JP6023617B2 - 端子圧着方法 - Google Patents
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Description
そして、バレルを電線の導体に確実に加締めることができるようにするために、特に、クリンパの加締め部に段差を設けるようにした端子圧着装置が知られている(特許文献1参照)。
図9は特許文献1記載の端子圧着装置の斜視図である。図9において、上から、クリンパ100、電線40、端子金具30、アンビル20である。以下、これらについて簡単に説明する。
クリンパ100は上下方向に往復駆動されるようになっており、アンビル20に載置された端子金具30のワイヤバレル30D1、30D2を押圧する働きをする。クリンパ100の下端内側には端子金具30のワイヤバレル30D1、30D2を互いに近接させるようにそれぞれ湾曲部100W1、100W2が形成されている。双方の湾曲部100W1、100W2は、クリンパ100の下端内側中央部で段差S9を形成するようにそれぞれ異なった曲率の湾曲部となっている。この段差S9はワイヤバレル30D1、30D2の厚みT1に等しい段差となっている。
アンビル20は、クリンパ100の湾曲部100W1、100W2に対向して円弧形に窪む受圧面20Wを備えており、この受圧面20Wに端子金具30の基板部30Bを載置することにより、クリンパ100と協働して、ワイヤバレル30D1、30D2を加締めるようになる。
端子金具30は基板部30Bと電気接続筒部30Kとを一体に備えている。
基板部30Bは、端子圧着装置のクリンパ100とアンビル20とによって電線40の端部に対して加締められることにより圧着されかつ電気的に接続される円弧状断面を有する部分であり、さらに、電線40の端部の導体40Wに圧着される一対のワイヤバレル30D1、30D2と、電線40の端部の絶縁被覆部40Cに圧着される一対のインシュレーションバレル30C1、30C2とを一体に備えている。
電気接続筒部30Kは、他の端子金具と接触して他の端子金具と電気的に接続される部分である。
ワイヤバレル30D1、30D2は基板部30Bからほぼ同じ高さに立設されており、そのうち、一方のワイヤバレル30D1は、基板部30B内に収められた電線40の導体40Wの周囲にオーバーラップした状態で加締め付けられるワイヤバレルであり、他方のワイヤバレル30D2は、ワイヤバレル30D1の外周にオーバーラップした状態で加締め付けられるワイヤバレルである。ワイヤバレル30D2の内側端部には封止材Fが設けられており、ワイヤバレル30D1とオーバーラップした状態での隙間をこの封止材Fが埋めることにより、ガルバニック腐食を防止している。
電線40は、円形断面中央部に位置する多数の導体40Wと、これら多数の導体40Wの周囲を絶縁材で覆う絶縁被覆部40Cとから構成される。
電線40の端部の絶縁被覆部40Cを除去して露出した導体40Wに一対のワイヤバレル30D1、30D2が圧着され、また、電線40の端部の絶縁被覆部40Cに一対のインシュレーションバレル30C1、30C2が圧着される。本発明が対象としているのは、このうちワイヤバレル30D1、30D2の圧着である。
次に、図9の端子圧着装置の加締め作業の工程について図10を用いて説明知る。
図10は図9の端子圧着装置の加締め作業の工程を説明する端子断面図で、図10(1)は加締め開始時、図10(2)は加締め途中、図10(3)は加締め終了直前、図10(4)は加締め終了時である。
先ず、図10(1)に示すように、アンビル20の受圧面20Wに端子金具30の基板部30Bを載置し、その基板部30B内に電線40の導体40Wを収容する。そして、クリンパ100を下降させることにより、端子金具30のワイヤバレル30D1、30D2は、クリンパ100の下端の導入案内部100G1、100G2によってそれぞれクリンパ100の湾曲部100W1、100W2内へ導入案内される。
