JP6023845B1 - 電磁波吸収吸音パネル - Google Patents
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Abstract
Description
前記ハニカム構造体の貫通孔は前記第一パネルの貫通孔と連通しており、
前記第一の多孔質コルゲートシートは10〜1000μmの平均径を有する微細貫通孔を有し、
前記電磁波吸収フィルムはプラスチックフィルムの一方の面に金属薄膜を形成してなり、かつ前記金属薄膜に不規則な幅及び間隔で実質的に平行な多数の断続的な線状痕が複数方向に形成されていることを特徴とする。
本発明の電磁波吸収吸音パネルは、音が入射する通気性を有する第一パネルと、第一パネルに対向する第二パネルとの間に、第一パネルに接するハニカム構造体と、ハニカム構造体に接する少なくとも一枚の第一の多孔質コルゲートシートと、第二パネルに接する電磁波吸収フィルムと、第一の多孔質コルゲートシートと電磁波吸収フィルムとの間の空間が設けられている限り、図1〜図4に示すように種々の構成を有することができる。
図1に示す第一の電磁波吸収吸音パネルは、音が入射する通気性を有する第一パネル1と、第一パネル1に対向する第二パネル2との間に、第一パネル1に接するハニカム構造体3と、ハニカム構造体3に接する一枚の第一の多孔質コルゲートシート4と、第二パネル2に接する電磁波吸収フィルム5と、電磁波吸収フィルム5に接する一枚の第二の多孔質コルゲートシート6とを有し、第一の多孔質コルゲートシート4と第二の多孔質コルゲートシート6との間に空間7が設けられている。ハニカム構造体3の貫通孔3aは第一パネル1の貫通孔1aと連通している。第一パネル1の貫通孔1aは、第一パネル1の強度を保持したままそれに十分な通気性を付与する限り、いかなる断面形状のものでも良い。第一及び第二のパネル1,2は電磁波吸収吸音パネルを支えるフレームとして機能し、ハニカム構造体3及び第一及び第二の多孔質コルゲートシート4,6は吸音体として機能し、電磁波吸収フィルム5は電磁波吸収体として機能する。なお、第一及び第二のパネル1,2の間隔を一定に保持するために、所定の間隔でスペーサ(図示せず)を設けても良い。
図2に示す第二の電磁波吸収吸音パネルは、第二の多孔質コルゲートシート6が省略されている以外、第一の電磁波吸収吸音パネルと同じである。
図3に示す第三の電磁波吸収吸音パネルは、第一の多孔質コルゲートシート4が複数枚(図示の例では2枚)になっている以外、第一の電磁波吸収吸音パネルと同じである。
図4に示す第四の電磁波吸収吸音パネルは、第一の多孔質コルゲートシート4が複数枚(図示の例では2枚)になっている以外、第二の構成の電磁波吸収吸音パネルと同じである。
図5に示す第五の構成の電磁波吸収吸音パネルは、第二パネル2を中心として両側に通気性を有する一対の第一パネル1,1を有し、各第一パネル1にハニカム構造体3及び第一の多孔質コルゲートシート4が順次接しており、また第二パネル2の各面に電磁波吸収フィルム5が接着されている。各第一の多孔質コルゲートシート4と各電磁波吸収フィルム5との間に空間7が設けられている。従って、第五の電磁波吸収吸音パネルは一対の第二の電磁波吸収吸音パネルからなると言える。勿論、第五の電磁波吸収吸音パネルを一対の第一、第三又は第四の電磁波吸収吸音パネルからなる構造としても良い。
(A) 第一及び第二のパネル
第一及び第二のパネル1,2は電磁波吸収吸音パネルに十分な強度を付与できる限り、材質は限定されないが、軽量化のためにプラスチックが好ましい。第一パネル1の貫通孔1aは、音波が十分にハニカム構造体3に進入できるとともに、第一パネル1の強度が低くなりすぎない大きさ及び数であれば良い。
ハニカム構造体3は、第一パネル1の貫通孔1aに連通する貫通孔3aを有し、各貫通孔3aは空気の貯留部として機能する。ハニカム構造体3の貫通孔3aは図6(a) に示すように六角形で良いが、図6(b) に示すように四角形でも良い。ハニカム構造体3の材質は金属でもプラスチックでも良いが、金属製であると電磁波遮蔽体としても機能する。第一パネル1の貫通孔1aを通った音波により各貫通孔3a内の空気は振動し、その振動は第一の多孔質コルゲートシート3の空間4aに伝搬される。貫通孔3aの長さは0.5〜3 cmで良い。貫通孔3aの径(円相当径)は限定的でなく、例えば0.5〜3 cmであれば良い。ハニカム構造体3と第一パネル1との接合は接着剤により行うのが好ましい。
