JP5771345B1 - 微多孔金属箔の製造装置 - Google Patents
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Abstract
Description
表面に多数の高硬度微粒子を有するパターンロール、及び前記パターンロールに対向するように隙間を介して配置された硬質ロールを具備する穿孔装置と、
前記パターンロールと前記硬質ロールとの隙間に金属箔を通すための第一のガイド手段と、
前記パターンロールと前記金属箔との隙間に薄い硬質プラスチックフィルムを通すための第二のガイド手段と、
前記硬質ロールと前記金属箔との隙間に前記硬質プラスチックフィルムと比較して厚い軟質プラスチックフィルムを通すための第三のガイド手段とを具備し、
前記金属箔、前記硬質プラスチックフィルム及び前記軟質プラスチックフィルムにかかる張力を穿孔時に前記金属箔が破断しない程度に同じに設定するための調節手段が、前記第一〜第三のガイド手段に設けられており、
もって前記硬質プラスチックフィルム、前記金属箔及び前記軟質プラスチックフィルムは、前記パターンロール側からこの順に積層された状態で、前記パターンロールと前記硬質ロールとの隙間を通過し、微細な貫通孔が形成された微多孔金属箔となることを特徴とする。
図1及び図2に示す微多孔金属箔の製造装置は、穿孔装置を構成するパターンロール1及び硬質ロール2と、第一〜第六のリール3〜8と、パターンロール1及び硬質ロール2のバックアップロール11,12と、第一〜第三のガイドロール13,14,15と、第二のガイドロール14に対向するバフロール16と、平坦な表面を有する一対のプレスロール17,18とを具備する。金属箔31用の第一のリール3、硬質プラスチックフィルム32用の第二のリール4、及び軟質プラスチックフィルム33用の第三のリール5には、金属箔31、硬質プラスチックフィルム32及び軟質プラスチックフィルム33の張力を実質的に同じに設定するために、位置調節手段(図示せず)が設けられている。必要に応じて、金属箔31、硬質プラスチックフィルム32及び軟質プラスチックフィルム33の各々に接する1つ又は複数の張力微調整用ロール131,132,133を設けても良い。
図2に示す穿孔装置では、上から順にバックアップロール11、パターンロール1、硬質ロール2及びバックアップロール12がそれぞれ軸受け27,21,22,28を介して一対のフレーム30,30に回転自在に支持されている。バックアップロール11,12は金属ロールでもゴムロールでも良い。図示の例では、パターンロール1及び硬質ロール2の両方とも駆動ロールであり、また硬質ロール2の両軸受け22,22に振動モータ42,42が取り付けられている。パターンロール1の軸受け21,21はフレーム30,30に固定されており、上下のバックアップロール11,12及び硬質ロール2の軸受け27,27,28,28,22,22は一対のフレーム30,30に沿って上下動自在である。上方のバックアップロール11の両軸受け27,27に駆動手段44,44が取り付けられており、下方のバックアップロール12の両軸受け28,28に駆動手段46,46が取り付けられている。上方のバックアップロール11はパターンロール1を下方に押圧し、下方のバックアップロール12は硬質ロール2を上方に押圧する。バックアップロール12の押圧により硬質ロール2は軟質プラスチックフィルム33/金属箔31/硬質プラスチックフィルム32を介してパターンロール1に押圧される。パターンロール1及び硬質ロール2はそれぞれバックアップロール11,12に押圧されるので、穿孔中の弾性変形が防止される。
パターンロール1は、図3に詳細に示すように、ロール本体1aの表面に鋭い角部を有するモース硬度5以上の多数の高硬度微粒子10をランダムに有するロールが好ましく、例えば特開平5-131557号、特開平9-57860号及び特開2002-59487号に記載されているロールが好ましい。
パターンロール1と対向して配置される硬質ロール2は平坦なロール面を有する。金属箔31の穿孔中にロール面が凹まない程度の硬度を有するものであれば、金属ロールでも硬質ゴムロールでも良い。硬質ロール2も、穿孔中の撓みを防止するために、ダイス鋼のような硬質金属により形成するのが好ましい。硬質ゴムロールの場合、ショアA硬度は80〜95であるのが好ましい。