さらにクリンパ100を下降させると、端子金具30のワイヤバレル30D1、30D2はクリンパ100の湾曲部100W1、100W2に当接しながら互いに接近していき、最終的に、図10(2)のように、クリンパ100の下端内側中央部の段差S9にぶつかり、ワイヤバレル30D1は段差S9のうち導体40Wに近い部位に、ワイヤバレル30D2は段差S9のうち導体40Wから遠い部位にぶつかる。このとき、ワイヤバレル30D2はワイヤバレル30D1の厚みT1だけワイヤバレル30D1から変位している。
さらにクリンパ100を下降させると、ワイヤバレル30D1はワイヤバレル30D2とその厚みT1だけ変位しているので、湾曲されたワイヤバレル30D2の内周面に沿ってワイヤバレル30D1は進み、オーバーラップする。
さらにクリンパ100を下降させると、ワイヤバレル30D1、30D2の先端同士がオーバーラップした状態で加締められ、端子金具30の基板部30Bとの間で導体40Wを空隙なく挟み込んで、圧着工程が完了する。
図10(2)から図10(3)の工程において、湾曲されたワイヤバレル30D2の内周面に沿ってワイヤバレル30D1が進むとき、ワイヤバレル30D2の内周面にある封止材Fがワイヤバレル30D1の先端によって削り落とされてしまうことが生じた。したがって、封止材Fは最終的に図10(4)のように拡散消失してしまい、ワイヤバレル30D1、30D2の先端のオーバーラップした部位に封止材Fがないため、封止材Fの機能が発揮できず、ガルバニック腐食が生じた。
(1) 電線が載置される湾曲した基板部と前記基板部の両側縁からそれぞれ立設したバレルとを有する端子金具の前記基板部を載置するアンビルと、
前記アンビルとの間で前記端子金具のバレルを押圧可能に配置され、前記アンビルとの対向部にそれぞれ湾曲部が形成されたクリンパと、を備えた端子圧着装置を利用して、前記端子金具に載置された前記電線に前記2つのバレルを一方のバレルの外周に他方のバレルがオーバーラップするように圧着する端子圧着方法であって、
前記クリンパの前記湾曲部には、前記一方のバレルを押圧する湾曲部と前記他方のバレルを押圧する湾曲部の曲率を異ならせることで、前記2つのバレルが前記クリンパの内側上方部位に到達してオーバーラップする部位に段差が形成されており、
前記他方のバレルの内側上部に封止材を塗布する工程と、その後、
前記端子金具に前記電線が載置された状態で前記アンビルと前記クリンパとにより前記2つのバレルを押圧して、前記電線に前記2つのバレルを前記一方のバレルの外周に前記他方のバレルがオーバーラップするように圧着する工程と、
を含み、
前記段差の高さが、前記他方のバレルの厚さと前記他方のバレルに塗布された前記封止材の厚さとの和よりも大きくなっていること。
(2) 電線が載置される湾曲した基板部と前記基板部の両側縁からそれぞれ立設したバレルとを有する端子金具の前記基板部を載置するアンビルと、
前記アンビルとの間で前記端子金具のバレルを押圧可能に配置され、前記アンビルとの対向部にそれぞれ湾曲部が形成されたクリンパと、を備えた端子圧着装置を利用して、前記端子金具に載置された前記電線に前記2つのバレルを一方のバレルの外周に他方のバレルがオーバーラップするように圧着する端子圧着方法であって、
前記クリンパは第1クリンパと第2クリンパとから成り、
前記第1クリンパには、前記一方のバレルを押圧する湾曲部が形成されると共に、前記他方のバレルを押圧しない状態に保持する保持部が形成され、
前記第2クリンパには、前記他方のバレルを押圧する湾曲部が形成されており、
前記他方のバレルの内側上部に封止材を塗布する工程と、その後、
前記端子金具に前記電線が載置された状態で前記アンビルと前記第1クリンパとにより前記2つのバレルのうち前記一方のバレルのみを押圧して、前記電線に前記一方のバレルを圧着する工程と、その後、