第一及び第二の多孔質コルゲートシート4,6は、図7に示すように微細貫通孔14を全面に均一に有する。微細貫通孔の平均径は10〜1000μmである。微細貫通孔の平均径が10μm未満では、微細貫通孔を通過する音波が少なすぎ、吸音効果が不十分である。また、微細貫通孔の平均径が1000μmを超えると、微細貫通孔を通過した音波同士の干渉が不十分になり、やはり吸音効果が不十分になる。微細貫通孔の平均径は好ましくは20〜200μmであり、より好ましくは30〜100μmである。
電磁波吸収フィルム5は、図9に示すように、プラスチックフィルム50の少なくとも一面に単層又は多層の金属薄膜51を有し、金属薄膜51に不規則な幅及び間隔で実質的に平行な多数の断続的な線状痕52が複数方向に形成されている。
プラスチックフィルム50を形成する樹脂は、絶縁性とともに十分な強度、耐熱性、可撓性及び加工性を有する限り特に制限されず、例えばポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリアリーレンサルファイド(ポリフェニレンサルファイド等)、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン(ポリプロピレン等)等が挙げられる。プラスチックフィルム50の厚さは10〜100μm程度で良い。
金属薄膜51は導電性金属又は磁性金属からなるが、少なくとも一枚の電磁波吸収フィルムの金属薄膜は磁性金属薄膜層を有していなければならない。導電性金属として、銅、アルミニウム、銀等が挙げられる。磁性金属として、ニッケル、クロム等が挙げられる。これらの金属は勿論単体に限らず、合金でも良い。金属薄膜51はスパッタリング法、真空蒸着法等の公知の方法により形成することができる。金属薄膜51の厚さは約0.01〜1μmで良い。金属薄膜51は導電性金属及び磁性金属の積層体でも良い。導電性金属及び磁性金属の好ましい組合せは銅とニッケルである。導電性金属薄膜の厚さは0.01〜1μmが好ましく、磁性金属薄膜の厚さは5〜200μmが好ましい。
優れた電磁波吸収能を発揮するとともに電磁波吸収能の異方性を抑制するために、金属薄膜51に実質的に平行で断続的な線状痕52を複数方向に不規則な幅及び間隔で形成する必要がある。図10は複数の線状痕52の一例を示す。多数の実質的に平行で断続的な線状痕52a,52bは複数方向(図示の例では二方向)に不規則な幅及び間隔で配向している。なお、説明のために図9では線状痕52の深さを誇張している。二方向に配向した線状痕52は種々の幅W及び間隔Iを有する。なお間隔Iは、線状痕52の配向方向(長手方向)及びそれに直交する方向(横手方向)の両方における間隔を意味する。線状痕52の幅W及び間隔Iはいずれも線状痕形成前の金属薄膜51の表面Sの高さ(元の高さ)で求める。線状痕52が種々の幅W及び間隔Iを有するので、電磁波吸収フィルム1は広範囲にわたる周波数の電磁波を効率良く吸収することができる。
第一パネル1は多数の貫通孔1aを有するので、化粧目的の多孔質外装材8aを設けるのが好ましい。多孔質外装材8aによりハニカム構造体3への音波の進入が妨げられてはならない。また、第二パネル2にも必要に応じて化粧用外装材8bを設けても良い。外装材8bは多孔質である必要はない。
第一及び第二の多孔質コルゲートシート4,6は、金属又はプラスチックからなるシートに微細貫通孔を形成した後、コルゲート加工を施すことにより形成することができる。第一及び第二の多孔質コルゲートシート4,6の製造方法に実質的な差がなく、またプラスチックシートの場合と金属シートの場合でも製造方法に実質的な差がないので、以下金属製多孔質コルゲートシート4について製造方法を説明する。金属製多孔質コルゲートシート4の微細貫通孔は下記の方法により形成することができる。
第一の方法では、表面に多数の高硬度微粒子を有するパターンロールと硬質ロールとの間に金属シートを押圧しながら通すことにより金属シートに多数の微細貫通孔を形成する際に、金属シートとパターンロールとの間に比較的薄い硬質プラスチックフィルムを介在させるとともに、金属シートと硬質ロールとの間に比較的厚い軟質プラスチックフィルムを介在させ、金属シート、硬質プラスチックフィルム及び軟質プラスチックフィルムにかかる張力を、穿孔時に金属シートが破断しない程度に同じに設定する。