穿孔したままの微多孔金属箔31aには、破片(バリ)の付着がない縁部を有する完全な貫通孔だけでなく、縁部に金属箔の破片が付着した(バリが残った)貫通孔もある。縁部に付着した金属箔の破片のうち脱落しやすいものがあると、後工程で脱落した金属箔の破片がリチウムイオン電池やキャパシタ等に対して悪作用をするおそれがある。このような問題を回避するために、脱落しやすい金属箔の破片は予め除去しておくのが好ましい。これには、図1に示すようにガイドロール14と、それに対向するバフロール16との間に穿孔したままの微多孔金属箔31aを通し、バフロール16の回転速度を微多孔金属箔31aの周速より早くして、脱落しやすい金属箔の破片を除去するバフィングを行うのが好ましい。金属箔破片の除去工程で微多孔金属箔31aが破断しないように、バフロール16の材質及び回転速度を調整しなければならない。そのためには、例えば、微多孔金属箔31aが破断しない程度に柔軟なファイバーを有するバフロール16を、多孔金属箔31aが破断しない程度の速度で回転させるのが好ましい。
バフィングした微多孔金属箔31bでも、貫通孔の縁部にめくれがあったり、一部の貫通孔の縁部に金属箔の破片がしっかり付着したままであったりするので、元の金属箔31より見掛け上厚い。薄い微多孔金属箔を所望する場合には、プレス加工により微多孔金属箔31bの貫通孔のバリを平坦化する。微多孔金属箔31bのプレス加工には、平坦な表面を有する一対のプレスロール17,18を用いるのが好ましい。各プレスロール17,18は硬質金属からなるのが好ましい。プレス加工により貫通孔の縁部に付着したままの金属箔の破片は平坦化され、微多孔金属箔31bより薄い(金属箔31とほぼ同じ厚さの)微多孔金属箔31cが得られる。プレスした微多孔金属箔31cでは、平坦化された金属箔の破片が貫通孔を部分的に覆うので、開口率は若干低下する。
(1) 金属箔
穿孔すべき金属箔31としては、アルミニウム箔、銅箔又はステンレススチール箔が好ましい。特にアルミニウム箔は、リチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ等の集電体に使用でき、銅箔はリチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタ等の蓄電デバイスの負極又は正極に使用できる。本発明の装置は5〜50μm程度の厚さの金属箔31の穿孔に使用できる。微多孔金属箔31をリチウムイオン電池の集電体等に用いるのに好適なように、金属箔31の厚さの上限は好ましくは40μm、より好ましくは30μm、最も好ましくは25μmである。また、金属箔31の厚さの下限は実用的には10μmでも良い。
パターンロール1と金属箔31との間に介在する硬質プラスチックフィルム32は、(a) 穿孔すべき金属箔31にかける張力でも延びないだけでなく、(b) 高硬度微粒子10が貫通してもフィルム本体がほとんど変形しない程度に高い引張強度及び硬度、並びに適度な厚さを有し、かつ(c) 押圧された高硬度微粒子10が容易に貫通できる程度の柔軟性及び厚さを有する必要がある。そのため、硬質プラスチックフィルム32は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ナイロン(Ny)等のポリアミド類、延伸ポリプロピレン(OPP)等の熱可塑性可撓性ポリマーにより形成するのが好ましい。
金属箔31の外側(硬質プラスチックフィルム32と反対側)に位置して、パターンロール1と硬質ロール2の間を通過するときに金属箔31と硬質ロール2との間に介在する軟質プラスチックフィルム33は、(a) 硬質プラスチックフィルム32及び金属箔31を貫通した高硬度微粒子10が食い込むことができる程度の柔軟性及び厚さを有するとともに、(b) 高硬度微粒子10が金属箔31を貫通するのに必要な押圧力を硬質ロール2から伝達できる程度の強度及び硬度を有する必要がある。そのため、軟質プラスチックフィルム33は、ポリオレフィン類、軟質ポリ塩化ビニル等の柔軟な熱可塑性ポリマーにより形成するのが好ましい。ポリオレフィン類としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVAc)等が挙げられる。
