムなどの包装部材により形成されている。このインク袋241は、図2に示すように、通常、プラスチック製のカートリッジケース244内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記インクジェット記録用インクを収容し、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いることができるが、後述する本発明のインクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いるのが特に好ましい。
(インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法)
本発明のインクジェット記録装置は、インク飛翔手段を少なくとも有してなり、乾燥手段、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、刺激発生手段、反転手段、制御手段、などを有してなる。
本発明で用いられるインクジェット記録方法は、インク飛翔工程を少なくとも含み、乾燥工程、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、刺激発生工程、反転工程、制御工程、などを含んでなる。
本発明で用いられるインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができ、前記乾燥工程は前記乾燥手段により好適に行うことができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
<インク飛翔工程及びインク飛翔手段>
前記インク飛翔工程は、前記本発明のインクジェット記録用インクに、刺激を印加し、該インクジェット記録用インクを飛翔させて画像を記録する工程である。
前記インク飛翔手段は、前記本発明のインクジェット記録用インクに、刺激を印加し、該インクジェット記録用インクを飛翔させて画像を記録する手段である。前記インク飛翔手段としては、特に制限はなく、例えば、インク吐出用の各種のノズルを有する記録ヘッド、などが挙げられる。
本発明においては、前記記録ヘッドの液室部、流体抵抗部、振動板、及びノズル部材の少なくとも一部がシリコン及びニッケルの少なくともいずれかを含む材料から形成されていることが好ましい。
前記ノズルのノズル径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30μm以下が好ましく、1μm〜20μmがより好ましい。
前記記録ヘッドが、インク吐出面に撥水加工処理を施したノズルプレートを有することが好ましく、該撥水加工が、PTFE−Ni共析加工、フッ素樹脂加工、及びシリコーン樹脂加工から選ばれるいずれかであることが好ましい。
また、前記記録ヘッドにインクジェット記録用インクを供給するためのサブタンクを有し、該サブタンクにインクカートリッジから供給チューブを介してインクジェット記録用インクが補充されるように構成することが好ましい。
前記飛翔させる前記インクジェット記録用インクの液滴は、その大きさとしては、例えば、3pl〜40plが好ましく、その吐出噴射の速さとしては5m/s〜20m/sが好ましく、その駆動周波数としては1kHz以上が好ましく、その解像度としては300dpi以上が好ましい。
<乾燥工程及び乾燥手段>
前記乾燥工程は、前記記録媒体上に記録された画像を30℃以上に加熱し、乾燥する工程であり、乾燥手段により実施される。
前記乾燥手段としては、印字前後に記録媒体及び前記インクジェット記録用インクを30℃以上、好ましくは30℃〜100℃に加熱することができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、赤外線ヒーター、温風ヒーター、乾燥巻取り装置、などが挙げられる。
<その他の工程及びその他の手段>
−刺激発生工程及び刺激発生手段−
前記刺激は、例えば、前記刺激発生手段により発生させることができ、該刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱(温度)、圧力、振動、光、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライト、などが挙げられる。具体的には、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ、などが挙げられる。
前記インクジェット記録用インクの飛翔の態様としては、特に制限はなく、前記刺激の種類等に応じて異なり、例えば、前記刺激が「熱」の場合、記録ヘッド内の前記インクジェット記録用インクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを例えば、サーマルヘッド等を用いて付与し、該熱エネルギーにより前記インクジェット記録用インクに気泡を発生させ、該気泡の圧力により、前記記録ヘッドのノズル孔から該インクジェット記録用インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。また、前記刺激が「圧力」の場合、例えば記録ヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小して、前記記録ヘッドのノズル孔から該インクジェット記録用インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。