図12及び図13に示す装置を用いて、微多孔金属シートを製造する方法の一例を説明する。この装置は、穿孔装置を構成するパターンロール101及び硬質ロール102と、第一〜第六のリール103〜108と、パターンロール101及び硬質ロール102のバックアップロール111,112と、第一〜第三のガイドロール113,114,115と、第二のガイドロール114に対向するバフロール116と、平坦な表面を有する一対のプレスロール117,118とを具備する。金属シート131用の第一のリール103、硬質プラスチックフィルム132用の第二のリール104、及び軟質プラスチックフィルム133用の第三のリール105には、金属シート131、硬質プラスチックフィルム132及び軟質プラスチックフィルム133の張力を実質的に同じに設定するために、位置調節手段(図示せず)が設けられている。必要に応じて、金属シート131、硬質プラスチックフィルム132及び軟質プラスチックフィルム133の各々に接する1つ又は複数の張力微調整用ロール231,232,233を設けても良い。
図13に示す穿孔装置では、上から順にバックアップロール111、パターンロール101、硬質ロール102及びバックアップロール112がそれぞれ軸受け127,121,122,128を介して一対のフレーム130,130に回転自在に支持されている。バックアップロール111,112は金属ロールが好ましい。図示の例では、パターンロール101及び硬質ロール102の両方とも駆動ロールであり、また硬質ロール102の両軸受け122,122に振動モータ142,142が取り付けられている。パターンロール101の軸受け121,121はフレーム130,130に固定されており、上下のバックアップロール1111,112及び硬質ロール102の軸受け127,127,128,128,122,122は一対のフレーム130,130に沿って上下動自在である。上方のバックアップロール111の両軸受け127,127に駆動手段144,144が取り付けられており、下方のバックアップロール112の両軸受け128,128に駆動手段146,146が取り付けられている。上方のバックアップロール111はパターンロール101を下方に押圧し、下方のバックアップロール112は硬質ロール102を上方に押圧する。バックアップロール112の押圧により硬質ロール102は軟質プラスチックフィルム133/金属シート131/硬質プラスチックフィルム132を介してパターンロール101に押圧される。パターンロール101及び硬質ロール102はそれぞれバックアップロール111,112に押圧されるので、穿孔中の弾性変形が防止される。
パターンロール101は、図14に詳細に示すように、ロール本体101aの表面に鋭い角部を有するモース硬度5以上の多数の高硬度微粒子110をランダムに有するロールが好ましく、例えば特開平5-131557号、特開平9-57860号及び特開2002-59487号に記載されているロールが好ましい。
パターンロール101と対向して配置される硬質ロール102は平坦なロール面を有する。硬質ロール102も、穿孔中の撓みを防止するために、ダイス鋼のような硬質金属により形成するのが好ましい。硬質ゴムロールの場合、ショアA硬度は80〜95であるのが好ましい。
穿孔したままの微多孔金属シート131aには、破片(バリ)の付着がない縁部を有する完全な貫通孔だけでなく、縁部に金属シートの破片が付着した(バリが残った)貫通孔もある。縁部に破片が付着していると、音波の進入が不十分になるおそれがある。このような問題を回避するために、微多孔金属シート131aの破片を除去するのが好ましい。これには、図12に示すようにガイドロール114と、それに対向するバフロール116との間に穿孔したままの微多孔金属シート131aを通し、バフロール116の回転速度を微多孔金属シート131aの周速より早くして、脱落しやすい金属シートの破片を除去するバフィングを行うのが好ましい。金属シート破片の除去工程で微多孔金属シート131aが破断しないように、バフロール116の材質及び回転速度を調整しなければならない。そのためには、例えば、微多孔金属シート131aが破断しない程度に柔軟なファイバーを有するバフロール116を、多孔金属シート131aが破断しない程度の速度で回転させるのが好ましい。