前記アンビルと前記第2クリンパとにより前記他方のバレルを押圧して、前記電線に前記他方のバレルを前記一方のバレルの外周にオーバーラップするように圧着する工程と、
を含むこと。
(3) 上記(1)に記載の端子圧着方法において、
押圧される前の状態にて、前記他方のバレルの高さが前記一方のバレルの高さよりも高いこと。
(4) 上記(1)に記載の端子圧着方法において、
押圧される前の状態にて、前記一方のバレルの先端が内側に曲折していること。
上記(2)の構成によれば、一方のバレルが圧着されるとき、封止材の塗布された他方のバレルはまだ圧着動作に入っていないため、圧着されるバレルの先端と他方のバレルの封止材とはニアミス状態にならないので、封止材が他方のバレルの先端で削り取られる恐れがなく、オーバーラップした部位に封止材Fが留まるためオーバーラップした部位にガルバニック腐食が生じなくなる。
上記(3)の構成によれば、2つバレルの立設する高さが異なっているため、互いに圧着状態になっても、短い方のバレルの先端が封止材まで達しなく、封止材を削り取る恐れがなく、したがってオーバーラップした部位に封止材Fが留まるためオーバーラップした部位にガルバニック腐食が生じなくなる。
上記(4)の構成によれば、一方のバレルの先端が曲折しているため、互いに圧着状態になっても、バレルの先端の曲折部が封止材まで達しなく、また、仮に達しても先端が角が丸いため封止材を削り取る恐れがなく、したがってオーバーラップした部位に封止材Fが留まるためオーバーラップした部位にガルバニック腐食が生じなくなる。
図1は本発明の実施の形態1に係る端子圧着装置の斜視図である。図1において、上から、クリンパ10、電線40、端子金具30、アンビル20である。以下、これらについて簡単に説明する。
クリンパ10は実施の形態1に係るもので、上下方向に往復駆動されるようになっており、アンビル20に載置された端子金具30のワイヤバレル30D1、30D2を押圧する働きをする。クリンパ10の下端先端の内側には端子金具30のワイヤバレル30D1、30D2をクリンパ10の中へ導入案内する導入案内部10G1、10G2が形成されており、導入案内部10G1、10G2に続いて導入案内部10G1、10G2からそれぞれワイヤバレル30D1、30D2を互いに近接させるようにそれぞれ湾曲部10W1、10W2が形成されている。双方の湾曲部10W1、10W2は、クリンパ10の下端内側中央部で以下に述べる段差S1を形成するようにそれぞれ異なった曲率の湾曲部となっている。
この段差は図9のクリンパ100にも形成されているが、図9のクリンパ100の段差S9の厚みはワイヤバレル30D1、30D2の厚みT1であるのに対して、図1のクリンパ10の段差S1の厚みTはワイヤバレル30D1、30D2の厚みT1と封止材Fの厚みT2との和にさらに若干の空隙αを加えた値で形成されている点で異なっている。
アンビル20は、図9のアンビル20と同じで、クリンパ10の湾曲部10W1、10W2に対向して円弧形に窪む受圧面20Wを備えており、この受圧面20Wに端子金具30の基板部30Bを載置することにより、クリンパ10と協働して、ワイヤバレル30D1、30D2を加締めるようになる。
端子金具30は、図9のアンビル20と同じで、基板部30Bと電気接続筒部30Kとを一体に備えている。
基板部30Bは、端子圧着装置のクリンパ10とアンビル20とによって電線40の端部に対して加締められることにより圧着されかつ電気的に接続される円弧状断面を有する部分であり、さらに、電線40の端部の導体40Wに圧着される一対のワイヤバレル30D1、30D2と、電線40の端部の絶縁被覆部40Cに圧着される一対のインシュレーションバレル30C1、30C2とを一体に備えている。
電気接続筒部30Kは、他の端子金具と接触して他の端子金具と電気的に接続される部分である。