−反転工程及び反転手段−
前記反転工程は、前記記録媒体の記録面を反転させて両面印刷可能とする工程であり、反転手段により行われる。前記反転手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、静電気力を有する搬送ベルト、空気吸引により記録媒体を保持する手段、搬送ローラと拍車との組み合わせ、などが挙げられる。
無端状の搬送ベルトと、該搬送ベルト表面を帯電させて記録媒体を保持しながら搬送する搬送手段を有することが好ましい。この場合、帯電ローラに±1.2kV〜±2.6kVのACバイアスを加えて搬送ベルトを帯電させることが特に好ましい。
−制御工程及び制御手段−
前記制御工程は、前記各工程の動きを制御する好適であり、前記制御手段により行うことができる。前記制御手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器、などが挙げられる。
本発明のインクジェット記録装置により本発明で用いられるインクジェット記録方法を実施する一の態様について、図面を参照しながら説明する。
図3に示すインクジェット記録装置は、装置本体101と、前記装置本体101に装着した用紙を装填するための給紙トレイ102と、装置本体101に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ103と、インクカートリッジ装填部104とを有する。インクカートリッジ装填部104の上面には、操作キーや表示器などの操作部105が配置されている。インクカートリッジ装填部104は、インクカートリッジ200の脱着を行うための開閉可能な前カバー115を有している。図3中111は上カバー、112は前カバーの前面である。
装置本体101内には、図4に示すように、左右の側板(不図示)に横架したガイド部材であるガイドロッド131とステー132とで、キャリッジ133を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ(不図示)によって移動走査する。
キャリッジ133には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェット記録用ヘッドからなる記録ヘッド134の複数のインク吐出口を、主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド134を構成するインクジェット記録用ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、インクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどが使用できる。
また、キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135を搭載している。サブタンク135には、インク供給チューブ(不図示)を介して、インクカートリッジ装填部104に装填された本発明のインクカートリッジ200から、本発明のインクジェット記録用インクが供給されて補充される。
一方、給紙トレイ102の用紙積載部(圧板)141上に積載した用紙142を給紙するための給紙部として、用紙積載部141から用紙142を1枚ずつ分離給送する半月コロ〔給紙コロ143〕、及び給紙コロ143に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド144を備え、この分離パッド144は給紙コロ143側に付勢されている。
この給紙部から給紙された用紙142を記録ヘッド134の下方側で搬送するための搬送部として、用紙142を静電吸着して搬送するための搬送ベルト151と、給紙部からガイド145を介して送られる用紙142を搬送ベルト151との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ152と、略鉛直上方に送られる用紙142を略90°方向転換させて搬送ベルト151上に倣わせるための搬送ガイド153と、押さえ部材154で搬送ベルト151側に付勢された先端加圧コロ155とが備えられ、また、搬送ベルト151表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ156が備えられている。
搬送ベルト151は無端状ベルトであり、搬送ローラ157とテンションローラ158との間に張架されて、ベルト搬送方向に周回可能である。この搬送ベルト151は、例えば、抵抗制御を行っていない厚み40μm程度の樹脂材、例えば、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。搬送ベルト151の裏側には、記録ヘッド134による印写領域に対応してガイド部材161が配置されている。なお、記録ヘッド134で記録された用紙142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から用紙142を分離するための分離爪171と、排紙ローラ172及び排紙コロ173とが備えられており、排紙ローラ172の下方に排紙トレイ103が配されている。