バフィングした微多孔金属シート131bでも、貫通孔の縁部にめくれがあったり、一部の貫通孔の縁部に金属シートの破片がしっかり付着したままであったりするので、元の金属シート131より見掛け上厚い。薄い微多孔金属シートを所望する場合には、プレス加工により微多孔金属シート131bの貫通孔のバリを平坦化する。微多孔金属シート131bのプレス加工には、平坦な表面を有する一対のプレスロール117,118を用いるのが好ましい。各プレスロール117,118は硬質金属からなるのが好ましい。プレス加工により貫通孔の縁部に付着したままの金属シートの破片は平坦化され、微多孔金属シート131bより薄い(金属シート131とほぼ同じ厚さの)微多孔金属シート131cが得られる。プレスした微多孔金属シート131cでは、平坦化された金属シートの破片が貫通孔を部分的に覆うので、開口率は若干低下する。
(a) 金属シート
穿孔すべき金属シート131としては、アルミニウムシート、銅シート又はステンレススチールシートが好ましい。本発明の方法は20〜50μm程度の厚さの金属シート131の穿孔に好適である。
パターンロール101と金属シート131との間に介在する硬質プラスチックフィルム132は、(a) 穿孔すべき金属シート131にかける張力でも延びないだけでなく、(b) 高硬度微粒子110が貫通してもフィルム本体がほとんど変形しない程度に高い引張強度及び硬度、並びに適度な厚さを有し、かつ(c) 押圧された高硬度微粒子110が容易に貫通できる程度の柔軟性及び厚さを有する必要がある。そのため、硬質プラスチックフィルム132は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ナイロン(Ny)等のポリアミド類、延伸ポリプロピレン(OPP)等の熱可塑性可撓性ポリマーにより形成するのが好ましい。
金属シート131の外側(硬質プラスチックフィルム132と反対側)に位置して、パターンロール101と硬質ロール102の間を通過するときに金属シート131と硬質ロール102との間に介在する軟質プラスチックフィルム133は、(a) 硬質プラスチックフィルム132及び金属シート131を貫通した高硬度微粒子110が食い込むことができる程度の柔軟性及び厚さを有するとともに、(b) 高硬度微粒子110が金属シート131を貫通するのに必要な押圧力を硬質ロール102から伝達できる程度の強度及び硬度を有する必要がある。そのため、軟質プラスチックフィルム133は、ポリオレフィン類、軟質ポリ塩化ビニル等の柔軟な熱可塑性ポリマーにより形成するのが好ましい。ポリオレフィン類としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVAc)等が挙げられる。
パターンロール101と硬質ロール102で金属シート131に貫通孔を形成するときに、金属シート131にかかる張力が硬質プラスチックフィルム132及び軟質プラスチックフィルム133にかかる張力より大きいと、金属シート131に過重な応力がかかって金属シート131が破断する。一方、金属シート131にかかる張力が硬質プラスチックフィルム132及び軟質プラスチックフィルム133にかかる張力より小さいと、金属シート131にしわが生じる。ここで、「張力が実質的に同じ」とは、金属シート131、硬質プラスチックフィルム132及び軟質プラスチックフィルム133にかかる張力が完全に同じ場合に限らず、金属シート131の穿孔の全工程(金属シート131がパターンロール101に接触してから、硬質プラスチックフィルム132及び軟質プラスチックフィルム133を剥離するまで)において、金属シート131の破断やしわを十分に防止できる程度に、金属シート131、硬質プラスチックフィルム132及び軟質プラスチックフィルム133にかかる張力が近いことを意味する。
図12に示すように、パターンロール101側から順に硬質プラスチックフィルム132、金属シート131及び軟質プラスチックフィルム133が位置するように、これらをパターンロール101に接触させる。硬質プラスチックフィルム132、金属シート131及び軟質プラスチックフィルム133がパターンロール101に接触する位置はいずれもパターンロール101と硬質ゴムロールの間隙(金属シート131の押圧位置)より上流側であるのが好ましい。勿論、別のロール(図示せず)により硬質プラスチックフィルム132、金属シート131及び軟質プラスチックフィルム133を実質的に同じ張力で重ねた後、パターンロール101と硬質ゴムロールの間隙に進入させても良い。