パターンロール1と硬質ロール2で金属箔31に貫通孔を形成するときに、金属箔31にかかる張力が硬質プラスチックフィルム32及び軟質プラスチックフィルム33にかかる張力より大きいと、金属箔31に過重な応力がかかって金属箔31が破断する。一方、金属箔31にかかる張力が硬質プラスチックフィルム32及び軟質プラスチックフィルム33にかかる張力より小さいと、金属箔31にしわが生じる。ここで、「張力が実質的に同じ」とは、金属箔31、硬質プラスチックフィルム32及び軟質プラスチックフィルム33にかかる張力が完全に同じ場合に限らず、金属箔31の穿孔の全工程(金属箔31がパターンロール1に接触してから、硬質プラスチックフィルム32及び軟質プラスチックフィルム33を剥離するまで)において、金属箔31の破断やしわを十分に防止できる程度に、金属箔31、硬質プラスチックフィルム32及び軟質プラスチックフィルム33にかかる張力が近いことを意味する。
図1に示すように、パターンロール1側から順に硬質プラスチックフィルム32、金属箔31及び軟質プラスチックフィルム33が位置するように、これらをパターンロール1に接触させる。硬質プラスチックフィルム32、金属箔31及び軟質プラスチックフィルム33がパターンロール1に接触する位置はいずれもパターンロール1と硬質ゴムロールの間隙(金属箔31の押圧位置)より上流側であるのが好ましい。勿論、別のロール(図示せず)により硬質プラスチックフィルム32、金属箔31及び軟質プラスチックフィルム33を実質的に同じ張力で重ねた後、パターンロール1と硬質ゴムロールの間隙に進入させても良い。
パターンロール1の高硬度微粒子10により金属箔31に貫通孔を形成する際に、パターンロール1及び硬質ロール2を機械的に振動させると、(a) 高硬度微粒子10が金属箔31に深く進入して貫通孔の数が多くなるだけでなく、貫通孔の平均孔径も大きくなり、かつ(b) 貫通孔の形成により生じた破片(バリ)35が軟質プラスチックフィルム33の方に付着し、金属箔31から軟質プラスチックフィルム33を剥離するときにバリが金属箔31から脱離する傾向があり、その結果、貫通孔の縁部にバリが少ない微多孔金属箔31aが得られることが分った。前記機械的振動は、少なくとも金属箔31に垂直な成分(パターンロール1の高硬度微粒子10が金属箔31を貫通する方向の成分)を有する必要がある。
パターンロール1と硬質ロール2の間を押圧されながら通過した金属箔31は穿孔され、微多孔金属箔31aとなる。微多孔金属箔31aがパターンロール1及び硬質ロール2から離脱する際、使用済みの硬質プラスチックフィルム32’及び軟質プラスチックフィルム33’を穿孔されたままの微多孔金属箔31aから剥離する。使用済みの硬質プラスチックフィルム32’は第一のガイドロール13を経て第五のリール7に巻き取られ、使用済みの軟質プラスチックフィルム33’は硬質ロール2を経て第六のリール8に巻き取られる。
パターンロール1及び硬質ロール2の下流の第二のガイドロール14に対向させてバフロール16を設けるとともに、バフロール16を微多孔金属箔31aの周速より高い回転速度で回転させながら、バフロール16と第二のガイドロール14との隙間に穿孔されたままの微多孔金属箔31aを通過させることにより、穿孔されたままの微多孔金属箔31aにバフィング処理を行い、比較的容易に離脱し得る金属箔31の破片35を貫通孔の縁部から取り除くのが好ましい。勿論、バフィング処理は場合によっては省略しても良い。
微多孔金属箔31bには貫通孔の縁部に僅かなめくれがあったり、縁部に部分的に金属箔31の破片が付着したりしているので、元の金属箔31より見掛け上厚くなっている。そのため、必要に応じて、微多孔金属箔31bをプレスすることにより、元の厚さの微多孔金属箔31cにするのが好ましい。勿論、例えばリチウムイオン電池に使用する場合に、正極材料を塗布した後でプレスするときには、微多孔金属箔31bをプレスする工程を省略できる。アルミニウムや銅の薄い箔からなる微多孔金属箔31bは非常に柔軟であるので、微多孔金属箔31bのプレスは、(a) 縁部のめくれや、縁部に部分的に付着した金属箔31の破片35を平坦化できるとともに、(b) 微多孔金属箔31bを破断させない程度の押圧力で行う必要がある。具体的なプレス圧は、金属箔31の材質及び厚さに応じて決めれば良い。