装置本体101の背面部には、両面給紙ユニット181が着脱可能に装着されている。両面給紙ユニット181は、搬送ベルト151の逆方向回転で戻される用紙142を取り込んで反転させて再度、カウンタローラ152と搬送ベルト151との間に給紙する。なお、両面給紙ユニット181の上面には手差し給紙部182が設けられている。
このインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙142が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙142は、ガイド145で案内され、搬送ベルト151とカウンタローラ152との間に挟まれて搬送される。更に先端を搬送ガイド153で案内されて先端加圧コロ155で搬送ベルト151に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ156によって搬送ベルト151が帯電されており、用紙142は、搬送ベルト151に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ133を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド134を駆動することにより、停止している用紙142にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙142を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙142を排紙トレイ103に排紙する。
そして、サブタンク135内のインクの残量ニアーエンドが検知されると、インクカートリッジ200から所要量のインクがサブタンク135に補給される。
このインクジェット記録装置においては、インクカートリッジ200中のインクを使い切ったときには、インクカートリッジ200における筐体を分解して内部のインク袋だけを交換することができる。また、インクカートリッジ200は、縦置きで前面装填構成としても、安定したインクの供給を行うことができる。したがって、装置本体101の上方が塞がって設置されているような場合、例えば、ラック内に収納したり、あるいは装置本体101の上面に物が置かれているような場合でも、インクカートリッジ200の交換を容易に行うことができる。
なお、ここでは、キャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)インクジェット記録装置に適用した例で説明したが、ライン型ヘッドを備えたライン型インクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
<インク記録物>
本発明で用いられるインク記録物は、記録媒体上に本発明の前記インクジェット記録用インクを用いて形成された画像を有してなる。
前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記インク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料などとして各種用途に好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
<下限臨界溶解温度(LCST)の測定>
溶媒として蒸留水50mLで、作製したポリマー粒子10gを溶解したサンプル20mLを試験管に入れて蓋をし、10℃の恒温水槽内に固定して10分間放置した。放置後白濁が見られない場合は、2℃ずつ恒温水槽の温度を上げていき、同様の観察を行った。サンプルが白濁した時の温度を下限臨界溶解温度(LCST)とした。
<ポリマー粒子の体積平均粒径>
ポリマー粒子の体積平均粒径は、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA、日機装株式会社製)を用いて測定した。
(ポリマー粒子の合成例1)
−コアがカチオン性ポリマー、シェルが下限臨界溶解温度を有するポリマーを含有するポリマーエマルジョンの合成−
まず、攪拌機、滴下ロート、冷却管、及び温度計を備えたフラスコ内にエタノール50gを仕込み、窒素雰囲気下で約80℃まで昇温し、下記の組成物A1を混合して滴下ロートに仕込み3時間かけて滴下した。
<組成物A1>
・アゾビスイソブチロニトリル・・・10g
・メタクリル酸メチル・・・60g
・アクリル酸ブチル・・・100g
・アクリル酸・・・40g
次に、滴下終了後、攪拌しながら更に80℃で2時間反応させた。その後、生成物を50℃まで冷却し、メタクリル酸ジメチルアミノエチル80gを加え、イオン交換水660gで希釈し、「カチオン性ポリマーA1」を得た。
次いで、フラスコ内に、前記「カチオン性ポリマーA1」を300g仕込み、アスコルビン酸ナトリウム1g、及び硫酸第一鉄の5質量%水溶液1gを加えた。窒素雰囲気下で80℃まで昇温し、下記組成物B1と下記組成物Cをそれぞれ滴下ロートに仕込み同時に2時間で滴下した。
<組成物B1>
・N−イソプロピルアクリルアミド・・・100g
・アクリルアミド・・・30g
・メタクリル酸メチル・・・20g
<組成物C>
・過硫酸アンモニウム2質量%水溶液・・・10g
・イオン交換水・・・300g