ワイヤバレル30D1、30D2は基板部30Bからほぼ同じ高さに立設されており、そのうち、一方のワイヤバレル30D1は、基板部30B内に収められた電線40の導体40Wの周囲にオーバーラップした状態で加締め付けられるワイヤバレルであり、他方のワイヤバレル30D2は、ワイヤバレル30D1の外周にオーバーラップした状態で加締め付けられるワイヤバレルである。ワイヤバレル30D2の内側端部には封止材Fが設けられており、ワイヤバレル30D1とオーバーラップした状態での隙間をこの封止材Fが埋めることにより、ガルバニック腐食を防止している。
電線40は、図9の電線40と同じで、円形断面中央部に位置する多数の導体40Wと、これら多数の導体40Wの周囲を絶縁材で覆う絶縁被覆部40Cとから構成される。
電線40の端部の絶縁被覆部40Cを除去して露出した導体40Wに一対のワイヤバレル30D1、30D2が圧着され、また、電線40の端部の絶縁被覆部40Cに一対のインシュレーションバレル30C1、30C2が圧着される。本発明が対象としているのは、このうちワイヤバレル30D1、30D2の圧着である。
次に、図1の端子圧着装置の加締め作業の工程について図2を用いて説明知る。
図2は図1の端子圧着装置の加締め作業の工程を説明する端子断面図で、図2(1)は加締め開始時、図2(2)は加締め途中、図2(3)は加締め終了直前、図2(4)は加締め終了時である。
先ず、図2(1)に示すように、アンビル20の受圧面20Wに端子金具30の基板部30Bを載置し、その基板部30B内に電線40の導体40Wを収容する。そして、クリンパ10を下降させることにより、端子金具30のワイヤバレル30D1、30D2は、クリンパ10の下端の導入案内部10G1、10G2に導入案内される。
さらにクリンパ10を下降させると、端子金具30のワイヤバレル30D1、30D2はクリンパ10の導入案内部10G1、10G2から図2(2)のように湾曲部10W1、10W2に当接しながら互いに接近していく。
さらにクリンパ10を下降させると、端子金具30のワイヤバレル30D1、30D2はクリンパ10の下端内側中央部の段差S1に到達し、図2(3)のようにワイヤバレル30D2は段差S1のうち導体40Wから遠い部位にぶつかり、ワイヤバレル30D1は段差S1のうち導体40Wに近い部位を通過し、このとき、ワイヤバレル30D2はワイヤバレル30D1の厚みT1と封止材Fの厚みT2とさらに若干の空隙αの幅だけワイヤバレル30D1から変位しているので、ワイヤバレル30D1は封止材Fを削ることなくワイヤバレル30D2とオーバーラップしながら進む。
さらにクリンパ10を下降させると、ワイヤバレル30D1、30D2の先端同士がオーバーラップした状態で加締められ、端子金具30の基板部30Bとの間で導体40Wを空隙なく挟み込んで、圧着工程が完了する。
図2(2)から図2(3)の工程において、湾曲されたワイヤバレル30D2の内周面に十分離間した状態でワイヤバレル30D1が進むため、ワイヤバレル30D2の内周面にある封止材Fがワイヤバレル30D1の先端によって削り落とされることがない。
したがって、封止材Fは最終的に図2(4)のようにワイヤバレル30D1、30D2の先端のオーバーラップした部位に留まり、オーバーラップ部位にガルバニック腐食が生じることが防止される。
図3は本発明の実施の形態2に係る端子圧着装置の斜視図である。図3において、上から、第1クリンパ12A、第2クリンパ12B、電線40、端子金具30、アンビル20である。電線40、端子金具30、アンビル20については、図1のそれと実質同じなので重複説明は省略し、以下では、本発明の実施の形態2に係る特徴である2個のクリンパの第1クリンパ12Aと第2クリンパ12Bについて説明する。
