JP2007083289A - 孔あき金属箔の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電解コンデンサー、電気二重層キャパシター、あるいはリチウム電池等の一次電池、二次電池の電極または集電体として使用する金属箔の製造方法に関するものである。電解液との接触面積を増やす、あるいは活物質を取り込む、また発生するガスを抜くというために、電極あるいは集電体の金属箔に微細な孔を設けることが行われている。簡便な装置で樹脂との複合も容易にできる孔開き金属箔の製造方法が切望されている。
【解決手段】 緊張状態に保持された金属箔面に、曲げ支持体を押し付けることにより局部的な折り曲げ部を形成し、その後金属箔を前記曲げ支持体の先端部に接触させつつ前記折り曲げ部における折り曲げ線に対して直交する方向に引っ張ることにより、該金属箔の引張り方向と略直交して連続的な縞状のクラックもしくはクレーズ領域を形成する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、電解コンデンサー、電気二重層キャパシター、あるいはリチウム電池等の一次電池、二次電池の電極または集電体として使用する金属箔又は金属薄板の製造方法に関するものである。
電解液との接触面積を増やす、あるいは活物質を取り込む、また発生するガスを抜くというために、電極あるいは集電体の金属箔に微細な孔を設けることが行われている。例えば、特開平11‐97035には金属薄板を加工限度を超えて圧延加工することにより多数の貫通孔が設けられているすだれ様孔開き金属箔が開示されている。また、特開平11‐233117には薄い鋼板に硬質層を形成した後、冷間圧延することによってクラックを生ぜしめて活物質の脱落を防止する方法が示されている(特許文献1、2参照)。一方、高分子樹脂フィルムの分野では高分子樹脂フィルムの分子配向方向と平行に折り曲げて折り曲げ線と直交する方向に引っ張ることにより微細な孔(クレーズ)を形成する方法が開示されている(特許文献3参照)。
特開平11‐97035号公報 特開平11‐233117号公報 特許第3156058号公報
しかしながら圧延で箔にするには大掛かりな設備が必要である。また、金属箔と樹脂等を複合しようとするには圧延法では樹脂がつぶれて出来ない。簡便な装置で樹脂との複合も容易にできる孔開き金属箔の製造方法が切望されている。
発明者は前記の課題を解決するために種々検討した結果、金属箔を折り曲げることで希望するクラックもしくはクレーズを生成することを見出した。請求項1の発明は、連続的な金属箔に局部的な曲げ加工部を形成することで曲げ加工部と平行なクラックもしくはクレーズ領域を形成することを特徴とする孔あき金属箔の製造方法である。
請求項2の発明は、緊張状態に保持された金属箔面に、曲げ支持体を押し付けることにより局部的な折り曲げ部を形成し、その後金属箔を前記曲げ支持体の先端部に接触させつつ前記折り曲げ部における折り曲げ線に対して直交する方向に引っ張ることにより、該金属箔の引張り方向と略直交して連続的な縞状のクラックもしくはクレーズ領域を形成することを特徴とする孔あき金属箔の製造方法である。
請求項3の発明は、請求項2において前記曲げ支持体の先端部の断面が円弧状を有していることを特徴とする請求項2記載の孔あき金属箔の製造方法である。
請求項4の発明は、金属箔に樹脂を積層し、樹脂の面から曲げ支持体を押し付けることにより折り曲げ部を形成することを特徴とする請求項2記載の孔あき金属箔の製造方法である。
請求項5の発明は、金属箔に硬質層を形成し、硬質層の反対面から曲げ支持体を押し付けることにより折り曲げ部を形成することを特徴とする請求項2記載の孔あき金属箔の製造方法である。
請求項6の発明は、連続的な金属箔を二本の押し付けローラとその間に介在する曲げローラの間を通すことにより局部的な曲げ加工部をもうけることで、曲げ加工部と平行なクラックもしくはクレーズ領域を形成することを特徴とする孔あき金属箔の製造方法である。
請求項7の発明は、請求項6の孔あき金属箔の製造方法において、二本の押し付けローラの中心を結ぶ線より奥に曲げローラを配することを特徴とする孔あき金属箔の製造方法である。
請求項8の発明は、請求項6の孔あき金属箔の製造方法において、押し付けローラが弾性ローラであることを特徴とする孔あき金属箔の製造方法である。