本発明の装置により得られた微多孔金属箔は多数の貫通孔を有し、また貫通孔の中では、バリのない縁部を有するものの割合が高い。例えば粒径100〜600μmのダイヤモンド微粒子10を30〜80%の面積率で表面に有するダイヤモンドロール1を用いて、厚さ6〜20μmの硬質プラスチックフィルムと厚さ30〜300μmの軟質プラスチックフィルムで挟んだ厚さ5〜50μmの金属箔31に対して50〜600 kgf/cmの押圧力で貫通孔を形成した場合、貫通孔の孔径はほぼ50〜150μmの範囲内にあり、約20%以上の貫通孔にはバリがない。ただし、縁部にバリが付着した貫通孔もあるので、微多孔金属箔31aの貫通孔の面積率を透光率により評価するのが適切である。透光率(%)は、波長660 nmの入射光I0に対する微多孔金属箔31aの透過光Iの割合(I/I0×100)である。本発明の装置により製造された微多孔金属箔31aの透光率は、製造条件により異なるが、一般に2〜10%であり、好ましくは3〜6.5%である。
図2に示す穿孔装置に、外径200 mmのSKD11製ロールにニッケルめっきにより粒径分布が250〜350μmのダイヤモンド微粒子10を付着させたパターンロール1、及び外径200 mmのSKD11製硬質ロール2を取り付け、硬質ロール2の両軸受け22,22に振動モータ(ユーラステクノ株式会社の「ユーラスバイブレータ」型式:KEE-6-2B)32,32を取り付けた。各振動モータ42の回転軸は硬質ロール2の回転軸と平行であった。この振動モータは偏心ウエイトの回転により振動を発生する構造であり、回転する硬質ロール2に付与した振動(両ロール1,2の間隙に垂直な方向の振動)は120 Hzの周波数を有していた。
アルミニウム箔31とバフロール1との間に硬質プラスチックフィルム32を介在させない以外実施例1と同様にして、図1及び図2に示す装置により微多孔アルミニウム箔31aを作製した。その結果、穿孔中にアルミニウム箔31の破断が起こった。
アルミニウム箔31と硬質ロール2との間に軟質プラスチックフィルム33を介在させない以外比較例1と同様にして、微多孔アルミニウム箔31aを作製したところ、ダイヤモンド微粒子10が硬質ロール2に当たったために、アルミニウム箔31に形成された貫通孔の数が非常に少なかった。
硬質プラスチックフィルム32及び軟質プラスチックフィルム33を用いずに、アルミニウム箔31に対してパターンロール1及び硬質ロール2により穿孔を行おうとしたところ、貫通孔がほとんど形成されなかっただけでなく、アルミニウム箔31が破断した。
(1) アルミニウム箔の代わりに厚さ12μmの銅箔を用い、(2) 押圧力を333 kgf/cmに変更し、かつ(3) 硬質ロール2に付与する振動周波数を60 Hzに変更した以外実施例1と同様にして、微多孔銅箔31aを作製した。両ロール1,2の間隙を通過した穿孔したままの微多孔銅箔31aから、使用済みの硬質プラスチックフィルム32’及び軟質プラスチックフィルム33’を剥離した。得られた微多孔銅箔31aには破断やしわ等の欠陥が認められなかった。
押圧力を300 kgf/cmに変更した以外実施例2と同様にして、微多孔銅箔31aを作製した。両ロール1,2の間隙を通過した穿孔したままの微多孔銅箔31aから、使用済みの硬質プラスチックフィルム32’及び軟質プラスチックフィルム33’を剥離した。得られた微多孔銅箔31aには破断やしわ等の欠陥が認められなかった。
(1) 押圧力を133 kgf/cmに変更し、(2) 銅箔31の送給速度を0.5 m/秒に変更し、かつ(3) 硬質ロール2に付与する振動周波数を40 Hzに変更した以外実施例1と同様にして、微多孔銅箔31aを作製した。両ロール1,2の間隙を通過した穿孔したままの微多孔銅箔31aから、使用済みの硬質プラスチックフィルム32’及び軟質プラスチックフィルム33’を剥離した。得られた微多孔銅箔31aには破断やしわ等の欠陥が認められなかった。
硬質プラスチックフィルム32としてAl蒸着層がない厚さ12μmのPETフィルムを用いた以外、実施例1と同様にして、微多孔Al箔31aを作製した。両ロール1,2の間隙を通過した穿孔したままの微多孔Al箔31aから、使用済みの硬質プラスチックフィルム32’及び軟質プラスチックフィルム33’を剥離した。得られた微多孔Al箔31aには破断やしわ等の欠陥が認められなかった。光学顕微鏡観察の結果、微多孔Al箔31aは均一な大きさの貫通孔を多数有し、貫通孔の孔径分布はほぼ150〜200μmであることが分った。また、縁部にAl箔の破片が付着していない完全な貫通孔の割合は約10%であった。微多孔Al箔31aの透光率は2%であった。