第1クリンパ12Aは、封止材Fの塗布されていない方のワイヤバレル30D1だけを湾曲させて導体40Wに圧着するためのクリンパで、ワイヤバレル30D1を導体40Wに近接させる湾曲部10W3が形成されている。一方、封止材Fの塗布されている方のワイヤバレル30D2はまだ圧着させないので、ワイヤバレル30D2を湾曲させずに収容できる広い空間10W4が形成されている。
第2クリンパ12Bは、封止材Fの塗布されている方のワイヤバレル30D2を湾曲させるクリンパで、ワイヤバレル30D2を導体40Wに近接させる湾曲部10W5が形成されている。
次に、図3の端子圧着装置の加締め作業の工程について図4を用いて説明知る。
図4は図3の端子圧着装置の加締め作業の工程を説明する端子断面図で、図4(1)は加締め開始時、図4(2)は加締め途中、図4(3)は加締め終了直前、図4(4)は加締め終了時である。
先ず、図4(1)に示すように、アンビル20の受圧面20Wに端子金具30の基板部30Bを載置し、その基板部30B内に電線40の導体40Wを収容する。そして、まず、第1クリンパ12Aを下降させることにより、端子金具30のワイヤバレル30D1とワイヤバレル30Dが第1クリンパ12Aの導入案内部10G1と10G2にそれぞれ導入案内される。
さらに第1クリンパ12Aを下降させると、端子金具30のワイヤバレル30D1は第1クリンパ12Aの導入案内部10G1から図4(2)のように湾曲部10W3に当接しながら湾曲して導体40Wの真上まで到達する。一方、端子金具30のワイヤバレル30D2は第1クリンパ12Aの導入案内部10G2から図4(2)のように広い空間10W4に入り込むため湾曲することなく真っ直ぐに延びている。したがって、ワイヤバレル30D2に塗布された封止材Fはワイヤバレル30D1の先端によって削り取られることはない。
そして、第1クリンパ12Aを退避させて、次に、第2クリンパ12Bを下降させると、真っ直ぐに延びていたワイヤバレル30D2は図4(3)のように、第2クリンパ12Bの湾曲部10W3に当接しながら湾曲していく。
さらに第2クリンパ12Bを下降させると、ワイヤバレル30D2の先端がワイヤバレル30D1の先端の上にオーバーラップした状態で封止材Fを挟んで加締められ、端子金具30の基板部30Bとの間で導体40Wを挟み込んで、圧着工程が完了する。
図4(2)から図4(3)の工程において、ワイヤバレル30D1の先端が湾曲するときにワイヤバレル30D2の内周面に塗布された封止材Fはワイヤバレル30D1の先端から遠く離れた位置にあるので、封止材Fがワイヤバレル30D1の先端によって削り落とされることはない。
したがって、封止材Fは最終的に図4(4)のようにワイヤバレル30D1、30D2の先端のオーバーラップした部位に留まり、オーバーラップ部位にガルバニック腐食が生じることが防止される。
図5は本発明の実施の形態3に端子金具を含む端子圧着装置の斜視図である。図5において、上から、クリンパ10、電線40、端子金具30’、アンビル20である。これらのうち、クリンパ10、電線40、アンビル20については図1の実施の形態1に係る端子圧着装置と同じなので、重複説明は省略し、本発明の実施の形態3に係る端子金具30’について以下に説明する。
端子金具30’は、基板部30Bと電気接続筒部30Kとを一体に備えている。
基板部30Bは電線40の端部の導体40Wに圧着されるワイヤバレル33D1とワイヤバレル33D2と、電線40の端部の絶縁被覆部40Cに圧着される一対のインシュレーションバレル30C1、30C2とを一体に備えている。
電気接続筒部30Kは、他の端子金具と接触して他の端子金具と電気的に接続される部分である。