次に、滴下終了後、攪拌しながら80℃に3時間保った後冷却し、固形分濃度が30質量%となるようにイオン交換水で調整した。以上により、コアがカチオン性ポリマー、シェルが30℃の下限臨界溶解温度(LCST)を有するポリマーを含有する合成例1のポリマーエマルジョンを得た。
得られた合成例1のポリマー粒子の体積平均粒径は、110nmであった。
(ポリマー粒子の合成例2)
−コアがカチオン性ポリマー、シェルが下限臨界溶解温度を有するポリマーを含有するポリマーエマルジョンの合成−
フラスコ内に、合成例1の「カチオン性ポリマーA1」を300g仕込み、アスコルビン酸ナトリウム1g、及び硫酸第一鉄の5質量%水溶液1gを加えた。窒素雰囲気下で80℃まで昇温し、下記組成物B2と上記組成物Cをそれぞれ滴下ロートに仕込み同時に2時間で滴下した。
<組成物B2>
・N−アセチルアクリルアミド・・・100g
・N−アセチルメタクリルアミド・・・100g
次に、滴下終了後、攪拌しながら80℃に3時間保った後冷却し、固形分濃度が30質量%となるようにイオン交換水で調整した。以上により、コアがカチオン性ポリマー、シェルが30℃の下限臨界溶解温度(LCST)を有するポリマーを含有する合成例2のポリマーエマルジョンを得た。
得られた合成例2のポリマー粒子の体積平均粒径は、105nmであった。
(ポリマー粒子の合成例3)
−コアがカチオン性ポリマー、シェルが下限臨界溶解温度を有するポリマーを含有するエマルジョンの合成−
合成例1で得られた「カチオン性ポリマーA1」をフラスコ内に300g仕込み、アスコルビン酸ナトリウム1g、及び硫酸第一鉄の5質量%水溶液1gを加えた。窒素雰囲気下で80℃まで昇温し、下記組成物B3と上記組成物Cをそれぞれ滴下ロートに仕込み同時に2時間で滴下した。
<組成物B3>
・N−イソプロピルアクリルアミド・・・100g
・アクリルアミド・・・30g
・メタクリル酸メチル・・・20g
次に、滴下終了後、攪拌しながら80℃に3時間保った後冷却し、固形分濃度が30質量%となるようイオン交換水で調整した。コアがカチオン性ポリマー、シェルが80℃の下限臨界溶解温度(LCST)を有するポリマーを含有する合成例3のポリマーエマルジョンを得た。
得られた合成例3のポリマー粒子の体積平均粒径は、110nmであった。
(ポリマー粒子の合成例4)
−コアがカチオン性ポリマー、シェルが下限臨界溶解温度を有するポリマーを含有するポリマーエマルジョンの合成−
合成例1で得られた「カチオン性ポリマーA1」をフラスコに300g仕込み、アスコルビン酸ナトリウム1g、及び硫酸第一鉄の5質量%水溶液1gを加えた。窒素雰囲気下で80℃まで昇温し、下記組成物B4と上記組成物Cをそれぞれ滴下ロートに仕込み同時に2時間で滴下した。
<組成物B4>
・メタクリル酸メチル・・・100g
・アクリル酸ブチル・・・20g
・アクリロイルモルホリン・・・20g
滴下終了後、攪拌しながら80℃に3時間保った後冷却し、固形分濃度が30質量%となるようイオン交換水で調整した。コアがカチオン性ポリマー、シェルが25℃の下限臨界溶解温度(LCST)を有するポリマーを含有する合成例4のポリマーエマルジョンを得た。
得られた合成例4のポリマー粒子の体積平均粒径は、100nmであった。
(ポリマー粒子の合成例5)
−コアがカチオン性ポリマー、シェルが下限臨界溶解温度を有するポリマーを含有するポリマーエマルジョンの合成−
合成例1で得られた「カチオン性ポリマーA1」をフラスコに300g仕込み、アスコルビン酸ナトリウム1g、及び硫酸第一鉄の5質量%水溶液1gを加えた。窒素雰囲気下で80℃まで昇温し、下記組成物B5と上記組成物Cをそれぞれ滴下ロートに仕込み同時に2時間で滴下した。
<組成物B5>
・N,N−ジメチルアクリルアミド・・・150g
・ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド・・・50g
滴下終了後、攪拌しながら3時間80℃に保った後冷却し、固形分濃度が30質量%となるようイオン交換水で調整した。コアがカチオン性ポリマー、シェルが90℃の下限臨界溶解温度(LCST)を有するポリマーを含有する合成例5のポリマーエマルジョンを得た。
得られた合成例5のポリマー粒子の体積平均粒径は、100nmであった。
(ポリマー粒子の合成例6)
−コアがアニオン性ポリマー、シェルが下限臨界溶解温度を有するポリマーを含有するポリマーエマルジョンの合成−
攪拌機、滴下ロート、冷却管、及び温度計を備えたフラスコ内にエタノール50gを仕込み、窒素雰囲気下で約80℃まで昇温し、下記組成物A2を混合し滴下ロートに仕込み3時間かけて滴下した。
<組成物A2>
・アゾビスイソブチロニトリル・・・10g
・メタクリル酸メチル・・・60g
・アクリル酸ブチル・・・100g
・アクリル酸・・・40g
次に、滴下終了後、攪拌しながら更に80℃で2時間反応させた。その後、生成物を50℃まで冷却し、アクリル酸メチル50gを加え、イオン交換水660gで希釈し、「アニオン性ポリマーA2」を得た。
次いで、フラスコ内に、前記「アニオン性ポリマーA2」を300g仕込み、アスコルビン酸ナトリウム1g、及び硫酸第一鉄の5質量%水溶液1gを加えた。窒素雰囲気下で80℃まで昇温し、下記組成物B6と上記組成物Cをそれぞれ滴下ロートに仕込み同時に2時間で滴下した。
<組成物B6>
・N−イソプロピルアクリルアミド・・・100g
・メタクリル酸メチル・・・20g