軟質プラスチックフィルム33として厚さ100μmのHDPE単体のフィルムを用いた以外、実施例1と同様にして、微多孔Al箔31aを作製した。両ロール1,2の間隙を通過した穿孔したままの微多孔Al箔31aから、使用済みの硬質プラスチックフィルム32’及び軟質プラスチックフィルム33’を剥離した。得られた微多孔Al箔31aには破断やしわ等の欠陥が認められなかった。光学顕微鏡観察の結果、微多孔Al箔31aは均一な大きさの貫通孔を多数有し、貫通孔の孔径分布はほぼ150〜200μmであることが分った。また、縁部にAl箔の破片が付着していない完全な貫通孔の割合は約10%であった。微多孔Al箔31aの透光率は2%であった。
硬質プラスチックフィルム32としてAl蒸着した厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムを用いた以外、実施例1と同様にして、微多孔Al箔31aを作製した。両ロール1,2の間隙を通過した穿孔したままの微多孔Al箔31aから、使用済みの硬質プラスチックフィルム32’及び軟質プラスチックフィルム33’を剥離した。得られた微多孔Al箔31aには破断やしわ等の欠陥が認められなかった。光学顕微鏡観察の結果、微多孔Al箔31aは均一な大きさの貫通孔を多数有し、貫通孔の孔径分布はほぼ150〜200μmであることが分った。また、縁部にAl箔の破片が付着していない完全な貫通孔の割合は約10%であった。微多孔Al箔31aの透光率は3%であった。
軟質プラスチックフィルム33として厚さ200μmの低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムを用いた以外、実施例1と同様にして、微多孔Al箔31aを作製した。両ロール1,2の間隙を通過した穿孔したままの微多孔Al箔31aから、使用済みの硬質プラスチックフィルム32’及び軟質プラスチックフィルム33’を剥離した。得られた微多孔Al箔31aには破断やしわ等の欠陥が認められなかった。光学顕微鏡観察の結果、微多孔Al箔31aは均一な大きさの貫通孔を多数有し、貫通孔の孔径分布はほぼ150〜200μmであることが分った。また、縁部にAl箔の破片が付着していない完全な貫通孔の割合は約15%であった。微多孔Al箔31aの透光率は3%であった。
実施例1の微多孔アルミニウム箔の両面にリチウムイオン電池の正極材料を塗布し、120℃で乾燥した後、ロールプレスした。正極材料の組成は、活物質としてリチウムニッケルコバルトマンガンオキサイド(NCM)100重量部、導電助剤1としてアセチレンブラック(電気化学工業株式会社製HS-100)3重量部、導電助剤2としてグラファイト粉(ティムカル社製KS6L)3重量部、バインダとしてポリフッ化ビニリデンPVDF 3重量部、及び溶剤としてN-メチル-2-ピロリドン61重量部であった。顕微鏡観察の結果、正極材料が貫通孔に充填されていることが確認された。これから、本発明の装置により得られた微多孔アルミニウム箔は、リチウムイオン電池の集電体に好適であることが分かる。
1a・・・パターンロール本体
1b・・・パターンロールのめっき層
2・・・硬質ロール
3〜8・・・第一〜第六のリール
10・・・高硬度微粒子
13,14,15・・・第一〜第三のガイドロール
16・・・バフロール
17,18・・・プレスロール
21,22,27,28・・・軸受け
30・・・穿孔装置のフレーム
31・・・金属箔
31a・・・穿孔されたままの微多孔金属箔
31b・・・バフィングした後の微多孔金属箔
31c・・・プレスした後の微多孔金属箔
32・・・硬質プラスチックフィルム
32’・・・使用済み硬質プラスチックフィルム
33・・・軟質プラスチックフィルム
33’・・・使用済み軟質プラスチックフィルム
42・・・振動モータ
44,46・・・駆動手段
Claims (16)
- 微多孔金属箔の製造装置において、
表面に多数の高硬度微粒子を有するパターンロール、及び前記パターンロールに対向するように隙間を介して配置された硬質ロールを具備する穿孔装置と、
前記パターンロールと前記硬質ロールとの隙間に金属箔を通すための第一のガイド手段と、
前記パターンロールと前記金属箔との隙間に薄い硬質プラスチックフィルムを通すための第二のガイド手段と、
前記硬質ロールと前記金属箔との隙間に前記硬質プラスチックフィルムと比較して厚い軟質プラスチックフィルムを通すための第三のガイド手段とを具備し、