以上のうち、基板部30Bの一対のインシュレーションバレル30C1、30C2と電気接続筒部30Kは実施の形態1、2と同じ構成であり、実施の形態1、2と異なっているのは、ワイヤバレル33D1とワイヤバレル33D2である。実施の形態1、2では、ワイヤバレル30D1と30D2は基板部30Bからほぼ同じ高さに立設されていたが、実施の形態3では高さを異ならせているのが特徴である(ワイヤバレル33D1の高さ<ワイヤバレル33D2の高さ)。そして、高さが高いワイヤバレル33D2の内側上部に封止材Fが塗布されている。
次に、図5の端子圧着装置の加締め作業の工程について図6を用いて説明知る。
図6は図5の端子圧着装置の加締め作業の工程を説明する端子断面図で、図6(1)は加締め開始時、図6(2)は加締め途中、図6(3)は加締め終了直前、図6(4)は加締め終了時である。
先ず、図6(1)に示すように、アンビル20の受圧面20Wに端子金具の基板部30Bを載置し、その基板部30B内に電線40の導体40Wを収容する。そして、クリンパ10を下降させることにより、ワイヤバレル33D1、33D2は、クリンパ10の下端の導入案内部10G1、10G2にそれぞれ導入案内される。
さらにクリンパ10を下降させると、ワイヤバレル33D1、33D2はクリンパ10の導入案内部10G1、10G2から図6(2)のように湾曲部10W1、10W2に当接しながら互いに接近していく。
さらにクリンパ10を下降させると、ワイヤバレル33D1は長さが短いため、クリンパ10の下端内側中央部の段差S1に到達してワイヤバレル33D2と一部オーバーラップした後、さらに進行を続けることができず、したがって、ワイヤバレル33D1の先端でワイヤバレル33D2に塗布されている封止材Fを削ることがない。
さらにクリンパ10を下降させると、ワイヤバレル33D1、33D2の先端同士が一部オーバーラップした状態で加締められ、端子金具30’の基板部30Bとの間で導体40Wを空隙なく挟み込んで、圧着工程が完了する。
図6(2)から図6(3)の工程において、湾曲されたワイヤバレル33D2の内周面に、丈の短いワイヤバレル33D1が位置するため、ワイヤバレル33D1の先端でワイヤバレル33D2に塗布されている封止材Fを削ることがない。しかも、ワイヤバレル33D2の先端は段差S1の奥にあるので、ワイヤバレル33D1の先端からT(T=T1+T2+α)だけ離間しており、よって、ワイヤバレル33D1の先端で封止材Fが削り落とされることがない。
したがって、封止材Fは最終的に図6(4)のようにワイヤバレル33D1、33D2の先端の一部オーバーラップした部位に留まり、オーバーラップ部位にガルバニック腐食が生じることが防止される。
図7は本発明の実施の形態4に係る端子金具を含む端子圧着装置の斜視図である。図7において、上から、クリンパ10、電線40、端子金具30”、アンビル20である。これらのうち、クリンパ10、電線40、アンビル20については図5の実施の形態3に係る端子圧着装置と同じなので重複説明は省略し、本発明の実施の形態4に係る端子金具30”について以下に説明する。
端子金具30”は、基板部30Bと電気接続筒部30Kとを一体に備えている。
基板部30Bは電線40の端部の導体40Wに圧着されるワイヤバレル34D1とワイヤバレル34D2と、電線40の端部の絶縁被覆部40Cに圧着される一対のインシュレーションバレル30C1、30C2とを一体に備えている。そして、ワイヤバレル34D1は基板部30Bから立設する垂直部E1と垂直部E1の先端から内側に水平に曲折する水平部E2とから構成されている。
電気接続筒部30Kは、他の端子金具と接触して他の端子金具と電気的に接続される部分である。
以上のうち、基板部30Bの一対のインシュレーションバレル30C1、30C2と電気接続筒部30Kは実施の形態3と同じ構成であり、実施の形態4が実施の形態3と異なっているのは、ワイヤバレル34D1とワイヤバレル34D2である。実施の形態3ではワイヤバレル33D1と33D2は基板部30Bからの高さを異ならせていたが、実施の形態4では高さを異ならせうえ、さらにワイヤバレル34D1だけその先端を内側に曲げた水平部Eを備えているのが特徴である。また、先端を曲げていない方のワイヤバレル34D2の内側上部に封止材Fが塗布されているのは実施の形態1〜4についてすべて同じである。