次に、滴下終了後、攪拌しながら80℃に3時間保った後冷却し、固形分濃度が30質量%となるようにイオン交換水で調整した。コアがアニオン性ポリマー、シェルが30℃の下限臨界溶解温度(LCST)を有するポリマーからなる合成例6のポリマーエマルジョンを得た。
得られた合成例6のポリマー粒子の体積平均粒径は、100nmであった。
(ポリマー粒子の合成例7)
−下限臨界溶解温度をもたないカチオン性ポリマーエマルジョンの合成−
非イオン性界面活性剤(商品名:エマルゲン1135S−70、花王株式会社製)70質量%水溶液10g、及びN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩の70質量%水溶液6gを反応器内に添加した。
次いで、反応容器内に、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩基酸塩の5質量%水溶液10質量部を投入し、その5分間後に、メタクリル酸メチル10質量部、アクリル酸ブチル10質量部、スチレン10質量部、及び2−ヒドロキシエチルメタクリル酸エチル5質量部を混合した液を反応容器内に30分間かけて連続的に添加した。
添加は反応容器内を攪拌しながら80℃に3時間保った後冷却し、固形分濃度が30質量%となるようにイオン交換水で調整した。下限臨界溶解温度(LCST)をもたない合成例7のカチオン性ポリマーエマルジョンを得た。
得られた合成例7のポリマー粒子の体積平均粒径は、110nmであった。
(ポリマー粒子の合成例8)
−コアがカチオン性ポリマー、シェルが下限臨界溶解温度を持たないポリマーを含有するエマルジョンの合成−
合成例1で得られた「カチオン性ポリマーA1」をフラスコに300g仕込み、アスコルビン酸ナトリウム1g、及び硫酸第一鉄の5質量%水溶液1gを加えた。窒素雰囲気下で80℃まで昇温し、下記組成物B7と上記組成物Cをそれぞれ滴下ロートに仕込み同時に2時間で滴下した。
<組成物B7>
・メタクリル酸メチル・・・100g
・アクリル酸ブチル・・・50g
・スチレン・・・10g
滴下終了後、攪拌しながら80℃に3時間保った後冷却し、固形分濃度が30質量%となるようにイオン交換水で調整した。コアがカチオン性ポリマー、シェルが下限臨界溶解温度(LCST)を持たないポリマーを含有する合成例8のポリマーエマルジョンを得た。
得られた合成例8のポリマー粒子の体積平均粒径は、105nmであった。
(ポリマー粒子の合成例9)
−下限臨界溶解温度が30℃のコアシェル構造を有しないポリマーエマルジョンの合成−
特開2001−114820号公報の合成例1を参照して、下限臨界溶解温度(LCST)が30℃のコアシェル構造を有しないポリマーエマルジョンを合成した。
得られた合成例9のポリマー粒子の体積平均粒径は、95nmであった。
(ポリマー分散液Aの合成例1)
<ポリマー分散液Aの合成>
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内に、メチルエチルケトン364gを添加し、固形分濃度が50質量%のアニオン性基含有スチレン−アクリル系共重合体ポリマー分散液A 800gを得た。
(調製例1)
<フタロシアニン顔料含有ポリマー粒子分散体の調製>
前記ポリマー分散液Aを28gと、フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー 15:3)26g、1mol/Lの水酸化カリウム溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水30gを十分に攪拌した後、三本ロールミルを用いて混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に攪拌した後、エバポレーターを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、固形分濃度15質量%のフタロシアニン顔料含有ポリマー粒子分散体を得た。
(調製例2)
(ジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー粒子分散体の調製)
調製例1において、フタロシアニン顔料を、C.I.ピグメントレッド122に代えた以外は、調製例1と同様にして、固形分濃度15質量%のマゼンタ色のジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー粒子分散体を得た。
(調製例3)
(モノアゾ黄色顔料含有ポリマー粒子分散体の調製)
調製例1において、フタロシアニン顔料を、C.I.ピグメントイエロー74に代えた以外は、調製例1と同様にして、固形分濃度15質量%のモノアゾ黄色顔料含有ポリマー粒子分散体を得た。
(調製例4)
(カーボンブラック顔料含有ポリマー粒子分散体の調製)
調製例1において、フタロシアニン顔料を、カーボンブラック(モナーク800、キャボット社製)に代えた以外は、調製例1と同様にして、固形分濃度15質量%の黒色のカーボンブラック顔料含有ポリマー粒子分散体を得た。
(実施例1〜16及び比較例1〜15)
表1〜表8に示すインク組成を調製し、pHが9となるように水酸化ナトリウムで調整した。その後、平均孔径0.8μmのメンブランフィルタで濾過を行いインクジェット記録用インクを調製した。