金属箔を折り曲げることにより生ずるクラックもしくはクレーズを、円弧を有する曲げ支持体で制御することにより希望する大きさのクラックもしくはクレーズを有する孔あき金属箔が得られ、電極あるいは集電体の性能を向上することが出来る。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この実施の形態に係る孔あき金属箔製造の模式図であり、図2は製造過程における局部的な折り曲げ部の拡大図である。金属箔1に対し重錘等でB方向に張力をかけ、緊張状態に保持された金属箔面に、曲げ支持体4を押し付けることにより局部的な折り曲げ部(図2)を形成し、その後金属箔を前記曲げ支持体の先端部に接触させつつ前記折り曲げ部における折り曲げ線に対して直交する方向Aに引っ張ることにより、該金属箔の引張り方向と略直交して連続的な縞状のクラックもしくはクレーズ領域を形成する。金属箔は局部的な折り曲げによりクラックもしくはクレーズの核を発生し、緊張状態に保持する張力Bおよび金属箔1と曲げ支持体4の間の摩擦力に抗してA方向に引っ張ることによりクラックもしくはクレーズは成長し所望の大きさの孔あき金属箔を得ることが出来る。
図2では曲げ支持体の先端部の断面は円弧状を有している。折り曲げによりクラックもしくはクレーズが発生するので円弧の半径は小さいほうが発生しやすいが金属箔との摩擦が大きくなり箔を破断させてしまう。逆に半径が大きいとクラックもしくはクレーズが発生しない。曲げ支持体の先端半径は0.1mmから100mm、好ましくは1mmから30mmが選ばれる。
金属箔の材料としては、銅、アルミニウム、チタン、鉄、鋼、ステンレススチール、亜鉛、ニッケル等可能であるが、柔軟性からアルミニウム、銅が好ましい。箔の厚みも1μから200μ可能であるが、好ましくは5から30μの箔が用いられる。なお本発明において「金属箔」とは極めて薄い金属薄板をも含むものを意味する。
図3は曲げ支持体の他の実施例である。曲げ支持体の先端部にローラを配することにより金属箔との摩擦力を減少しより小さな曲げ半径を与えることが出来る。ローラは通常は回転できるよう取り付けるが、ローラに代わって硬質の線材を固着してもよい。磨耗した曲げ支持体先端部を取替え可能にするためである。
図4では金属箔に樹脂を複合した状態を示している。樹脂を複合することにより曲げ支持体の円弧半径が同じでも、樹脂の厚み分曲げたときの円周長(伸ばす長さ)は大きくなり、それだけクラックもしくはクレーズが入りやすくなる。また金属箔が薄くて破れ易いものであっても樹脂で保持することで確実にクラックもしくはクレーズを入れることが出来、取り扱い操作を容易にすることが出来る。さらに金属箔と曲げ支持体の間に樹脂層が介在することにより、曲げ支持体との摩擦を減少し引っ張りを容易にする。この樹脂層は金属箔に積層させた状態で製品としてもよいが、金属箔より樹脂を剥離することが容易であれば、粘着剤を用いて貼張してもよく、金属箔に複数の樹脂を重ね合わせて圧着してもよく、クラックもしくはクレーズ加工工程が終わった後樹脂層を剥離して金属箔のみの製品とすることが出来る。
ここで用いる樹脂の材料はフィルムとなる高分子樹脂材料ならどれでもよいが、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソプレン等のポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン‐6,6、等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等を使うことができる。
金属箔に樹脂を複合した製品とする場合、多様な製造方法が展開できる。例えば、一旦金属箔を折り曲げ加工してクラックもしくはクレーズを発生させた後、特許第3156058号公報に記載されているような方法で樹脂フィルムにクレーズを発生させることで金属にクラックもしくはクレーズが、樹脂にはクレーズの入ったものを得ることが出来る。
図5は金属箔にクラックもしくはクレーズ促進材を複合した例を示している。フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート樹脂等の硬質樹脂の接着剤等を金属箔に塗布し、乾燥後折り曲げ加工すると、金属より先に破断伸びの小さな樹脂層が破壊し、その破壊面が金属に伝播して金属にクラックもしくはクレーズを発生させる。このようなクラックもしくはクレーズ促進材は母金属より破断伸びの小さな硬質層であればよく、前記フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート樹脂等の硬質樹脂あるいはパラフィンろう、松脂等を金属面に塗布するとか、金属に窒化処理、炭化処理等で硬質層を形成するとか、また、金属面上にニッケルリン等の硬質めっきを施しその部分を硬質層とするのもよい。