次に、図7の端子圧着装置の加締め作業の工程について図6を用いて説明知る。
図6は図7の端子圧着装置の加締め作業の工程を説明する端子断面図で、図6(1)は加締め開始時、図6(2)は加締め途中、図6(3)は加締め終了直前、図6(4)は加締め終了時である。
先ず、図6(1)に示すように、アンビル20の受圧面20Wに端子金具の基板部30Bを載置し、その基板部30B内に電線40の導体40Wを収容する。そして、クリンパ10を下降させることにより、ワイヤバレル34D1、34D2は、クリンパ10の下端の導入案内部10G1、10G2にそれぞれ導入案内される。
さらにクリンパ10を下降させると、ワイヤバレル34D1、34D2はクリンパ10の導入案内部10G1、10G2から図6(2)のように湾曲部10W1、10W2に当接しながら互いに接近していく。
さらにクリンパ10を下降させると、ワイヤバレル34D1は先端部がクリンパ10の下端内側中央部の段差S1の導体40W側に到達し、一方、ワイヤバレル34D2は段差S1の奥に到達する。この状態でワイヤバレル34D1は、ワイヤバレル34D2に塗布されている封止材Fと若干の隙間αがあるのでワイヤバレル34D1の先端の曲折部が封止材Fを削ることがない。また、前端の曲折した水平部E2は導体40W側に向いており、封止材F側には曲折部が位置しているので、仮に何らかの拍子に接触したとしても封止材Fに損傷を与えることはない。
さらにクリンパ10を下降させると、ワイヤバレル34D1、34D2の先端同士が一部オーバーラップした状態で加締められ、ワイヤバレル34D1の先端の水平部E2は導体40W内にしっかり食い込み、端子金具30”の基板部30Bとの間で導体40Wを空隙なく挟み込んで、圧着工程が完了する。
図6(2)から図6(3)の工程において、湾曲されたワイヤバレル34D2の内周面に若干の隙間をあけてワイヤバレル34D1が位置するため、ワイヤバレル34D1の先端でワイヤバレル34D2に塗布されている封止材Fを削ることがない。仮に何らかの拍子に接触したとしても曲折部が封止材F側に位置しているので、封止材Fに損傷を与えることはない。
したがって、封止材Fは最終的に図6(4)のようにワイヤバレル34D1、34D2の先端の一部オーバーラップした部位に留まり、オーバーラップ部位にガルバニック腐食が生じることが防止される。
本発明の実施の形態1によれば、段差が、前記バレルの厚さと前記バレルに塗布された封止材の厚さとの和よりも大きくなっているので、バレルに塗布された封止材が他方のバレルの先端で削り取られる恐れがなく、オーバーラップした部位に封止材Fが留まるためオーバーラップした部位にガルバニック腐食が生じなくなる。
また、実施の形態2によれば、一方のバレルが圧着されるとき、封止材の塗布された他方のバレルはまだ圧着動作に入っていないため、圧着されるバレルの先端と他方のバレルの封止材とはニアミス状態にならないので、封止材が他方のバレルの先端で削り取られる恐れがなく、オーバーラップした部位に封止材Fが留まるためオーバーラップした部位にガルバニック腐食が生じなくなる。
さらに、実施の形態3によれば、2つバレルの立設する高さが異なっているため、互いに圧着状態になっても、短い方のバレルの先端が封止材まで達しなく、封止材を削り取る恐れがなく、したがってオーバーラップした部位に封止材Fが留まるためオーバーラップした部位にガルバニック腐食が生じなくなる。
そして、実施の形態4によれば、一方のバレルの先端が曲折しているため、互いに圧着状態になっても、バレルの先端の曲折部が封止材まで達しなく、また、仮に達しても先端が角が丸いため封止材を削り取る恐れがなく、したがってオーバーラップした部位に封止材Fが留まるためオーバーラップした部位にガルバニック腐食が生じなくなる。