得られた各インクジェット記録用インクの諸特性を、以下のようにして測定した。結果を表1〜表8に示した。
<インクの粘度>
R型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、25℃で、インクの粘度を測定した。
<インクの表面張力>
静的表面張力計(BVP−Z、協和界面科学株式会社製)を用いて、23℃±3℃で、インクの表面張力を測定した。
<インクのpH>
pHメーター(HM30R、東亜DKK株式会社製)を用いて、25℃で、インクのpHを測定した。
<画像出力>
25℃で50%RH環境下、インクジェットプリンタ(IPSiO GX5000、株式会社リコー製)に、実施例1〜16及び比較例1〜15で調製した各インクジェット記録用インクを装填した。
次に、OKトップコート(王子製紙株式会社製)を幅297mmにカットしてロール状に巻き取った用紙を、前記インクジェットプリンタの背面にある手差供給口から通紙し、解像度600dpiで記録し、インクジェット用乾燥巻取り装置(株式会社サンリュウ製)により、80℃で乾燥させながら巻き取った。
次に、出力された画像について、以下のようにして諸特性を評価した。結果を表1〜表8に示した。
<画像の滲み>
出力画像の滲み(フェザリング)の有無を目視観察し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
○:画像の滲みの発生がなく鮮明な画像である。
△:一部にひげ状の画像の滲みが発生している。
×:文字の輪郭がはっきりしないほどの画像の滲みが発生している。
<画像濃度>
反射型カラー分光測色濃度計(X−Rite社製)を用いて画像濃度を測定し、下記基準で判定した。
〔評価基準〕
〔ブラックインクの場合〕
○:1.4以上
△:1.3以上1.4未満
×:1.3未満
〔シアンインクの場合〕
○:1.3以上
△:1.2以上1.3未満
×:1.2未満
〔マゼンタインクの場合〕
○:1.2以上
△:1.1以上1.2未満
×:1.1未満
〔イエローインクの場合〕
○:1.0以上
△:0.9以上1.0未満
×:0.9未満
<裏抜け濃度>
記録された画像を十分に乾燥し、画像記録されていない側の裏面を反射型カラー分光測色濃度計(X−Rite社製)を用いて裏抜け濃度を測定し、下記基準により判定した。
〔評価基準〕
○:0.1未満
△:0.1以上0.15未満
×:0.15以上
<耐擦過性>
記録された画像を、25℃、50%RHの環境下で5時間放置し、綿布でベタ記録部を10回擦り、綿布への顔料の転写具合を目視観察し、下記基準により耐擦過性を評価した。
〔評価基準〕
〇:綿布への顔料の転写は殆どみられない
△:若干の顔料の転写が見られる
×:明らかに顔料が転写している
<耐マーカー性>
記録された画像を、25℃、50%RHの環境下で10分間放置し、文字部分を蛍光マーカー(PROPUS2、三菱鉛筆株式会社製)でなぞり、マーカーによって擦れて発生する汚れの具合を目視観察し、下記基準により、耐マーカー性を評価した。
〔評価基準〕
〇:色落ちによる汚れが全くみられない
△:若干の汚れが見られる
×:マーカーに沿って汚れが広がっている
<搬送汚れ>
巻き取られた画像を目視で観察し、擦れによる汚れの発生状態について下記基準により、搬送汚れを評価した。
〔評価基準〕
〇:擦れによる汚れの発生が全くみられない
△:擦れによる若干の汚れがみられる
×:インク汚れによる汚れが発生し、著しく画像品質が低下している
<ノズル耐乾燥性>
25℃で50%RH環境下、インクジェットプリンタ(IPSiO GX5000、株式会社リコー製)に、作製した実施例及び比較例の各インクジェット記録用インクをセットし、インクを吐出させず、更に記録ヘッドにキャップをしない状態で5時間放置した。放置後、ノズルチェックパターン(プリンタドライバーより出力でき、ノズル抜けの有無を確認できるチャート)を印字し、ノズルからの吐出状態について下記基準により評価した。
〔評価基準〕
〇:全てのノズルから吐出している
△:30ノズル未満の不吐出がみられる
×:30ノズル以上の不吐出がみられる
<連続吐出安定性>
25℃で50%RH環境下、インクジェットプリンタ(IPSiO GX5000、株式会社リコー製)に、作製した実施例及び比較例の各インクジェット記録用インクをセットし、1200×1200dpiの解像度で、A4サイズ用紙(マイペーパー、株式会社リコー製)に15cm×15cmの大きさのベタ画像を500枚連続で印字し、印字後にノズルチェックパターン(プリンタドライバーより出力でき、ノズル抜けの有無を確認できるチャート)を印字して、ノズルからの吐出状態について下記基準により評価した。
〔評価基準〕
〇:全てのノズルから吐出している
△:30ノズル未満の不吐出がみられる
×:30ノズル以上の不吐出がみられる
*ノニオン性界面活性剤(ソフタノールEP−7025、株式会社日本触媒製)
*ノニオン性界面活性剤(ソフタノールEP−7025、株式会社日本触媒製)
*ノニオン性界面活性剤(ソフタノールEP−7025、株式会社日本触媒製)
*ノニオン性界面活性剤(ソフタノールEP−7025、株式会社日本触媒製)
*ノニオン性界面活性剤(ソフタノールEP−7025、株式会社日本触媒製)
*ノニオン性界面活性剤(ソフタノールEP−7025、株式会社日本触媒製)
*ノニオン性界面活性剤(ソフタノールEP−7025、株式会社日本触媒製)