パターンロール101の高硬度微粒子110により金属シート131に貫通孔を形成する際に、パターンロール101及び硬質ロール102を機械的に振動させると、(a) 高硬度微粒子110が金属シート131に深く進入して貫通孔の数が多くなるだけでなく、貫通孔の平均孔径も大きくなり、かつ(b) 貫通孔の形成により生じた破片(バリ)35が軟質プラスチックフィルム133の方に付着し、金属シート131から軟質プラスチックフィルム133を剥離するときにバリが金属シート131から脱離する傾向があり、その結果、貫通孔の縁部にバリが少ない微多孔金属シート131aが得られることが分った。前記機械的振動は、少なくとも金属シート131に垂直な成分(パターンロール101の高硬度微粒子110が金属シート131を貫通する方向の成分)を有する必要がある。
パターンロール101と硬質ロール102の間を押圧されながら通過した金属シート131は穿孔され、微多孔金属シート131aとなる。微多孔金属シート131aがパターンロール101及び硬質ロール102から離脱する際、使用済みの硬質プラスチックフィルム132’及び軟質プラスチックフィルム133’を穿孔されたままの微多孔金属シート131aから剥離する。使用済みの硬質プラスチックフィルム132’は第一のガイドロール13を経て第五のリール107に巻き取られ、使用済みの軟質プラスチックフィルム133’は硬質ロール102を経て第六のリール108に巻き取られる。
パターンロール101及び硬質ロール102の下流の第二のガイドロール114に対向させてバフロール116を設けるとともに、バフロール116を微多孔金属シート131aの周速より高い回転速度で回転させながら、バフロール116と第二のガイドロール114との隙間に穿孔されたままの微多孔金属シート131aを通過させることにより、穿孔されたままの微多孔金属シート131aにバフィング処理を行い、破片135を貫通孔の縁部から取り除くのが好ましい。勿論、バフィング処理は場合によっては省略しても良い。
微多孔金属シート131bには貫通孔の縁部に僅かなめくれがあったり、縁部に部分的に金属シート131の破片135が付着したりしているので、元の金属シート131より見掛け上厚くなっている。そのため、必要に応じて、微多孔金属シート131bをプレスすることにより、元の厚さの微多孔金属シート131cにしても良い。
第二の方法では、表面に高硬度微粒子を有するパターンロールと硬質金属ロールとの間に金属シートを通すことにより金属シートに微細孔を形成する際に、金属シートと硬質金属ロールとの間に、軟質プラスチック層及び高引張強度を有する硬質プラスチック層からなる積層プラスチックシートを、軟質プラスチック層が金属シートの側に来るように介在させるとともに、パターンロール及び硬質金属ロールの少なくとも一方に機械的振動を与える。
第二の方法は、硬質プラスチックフィルム及び軟質プラスチックフィルムを用いる代わりに、軟質プラスチック層及び硬質プラスチック層からなる積層プラスチックシートを用いる点で第一の方法と異なる。従って、図15に示す第二の方法に用いる装置のうち、第一の方法に用いる手段と同じものには図12と同じ百台の参照番号を付与し、説明を省略する。
積層プラスチックシート212は、金属シート211を貫通した高硬度微粒子110が容易に進入できる程度に柔軟性を有する軟質プラスチック層212aと、高い引張強度を有する硬質プラスチック層212bとからなる。金属シート211と積層プラスチックシート212とを、軟質プラスチック層212aを金属シート211の側にしてパターンロール101と硬質金属ロール102との間に通すと、金属シート211を貫通した高硬度微粒子110が軟質プラスチック層212aに十分に進入できるとともに、金属シート211の穿孔時にかかる大きな張力でも硬質プラスチック層212bのために、積層プラスチックシート212が伸びることがない。
図15に示すように、金属シート211と積層プラスチックシート212と重ね、積層プラスチックシート212を硬質金属ロール102の側にしてパターンロール101と硬質金属ロール102との隙間に通すと、パターンロール101は金属シート211を押圧し、パターンロール101の高硬度微粒子110が金属シート211を貫通して積層プラスチックシート212の軟質プラスチック層212aに食い込む。図16及び図17に示すように、パターンロール101に任意の配置で固着された種々の大きさの高硬度微粒子110により、金属シート211に種々の大きさの貫通孔が任意の配置で形成される。高硬度微粒子110がパターンロール101のニッケルめっき層14から突出する高さが異なっていても、軟質プラスチック層212aは高硬度微粒子110が十分に進入できる厚さであるので、金属シート211を貫通した高硬度微粒子110は十分に軟質プラスチック層212aに食い込む。高硬度微粒子110が金属シート211を貫通すると、金属シート211は高硬度微粒子110に沿って複雑に切断されてめくれ、高硬度微粒子110とともに軟質プラスチック層212aに進入する。軟質プラスチック層212aは十分に柔軟であるので、貫通孔の部分だけ金属シート211がめくれて軟質プラスチック層212aに進入する。