10G1、10G2:導入案内部
10W1、10W2:湾曲部
10W3:湾曲部
10W4:広い空間
10W5:湾曲部
12A:第1クリンパ
12B:第2クリンパ
20:アンビル
20W:受圧面
30:端子金具
30B:基板部
30C1、30C2:インシュレーションバレル
30D1、30D2:ワイヤバレル
30K:電気接続筒部
30’:端子金具
33D1、33D2:ワイヤバレル
30”:端子金具
34D1、34D2:ワイヤバレル
40:電線
40C:絶縁被覆部
40W:導体
S1:段差
T1:ワイヤバレル30D1、30D2の厚み
T2:封止材の厚み
F:封止材
E1:垂直部
E2:水平部
Claims (4)
- 電線が載置される湾曲した基板部と前記基板部の両側縁からそれぞれ立設したバレルとを有する端子金具の前記基板部を載置するアンビルと、
前記アンビルとの間で前記端子金具のバレルを押圧可能に配置され、前記アンビルとの対向部にそれぞれ湾曲部が形成されたクリンパと、を備えた端子圧着装置を利用して、前記端子金具に載置された前記電線に前記2つのバレルを一方のバレルの外周に他方のバレルがオーバーラップするように圧着する端子圧着方法であって、
前記クリンパの前記湾曲部には、前記一方のバレルを押圧する湾曲部と前記他方のバレルを押圧する湾曲部の曲率を異ならせることで、前記2つのバレルが前記クリンパの内側上方部位に到達してオーバーラップする部位に段差が形成されており、
前記他方のバレルの内側上部に封止材を塗布する工程と、その後、
前記端子金具に前記電線が載置された状態で前記アンビルと前記クリンパとにより前記2つのバレルを押圧して、前記電線に前記2つのバレルを前記一方のバレルの外周に前記他方のバレルがオーバーラップするように圧着する工程と、
を含み、
前記段差の高さが、前記他方のバレルの厚さと前記他方のバレルに塗布された前記封止材の厚さとの和よりも大きくなっていることを特徴とする端子圧着方法。 - 電線が載置される湾曲した基板部と前記基板部の両側縁からそれぞれ立設したバレルとを有する端子金具の前記基板部を載置するアンビルと、
前記アンビルとの間で前記端子金具のバレルを押圧可能に配置され、前記アンビルとの対向部にそれぞれ湾曲部が形成されたクリンパと、を備えた端子圧着装置を利用して、前記端子金具に載置された前記電線に前記2つのバレルを一方のバレルの外周に他方のバレルがオーバーラップするように圧着する端子圧着方法であって、
前記クリンパは第1クリンパと第2クリンパとから成り、
前記第1クリンパには、前記一方のバレルを押圧する湾曲部が形成されると共に、前記他方のバレルを押圧しない状態に保持する保持部が形成され、
前記第2クリンパには、前記他方のバレルを押圧する湾曲部が形成されており、
前記他方のバレルの内側上部に封止材を塗布する工程と、その後、
前記端子金具に前記電線が載置された状態で前記アンビルと前記第1クリンパとにより前記2つのバレルのうち前記一方のバレルのみを押圧して、前記電線に前記一方のバレルを圧着する工程と、その後、
前記アンビルと前記第2クリンパとにより前記他方のバレルを押圧して、前記電線に前記他方のバレルを前記一方のバレルの外周にオーバーラップするように圧着する工程と、
を含むことを特徴とする端子圧着方法。 - 請求項1に記載の端子圧着方法において、
押圧される前の状態にて、前記他方のバレルの高さが前記一方のバレルの高さよりも高いことを特徴とする端子圧着方法。 - 請求項1に記載の端子圧着方法において、
押圧される前の状態にて、前記一方のバレルの先端が内側に曲折していることを特徴とする端子圧着方法。
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