*ノニオン性界面活性剤(ソフタノールEP−7025、株式会社日本触媒製)
本発明の態様としては、以下のとおりである。
<1> 水、有機溶剤、着色剤、及びポリマー粒子を含有してなり、
前記ポリマー粒子が、コアと該コア表面を被覆するシェルとからなるコアシェル構造を有し、前記コアがカチオン性ポリマーを含み、前記シェルが30℃〜80℃の下限臨界溶解温度を有するポリマーを含むことを特徴とするインクジェット記録用インクである。
<2> 着色剤が、アニオン性顔料である前記<1>に記載のインクジェット記録用インクである。
<3> シェルが40℃〜60℃の下限臨界溶解温度を有するポリマーを含む前記<1>から<2>のいずれかに記載のインクジェット記録用インクである。
<4> シェルの下限臨界溶解温度を有するポリマーが、(メタ)アクリルアミド誘導体由来の構造単位を含む前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクジェット記録用インクである。
<5> カチオン性ポリマーが、カチオン基を有する重合性化合物由来の構造単位を含む前記<1>から<4>のいずれかに記載のインクジェット記録用インクである。
<6> ポリマー粒子の含有量が、1質量%〜10質量%である前記<1>から<5>のいずれかに記載のインクジェット記録用インクである。
<7> 有機溶剤が、グリセリン、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ピロリドン、及び2−エチル−1,3−ヘキサンジオールから選択される少なくとも1種である前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクジェット記録用インクである。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクからなり、
前記ブラックインクと、ブラック以外のカラーインクの少なくとも1種とが、異なる種類の有機溶剤を含むことを特徴とするインクジェット記録用インクセットである。
<9> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを容器中に収容したことを特徴とするインクカートリッジである。
<10> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクジェット記録用インクに刺激を印加し、該インクジェット記録用インクを飛翔させて記録媒体上に画像を記録するインク飛翔手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
<11> 記録媒体上に記録された画像を30℃以上に加熱し、乾燥する乾燥手段を有する前記<10>に記載のインクジェット記録装置である。
特開2001−114820号公報
101 装置本体
134 記録ヘッド
142 用紙
200 インクカートリッジ

Claims (9)

  1. 水、有機溶剤、着色剤、及びポリマー粒子を含有してなり、
    前記着色剤が、アニオン性顔料であり、
    前記ポリマー粒子が、コアと該コア表面を被覆するシェルとからなるコアシェル構造を有し、前記コアがカチオン性ポリマーを含み、前記シェルが30℃〜80℃の下限臨界溶解温度を有するポリマーを含むことを特徴とするインクジェット記録用インク。
  2. シェルが40℃〜60℃の下限臨界溶解温度を有するポリマーを含む請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
  3. シェルの下限臨界溶解温度を有するポリマーが、(メタ)アクリルアミド誘導体由来の構造単位を含む請求項1から2のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  4. カチオン性ポリマーが、カチオン基を有する重合性化合物由来の構造単位を含む請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  5. ポリマー粒子の含有量が、1質量%〜10質量%である請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  6. 有機溶剤が、グリセリン、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ピロリドン、及び2−エチル−1,3−ヘキサンジオールから選択される少なくとも1種である請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを容器中に収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
  8. 請求項1から6のいずれかに記載のインクジェット記録用インクに刺激を印加し、該インクジェット記録用インクを飛翔させて記録媒体上に画像を記録するインク飛翔手段を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  9. 記録媒体上に記録された画像を30℃以上に加熱し、乾燥する乾燥手段を有する請求項8に記載のインクジェット記録装置。
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