図13に示す装置に、外径200 mmのSKD11製ロールにニッケルめっきにより粒径分布が100〜400μmのダイヤモンド微粒子110を付着させたパターンロール101、及び外径200 mmのSKD11製硬質ロール102を取り付け、硬質ロール102の両軸受け122,122に振動モータ(ユーラステクノ株式会社の「ユーラスバイブレータ」型式:KEE-6-2B)142,142を取り付けた。各振動モータ142の回転軸は硬質ロール102の回転軸と平行であった。この振動モータ142は偏心ウエイトの回転により振動を発生する構造であり、回転する硬質ロール102に付与した振動(両ロール101,102の間隙に垂直な方向の振動)は1200 Hzの周波数を有していた。
幅Wの範囲:0.5〜5μm
平均幅Wav:2μm
横手方向間隔Iの範囲:2〜30μm
平均横手方向間隔Iav:10μm
平均長さLav:5 mm
交差角θs:90°
Claims (9)
- 音が入射する通気性を有する第一パネルと、前記第一パネルに対向する第二パネルとの間に、前記第一パネルに接するハニカム構造体と、前記ハニカム構造体に接する少なくとも一枚の第一の多孔質コルゲートシートと、前記第二パネルに接する電磁波吸収フィルムと、前記第一の多孔質コルゲートシートと前記電磁波吸収フィルムとの間の空間が設けられた電磁波吸収吸音パネルであって、
前記ハニカム構造体の貫通孔は前記第一パネルの貫通孔と連通しており、
前記第一の多孔質コルゲートシートは10〜1000μmの平均径を有する微細貫通孔を有し、
前記電磁波吸収フィルムはプラスチックフィルムの一方の面に金属薄膜を形成してなり、かつ前記金属薄膜に不規則な幅及び間隔で実質的に平行な多数の断続的な線状痕が複数方向に形成されていることを特徴とする電磁波吸収吸音パネル。 - 請求項1に記載の電磁波吸収吸音パネルにおいて、前記第一の多孔質コルゲートシートにおける微細貫通孔の分布密度が20〜2500個/cm2であることを特徴とする電磁波吸収吸音パネル。
- 請求項1又は2に記載の電磁波吸収吸音パネルにおいて、前記第一の多孔質コルゲートシートが金属又はプラスチックからなることを特徴とする電磁波吸収吸音パネル。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の電磁波吸収吸音パネルにおいて、前記電磁波吸収フィルムの表面に少なくとも一枚の第二の多孔質コルゲートシートが設けられており、前記第二の多孔質コルゲートシートは10〜1000μmの平均径を有する微細貫通孔を有することを特徴とする電磁波吸収吸音パネル。
- 請求項4に記載の電磁波吸収吸音パネルにおいて、前記第二の多孔質コルゲートシートにおける微細貫通孔の分布密度が20〜2500個/cm2であることを特徴とする電磁波吸収吸音パネル。
- 請求項5のいずれかに記載の電磁波吸収吸音パネルにおいて、前記第二の多孔質コルゲートシートが金属又はプラスチックからなることを特徴とする電磁波吸収吸音パネル。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の電磁波吸収吸音パネルにおいて、前記空間の幅が1〜5 cmであることを特徴とする電磁波吸収吸音パネル。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の電磁波吸収吸音パネルにおいて、前記線状痕は二方向に配向しており、その交差角が30〜90°であることを特徴とする電磁波吸収吸音パネル。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の電磁波吸収吸音パネルにおいて、前記線状痕の幅は90%以上が0.1〜100μmの範囲内にあって、平均1〜50μmであり、前記線状痕の間隔は0.1〜200μmの範囲内にあって、平均1〜100μmであることを特徴とする電磁波吸収吸音パネル。
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