前記金属箔、前記硬質プラスチックフィルム及び前記軟質プラスチックフィルムにかかる張力を穿孔時に前記金属箔が破断しない程度に同じに設定するための調節手段が、前記第一〜第三のガイド手段に設けられており、
もって前記硬質プラスチックフィルム、前記金属箔及び前記軟質プラスチックフィルムは、前記パターンロール側からこの順に積層された状態で、前記パターンロールと前記硬質ロールとの隙間を通過し、微細な貫通孔が形成された微多孔金属箔となることを特徴とする装置。 - 請求項1に記載の微多孔金属箔の製造装置において、前記パターンロール又は前記硬質ロールのいずれかの軸受けに振動モータが取り付けられており、前記振動モータにより前記金属箔の穿孔中に前記パターンロール及び前記硬質ロールの少なくとも一方に機械的振動が付与されることを特徴とする装置。
- 請求項2に記載の微多孔金属箔の製造装置において、前記機械的振動の周波数が30〜1000 Hzであることを特徴とする装置。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の微多孔金属箔の製造装置において、前記穿孔装置の下流にバフロールが設けられており、前記バフロールは前記微多孔金属箔の表面に摺接して、微細な貫通孔の縁部に残った金属箔の破片を除去することを特徴とする装置。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の微多孔金属箔の製造装置において、前記穿孔装置の下流に平坦な表面を有する一対のプレスロールが設けられており、前記プレスロールは前記微多孔金属箔を圧延して平坦化することを特徴とする装置。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の微多孔金属箔の製造装置において、前記パターンロールが鋭い角部を有するモース硬度5以上の多数の高硬度微粒子を表面に有することを特徴とする装置。
- 請求項6に記載の微多孔金属箔の製造装置において、前記高硬度微粒子が100〜500μmの範囲内の粒径を有することを特徴とする装置。
- 請求項6又は7に記載の微多孔金属箔の製造装置において、前記微粒子がロール面に30〜80%の面積率で付着していることを特徴とする装置。
- 請求項6〜8のいずれかに記載の微多孔金属箔の製造装置において、前記高硬度微粒子のアスペクト比が1〜2の範囲内であることを特徴とする装置。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の微多孔金属箔の製造装置において、前記硬質ロールが金属ロール又は硬質ゴムロールであることを特徴とする装置。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の微多孔金属箔の製造装置において、前記金属箔の厚さが5〜50μmであり、前記硬質プラスチックフィルムの厚さが6〜20μmであり、前記軟質プラスチックフィルムの厚さが25〜300μmであることを特徴とする装置。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の微多孔金属箔の製造装置において、前記金属箔がアルミニウム箔又は銅箔であることを特徴とする装置。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の微多孔金属箔の製造装置において、前記硬質プラスチックフィルムがポリエステルフィルムであり、前記軟質プラスチックフィルムがポリエチレンフィルムであることを特徴とする装置。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の微多孔金属箔の製造装置において、前記硬質プラスチックフィルムが前記金属箔の側に金属薄膜を有することを特徴とする装置。
- 請求項1〜14のいずれかに記載の微多孔金属箔の製造装置において、前記軟質プラスチックフィルムが、高い引張強度及び硬度を有するベースフィルムに、柔軟な樹脂からなる層を設けた複合フィルムであることを特徴とする装置。
- 請求項15に記載の微多孔金属箔の製造装置において、前記ベースフィルムがポリエステルフィルムであり、前記柔軟な樹脂層がポリエチレン層であることを特徴とする装置。
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