これらの方法を組み合わせて施工することもよい。フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート樹脂等の樹脂接着剤を高分子樹脂フィルムを積層した金属箔に塗布乾燥する。該複合金属箔を折り曲げ加工してクラックもしくはクレーズを発生させる。このクラックもしくはクレーズ発生金属箔を引っ張り加工してクラックもしくはクレーズを成長させ、引っ張りながら表面にカーボン、リチウム化合物等の活物質を施用する。クラックもしくはクレーズの中に活物質が入り込み引っ張り力を除いた後でもクラックもしくはクレーズが閉じることはない。
図6は金属箔の曲げ加工部の別の方法の実施形態を示している。同方向に回転する押し付けローラ6、6'の間に曲げローラ44が介在している。下方から送られてきた金属箔1は第一の押し付けローラ6と曲げローラ44の間を通った後、反転して第二の押し付けローラ6'と曲げローラ44の間を通って引き出されていく。曲げによりクラックもしくはクレーズが発生するので曲げローラの半径は小さいほうが発生しやすい。曲げローラの半径は0.1mmから100mm、好ましくは1mmから30mmが選ばれる。
図7は曲げローラによる別の実施例を示す。この例では二本の押し付けローラの中心を結ぶ線より奥に曲げローラを配している。これにより曲げローラの径が押し付けローラの間隔より大きければ、金属箔に引っ張り張力をかけても抜け出ることはなく、曲げローラの回転軸を固定しなくても自律的に回転することが出来、細い径の曲げローラでも使用することが出来る。
図8は押し付けローラに弾性ローラを使った例を示す。二本の押し付けローラの軸間距離を二本のローラの径の和より小さくすると、ローラはつぶれて行き帰りの金属箔を押し付け、曲げローラで曲げるとともに強い引っ張り力を与えクラックもしくはクレーズをより安定して発生しやすくする。ローラは二本とも弾性ローラを使ってもよいが一方だけを弾性ローラにしてもよい。弾性ローラとして、通常ゴムローラ、ウレタンローラ、熱可塑エラストマ製のロール等が使われるがこれに限られることはなく、圧縮して変形するものであればよい。中実のローラでもよいし、発泡体のロールでもよい。
これら二本の押し付けローラは通常円周速度を等しくして用いられるが出口側の押し付けローラの円周速度を入り口側よりわずかに早くすることにより金属箔に引っ張り力を与えクラックもしくはクレーズを成長しやすくすることが出来る。
本発明は金属箔に微細な孔を開ける方法であり、このような孔により表面積が増加、金属に通気性が発現し、孔内に活物質等を充填することが出来る。
クラックもしくはクレーズ金属箔製造の模式図 局部的な折り曲げ部の拡大図 曲げ支持体の別の実施例の概略図 樹脂複合金属箔の模式図 クラックもしくはクレーズ促進材複合金属箔の模式図 曲げローラと押し付けローラによる実施例の概略図 曲げローラによる別の実施例の概略図 弾性ローラによる実施例の概略図
符号の説明
1 金属箔
11 クラックもしくはクレーズ促進材
2 樹脂層
4 曲げ支持体
44 曲げローラ
5 ガイドローラ
6、6' 押し付けローラ
8 クラックもしくはクレーズ

Claims (8)

  1. 連続的な金属箔に、局部的な曲げ加工部を形成することで曲げ加工部と平行なクラックもしくはクレーズ領域を形成することを特徴とする孔あき金属箔の製造方法。
  2. 緊張状態に保持された金属箔面に、曲げ支持体を押し付けることにより局部的な折り曲げ部を形成し、その後金属箔を前記曲げ支持体の先端部に接触させつつ前記折り曲げ部における折り曲げ線に対して直交する方向に引っ張ることにより、該金属箔の引張り方向と略直交して連続的な縞状のクラックもしくはクレーズ領域を形成することを特徴とする孔あき金属箔の製造方法。
  3. 前記曲げ支持体の先端部の断面が円弧状を有していることを特徴とする請求項2記載の孔あき金属箔の製造方法。
  4. 金属箔に樹脂を積層し、樹脂の面から曲げ支持体を押し付けることにより折り曲げ部を形成することを特徴とする請求項2記載の孔あき金属箔の製造方法。
  5. 金属箔に硬質層を形成し、硬質層の反対面から曲げ支持体を押し付けることにより折り曲げ部を形成することを特徴とする請求項2記載の孔あき金属箔の製造方法。
  6. 連続的な金属箔を、二本の押し付けローラとその間に介在する曲げローラの間を通すことにより局部的な曲げ加工部をもうけることで、曲げ加工部と平行なクラックもしくはクレーズ領域を形成することを特徴とする孔あき金属箔の製造方法。
  7. 請求項6の孔あき金属箔の製造方法において、二本の押し付けローラの中心を結ぶ線より奥に曲げローラを配することを特徴とする孔あき金属箔の製造方法。
  8. 請求項6の孔あき金属箔の製造方法において、押し付けローラが弾性ローラであることを特徴とする孔あき金属箔の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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